説明

耐食性導電被覆材及びその製造方法

【課題】銅等の基体に導電性高分子層が被覆された耐食性導電被覆材において、酸性物質や酸化性物質に晒されても、電気伝導特性を損なうことなく、基体の溶解や絶縁被膜生成を抑制でき、長期的な使用に耐える導電性高分子被覆材料及びその製造方法を提供すること。また、銅基体との密着性に優れ、均一な導電性高分子層を被覆することができる被覆方法を提供すること。
【解決手段】銅表面にカルボン酸銅粒子、カルボン酸がドープされた導電性高分子及びスルホン酸がドープされた導電性高分子を同時に析出させて、耐食性の高い被膜層中に高導電性粒子が均一に分散されることによって形成された導電性高分子層を有することを特徴とする耐食性導電被覆材料。該導電性高分子を形成する際に、アニオン種が異なる複数のドーパントを用い、該ドーパントの濃度比を所定とし電解重合を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気抵抗が非常に低い銅又はその合金に防食層かつ導電層として機能する導電性高分子層が形成された耐食性導電被覆材料及びその製造方法に関するものであり、特に酸性雰囲気下やハロゲン化物溶液など金属が腐食し易い環境で、長期に渡って優れた防食性及び導電性を発揮する耐食性導電被覆材及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
銅は他の金属に比べ電気抵抗が非常に低いために、配線材料又は集電材料として幅広く用いられている。しかし、腐食し易いために、一般的には腐食環境下では、例えば、ポリビニール被覆された電線コードなどの防食加工した上で使用されている。現在、銅など金属基体の主な防食方法としては、有機材料または無機材料により表面を被覆する方法、金属が腐食し易い環境下においてベンゾトリアゾールなどの腐食抑制剤を浴液中に添加する方法、電気化学的に腐食電流を抑える電気防食法などが挙げられる。
【0003】
ところで、配線材料や集電材料等の用途の場合、防食性だけではなく電気伝導性をも求められる。具体例を挙げれば、金属薄板やフレキシブルプリント基板の連続めっき装置で用いられる給電用ロール、小型電源として期待されている固体高分子形燃料電池のセパレータなどである。それらの用途に適した従来の材料はめっきなどによる貴金属被覆材料あるいは導電性塗料を塗膜された材料が挙げられる。
【0004】
しかし、貴金属材料は非常に高価のため、厚めっきは困難である。コストを下げるために、薄めっきを行った場合、ピンホール等のめっき欠陥によって、局部電池が形成され腐食が進行するなどの問題があり、信頼性にも劣っている。また、貴金属めっき浴は有害なシアン化合物などが含まれており、環境負荷が高いことも問題となっている。さらに、金属セパレータ等のような凹凸が多く複雑な形状の基体には、均一に導電性塗料を塗布することが困難である。
【0005】
これらの問題に対して、様々な方法が提案されている。特許文献1では、金属基体上に、上側の層をより卑なNi層となるように、電極電位が異なるNiめっき層を2層設け、さらにAuめっきを最上層に形成することによって、ピンホールに起因する孔食を防止し、金属基体の寿命を向上させる方法が開示されている。また、特許文献2では、導電性塗料を電着塗装により均一に形成する技術が開示されている。
【0006】
特許文献1は、下地金属に2つのNi層と金めっき層とを有するものであり、金めっき層のピンホールと卑な電極電位であるNiめっき層によって局部電池が形成されるために、卑なNiめっき層は溶解するが、この自己犠牲によって貴なNiめっき層と金属基体を保護する機構を利用したものである。該電極電位の低いNiめっき層は腐食が進行し続けるため、最終的には該Niめっき層の消失に伴い、その効果も消え耐久性に問題がある。また、特許文献2は、導電性粉末を塗膜形成用必須成分として含有する電着塗料組成物を用いたものであり、導電性粉末として炭化タングステン粉末などが用いられており、これらの粉末は非常に高価であるという問題がある。また、電着塗料組成物は絶縁性樹脂成分が多く含有されるために、高い電気伝導性を達成することが困難である。
【0007】
これらの問題を克服するために、防食性と導電性を兼ね備え、低コストで均一な被覆膜が形成できる方法として、金属基体に電解重合によって導電性高分子を被覆する方法がある。特許文献3によれば、金属基体表面を特定の方法にて処理後、導電性高分子の原料であるモノマーおよびカルボン酸アニオンを含有する電解液中で電解重合することによって、密着性に優れ、均一な第一導電性高分子層を形成し、さらに該第一層上にドーパント化合物を特定の化合物とし緻密な第二導電性高分子層を形成させることで、金属基体上に密着性、防食性、導電性に優れた耐食性導電被覆材料を提供する方法が開示されている。
【0008】
しかし、特許文献3の方法では、金属基体表面を前記特定の方法による処理する第一工程、第一導電性高分子層を形成する第二工程及び第二導電性高分子層を形成する第三工程の計三工程が必要であり、生産性に劣る問題点があった。さらに、特許文献2に比べて電気伝導性は高いものの、第一工程で形成する酸化被膜、第二工程で形成される伝導度に劣るカルボン酸アニオンがドープされた導電性高分子層は抵抗成分として働くため、貴金属めっき法に比べるとまだ導電性が低いという課題がある。
【0009】
さらに、銅またはその合金基体上に導電性高分子を電解重合により成膜する場合、銅の溶解反応電位は電解重合電位に比べて非常に卑であるため、一般的な電解重合液を用い、銅基体を陽極にして電解重合成膜を行う従来の方法では、銅基体の溶解反応が優先的に起こるために、該導電性高分子膜の形成は困難であり、銅又はその合金上に密着性、導電性および耐食性に優れた導電性高分子層を形成する方法に関しては改良の余地が残されていた。
【0010】
【特許文献1】特開2001−234361号公報
【特許文献2】特開2004−031166号公報
【特許文献3】特開2007−250466号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、安価な銅に導電性高分子層が被覆された導電性高分子被覆材において、酸性雰囲気やハロゲン化物溶液など銅が腐食し易い環境で使用しても、銅がもつ良好な電気伝導特性を損なうことなく、溶解や絶縁被膜生成を抑制でき、長期的な使用に耐える導電性高分子被覆材料及びその製造方法を提供することである。また、そのような防食性、導電性に優れる被覆材料を得る際に好適に用いることができ、銅基体との密着性に優れ、均一な導電性高分子を被覆することができる被覆方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、銅又はその合金からなる基体に導電性高分子を被覆する方法について鋭意研究を進めた結果、電解重合法により導電性高分子を形成する際、電解重合液中に複数のドーパントを含有させ、該ドーパント濃度比を適切に選択することによって、特別な基体処理をすることなく、電解重合法を用いて緻密で密着性の高い導電性高分子膜を極めて簡便に形成できることを見出した。また、そのような方法によって得られる導電性高分子被覆材は、銅基体が持つ良好な電気伝導特性を損なわず導電性に優れ、長期的な防食性を持つことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち本発明は以下(1)〜(9)に示したものである。
