説明

耐グロウワイヤー性を有する難燃性ポリマー

【課題】 電気分野および電子分野で要求される火炎基準を満足し、良好な加工性を有しそして適当な機械的性質を有しながら耐グロウワイヤー性を有する難燃性ポリマーの提供。
【解決手段】 この課題は、成分Aとして40〜90重量%のポリマー、成分Bとして0〜40重量%の補強物質、成分Cとして3〜15重量%の赤燐、成分Dとして5〜20重量%のリン系/窒素系難燃剤、成分Eとして0〜15重量%のフェノール樹脂および成分Fとして0〜10重量%のナノ複合材料を含有し、これら成分の合計が常に100重量%になる、耐グロウワイヤー性を有する難燃性ポリマーによって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は本願の優先権の基礎となる2004年8月12日に出願されたドイツ特許出願第102004039148.3に記載されており、その内容をここに全て記載したものとする。
【0002】
本発明は耐グロウワイヤー性を有する難燃性ポリマー、および特定の難燃剤組成物を含有するポリマー成形材料に関する。
【背景技術】
【0003】
ポリマーはリン含有のまたは塩素含有化合物の添加によってしばしば難燃性にされる。特に赤燐は熱可塑性ポリマーのための有効な難燃剤添加物であることが実証されている(Staendeke,H.、 Scharf, D.、Kunststoffe 11, 79, 1989および Levichik, G.F., Vorobyova, S.A., Gorbarenko, V.V. および Levchik, S., Weil, E.D., Journal of Fire Science, Vol.18, 2000年5月/6月号、第172〜193頁)。7.5%の赤燐を用いて、0.8mmでのUL94−V−0の分類が、補強されたポリアミドおよび未補強のポリアミドにおいて達成される。
【0004】
ドイツ特許出願公開第10,224,887号明細書(A)には赤燐、硼酸亜鉛、タルクおよびランタノイド化合物よりなる組合せ物を含有するポリマーを提案している。この組合せ物によって、IEC−2−12に従う耐グロウワイヤー性GWFIにおいて960℃への改善が達成される。
【0005】
ヨーロッパ特許出願公開第0,782,599号明細書には、ポリマー、特にポリアミドのための難燃剤としてメラミンポリホスファート(MPP)の作用が開示されている。UL94V−0の分類は25〜30重量%のMPPを使用して達成される。
【0006】
米国特許第2004/0021135号明細書(A)にはホスフィナートとメラミンポリホスファートとの組合せを開示している。難燃性は、難燃性ポリマーの機械的性質と同様、相乗的組合せ物によって改善される。
【0007】
特開平10−182,940号公報にはメラミンポリホスファートを添加した難燃性エポキシ樹脂およびフェノール樹脂でカプセル化した赤燐を含有する難燃性エポキシ樹脂が開示されている。
【0008】
特許出願公開第2001−164,063号公報には、メラミンポリホスファートおよび赤燐を含有する、スチレンポリマーおよびポリカーボネート類またはポリエステルよりなるポリマー混合物が開示されている。
【0009】
特開平11−246,778号明細書には、赤燐を含有するおよびテトラゾール類、シリコン粉末、メラミンポリホスファート、水和珪酸マグネシウム、水和硼酸カルシウムまたはバーミキュライトを含有する難燃性ポリマーが開示されている。
【0010】
最後に特許出願公開第2003−041,098号明細書にはトリアジン化合物およびリン酸塩を含有するポリエステル、リン含有トリアジン化合物またはカプセル化された赤燐、および芳香族環状構造を有する樹脂を含有するポリエステルが開示されている。
【0011】
ナノ複合材料もしばしば上述のポリマーに添加される。ナノ複合材料(ナノフィラーとも言う)はその特別な構造のために格別な性質向上、例えば剛性を増加させ、耐衝撃性および熱安定性を、および防炎性を向上させる(Beyer,G., anocomposites, ein neuartiges Flammschtzsystem(ナノ複合材料、新規の難燃剤系)、“Kunststoffe, Brandschutz und Flammschutzmittel(合成樹脂、防炎および難燃剤)”専門家会議、2001年11月28/29のWuerzburgでの技術者会議、ドイツ国)。
【0012】
単独の難燃剤としてナノフィラーを使用したのでは適切な難燃性は達成することができなにので、文献ではナノフィラーを他の難燃剤と組み合わせる試みを説明している。
【0013】
ドイツ特許出願公開第19,921,472号明細書には、ポリマー、水酸化マグネシウムまたは水酸化アルミニウムおよび有機的に間挿された層状珪酸塩よりなる難燃性ポリマー組成物を開示している。
【0014】
国際特許出願公開第99/29,767号明細書には、ナイロン−6、水およびモンモリロナイトよりなるポリアミド−ナノ複合材料混合物の製法を開示している。ナノフィラーの添加は耐熱性に有利な影響を及ぼす。如何なる難燃剤の効果の説明も ない。
【0015】
ヨーロッパ特許出願公開第0,132,288号明細書には、補強用フィラー(特にガラス繊維)、難燃剤、滴り防止剤としての0.2〜4重量%の場合によっては有機的に変性された層状珪酸塩および0.05〜2重量%の炭素原子数6〜22のモノカルボン酸のアルカリ金属塩を含有する補強された難燃性ポリエステル成形材料が開示されている。記載された難燃剤添加物は、単独のまたは相乗作用するリン化合物またはアンチモン化合物と一緒の有機ハロゲン化合物、特に臭素化合物または塩素化合物である。
