説明

耐容性で最小侵襲性の皮膚電気穿孔装置

防御的免疫応答および対象への耐容性送達(またはほぼ無痛)を生じさせるのにいずれも効果的である、ワクチン送達のための新規な電気穿孔装置;ならびにその装置を用いて、様々な感染性疾患および癌タイプに対してほぼ無痛で対象にワクチン接種する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この事業は、一部、US Army Grant W23RYX−8141−N604:#08023003により支援された。
【0002】
発明の分野
本発明は、数ある中で、ホ乳類の皮膚組織の細胞への生体分子導入を促進するための電気穿孔装置、およびその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
DNAワクチンに対する免疫応答の規模は、多くの場合、3つの主要基準、つまり最適化されたベクター設計、適切なアジュバントの使用、ならびに標的組織におけるプラスミドの有効な送達および続いての発現、に依存する可能性がある。インビボでの電気穿孔は、DNA免疫原を筋肉および皮膚へ効率的に送達するのに特に効果的であることが立証されており、実際に複数の装置がヒトの臨床試験へと進められている。
【0004】
真皮組織への薬物送達(皮内、ID)は、複数の理由から、院内医療では魅力的な方法である。皮膚は、ヒトの体の最大器官であり、最も接近し易く、モニタリングが最も容易であるうえ、免疫応答性が高い。しかし、皮膚の不浸透性のバリア機能は、効率的な経皮薬物送達にとって大きな障壁であった。
【0005】
ヒトの皮膚は、面積がおよそ2m2に及び、平均でほぼ2.5mm厚であるため、ヒトの体の最大器官となる。従来、皮膚は、2種の大まかな組織タイプ、つまり表皮および真皮を有する。表皮は、連続して角質化する層状の上皮である。皮膚の最外層は、角質層(SC)であり、皮膚の一次的バリア機能として働く。SCは、生育不能であるが生化学的に活性の角質細胞からなる15〜30細胞厚の層である。他の3種の表皮層(顆粒層、有棘層、基底層)は全て、分化の異なる段階にある角質細胞に加え、免疫性ランゲルハンス細胞および真皮樹状細胞を含む。
【0006】
経皮薬物送達および遺伝子送達のための物理的方法および化学的方法の両方が、世界中の集団によって詳述されてきた。イオン泳動、脂質送達および遺伝子銃が、そのような例である。皮膚の浸透性を一時的に上昇させる他の物理的な方法の1つが、電気穿孔である。電気穿孔は、短い電気パルスを適用してホ乳類細胞の脂質二重層の膜内に水の通路を生成することを含む。これにより、他の方法では浸透性が低くなる細胞膜を、DNAをはじめとする大型分子が通過できるようになる。そのため電気穿孔は、取り込み量に加え、薬物およびDNAを標的組織へ送達する度合いを増加させる。電気穿孔が細孔の形成を誘発するには、閾値エネルギーに到達する必要があり、電気泳動効果により生じる移動は、電界およびパルス長の両方に依存する。
【0007】
DNAワクチンの場合、電気穿孔が、免疫応答を量的に高め、その免疫応答の幅を増加させ、投与の効率を改善することが示されている。皮膚送達の多くの利点、最も顕著には様々な免疫関連細胞が存在すること、免疫化標的器官としての臨床接近が容易であること、および送達の深さが最小限であること(最小侵襲性)、は魅力的であるが、高いトランスフェクション速度および続くロバストな免疫応答を実現する能力に関しては、依然として問題がある。
【0008】
標準的な筋肉内(IM)注射によるネイキッドDNAの送達は、げっ歯類モデル以外では甚だしく非効率的である。このことにより、大型ホ乳類およびヒトにおけるロバストな免疫応答を実現することができなかった。DNAに基づくワクチンの発現を高めるために、複数の方策、例えばコドン最適化、RNA最適化、リーダー配列付加および最適化されたコンセンサス配列の作製などが開発された。
【0009】
ベクター設計が改善され、分子アジュバントが使用されてもなお、所望の組織、最も一般的には筋肉、腫瘍または皮膚の所望の細胞型において高レベルのプラスミド発現をもたらすDNAワクチンを投与する効率的な方法が、依然として求められている。更に、防御的免疫応答を生成するのに効果的であり、かつ耐容性もある(またはほぼ無痛である)電気穿孔装置およびワクチン送達方法が、求められている。
【発明の概要】
【0010】
本発明の態様において、電圧発生装置と;電圧発生装置と電気的に連通した複数の電極を有するアレイと、を含み、対象に角質層と基底層との間の表皮組織層への耐容性電位を送達して、前記組織内の細胞の電気穿孔をもたらすことが可能な電気穿孔装置が存在する。複数の電極のそれぞれは、各隣接する電極から約0.5mm〜約2.5mmの距離で離れており;電圧発生装置は、電極を介して表皮組織へ約0.1ボルト〜約50ボルトの電位を送達し;かつ電極は、鈍角であるが尖端のある遠端部の先端を有することで、角質層と基底層との間の表皮組織層に貫入することができ、電圧発生装置から表皮組織へ電位を送達する。
【0011】
本発明の別の態様において、電圧発生装置と;電圧発生装置と電気的に連通した複数の電極を有するアレイと、を含み、対象に表皮組織への耐容性電位を送達して、前記表皮組織内の細胞の電気穿孔をもたらすことが可能な電気穿孔装置が存在する。複数の電極のそれぞれは、各隣接する電極から約0.5mm〜約2.5mmの距離で離れており;電圧発生装置は、電極を介して表皮組織へ約0.1ボルト〜約50ボルトの電位を送達し;かつ電極は、0.1mm以下の深さで表皮組織に貫入するように構成されている。
【0012】
本発明の別の態様において、電圧発生装置と;電圧発生装置と電気的に連通した複数の電極を有するアレイと、を含み、対象に表皮組織への耐容性電位を送達して、前記組織内の細胞の電気穿孔をもたらすことが可能な電気穿孔装置が存在する。複数の電極のそれぞれは、各隣接する電極から約0.5mm〜約2.5mmの距離で離れており;電圧発生装置は、約0.1〜約50ボルトの電界をアレイへ送達し;かつ電極は、ビジュアルアナログスケールにより測定されるとほぼ無痛となる耐容性電位を表皮組織の細胞へ送達する。
【0013】
本発明の別の態様において、電圧発生装置と;電圧発生装置と電気的に連通した複数の電極を有するアレイと、を含み、対象に表皮組織への耐容性電位を送達して、前記組織内の細胞の電気穿孔をもたらすことが可能な電気穿孔装置が存在する。複数の電極のそれぞれは、各隣接する電極から約0.5mm〜約2.5mmの距離で離れており;電圧発生装置は、約0.1〜約50ボルトの電界をアレイへ送達し;かつ電極は、表皮組織の細胞における最小限の組織障害により示される耐容性電位を、前記細胞へ送達する。
【0014】
本発明の別の態様において、生体分子を対象の表皮組織の細胞へ投与すること;電極を表皮組織へ接触させ、電極が角質層を貫通して基底層の上の層に存在するようにすること;および電極を介して耐容性電位を電圧発生装置から表皮層の細胞へ送達すること、を含み、本明細書に記載の電気穿孔装置を用いた電気穿孔支援送達により、生体分子を対象の表皮組織の細胞へ送達する耐容性のある方法が存在する。
【0015】
本発明の数多くの目的および利益は、添付の図を参照することにより、当業者に一層良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】最小侵襲性EP装置(MIED)のアセンブリの一実施形態の設計図面を示す。
【図2】MIEDの一実施形態のコンポーネントの三次元図面を示す。「a」は、ディスポーザブル滅菌アレイハウジングを示し、「b」は、耐久性ハウジングを示し、「c」は、ディスポーザブルアレイ(2a)内の電極ハウジングを示す。
