耐地震保護器
【課題】平常時には固定せず、地震発生時等の強い加速度が生じた場合のみ自動的にキャスタ付機器の固定を行うこと。
【解決手段】ベース11に取り付けられたガイド部30と、ガイド部30に対し、上下方向に移動自在に設けられると共に、その底面に床面Yに吸着する振動吸収材65を有するアンカー部60と、予め決められた数値以上の加速度を検知する検知部110と、ガイド部30に設けられ、ガイド部30にアンカー部60を着脱自在に保持するとともに、この検知部110による加速度の検知に基づいて、アンカー部60の保持を解除する保持・解除部40とを備えている。
【解決手段】ベース11に取り付けられたガイド部30と、ガイド部30に対し、上下方向に移動自在に設けられると共に、その底面に床面Yに吸着する振動吸収材65を有するアンカー部60と、予め決められた数値以上の加速度を検知する検知部110と、ガイド部30に設けられ、ガイド部30にアンカー部60を着脱自在に保持するとともに、この検知部110による加速度の検知に基づいて、アンカー部60の保持を解除する保持・解除部40とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器・ピアノ・事務機器・各種計測器等の底面にキャスタを有するキャスタ付機器を地震時に移動することを防止する耐地震保護器に関する。
【背景技術】
【0002】
医療機器・ピアノ・事務機器・各種計測器等の比較的重量のある機器は、移動を容易にするために、底面にキャスタが取り付けられていることがある。一方、地震による大きな揺れがあると、これらのキャスタ付機器が大きく移動することがあり、危険であった。
【0003】
このため、キャスタを受け皿状の台座に載せてキャスタ付機器が動かないようにする方法や、キャスタの回転をストッパ等により固定してキャスタ付機器が動かないようにする方法が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−99491号公報
【特許文献2】特開平11−115403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したキャスタ付機器の固定方法では、次のような問題があった。すなわち、固定したい場合には、キャスタ部分に台座を設置したり、ストッパ固定する作業が必要になるとともに、移動時にはそれらを解除する必要があり、地震が無い平常時においては却って使いにくいという問題があった。
【0006】
そこで本発明は、平常時には固定せず、地震発生時の強い加速度が生じた場合のみ自動的にキャスタ付機器の固定を行うことができる耐地震保護器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明の耐地震保護器は次のように構成されている。
【0008】
床面上を移動可能なキャスタが取り付けられるとともに被搭載物を搭載するベースに取り付けられる耐地震保護器において、前記ベースに取り付けられたガイド部と、このガイド部に対し、上下方向に移動自在に設けられると共に、その底面に前記床面に吸着する吸着部を有するアンカー部と、前記ガイド部に設けられ、前記ガイド部に前記アンカー部を着脱自在に保持する保持部と、予め決められた値以上の地震波を検知する検知部と、この検知部による地震波の検知に基づいて、前記保持部による前記アンカー部の保持を解除する解除部とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、平常時には固定せず、地震発生時の強い加速度が生じた場合のみ自動的にキャスタ付機器の固定を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1A】本発明の第1の実施の形態に係る耐地震保護器が取り付けられたキャスタ付機器を下方から示す斜視図。
【図1B】同耐地震保護器による地震判定原理を示す説明図。
【図1C】同耐地震保護器による地震判定原理を示す説明図。
【図1D】同耐地震保護器による地震判定原理を示す説明図。
【図2】同耐地震保護器の平常時を示す縦断面図。
【図3】同耐地震保護器の地震時を示す縦断面図。
【図4】同耐地震保護器に組み込まれたアンカー本体及び振動吸収材を示す底面図。
【図5】同アンカー本体及び振動吸収材の変形例を示す底面図。
【図6A】本発明の第2の実施の形態に係る耐地震保護器を示す斜視図。
【図6B】同耐地震保護器の側面図。
【図7A】同耐地震保護器の変形例を示す斜視図。
【図7B】同耐地震保護器の側面図。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る耐地震保護器を示す斜視図。
【図9】同耐地震保護器の側面図。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係る耐地震保護器の平常時を示す縦断面図。
【図11】同耐地震保護器の地震時を示す縦断面図。
【図12】同耐地震保護器の変形例における平常時を示す縦断面図。
【図13】同耐地震保護器の変形例における地震時を示す縦断面図。
【図14】本発明の第5の実施の形態に係る耐地震保護器の平常時を示す縦断面図。
【図15】同耐地震保護器の地震時を示す縦断面図。
【図16】本発明の第6の実施の形態に係る耐地震保護器の平常時を示す縦断面図。
【図17】同耐地震保護器の地震時を示す縦断面図。
【図18】本発明の第7の実施の形態に係る耐地震保護器の平常時を示す縦断面図。
【図19】同耐地震保護器の地震時を示す縦断面図。
【図20】同アンカー本体及び吸盤の変形例を示す底面図。
【図21】同アンカー本体及び吸盤の変形例を示す底面図。
【図22】同アンカー本体及び吸盤の変形例を示す底面図。
【図23】同アンカー本体及び吸盤の変形例を示す底面図。
【図24】本発明の第8の実施の形態に係る耐地震保護器の平常時を示す正面図。
【図25】同固定相位置を示す側面図。
【図26】同耐地震保護器の地震時を示す平面図。
【図27】本発明の第9の実施の形態に係る耐地震保護器の平常時を示す縦断面図。
【図28】同耐地震保護器に組み込まれた保持・解除部を示す側面図。
【図29】同耐地震保護器の地震時を示す縦断面図。
【図30】同保持・解除部の地震時を示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1Aは本発明の第1の実施の形態に係る耐地震保護器20が取り付けられたキャスタ付機器10を下方から示す斜視図、図1B〜図1Dは耐地震保護器20による地震判定原理を示す説明図、図2は耐地震保護器20の平常時を示す縦断面図、図3は耐地震保護器20の地震時を示す縦断面図、図4は耐地震保護器20に組み込まれたアンカー本体61及び振動吸収材65を示す底面図である。
【0012】
キャスタ付機器10は、医療機器本体(被搭載物)Kを搭載するベース11を備えている。ベース11は、下面11aに床面上を移動可能とするための4組のキャスタ12が取り付けられるとともに上面11bで被搭載物を搭載可能となっている。
【0013】
このベース11の下面11aには耐地震保護器20が取り付けられている。耐地震保護器20は、図2に示すように、4組のガイド部30と、これらガイド部30に対し、上下方向に移動自在に設けられると共に、その底面に平滑な床面Yに吸着する振動吸収材65を有するアンカー部60と、耐地震保護器20を動作させる制御部100が設けられている。
【0014】
ガイド部30は、有底筒状に形成され、開口部を下方に向けたガイド本体31と、ガイド本体31内部に収容され、アンカー部60を着脱自在に保持するとともに、検知部110による加速度の検知に基づいて、アンカー部60の保持を解除する保持・解除部(保持部・解除部)40とを備えている。
【0015】
ガイド本体31の上面には、固定プレート32と、この固定プレート32に取り付けられ、ベース11への取り付け量を調整するための調整ネジ33とを備えている。
【0016】
保持・解除部40は、自己保持型ソレノイド41と、この自己保持型ソレノイド41に対し上下方向に挿脱可能に設けられた鉄心42とを備えている。自己保持型ソレノイド41は、ガイド本体31内部に取り付けられたブラケット41aと、このブラケット41aに支持された軸心を鉛直方向に向けたコイル部41bと、コイル部41bの最上部に設けられた固定鉄心41cと、コイル部41bの下部に配置された永久磁石41dを備えている。
【0017】
自己保持型ソレノイド41は、コイル部41bと永久磁石41dの中央に鉄心42が挿入され、通常時(コイル部41bに非通電)には永久磁石41dの磁力により鉄心42が保持され、作動時にはコイル部41bに通電することにより、永久磁石41dの磁力が打ち消され、鉄心42への保持が解除される。
【0018】
アンカー部60は、ガイド本体31の内周側に配置されて上下方向に移動可能に配置された中空箱型のアンカー本体61と、ガイド本体31とアンカー本体61とを接続するとともにガイド本体31に対しアンカー本体61を下方に付勢するバネ(弾性部材)62と、ガイド本体31とアンカー本体61の上下方向の相対位置を規制するストッパ(下降規制部材/上昇規制部材)63と、アンカー本体61の開口を蓋する消音ゴム64と、アンカー本体61のその底面61bに形成された床面Yに吸着する振動吸収材(吸着部)65を備えている。アンカー本体61は、天板61a、底板61b、側板61cを有している。天板61aには、ねじ孔61dが形成され、鉄心42がねじ込まれている。側板61cには上下方向に沿って長孔61eが形成されており、後述するボルト63aが長孔61eの長手方向に沿って移動可能に配置されている。
【0019】
バネ62は、板バネを渦巻き状に形勢し、その一方の端部を延ばしてガイド本体31に取り付けてある。バネ62が渦巻き状に戻ろうとする力がアンカー本体61に作用し、アンカー本体61を下方へ付勢することとなる。バネ62による付勢力については後述する。
【0020】
ストッパ63は、ガイド本体31とアンカー本体61を水平方向に貫通するボルト63aと、このボルト63aに対しボルト63aの軸心線回りに回動自在に取り付けられた3つの戻止ブロック63b,63c,63dとを備えている。これら戻止ブロック63b〜63dはそれぞれ独立して回動し、床面Yでガイド本体31の距離により、最適な戻止ブロック63b〜63dのうち1つが選択され回動する。
【0021】
ストッパ63は、後述するように保持が解除された時にアンカー本体61がガイド本体31から下方へ移動し、脱落するのを防止する機能(下降規制機能)を有している。すなわち、ボルト63aがアンカー本体61の長孔61eの最上端で係止されるため、抜け落ちることがない。
【0022】
一方、保持が解除された後、アンカー本体61が床面Y等から上方への力を受けて、保持状態に戻ることを防止する機能(上昇規制機能)を有している。すなわち、戻止ブロック63b〜63dがアンカー本体61の底板61bの上面に当接し、上方へ移動することがない。
【0023】
