説明

耐汚染性付与組成物及び塗料組成物

【課題】ポットライフが容易に可視化でき、耐汚染性及び仕上がり性に優れた塗膜を形成するのに適する耐汚染性付与組成物及び塗料組成物を提供する。
【解決手段】(A)一般式 Si(OR) (1)(式中、Rは、同一又は異なって、炭素数1〜4個のアルキル基を示す。)で表されるオルガノシリケート化合物及び/又はその部分加水分解縮合物100質量部、(B)分子中に反応性官能基と親水性基を有する水溶性又は水分散性化合物5〜150質量部、(C)メルカプト錫化合物10〜40質量部、並びに(D)メルカプトシラン化合物4〜15質量部を含有することを特徴とする耐汚染性付与組成物(I)、並びに、水性樹脂(a)及びポリカルボン酸塩(b)を含む主剤(II)に、
上記耐汚染性付与組成物(I)を配合してなる塗料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐汚染性付与組成物及び塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、塗料分野において水性化への転換がされている。一般に、水性塗料は親水性基や乳化剤等により、溶剤型塗料と比較して仕上がり性、耐水性等の性能が劣る傾向にある。しかしながら、昨今の市場のニーズに伴い、仕上がり性や耐水性が良好であり、さらには耐汚染性といった高機能を発揮する塗膜を形成するような水性塗料の開発が望まれている。
【0003】
一般に耐汚染性を付与させる手法としては、アルコキシシリル基を用いて塗膜表層を親水性にする手法がよく知られている。
【0004】
例えば、ポリオキシアルキレン基及びアルコキシル基を持つアルコキシシランの変性縮合物を使用直前に水性塗料に添加するいわゆる2液型低汚染水性塗料が公知である(特許文献1参照)。この塗料における低汚染化剤としての変性縮合物は、塗膜中で降雨水等の水分により加水分解され、シラノール基となって塗膜表層を親水化すると考えられており、該変性縮合物を含む塗膜は、降雨水等により付着した汚れ成分を洗い流す自浄作用を発揮することができる利点を有するものであるが、塗膜形成直後の親水性の少ない時期に付着した疎水性汚染物質が塗膜に浸透した場合は、後から表層が親水化されても、降雨による除去が難しい場合がある。また、溶剤系塗料と比較すると耐汚染性及び仕上がり性等に未だ不十分な点があり、耐汚染性や仕上がり性のレベルの向上が望まれている。
【0005】
上記問題に対し、例えば、オルガノシリケート化合物、分子中に反応性官能基と親水性基を有する水溶性及び/又は水分散性化合物、アルコキシシラン化合物の加水分解・縮合を促進する化合物を含む耐汚染性付与組成物及びこれを配合してなる塗料組成物が提案されている(特許文献2参照)。かかる塗料組成物によれば、高い光沢を示し、且つ良好な耐汚染性を発揮することができるものの、該耐汚染性付与組成物を水性塗料に添加してから時間が経過したもので塗装を行うと、所期の目的を達成できない場合がある。
【0006】
ところで塗料分野では、2液型塗料など使用直前に両者を混合し塗料を調整する系などにおいて、塗料調整後の使用可能な時間をポットライフと呼んでいる。現場施工において作業者はポットライフ中に塗装を行うものであるが、ポットライフを超えても調整後の塗料の外観が変わらない場合、塗料の性能劣化に気づかないまま作業者が使用を続けてしまうことがある。こうしたことから、2液型塗料を使用する現場では一般に、ポットライフが可視化できることが望まれている。
【0007】
一般に主剤と硬化剤とからなる2液型塗料は、両者を混合することにより、主剤中の樹脂と硬化剤の架橋反応により分子量が飛躍的に増大し、粘度が増加すると考えられているが、主剤と耐汚染化剤とからなる2液型の水性耐汚染塗料において、耐汚染化剤中に含まれるアルコキシシリル基は主剤中の樹脂との反応よりも水と反応し、また、塗膜形成時に塗膜表層にシラノール基が偏在するように設計されるため、ポットライフ後に塗料粘度を飛躍的に増加させる、即ちポットライフの可視化をすることは難しく、ポットライフの可視化と塗膜の耐汚染性との両立を図ることは非常に困難である。
【特許文献1】WO99/05228号公報
【特許文献2】特開2006−45483号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、ポットライフが容易に可視化でき、耐汚染性及び仕上がり性に優れた塗膜を形成するのに適する耐汚染性付与組成物及びそれを含む塗料組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、オルガノシリケートを含む耐汚染性付与組成物において、メルカプト錫化合物とメルカプトシラン化合物を特定量使用することにより、上記した問題点を解決できることを見出し本発明に到達した。
【0010】
本発明は、以下の耐汚染性付与組成物(I)、塗料組成物及び塗装仕上げ方法を提供するものである。
【0011】
1.(A)一般式(1)
Si(OR) (1)
(式中、Rは、同一又は異なって、炭素数1〜4個のアルキル基を示す。)で表されるオルガノシリケート化合物及び/又はその部分加水分解縮合物100質量部、
(B)分子中に反応性官能基と親水性基を有する水溶性又は水分散性化合物5〜150質量部、
(C)メルカプト錫化合物10〜40質量部、並びに
(D)メルカプトシラン化合物4〜15質量部を
含有することを特徴とする耐汚染性付与組成物(I)。
【0012】
2.(B)成分の反応性官能基が、(ブロック)イソシアネート基、エポキシ基、カルボジイミド基、アルコキシシリル基及びオキサゾリン基よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記項1記載の耐汚染性付与組成物(I)。
【0013】
3.水性樹脂(a)及びポリカルボン酸塩(b)を含む主剤(II)に、
上記項1又は2に記載の耐汚染性付与組成物(I)を配合してなる塗料組成物。
【0014】
4.水性樹脂(a)が、アクリル樹脂エマルション、アクリルシリコン樹脂エマルション、フッ素樹脂エマルション及びウレタン樹脂エマルションよりなる群から選ばれる少なくとも1種である上記項3に記載の塗料組成物。
【0015】
5.ポリカルボン酸塩(b)が、ポリカルボン酸の水素イオンの少なくとも1部を陽イオンで置き換えた化合物であって、陽イオンが塩基性物質に由来するものである上記項3又は4に記載の塗料組成物。
【0016】
6.ポリカルボン酸塩(b)が、固形分酸価が80を超えて且つ700mgKOH/g以下であるポリカルボン酸塩(b1)又は固形分酸価が5〜80mgKOH/gの範囲内であるポリカルボン酸塩(b2)を含む上記項3ないし5のいずれか1項に記載の塗料組成物。
【0017】
7.ポリカルボン酸塩(b)が、固形分酸価が80を超えて且つ700mgKOH/g以下であるポリカルボン酸塩(b1)及び固形分酸価が5〜80mgKOH/gの範囲内であるポリカルボン酸塩(b2)を併用するものである上記項3ないし5のいずれか1項に記載の塗料組成物。
【0018】
8.ポリカルボン酸塩(b1)及びポリカルボン酸塩(b2)の使用割合が、(b1)/(b2)の質量比で、1/1000〜10/1の範囲内である上記項7に記載の塗料組成物。
【0019】
9.主剤(II)が、ポリカルボン酸塩(b)を、下記計算式(1)又は(2)で算出される酸量で1.0〜20.0の範囲内で含む上記項3ないし8のいずれか1項に記載の塗料組成物。
【0020】
計算式(1) 酸量=ポリカルボン酸塩の固形分酸価(mgKOH/g)×水性樹脂(a)固形分1gに対するポリカルボン酸塩の固形分配合量(g)
計算式(2) 酸量=ポリカルボン酸塩(b1)の固形分酸価(mgKOH/g)×水性樹脂(a)固形分1gに対するポリカルボン酸塩(b1)固形分の配合量(g)+ポリカルボン酸塩(b2)の固形分酸価(mgKOH/g)×水性樹脂(a)固形分1gに対するポリカルボン酸塩(b2)固形分の配合量(g)。
【0021】
10.主剤(II)が、炭化水素油系消泡剤を含む上記項3ないし9のいずれか1項に記載の塗料組成物。
【0022】
11.主剤(II)が、沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤を主剤(II)に含まれる樹脂固形分を基準として5〜30質量%含有する上記項3ないし10のいずれか1項に記載の塗料組成物。
【0023】
12.耐汚染性付与組成物(I)が、主剤(II)の樹脂固形分100質量部を基準として組成物(I)中のオルガノシリケート化合物及び/又はその部分加水分解縮合物(A)が2〜40質量部の範囲内となるように配合されるものである上記項3ないし11のいずれか1項に記載の塗料組成物。
【0024】
13.主剤(II)と耐汚染性付与組成物(I)とを2液型とし、塗装直前に主剤(II)と耐汚染性付与組成物(I)とを混合し、撹拌して、上記項3ないし12のいずれか1項に記載の塗料組成物を調製する方法。
【0025】
14.上記項3ないし12のいずれか1項に記載の塗料組成物により形成される塗膜。
【0026】
15.被塗面に、上記項3ないし12のいずれか1項に記載の塗料組成物を塗装する塗装仕上げ方法。
【0027】
16.金属基材面又は金属基材に設けられた旧塗膜面に、下塗り塗料を塗装した後、該下塗り塗面上に上記項3ないし12のいずれか1項に記載の塗料組成物を塗装する塗装仕上げ方法。
【0028】
17.無機基材面又は無機基材に設けられた旧塗膜面に、下塗り塗料を塗装した後、該下塗り塗面上に中塗り塗料を塗装し、該中塗り塗面上に上記項3ないし12のいずれか1項に記載の塗料組成物を塗装する塗装仕上げ方法。
【0029】
18.中塗り塗料が、JIS A 6021適合外壁用塗膜防水材、JIS A 6909適合防水形複層仕上げ塗材又は微弾性下地調整塗料である上記項17に記載の塗装仕上げ方法。
【0030】
19.中塗り塗料が、形成塗膜の伸び率が300%以上であることを特徴とする上記項17に記載の塗装仕上げ方法。
【0031】
20.上記項15ないし18のいずれか1項に記載の塗装仕上げ方法により得られる塗装物品。
【0032】
耐汚染性付与組成物
本発明の耐汚染性付与組成物は、(A)オルガノシリケート化合物及び/又はその部分加水分解縮合物、(B)水溶性又は水分散性化合物、(C)メルカプト錫化合物及び(D)メルカプトシラン化合物を含有する。
【0033】
(A)オルガノシリケート化合物及び/又はその部分加水分解縮合物
本発明耐汚染性組成物における(A)成分は、加水分解性珪素基を含有する化合物であり、一般式(1)
Si(OR) (1)
(式中、Rは、同一又は異なって、炭素数1〜4個のアルキル基を示す。)で表されるオルガノシリケート化合物及び/又はその部分加水分解縮合物である。
【0034】
(A)成分の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−i−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン及びそれらの部分加水分解・縮合物が例示できる。中でもエチルシリケート40、エチルシリケート48が望ましい。
【0035】
上記化合物は1種単独でもよく、2種以上を併用しても良い。また、同一分子中に異なったアルコキシシリル基を含有するオルガノシリケートも使用可能である。例えば、メチルエチルシリケート、メチルプロピルシリケート、メチルブチルシリケート、エチルプロピルシリケート、プロピルブチルシリケートなどである。これら置換基の比率が0〜100%の間で任意に変更可能である。また、これらのシリケートの部分加水分解・縮合物である場合は、縮合度は1〜20程度が好ましい。更に好ましい縮合度の範囲は、3〜15である。
【0036】
(B)分子中に反応性官能基と親水性基を有する水溶性又は水分散性化合物
本発明耐汚染性付与組成物における(B)成分である上記水溶性又は水分散性化合物の機能としては、分子中の反応性官能基が水性塗料中に配合されているバインダー成分および/またはその他の配合剤、さらには化合物自身で反応することにより、得られた塗膜の耐水性、耐候性および密着性を向上させるとともに、オルガノシリケート化合物及び/又はその部分加水分解縮合物(A)の水性塗料中への均一分散に寄与する。このことが、耐汚染性付与組成物が添加された水性塗料より形成された塗膜が高い光沢値と優れた耐汚染性を示すことに繋がる。
【0037】
本発明の必須成分である水溶性又は水分散性化合物(B)としては、親水性基と反応性官能基を同一分子中にそれぞれひとつ以上有する化合物であれば良い。また、親水性基含有ビニル系単量体と反応性官能基含有単量体との共重合体でも良い。
【0038】
親水性基の具体例としては、ポリオキシアルキレン基、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、スルホン酸(塩)基などがあげられる。ポリオキシアルキレン基としては、たとえばポリオキシエチレン基;ポリオキシプロピレン基;オキシエチレン基とオキシプロピレン基がブロックまたはランダム結合したポリオキシアルキレン基;前記ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシアルキレン基に、さらにオキシブチレン基がブロックまたはランダム結合で含まれている基などを挙げることができる。なかでも、ポリオキシアルキレン基が好ましく、ポリオキシプロピレン基が特に好ましい。
【0039】
反応性官能基の具体例としては、(ブロック)イソシアネート基、エポキシ基、カルボジイミド基、アルコキシシリル基、オキサゾリン基、ヒドラジド基などがあげられ、(ブロック)イソシアネート基、エポキシ基、カルボジイミド基、アルコキシシリル基及びオキサゾリン基が好ましく、(ブロック)イソシアネート基、エポキシ基、カルボジイミド基及びアルコキシシリル基がより好ましい。
【0040】
本明細書において、(ブロック)イソシアネート基は、イソシアネート基又はブロックイソシアネート基を示す。
【0041】
(ブロック)イソシアネート基及び親水性基を有する水溶性又は水分散性化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチルシクロヘキシルジイソシアネート(H6TDI)、4,4´−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)、2,4,6−トリイソプロピルフェニルジイソシアネート(TIDI)、1,12−ジイソシアネートドデカン(DDI)、2,4,−ビス−(8−イソシアネートオクチル)−1,3−ジオクチルシクロブタン(OCDI)、n−ペンタン−1,4−ジイソシアネートおよびこれらのイソシアヌレート変性体、アダクト変性体、ビュレット変性体、アロファネート変性体、これらの重合体で1個以上のイソシアネート基を有するものをポリオキシアルキレン基、カルボキシル基等で変性し、水溶性およびまたは水分散性にしたものである。さらにこれらのイソシアネート基をブロック剤(フェノール、ε−カプロラクタム等)でマスクしたものでもよい。なかでも、耐候性の観点から無黄変または難黄変のイソシアネートを用いたものが好ましい。
【0042】
