説明

美容組成物

【課題】
【解決手段】本発明は、5−アミノレブリン酸(5−ALA)の誘導体、例えば、5−ALAのエステルまたは、その皮膚適合性塩を含む組成物に関する。さらに、本発明は、美容的処置の方法における、特に、皮膚の外観を向上させるか、または、皮膚の外観を増強させる方法における、そのような組成物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、5−アミノレブリン酸(5−ALA)の誘導体、例えば、5−ALAのエステルまたは、その皮膚適合性塩を含む組成物に関する。さらに、本発明は、美容的処置の方法における、特に、皮膚の外観を向上させるか、または、増強する方法における、そのような組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
今日の社会において、男性および女性の両方について、特に女性について、若い見えることへの要求が高まっている。皮膚の状況と全体の外観が、若さの指標である;皮膚老化の効果、例えば細い線のしわ、は、多くの人の重大な心配事である。
【0003】
皮膚の老化は、時間的な老化の結果だけではない;外的因子、例えば、太陽の紫外線に晒されるような、環境的条件の結果でもある。老化により、ひとまとめにして「光加齢」と言及される、粗さ、黄ばみ、まだらな色素沈着、拡散赤ら顔、血管拡張および細い線もしくはシワの形成を含む皮膚の変化を生じる。若さを失ったしるしとして、そのような皮膚変化は、通常、非審美的と考えられる。
【0004】
紫外線照射に煩雑に晒されることにより、日光性角化症(AK)、皮膚の厚い、鱗屑のあるか、または皮殻質のパッチの悪性になる前の症状のような疾患状態と考えられる光損傷を生じることがある。これらの前癌進行の幾つかは、扁平上皮細胞癌へ進行するため、通常、これらは治療される。AKに対する治療の1つは、5−アミノレブリン酸(5−ALA)(レブラン(Levulan)(登録商標)、ケラスチック(Kerastick)(登録商標)、デュサ・ファーマシューティカルズ(Dusa Pharmaceuticals))または5−ALAの誘導体、5−ALAメチルエステル(メトビック(Metvix)(登録商標)、ガラデルマ(Galderma))での局所光ダイナミック療法である。そのような処置が非常に高価的であることが確認されている一方、すばらしい美容術を生じることも確認されている、すなわち、まだらな色素沈着、黄ばみおよび細かい線の向上を含む皮膚の全体の光化学若返りを生じる(C. Zaneら, Lasers in Surgery and Medicine 39:203-209 (2007)(非特許文献1)参照。
【0005】
5−ALAまたはその誘導体を含む組成物の美容的処置について、幾つか、示唆されている。
【0006】
米国特許第5,520,905号(特許文献1)には、0.01〜10%の5−ALAを含む化粧品または皮膚製品を用いることにより、太陽の被害から皮膚を保護し、かつ、そのような被害を軽減する方法を開示している。そのような組成物は、抗酸化剤とラジカル阻害剤として作用することが確認されている、というのも、光化学的に誘導され、一重項酸素を消滅さえさせる、制御できない酸化プロセスに対して、保護を提供できるからである。
【0007】
国際公開第2008/106983号(特許文献2)には、0.1〜2%濃度の5−ALAまたは5−ALA誘導体のような光増感剤のリポソーム液体製剤を用いる、皮膚の非治療的(すなわち、化粧的)処置と治療的処置が開示されている。所望の化粧的効果を得るためには、その製剤を、1〜3時間にわたって、多数の繰り返し噴霧用量の形態で、標的部位に投与する(実施例2と3)。長い時間、すなわち、1時間対3時間と、より頻繁な噴霧用量、すなわち、2時間にわたって15分ごと対、2時間にわたって5分ごとが、若返りの観点から、より効果的であることが判明した。
【0008】
国際公開第02/078687号(特許文献3)には、化粧的な光ダイナミック法、すなわち、皮膚の日焼けを刺激する方法が開示されている。これらの方法に用いられる局所製剤には、製剤の全体の重量に対し0.1重量%〜30重量%の範囲の5−ALAが含まれている。実験データは、ALAを5重量&、10重量%および20重量%含むユーセリン(Eucerin)(登録商標)クリーム基剤を用いてボランティアにより得られている。そのクリームを遮蔽下に皮膚に塗布した。4時間後、その皮膚を可視光で照射した。全てのボランティアは、照射の間、焼けと痒みについて不平を言い、紅斑と浮腫が、照射の後に生じた。また、色素性応答も確認された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,520,905号明細書
【特許文献2】国際公開第2008/106983号パンフレット
【特許文献3】国際公開第02/078687号パンフレット
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】C. Zaneら、「Lasers in Surgery and Medicine」 2007年、39巻、p.203-209
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
米国特許出願公開第2008/146667号には、20%(重量/重量)より低い、好ましくは2%(重量/重量)より低い濃度の5−ALAおよびその誘導体のような感光色素化合物を含む組成物を用いる皮膚若返りのような美容的処置の方法が開示されている。その感光色素化合物は、日光へ晒すことにより、活性化される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
ここに、我々は、5−ALA誘導体、好ましくは5−ALAエステルまたはその皮膚適合性塩を含む組成物が、哺乳動物対象、好ましくは人間対象の皮膚の外観を増強し、かつ向上させるのに効果的であることを、驚くべきことに見出した。特に、そのような組成物が、カラスの足跡、暗色円、細かい線、しわの外観を低減させ、細孔径を低減させ、かつ、皮膚の堅さと弾力性を向上させることに、効果的であることを我々は見出した。上記結果は、適用の間と後の両方において、痛み、痒み、焼け、紅斑および/または浮腫のような、望ましくない副作用を最小限にして、達成された。そのような副作用は、5−ALAまたは5−ALAの誘導体、例えば、レブラン(Levulan)(登録商標)、ケラスチック(Kerastick)(登録商標)またはメトビック(Metvix)(登録商標)(例えば、包装公告参照)を含む組成物で皮膚処置を行っている間およびその後に、観察される。
【0013】
従って、第1の観点から、本発明は、
a) 5−ALAの誘導体またはその皮膚適合性塩を2重量%またはそれ以下;
b) 水を70重量%またはそれ以上;
c) 少なくとも1つの脂質担体2〜25重量%;および
d) 1つ以上の乳化剤
を含む組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上記組成物は、哺乳動物、好ましくは人間の皮膚上に用いるための、皮膚組成物、すなわち、組成物、例えば、化粧組成物または医薬組成物である。それ自体、本発明による組成物は、人間の皮膚に親和性があり、しかし、粘膜、爪および/または毛髪とも親和性がある。本発明の組成物は、心地よい色、香りおよび手触りを示すのが好ましい。用語「手触り」は、接触の感覚と、前記組成物の構造と粘度に関連し、認識される、組成物のこれらの特性を意味するものと理解される。
【0015】
用語「5−ALA」は、5−アミノレブリン酸、すなわち、5−アミノ−4−オキソ−ペンタン酸を意味する。
【0016】
明細書中で用いる用語「処置」は、いずれの組成物、製品、またはキットの使用に関連し、または、どのような方法に関連し、化粧的処置または治療的処置、好ましくは美容的処置を意味する。
【0017】
明細書中で用いる用語「化粧的」は、いずれの組成物、製品、キット、方法または使用に関連し、化粧目的で、すなわち、投与された個々の皮膚外観を、増強し、向上し、または維持するために、用いられるか、または用いられることを意図する製品または処置方法を定義することを意図する。
【0018】
用語「5−ALA誘導体」は、化学的に修飾した5−ALA、すなわち、物理化学的特性(例えば溶解性またはバイオアベイラビリティ)が変化する化学的誘導(例えば、化学基の置換、または更なる化学基の追加)が起こった5−ALAを意味する。化学誘導は、5−ALAのカルボキシ基に、または、5−ALAのケト基に、より好ましくは5−ALAのカルボキシ基またはアミノ基に、行われるのが好ましい。好ましい誘導体は、5−ALAのエステル、アミドおよびいずれかの誘導体、最も好ましくは5−ALAのエステルを含む。
【0019】
用語「皮膚適合性塩」は、哺乳動物、特に人間の皮膚に用いられる、皮膚組成物、例えば化粧組成物または医薬組成物において用いられるのに適する塩を意味する。皮膚適合性塩は、通常、非刺激性であり、非常に許容されている。好ましくは、皮膚適合性塩は、生理学的に許容される塩、すなわち、哺乳動物および/または人間において用いられた場合、生理学的に耐性がある塩である。
【0020】
用語「重量%」は、組成物の全重量に基づく、組成物における化合物の割合を意味する。全体の合計は、100%まで加算される。
【0021】
光ダイナミック療法または光ダイナミック診断において用いられる医薬製品における、5−ALAの誘導体、例えば、5−ALAエステルおよびその塩の使用は、科学文献および特許文献において、非常によく知られている。例えば、国際公開第2006/051269号、国際公開第2005/092838号、国際公開第03/011265号、国際公開第02/09690号、国際公開第02/10120号および米国特許第6,034,267号、これらの内容は、ここに、引用して取り込む。
【0022】
本発明に従い有用である5−ALA誘導体は、ここに記載の所望の効果を提供しうる5−ALAの誘導体全てであってもよい。そのような5−ALA誘導体は、5−ALAエステルが好ましい。
【0023】
5−ALAエステル、アミノ−置換5−ALAエステルおよび、その皮膚適合性塩は、本明細書中に記載の発明において使用される化合物の中で、好ましい。前記5−アミノ基が置換されていない化合物、すなわち、5−ALA エステルは、特に好ましい。そのような化合物は、通常、文献、例えば、国際公開第96/28412号、国際公開第02/10120号、国際公開第2003/041673号および国際公開第2009/077960号中で知られ、説明されている。これらの文献の内容は、引用してここに取り込む。全ての文献では、本発明による化粧組成物で用いることができる、5−ALA誘導体を説明している。
【0024】
5−ALAと置換または非置換のアルカノールとの反応から生じた5−ALAのエステル、すなわち、5−ALAアルキルエステルと、5−ALA置換アルキルエステルと、その皮膚適合性塩は、本発明の組成物において用いられる、特に好ましい5−ALA誘導体である。そのような化合物の例には、式Iの化合物およびそのその皮膚適合性塩を含む。
【0025】
22N−CH2COCH2−CH2CO−OR1 (I)
式中、
1は、置換または非置換のアルキル基を意味し;
2は、それぞれ、水素原子または基R1を意味する。
【0026】
明細書中で用いる用語「アルキル」は、特に明記が無い限り、いずれの長さまたは短さの鎖、環式、直鎖または分枝状の、飽和脂肪族炭化水素基であってもよい。特に明記が無い限り、そのようなアルキル基は、40以下の炭素原子を含んでもよい。しかしながら、30以下、好ましくは10以下、特に好ましくは8以下、より特に好ましくは6以下の炭素原子を含むアルキル基が好ましい。
【0027】
式Iの化合物において、R1基は、置換または非置換のアルキル基である。R1が置換アルキル基である場合、1以上の置換基が、アルキル基に結合するか、かつ/またはアルキル基に割り込む。アルキル基に結合する適切な置換基は、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アミノ、アリール、ニトロ、オキソ、フッ素、塩素、−SR3、−NR32および−PR32(式中、R3は、水素原子またはC1-6アルキル基である)から選択される。アルキル基に割り込む適切な置換基は、−O−、−NR3−、−S−または−PR3−から選択される。
【0028】
好ましい実施形態において、R1は、1以上のアリール置換基、すなわち、アリール基、好ましくは、1つのアリール基で置換された、アルキル基である。
【0029】
この明細書中で用いる用語「アリール基」は、窒素、酸素または硫黄のようなヘテロ原子を含んでも含まなくてもよい、芳香性基を意味する。ヘテロ原子を含まないアリール基が好ましい。好ましいアリール基は、20以下の炭素原子、より好ましくは12以下の炭素原子、例えば、10または6の炭素原子を含む。アリール基の好ましい形態は、フェニルおよびナフチルであり、特に、フェニルである。さらに、前記アリール基は、1以上、より好ましくは1または2の置換基により任意に置換されてもよい。好ましくは、前記アリール基は、メタまたはパラ位で置換され、もっとも好ましくはパラ位で置換される。適切な置換基には、ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル、ジクロロエチル等)、アルコキシ、好ましくは1〜6の炭素原子を含むアルコキシ(例えば、メトキシまたはエトキシ)、ハロ(例えば、ヨウ素、臭素、塩素またはフッ素、好ましくは、塩素およびフッ素)、ニトロ、およびC1-6アルキル、好ましくは、C1-4アルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソ−ブチルおよびt−ブチル)を含む。好ましいC1-6アルキル基には、メチル、イソプロピルおよびt−ブチル、特にメチルを含む。特に好ましいアリール置換基は、塩素およびニトロである。しかしながら、依然より好ましくは、前記アリール基は、非置換である。
【0030】
好ましい、そのようなアリール置換R1基は、ベンジル、l,4−イソプロピルベンジル、4−メチルベンジル、2−メチルベンジル、3−メチルベンジル、4−[t−ブチル]ベンジル、4−[トリフルオロメチル]ベンジル、4−メトキシベンジル、3,4−[ジクロロ]ベンジル、4−クロロベンジル、4−フルオロベンジル、2−フルオロベンジル、3−フルオロベンジル、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンジル、3−ニトロベンジル、4−ニトロベンジル、2−フェニルエチル、4−フェニルブチル、3−ピリジニル−メチル、4−ジフェニル−メチルおよびベンジル−5−[(1−アセチルオキシエトキシ)−カルボニル]である。より好ましい、そのようなR1基は、ベンジル、4−イソプロピルベンジル、4−メチルベンジル、4−ニトロベンジルおよび4−クロロベンジルである。最も好ましくはベンジルである。
【0031】
