説明

耐水シート、安全容器及びそれを用いた芳香容器並びに芳香容器収納具

【課題】耐水性や耐溶剤性に優れるとともに、使用後のシート自体は環境中で崩壊し易く、環境中に残留し難く廃棄物処理の問題が少ない環境保全性に優れた包装用,各種物品の表面保護用等として用いることのできる耐水シートを提供することを目的とする。
【解決手段】親水性セルロース誘導体,ポリビニルアルコール誘導体,天然高分子化合物,糖類,親水性ポリエステル誘導体,親水性ポリビニル誘導体等の親水性高分子化合物で形成された基材シート4と、基材シート4の片面又は両面に形成されたシラノール,アルコキシシラン,ヒドロシラン,アミノシラン等の有機ケイ素化合物,水ガラス等のアルカリケイ酸塩等のケイ素化合物塗膜層5と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装用,各種物品の表面保護用等として用いられる耐水シート、食品,洗剤,試薬,薬品類等を収容する安全容器及びそれを用いた芳香容器並びに芳香容器収納具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、食品や洗剤、試薬、薬品類等を包装するシートとしては、ポリ塩化ビニルやポリエチレン類のシート類が使用されている。しかしながら、上記シート類は内容物の運搬に際してのみに機能するものであり、その廃棄物は環境中に残留するため問題となっている。
そこで、使用後のシート類自体が次第に崩壊することで減容し、環境中にも残留し難いシート類の使用も検討され始めている。このようなシート類としては、澱粉やポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等の水溶性高分子よりなるものが知られている。
しかしながら、これらのシート類は、耐水性に欠けるという問題を有していた。
【0003】
また、粒状物等の固体、薬品や香水等の液体、ゲル等を収容する容器として、耐水性、化学的安定性に優れ薬品等に対して安定なガラス製やセラミック製のアンプル、瓶等が用いられている。
このようなアンプルとしては、例えば(特許文献1)、(特許文献2)に記載の化学発光液等の薬剤や香料等を封入した破割性のガラスアンプルが知られている。
また、塑性変形をほとんど示さずに脆性破壊可能に形成された容器として、(特許文献3)に「軽質あるいは重質炭酸カルシウムと有機系バインダとからなる複合材料を用いた密閉型包装容器」が記載されている。
【特許文献1】特開2003−250630号公報
【特許文献2】特開2003−229001号公報
【特許文献3】特開平3−98851号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)、(特許文献2)に記載のガラスアンプルから薬剤や香料等を取り出すためには、ガラスアンプルを折り曲げたりして引張応力を加えガラスアンプルを破壊するのであるが、極めて鋭利な破片が形成され、破片に触れると皮膚や粘膜が傷つけられることがあるという課題を有していた。
(2)そのため、破片が皮膚等に直接触れないようにガラスアンプルをポリエチレン、ポリプロピレン製等の外側容器に収容しなければならず、また破片が外側容器を突き破ると、外側容器に収容していても皮膚等が傷つけられるため、破片が外側容器を突き破らないように外側容器を厚くして機械的強度を大きくする必要があり、外側容器の設計の自由度に欠けるという課題を有していた。
(3)香料が封入された(特許文献1)のガラスアンプルでは、香料を揮発させるために外側容器に形成された発散口からガラスの破片が飛び出すのを防ぐため、発散口の内側にフェルト等の吸収性素材を充填しなければならず生産性に欠けるという課題を有していた。
(4)破片から皮膚等を守るためにガラスアンプルは外側容器で覆わなくてはならないため、ガラスアンプル自体を香水瓶等のように装飾用として用いることが困難であるという課題を有していた。
(5)(特許文献3)に記載の密封型包装容器は玩具等の固形物を包装する容器であり、薬品や香水等の液体、ゲル等を収容すると、水分が炭酸カルシウムに吸収され耐水性に欠けるという課題を有していた。
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、耐水性や耐溶剤性に優れるとともに、使用後のシート自体は環境中で崩壊し易く、環境中に残留し難く廃棄物処理の問題が少ない環境保全性に優れた耐水シートを提供することを目的とする。
また、耐水性や耐溶剤性に優れるとともに、手指で曲げたり潰したりすると比較的容易に壊すことができ、また壊した破面が鋭利ではなく、また亀裂が伝播し難いので破片が形成され難く安全性に優れる安全容器を提供することを目的とする。
また、耐水性や耐溶剤性に優れるとともに、手指で曲げたり潰したりすると比較的容易に壊すことができ、封入された芳香液が外気と接触するので芳香を周囲に放つことができ、また壊した破面が鋭利ではないため安全性に優れ、さらに芳香容器自体を香水瓶等のように装飾用として用いることもでき自在性に優れる芳香容器を提供することを目的とする。
また、収納部材に芳香容器を収納した後に蓋部材を螺着等することで、破壊部が芳香容器を破壊し芳香液が外気と接触するので、手指を汚すことなく、連通孔部から芳香液を揮発させたり芳香液を漏れ出させたりして芳香を周囲に放つことができる芳香容器収納具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記従来の課題を解決するために本発明の耐水シート、安全容器及びそれを用いた芳香容器並びに芳香容器収納具は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の耐水シートは、親水性高分子化合物で形成された基材シートと、前記基材シートの片面又は両面に形成されたケイ素化合物塗膜層と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)基材シートの片面又は両面にケイ素化合物塗膜層が形成されているので、硬度を高め剛性を高めることができ、さらに表面の平滑性を高めるとともに耐水性を付与することができる。
(2)ケイ素化合物塗膜層は、親水性高分子化合物で形成された基材シートとの密着性に優れるので、緻密なケイ素化合物塗膜層を形成することができ耐水性に優れる。
(3)ケイ素化合物塗膜層は塗膜厚さを厚くできるので、機械的強度を高めることができるとともに、剛性等の機械的特性を塗膜厚さで自在に設定でき自在性に優れる。
【0007】
ここで、親水性高分子化合物としては、主鎖又は側鎖にカルボキシル基,スルホン基,水酸基,アミド基,エーテル基等の官能基を有するものが用いられる。ケイ素化合物塗膜層との密着性が良好だからである。具体的には、メチルセルロース,カルボキシメチルセルロース,ヒドロキシセルロース等の親水性セルロース誘導体;ポリビニルアルコール,酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体,ポリビニルアセタール,ポリビニルホルマール,ポリビニルベンザール等のポリビニルアルコール誘導体;ゼラチン,カゼイン,アラビアゴム,セラック等の天然高分子化合物;デンプン等の糖類;部分的にスルホン化されたポリエチレンテレフタレート等の親水性ポリエステル誘導体;ポリ−N−ビニルピロリドン,ポリアクリルアミド,ポリアミドインダゾール,ポリビニルピラゾール等の親水性ポリビニル誘導体;アルカリ水溶液等に可溶なポリ酢酸ビニル等の内の1種又は複数種が用いられる。
【0008】
基材シートは、キャスト法、押出法、ゲル製膜法等の種々の方法によって、用途に応じて5〜300μm程度の厚さに成形することができる。
【0009】