これらは一般に架橋剤として市販されており、例えば、住化バイエルウレタン(株)製の市販品である、バイヒジュール3100、バイヒジュール2336、バイヒジュールLS2150/l、バイヒジュールBL116、バイヒジュールBL5140、バイヒジュールBL5235、バイヒジュールTPLS2186、バイヒドロールTPLS2153;三井武田ケミカル(株)製の市販品である、タケネートWD−220、タケネートWD−240、タケネートWD−720、タケネートWD−725、タケネートWD−726、タケネートWD−730、タケネートWB−700、タケネートWB−720、タケネートWB−730、タケネートWB−920;日本ポリウレタン工業(株)製の市販品である、アクアネート100、アクアネート110、アクアネート200、アクアネート210、アクアネート120;旭化成(株)製の市販品である、デュラネートWB40−100、デュラネートWB40−80D、デュラネートWT20−100、デュラネートWT30−100などがあげられる。
【0043】
また、(ブロック)イソシアネート基を有するビニル系単量体、親水性基含有ビニル系単量体およびその他のビニル系単量体との共重合体でもよい。
【0044】
(ブロック)イソシアネート基を有するビニル系単量体としては、例えば、2−メタクイロイルオキシエチルイソシアネート、メタクリル酸−2−(O−[1´−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル、m−イソプロペニル−α、αジメチルベンジルイソシアネートなどがあげられる。
【0045】
親水性基含有ビニル系単量体としては、α、β−エチレン性不飽和カルボン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム、2−スルホエチル(メタ)アクリレートナトリウム、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート塩酸塩、2−アミノエチル(メタ)アクリラート塩酸塩、ポリオキシアルキレン鎖を有するビニル系単量体などがあげられる。
【0046】
α、β−エチレン性不飽和カルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、フタル酸、シトラコン酸などがあげられる。
【0047】
ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート及びジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート塩酸塩としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミンエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートおよびその塩酸塩があげられる。
【0048】
ポリオキシアルキレン鎖を有するビニル系単量体に特に限定はないが、ポリオキシアルキレン鎖を有するアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルが好ましく、具体例としては、日本油脂(株)製の市販品である、ブレンマーPE−90、ブレンマーPE−200、ブレンマーPE−350、ブレンマーAE−90、ブレンマーAE−200、ブレンマーAE−350、ブレンマーPP−500、ブレンマーPP−800、ブレンマーPP−1000、ブレンマーAP−400、ブレンマーAP−550、ブレンマーAP−800、ブレンマー700PEP−350B、ブレンマー10PEP−550B、ブレンマー55PET−400、ブレンマー30PET−800、ブレンマー55PET−800、ブレンマー30PPT−800、ブレンマー50PPT−800、ブレンマー70PPT−800、ブレンマーPME−100、ブレンマーPME−200、ブレンマーPME−400、ブレンマーPME−1000、ブレンマーPME−4000、ブレンマーAME−400、ブレンマー50POEP−800B、ブレンマー50AOEP−800B、ブレンマーAEP、ブレンマーAET、ブレンマーAPT、ブレンマーPLE、ブレンマーALE、ブレンマーPSE、ブレンマーASE、ブレンマーPKE、ブレンマーAKE、ブレンマーPNE、ブレンマーANE、ブレンマーPNP、ブレンマーANP、ブレンマーPNEP−600;共栄社化学(株)製の市販品である、ライトエステル130MA、ライトエステル041MA、ライトエステルMTG、ライトアクリレートEC−A、ライトアクリレートMTG−A、ライトアクリレート130A、ライトアクリレートDPM−A、ライトアクリレートP−200A、ライトアクリレートNP−4EA、ライトアクリレートNP−8EA、ライトアクリレートEHDG−A;日本乳化剤(株)製の市販品である、MA−30、MA−50、MA−100、MA−150、RMA−1120、RMA−564、RMA−568、RMA−506、MPG130−MA、Antox MS−60、MPG−130MA、RMA−150M、RMA−300M、RMA−450M、RA−1020、RA−1120、RA−1820;新中村化学工業(株)製の市販品である、NK−ESTER M−20G、M−40G、M−90G、M−230G、AMP−10G、AMP−20G、AMP−60G、AM−90G、LA;三洋化成(株)製の市販品であるエレミノールRS−30などがあげられる。
【0049】
エポキシ基を有する水溶性又は水分散性化合物としては、多くのものが市販されており、例えば、ナガセケムテック(株)製の市販品である、デナコールEX−611、デナコールEX−612、デナコールEX−614、デナコールEX−614B、デナコールEX−622、デナコールEX−512、デナコールEX−521、デナコールEX−411、デナコールEX−421、デナコールEX−301、デナコールEX−313、デナコールEX−314、デナコールEX−321、デナコールEX−211、デナコールEX−810、デナコールEX−811、デナコールEX−851、デナコールEX−821、デナコールEX−830、デナコールEX−832、デナコールEX−841、デナコールEX−861、デナコールEX−911、デナコールEX−941、デナコールEX−920、デナコールEX−921、デナコールEX−931、デナコールEX−145、デナコールEX−171、デナコールEX−701;共栄社化学(株)製の市販品である、エポライト40E、エポライト100E、エポライト200E、エポライト400E、エポライト70P、エポライト200P、エポライト400P、エポライト1500NP、エポライト80MF、エポライト100MF;坂本薬品工業(株)製の市販品である、SR−NPG、SR−16H、SR−TMP、SR−TPG、SR−4PG、SR−2EG、SR−8EG、SR−8EGS、SR−GLG、SR−DGE、SR−4GL、SR−4GLS;日本油脂(株)製の市販品である、エピオールBE−200、エピオールG−100、エピオールE−100、エピオールE−400、エピオールE−1000、エピオールP−200、エピオールNPG−100、エピオールTMP−100、エピオールOHなどがあげられる。
【0050】
また、エポキシ基を有するビニル系単量体、親水性基含有ビニル系単量体とその他のビニル系単量体との共重合体でもよい。
【0051】
エポキシ基を有するビニル系単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、ダイセル化学工業(株)製の市販品である、M−GMA、Cyclomer M−100、Cyclomer A−200、Cyclomer M−101、セロキサイド2000などがあげられる。
【0052】
カルボジイミド基及び親水性基を有する水溶性又は水分散性化合物としては、例えば、特開平8−59303号記載の水溶性又は自己乳化型カルボジイミド化合物などがあげられる。
【0053】
これは、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチルシクロヘキシルジイソシアネート(H6TDI)、4,4´−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)、2,4,6−トリイソプロピルフェニルジイソシアネート(TIDI)、1,12−ジイソシアネートドデカン(DDI)、2,4,−ビス−(8−イソシアネートオクチル)−1,3−ジオクチルシクロブタン(OCDI)、n−ペンタン−1,4−ジイソシアネート等の多官能イソシアネート類の1種または2種以上を脱二酸化炭素縮合反応させることにより、カルボジイミド化し、末端の残存イソシアネート基を親水性基で封止したものである。
【0054】
封止する親水基としては、アルキルスルホン酸塩の残基、ジアルキルアミノアルコールの残基の四級塩、アルコキシ基末端を封鎖されたポリオキシアルキレンの残基などがあげられる。
【0055】
なお、これらは、水性樹脂架橋剤として市販されており、例えば、日清紡績(株)製の市販品である、カルボジライトV−02、カルボジライトV−04、カルボジライトV−06、カルボジライトV−02−L2、カルボジライトE−01、カルボジライトE−02、カルボジライトE−03、カルボジライトE−04、カルボジライトE−05などがある。
【0056】
また、水を含まないものとして、日清紡績(株)製の市販品である、カルボジライトV−02B、カルボジライトV−04B、Elastostab H01などがある。
【0057】
本発明の耐汚染性付与組成物中には水を含まない方が好ましく、これらカルボジイミド化合物を脱水して用いるか、または水を含まないものを用いるのが望ましい。
【0058】
アルコキシシリル基を有する水溶性又は水分散性化合物としては、例えば、(株)Momentive製の市販品である、A−1230、MAC−2101、MAC−2301などがある。
【0059】
また、ポリオキシアルキレンの末端のヒドロキシ基にイソシアネート系シランカップリング剤を反応させても、アルコキシシリル基を有する水溶性又は水分散性化合物が得られる。
【0060】
上記ポリオキシアルキレンは末端に1個以上のヒドロキシ基を有しているものであれば、特に限定されない。イソシアネート系シランカップリング剤としては、例えば(株)Momentive製の市販品である、A−1310、Y−5187、信越化学工業(株)製の市販品であるKBE−9007などが挙げられる。
【0061】
また、前記、エポキシ基を有する水溶性又は水分散性化合物にアミノ系シランカップリング剤を反応させても、アルコキシシリル基を有する水溶性又は水分散性化合物が得られる。
【0062】
上記アミノ系シランカップリング剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン;信越化学工業(株)製の市販品である、KBE−9103、KBM−575、KBM−6123、(株)Momentive製の市販品である、A−1102、A−1122、A−1170などがあげられる。
【0063】
さらに、アルコキシシリル基を含有するビニル系単量体、親水性基含有ビニル系単量体およびその他のビニル系単量体との共重合体でもよい。
【0064】
アルコキシシリル基を含有するビニル系単量体としては、具体例として、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリ−n−プロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン等があげられる。
【0065】
オキサゾリン基を有する水溶性又は水分散性化合物は、水性架橋剤として市販されており、例えば、日本触媒(株)製の市販品である、エポクロスWS−500、エポクロスK−2010E、エポクロスK−2020E、エポクロスK−2030E、エポクロスK−1010E、エポクロスK−1020E、エポクロスK−1030Eなどがあげられる。これらは、水溶液またはエマルションとして市販されているため、脱水して使用するのが望ましい。
【0066】
ヒドラジド基を有する水溶性又は水分散性化合物は、例えば、カルボヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカンジオヒドラジド、アミノポリアクリルアミドなどがあげられる。
【0067】
メルカプト錫化合物(C)
本発明における(C)成分であるメルカプト錫化合物は、オルガノシリケート及び/又はその部分加水分解縮合物(A)の加水分解・縮合反応を促進し、塗装初期から耐汚染性を発現させる。また、水中で比較的安定であるため、ポットライフを長くすることができる。
【0068】
具体例として、ジブチル錫チオグリコレート、ジブチル錫ビスイソノニル3−メルカプトプロピオネート、ジブチル錫ビスイソオクチルチオグリコレート、ジブチル錫ビス2−エチルヘキシルチオグリコレート、ジメチル錫ビスドデシルメルカプチド、ジブチル錫ビスドデシルメルカプチド、ジオクチル錫ビスドデシルメルカプチド、ジメチル錫ビス(オクチルチオグルコール酸エステル)塩などがあげられる。
【0069】
これらは各社から市販されており、例えば、(株)アデカ製の市販品である、アデカスタブ456、アデカスタブ465E、アデカスタブ465L、アデカスタブ466、アデカスタブ1292、アデカスタブBT−83;日東化成(株)製の市販品である、ネオスタンU−340、ネオスタンU−350、ネオスタンU−360、ネオスタンU−860、TVS#8831、TVS#8832、TVS#8901、TVS#8520、TVS#8700、TVS#1360、TVS#1420、TVS#PS−350P;三共有機合成(株)製の市販品である、STANN JF−9B、STANN JF−10B、STANN JF−101C、STANN JF−105、STANN JF−95B、STANN ONZ−72F、STANN ONZ−100F、STANN ONZ−142AF、STANN ONZ−82BF、STANN ONZ−21A;堺化学工業(株)製の市販品である、MK−1、MK−2、(株)カネカ製の市販品である、カネカゼムラックBT451Z、カネカゼムラックBT452Z、カネカゼムラックBT453Z等があげられる。
【0070】
メルカプトシラン化合物(D)
本発明における(D)成分としてのメルカプトシランは、(C)成分に作用しポットライフを調整することができる。
【0071】
具体例としては、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等があげられる。これらは各社から市販されており、例えば、信越化学工業(株)製の市販品である、KBM−802、KBM−803;(株)Momentive製の市販品である、TSL8380、SILQUEST A−189、A−1891;東レ・ダウコーニング(株)製の市販品であるSH6062等があげられる。
【0072】
本発明の耐汚染性付与組成物は、(A)一般式(1)で表されるオルガノシリケート化合物及び/又はその部分加水分解縮合物100質量部に対して、
(B)分子中に反応性官能基と親水性基を有する水溶性又は水分散性化合物5〜150質量部、好ましくは10〜50質量部、更に好ましくは10〜30質量部、
(C)メルカプト錫化合物10〜40質量部、好ましくは10〜35質量部、更に好ましくは11〜25質量部、
