説明

耐加水分解性ポリアミドを含む海洋ケーブル

良好な耐加水分解性を有し、そして任意選択的に可塑剤を含有してもよいポリアミド組成物を含む海洋ケーブルが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、任意選択的に可塑剤を含んでもよい耐加水分解性ポリアミド組成物を含む海洋ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
海洋ケーブルは、プラットフォーム、水上艦艇、または陸上設備などの管理または処理設備と、海底オイル源泉との間で物質および情報を運ぶために用いられる。ケーブルは、外部ケーシングに入れられた複数の内管を含む。内管は独立して、作動油、メタノールなどの有機溶剤、腐食防止剤、熱水などの物質を水面から源泉まで搬送してもよい。溶剤および熱水は、鉱泉パイプの壁に蓄積したアスファルチン、ワックス、タール、および他の汚染物質を除去するために使用されてもよい。他の内管は、電気および電子ケーブルまたは光ファイバーケーブルなどの通信ケーブルのための導管を提供するかもしれない。
【0003】
ケーブルはしばしば、外部ポリマーパイプに入れられた内部スチールチューブであって、作動油、有機溶剤、熱水などの化学薬品を搬送するために用いられるスチールチューブを含む。スチールは化学薬品に耐性であり、用いられるいかなる高圧にも耐性であり得るが、それは高コスト、高重量、ならびに不満足な柔軟性および疲労強度という欠点を持ち得る。柔軟性および疲労強度は、ケーブルが海流、波、輸送などによって引き起こされる応力にさらされる用途で特に重要である。
【0004】
良好な耐化学薬品性、良好な物理的特性、軽い重量を有し、そして様々な断面のチューブ状構造物に都合よく成形し、多層構造物へ組み込むことができるので、ポリアミドはしばしばパイプおよびチューブ向けの使用に望ましい材料である。しかしながら、多くの海洋ケーブル用途では、内管が水およびアルコールなどの求核試薬に高温で暴露されざるを得ない。かかる条件下では、多くのポリアミドのアミド結合は加水分解を受けやすいかもしれず、加水分解の速度は温度と共に増加する。アミド結合の加水分解は分子量の低下、および使用中にパイプの破損をもたらし得る物理的特性の付随する喪失を引き起こし得る。かかる破損は、流体の損失が、ケーブル中に存在する他の構成部品の性能の障害から、外部パイプが破損した場合の流体の外部環境との接触にいたるまで望ましくない結果を引き起こして、大惨事を起こす場合がある。
【0005】
ポリアミド6,12またはポリアミド11などの脂肪族ポリアミドはしばしばパイプおよびチュービングを製造するために使用されるが、多くの用途は、現在入手可能なポリアミドから得ることができるよりも大きな耐加水分解性を必要とする。
【0006】
改善された耐加水分解性を有し、都合よく可塑化して多くの用途で有用であるために必要とされる柔軟性をそれに与えることができるポリアミド組成物を含む海洋ケーブル内管構成部品を得ることが望ましいであろう。本明細書に参照により本明細書に援用される米国特許公報(特許文献1)は、内部ポリマースリーブと内部スリーブ周りに置かれたエポキシマトリックス中にカーボン繊維の外側スリーブとを有するチューブをはじめとする海洋ケーブルを開示している。
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,538,198号明細書
【非特許文献1】コハン,M.I.(Kohan,M.I.)編、ナイロンプラスチック・ハンドブック(Nylon Plastics Handbook)、ミュンヘン、Hanser、1995年、13−32ページ
【非特許文献2】API(米国石油協会)技術レポート17TR2、2003年6月
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
少なくとも1つのポリアミド内管と該少なくとも1つのポリアミド内管を取り囲む外部ケーシングとを含む海洋ケーブルであって、該少なくとも1つのポリアミド内管が
(a)4〜16個の炭素原子を有する少なくとも1つの芳香族ジカルボン酸および/または8〜20個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂環式ジカルボン酸と4〜20個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂肪族ジアミンおよび/または6〜20個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂環式ジアミンとに由来する繰り返し単位を約2〜約35モル%と、