【図3】バッテリー駆動のハンドヘルドであり、着脱可能なアレイ(滅菌のため)を有するMIEDの一実施形態の三次元図面を示し、「a」は、外観図を示す。「b」は、内面図を示す(バッテリーを含む)。
【図4】MIEDの実施形態の写真を示す。
【図5】MIEDを用いた電気穿孔により促進されたGFP発現構築物の送達の実施後にGFP発現を検出するための、モルモットの皮膚から得た組織の蛍光画像を示す。
【図6】MIEDを用いた電気穿孔により促進されたGFP発現構築物の送達の実施後にGFP発現を検出するための、様々な動物の皮膚から得た組織の蛍光画像を示す。
【図7A】免疫原性がマウスに対しインフルエンザ攻撃からの防御をもたらすことを示すグラフを示す。
【図7B】免疫原性がマウスに対しインフルエンザ攻撃からの防御をもたらすことを示すグラフを示す。
【図8】免疫原性がモルモットに対しインフルエンザ攻撃からの防御をもたらすことを示すグラフを示す。
【図9】免疫原性がヒト以外の霊長類にインフルエンザ攻撃からの防御をもたらすことを示すグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
発明の詳細な説明
以下の簡略化または短縮された定義は、本発明の好ましい実施形態の理解を助けるために示されている。本明細書に示された簡略化された定義は、決して包括的なものでもなく、また当該分野で理解される定義または辞書の意味と矛盾するものでもない。簡略化された定義は、当該技術分野で公知の定義を補足するため、またはより明白に定義するために本明細書で示されている。
【0018】
用語「定電流」は、組織、または前記組織を画定する細胞が、同組織へ送達される電気パルスの持続期間に受容または体験する電流を定義するために本明細書で用いられる。電気パルスは、本明細書に記載された電気穿孔装置から送達される。本明細書で提供された電気穿孔装置は、フィードバック要素を有し、好ましくは瞬時フィードバックを有するため、この電流は、電気パルスの寿命の間は前記組織内で一定アンペアのままである。フィードバック要素は、パルスの持続期間全体にわたって組織(または細胞)の抵抗を測定することができ、電気穿孔装置に電気エネルギー出力を変えさせる(例えば、電圧を増加させる)ことができるため、同一組織内の電流は、電気パルス全体にわたって(μ秒の単位で)、そしてパルス間で、一定のままである。幾つかの実施形態において、フィードバック要素は制御装置を含む。本明細書の装置により送達されるように記載された電流アンペア値は、好ましくは一定の電流アンペア値である。
【0019】
用語「定電圧」は、組織、または前記組織を画定する細胞が、同組織へ送達される電気パルスの持続期間に受容または体験する電圧または電位を定義するために本明細書で用いられる。電気パルスは、本明細書に記載された電気穿孔装置から送達される。本明細書に提供された電気穿孔装置は、フィードバック要素を有し、好ましくは瞬時フィードバックを有するため、この電圧は、電気パルスの寿命の間、前記組織内で定電圧のままである。フィードバック要素は、パルスの持続期間全体にわたって組織(または細胞)の抵抗を測定することができ、電気穿孔装置に電気エネルギー出力を変えさせることができるため、同一組織内の電圧は、電気パルス全体にわたって(μ秒の単位で)、そしてパルス間で、一定のままである。幾つかの実施形態において、フィードバック要素は制御装置を含む。本明細書の装置により送達されるように記載された電圧値は、好ましくは定電圧値である。
【0020】
用語「フィードバック」または「電流フィードバック」は、互換的に用いられており、提供された皮膚EP装置の能動的応答を意味し、電流を一定レベルに保持するために、電極間の組織内電流を測定すること、およびそれに従ってEP装置により送達されるエネルギー出力を変化させること、を含む。この一定レベルは、パルス配列の開始または電気的処置の前にユーザによりプリセットされる。内部の電気回路は、電極間の組織内電流を連続してモニタリングすることができ、モニタリングされた電流(または組織内電流)をプリセット電流と比較してエネルギー出力調整を連続して行い、モニタリングされた電流をプリセットレベルに保持することができるため、好ましくはフィードバックは、皮膚EP装置の電気穿孔コンポーネント、例えば制御装置により遂行される。幾つかの実施形態において、フィードバックループは、アナログ閉回路フィードバックであるため、瞬時である。
【0021】
本明細書で用いられる用語「生体分子」は、核酸配列、タンパク質、脂質、マイクロバブル(例えば、薬物負荷された小胞)、および製薬を指す。好ましくは生体分子は、ワクチンであり、より好ましくは生体分子は、DNAワクチンであり、更により好ましくはDNAプラスミドワクチンである。
【0022】
本明細書において互換的に用いられる用語「電気穿孔」、「電気可透過化」または「界面動電的促進(electro−kinetic enhancement)」(EP)は、生体膜内の微視的経路(細孔)を誘導するための膜貫通電界パルスの使用を指し、この微視的経路の存在により、プラスミド、オリゴヌクレオチド、siRNA、薬物、イオン、および水などの生体分子を、細胞膜の一方の側から他方の側へ通過させることが可能になる。
【0023】
用語「分散電流」は、本明細書に記載された電気穿孔装置の様々な針電極アレイから送達される電流のパターンを定義するために本明細書で用いられており、そのパターンは、電気穿孔される組織の任意の領域における電気穿孔関連の熱ストレスの発生を最小限にする、または好ましくは排除する。
【0024】
本明細書で用いられる用語「フィードバック機構」は、ソフトウエアまたはハードウエア(またはファームウエア)のいずれかによって実行されるプロセスを指し、そのプロセスは、所望の組織(エネルギーパルスの送達前、送達時、および/または送達後)のインピーダンスを受容し、既存の値、好ましくは電流と比較して、プリセット値を実現するために送達されたエネルギーパルスを調整する。用語「インピーダンス」は、フィードバック機構を考察する際に本明細書で用いられ、オームの法則に従い電流値に変換することができ、これによりプリセット電流との比較が可能になる。好ましい実施形態において、「フィードバック機構」は、アナログ閉回路により実施される。
【0025】
本明細書で用いられる用語「最小侵襲性」は、提供された電気穿孔装置の針電極による貫入がわずかであることを指し、非侵襲性電極(または非貫入針)を含むことができる。好ましくは貫入は、角質層を貫通する度合いであり、好ましくは最外側の生存する組織層、つまり顆粒層へ進入するが基底層には貫入しない度合いである。貫入の深さは、0.1mmを超えず、好ましくは、角質を突破する約0.010mm〜約0.040mmの範囲内の深さである。これは好ましくは、角質層を貫通させることが可能な尖端を提供するが深い貫入が回避されるように研磨されたトロカール端部を有する電極を用いて遂行される。
【0026】
用語「耐容性」または「ほぼ無痛」は、本明細書では互換的に用いられており、電気穿孔に言及する場合には、電気穿孔に伴う疼痛のレベルが、入手可能な電気穿孔装置での典型よりも実質的に低いことを意味する。より具体的には、耐容性(またはほぼ無痛)の電気穿孔は、本明細書に記載されたMIEDの使用を組み合わせた結果であり、低電界を角質層と基底層との間の表皮層へ送達しながら、筋肉の電気穿孔を回避する。好ましくは電界は、低レベルの電圧、即ち、例えば0.01V〜70V、好ましくは1V〜15Vで構成されるであろう。VASを用いて測定された場合、本明細書に提供された方法に従ってMIED電気穿孔を体験した対象は、無痛またはペインフリースコアから(フルスケールの)20%以内、例えば0〜10のフルスケールで2ポイント以内、好ましくは無痛スコアの10%以内である疼痛レベルを体験する。