振動吸収材65は、例えばウレタンエラストマ等の耐震マットが用いられる。例えば、1辺50〜55mm程度の正方形状であり、25kg前後の耐荷重を有している。本例では、4つ設けられているので耐荷重が100kg前後となる。
【0024】
制御部100は、予め決められた値以上の地震波を検知する検知部110と、この検知部110の出力に基づいて保持・解除部40を動作させる駆動部120とを備えている。駆動部120は、上述したコイル部41bへの通電を行う。
【0025】
なお、検知部110では、地震波を加速度の大きさの他、次のようにして検知するようにすることが好ましい。すなわち、地震波特有の「持続時間」及び「周波数帯域」に基づき、移動時の振動(キャスタ12が段差を乗り上げた場合等)の地震波以外の加速度との区別を行う。例えば、「持続時間」が2秒を越える場合であって、「周波数帯域」が10Hz以下のパワースペクトル密度(周波数当たりのパワー)と、「周波数帯域」が10〜50Hzのパワースペクトル密度を比較し、前者が大きい場合に地震であると判定する。
【0026】
図1B〜図1Dに具体例を示す。「持続時間」は、図1Bに示すように、地震波の加速度波形L1が得られた場合、この加速度波形L1のエンベロープ(包絡線)L2の長さに相当する。エンベロープは、例えばヒルベルト変換により求められる。また、加速度波形L1におけるピーク値の10%を超えた位置を始点、下回った位置を終点とし、始点・終点間をエンベロープL2の長さとする。エンベロープL2の長さは、25秒程度となる。また、図1Cは、地震波の加速度波形Lのパワースペクトラム(周波数波形)Qを示している。この場合、10Hz以下のパワースペクトル密度と、10〜50Hzのパワースペクトル密度を比べると、明らかに前者が大きく、地震波であると判定する。なお、ピーク値の50%をエンベロープL2の長さとしてもよく、適宜、定めるものである。
【0027】
一方、図1Dは、キャスタ12が段差台車が段差を乗り上げた際の加速度波形R1及びエンベロープR2によれば、「持続時間」が0.2秒以下であり、地震波ではないと判定される。なお、地震波の判定については、これらに限られない。
【0028】
このように構成された耐地震保護器20は、次のように動作する。平常時(保持時)には、図2に示すように、ガイド本体31内にアンカー本体61が保持された状態となっている。すなわち、駆動部120からコイル部41bへの通電は行われず、検知部110は待機状態となっている。コイル部41bへ通電されていないため、鉄心42は永久磁石41dの磁力が作用する。一方、バネ62は、アンカー本体61を下方へ付勢しているが、その付勢力より鉄心42への磁力が大きく、アンカー本体61が保持されることとなる。したがって、キャスタ付機器10は、キャスタ12によって、床面Y上を自由に移動可能となる。
【0029】
次に地震時(解除時)について説明する。ある程度大きい地震時には、検知部110により予め決められた値以上の地震波が検知されるため、検知部110から信号が出力され、駆動部120からコイル部41bへの通電が行われる。これにより、コイル部41bに生じる電磁力により、永久磁石41dの磁力が打ち消され、鉄心42への保持が解除される。アンカー本体61は、その自重及びバネ62による付勢力により急激に下方へ落下する。このため、振動吸収材65が床面Yに下方へ押圧力を有した状態で吸着する。バネ62は定荷重バネや逆荷重バネを使用すると振動吸収材65の作動時の省電力化が可能になる。この吸着により、ベース11が床面Yに強く固定され、キャスタ付機器10が床面Yを移動することがない。このため、キャスタ付機器10が人や物に当たったり、転倒する等の問題を防止することができる。
【0030】
また、ストッパ63による下降規制機能を有しているため、ガイド本体31からアンカー本体61が抜け落ちることがない。さらに、ストッパ63による上昇規制機能を有しているため、アンカー本体61を上昇させる力が加わってもアンカー本体61が移動せず、振動吸収材65を床面に吸着させた状態を維持できる。
【0031】
なお、地震が終わり、平常時に戻す場合には、検知部110をリセットし、駆動部120からコイル部41bへの通電をOFFとする。ストッパ63を回動させて、上昇規制機能を解除する。ベース11をひねる等して振動吸収材65と床面Yとの吸着を解除し、下方から上方へアンカー本体61を押圧して上昇させ、鉄心42が永久磁石41dに保持させる。
【0032】
上述したように、本耐地震保護器20によれば、キャスタ付機器10を平常時には固定せず、地震発生時等の強い加速度が生じた場合のみ自動的に固定を行うことができる。
【0033】
なお、図5に示すように、アンカー本体61及び振動吸収材65の形状については、矩形状のものに限られない。
【0034】
図6Aは本発明の第2の実施の形態に係る耐地震保護器20Aを示す斜視図、図6Bは耐地震保護器20Aの側面図である。図6A,図6Bにおいて図2と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。耐地震保護器20Aは、耐地震保護器20と同様の構成を有し、さらにガイド本体31の開口部にシャッタ34aと、このシャッタ34aにその一端が接続されたワイヤ34bとを備えている。なお、ワイヤ34bの他端はガイド本体31の側面を貫通し、アンカー本体61に接続されている。
【0035】
このように構成されていると、平常時にはシャッタ34aが閉じているため、振動吸収材65に埃やゴミ、水分等が付着することを防止でき、振動吸収材65の吸着力を維持できる。また、地震時には、アンカー本体61の下降と共にシャッタ34aが開き、アンカー本体61がガイド部材31から下方へ突出し、上述した耐地震保護器20と同様の機能を発揮することができる。
【0036】
図7Aは耐地震保護器20Aの変形例を示す斜視図、図7Bは耐地震保護器20Aの側面図である。図7A,図7Bにおいて図6A,図6Bと同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。本変形例では、シャッタ34aの代わりに、カバー部材34cが振動吸収材65の表面を覆っており、このカバー部材34cにワイヤ34cの一端が接続されている。いる。なお、カバー部材34cは振動吸収材65の側面のみに接触している。なお、表面の一部に接触させるようにしてもよい。
【0037】
このように構成されていると、平常時にはカバー部材34cが振動吸収材65を覆っているため、振動吸収材65に埃やゴミ、水分等が付着することを防止でき、振動吸収材65の吸着力を維持できる。また、地震時には、アンカー本体61の下降と共にカバー部材34cが開き、上述した耐地震保護器20と同様の機能を発揮することができる。
【0038】
図8は本発明の第3の実施の形態に係る耐地震保護器20Bを示す斜視図、図9は耐地震保護器20Bの側面図である。図8,図9において図2,図7と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。耐地震保護器20Bは、耐地震保護器20と同様の構成を有し、さらにガイド本体31の開口部にシャッタ35aと、このシャッタ35aの一端側に接続されたバネ35bと、シャッタ35aの他端側に配置された保持・解除部35cとを備えている。バネ35bはシャッタ35aを開く方向に付勢力が働いている。また、保持・解除部35cはソレノイド35dと鉄心35eとを備えている。平常時は、鉄心35eの下端が突出しシャッタ35aに係合し、地震時は鉄心35eが上昇して係合が解除される。また、ソレノイド35dへの通電は、駆動部120により、コイル41bへの通電と同時に行われる。
【0039】
このように構成されていると、上述した耐地震保護器20Aと同様の機能を発揮することができる。
【0040】
図10は本発明の第4の実施の形態に係る耐地震保護器20Cの平常時を示す縦断面図、図11は耐地震保護器20Cの地震時を示す縦断面図である。図10,図11において図2と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0041】
耐地震保護器20Cは、前述した保持・解除部40の代わりに、保持・解除部(保持部・解除部)40Aを備えている。
【0042】
保持・解除部40Aは、駆動部120に接続されたソレノイド43と、このソレノイド43に対し水平方向に挿脱可能に設けられた鉄心44と、鉄心44に取り付けられたリンク機構45とを備えている。リンク機構45は、ガイド本体31内部に取り付けられたブラケット45aと、鉄心44に一端が取り付けられた連結板45bと、連結板45bの他端に揺動自在に取り付けられ、ブラケット45aに軸支されたフック45cと、連結板45bに取り付けられ、フック45cを後述する係合孔66に係止する方向へ付勢する引張バネ45dとを備えている。なお、図10中45eはフック45cの揺動軸を示している。
【0043】
なお、ソレノイド43は平常時には非通電であり、鉄心44は連結板45bを介して引張バネ45dの作用により、図10中左方へ移動する。このため、上述した係合孔66にフック45cが係止され、アンカー本体61は保持・解除部40Aに保持される。
【0044】
このように構成された耐地震保護器20Cは、次のように動作する。平常時(保持時)には、駆動部120からソレノイド43への通電は行われず、検知部110は待機状態となっている。ソレノイド43へ通電されていないため、鉄心44には磁力が作用せず、図10に示すように、係合孔66にフック45cが係止され、アンカー本体61は保持・解除部40Aに保持される。したがって、ガイド本体31内にアンカー本体61が保持された状態となっている。なお、バネ62は、アンカー本体61を下方へ付勢しているが、係合孔66とフック45cとの係合が外れることはない。したがって、キャスタ付機器10は、キャスタ12によって、床面Y上の自由に移動可能となる。
【0045】
次に地震時(解除時)について説明する。ある程度大きい地震時には、検知部110により予め決められた値以上の地震波が検知されるため、検知部110から信号が出力され、駆動部120からソレノイド43への通電が行われる。これにより、ソレノイド43に生じる電磁力により、図11に示すように、鉄心44がソレノイド43内に引き込まれる。これにより、連結板45bは図11中右方向に移動し、フック45cが時計回り方向に揺動する。これにより、係合孔66とフック45cとの係合が解除され、アンカー本体61は、その自重及びバネ62による付勢力により急激に下方へ落下する。このため、振動吸収材65が床面Yに下方へ押圧力を有した状態で吸着する。この吸着により、ベース11が床面Yに強く固定され、キャスタ付機器10が床面Yを移動することがない。このため、キャスタ付機器10が人や物に当たったり、転倒する等の問題を防止することができる。
【0046】
また、ストッパ63による下降規制機能及び上昇規制機能は、耐地震保護器20と同様であり、アンカー本体61を所定の位置に維持し続けることができる。
【0047】