(b)6〜36個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂肪族ジカルボン酸と4〜20個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂肪族ジアミンおよび/または6〜20個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂環式ジアミンとに由来する繰り返し単位、ならびに/あるいは4〜20個の炭素原子を有する少なくとも1つのラクタムおよび/または4〜20個の炭素原子を有するアミノカルボン酸に由来する繰り返し単位を約65〜約98モル%と
を含むポリアミドを含むポリアミド組成物を含むケーブルが本明細書で開示され、権利請求の対象とされている。
【0009】
本ポリアミド組成物は任意選択的に可塑剤をさらに含んでもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本明細書の全体にわたって用いられる多数の用語があり、それについて下記はそれらの範囲および意味を理解するのに役立つであろう。本明細書で用いるところでは、および当業者によって理解されるであろうように、用語「テレフタル酸」、「イソフタル酸」、および「ジカルボン酸/二酸」はまた、カルボン酸エステル、ジエステル、および酸クロリドを含むことができる、これらの物質の相当するカルボン酸誘導体も意味する。さらにおよび本明細書で用いるところでは、そして当業者によって理解されるであろうように、ポリアミドに関連して用語「耐加水分解性」は、水への暴露時にその分子量を保持するポリアミドの能力を意味する。
【0011】
図1および2に例示されるように、本発明の海洋ケーブル10は、下に詳細に記載されるポリアミド組成物を含む1つまたは複数の内管11であって、外部ケーシング12によって取り囲まれている内管を含む。内管11は単一層13または多同心円層14を含んでもよい。多層が存在するとき、少なくとも1つの層は下に記載されるポリアミド組成物を含むが、層は他のポリマー材料、金属、または他の材料を含んでもよい。海洋ケーブル10は任意選択的に、他のポリマー材料およびスチールなどの金属をはじめとする、他の材料を別々に含む追加内管15をさらに含んでもよい。他のポリマー材料には、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6,12、およびポリアミド6,10などのポリアミド、またはポリエチレンもしくはポリプロピレンなどの他のポリマー材料が含まれてもよい。追加内管15は単層または多層であってもよい。外部ケーシング12は任意の好適な材料で製造されてもよい。好ましい材料には、熱可塑性エラストマーが含まれる。内管11、任意選択的に15、およびケーシング12は、互いに物理接触してもよいし、またはそれらの1つまたは複数の間に空間が存在してもよい。
【0012】
チューブ11および15ならびにケーシング12は、円形または略円形の(例えば、卵形の)断面を有してもよい。しかしながらより一般的には、それらは、それらがそれを通して通路を画定する限り、外見上制限のないジオメトリーに造形されてもよい。例えば好適な形状は多角形の形状を含んでもよく、さらに2つ以上の形状をその長さに沿って組み込んでもよい。チューブ11および15ならびにケーシング12は、様々な肉厚および(それらの断面が円形である場合には)直径を有する。
【0013】
本発明のケーブルの内管11は、4〜16個の炭素原子を有する少なくとも1つの芳香族ジカルボン酸および/または8〜20個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂環式ジカルボン酸と4〜20個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂肪族ジアミンおよび/または6〜20個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂環式ジアミンとに由来する約2〜約35モル%、または好ましくは約4〜約20モル%、またはより好ましくは約5〜約11モル%の繰り返し単位(a)を含むポリアミドを含むポリアミド組成物を含む。ポリアミドは、約65〜約98モル%、または好ましくは約80〜約96モル%、またはより好ましくは約89〜約95モル%の、4〜20個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂肪族ジアミンおよび/または6〜20個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂環式ジアミンと6〜36個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂肪族ジカルボン酸とに由来する繰り返し単位(b)ならびに/あるいは4〜20個の炭素原子を有する少なくとも1つのラクタムおよび/またはアミノカルボン酸に由来する繰り返し単位を含む。