【0027】
本発明の態様において、電圧発生装置と;電圧発生装置と電気的に連通した複数の電極を有するアレイと、を含み、角質層と基底層との間の表皮組織層への耐容性電位を対象へ送達して、前記組織内の細胞の電気穿孔をもたらすことが可能な電気穿孔装置が存在する。複数の電極のそれぞれは、各隣接する電極から約0.5mm〜約2.5mmの距離で離れており;電圧発生装置は、電極を介して表皮組織へ約0.1ボルト〜約50ボルトの電位を送達し;かつ電極は、鈍角であるが尖端のある遠端部の先端を有することで、角質層と基底層との間の表皮組織層に貫入することができ、電圧発生装置から表皮組織へと電位を送達する。幾つかの例において、電極は、概ね鈍角であるが尖端を有する、言い換えれば浅い角度または鈍角の尖端を有する遠端部の先端を有する。例えば電極は、針の軸のほぼ垂直から10°軸外に研磨されたトロカール先端である遠端部を有することができる。
【0028】
本発明の別の態様において、電圧発生装置と;電圧発生装置と電気的に連通した複数の電極を有するアレイと、を含み、表皮組織への耐容性電位を対象へ送達して、前記表皮組織内の細胞の電気穿孔をもたらすことが可能な電気穿孔装置が存在する。複数の電極のそれぞれは、各隣接する電極から約0.5mm〜約2.5mmの距離で離れており;電圧発生装置は、電極を介して表皮組織へ約0.1ボルト〜約50ボルトの電位を送達し;かつ電極は、0.1mm以下の深さで表皮組織に貫入するように適合されている。
【0029】
本発明の別の態様において、電圧発生装置と;電圧発生装置と電気的に連通した複数の電極を有するアレイと、を含み、表皮組織への耐容性電位を対象へ送達して、前記組織内の細胞の電気穿孔をもたらすことが可能な電気穿孔装置が存在する。複数の電極のそれぞれは、各隣接する電極から約0.5mm〜約2.5mmの距離で離れており;電圧発生装置は、約0.1〜約50ボルトの電界をアレイへ送達し;かつ電極は、ビジュアルアナログスケールにより測定されるとほぼ無痛となる耐容性電位を表皮組織の細胞へ送達する。
【0030】
本発明の別の態様において、電圧発生装置と;電圧発生装置と電気的に連通した複数の電極を有するアレイと、を含み、表皮組織への耐容性電位を対象へ送達して、前記組織内の細胞の電気穿孔をもたらすことが可能な電気穿孔装置が存在する。複数の電極のそれぞれは、各隣接する電極から約0.5mm〜約2.5mmの距離で離れており;電圧発生装置は、約0.1〜約50ボルトの電界をアレイへ送達し;かつ電極は、表皮組織の細胞における最小限の組織障害により示される耐容性電位を、前記細胞へ送達する。
【0031】
幾つかの態様において、装置は、表皮組織を0.1mm以下の深さ、好ましくは約0.01mm〜約0.04mmの深さで貫入するように適合された電極を有する。好ましくは電極は、各隣接する電極から約1.5mmの距離で離れている。同じく、好ましくは電圧発生装置は、約1ボルト〜約15ボルト、より好ましくは約15ボルトの電位を表皮組織へ送達する。
【0032】
幾つかの実施形態において、装置は、耐容性電位、つまり約5m秒〜約250m秒の範囲内の持続期間、持続範囲および回数で送達する。幾つかの実施形態において、装置は、ビジュアルアナログスケールにより測定されると前記対象によりほぼ無痛との疼痛評価を生じる耐容性電位を送達する。VASは、0mmが無痛を示し100mmが最大の疼痛を示す、100mm長の横線である。ほぼ無痛は、約20mm未満(95%信頼間隔内)、好ましくは10mm未満(95%信頼間隔内)の平均スコアを生じるVAS方法論を用いたスコアである。
【0033】
幾つかの実施形態において、装置は、対象の前記細胞において最小限の組織障害をもたらす電位、好ましくは組織の組織学的分析により可視的組織障害がない電位である耐容性電位を送達する。組織学的分析は、視覚的障害を評価するために用いることができる。
【0034】
組織学的分析は表皮の上層におけるトランスフェクションを実証する
組織病理学的分析を、モルモットの皮膚組織で実施した。各パネルは、MIDにより電気穿孔された組織を示した。スライドは全て、ヘマトキシリンおよびエオジンで染色し、蛍光顕微鏡(20倍対物レンズ)で観察して、GFP陽性を視覚化した。動物を処置後3日目に殺処分した後の皮膚組織の組織病理学が示され:分析により最小侵襲性装置での電気穿孔後に関連の組織障害が認められなかった。言い換えると、電気穿孔による組織の組織病理学分析が、電気穿孔を行わなかった組織と同様であることを示した。
【0035】
本発明の別の態様において、生体分子を対象の表皮組織の細胞へ投与すること;電極を表皮組織へ接触させることで電極が角質層を貫通して基底層の上の層に存在すること;および電極を介して耐容性電位を電圧発生装置から表皮層の細胞へ送達すること、を含む、本明細書に記載された電気穿孔装置を用いた、電気穿孔で支援した送達により、生体分子を対象の表皮組織の細胞へ送達する耐容性のある方法が存在する。
【0036】
幾つかの実施形態において、方法は、電極を操作して表皮組織に0.1mm以下の深さ、好ましくは約0.01mm〜約0.04mmの深さで貫入させることを含む。アレイは、注射部位で用手的に前後に調整して(または小刻みに動かして)、良好な接触を確保し、電極の先端に角質層を突破させることができる。好ましくは送達ステップは、ビジュアルアナログスケールにより測定されると、前記対象によりほぼ無痛との疼痛評価を生じる耐容性電位を送達することを含む。同じく好ましくは、送達ステップは、対象の前記細胞において最小限の組織障害をもたらす耐容性電位を送達することを含む。送達ステップは、好ましくは約0.1ボルト〜約15ボルトの電位を細胞へ送達する。
【0037】
幾つかの実施形態において、方法は、約5m秒〜約250m秒の持続期間、ならびにその間の持続期間範囲および数、好ましくは100m秒間、電位を送達することを含む送達ステップを包含する。
【0038】
一般的電気穿孔装置
電気エネルギーのパルスを低電界で角質層と基底層との間の表皮組織へ送達して、耐容性電気穿孔を誘発することができる電気穿孔発生装置または制御装置が提供される。好ましくは電気穿孔は、主として、または専ら顆粒層で起こる。装置は、角質層を貫通することが可能な針電極を介し、提供されるMIEDによりエネルギーパルスを送達する。
【0039】
幾つかの実施形態において、好ましくは処置された組織において定電流を保持する本発明のMIEDの応答性は、皮膚EP装置内でのフィードバック機構を通して遂行され、組織の加熱を予防し、組織障害、疼痛を低減して、提供された皮膚電気穿孔技術の全体的成功に寄与する。幾つかの実施形態において、MIEDは、制御装置と;制御装置と電子的に連通した波形発生装置と;制御装置と電子的に連通した波形ロガーと;波形発生装置に電気的に接続されたバッテリーと、で更に構成させることができる。制御装置は、ユーザから入力データを受取り、波形発生装置を指図してエネルギーパルスを入力データに従い所望の組織へ送達し、送達されたエネルギーパルスに従いデータを波形ロガーへ通信することができ、ここでバッテリーは、電荷を波形発生装置へ送り、バッテリーはリチウムイオン、ニッケル金属水素化物、鉛酸、またはニッケルカドミウムバッテリーである。好ましくはMIED(図3)は、携帯可能である。携帯可能な装置は、バッテリーパックを介して操作することができ、治療またはワクチン接種を目的とする集団ワクチン接種に適切となることができる。