【0016】
赤燐およびメラミンポリホスファートの効果はUL94垂直試験による火炎試験で実質的に評価されている。しかしながら個々の化合物の効果は特定の熱可塑性樹脂において未だ不満足なままである。更にIEC60695−2−12および−13に従うグロウワイヤー試験での効果は不十分なままである。UL94試験のために添加すべきメラミンポリホスファートの量は、しばしば非常に多量であり、難燃性プラスチックのポリマー分解および−変色の原因にもなりそして現在のところではこれはに効果的に対応できていない。
【0017】
IEC60695−2−12および−13に従うグロウワイヤー基準を満足することが、ドイツ国の家庭内装置で使用するために規定されている。
【0018】
特にGWIT(グロウワイヤー発火温度)として知られる性質に関して750℃以上の発火温度を達成する市販のポリマー材料は僅かしかない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
それ故に本発明の課題は、電気分野および電子分野で要求される火炎基準を満足し、良好な加工性を有しそして十分な機械的性質を有しながら耐グロウワイヤー性を有する難燃性ポリマー、特にポリアミド類を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
それ故に本発明は、成分Aとして40〜90重量%のポリマー、成分Bとして0〜40重量%の補強物質、成分Cとして3〜15重量%の赤燐、成分Dとして5〜20重量%のリン系/窒素系難燃剤、成分Eとして0〜15重量%のフェノール樹脂および成分Fとして0〜10重量%のナノ複合材料を含有し、これら成分の合計が常に100重量%になる、耐グロウワイヤー性を有する難燃性ポリマーに関する。
【0021】
耐グロウワイヤー性を有する難燃性ポリマーは45〜65重量%の量の成分Aを含有しているのが有利である。
【0022】
耐グロウワイヤー性を有する難燃性ポリマーは50〜65重量%の量の成分Aを含有しているのが特に有利である。
【0023】
耐グロウワイヤー性を有する難燃性ポリマーは25〜35重量%の量の成分Bを含有しているのが有利である。
【0024】
耐グロウワイヤー性を有する難燃性ポリマーは5〜10重量%の量の成分Cを含有しているのが有利である。
【0025】
耐グロウワイヤー性を有する難燃性ポリマーは7〜10重量%の量の成分Cを含有しているのが特に有利である。
【0026】
耐グロウワイヤー性を有する難燃性ポリマーは5〜15重量%の量の成分Dを含有しているのが有利である。
【0027】
耐グロウワイヤー性を有する難燃性ポリマーは5〜12重量%の量の成分Dを含有しているのが特に有利である。
【0028】
耐グロウワイヤー性を有する難燃性ポリマーは1〜10重量%の量の成分Eを含有しているのが有利である。
【0029】
耐グロウワイヤー性を有する難燃性ポリマーは5〜10重量%の量の成分Eを含有しているのが特に有利である。
【0030】
耐グロウワイヤー性を有する難燃性ポリマーは1〜5重量%の量の成分Fを含有しているのが有利である。
【0031】
耐グロウワイヤー性を有する難燃性ポリマーは0.05〜10重量%の量の別の成分Gを含有しているのが有利である。
【0032】
耐グロウワイヤー性を有する難燃性ポリマーは0.1〜5重量%の量の成分Gを含有しているのが特に有利である。
【0033】
ポリマーはポリアミド類が有利である。
【0034】
ポリマーは補強されたポリアミド類が特に有利である。
【0035】
有利な補強物質はガラス繊維および/または鉱物性充填剤である。
【0036】
耐グロウワイヤー性を有する難燃性ポリマー中に存在する赤燐は安定化された赤燐であるのが有利である。
【0037】
赤燐はこのマグネシウム、錫、アルミニウム、銀またはそれらの組合せで安定化されているのが有利である。
【0038】
赤燐の粒度は<200μmであるのが有利である。
【0039】
使用される赤燐はフェノール樹脂中濃縮物の状態にあるのが有利である。
【0040】
リン系−窒素系難燃剤は好ましくはメラミンとポリリン酸との反応生成物が有利であり、および/またはメラミンの縮合物生成物とポリリン酸との反応生成物であるかまたはこれらの混合物である。
【0041】
この反応生成物は好ましくはジメラミンピロホスファート、メラミンポリホスファート、メレムポリホスファート、メラムポリホスファート、メロンポリホスファートおよこれらの種類の混合ポリ塩が有利である。
【0042】
反応生成物は特にメラミンポリホスファートが有利である。
【0043】
ナノ複合材料は有機的に間挿された層状珪酸塩、ナノ球状酸化物または炭素ナノチューブである。
【0044】
有機的に間挿された層状珪酸塩は原料が膨潤性スメクタイト類、例えばモンモリロナイト類、ヘクトライト類、サポナイト類、またはバイデライトである物質であるのが有利である。
【0045】
層状珪酸塩は第四アンモニウム化合物、プロトン化アミン類、有機ホスホニウムイオンおよび/またはアミノカルボン酸類が間挿されているのが有利である。
【0046】
補強物質はガラス繊維、ガラスビーズまたは鉱物性補強物質であるのが有利である。
【0047】
添加物は好ましくは安定剤、加工助剤、滴り防止剤、染料、顔料および/またはワックスである。
【0048】
驚くべきことに本発明者は、赤燐とリン系−窒素系難燃剤、例えばメラミンポリホスファートおよび場合によってはフェノール樹脂およびナノ複合材料の本発明に従う組合せ物がUL94V−0の火炎要求を満足し、IEC−2−12に従う960℃のGWFIを有しそしてIEC60695−2−13に従う著しく改善されたGWIT耐グロウワイヤー性を有することを見出した。本発明の難燃剤組成物は良好な加工性を有しそして非常に良好な機械的性質を有する難燃性ポリマーをもたらす。