【0014】
「芳香族ジカルボン酸」とは、各カルボキシル基が芳香環に直接結合しているジカルボン酸を意味する。好適な芳香族ジカルボン酸の例には、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸が挙げられる。テレフタル酸およびイソフタル酸が好ましい。「脂環式ジカルボン酸」とは、各カルボキシル基が飽和炭化水素環に直接結合しているジカルボン酸を意味する。好適な脂環式ジカルボン酸の例には、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が挙げられる。「脂環式ジアミン」とは、2つの第一級または第二級アミン基を有し、少なくとも1つの飽和炭化水素環を含有するジアミンを意味する。脂環式ジアミンは好ましくは少なくとも1つのシクロヘキサン部分を含有する。好適な脂環式ジアミンの例には、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、およびビス(p−アミノシクロヘキシル)メタンが挙げられる。脂環式ジアミンの立体異性体のいかなるものが使用されてもよい。
【0015】
6〜36個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸の例には、アジピン酸、ノナン二酸、デカン二酸(セバシン酸としても知られる)、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、およびテトラデカン二酸が挙げられる。4〜20個の炭素原子を有する脂肪族ジアミンは線状または分岐であってもよい。好ましいジアミンの例には、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、1,8−ジアミノオクタン、メチル−1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、および1,12−ジアミノドデカンが挙げられる。ラクタムの例には、カプロラクタムおよびラウロラクタムが挙げられる。アミノカルボン酸の例には、アミノデカン酸が挙げられる。
【0016】
好ましいポリアミドは半芳香族ポリアミドである。ポリアミドは好ましくは、テレフタル酸および/またはイソフタル酸とヘキサメチレンジアミンとに由来する繰り返し単位(a)とノナン二酸およびヘキサメチレンジアミン、デカン二酸およびヘキサメチレンジアミン、ウンデカン二酸およびヘキサメチレンジアミン、ドデカン二酸およびヘキサメチレンジアミン、トリデカン二酸およびヘキサメチレンジアミン、テトラデカン二酸およびヘキサメチレンジアミン、カプロラクタム、ラウロラクタム、ならびに11−アミノウンデカン酸の少なくとも1つに由来する繰り返し単位(b)とを含む。
【0017】
好ましいポリアミドは、テレフタル酸とヘキサメチレンジアミンとに由来する約3〜約40モル%の繰り返し単位と補完的にドデカン二酸とヘキサメチレンジアミンとに由来する約60〜約97モル%の繰り返し単位とを含む。別の好ましいポリアミドは、テレフタル酸とヘキサメチレンジアミンとに由来する約3〜約40モル%の繰り返し単位と補完的にデカン二酸とヘキサメチレンジアミンとに由来する約60〜約97モル%の繰り返し単位とを含む。
【0018】
本発明で使用されるポリアミドは、例えば、オートクレーブを用いるバッチ法で、または連続法を用いるなど、当業者に公知の任意の方法によって製造されてもよい。例えば、(非特許文献1)を参照されたい。滑剤、消泡剤、および末端キャッピング剤などの添加剤が重合混合物に加えられてもよい。
【0019】
本発明で使用されるポリアミド組成物は、任意選択的に添加剤を含んでもよい。好ましい添加剤は少なくとも1つの可塑剤である。可塑剤は好ましくはポリアミドと混和性であろう。好適な可塑剤の例には、スルホンアミド、好ましくはベンゼンスルホンアミドおよびトルエンスルホンアミドなどの芳香族スルホンアミドが挙げられる。好適なスルホンアミドの例には、N−ブチルベンゼンスルホンアミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)ベンゼンスルホンアミド、N−エチル−o−トルエンスルホンアミド、N−エチル−p−トルエンスルホンアミド、o−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミドなどのN−アルキルベンゼンスルホンアミドおよびトルエンスルホンアミドが挙げられる。N−ブチルベンゼンスルホンアミド、N−エチル−o−トルエンスルホンアミド、およびN−エチル−p−トルエンスルホンアミドが好ましい。