【0014】
(1):銅またはその合金からなる基体を導電性高分子層にて被覆した耐食性導電被覆材料において、
導電性高分子層のドーパントが少なくともカルボン酸アニオンと、スルホン酸アニオンと、を有していることを特徴とする耐食性導電被覆材料。
【0015】
(2):スルホン酸アニオンが、アニオン分子量240以上の有機スルホン酸アニオンであることを特徴とする前記(1)に記載の耐食性導電被覆材料。
【0016】
(3):スルホン酸アニオンが、ベンゼン縮合環及び/又は2つ以上の芳香環を有するスルホン酸アニオンであることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の耐食性導電被覆材料。
【0017】
(4):スルホン酸アニオンが、電気化学的に可逆である酸化還元活性を示すスルホン酸アニオンであることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の耐食性導電被覆材料。
【0018】
(5):スルホン酸アニオンが、キノン構造と1つ以上の芳香環を含むスルホン酸アニオンであることを特徴とする前記(4)に記載の耐食性導電被覆材料。
【0019】
(6):用途が電気化学的装置の配線材料又は集電材料であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の耐食性導電被覆材料。
【0020】
(7):前記電気化学的装置が固体高分子型燃料電池であることを特徴とする前記(6)に記載の耐食性導電被覆材料。
【0021】
(8):導電性高分子モノマーとカルボン酸アニオンとスルホン酸アニオンとを含有し、カルボン酸アニオンがスルホン酸アニオンに対して0.15mol%〜0.75mol%の濃度比に調製された電解液を用い、電解重合することによって導電性高分子層を銅又はその合金からなる基体上に形成することを特徴とする耐食性導電被覆材料の製造方法。
【0022】
(9):銅又はその合金からなる基体を陽極とし、導電性高分子モノマーとカルボン酸アニオンとスルホン酸アニオンとを含有する電解液中で電解重合することによって該基体上に導電性高分子層を形成し、該基体を被覆する被覆方法。
【発明の効果】
【0023】
導電性高分子モノマーと、カルボン酸アニオン及びスルホン酸アニオンを含有しており、カルボン酸アニオン濃度が前記特定の割合に調整された電解液中で電解重合することによって、銅基体に対してより高い密着性を発現でき、かつ緻密な導電性高分子層を簡便に成膜することが可能となる。さらに、スルホン酸アニオンを前記特定の化合物とすることで、より緻密な導電性高分子層が形成でき、該導電性高分子は高導電性であり、腐食性液体中などの環境下においても基体を保護するバリアー膜として有効に働く。また、該スルホン酸アニオンとして電気化学的に可逆である酸化還元活性を示す化合物を用いることで、被覆材の電極電位を環境下に合わせて制御することができ、金属防食効果が飛躍的に向上する。また、高価な貴金属を使用することなく、導電性と防食性を兼ね備えた被覆材を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の導電性高分子被覆材について説明する。基体としては、銅又はその合金の他、亜鉛、錫、アルミニウムおよびこれらの合金が挙げられるが、生産性や電気伝導度の観点から銅およびその合金を用いるのが好ましい。銅などの金属基体は安価で導電性に非常に優れるが、銅基体上に導電性高分子を電解重合により成膜する場合、銅の溶解反応電位は電解重合電位に比べて非常に卑である。そのため、一般的な電解重合液を用い、銅基体を陽極にして電解重合成膜を行う従来の方法では、銅基体の溶解反応が優先的に起こるために、該導電性高分子膜の形成は困難である。そのため、銅基体上でも導電性高分子が析出する環境を作り出す必要がある。
【0025】
銅基体上でも導電性高分子が析出する環境として、電気導電性を保ちながら耐食性が銅基体よりも増す表面処理法を用いても良い。該方法として酸化被膜処理が挙げられ、耐食性が特に求められる場合には有効であるが、導電性を重視する場合には、この処理を施さなくても良い。導電性を有する該酸化被膜の形成法としては従来周知の方法が利用でき、例えば、熱処理法、酸化性ガス暴露法、アルカリ液処理法、スパッタ法などがあるが、装置が簡便で、酸化銅膜厚制御し易い熱処理法が好適である。
【0026】
次に、電解重合により耐食性に優れ緻密な導電性高分子層を形成する方法について、図面に基づいて説明をする。まず、支持電解質としてカルボン酸アニオンおよびスルホン酸アニオンを含む化合物及び導電性高分子モノマーを溶媒に溶解して電解重合液を調整し、銅基体を電極(陽極)とし、陰極にはカーボンやステンレスなどの金属を用いて電解重合を行うが、この電解重合初期段階において、銅基体上には3つの反応が起こることとなる。
【0027】
一般的に、電解重合法により導電性高分子膜を形成する場合、支持電解質として塩酸、硫酸、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート(TBABF)などを用いるが、銅表面上では、導電性高分子析出電位よりも銅の溶解反応電位が低いために、銅溶解反応が優先的に生じる。そのため、これまでは銅基体上に直接的に導電性高分子膜を形成することは困難であった。しかしながら、本発明では、この反応を積極的に利用することで、密着性の高い導電性高分子膜を形成することを特徴とする。
【0028】
図1は、本発明により、銅基体上に導電性高分子が析出する機構を示す模式図である。図1における第一段階で示したように、第一の反応として、陽極の銅表面では、導電性高分子の成膜のために加えた支持電解質から放出されるスルホン酸アニオンによってエッチング反応が進行する。このエッチング反応により、銅表面は粗面化され、導電性高分子層のアンカーとなる表面が形成されることとなる。
【0029】
第二の反応は、電解重合液中に存在するカルボン酸アニオンが、銅と反応することで、防食性が高く電気伝導性を有するカルボン酸銅を基体表面に析出させる。該反応は第一段階の銅エッチング反応とほぼ同時に進行するため、図1における第二段階で示したように、銅基体表面ではカルボン酸銅が点在する状態で析出する。
【0030】