【0049】
本発明の目的のためには、使用される赤燐(成分C)の量は配合処方を基準として3〜15重量%、好ましくは5〜10重量%、特に好ましくは7〜10重量%である。上記の重量%は赤燐に塗布される上述の減感剤(phlegmatizers)、カプセル化剤および/または安定剤を含めたそれぞれの成形材料中のリン全体の割合である。
【0050】
本発明の関係において赤リンはリンの有色のあらゆる同属体であり、赤燐または赤燐の割合が95%より多い品質のリンが有利である。これらの粒子の平均粒度は200〜1μm、好ましくは100〜10μm、特に好ましくは80〜20μmである。使用される赤燐は未処理でもよいしまたは公知の剤で減感化されおよび/またはマイクロカプセル化されおよび/または予備安定化されていてもよい。
【0051】
ここで使用できる減感剤は慣用の薬品、例えば鉱油、パラフィン油、クロロパラフィン、ポリテトラヒドロフラン、トリメリット酸のエステル、好ましくは炭素原子数6〜13のアルコール、例えばトリメリット酸トリオクチルおよび有機リン化合物がある。一般にフタル酸および炭素原子数6〜13のアルコール類から製造できるフタル酸エステルを使用することも可能である。これらの化合物の例にはジフェニルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジオクチルフタレートまたはジ−2−エチルヘキシルフタレートがある。中でもアルミニウム、亜鉛、またはカルシウムをベースとする金属塩/金属化合物、例えば酸化アルミニウムまたは水酸化アルミニウムも使用することができ、これらは同時に安定化効果も示し得る。更に、Chao, Wu 等の "A comprehensive survey of chemical dust suppressants in the world over the last 15 years", Progress in Safety Science and Technology, Beijing, China, 2000年8月10〜13日(2000)、 (第2章), 第705-719頁にも、使用できる減感剤の概略が記載されており、上述の化合物に補足する。
【0052】
赤燐は自体公知の剤でマイクロカプセル化されていてもよい。これらの例にはポリマー化合物、例えばシクロヘキサノン樹脂、メラミン樹脂、フェノール−イソブチルアルデヒド樹脂、尿素−メラミン−フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、フェノル−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−レゾルシノール−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−レゾルシノール−ホルムアルデヒド−ヘキサメチレンテトラミン樹脂があり、最後の樹脂は使用される赤燐またはエポキシ樹脂の重量を基準として0.4〜4%の尿素、2〜20%のレゾルシノール、5〜150%のホルムアルデヒド、および0.1〜8%のヘキサメチレンテトラミンの混合物から製造されるのが特に好ましい。
【0053】
更に無機物質を塗布することによって赤燐自体を予備安定化することも可能である。これらの中では一例としては金属塩または金属化合物、中でもアルミニウム、鉄、カルシウム、カドミウム、コバルト、ニッケル、マグネシウム、マンガン、銀、錫、亜鉛またはチタニウムのそれらが有利である。ここでは酸化物、炭酸塩/オキシ炭酸塩、水酸化物および有機酸塩が特に適している。二酸化珪素の様な化合物も使用することができる。
【0054】
ドイツ特許出願公開第19,619,701号明細書(A)、同第2,625,673号明細書、ヨーロッパ特許出願公開第0,195,131号明細書(A)、同第0,052,217号明細書(A)および国際特許出願公開第87/00187号明細書は、上述した様な予備処理された赤燐の例を挙げている。
【0055】
本発明の目的のためには、赤燐が成形材料中に導入される状態は粉末でもまたは濃厚化物の状態でもよい。この濃厚化物は濃厚化物の総重量を基準として一般にリンを40〜70重量%の割合で有するポリマー担体担持物質である。一般的なポリマー担体材料は上述の様なポリアミド類、特にナイロン−6およびナイロン−6,6、特に好ましくはナイロン−6、および上述の材料のポリエステル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、エステルワックス、LDPEまたはEVAである。フェノール樹脂も特に有利である。
【0056】
リン系/窒素系難燃剤(成分D)は好ましくはメラミンとリン酸または縮合されたリン酸との反応生成物またはメラミンの縮合生成物とリン酸または縮合されたリン酸との反応生成物であるかまたは上記の生成物の混合物である。
【0057】
リン酸または縮合されたリン酸との反応生成物とは、メラミンまたは縮合されたメラミン、例えばメラム、メレムまたはメロン等とリン酸との反応によって生じる化合物である。これらの例にはジメラミンホスファート、ジメラミンピロホスファート、メラミンホスファート、メラミンピロホスファート、メラミンポリホスファート、メラムポリホスファート、メロンポリホスファートおよび/またはメレムポリホスファート、およびポリ塩の混合物、例えば国際特許出願公開第98/39306号明細書(A)に記載されたものがある。