【0020】
可塑剤は、ポリマーを可塑剤および、任意選択的に、他の成分と溶融ブレンドすることによって、または重合中に組成物中へ組み込まれてもよい。可塑剤が重合中に組み込まれる場合、ポリアミドモノマーは、重合サイクルを開始する前に1つまたは複数の可塑剤とブレンドされ、該ブレンドが重合反応器に導入される。あるいはまた、可塑剤は、重合サイクル中に反応器に加えることができる。
【0021】
使用されるとき、可塑剤は約1〜約20重量%で、またはより好ましくは約6〜約18重量%で、またはさらにより好ましくは約8〜約15重量%で組成物中に存在するであろう。ここで、重量百分率は組成物の総重量を基準にしている。
【0022】
本発明で使用されるポリアミド組成物は任意選択的に、耐衝撃性改良剤;熱、酸化、および/または光安定剤;着色剤;滑剤;金型剥離剤などの追加添加剤を含んでもよい。かかる添加剤は、得られる材料の所望の特性に応じて通常の量で加えることができ、これらの量対所望の特性のコントロールは当業者の知識の範囲内である。
【0023】
存在するとき、添加剤は、任意の公知の方法を用いて溶融ブレンドすることによって本発明で使用されるポリアミド組成物中へ組み込まれてもよい。成分原料は、単軸または二軸スクリュー押出機、ブレンダー、混練機、バンバリー(Banbury)ミキサーなどの溶融ミキサーを用いて均一になるまで混合されてポリアミド組成物を得てもよい。または、材料の一部が溶融ミキサーで混合されてもよく、材料の残りが次に加えられ、均一になるまでさらに溶融混合されてもよい。
【0024】
本発明の内管11は、押出などの、当業者に公知の任意の方法によって形成されてもよい。チューブ11が多層を含むとき、本発明で使用されるポリアミド組成物は、ポリマー層および金属層をはじめとする、1つまたは複数の追加層にわたって押し出されてもよい。あるいはまた、追加層は、押出またはラッピングなどの、当該技術分野で公知の任意の方法によって、本発明で使用されるポリアミドを含む少なくとも1つの層を含むチューブに追加されてもよい。本発明の海洋ケーブルは、当該技術分野で公知の任意の好適な方法によって形成される。
【実施例】
【0025】
(耐加水分解性の測定)
加水分解されたとき、ポリアミドがしばしば物理的特性を失うことは当該技術分野ではよく知られている。物理的特性の喪失はしばしば、ポリアミドの固有粘度の低下と直接相関している。分解の程度は、経時的にポリアミドの固有粘度の低下を観察することによって都合よく研究されてもよい。かかる方法は(非特許文献2)に記載されており、下記の手順が準拠する方法である。
【0026】
耐加水分解性試験は、圧力容器中で蒸留水に浸漬した、標準ISO(国際標準化機構)引張試験片に成形した組成物について行った。水およびサンプルを真空下に30分間保持し、次に高純度アルゴンを、水を通して30分間バブリングして溶存酸素を除去した。容器を次にシールし、通常の電気加熱マントルに入れた。容器中の温度を、容器壁内のサーモウェル中の熱電対を用いてコントロールし、105±1℃に維持し、間隔を置いてサンプルを取り出し、それらの固有粘度および可塑剤含有率を測定した。各サンプルを取り出した後、水を取り替え、新たなサンプルを加え、本手順を繰り返した。
【0027】
固有粘度(IV)は、ポリマーのサンプルをm−クレゾールに溶解させ、ASTM(米国材料試験協会)2857に従って毛管粘度計でIVを測定することによって測定した。サンプル中に存在する可塑剤は加水分解試験中に浸出し、従って測定されるIVに影響を及ぼし得るので、各サンプル中に存在する可塑剤の量を補正することが必要である。
【0028】
各サンプル中の可塑剤の量を補正するために、サンプルを真空下に加熱し、そして加熱中に起こった減量を測定することによって重量%可塑剤含有率を測定した。可塑剤含有率を補正した固有粘度(CIV)は、式(1)
【0029】
【数1】

【0030】
(式中、可塑剤%はサンプル中に存在する可塑剤の重量百分率である)
によって計算した。
【0031】
CIVの%損失は、式(2)
【0032】
【数2】

【0033】
(式中、CIV(t=x)は時間xに採取されたサンプルについてのCIVであり、CIV(t=0)は加水分解試験前に採取されたサンプルについてのCIVである)
によって計算した。
【0034】
