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耐湿熱性ガスバリアフィルム積層体、及び包装袋
説明

耐湿熱性ガスバリアフィルム積層体、及び包装袋

【課題】 温度が60℃で湿度が90%(RH)という様な過酷な湿熱環境下でもバリア性が劣化せずに表示デバイス内部に水が浸入しないという良好なバリア性を有すると共に、端面からの酸素及び水蒸気の浸入をも防ぐことができるガスバリア性フィルム積層体を提供することを目的とする。
【解決手段】 プラスチック材料からなる基材フィルムの一方の面に、第1の耐候性コート層、蒸着層、及び、第2の耐候性コート層を、この順に設けた第1のガスバリア性フィルム積層体と、該第1のガスバリア性フィルム積層体と同一の構成を有する第2のガスバリア性フィルム積層体とを、それぞれの第2の耐候性コート層がフッ素樹脂系接着剤を介して対向するように積層したことを特徴とする耐湿熱性ガスバリアフィルム積層体を提供することにより上記目的を達成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ペーパー、飲食品、医薬品及び電子部材等のパッケージ材料として用いられ、酸素及び水蒸気に感受性のある内容物の劣化を抑えるための耐湿熱性ガスバリア性積層体及びそれからなる包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の耐湿熱性ガスバリアフィルム積層体、及び、包装袋の用途は、封止用包装袋、特にディスプレイの有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)や電子ペーパー等の表示素子の封止用包装袋、食品、医薬品及びその他の電子部材等の包装袋等であり、ガスバリア性を必要とするあらゆる用途に用いることができる。
【0003】
近年、包装分野では、内容物の保存や包装形態の維持、品質保証等において、飲食品や医薬品、電子部材等のパッケージ材料として、またディスプレイ分野では、酸素及び水蒸気に感受性である表示素子の劣化を抑えるために、酸素及び水蒸気の透過を防ぐガスバリア性積層体からなる包装袋が用いられている。
【0004】
これらのガスバリア性積層体は、通常、その表面からの酸素及び水蒸気の浸入を防ぐことを目的として、基材フィルム層やガスバリア性付与層等が積層された構成を有し、接着剤を用いずに蒸着や共押出し成形のみにより積層したものや(特許文献1及び2)、接着剤を用いてラミネートにより積層したものがある(特許文献3)。
【0005】
また、透明性を有し、酸素、水蒸気等のガスバリア性、特に高湿度下でのガスバリア性に優れた包装材料に好適なガスバリア性積層フィルムを開発することを目的として、無機酸化物蒸着層が形成されてなるフィルム基材フィルムの蒸着層面にビニルアルコール系重合体と(メタ)アクリル酸系重合体との組成物からなる保護層が形成されたガスバリア性積層フィルムが知られている(特許文献4)。
【0006】
さらに、透明性に優れ、高いガスバリア性を有すると共にボイル殺菌後も物性の劣化がない包装材料を得ることを目的として、包装材料に有用なガスバリア性透明積層体を、透明プラスチック材料からなる基材フィルムの少なくとも片面に、アクリルポリオールとイソシアネート化合物との混合物からなる透明プライマー層及び無機酸化物からなる蒸着薄膜層が順次積層され、更にその上にシール層としてポリオレフィン系熱可塑性樹脂層が積層された層構成とすることが知られている(特許文献5)。
【0007】
電子部材の包装材料や表示素子の封止用部材として用いられる積層体には、極めて高いガスバリア性が要求され、この要求を満たすものとして、2枚又はそれ以上のガスバリア性フィルムを接着剤で接着して、そのガスバリア性を向上させた積層体がある。そして、このようなガスバリア性積層体は、その表面からの酸素や水蒸気の透過を好適に防ぐことができる。
【0008】
しかしながら、上記文献の構成では、温度60℃湿度90%(RH)の様な湿熱環境下ではバリア性が劣化し、表示デバイス内部に水が浸入し、劣化を引き起こすことがわかってきた。また、酸素及び水蒸気は、該ガスバリア性積層体の端面、すなわち側面からも浸入し、特に、フィルム同士を接着する接着剤層からも浸入し、内容物の劣化を促すことが分かった。そして従来技術においては、このような観点からの対策が一切なされていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−340956号公報
【特許文献2】特開2007−130857号公報
【特許文献3】特開2005−161691号公報
【特許文献4】特開2004−299173号公報
【特許文献5】特開平11−147276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、温度60℃湿度90%(RH)のような過酷な湿熱環境下においても、バリア性が劣化せずに表示デバイス内部に水が浸入しない、という良好なバリア性を有するのみならず、端面からの酸素及び水蒸気の浸入をも防ぐことができ、且つ、様々な包装用途及びディスプレイ分野に適用することができる、透明性を兼ね備えた耐湿熱性ガスバリアフィルム積層体、及び、包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、鋭意研究した結果、プラスチック材料からなる基材フィルムの一方の面に、第1の耐候性コート層、蒸着層、及び、第2の耐候性コート層を、この順に設けた第1のガスバリア性フィルム積層体と、該第1のガスバリア性フィルム積層体と同一の構成を有する第2のガスバリア性フィルム積層体とを、それぞれの第2の耐候性コート層がフッ素樹脂系接着剤を介して対向するように積層したことを特徴とする耐湿熱性ガスバリアフィルム積層体が上記の目的を達成することを見出した。
【0012】
そして、本発明は、以下の点を特徴とする。
1.プラスチック材料からなる基材フィルムの一方の面に、第1の耐候性コート層、蒸着層、及び、第2の耐候性コート層を、この順に設けた第1のガスバリア性フィルム積層体と、該第1のガスバリア性フィルム積層体と同一の構成を有する第2のガスバリア性フィルム積層体とを、それぞれの第2の耐候性コート層がフッ素樹脂系接着剤を介して対向するように積層したことを特徴とする耐湿熱性ガスバリアフィルム積層体。
2.前記第1の耐候性コート層、及び又は、第2の耐候性コート層が、活性水素含有樹脂、及び、シランカップリング剤を含むことを特徴とする耐湿熱性ガスバリアフィルム積層体。
3.前記活性水素含有樹脂が、アクリル樹脂であることを特徴とする耐湿熱性ガスバリアフィルム積層体。
4.前記蒸着層が、プラズマ化学気相成長法により形成された炭素含有酸化珪素層であることを特徴とする耐湿熱性ガスバリアフィルム積層体。
5.前記蒸着層が、さらに、蒸着層上に設けられたガスバリア性塗布膜を有し、該ガスバリア性塗布膜は、一般式R1nM(OR2m(ただし、式中、R1、R2は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体とを含有し、さらに、ゾルゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性組成物による膜であることを特徴とする耐湿熱性ガスバリアフィルム積層体。
6.前記耐湿熱性ガスバリアフィルム積層体の最外層となる二つの基材フィルムの一方の最外面に、熱融着層をさらに有することを特徴とする耐湿熱性ガスバリアフィルム積層体。
7.前記熱融着層がポリオレフィン系樹脂からなることを特徴とする耐湿熱性ガスバリアフィルム積層体。
8.上記の耐湿熱性ガスバリアフィルム積層体を、熱融着層が最内層となるように製袋し
て得られることを特徴とする包装袋。
9.本発明に規定する測定方法において、包装袋を形成する耐湿熱性ガスバリアフィルム積層体の端面からの水蒸気透過度が、30g/m2・day以下であることを特徴とする包装袋。
10.水分による表示モジュールの劣化を防ぐ表示モジュール封止用包装袋であることを特徴とする包装袋。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、蒸着層を2層の耐候性を有するコート層で挟み込むことにより、また、これらの2層以上をフッ素樹脂系接着剤により積層することにより、気温60℃で湿度90%の様な過酷な湿熱環境下でも長時間、バリア性が劣化せずに表示デバイス内部に水が浸入しないという良好なバリア性を有すると共に、シール表面及び端面からの酸素及び水蒸気の浸入をも防ぐことができ、且つ透明性を兼ね備えたガスバリア性フィルム積層体を得ることができる。
【0014】
以下、本発明においては、表面からの酸素及び水蒸気の浸入を防ぐ能力を表面ガスバリア性と言い、端面からの酸素及び水蒸気の浸入を防ぐ能力を端面ガスバリア性と言う。
【0015】
本発明において、活性水素含有樹脂及びシランカップリング剤を含むことを特徴とする耐候性コート層は、該層中への酸素及び水蒸気の浸透を防ぐだけでなく、該層と蒸着層との界面に酸素及び水蒸気が浸入するのを防ぐことができる。したがって、本発明の積層体からなる包装袋中に有機ELや電子ペーパーなどの表示素子を封入することにより、酸素や水蒸気への暴露によるこれら電子部材の劣化を有効に防ぐことができる。
【0016】
また、前記蒸着層上に、一般式R1nM(OR2m(ただし、式中、R1、R2は炭素数1〜8の有機基を表し、Mは金属原子を表し、nは0以上の整数を表し、mは1以上の整数を表し、n+mはMの原子価を表す。)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体とを含有し、さらに、ゾルゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性組成物からなるガスバリア性塗布膜を設けることにより、端面ガスバリア性及び表面ガスバリア性を一層向上させることができる。
【0017】
また、本発明においては、熱融着層として、ポリオレフィン系樹脂を用いる。このポリオレフィン系樹脂からなる層は、それ自体が酸素及び水蒸気に対して良好なガスバリア性を有するため、積層体の表面ガスバリア性を向上させ、さらに、端面ガスバリア性の低下を防ぐことができる。