【0058】
リン系/窒素系難燃剤はメラミンポリホスファートが特に有利である。
【0059】
ナノフィラー(成分F)は好ましくは有機的に間挿された層状珪酸塩である。有機的に間挿された層状珪酸塩のために使用される有利な原料は膨潤性スメクタイト類、例えばモンモリロナイト類、ヘクトライト類、サポナイト類、またはバイデライトである。
【0060】
有機的に間挿された層状珪酸塩は1.5〜4nmの層間隔を有している。層状珪酸塩は第四アンモニウム化合物、プロトン化アミン類、有機ホスホニウム−イオンおよび/またはアミノカルボン酸が間挿されているのが有利である。
【0061】
通例の層状充填剤、例えばカオリン、タルクまたはマイカに対して、ナノ複合材料の通例の層厚は10〜50ファクター程薄い。完全に剥離したナノフィラーの直径は100〜500nmで変動し、1nmの層厚しかを有していない。
【0062】
耐グロウワイヤー性のポリアミド中の成分A、B、C、D、EおよびFの量比は実質的に意図する用途分野に依存しており、広い範囲内で変更し得る。用途分野次第で本発明のポリマーは成分Aとして40〜90重量%のポリアミド、成分Bとして0〜40重量%の補強物質、例えばガラス繊維、ガラスビーズまたは鉱物補強物質、成分Cとして3〜15重量%の赤燐、成分Dとして5〜20重量%のリン系/窒素系難燃剤、成分Eとして0〜15重量%のフェノール樹脂および場合によっては成分Fとして0〜10重量%のナノ複合材料を含有しており、その際にこれら成分の合計は常に100重量%になる。
【0063】
有利な一つの実施態様においては、ポリマーは成分Aとして45〜65重量%のポリアミド、成分Bとして25〜35重量%の補強物質、例えばガラス繊維、ガラスビーズまたは鉱物補強物質、成分Cとして5〜10重量%の赤燐、成分Dとして5〜15重量%のリン系/窒素系難燃剤、成分Eとして1〜10重量%のフェノール樹脂および成分Fとして1〜5重量%のナノ複合材料を含有しており、その際にこれら成分の合計は常に100重量%になる。
【0064】
特に有利な一つの実施態様においては、ポリマーは成分Aとして50〜65重量%のポリアミド、成分Bとして25〜35重量%の補強物質、例えばガラス繊維、ガラスビーズまたは鉱物補強物質、成分Cとして7〜10重量%の赤燐、成分Dとして5〜12重量%のリン系/窒素系難燃剤、成分Eとして5〜10重量%のフェノール樹脂および成分Fとして1〜5重量%のナノ複合材料を含有しており、その際にこれら成分の合計は常に100重量%になる。
【0065】
本発明は本発明の難燃剤組合せ物を含有する難燃性合成樹脂成形材料にも関する。
【0066】
合成樹脂は好ましくは熱可塑性ポリマーまたは二種類以上の異なるポリマーよりなるブレンドであるのが好ましい。これらの中ではオレフィン性不飽和モノマーのホモ−およびコポリマー、例えばポリフルオロエチレン類、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンコポリマー、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル−コポリマー、ABS−コポリマー(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)、塩化ビニルのモポリマーおよびコポリマー、ポリアクリレート類、特にポリメチルメタクリレート、酢酸ビニルコポリマー、ポリアセタール類、ポリカーボネート類、ポリエステル類、およびポリアミド類がある。ポリアミド類およびポリエステル類が有利であり、本発明の関係ではポリアミド類が特に有利である。
【0067】
適するポリアミド類は公知のホモポリアミド類、コポリアミド類およびこれらのポリアミドの混合物がある。これらは半結晶質のおよび/または非晶質のポリアミド類でもよい。
【0068】
適する半結晶質ポリアミド類はナイロン−6、ナイロン−6,6およびこれら成分よりなる混合物または適当なコポリマーである。使用できる他の半結晶質ポリアミド類には、酸成分の全部またはある程度がテレフタル酸および/またはイソフタル酸および/またはコルク酸および/またはセバシン酸および/またはアゼライン酸および/またはアジピン酸および/またはシクロヘキサンジカルボン酸であり、ジアミン成分の全部またはある程度がm−および/またはp−キシリレンジアミンおよび/またはヘキサメチレンジアミンおよび/または2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンおよび/または2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンおよび/またはイソホロンジアミンでありそしてその構造が原則として公知であるものである。
【0069】
更に、全部または一部が環中炭素原子数7〜12のラクタム類よりなり、場合によっては1種類以上の上述の出発成分を併用して製造されるポリアミドも挙げることができる。
【0070】
特に有利な半結晶質ポリアミド類はナイロン−6,6およびナイロン−6およびそれらの混合物であり、更に好ましくはナイロン−6,6である。使用できる非晶質ポリアミド類は公知の生成物である。これらはジアミン類、例えばエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、2,2,4−および/または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、m−および/またはp−キシリレンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン、2,5−および/または2,6−ビス(アミノメチル)ノルボルネンおよび/または1,4−ジアミノメチルシクロヘキサンとジカルボン酸、例えば蓚酸、アジピン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸、ヘプタデカンジカルボン酸、2,2,4−および/または2,4,4−トリメチルアジピン酸、イソフタル酸およびテレフタル酸との重縮合反応によって得られる。