一般的に、カルボン酸アニオンがドープされた導電性高分子の析出電位は、塩皮物質であるカルボン酸銅析出電位よりも低いため、図1における第三段階で示した第三の反応として、電解重合液中に存在するカルボン酸アニオンがドーピングされた導電性高分子が、カルボン酸銅上に析出を始めることになる。すなわち、銅基体表面上に点在するカルボン酸銅上を覆う形で、カルボン酸アニオンがドーピングされた導電性高分子が析出し始める。
【0031】
第三段階を経て、または第三段階と同時に、図1における第四段階で示した第四の反応である、耐食性と導電性が高いスルホン酸アニオンがドーピングされた導電性高分子の析出が可能となる。すなわち、カルボン酸アニオンがドープされた導電性高分子上に、またはその近傍に、さらに析出電位が低いスルホン酸アニオンがドーピングされた導電性高分子の析出が始まる。実際には、上述した反応が瞬間的に起り、カルボン酸銅、カルボン酸アニオンがドープされた導電性高分子、スルホン酸アニオンがドープされた導電性高分子が混在された状態で析出が起こる。結果、銅表面上では、導電性に劣るカルボン酸銅およびカルボン酸がドーピングされた導電性高分子中に、導電性が高いスルホン酸アニオンがドーピングされた導電性高分子が分散した混合層が形成され、該導電性高分子を介することで、導電性に劣るカルボン酸銅およびカルボン酸がドーピングされた導電性高分子層中に導電経路が形成される。この結果、銅基体とスルホン酸アニオンがドーピングされた導電性高分子との良好な導電性が保持できるようになる。
【0032】
金属が腐食される環境下として、塩酸水溶液や硫酸水溶液などの酸性雰囲気だけではなく、次亜塩素酸ナトリウム水溶液下のように酸化性雰囲気などもある。そのような環境下では、カルボン酸基を有するドーパントでは、該ドーパントのカルボキシル基が酸化されることでアニオンとして機能しなくなるため、導電性高分子の電気伝導性が損なわれる恐れが生じる。そのため、酸化性がある腐食環境下では、防食性および耐酸化性が非常に高く、さらに緻密な導電性高分子層が形成できるように、スルホン酸アニオンが多くドーピングされるように電解重合液中の組成を特に注意する必要性がある。ところで、本発明で用いるスルホン酸アニオン化合物中のスルホン酸基の数は一価若しくは多価のものを用いることができ、特に限定されない。
【0033】
銅基体表面に形成する導電性高分子のモノマーとしては、ピロール、チオフェン、アルキルチオフェン、アルキレンジオキシチオフェン、アニリン、フェニレン、アセチレン、フラン、フェニレンビニレン、アセン、アズレンおよびこれらの誘導体、またはこれらを2つ以上組み合わせたコポリマーなどがあげられるが、特に、防食性および電気伝導度に優れるピロール、アルキルチオフェン、アルキレンジオキシチオフェン、アニリンおよびそれらの誘導体を用いるのが好ましい。
【0034】
高い電気伝導性と腐食環境下から基体を保護するバリアー効果を大きく得るには、ポリピロール誘導体およびアニリン誘導体では電解重合法または溶液法が好適であり、ポリアルキルチオフェン誘導体およびポリアルキレンジオキシチオフェンでは電解重合法または化学重合法が好適である。特に、電解重合法により形成される導電性高分子膜は、ドーピング率が高いために電気伝導度が高く、他の形成法に比べて配向性が高く緻密な導電性高分子膜を容易に得ることができるので、導電性高分子膜を形成する方法として最も好適である。
【0035】
ドーパントとして用いるカルボン酸アニオンは、電解重合液中に存在するスルホン酸アニオンに対して、0.15mol%〜0.75mol%とすることが好ましい。なぜなら、0.15mol%未満では、カルボン酸銅の析出が困難となってエッチング反応が主となるために、導電性高分子の析出が困難となり、0.75mol%超では、析出する導電性高分子中にドーピングされるアニオンとしてカルボン酸アニオンが主となり、耐酸化性に劣る恐れがあるためである。
【0036】
上記の比率について、導電性を重視する場合には、電解重合液中に存在するスルホン酸アニオンに対して、カルボン酸アニオンを0.15mol%〜0.5mol%とすることがより好ましく、防食性を重視する場合には、電解重合液中に存在するスルホン酸アニオンに対して、カルボン酸アニオンを0.4mol%〜0.75mol%とすることがより好ましく、使用する環境や目的に応じて適宜電解重合液中のスルホン酸アニオンとカルボン酸アニオンの比率を変更すれば良い。
【0037】
カルボン酸アニオンとしては、アミノインダンカルボン酸、アミノテトラリンカルボン酸、テトラヒドロイソキノリンカルボン酸、テトラヒドロ−β−カルボリンカルボン酸、アウリントリカルボン酸、アクリジンカルボン酸、アセチルピペリジンカルボン酸、アセチレンジカルボン酸、アセトンジカルボン酸、アゼチジネンジカルボン酸、アダマンタンカルボン酸、アミノインダンジカルボン酸、アミノカルボニルシクロプロパンカルボン酸、アミノシクロプロパンカルボン酸、アミノシクロヘキサンカルボン酸、アミノシクロペンタンカルボン酸、アミノジヒドロフェナレンカルボン酸、アミノジメチルピリジンカルボン酸、アミノテトラリンカルボン酸、アミノトリアゾールカルボン酸、アミノビシクロヘプタンカルボン酸、アミノピラジンカルボン酸、アミノピラゾールカルボン酸、アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸、アントラセンカルボン酸、アントラキノンカルボン酸、イソキノリンカルボン酸、イミダゾールジカルボン酸、インドールカルボン酸、インドリンカルボン酸、ウラシルカルボン酸、エチルチアゾリジンカルボン酸、エチルビフェニルカルボン酸、オキソテトラヒドロフランカルボン酸、オキソピペリジンカルボン酸、オキソベンゾピランカルボン酸、カルボンキノキサリンカルボン酸、キノリンカルボン酸、クロロインドールカルボン酸、クロロエチルフルオロオキソヒドロキノリンカルボン酸、クロロエチレンジオキシビシクロヘプタンカルボン酸、クロロオキソ‐ビシクロヘプタンカルボン酸、クロロシクロプロピルフルオロオキソヒドロキノリンカルボン酸、クロロチオフェンカルボン酸、クロロフェニルシクロブタンカルボン酸、クロロフェニルシクロプロパンカルボン酸、クロロフェニルシクロヘキサンカルボン酸、クロロフェニルシクロペンタンカルボン酸、クロロフルオロシクロプロピルジヒドロオキソキノリンカルボン酸、クロロフルオロフェニルシクロヘキサンカルボン酸、クロロフルオロフェニルシクロヘキサンカルボン酸、クロロフルオロフェニルシクロペンタンカルボン酸、クロロフルオロフェニルシクロペンタンカルボン酸、クロロベンゾイルシクロヘキサンカルボン酸、クロロメチルピリジンカルボン酸、クロロメチルフランカルボン酸エチル、サリチル酸、シアノシクロプロパンカルボン酸、シクロブタンカルボン酸、シクロブタンジカルボン酸、シクロプロパンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキセンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、ジクロロフェニルシクロプロパンカルボン酸、ジクロロフルオロピリジンカルボン酸