1が置換アルキル基の場合、1以上のオキソ置換基が好ましい。そのような置換されたアルキル基は、1、2または3つのオキソ基で置換された直鎖C4-12アルキル基が好ましい。そのような基の例には、3,6−ジオキサ−1−オクチルおよび3,6,9−トリオキサ−1−デシルを含む。別の好ましい実施形態において、R1は、1以上の酸素原子により割り込まれたアルキル基(エーテルまたはポリエーテル基)、好ましくは1〜4の酸素原子により割り込まれた直鎖C4-12アルキル、より好ましくは1〜4の酸素原子により割り込まれた直鎖C6-10アルキル基、より好ましくは直鎖ポリエチレングリコール基(−(CH22−O−)n(nは、1〜5の整数)である。
【0032】
1が非置換アルキル基の場合、R1基は、飽和の直鎖状または分枝状のアルキル基が好ましい。R1が飽和直鎖アルキル基の場合、C1-10直鎖アルキル基が好ましい。適切な直鎖アルキル基の代表的な例には、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシルおよびn−オクチルを含む。C1-6直鎖アルキル基が特に好ましく、最も好ましくは、メチルおよびn−ヘキシルである。R1が飽和分枝状アルキル基の場合、そのような分枝状アルキル基は、4〜8、好ましくは5〜8の直鎖炭素原子の幹からなり、前記幹が、1以上のC1-6アルキル基、好ましくはC1-2アルキル基で分枝状しているのが好ましい。そのような飽和分枝状アルキル基の例には、2−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1−エチルブチルおよび3,3−ジメチル−1−ブチルを含む。
【0033】
式Iの化合物において、各R2は、独立して、水素原子または基R1を表す。本発明の使用において特に好ましいのは、少なくとも1つのR2が水素原子を表す式Iの化合物である。特に好ましい化合物において、各R2は、水素原子を表す。
【0034】
1がC1−C10−アルキル、より好ましくはC1−C8−アルキル、さらにより好ましくはC1−C6−アルキルであり;両方のR2が、水素を表す式Iの化合物およびその皮膚適合性塩は、本発明の組成物において用いられるのが好ましい。より好ましい実施形態において、R1は、直鎖C1−C10−アルキル、より好ましくは直鎖C1−C8−アルキル、さらにより好ましくは直鎖C1−C6−アルキルであり;両方のR2は、水素を表す。式Iの最も好ましい化合物は、5−ALAヘキシルエステルおよびその皮膚適合性塩、好ましくはHCl塩またはスルホン酸塩(スルホン酸の塩またはスルホン酸誘導体の塩)である。
【0035】
本発明の組成物において用いられる5−ALAエステルおよびその皮膚適合性塩は、当該分野の通常の方法により、例えば、国際公開第96/28412号、国際公開第02/10120号、国際公開第2003/041673号および国際公開第2009/077960号に記載のように、製造することができる。簡潔には、5−ALAエステルは、5−ALAと適切なアルコールとを、触媒、例えば酸の存在下で反応させることにより製造することができる。または、5−ALAメチルエステルまたは5−ALAヘキシルエステルのような本発明において用いる化合物は、例えば、フォトキュアエーエス((Photocure ASA)、ノルウェー)から市販で入手してもよい。5−ALA エステルの皮膚適合性塩の製造は、当該分野で知られており、例えば、国際公開第2005/092838号において説明されている。簡潔には、5−ALAエステルの皮膚適合性塩は、皮膚適合性5−ALA塩の反応、例えば5−ALA塩酸塩と適切なアルコールとの反応により、製造することができる。
【0036】
本発明の組成物において用いられる5−ALAエステルは、遊離アミンの形態であってもよく(例えば、−NH2、−NHR2または−NR22)または、皮膚適合性塩の形態が好ましい。そのような塩は、好ましくは有機酸または無機酸の付加塩、好ましくは強い有機酸または無機酸の付加塩である。適切な酸には、例えば、塩化水素酸、硝酸、臭化水素酸、リン酸、リン酸誘導体、硫酸、スルホン酸およびスルホン酸誘導体を含む。これらは、国際公開第2005/092838号に説明されており、その全体の記載は引用によりここに取り込む。好ましい酸は、塩化水素酸、HClである。酸形成の方法は、当該分野で公知であり、例えば、国際公開第2005/092838号に記載されている。
【0037】
本発明の組成物における5−ALAの誘導体または、その皮膚適合性塩の所望の量は、幾つかの因子により左右されるであろう。その因子には、剤型の特別な性質、処置において光源を用いるか否か、もし用いる場合、光源の種類および選択された波長、処置の長さ、および処置の全体数が含まれる。これらの様々な因子を考慮し、その量は、当該分野の当業者であれば、容易に決定できる。本発明の組成物は、5−ALAの誘導体またはその皮膚適合性塩を、2重量%またはそれ以下、好ましくは0.02〜1.75重量%、より好ましくは0.05〜1.5重量%、例えば0.5〜1.25重量%、最も好ましくは0.1〜1.0重量%、最も好ましくは0.25〜0.75重量%の範囲で、含む。これらの範囲内で所望の量を決定するに際し、当該分野の当業者の知識と経験の範囲内である以下の基準も、考慮することができる。
【0038】
・皮膚により深く浸透しうる組成物(例えば、組成物の性質、選択した5−ALA誘導体の性質により、または、より深い浸透を促進する剤(例えば、皮膚浸透促進剤)の存在により)の、5−ALA誘導体またはその皮膚適合性塩の含有量は、皮膚の表面に主に残留する傾向にある組成物より、典型的には低い濃度である;
・皮膚処置の持続時間がより長い傾向のある組成物(すなわち、皮膚上で組成物のインキュベーション時間が長い、かつ/または、照射が長い)は、通常、処置の持続時間がより短い組成物より、5−ALA誘導体またはその皮膚適合性塩を通常、少なく含む;
・2コース以上の皮膚処置を意図する組成物(例えば、幾つかまたは多くの処置(例えば、一定期間にわたって幾つかの処置、または繰り返しの処置))は、一度の使用を意図する組成物または、制限された回数の使用を意図する組成物(しばしば、各処置の間に遅延を含む)よりも、少ない5−ALA誘導体またはその皮膚適合性塩を通常含む;
・(光)老化のほんの数個の印にのみ皮膚の処置を意図する組成物は、極度に(光)老化した皮膚に処置することを意図した組成物より、少ない5−ALA誘導体またはその皮膚適合性塩を含んでもよい。
【0039】
本発明の組成物は、皮膚に局所的に適用され、皮膚適合性である、すなわち、通常、非刺激性および耐用性良好である。
【0040】
本発明の組成物は、70重量%以上の水をさらに含む。好ましい実施形態において、本発明の組成物は、75重量%以上の水、より好ましくは80重量%以上の水を含む。脂質担体の量と比較して比較的高い水含有量により、5−ALA誘導体またはその皮膚適合性塩の皮膚へのすばやい吸収を確実にし、インキュベーション時間(すなわち、組成物の皮膚への適用から始まり、日価値で照射をはじめる時間までの期間)が短くなる。インキュベーション時間は短いのが、消費者および化粧品販売業者/皮膚科医にとって好ましい。本発明の組成物が、クリームの形態であることを意図する場合、そのような化粧組成物は、好ましくは75重量%以上の水、より好ましくは80重量%以上の水を含む。本発明の化粧組成物が、ローションの形態を意図する場合、そのような化粧組成物は、好ましくは80重量%以上の水、より好ましくは85重量%以上の水を含む。
【0041】
高い水含有量にもかかわらず、本発明の組成物は、室温で安定であり、その外観および手触りが維持され、従って、例えば市販の化粧製品としての使用に際し、適切な保存寿命を提供する。この安定性は驚くべきことである、というのも、当該分野では、5−ALAエステルを含む組成物において水の存在により、そのエステルが分解することがよく知られているからである。その結果、5−ALAエステルを含む組成物は、冷所に保管するか、使用直前に製造されていた。例として、メトビック(Metvix)(登録商標)は、5−ALAメチルエステルの塩酸塩を含むクリームであり、冷所に保管されている。ヘビック(Hexvix)(登録商標)(フォトキュアエーエスエー(Photocure ASA))は、膀胱癌検出のための診断薬であり、5−ALAヘキシルエステルの塩酸塩を含む水溶液である。ヘビック(Hexvix)(登録商標)は、凍結乾燥された粉末として供給され、使用直前に水生溶媒中に溶解される。
【0042】
本発明の組成物は、さらに、少なくとも1つの脂質担体を2〜25重量%を含む。用語「脂質担体」は、有機溶媒中に通常溶解性であり、水中にほとんど不溶性である担体を意味する。好ましい実施形態において、本発明による脂質担体は、脂質、ワックス、油、遊離脂肪酸または脂肪酸もしくは脂肪アルコールのエステルである。
【0043】
前記脂質担体は、通常、皮膚適合性脂質担体であり、すなわち、脂質担体は人間皮膚と親和性であり、しかし、粘膜、爪および/または毛髪とも親和性であるのが好ましく、通常、非刺激性でかつ耐用性良好である。好ましい脂質担体は、皮膚組成物(例えば、皮膚上に用いられるための医薬製品または化粧製品である。)において通常用いられるものである。
【0044】
用語「少なくとも1つ」は、本発明の組成物が1つの脂質担体または幾つかの異なる脂質担体を含むことを意味する。本発明の組成物は、同じ種類または異なる種類の脂質担体(例えば、幾つかの異なる脂質または脂質とワックス)を幾つか含んでもよい。例として、その組成物は、脂質担体として、トリカプリリン(tricaprylin)とカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、すなわち、2つの異なる脂質を含んでもよい。さらに、例として、その組成物は、脂質担体として、トリカプリリンとステアリン酸、すなわち、脂質と脂肪酸とを含んでもよい。
【0045】
本発明の組成物は、脂質担体として、1以上の脂質を含んでもよい。脂質は、トリグリセリド、すなわち、1モルのグリセロールと3モルの脂肪酸のトリエステルである。3つの脂肪酸は、同一脂肪酸であっても異なる脂肪酸であってもよい。
【0046】
本発明の組成物において用いられる脂質は、室温において、すなわち、約18℃〜約25℃の温度で、固体または液体(すなわち、油)であってもよい。脂質は、合成または動物もしくは植物源からの半合成であってもよい。
【0047】
好ましい実施形態において、本発明による脂質担体は、脂質、好ましくはグリセロールと3つの同一または異なる(好ましくは同一)の飽和および/または不飽和の分枝状および/または不分枝状の(6〜24、特に8〜18の炭素原子を有する鎖長の)脂肪酸のトリグリセリドである。好ましい脂質は、トリカプリリン、トリヒドロキシステアリン、トリカプロイン(tricaproin)、トリヘプタノイン(triheptanoin)、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸/リノール酸トリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸/ラウリン酸トリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸トリグリセリドおよびカプリル酸/カプリン酸/コハク酸トリグリセリドであり、これらの脂質の幾つかは、名前「ミグリオール(Miglyol)(登録商標)」(Sasol、Witten、ドイツ)、例えば、ミグリオール(Miglyol)(登録商標)812(カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドであり、本発明の好ましい脂質である)の下、市販されている。
【0048】
他の好ましい脂質は、動物源もしくは植物源の天然油または、前記油の画分であり、例えば、ベニバナ油、大豆油、パーム油、アボカード油、パーム核油、トウモロコシ油、綿実油、ゴボウ種油、キャノーラ油、ボルゴオフィシャル種(borgo officialis seed)油、アブラナオレイフェラ(oleifera)油、ブレボリタ(brevoortia )油、牛脚油、キスツスランダニフェルス(ladaniferus)油、アブラヤシ油、ヤシ油、ヒマワリ油、ヒマシ油、マツ油、オリーブ油、落花生油、扁桃油、麦芽油、グレープシード油、アザミ油、マツヨイグサ油、カカオ脂、ラード、獣脂およびパームオレインである。脂質のさらなる例には、モワバター、シアバター、カカオ脂、カカオバター、塩バター、レシチン、日本ワックスおよび他の天然油またはその画分である。脂質のほかの例には、部分的硬化または完全硬化の大豆油、ナタネ油、綿実油、ヒマワリ油、ヒマシ油、ヤシ油およびその画分から選択される硬化油または部分硬化油を含む。この脂質は、中鎖トリグリセリド(MCT)のように、合成または半合成であってもよい。
【0049】
本発明において用いられるこの脂質は、多くは様々な製造者(例えば、Sasol, Croda, Cognis, Gattefosseおよび他者)から市販で入手可能であるが、当該分野でよく知られている標準の方法を用いて製造してもよい。
【0050】
本発明の組成物は、脂質担体として、1以上のワックスを含んでもよい。化学的に、ワックスは、1種の脂質であり、様々な種類の長鎖のアルカン類、エステル類、ポリエステル類および長鎖の一級アルコール類と脂肪酸類のヒドロキシエステル類を含んでもよい。これらは通常、トリグリセリドが欠けているため、脂質類とは区別される。天然のワックス類(例えば、動物ワックスまたは植物ワックス)は、通常、ワックスエステル類、ワックス酸類、ワックスアルコール類、および炭化水素を含む幾つかの成分の混合物である。一方、合成ワックス(特に石油由来ワックス類)は、通常、炭化水素類である。
【0051】
本発明の組成物において用いられるワックスは、室温で、すなわち、約18℃〜約25℃の温度で、固体または液体であってもよい。ワックス類は、合成また、動物源もしくは植物源の半合成であってもよい。
【0052】
好ましいワックス類は、植物ろう、動物ろう、地ろう及び、石油化学ワックスの群から選択される。本発明によれば、好ましいワックスは、カンデリラろう、カルナバワックス、ラノリン(羊毛脂)、羊毛脂アルコール、エスバルトグラスワックス、コルクワックス、グアルマ(guaruma)ワックス、米ヌカワックス、サトウキビワックス、ベリーワックス、オークリーろう、ホホバ油、大豆ワックス、黄蝋、尾(uropygial)グリースセレシン、パラフィンワックスおよびマイクロワックスである。また、化学的に修飾されたワックス類または、合成ワックス類も、例えば、Croda GmbHから商品名シンクロワックス(Synchrowax)HRC(グリセロールトリベヘネート)およびシンクロワックス(Synchrowax)AW 1C(C18-36−脂肪酸)で入手できるもの、また、モンタンエステルワックス類、サソールワックス類、硬化ホホバ油、合成もしくは修飾黄蝋類(例えば、ジメチコン(dimethicone)コポリオール黄蝋および/またはC30-C50−アルキル 黄蝋)、ポリアルキレンワックス類およびポリエチレングリコールワックス類も、本発明で用いられる。