ケイ素化合物としては、シラノール、アルコキシシラン、ヒドロシラン、アミノシラン、シラノールの縮合やアミノシラン等の加水分解で生成したシロキサン等の有機ケイ素化合物、水ガラス等のアルカリケイ酸塩の水溶液が用いられる。基材シートに、液状のケイ素化合物をディップや噴霧、グラビアコーティング法,ロールコーティング法等によって塗布等した後、乾燥や加水分解等によって透明なケイ素化合物塗膜層を形成することができる。基材シートの表面に気孔があっても、気孔内に毛細管現象によって浸透するので、基材シートとケイ素化合物塗膜層とを密着させることができる。
ケイ素化合物塗膜層の厚さとしては、5〜50μmが好適に用いられる。ケイ素化合物塗膜層が5μmより薄くなるにつれ基材シートの剛性を高めることが困難で、耐水シートを曲げたり捻ったりしても撓むだけで破断させることが困難になり、また基材シートの表面を均一に被覆することが困難で耐水性や耐油性等を付与することが困難になる傾向がみられ、50μmより厚くなるにつれ乾燥速度が遅くなり生産性に欠ける傾向がみられるため、いずれも好ましくない。
【0010】
本発明の耐水シートは、食品や洗剤、試薬、薬品類等を包装する包装用,各種物品の表面保護用等のシートとして用いることができる。また、化粧品や歯磨き等を包装するためにチューブ等に加工して用いることもできる。
なお、包装した食品等と一緒に摂取可能な耐水シートを製造する場合、親水性高分子化合物としては、ゼラチン,カゼイン,セラック等の天然高分子化合物、デンプン等の糖類、ポリビニルアルコール誘導体等の経口摂取可能なものを用いる。
【0011】
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の耐水シートであって、骨材粒子が、前記基材シート100容量部に対し15〜70容量部好ましくは25〜60容量部の割合で前記基材シートに配合された構成を有している。
この構成により、請求項1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)骨材粒子が、基材シート100容量部に対して15〜70容量部配合されているので基材シートが脆性化するため、手指で耐水シートを曲げたり捻ったりすると、骨材粒子間の親水性高分子化合物若しくは骨材粒子と親水性高分子化合物との間が割れ易く、割れた破面は骨材粒子若しくは親水性高分子化合物の表面が露出しているので鋭利ではなく、また亀裂が伝播し難いので破片が形成され難く安全性に優れる。
【0012】
ここで、骨材粒子としては、ガラスビーズ等のガラス製、シリカ粉末,アルミナ粉末等の金属酸化物製、アクリル酸樹脂,ポリアミド等の合成樹脂製、鉄,低炭素鋼,ケイ素鋼,パーマロイ,センダスト,KS鋼,MK鋼,Fe−Co合金,Cu−Ni−Fe合金,Fe−Cr−Co合金等の磁性体のいずれか1種以上で球状,フレーク状,中空状に形成されたものが用いられる。また、骨材粒子の表面をシラノール基等で修飾したものを用いることもできる。親水性高分子化合物との接着強度を高めることができるからである。
ガラス製,合成樹脂製の骨材粒子は透明乃至は半透明にでき、金属酸化物製の骨材粒子は白色にできるので、基材シートを透明乃至は半透明にすることができ、また着色もできるので装飾性を高めることができる。
磁性体で形成された骨材粒子は茶色乃至は黒色のため装飾性には乏しいが、磁着可能な基材シートが得られ、用途を拡大することができる。
なお、包装した食品等と一緒に摂取可能な耐水シートを製造する場合、骨材粒子としては、シリカ粉末,アルミナ粉末等の金属酸化物製等の経口摂取可能なものを用いる。
【0013】
骨材粒子の平均粒径としては、0.2〜100μmが好適に用いられる。0.2μmより小さくなるにつれ骨材粒子が凝集し易くなりダマができ親水性高分子化合物で結合されない骨材粒子が発生し欠陥が生じ易くなる傾向がみられ、100μmより大きくなるにつれ基材シートの表面の凹凸が目立ち、また骨材粒子が脱落し易く欠陥が生じ易くなる傾向がみられるため、いずれも好ましくない。
【0014】
基材シートは、親水性高分子化合物と骨材粒子とを混練した後、キャスト法、押出法等の種々の方法によって製造することができる。なお、骨材粒子の表面を親水性高分子化合物でコーティングした後、親水性高分子化合物がコーティングされた骨材粒子をプレス成形等によって成形し製造することもできる。
【0015】
なお、基材シートに対する骨材粒子の配合量が多くなるにつれ基材シートが硬質になる傾向がみられ、配合量が少なくなるにつれ基材シートが軟質になり可撓性を示す傾向がみられる。また、基材シート100容量部に対する骨材粒子の配合量が60容量部より多くなるにつれ骨材粒子間の結合が不完全になり基材シートの機械的強度が低下する傾向がみられ、25容量部より少なくなるにつれ高分子化合物としての性質が強くなり手指で耐水シートを曲げたり捻ったりしても弾性変形量が大きくなり破壊し難くなる傾向がみられる。特に、70容量部より少なくなるか15容量部より多くなると、これらの傾向が著しくなるため、いずれも好ましくない。
【0016】
本発明の請求項3に記載の耐水シートは、親水性高分子化合物の不織布で形成された多孔質基材シートと、前記多孔質基材シートの表面に形成されたケイ素化合物塗膜層と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)多孔質基材シートの表面にケイ素化合物塗膜層が形成されているので耐水性を付与して、気体が繊維間を通過する気体透過性と撥水性とを発現させることができる。
(2)ケイ素化合物塗膜層は、親水性高分子化合物で形成された多孔質基材シートとの密着性に優れるので、緻密なケイ素化合物塗膜層を形成することができ耐水性に優れる。
(3)ケイ素化合物塗膜層は塗膜厚さを自由に設定できるとともに、毛細管現象によって繊維間まで浸透するので生産安定性に優れる。
【0017】
ここで、親水性高分子化合物、ケイ素化合物塗膜層としては、請求項1で説明したものと同様なので説明を省略する。
多孔性基材シートとしては、パルプ,レーヨン等の親水性セルロース誘導体、ポリビニルアルコール誘導体、親水性ポリエステル誘導体等の親水性高分子化合物を原料とした不織布が用いられる。このような不織布としては、スパンボンド、メルトブローン等の種々の製法で作られたものが用いられる。
不織布からなる多孔性基材シートの目付としては、25〜70g/mが好適である。目付が25g/mより小さくなると不織布の引張強さ及び引裂強さが小さく、例えば農業用シートとして、ハウス内張カーテンとして使用する場合、自動開閉機で開閉を繰り返す時などその張力によって破れたり、保温効果が低下したりする問題が生じる。また、目付が70g/mより大きくなると光透過性が不足し、農業用シートとして用いた場合には作物の生育性が劣る問題が生じるととともに、重量が増し取扱性に欠けるため好ましくない。
【0018】
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の内いずれか1に記載の耐水シートであって、前記ケイ素化合物塗膜層が、オルガノアセトキシシラン、オルガノアルコキシシラン、オルガノクロルシラン、オルガノクロルフルオルシラン、オルガノジシラン、オルガノシラザン、オルガノシラノール、オルガノシラン、オルガノシランカルボン酸、オルガノシリコンイソシアネート、オルガノシリコンエステル、オルガノシルチアン、オルガノシルメチレン、オルガノジシロキサン、オルガノヒドロゲノシラン、オルガノフルオルシラン、オルガノブロムシラン、オルガノポリシランの有機ケイ素化合物の内の1種乃至は複数種を主成分として形成された構成を有している。
この構成により、請求項1乃至3の内いずれか1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)ケイ素化合物塗膜層が有機ケイ素化合物の1種乃至は複数種を主成分として形成されているので、基材シートや多孔質基材シートに水分や油分等のバリア機能を付与し、耐水性、耐油性、耐薬品性等を高めることができる。