(D)メルカプトシラン化合物4〜15質量部、好ましくは5〜13質量部、更に好ましくは6〜12質量部
を含有することを特徴とする。
【0073】
成分(B)が5質量部未満では、水への分散性が悪くなり、水性塗料として適用した際にそれから形成される塗膜の光沢が低下し、一方150質量部を超えると、耐汚染性付与組成物を用いて形成される塗膜が軟化し、耐水性等の塗膜物性が低下するので好ましくない。
【0074】
また、成分(C)が10質量部未満では耐汚染性の発揮が不十分であり、一方40質量部を越えると耐汚染性付与組成物を用いて形成される塗膜の耐候性等の塗膜物性が低下するので好ましくない。
【0075】
成分(D)が4質量部未満では主剤と耐汚染性付与組成物との混合後短時間で耐汚染機能が失活する恐れがあり、一方15質量部を超えるとポットライフの可視化がなされず好ましくない。
【0076】
上記耐汚染性付与組成物は、上記(A)、(B)、(C)及び(D)を必須成分として含有してなり、必要に応じて有機溶剤、脱水剤等を含ませることができる。
【0077】
有機溶剤としては、エステル類、エーテル類、ケトン類、炭化水素類、アルコール類などが挙げられる。これらの有機溶剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。耐汚染性付与組成物(I)にこれらの有機溶剤を配合することにより、耐汚染性付与組成物(I)と後述の主剤(II)を混合してなる塗料組成物の均一性を向上させる効果がある。
【0078】
上記エステル類としては、例えば、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、酢酸エチル、酢酸ブチル、2,2,4−トリメチルペンタジオール−1,3−モノイソブチレート(チッソ(株)製、商品名「CS−12」)などを挙げることができる。
【0079】
上記エーテル類としては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチルエーテル、ブチルエーテル、ジオキサン、THFなど、炭化水素類としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、ドデカンなどを挙げることができる。
【0080】
上記ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトンなどを挙げることができる。
【0081】
上記アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどが挙げられる。
【0082】
これらの有機溶剤は1種単独でもよく、また2種以上併用してもよい。
【0083】
脱水剤としては、例えば、オルソ蟻酸トリメチル、オルソ蟻酸トリエチルもしくはオルソ蟻酸トリブチル等のオルソ蟻酸トリアルキル;オルソ酢酸トリメチル、オルソ酢酸トリエチルもしくはオルソ酢酸トリブチル等のオルソ酢酸トリアルキル;またはオルソほう酸トリメチル、オルソほう酸トリエチル、オルソほう酸トリブチル等のオルソほう酸トリアルキル等のオルソカルボン酸エステル。また、ベンゼンスルフォニルイソシアネート、トシルイソシアネート、フェニルイソシアネート、p−クロロフェニルイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネートまたはヘキサメチレンジイソシアネートなどのイソシアネート類があるが、好ましくは、ベンゼンスルフォニルイソシアネート、トシルイソシアネート、フェニルイソシアネートまたはp−クロロフェニルイソシアネートなどのような、種々のモノイソシアネート類などである。
【0084】
なお、有機溶剤としてアルコール類を用いた場合、イソシアネート類と反応するので、有機溶剤としてアルコール類を使用した場合にはイソシアネート類の使用をさけることが好ましい。
【0085】
次に、本発明の耐汚染性付与組成物を配合して、塗料組成物を調製するために使用する主剤(II)について説明する。
【0086】
本発明において、主剤(II)は、主として水性樹脂(a)及びポリカルボン酸塩(b)を含む組成物である。
【0087】
水性樹脂(a)
本発明において水性樹脂(a)は、上記塗料組成物のバインダー成分として用いられるものであり、水に溶解又は分散可能な樹脂が使用される。その樹脂種には特に限定はなく、また、分散粒子の形態である場合には単層状又はコアシェル型等の多層状であることができる。
【0088】
上記主剤(II)に含まれる水性樹脂(a)の例としては、塗膜形成能を有するものであれば特に制限なく従来公知のものを使用でき、その具体例としては、アクリル樹脂エマルション、アクリルシリコン樹脂エマルション、ウレタン樹脂エマルション、フッ素樹脂エマルション、エポキシ樹脂エマルション、ポリエステル樹脂エマルション、アルキド樹脂エマルション、メラミン樹脂エマルションなどが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。また、これらは単独で使用しても2種以上を併用しても良い。これらの中で形成塗膜の耐候性などの点から、アクリル樹脂エマルション、アクリルシリコン樹脂エマルション、フッ素樹脂エマルション及びウレタン樹脂エマルションよりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが望ましい。
【0089】
アクリル樹脂エマルションとしては、アクリル系単量体、及びアクリル系単量体と共重合可能な単量体とをラジカル共重合により得られるものが使用できる。
【0090】
使用可能な上記単量体としては、特に限定はないが、具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート系単量体;スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、4−ヒドロキシスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族炭化水素系ビニル単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ジアリルフタレートなどのビニルエステルやアリル化合物;(メタ)アクリロニトリルなどのニトリル基含有ビニル系単量体;グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有ビニル系単量体;2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシスチレン、アロニクス5700(東亜合成化学(株)製)、placcelFA−1、placcelFA−4、placcelFM−1、placcelFM−4(以上、ダイセル化学(株)製)、HE−10、HE−20、HP−10、HP−20(以上日本触媒(株)製)、ブレンマーPEPシリーズ、ブレンマーNKH−5050、ブレンマーGLM(以上日本油脂(株)製)、水酸基含有ビニル系変性ヒドロキシアルキルビニル系モノマーなどの水酸基含有ビニル系単量体;東亜合成化学(株)製のマクロモノマーである、AS−6、AN−6、AA−6、AB−6、AK−5などの化合物、ビニルメチルエーテル、プロピレン、ブタジエン等が挙げられる。
【0091】
更に、エマルションの安定性を向上させることが可能な親水性を有するビニル系単量体も使用可能である。使用可能な親水性基を有するビニル系単量体としては、スチレンスルホン酸ナトリウム、2−スルホエチルメタクリレートナトリウム、2−スルホエチルメタクリレートアンモニウム、ポリオキシアルキレン鎖を有するビニル系単量体が挙げられる。ポリオキシアルキレン鎖を有するビニル系単量体に限定はないが、ポリオキアルキレン鎖を有するアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルが好ましい。
【0092】
具体例としては日本油脂(株)製の市販品である、ブレンマーPE−90、ブレンマーPE−200、ブレンマーPE−350、ブレンマーAE−90、ブレンマーAE−200、ブレンマーAE−350、ブレンマーPP−500、ブレンマーPP−800、ブレンマーPP−1000、ブレンマーAP−400、ブレンマーAP−550、ブレンマーAP−800、ブレンマー700PEP−350B、ブレンマー10PEP−550B、ブレンマー55PET−400、ブレンマー30PET−800、ブレンマー55PET−800、ブレンマー30PPT−800、ブレンマー50PPT−800、ブレンマー70PPT−800、ブレンマーPME−100、ブレンマーPME−200、ブレンマーPME−400、ブレンマーPME−1000、ブレンマーPME−4000、ブレンマーAME−400、ブレンマー50POEP−800B、ブレンマー50AOEP−800B、ブレンマーAEP、ブレンマーAET、ブレンマーAPT、ブレンマーPLE、ブレンマーALE、ブレンマーPSE、ブレンマーASE、ブレンマーPKE、ブレンマーAKE、ブレンマーPNE、ブレンマーANE、ブレンマーPNP、ブレンマーANP、ブレンマーPNEP−600;共栄社化学(株)製の市販品である、ライトエステル130MA、ライトエステル041MA、ライトエステルMTG、ライトアクリレートEC−A、ライトアクリレートMTG−A、ライトアクリレート130A、ライトアクリレートDPM−A、ライトアクリレートP−200A、ライトアクリレートNP−4EA、ライトアクリレートNP−8EA、ライトアクリレートEHDG−A;日本乳化剤(株)製の市販品である、MA−30、MA−50、MA−100、MA−150、RMA−1120、RMA−564、RMA−568、RMA−506、MPG130−MA、Antox MS−60、MPG−130MA、RMA−150M、RMA−300M、RMA−450M、RA−1020、RA−1120、RA−1820;新中村化学工業(株)製の市販品である、NK−ESTER M−20G、M−40G、M−90G、M−230G、AMP−10G、AMP−20G、AMP−60G、AM−90G、LA;三洋化成(株)製の市販品であるエレミノールRS−30などがあげられる。
【0093】
ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、アリル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンなどの重合性の不飽和結合を2つ以上有する単量体を使用することも可能である。
【0094】
また、トリフルオロ(メタ)アクリレート、ペンタフルオロ(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、β−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレートなどのフッ素含有ビニル系単量体を使用することにより高度な撥水・撥油を有するフッ素含有アクリル系樹脂エマルションも作製可能である。
【0095】
また、上記単量体にカルボニル基含有ビニル系単量体を共重合し、ヒドラジンおよび/またはヒドラジド基を含有する化合物を配合した架橋型アクリル樹脂エマルションも作製可能である。
【0096】
アクリルシリコン樹脂エマルションは、上記アクリル樹脂エマルションを珪素含有化合物で変性したものであり、アクリル樹脂エマルションに比して耐候性が向上している。その変性はエマルションの合成段階で行っても、合成終了後に別途行っても良い。
【0097】
また、アクリルシリコン樹脂エマルションのなかでも、特に加水分解性シリル基含有アクリル樹脂エマルションが、本発明の耐汚染性付与組成物と組み合わせたときに良好な耐汚染性を示す。
【0098】
加水分解性シリル基含有アクリル樹脂エマルションは、上記アクリル樹脂エマルションの説明で例示した単量体と加水分解性シリル基を有する単量体を共重合することにより作製可能である。
【0099】
加水分解性シリル基を有する単量体としては、取扱いの容易さ、価格の点および反応副生成物が生じにくい点から、アルコキシシリル基含有ビニル系モノマーが好ましい。アルコシキシシリル基含有ビニルモノマーの具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリ−n−プロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0100】
これらの加水分解性シリル基を有する単量体は、1種を単独で用いてもよいし、また2種以上を併用しても良い。
【0101】
水性塗料にした場合の貯蔵安定性の点からγ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリ−n−プロポキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリイソプロポキシシランが特に好ましい。
【0102】
上記加水分解性シリル基含有アクリル樹脂エマルションは、前述のメルカプト錫化合物(C)成分が混合された場合、架橋反応が進行し、耐水性・耐候性が良好な塗膜となる。
【0103】
上記アクリル樹脂エマルションおよびアクリルシリコン樹脂エマルションは、通常の方法を採用することで得ることができるが、エマルションの粒子径および安定性、さらには塗料組成物中の有機溶剤含有量を低減させることを考慮すると乳化重合法が好ましい。
【0104】
前記乳化重合法には特に限定がなく、たとえばバッチ重合法、モノマー滴下重合法、乳化モノマー滴下重合法などの各種乳化重合法の中から適宜選択して採用することができる。
【0105】
乳化重合に際しては、通常用いられるイオン性または非イオン性の界面活性剤を用いることができる。
【0106】
イオン性界面活性剤としては、たとえばポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルサルフェート、ポリオキシエチレンアリルエーテルサルフェート、オクチルフェノキシエトキシエチルスルホネート、ポリオキシエチレントリデシルエーテルサルフェートなどのポリオキシエチレン鎖を有するアニオン性界面活性剤;ラウリルスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、イソオクチルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸塩;イミダゾリンラウレート、アンモニウムハイドロオキサイドなどのアンモニウム塩などが代表例として挙げられるが、これらの中では、ポリオキシエチレン鎖を有するアニオン性界面活性剤が好ましい。
【0107】
また、非イオン性界面活性剤としては、たとえばポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルなどのポリオキシエチレン類;L−77、L−720、L−5410、L−7602、L−7607(以上、ユニオンカーバイド社製)などのシリコーンを含む非イオン系の界面活性剤などが代表例として挙げられる。
【0108】
本発明においては、界面活性剤として1分子中に重合性二重結合を有する反応性界面活性剤を用いることが耐水性、耐候性の点で好ましい。また、特に分子内にポリオキシアルキレン基を有する反応性界面活性剤を用いた場合には、機械的安定性を向上させることができる。