【0053】
本発明の組成物は、脂質担体として、1以上の油を含んでもよい。本発明の組成物において有用な油は、鉱油類(流動パラフィンゼリー)、動物源または植物源の油類、および、半合成または合成油類である。
【0054】
動物源または植物源の油類は、しばしば、液状脂質であるか、または、グリセロールと脂肪酸のトリグリセリド、すなわち、脂質類を、その主要成分として含有する。ゆえに、以下に言及する油の幾つかは、用語「脂質」の元に先に説明しされている。
【0055】
本発明において用いられる動物源および/または植物源の好ましい油類は、ベニバナ油、大豆油、パーム油、アボカード油、パーム核油、トウモロコシ油、綿実油、ゴボウ種油、キャノーラ油、ボルゴオフィシャル種(borgo officialis seed)油、アブラナオレイフェラ(oleifera)油、ブレボリタ(brevoortia )油、牛脚油、キスツスランダニフェルス(ladaniferus)油、アブラヤシ油、ヤシ油、ヒマワリ油、ヒマシ油、マツ油、オリーブ油、落花生油、扁桃油、麦芽油、グレープシード油、アザミ油、マツヨイグサ油等である。
【0056】
好ましい鉱油は、より高い粘度のパラフィン油(白色鉱油)およびより低い粘度のパラフィン油(流動パラフィン(paraffinum perliquidum))等のパラフィン油である。
【0057】
好ましい半合成油は、動物源または植物源の植物油から抽出したものか、または、植物畑源から抽出したものである。これらは、化学的に修飾してもよい。好ましい例としては、スクアレンであり、サメ肝油、アマランス種、米ぬか、コムギ胚芽またはオリーブから得らうる化合物である。これは、化学的に修飾、例えば硬化(ペルヒドロスクアレン)されてもよい。好ましい合成油は、ペルフルオロポリエーテル類のようなフッ素油である。
【0058】
本発明の組成物において用いられる遊離脂肪酸は、室温、すなわち、約18℃〜約25℃の温度で、固体または液体であってもよい。好ましい遊離脂肪酸は、飽和および/または不飽和の分枝状および/または非分枝状の(3〜30の炭素原子の鎖長、より好ましくは12〜30の炭素原子の鎖長、最も好ましくは18〜26の炭素原子の鎖長の)脂肪酸(例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、エルカ酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸及びべベヘン酸)である。
【0059】
本発明の組成物において用いられる脂肪酸のエステルは、飽和および/または不飽和の分枝状および/または非分枝状の3〜30の炭素原子の鎖長の脂肪酸と、3〜9の炭素原子のような少ない数の炭素原子の直鎖状または分枝状のモノ、ジまたはポリアルコール(好ましくはイソプロパノール、n−ブタノール、ヘキサノール、n−オクタノール、イソオクタノール、エチルヘキサノール、イソノナノール、プロピレングリコールおよびグリセロール)とのエステルが好ましい。本発明の組成物において用いられる脂肪アルコールのエステルは、飽和および/または不飽和の分枝状および/または非分枝状の3〜30の炭素原子の鎖長の脂肪アルコールと、3〜9の炭素原子のような少ない数の炭素原子の直鎖状または分枝状のモノ、ジまたはポリカルボン酸とのエステルが好ましい。脂肪酸または脂肪アルコールのそのようなエステルの適切な例は、イソプロピルパルミテート、イソプロピルステアラート、n−ブチルステアラート、グリセリルステアラート、n−ヘキシルラウレート、イソオクチルステアラート、イソノニルステアラート、イソノニルイソノナンアート、2−エチルヘキシルパルミテート、2−ヘキシルデシルステアラートおよび2−オクチルドデシルパルミテートである。
【0060】
本発明の組成物において用いられる好ましい脂質担体は、脂質であり、より好ましくはグリセロールと、3つの同一または異なる飽和および/または不飽和の分枝状および/または非分枝状の6〜24、特に8〜18の炭素原子の鎖長の脂肪酸のトリグリセリドである。本発明の組成物において用いられる最も好ましい脂質担体は、トリカプリリン、トリヒドロキシステアリン、トリカプロイン、トリヘプタノイン、カプリル酸/カプリン酸/ココ(coco)グリセリド、カプリル酸/カプリン酸グリセリド、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸/リノール酸トリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸/ステアリン酸トリグリセリド(tryglicerides)、カプリル酸/カプリン酸/ラウリン酸トリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸トリグリセリドおよびカプリル酸/カプリン酸/コハク酸トリグリセリドである。
【0061】
少なくとも1つの脂質担体は、2〜25重量%、好ましくは2.5〜20重量%、より好ましくは5.0〜15重量%の範囲の割合で、本発明の組成物中に存在する。
【0062】
本発明の組成物は、1つ以上の乳化剤を含み、すなわち、本発明の組成物は、エマルジョンである。用語「乳化剤」には、乳化剤、共乳化剤および界面活性剤特性を有する剤を含む。用語「1以上」には、本発明の組成物が1つの乳化剤または幾つかの異なる乳化剤を含むことを意味する。
【0063】
本発明の組成物は、水中油型(O/W)エマルジョンであるのが好ましい。O/Wエマルジョンは、常に、消費者および化粧品販売業者/皮膚科医にとって、皮膚へのそのような製品の適用が容易になるような、偽塑性流れ挙動を有する、すなわち、そのようなO/Wエマルジョンは、消費者によって好まれる手触りを有する。
【0064】
従って、第2の観点から、本発明は、水中油型エマルジョンである組成物を提供し、その組成物は、以下を含む:
a)5−ALA、5−ALAの誘導体またはその皮膚適合性塩を2重量%またはそれ以下;
b)水を70重量%またはそれ以上;
c)少なくとも1つの脂質担体を2〜25重量%;および
d)1以上の水中油型乳化剤。
【0065】
好ましい実施形態において、前記乳化された粒子の大きさは、平均で、>200nm、好ましくは>500nm、すなわち、この組成物は、ナノエマルジョンまたはマイクロエマルジョンではない。
【0066】
従って、第3の観点から、本発明は、前記乳化された粒子の大きさは平均で、>200nm、好ましくは>500nmである水中油型エマルジョンである組成物を提供し、前記組成物は、以下を含む:
a)5−ALA、5−ALAの誘導体またはその皮膚適合性塩を2重量%またはそれ以下;
b)水を70重量%またはそれ以上;
c)少なくとも1つの脂質担体を2〜25重量%;および
d)1以上の水中油型乳化剤。
【0067】
本発明の組成物は、多少は液状、例えば、液体のエマルジョン、半液体、半固体粘度の柔らかさであってもよい。ゲル、クリーム、ローション、ミルクまたは液体の外観であってもよい。ローションとクリームが好ましい。
【0068】
本発明の組成物において用いられる1つ以上の乳化剤は、哺乳動物の皮膚、好ましくは人間の皮膚に対して用いる組成物の調製において用いられる通常のタイプの乳化剤のいずれであってもよい。好ましい実施形態において、本発明の組成物において1つ以上の乳化剤は、哺乳動物、好ましくは人間の、皮膚に対して用いられるO/Wエマルジョンの調製において用いられる通常のタイプの乳化剤のいずれでもよい。そのような乳化剤は、例えば、高いHLB乳化剤、好ましくはHLBが8〜18の乳化剤である非イオン性乳化剤を有する非イオン性、カチオン性、アニオン性およびベタイン化合物である。非イオン性またはカチオン性の乳化剤の使用が好ましく、非イオン性乳化剤とカチオン性乳化剤の組み合わせた使用がより好ましく、HLB値が8〜18の非イオン性乳化剤とカチオン性乳化剤の組み合わせた使用が好ましい。
【0069】
本発明の組成物において用いられる乳化剤は、合成、半合成または天然の化合物であってもよい。そのような化合物の具体的な例としては、アルモンダミド(almondamido)プロピルベタイン、アミノエチル硫酸、3−アミノプロパンスルホン酸、アルキル硫酸塩(例えば、アンモニウム塩および他の塩)、エトキシ化アルコール(パレンス(pareths))、コレステロールエステル、カルシウムリグニンスルホン酸および他のカルシウムスルホン酸塩、カルシウムミリステートおよび他のカルシウム脂肪酸塩、カプリン酸、カプロン酸(capronic acid)、カプリルス(capryleth)カルボン酸、ポリオキシエチレンエーテル(セテアレス(ceteareths))、例えば、セテアレス(ceteareth)-20、PEGアルキルエーテル(セテス(ceteths))、エトキシ化不飽和アルコール(セトレス(cetoleths))、脂肪アルコール、例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコールまたはその混合物(セテアリルアルコール)、エトキシ化ドコサノール(ベヘネス(beheneths))およびベヘントリモニウム塩(例えば、ベヘントリモニウムメトサルフェート)、エトキシ化コレステロール誘導体(クロレス(choleths))、コカミン(cocamine)およびコカミド(cocamides)、乳化ワックス、ジエタノールアミンアルキル硫酸塩(エステル)、DEA−オレス(oleth)−3 リン酸および類似のリン酸塩塩(エステル)、デセス(deceths)およびデセス(deceths)リン酸塩(エステル)、デキストリンラウレートおよび他のデキストリン脂肪酸エステル、ジナトリウムオレイルスルホコハク酸および他のスルホコハク酸塩(エステル)化合物、ドドキシノール(dodoxynols)、グリセレス(glucereth)ステアラート、グリセレス(glycereth)リン酸塩(エステル)、4級アンモニウム化合物、グリセリドクエン酸塩(エステル)およびリン酸塩(エステル)、ヒドロキシセチルリン酸塩(エステル)、イソステアレート(isosteareths)、エトキシ化ラノリンアルコール(ラネス(laneths))、ラノリンおよびラノリン誘導体、ラウリルアミド、エトキシ化ドデカノール(ラウレス(laureths))およびラウリルトリモニウム塩、マグネシウムラウレス硫酸塩(エステル)、メロキサポール(meroxapols)、メチルグルコースラウレート、メチルラウレート、ノノキシノール(nonoxynols)、オクトキシノール(octoxynols)、オクチルドデセス(dodeceths)、オレス(oleths)、パラミド(palmamides)、ポリエチレングリコール(PEG)の脂肪エステル(例えば、PEG−100ステアラート、PEG50−ステアラートおよびPEG 40−ステアラート)、PEGアミン、エトキシ化ヒマシ油および他のエトキシ化油および疎水性化合物、ポリオキサマー(polyoxamers)、ポリオキサミン(poloxamines)、ポリグリセリル-2-ジステレアラート(distrearate)および他のエステル、ステアレート(steareths)とソルベート(sorbeths)、ポリソルベート(polysorbates)(Tween)およびソルビタンのエステル(スパン(Span))である。
【0070】
好ましい実施形態において、非イオン性および/またはカチオン性の乳化剤を用い、より好ましい実施形態において、非イオン性乳化剤およびカチオン性乳化剤を用い、最も好ましい実施形態において、HLB値が8〜18の非イオン性乳化剤と、カチオン性乳化剤とを用いる。
【0071】
好ましい非イオン性乳化剤は、ポリソルベート、ポリオキシエチレンエーテル(セテアレス(ceteareths))(例えば、セテアレス(ceteareth)20)、脂肪アルコール(例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、またはその混合物(セテアリルアルコール)。
【0072】
好ましいカチオン性乳化剤は、ベヘニルトリモニウム塩、ラウリルトリモニウム塩、セトトリモニウム塩またはステアリルトリモニウム塩、好ましくはベヘントリモニウム塩(例えば、ベヘントリモニウムメトサルフェートまたはベヘントリモニウムクロライド)のような四級アンモニウム塩である。
【0073】
他の好ましい実施形態において、非イオン性乳化剤とカチオン性乳化剤の混合比は、1:1の範囲または、本発明の組成物における非イオン性乳化剤の量(重量%において)が、カチオン性乳化剤の量より多い。
【0074】
1つ以上の乳化剤が、0.5〜20重量%、好ましくは1〜15重量%、より好ましくは2〜12重量%の範囲の割合で、本発明の組成物中に存在する。
【0075】
本発明の組成物は、1以上の皮膚補助剤、すなわち、皮膚への使用のための組成物において通常用いられる補助剤、例えば、保存料、抗菌剤、芳香剤、色素、着色剤、染料、充填材、顔料、酸化防止剤、溶媒、粘度調節剤(例えば、濃化剤)および/またはpH調整剤/変性剤をさらに含んでもよい。皮膚補助剤は、当該分野において公知であり、化粧皮膚製品および医薬皮膚製品において通常用いられている皮膚補助剤は、本発明の組成物において用いてもよい。そのような皮膚補助剤は、本発明の組成物において、化粧皮膚製品および医薬皮膚製品において通常用いられている量で用いられてもよい。前記量は、多様であってもよく、例えば、約0.01〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%である。
【0076】
さらに、本発明の組成物は、1以上の美容剤または外皮用剤、たとえば、タンパク質もしくはその加水分解体、ペプチド、アミノ酸、糖、尿素、アラントイン、ヒアルロン酸、尿素、α−および/もしくはβ−ヒドロキシ酸、ビタミンもしくはその誘導体、レチノイド、セラミドまたは植物抽出物を含んでもよい。これらの様々な美容剤または外皮用剤は、典型的には約0〜10重量%、好ましくは0〜5重量%の濃度で用いられる。
【0077】
さらに、本発明の組成物は、1以上の表面浸透増強剤を含んでもよい。適切な表面浸透増強剤は、アミノポリカルボン酸(例えばEDTA、CDTA(シクロヘキサンジアミンテトラ酢酸)、DTPAおよびDOTA)ならびにそのよく知られた誘導体/類似体のようなキレート剤である。EDTAおよびDTPAは、特に好ましい。存在する場合、キレート剤は、通常0.05〜20%、例えば0.1〜10重量%の濃度で用いられてもよい。他の表面浸透増強剤(例えばジアルキルスルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)))、界面活性剤、胆汁酸塩および脂肪酸(例えば、オレイン酸)も、存在してもよい。適切な表面浸透補助剤の例には、イソプロパノール、DMSOおよび他のジアルキルスルホキシド、特にn−デシルメチル−スルホキシド(NDMS)、ジメチルスルファセタミド(sulphacetamide)、ジチルホルムアミド(DMFA)、ジメチルアセトアミド、グリコール、様々ナピロリドン誘導体(Woodfordら, J. Toxicol. Cut. & Ocular Toxicology, 1986, 5: 167-177)およびアゾン(Azone)(登録商標)(Stoughtonら、Drug Dpv. Ind. Pharm. 1983, 9: 725-744)またはこれらの混合物を含む。表面浸透剤は、通常0.2〜20重量%、例えば約1〜10重量%の濃度範囲で用いられる。