、ジヒドロキシアントラキノンカルボン酸、ジヒドロキシピリミジンカルボン酸、ジヒドロジメチルオキソピランカルボン酸、ジフルオロジヒドロメチルオキソピリドベンゾオキサジンカルボン酸、ヒドロキシベンゼンカルボン酸、ヒドロキシナフトエ酸、ジメチルアミノアゾベンゼンカルボン酸、ジメチルジフェニルジカルボン酸、チアゾリジンカルボン酸、チオフェンカルボニルシクロヘキサンカルボン酸、チオフェンカルボニルシクロヘキサンカルボン酸、チオフェンカルボン酸、テトラヒドロアクリジンカルボン酸、テトラヒドロイソキノリンカルボン酸、テトラヒドロオキソフランカルボン酸、テトラヒドロフランテトラカルボン酸、テトラメチルイミダゾリンオキシルカルボン酸、テトラメチルピペリジンオキシルアミノカルボン酸、テトラメチルピロリンオキシルカルボン酸、デカンジカルボン酸、トシルピロールカルボン酸、トリヒドロキシシクロヘキセンカルボン酸、トリメチルチアゾリンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、ナフトキノンカルボン酸、ニトロインドールカルボン酸、ベンゼンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ペリレンテトラカルボン酸、ノルアダマンタンカルボン酸、ルボルネンジカルボン酸、ヒドロキシインドールカルボン酸、ヒドロキシキノキノキサリンカルボン酸、ヒドロキシキノリンカルボン酸、ヒドロキシシクロプロパンカルボン酸、ヒドロキシテトラヒドロイソキノリンカルボン酸、ヒドロキシトリフルオロメチルキノリンカルボン酸、ヒドロキシ(2−ヒドロキシ−4−スルホ−1−ナフチルアゾ)ナフタレンカルボン酸、ヒドロキシビフェニルカルボン酸ヒドロキシピリジンカルボン酸、ヒドロキシピロリジンカルボン酸、ヒドロキシメチルキノリンカルボン酸、ヒドロキシメチルピリジンカルボン酸、ビシクロオクトエンテトラカルボン酸、ビフェニルカルボン酸、ビベンジルカルボン酸、ピペラジンカルボン酸、ピペリジンカルボン酸、ピラジンカルボン酸、ピラジンジカルボン酸、ピラゾールジカルボン酸、ピリジンカルボン酸、ピリジンジカルボン酸、ピロリジンカルボン酸、ピロリジンカルボン酸、ピロリドンカルボン酸、フェニルシクロプロパンカルボン酸、フェニルシクロヘキサンカルボン酸、フェニルシクロペンタンカルボン酸、フェニルチアゾリジンカルボン酸、フェニルピロリジンカルボン酸、フェロセンジカルボン酸、フランカルボン酸、フルオレノンカルボン酸、フルオロインドールカルボン酸、(フルオロフェニル)シクロヘキサンカルボン酸、(フルオロフェニル)シクロペンタンカルボン酸、(フルオロベンゾイル)シクロヘキサンカルボン酸、ブチルシクロヘキサンカルボン酸、(tert−ブチルジメチルシリル)アゼチジンオンカルボン酸、ブチルピリジンカルボン酸、(tert−ブトキシカルボニルアミノ)シクロヘキサンカルボン酸、(tert−ブトキシカルボニルアミノ)シクロペンタンカルボン酸、(tert−ブトキシカルボニルアミノ)テトラヒドロナフタレン−2−カルボン酸、ブロモエチレンジオキシビシクロヘプタンカルボン酸、(ブロモベンゾイル)シクロヘキサンカルボン酸、プロピルシクロヘキサンカルボン酸、プロピルビフェニルカルボン酸、(ベンジルオキシカルボニルアミノ)シクロヘキサンカルボン酸、(ベンジルオキシカルボニルアミノ)ビシクロヘプトエンカルボン酸、(ベンジルオキシカルボニル)テトラヒドロイソキノリンカルボン酸、ベンゼンテトラカルボン酸、ベンゼントリカルボン酸、ベンゾイルシクロヘキサンカルボン酸、ベンゾイルビシクロヘプタンカルボン酸、ベンゾイルフェニルシクロヘキサンカルボン酸、チオフェンカルボン酸、ベンゾテルロフェンカルボン酸、ベンゾフェノンカルボン酸、ベンゾフランカルボン酸、ペンチルシクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジヒドロジチインジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、ビシクロオクトエンジカルボン酸、ピリジンジカルボン酸、フェニルシクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサクロロノルボルネンジカルボン酸、ベンゼントリカルボン酸、メチルノルボルネンジカルボン酸、メチルシクロプロパンカルボン酸、メチルシクロヘキサンカルボン酸、メチルチアゾリジンカルボン酸、メチルチオフェンカルボン酸、メチルテトラヒドロイソキノリンカルボン酸、メチルピラジンカルボン酸、メチルピロールカルボン酸、メチルピロリジンカルボン酸、メチルピロリジンカルボン酸、(メチルフェニル)シクロプロパンカルボン酸、(メチルフェニル)シクロヘキサンカルボン酸、メチルベンズイミダゾールカルボン酸、メチルベンゼンスルホン酸フェニルピペリジンカルボン酸、(p−メチルベンゾイル)シクロヘキサンカルボン酸、(p−メチルベンゾイル)シクロヘキサンカルボン酸、メチレンシクロプロパンジカルボン酸、メチレンビス(ヒドロキシ−ナフタレンカルボン酸)メトキシインドールカルボン酸、(メトキシフェニル)シクロプロパンカルボン酸、(メトキシフェニル)シクロヘキサンカルボン酸、(メトキシフェニル)シクロペンタンカルボン酸、アダマンタン酢酸、アニリノ酢酸、アミノ酢酸、アミノフェニル酢酸、イソデヒドロ酢酸、イミノ二酢酸、インドール酢酸、エチルアセト酢酸、エチレンジアミン四酢酸、エトキシ酢酸、オキサル酢酸、オキシ二酢酸、クレシルバイオレット酢酸、クロルマジノン酢酸、クロロジフルオロ酢酸、クロロフェニル酢酸、グアニジン酢酸、グルコース五酢酸、イミノ二酢酸、酢酸テトラメチル、シアノ酢酸、シクロヘキサン二酢酸、シクロヘキシル酢酸、シクロヘキシルフェニル酢酸、シクロペンチル酢酸、ジフェニル酢酸、ジエチルホスホノ酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ジクロロインドール酢酸、ジクロロ酢酸、ジクロロフェニル酢酸、ジヒドロキシフェニル酢酸、ジフルオロフェニル酢酸、ブチルメチルフェニルジアゾ酢酸、ジブロモ酢酸、スチリル酢酸、チオール酢酸、スルホ酢酸、チオ酢酸、チオフェン酢酸、デヒドロ酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、トリクロロ酢酸、トリブロモ酢酸、トリメチル酢酸、トリメトキシフェニル酢酸、トリル酢酸、ナフタレン酢酸、ナフチル酢酸、ナフトキシ酢酸、ニトリロ三酢酸、ニトロフェニル酢酸、ニトロフェノキシ酢酸、ノニルフェノキシ酢酸、ヒダントイン酢酸、ヒドラジン酢酸、ヒドロキシ酢酸、ヒドロキシフェニル酢酸、ヒドロキシフェノキシ酢酸、ヒドロキノン酢酸、ビニル酢酸、ビフェニル酢酸、フェニルシクロペンタン酢酸、フェニレン二酢酸、フェニレン二酢酸、フェノキシ酢酸、フルオロフェニル酢酸、ブチル酢酸、ブトキシ酢酸、ブロモ酢酸、ブロモフェニル酢酸、ペンタフルオロフェニル酢酸、ホルミルフェノキシ酢酸、無水クロロ酢酸、無水酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水トリメチル酢酸、無水ヨード酢酸、メチルアミノ酢酸、メチルイミノ二酢酸、メチルスルホニルフェニル酢酸、メチルフェニル酢酸、メトキシインドール酢酸、メトキシ酢酸、メトキシフェニル酢酸、メルカプト酢酸、モノクロロ酢酸、ヨード酢酸、蓚酸、蟻酸、酒石酸、クエン酸およびその誘導体のアルカリ金属塩およびこれらのアンモニウム塩などのアニオン成分が挙げられるが、