【0018】
本発明により、本発明において規定する測定方法において、包装袋を形成する積層体の端面からの水蒸気透過度が、30g/m2・day以下という高いバリア性を有する包装袋を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の構成要素である耐候性コート層の構成について、一例を示す概略的断面図である。
【図2】本発明の構成要素である耐候性コート層の構成について、他の一例を示す概略的断面図である。
【図3】本発明にかかる耐湿熱性ガスバリアフィルム積層体の層構成について、一例を示す概略的断面図である。
【図4】本発明にかかる耐湿熱性ガスバリアフィルム積層体の層構成について、他の一例を示す概略的断面図である。
【図5】本発明にかかる耐湿熱性ガスバリアフィルム積層体の層構成について、他の一例を示す概略的断面図である。
【図6】本発明にかかる包装袋の使用形態について、一例を示す概略的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
上記の本発明について以下にさらに詳しく説明する。
<1> 本発明の包装袋を形成する耐湿熱性ガスバリアフィルム積層体の層構成
本発明にかかる包装袋を形成する積層体としては、例えば、図1、図3及び図5に示すように、基材フィルム1の一方の面に、第1の耐候性コート層2a、蒸着層3、及び、第2の耐候性コート層2bを、この順に設けた第1のガスバリア性フィルム積層体A1(A)と、第1のガスバリア性フィルム積層体と同一の構成を有する第2のガスバリア性フィルム積層体とを、それぞれの第2の耐候性コート層2b同士がフッ素樹脂系接着剤6を介して対向するように積層してなることを基本構造とするガスバリア性フィルム積層体を挙げることができる。
【0021】
また、本発明にかかる包装袋を形成する積層体の一例として、図2、図4及び図5に示すように、基材フィルム1の一方の面に、第1の耐候性コート層2a、蒸着層3、ガスバリア性塗布膜4及び、第2の耐候性コート層2bを、この順に設けた第1のガスバリア性フィルム積層体A2(A)と、第1のガスバリア性フィルム積層体と同一の構成を有する第2のガスバリア性フィルム積層体とを、それぞれの第2の耐候性コート層2b同士がフッ素樹脂系接着剤6を介して対向するように積層してなることを基本構造とするガスバリア性フィルム積層体を挙げることができる。
なお、本発明の耐候性コート層は、二層でもよいし三層以上の多層でもよく、必要に応じて適宜設定することができる。
【0022】
<2> 基材フィルム
本発明の基材フィルムとしては、化学的ないし物理的強度に優れ、耐候性コート層を形成する条件等に耐え、それら耐候性コート層の特性を損なうことなく良好に保持し得ることができるプラスチックフィルムを使用することができる。
【0023】
このようなプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、環状オレフィンコポリマーフィルム、環状オレフィンポリマーフィルム、液晶ポリマーフィルム、ポリイミドフィルム、TACフィルムその他の各種の樹脂のフィルム、ないしシートを使用することができる。
【0024】
特にディスプレイの表示素子などの封止用包装袋として使用する場合は、透明性・耐熱性の観点から、上記のプラスチック材料からなるフィルムの中でも、特にポリエチレンテレフタレートや環状オレフィンコポリマーからなるフィルムを使用することが好ましい。
【0025】
本発明の基材フィルムの層厚は、2〜400μm、より好ましくは10〜200μmである。
本発明において、基材フィルムとなるプラスチックフィルムは、例えば、上記の樹脂1種又はそれ以上を使用し、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法等の製膜化法により、又は、2種以上の樹脂を使用して多層共押し出し製膜化法により製造することができる。さらに、所望により、例えば、テンター方式、あるいは、チューブラー方式等を利用して1軸ないし2軸方向に延伸することができる。
【0026】
なお、上記の製膜化に際して種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することがで
き、その添加量としては、極く微量から数十%まで、その目的に応じて任意に添加することができる。一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料等を使用することができ、さらには、改質用樹脂等も使用することができる。
【0027】
プラスチックフィルムは、必要に応じて、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガスなどを用いて低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品などを用いて処理する酸化処理、その他の前処理を任意に施すことができる。
【0028】
また、上記表面前処理は、プラスチックフィルムと耐候性コート層との密着性を改善するための方法として実施するものであるが、上記の密着性を改善する方法として、例えば、プラスチックフィルムの表面に、あらかじめ、プライマーコート剤層、アンダーコート層、あるいは、蒸着アンカーコート剤層などを任意に形成することもできる。
【0029】
<3> 耐候性コート層
本発明のガスバリア性フィルム積層体は、プラスチック材料からなる基材フィルムの一方の面に、第1の耐候性コート層、蒸着層、及び、第2の耐候性コート層を、この順に設けた積層体であるが、さらに該耐候性コート層は、活性水素含有樹脂、及び、シランカップリング剤を含むことを特徴とする。
【0030】
本発明の耐候性コート層に用いる活性水素含有樹脂は、必要な接着性、透明性、塗工適性等を有するものであれば特に限定されず、公知の樹脂の中から、適宜選択することができる。
【0031】
本発明の活性水素含有樹脂は、基材フィルムとの密着性を高めるためのバインダー成分として機能する。本発明においては、イソシアネートと反応性を有する硬化型樹脂を使用することができる。このような樹脂としては、例えば、分子中に少なくとも2個の活性水素基、例えば水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基等を有するアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でも特に、加水分解されるエステル結合を有しないアクリル樹脂を使用することが好ましい。
【0032】
アクリル樹脂
本発明のアクリル樹脂としては、水酸基含有アクリル樹脂、カルボキシル基含有アクリル樹脂、エポキシ基含有アクリル樹脂、アミノ基含有アクリル樹脂等が好適で、これらは中性モノマーと、水酸基含有アクリルモノマー、カルボキシル基含有アクリルモノマー、エポキシ基含有アクリルモノマー、又は含窒素アクリルモノマーとから製造される。
【0033】
中性モノマーとしては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸ラウリル、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニルなどが挙げられる。水酸基含有アクリルモノマーとしては、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピルなどが挙げられる。カルボキシル基含有モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸などが挙げられる。エポキシ基含有モノマーとしては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリジンなどが挙げられる。また、含窒素モノマーとしては、アクリルアミド、N−メテロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、メタクリル酸ジメチルアミノエチルなどが挙げられる。
【0034】
本発明で用いられる活性水素含有樹脂の合成は、公知の重合法、例えば溶液重合法、分
散重合法、懸濁重合法、乳化重合法等により行うことができる。
【0035】
本発明において、活性水素含有樹脂は、任意の溶剤中に溶解された形態で、他の成分と混合してもよい。活性水素含有樹脂を溶解する溶剤としては、混合液の塗工時の流動性を保って平滑な耐プラズマ保護層を与えることができる、任意の溶剤を使用することができる。このような溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコールなどのアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチルなどのエステル系溶剤、2−ブトキシエタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコール系溶剤、トルエン、キシレン、n−ヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの炭化水素系溶剤などを好適に用いることができる。
【0036】
アクリル樹脂は、耐熱性、透明性、塗工適性に優れるというバリアフィルムとして好ましい特性を有するだけでなく、低コストである点において好ましい。
なお、本発明のアクリル樹脂市販品として、例えば、DIC製のアクリディックA801や、東京インキ製のGLIB等を用いることができる。
【0037】
シランカップリング剤
本発明のシランカップリング剤としては、既知の有機反応性基含有オルガノアルコキシシランを用いることができる。
耐候性コート層と蒸着層を通常の粘着剤層を介して貼り合わせたバリアフィルムは、高いバリア性を有するが、これらを高温高湿環境下において使用すると、経時安定性が不十分であり、また、粘着剤層の端面から浸入した水分により、ラミネート強度が顕著に低下し、層間剥離しやすくなる。特に、バリアフィルムにコート層を設けた場合は、水分子と反応する親水性基を有するために水分子を引き寄せやすくその傾向が強い。
【0038】