【0078】
上記のように、このような表面浸透増強剤は、本発明の組成物中に含まれてもよい。または、これらは、組成物が皮膚に投与される前または後に、共に投与されてもよい。
【0079】
本発明の組成物のpHは、好ましくは4〜6の範囲、より好ましくは4〜5の範囲に維持される。これは、適切なpH変性剤(例えば、緩衝薬または、直接もしくは間接的にpHを維持する成分)を用いることにより、達成される。適切な緩衝薬は、皮膚製品、すなわち医薬製品または化粧製品において通常用いられているものであり、例えば、緩衝薬は、化粧品の国際専門語(International Nomenclature of Cosmetics、INCI)リストにおいて見出すことができる。
【0080】
本発明の組成物は、すばらしい保存寿命を示し、これは、5−ALAの誘導体と直接もしくは間接的に反応するか、または、5−ALAの誘導体の分解を触媒する成分全ての存在を最小限にする(例えば除外する)ことにより、さらに増強することができる。そのような成分には、例えば、鉄化合物のような金属化合物が含まれる。理想的には、そのような成分は、ここに記載する組成物には含まれない。しかしながら、存在する場合、その量は最小限であるべきであり、例えば0.5重量%未満、好ましくは0.3重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満である。その組成物は、鉄化合物を実質的に含まないのが好ましい。
【0081】
本発明の組成物は、成分を単に混合することにより、通常製造できる。
【0082】
好ましい実施形態において、水A相および脂質B相は、室温で混ぜ合わされる。固体または半固体成分、すなわち、脂質または乳化剤または補助剤等の場合、A相と脂質B相は、固体または半固体成分を溶融させるために、高い温度で、好ましくは70〜90℃で、より好ましくは75〜85℃で、混ぜ合わせられる。他のより好ましい実施形態において、A相とB相は、それぞれ、高い温度、好ましくは70〜90℃、またはより好ましくは75〜85℃まで加熱し、その後、混ぜ合わされる。A相とB相を混ぜ合わせることは、混合および/または攪拌により通常、促進される。脂質B相は、脂質担体と、好ましくは1つ以上の乳化剤を含む。適切には、脂質B相は、前記脂質相において、不混和性、分散性または溶解性である、そのような補助剤または美容剤もしくは皮用剤を、さらに含んでもよい。水A相は、水を含有し、前記水相において、不混和性、分散性または溶解性である、そのような補助剤または美容剤もしくは皮用剤を、さらに含んでもよい。水A相は、さらに、5−ALAの誘導体またはその皮膚適合性塩を含んでもよい。別の好ましい実施形態において、5−ALAの誘導体またはその皮膚適合性塩は、固体として、混ぜ合わされ、任意に冷却されたA相およびB相に添加される。任意の補助剤または美容剤または外皮用剤は、混ぜ合わされ、任意に冷却されたA相およびB相に添加されても好ましい。
【0083】
別の好ましい実施形態において、脂質D相とC相とは、室温で混ぜ合わされる。脂質D相は、脂質担体または、その一部のみと、5−ALAの誘導体またはその皮膚適合性塩を含むのが好ましい。C相は、組成物の残りを含む。C相を調製するために、水A相は、上記のようにして上記の成分を含有するように調製する。前記水A相は、脂質担体を含まないか、ほんの一部のみと、好ましくは1つ以上の乳化剤を含む脂質B*相と混ぜ合わせられる。適切には、脂質B*相は、前記脂質B*相において不混和性、分散性または溶解性である、そのような補助剤または美容剤もしくは皮用剤を、さらに含んでもよい。固体または半固体の成分の場合、A相およびB*相は、各々、高い温度、好ましくは70〜90℃、またはより好ましくは75〜85℃まで加熱され、その後、混ぜ合わされるのが好ましい。C相を調製するため、A相およびB*相を、通常、混合または攪拌する。
【0084】
本発明の組成物は、皮膚製品のために通常用いられる容器、例えば、チューブ、広口瓶、瓶、箱、ポット、ディスペンサー等中に、通常、提供される。そのような容器は、組成物の複数の「用量」、すなわち、皮膚へ複数回適用するのに充分な組成物の量を含む。または、好ましくは、組成物は、1回の「用量」、すなわち、サシェット、小チューブ、ブリスターパックまたは瓶等中に、皮膚への1回の適用に適した組成物の量を含んで提供される。組成物は、好ましくは、室温で長い保存寿命を有し、すなわち、少なくとも1ヶ月、好ましくは少なくとも6ヶ月、より好ましくは1年、さらにより好ましくは2年までの間にわたって、変色または成分の分離のような(分解)外観の変化を示さない。
【0085】
別の好ましい実施形態において、組成物の成分および/または幾つかの成分の混合物が、複数区画容器中に満たされ、組成物は、その場で、様々な成分またはその混合物を混ぜ合わせて混合することにより、皮膚へ用いられる前に調製される。さらに好ましい実施形態において、前記複数区画容器は、組成物の単一の「用量」、すなわち、皮膚への1回の適用に適した量を含む。複数区画容器は、室温で製品の保存寿命を特に長くすることができる。
【0086】
そのような実施形態において、複数区画容器は、5−ALAの誘導体またはその皮膚適合性塩を乾燥、固体成分として含む第1の区画と、組成物の残り、すなわち、水、少なくとも1つの脂質担体、1つ以上の乳化剤および任意に補助剤、美容剤もしくは外皮用剤または表面浸透増強剤を含む第2の区画を含む2区画容器である。他のそのような実施形態において、複数区画容器は、少なくとも1つの脂質担体中に溶解、分散または混合させた、5−ALAの誘導体または皮膚適合性塩と任意に、1つ以上の乳化剤を含む第1の区画と、水および任意に1つ以上の乳化剤を含む第2の区画とを含む2区画容器である。最終的な本発明の組成物中に存在する補助剤、美容剤もしくは外皮用剤または表面浸透増強剤はいずれも、前記補助剤、美容剤もしくは外皮用剤または表面浸透増強剤が、安定性、混和性および親和性の観点から、前記区画に含まれているほかの成分と、最も適合する区画に含まれる。好ましい実施形態において、複数区画容器は、少なくとも1つの脂質担体中に溶解、分散または混合させた、5−ALAの誘導体またはその皮膚適合性塩を含む第1の区画と、組成物の残り、すなわち、水、1つ以上の乳化剤および任意に補助剤、美容剤もしくは外皮用剤または表面浸透増強剤を含む第2の区画を含む2区画容器である。
【0087】
別のそのような実施形態において、複数区画容器は、5−ALAの誘導体またはその皮膚適合性塩を乾燥、固体成分として含む第1の区画、少なくとも1つの脂質担体と、任意に、しかし好ましくは、1つ以上の乳化剤とを含む第2の区画、および水および任意に、しかし、好ましくはなく、1つ以上の乳化剤を含む第3の区画を含む3区画容器である。再度、最終的な本発明の組成物中に存在する補助剤、美容剤もしくは外皮用剤または表面浸透増強剤は、前記補助剤、美容剤もしくは外皮用剤または表面浸透増強剤が、安定性、混和性および親和性の観点から、前記区画に含まれているほかの成分と、最も適合する区画に含まれる。
【0088】
ある実施形態において、複数区画容器の様々な区画の内容物は、例えば、前記容器からの内容物をボウルまたは広口瓶中に注ぎ、それを例えば、スパチェラ等の助けを借りて、混合することにより、容器の外で一緒に混合される。好ましい実施形態において、複数区画容器の様々な区画の内容物は、そのままの状態の容器で、容器の内部で一緒に混合される。これは、例えば、区画を互いに分けるもろいシールを有することにより、例えば、そのようなシールに圧力を与えることにより、壊れるシールの材料を選択することにより、達成することができる。外環境から内容物を離す容器の材料は、もちろん、壊れるものであってはならない。好ましい実施形態において、着色剤(色添加剤)または染料は、区画の1つに加える。そのような着色剤または染料は、そのようにして混合した組成物を皮膚に適用する前に、容器の内容物が適切に混合されたかどうか、消費者が決定するための視覚的指標として機能する。好ましい実施形態において、容器は、容器と、取り扱い説明付き添付文書とを含む製品として、市場で売買される。前記添付文書は、好ましくは、適切な混合組成物の色を示し、消費者がその組成物を適切に混合したかどうかを確認できるためのカラースケールを含む。組成物において用いることができる着色剤および染料は、本発明の組成物の成分と親和性であり、かつ、医薬皮膚製品または化粧皮膚製品のような皮膚製品において通常用いられるようなものである。そのような着色剤および染料は、当該分野で公知であり、例えば、21C.F.R.パート73および74に挙げられた色添加剤を含む。容器は、ディスペンサーエンドピースと、除去可能なキャップとを含んでもよく、これにより、容器から最終組成物を分散させることができる。または、容器は、区画を外部環境からシールするフォイルを含んでもよい。これは、容器の内部で区画の内容物が一緒に混合された後に除去してもよい。
【0089】
本発明の別の観点は、第1の区画と第2の区画を含む容器であり、この第1の区画は、5−ALAの誘導体またはその皮膚適合性塩と少なくとも1つの脂質担体とを含み、この第2の区画は、水、1つ以上の乳化剤および任意に少なくとも1つの脂質担体とを含み、本発明の組成物は、第1の区画と第2の区画の内容物を混合することにより、好ましくは、前記第1の区画と前記第2の区画とを、容器の内部で容器の残りはそのままで、混合することにより、得られる。
【0090】
従って、別の観点において、本発明は、第1の区画と第2の区画とを含む容器を提供する。前記第1の区画は、5−ALAの誘導体またはその皮膚適合性塩と、少なくとも1つの脂質担体とを含み、前記第2の区画は、水、1つ以上の乳化剤および任意に少なくとも1つの脂質担体とを含み、前記第1の区画と第2の区画の内容物を混合することにより得られる組成物は、以下を含む:
a)前記5−ALAの誘導体またはその皮膚適合性塩を2重量%またはそれ以下:
b)水を70重量%またはそれ以上;
c)前記少なくとも1つの脂質担体を2〜25重量%;および
d)前記乳化剤を1つ以上。
【0091】
好ましい実施形態において、前記第1の区画と、任意に第2の区画における、少なくとも1つの脂質担体は、同一である。
【0092】
本発明による容器の前記第1の区画および/または前記第2の区画は、前記のような1以上の皮膚補助剤(例えば、保存料、抗菌剤、芳香剤、色素、着色剤、染料、充填材、顔料、酸化防止剤、溶媒、粘度調節剤および/またはpH調整剤/変性剤)をさらに含んでもよい。
【0093】
さらに、本発明の容器の第1の区画および/または第2の区画は、前記のような1以上の美容剤または外皮用剤(例えば、タンパク質またはその加水分解体、ペプチド、アミノ酸、糖、尿素、アラントイン、ヒアルロン酸、尿素、α−および/またはβ−ヒドロキシ酸、ビタミンまたはその誘導体、レチノイド、セラミドまたは植物抽出物)をさらに含んでもよい。
【0094】
さらに、本発明の容器の第1の区画および/または第2の区画は、前記のような1以上の表面浸透増強剤を含んでもよい。
【0095】
好ましい実施形態において、本発明の容器の第2の区画のみが、1以上の皮膚補助剤および/または1以上の美容剤または外皮用剤および/または1以上の表面浸透増強剤を含んでもよい。
【0096】
本発明の組成物は、対象の皮膚、好ましくは人間の皮膚に適用される。組成物は、好ましくは、顔面に適用されるが、首、胸、腕、足または手のような、他の領域にも適用してもよい。組成物の粘度に応じて、これは、指を用いて行うことができる。または、皮膚製品を適用するのに公知の適用材、例えば、スプレー、パッドまたはスパチェラ等を用いて行ってもよい。対象の皮膚は、好ましくは本発明の組成物を適用前に、例えば、石鹸を用いて洗浄し、次いで、水でゆすぐことにより、清浄される。
【0097】
本発明の組成物は、所望の化粧的効果を達成するのに充分な照射、すなわち、光への暴露と併用して用いられることを、通常意図している。用語「光処置」は、最も通常の意味でここで用いられ、対象の標的皮膚表面の照射、すなわち、前記標的皮膚表面を光に晒すことを意味する。
【0098】
光処置が、特定または通常の人工の光源を用いておこなうことができる一方、天然の光源(例えば昼光または日光)への暴露により達成することもできる;その入手容易性のため、天然光源または、人工の日光、すなわち、UVからIRまでの全体の範囲を生じる光源の使用は、本発明の特に好ましい観点を示す。天然の昼光または日光の強度は照射の間、変化するので、必要であれば、対象が天然の昼光または日光から受け取る光線量は、持ち運び可能な光度計を用いることにより容易にモニターすることができる。その光度計は、例えばインターナショナル・ライト・テクノロジーズ(International Light Technologies)から市販で入手できる。これらの光度計は、全体の光線量をモニターし、ユーザーに、所望の光線量に達した際に信号を出す。
【0099】
用いることができる特定の人工光源は、当該分野でよく知られており、皮膚科の光処置において通常のランプ、例えば、LEDランプシステム、レーザー、および強力なパルス光を含む。そのような特定の人工光源を用いることにより、照射に用いる光の波長は、より効果的な美容的処置効果を達成するために選択することができる。最も効果的な光は、300〜800nm、典型的には400〜700nmの波長の光である。組織への光の浸透は、用いる波長により左右され、青光より赤光のほうが深くなる。赤光領域の波長は、例えば、630〜690nmであり、青光領域の波長は、例えば、390〜490nmであるのが、特に好ましい。
【0100】
通常の人工光源での光処置は、好ましい実施形態であり、通常の家庭またはオフィスでの光も用いることができる。
【0101】
光処置の間、光は、通常、0.1〜100J/cm2、好ましくは5〜50J/cm2、より好ましくは10〜40J/cm2の線量レベルで、適用される。3〜100mW/cm2、好ましくは5〜80mW/cm2、より好ましくは10〜70mW/cm2の放射照度(光強度)を用いてもよい。
【0102】
照射の持続時間は、5−ALAの誘導体またはその皮膚適合性塩の性質および濃度、本発明の組成物の性質、光源(光線量および放射照度)、および皮膚の老化の強度を含む、様々な因子により変化する。特定な人工光源での照射は、好ましくは約5〜60分間、より好ましくは約5〜30分間、最も好ましくは7.5〜15分間の間、行う。特定の人工光源からの1回の照射を用いるのが好ましい;または、光分割線量(光線量が、多数の画分で届けられる、例えば、照射の間を1〜10分)を用いてもよい。顔面皮膚を特定の人工光源(例えば、レーザーまたはLEDランプシステム)で照射している間、対象は、適切な目保護、例えばゴーグルを装着するのが好ましい。照射が天然光または通常の人工光に暴露することにより行われる場合、標的皮膚領域は、前記天然光または通常の人工光に、好ましくは2〜4時間、例えば、2.5〜3時間、晒される。