【0040】
MIEDは、様々な電界発生(または電気パルス発生)コンポーネント、または発生装置を伴う、提供された電極アレイとアプリケータとの組み合わせであってもよい。幾つかの例において、発生装置は、中でも非限定的に以下のものをはじめとする、公知の電気穿孔装置の1つから選択することができる:表題「Constant Current Electrode Assembly for Electroporation」の米国特許第7,245,963号、ならびに米国特許第5,273,525号、同第6,110,161号、同第6,261,281号、同第6,958,060号、および同第6,939,862号。より好ましい例において、発生装置は、CELLECTRA(登録商標)EP装置およびElgen EP装置(両者ともペンシルバニア州ブルーベルのInovio Pharmaceuticals, Inc)と共に用いられるものである。前述の特許参考資料は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0041】
電気穿孔針
電荷を送達することが可能である様々な公知の電気穿孔針を、MIEDに組み込むことができる。電気穿孔針は、最小侵襲性であり、非侵襲性針を含む。好ましくは針は、鋭利であり、例えば幾つかの例はトロカール研磨を利用しているため、角質層を貫通して顆粒層に到達することができる。トロカール端部を研磨して、角質層を貫通するが深い貫入を回避することが可能な尖端の状態にすることができる。幾つかの例において、電極は、概ね鈍角であるが尖端を有する、言い換えれば浅い角度または鈍角の尖端を有する遠端部の先端を有し、例えば電極は、針の軸のほぼ垂直から10°軸外に研磨されたトロカール先端の遠端部を有することができる。
【0042】
アレイ
公知である複数の針アレイ形態を、現行のMIEDと共に用いることができる。企図されるこれらの針アレイ形態は、任意の数の電極、任意の幾何学的パターンの電極を一般的な平面配列で含む。好ましくは電極は、電極アレイ全体に(または電極が取り付けられている土台もしくは基板全体に)均一に分布された配列である。より好ましくは針電極は、各隣接する針電極がほぼ同じ距離で離れている正方形状の配列で配列されている(正方形の縁部にある電極以外)。
【0043】
幾つかの実施形態において、アレイは、三角形パターンで均等に離れた少なくとも3つの針、円形パターンで均等に離れた少なくとも4つの針、または2×2、3×3、4×4、5×5、もしくはそれを超える正方形パターンで配列された針で構成されている。あるいはパターンは、長方形または菱形であってもよい。好ましくは針電極は、4×4の針アレイ配列で配列されている。4×4針アレイの例を、図1に示している。図2は、MIEDハウジング、アレイハウジングおよび電極ハウジングの例を示している。各針電極は、各隣接する針電極から150mm以下、100mm〜1mm、50mm〜1mm、40mm〜1mm、30mm〜1mm、20mm〜1mm、10mm〜1mm、5mm〜1mm、5mm〜2mm、好ましくは2mm、より好ましくは1.5mmの距離で離れていてもよい。
【0044】
電気パルス(送達された電位)
提供された装置は、生体分子の有効なトランスフェクションを保持しながら、典型的なEP法よりも低い電圧および電流で動作して、耐容性を高める(発現と、続く免疫応答で示された通り)。装置は、典型的には一定の電圧、電流または所望ならそれらの両方の組合せを送達するように設計されたパルス発生装置と共に使用される。皮膚組織中の細胞のトランスフェクションを実行するためにMIEDにより用いられる電気パルスは、耐容性電気穿孔を得るのに必要な低い電気エネルギーを提供する任意の公知パルスパターンである。幾つかの実施形態において、MIEDは、電気パルスを0.01V〜70V、0.01V〜50V、0.01V〜40V、0.01V〜30V、0.01V〜20V、0.01V〜15V、0.1V〜70V、0.1V〜50V、0.1V〜40V、0.1V〜30V、0.1V〜20V、0.1V〜15V、好ましくは1V〜15Vの電圧レベルで所望の組織へ送達する。より好ましくは、MIEDの隣接する電極がおよそ2mm、好ましくは1.5mm離れている場合に、電圧レベルは、15Vである。
【0045】
幾つかの実施形態において、MIEDは、以下の電流を所望の組織へ送達する電気パルスを特徴とする耐容性電気エネルギーを送達する:0.2mA〜100mA、0.1mA〜100mA、0.5mA〜100mA、1mA〜100mA、1mA〜80mA、1mA〜60mA、1mA〜50mA、1mA〜40mA、1mA〜30mA、しかし好ましくは1mA〜100mA、より好ましくは1mA〜30mA、より好ましくは10mA。
【0046】
MIEDに関連する耐容性電気パルスは全て、5m秒〜250m秒、10m秒〜250m秒、20m秒〜250m秒、40m秒〜250m秒、60m秒〜250m秒、80m秒〜250m秒、100m秒〜250m秒、20m秒〜200m秒、40m秒〜200m秒、60m秒〜200m秒、80m秒〜200m秒、100m秒〜200m秒、20m秒〜150m秒、40m秒〜150m秒、60m秒〜150m秒、80m秒〜150m秒、100m秒〜150m秒、100m秒〜140m秒、100m秒〜130m秒、100m秒〜120m秒、100m秒〜110m秒、より好ましくは100m秒のパルス長をはじめとする各パルスの短い持続期間を特徴とする。
【0047】
MIEDに関連する耐容性電気パルスは、低い繰返しパルスも特徴とする。MIEDにより送達されるパルスは、各ワクチン接種のために以下の回数のパルスを送達するように繰り返される:1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10回、好ましくは1〜6回、より好ましくは2回。
【0048】
ワクチン+EPの投与のための組織
MIEDは、電気穿孔が可能な電気エネルギーを皮膚組織の細胞へ送達して、内部の細胞への生体分子送達、好ましくはDNAワクチンの接種を補助するためのものである。好ましくは電極は、角質層の真下で基底層の上にある、好ましくは顆粒層の内部のみにある生存する組織層である皮膚組織のみに貫入する。生体分子は、典型的にはMantoux技術を用いて標的組織へ送達される。
【0049】
ハンドル内にエレクトロニクスを含むバッテリー駆動式バージョン(図3参照)
MIEDは、携帯可能なEP装置であってもよい。ハンドヘルドであり、電気パルスの電気エネルギー供給源が1.5V〜12Vの電位を有する少なくとも1つのバッテリーである、携帯可能な自己内蔵型MIED装置が提供される。
【0050】