本発明では、高温高湿環境下におけるラミネート強度の低下を抑制し経時安定性を向上させるために、耐候性コート層にシランカップリング剤を配合した。これにより、耐候性コート層と接する層の表面に存在する基と、耐候性コート層に含まれるシランカップリング剤が有する基とが反応し、化学結合することで、接着性が向上するだけでなく、仮に、耐候性コート層の端面から水分が浸入しやすい環境であったとしても、水分子と反応する基(親水性基)は、シランカップリング剤が有する基と化学結合しているため、水分子を引き寄せ難く、ラミネート強度の低下が抑制できる。また、シランカップリング剤の使用により、耐候性コート層自体の耐久性、耐熱性が向上する。
【0039】
本発明においては、特に、エポキシ基を有するオルガノアルコキシシランが好適であり、それには例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、あるいは、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等を使用することができる。
【0040】
さらに、シランカップリング剤としては、分子内にアルコキシシリル基を少なくとも1つ以上有する有機ケイ素化合物であって、上記粘着剤との相溶性が良好であるものも適している。例えば、テトラエトキシシラン、トリメトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、アミノシラン、クロロシラン、ジクロロシラン等が挙げられ、粘着剤層と接するバリアフィルム面の性質、粘着剤の種類等を勘案、適宜選択することができる。なお、これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0041】
シランカップリング剤の配合量としては、本発明の効果が損なわれない範囲で適宜設定することができるが、耐候性コート層固形分100質量部に対して、1〜10質量部であ
ることが好ましく、3〜7質量部であることがより好ましい。上記範囲であれば、耐候性コート層に良好な接着性、密着性、耐熱性、耐久性、作業性を付与することができる。
なお、本発明のシランカップリング剤の市販品として、例えば、東レダウ製のγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、SH6040等を用いることができる。
【0042】
硬化剤
本発明の耐候性コート層に配合することができる硬化剤としてイソシアネート系の化合物を用いることができる。
【0043】
イソシアネートは、上記の活性水素含有樹脂と反応してウレタン結合を形成する化合物であって、イソシアネート硬化剤として知られる任意の化合物、例えばトリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族系ジイソシアネートモノマー、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族系ジイソシアネートモノマー、及びこれらの重合体、誘導体が用いられる。これらは、単独で又は混合物として用いることができる。
なお、本発明の硬化剤の市販品として、例えば、旭化成ケミカル社製のヘキサメチレンジイソシアネート、TPA−100等を用いることができる。
【0044】
耐候性コート層の形成方法
耐候性コート層の形成方法としては、例えば、印刷、コーティング等による方法が挙げられる。耐候性コート層の厚さは、耐候性コート層と接する面の状態、形状等を勘案し、該面に対する接着性と密着性とを損なわない範囲で、適宜選択することができる。
【0045】
耐候性コート層の層厚としては、それぞれ0.1〜6μm、より好ましくは0.3〜2μmである。耐候性を確保する上から0.1μm以上は必要であるが、さらに0.2μm以上であることが望ましい。端面からの水分透過をできる限り小さくするためには、耐候性コート層の厚さはできる限り薄い方がよく、該層厚が6μmを超えると、表示素子などの封止用部材として要求される端面ガスバリア性を維持できない可能性がある。
【0046】
<4> 蒸着層
蒸着層
本発明において好適な蒸着層は、上記の耐候性コート層との密接着性、透明性、並びに表面及び端面ガスバリア性の観点から、以下に説明する無機酸化物からなる蒸着層を適用することができる。
【0047】
無機酸化物蒸着層を形成する材料としては、透明性を有し、かつ酸素、水蒸気等のガスバリア性を有するものであればよく、例えば、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ホウ素、酸化ハフニウム、酸化バリウム等の酸化物であるが、特に、ガスバリア性、生産効率の点などから、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化窒化ケイ素、酸化炭化ケイ素のいずれかが好ましい。
【0048】
無機酸化物蒸着層の形成方法としては、真空蒸着法、反応蒸着法、イオンビームアシスト蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、熱CVD法等の真空成膜法で行なうことが挙げられる。
【0049】
また、無機酸化物蒸着層は、1回の蒸着工程により形成される単層であってもよく、又は蒸着工程を複数回繰り返すことにより形成される多層構造であってもよい。多層構造である場合には、各層は、同一の材料からなっていてもよく、又は異なる材料からなっていてもよく、また同一の形成方法により形成されても、又は異なる形成方法により形成されてもよい。例えば、基材フィルム層上に、化学気相成長法によって酸化珪素からなる蒸着
膜を形成し、次いで物理気相成長法によって酸化アルミニウムからなる蒸着膜を形成してもよい。
【0050】
無機酸化物蒸着層の層厚としては、層全体の厚さとして、5〜100nm、より好ましくは10〜50nmの範囲で適宜設定することができる。100nmを超えると、フレキシビリティ性が低下し、成膜後に折り曲げ、引っ張りなどの外力で、蒸着層に亀裂を生じる恐れがあり、透明性が低下したりし、また、材料自身の応力が大きくなり、着色したりして好ましくない。
【0051】
上記の厚さが100nmを超えると、生産性を著しく低下させ、さらに異常粒の成長から突起が形成される傾向があるので好ましくない。また一方で、無機化合物層の厚さが5nm未満では、透明性は良いが、均一な層が得られにくく、またガスバリア性の機能を十分に果たすことが難しい。
【0052】
本発明において、特に適した蒸着層を形成する、炭素含有酸化珪素層は、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止、遮断するガスバリア性能を有する薄膜であり、化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)、具体的には、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等を用いて珪素酸化物を製膜化する方法によって製造することができる。特に、低温プラズマ化学気相成長法を用いて製造することが望ましい。
【0053】
本発明においては、具体的には、有機珪素化合物の1種以上からなる製膜用モノマーガス、酸素ガス及び不活性ガスを含有する製膜用混合ガス組成物を使用し、かつ、低温プラズマ発生装置等を利用する低温プラズマ化学気相成長装置を用いて、第1の耐候性コート層が設けられた基材フィルム(以下、被覆基材フィルムという。)の表面に炭素含有酸化珪素層を形成することができる。
【0054】
上記において、低温プラズマ発生装置としては、例えば、高周波プラズマ、パルス波プラズマ、マイクロ波プラズマ等の発生装置を使用することができるが、本発明においては、高活性の安定したプラズマを得るために、高周波プラズマ方式による発生装置を使用することが望ましい。
【0055】
また、本発明において、少なくとも2室以上の製膜室を有する低温プラズマ化学気相成長装置を使用し、各室毎に使用する製膜用混合ガス組成物のガス成分混合比を変化させることにより、2層以上の炭素含有酸化珪素蒸着膜を形成してもよい。ここで、各炭素含有酸化珪素蒸着膜中に含まれる炭素原子含有量が、互いに異なるとさらに好ましい。これにより、炭素含有酸化珪素層が単層の蒸着膜からなる場合よりも、一層高いガスバリア性が得られる。
【0056】
上記のプラズマ化学気相成長法による炭素含有酸化珪素層の形成法については、例えば、本出願人による特開2010−070224号公報等に記載されているとおりであるが、気相成長法による炭素含有酸化珪素層の形成法について、その概要を示す。
【0057】
本発明において、低温プラズマ化学気相成長装置は、被覆基材フィルム供給室、第1の製膜室、第2の製膜室、第3の製膜室、及び炭素含有酸化珪素層を積層したガスバリア性フィルムを巻き取る巻取り室から構成される。
【0058】
本発明においては、まず、被覆基材フィルムの供給室内に配置された巻き出しロールから、該被覆基材フィルムを第1の製膜室に繰り出し、更に、該被覆基材フィルムを、補助ロールを介して所定の速度で冷却・電極ドラム周面上に搬送する。
【0059】
次に、原料揮発供給装置、および、ガス供給装置等から有機珪素化合物の1種以上からなる製膜用モノマーガス、酸素ガス、不活性ガス等を供給し、それらからなる製膜用混合ガス組成物を調整しながら、原料供給ノズルを通して第1の製膜室内に上記の製膜用混合ガス組成物を導入し、そして、上記の冷却・電極ドラム周面上に搬送された被覆基材フィルムの上に、グロー放電プラズマによってプラズマを発生させ、これを照射して、珪素酸化物等からなる第1層の炭素含有酸化珪素層を製膜化する。
【0060】
さらに場合によっては、上記の第1の製膜室で第1層の炭素含有酸化珪素層を製膜化したポリアミド系樹脂フィルムを、第2の製膜室、及びさらに第3の製膜室に繰り出し、上記と同様に、珪素酸化物等からなる第2層、第3層の炭素含有酸化珪素層を製膜化することができる。
【0061】
次いで、本発明においては、上記で第1層、第2層、及び第3層の炭素含有酸化珪素層を重層した被覆基材フィルムを、補助ロールを介して、巻取り室に繰り出し、次いで、巻取りロールに巻き取って、第1層、第2層、及び第3層の炭素含有酸化珪素層が重層したガスバリア性フィルムを製造することができる。