【0019】
ここで、ケイ素化合物塗膜層は、オルガノアセトキシシラン、オルガノアルコキシシラン等の有機ケイ素化合物をアルコール,酢酸エチル,エチレングリコールアセテート等の溶媒で希釈し、グラビアコーティング法、リバースロールコーティング法、ロールコーティング法、ディップコーティング法等の公知の方法によって、基材シートや多孔質基材シートの表面に塗布、乾燥(硬化)して形成される。また、噴霧・乾燥して形成することもできる。
【0020】
本発明の請求項5に記載の安全容器は、親水性高分子化合物で形成された基材容器と、前記基材容器の少なくとも内面に形成されたケイ素化合物塗膜層と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)基材容器の少なくとも内面にケイ素化合物塗膜層が形成されているので、硬度を高め剛性を高めるとともに、耐水性を付与することができる。
(2)ケイ素化合物塗膜層は、親水性高分子化合物で形成された基材容器との密着性に優れるので、緻密なケイ素化合物塗膜層を形成することができ耐水性に優れる。
(3)ケイ素化合物塗膜層は塗膜厚さを厚くできるので、機械的強度を高めることができるとともに、剛性等の機械的特性を塗膜厚さで自在に設定でき自在性に優れる。
(4)手指で曲げたり潰したりすると比較的容易に壊すことができ、ガラス製のものとは異なり、壊した破面が鋭利ではなく、また亀裂が伝播し難いので破片が形成され難く安全性に優れる。
【0021】
ここで、ケイ素化合物塗膜層としては、請求項1で説明したものと同様なので説明を省略する。
親水性高分子化合物としては、請求項1で説明したものの他、親水性基を含有させたポリアクリレート系等の紫外線硬化樹脂も用いることができる。
【0022】
基材容器としては、鋳込み成形、押出成形,プレス成形等の塑性成形等によって製造することができる。成形後、熱風乾燥、加熱乾燥、真空乾燥等によって乾燥させ基材容器を得ることができる。親水性高分子化合物に紫外線硬化樹脂を用いた場合は、紫外線を照射して硬化させ基材容器を得る。
また、テープ成形で基材シートを製造した後、必要に応じ加熱軟化させて、基材シートで筒や管等を形成し、その底部を溶着や接着等で封じ基材容器を製造することもできる。
【0023】
なお、請求項2で説明した骨材粒子を、基材容器100容量部に対して15〜70容量部配合させると、基材容器が脆性化するため、より破壊させ易くなり好ましい。
また、基材容器は、収容物の種類や用途に応じて5μm〜30mm程度の厚さに成形することができる。
【0024】
ケイ素化合物塗膜層は、注入、ディップ、噴霧、塗布等の手段によって、基材容器の内面や外面に形成することができる。
【0025】
安全容器に収容する収容物としては、粒状物等の固体、薬品や香水,化学蛍光体等の液体、ゲル等が用いられる。これらの収容物を安全容器の開口した端部から収容した後、端部を溶着や接着等で封じ、収容物を安全容器内に封入することができる。
【0026】
なお、薬液等の液状の収容物と反応し難いケイ素化合物塗膜層を基材容器の内面に形成し、収容物に溶解し易い親水性高分子化合物で基材容器を形成すると、安全容器を割って安全容器の中から収容物を漏れ出させ安全容器を収容物に浸漬した状態にしておくと、親水性高分子化合物が収容物に溶解し、ケイ素化合物塗膜層だけが残留することになり、安全容器を崩壊させることができる。
【0027】
本発明の請求項6に記載の芳香容器は、請求項5の安全容器に芳香液が封入された構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)耐水性や耐溶剤性に優れるケイ素化合物塗膜層が内面に形成されているので、芳香液を揮発や変質させずに封入することができるとともに、手指で曲げたり潰したりすると比較的容易に壊すことができ、封入された芳香液が外気と接触するので芳香を周囲に放つことができる。
(2)破面が鋭利ではないため安全性に優れ、従来技術のように破片から皮膚等を守るために外側容器で覆う必要がなくなり、また外側容器で覆ったとしても破片が鋭利でないため厚さを薄くできるので、芳香容器自体を香水瓶等のように装飾用として用いることができ自在性に優れる。
【0028】
ここで、芳香液としては、例えばミント油、ラベンダー油等の天然香料、イソアミルアセテート等の合成香料、フローラル系等の調合香料、コーヒーフレーバー、バニラエッセンス等のフレーバーなどを用いる事ができる。なお、揮発性の調整や溶剤として、エタノール,イソプロピルアルコール等の1価アルコール、ジプロピレングリコール,ヘキシレングリコール,プロピレングリコール,1,3−ブタンジオール等の多価アルコール、フタル酸エステル類等のエステル類、環状シリコン等のシリコーンオイル類などを配合することができる。
【0029】
さらに、綿,ろ紙,パルプ,コルク,不織布,フェルト,発泡ポリエチレン,発泡ウレタン,多孔質ガラス等の多孔質体を、芳香液とともに収容させることができる。これにより、毛細管現象によって芳香液を多孔質体中に拡散させ、芳香性を高めることができる。また、吸水性高分子を安全容器内に収容すると、吸水性高分子の吸水性によって芳香液が揮発するのを抑制することができ持続性を高めることができる。
【0030】
芳香容器は、安全容器の開口部から芳香液や多孔質体等を収容した後、その開口部を溶着や接着等で封じることで製造することができる。
【0031】
本発明の請求項7に記載の芳香容器収納具は、請求項6の芳香容器が収納される収納室が形成された収納部材と、前記収納部材に螺着、嵌着又は刺衝する蓋部材と、前記収納部材又は蓋部材の内側に配設又は形成され前記芳香容器を押圧又は刺衝して破壊する破壊部と、前記収納部材,前記蓋部材,前記収納部材と前記蓋部材との隙間の内いずれか1以上に形成され前記収納室と連通する連通孔部と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)収納部材に芳香容器を収納した後に蓋部材を螺着等することで、破壊部が芳香容器を破壊し芳香液が外気と接触するので、手指を汚すことなく、連通孔部から芳香液を揮発させたり芳香液を漏れ出させたりして芳香を周囲に放つことができる。
【0032】
ここで、収納部材としては、アクリル酸樹脂、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS、ポリエチレン、ポリカーボネート等の合成樹脂製やガラス製等で、筒状、円盤状、箱状等の種々の形状に形成することができる。
破壊部としては、収納部材に蓋部材を螺着等することに連動して、蓋部材や収納部材の内側に配設又は形成された破壊部が芳香容器を押圧又は刺衝するもの、蓋部材を収納部材に嵌着又は刺衝することによって蓋部材に配設又は形成された破壊部が芳香容器を押圧又は刺衝するものが用いられる。
蓋部材,収納部材と蓋部材との隙間の内いずれか1以上に形成された連通孔部は、収納室に蓋部材を螺着等することによって、収納室と連通するものが用いられる。
収納室や連通孔部には、綿,ろ紙,パルプ,コルク,不織布,フェルト,発泡ポリエチレン,発泡ウレタン,多孔質ガラス等の多孔質体を配設することができる。これにより、毛細管現象によって芳香液を多孔質体中に拡散させ芳香性を高めることができる。
連通孔部にボールやロールを装着し、ボール等を皮膚や衣類の上を転動させることによって芳香液を滲出させるようにすることもできる。
また、収納部材や蓋部材に種々のデザインを施すことにより、室内に静置して芳香を放つ芳香容器収納具として、また店頭で香水のテスター等として用いることができる。また、収納部材や蓋部材に紐,チェーン等を配設することで、ネックレス等の装身具、キーホルダー、携帯用電話機等のストラップ等として、香りを持ち運び可能にすることができる。
【発明の効果】
【0033】