なお、地震が終わり、平常時に戻す場合には、検知部110をリセットし、駆動部120からソレノイド43への通電をOFFとする。ストッパ63を回動させて、上昇規制機能を解除する。ベース11をひねる等して振動吸収材65と床面Yとの吸着を解除し、下方から上方へアンカー本体61を押圧して上昇させる。既に、ソレノイド43は非通電であり、フック45cが引張バネ係合孔66にフック45cが係止され、アンカー本体61は保持・解除部40Aに保持される。
【0048】
本実施の形態に係る耐地震保護器20Cにおいても、上述した耐地震保護器20と同様の効果を得ることができる。
【0049】
図12,13は、耐地震保護器20Cをベース11の下面11aではなく、ベース11の側面にブラケット11cを介して取り付けた例を示している。この場合であっても、耐地震保護器20Cと同様の効果を得ることができる。
【0050】
図14は本発明の第5の実施の形態に係る耐地震保護器20Dの平常時を示す縦断面図、図15は耐地震保護器20Dの地震時を示す縦断面図である。なお、図14,図15において図2,図3と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0051】
耐地震保護器20Dは、前述した保持・解除部40の代わりに、保持・解除部(保持部・解除部)40Bを備えている。保持・解除部40Bは、駆動部120に接続された電磁マグネット46と、この電磁マグネット46に固着された固定鉄心47と、アンカー本体61の天板61aに取り付けられた永久磁石48とを備えている。
【0052】
保持・解除部40Bは、通常時(コイル部41bに非通電)には固定鉄心47と永久磁石48は磁力により永久磁石48が吸着しアンカー本体61が保持され、電磁マグネット46に通電することにより、永久磁石48の磁力が打ち消され、固定鉄心47への保持が解除される。
【0053】
このように構成された耐地震保護器20は、次のように動作する。平常時(保持時)には、図14に示すように、ガイド本体31内にアンカー本体61が保持された状態となっている。すなわち、駆動部120から電磁マグネット46への通電は行われず、検知部110は待機状態となっている。電磁マグネット46へ通電されていないため、固定鉄心47は永久磁石48の磁力が作用する。一方、バネ62は、アンカー本体61を下方へ付勢しているが、その付勢力より固定鉄心47の磁力が大きく、アンカー本体61が保持されることとなる。したがって、キャスタ付機器10は、キャスタ12によって、床面Y上の自由に移動可能となる。
【0054】
次に地震時(解除時)について説明する。ある程度大きい地震時には、検知部110により予め決められた値以上の地震波が検知されるため、検知部110から信号が出力され、駆動部120から電磁マグネット46への通電が行われる。これにより、電磁マグネット46に生じる電磁力により、永久磁石48の磁力が打ち消され、固定鉄心47への保持が解除される。アンカー本体61は、図15に示すように、その自重及びバネ62による付勢力により急激に下方へ落下する。このため、振動吸収材65が床面Yに下方へ押圧力を有した状態で吸着する。この吸着により、ベース11が床面Yに強く固定され、キャスタ付機器10が床面Yを移動することがない。このため、キャスタ付機器10が人や物に当たったり、転倒する等の問題を防止することができる。
【0055】
また、ストッパ63による下降規制機能を有しているため、ガイド本体31からアンカー本体61が抜け落ちることがない。さらに、ストッパ63による上昇規制機能を有しているため、アンカー本体61を上昇させる力が加わってもアンカー本体61が移動せず、振動吸収材65を床面に吸着させた状態を維持できる。
【0056】
なお、地震が終わり、平常時に戻す場合には、検知部110をリセットし、駆動部120から電磁マグネット46への通電をOFFとする。ストッパ63を回動させて、上昇規制機能を解除する。ベース11をひねる等して振動吸収材65と床面Yとの吸着を解除し、下方から上方へアンカー本体61を押圧して上昇させ、固定鉄心47により永久磁石48を保持させる。
【0057】
上述したように、本耐地震保護器20Dによれば、上述した耐地震保護器20と同様の効果を得ることができる。
【0058】
図16は本発明の第6の実施の形態に係る耐地震保護器20Eの平常時を示す縦断面図、図17は耐地震保護器20Eの地震時を示す縦断面図である。図16,図17において図10,図11と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0059】
耐地震保護器20Eは、前述したストッパ63の代わりに脱落防止具67、アンカー部60の代わりにアンカー部60Aを備えている。また、ガイド本体31の内周面にはブラケット31aが設けられており、その下面に消音ゴム31bが取り付けられている。
【0060】
脱落防止具67は、ガイド本体31に取り付けられたブラケット67aと、このブラケット67aと後述するブラケット68aとを接続するワイヤ67bとを備えている。なお、ワイヤ67bは金属製の他、他の素材でも良い。
【0061】
アンカー部60Aは、ガイド本体31の内周より僅かに狭い板状のアンカー本体68と、この板材68の上面に立設されたブラケット68aとを備えている。ブラケット68aには係合孔68bが設けられており、フック45cが係止されている。アンカー本体68の下面には振動吸収材65が取り付けられている。
【0062】
このように構成された耐地震保護器20Eは、次のように動作する。平常時(保持時)には、駆動部120からソレノイド43への通電は行われず、検知部110は待機状態となっている。ソレノイド43へ通電されていないため、鉄心44には磁力が作用せず、図16に示すように、係合孔68bにフック45cが係止され、アンカー本体68は保持・解除部40Aに保持される。したがって、ガイド本体31内にアンカー本体68が保持された状態となっている。したがって、キャスタ付機器10は、キャスタ12によって、床面Y上の自由に移動可能となる。
【0063】
次に地震時(解除時)について説明する。ある程度大きい地震時には、検知部110により予め決められた値以上の地震波が検知されるため、検知部110から信号が出力され、駆動部120からソレノイド43への通電が行われる。これにより、ソレノイド43に生じる電磁力により、図17に示すように、鉄心44がソレノイド43内に引き込まれる。これにより、連結板45bは図17中右方向に移動し、フック45cが時計回り方向に揺動する。これにより、係合孔68bとフック45cとの係合が解除され、アンカー本体68は、その自重により落下する。このため、振動吸収材65が床面Yに下方へ押圧力を有した状態で吸着する。この吸着により、ベース11が床面Yにワイヤ67bを介して僅かに移動可能な状態で固定される。キャスタ付機器10が床面Yを大きく移動することがない。このため、キャスタ付機器10が人や物に当たったり、転倒する等の問題を防止することができる。
【0064】
また、脱落防止具67は、アンカー本体68が完全にガイド本体31から所定位置よりも下降することなく、下降規制機能を有している。また、ブラケット31aが設けられているため、アンカー本体68が保持・解除部40Aまで突きあがることを防止することができる。また、ブラケット31aの下面に消音ゴム31bが取り付けられているため、アンカー本体68との衝突音を軽減できる。
【0065】
図18は本発明の第7の実施の形態に係る耐地震保護器20Fの平常時を示す縦断面図、図19は耐地震保護器20Fの地震時を示す縦断面図である。なお、図18,図19において図10,図11と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0066】
本耐地震保護器20Fでは、振動吸収材65の代わりに吸盤(吸着部)70が取り付けられている。吸盤70は振動吸収材65と同様に床面Yに吸着する機能を有するとともに、ベース11をひねることで容易に床面Yと離間させることができる。
【0067】
なお、吸盤70は、図20に示すように1個でもよく、図21に示すように複数でもよい。また、アンカー本体61を箱型とし、図22に示すように吸盤70を1個にしてもよく、図23に示すように吸盤70を複数にしてもよい。
【0068】
図24は本発明の第8の実施の形態に係る耐地震保護器200の平常時を示す正面図、図25は側面図、図26は地震時を示す平面図である。耐地震保護器200は、耐地震保護器20と同様にキャスタ付機器10のベース11の下面に取り付けられている。
【0069】
耐地震保護器200は、図24に示すように、プレート部230と、プレート部230に対し上下方向に移動自在に設けられると共に、その底面に床面Yに吸着する吸盤(吸着部)265を有するアンカープレート部260と、プレート部230に対しアンカープレート部260を上下方向に離接させるための離接機構270と、耐地震保護器200を動作させる制御部100が設けられている。制御部100の構成・機能は前述したものと同様である。
【0070】
プレート230は、開口部を下方に向けた箱状のプレート本体231と、プレート本体231側面に設けられ、アンカープレート部260を着脱自在に保持するとともに、検知部100による加速度の検知に基づいて、アンカープレート部260の保持を解除する保持・解除部(保持部・解除部)240とを備えている。
【0071】
プレート本体231の上面には、ベース11への取り付け量を調整するための調整ネジ232が設けられている。
【0072】
保持・解除部240は、駆動部120に接続されたソレノイド243と、このソレノイド243に対し水平方向に挿脱可能に設けられた鉄心244と、鉄心244に取り付けられた復帰バネ245と、鉄心244の先端に揺動自在に取り付けられた引掛ピン246と、プレート本体231に設けられ、水平方向の揺動軸を有するピン247と、このピン247により揺動自在に支持されたフック248とを備えている。フック248の下端には係合部248aが形成され、後述する係止ピン262に係合する。また、フック248の上端は引掛ピン246に引っ掛かり、鉄心244の動作に応じてフック248が揺動する。
【0073】
なお、ソレノイド243は平常時には非通電であり、鉄心244は復帰バネ245の作用により、図24の位置で保持される。このため、上述した係止ピン262にフック248が係止され、後述するアンカープレート本体261は保持・解除部240に保持される。
【0074】
アンカープレート部260は、開口部を上方に向けた箱状のアンカープレート本体261と、このアンカープレート本体261の側面に設けられた係止ピン262とを備えている。
【0075】
離接機構270は、プレート本体231の内部に揺動支持部271と、この揺動支持部271に基端部が揺動可能に設けられた一対のアーム272,272と、これらアーム272,272の先端に揺動自在に取り付けられたジョイントプレート273と、さらにジョイントプレート273に基端部が揺動自在に設けられるとともに先端がアンカープレート本体261の側面に揺動自在に取り付けられた一対のアーム274,274とを備えている。