【0103】
組成物は、対象の皮膚に投与され、特定の時間、処置される皮膚が、光に晒される前に、所望の化粧効果を達成できるよう、経過される。光に晒す前に、組成物は、例えば、皮膚を石鹸で洗浄し、ついで水でゆすぐことにより、皮膚から除去してもよい。投与後、光暴露が起こるまでの時間(インキュベーション時間)は、組成物の性質、および5−ALAの誘導体またはその皮膚適合性塩の性質に通常、左右される。通常、インキュベーション時間は、6時間以下である。しかしながら、好ましくは、2時間未満である。さらにより好ましくは、インキュベーション時間は、0〜90分、例えば5〜90分、好ましくは30〜90分、より好ましくは10〜60分である。本発明の一つの観点において、光暴露は、組成物の適用後すぐに有効であり得、すなわち、インキュベーション時間は、分の単位であり、例えば10分以下、より好ましくは5分以下であり、または投与と光処置が同時に起こる場合、ゼロで有効である。
【0104】
方法および組成物の使用において、複数の処置、例えば、毎日、毎週または毎月の処置を行ってもよい。処置頻度は、例えば(光)老化のレベル、組成物の性質および光処置の性質によって、非常に多様に異なる。
【0105】
ゆえに、1つの実施形態において、組成物を毎日適用し、光処置を天然の光源(例えば昼光または日光)または通常の人工光源(例えば、家の光またはオフィスの光)に晒すことにより行う。そのような風に用いられる組成物は、また、日焼け止め(例えば、物理的および化学的なUVA/UVB−フィルターを、日中のクリームやローションにおいて通常の量)を含んでもよく、または、皮膚製剤で通常用いられる顔料および着色加湿剤も含んでもよい。
【0106】
他の実施形態において、組成物は、合計で1〜5回、好ましくは2〜4回、1月に1回、すなわち、処置の間の期間が1ヶ月であり、光処置は、通常の人工光源(例えば、家の光またはオフィスの光)に晒すことにより、または、特定の人工光源(例えば、LEDランプシステム、レーザーまたは強力パルス光)に晒すことにより適用される。上記処置を行った後、対象は、好ましくはそのような処置の後、最初の24時間中、その皮膚を太陽に晒さないよう保護すべきである。これは、日焼け止めおよび帽子(顔面処置の場合)、手袋(手処置の場合)、長いズボンまたは長袖(脚および腕処置の場合)またはスカーフ(首処置の場合)のような保護複を用いることにより達成できるであろう。
【0107】
ゆえに、本発明の別の観点は、対象、好ましくは人間に行う美容的処置の方法であり、前記方法は、以下の工程を含む:
(i)
a)5−ALA、5−ALAの誘導体またはその皮膚適合性塩を2重量%またはそれ以下;
b)水を70重量%またはそれ以上;
c)少なくとも1つの脂質担体を2〜25重量%;および
d)1つ以上の乳化剤
を含む組成物を、前記対象の皮膚に投与し;
(ii)任意に、一定期間待ち;
(iii)任意に、前記組成物を前記皮膚から除去し;および
(iv)前記皮膚を光にさらす。
【0108】
好ましい実施形態において、前記美容的処置は、カラスの足跡、暗色円、細かい線および/またはしわといった外観を低減するため、細孔径の低減のため、および皮膚堅さおよび弾力性の向上のためのものである。
【0109】
工程(i)から(iv)の好ましい実施形態は、前記において説明した。
【0110】
本発明の組成物は、公知の抗老化または抗しわ剤を含む他の化粧製品または医薬製品と共に用いてもよい。そのような他の化粧製品または医薬製品は、一緒に投与してもよく、または、好ましくは、明細書中に記載の組成物での処置の後に投与される。本発明の組成物はまた、他の化粧的および/または治療的な方法と組み合わせて用いてもよい。その方法は、(光)老化皮膚の処置において用いられ、(例えば、ケミカルピーリング、マイクロ皮膚擦傷法またはボトックス(Botox)(登録商標)もしくは充填材のような化粧的注射可能物)文献において知られ、記載されている。
【0111】
組成物は、製品の形態で市販で入手可能に存在してもよい。
【0112】
従って、さらなる観点から、本発明は、
a)5−ALA、5−ALAの誘導体またはその皮膚適合性塩を2重量%またはそれ以下;
b)水を70重量%またはそれ以上;
c)少なくとも1つの脂質担体を2〜25重量%;
d)1つ以上の乳化剤;および
e)組成物の使用のための指示書
を含む製品を提供する。
【0113】
さらなる観点から、本発明は、第1の区画と第2の区画を含む容器を提供する。前記第1の区画は、5−ALAの誘導体またはその皮膚適合性塩と、少なくとも1つの脂質担体とを含み、前記第2の区画は、水、1つ以上の乳化剤および、任意に少なくとも1つの脂質担体とを含み、前記第1の区画と第2の区画の内容物を混合して得られる組成物は、
a)前記5−ALAの誘導体またはその皮膚適合性塩を2重量%またはそれ以下;
b)水を70重量%またはそれ以上;
c)前記少なくとも1つの脂質担体を2〜25重量%;
d)前記1つ以上の乳化剤;および
e)前記容器の使用のための指示書
を含む。
【0114】
組成物または容器の使用のためのそのような指示書は、例えば、外側の段ボール箱(たとえば、箱)上に印刷されてもよい。または、もしくは、さらに、これらは、本発明の組成物を含む内部容器、例えば広口瓶、瓶、チューブ等の上に印刷されてもよいし、または、添付文書の形態で備えられてもよい。好ましい実施形態において、前記内部容器は、本発明の容器である。
【0115】
好ましくは、本発明の製品中に存在する指示書は、(i)本発明の組成物を皮膚へ、すなわち、作用を意図する部位の皮膚へ、投与すること、および(ii)その部位を光へさらすことを、説明する。別の実施形態において、本発明の製品中に存在する指示書は、(i) 本発明の組成物を皮膚へ、すなわち、作用を意図する部位の皮膚へ、投与すること、(ii)一定の期間待つこと(インキュベーション期間)、(iii)任意に、前記部位から組成物を除去すること、および(iv) その部位を光へさらすことを説明する。別の実施形態において製品が前記容器を含有する場合、本発明の製品中に存在する指示書は、前記容器中に含まれる区画の内容物を含有する工程をさらに説明する。
【0116】
ここに説明する組成物は、化粧製品としての使用に適する。しかしながら、他の観点において、この組成物は、組成物の効果が望まれている皮膚症状または皮膚疾患の治療的処置において用いてもよい。例として、酒さ(rosacea)は、顔面の紅斑を特徴とする慢性症状であり、紅斑は、典型的には、顔面の中央から始まり、頬、鼻または額に広がり、しかし、首、胸、耳および頭皮には通常、影響が少ない。いくつかの場合、更なる症状、たとえば半永久の 赤み、毛細血管拡張症(顔面の表面の血管の拡張)、赤半球状丘疹(小さな突起)および膿疱、赤いごろごろした目、焼けおよび辛辣な感覚、および、さらに進行した場合、赤い分葉状鼻(鼻瘤)も発生する。酒さの処置は、その重篤さとサブタイプに応じて、患者ごとに異なる。軽度な場合、しばしば、全く処置されないか、または、単に通常の化粧品でカバーされる。酒さ処置の2つのおもな手順は、局所および経口の抗生物質である。酒さの処置のための療法は、治癒的なものではなく、紅斑および炎症性病変の量を減らし、炎症ならびにかゆみ、焼けおよび圧痛の付随する症状の数、持続時間および強度を低下させる観点から、最も、計画されたものである。症状が進行すると、突き出した大きな顔面の孔が進行しうる。本発明の組成物は、細孔径を著しく低下させる組成物の能力のため、このような突き出した大きな顔面の孔の処置に用いることができる。この組成物は、したがって、酒さの処置において、単独または他の医薬品と組み合わせて、たとえば、局所または経口の抗生物質と組み合わせて、用いることができる。
【0117】
ゆえに、本発明の別の観点は、皮膚症状または皮膚疾患、好ましくは酒さの、対象、好ましくは人間に行われる治療的処置の方法であり、前記方法は、以下の工程を含む:
(i)
a)5−ALA、5−ALAの誘導体またはその皮膚適合性塩を2重量%またはそれ以下;
b)水を70重量%またはそれ以上;
c)少なくとも1つの脂質担体を2〜25重量%;および
d)1つ以上の乳化剤
を含む組成物を、前記対象の皮膚へ投与し
(ii)任意に、一定期間待ち;
(iii)任意に、前記組成物を前記皮膚から除去し;および
(iv)前記皮膚を光にさらす。
【0118】
さらに本発明の別の観点は、皮膚症状または皮膚疾患の治療的処置の方法、好ましくは、酒さの治療的処置の方法における、
a)5−ALA、5−ALAの誘導体またはその皮膚適合性塩を2重量%またはそれ以下;
b)水を70重量%またはそれ以上;
c)少なくとも1つの脂質担体を2〜25重量%;および
d)1つ以上の乳化剤
を含む組成物の使用である。
【0119】
本発明のさらに別の観点は、皮膚症状または皮膚疾患の治療的処置における使用、好ましくは、酒さの治療的処置における使用のための、
a)5−ALA、5−ALAの誘導体またはその皮膚適合性塩を2重量%またはそれ以下;
b)水を70重量%またはそれ以上;
c)少なくとも1つの脂質担体を2〜25重量%;および
d)1つ以上の乳化剤
を含む組成物である。
【0120】
皮膚症状または皮膚疾患の治療的処置、好ましくは酒さの治療的処置は、以下の工程を含む:
(i)
a)5−ALA、5−ALAの誘導体またはその皮膚適合性塩を2重量%またはそれ以下;
b)水を70重量%またはそれ以上;
c)少なくとも1つの脂質担体を2〜25重量%;および
d)1つ以上の乳化剤
を含む組成物を、前記対象の皮膚へ投与し;
(ii)任意に、一定期間待ち;
(iii)任意に、前記組成物を前記皮膚から除去し;および
(iv)前記皮膚を光にさらす。
【0121】
さらに本発明の別の観点は、皮膚症状または皮膚疾患の治療的処置の方法、好ましくは、酒さの治療的処置の方法における、第1の区画と第2の区画を含む容器の使用であって、前記第1の区画は、5−ALAの誘導体またはその皮膚適合性塩と、少なくとも1つの脂質担体とを含み、前記第2の区画は、水、1つ以上の乳化剤および任意に少なくとも1つの脂質担体を含み、前記第1の区画と前記第2の区画の内容物を混合することにより得られる組成物が、
a)前記5−ALAの誘導体またはその皮膚適合性塩を2重量%またはそれ以下;
b)水を70重量%またはそれ以上;
c)前記少なくとも1つの脂質担体を2〜25重量%;および
d)前記1つ以上の乳化剤
を含む。
【0122】
さらに本発明の別の観点は、皮膚症状または皮膚疾患の治療的処置における使用、好ましくは、酒さの治療的処置における使用のための、第1の区画と第2の区画を含む容器であって、前記第1の区画は、5−ALAの誘導体またはその皮膚適合性塩と、少なくとも1つの脂質担体とを含み、前記第2の区画は、水、1つ以上の乳化剤および任意に少なくとも1つの脂質担体を含み、前記第1の区画と前記第2の区画の内容物を混合することにより得られる組成が、
a)前記5−ALAの誘導体またはその皮膚適合性塩を2重量%またはそれ以下;
b)水を70重量%またはそれ以上;
c)前記少なくとも1つの脂質担体を2〜25重量%;および
d)前記1つ以上の乳化剤
を含む。
【0123】
さらに本発明の別の観点は、
a)5−ALA、5−ALAの誘導体またはその皮膚適合性塩を2重量%またはそれ以下;
b)水を70重量%またはそれ以上;
c)少なくとも1つの脂質担体を2〜25重量%;
d)1つ以上の乳化剤;および
e)組成物の使用のための指示書
を含む組成物を含む製品の、皮膚症状または皮膚疾患の治療的処置の方法における、好ましくは、酒さの治療的処置の方法における使用である。
【0124】
さらに本発明の別の観点は、皮膚症状または皮膚疾患の治療的処置、好ましくは、酒さの治療的処置における、
a)5−ALA、5−ALAの誘導体またはその皮膚適合性塩を2重量%またはそれ以下;
b)水を70重量%またはそれ以上;
c)少なくとも1つの脂質担体を2〜25重量%;
d)1つ以上の乳化剤;および
e)組成物の使用のための指示書
を含む組成物を含む製品である。
【0125】
さらに本発明の別の観点は、皮膚症状または皮膚疾患の治療的処置の方法、好ましくは、酒さの治療的処置の方法における、第1の区画と第2の区画とを含む容器を含む製品の使用であって、前記第1の区画は、5−ALAの誘導体またはその皮膚適合性塩と、少なくとも1つの脂質担体とを含み、前記第2の区画は、水、1つ以上の乳化剤と、任意に少なくとも1つの脂質担体とを含み、前記第1の区画と前記第2の区画の内容物を混合することにより得られる組成物が、
a)前記5−ALAの誘導体またはその皮膚適合性塩を2重量%またはそれ以下;
b)水を70重量%またはそれ以上;
c)前記少なくとも1つの脂質担体を2〜25重量%;
d)前記1つ以上の乳化剤;および
e)前記容器の使用のための指示書
を含む。
【0126】
さらに本発明の別の観点は、皮膚症状または皮膚疾患の治療的処置における、好ましくは、酒さの治療的処置における、第1の区画と第2の区画とを含む容器を含む製品であって、前記第1の区画は、5−ALAの誘導体またはその皮膚適合性塩と、少なくとも1つの脂質担体とを含み、前記第2の区画は、水、1つ以上の乳化剤と、任意に少なくとも1つの脂質担体とを含み、前記第1の区画と前記第2の区画の内容物を混合することにより得られる組成物が、
a)前記5−ALAの誘導体またはその皮膚適合性塩を2重量%またはそれ以下;
b)水を70重量%またはそれ以上;
c)前記少なくとも1つの脂質担体を2〜25重量%;
d)前記1つ以上の乳化剤;および
e)前記容器の使用のための指示書
を含む。
【0127】
本発明は、以下の非限定的な実施例を用いて、より詳細に説明する。
【0128】
[実施例1] 本発明の組成物の製造
以下の水中油型エマルジョンを以下に従い、製造した。
【0129】
水A相を、水を80〜85℃に加熱し、任意に他のA相成分を添加し、混合物を均質化することにより製造した。脂質B相は、別々の容器中に成分を集め、合わせた成分を80〜85℃まで加熱し、固体が溶融するまで加熱することにより製造した。B相をA相に添加し、均一になるまで混合し、混合しながら35℃まで冷却した。C成分を混合下に添加し、均質になるまで良好に攪拌し、均質な混合物を得た。混合物を25℃まで冷却し、D成分を添加して、混合物を均質になるまで混合した。
【0130】
調製した組成物1〜3を広口瓶中に満たし、組成物4ディスペンサー中に満たした。
【0131】
<組成物1(a)−1(d)>
5−ALAn−ヘキシルエステル塩酸塩(HAL HCl)を、0.1重量%(a)、0.5重量%(b)、1重量%(c)および2重量%(d)の濃度で含むクリーム
【0132】
【表1】