より好ましくは、ベンゼンカルボン酸、ヒドロキシベンゼンカルボン酸、ナフトキノンカルボン酸、アントラセンカルボン酸、アントラキノンカルボン酸、エチレンジアミン四酢酸、トリフロロ酢酸、ナフタレンジカルボン酸、ブトキシ酢酸、ビニル酢酸、シュウ酸、フェロセンジカルボン酸、蓚酸、酒石酸、クエン酸およびその誘導体のアルカリ金属塩およびこれらのアンモニウム塩などのアニオン成分が挙げられる。
【0038】
もう一方のドーパントであるスルホン酸アニオンの分子量は240以上であることが好適である。240未満である場合、分子量が小さい、すなわち分子が小さいために溶液中で脱ドーピング作用が生じ、また大気中においても導電性高分子被覆材が高温になるような場所では脱ドーピングが生じ、導電性高分子の電気伝導性が失われてしまう可能性があるためである。そのように1つ以上のスルホン酸基を有し、分子量が240以上のドーパント化合物としては、具体的には、フェロセンスルホン酸ナトリウムやリグニンスルホン酸ナトリウムなどのアニオン成分を例示することができる。このようなドーパントを含有する導電性高分子被膜は、腐食環境と基体とを遮断するバリアー効果が大きく好適である。
【0039】
さらに、スルホン酸アニオンの分子構造として、ベンゼン縮合環及び/又は2つ以上の芳香環を有するスルホン酸アニオンは、導電性高分子の高分子鎖と複雑に絡み合うことができ、より緻密な構造を生み出し、バリアー効果をより増大することができ、より好ましい。また、該スルホン酸アニオンは導電性高分子鎖と複雑に絡み合うことによって、脱ドーピングし難くなる効果も併せ持ち、好適である。
【0040】
このようなスルホン酸アニオンとしては、アントラセンスルホン酸、アントラセンスルホン酸、ジフェニルアミンスルホン酸、ジフェニルアミンスルホン酸のアルカリ金属塩およびそれらのアンモニウム塩、色素であるアシッドブラック1、アシッドブルー1、アシッドブルー3、アシッドブルー9、アシッドブルー20、アシッドブルー74、アシッドブルー83、アシッドブルー92、アシッドブルー119、アシッドブルー147、アシッドA、アシッドブリリアントグリーンJ、アシッドブラウンM、アシッドキャプターH、アシッドキャプター9M、アシッドシアニン6B、アシッドファーストイエローG、アシッドファクシン、アシッドグリーン1、アシッドグリーン3、アシッドグリーン5、アシッドグリーン9、アシッドグリーン16、アシッドグリーン50、アシッドグリーンB、アシッドグリーンGG、アシッドライトイエロー2G、アシッドオレンジ5、アシッドオレンジ6、アシッドオレンジ7、アシッドオレンジ17、アシッドオレンジ20、アシッドレッド、アシッドレッド1、アシッドレッド2、アシッドレッド9、アシッドレッド13、アシッドレッド18、アシッドレッド18、アシッドレッド26、アシッドレッド27、アシッドレッド29、アシッドレッド52、アシッドレッド60、アシッドレッド87、アシッドレッド88、アシッドレッド91、アシッドレッド92、アシッドレッド94、アシッドレッド112、アシッドレッド265、アシッドバイオレッド6B、アシッドバイオレッド34、アシッドバイオレッド43、アシッドバイオレッド49、アシッドイエロー3、アシッドイエロー23、アシッドレッド36、アシッドイエロー73、アシッドイエロー186、サルフォナゾIII、モルダント29、サンクロマインブルーブラックR、サンクロマインブルーブラックMB、サンクロマインブルーブラックMD、サンセットイエローFCF、アルファマインレッドR、アルファマインレッドRベース、アルセナゾI、アルセナゾIIIおよびそれらの誘導体などのアニオン成分が挙げられる。
【0041】
さらにスルホン酸アニオンとしては、分子内に少なくとも一つ以上のカルボキシル基と少なくとも一つ以上のスルホン酸基とを有したものを用いることができる。そのようなアニオンとしてはスルホサリチル酸及びその誘導体等が挙げられる。
【0042】
また、上述した構造を有するスルホン酸アニオンの中でも、さらに、少なくとも1つ以上のスルホン酸基を有し、電気化学的に可逆である酸化還元活性を示すスルホン酸アニオンを含む導電性高分子膜は、腐食性液体と基体とのバリアー性を持たせることができる機能を有しているだけではなく、腐食環境下に曝された場合、該スルホン酸アニオンがその環境下に合わせて酸化還元反応を行うことによって、電気化学的に導電性高分子被覆材の電極電位を制御するために、特に基体の防食効果が顕著になり、好ましい。
【0043】
前述の電気化学的に可逆である酸化還元活性とは、電気化学的に可逆な酸化還元反応を示すことができる化合物、すなわち陽極で酸化され、陰極では還元されて元に状態に戻ることができる化合物を指す。例えば、ナフトキノンスルホン酸に含まれるキノン構造部位は、陽極では酸化されてヒドロキシ基に成るが、該ヒドロキシ基部位は陰極において還元されてキノン構造へと戻る。この反応は、サイクリックボルタンメトリ法で確認することができ、酸化反応時の反応ピークと還元反応時の反応ピークがほぼ同じ電位で現れる。
【0044】
前記電気化学的に可逆である酸化還元活性を有する少なくとも1つ以上のスルホン酸基を含むスルホン酸アニオンとしては、フェロセンスルホン酸、ハイドロキノンスルホン酸、アントキノンスルホン酸、ナフトキノンスルホン酸、アザキサントンスルホン酸、ベンズアントラキノンスルホン酸、ベンズアンスロンスルホン酸、フェニルアゾベンゼンスルホン酸、ベンゾキノンスルホン酸、色素であるアントラキノンアイリンR、アントラキノンバイオレッドRN−3RNなどのアニオン成分があげられるが、耐酸化性と脱ドーピング作用を抑制する観点からフェロセンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸、ナフトキノンスルホン酸、アザキサントンスルホン酸、ベンズアントラキノンスルホン酸、ベンズアンスロンスルホン酸、フェニルアゾベンゼンスルホン酸、色素であるアントラキノンアイリンR、アントラキノンバイオレッドRN−3RNのアニオン成分を用いるのがより好ましい。
【0045】
それらの中でも、キノン構造と1つ以上の芳香環を含むスルホン酸基を有するスルホン酸アニオンは、電気化学的活性が高く、かつ酸化還元電位が高い。そのため、該スルホン酸アニオンを含む導電性高分子膜の酸化還元電位は最も貴へとシフトし、銅基体を保護する効果が最も高くすることが可能であるため、該スルホン酸アニオンを用いるのが最も好適である。このようなスルホン酸アニオンを有するドーパントの具体例として、アントラキノンスルホン酸やナフトキノンスルホン酸等が挙げられる。