【0076】
また、一方のアーム272には、戻り止めプレート275が揺動可能に設けられている(図26参照)。戻り止めプレート275は、その係合溝275aを他方のアーム272に設けられた係止ピン272aに係止することで、アーム272,272の相対移動を規制することができる。これにより、アンカープレート部260の下降規制機能及び上昇規制機能を有している。
【0077】
押さえバネ280は、プレート部230に設けられ、アンカープレート部260を下方に付勢する機能を有している。
【0078】
このように構成された耐地震保護器200は、次のように動作する。平常時(保持時)には、駆動部120からソレノイド243への通電は行われず、検知部110は待機状態となっている。ソレノイド243へ通電されていないため、鉄心244には磁力が作用せず、図24に示すように、係合部248aが係止ピン262に係合した状態となる。したがって、アンカープレート部260はプレート部230側に保持される。したがって、キャスタ付機器10は、キャスタ12によって、床面Y上の自由に移動可能となる。
【0079】
次に地震時(解除時)について説明する。ある程度大きい地震時には、検知部110により予め決められた値以上の地震波が検知されるため、検知部110から信号が出力され、駆動部120からソレノイド243への通電が行われる。これにより、ソレノイド43に生じる電磁力により、鉄心244がソレノイド243内に引き込まれる。これにより、フック248が時計回り方向に揺動し、係合部248aが係止ピン262から外れる。これにより、アンカープレート部260の自重及び押さえバネ280による下方への付勢力により、アンカープレート部260が急激に下方へ落下する。このため、吸盤265が床面Yに下方へ押圧力を有した状態で吸着する。この吸着により、ベース11が床面Yに強く固定され、キャスタ付機器10が床面Yを移動することがない。このため、キャスタ付機器10が人や物に当たったり、転倒する等の問題を防止することができる。
【0080】
また、戻り止めプレート275の係合溝275aが係止ピン272aに係止することで、アーム272,272の相対移動が規制され、下降規制及び上昇規制が行われる。
【0081】
上述したように、本耐地震保護器200によれば、キャスタ付機器10を平常時には固定せず、地震発生時等の強い加速度が生じた場合のみ自動的に固定を行うことができる。
【0082】
図27は本発明の第9の実施の形態に係る耐地震保護器300の平常時を示す縦断面図、図28は耐地震保護器300に組み込まれた保持・解除部320を示す側面図、図29は耐地震保護器300の地震時を示す縦断面図、図30は耐地震保護器300に組み込まれた保持・解除部320を示す側面図である。なお、これらの図中において図1Aと同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0083】
耐地震保護器300は、開口部を下方に向けたガイド部310と、このガイド部310の天井面に設けられた一対の保持・解除部(保持部・解除部)320と、ガイド部310の天井面に設けられたシャックル350と、このシャックル350にロープ351を介して吊り下げられたブラケット360と、このブラケット360の下面に設けられたアンカー本体(アンカー部)370と、このアンカー本体370の下面に設けられた振動吸収材380とを備えている。また、アンカー本体370には、アンカーシャフト390が設けられている。
【0084】
保持・解除部320には、制御部100に接続され、動作が制御される駆動部330と、揺動自在に設けられ、アンカーシャフト390を保持・解除するフック機構340が設けられている。駆動部330は、ソレノイド331と、このソレノイド331に対し水平方向に挿脱可能に設けられた鉄心332と、鉄心332をソレノイド331から脱した状態で保持するための圧縮バネ333とを備えている。なお、鉄心332の先端側には水平方向に突出する軸332aが設けられている。軸332aは後述する長孔341aに係合する。なお、ソレノイド331に通電されると圧縮バネ333を圧縮しながら、鉄心332が引き込まれる。
【0085】
フック機構340は、フック板341と、このフック板341を揺動自在に支持する水平方向の揺動軸342とを備えている。フック板341の一端側には、軸332aが係合する長孔341aが設けられ、他端側には、アンカーシャフト390が係合するフック341bが設けられている。フック板341は、駆動部330の動作、すなわち鉄心332の挿脱により揺動するように構成されている。
【0086】
アンカー本体370及び振動吸収材380は、柔軟性を持つ樹脂(例えば、ポリカーボネート)である。
【0087】
このように構成された耐地震保護器300は、次のように動作する。平常時(保持時)には、図27,28に示すように、鉄心332がソレノイド331から脱した状態となり、フック341bによりアンカーシャフト390が保持されている。したがって、キャスタ付機器10は、キャスタ12によって、床面Y上の自由に移動可能となる。
【0088】
次に地震時(解除時)について説明する。地震を検知して、制御部100からソレノイド331に通電されると、鉄心332がソレノイド331に引き込まれる。これにより、フック板341が揺動し、フック341bからアンカーシャフト390が脱落する。これにより、アンカー本体370が落下し、振動吸収材380が床面Yに下方へ押圧力を有した状態で当接する。この時、アンカー本体370及び振動吸収材380は、柔軟性を有する樹脂により形成されているので、ごく短時間で床Yに吸着する。
【0089】
これにより、ベース11が床面Yに強く固定され、キャスタ付機器10が床面Yを移動することがない。このため、キャスタ付機器10が人や物に当たったり、転倒する等の問題を防止することができる。
【0090】
なお、地震が終わり、平常時に戻す場合には、ソレノイド331への通電をOFFとし、鉄心332をソレノイド331から離脱させる。さらに、圧縮バネ333を圧縮させ、フック板341を揺動させながら、アンカーシャフト390をフック341bに引掛ける。
【0091】
上述したように、本耐地震保護器300によれば、上述した耐地震保護器20と同様の機能を発揮することができる。
【0092】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能であるのは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明によれば、平常時には固定せず、地震発生時等の強い加速度が生じた場合のみ自動的にキャスタ付機器の固定を行う耐地震保護器を提供できる。
【符号の説明】
【0094】
10…キャスタ付機器、11…ベース、12…キャスタ、20,20A,20B,20C,20D,20E,20F…耐地震保護器、30…ガイド部、31…ガイド本体、40,40A,40B…保持・解除部(保持部・解除部)、41…自己保持型ソレノイド、43…ソレノイド、60…アンカー部、61…アンカー本体、62…バネ(弾性部材)、63…ストッパ(下降規制部材/上昇規制部材)、67…脱落防止具、65…振動吸収材、70…吸盤、100…制御部、110…検知部、120…駆動部、200…耐地震保護器、230…プレート部、231…プレート本体、240…保持・解除部(保持部・解除部)、243…ソレノイド、260…アンカープレート部、261…アンカープレート本体、270…離接機構、272,274…アーム。
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器・ピアノ・事務機器・各種計測器等の底面にキャスタを有するキャスタ付機器を地震時に移動することを防止する耐地震保護器に関する。
【背景技術】
【0002】
医療機器・ピアノ・事務機器・各種計測器等の比較的重量のある機器は、移動を容易にするために、底面にキャスタが取り付けられていることがある。一方、地震による大きな揺れがあると、これらのキャスタ付機器が大きく移動することがあり、危険であった。
【0003】
このため、キャスタを受け皿状の台座に載せてキャスタ付機器が動かないようにする方法や、キャスタの回転をストッパ等により固定してキャスタ付機器が動かないようにする方法が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−99491号公報
【特許文献2】特開平11−115403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したキャスタ付機器の固定方法では、次のような問題があった。すなわち、固定したい場合には、キャスタ部分に台座を設置したり、ストッパ固定する作業が必要になるとともに、移動時にはそれらを解除する必要があり、地震が無い平常時においては却って使いにくいという問題があった。
【0006】
そこで本発明は、平常時には固定せず、地震発生時の強い加速度が生じた場合のみ自動的にキャスタ付機器の固定を行うことができる耐地震保護器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明の耐地震保護器は次のように構成されている。
【0008】
床面上を移動可能なキャスタが取り付けられるとともに被搭載物を搭載するベースに取り付けられる耐地震保護器において、前記ベースに取り付けられたガイド部と、このガイド部に対し、上下方向に移動自在に設けられると共に、その底面に前記床面に吸着する吸着部を有するアンカー部と、前記ガイド部に設けられ、前記ガイド部に前記アンカー部を着脱自在に保持する保持部と、予め決められた値以上の地震波を検知する検知部と、この検知部による地震波の検知に基づいて、前記保持部による前記アンカー部の保持を解除する解除部とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、平常時には固定せず、地震発生時の強い加速度が生じた場合のみ自動的にキャスタ付機器の固定を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1A】本発明の第1の実施の形態に係る耐地震保護器が取り付けられたキャスタ付機器を下方から示す斜視図。
【図1B】同耐地震保護器による地震判定原理を示す説明図。
【図1C】同耐地震保護器による地震判定原理を示す説明図。
【図1D】同耐地震保護器による地震判定原理を示す説明図。
【図2】同耐地震保護器の平常時を示す縦断面図。
【図3】同耐地震保護器の地震時を示す縦断面図。
【図4】同耐地震保護器に組み込まれたアンカー本体及び振動吸収材を示す底面図。
【図5】同アンカー本体及び振動吸収材の変形例を示す底面図。
【図6A】本発明の第2の実施の形態に係る耐地震保護器を示す斜視図。
【図6B】同耐地震保護器の側面図。
【図7A】同耐地震保護器の変形例を示す斜視図。
【図7B】同耐地震保護器の側面図。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る耐地震保護器を示す斜視図。