【0062】
なお、本発明においては、各第1、第2、第3の製膜室に配設されている各冷却・電極ドラムは、各製膜室の外に配置されている電源から所定の電力が印加されており、また、各冷却・電極ドラムの近傍には、マグネットを配置してプラズマの発生が促進される。
【0063】
なお、上記のプラズマ化学気相成長装置には、真空ポンプ等が設けられ、各製膜室等は真空に保持されるように調製し得ることは勿論である。
【0064】
上記の例示は、その一例を例示するものであり、これによって本発明は限定されるものではないことは言うまでもないことである。
【0065】
例えば、上記の例においては、第1層、第2層、および、第3層の炭素含有酸化珪素層を重層したガスバリア性フィルムを製造しているが、炭素含有酸化珪素層は、所望のガスバリア性に応じて製膜室の数を任意に調製し、1層、2層又は4層以上等のように任意に製膜化し得るものであり、本発明は、上記の第1層、第2層、および、第3層の炭素含有酸化珪素層が重層したガスバリア性フィルムを製造する例だけに限定されるものではない。
【0066】
上記において、各製膜室は、真空ポンプ等により減圧し、真空度1×10〜1×10-6Pa、好ましくは、真空度1×10-1〜1×10-5Paに調製することが望ましい。
【0067】
一方、各冷却・電極ドラムには、電源から所定の電圧が印加されているため、各製膜室内の原料供給ノズルの開口部と冷却・電極ドラムとの近傍でグロー放電プラズマが生成され、このグロー放電プラズマは、製膜用混合ガス組成物中の1つ以上のガス成分から導出されるものであり、この状態において、被覆基材フィルムを一定速度で搬送させ、グロー放電プラブマによって、冷却・電極ドラム周面上の被覆基材フィルムの上に、珪素酸化物等からなる炭素含有酸化珪素層を製膜化することができる。
【0068】
なお、このときの各製膜室内の真空度は、1×101〜1×10-2Pa、好ましくは、真空度1×101〜1×100Paに調製することが望ましく、また、被覆基材フィルムの搬送速度は、10〜300m/分、好ましくは、50〜150m/分に調製することが望ましい。
【0069】
また、原料揮発供給装置においては、原料である有機珪素化合物の1種以上からなる製膜用モノマーガスを揮発させ、ガス供給装置から供給される酸素ガス、不活性ガス等と混合させ、それらからなる製膜用混合ガス組成物を調整しながら、その製膜用混合ガス組成物を原料供給ノズルを介して各製膜室内に導入される。
【0070】
この場合、製膜用混合ガス組成物の各ガス成分のガス混合比は、製膜用モノマーガスの含有量は1〜40%、酸素ガスの含有量は0〜70%、不活性ガスの含有量は1〜60%の範囲として調製することが好ましい。
【0071】
而して、本発明においては、各製膜室に、導入される製膜用混合ガス組成物の各ガス成分のガス混合比を変えて調製した製膜用混合ガス組成物を使用し、各製膜室毎に製膜化して、珪素酸化物等からなる炭素含有酸化珪素層を重層して、本発明に係るガスバリア性フィルムを製造するものである。
【0072】
本発明において、上記の製膜用混合ガス組成物の各ガス成分の混合比は、用いる原料化合物の種類、チャンバー内に残留する酸素ガス及び水、プラズマのエネルギー等種々の条件に応じて変化し、当業者が適宜決定することができる。
【0073】
上記低温プラズマ化学気相成長装置において、珪素酸化物等からなる炭素含有酸化珪素層の製膜化は、各製膜室において、被覆基材フィルムの上に設けたプラズマエッチング層の上に、プラズマ化した原料ガスを酸素ガスで酸化しながらSiOX の形で薄膜状に製膜化されるので、緻密で、隙間の少ない、延展性、屈曲性、可撓性等に富む薄膜となるものであり、従って、酸化珪素等からなる炭素含有酸化珪素層のガスバリア性は、従来の真空蒸着法等によって形成される珪素酸化物等からなる酸化珪素層と比較してはるかに高いものとなり、十分なガスバリア性を得ることができる。
【0074】
また、本発明においては、SiOX プラズマにより、被覆基材フィルムの表面が清浄化され、その表面に、極性基やフリーラジカル等が発生するので、製膜化される珪素酸化物等からなる炭素含有酸化珪素蒸着層と被覆基材フィルムとの密接着性が高くなるという利点を有するものである。
【0075】
さらに、少なくとも2室以上の製膜室からなるプラズマ化学気相成長装置を使用して炭素含有酸化珪素層を連続的に2層以上を積層させる場合、それぞれの層が高いガスバリア性を有するように製膜化することができることから、単層のそれよりも更に高いガスバリア性を得ることができ、更に、大気に開放せず連続的に製膜化することによりクラックの発生原因となる異物、塵埃等が製膜層間に混入することを防止することができ、かつ、そのガスバリア性の低下も認められず、更にまた、各炭素含有酸化珪素層は、珪素酸化物を主体とし、炭素、水素、珪素、および、酸素の中の1種類または2種類以上の元素からなる化合物を少なくとも1種類含有し、かつ、各炭素含有酸化珪素層毎に上記の化合物の含有量が異なる不連続層であることから、酸素ガス、水蒸気等の透過を完全に阻止することができるという種々の利点を有する。
【0076】
本発明において、ガスバリア性層を構成する各製膜室において製膜化される炭素含有酸化珪素層の総膜厚としては、膜厚60Å〜4000Å位であることが望ましく、特に100〜1000Å位が望ましい。1000Å、更には、4000Åより厚くなると、その膜にクラック等が発生し易くなるので好ましくなく、また、100Å、更には、60Å未満であると、ガスバリア性の効果を奏することが困難になることから好ましくない。
【0077】
次に、本発明において、製膜用モノマーガスを構成する有機珪素化合物としては、例えば、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、ビ
ニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等を使用することができる。
【0078】
本発明において、上記のような有機珪素化合物の中でも、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、または、ヘキサメチルジシロキサンは、その取り扱い性や形成された連続膜の特性等から、特に好ましい原料である。
また、本発明において、不活性ガスとしては、例えば、アルゴンガス、ヘリウムガス等を使用することができる。
【0079】
ガスバリア性塗布膜
本発明においては、上記蒸着層上にガスバリア性塗布膜を設けてもよい。
上記蒸着層上にガスバリア性塗布膜を設けることによって、一層優れた表面ガスバリア性が得られるだけでなく、上記耐候性コート層との密接着性が高まり、さらに高い端面ガスバリア性が得られる。
【0080】
本発明において、ガスバリア性塗布膜とは、アルコキシドと水溶性高分子とをゾルゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性組成物を塗布し乾燥させた膜である。
【0081】
該ガスバリア性組成物において用いるアルコキシドとしては、一般式R1nM(OR2m(ただし、式中、R1、R2は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドを挙げることができる。
【0082】
また、水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール系樹脂若しくはエチレン・ビニルアルコール共重合体のいずれか又はその両方を好ましく用いることができる。
【0083】
本発明において、一般式R1nM(OR2mで表されるアルコキシドとしては、金属原子Mとして、ケイ素、ジルコニウム、チタン、アルミニウムその他を使用することができる。また、本発明において、単独又は二種以上の異なる金属原子のアルコキシドを同一溶液中に混合して使うことができる。
【0084】
また、上記の一般式R1nM(OR2mで表されるアルコキシドにおいて、R1で表される有機基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基その他のアルキル基を挙げることができる。
【0085】
また、上記の一般式R1nM(OR2mで表されるアルコキシドにおいて、R2で表される有機基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基その他を挙げることができる。
【0086】
尚、本発明において、同一分子中において、これらのアルキル基は同一であっても、異なってもよい。
【0087】
本発明において、上記の一般式R1nM(OR2mで表されるアルコキシドとしては、例えば、MがSiであるアルコキシシランを使用することができ、アルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン Si(OCH34、テトラエトキシシラン Si(OC254、テトラプロポキシシラン Si(OC374、テトラブトキシシラン Si(
OC494等が挙げられる。
【0088】
また、本発明において、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体の含有量は、上記のアルコキシドの合計量100質量部に対して5〜500質量部の範囲であることが好ましい。上記において、500質量部を越えると、形成されるガスバリア性塗布膜の脆性が大きくなり、その耐侯性等も低下することから好ましくない。
【0089】
本発明において、ポリビニルアルコール系樹脂として、一般にポリ酢酸ビニルを鹸化して得られるものを使用することができる。ポリビニルアルコール系樹脂の具体例としては、株式会社クラレ製PVA110(ケン化度=98〜99%、重合度=1100)、PVA117(ケン化度=98〜99%、重合度=1700)、PVA124(ケン化度=98〜99%、重合度=2400)、PVA135H(ケン化度=99.7%以上、重合度=3500)、同社製のRSポリマーであるRS−110(ケン化度=99%、重合度=1,000)、同社製のクラレポバールLM−20SO(ケン化度=40%、重合度=2,000)、日本合成化学工業株式会社製のゴーセノールNM−14(ケン化度=99%、重合度=1,400)及びゴーセノールNH−18(ケン化度=98〜99%、重合度=1700)等を使用することができる。