【0133】
<組成物2(a)−2(c)>
5−ALA n−ヘキシルエステル塩酸塩(HAL HCl)を0.1重量%(a)、0.5重量%(b)、および1重量%(c)の濃度で含むクリーム
【0134】
【表2】

【0135】
<組成物3>
5−ALA n−ヘキシル エステル塩酸塩(HAL HCl)を0.5重量%の濃度で含むクリーム
【0136】
【表3】

【0137】
<組成物4>
5−ALA n−ヘキシルエステル塩酸塩(HAL HCl)を0.5重量%の濃度で含むローション
【0138】
【表4】

【0139】
[実施例2]本発明の組成物の製造
以下の水中油型エマルジョンを以下のようにして製造した。
【0140】
<C相>
A相とB*相を、別々に製造して、あわせてC相にした。
A相は、水を80〜85℃に加熱し、粘度調節剤を添加し、その混合物を均質して製造した。B*相は、べつべつの容器中に成分をあわせ、合わせた成分を80〜85℃に加熱し、固体が溶融するまで混合して製造した。B*相をA相に添加し、均質になるまで混合し、混合しながら35℃まで冷却した。C成分を混合下に添加し、均質になるまで良好に攪拌し、均質な混合物を得た。
【0141】
<脂質D相>
HAL HClを脂質担体中に懸濁させた。
【0142】
C相とD相を第1の大きな区画と第2の小さな区画を有し、これらは互いに壊れ易いプラスチックシールにより区切られており、さらに、除去可能なチップを含む2区画容器のの両区画中に満たした。1.83gのC相を、2区画容器の大きな区画中に満たし、0.177gのD相を2区画容器の小さな区画中に満たした。両方の相を完全な状態の2区画容器の内部で混合し、本発明の組成物を得た:圧力が大きな区画に作用し、その結果、シールを壊し、C相が大きな区画から小さな区画へ追い出された。2相は、組成物を区画の間を前後に行ったり来たり押し出すことにより、混合した。このようにして得られた組成物を、チップを除去することにより容器から除いた。このようにして得られた組成物の量(2g)は、顔面の1回の処理に適していた。
【0143】
<組成物5>
5−ALA n−ヘキシルエステル塩酸塩(HAL HCl)を0.5重量%の濃度で含むクリーム
【0144】
【表5】

【0145】
【表6】

【0146】
【表7】

【0147】
<組成物6>
5−ALA n−ヘキシル エステル塩酸塩(HAL HCl)を0.5重量%の濃度で含むローション
【0148】
【表8】

【0149】
【表9】

【0150】
【表10】

【0151】
[実施例3]本発明の組成物の安定性
0.5%HAL HClを含むクリームである5gの組成物2(b)を、実施例1に記載のようにして製造した。
【0152】
0.5%HAL HClを含む5gの比較組成物を、HAL HClをウングエンタム(Unguentum)M(登録商標)(Almirall Ltd, UK)と混合して製造した。製造者の情報に従えば、ウングエンタム(Unguentum)M(登録商標)は、コロイド無水シリカ0.1%、流動パラフィン3%、白色軟質パラフィン32%、セトステアリルアルコール9%、ポリソルベート40を6%、グリセロールモノステアラート3%、中鎖トリグリセリド2%、ソルビン酸0.2%、プロピレングリコール5%および水(100%になるまで適量、すなわち、約39.7%)を含むクリーム剤である。
【0153】
製造したばかりの両組成物は、白色であった。各組成物を2つの等重量に分け、20mlのネジ蓋バイアルへ移した。サンプル1セットを室温に維持し、他を37℃で維持した。サンプルの視覚的外観を、5日目と28日目に評価した。
【0154】
【表11】

【0155】
変色が、HAL HCl濃度に左右されるかどうかを評価するため、5gの組成物7(3%のHAL HClを含むクリーム)を実施例1において記載したようにして製造し、3%のHAL HClを含む5gの比較化粧組成物を、ウングエンタム(Unguentum)M(登録商標)とHAL HClを混合することにより調製した。
【0156】
<組成物7>
【0157】
【表12】

【0158】
製造したばかりの両組成物は、白色であった。各組成物を2つの等重量に分け、20mlのネジ蓋バイアルへ移した。サンプル1セットを室温に維持し、他を37℃で維持した。サンプルの視覚的外観を、5日目と28日目に評価した。
【0159】
【表13】

【0160】
上記データから、HAL HClを2重量%またはそれ以下含む本発明の組成物が安定であることが予想できる。すなわち、これらの視覚的外観と色は、少なくとも4週間の間室温で維持される。これは化粧製品の非常に重要な観点である。取り扱い業者や消費者に冷保管が受け入れられている医薬品とは異なり、化粧製品は、室温で安定である、すなわち、崩壊および/または変色の印を示すことなく、適当な保存寿命を有する必要がある。
【0161】
[実施例4]本発明の組成物の安定性
水中油型エマルジョン組成物8(a)−(c)〜12(a)−(c)を実施例1に記載のように製造した。
【0162】
<組成物8(a)−8(c)>
8(a):5−ALA メチルエステルメタンスルホン酸塩(MAL MES)を0.5重量%の濃度で含む;
8(b):5−ALA n−ヘキシルエステルナプシル酸塩(HAL NAPS)を0.5重量%の濃度で含む;
8(c):5−ALA n−ヘキシル エステル塩酸塩(HAL HCl)を0.5重量%の濃度で含む。
【0163】
【表14】

【0164】
<組成物9(a)−9(c)>
9(a): 5−ALAメチルエステルメタンスルホン酸塩(MAL MES)を0.5重量%の濃度で含む;
9(b):5−ALA n−ヘキシルエステルナプシル酸塩(HAL NAPS)を0.5重量%の濃度で含む;
9(c):5−ALA n−ヘキシルエステル塩酸塩(HAL HCl)を0.5重量%の濃度で含む。
【0165】
【表15】