【0046】
前述の各スルホン酸アニオンを含む支持電解質は、電解重合液中に単独で含有させても良いし、複数存在するように調製されても良い。さらに、導電性高分子膜に含有させるドーパントの総含有量はモノマー1molに対して0.001〜1molが好ましい。
【0047】
また、あらかじめ基体にプレス加工等の曲げ加工、切削加工、エッチング加工等の機械加工後に、導電性高分子の形成工程を行うことによって、複雑な形状の基体形成時に導電性高分子膜を損傷することなく、該導電性高分子膜の効果を確実に得ることができる。すなわち、導電性高分子膜の形成に関し、上記のように加工後の基体を電極として電解重合を行えば、加工によって基体表面が凹凸状態にあっても、均一に導電性高分子膜を形成することが可能となり、安定した性能を得ることができる。
【0048】
形成する導電性高分子の厚みは、0.001μmから100μmが適当であるが、経済的観点から、0.001μmから50μmがより好ましく、0.01μmから35μmが最も好ましい。
【実施例】
【0049】
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明は実施例によりなんら限定されるものではない。
【0050】
実施例1
参考文献(K.Yamamoto,M.Yamamoto,T.Nishiumi.Polymer.Adv.Technol.11,710−715(2000))を参考にしながらフェロセンスルホン酸を作製した。フェロセン60gを400mLのジオキサンに加えた。それを氷浴中で攪拌しながら硫酸(31g)を含むジオキサン120mlをゆっくりと滴下し、12時間攪拌放置した。その溶液を蒸留し、得られたスラリー物質に水500mLを加え、ろ過して未反応物を取り除いた。得られたろ液を蒸留して、さらに不純物を取り除き、フェロセンスルホン酸溶液を得た。これを水−メタノール混合溶液中で再結晶を行い、黄色のフェロセンスルホン酸結晶を得た(収率9.8%)。
【0051】
基体としてリン脱酸銅板を用いた。リン脱酸銅板は大きさが20×30mm、厚さが0.2mmの圧延材であった。本基体をアセトンによる脱脂処理後、塩酸1.0mol/Lに調整された銅表面活性化溶液に1分間浸漬させて基体表面処理を行い、電解重合液中に供した。
【0052】
次に、電解重合法によってカルボン酸アニオンおよびスルホン酸アニオンをドーパントとして含む導電性高分子膜を形成した。溶媒を純水とし、単量体としてピロール0.5mol/L、支持電解質としてエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.10mol/L、フェロセンスルホン酸0.10mol/Lを含む電解液を用いて、基体を陽極、SUS304を陰極、電解重合時間は10分間、電流密度を15mA/cmとして電解重合を行って、ポリピロール膜を形成し、耐食性導電被覆材を合計10枚作製した。
【0053】
実施例2
基体としてリン脱酸銅板を用いた。リン脱酸銅板は大きさが20×30mm、厚さが0.2mmの圧延材であった。本基体を、水酸化ナトリウム10g/L、炭酸ナトリウム40g/L、ケイ酸ナトリウム10g/L、ドデシルベンゼンスルホン酸0.1g/Lをとなるように調整された溶液中に浸漬して脱脂後、塩酸1.0mol/Lに調整された銅表面活性化溶液に1分間浸漬させて基体表面処理を行い、電解重合液中に供した。
【0054】
次に、電解重合法によってカルボン酸アニオンおよびスルホン酸アニオンをドーパントとして含む導電性高分子膜を形成した。溶媒を純水とし、単量体としてピロール0.5mol/L、支持電解質としてトリフルオロロ酢酸ナトリウム0.05mol/L、テトラエチルアンモニウム−2−アントラセンスルホン酸0.25mol/Lを含む電解液を用いて、基体を陽極、SUS304を陰極、電解重合時間は15分間、電流密度を10mA/cmとして電解重合を行って、ポリピロール膜を形成し、耐食性導電被覆材を合計10枚作製した。
【0055】
実施例3
基体として黄銅板(銅75%−亜鉛25%)を用いた。黄銅板は大きさが20×30mm、厚さが0.2mmの圧延材であった。本基体をアセトンによる脱脂処理後、硫酸2.0mol/Lに調整された銅表面活性化溶液に1分間浸漬させて基体表面処理を行い、電解重合液中に供した。
【0056】
次に、電解重合法によってカルボン酸アニオンおよびスルホン酸アニオンをドーパントとして含む導電性高分子膜を形成した。溶媒を炭酸プロピレンとし、単量体としてエチレンジオキシチオフェン0.3mol/L、支持電解質としてテトラエチルアンモニウム−6−ヒドロキシ−2―ナフトエ酸0.05mol/L、テトラエチルアンモニウムアシッドブラック0.20mol/Lを含む電解液を用いて、基体を陽極、SUS304を陰極、電解重合時間は30分間、電流密度を5mA/cmとして電解重合を行って、ポリエチレンジオキシチオフェン膜を形成し、耐食性導電被覆材を合計10枚作製した。
【0057】
実施例4
基体としてリン脱酸銅板を用いた。リン脱酸銅板は大きさが20×30mm、厚さが0.2mmの圧延材であった。本基体を、水酸化ナトリウム10g/L、炭酸ナトリウム40g/L、ケイ酸ナトリウム10g/L、ドデシルベンゼンスルホン酸0.1g/Lをとなるように調整された溶液中に浸漬して脱脂後、塩酸1.0mol/Lに調整された銅表面活性化溶液に1分間浸漬させて基体表面処理を行い、電解重合液中に供した。
【0058】
次に、電解重合法によってカルボン酸アニオンおよびスルホン酸アニオンをドーパントとして含む導電性高分子膜を形成した。溶媒を純水とし、単量体としてアニリン0.5mol/L、支持電解質としてテトラエチルアンモニウム−3,5−ジヒドロキシ−2―ナフトエ酸0.10mol/L、テトラエチルアンモニウム−1,5-ナフトキノン−4−スルホン酸0.20mol/Lを含む電解液を用いて、基体を陽極、Auを陰極、銀/塩化銀(飽和KCl)を参照電極、電極電解重合時間は1時間、電解電圧を0.9V(vs銀/塩化銀参照電極)として定電位電解重合を行い、ポリアニリン膜を形成して、ポリアニリン膜を形成し、耐食性導電被覆材を合計10枚作製した。
【0059】
実施例5
基体として白銅板(銅90%−ニッケル10%)を用いた。白酸銅板は大きさが20×30mm、厚さが0.2mmの圧延材であった。本基体をアセトンによる脱脂処理後、フッ化水素酸0.5mol/L、硝酸0.1mol/Lに調整された白銅表面活性化溶液に3分間浸漬させて基体表面処理を行い、電解重合液中に供した。
【0060】