【0071】
二種類以上のモノマーの重縮合によって得られるコポリマーも適しており、アミノカルボン酸、例えばアミノカプロン酸、アミノウンデカン酸またはアミノラウリン酸またはそれらのラクタムの添加下に製造されるコポリマーも適している。
【0072】
特に適する非晶質ポリアミド類はイソフタル酸、ヘキサメチレンジアミン、および他のジアミン類、例えば4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、イソホロンジアミン、2,2,4−および/または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,5−および/または2,6−ビス(アミノメチル)ノルボルネンから;またはイソフタル酸、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンおよびカプロラクタムから;またはイソフタル酸、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンおよびラウリンラクタムから;またはテレフタル酸および2,2,4−および/または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンよりなる異性体混合物から製造されるポリアミド類である。
【0073】
純粋の4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンの代わりに、ジアミノジシクロヘキシルメタンの位置異性体の混合物を使用することも可能であり、これらは70〜99モル%の4,4’−ジアミノ異性体、1〜30モル%の2,4’−ジアミノ異性体、0〜2モル%の2,2’−ジアミノ異性体および場合によっては工業的品質のジアミノジフェニルメタンの水素化によって得られる更に高い縮合度の相応するジアミンで構成されている。テレフタル酸は30%までをイソフタル酸に交換されていてもよい。
【0074】
上記のポリアミドは適当な試薬によって分岐されていてもあるいはそのさ長を適当に延長されていてもよい。使用できる分岐剤または鎖延長剤は第一および/または第二アミノ基および/またはアミド基および/またはカルボン酸基と反応し得る少なくとも二つの反応性基を持つ低分子量化合物およびオリゴマー化合物である。反応性基の例には、場合によってはキャップされていてもよいイソシアネート、エポキシド、無水マレイン酸、オキサゾリン類、オキサジン類、オキサゾロン類等がある。ジグリシジルエーテル(ビスファノールとエピクロロヒドリン)をベースとする、アミン−エポキシ樹脂(アミンとエピクロロヒドリン)をベースとする、ジグリシジルエステル(脂環式ジカルボン酸とエピクロロヒドリン)をベースとするジエポキシド類のそれぞれ単独またはそれらの混合物と2,2−ビス[p−ヒドロキシフェニル]プロパンジグリシジルエーテル、ビス[p−N−メチル−N−2,3−エポキシプロピルアミノ)フェニル]メタンが有利である。グリシジルエーテルが特に有利であり、中でもビスフェノールA−ジグリシジルエーテルが有利である。
【0075】
ポリマー成形体、ポリマーフィルム、ポリマーフィラメント、およびポリマー繊維製品は、HI(耐衝撃性)ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド類、ポリエステル類、ポリカーボネート類およびABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)またはPC/ABS(ポリカーボネート/アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)、ポリアミドまたはポリエステル、好ましくはポリアミドで表される種類のブレンドまたはポリブレンドである。
【0076】
上記の添加物(赤燐、リン系/窒素系難燃剤、フェノール樹脂およびナノ複合材料)は非常に色々な方法段階で合成樹脂中に導入してもよい。例えばポリアミドの場合には、重合段階/重縮合段階の始めにまたは終わりにまたは後続の配合段階に添加物をポリマー溶融物に混入してもよい。添加物を加工段階で初めて添加してもよい。この方法は顔料または添加物のマスターバッチを使用する場合に特に使用される。特に粉末状の添加物を乾燥工程によって幾らか熱いままでもよいペレット状ポリマーにドラム中で適用してもよい。
【0077】
赤燐の有利な状態は溶融混合物の状態またはマスターバッチの状態である。フェノール樹脂中濃厚物が特に有利である。
【0078】
ポリアミド類はアミノ酸タイプおよび/またはジアミン−ジカルボン酸タイプのものでもよい。
【0079】
ポリアミド類は好ましくはナイロン−6、ナイロン−12、半芳香族ポリアミド類および/またはナイロン−6,6である。
【0080】
ポリアミド類は好ましくは未変性でも、着色されていても、充填剤を含有していても、充填剤を含有していなくても、補強されていてもまたは補強されていなくてもまたは他の方法で変性されていてもよい。
【0081】