携帯可能なMIEDは、前記バッテリーを収容するハウジングと、前記バッテリーと電気的に連通し、それにより駆動される電気回路を含む回路基板と、1000〜100000uF(マイクロファラッド)の静電容量を保持することが可能な少なくとも1つのコンデンサとを含むことができる。関連の実施形態において、コンポーネント(即ち、バッテリー、回路、およびコンデンサ)は一般に、前記ハウジング内で直列または並列に空間配置されているため、装置を操作する人の手に保持することが可能なほぼ長方形または円筒形を有することができる。例えばハウジングは、近端部および遠端部を有するため、円筒または前記長方形の長い部分は、内部に収容され、前記バッテリーは、前記ハウジングの前記近端部内に位置し、取り外し可能なカバーを介してそのような端部から接近することができる。前記ハウジングの遠端部には、電線管が位置することができ、それは前記回路と電気的に連通していて、少なくとも1つの陰極および少なくとも1つの陽極に接続するためのコネクタとして働き、前記コンデンサおよび回路を介して前記バッテリーにより駆動される電気穿孔パルスを含む回路を完成させるのに用いられる。前記ハウジングの遠端部は、前記ハウジングと関連して、またはその一部として、半永久または永久に取り付け、そして/またはそれを取り外すための機構と、液体治療薬を含むリザーバのいずれかを含むヘッドアセンブリと、前記液体を身体組織へ方向づけることができる前記リザーバと流体連通するオリフィスと、前記オリフィスを通して前記液体を前記リザーバから移動させるエネルギー源と、少なくとも1つの陽極および1つの陰極を含む少なくとも1つの電極と、を含むこともできる。
【0051】
幾つかの実施形態において、携帯可能なMIEDは、前記組織内の細胞を電気穿孔することが可能で、一般には0.1V〜70V、好ましくは0.1V〜50V、より好ましくは1V〜15Vの電圧を有する電気パルスを、ホ乳類の皮膚組織へ送達することができる。更に装置は、前記電界強度の電気穿孔パルスを5m秒〜250m秒、より典型的には10m秒〜100m秒、より一般的には30m秒〜70m秒、より好ましくは50m秒の期間、送達することができる。更に装置は、マイクロプロセッサを介して、電気穿孔性電気エネルギーのバイポラーパルスまたはモノポラーパルスのいずれかを送達することができ、バイポラーまたはモノポラーパルスは、所定の列の多重パルスおよび/もしくは電圧成形パルス、または更に指数関数的に放電するパルスを含むことができる。そのような可変性のパルス発生能力(pulsing capability)により、電圧、パルス形状、持続期間、および電気穿孔パルスの極性の最適化をはじめとする電気穿孔プロセスの潜在的最適化が提供される。
【実施例】
【0052】
本発明を、以下の実施例において更に例示する。これらの実施例が、本発明の好ましい実施例を示しており、例示に過ぎないことを理解しなければならない。上記の考察およびこれらの実施例から、当業者は、本発明の本質的な特徴を確認することができ、本発明の主旨および範囲を逸脱せずに、本発明の様々な変更および修正を様々な使用および条件に適合させることができる。つまり本発明の様々な修正は、本明細書に図示され、記載されたものに加えて、前述の記載から当業者に明白となろう。そのような修正は、添付の特許請求の範囲にも含まれるものとする。
【0053】
本明細書に記載された電気穿孔装置により生じた耐容性または疼痛低下を評価するために、トライアルを実施することができる。試験従事者は、各患者ごとに、電気穿孔の実施時にストップウォッチを開始させることができる。各患者は、訓練された試験従事者の監督の下で、標準の疼痛評価を実施し、試験従事者は、電気穿孔の5、10、15、20、30、および45分後、1時間後、1.5時間後、その後、電気穿孔の12時間後まで1時間ごとに、そして電気穿孔の16時間後および24時間後に、これらの評価を日誌に記録する。患者は、分類スケールおよびVASの両方を用いて疼痛強度を測定した。これまで言及された通り、分類スケールには、4種の分類が含まれた:
0=なし、1=軽度、2=中等度、3=重度。
VASは、0mmが無痛を示し100が最大の疼痛を示す、100mm長の横線である。この100mmスケールを用いれば、ほぼ無痛のスコアは、ペインフリー(疼痛を感じないこと)を示すスコアから20mm以内のスコアとなろう。幾つかの例において、ほぼ無痛は、ペインフリーのスコアから10mmのスコアである。
【0054】
方法
以下の方法は、考察により適切となるならば、以下の実施例のそれぞれで用いられる。
最小侵襲性装置の設計−0.0175インチ(約0.4445mm)径で1.5mm間隔に置かれた4×4の金メッキトロカール針からなる電極アレイを構築して、Elgen 1000(ペンシルバニア州ブルーベルのInovio Pharmaceuticals, Inc)パルス発生装置またはバッテリー駆動の低電圧回路のいずれかと連結させて使用した。
【0055】
プラスミドの調製−gWiz GFPプラスミドを、Aldevron(Fargo ND)から購入した。NPプラスミドは、インフルエンザのプエルトリコ8(H1N1)株由来の完全長NPをコードしている。M2プラスミドは、インフルエンザのニューカレドニア/99(H1N1)株由来の完全長M2をコードしている。この構築物は、突然変異した核ターゲティングシグナルを有し、GeneArt(ドイツ)により最適化および合成された。全てのプラスミドを、注射前に1×PBSで希釈した。pGX2005(H1HAのコンセンサス配列をコードするSYNCON(商標)(合成DNA構築物)のワクチン構築物)およびpGX2009(ブタH1HAのコンセンサス配列をコードするSYNCON(商標)のワクチン構築物)を含むSYNCON(商標)インフルエンザワクチンプラスミドカクテル(100μg/プラスミド)を、注射前に1×PBSで希釈した。
【0056】
動物−雌ハートレーモルモット(系統コード051)、雌ニュージーランドウサギおよび雌Balb Cマウスを、Charles River Laboratoriesから購入した。雌ウィスターラットを、Charles River Laboratoriesから購入した。雌ヨークシャーブタを、S&S Farm’s(カリフォルニア州ラモナ)から購入した。モルモット、ラット、ウサギおよびマウスを、BioQuant(カリフォルニア州サンディエゴ)で飼育した。雄(4匹)および雌(4匹)マカク(アカゲザル)を、BIOQUAL Inc.(メリーランド州ロックビル)で、試料および水を自由に摂取させながら個別に飼育した。マカクは、実験前の検疫において少なくとも30日間順化させた。動物は全て、施設内動物管理使用委員会(Institutional Animal Care and Use Committee)(IACUC)の規準に従い飼育し、取り扱った。
【0057】
動物の準備−除毛後のハートレーモルモットで観察されたGFPレポーターの結果は、過去の実験におけるIAF無毛モルモットで観察された結果と同様であった。除毛は得られたトランスフェクションに影響を有さないと思われ、そして経費を考慮して、ハートレー動物を対象に試験の残りを実施することを選択した。ハートレーモルモットを剃毛して、処置の24時間前に剃り残しを除毛クリーム(Veet)により除去した。マウス、ラット、ウサギ、ブタおよびマカクを、処置前に剃毛した。
【0058】
DNA注射−マカクをケタミン注射で鎮静させた。他の動物は全て、吸入イソフルランで鎮静させた。動物全てに、所望の用量のプラスミドを含む1×PBS 50μlを皮内注射した(Mantoux法−29ゲージのインスリン針)。マウスの四頭筋へ、所望の用量のプラスミドを含む1×PBS 50μlを筋肉注射した。マカクの四頭筋へ、所望の用量のプラスミドを含む1×PBS 400μlを筋肉注射した。空ベクターを添加して、各群で等しいDNA量を保持した。
【0059】
真皮装置による電気穿孔−DNA注射の直後に、真皮装置を真皮注射の部位へ適用した。アレイを注射部位で「小刻みに動かして」、良好な接触を確保し、Elgen 1000または低電圧のバッテリー回路のいずれかによるパルス発生により、エレクトロトランスファを実現した。用いられたパラメータは、100m秒の持続期間で3回の15ボルトパルスであった。
【0060】