【0090】
また、本発明において、エチレン・ビニルアルコール共重合体としては、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体のケン化物、すなわち、エチレン−酢酸ビニルランダム共重合体をケン化して得られるものを使用することができる。このようなケン化物には、酢酸基が数十モル%残存する部分ケン化物から、酢酸基が数モル%しか残存していないか又は酢酸基が全く残存していない完全ケン化物までが包含される。特に限定されるものではないが、ガスバリア性の観点から、ケン化度が80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上であるものを使用することが望ましい。また、上記のエチレン・ビニルアルコール共重合体中のエチレンに由来する繰り返し単位の含量(以下「エチレン含量」ともいう)は、通常、0〜50モル%、好ましくは20〜45モル%であるものを使用することが好ましい。上記のエチレン・ビニルアルコール共重合体の具体例としては、株式会社クラレ製、エバールEP−F101(エチレン含量;32モル%)、日本合成化学工業株式会社製、ソアノールD2908(エチレン含量;29モル%)等を使用することができる。
【0091】
本発明において、本発明に係るガスバリア性塗布膜を形成するガスバリア性組成物を調製するには、シランカップリング剤等も添加することができる。好適に用いられるシランカップリング剤としては、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有シランカップリング剤、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどのエポキシ基含有シランカップリング剤、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプト基含有シランカップリング剤、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランなどのイソシアネート基含有シランカップリング剤等が挙げられる。
【0092】
本発明において用いられるガスバリア性組成物は、アルコキシドと水溶性高分子とを、酸、水及び有機溶剤の存在下で、ゾルゲル法によって加水分解及び、重縮合することによ
り調製することができる。
【0093】
ガスバリア性塗布膜は、ガスバリア性組成物を上記無機酸化物蒸着層の上に塗布し、20℃〜200℃、好ましくは140℃以上、且つ基材フィルム層を構成するプラスチックフィルムの融点以下の温度で10秒〜10分間加熱処理することにより形成することができる。
【0094】
また、上記のガスバリア性組成物の調製において用いられる酸としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸等の鉱酸、並びに酢酸、酒石酸等の有機酸その他を使用することができる。さらに、有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-プロピルアルコール等を用いることができる。
【0095】
さらに、上記のガスバリア性組成物に関して、ポリビニルアルコール系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体は、上記のアルコキシドやシランカップリング剤等を含む塗工液中で溶解した状態にあることが好ましく、そのため上記の有機溶媒の種類が適宜選択される。本発明において、溶剤中に可溶化されたエチレン・ビニルアルコール共重合体は、例えば、ソアノール(日本合成化学社製)として市販されているものを使用することができる。
【0096】
上記のガスバリア性組成物を、無機酸化物蒸着層の上に塗布し、加熱して溶媒及び重縮合反応により生成したアルコールを除去すると、重縮合反応が完結し、透明なガスバリア性塗布膜が形成される。
【0097】
さらに、加水分解によって生じた水酸基や、シランカップリング剤由来のシラノール基が無機酸化物蒸着層の表面の水酸基と結合する為、該無機酸化物蒸着層とガスバリア性塗布膜との密接着性等が良好なものとなる。
【0098】
上述のように形成されることにより、本発明のガスバリア性塗布膜は、結晶性を有する直鎖状ポリマーを含み、非晶質部分の中に多数の微小の結晶が埋包された構造を取る。このような結晶構造は、結晶性有機ポリマー(例えば、塩化ビニリデンやポリビニルアルコール)と同様であり、さらに極性基(OH基)が部分的に分子内に存在し、分子の凝集エネルギーが高いため、良好な表面ガスバリア性を示す。
【0099】
本発明においては、無機酸化物蒸着層とガスバリア性塗布膜とが、例えば、加水分解・共縮合による化学結合、水素結合、或いは、配位結合等を形成し、これら2層間の密着性が向上し、相乗効果により、より良好な表面ガスバリア性の効果を発揮し得るものである。
【0100】
本発明において、上記のガスバリア性組成物を塗布する方法としては、例えば、グラビアロールコーター等のロールコート、スプレーコート、ディッピング、刷毛、バーコート、アプリケータ等の塗布手段により、1回或いは複数回の塗布で、乾燥膜厚が0.01〜30μm、好ましくは0.1〜10μmのガスバリア性塗布膜を形成することができる。
また、本発明において、より高い表面ガスバリア性を得るために、ガスバリア性塗布膜を設けた後で、さらに無機酸化物蒸着層とガスバリア性塗布膜とを、この順序で、交互に1回又はそれ以上繰り返し積層し、好ましくはガスバリア性塗布膜が最外層となるように形成して、透明ガスバリア性フィルムとしてもよい。
【0101】
<5> フッ素系樹脂接着剤
本発明のフッ素樹脂系接着剤樹脂層を構成するフッ素系樹脂接着剤は、架橋性基を有するフッ素含有共重合体と、該架橋性基と反応する硬化剤とにより形成される。該接着性樹
脂層は、2つのガスバリア性フィルム積層体を優れた接着力で接着し、高い耐湿熱性を発揮すると共に、端面から積層体内部への酸素及び水蒸気の透過を防止する役割を果たす。
【0102】
フッ素含有共重合体
本発明において用いるフッ素含有共重合体は、汎用の有機溶剤に可溶な重合体であって、フルオロオレフィン単量体(A)と、そのフルオロオレフィン単量体と共重合可能な架橋性基含有単量体(B)とを単量体成分とするものである。
【0103】
フルオロオレフィン単量体(A)としては、たとえば、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンなどを挙げることができる。高い接着強度が得られることから、好ましくは、式1:CF2=CFX〔式中、Xはフッ素原子、塩素原子、水素原子ないしトリフルオロメチル基である〕で表されるトリフルオロエチレンであり、さらに好ましくは式中のXが塩素原子であるクロロトリフルオロエチレンである。
【0104】
フルオロオレフィン単量体と共重合可能な架橋性基含有単量体(B)としては、架橋性基として水酸基、エポキシ基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基又は加水分解性シリル基を有する単量体が挙げられる。
具体的には、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル等の水酸基含有単量体、グリシジルビニルエーテルやグリジジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有単量体、アクリル酸やメタアクリル酸等のカルボキシル基含有単量体、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等のアミド基含有単量体、アミノアルキルビニルエーテルやアミノアルキルアリルエーテル等のアミノ基含有単量体、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の加水分解性シリル基含有単量体を挙げることができるが、グラビアコート法により加工がし易く、かつ適度な硬化速度が得られるため、水酸基含有単量体、特に式2:CH2=CHR1〔式中、R1は−OR2ないし−CH2OR2(但し、R2は水酸基を有するアルキル基)である〕で表される水酸基含有単量体を用いることが特に好ましい。
【0105】
本発明に用いるフッ素含有共重合体は、フルオロオレフィン単量体及び架橋性基含有単量体に加え、さらに必要に応じて、塗工性や塗膜特性(硬度や可撓性等)を向上させるため、上記2種の単量体と共重合可能な単量体を共重合して含有することができる。このような単量体としては、式3:CH2=CR(CH3)〔式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基である〕で表されるβ−メチル置換α−オレフィン単量体(C)、式4:CHR3=CHOR3(CH3)〔式中、R3は炭素数1〜8のアルキル基である〕で表されるビニルエーテル単量体(D)、式5:CH2=CHR3〔式中、R3は−OR4ないし−CH2OR4(但し、R4はカルボキシル基を有するアルキル基)である〕で表されるビニルエーテル単量体(E)、及び、架橋性官能基を有さず、かつ、前記式1〜5の単量体と共重合し得る他の単量体(F)が挙げられる。
【0106】
本発明において、(A)から(F)の単量体をすべて含む共重合体は、塗工性が安定化されるために特に好ましい。
【0107】
本発明に用いるフッ素含有共重合体は、フルオロオレフィン単量体(A)と、そのフルオロオレフィン単量体と共重合可能な架橋性基含有単量体(B)を必須成分として含み、必要に応じて(C)、(D)、(E)及び(F)の単量体から選択された少なくとも1種の単量体を加えて乳化重合、溶液重合、懸濁重合などの周知の方法で共重合することによ
り得ることができる。
【0108】
本発明のフッ素含有共重合体の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算での値として、1000〜500000、好ましくは3000〜100000のものである。数平均分子量が1000より小さいと、水蒸気及び酸素に対するバリア性が低下し得る。また500000より大きいと、塗工性に劣る場合がある。