本発明の成形材料に添加されていてもよい繊維状または粒子状充填剤および補強物質(成分B)はガラスファイバー、ガラスビーズ、ガラス繊維織物製品、ガラス製マット、カーボンファイバー、アラミド繊維、チタン酸カリウム繊維、天然繊維、非晶質シリカ、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、長石、マイカ、珪酸塩、石英、カオリン、二酸化チタン、ケイ灰石等があり、これらは表面処理されていてもよい。有利な補強物質は市販のガラス繊維である。ガラス繊維が添加される状態は連続フィラメントまたは切断されたまたは粉砕されたガラス繊維の状態でもよい。その際に繊維直径は一般に8〜18μmでありそしてこれら繊維は場合によっては表面変性剤、例えばシラン類またはガラス繊維サイズ剤で処理されていてもよい。針状充填剤も適している。本発明の目的にとって針状充填剤は優れた針状特性を有する鉱物充填剤である。挙げることのできる例には針状のケイ灰石である。
【0082】
これら鉱物のL/D(長さ/直径)比は好ましくは8:1から35:1であり、特に好ましくは8:1〜11:1である。鉱物充填剤は場合によっては表面処理されていてもよい。
【0083】
本発明のポリマーおよび成形材料は別の添加物、例えば熱による分解を妨害する剤、熱による架橋を妨害する剤、紫外線による損傷を阻止する剤、可塑剤、流動助剤および加工助剤、他の難燃剤、潤滑剤および離型剤、核形成剤、帯電防止剤、安定剤および染料および顔料を含有していてもよい。
【0084】
酸化遅延剤および熱安定剤の具体的な例には立体障害フェノールおよび/またはホスフィット類、ハイドロキノン類、芳香族第二アミン類、例えばジフェニルアミン類、これらの群のものの種々の代替物およびこれらの混合物がある。
【0085】
挙げられる紫外線安定剤には種々の置換されたレゾルシノール類、サリチレート類、ベンゾトリアゾール類およびベンゾフェノン類がある。
【0086】
使用できる着色剤は無機系顔料、例えば二酸化チタン、ウルトラマリンブルー、酸化鉄、およびカーボンブラックおよび有機系顔料、例えばフタロシアニン類、キナクリドン類、ペリレン類、および染料、例えばニグロシンおよびアントラキノンおよび他の着色剤がある。本発明の目的にとってカーボンブラックを使用するのが有利である。
【0087】
使用できる核形成剤の例にはフェニルホスフィン酸ナトリウム、酸化アルミニウムまたは二酸化珪素がある。
【0088】
一般に使用される潤滑剤および離型剤はエステルワックス、ペンタエリスリットール−テトラステアレート(PETS)、長鎖脂肪酸(例えばステアリン酸またはべヘン酸)、これら酸の塩(例えばステアリン酸カルシウムまたはステアリン酸亜鉛)、およびアミド誘導体(例えばエチレンビスステアリルアミド)、またはモンタンワックス(炭素原子数28〜32の鎖長を有する長鎖飽和カルボン酸の混合物)および低分子量ポリエチレンワックスおよび低分子量ポリプロピレンワックスがある。
【0089】
挙げることのできる可塑剤の例にはジオクチルフタレート、ジベンジルフタレート、ブチルベンジルフタレート、炭化水素油およびN−(n−ブチル)ベンゼン−スルホアミドがある。
【0090】
使用できる他の難燃剤の例には、モノ−およびオリゴ−リン酸エステルおよび−ホスホン酸エステル、ホスホナート類、ホスフィナート類、ホスフィット類、ハイポホスフィット類、ホフィンオキシド類およびホスファゼン類(phosphazenes)よりなる群から選択されるリン含有難燃剤がある。その際に、これらの群の1つ以上から選択される2種以上の成分の混合物を難燃剤として使用することができる。ここに記載していない他の、好ましくはハロゲン不含のリン化合物を単独でまたは他の、好ましくはハロゲン不含のリン化合物とのあらゆる所望の組合せで使用することも可能である。
【0091】
実施例:
・ 使用する成分:
市販のポリマー(ペレット):
成分A:
ナイロン−6,6(PA 6.6): (R)Durethan A 30 (製造元:Bayer AG, D)
成分B:
(R)Vetrotex EC 10 P983 ガラス繊維(Vetrotex, D)
(R)Tremin 283 600 ケイ灰石
難燃剤成分(粉末):
成分C:
(R)Exolit RP 695(製造元: Clariant GmbH、ドイツ国ザルツバッハ):
ナイロン−6中に50%の安定化されマイクロカプセル化された赤燐を混入したマスターバッチ
(R)Exolit RP 689(製造元: Clariant GmbH、ドイツ国ザルツバッハ):
フェノール樹脂中に50%の安定化されマイクロカプセル化された赤燐を混入したマスターバッチ
成分D:
(R)Melapur 200 (メラミンポリホスファート)(以下、MPPと言う):製造元Ciba Melapur社、 NL。
成分E:
(R)Alnovol PN 320:Exolit RP 689で使用した熱可塑性フェノール樹脂 (Vianova Resins, D)
成分F:
(R)Nanofil 9:製造元Sudchemie社、 Moosburg, D:
化学官能性のn−C18−アルキル基を持つ有機変性されたナノ分散層状珪酸塩(白色粉末)
2.難燃性合成樹脂成形体の製造、加工および試験:
難燃剤成分をポリマーペレットおよび場合によっては安定剤と表に記載の比で混合し、そして二軸スクリュー式押出機(Leistritz ZSK 27/44) で260〜310℃ の温度で導入する(GRPA6.6)。均一化されたポリマー紐状押出成形物を引出し、水浴中で冷却しそして次にペレット化する。
【0092】