筋肉の電気穿孔−IM注射の直後に、電極間隔4mmの27Gの2本針アレイを筋肉注射の部位に挿入することにより、電気穿孔を実施した。Elgen 1000を用いて、それぞれ60m秒持続させた125V/cmパルスを2回送達した。
【0061】
皮膚の結像-皮膚試料または生検を、終了後の動物から検死後に取り出し、OV100結像型顕微鏡(カリフォルニア州サンディエゴのAnti Cancer Inc.,)で480nmで結像するまで氷上に貯蔵した。
【0062】
組織病理学−皮膚試料または生検を、終了後の動物から検死後に取り出し、直ちに10%中性緩衝ホルマリン中に保存して、処理および組織病理学的分析のためにカリフォルニア州サンディエゴのPacific Pathologyに送付した。適切な組織を切り取り、処理してパラフィンに包埋し、およそ5μmに切り出して、ヘマトキシリンおよびエオジンで染色した。得られたスライドを、認定病理専門医が検査した。切片は、カリフォルニア州サンディエゴのBurnham Instituteで、10倍対物レンズを有するZeiss Axioplan顕微鏡を用いて視覚化した。
【0063】
免疫化マウス血清中のNP抗体の検出−NPに対する抗体の応答を、免疫化マウスから得た血清を用いて、ELISAにより評価した。マウスを、最後の免疫化の2週間後に、後眼窩採血した。Nunc Maxi−Sorp Immuno PlateにNP(5μg/mL、Imgenex IMR−274)を、4℃で一晩コーティングした。0.05%Tween−20を含むPBSを用いた自動プレート洗浄により、未結合の抗原をプレートから洗い流した。0.5%BSAを含むPBS 200μLを37℃で1時間添加することにより、プレートを非特異的結合に関して遮断した。先の通り洗浄した後、0.2%BSAおよび0.05%Tween−20を含むPBSで、血清を1:50に希釈し、最初のウェルに添加した。各ウェルで1:3〜1:5に希釈することにより、系列希釈を実施した。血清を37℃で2時間インキュベートした後、洗浄した。抗マウスIgGビオチン(B9904−5ml;米国ミズーリ州セントルイスのSigma−Aldrich)を1:10000に希釈し、50μLを各ウェルに添加して、37℃で1時間インキュベートした後、洗浄した。この後、1:1000に希釈したストレプトアビジン−HRP(米国アラバマ州バーミンガムのSouthern Biotech)50μLを各ウェルに添加して、37℃で1時間インキュベートした後、洗浄した。最終ステップは、HRP基質(P−9187、Sigma−Aldrich)50μLを添加し、暗室中、室温で10分間インキュベートした後、450nmで光学密度(OD)を読み取ることにより、実施した。ODが未処置マウス血清のODの3倍高ければ、読み取りを陽性と判断した。結果は、終点力価として、即ち、ODが未処置血清の3倍以上高くなった場合の最終希釈率として、表した。
【0064】
ELISpotアッセイ−免疫化の2週間後に、各群のマウスから得た脾臓細胞を単離した。RBC溶解緩衝液(eBioscience)を用いて、単一細胞懸濁液の赤血球細胞を透明化させた。ELISPOTアッセイキットを、R&D Systemsから購入した。96ウェルELISPOTプレート(Millipore)を、抗マウスインターフェロン(IFN)−γモノクローナル抗体でコーティングした。4℃で一晩インキュベートした後、ウェルを洗浄して、R&D Systemsのプロトコルに従って遮断緩衝液で遮断した。各群のプールした脾臓細胞をウェルに添加して、1μg/mL NP147(TYQRTRALV Biosynthesis Inc.)と共に48時間インキュベートした。その後、プレートを洗浄し、製造業者により記載されたプロトコルに従って発色させた。スポットは、Cellular Technology Ltdにより数えられ、分析された。
【0065】
鼻内インフルエンザ攻撃−10匹からなる複数の群のBalb/cマウスを、0、3および6週目に免疫化した。マウスを免疫化した:0週目 予備刺激30+30μg、3週目 増幅30+30μg、10週目 増幅100+100μg。12週目に、インフルエンザ攻撃実験を、カナダ、マニトバ州ウィニペグのカナダ公衆衛生局国立微生物研究所で、倫理委員会の倫理指針に従い、BSL IVプロトコルを用いて実施した。H5N1 A/ベトナム/1203/04株のLD50の100倍用量を、鼻内攻撃に用いた。その後、攻撃後21日間連日、マウスを生存および体重についてモニタリングした。
【0066】
HAIアッセイ−動物を採血して、直後に血清試料をドライアイス上に貯蔵した後、プロセシングのためにメリーランド州ロックビルのBIOQUALへ輸送した。血清1部を受容体破壊酵素3部で希釈することにより血清を受容体破壊酵素で処置して、37℃水浴で一晩インキュベートした。酵素を56℃での30分間のインキュベートにより不活化し、1/10の最終希釈のためにリン酸緩衝生理食塩水6部を添加した。4血球凝集単位のウイルスおよび先に記載された1%赤血球細胞を用いて、HAIアッセイをV底96ウェルマイクロプレートで実施した。HAIアッセイに用いられるウイルスを、CDCのインフルエンザ部門から得た。
【0067】
実施例1
最小侵襲性装置を用いた電気穿孔はロバストなレポーター遺伝子トランスフェクションをもたらす
【0068】
最小侵襲性電極装置(MIED)を、DNAワクチン送達を含む使用に向けて設計した。この新しいアプリケータは、1.5mm間隔の4×4アレイパターンで、トロカール研磨(電極は鈍角であるが尖端のある遠端部の先端を有する)を含む金メッキステンレス鋼針電極からなる(図4aおよび4c)。4つの電極からなる交互の列は、逆極性(負よりも正)で放電することができる。電極は、プラスチックハンドル内の電気ソケットに収容されており、各電極に二者択一の放電パターンで個別に取り組ませることができる。装置は、皮膚表面と接触するだけであり、組織に直ちに貫入しないように設計されている。適切に接触させると、電極の鋭利さによって装置のアレイが角質層のバリア層を破壊し、一定したインピーダンス測定が確実に行われて、反復可能な電気穿孔処置をもたらすことができる。原型の装置を、パルス発生装置への接続用の取り付けコードを用いて組み立てた(図4b)。
【0069】
この新規な、最小侵襲性針電極装置(MIED)を用いた、有効なトランスフェクションおよび免疫応答に必要となる電圧パラメータの低限を、試験した。Mantoux技術を用いて、モルモットの横腹の別個の皮膚部位に1mg/ml GFPプラスミド 50μlを注射して、直ちに15Vの低電圧に設定されたMIEDを用いてパルスを送った(図5a)。ロバストで再現性のあるGFPトランスフェクションは、処置の8時間後に可視となり、3日目にピークとなった。GFPプラスミド注射のみの後で、最小のGFPトランスフェクションが検出された、またはGFPトランスフェクションが検出されなかった(データは示さず)。一定範囲の電気的パラメータおよび電圧が、GFPトランスフェクションをもたらしたが、15ボルトでのパルスは、より再現性があった(データは示さず)。再現性を、標準条件での蛍光顕微鏡測定の後の陽性画素カウント(positive pixel count)により定量および評価した。画定された領域内の最も一定した画素カウント数を、10〜15ボルトパラメータで得た。実際のGFPトランスフェクションパターンは、各電極との接触点の周りで明確な「島」に見えた(図5b)。効果的なEPは浅く、低電圧で電極先端の周りに高度に局在化しており、このため表皮の基底層の下では有意義なトランスフェクションは得られない。
【0070】