【0109】
これらアクリル樹脂エマルションおよびアクリルシリコン樹脂エマルションは、各社より市販されており、例えば、大日本インキ化学工業(株)製の市販品である、ボンコート、ウォーターゾール;日本触媒(株)製の市販品である、アクリセット、ユーダブル;昭和高分子(株)製の市販品であるポリゾール;日本エヌエスシー(株)製の市販品である、ヨドゾール、カネビノール;旭化成工業(株)製の市販品である、ポリトロン、ポリデュレックス;中央理化工業(株)製の市販品であるリカボンド;日本アクリル(株)製の市販品であるプライマル;BASFディスパージョン(株)製の市販品であるアクロナール;クラリアントポリマー(株)の市販品であるモビニール;(株)カネカ製の市販品である、カネカゼムラック、カネビラック等があげられる。
【0110】
ウレタン樹脂エマルションとしては、ウレタン樹脂を水中に分散したものであり、ウレタン樹脂に親水基を付与し自己分散型にしたものと、疎水性のウレタン樹脂を乳化剤等で強制的に乳化したものがあり、何れも使用可能である。
【0111】
これらは、例えば、第一工業製薬(株)製の市販品である、スーパーフレックス90、スーパーフレックス107M、スーパーフレックス110、スーパーフレックス126、スーパーフレックス130、スーパーフレックス150、スーパーフレックス150HS、スーパーフレックス160、スーパーフレックス300、スーパーフレックス361、スーパーフレックス370、スーパーフレックス410、スーパーフレックス420、スーパーフレックス460、スーパーフレックス460S、スーパーフレックス500、スーパーフレックス600、スーパーフレックスE−2000、スーパーフレックスE−2500、スーパーフレックスE−4000、スーパーフレックスE−4500、スーパーフレックスE−4700、スーパーフレックスR−5000、エラストロンBN−08、エラストロンBN−11、エラストロンBN−50D;Avecia KK製の市販品である、NeoRez R−960、NeoRez R−972、NeoRez R−9637、NeoRez R−9679、NeoRez AX−311、NeoRez R−966、NeoRez R−967、NeoRez R−9603、NeoRez R−600、NeoRez R−9320、NeoRez R−9617、NeoRez R−9621、NeoPac R−9000、NeoPac R−9699;三井武田ケミカル(株)製の市販品である、タケラックW−615、タケラックW−6010、タケラックW−6020、タケラックW−6061、タケラックW−511、タケラックW−405、タケラックW−7004、タケラックW−605、タケラックW−512A6、タケラックW−635、タケラックW−635C、タケラックWS−7000、タケラックWS−5000、タケラックWS−5070X、タケラックWS−4000、タケラックXW−75−X35;(株)アデカ製の市販品である、アデカボンタイターHUX−290H、(アデカボンタイターHUX−290K、アデカボンタイターHUK−290N、アデカボンタイターHUX−395D、アデカボンタイターHUX−394、アデカボンタイターHUX−232、アデカボンタイターHUX−240、アデカボンタイターHUX−320、アデカボンタイターHUX−350、アデカボンタイターHUX−380、アデカボンタイターHUX−381、アデカボンタイターHUX−388、アデカボンタイターHUX−380A、アデカボンタイターHUX−386、アデカボンタイターHUX−401、アデカボンタイターHUX−750、アデカボンタイターHUX−670、アデカボンタイターHUX−680、アデカボンタイターHUX−575、アデカボンタイターHUX−580、などがあげられる。
【0112】
ウレタン樹脂エマルションは単独系でも他の樹脂系エマルションとの混合系でも使用できる。特にアクリル樹脂エマルションとの混合系が塗料設計の容易さやコストの点で有用である。
【0113】
上記ウレタン樹脂エマルションを使用する場合の使用量としては、主剤に含まれる樹脂固形分中ウレタン樹脂エマルションの樹脂固形分が50質量%以下、特に10〜30質量%となるような割合に調整することが、塗装作業性、ポットライフ可視化や耐汚染性を維持でき、仕上がり性に優れた塗膜を形成でき、適している。
【0114】
フッ素樹脂エマルションとしては、フルオロオレフィン重合体および/またはフルオロオレフィンと共重合可能な単量体との共重合体を水中に分散させたものが使用できる。
【0115】
フルオロオレフィンとしては、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ペンタフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロピレンなどがあげられる。
【0116】
フルオロオレフィンと共重合可能な単量体としては、エチレン、プロピレンなどのオレフィン類;エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;ブチルビニルエステル、オクチルビニルエステル、酢酸ビニル、バーサチック酸ビニル(ジャパンエポキシレジン(株)製ベオバ10、ベオバ9、ベオバ11)などのビニルエステル類;スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物;エチルアリルエーテルなどのアリルエーテル類やブチルアリルエステルなどのアリル化合物;(メタ)アクリル酸エステル類などがあげられる。
【0117】
これらは、各社から市販されており、例えば、旭硝子(株)製の市販品であるルミフロン;ダイキン工業(株)製の市販品であるゼッフル;セントラル硝子(株)製の市販品であるセフラルコート;大日本インキ化学工業(株)製の市販品であるフルオネートなどがあげられる。
【0118】
上記フッ素樹脂エマルションを使用する場合の使用量としては、主剤に含まれる樹脂固形分中フッ素樹脂エマルションの樹脂固形分が10質量%以上、特に50質量%以上となるような割合に調整することがポットライフ可視化や耐汚染性を維持でき、仕上がり性、耐候性の良好な塗膜とすることができ、適している。
【0119】
本明細書において固形分とは、揮発成分を除いた残存物を意味するものであり、残存物としては常温で固形状であっても液状であっても差し支えない。固形分質量は、例えば試料2gをブリキ皿に秤量し、105℃で3時間乾燥させた時の残存物質量の乾燥前質量に対する割合を固形分率とし、固形分率を乾燥前の試料質量に乗じることで算出することができる。
【0120】
ポリカルボン酸塩(b)
本明細書においてポリカルボン酸塩(b)は、カルボキシル基含有化合物の分子中のカルボキシル基の水素イオンの少なくとも1部を陽イオンで置き換えた化合物の総称であり、陽イオンとしては塩基性物質に由来するものであることができる。本発明においては、主剤(II)がポリカルボン酸塩(b)を含むことによって、耐汚染性付与組成物(I)と主剤(II)を混合して調整した塗料のポットライフを可視化する効果を奏することができる。
【0121】
また、ポリカルボン酸塩(b)は、カルボキシル基含有ビニル系単量体を含む単量体成分の共重合体であるポリカルボン酸を塩基性物質で中和してなるポリカルボン酸塩であってもよい。
【0122】
上記単量体成分は、カルボキシル基含有ビニル系単量体に加えて該カルボキシル基含有ビニル系単量体を塩基性物質で中和したカルボン酸塩基含有ビニル系単量体を必要に応じて加えたものであってもよい。
【0123】
上記ポリカルボン酸塩(b)の陽イオン源となる塩基性物質としては、リチウム、カリウム又はナトリウム等のアルカリ金属;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属;エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノール、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン及びエチレンジアミン等の脂肪族アミン;シクロプロピルアミン、シクロブチルアミン、シクロペンチルアミン及びシクロへキシルアミン等の脂環式アミン;アニリン、ピリジン、ピペリジン、ベンジルアミン及びフェニレンジアミン等の芳香族アミン;テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、トリメチルエチルアンモニウム塩、N−メチルピリジニウム塩及びN−メチルイミダゾリウム塩等の4級有機アンモニウム塩等が挙げられる。
【0124】
これらの塩基性物質のうち、アルカリ金属、アミン類及び4級アンモニウム塩が好ましく、さらに好ましくはアミン類及び4級アンモニウム塩が好適であり、さらに特に好ましくはアミン類が好適である。
【0125】
上記ポリカルボン酸塩(b)の配合量としては一般に、主剤(II)中の樹脂固形分を基準として2〜10質量%、好ましくは1〜8質量%の範囲内にあることが、ポットライフ可視化、本発明塗料組成物から形成される塗膜の耐水性、耐汚染性の点から適している。
【0126】
本発明において、上記ポリカルボン酸塩(b)の好ましい重量平均分子量としては、4,000〜40,000の範囲内が好ましく、5,000〜30,000の範囲内がより好ましい。
【0127】
ポリカルボン酸塩(b)の重量平均分子量は、分子量既知のポリエチレングリコールを標準物質として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で、カラム温度40℃、溶離液:0.1−MPBのリン酸水素二ナトリウム水溶液およびリン酸二水素ナトリウム水溶液、流速0.6ml、試料濃度:0.4質量%溶離液溶液の条件で測定したものである。
【0128】
上記ポリカルボン酸塩(b)は、一般に酸価が80を超えて700mgKOH/g以下、好ましくは200〜600mgKOH/gの範囲内であるポリカルボン酸塩(b1)、及び/又は、酸価が5〜80mgKOH/g、好ましくは10〜70mgKOH/gの範囲内のポリカルボン酸塩(b2)を使用することが、ポットライフの可視化の点から好ましい。
【0129】
本発明では、ポリカルボン酸塩(b)として、特に酸価が80を超えて700mgKOH/g以下、好ましくは200〜600mgKOH/gの範囲内のポリカルボン酸塩(b1)と、酸価が5〜80mgKOH/g、好ましくは10〜70mgKOH/gの範囲内のポリカルボン酸塩(b2)とを併用するものであると、ポットライフのより一層の可視化と、形成塗膜の光沢等の仕上がり性や耐汚染性、耐水性、耐候性等の物性とを両立させることができ、望ましい。
【0130】
また、上記場合において、ポリカルボン酸塩(b1)及びポリカルボン酸塩(b2)の使用割合が、(b1)/(b2)質量比で、1/1000〜10/1、好ましくは1/100〜1/1、更に好ましくは1/100〜1/2の範囲内であると、混合後の粘度変化が大きくなりすぎることなく、ポットライフを可視化でき、形成塗膜の光沢等の仕上がり性、耐水性、耐候性、耐汚染性、調色性などの点からよい。
【0131】
上記ポリカルボン酸塩(b)としては、上記(b1)、(b2)以外のポリカルボン酸塩(bn)も必要に応じて使用することが可能である。
【0132】
本発明において、主剤(II)は、上記ポリカルボン酸塩(b)を、下記計算式で算出される酸量が1.0〜20.0の範囲内、特に2.0〜10.0、さらに特に3.0〜9.0の範囲内で含むことがポットライフの可視化と耐汚染性とを両立させる点から、望ましい。
【0133】
本明細書において上記酸量は、下記計算式(1)又は計算式(2)により算出される値とする。
【0134】
計算式(1) 酸量=ポリカルボン酸塩の固形分酸価(mgKOH/g)×水性樹脂(a)固形分1gに対するポリカルボン酸塩の固形分配合量(g)。
【0135】
また、ポリカルボン酸塩(b)として複数のポリカルボン酸塩(b1)、(b2)・・・・(bn)を使用する場合は、下記計算式(2)に準じて酸量を求めるものとする。
【0136】
計算式(2) 酸量=ポリカルボン酸塩(b1)の固形分酸価(mgKOH/g)×水性樹脂(a)固形分1gに対するポリカルボン酸塩(b1)固形分の配合量(g)+ポリカルボン酸塩(b2)の固形分酸価(mgKOH/g)×水性樹脂(a)固形分1gに対するポリカルボン酸塩(b2)固形分の配合量(g)・・・ポリカルボン酸塩(bn)の固形分酸価(mgKOH/g)×水性樹脂(a)固形分1gに対するポリカルボン酸塩(bn)の固形分配合量(g)。
【0137】
また、本明細書において酸価(mgKOH/g)は、試料1g(樹脂の場合は固形分)に含まれる酸基のモル量と同じモル量に相当する水酸化カリウムのmg数で表したものである。水酸化カリウムの分子量は56.1とする。
【0138】
本発明において、上記ポリカルボン酸塩(b)は、主剤(II)製造のいずれの段階においても配合することができ、主剤(II)が顔料を含む場合には顔料を分散するための顔料分散剤として配合することもできる。
【0139】
炭化水素油系消泡剤
本発明において主剤(II)は、形成塗膜の仕上がり性、塗料製造段階において発生する泡を抑制、破泡する等を目的として消泡剤を含有することが好適であり、本発明においては形成塗膜の耐汚染性の点から、主剤(II)に含まれる消泡剤として、炭化水素油系消泡剤を使用することが望ましい。
【0140】
上記炭化水素油系消泡剤としては、当該分野で鉱物油系消泡剤と呼ばれているものであり、通常炭化水素油及び疎水性シリカを含有するものが挙げられる。
【0141】
炭化水素油としては、脂肪族系、脂環式系、芳香族系のいずれであってもよく、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン、あるいはパラフィン油、ナフテン油、ナフサ、ケロシン、軽油、スピンドル油等の鉱油などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0142】
疎水性シリカとしては、シリカを有機変性したものであり、例えば、鉱物由来あるいは合成系のシリカ微粒子の表面等にあるシラノール基にオルガノハロシラン、ジメチルシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、ジメチルジクロロシラン、トリメトキシオクチルシラン、トリメチルシラン等を反応結合させて得られた化合物;シリカ微粒子と末端にヒドロキシル基を有するジメチルポリシロキサン又はジメチルハイドロジエンポリシロキサン等を混合して200〜300℃で加熱処理してシリカ微粒子表面にアルキルポリシロキサンを結合させて得られた化合物;シリカ微粒子表面にシリコーンオイルを気相吸着することにより得られる化合物等が挙げられ、これらは1種あるいは2種以上併用して用いることができる。
【0143】
本発明において、上記炭化水素油系消泡剤は、主剤(II)に含まれる樹脂固形分を基準にして、0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜2質量%の範囲内であることが、製造安定性、形成塗膜の仕上がり性、耐汚染性などの点から好ましい。