【0166】
<組成物10(a)−10(c)>
10(a):5−ALAメチルエステルメタンスルホン酸塩(MAL MES)を0.5重量%の濃度で含む;
10(b):5−ALA n−ヘキシルエステルナプシル酸塩(HAL NAPS)を0.5重量%の濃度で含む;
10(c):5−ALA n−ヘキシルエステル塩酸塩(HAL HCl)を0.5重量%の濃度で含む。
【0167】
【表16】

【0168】
<組成物11(a)−11(c)>
11(a): 5−ALAメチルエステルメタンスルホン酸塩(MAL MES)を0.5重量%の濃度で含む;
11(b): 5−ALA n−ヘキシルエステルナプシル酸塩(HAL NAPS)を0.5重量%の濃度で含む;
11(c): 5−ALA n−ヘキシルエステル塩酸塩(HAL HCl)を0.5重量%の濃度で含む。
【0169】
【表17】

【0170】
<組成物12(a)−12(c)>
12(a): 5−ALAメチルエステルメタンスルホン酸塩(MAL MES)を0.5重量%の濃度で含む;
12(b): 5−ALA n−ヘキシルエステルナプシル酸塩(HAL NAPS)を0.5重量%の濃度で含む;
12(c): 5−ALA n−ヘキシルエステル塩酸塩(HAL HCl)を0.5重量%の濃度で含む。
【0171】
【表18】

【0172】
5gの組成物8(a)−(c)〜12(a)−(c)の各々を製造した。
【0173】
0.5%のMAL MES、0.5%のHAL NAPSまたは0.5%のHAL HClを含む5gの比較組成物を、MAL MES、HAL NAPSまたはHAL HClと、ウングエンタム(Unguentum)M(登録商標)(Almirall Ltd, UK)と混合することにより製造した。
【0174】
製造したばかりの両組成物は、白色であった。各組成物を2つの等重量に分け、20mlのネジ蓋バイアルへ移した。サンプル1セットを室温に維持し、他を37℃で維持した。サンプルの視覚的外観を、5日目と28日目に評価した。
【0175】
<結果>
5−ALAメチルエステルメタンスルホン酸塩(MAL MES)を0.5重量%の濃度で含む組成物(a):
【0176】
【表19】

【0177】
5−ALA n−ヘキシルエステルナプシル酸塩(HAL NAPS)を0.5重量%の濃度で含む組成物(b):
【0178】
【表20】

【0179】
5−ALA n−ヘキシルエステル塩酸塩(HAL HCl)を0.5重量%の濃度で含む組成物(C)
【0180】
【表21】

【0181】
[実施例5]化粧有効性I
予備実験において、実施例1で記載のように製造した組成物2(b)を、ボランティア対象の皮膚上で試験して、その安全性と化粧的有効性を評価した。
【0182】
40歳から60歳の年齢の16人の女性対象を集めた。彼らの全員が、クロマメーター(Chromameter)読み取りにより決定したフィッツパトリック(Fitzpatrick)I〜IIIと分類しうる皮膚色を有していた。さらに、彼らの全員が、老化の認識サインを示し、訓練された技術士によりデジタルUVフォトグラフを用いて決定された最小量の中程度の顔面光損傷を有していた。
【0183】
<プロトコール>
実験母集団の皮膚症状をベースラインに標準化し、異なる皮膚手当て規制を用いるのに寄与する多様性を最小限にするため、対象は、7日間(±3日)条件期間に参加した。各対象にいは、少なくとも顔面全体に1日1回用いるために、実験の条件相の間、ずべての顔面洗浄のためと、実験の間のため、書面にした実験指示と、日焼け止めと、パーパス(Purpose)(登録商標)石鹸(Johnson & Johnson Consumer Companies, Inc.)の棒とを渡した。
【0184】
条件期間の後、対象は、清潔で化粧をしていない顔で、実験施設にベースライン評価のため、研究施設に戻った。皮膚とその状況の自己評価に関する前処置質問用紙は、各対象により仕上げられた。対象は、ベースライン評価の前に30分間にわたって、周囲環境の研究室状況に順応させられた。順応期間の後、特定の皮膚パラメータを通常の化粧的産業標準に従い、目的の測定により決定した:
【0185】
・皮膚色は、顔面の離れた領域2つについて、色をL*a*b*カラースペースで数字で表現するクロマメーター(コニカミノルタ)を用いて決定した;このカラースペースにおいて、L*は輝度であり、完全な黒(L*=0)から完全な白(L*=100)の相対的な明るさを示す。理論的には、皮膚を明るくする効果は、L*を増加させる。a*値は、赤と緑の間のバランスを示す。他の色の座標b*は、黄と青との間のバランスを示す。クロマメーターにより測定された様々な色の変化は、皮膚色特徴の外観、例えば、目の下の暗色円、しみ、顔面変色、年齢によるしみ、皮膚の輝きもしくは明るさ、または他の皮膚色素沈着における変化を反映している。皮膚に対して垂直に測定ヘッドを維持して手を配置して、測定を行った。3連続の読み取りを各試験部位で行い、平均化した。クロマメーター測定を、顔面の離れた領域2箇所において、行った。1つの試験部位では、均質な皮膚色合いを示し、1つの試験部位では、不均質な皮膚色合いを示した。領域を解剖学的な目印から測定して、印をつけた。試験部位同定は、試験部位探査書類に記録した。均質な皮膚色合いを示した領域を、不均質な皮膚色合いを示した領域と併用して、皮膚の輝き/明るさ、および皮膚色合いの均質性の測定に用いた。
【0186】
・皮膚表面局所解剖学は、PRIMOS 3D光学スキャンシステム(GF Messtechnick GmbH)を用いて、指定されたカラスの足跡領域を決定した。表面局所解剖学における変動は、粗さのパラメータ、Ra、RzおよびRmaxで表現した。Raは、平均粗さであり、測定した皮膚領域における皮膚の表面の平均高さに対する、表面変動の平均高さの基準である。これらの特徴は、1ミクロメータの精度まで測定可能である。Rzは、縦断面にわたって、ピークから谷に対する最大差の平均と同等である。Rmaxは、皮膚縦断面において、測定した最も高いピークと最も低い谷との間の最大差である。これらの変数のそれぞれは、皮膚粗さの増大と共に増加し、反対に、皮膚表面の平滑さが増すと共に減少する。
【0187】
・5つの視認可能な細孔径を、ハイスコープ(Hi−Scope)(登録商標)ビデオマイクロスコープ(KH-2200, Hirox Company Ltd., Japan)を用いて、大きな孔を示している領域において測定した。その領域は、解剖学的な目印から測定して、印をつけた。試験部位同定は、試験部位探査書類に記録した。同じ場所のハイスコープ(登録商標)イメージを、計画した研究間隔で得た。各計画した研究間隔の結論として、それらのイメージを概観し5つの孔のそれぞれの大きさを測定した。5つの測定値を、各計画した研究間隔について、全細孔径についての平均とした。
【0188】
・皮膚弾力性/堅さを、目の外側角の下の上部頬骨上でカットメーター(Cutometer)(登録商標)測定(Courage + Khazaka electronic GmbH)により測定した。この装置は、真空吸引(500mmHg)により、小型プローブ開口部を通して吸引された皮膚の表面の垂直の変形を測定する。吸引は、可変真空ポンプにより生じ、プローブへの皮膚の浸透の深さを、0.01mmの制度で光学的に測定した。プローブは、コンピュータに接続し、このコンピュータが真空適用を制御し、規定した間隔における皮膚変形を測定した:最終膨張Uf、10秒で測定、ただちに膨張、Ue、0.1秒で測定、遅延膨張、Uvおよびただちに収縮、Ur。変形パラメータは、皮膚厚みに左右される、外因性パラメータである。皮膚厚みの測定を回避するため、以下の比を皮膚の弾性特性を測定するために用いた:Ur/Ufは、皮膚の生物学的弾力性である。変形後にの当初形状を回復する能力を測定した。1つの値が、100%弾力性を示す。Ur/Ueは、皮膚の正味の弾力性の基準である。Uv/Ueは、遅延変形と即時変形の間の比、すなわち、弾性比に対する粘弾性である。この比の値における増加は、変形の粘弾性割合の増加および/または弾性部分の相対的減少があるを示す。測定値は、皮膚の表面に対し堅固にプローブを保持することにより、得られる。真空ポンプは、小さな開口部へ皮膚を吸引し、プローブは、皮膚が膨張した高さを測定する。測定値は、20秒サイクルを3回行うことにより、自動的に3重に得られる。各サイクルは、プローブ中に皮膚を吸引する吸引相、吸引を停止し、皮膚をゆるめるリラックス相とからなる。データは、電気的にコンピュータに移され、比の値はそこで計算される。読み取りが表示され、その後、スコアシートに手で書き写される。カットメーター(Cutometer)(登録商標)測定を、顔面の指定した側における目の外側角の直下の上部頬骨上で、行った。
【0189】
・デジタル臨床写真を、カンフィールド(Canfield’s)VISIA−CR(登録商標)写真イメージング装置を用いて撮影した。装置の特徴には、調節可能な額休め、複数のセッティングを有する顎固定カップ、3方位の鏡、及び目的の領域を不明確にすることなく、ベースラインから処置測定間隔までの対象の適切な再位置取りを確実にするための、イメージ・プレビュー手段を含む。ビデオプレビューと表示装置重ね合わせ手段は、さらに、各対象の安定した位置取りを容易にする。このことにより、観察された変化は、適用処置に起因することが、確実にできる。3つの全顔面(干渉偏波、標準およびUV蛍光)イメージと、2つの側面イメージ(標準偏波および干渉偏波)を、計画した実験懸隔において、捉えた。標準偏波光および干渉偏波光を用いて捉えられたデジタル写真は、書類目的でのみ使用され、UV蛍光イメージは、光損傷の程度を調べるのに用いられた。
【0190】
ベースラインを測定した後、組成物2(b)での美容的処置を以下のようにして行った:
1.顔面をパーパス(Purpose)(登録商標)石鹸で洗浄し、次いで、水でゆすいだ。顔面を清潔なタオルまたは使い捨てのペーパータオルでやさしく乾燥させた。
2.約2グラムの組成物2(b)を、照射の間ゴーグルでカバーする領域を除き、顔面の全ての領域に塗布した。
3.組成物を1時間の間、顔面上にそのままにした(インキュベーション時間)。
4.顔面をパーパス(Purpose)(登録商標)石鹸で洗浄し、次いで、水でよくゆすいだ。顔面を清潔なタオルまたは使い捨てのペーパータオルでやさしく乾燥させた。
5.その直後、顔面を635nmの赤光に8分36秒間さらした(Aktilite(登録商標)128, Galderma)。対象は照射の間、ゴーグルを装着し、光源は顔面から4インチの位置に配置した。
6.照射後、顔面を冷水で洗浄し、日焼け止めを塗布した。
7.対象には、研究機関を出る場合には日よけ帽子を被り、処置後48時間は外の光を避けるよう指示した。屋外活動が必要な場合、対象には、日焼け止め、帽子およびサングラスを装着するよう指示した。
【0191】
上記美容的処置を、各処置の間の1ヶ月の間隔をあけて3回行った。各処置後48時間までは対象について、刺激評価を行った。第2および第3の処置の前に、ベースライン評価についてと同じ皮膚パラメータを測定した。16人の対象のうち、10人の対象について実験を行った。
【0192】
<結果>
<客観的な耐性評価>
軽度な顔面紅斑、軽度な顔面浮腫および軽度な乾燥の形態の皮膚の軽度な炎症のみを主に観察した。ほんの1人の対象が、48時間後1ヶ月評価(2回目の処置後)および48時間後2ヶ月評価(3回目の処置後)においてにおいて、中程度の紅斑を示し、1人の対象が、48時間後1ヶ月評価(2回目の処置後)において、激しい紅斑を示した。ほんの1人の対象が、48時間後2ヶ月評価(3回目の処置後)において、中程度の浮腫を示した。
【0193】
<皮膚色>
均質な皮膚色合いと不均質な皮膚色合いのいずれについても、処置後評価において、クロマメーターL*値において統計的に著しい相違は、確認されなかった。クロマメーターa*値において統計的に著しい増加が、均質な皮膚色合いについてベースラインと比較して、3ヶ月での評価において確認された。このことにより、緑から赤の方向へ色相が変化したことが示唆された。クロマメーターa*値において統計的に著しい変化は、不均質な皮膚色合いについて、処置後の評価において、確認されなかった。クロマメーターb*値において統計的に著しい増加が、ベースラインと比較して、均質な皮膚色合いについて2ヶ月評価において、不均質な皮膚色合いについて、各処置後評価において、確認された。このことにより、青から黄色の方向へ色相が変化したことが示唆された。統計的に著しい向上が、第1の処置後の夕方の皮膚雰囲気において確認され、すなわち、不均質な皮膚が、均質な皮膚に近づいた。
【0194】
<皮膚表面局所解剖学:>
各処置後評価において、各PRIMOS 3D(Ra、RzおよびRmax)パラメータにおける低下が確認され、皮膚平坦さにおける向上傾向が明らかとなった。
【0195】
<細孔径判定>
1回の処置後、ただちに、ハイスコープ(Hi−Scope)(登録商標)細孔径測定において、統計的に著しい減少が、ベースラインと比較して確認された。
【0196】
<皮膚弾力性/堅さ>
カットメーター(Cutometer)(登録商標)パラメータUf(最終膨張/皮膚伸張性)測定における統計的に著しい減少が、ベースラインと比較して、2ヶ月評価と3ヶ月評価において、確認された。このことは、皮膚弾力性における向上を示している。
【0197】
<デジタルイメージを利用した光損傷した顔面皮膚の視覚的判定>
視覚アナログスケール(Visual Analog Scale (VAS))における統計的な著しい減少が、ベースラインと比較して、3ヶ月評価において確認された。このことは、光損傷された顔面皮膚における向上を示している。
【0198】
<質問用紙>
質問用紙は、第1回目の美容的処置前と、1ヶ月、2ヶ月および3ヶ月に、すなわち、第1回目の処置、第2回目の処置および第3回目の処置後に、対象により記入された。これによると、2ヶ月評価において(2回目の処置の後)、より滑らかな皮膚が、3ヶ月評価において(3回目の処置の後)、より柔軟な皮膚が、実験固体群の統計的に著しい割合で確認された。
【0199】
<まとめ>
この予備実験の条件の下、この限定された研究固体群において、照射と併用した組成物2(b)の塗布により、顔面皮膚細孔径、皮膚弾力性および光損傷の統計的に著しい向上を示した。皮膚滑らかさにおける向上傾向は、さらに、確認された。対象は、彼らの皮膚はより滑らかにより柔軟になったと感じた。さらに、赤光照射と併用した組成物2(b)の美容的処置を行うことは、合理的に耐用性良好であった。
【0200】
[実施例6]化粧的有効性II
実施例2で記載のように製造した組成物5であって、2区画容器に供給し、皮膚への投与前に混合された組成物5をボランティア対象の皮膚上で消費者試験して、皮膚照射のみと比較して、その安全性と化粧的有効性を評価した。
【0201】
36歳から60歳の年齢の120人の女性対象を集めた。彼らの全員が、クロマメーター(Chromameter)読み取りにより決定したフィッツパトリック(Fitzpatrick)I〜IIIと分類しうる皮膚色を有していた。 さらに、彼らの全員が、老化の認識サインを示し、訓練された技術士によりデジタルUVフォトグラフを用いて決定された最小量の中程度の顔面光損傷を有していた。
【0202】
<プロトコール>
対象を2つのセルに無作為化した:セル1に割り当てた対象は、皮膚照射のみを受け、セル2に割り当てられた対象は、組成物5の投与およびインキュベーションの後に皮膚照射した。セル2の処置プロトコールは、実施例5と同一であり、一方、セル1の処置プロトコールにおいて、工程2〜4は省略した。美容的処置を、各処置の間の間隔を1ヶ月あけて、3回行った。各処置後48時間と1週間までは対象について、炎症評価を行った。さらに、ベースライン後の1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月および5ヶ月において、ベースライン評価についてと同じ皮膚パラメータを測定した。120人の対象のうち、全体で101人の対象について研究を官僚し、19人の対象は、研究所訪問を逃したため、研究参加を中止した。組成物2(b)の耐性が無いため、中止した対象者はいなかった。
【0203】
<結果>
<客観的な耐性評価>
軽度な顔面紅斑を、研究全体にわたって、セル1とセル2における対象の僅かな部分において、確認した。中程度の短期間持続する顔面紅斑を、セル2における対象の非常に限定された部分(10%未満)においてのみ、第1の処置後(3人の対象)、第2の処置後(2人の対象)および第3の処置後(4人の対象)2日と、第2の処置後7日(1人の対象)、確認した。軽度な短期間持続する顔面浮腫を、セル2における対象の非常に限定された部分(約10%)においてのみ、第1の処置後(4人の対象)、第2の処置後(3人の対象)および第3の処置後(5人の対象)2日に、確認した。軽度な顔面乾燥を、セル1およびセル2における対象の非常に限定された部分においてのみ、研究の全体にわたって確認した。中程度の顔面乾燥を、第3の処置後7日でセル1の1人の対処において確認し、セル2における対象の非常に限定された部分(10%未満)においてのみ、第1の処置と第2の処置後2日と7日に、同様に第3の処置後2日において1人の対象において、確認した。
【0204】
<皮膚色>
セル間において、クロマメーター(L*、a*、b*)測定における統計的な著しい相違は、試験領域(均質な皮膚色合いおよび不均質な皮膚色合い)において、ベースラインで確認されなかった。各セル間において試験領域間(均質な皮膚色合いと不均質な皮膚色合い)のクロマメーターL*とa*測定値には、統計的に著しい相違が、ベースラインで確認された。
セル1: 2ヶ月評価におけるクロマメーターL*測定値の減少が、ベースラインと比較した際、不均質な皮膚色合いについてより均質な皮膚色合いについて、著しく大きかった。均質な皮膚色合い(増加)と不均質な皮膚色合い(減少)の間のクロマメーター a*測定値についてベースラインからの変化の相違が、2ヶ月評価と3ヶ月評価において、統計的に顕著であった。
セル2:2ヶ月評価におけるクロマメーターa*測定値の増加が、ベースラインと比較した際、不均質な皮膚色合いより均質な皮膚色合いについて、著しく大きかった。試験領域(均質な皮膚色合いと不均質な皮膚色合い)の間でセル2内でのクロマメーターE(全色)値の相違は、4ヶ月評価と5ヶ月評価において著しく低下した、すなわち、均質な皮膚色合いと不均質な皮膚色合いの間の概観の相違は、横ばいになった。
【0205】
<皮膚表面局所解剖学>
PRIMOS 3D (Ra、RzおよびRmax)測定における著しい統計的相違は、セル1とセル2の間に、ベースラインにおいて確認しなかった。セル1(Raにおいて減少)とセル2との間でPRIMOS 3DパラメータRaについてのベースラインからの変化の相違は、統計的に著しかった。
【0206】
<細孔径判定>
ハイスコープ(Hi−Scope)(登録商標)細孔径測定において、セル1とセル2との間に、統計的に著しい相違が、ベースラインにおいて、確認されなかった。ハイスコープ(Hi−Scope)(登録商標)細孔径測定における減少は、各処置後評価において、セル1よりセル2について、ベースラインと比較して(すなわち、第1回の処置後5ヶ月まで)、第1回目の処置評価後2日を除いて、著しく大きかった。
【0207】
<皮膚弾力性/堅さ>
ベースラインにおいて、セル1とセル2との間に、カットメーター(Cutometer)(登録商標)(UfとUr/Uf)において、統計的な顕著な相違は確認されなかった。
セル1:カットメーター(Cutometer)(登録商標)パラメータUf(最終膨張/皮膚伸張性)における統計的な著しい増加は、ベースラインと比較した際、4ヶ月の処置後評価と5ヶ月の処置後評価において、確認された。これは、皮膚堅さにおける減少を示す。カットメーター(Cutometer)(登録商標)比Ur/Uf(生物学的弾力性)における統計的な顕著な減少が、ベースラインと比較した際、4ヶ月の処置後評価と5ヶ月の処置後評価において、確認された。これは、皮膚弾力性における減少を示す。
セル2:カットメーター(Cutometer)(登録商標)パラメータUf(最終膨張/皮膚伸張性)における統計的な著しい減少が、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月および5ヶ月の処置後評価において、ベースラインと比較した際、確認された。これは、皮膚堅さにおける増加を示す。カットメーター(Cutometer)(登録商標)比Ur/Uf(生物学的弾力性)における統計的著しい増加が、3ヶ月の処置後評価において、ベースラインと比較した際、確認された。これは、皮膚弾力性における増加を示す。
【0208】
カットメーター(Cutometer)(登録商標)パラメータUf(最終膨張/皮膚伸張性)について、セル1(Ufにおいて増加)とセル2(Ufにおいて減少)間で、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月および5ヶ月の評価で、ベースラインから変化の相違が、統計的に著しかった。カットメーター(Cutometer)(登録商標)比Ur/Uf(生物学的弾力性)における増加が、セル1よりセル2について、3ヶ月の評価において、ベースラインと比較して、著しかった。さらに、カットメーター(Cutometer)(登録商標)比Ur/Uf(生物学的弾力性)について、ベースラインからの変化の相違が、セル1(Ur/Ufにおいて減少)とセル2(Ur/Ufにおいて増加)間で、4ヶ月と5ヶ月の評価において、統計的に著しかった。
【0209】
<デジタルイメージを利用した光損傷した顔面皮膚の視覚的判定>
セル1およびセル2について光損傷された顔面皮膚の視覚アナログスケール(Visual Analog Scale (VAS))スコアにおける統計的な著しい減少が、ベースラインと比較して、各処置後評価において確認された。このことは、光損傷された顔面皮膚における向上を示している。
【0210】
【表22】