次に、電解重合法によってカルボン酸アニオンおよびスルホン酸アニオンをドーパントとして含む導電性高分子膜を形成した。溶媒を純水とし、単量体としてチオフェン0.3mol/L、支持電解質として2,5−ジヒドロキシ安息香酸ナトリウム0.04mol/L、アントラキノン−2−スルホン酸テトラエチルアンモニウム0.12mol/Lを含む電解液を用いて、基体を陽極、SUS304を陰極、電解重合時間は20分間、電流密度を7.5mA/cmとして電解重合を行って、ポリチオフェン膜を形成し、耐食性導電被覆材を合計10枚作製した。
【0061】
実施例6
金属基体としてリン脱酸銅板を用いた。リン脱酸銅板は大きさが20×30mm、厚さが0.2mmの圧延材であった。本基体を、水酸化ナトリウム10g/L、炭酸ナトリウム40g/L、ケイ酸ナトリウム10g/L、ドデシルベンゼンスルホン酸0.1g/Lをとなるように調整された溶液中に浸漬して脱脂後、塩酸1.0mol/Lに調整された銅表面活性化溶液に1分間浸漬させて基体表面処理を行い、電解重合液中に供した。
【0062】
次に、電解重合法によってカルボン酸アニオンおよびスルホン酸アニオンをドーパントとして含む導電性高分子膜を形成した。溶媒を純水とし、単量体としてピロール0.3mol/L、支持電解質としてアントラキノン−2−カルボン酸アンモニウム0.03mol/L、アントラキノン−2,6−ジスルホン酸アンモニウム0.07mol/Lを含む電解液を用いて、基体を陽極、SUS304を陰極、電解重合時間は15分間、電流密度を10mA/cmとして電解重合を行って、ポリピロール膜を形成し、耐食性導電被覆材を合計10枚作製した。
【0063】
実施例7
実施例3において、電解液として、溶媒を炭酸プロピレンとし、単量体としてエチレンジオキシチオフェン0.3mol/L、支持電解質としてテトラエチルアンモニウム−6−ヒドロキシ−2―ナフトエ酸0.09mol/L、テトラエチルアンモニウムアシッドブラック0.01mol/Lを含むように調整した以外は、同様に実施して耐食性導電被覆材を10枚作製した。
【0064】
比較例1
実施例1において、支持電解質としてエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムを加えずに、フェロセンスルホン酸0.2mol/Lのみを含む電解液を用いた以外は、同様に実施した結果、銅の溶解反応によってポリピロール膜を形成することはできなかった。
【0065】
比較例2
実施例2において、支持電解質としてテトラエチルアンモニウム−2−アントラセンスルホン酸を加えずに、トリフルオロロ酢酸ナトリウム0.3mol/Lのみを含む電解液を用いた以外は、同様に実施して耐食性導電被覆材を10枚作製した。
【0066】
比較例3
特許文献3に記載の方法に従って、耐食性導電被覆材を作製した。まず、金属基体として黄銅板(銅75%−亜鉛25%)を用いた。黄銅板は大きさが20×30mm、厚さが0.2mmの圧延材であった。本基体をアセトン溶媒による脱脂処理後、NaOH40%水溶液(90℃)中で90分間浸漬し、基体表面に酸化被膜を形成させた。
【0067】
次に、電解重合法によってカルボン酸アニオンをドーパントとして含む導電性高分子膜を形成した。溶媒を炭酸プロピレンとし、単量体としてエチレンジオキシチオフェン0.3mol/L、支持電解質としてテトラエチルアンモニウム−6−ヒドロキシ−2―ナフトエ酸0.9mol/Lを含む電解液を用いて、基体を陽極、SUS304を陰極、電解重合時間は15分間、電流密度を5mA/cmとして電解重合を行い、ポリエチレンジオキシチオフェン膜を形成した。
【0068】
続けて、電解重合法によって緻密な導電性高分子膜を形成した。溶媒を炭酸プロピレンとし、単量体としてエチレンジオキシチオフェン0.20mol/L、支持電解質としてテトラエチルアンモニウム−トリフルオロメタンスルホン酸0.9mol/Lを含む電解液を用い、カルボン酸アニオンをドーパントとして含む導電性高分子膜が形成された基体を陽極、Ptを陰極、電解重合時間は15分間、電流密度を5mA/cmとして電解重合を行い、ポリエチレンジオキシチオフェン膜を形成し、耐食性導電被覆材を10枚作製した。
【0069】
比較例4
実施例4において、支持電解質としてテトラエチルアンモニウム−1,5-ナフトキノン−4−スルホン酸の代わりに、テトラエチルアンモニウムヘキサフルオロリン酸を用いた以外は、同様に実施して耐食性導電被覆材を10枚作製した。
【0070】
比較例5
特許文献3に記載の方法に従って、耐食性導電被覆材を作製した。まず、金属基体として白銅板(銅90%−ニッケル10%)を用いた。白銅板は大きさが20×30mm、厚さが0.2mmの圧延材であった。本基体をアセトン溶媒による脱脂処理後、NaOH40%水溶液(90℃)中で90分間浸漬し、基体表面に酸化被膜を形成させた。
【0071】
次に、電解重合法によってカルボン酸アニオンをドーパントとして含む導電性高分子膜を形成した。溶媒をアセトニトリルとし、単量体としてチオフェン0.3mol/L、支持電解質としてテトラエチルアンモニウム−2,5−ジヒドロキシ安息香酸0.15mol/Lを含む電解液を用いて、基体を陽極、SUS304を陰極、電解重合時間は30分間、電流密度を2mA/cmとして電解重合を行い、ポリチオフェン膜を形成した。
【0072】
続けて、電解重合法によって緻密な導電性高分子膜を形成した。溶媒を純水とし、単量体としてチオフェン0.20mol/L、支持電解質としてアントラキノン−2−スルホン酸テトラエチルアンモニウム0.1mol/Lを含む電解液を用い、カルボン酸アニオンをドーパントとして含む導電性高分子膜が形成された基体を陽極、Ptを陰極、電解重合時間は1時間、電流密度を5mA/cmとして電解重合を行い、ポリチオフェン膜を形成し、耐食性導電被覆材を10枚作製した。
【0073】
比較例6
実施例6において、支持電解質としてアントラキノン−2−カルボン酸アンモニウムの代わりにテトラエチルアンモニウムテトラフロオロボレート、アントラキノン−2,6−ジスルホン酸アンモニウムの代わりに過塩素酸アンモニウムを用いた以外は、同様に実施した結果、銅の溶解反応によってポリピロール膜を形成することはできなかった。
【0074】
防食性および導電性評価
このようにして作製した実施例1〜7、および比較例2〜5の耐食性導電被覆材に対して、硫酸100g/Lに調整され、浴温65℃に保持し空気攪拌された腐食水溶液中に90日間の浸漬試験を実施した。試験終了後、硫酸水溶液に含まれる金属基体のイオン濃度をシーケンシャル形高周波プラズマ発光分析装置によって測定し、防食性を比較した結果を表1に示す。また集電特性を図るために、図2に示した接触抵抗測定法によって、負荷荷重10kg/cmにおける初期抵抗と浸漬試験実施後の比較を行った結果を表3に示す。
【0075】
また、このようにして作製した実施例1〜7、および比較例2〜5の耐食性導電被覆材に対して、塩酸3.0mol/Lに調整され、浴温30℃に保持し空気攪拌された腐食水溶液中に90日間の浸漬試験を実施した。試験終了後、塩酸水溶液に含まれる金属基体のイオン濃度をシーケンシャル形高周波プラズマ発光分析装置によって測定し、防食性を比較した結果を表2に示す。また集電特性を図るために、図2に示した接触抵抗測定法によって、負荷荷重10kg/cmにおける初期抵抗と浸漬試験実施後の比較を行った結果を表4に示す。