【0144】
高沸点有機溶剤
また、本発明においては、最終的に得られる耐汚染塗膜の光沢を向上させる点から沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤を主剤(II)に含まれる樹脂固形分を基準として5〜30質量%、好ましくは10〜25質量%の範囲内で含有することが好適である。
【0145】
かかる高沸点有機溶剤としては、従来公知のものを制限なく使用することができ、その具体例としては、沸点が150℃以上、好ましくは200〜400℃の範囲内の化合物を挙げることができる。
【0146】
本明細書における沸点とは、25℃、1気圧の雰囲気下で、凝縮装置、温度計を備えた容量が200mlのフラスコに100mlの試料を仕込み、留出量が4〜5ml/分となるように加熱を調整しながら蒸留を行うことにより測定される沸点の中での最高温度とする。
【0147】
かかる高沸点有機溶剤としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、オキソヘキシルアセテート、メチルメトキシブチルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノ2−エチルヘキサノエート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジ2−エチルヘキサノエート等のエステル系有機溶剤;ベンジルアルコール、ジエチレングリコール、イソトリデカノール、1,3−オクチレングリコール、グリセリン等のアルコール系有機溶剤;エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル等のエーテル系有機溶剤等を挙げることができ、単独で又は組み合わせて使用することができる。
【0148】
上記高沸点有機溶剤としては、形成塗膜の耐汚染性と光沢の点から、エステル系有機溶剤、特に2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノ2−エチルヘキサノエート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジ2−エチルヘキサノエートよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が好適である。
【0149】
本発明において、上記主剤(II)は、顔料を含むエナメル塗料用であっても、実質的に透明な塗膜を形成するクリヤー塗料用であってもよい。
【0150】
上記主剤(II)が顔料を含む場合、着色顔料、光輝性顔料、体質顔料等を例示できる。
【0151】
着色顔料としては、例えば、ニ酸化チタン等の白色顔料;カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、鉄黒、アニリンブラックなどの黒色顔料;黄色酸化鉄、チタンイエロー、モノアゾイエロー、縮合アゾイエロー、アゾメチンイエロー、ビスマスバナデート、ベンズイミダゾロン、イソインドリノン、イソインドリン、キノフタロン、ベンジジンイエロー、パーマネントイエロー等の黄色顔料;パーマネントオレンジ等の橙色顔料;赤色酸化鉄、ナフトールAS系アゾレッド、アンサンスロン、アンスラキノニルレッド、ペリレンマルーン、キナクリドン系赤顔料、ジケトピロロピロール、ウォッチングレッド、パーマネントレッド等の赤色顔料;コバルト紫、キナクリドンバイオレット、ジオキサジンバイオレット等の紫色顔料;コバルトブルー、フタロシアニンブルー、スレンブルーなどの青色顔料;フタロシアニングリーンなどの緑色顔料などを挙げることができる。
【0152】
光輝性顔料としては、例えば、アルミニウム粉、ブロンズ粉、銅粉、錫粉、リン化鉄、亜鉛粉等のメタリック顔料;金属酸化物コーティング雲母粉、マイカ状酸化鉄等の真珠光沢調顔料などを挙げることができる。
【0153】
また、体質顔料としては、例えば、バリタ粉、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシム、石膏、クレー、ホワイトカーボン、珪藻土、タルク、炭酸マグネシウム、アルミナホワイト、グロスホワイト等を挙げることができる。
【0154】
これらの着色顔料、光輝性顔料及び体質顔料等は、単独で又は2種以上を任意に組み合わせて使用することができる。
【0155】
本発明において、上記顔料の使用割合としては、水性樹脂(a)の質量を基準にして、通常1〜500質量%、好ましくは3〜150質量%の範囲内であることが好適である。
【0156】
また、本発明において、塗装作業性、顔料沈降防止、さらにはポットライフを可視化等の点から上記塗料組成物は粘性調整剤を含むことが望ましい。
【0157】
該粘性調整剤としては、従来公知のものを制限なく使用でき、その具体例としては、水溶性ケイ酸アルカリ、モンモリロナイト、コロイド状アルミナ等の無機系化合物;メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の繊維素誘導体系化合物;プルロニックポリエーテル、ポリエーテルジアルキルエステル、ポリエーテルジアルキルエーテル、ポリエーテルウレタン変性物、ポリエーテルエポキシ変性物等のポリエーテル系化合物;ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のポリアクリル酸系化合物;ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルベンジルアルコール共重合物等のポリビニル系化合物;カゼイン酸ソーダ、カゼイン酸アンモニウム等のタンパク質誘導体;ビニルメチルエーテル−無水マレイン酸共重合物の部分エステル、乾性油脂肪酸アリルアルコールエステル−無水マレイン酸の反応物のハーフエステル等の無水マレイン酸共重合体等が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用できる。特に塗装作業性を向上させ、良好な仕上がり性を発揮でき、耐汚染性ポットライフを維持できることから、繊維素誘導体系化合物及びポリエーテル系化合物の組み合わせがよい。繊維素誘導体系化合物及びポリエーテル系化合物を組み合わせる場合、両者の使用割合は、繊維素誘導体系化合物/ポリエーテル系化合物質量比で、1/99〜99/1、好ましくは5/95〜95/5、さらに好ましくは10/90〜90/10の範囲内であることが好適である。
【0158】
該粘性調整剤の使用量としては、水性樹脂(a)固形分に対して0.01〜5質量%、好ましくは0.1〜3質量%の範囲内であるとよい。
【0159】
上記主剤(II)は、必要に応じて、硬化触媒、芳香剤、脱臭剤、抗菌剤、中和剤、界面活性剤、水性撥水剤、分散剤、防腐剤、防カビ剤、凍結防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤等の塗料用添加剤を含有することができる。
【0160】
塗料組成物の調製
本発明の塗料組成物は、耐汚染性付与組成物(I)と主剤(II)とからなり、好ましくは耐汚染性付与組成物(I)と主剤(II)を2液型にし、塗装直前に上記(I)と(II)を混合し、攪拌することで容易に調整することができる。この方法では塗料を塗布した際の塗膜の物性変化が少なくて好ましく、また、この方法であれば、安定して優れた耐汚染性と高い光沢を有する塗膜を形成させることが可能である。
【0161】
耐汚染性付与組成物(I)と主剤(II)の混合比率は、主剤(II)中の樹脂固形分100質量部を基準として、オルガノシリケート化合物及び/又はその部分加水分解縮合物(A)が2〜40質量部、好ましくは5〜20質量部となるように耐汚染性組成物(I)と主剤(II)を混合配合することが、耐汚染性、塗膜光沢の点から好ましい。
【0162】
また、上記水性樹脂(a)が加水分解性シリル基含有アクリル樹脂エマルションである場合には、主剤(II)の樹脂固形分100質量部に対し、耐汚染性付与組成物(I)中の成分(B)を3〜20質量部になるように添加することが好ましい。
【0163】
このように添加することによって、塗膜に適度な柔軟性を持たせることができ、加水分解性シリル基含有アクリル樹脂塗膜特有の脆さが改善できる。その結果、今まで適用が困難であった柔らかい下地、例えばJIS A 6021適合外壁用塗膜防水材や、JIS A 6909防水形複層仕上げ上塗り材等への適用が可能となる。
【0164】
塗装方法
本発明の塗装仕上げ方法は、被塗面に上記本発明の塗料組成物を塗装する塗装方法である。
【0165】
本発明の塗料組成物は、被塗面に塗装することにより、耐汚染性を有し、耐水性等の性能に優れた保護塗膜を形成せしめることができる。
【0166】
本発明の塗料組成物を適用することができる被塗面としては、例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス等の金属基材;石膏ボード、コンクリート壁、コンクリートブロック、モルタル壁、スレート板、PC板、ALC板、セメント珪酸カルシウム板、木材、石材等の無機質基材;プラスチック成形物等の有機質基材等の基材の表面、これら基材上に設けられたアクリル樹脂系、アクリルウレタン樹脂系、ポリウレタン樹脂系、フッ素樹脂系、シリコンアクリル樹脂系、酢酸ビニル樹脂系、エポキシ樹脂系等の旧塗膜面などを挙げることができる。また必要に応じて塗料分野で公知の下塗り塗料や中塗り塗料を予め設けてもよい。
【0167】
本発明の塗料組成物の塗装は、それ自体既知の塗装手段を用いて行うことができ、例えば、ローラー、エアスプレー、エアレススプレー、リシンガン、万能ガン、ハケ、ロールコーターなど基材の用途等に応じて適宜選択することができる。塗布量は、通常、0.01〜1.5kg/m程度とするのが好ましく、0.05〜0.5kg/m程度とするのがより好ましい。
【0168】
形成塗膜の乾燥は、使用した塗料組成物の組成などに応じて、加熱乾燥、強制乾燥又は常温乾燥のいずれかの方法で行うことができる。
【0169】
本発明の塗装方法において、被塗面が金属基材又は該金属基材に設けられた旧塗膜面である場合には、該被塗面に、下塗り塗料を塗装した後、該塗面上に本発明の塗料組成物を塗装することができる。
【0170】
ここで用いられる下塗り塗料としては、被塗面の種類や状態などに応じて、必要に応じて塗装されるものであり、本発明の塗料組成物により形成される塗膜との間に膜を設けることで、金属基材表面に水などが接触することを抑制し、金属基材表面の腐食及び錆のブリードを抑制するものであり、例えば、アクリル系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、アルキド系樹脂、酢酸ビニル系樹脂等の樹脂種よりなる水系又は溶剤系の樹脂を樹脂バインダーとして含み、必要に応じて架橋剤を含む塗料を挙げることができる。かかる下塗り塗料としては、エポキシ系樹脂を含む塗料が好適である。
【0171】
また、本発明の塗装方法において、被塗面が無機質基材面又は無機質基材面に設けられた旧塗膜面である場合には、被塗面に、予め下塗り塗料を塗装した後、形成される下塗り塗面上に中塗り塗料を塗装し、該中塗り塗面上に本発明の塗料組成物を塗装することができる。
【0172】
上記中塗り塗料に先立って塗装される下塗り塗料は、被塗面の種類や状態などに応じて、必要に応じて塗装されるものであり、本発明の塗料組成物により形成される塗膜もしくは後述の中塗り塗料により形成される塗膜との密着性を向上させるためのものであり、該下塗り塗料としては、例えば、アクリル系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、アルキド系樹脂、酢酸ビニル系樹脂等の樹脂種よりなる水系又は溶剤系の樹脂を樹脂バインダーとして含み、必要に応じて架橋剤を含む塗料を挙げることができ、特に水系の樹脂を含んでなる塗料を使用することが望ましい。かかる下塗り塗料としては、建築塗料業界で通常シーラーと呼ばれる分野の塗料を使用することができる。
【0173】
上記中塗り塗料としては、被塗面の種類や状態などに応じて、必要に応じて塗装されるものであり、本発明の塗料組成物により形成される塗膜もしくは上記下塗り塗料により処理された被塗面との付着性を向上させたり、中塗り塗膜を設けることで被塗面の経時による変化に本発明の塗料により形成される塗膜が追随できるように塗装されるものである。上記中塗り塗料は、下塗り塗料及び本発明の塗料組成物以外の塗料であって、例えば、アクリル系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ポリエステル系樹脂、アルキド系樹脂、脂肪酸変性アクリル樹脂、脂肪酸変性エポキシ樹脂、アクリル変性エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、生分解性樹脂等の樹脂種よりなる水系又は溶剤系の樹脂を樹脂バインダーとして含み必要に応じて架橋剤を含む塗料を挙げることができ、水系の樹脂を含んでなる塗料を使用することが好ましい。
【0174】
上記中塗り塗料としては、例えばJIS A 6021適合外壁用塗膜防水材、JIS A 6909適合防水形複層仕上げ塗材、微弾性下地調整塗料なども適用可能である。
【0175】
特に、形成塗膜の伸び率が300%を超える中塗り塗料塗膜を、本発明の塗料組成物により形成される塗膜の下に設けることで、無機質基材等の経時による変化に追随可能で、耐汚染性、仕上がり性に優れた複層塗膜を形成可能である。
【0176】
上記下塗り塗料及び中塗り塗料の塗装は、それ自体既知の塗装手段を用いて行うことができ、例えば、ローラー、エアスプレー、エアレススプレー、リシンガン、万能ガン、ハケ、ロールコーターなど基材の用途等に応じて適宜選択することができる。
【0177】
乾燥条件は、用いた下塗り塗料又は中塗り塗料の種類などに応じて、加熱乾燥、強制乾燥又は常温乾燥のいずれかの方法で行うことができる。
【発明の効果】
【0178】
本発明の耐汚染性付与組成物によれば、主剤に混合して塗装を行うことにより、安定した耐汚染性を発揮し、しかも仕上がり性の良好な塗膜を形成することができる。
【0179】
また、従来の塗料ではポットライフが3時間未満と短いうえ、塗料粘度が殆ど変化せず、ポットライフの経過が分からないのに対して、本耐汚染性付与組成物を含む塗料組成物は、3〜48時間程度という長いポットライフを有しており、しかも塗料の性能劣化に応じて塗料粘度が増大するためポットライフの経過が非常に分かり易いという利点を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0180】
以下、製造例、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。ここで「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。
【0181】
耐汚染性付与組成物の製造
実施例1〜9及び比較例1〜5
(株)カネカ製の耐汚染性付与剤「QA#1103」を容器に取り、表1に記載の成分を加え、30分間均一になるまで撹拌することにより、耐汚染性付与組成物(I−1)〜(I−14)を得た。
【0182】
【表1】