以上のように、本発明の耐水シート、安全容器及びそれを用いた芳香容器並びに芳香容器収納具によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、
(1)基材シートの片面又は両面にケイ素化合物塗膜層が形成されているので、硬度を高め剛性を高めることができ、さらに表面の平滑性を高めるとともに耐水性に優れた耐水シートを提供することができる。
(2)ケイ素化合物塗膜層は、親水性高分子化合物で形成された基材シートとの密着性に優れるので、緻密なケイ素化合物塗膜層を形成することができ耐水性に優れた耐水シートを提供することができる。
(3)ケイ素化合物塗膜層は塗膜厚さを厚くできるので、機械的強度を高めることができるとともに、剛性等の機械的特性を塗膜厚さで自在に設定でき自在性に優れた耐水シートを提供することができる。
【0034】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、
(1)基材シートを脆性化させ、手指で耐水シートを曲げたり捻ったりすると、骨材粒子間の親水性高分子化合物若しくは骨材粒子と親水性高分子化合物との間が割れ易く、割れた破面は骨材粒子若しくは親水性高分子化合物の表面が露出しているので鋭利ではなく、また亀裂が伝播し難いので破片が形成され難く安全性に優れた耐水シートを提供することができる。
【0035】
請求項3に記載の発明によれば、
(1)多孔質基材シートの表面にケイ素化合物塗膜層が形成されているので耐水性を付与して、気体が繊維間を通過する気体透過性と撥水性とに優れた耐水シートを提供することができる。
(2)ケイ素化合物塗膜層は、親水性高分子化合物で形成された多孔質基材シートとの密着性に優れるので、緻密なケイ素化合物塗膜層を形成することができ耐水性に優れた耐水シートを提供することができる。
(3)ケイ素化合物塗膜層は塗膜厚さを自由に設定できるとともに、毛細管現象によって繊維間まで浸透するので生産安定性に優れた耐水シートを提供することができる。
【0036】
請求項4に記載の発明によれば、
(1)ケイ素化合物塗膜層が有機ケイ素化合物の1種乃至は複数種を主成分として形成されているので、基材シートや多孔質基材シートに水分や油分等のバリア機能を付与し、耐水性、耐油性、耐薬品性に優れた耐水シートを提供することができる。
【0037】
請求項5に記載の発明によれば、
(1)基材容器の少なくとも内面にケイ素化合物塗膜層が形成されているので、硬度を高め剛性を高めるとともに、耐水性に優れた安全容器を提供することができる。
(2)ケイ素化合物塗膜層は、親水性高分子化合物で形成された基材容器の内面を均一に濡らし密着性に優れるので、緻密なケイ素化合物塗膜層を形成することができ耐水性に優れた安全容器を提供することができる。
(3)ケイ素化合物塗膜層は塗膜厚さを厚くできるので、機械的強度を高めることができるとともに、剛性等の機械的特性を塗膜厚さで自在に設定でき自在性に優れた安全容器を提供することができる。
(4)手指で曲げたり潰したりすると比較的容易に壊すことができ、ガラス製のものとは異なり、壊した破面が鋭利ではなく、また亀裂が伝播し難いので破片が形成され難く安全性に優れた安全容器を提供することができる。
【0038】
請求項6に記載の発明によれば、
(1)耐水性や耐溶剤性に優れるケイ素化合物塗膜層が内面に形成されているので、芳香液を揮発や変質させずに封入することができるとともに、手指で曲げたり潰したりすると比較的容易に壊すことができ、封入された芳香液が外気と接触するので芳香を周囲に放つことができる保存性に優れた芳香容器を提供することができる。
(2)破面が鋭利ではないため安全性に優れ、従来技術のように破片から皮膚等を守るために外側容器で覆う必要がなくなり、また外側容器で覆ったとしても破片が鋭利でないため厚さを薄くできるので、芳香容器自体を香水瓶等のように装飾用として用いることができ自在性に優れた芳香容器を提供することができる。
【0039】
請求項7に記載の発明によれば、
(1)収納部材に芳香容器を収納した後に蓋部材を螺着等することで、破壊部が芳香容器を破壊し芳香液が外気と接触するので、手指を汚すことなく、連通孔部から芳香液を揮発させたり芳香液を漏れ出させたりして芳香を周囲に放つことができる芳香容器収納具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における耐水シートの斜視図及びその要部拡大模式図である。
図中、1は実施の形態1における耐水シート、2はシリカビーズ等のガラス製、シリカ粉末等の金属酸化物製、アクリル酸樹脂,ポリアミド等の合成樹脂製、鉄,低炭素鋼,ケイ素鋼,パーマロイ,センダスト,KS鋼,MK鋼,Fe−Co合金,Cu−Ni−Fe合金,Fe−Cr−Co合金等の磁性体のいずれか1種以上で球状,中空状等に形成された骨材粒子、3は骨材粒子2間を結合したメチルセルロース,カルボキシメチルセルロース,ヒドロキシセルロース等の親水性セルロース誘導体;ポリビニルアルコール,酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体,ポリビニルアセタール,ポリビニルホルマール,ポリビニルベンザール等のポリビニルアルコール誘導体;ゼラチン,カゼイン,アラビアゴム,セラック等の天然高分子化合物;デンプン等の糖類;部分的にスルホン化されたポリエチレンテレフタレート等の親水性ポリエステル誘導体;ポリ−N−ビニルピロリドン,ポリアクリルアミド,ポリアミドインダゾール,ポリビニルピラゾール等の親水性ポリビニル誘導体;アルカリ水溶液等に可溶なポリ酢酸ビニル等の内の1種又は複数種からなる親水性高分子化合物である。4は骨材粒子2が親水性高分子化合物3で結合された基材シート、5はオルガノアセトキシシラン,オルガノアルコキシシラン等の有機ケイ素化合物、水ガラス等のケイ素化合物を主成分として基材シート4の片面に形成されたケイ素化合物塗膜層である。
ここで、本実施の形態においては、骨材粒子2が、基材シート4の100容量部の内、15〜70容量部好ましくは25〜60容量部の割合で配合されている。これにより、基材シート4が脆性化するので、手指で耐水シート1を曲げたり捻ったりすると、骨材粒子2間の親水性高分子化合物3若しくは親水性高分子化合物3と骨材粒子2との間が割れるので耐水シート1を壊すことができ、割れた破面は親水性高分子化合物3若しくは骨材粒子2の表面が露出しているので鋭利ではなく、また亀裂が伝播し難いので破片が形成され難く安全性に優れる。
また、ケイ素化合物塗膜層5の厚さは5〜50μmに形成されている。これにより、基材シート4の剛性を高めるとともに、耐水シート1を手指で曲げたり捻ったりして破断させることができ、また基材シート4の耐水性や耐油性等を高めることができる。
【0041】
以上のように構成された実施の形態1における耐水シート1は、骨材粒子2と親水性高分子化合物3の所定量を混練した後、鋳込み成形、押出成形,プレス成形等の塑性成形、テープ成形等によって基材シート4を製造し、次いで、オルガノアセトキシシラン、オルガノアルコキシシラン等を溶剤で希釈した液状の有機ケイ素化合物を、グラビアコーティング法、ロールコーティング法、ディップコーティング法等により基材シート4の表面に塗布、乾燥(硬化)して形成される。また、噴霧・乾燥して形成することもできる。
【0042】
以上のように、本発明の実施の形態1における耐水シートは構成されているので、以下のような作用が得られる。
(1)基材シート4の片面にケイ素化合物塗膜層5が形成されているので、硬度を高め剛性を高めることができ、さらに表面の平滑性を高めるとともに耐水性を付与することができる。
(2)ケイ素化合物塗膜層5は、骨材粒子2を親水性高分子化合物3で結合した基材シート4の全面を均一に濡らし密着性に優れるので、緻密なケイ素化合物塗膜層5を形成することができ耐水性に優れる。