ロバストなトランスフェクションが、モルモットに特異的な現象でないことを確証するために、GFP局在化を一連の種で実施した。マウス、ウサギ、ラットおよびブタの皮膚部位に、1mg/ml GFPプラスミド 50μl(マウスには30μl)を注射して、直ちにMIEDを用いてパルスを送った。全ての種で、電気穿孔後にロバストな真皮GFPトランスフェクションが実証され、GFPプラスミド注射のみの後に、最小のトランスフェクションが検出されるか、またはトランスフェクションが検出されなかった(図6)。全ての種において、強いGFP陽性が、全ての電気穿孔された皮膚試料において検出された。しかし、ウサギの試料のみで、モルモット試料で観察された明確な「島」パターンが実証された(図5)。ラット、マウスおよびブタの皮膚上のGFP局在化は、より広汎性であると思われた。実際のトランスフェクトされた領域は、注射腫れのサイズの関数であったため、ラット、ウサギおよびブタの間で類似していた(約4mm2)。マウスの皮膚のトランスフェクトされた領域は、注射容量がより小さいため、わずかに小さかった。マウスのパネルでは、マウスの皮膚全体を、相対的サイズが理解できるように示している。GFP陽性細胞は、ラット、ウサギおよびブタ試料の皮膚表面のみで検出された。GFPシグナルは、これらの試料の裏側では観察されなかった。マウスの皮膚の裏側は、陽性GFPシグナルを有するように見えた。しかしこれは、皮膚試料の薄さに関連すると思われる。
【0071】
このデータから、MIEDが小動物モデルおよび大動物モデルの両方で、プラスミドを皮膚へ効率的に移行しうることが示唆される。
【0072】
実施例2
最小侵襲性装置を用いた電気穿孔−組織学的分析により表皮の上層におけるトランスフェクションを実証する
【0073】
細胞レベルに対する、MIEDによる電気穿孔の影響に取り組むために、組織学的分析を実施した。モルモットの部位に、1mg/ml GFPプラスミド 50μlを注射して、直ちにMIEDを用いてパルスを送った。処置の3日後に生検試料を取り出して固定し、パラフィン試料を切り出して、H&Eで染色した(スライドは示さず)。病理学的分析から、最小侵襲性装置での電気穿孔の後に、関連する組織障害がないことが明らかとなった。高倍率の顕微鏡測定により、GFPトランスフェクションの大部分が表皮の顆粒細胞層に生じることが明らかとなった(スライドは示さず)。GFP陽性細胞は、基底層でも検出された。これに対して、GFPプラスミド注射のみを受けた生検では、少数のみのGFP陽性細胞が検出された。これは、電気穿孔を受けた組織の生検試料で観察されたロバストなシグナルと正反対であった。発現増強を視覚的に推定すると、DNAのみと比べて、GFP陽性細胞の数に基づくと100〜1000倍を超えているであろう。
【0074】
実施例3
最小侵襲性装置を用いた電気穿孔−ロバストな細胞応答をもたらし、マウスにおける致死的攻撃の100%防御を提供する
【0075】
マウスを、NPおよびM2インフルエンザ抗原をコードするDNAで免疫化した:0週目 予備刺激30+30μg、3週目 増幅30+30μg、10週目 増幅100+100μg。プエルトリコ/39株の適合したNP抗原およびニューカレドニア/99株の適合したM2抗原を最適化および合成し、その後、臨床的に認可されたホ乳類発現ベクターpMB76.5のバックボーンへクローニングした。NPおよびM2e抗原を、主として細胞免疫性が評価されるように選択した。これらのタンパク質は、中和抗体反応を誘導することはできない。
【0076】
マウスの群へ、最小侵襲性真皮装置またはElgen 1000筋肉内装置(ペンシルバニア州ブルーベルのInovio Pharmaceuticals, Inc)のいずれかを用いて電気穿孔した。抗原特異性T細胞ELISPotアッセイおよび抗体力価により測定されると、マウスモデルにおける強力な細胞および体液応答の誘導が、全てのマウスで観察された。抗原特異性CTL応答は、MIEDではNPに対して200+/−57.9SFU/106脾臓細胞であり、IMではNPに対して85+/−36.3SFU/106脾臓細胞であった(図7A)。皮内に電気穿孔された動物の方が、統計学的に有意ではないが高い力価および細胞応答を示した。
【0077】
誘導された免疫応答が、感染に影響を及ぼすことが可能であるかを決定する試みにおいて、鼻内(i.n.)接種により、致死量のインフルエンザA/H5N1/ベトナム/1203/04でマウスを攻撃した(図7B)。インフルエンザのVN/1203/04(H5N1)株は、急速な罹患および死亡を誘発することが公知である。未処置マウスの100%が、11日目までに感染により死亡したが、MIEDで免疫化されたマウスの100%が、15日目(実験の終了時)まで罹患および死亡の両方から防御された。同様に15日目に、IMで免疫化された陽性対照動物の90%が、生存した。
【0078】
実施例4
最小侵襲性装置を用いた電気穿孔は体液免疫原性および防御的HI力価をもたらす
【0079】
モルモット
極めて薄い皮膚構造であり、下部にある筋肉に接近しているため、マウスの真皮を標的とすることは困難である。この理由から、マウスにおいて誘導される免疫応答は、多くの場合、皮膚と筋肉の組み合わせである。それゆえ、より良好に画定された皮膚構造を有する大動物モデルのモルモットで、MIEDを試験した。
【0080】
MIEDを介した皮内電気穿孔により、先に記載されたコンセンサスSYNCON(商標)インフルエンザワクチンで、モルモットを免疫化した。pGX2005(H1HAのコンセンサス配列をコードするSYNCON(商標)のワクチン構築物)およびpGX2009(ブタH1HAのコンセンサス配列をコードするSYNCON(商標)のワクチン構築物)を含むワクチンプラスミドカクテル(100μg/プラスミド)を1×PBSで希釈された50μl容量で、動物へワクチン接種した。2回の免疫化の2週間後に、各動物は、H1N1パンデミックメキシコ/2009株に対して1:40を超えて、そしてA/H3N2ブリスベン株およびある程度まではA/H5N1ベトナム/2005株に対して、ロバストなHAI力価を発現した(図8)。
【0081】
マカク
皮内(MIED)または筋肉内の電気穿孔(Elgen 1000)のいずれかにより、pGX2005(H1HAのコンセンサス配列をコードするSYNCON(商標)のワクチン構築物)およびpGX2009(ブタH1HAのコンセンサス配列をコードするSYNCON(商標)のワクチン構築物)を含む先に記載されたコンセンサスインフルエンザワクチンプラスミドカクテル(100μg/プラスミド)を50μl容量で、マカクへワクチン接種した。MIEDで皮内に免疫化すると、2回の免疫化の後に動物4匹中4匹が、H1N1/メキシコ/2009株に対して1:40を超えて、そしてA/H1N1/ニューカレドニア株に対して、HAI力価を発現した(図9)。
【0082】
実施例5
最小侵襲性装置を用いた耐容性試験
【0083】
最小侵襲性EP装置でのEPの疼痛レベルを評価するために、角質層と基底層の間の表皮層に適用する。麻酔をかけた動物での検査の視覚的応答では、より高出力のパルスまたは侵襲性電極アレイで認められた筋肉れん縮を生じず、レポーター遺伝子での効果的トランスフェクションおよび抗原プラスミドでの免疫応答が実証される。15Vまでのパルス電圧およびおよそ30mAまでの電流は、軽微な感覚しか生じず、モルモットおよびアカゲザルにおいてインフルエンザへの防御的免疫応答を誘導する。
【0084】
侵襲性真皮装置を用いて適用されたインビボでのEPは、筋肉内装置の侵襲性アレイに比較して、疼痛の顕著な低下を示した。MIEDは、疼痛をより大きく低下させると予測される。
【0085】