【0109】
本発明のフッ素含有共重合体中のフルオロオレフィン単量体(A)と、そのフルオロオレフィン単量体と共重合可能な架橋性基含有単量体(B)との組成比は、モル換算で、(A):(B)が1:1〜10:1であることが好ましく、特に好ましくは、2:1〜5:1である。単量体(A)の比率が低すぎると水蒸気及び酸素に対するバリア性が低下し得、また高すぎると塗工性に劣る場合があるため、好ましくない。
【0110】
単量体(C)、(D)、(E)及び(F)の合計量は特に限定されず、本発明の効果が損なわれない範囲であればよいが、例えば、単量体全体の合計量に対して、5〜30モル%であると好ましく、10〜25モル%であるとさらに好ましい。単量体(C)、(D)、(E)及び(F)の間の組成比は、用途に応じて適宜に設定することができる。
本発明において用いられるフッ素含有共重合体には、必要に応じて、当業者に既知の配合剤を添加してもよい。
【0111】
硬化剤
本発明のフッ素樹脂系接着剤に用いる硬化剤には、上述の架橋性基と反応して架橋結合を形成する化合物を用いることができる。水酸基含有単量体に対する硬化剤としては、イソシアネート基又はカルボキシル基を有する化合物であり、好適な硬化反応速度が得られるため、イソシアネート基を有する有機ポリイソシアネート化合物が好ましい。有機ポリイソシアネート化合物には、たとえば、2,4ートリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、n−ペンタン−1,4−ジイソシアネート、及びこれらの三量体、これらのアダクト体やビューレット体、あるいは、これらの重合体で2個以上のイソシアネート基を有するもの、さらに、ブロック化されたイソシアネート類などを挙げることができる。
【0112】
好ましくは、イソホロンジイソシアネート又はヘキサメチレンジイソシアネートの三量体である。フッ素含有共重合体との相溶性が良く、適度な硬化速度を有し、高いラミネート強度を有するからである。また、エポキシ基含有単量体に対する硬化剤には、水酸基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基又はイソシアネート基を有する化合物を用いることができる。また、カルボキシル基含有単量体に対する硬化剤には、水酸基、アミノ基、イソシアネート基又はエポキシ基を有する化合物を用いることができる。
【0113】
また、アミド基含有単量体に対する硬化剤には、エポキシ基を有する化合物を用いることができる。また、アミノ基含有単量体に対する硬化剤には、カルボキシル基、エポキシ基又はイソシアネート基を有する化合物を用いることができる。また、加水分解性シリル基含有単量体に対する硬化剤には、アミノ基又はイソシアネート基を有する化合物を用いることができる。
【0114】
なお、上記の水酸基を有する化合物には、例えば、1,4−ビス−2’−ヒドロキシエトキシベンゼン、ビスヒドロキシエチルテレフタレート等を挙げることができる。
また、上記のカルボキシル基を有する化合物には、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、
アゼライン酸等の脂肪族二塩基酸や無水フタル酸等の酸無水物を挙げることができる。また、上記のエポキシ基を有する化合物には、テレフタル酸ジグリシジルエステル、パラオキシ安息香酸ジグリシジルエステル等を挙げることができる。
【0115】
シランカップリング剤
本発明において、フッ素樹脂系接着剤樹脂層は、フッ素系樹脂に加えてさらに、接着強度を高め、酸素及び水蒸気に対するバリア性を高めるために、シランカップリング剤を含有してもよい。
シランカップリング剤としては、既知の有機反応性基含有オルガノアルコキシシランを用いることができる。
【0116】
本発明においては、特に、エポキシ基を有するオルガノアルコキシシランが好適であり、それには、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、あるいは、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等を使用することができる。これらのシランカップリング剤は、1種ないし2種以上を混合して用いてもよい。
【0117】
シランカップリング剤の配合量としては、本発明の効果が損なわれない範囲で適宜に設定することができるが、例えば、フッ素系樹脂に対して、0.05〜10質量%であると好ましく、0.1〜5質量%であるとさらに好ましい。0.05質量%未満であると、十分な効果が得られず、また10質量%より多いと、反応速度が遅くなるため好ましくない場合がある。
【0118】
フッ素樹脂系接着剤樹脂層の調製方法
本発明に用いるフッ素樹脂系接着剤樹脂層の調製方法を、水酸基を含有するフッ素含有共重合体を例として説明する。水酸基を含有するフッ素含有共重合体および硬化剤を、たとえば、酢酸エステル類、ケトン類、エーテル類、芳香族炭化水素等の1ないし2種以上を混合した溶媒に溶解する。ここで、硬化剤は、フッ素含有共重合体中の架橋性基、例えば水酸基(−OH基)1当量に対して、硬化剤中の該架橋性基と反応する基、例えばイソシアネート基又はカルボキシル基が0.1〜5.0当量、好ましくは0.5〜1.5当量となる量で添加される。
【0119】
このフッ素含有共重合体及び硬化剤を溶解した溶液を、ロールコート法、グラビアコート法、バーコート法等の周知の塗布方法を用いて、耐湿熱性ガスバリアフィルム積層体上に塗布・乾燥することにより接着性樹脂層を形成する。
【0120】
フッ素樹脂系接着剤樹脂層の層厚としては、それぞれ2〜6μm、より好ましくは3〜5μmである。ラミネート強度を確保する上から2μm以上は必要であるが、端面からの水分透過をできる限り小さくするためには、フッ素樹脂系接着剤樹脂層の厚さはできる限り薄い方がよく、該層厚が6μmを超えると、表示素子などの封止用部材として要求される端面ガスバリア性を維持できない可能性がある。
【0121】
<6> 熱融着層
本発明の積層体を構成する熱融着層は、オレフィン系熱融着樹脂組成物(オレフィン系ホットメルト樹脂組成物)からなる層であってもよいし、あるいは、熱融着性のフィルム(シーラントフィルム)からなる層であってもよい。
【0122】
オレフィン系熱融着樹脂組成物(オレフィン系ホットメルト樹脂組成物)
本発明において、ホットメルト樹脂組成物とは、ベースポリマー及び粘着付与剤を含み、熱溶融性と粘着性とを備えた樹脂組成物を意味し、ベースポリマーがオレフィン系樹脂
であるものを、特にオレフィン系ホットメルト樹脂組成物と呼ぶ。
【0123】
ホットメルト樹脂組成物からなる熱融着層は、透明ガスバリア性フィルム上に直接積層することができる。これによって、層厚を薄く設定できるため、端面からのガス透過度を低く抑えることができる。
【0124】
ベースポリマーとは、ホットメルト樹脂組成物にバルク物性を付与することで、凝集力を付与するものであり、強靭で引張り強度や圧縮応力に対して強い性質を有するものである。ベースポリマーとしてオレフィン系樹脂を含有するオレフィン系ホットメルト樹脂組成物は、端面からの酸素及び水蒸気の浸入の抑制性に優れたものとなるため好ましい。
【0125】
本発明のオレフィン系樹脂としては、α-オレフィン共重合体が好ましく使用される。α-オレフィン共重合体は、α-オレフィン類の2種以上のモノマーからなる共重合体であり、必要に応じてこれにその他の共重合可能なモノマー類を含む共重合体であることができる。共重合比、粘度、分子内の分岐、分子量分布等の特性は当業者が任意に設定することができる。α-オレフィンにはエチレン、プロピレン、ペンテン-1、4-メチルペンテン-1、ブテン-1、ヘキセン-1、オクテン-1、デセン-1、ドデセン-1が含まれる。これらのうち、密度が高く水蒸気の浸入の抑制性に優れる為、プロピレン、エチレン、ペンテン-1、4-メチルペンテン-1、デセン-1、ヘキセン-1が好ましい。特に好ましくはプロピレン、エチレン、ブテン-1からなる共重合体、特にエチレンと他のα-オレフィンとの共重合体、すなわちエチレン/α-オレフィン共重合体が好ましい。
【0126】
本発明で好適に使用される市販のα-オレフィン共重合体としては、「ビューロン」(三井石油化学工業社製)、「ナックフレックス」(日本ユニカー社製)、「シェルポリブチレン」(シェル化学)、「タフマー」(三井石油化学工業社製)、「エクセレンVL」(住友化学社製)等が挙げられる。これらのα-オレフィン共重合体は2種以上を混合して使用してもよい。
【0127】
粘着付与剤は、ホットメルト樹脂組成物の粘着性を調整するために用いられる。本発明で使用する粘着付与剤としては、脂肪族炭化水素、環状脂肪族炭化水素、水添石油樹脂等の飽和石油樹脂が好ましい。具体的には、例えば、ペンテン類、イソプレン、ピペリン、1,3−ペンタジエンなどを含むC5留分を共重合して得られる樹脂、インデン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどのC9〜C10留分を共重合して得られる樹脂、ジシクロペンタジエンなどの環状モノマーを重合させた樹脂などが挙げられる。本発明で好適に使用される市販の粘着付与剤としては、例えば「FTR−600」(三井石油化学工業社製)、「アルコン」(荒川化学工業社製)、「クイントン」(日本ゼオン社性)、「エスコレッツ」(トーネックス社製)等が使用できる。
【0128】
本発明のオレフィン系ホットメルト樹脂組成物においては、ベースポリマー:粘着付与剤の比は、70:30〜95:5、好ましくは75:25〜90:10である。ベースポリマーの割合が少ないと、取り扱い性及び接着強度が低くなる。一方、ベースポリマーの割合が多いと、やはり接着強度が低下する。
【0129】
オレフィン系ホットメルト樹脂組成物の調製方法および塗付方法としては、特に限定されず、従来公知の方法を採用することができる。具体的な調製方法としては、加熱、攪拌、混練機能などを備えた装置を使用して、通常行われる操作によって、各成分を混練することにより行うことができる。そして、得られたホットメルト樹脂組成物を被着層に塗付する方法及び装置は、例えば、スプレー塗布、ノズル塗布、浸漬塗布、ロール塗布、グラビア塗布、圧延塗布、刷毛塗り等の従来公知の塗布方法及び塗布装置を使用することができる。そのような塗布方法及び塗布装置は、本発明に係るオレフィン系ホットメルト樹脂