表1の配合量は、「部」を示す。また、表1において、(注1)〜(注3)は、下記のものを示す。
【0183】
(注1)「カネカゼムラックQA#1103」:商品名、(株)カネカ製、シリケート化合物(A)46.3%、反応性官能基と親水性基を有する水溶性又は水分散性化合物(B)7.4%及びメルカプト錫化合物(C1)0.37%を含有する耐汚染性付与剤。(A)、(B)及び(C1)の()内の数値は、有効成分量を示す。
【0184】
(注2)「カネカゼムラックBT453Z」:商品名、(株)カネカ製、メルカプト錫化合物(C2)。
【0185】
(注3)「SILQUEST A−189 SILANE」:商品名、(株)Momentive製、メルカプトシラン化合物(D)。このメルカプトシラン化合物(D)は、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランであり、本発明耐汚染性付与組成物の(D)成分に相当する。
【0186】
実施例10〜25及び比較例6
容器に表2に記載の各成分を配合し、攪拌混合した後、ジプロピレングリコールジメチルエーテルで有効成分量が80%となるように希釈することで耐汚染性付与組成物(I−15)〜(I−31)を得た。尚表2の配合量は有効成分量表示である。
【0187】
【表2】


表2の配合量は、「部」を示す。また、表2において、(注4)〜(注8)は、下記のものを示す。
【0188】
(注4)エチルシリケート40:商品名、(株)コルコート製、エチルシリケート部分加水分解縮合物(シリカ残存量約40%)、有効成分100%。
【0189】
(注5)タケネートWD−720:商品名、三井武田ケミカル(株)製、水分散型ポリイソシアネート、有効成分100%。
【0190】
(注6)カルボジライトV−04B:商品名、(株)日清紡製、水溶性ポリカルボジイミド、有効成分100%。
【0191】
(注7)エポライト200P:商品名、共栄社(株)製、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、有効成分100%。
【0192】
(注8)A−1230:商品名、(株)Momentive製、:ポリエーテル変性シランカップリング剤、有効成分100%。
【0193】
顔料分散ペーストの製造
製造例1〜2
容器に、表3記載の下記成分を仕込み、ガラスビーズを加えて、サンドミルにて1000rpmの回転速度で1時間分散することにより、顔料分散ペースト(P1)〜(P2)を得た。
【0194】
【表3】