【図9】同耐地震保護器の側面図。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係る耐地震保護器の平常時を示す縦断面図。
【図11】同耐地震保護器の地震時を示す縦断面図。
【図12】同耐地震保護器の変形例における平常時を示す縦断面図。
【図13】同耐地震保護器の変形例における地震時を示す縦断面図。
【図14】本発明の第5の実施の形態に係る耐地震保護器の平常時を示す縦断面図。
【図15】同耐地震保護器の地震時を示す縦断面図。
【図16】本発明の第6の実施の形態に係る耐地震保護器の平常時を示す縦断面図。
【図17】同耐地震保護器の地震時を示す縦断面図。
【図18】本発明の第7の実施の形態に係る耐地震保護器の平常時を示す縦断面図。
【図19】同耐地震保護器の地震時を示す縦断面図。
【図20】同アンカー本体及び吸盤の変形例を示す底面図。
【図21】同アンカー本体及び吸盤の変形例を示す底面図。
【図22】同アンカー本体及び吸盤の変形例を示す底面図。
【図23】同アンカー本体及び吸盤の変形例を示す底面図。
【図24】本発明の第8の実施の形態に係る耐地震保護器の平常時を示す正面図。
【図25】同固定相位置を示す側面図。
【図26】同耐地震保護器の地震時を示す平面図。
【図27】本発明の第9の実施の形態に係る耐地震保護器の平常時を示す縦断面図。
【図28】同耐地震保護器に組み込まれた保持・解除部を示す側面図。
【図29】同耐地震保護器の地震時を示す縦断面図。
【図30】同保持・解除部の地震時を示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1Aは本発明の第1の実施の形態に係る耐地震保護器20が取り付けられたキャスタ付機器10を下方から示す斜視図、図1B〜図1Dは耐地震保護器20による地震判定原理を示す説明図、図2は耐地震保護器20の平常時を示す縦断面図、図3は耐地震保護器20の地震時を示す縦断面図、図4は耐地震保護器20に組み込まれたアンカー本体61及び振動吸収材65を示す底面図である。
【0012】
キャスタ付機器10は、医療機器本体(被搭載物)Kを搭載するベース11を備えている。ベース11は、下面11aに床面上を移動可能とするための4組のキャスタ12が取り付けられるとともに上面11bで被搭載物を搭載可能となっている。
【0013】
このベース11の下面11aには耐地震保護器20が取り付けられている。耐地震保護器20は、図2に示すように、4組のガイド部30と、これらガイド部30に対し、上下方向に移動自在に設けられると共に、その底面に平滑な床面Yに吸着する振動吸収材65を有するアンカー部60と、耐地震保護器20を動作させる制御部100が設けられている。
【0014】
ガイド部30は、有底筒状に形成され、開口部を下方に向けたガイド本体31と、ガイド本体31内部に収容され、アンカー部60を着脱自在に保持するとともに、検知部110による加速度の検知に基づいて、アンカー部60の保持を解除する保持・解除部(保持部・解除部)40とを備えている。
【0015】
ガイド本体31の上面には、固定プレート32と、この固定プレート32に取り付けられ、ベース11への取り付け量を調整するための調整ネジ33とを備えている。
【0016】
保持・解除部40は、自己保持型ソレノイド41と、この自己保持型ソレノイド41に対し上下方向に挿脱可能に設けられた鉄心42とを備えている。自己保持型ソレノイド41は、ガイド本体31内部に取り付けられたブラケット41aと、このブラケット41aに支持された軸心を鉛直方向に向けたコイル部41bと、コイル部41bの最上部に設けられた固定鉄心41cと、コイル部41bの下部に配置された永久磁石41dを備えている。
【0017】
自己保持型ソレノイド41は、コイル部41bと永久磁石41dの中央に鉄心42が挿入され、通常時(コイル部41bに非通電)には永久磁石41dの磁力により鉄心42が保持され、作動時にはコイル部41bに通電することにより、永久磁石41dの磁力が打ち消され、鉄心42への保持が解除される。
【0018】
アンカー部60は、ガイド本体31の内周側に配置されて上下方向に移動可能に配置された中空箱型のアンカー本体61と、ガイド本体31とアンカー本体61とを接続するとともにガイド本体31に対しアンカー本体61を下方に付勢するバネ(弾性部材)62と、ガイド本体31とアンカー本体61の上下方向の相対位置を規制するストッパ(下降規制部材/上昇規制部材)63と、アンカー本体61の開口を蓋する消音ゴム64と、アンカー本体61のその底面61bに形成された床面Yに吸着する振動吸収材(吸着部)65を備えている。アンカー本体61は、天板61a、底板61b、側板61cを有している。天板61aには、ねじ孔61dが形成され、鉄心42がねじ込まれている。側板61cには上下方向に沿って長孔61eが形成されており、後述するボルト63aが長孔61eの長手方向に沿って移動可能に配置されている。
【0019】
バネ62は、板バネを渦巻き状に形勢し、その一方の端部を延ばしてガイド本体31に取り付けてある。バネ62が渦巻き状に戻ろうとする力がアンカー本体61に作用し、アンカー本体61を下方へ付勢することとなる。バネ62による付勢力については後述する。
【0020】
ストッパ63は、ガイド本体31とアンカー本体61を水平方向に貫通するボルト63aと、このボルト63aに対しボルト63aの軸心線回りに回動自在に取り付けられた3つの戻止ブロック63b,63c,63dとを備えている。これら戻止ブロック63b〜63dはそれぞれ独立して回動し、床面Yでガイド本体31の距離により、最適な戻止ブロック63b〜63dのうち1つが選択され回動する。
【0021】
ストッパ63は、後述するように保持が解除された時にアンカー本体61がガイド本体31から下方へ移動し、脱落するのを防止する機能(下降規制機能)を有している。すなわち、ボルト63aがアンカー本体61の長孔61eの最上端で係止されるため、抜け落ちることがない。
【0022】
一方、保持が解除された後、アンカー本体61が床面Y等から上方への力を受けて、保持状態に戻ることを防止する機能(上昇規制機能)を有している。すなわち、戻止ブロック63b〜63dがアンカー本体61の底板61bの上面に当接し、上方へ移動することがない。
【0023】
振動吸収材65は、例えばウレタンエラストマ等の耐震マットが用いられる。例えば、1辺50〜55mm程度の正方形状であり、25kg前後の耐荷重を有している。本例では、4つ設けられているので耐荷重が100kg前後となる。
【0024】
制御部100は、予め決められた値以上の地震波を検知する検知部110と、この検知部110の出力に基づいて保持・解除部40を動作させる駆動部120とを備えている。駆動部120は、上述したコイル部41bへの通電を行う。
【0025】
なお、検知部110では、地震波を加速度の大きさの他、次のようにして検知するようにすることが好ましい。すなわち、地震波特有の「持続時間」及び「周波数帯域」に基づき、移動時の振動(キャスタ12が段差を乗り上げた場合等)の地震波以外の加速度との区別を行う。例えば、「持続時間」が2秒を越える場合であって、「周波数帯域」が10Hz以下のパワースペクトル密度(周波数当たりのパワー)と、「周波数帯域」が10〜50Hzのパワースペクトル密度を比較し、前者が大きい場合に地震であると判定する。
【0026】
図1B〜図1Dに具体例を示す。「持続時間」は、図1Bに示すように、地震波の加速度波形L1が得られた場合、この加速度波形L1のエンベロープ(包絡線)L2の長さに相当する。エンベロープは、例えばヒルベルト変換により求められる。また、加速度波形L1におけるピーク値の10%を超えた位置を始点、下回った位置を終点とし、始点・終点間をエンベロープL2の長さとする。エンベロープL2の長さは、25秒程度となる。また、図1Cは、地震波の加速度波形Lのパワースペクトラム(周波数波形)Qを示している。この場合、10Hz以下のパワースペクトル密度と、10〜50Hzのパワースペクトル密度を比べると、明らかに前者が大きく、地震波であると判定する。なお、ピーク値の50%をエンベロープL2の長さとしてもよく、適宜、定めるものである。
【0027】
一方、図1Dは、キャスタ12が段差台車が段差を乗り上げた際の加速度波形R1及びエンベロープR2によれば、「持続時間」が0.2秒以下であり、地震波ではないと判定される。なお、地震波の判定については、これらに限られない。
【0028】
このように構成された耐地震保護器20は、次のように動作する。平常時(保持時)には、図2に示すように、ガイド本体31内にアンカー本体61が保持された状態となっている。すなわち、駆動部120からコイル部41bへの通電は行われず、検知部110は待機状態となっている。コイル部41bへ通電されていないため、鉄心42は永久磁石41dの磁力が作用する。一方、バネ62は、アンカー本体61を下方へ付勢しているが、その付勢力より鉄心42への磁力が大きく、アンカー本体61が保持されることとなる。したがって、キャスタ付機器10は、キャスタ12によって、床面Y上を自由に移動可能となる。
【0029】
次に地震時(解除時)について説明する。ある程度大きい地震時には、検知部110により予め決められた値以上の地震波が検知されるため、検知部110から信号が出力され、駆動部120からコイル部41bへの通電が行われる。これにより、コイル部41bに生じる電磁力により、永久磁石41dの磁力が打ち消され、鉄心42への保持が解除される。アンカー本体61は、その自重及びバネ62による付勢力により急激に下方へ落下する。このため、振動吸収材65が床面Yに下方へ押圧力を有した状態で吸着する。バネ62は定荷重バネや逆荷重バネを使用すると振動吸収材65の作動時の省電力化が可能になる。この吸着により、ベース11が床面Yに強く固定され、キャスタ付機器10が床面Yを移動することがない。このため、キャスタ付機器10が人や物に当たったり、転倒する等の問題を防止することができる。
【0030】
また、ストッパ63による下降規制機能を有しているため、ガイド本体31からアンカー本体61が抜け落ちることがない。さらに、ストッパ63による上昇規制機能を有しているため、アンカー本体61を上昇させる力が加わってもアンカー本体61が移動せず、振動吸収材65を床面に吸着させた状態を維持できる。
【0031】
なお、地震が終わり、平常時に戻す場合には、検知部110をリセットし、駆動部120からコイル部41bへの通電をOFFとする。ストッパ63を回動させて、上昇規制機能を解除する。ベース11をひねる等して振動吸収材65と床面Yとの吸着を解除し、下方から上方へアンカー本体61を押圧して上昇させ、鉄心42が永久磁石41dに保持させる。
【0032】
上述したように、本耐地震保護器20によれば、キャスタ付機器10を平常時には固定せず、地震発生時等の強い加速度が生じた場合のみ自動的に固定を行うことができる。
【0033】