組成物の粘度や粘性を考慮して適宜選択することができる。また、オレフィン系ホットメルト樹脂組成物からなるフィルムを熱プレスにより接着させて熱融着層としてもよい。
【0130】
本発明において、オレフィン系熱融着樹脂組成物(オレフィン系ホットメルト樹脂組成物)は、第2の耐候性コート層上に設けるが、その際には、適宜の接着性樹脂層を介して積層することとする。
熱融着層を形成する上記ホットメルト樹脂組成物の層厚としては、20〜50μmであることが好ましい。50μmより厚いと、熱融着層の端面から浸透する酸素及び水蒸気量が多くなる。また20μmより薄いと、ヒートシール強度が低くなり、リークの原因となる。
【0131】
熱融着性のフィルム(シーラントフィルム)
本発明の熱融着性のフィルム(シーラントフィルム)は、常温では非粘着性であるが、熱により溶融させてから、同じく熱により溶融させた熱融着層と重ね合わせ、圧着し、冷却することによって、互いに接着する。ここで、常温とは、JIS Z 8703に基づき、5℃から35℃の範囲にある温度状態をいう。非粘着性とは、JIS Z 0237に準じて測定した180度ひきはがし法の試験で測定不能なものをいう。
【0132】
本発明の包装袋を形成する積層体を構成する熱融着性のフィルム(シーラントフィルム)は、ポリオレフィン系樹脂からなるものが望ましい。
【0133】
ポリオレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、エチレン−ブテン共重合体等のポリエチレン系樹脂、ホモポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体等のポリプロピレン系樹脂等が、単体で又は2種又はそれ以上の混合物として、場合によっては任意の添加剤を含有する樹脂組成物として使用される。なお、ポリオレフィン系樹脂が任意の添加剤を含有して樹脂組成物として使用される場合、該組成物は、粘着付与剤、例えば脂肪族炭化水素、環状脂肪族炭化水素、水添石油樹脂等の飽和石油樹脂は含まない。
【0134】
ポリオレフィン系樹脂からなるフィルムは、ポリオレフィン系樹脂からなる単層のフィルムであっても、ポリオレフィン系樹脂からなる層を最外層として有する共押出しフィルムであってもよい。優れた端面ガスバリア性を維持するためには、ポリオレフィン系樹脂からなる単層のフィルム、又は全ての層がポリオレフィン系樹脂からなる層である共押出しフィルムであることが好ましい。
【0135】
本発明において、熱融着性のフィルム(シーラントフィルム)は、第2の耐候性コート層上に積層する。なお、ポリオレフィン系樹脂からなるフィルムが共押出しフィルムである場合は、ポリオレフィン系樹脂からなる層が、最外層となるように積層する。
【0136】
ポリオレフィン系樹脂は防水性を示すため、ポリオレフィン系樹脂からなる熱融着層を貼り合わせることにより、積層体の表面ガスバリア性を向上させ、さらに、端面ガスバリア性の低下を防ぐことができる。
【0137】
熱融着層を形成する上記熱融着性のフィルム(シーラントフィルム)の膜厚としては、15〜50μmであることが好ましい。50μmより厚いと、熱融着層の端面から浸透する酸素及び水蒸気量が多くなる。また15μmより薄いと、ヒートシール強度が低くなり、リークの原因となる。
【0138】
<7>貼り合わせ
本発明においては、プラスチック材料からなる基材フィルムの一方の面に、第1の耐候性コート層、蒸着層、及び、第2の耐候性コート層を、この順に設けた第1のガスバリア性フィルム積層体と、該第1のガスバリア性フィルム積層体と同一の構成を有する第2のガスバリア性フィルム積層体とを、それぞれの第2の耐候性コート層がフッ素樹脂系接着剤を介して対向するように積層し、さらに、ガスバリアフィルム積層体の基材フィルム面上に熱融着層を積層して本発明の包装袋を形成する積層体が得られる。
【0139】
本発明の耐候性コート層は、蒸着層又はガスバリア性塗布膜と強固に接着し、経時的に安定な上に、貼り合わせた境界面への酸素及び水蒸気の浸入を防ぐため、端面ガスバリア性を一層高める。
また本発明の一態様として、第1の耐候性コート層の、第2の耐候性コート層と対向する面と反対の面上に、1又はそれ以上の更なる層を積層してもよい。
【0140】
表示素子の封止用包装袋として好適に使用するために、該包装袋は、優れた表面ガスバリア性及び端面ガスバリア性の両方を示す必要がある。特に端面ガスバリア性については、下記に記載される方法に基づく端面からの水蒸気透過度の測定値として、包装袋を形成する積層体の端面からの水蒸気透過度が30g/m2・day以下、より好ましくは15g/m2・day以下、さらに好ましくは10g/m2・day以下という低い値を示すことが要求されるが、本発明によれば、この要求を達成することができる。
【0141】
なお、本発明において、表面からの水蒸気透過度は、ASTM F1249−90に準じて、温度60℃湿度90%(RH)の環境下で、MOCON社製AQUATRANを使用して測定した値である。
【0142】
また、本発明において透明とは、用途に応じて必要な透明性を有していればよく、無色または有色で透明なものも含まれるが、特にディスプレイの表示素子などの封止用包装袋として使用する場合は、高い透明性が要求され、例えば、可視光域380nm〜780nmにおける平均光透過率が80%以上である場合を言う。なお、光透過率の測定は、紫外可視分光光度計(例えば、(株)島津製作所製 UV−3100PC)を用い、室温、大気中で測定した値を用いる。
【0143】
後処理
本発明のガスバリア性フィルム積層体、あるいは耐湿熱性ガスバリアフィルム積層体は、貼り合わせ(積層)後の後処理として、電子線を照射して未硬化物等を処理し、バリア性をさらに向上することができる。
【0144】
ここで、電子線の加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度で未硬化樹脂層を硬化させることが好ましい。なお、電子線の照射においては、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、基材フィルムとして電子線により劣化する基材フィルムを使用する場合には、電子線の透過深さと樹脂層の厚みが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定することにより、基材フィルムへの余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による基材フィルムの劣化を最小限にとどめることができる。
また、照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜50kGy(1〜5Mrad)の範囲で選定される。
【0145】
さらに、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
<8>包装袋の製造及び使用
本発明の包装袋は、上述の積層体を二つ折にするか、又は積層体2枚を用意し、その熱融着層(シーラントフィルム)の面を対向させて重ね合わせ、さらにその周辺端部を、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型等のヒートシール形態によりヒートシールして、種々の形態の包装袋として製造することができる。
【0146】
上記において、ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。
【0147】
本発明の包装袋は、種々のパッケージ材料として使用することができるが、特に、ディスプレイの表示素子などの封止用包装袋として好適に使用することができる。
【0148】
本発明の包装袋中に表示素子を封入して、封入表示デバイスを製造する場合、封入される表示素子としては、有機EL表示素子、電気泳動表示素子、液晶表示素子、発光ダイオード表示素子等が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、本発明の包装袋中に封入される表示素子としては、例えば、特表2004−526210等に記載されたものが適用できる。
【0149】
本発明の包装袋中に表示素子を封入して得られる封入表示デバイスの1つの態様として、表示素子は、1対の基板と、該1対の基板の間に配置された1対の電極と、該1対の電極の間に配置された発光体とを有する表示素子であり、これを、積層体からなる本発明の包装袋で封入する。
【0150】
本発明のバリアフィルム積層体は、高い水蒸気バリア性を有するバリアフィルムを貼り合わせ、さらに、高温高湿環境下での長時間の使用に耐え得る性能を付与したものである。したがって、本発明のバリアフィルム積層体によれば、優れた水蒸気遮断性を有し、内容物の水蒸気による劣化、変質を防止することができるので、飲食品、医薬品、電子部材、化学品、日用品等の種々の物品の包装材料として好適に使用することができる。また、水分の影響を受けやすい電子ペーパーの電気泳動式インクの保護材としても好適に使用することができる。
【0151】
さらに、本発明のバリアフィルム積層体は、太陽電池用バックシートや、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等のディスプレイ用基板に適用することができる。ディスプレイ素子は、水蒸気に触れると性能が劣化し、発光しない等の支障が生じ得る。本発明のバリアフィルム積層体によれば、例えば、ディスプレイの2枚のガラス基板の代わりに、又はガラス基板の外側に適用することで、ディスプレイ素子を水蒸気から保護することができる。
次に本発明について、実施例を挙げて具体的に説明する。
【実施例】
【0152】
[実施例1]
(1)基材フィルムとして、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、そのコロナ処理面に、グラビアコート法にて下記条件の耐候性コート層となる溶液を塗工し、100℃で30秒乾燥した。