表3の配合量は、「部」を示す。また、表3において、(注9)〜(注13)は、下記のものを示す。
【0195】
(注9)「SNディスパーサント2020」:商品名、サンノプコ(株)製、ノニオン系界面活性剤、有効成分100%。
【0196】
(注10)「フローレンG−700DMEA」:商品名、共栄社化学(株)製、ポリカルボン酸のジメチルエタノールアミン塩、固形分酸価60mgKOH/g、固形分64%。
【0197】
(注11)「タイペークCR−97」:商品名、石原産業(株)製、酸化チタン。
【0198】
(注12)「スラウト99N」:商品名、日本エンバイロケミカルズ(株)製、防腐剤。
【0199】
(注13)「AGITAN295」:商品名、MUNZING CHEMIE社製、疎水性シリカ、鉱油を含む炭化水素油系消泡剤、有効成分100%。
【0200】
主剤の製造
製造例3〜10
容器に、表4に示す成分を順次配合し、均一となるように攪拌混合して、水性塗料組成物用の主剤を得た。
【0201】
【表4】

表4の配合量は、「部」を示す。また、表4において、(注14)〜(注21)は、下記のものを示す。
【0202】
(注14)「カネカゼムラックW#3108F」:商品名、(株)カネカ製、加水分解性シリル基含有アクリル樹脂エマルション、固形分50%。
【0203】
(注15)「アデカボンタイターHUX−401」:商品名、(株)アデカ製、ウレタン樹脂エマルション、固形分37%。
【0204】
(注16)「ルミフロンFE−4300」:商品名、旭硝子(株)製、フッ素樹脂エマルション、固形分50%。
【0205】
(注17)「CS−12」:チッソ(株)製、2,2,4−トリメチルペンタンジオールモノイソブチレート、造膜助剤。
【0206】
(注18)「アデカノールUH526」:商品名、(株)アデカ製、ポリエーテルウレタン変性物、粘性調整剤。
【0207】
(注19)「ナトロゾールプラス330」(3%):「ナトロゾールプラス330」(商品名、Aqualon社製、ヒドロキシエチルセルロース)/水/アンモニア水=3/97/微量で溶解希釈したものを使用(有効成分3%)。
【0208】
(注20)「SNディスパーサント5027」:商品名、サンノプコ(株)製、ポリカルボン酸のアンモニウム塩、固形分酸価230mgKOH/g、固形分20%。
【0209】
(注21)「SNディスパーサント5468」:商品名、サンノプコ(株)製、ポリカルボン酸のアンモニウム塩、固形分酸価500mgKOH/g、固形分40%。
【0210】
水性塗料組成物の製造
実施例26〜43及び比較例7〜12
表5及び表6に示す配合で、主剤と耐汚染性付与組成物を混合し、手攪拌で攪拌することにより水性塗料組成物を調製した。
【0211】
【表5】

【0212】
【表6】

表5及び表6の配合量は、「部」を示す。
【0213】
実施例44〜91及び比較例13
表7〜表11に示す組み合わせで、主剤と耐汚染性付与組成物を混合し、手攪拌で攪拌することにより水性塗料組成物を調製した。
【0214】
【表7】