なお、図5に示すように、アンカー本体61及び振動吸収材65の形状については、矩形状のものに限られない。
【0034】
図6Aは本発明の第2の実施の形態に係る耐地震保護器20Aを示す斜視図、図6Bは耐地震保護器20Aの側面図である。図6A,図6Bにおいて図2と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。耐地震保護器20Aは、耐地震保護器20と同様の構成を有し、さらにガイド本体31の開口部にシャッタ34aと、このシャッタ34aにその一端が接続されたワイヤ34bとを備えている。なお、ワイヤ34bの他端はガイド本体31の側面を貫通し、アンカー本体61に接続されている。
【0035】
このように構成されていると、平常時にはシャッタ34aが閉じているため、振動吸収材65に埃やゴミ、水分等が付着することを防止でき、振動吸収材65の吸着力を維持できる。また、地震時には、アンカー本体61の下降と共にシャッタ34aが開き、アンカー本体61がガイド部材31から下方へ突出し、上述した耐地震保護器20と同様の機能を発揮することができる。
【0036】
図7Aは耐地震保護器20Aの変形例を示す斜視図、図7Bは耐地震保護器20Aの側面図である。図7A,図7Bにおいて図6A,図6Bと同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。本変形例では、シャッタ34aの代わりに、カバー部材34cが振動吸収材65の表面を覆っており、このカバー部材34cにワイヤ34cの一端が接続されている。いる。なお、カバー部材34cは振動吸収材65の側面のみに接触している。なお、表面の一部に接触させるようにしてもよい。
【0037】
このように構成されていると、平常時にはカバー部材34cが振動吸収材65を覆っているため、振動吸収材65に埃やゴミ、水分等が付着することを防止でき、振動吸収材65の吸着力を維持できる。また、地震時には、アンカー本体61の下降と共にカバー部材34cが開き、上述した耐地震保護器20と同様の機能を発揮することができる。
【0038】
図8は本発明の第3の実施の形態に係る耐地震保護器20Bを示す斜視図、図9は耐地震保護器20Bの側面図である。図8,図9において図2,図7と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。耐地震保護器20Bは、耐地震保護器20と同様の構成を有し、さらにガイド本体31の開口部にシャッタ35aと、このシャッタ35aの一端側に接続されたバネ35bと、シャッタ35aの他端側に配置された保持・解除部35cとを備えている。バネ35bはシャッタ35aを開く方向に付勢力が働いている。また、保持・解除部35cはソレノイド35dと鉄心35eとを備えている。平常時は、鉄心35eの下端が突出しシャッタ35aに係合し、地震時は鉄心35eが上昇して係合が解除される。また、ソレノイド35dへの通電は、駆動部120により、コイル41bへの通電と同時に行われる。
【0039】
このように構成されていると、上述した耐地震保護器20Aと同様の機能を発揮することができる。
【0040】
図10は本発明の第4の実施の形態に係る耐地震保護器20Cの平常時を示す縦断面図、図11は耐地震保護器20Cの地震時を示す縦断面図である。図10,図11において図2と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0041】
耐地震保護器20Cは、前述した保持・解除部40の代わりに、保持・解除部(保持部・解除部)40Aを備えている。
【0042】
保持・解除部40Aは、駆動部120に接続されたソレノイド43と、このソレノイド43に対し水平方向に挿脱可能に設けられた鉄心44と、鉄心44に取り付けられたリンク機構45とを備えている。リンク機構45は、ガイド本体31内部に取り付けられたブラケット45aと、鉄心44に一端が取り付けられた連結板45bと、連結板45bの他端に揺動自在に取り付けられ、ブラケット45aに軸支されたフック45cと、連結板45bに取り付けられ、フック45cを後述する係合孔66に係止する方向へ付勢する引張バネ45dとを備えている。なお、図10中45eはフック45cの揺動軸を示している。
【0043】
なお、ソレノイド43は平常時には非通電であり、鉄心44は連結板45bを介して引張バネ45dの作用により、図10中左方へ移動する。このため、上述した係合孔66にフック45cが係止され、アンカー本体61は保持・解除部40Aに保持される。
【0044】
このように構成された耐地震保護器20Cは、次のように動作する。平常時(保持時)には、駆動部120からソレノイド43への通電は行われず、検知部110は待機状態となっている。ソレノイド43へ通電されていないため、鉄心44には磁力が作用せず、図10に示すように、係合孔66にフック45cが係止され、アンカー本体61は保持・解除部40Aに保持される。したがって、ガイド本体31内にアンカー本体61が保持された状態となっている。なお、バネ62は、アンカー本体61を下方へ付勢しているが、係合孔66とフック45cとの係合が外れることはない。したがって、キャスタ付機器10は、キャスタ12によって、床面Y上の自由に移動可能となる。
【0045】
次に地震時(解除時)について説明する。ある程度大きい地震時には、検知部110により予め決められた値以上の地震波が検知されるため、検知部110から信号が出力され、駆動部120からソレノイド43への通電が行われる。これにより、ソレノイド43に生じる電磁力により、図11に示すように、鉄心44がソレノイド43内に引き込まれる。これにより、連結板45bは図11中右方向に移動し、フック45cが時計回り方向に揺動する。これにより、係合孔66とフック45cとの係合が解除され、アンカー本体61は、その自重及びバネ62による付勢力により急激に下方へ落下する。このため、振動吸収材65が床面Yに下方へ押圧力を有した状態で吸着する。この吸着により、ベース11が床面Yに強く固定され、キャスタ付機器10が床面Yを移動することがない。このため、キャスタ付機器10が人や物に当たったり、転倒する等の問題を防止することができる。
【0046】
また、ストッパ63による下降規制機能及び上昇規制機能は、耐地震保護器20と同様であり、アンカー本体61を所定の位置に維持し続けることができる。
【0047】
なお、地震が終わり、平常時に戻す場合には、検知部110をリセットし、駆動部120からソレノイド43への通電をOFFとする。ストッパ63を回動させて、上昇規制機能を解除する。ベース11をひねる等して振動吸収材65と床面Yとの吸着を解除し、下方から上方へアンカー本体61を押圧して上昇させる。既に、ソレノイド43は非通電であり、フック45cが引張バネ係合孔66にフック45cが係止され、アンカー本体61は保持・解除部40Aに保持される。
【0048】
本実施の形態に係る耐地震保護器20Cにおいても、上述した耐地震保護器20と同様の効果を得ることができる。
【0049】
図12,13は、耐地震保護器20Cをベース11の下面11aではなく、ベース11の側面にブラケット11cを介して取り付けた例を示している。この場合であっても、耐地震保護器20Cと同様の効果を得ることができる。
【0050】
図14は本発明の第5の実施の形態に係る耐地震保護器20Dの平常時を示す縦断面図、図15は耐地震保護器20Dの地震時を示す縦断面図である。なお、図14,図15において図2,図3と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0051】
耐地震保護器20Dは、前述した保持・解除部40の代わりに、保持・解除部(保持部・解除部)40Bを備えている。保持・解除部40Bは、駆動部120に接続された電磁マグネット46と、この電磁マグネット46に固着された固定鉄心47と、アンカー本体61の天板61aに取り付けられた永久磁石48とを備えている。
【0052】
保持・解除部40Bは、通常時(コイル部41bに非通電)には固定鉄心47と永久磁石48は磁力により永久磁石48が吸着しアンカー本体61が保持され、電磁マグネット46に通電することにより、永久磁石48の磁力が打ち消され、固定鉄心47への保持が解除される。
【0053】
このように構成された耐地震保護器20は、次のように動作する。平常時(保持時)には、図14に示すように、ガイド本体31内にアンカー本体61が保持された状態となっている。すなわち、駆動部120から電磁マグネット46への通電は行われず、検知部110は待機状態となっている。電磁マグネット46へ通電されていないため、固定鉄心47は永久磁石48の磁力が作用する。一方、バネ62は、アンカー本体61を下方へ付勢しているが、その付勢力より固定鉄心47の磁力が大きく、アンカー本体61が保持されることとなる。したがって、キャスタ付機器10は、キャスタ12によって、床面Y上の自由に移動可能となる。
【0054】
次に地震時(解除時)について説明する。ある程度大きい地震時には、検知部110により予め決められた値以上の地震波が検知されるため、検知部110から信号が出力され、駆動部120から電磁マグネット46への通電が行われる。これにより、電磁マグネット46に生じる電磁力により、永久磁石48の磁力が打ち消され、固定鉄心47への保持が解除される。アンカー本体61は、図15に示すように、その自重及びバネ62による付勢力により急激に下方へ落下する。このため、振動吸収材65が床面Yに下方へ押圧力を有した状態で吸着する。この吸着により、ベース11が床面Yに強く固定され、キャスタ付機器10が床面Yを移動することがない。このため、キャスタ付機器10が人や物に当たったり、転倒する等の問題を防止することができる。
【0055】
また、ストッパ63による下降規制機能を有しているため、ガイド本体31からアンカー本体61が抜け落ちることがない。さらに、ストッパ63による上昇規制機能を有しているため、アンカー本体61を上昇させる力が加わってもアンカー本体61が移動せず、振動吸収材65を床面に吸着させた状態を維持できる。
【0056】
なお、地震が終わり、平常時に戻す場合には、検知部110をリセットし、駆動部120から電磁マグネット46への通電をOFFとする。ストッパ63を回動させて、上昇規制機能を解除する。ベース11をひねる等して振動吸収材65と床面Yとの吸着を解除し、下方から上方へアンカー本体61を押圧して上昇させ、固定鉄心47により永久磁石48を保持させる。
【0057】
上述したように、本耐地震保護器20Dによれば、上述した耐地震保護器20と同様の効果を得ることができる。
【0058】
図16は本発明の第6の実施の形態に係る耐地震保護器20Eの平常時を示す縦断面図、図17は耐地震保護器20Eの地震時を示す縦断面図である。図16,図17において図10,図11と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0059】