【0076】
燃料電池用セパレータの評価
プレス加工にてガス流路を形成した0.1mm厚の銅箔に、実施例5および比較例5に記載の方法により、ポリチオフェン膜を成膜させて固体高分子形燃料電池用セパレータを製造した。両極に触媒を担持した固体電解質膜、ガス拡散電極、前述のセパレータを用いて単電池を組み立て、燃料として高純度水素ガスおよび空気を用いて発電を行い、I−V特性を調べた。続いて、1000時間の連続発電試験を実行した後に同様にI−V特性を調べた結果を図3に示した。
【0077】
その表1の結果によれば、本発明にかかる実施例1〜6の各耐食性導電被覆材は、浸漬試験90日後においても全く変化することなく基体を保護し、酸性雰囲気下でも優れた防食性効果を有することが認められた。これに対し、同様に浸漬試験を行った比較例2、4で作製した材料は、基体の腐食によって導電性高分子膜の剥離が確認された。
【0078】
その表2の結果によれば、本発明にかかる実施例1〜6の各耐食性導電被覆材は、浸漬試験90日後においても全く変化することなく基体を保護し、酸性ハロゲン雰囲気下でも優れた防食性効果を有することが認められた。これに対し、同様に浸漬試験を行った比較例2、4で作製した材料は、基体の腐食によって導電性高分子膜の剥離が確認された。
【0079】
表3の結果によれば、本発明にかかる実施例1〜6の各耐食性導電被覆材は、浸漬試験90日後においても良好な接触抵抗を保持し、優れた集電特性を有することが認められた。これに対し、同様に浸漬試験を行った比較例2、4で作製した被覆材は、基体の腐食も時間とともに進行し、90日後には接触抵抗が1000mΩ・cm以上となり、導電特性は消失していた。比較例3,5で作製した材料においては、表1の結果から耐食性は良好なものの、導電性特性は本発明による耐食性導電被覆材に比べて導電性特性が比べて劣ることがわかった。
【0080】
表4の結果によれば、本発明にかかる実施例1〜6の各耐食性導電被覆材は、浸漬試験90日後においても良好な接触抵抗を保持し、優れた集電特性を有することが認められた。これに対し、同様に浸漬試験を行った比較例2、4で作製した被覆材は、基体の腐食も時間とともに進行し、90日後には接触抵抗が1000mΩ・cm以上となり、導電特性は消失していた。比較例3,5で作製した材料においては、表1の結果から耐食性は良好なものの、導電性特性は本発明による耐食性導電被覆材に比べて導電性特性が比べて劣ることがわかった。
【0081】
図3によれば、実施例5のI−V特性曲線は良好な発電特性を示したが、比較例5では実施例5に比べて耐食導電被覆材料の抵抗が僅かに高いために、取り出せる電流密度が若干小さくなることがわかった。また、1000時間の連続発電試験を実施後のI−V特性曲線を比較すると、実施例5において性能の劣化はほとんど見られず、耐食導電被覆材料が良好な集電性能が維持され、優れた発電特性を確認した。それに対して比較例5では、耐食導電被覆材料の抵抗が高くなる傾向にあり、その影響により集電性能の劣化し、発電特性が大きく低下した。
【0082】
【表1】

【0083】
【表2】

【0084】
【表3】

【0085】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明の耐食性導電被覆材は、めっき装置の給電ロール、燃料電池用金属セパレータを主たる用途とするが、電気接点、端子、電解用陽極などへ好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明により、銅基体上に、耐食性に優れ緻密な導電性高分子が析出する機構を示す模式図。
【図2】集電特性を測定するための接触抵抗測定法を示した図。
【図3】実施例5および比較例5に従い製作したセパレータを用いた単電池の電池特性(I−V特性曲線)を示す図である。
【符号の説明】
【0088】
1 銅基体
2 カルボン酸銅粒子
3 カルボン酸アニオンがドープされた導電性高分子粒子
4 スルホン酸アニオンがドープされた導電性高分子粒子
11 負荷荷重装置
12 金電極
13 カーボン電極
14 導電性高分子被覆材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅またはその合金からなる基体を導電性高分子層にて被覆した耐食性導電被覆材料において、
導電性高分子層のドーパントが少なくともカルボン酸アニオンと、スルホン酸アニオンと、を有していることを特徴とする耐食性導電被覆材料。
【請求項2】
スルホン酸アニオンが、アニオン分子量240以上の有機スルホン酸アニオンであることを特徴とする請求項1に記載の耐食性導電被覆材料。
【請求項3】
スルホン酸アニオンが、ベンゼン縮合環及び/又は2つ以上の芳香環を有するスルホン酸アニオンであることを特徴とする請求項1または2に記載の耐食性導電被覆材料。
【請求項4】
スルホン酸アニオンが、電気化学的に可逆である酸化還元活性を示すスルホン酸アニオンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の耐食性導電被覆材料。
【請求項5】
スルホン酸アニオンが、キノン構造と1つ以上の芳香環を含むスルホン酸アニオンであることを特徴とする請求項4に記載の耐食性導電被覆材料。
【請求項6】
用途が電気化学的装置の配線材料又は集電材料であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の耐食性導電被覆材料。
【請求項7】
前記電気化学的装置が固体高分子型燃料電池であることを特徴とする請求項6に記載の耐食性導電被覆材料。
【請求項8】
導電性高分子モノマーとカルボン酸アニオンとスルホン酸アニオンとを含有し、カルボン酸アニオンがスルホン酸アニオンに対して0.15mol%〜0.75mol%の濃度比に調製された電解液を用い、電解重合することによって導電性高分子層を銅基体上に形成することを特徴とする耐食性導電被覆材料の製造方法。
【請求項9】
銅又はその合金からなる基体を陽極とし、導電性高分子モノマーとカルボン酸アニオンとスルホン酸アニオンとを含有する電解液中で電解重合することによって該基体上に導電性高分子層を形成し、該基体を被覆する被覆方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−176447(P2009−176447A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−11122(P2008−11122)
【出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【出願人】(000228349)日本カーリット株式会社 (269)
【Fターム(参考)】