(3)ケイ素化合物塗膜層5は塗膜厚さを自由に設定できるので、剛性等の機械的特性を塗膜厚さで自在に設定でき自在性に優れる。
(4)骨材粒子2が、基材シート4の100容量部に対して15〜70容量部配合されているので基材シート4が脆性化するため、手指で耐水シート1を曲げたり捻ったりすると、骨材粒子2間の親水性高分子化合物3若しくは骨材粒子2と親水性高分子化合物3との間が割れ易く、割れた破面は鋭利ではなく、また亀裂が伝播し難いので破片が形成され難く安全性に優れる。
【0043】
なお、本実施の形態においては基材シート4の片面にケイ素化合物塗膜層5が形成された場合について説明したが、基材シート4の両面にケイ素化合物塗膜層5を形成する場合もある。この場合は、耐水シート1の機械的強度、耐水性等をより高めることができる。
また、本実施の形態においては基材シート4が、骨材粒子2が親水性高分子化合物3で結合されている場合について説明したが、骨材粒子2を配合せずに、親水性高分子化合物3で厚さが5〜300μm程度のシート状に形成する場合もある。
また、基材シート4にケイ素化合物塗膜層5が形成された場合について説明したが、基材シート4に代えて、パルプ,レーヨン等の親水性セルロース誘導体、ポリビニルアルコール誘導体、親水性ポリエステル誘導体等の親水性高分子化合物を原料とした不織布で多孔性基材シートを形成し、これにケイ素化合物塗膜層を形成する場合もある。これにより、気体透過性と撥水性の両方の特性を備えた耐水シートを得ることができる。なお、幅狭のスリットを複数形成した基材シートや、サンドブラスト処理を施した基材シートを用いることもできる。
【0044】
(実施の形態2)
図2は本発明の実施の形態2における安全容器の要部断面図である。なお、実施の形態1で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、1aは実施の形態2における安全容器、4aは骨材粒子2が親水性高分子化合物3で結合され有底筒状に形成された基材容器、5aは基材容器4aの内面に形成されたポリシロキサン等のケイ素化合物塗膜層である。
【0045】
以上のように構成された実施の形態2における安全容器1aの基材容器4aは、骨材粒子2と親水性高分子化合物3を混練した後、鋳込み成形、押出成形,射出ブロー成形,プレス成形等の塑性成形等によって製造することができる。また、実施の形態1で説明した耐水シートを製造した後、必要に応じ加熱軟化させて筒や管等を形成し、その底部を溶着や接着等で封じ基材容器4aを製造することができる。
次いで、基材容器4aの内面に、注入、ディップ、噴霧、塗布等の手段によってケイ素化合物塗膜層5aを形成し製造することができる。
【0046】
以上のように、本発明の実施の形態2における安全容器は構成されているので、以下のような作用が得られる。
(1)基材容器4aの内面にケイ素化合物塗膜層5aが形成されているので、硬度を高め剛性を高めるとともに、耐水性を付与することができる。
(2)ケイ素化合物塗膜層5aは、骨材粒子2を親水性高分子化合物3で結合した基材容器4aの内面を均一に濡らし密着性に優れるので、緻密なケイ素化合物塗膜層5aを形成することができ耐水性に優れる。
(3)ケイ素化合物塗膜層5aは塗膜厚さを厚くできるので、安全容器1aの機械的強度を高めることができるとともに、剛性等の機械的特性を塗膜厚さで自在に設定でき自在性に優れる。
(4)安全容器1aは、手指で曲げたり潰したりすると比較的容易に壊すことができ、ガラス製のものとは異なり、壊した破面が鋭利ではなく、また亀裂が伝播し難いので破片が形成され難く安全性に優れる。
【0047】
ここで、本実施の形態においては、ケイ素化合物塗膜層5aが基材容器4aの内面に形成された場合について説明したが、ケイ素化合物塗膜層5aを基材容器4aの外面に形成する場合もある。この場合は、安全容器1aの機械的強度、耐水性等をより高めることができる。
また、骨材粒子2が親水性高分子化合物3で結合された基材容器4aを用いる場合について説明したが、骨材粒子2を配合せずに、親水性高分子化合物3で厚さが5〜300μm程度に形成された基材容器4aを用い、その内面や外面にケイ素化合物塗膜層を形成する場合もある。この場合は、骨材粒子2が配合されていないので、可視光が骨材粒子2で乱反射することがなく、安全容器の透明度を上げることができる。
【0048】
(実施の形態3)
図3は本発明の実施の形態3における芳香容器が収納された芳香容器収納具の断面図であり、(a)は収納部材に蓋部材を刺衝する前の状態を示す断面図であり、(b)は収納部材に蓋部材を刺衝した後の状態を示す断面図である。
図中、10は芳香液が封入された芳香容器、11は縦断面が長円状に形成され内面にケイ素化合物塗膜層が形成された安全容器、12は安全容器11に封入された香料等の芳香液である。本実施の形態においては、実施の形態2で説明したように骨材粒子と親水性高分子化合物を混練した後、鋳込み成形、押出成形,インジェクションブロー法,プレス成形等の塑性成形等によって有底の基材容器を製造し、その内面にディップ法や注入法等を用いてケイ素化合物塗膜層を形成して安全容器11を製造し、次いで、安全容器11の開口部から芳香液12を注入し、その開口部を溶着や接着等で封じることで芳香容器10を製造する。
20は実施の形態3における芳香容器収納具、21はポリプロピレン,ポリエチレン,軟質塩化ビニル等の軟質プラスチック等で筒状に形成された芳香容器収納具20の収納部材、22は収納部材21の内部に中空状に形成され芳香容器10を収納した収納室、23は収納室22の底部に窪み状に形成され芳香容器10の一端を遊嵌し拘束する保持部、24は収納室22の上端に窪み状に形成され芳香容器10の他端を遊嵌し拘束する保持部であり、保持部24が形成された収納部材21の上端は薄肉に形成されている。本実施の形態においては、収納部材21は半割れの上半分と下半分を形成し、芳香容器10を収納部材21の下半分に収装した後、収納部材21の上半分を被せて溶着若しくは接着等によって芳香容器10を収納室22に収納する。
25はポリプロピレン,ポリスチレン等で形成された芳香容器収納具20の蓋部材、26は蓋部材25の基部から突設した突設部、27は突設部26の鋭頭な破壊部、28は破壊部27から突設部26を通って蓋部材25の基部まで貫設された連通孔部、29は連通孔部28に充填された綿,不織布等の多孔質体である。
【0049】
以上のように構成された実施の形態3における芳香容器収納具20は、図3(b)に示すように、蓋部材25の破壊部27を収納部材21の薄肉に形成された上端から収納室22内の芳香容器10の端部に刺衝すると、芳香容器10の端部を破壊することができる。芳香容器収納具20を上下に振る等により芳香液12を多孔質体29に接触させると毛細管現象によって芳香液12が多孔質体29に吸い上げられ、芳香液12を周囲に揮発させることができる。
【0050】
以上のように構成された実施の形態3における芳香容器収納具によれば、以下のような作用が得られる。
(1)芳香容器10を収納した収納部材21に蓋部材25を刺衝することで、破壊部27が芳香容器10を破壊し芳香液12が外気と接触するので、手指を汚すことなく、収納室22と連通した連通孔部28から芳香液12を揮発させて芳香を周囲に放つことができる。
【0051】
(実施の形態4)
図4は本発明の実施の形態4における芳香容器が収納された芳香容器収納具の断面図であり、(a)は収納部材に蓋部材を螺着する前の状態を示す断面図であり、(b)は収納部材に蓋部材を螺着した後の状態を示す断面図である。なお、実施の形態3で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、30は実施の形態4における芳香容器収納具、31はポリプロピレン,ポリスチレン等で筒状に形成された芳香容器収納具30の有底の収納部材、32は収納部材31の内側に形成され芳香容器10を収納した収納室、33は収納室32の底部に窪み状に形成され芳香容器10の一端を遊嵌した保持部、34は収納部材31の開口部の外周に形成された雄螺子部、35は雄螺子部34の端部から環状に延設された延設部、36はポリプロピレン,ポリスチレン等で筒状に形成された芳香容器収納具30の有底の蓋部材、37は蓋部材36の開口部の内壁に形成された雌螺子部、38は雌螺子部37の奥側端部の複数箇所から内側に向かって舌片状に適当な間隔をあけて複数枚突設された破壊部、38aは蓋部材36の周壁と破壊部38との間に延設部35と同じ長さで形成された空間部、39は蓋部材36の底部に貫設された連通孔部である。