%CIV損失をlog10(時間)の関数としてプロットし、ここで、時間は各サンプルを105±1℃での圧力容器中で水に暴露した時間単位の時間である。線形最小二乗適合をlog10(時間)の関数としての%CIV損失のプロットに対して行い、500時間での%CIV損失の値を最小二乗適合から内挿によって計算した。結果を下に報告する。
【0035】
(比較例1)
約8.0のpHを有するポリアミド6,12塩溶液を、ヘキサメチレンジアミンおよび1,12−ドデカン二酸を水に溶解させることによって調製した。溶液中の塩の濃度は45重量%であった。塩溶液(5,700ポンド)を容器に装入した。通常の消泡剤(250gの10重量%水溶液)、リン酸(約0.18ポンドの78重量%水溶液)、およびN−ブチルベンゼンスルホンアミド(490ポンド)を容器に加えた。生じた溶液を次に、圧力下に加熱しながら80重量%に濃縮した。溶液を次にオートクレーブに装入し、加熱した。圧力を265psiaに上げた。加熱を、反応物の温度が255℃に達するまで続行し、その時間中にスチームをガス抜きして圧力を265psiaに維持した。反応温度を280℃に上げながら、圧力を次にゆっくり14.7psiaに下げた。圧力を14.7psiaに、温度を280℃に30分間保持した。生じたポリマー溶融物をストランドへ押し出し、冷却し、ペレットへカットし、それを窒素下160℃で乾燥させた。得られたポリマーを本明細書では以下「C1」と言う。
【0036】
C1(98.4重量%)を、安定剤チヌビン(Tinuvin)(登録商標)234(0.5重量%)、イルガフォス(Irgafos)(登録商標)168(0.4重量%)、イルガノックス(Irganox)(登録商標)1098(0.4重量%)、キマソーブ(Chimassorb)(登録商標)944F(0.3重量%)とドラム中で混転することによって乾式ブレンドした。各安定剤はチバ・スペシャルティ・ケミカルズ、ニューヨーク州タリータウン(Ciba Specialty Chemicals,Tarrytown,NY)から入手可能である。生じたブレンドを次に標準ISO引張試験片に成形した。試験片を上記のような加水分解にさらし、結果を表1に示す。500時間での%CIV損失は、上記の方法を用いて39.8%であると計算された。
【0037】
【表1】

【0038】
(実施例1)
約7.7のpHを有するポリアミド6,12塩溶液を、ヘキサメチレンジアミンおよび1,12−ドデカン二酸を水に溶解させることによって調製した。溶液は44.6重量%の濃度を有した。約8のpHを有するポリアミド6,T塩溶液を、ヘキサメチレンジアミンおよびテレフタル酸を水に溶解させることによって調製した。6,T塩溶液は約40重量%の濃度を有した。両溶液をオートクレーブに装入した。通常の消泡剤(10gの10重量%水溶液)、次亜リン酸ナトリウム(0.014g)、およびN−ブチルベンゼンスルホンアミド(51.1g)をオートクレーブに加えた。生じた溶液を次に、圧力下に加熱しながら80重量%に濃縮した。濃縮した溶液を次に加熱し、圧力を240psiaに上げた。加熱を、反応物の温度が241℃に達するまで続行し、その時間中にスチームをガス抜きして圧力を240psiaに維持した。反応温度を270℃に上げながら、圧力を次にゆっくり14.7psiaに下げた。圧力を14.7psiaに、温度を280℃に60分間保持した。生じたポリマー溶融物をストランドへ押し出し、冷却し、ペレットへカットした。得られたポリマーを本明細書では以下「E1」と言う。
【0039】
E1(98.4重量%)を、安定剤チヌビン(登録商標)234(0.5重量%)、イルガフォス(登録商標)168(0.4重量%)、イルガノックス(登録商標)1098(0.4重量%)、キマソーブ(登録商標)944F(0.3重量%)とドラム中で混転することによって乾式ブレンドした。各安定剤はチバ・スペシャルティ・ケミカルズ、ニューヨーク州タリータウンから入手可能である。生じたブレンドを次に標準ISO引張試験片に成形した。試験片を上記のような加水分解にさらし、結果を表2に示す。500時間での%CIV損失は、上記の方法を用いて29.8%であると計算された。
【0040】
【表2】

【0041】
組成物がヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸とに、およびヘキサメチレンジアミンと1,12−ドデカン二酸とに由来する繰り返し単位を含むポリアミドを含む、実施例1の結果と、組成物がヘキサメチレンジアミンと1,12−ドデカン二酸とに由来する繰り返し単位のみを含むポリアミドを含む、比較例1の結果との比較は、ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸とに由来する繰り返し単位の組み込みが%CIV損失のかなりの減少、従って耐加水分解性の改善につながることを示している。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の例示的なケーブルの断面図である。