【0215】
【表8】


【0216】
【表9】


【0217】
【表10】


【0218】
【表11】


表7〜表11の配合量は、「部」を示す。
【0219】
評価試験
上記で得られた各水性塗料組成物を下記評価試験に供した。結果を上記表5〜11に併せて示す。
【0220】
(*1)雨筋汚染試験
図1に示すように、アルミニウム板(90×300×0.8mm)を折り曲げた。この折り曲げたアルミニウム板に、「エポマリンGX」(商品名、関西ペイント(株)製、2液型エポキシ樹脂下塗り塗料)を、エアスプレーにより塗布量が0.1kg/mとなるように塗装し、23℃・50%RHで24時間乾燥させた。
【0221】
ついで、表5〜表11に示す各水性塗料組成物(A1)〜(A72)をエアスプレーにより塗布量が0.1kg/mとなるように塗装し、23℃・50%RHで24時間乾燥させた後、再度各水性塗料組成物を中毛ローラーで塗布量が0.1kg/mとなるように塗装した。この際、各水性塗料組成物について、耐汚染性付与組成物と、主剤とを混合させてから速やかに塗装した塗装板と、混合後の塗料を23℃×50%RHで5時間放置した後に塗装した塗装板を作成した。これらを、23℃・50%RHで7日間乾燥させ試験板を作成した。
【0222】
この試験板を、垂直部が南面を向くように屋外でばくろし、6ヵ月ばくろ後の塗膜状態を、下記基準により、目視で評価した。
【0223】
○:雨筋汚染なし、×:雨筋汚染あり。
【0224】
(*2)混合24時間後の塗料状態
主剤と耐汚染性付与組成物を混合後、23℃・50%RHで24時間経過後の状態を、下記基準により、目視で評価した。
【0225】
◎:ゲル化、〇:ヨーグルト状、△:増粘あり、×:ほとんど変化なし。
【0226】
各種主材と組み合わせた塗装仕上げ板の作成
実施例92〜289及び比較例14〜31
JIS A 5430に規定されるフレキシブル板(90×300×4mm)上に「アレスゴムタイルシーラー」(商品名、関西ペイント(株)製、塩化ゴム系シーラー)をハケにより塗布量が0.1kg/mとなるように塗装し、23℃・50%RHで24時間乾燥させた後、下記表12に示す中塗り塗料を、多孔質ローラーを用いて塗布量が1.0kg/mとなるように塗装し、23℃・50%RHで24時間乾燥させた。
【0227】
【表12】

ついで、該塗膜上に上記で得られた水性塗料組成物(A1)〜(A72)を中毛ローラーにより0.1kg/mとなるように塗装し、23℃・50%RHで24時間乾燥させた後、再度水性塗料組成物(A1)〜(A72)を中毛ローラーで塗布量が0.1kg/mとなるように塗装し、23℃・50%RHで7日間乾燥させ、塗装仕上げ板を得た。
【0228】
塗膜性能試験
上記実施例92〜289及び比較例14〜31で得られた各塗装仕上げ板の仕上がり性、耐汚染性及び温冷繰り返し試験についての塗膜性能を調べた。試験方法は、次のとおりである。
【0229】
(*3)仕上がり性
塗装仕上げ板の塗膜表面の仕上り外観を、下記基準により、目視で評価した。
【0230】
〇:光沢があり、均一にムラなく仕上っている、×:上塗塗料の吸い込みムラ等で均一に仕上っていない。
【0231】
(*4)耐汚染性
各塗装仕上げ板を、東京都大田区において試験面が南面を向き水平面に対し30度の角度となるように固定し、6ヵ月間ばくろした後の汚染状態を、下記基準により、目視で評価した。また、ばくろ前後の色差ΔEを、色彩色差計「CR−310」(商品名、ミノルタ(株)製)で評価した。
【0232】
○:ΔEが5より小さい(汚れはそれほど目立たない)、
△:ΔEが5〜10(汚れがやや目立つ)、
×:ΔEが10を越える(汚れが目立つ)。
【0233】
(*5)温冷繰り返し試験
フレキシブル板の大きさを70×150×4mmとする以外は上記実施例92〜289及び比較例14〜31と同様の手順で得られた各塗装仕上げ板を、JIS A 6909−7.10の温冷繰り返し試験の条件に基づき、23±2℃の水中に18時間浸せきした後、直ちに−20±2℃の恒温器中で3時間冷却し、ついで50±3℃の別の恒温器中で3時間加温し、この24時間を1サイクルとする操作を10回繰り返した後、塗膜の状態を、下記基準により、目視で評価した。
【0234】
○:塗膜にひび割れ、はがれ及びふくれを認めない、
×:塗膜にひび割れ、はがれまたはふくれが認められる。
【0235】
塗膜性能試験の結果を、表13〜表18に示す。
【0236】
【表13】

【0237】
【表14】

【0238】
【表15】

【0239】
【表16】

【0240】
【表17】

【0241】
【表18】


【図面の簡単な説明】
【0242】
【図1】雨筋汚染試験に使用するアルミニウム板の形状の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)一般式(1)
Si(OR) (1)
(式中、Rは、同一又は異なって、炭素数1〜4個のアルキル基を示す。)で表されるオルガノシリケート化合物及び/又はその部分加水分解縮合物100質量部、
(B)分子中に反応性官能基と親水性基を有する水溶性又は水分散性化合物5〜150質量部、
(C)メルカプト錫化合物10〜40質量部、並びに
(D)メルカプトシラン化合物4〜15質量部を
含有することを特徴とする耐汚染性付与組成物(I)。
【請求項2】
(B)成分の反応性官能基が、(ブロック)イソシアネート基、エポキシ基、カルボジイミド基、アルコキシシリル基及びオキサゾリン基よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の耐汚染性付与組成物(I)。
【請求項3】
水性樹脂(a)及びポリカルボン酸塩(b)を含む主剤(II)に、
請求項1又は2に記載の耐汚染性付与組成物(I)を配合してなる塗料組成物。
【請求項4】
水性樹脂(a)が、アクリル樹脂エマルション、アクリルシリコン樹脂エマルション、フッ素樹脂エマルション及びウレタン樹脂エマルションよりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項3に記載の塗料組成物。
【請求項5】
ポリカルボン酸塩(b)が、ポリカルボン酸の水素イオンの少なくとも1部を陽イオンで置き換えた化合物であって、陽イオンが塩基性物質に由来するものである請求項3又は4に記載の塗料組成物。
【請求項6】
ポリカルボン酸塩(b)が、固形分酸価が80を超えて且つ700mgKOH/g以下であるポリカルボン酸塩(b1)又は固形分酸価が5〜80mgKOH/gの範囲内であるポリカルボン酸塩(b2)を含む請求項3ないし5のいずれか1項に記載の塗料組成物。
【請求項7】
ポリカルボン酸塩(b)が、固形分酸価が80を超えて且つ700mgKOH/g以下であるポリカルボン酸塩(b1)及び固形分酸価が5〜80mgKOH/gの範囲内であるポリカルボン酸塩(b2)を併用するものである請求項3ないし5のいずれか1項に記載の塗料組成物。
【請求項8】
ポリカルボン酸塩(b1)及びポリカルボン酸塩(b2)の使用割合が、(b1)/(b2)の質量比で、1/1000〜10/1の範囲内である請求項7に記載の塗料組成物。
【請求項9】
主剤(II)が、ポリカルボン酸塩(b)を、下記計算式(1)又は(2)で算出される酸量で1.0〜20.0の範囲内で含む請求項3ないし8のいずれか1項に記載の塗料組成物。
計算式(1) 酸量=ポリカルボン酸塩の固形分酸価(mgKOH/g)×水性樹脂(a)固形分1gに対するポリカルボン酸塩の固形分配合量(g)
計算式(2) 酸量=ポリカルボン酸塩(b1)の固形分酸価(mgKOH/g)×水性樹脂(a)固形分1gに対するポリカルボン酸塩(b1)固形分の配合量(g)+ポリカルボン酸塩(b2)の固形分酸価(mgKOH/g)×水性樹脂(a)固形分1gに対するポリカルボン酸塩(b2)固形分の配合量(g)
【請求項10】
主剤(II)が、炭化水素油系消泡剤を含む請求項3ないし9のいずれか1項に記載の塗料組成物。
【請求項11】
主剤(II)が、沸点が150℃以上の高沸点有機溶剤を主剤(II)に含まれる樹脂固形分を基準として5〜30質量%含有する請求項3ないし10のいずれか1項に記載の塗料組成物。
【請求項12】
耐汚染性付与組成物(I)が、主剤(II)の樹脂固形分100質量部を基準として組成物(I)中のオルガノシリケート化合物及び/又はその部分加水分解縮合物(A)が2〜40質量部の範囲内となるように配合されるものである請求項3ないし11のいずれか1項に記載の塗料組成物。
【請求項13】
主剤(II)と耐汚染性付与組成物(I)とを2液型とし、塗装直前に主剤(II)と耐汚染性付与組成物(I)とを混合し、撹拌して、請求項3ないし12のいずれか1項に記載の塗料組成物を調製する方法。
【請求項14】
請求項3ないし12のいずれか1項に記載の塗料組成物により形成される塗膜。
【請求項15】
被塗面に、請求項3ないし12のいずれか1項に記載の塗料組成物を塗装する塗装仕上げ方法。
【請求項16】
金属基材面又は金属基材に設けられた旧塗膜面に、下塗り塗料を塗装した後、該下塗り塗面上に請求項3ないし12のいずれか1項に記載の塗料組成物を塗装する塗装仕上げ方法。
【請求項17】
無機基材面又は無機基材に設けられた旧塗膜面に、下塗り塗料を塗装した後、該下塗り塗面上に中塗り塗料を塗装し、該中塗り塗面上に請求項3ないし12のいずれか1項に記載の塗料組成物を塗装する塗装仕上げ方法。
【請求項18】
中塗り塗料が、JIS A 6021適合外壁用塗膜防水材、JIS A 6909適合防水形複層仕上げ塗材又は微弾性下地調整塗料である請求項17に記載の塗装仕上げ方法。
【請求項19】
中塗り塗料が、形成塗膜の伸び率が300%以上であることを特徴とする請求項17に記載の塗装仕上げ方法。
【請求項20】
請求項15ないし18のいずれか1項に記載の塗装仕上げ方法により得られる塗装物品。

【図1】
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【公開番号】特開2008−13756(P2008−13756A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−148845(P2007−148845)
【出願日】平成19年6月5日(2007.6.5)
【出願人】(000001409)関西ペイント株式会社 (815)
【Fターム(参考)】