【0052】
以上のように構成された実施の形態4における芳香容器収納具30は、図4(b)に示すように、蓋部材36の雌螺子部37を収納部材31の雄螺子部34に螺着すると、延設部35が空間部38aに侵入し、延設部35のクサビ効果によって破壊部38が内側に押しやられ、芳香容器10の側壁が押圧され破壊される。これにより揮発した芳香液12が収納室32と連通した連通孔部39から拡散し、周囲に芳香を放つことができる。
【0053】
以上のように構成された実施の形態4における芳香容器収納具によれば、以下のような作用が得られる。
(1)芳香容器10を収納した収納部材31に蓋部材36を螺着することで、延設部35のクサビ効果により、破壊部38が芳香容器10の側壁を破壊し芳香液12が外気と接触するので、手指を汚すことなく、連通孔部39から芳香液12を揮発させて芳香を周囲に放つことができる。
【0054】
(実施の形態5)
図5(a)は本発明の実施の形態5における芳香容器が収納された芳香容器収納具の側面図であり、(b)は実施の形態5における芳香容器収納具の蓋部材の底面図であり、(c)は実施の形態5における芳香容器収納具の収納部材の上面図である。なお、実施の形態3で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、40は実施の形態5における芳香容器収納具、41はポリプロピレン,ポリスチレン等で円盤状に形成された芳香容器収納具40の有底の収納部材、42は収納部材41の内側に形成され芳香容器10を収納した収納室、43は収納室42内の略半分にブロック状に形成されたブロック部43aに窪み状に形成され芳香容器10の略半分を遊嵌し拘束する保持部、44は収納部材41の開口部の外周に形成された雄螺子部、45はポリプロピレン,ポリスチレン等で円盤状に形成された芳香容器収納具40の有底の蓋部材、46,46は蓋部材45の底面から内側に向かって所定の間隔をあけて棒状に突設された破壊部である。破壊部46,46は、保持部43に保持され収納室42に収納された芳香容器10の太さより広めの間隔をあけて離間されている。47は蓋部材45の開口部の内壁に形成された雌螺子部である。なお、雄螺子部44の外周には螺子山を横断する凹部が適当な間隔をあけて形成されている。
【0055】
以上のように構成された実施の形態5における芳香容器収納具40は、蓋部材45に突設させた破壊部46,46の間に芳香容器10が位置するように、収納部材41に蓋部材45を被せた後、蓋部材45の雌螺子部47を収納部材41の雄螺子部44に螺着すると、保持部43を支点にして破壊部46が芳香容器10を折り曲げるので、芳香容器10が破壊される。これにより揮発した芳香液12が雄螺子部44の外周に形成された凹部と雌螺子部47の間を連通孔部として芳香容器10の外部に拡散し、周囲に芳香を放つことができる。
【0056】
以上のように構成された実施の形態5における芳香容器収納具によれば、芳香容器10を収納した収納部材41に蓋部材45を螺着することで、破壊部46が芳香容器10の側壁を破壊し芳香液12が外気と接触するので、手指を汚すことなく、連通孔部から芳香液12を揮発させて芳香を周囲に放つことができる。
なお、スリット状や孔状等の連通孔部を蓋部材45の底面に貫設しておく場合もある。この場合も同様の作用が得られる。
また、ブロック部43aに保持部43を複数形成することもできる。また、収納部材41や蓋部材45は円盤状に限定されるものではなく、多角形状や星型等の種々の形状にすることができる。
【0057】
(実施の形態6)
図6(a)は本発明の実施の形態6における芳香容器が収納された芳香容器収納具の使用前の断面図であり、(b)は実施の形態6における芳香容器収納具の使用後の断面図であり、(c)は芳香容器の変形例の上面図である。なお、実施の形態3で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、50は実施の形態6における芳香容器収納具、51はポリプロピレン,ポリスチレン等で円盤状に形成された芳香容器収納具50の有底の収納部材、52は収納部材51の内側に形成され芳香容器10を収納した収納室、53は収納室52の底面に配設された綿,不織布等の多孔質体、54は収納部材51の開口部の外周に形成された雄螺子部、55はポリプロピレン,ポリスチレン等で円盤状に形成された芳香容器収納具50の蓋部材、56は蓋部材55の開口部の内壁に形成された雌螺子部、57は蓋部材55の底面に形成された貫通穴に嵌合し内面側に突設した破壊部であり、連続気泡が3次元的に形成された多孔質ガラス等の硬質の多孔質体からなり微細な連通孔部を有している。
【0058】
以上のように構成された実施の形態6における芳香容器収納具50は、蓋部材55の雌螺子部56を収納部材51の雄螺子部54に螺着すると、蓋部材55の内面側に突設した破壊部57が芳香容器10を押圧し、芳香容器10が押し潰される。芳香容器10から漏れ出した芳香液12が多孔質体53に浸み込み、破壊部57の連続気泡からなる連通孔部から拡散し、周囲に芳香を放つことができる。
なお、図6(c)に示すように、円盤状の芳香容器10a、ハート型の芳香容器10b、星型の芳香容器10cのような多様な形状の芳香容器を用いることができる。
【0059】
以上のように構成された実施の形態6における芳香容器収納具によれば、以下のような作用が得られる。
(1)芳香容器10を収納した収納部材51に蓋部材55を螺着することで、破壊部57が芳香容器10の側壁を破壊し芳香液12が外気と接触するので、手指を汚すことなく、連通孔部から芳香液12を揮発させて芳香を周囲に放つことができる。
(2)収納室52内に配設された多孔質体53に芳香液12が浸み込み、外気と接触する面積が広がるので強い芳香が得られる。
【0060】
(実施の形態7)
図7は本発明の実施の形態7における芳香容器が収納された芳香容器収納具の側面図であり、図8(a)は収納部材に蓋部材を刺衝する前の状態を示す断面図であり、(b)は収納部材に蓋部材を刺衝した後の状態を示す断面図である。
図中、60は実施の形態7における芳香容器収納具、61はポリプロピレン,ポリスチレン等で有底の筒状に形成された芳香容器収納具60の収納部材、62は収納部材61の周壁に螺旋状に形成された幅狭のスリットからなる連通孔部である。連通孔部62は、芳香液12の表面張力を考慮して、芳香液12が漏れ出さないような細いスリットで形成されている。63は収納部材61の内部に形成され芳香容器10を収納した収納室、64は収納室63の底部に窪み状に形成され芳香容器10の一端を遊嵌し拘束する保持部、65は収納部材61の端部の開口部、66は収納部材61の端部が内側に折り曲げられて突設した係止部、70はポリプロピレン,ポリスチレン等で形成された芳香容器収納具60の蓋部材、71は蓋部材25の基部から突設した突設部、72は突設部71の周壁が外周方向に張り出した係止爪、73は突設部71から延設された鋭頭な破壊部、74は破壊部73から突設部71を通って蓋部材70の基部まで貫設された連通孔部、75は連通孔部74に充填された綿,不織布等の多孔質体である。
【0061】