十分に乾燥した後に成形材料を射出成形機((R)Aarburg Allrounder)で270〜320℃の溶融温度 (GRPA6.6)で加工して試験体を得、UL 94(Underwriters Laboratories)によって難燃性について試験し分類する。ここで評価した性質は中でも、ASTM標準試験体の後燃焼時間および滴り挙動である。
【0093】
UL 94 V−0の火炎分類で難燃性合成樹脂を分類するために、適合する特定の基準は次の通りである:5つのASTM規格試験体(寸法:127×12.7×X、X=3.2、1.6および0.8mm)のセットについて、囲いの無い規定の高さの炎を用いて10秒間2回の炎の適用後に10秒より長い時間、後燃焼する試験体はない。5つの試験体について10回の炎の適用での後燃焼時間の合計が50秒より長くない。適合するべき別の基準は、燃焼滴りがなく、試験体が完全には燃え尽きず、各試験体についての後燃焼時間が30秒より長くないことである。分類UL94 V−1は個々の後燃焼時間が30秒より長くいことおよび5個の試験体に対しての10回の炎の適用に対しての後燃焼時間の合計が250秒より長くないことを要求する。総後焼け時間が250秒より多くない。他の判定基準は上記のV−0と同じである。分類UL 94 V−2は、燃焼滴りが生じるが、他の判定基準はUL 94 V−1の別の判定基準に適合する場合に当てはまる。
【0094】
家庭用装置の電子部品についての追加的要求はグロウワイヤー試験、即ちIEC60695−1−12に従うGWFIおよびIEC60695−2−13に従うGWITでの合成樹脂の難燃試験である。ここでの一般的操作は3つの試験体(例えば寸法60×60×1mmの小板)および550〜960℃のグロウワイヤーを使用しGWFIとして、30秒の後燃焼時間を超えずそして試験体が如何なる燃焼滴りを生じない最高温度を測定する。GWITとして測定される温度は試験体が発火しない最高のグロウワイヤー温度より25℃だけ高い(ここで発火とは、炎が5秒よりも長く視認できることを意味する)温度である。この試験も、破損した時にまたは過負荷の際に電子設備において達する温度が直ぐ近くの部材の発火を引き起こすのに十分な高さであるので、電気および電子分野で特に興味が持たれている。グロウワイヤー試験はこの種の熱応力のシュミレーションである。家庭用装置を制限なく使用するためには、試験体は850℃のGWFIおよび775℃のGWITを有しているべきである。
【0095】
成形材料の流動性は溶融容積指数(MVR)を275℃/2.16kgで測定することにより決めた。MVR-値の顕著な上昇はポリマーが分解していることを示している。
【0096】
他に指摘がない限り、同じ条件(温度プロフィール、スクリュー形状、射出成形パラメータ等)を、比較する理由で各シリーズの全ての実験で使用した。
【0097】
表1は赤燐、メラミンポリホスファート(MPP)および(R)Nanofil 9が難燃剤として使用された比較例を示している。
表1:
比較例(実験シリーズ1):30%のガラス繊維(R)Vetrotex EC 10 P 983でガラス繊維補強したPA6.6中に個々の添加物として各成分を含有する難燃性成形材料。
【0098】
【表1】

【0099】
*) = 分類できず(即ち、後燃焼時間が長過ぎる)
赤燐の使用でUL94V−0が達成されるが、GWIT>775℃でない。メラミンポリホスファートの使用でも同様にV−0しか達成できず、GWITは725℃よりも高くないままである。(R)Nanofil 9はV−2および650℃のGWITしか達成しない。
【0100】
表2は、使用した難燃剤がフェノール樹脂と組み合わせた赤燐((R)Exolit RP 689の状態、即ちフェノール樹脂中に60%の赤燐を含有する濃厚物の状態で使用)および(R)Nanofil 9と組み合わせたメラミンポリホスファート(MPP)よりなる比較例を示している。
表2:
比較例(実験シリーズ2):リン+フェノール樹脂を含有する難燃性成形材料および ナノフィラー含有メラミンポリホスファート。
30% の (R)Vetrotex EC 10 P 983 ガラス繊維含有の(R)Durethan A 30
【0101】
【表2】

【0102】
*) フェノール樹脂中60%の赤燐
二種類の物質の組合せも同様に750℃より高くないGWITしか達成しない。
【0103】
c12 およびc13の処方も、高いMVRから認識できる顕著なポリマー分解を示している。
【0104】
本発明の難燃剤混合物を使用した本発明の実施例の結果を表3に示す。全ての量は、難燃性組合せ物および添加物を含む合成樹脂成形材料を基準とする重量%として記載されている。
表3:GRナイロン−6.6における赤燐、メラミンポリホスファート、フェノール樹脂およびナノフィラーの本発明の組合せ物(ie1〜ie4)
【0105】
【表3】

【0106】
赤燐だけ(比較例c14)で確かにV−0が達成されるが、725〜750℃のGWITしか達成できない。赤燐とメラミンポリホスファートとの本発明の組合せ物(ie1)はV−0だけでなく775℃のGWITも達成する。フェノール樹脂(ie2)が存在する場合には、GWITは更に著しく改善され、同じ結果は(R)Nanofil 9の添加によっても達成される。ie1〜ie4のMVRは17〜23cm/10分でありそしてそれ故にこれらの配合処方はポリマーの分解を示さない。本発明の配合処方は良好な加工性を有しそして良好な機械的性質および電気的性質(例えばCTI 600V)を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分Aとして40〜90重量%のポリマー、成分Bとして0〜40重量%の補強物質、成分Cとして3〜15重量%の赤燐、成分Dとして5〜20重量%のリン系/窒素系難燃剤、成分Eとして0〜15重量%のフェノール樹脂および成分Fとして0〜10重量%のナノ複合材料を含有し、これら成分の合計が常に100重量%になる、耐グロウワイヤー性を有する難燃性ポリマー。