ライン速度:100m
アクリル樹脂:DIC製アクリディック A801 70質量部
シランカップリング剤:東レダウ製
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランSH6040 5質量部
硬化剤:旭化成ケミカルズ製
ヘキサメチレンジイソシアネート TPA−100 25質量部
(2)上記フィルムのコート面に、低温プラズマ化学気相成長装置にて、厚さ10nmの炭素含有酸化珪素蒸着層を積層した。
(蒸着条件)
蒸着用混合ガス反応ガス組成物の混合比
へキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム
=1:10:10(単位:slm)
真空度:6Pa
冷却・電極ドラム供給電力 :2Kw
ライン速度:100m/min
【0153】
(3)上記フィルムの蒸着面に(1)と同様の溶液を塗工して第2の耐候性コート層を形成し、第1のガスバリア積層体を得た。
(4)上記(3)により製造した第1のガスバリア積層体をドライラミ機に装着し、コート面にグラビアコート法により下記溶液を塗工し、80℃で30秒乾燥して4μの接着性樹脂層を形成した。
フルオロオレフィン−水酸基含有ビニルエーテル共重合体
ダイキン工業製GK550 100質量部
ヘキサメチレンジイソシアネート3量体
住化バイエルウレタン製 N3200 20質量部
(5)上記(4)で製造した第1のバリア積層体の接着性樹脂層と、上記(3)までの工程と同様にして製造した第2のバリア積層体の第2の耐候性コート層のコ―ト面とを対向させてドライラミネートし、80℃で72時間硬化した。
(6)次いで(5)で得られた積層体の一方の表面に、230℃で溶融させたオレフィン系ホットメルト樹脂(東亜合成製、アロンメルトHMP)を押し出し形成して、厚さ20μの熱融着層を形成し、本発明の積層体を製造した。
(7)次いで、上記(6)で得られた積層体の熱融着層同士を向かい合わせて、ヒートシール(温度120℃、時間1秒、圧力0.1MPa、シール幅3mm)し、3方シール袋として本発明にかかる包装袋を製造した。
【0154】
[実施例2]
蒸着をPVD法アルミナ蒸着にする以外は実施例1に同じ。すなわち、アルミニウムを蒸着源に用いて、酸素ガスを供給しながら、エレクトロンビーム(EB)加熱方式による真空蒸着法により、下記の蒸着条件により、膜厚10nmの酸化アルミニウムからなる蒸着層を形成した。
(蒸着条件)
蒸着チャンバー内の真空度:2×10-4mbar
巻き取りチャンバー内の真空度:2×10-2mbar
電子ビーム電力:25kw
フィルムの搬送速度:600m/min
【0155】
[実施例3]
アクリルコート液を下記の溶液にする以外は実施例1に同じ。
アクリル樹脂:東京インキ製GLIB 70質量部
シランカップリング剤:東レダウ製
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランSH6040 5質量部
硬化剤:旭化成ケミカルズ製
ヘキサメチレンジイソシアネート TPA−100 25質量部
【0156】
[比較例1]
基材フィルムと蒸着の間にアクリル層が無い以外は実施例1に同じ。
すなわち、基材フィルム/蒸着層/耐候性コート層とした。
【0157】
[比較例2]
基材フィルムと蒸着の間にアクリル層が無い以外は実施例2に同じ。
すなわち、基材フィルム/蒸着層/耐候性コート層とした。
【0158】
[ガスバリア性の評価]
(1)ポリイミドフィルム上にアルミ電極を施したフレキシブルプリント基板(厚さ100μm)と、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にITO透明電極を施し、マイクロカプセルを均一に塗布した電子インクシート(厚さ100μm)とを用意した。フレキシブルプリント基板のアルミ電極を施した面と、電子インクシートのマイクロカプセルを塗布した面とが対向するように重ね合わせ、電気泳動表示素子を製造した。この表示素子は、アルミ電極に印加される電圧に応じて、マイクロカプセル内の黒色顔料片(マイナスに帯電)と白色顔料片(プラスに帯電)とが移動し、白黒の画像を形成できるように構成されている。
(2)上記表示素子を、実施例1〜4及び比較例1〜2の積層体の、熱融着層の面同士が向かい合うように配置した間に挿入し、熱プレス(110℃、5秒、0.1MPa)によって四方を封止し、評価用封入表示デバイスを作成した。
(3)評価用封入表示デバイスを駆動機器に接続し、温度60℃湿度90%(RH)の環境下において、白色表示時の輝度及び黒色表示時の輝度を株式会社トプコンテクノハウス製色彩輝度計BM−5ASを用いて測定し、コントラスト比(=白色表示時の輝度/黒色表示時の輝度)を算出した。
【0159】
積層体の表面及び端面から、酸素及び水蒸気が内部に浸入すると、マイクロカプセル内の白色顔料と黒色顔料の移動が妨げられ、コントラスト比が低下する。
結果を表1に示す。
【0160】
【表1】

【0161】
[面方向、及び端面からの水蒸気透過度の測定方法]
(1)積層体2枚を、その熱融着層の面同士が対向するように重ね合わせ、3方をヒートシールし、塩化カルシウム10gを入れてから残り1辺をヒートシールして、内寸100mm×100mm、シール幅3mmの評価用袋を製造する。
(2)上記で製造した評価用袋を、温度60℃湿度90%(RH)の環境下で静置し、200時間後の塩化カルシウムの質量増加を測定する。
(3)一方で、ASTM F1249−90に準じて、温度60℃湿度90%(RH)の環境下で、MOCON社製AQUATRANを使用して200時間測定し、以下のとおり
、24時間あたり、積層体0.01m2あたりの表面方向の水蒸気透過量を測定する。
(4)上記(2)の測定値(評価用袋の水蒸気透過量)から、上記(3)の測定値(0.01m2あたりの表面方向の水蒸気透過量)の2倍値を引き、得られた値を評価用袋の端面の面積で割り、これによって得られた値を、その積層体の端面からの水蒸気透過度とする。
端面からの水蒸気透過度={(評価用袋の水蒸気透過量)−2×(0.01m2あたりの表面方向の水蒸気透過量)}/(評価用袋の端面の面積)
【0162】
[面方向、及び端面ガスバリア性の評価]
上記の方法に基づいて、実施例1〜4及び比較例1〜2で製造した各積層体について、端面からの水蒸気透過度を測定した。
結果を表2に示す。
【0163】
【表2】

【0164】
[評価結果]
実施例1〜3の積層体を用いた評価用封入表示デバイスは、200時間後もコントラスト比30以上であり、劣化はほとんど観察されなかった。これに対し、比較例1〜2の積層体を用いた評価用封入表示デバイスでは、200時間後にはコントラスト比が大幅に低下した。
また、実施例1〜3及の表面方向の水蒸気透過量は、比較例1〜2と比較して小さい値を示した。
【0165】
実施例1〜3、比較例1〜2の全ての積層体において、フッ素系樹脂からなる接着性樹脂層が、端面からの水蒸気の透過を防ぐため、端面からの水蒸気透過度は極めて低い値に抑えることができた。
【符号の説明】
【0166】
1. 基材フィルム
2a. 第1の耐候性コート層
2b. 第2の耐候性コート層
3. 蒸着層
4. ガスバリア性塗布膜
5. 熱融着層
6. フッ素樹脂系接着剤
7a.7b. 基板
8a.8b. 電極
9. 発光体
10a.10b.積層体
A. A1またはA2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック材料からなる基材フィルムの一方の面に、第1の耐候性コート層、蒸着層、及び、第2の耐候性コート層を、この順に設けた第1のガスバリア性フィルム積層体と、該第1のガスバリア性フィルム積層体と同一の構成を有する第2のガスバリア性フィルム積層体とを、それぞれの第2の耐候性コート層がフッ素樹脂系接着剤を介して対向するように積層したことを特徴とする耐湿熱性ガスバリアフィルム積層体。
【請求項2】
前記第1の耐候性コート層、及び又は、第2の耐候性コート層が、活性水素含有樹脂、及び、シランカップリング剤を含むことを特徴とする、請求項1記載の耐湿熱性ガスバリアフィルム積層体。
【請求項3】
前記活性水素含有樹脂が、アクリル樹脂であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の耐湿熱性ガスバリアフィルム積層体。
【請求項4】
前記蒸着層が、プラズマ化学気相成長法により形成された炭素含有酸化珪素層であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の耐湿熱性ガスバリアフィルム積層体。
【請求項5】
前記耐湿熱性ガスバリアフィルム積層体の最外層となる二つの基材フィルムの一方の最外面に、熱融着層をさらに有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の耐湿熱性ガスバリアフィルム積層体。
【請求項6】
前記熱融着層がポリオレフィン系樹脂からなることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の耐湿熱性ガスバリアフィルム積層体。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の耐湿熱性ガスバリアフィルム積層体を、熱融着層が最内層となるように製袋して得られることを特徴とする包装袋。
【請求項8】
本発明に規定する測定方法において、包装袋を形成する耐湿熱性ガスバリアフィルム積層体の端面からの水蒸気透過度が、30g/m2・day以下であることを特徴とする、請求項7に記載の包装袋。
【請求項9】
水分による表示モジュールの劣化を防ぐ表示モジュール封止用包装袋であることを特徴とする、請求項7又は8に記載の包装袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−76293(P2012−76293A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−221735(P2010−221735)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】