以上のように構成された実施の形態7における芳香容器収納具60は、図8(b)に示すように、蓋部材70の突設部71を収納部材61の開口部65に嵌挿し、破壊部73で芳香容器10の端部を破壊し係止部66で係止爪72を係止して、蓋部材70を収納部材61に嵌着させる。芳香容器収納具60を上下に振る等により芳香液12を多孔質体75に接触させると毛細管現象によって芳香液12が多孔質体75に吸い上げられ、芳香液12を連通孔部74から周囲に揮発させることができる。また、螺旋状のスリットからなる連通孔部62からも芳香液12を揮発させることができる。
【0062】
以上のように構成された実施の形態7における芳香容器収納具によれば、以下のような作用が得られる。
(1)芳香容器10を収納した収納部材61に蓋部材70を嵌着することで、破壊部73が芳香容器10を破壊し芳香液12が外気と接触するので、手指を汚すことなく、収納室63と連通した連通孔部62,74から芳香液12を揮発させて芳香を周囲に放つことができる。
(2)収納部材61と蓋部材70に連通孔部62,74が各々形成されているので、収納室63内の通気性が良く、強い芳香を放つことができる。
(3)収納部材61の周壁に螺旋状に形成された幅狭のスリットからなる連通孔部62は、開口面積を広くすることができ、また幅狭のため芳香液12の表面張力によって、芳香液12や芳香容器10の破片が収納室63内から外に出難いため、芳香液12の揮発成分だけを連通孔部62から揮発させることができる。
【実施例】
【0063】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実験例1)
親水性高分子化合物のポリビニルアルコール(クラレ製、商品名:RSポリマ、LM10HD)50重量部にエタノール65重量部を加えて溶解しペースト状にした。これに、球状シリカ(扶桑化学製、平均粒径4μm)からなる骨材粒子80重量部を充分混練した。この混練物を、内径10mm、長さ50mmの筒状の内壁面が形成されたステンレス製の型枠内に塗布し真空乾燥した。次いで、型枠を外して外径10mm、長さ50mm、厚さ30μmの一端が開口した有底円筒状の基材容器を得た。なお、骨材粒子の比重、親水性高分子化合物の比重、乾燥後の基材容器の重量及び体積等から換算すると、基材容器100容量部には骨材粒子が59容量部含まれていることがわかった。
この基材容器の内面にアルコキシシランを主成分とするコーティング液(飾一製)を注入し、余分なコーティング液を排出した後、100℃で10分間乾燥し、基材容器の内面にケイ素化合物塗膜層が形成された実験例1の安全容器を得た。走査型電子顕微鏡で観察したところ、ケイ素化合物塗膜層の厚さは5μmであった。
【0064】
(実験例2)
親水性高分子化合物のポリビニルアルコール(クラレ製、商品名:RSポリマ、LM10HD)50重量部にエタノール65重量部を加えて溶解しペースト状にした。これに、球状シリカ(扶桑化学製、平均粒径4μm)からなる骨材粒子40重量部を充分混練した。この混練物を用いて有底円筒状の基材容器を製造した以外は実験例1と同様にして、実験例2の安全容器を得た。
なお、骨材粒子の比重、親水性高分子化合物の比重、乾燥後の基材容器の重量及び体積等から換算すると、基材容器100容量部には骨材粒子が42容量部含まれていることがわかった。
【0065】
(実験例3)
親水性高分子化合物のポリビニルアルコール(クラレ製、商品名:RSポリマ、LM10HD)50重量部にエタノール65重量部を加えて溶解しペースト状にした。これに、球状シリカ(扶桑化学製、平均粒径4μm)からなる骨材粒子110重量部を充分混練した。この混練物を用いて有底円筒状の基材容器を製造した以外は実験例1と同様にして、実験例3の安全容器を得た。
なお、骨材粒子の比重、親水性高分子化合物の比重、乾燥後の基材容器の重量及び体積等から換算すると、基材容器100容量部には骨材粒子が67容量部含まれていることがわかった。
【0066】
(実験例4)
親水性高分子化合物のポリ酢酸ビニル(電気化学工業製)50重量部に水70重量部を加えて溶解しペースト状にした。これに、アクリル酸製合成樹脂ビーズ(積水化成製、平均粒径20μm)からなる骨材粒子15重量部を充分混練した。この混練物を、内径10mm、長さ50mmの円筒状の内壁面が形成されたステンレス製の型枠内に塗布し真空乾燥した。次いで、型枠を外して外径10mm、長さ50mm、厚さ30μmの一端が開口した有底円筒状の基材容器を得た。なお、骨材粒子の比重、親水性高分子化合物の比重、乾燥後の基材容器の重量及び体積等から換算すると、基材容器100容量部には骨材粒子が38容量部含まれていることがわかった。
この基材容器の内面にアルコキシシランを主成分とするコーティング液(飾一製)を注入し、余分なコーティング液を排出した後、100℃で10分間乾燥し、基材容器の内面に厚さ5μmのケイ素化合物塗膜層が形成された実験例4の安全容器を得た。
【0067】
(実験例5)
親水性高分子化合物のポリ酢酸ビニル(電気化学工業製、デンカASR)50重量部に水70重量部を加えて溶解しペースト状にした。これに、アクリル酸製合成樹脂ビーズ(積水化成製、平均粒径20μm)からなる骨材粒子30重量部を充分混練して混練物を作成し、この混練物で基材容器を製造し内面にケイ素化合物塗膜層を形成した以外は、実験例4と同様にして実験例5の安全容器を得た。なお、基材容器100容量部には骨材粒子が73容量部含まれていることがわかった。
【0068】
(実験例6)
親水性高分子化合物のポリビニルアルコール(クラレ製、商品名:RSポリマ、LM10HD)50重量部にエタノール65重量部を加えて溶解し、ペースト状にした。これを内径10mm、長さ50mmの円筒状の内壁面が形成されたステンレス製の型枠内に塗布し真空乾燥した後、型枠を外して外径10mm、長さ50mm、厚さ30μmの一端が開口した有底円筒状の基材容器を得た。この基材容器の内面にアルコキシシランを主成分とするコーティング液(飾一製)を注入し、余分なコーティング液を排出した後、100℃で10分間乾燥し、基材容器の内面に厚さ5μmのケイ素化合物塗膜層が形成された実験例6の安全容器を得た。
【0069】
(実験例7)
親水性高分子化合物のヒドロキシプロピルセルロース(日本ファインケミカル製、商品名:H.P.C)50重量部に水65重量部を加えて溶解し、ペースト状にした。これに、球状シリカ(扶桑化学製、平均粒径4μm)からなる骨材粒子5重量部を充分混練した。この混練物を用いて有底円筒状の基材容器を製造した以外は実験例1と同様にして、実験例7の安全容器を得た。
なお、骨材粒子の比重、親水性高分子化合物の比重、乾燥後の基材容器の重量及び体積等から換算すると、基材容器100容量部には骨材粒子が10容量部含まれていることがわかった。
【0070】
(比較例1)
ポリビニルアルコール(クラレ製、商品名:RSポリマ、LM10HD)50重量部にエタノール65重量部を加えペーストを製造した。このペーストを内径10mm、長さ50mmの内壁面が形成されたステンレス製の型枠内に塗布し真空乾燥した後、型枠を外して外径10mm、長さ50mm、厚さ30μmの有底円筒状の比較例1の容器を得た。
【0071】
(耐溶剤性の評価)
実験例1〜7、比較例1の容器内にラベンダー油とエタノールとを混合した芳香液1mLを一端の開口部から注入したところ、比較例1の容器は芳香液に溶解し、形状を保つことができなかった。また、実験例1〜7の安全容器は芳香液を注入した後、一端の開口部をシリコーンゴムで密栓し20℃の室内に1ヶ月以上放置しておいても変化が認められず、形状を保ったまま芳香液を収容していた。
以上のことから本実験例によれば、基材容器の内面に有機ケイ素化合物を主成分とするケイ素化合物塗膜層が形成された安全容器は、基材容器に水分や溶剤等のバリア機能を付与し耐水性や耐溶剤性等を高められることが明らかになった。
なお、実験例5の安全容器は脆く、他の実験例の安全容器と比較して機械的強度が小さいことがわかった。これは基材容器100容量部の内、骨材粒子が73容量部含まれており、親水性高分子化合物による骨材粒子間の結合力が小さいからであると推察される。