耐地震保護器20Eは、前述したストッパ63の代わりに脱落防止具67、アンカー部60の代わりにアンカー部60Aを備えている。また、ガイド本体31の内周面にはブラケット31aが設けられており、その下面に消音ゴム31bが取り付けられている。
【0060】
脱落防止具67は、ガイド本体31に取り付けられたブラケット67aと、このブラケット67aと後述するブラケット68aとを接続するワイヤ67bとを備えている。なお、ワイヤ67bは金属製の他、他の素材でも良い。
【0061】
アンカー部60Aは、ガイド本体31の内周より僅かに狭い板状のアンカー本体68と、この板材68の上面に立設されたブラケット68aとを備えている。ブラケット68aには係合孔68bが設けられており、フック45cが係止されている。アンカー本体68の下面には振動吸収材65が取り付けられている。
【0062】
このように構成された耐地震保護器20Eは、次のように動作する。平常時(保持時)には、駆動部120からソレノイド43への通電は行われず、検知部110は待機状態となっている。ソレノイド43へ通電されていないため、鉄心44には磁力が作用せず、図16に示すように、係合孔68bにフック45cが係止され、アンカー本体68は保持・解除部40Aに保持される。したがって、ガイド本体31内にアンカー本体68が保持された状態となっている。したがって、キャスタ付機器10は、キャスタ12によって、床面Y上の自由に移動可能となる。
【0063】
次に地震時(解除時)について説明する。ある程度大きい地震時には、検知部110により予め決められた値以上の地震波が検知されるため、検知部110から信号が出力され、駆動部120からソレノイド43への通電が行われる。これにより、ソレノイド43に生じる電磁力により、図17に示すように、鉄心44がソレノイド43内に引き込まれる。これにより、連結板45bは図17中右方向に移動し、フック45cが時計回り方向に揺動する。これにより、係合孔68bとフック45cとの係合が解除され、アンカー本体68は、その自重により落下する。このため、振動吸収材65が床面Yに下方へ押圧力を有した状態で吸着する。この吸着により、ベース11が床面Yにワイヤ67bを介して僅かに移動可能な状態で固定される。キャスタ付機器10が床面Yを大きく移動することがない。このため、キャスタ付機器10が人や物に当たったり、転倒する等の問題を防止することができる。
【0064】
また、脱落防止具67は、アンカー本体68が完全にガイド本体31から所定位置よりも下降することなく、下降規制機能を有している。また、ブラケット31aが設けられているため、アンカー本体68が保持・解除部40Aまで突きあがることを防止することができる。また、ブラケット31aの下面に消音ゴム31bが取り付けられているため、アンカー本体68との衝突音を軽減できる。
【0065】
図18は本発明の第7の実施の形態に係る耐地震保護器20Fの平常時を示す縦断面図、図19は耐地震保護器20Fの地震時を示す縦断面図である。なお、図18,図19において図10,図11と同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0066】
本耐地震保護器20Fでは、振動吸収材65の代わりに吸盤(吸着部)70が取り付けられている。吸盤70は振動吸収材65と同様に床面Yに吸着する機能を有するとともに、ベース11をひねることで容易に床面Yと離間させることができる。
【0067】
なお、吸盤70は、図20に示すように1個でもよく、図21に示すように複数でもよい。また、アンカー本体61を箱型とし、図22に示すように吸盤70を1個にしてもよく、図23に示すように吸盤70を複数にしてもよい。
【0068】
図24は本発明の第8の実施の形態に係る耐地震保護器200の平常時を示す正面図、図25は側面図、図26は地震時を示す平面図である。耐地震保護器200は、耐地震保護器20と同様にキャスタ付機器10のベース11の下面に取り付けられている。
【0069】
耐地震保護器200は、図24に示すように、プレート部230と、プレート部230に対し上下方向に移動自在に設けられると共に、その底面に床面Yに吸着する吸盤(吸着部)265を有するアンカープレート部260と、プレート部230に対しアンカープレート部260を上下方向に離接させるための離接機構270と、耐地震保護器200を動作させる制御部100が設けられている。制御部100の構成・機能は前述したものと同様である。
【0070】
プレート230は、開口部を下方に向けた箱状のプレート本体231と、プレート本体231側面に設けられ、アンカープレート部260を着脱自在に保持するとともに、検知部100による加速度の検知に基づいて、アンカープレート部260の保持を解除する保持・解除部(保持部・解除部)240とを備えている。
【0071】
プレート本体231の上面には、ベース11への取り付け量を調整するための調整ネジ232が設けられている。
【0072】
保持・解除部240は、駆動部120に接続されたソレノイド243と、このソレノイド243に対し水平方向に挿脱可能に設けられた鉄心244と、鉄心244に取り付けられた復帰バネ245と、鉄心244の先端に揺動自在に取り付けられた引掛ピン246と、プレート本体231に設けられ、水平方向の揺動軸を有するピン247と、このピン247により揺動自在に支持されたフック248とを備えている。フック248の下端には係合部248aが形成され、後述する係止ピン262に係合する。また、フック248の上端は引掛ピン246に引っ掛かり、鉄心244の動作に応じてフック248が揺動する。
【0073】
なお、ソレノイド243は平常時には非通電であり、鉄心244は復帰バネ245の作用により、図24の位置で保持される。このため、上述した係止ピン262にフック248が係止され、後述するアンカープレート本体261は保持・解除部240に保持される。
【0074】
アンカープレート部260は、開口部を上方に向けた箱状のアンカープレート本体261と、このアンカープレート本体261の側面に設けられた係止ピン262とを備えている。
【0075】
離接機構270は、プレート本体231の内部に揺動支持部271と、この揺動支持部271に基端部が揺動可能に設けられた一対のアーム272,272と、これらアーム272,272の先端に揺動自在に取り付けられたジョイントプレート273と、さらにジョイントプレート273に基端部が揺動自在に設けられるとともに先端がアンカープレート本体261の側面に揺動自在に取り付けられた一対のアーム274,274とを備えている。
【0076】
また、一方のアーム272には、戻り止めプレート275が揺動可能に設けられている(図26参照)。戻り止めプレート275は、その係合溝275aを他方のアーム272に設けられた係止ピン272aに係止することで、アーム272,272の相対移動を規制することができる。これにより、アンカープレート部260の下降規制機能及び上昇規制機能を有している。
【0077】
押さえバネ280は、プレート部230に設けられ、アンカープレート部260を下方に付勢する機能を有している。
【0078】
このように構成された耐地震保護器200は、次のように動作する。平常時(保持時)には、駆動部120からソレノイド243への通電は行われず、検知部110は待機状態となっている。ソレノイド243へ通電されていないため、鉄心244には磁力が作用せず、図24に示すように、係合部248aが係止ピン262に係合した状態となる。したがって、アンカープレート部260はプレート部230側に保持される。したがって、キャスタ付機器10は、キャスタ12によって、床面Y上の自由に移動可能となる。
【0079】
次に地震時(解除時)について説明する。ある程度大きい地震時には、検知部110により予め決められた値以上の地震波が検知されるため、検知部110から信号が出力され、駆動部120からソレノイド243への通電が行われる。これにより、ソレノイド43に生じる電磁力により、鉄心244がソレノイド243内に引き込まれる。これにより、フック248が時計回り方向に揺動し、係合部248aが係止ピン262から外れる。これにより、アンカープレート部260の自重及び押さえバネ280による下方への付勢力により、アンカープレート部260が急激に下方へ落下する。このため、吸盤265が床面Yに下方へ押圧力を有した状態で吸着する。この吸着により、ベース11が床面Yに強く固定され、キャスタ付機器10が床面Yを移動することがない。このため、キャスタ付機器10が人や物に当たったり、転倒する等の問題を防止することができる。
【0080】
また、戻り止めプレート275の係合溝275aが係止ピン272aに係止することで、アーム272,272の相対移動が規制され、下降規制及び上昇規制が行われる。
【0081】
上述したように、本耐地震保護器200によれば、キャスタ付機器10を平常時には固定せず、地震発生時等の強い加速度が生じた場合のみ自動的に固定を行うことができる。
【0082】
図27は本発明の第9の実施の形態に係る耐地震保護器300の平常時を示す縦断面図、図28は耐地震保護器300に組み込まれた保持・解除部320を示す側面図、図29は耐地震保護器300の地震時を示す縦断面図、図30は耐地震保護器300に組み込まれた保持・解除部320を示す側面図である。なお、これらの図中において図1Aと同一機能部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0083】
耐地震保護器300は、開口部を下方に向けたガイド部310と、このガイド部310の天井面に設けられた一対の保持・解除部(保持部・解除部)320と、ガイド部310の天井面に設けられたシャックル350と、このシャックル350にロープ351を介して吊り下げられたブラケット360と、このブラケット360の下面に設けられたアンカー本体(アンカー部)370と、このアンカー本体370の下面に設けられた振動吸収材380とを備えている。また、アンカー本体370には、アンカーシャフト390が設けられている。
【0084】
保持・解除部320には、制御部100に接続され、動作が制御される駆動部330と、揺動自在に設けられ、アンカーシャフト390を保持・解除するフック機構340が設けられている。駆動部330は、ソレノイド331と、このソレノイド331に対し水平方向に挿脱可能に設けられた鉄心332と、鉄心332をソレノイド331から脱した状態で保持するための圧縮バネ333とを備えている。なお、鉄心332の先端側には水平方向に突出する軸332aが設けられている。軸332aは後述する長孔341aに係合する。なお、ソレノイド331に通電されると圧縮バネ333を圧縮しながら、鉄心332が引き込まれる。
【0085】
フック機構340は、フック板341と、このフック板341を揺動自在に支持する水平方向の揺動軸342とを備えている。フック板341の一端側には、軸332aが係合する長孔341aが設けられ、他端側には、アンカーシャフト390が係合するフック341bが設けられている。フック板341は、駆動部330の動作、すなわち鉄心332の挿脱により揺動するように構成されている。
【0086】