【請求項2】
45〜65重量%の量の成分Aを含有する、請求項1に記載の耐グロウワイヤー性を有する難燃性ポリマー。
【請求項3】
50〜65重量%の量の成分Aを含有する、請求項1または2に記載の耐グロウワイヤー性を有する難燃性ポリマー。
【請求項4】
25〜35重量%の量の成分Bを含有する、請求項1〜3のいずれか一つに記載の耐グロウワイヤー性を有する難燃性ポリマー。
【請求項5】
5〜10重量%の量の成分Cを含有する、請求項1〜4のいずれか一つに記載の耐グロウワイヤー性を有する難燃性ポリマー。
【請求項6】
7〜10重量%の量の成分Cを含有する、請求項1〜5のいずれか一つに記載の耐グロウワイヤー性を有する難燃性ポリマー。
【請求項7】
5〜15重量%の量の成分Dを含有する、請求項1〜6のいずれか一つに記載の耐グロウワイヤー性を有する難燃性ポリマー。
【請求項8】
5〜12重量%の量の成分Dを含有する、請求項1〜7のいずれか一つに記載の耐グロウワイヤー性を有する難燃性ポリマー。
【請求項9】
1〜10重量%の量の成分Eを含有する、請求項1〜8のいずれか一つに記載の耐グロウワイヤー性を有する難燃性ポリマー。
【請求項10】
5〜10重量%の量の成分Eを含有する、請求項1〜9のいずれか一つに記載の耐グロウワイヤー性を有する難燃性ポリマー。
【請求項11】
1〜5重量%の量の成分Fを含有する、請求項1〜10のいずれか一つに記載の耐グロウワイヤー性を有する難燃性ポリマー。
【請求項12】
別に成分Gとして0.05〜10重量%の量の添加物を含有する、請求項1〜11のいずれか一つに記載の耐グロウワイヤー性を有する難燃性ポリマー。
【請求項13】
0.1〜5重量%の量の成分Gを含有する、請求項1〜12のいずれか一つに記載の耐グロウワイヤー性を有する難燃性ポリマー。
【請求項14】
ポリマーがポリアミド類である、請求項1〜13のいずれか一つに記載の耐グロウワイヤー性を有する難燃性ポリマー。
【請求項15】
ポリマーが補強されたポリアミド類である、請求項1〜14のいずれか一つに記載の耐グロウワイヤー性を有する難燃性ポリマー。
【請求項16】
存在する補強物質としてガラス繊維および/または鉱物性充填剤を含む、請求項1〜15のいずれか一つに記載の耐グロウワイヤー性を有する難燃性ポリマー。
【請求項17】
存在する赤燐が安定化された赤燐である、請求項1〜16のいずれか一つに記載の耐グロウワイヤー性を有する難燃性ポリマー。
【請求項18】
赤燐がマグネシウム、錫、アルミニウム、銀またはそれらの組合せで安定化されている、請求項1〜17のいずれか一つに記載の耐グロウワイヤー性を有する難燃性ポリマー。
【請求項19】
赤燐の粒度が<200μmである、請求項1〜18のいずれか一つに記載の耐グロウワイヤー性を有する難燃性ポリマー。
【請求項20】
赤燐がフェノール樹脂濃縮物の状態で使用される、請求項1〜19のいずれか一つに記載の耐グロウワイヤー性を有する難燃性ポリマー。
【請求項21】
リン系−窒素系難燃剤がメラミンとポリリン酸との反応生成物であり、および/またはメラミン縮合物とポリリン酸との反応生成物であるかまたはこれらの混合物である、請求項1〜20のいずれか一つに記載の耐グロウワイヤー性を有する難燃性ポリマー。
【請求項22】
反応生成物がジメラミンピロホスファート、メラミンポリホスファート、メレムポリホスファート、メラムポリホスファート、メロンポリホスファートおよこれらの種類の混合ポリ塩である、請求項21に記載の耐グロウワイヤー性を有する難燃性ポリマー。
【請求項23】
反応生成物がメラミンポリホスファートである、請求項21または22に記載の耐グロウワイヤー性を有する難燃性ポリマー。
【請求項24】
ナノ複合材料が有機的に間挿された層状珪酸塩、ナノ球状酸化物または炭素ナノチューブである、請求項1〜23のいずれか一つに記載の耐グロウワイヤー性を有する難燃性ポリマー。
【請求項25】
有機的に間挿された層状珪酸塩が、原料が膨潤性スメクタイト類、例えばモンモリロナイト類、ヘクトライト類、サポナイト類、またはバイデライトである物質である、請求項24に記載の耐グロウワイヤー性を有する難燃性ポリマー。
【請求項26】
層状珪酸塩に第四アンモニウム化合物、プロトン化アミン類、有機ホスホニウムイオンおよび/またはアミノカルボン酸類が間挿されている、請求項24または25に記載の耐グロウワイヤー性を有する難燃性ポリマー。
【請求項27】
補強物質がガラス繊維、ガラスビーズまたは鉱物性補強物質である、請求項1〜26ずれか一つに記載の耐グロウワイヤー性を有する難燃性ポリマー。
【請求項28】
添加物が安定剤、加工助剤、滴り防止剤、染料、顔料および/またはワックスである、請求項1〜27れか一つに記載の耐グロウワイヤー性を有する難燃性ポリマー。

【公開番号】特開2006−52405(P2006−52405A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−232818(P2005−232818)
【出願日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(597109656)クラリアント・ゲゼルシヤフト・ミト・ベシユレンクテル・ハフツング (115)
【Fターム(参考)】