顆粒層への0.9%生理食塩水のID注射の後に、MIEDアレイを用いてインビボEPを適用する。患者の顆粒層へ0.15mL生理食塩水を注入し、その後、CELLECTRA(登録商標)2000(適応性のある定電流装置、または代わりにペンシルバニア州ブルーベルのInovio Pharmaceuticals, IncのElgen 1000装置)を用いて、EPを実施した。EPパラメータは、15V、100m秒パルス、および合計3パルスである。
【0086】
各対象ごとに、EPの直後に測定されるビジュアルアナログスコア(VAS)を用いることにより、注射部位の疼痛が評価される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧発生装置と;
前記電圧発生装置と電気的に連通した複数の電極を有するアレイと、
を含み、角質層と基底層の間の表皮組織層への耐容性電位を対象へ送達して、前記組織内の細胞の電気穿孔をもたらすことが可能な電気穿孔装置であって、
複数の電極のそれぞれが、各隣接する電極から約0.5mm〜約2.5mmの距離で離れており;
電圧発生装置が、電極を介して表皮組織へ約0.1ボルト〜約50ボルトの電位を送達し;
電極が、鈍角であるが尖端のある遠端部の先端を有することで、角質層と基底層の間の表皮組織層へ貫入することができ、電圧発生装置から表皮組織へ電位を送達する、電気穿孔装置。
【請求項2】
電圧発生装置と;
前記電圧発生装置と電気的に連通した複数の電極を有するアレイと、
を含み、表皮組織への耐容性電位を対象へ送達して、前記表皮組織内の細胞の電気穿孔をもたらすことが可能な電気穿孔装置であって、
複数の電極のそれぞれが、各隣接する電極から約0.5mm〜約2.5mmの距離で離れており;
電圧発生装置が、電極を介して表皮組織へ約0.1ボルト〜約50ボルトの電位を送達し;
電極が、0.1mm以下の深さで表皮組織へ貫入するように適合されている、電気穿孔装置。
【請求項3】
電圧発生装置と;
前記電圧発生装置と電気的に連通した複数の電極を有するアレイと、
を含み、表皮組織への耐容性電位を対象へ送達して、前記組織内の細胞の電気穿孔をもたらすことが可能な電気穿孔装置であって、
複数の電極のそれぞれが、各隣接する電極から約0.5mm〜約2.5mmの距離で離れており;
電圧発生装置が、約0.1〜約50ボルトの電界をアレイへ送達し;
電極が、ビジュアルアナログスケールにより測定されるとほぼ無痛となる耐容性電位を表皮組織の細胞へ送達する、電気穿孔装置。
【請求項4】
電圧発生装置と;
前記電圧発生装置と電気的に連通した複数の電極を有するアレイと、
を含み、表皮組織への耐容性電位を対象へ送達して、前記組織内の細胞の電気穿孔をもたらすことが可能な電気穿孔装置であって、
複数の電極のそれぞれが、各隣接する電極から約0.5mm〜約2.5mmの距離で離れており;
電圧発生装置が、約0.1〜約50ボルトの電界をアレイへ送達し;
電極が、表皮組織の細胞における最小限の組織障害により示される耐容性電位を、前記細胞へ送達する、電気穿孔装置。
【請求項5】
前記電極が、0.1mm以下の深さで表皮組織へ貫入するように適合されている、請求項1、3、および4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記電極が、約0.01mm〜約0.04mmの深さで表皮組織へ貫入するように適合されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記耐容性電位が、ビジュアルアナログスケールにより測定されると、前記対象によるほぼ無痛との疼痛評価を生じる、請求項1、2、および4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記耐容性電位が、対象の前記細胞において最小限の組織障害をもたらす電位である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記電極が、約1.5mmの距離で各隣接する電極から離れている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記電圧発生装置が、約1ボルト〜約15ボルトの電位を表皮組織へ送達する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記電圧発生装置が、約1mA〜約50mAの範囲内の電流で、電位を表皮組織へ送達する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記電圧発生装置が、約5m秒〜約250m秒の範囲内の持続期間で、電位を表皮組織へ送達する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
生体分子を対象の表皮組織の細胞へ投与すること;
電極を表皮組織へ接触させることで電極が角質層へ貫入して基底層の上の層に存在すること;および
電極を介して耐容性電位を電圧発生装置から表皮層の細胞へ送達すること、
を含む、請求項1に記載の電気穿孔装置を用いた電気穿孔支援送達により、生体分子を対象の表皮組織の細胞へ送達する耐容性のある方法。
【請求項14】
前記接触ステップが、電極を操作して0.1mm以下の深さで表皮組織へ貫入させることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記接触ステップが、電極を操作して、約0.01mm〜約0.04mmの深さで表皮組織へ貫入させることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記送達ステップが、ビジュアルアナログスケールにより測定されると、前記対象によるほぼ無痛との疼痛評価を生じる耐容性電位を送達することを含む、請求項13〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記送達ステップが、対象の前記細胞において最小限の組織障害をもたらす耐容性電位を送達することを含む、請求項13〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記送達ステップが、約0.1ボルト〜約15ボルトの電位を細胞へ送達することを含む、請求項13〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記送達ステップが、約1mA〜約50mAの範囲内の電流で、電位を細胞へ送達することを含む、請求項13〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記送達ステップが、約5m秒〜約250m秒の範囲内の持続期間で、電位を送達することを含む、請求項13〜19のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2013−521058(P2013−521058A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−556176(P2012−556176)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【国際出願番号】PCT/US2011/026701
【国際公開番号】WO2011/109406
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(509320254)イノビオ ファーマシューティカルズ,インコーポレイティド (3)
【Fターム(参考)】