【0211】
<まとめ>
この実験の条件の下、細孔径および皮膚堅さおよび弾力性を、5ヶ月の研究期間にわたって、著しく向上させた観点から、組成物5の適用をした皮膚照射(セル2)により、皮膚照射のみ(セル1)に対する優位性が示された。さらに、この処置は、合理的に耐用性良好であった。セル1とセル2の対象により記入された質問用紙とを比較し、(水和、湿気、細かい線、しわ、暗色円、はれ、平滑性、堅さ、柔軟性、輝き、明るさ、手触り、再活性化および若者、健康的な外観を含む)顔面皮膚特性の様々な向上における、統計的な顕著な相違が、第1の処置後1ヶ月および5ヶ月の研究期間にわたって、セル2について確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 5−ALAの誘導体またはその皮膚適合性塩を2重量%またはそれ以下;
b) 水を70重量%またはそれ以上;
c) 少なくとも1つの脂質担体を2〜25重量%;および
d) 1つ以上の乳化剤を含む組成物。
【請求項2】
前記5−ALAの誘導体が、式Iの化合物である請求項1に記載の組成物。
22N−CH2COCH2−CH2CO−OR1 (I)
式中、
1は、置換または非置換のアルキル基を意味し;
2は、各々独立して、水素原子または基R1を意味する。
【請求項3】
前記式Iの化合物が、皮膚適合性塩である請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
1が、C1−C10−アルキル、より好ましくはC1−C8−アルキル、さらにより好ましくはC1−C6−アルキルであり、両方のR2が、水素を意味する請求項2または3に記載の組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1つの脂質担体が、脂質、ワックス、油、遊離脂肪酸、または脂肪酸もしくは脂肪アルコールのエステルである請求項1〜4に記載の組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1つの脂質担体が、脂質、好ましくは3つの同一又は異なる、6から24(特に、8〜18)の炭素原子の鎖長さを有する、飽和および/または不飽和、分枝状および/または不分枝状の脂肪酸と、グリセロールのトリグリセリドである請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
2以上の乳化剤を含む請求項1〜6に記載の組成物であって、前記2以上の乳化剤が、非イオン性乳化剤とカチオン性乳化剤である組成物。
【請求項8】
前記組成物が、水中油型エマルジョンであり、前記乳化剤が、水中油型乳化剤である請求項1〜6に記載の組成物
【請求項9】
前記乳化された粒子の大きさが、平均で、>200nm、好ましくは>500nmである請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
第1の区画および第2の区画を含む容器であって、
前記第1の区画が、5−ALAの誘導体または、その皮膚適合性塩と、少なくとも1つの脂質担体とを含み、
前記第2の区画が、水、1つ以上の乳化剤および、任意に、少なくとも1つの脂質担体とを含み、
請求項1〜9に記載の組成物が、前記第1の区画と前記第2の区画の内容物を混合することにより得られる容器。
【請求項11】
請求項10に記載の容器であって、 前記第1の区画または前記第2の区画のいずれかが、着色剤または、前記第1の区画と前記第2の区画の内容物が適切に混合されたことを確認するための、視覚的指標として機能する染料を含む容器。
【請求項12】
請求項1〜9に記載の組成物と、前記組成物の使用のための指示書とを含むか、または、請求項10もしくは11に記載の容器と、前記容器の使用のための指示書とを含む製品
【請求項13】
美容的処置の方法における、請求項1〜9に記載の組成物、請求項10もしくは11に記載の容器、または請求項12に記載の製品の使用。
【請求項14】
対象、好ましくは人間に行う美容的処置の方法であって、
前記方法は、以下の工程を含む:
(i)前記対象の皮膚に、請求項1〜9のいずれか1つに記載の組成物を投与し;
(ii)任意に、一定期間待ち;
(iii)任意に、前記組成物を前記皮膚から除去し;および
(iv)前記皮膚を光にさらす。
【請求項15】
皮膚症状または皮膚疾患の治療的処置において、好ましくは酒さの治療的処置における使用のための、請求項1〜9に記載の組成物、請求項10もしくは11に記載の容器、または請求項12に記載の製品。

【公表番号】特表2013−521251(P2013−521251A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555402(P2012−555402)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【国際出願番号】PCT/EP2011/053036
【国際公開番号】WO2011/107478
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(511152474)フォトキュア エイエスエイ (3)
【Fターム(参考)】