アンカー本体370及び振動吸収材380は、柔軟性を持つ樹脂(例えば、ポリカーボネート)である。
【0087】
このように構成された耐地震保護器300は、次のように動作する。平常時(保持時)には、図27,28に示すように、鉄心332がソレノイド331から脱した状態となり、フック341bによりアンカーシャフト390が保持されている。したがって、キャスタ付機器10は、キャスタ12によって、床面Y上の自由に移動可能となる。
【0088】
次に地震時(解除時)について説明する。地震を検知して、制御部100からソレノイド331に通電されると、鉄心332がソレノイド331に引き込まれる。これにより、フック板341が揺動し、フック341bからアンカーシャフト390が脱落する。これにより、アンカー本体370が落下し、振動吸収材380が床面Yに下方へ押圧力を有した状態で当接する。この時、アンカー本体370及び振動吸収材380は、柔軟性を有する樹脂により形成されているので、ごく短時間で床Yに吸着する。
【0089】
これにより、ベース11が床面Yに強く固定され、キャスタ付機器10が床面Yを移動することがない。このため、キャスタ付機器10が人や物に当たったり、転倒する等の問題を防止することができる。
【0090】
なお、地震が終わり、平常時に戻す場合には、ソレノイド331への通電をOFFとし、鉄心332をソレノイド331から離脱させる。さらに、圧縮バネ333を圧縮させ、フック板341を揺動させながら、アンカーシャフト390をフック341bに引掛ける。
【0091】
上述したように、本耐地震保護器300によれば、上述した耐地震保護器20と同様の機能を発揮することができる。
【0092】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能であるのは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明によれば、平常時には固定せず、地震発生時等の強い加速度が生じた場合のみ自動的にキャスタ付機器の固定を行う耐地震保護器を提供できる。
【符号の説明】
【0094】
10…キャスタ付機器、11…ベース、12…キャスタ、20,20A,20B,20C,20D,20E,20F…耐地震保護器、30…ガイド部、31…ガイド本体、40,40A,40B…保持・解除部(保持部・解除部)、41…自己保持型ソレノイド、43…ソレノイド、60…アンカー部、61…アンカー本体、62…バネ(弾性部材)、63…ストッパ(下降規制部材/上昇規制部材)、67…脱落防止具、65…振動吸収材、70…吸盤、100…制御部、110…検知部、120…駆動部、200…耐地震保護器、230…プレート部、231…プレート本体、240…保持・解除部(保持部・解除部)、243…ソレノイド、260…アンカープレート部、261…アンカープレート本体、270…離接機構、272,274…アーム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面上を移動可能なキャスタが取り付けられるとともに被搭載物を搭載するベースに取り付けられる耐地震保護器において、
前記ベースに取り付けられたガイド部と、
このガイド部に対し、上下方向に移動自在に設けられると共に、その底面に前記床面に吸着する吸着部を有するアンカー部と、
前記ガイド部に設けられ、前記ガイド部に前記アンカー部を着脱自在に保持する保持部と、
予め決められた値以上の地震波を検知する検知部と、
この検知部による地震波の検知に基づいて、前記保持部による前記アンカー部の保持を解除する解除部とを備えていることを特徴とする耐地震保護器。
【請求項2】
前記保持部は、前記ガイド部に設けられた係合部と、前記アンカー部に設けられ、前記係合部に着脱自在に係合する被係合部とを有し、
前記解除部は、前記ガイド部に設けられたソレノイド部と、このソレノイド部に通電することで、前記係合部と前記被係合部との係合を解除する解除機構とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の耐地震保護器。
【請求項3】
前記保持部は、前記ガイド部に設けられた自己保持型ソレノイド及び前記アンカー部に設けられた鉄心とを備え、
前記解除部は、前記ソレノイドへの通電を行うことを特徴とする請求項1に記載の耐地震保護器。
【請求項4】
前記保持部は、前記ガイド部に設けられた電磁石及び固定鉄心、及び、前記アンカー部に設けられた永久磁石とを備え、
前記解除部は、前記電磁石への通電を行うことで前記電磁石と前記永久磁石とを反発させることを特徴とする請求項1に記載の耐地震保護器。
【請求項5】
前記ガイド部と前記アンカー部との間には、解除時に前記アンカー部の下方への移動を規制する下降規制部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の耐地震保護器。
【請求項6】
前記ガイド部には、解除時に前記アンカー部の上方への移動を規制する上昇規制部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の耐地震保護器。
【請求項7】
前記ガイド部と前記アンカー部とは、結合部材で離接可能に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の耐地震保護器。
【請求項8】
前記結合部材は、前記アンカー部を下方へ付勢する弾性部材であることを特徴とする請求項7に記載の耐地震保護器。
【請求項9】
前記吸着部は、粘着性シートであることを特徴とする請求項1に記載の耐地震保護器。
【請求項10】
前記ガイド部は筒状に形成され、前記アンカー部は保持される際に前記ガイド部内に収容されるとともに保持が解除される際に前記ガイド部から突出し、
さらに、前記ガイド部の下側開口部には前記ガイド部の収容時には閉鎖され、突出時には開口する蓋部が設けられていることを特徴とする請求項9に記載の耐地震保護器。
【請求項11】
前記吸着部は、吸引パッドであることを特徴とする請求項1に記載の耐地震保護器。
【請求項12】
前記検知部は、地震波と移動時の振動とを検出した周波数帯域によって区別することを特徴とする請求項1に記載の耐地震保護器。
【請求項13】
前記検知部は、地震波と移動時の振動とを検出した振動の持続時間によって区別することを特徴とする請求項1に記載の耐地震保護器。
【請求項14】
前記アンカー部は、柔軟性を持つ樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の耐地震保護器。
【請求項1】
床面上を移動可能なキャスタが取り付けられるとともに被搭載物を搭載するベースに取り付けられる耐地震保護器において、
前記ベースに取り付けられたガイド部と、
このガイド部に対し、上下方向に移動自在に設けられると共に、その底面に前記床面に吸着する吸着部を有するアンカー部と、
前記ガイド部に設けられ、前記ガイド部に前記アンカー部を着脱自在に保持する保持部と、
予め決められた値以上の地震波を検知する検知部と、
この検知部による地震波の検知に基づいて、前記保持部による前記アンカー部の保持を解除する解除部とを備えていることを特徴とする耐地震保護器。
【請求項2】
前記保持部は、前記ガイド部に設けられた係合部と、前記アンカー部に設けられ、前記係合部に着脱自在に係合する被係合部とを有し、
前記解除部は、前記ガイド部に設けられたソレノイド部と、このソレノイド部に通電することで、前記係合部と前記被係合部との係合を解除する解除機構とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の耐地震保護器。
【請求項3】
前記保持部は、前記ガイド部に設けられた自己保持型ソレノイド及び前記アンカー部に設けられた鉄心とを備え、
前記解除部は、前記ソレノイドへの通電を行うことを特徴とする請求項1に記載の耐地震保護器。
【請求項4】
前記保持部は、前記ガイド部に設けられた電磁石及び固定鉄心、及び、前記アンカー部に設けられた永久磁石とを備え、
前記解除部は、前記電磁石への通電を行うことで前記電磁石と前記永久磁石とを反発させることを特徴とする請求項1に記載の耐地震保護器。
【請求項5】
前記ガイド部と前記アンカー部との間には、解除時に前記アンカー部の下方への移動を規制する下降規制部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の耐地震保護器。
【請求項6】
前記ガイド部には、解除時に前記アンカー部の上方への移動を規制する上昇規制部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の耐地震保護器。
【請求項7】
前記ガイド部と前記アンカー部とは、結合部材で離接可能に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の耐地震保護器。
【請求項8】
前記結合部材は、前記アンカー部を下方へ付勢する弾性部材であることを特徴とする請求項7に記載の耐地震保護器。
【請求項9】
前記吸着部は、粘着性シートであることを特徴とする請求項1に記載の耐地震保護器。
【請求項10】
前記ガイド部は筒状に形成され、前記アンカー部は保持される際に前記ガイド部内に収容されるとともに保持が解除される際に前記ガイド部から突出し、
さらに、前記ガイド部の下側開口部には前記ガイド部の収容時には閉鎖され、突出時には開口する蓋部が設けられていることを特徴とする請求項9に記載の耐地震保護器。
【請求項11】
前記吸着部は、吸引パッドであることを特徴とする請求項1に記載の耐地震保護器。
【請求項12】
前記検知部は、地震波と移動時の振動とを検出した周波数帯域によって区別することを特徴とする請求項1に記載の耐地震保護器。
【請求項13】
前記検知部は、地震波と移動時の振動とを検出した振動の持続時間によって区別することを特徴とする請求項1に記載の耐地震保護器。
【請求項14】
前記アンカー部は、柔軟性を持つ樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の耐地震保護器。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開2013−18477(P2013−18477A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−129273(P2012−129273)
【出願日】平成24年6月6日(2012.6.6)
【出願人】(391006706)ケージーエス株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年6月6日(2012.6.6)
【出願人】(391006706)ケージーエス株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
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