【0072】
(脆性破壊性の評価)
芳香液を封入した実験例1〜7の安全容器、比較例1の容器(芳香液を収容していないもの)の両端を左右の指先で持ち、折り曲げたところ、実験例1〜5、7の安全容器の側壁が破断し、破断した側壁から内部の芳香液を漏れ出させることができた。破断面は鋭利ではなく破片もほとんど発生しないことがわかった。一方、比較例1の容器、実験例6の安全容器は、折り曲げても変形するだけで破断させることはできなかった。また、実験例7の安全容器は、実験例1〜5の安全容器と比較して破断させ難いことがわかった。基材容器に対する骨材粒子の含有量が少ないからであると推察された。
さらに、破断させた実験例1〜5,7の安全容器を取り出した芳香液に浸漬しておいたところ、安全容器の基材容器は芳香液に溶解し崩壊させることができた。
以上のことから本実験例によれば、基材容器にケイ素化合物塗膜層を形成することによって硬度を高めることができるとともに、基材シート100容量部に対する骨材粒子の配合量を15〜70容量部にすることにより安全容器を脆性化させることができるので、手指で安全容器を曲げたり捻ったりすると安全容器を脆性破壊的に破断させることができ、さらに割れた破面は鋭利ではなく、また亀裂が伝播し難いので破片が形成され難く安全性に優れることが明らかになった。
また、収容物と反応し難いケイ素化合物塗膜層を基材容器の内面に形成し、収容物に溶解し易い親水性高分子化合物で基材容器を形成すると、収容物を漏れ出させ安全容器を収容物に浸漬した状態にしておくと、基材容器の親水性高分子化合物が収容物に溶解するので安全容器を崩壊できることが明らかになった。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、包装用,各種物品の表面保護用等として用いられる耐水シート、食品,洗剤,試薬,薬品類等を収容する安全容器及びそれを用いた芳香容器並びに芳香容器収納具に関し、耐水性や耐溶剤性に優れるとともに、使用後のシート自体は環境中で崩壊し易く、環境中に残留し難く廃棄物処理の問題が少ない環境保全性に優れた耐水シートを提供でき、また、耐水性や耐溶剤性に優れるとともに、手指で曲げたり潰したりすると比較的容易に壊すことができ、また壊した破面が鋭利ではなく亀裂が伝播し難いので破片が形成され難く安全性に優れる安全容器を提供でき、また、耐水性や耐溶剤性に優れるとともに、手指で曲げたり潰したりすると比較的容易に壊すことができ、封入された芳香液が外気と接触するので芳香を周囲に放つことができ、また壊した破面が鋭利ではないため安全性に優れ、さらに芳香容器自体を香水瓶等のように装飾用として用いることもでき自在性に優れる芳香容器を提供でき、また、収納部材に芳香容器を収納した後に蓋部材を螺着等することで、破壊部が芳香容器を破壊し芳香液が外気と接触するので、手指を汚すことなく、連通孔部から芳香液を揮発させたり芳香液を漏れ出させたりして芳香を周囲に放つことができる芳香容器収納具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】実施の形態1における耐水シートの斜視図及びその要部拡大模式図
【図2】実施の形態2における安全容器の要部断面図
【図3】実施の形態3における芳香容器が収納された芳香容器収納具の収納部材に蓋部材を刺衝する前の状態を示す断面図 (b)収納部材に蓋部材を刺衝した後の状態を示す断面図
【図4】実施の形態4における芳香容器が収納された芳香容器収納具の収納部材に蓋部材を螺着する前の状態を示す断面図 (b)収納部材に蓋部材を螺着した後の状態を示す断面図
【図5】(a)実施の形態5における芳香容器が収納された芳香容器収納具の側面図 (b)実施の形態5における芳香容器収納具の蓋部材の底面図 (c)実施の形態5における芳香容器収納具の収納部材の上面図
【図6】(a)実施の形態6における芳香容器が収納された芳香容器収納具の使用前の断面図 (b)実施の形態6における芳香容器収納具の使用後の断面図 (c)芳香容器の変形例の上面図
【図7】実施の形態7における芳香容器が収納された芳香容器収納具の側面図
【図8】(a)実施の形態7における芳香容器収納具の収納部材に蓋部材を刺衝する前の状態を示す断面図 (b)収納部材に蓋部材を刺衝した後の状態を示す断面図
【符号の説明】
【0075】
1 耐水シート
1a 安全容器
2 骨材粒子
3 親水性高分子化合物
4 基材シート
4a 基材容器
5,5a ケイ素化合物塗膜層
10,10a,10b,10c 芳香容器
11 安全容器
12 芳香液
20,30,40,50,60 芳香容器収納具
21,31,41,51,61 収納部材
22,32,42,52,63 収納室
23,24,33,43,64 保持部
25,36,45,55,70 蓋部材
26,71 突設部
27,38,46,57,73 破壊部
28,39,62,74 連通孔部
29,53,75 多孔質体
34,44,54 雄螺子部
35 延設部
37,47,56 雌螺子部
38a 空間部
43a ブロック部
65 開口部
66 係止部
72 係止爪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親水性高分子化合物で形成された基材シートと、前記基材シートの片面又は両面に形成されたケイ素化合物塗膜層と、を備えていることを特徴とする耐水シート。
【請求項2】
骨材粒子が、前記基材シート100容量部に対し15〜70容量部好ましくは25〜60容量部の割合で前記基材シートに配合されていることを特徴とする請求項1に記載の耐水シート。
【請求項3】
親水性高分子化合物の不織布で形成された多孔質基材シートと、前記多孔質基材シートの表面に形成されたケイ素化合物塗膜層と、を備えていることを特徴とする耐水シート。
【請求項4】
前記ケイ素化合物塗膜層が、オルガノアセトキシシラン、オルガノアルコキシシラン、オルガノクロルシラン、オルガノクロルフルオルシラン、オルガノジシラン、オルガノシラザン、オルガノシラノール、オルガノシラン、オルガノシランカルボン酸、オルガノシリコンイソシアネート、オルガノシリコンエステル、オルガノシルチアン、オルガノシルメチレン、オルガノジシロキサン、オルガノヒドロゲノシラン、オルガノフルオルシラン、オルガノブロムシラン、オルガノポリシランの有機ケイ素化合物の内の1種乃至は複数種を主成分として形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の内いずれか1に記載の耐水シート。
【請求項5】
親水性高分子化合物で形成された基材容器と、前記基材容器の少なくとも内面に形成されたケイ素化合物塗膜層と、を備えていることを特徴とする安全容器。
【請求項6】
請求項5の安全容器に芳香液が封入されていることを特徴とする芳香容器。
【請求項7】
請求項6の芳香容器が収納される収納室が形成された収納部材と、前記収納部材に螺着、嵌着又は刺衝する蓋部材と、前記収納部材又は蓋部材の内側に配設又は形成され前記芳香容器を押圧又は刺衝して破壊する破壊部と、前記収納部材,前記蓋部材,前記収納部材と前記蓋部材との隙間の内いずれか1以上に形成され前記収納室と連通する連通孔部と、を備えていることを特徴とする芳香容器収納具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−161342(P2007−161342A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−364128(P2005−364128)
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【出願人】(505466701)株式会社アイクラップ (1)
【Fターム(参考)】