【図2】本発明の例示的なケーブルの断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのポリアミド内管と該少なくとも1つのポリアミド内管を取り囲む外部ケーシングとを含む海洋ケーブルであって、該少なくとも1つのポリアミド内管が
(a)4〜16個の炭素原子を有する少なくとも1つの芳香族ジカルボン酸および/または8〜20個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂環式ジカルボン酸と4〜20個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂肪族ジアミンおよび/または6〜20個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂環式ジアミンとに由来する繰り返し単位を約2〜約35モル%と、
(b)6〜36個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂肪族ジカルボン酸と4〜20個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂肪族ジアミンおよび/または6〜20個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂環式ジアミンとに由来する繰り返し単位、ならびに/あるいは4〜20個の炭素原子を有する少なくとも1つのラクタムおよび/または4〜20個の炭素原子を有するアミノカルボン酸に由来する繰り返し単位を約65〜約98モル%と
を含むポリアミドを含むポリアミド組成物を含むことを特徴とするケーブル。
【請求項2】
繰り返し単位(a)がテレフタル酸とヘキサメチレンジアミンとに由来することを特徴とする請求項1に記載のケーブル。
【請求項3】
繰り返し単位(a)がイソフタル酸とヘキサメチレンジアミンとに由来することを特徴とする請求項1に記載のケーブル。
【請求項4】
繰り返し単位(b)がデカン二酸とヘキサメチレンジアミンとに由来することを特徴とする請求項1に記載のケーブル。
【請求項5】
繰り返し単位(b)がドデカン二酸とヘキサメチレンジアミンとに由来することを特徴とする請求項1に記載のケーブル。
【請求項6】
繰り返し単位(b)がデカン二酸とヘキサメチレンジアミンとに由来することを特徴とする請求項2に記載のケーブル。
【請求項7】
繰り返し単位(b)がドデカン二酸とヘキサメチレンジアミンとに由来することを特徴とする請求項2に記載のケーブル。
【請求項8】
前記ポリアミド組成物が約1〜約20重量%の可塑剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のケーブル。
【請求項9】
前記可塑剤がスルホンアミドであることを特徴とする請求項8に記載のケーブル。
【請求項10】
前記可塑剤がN−ブチルベンゼンスルホンアミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)ベンゼンスルホンアミド、N−エチル−o−トルエンスルホンアミド、N−エチル−p−トルエンスルホンアミド、o−トルエンスルホンアミド、およびp−トルエンスルホンアミドの1つまたは複数であることを特徴とする請求項8に記載のケーブル。
【請求項11】
前記ポリアミド組成物が熱、酸化、および/または光安定剤;金型剥離剤;着色剤;ならびに滑剤の1つまたは複数をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のケーブル。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−518426(P2008−518426A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−539234(P2007−539234)
【出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【国際出願番号】PCT/US2005/039218
【国際公開番号】WO2006/047776
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】