説明

耳の炎症の治療を目的とするフルオシノロンアセトニドの透明な水性溶液

シプロフロキサシンまたは薬学上許容可能なその塩を0.1〜0.8%必要に応じて含むフルオシノロンアセトニドを0.01〜0.10%(重量/容量)、ノニオン性界面活性剤、等張化剤および増粘剤を含んでなる透明な水性溶液の形態の防腐剤を含まない無菌の耳の医薬組成物。これは、場合によっては細菌感染を伴う、耳の炎症の予防および/または治療、ならびに単回使用容器からの投与に有用である。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
本発明は、場合によっては細菌感染を伴う、耳の炎症の治療を目的とするフルオシノロンアセトニドを抗炎症活性医薬成分として含んでなる組成物および方法に関する。
【0002】
背景技術
フルオシノロンアセトニドは、耳の炎症の局所治療に良好に用いられる抗炎症性コルチコステロイドである。それは、外耳または中耳感染症の治療を目的とする抗菌剤および防腐薬(antiseptic)との組合わせで知られている(例えば、US20090111780 A1号明細書を参照されたい)。
【0003】
フルオシノロンアセトニド(6,9−ジフルオロ−16,17−アセトニドコルチコステロイド)は、濃度および使用ビヒクルによって高〜中効力の抗炎症剤として分類されている。9−F基は、糖質コルチコイド活性を増加させ、11−OH基の代謝的酸化を防止する(例えば、T.L. Lemke and D.A. Williams,「Foye’s Principles of Medicinal Chemistry」,Wolters Kluwer 2007,第6版,p.902を参照されたい)。
【0004】
フルオシノロンアセトニドは、実質的に水に不溶性である。それは、同様の目的にも用いられる他のコルチコステロイド(例えば、デキサメタゾンまたはヒドロコルチゾン)よりも実際に不溶性である。フルオシノロンの16,17−位のアセトニド(ケタール)残基は、親油性を高めるので局所抗炎症剤としての効力を提供するが(同上文献,p.895)、その結果として溶解度を低下させる。実際に、フルオシノロンアセトニドを含む点耳薬は、有機溶液(例えば、Hill Dermaceuticalsから発売されている点耳油薬)または水−有機懸濁液(例えば、EP1312356 A1号明細書に記載の水性懸濁液製剤)である。フルオシノロンアセトニドとシプロフロキサシンとを含む点耳薬は、防腐剤と75%未満の水を含む水−有機組成物の形態で市販されている(例えば、外耳炎の治療用にスペインのSalvatから発売されている点耳薬)。
【0005】
耳の炎症を伴う疾患の例は、湿疹様外耳炎、ケロイド、肉芽腫性鼓膜炎、水疱性鼓膜炎または突発性難聴である。
【0006】
細菌感染を伴う耳の炎症を伴う疾患の例は、びまん性外耳道炎(スイーマーズ・イアー(swimmers’s ear))、限局性外耳炎(フォランキュローシス(forunculosis))、外傷性鼓膜穿孔、耳性帯状疱疹(ラムゼー・ハント症候群)、滲出性中耳炎(OME、漿液性または滲出性中耳炎(SOM)または膠耳とも呼ばれる)、中耳腔換気用チューブを介する耳漏、中耳腔換気用チューブによる急性中耳炎(AOMT)、急性中耳炎(AOM)または慢性化膿性中耳炎(CSOM)である。
【0007】
幾つかの症例では、点耳薬に水以外の溶媒および/または防腐剤が含まれていると、アレルギー反応や炎症のような幾つかの有害効果を伴う(例えば、J. Coloe and M.J. Zirwas, 「コルチコステロイドビヒクルにおけるアレルゲン(Allergens in corticosteroid vehicles)」, Dermatitis 2008, vol. 19(1), pp. 38-42を参照されたい)。また、局所投与用のパラベンのような防腐剤を使用することの適合性についての幾つかの問題点が、それらの潜在的毒性により提起されている(例えば、P.D. Darbre and P.W. Harvey,「パラベンエステル:内分泌毒性、吸収、エステラーゼおよびヒトの暴露の最近の研究の概説、および潜在的なヒトの健康への危険性の検討(Paraben esters: review of recent studies of endocrine toxicity, absorption, esterase and human exposure, andシ゛scussion of potential human health risks)」, J Appl Toxicol. 2008, vol. 28(5), pp. 561-578を参照されたい)。従って、耳の炎症の治療を目的とする、特に細菌感染を伴う症例では、一層高含量の水のビヒクルを有する改良された医薬組成物を提供することが極めて望ましい。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、90%(総ての百分率は重量/容量)を上回る水を含んでなるフルオシノロンアセトニドの透明な水性溶液の形態をした防腐剤を含まない無菌の耳の医薬組成物であって、単回投与容器(明らかに、特に好ましいものではないが、複数回投与容器からの投与も可能である)から点耳薬としての投与に適当な組成物を提供する。
【0009】
単回投与容器からの耳の液体医薬組成物の滴下には、多くの利点がある。例えば、それは、組成物の正確な用量を投与することができる。もう一つの利点は、毎回新しい容器を開封するので、投与される組成物は常に無菌状態であり、従って、微生物または体分泌物による汚染の可能性が回避される。衛生状態が一層高いことの他に、単回投与容器は複数回投与容器より使い勝手および操作がよい。
【0010】
しかしながら、無菌の単回投与容器からの滴下を好適に行うには、耳の組成物は幾つかの要件を満たさなければならないが、これは、フルオシノロンアセトニドのような不溶性の高い活性医薬成分の場合には困難であると思われる。慣例として、滅菌を0.22μmフィルターを介する濾過によって行おうとするときには、組成物は透明溶液、すなわち懸濁粒子を実質的に含まないものでなければならない。その上、溶液は、メチルパラベンやプロピルパラベンのような防腐剤を含まないことが極めて望ましい。
【0011】
本発明者らは、0.01〜0.10%フルオシノロンアセトニドの透明な水性溶液(すなわち、懸濁粒子を実質的に含まない)の形態の、防腐剤を含まない無菌の耳の医薬組成物を得るには、親水−親油性バランス(HLB)値が14〜18である1種類以上のノニオン性界面活性剤を0.5〜4.0%の総量で用いることが適当であることを見いだした。この組成物では、1種類以上の等張化剤の総量を0.5〜4.0%とするのが張性調節に適当であり、1種類以上の増粘剤の総量を0.05〜1.00%とするのが粘度調節に適当である。この組成物は、必要に応じてpHを4.0〜5.0に調節するための量の1種類以上のpH調節剤を含んでなることができる。前記の量のこれらの賦形剤は、フルオシノロンアセトニドがシプロフロキサシンまたは薬学上許容可能なその塩を0.1〜0.8%含む場合には、透明な水性溶液の形態の防腐剤を含まない無菌の耳の医薬組成物も提供し、この組成物は、耳の炎症が細菌感染を伴うときに有用である。
【0012】
本発明の医薬組成物は、多数の利点を有している。この組成物は、活性成分を損失することなく濾過滅菌することができる懸濁固形粒子を実質的に含まない透明な水性溶液であり、良好な用量再現性を伴う。この組成物は、良好な安定性も示す。これにより、点滴薬形態で局所使用する使い捨て単回投与容器に包含させることができる防腐剤を含まない無菌の組成物を有することができる。また、防腐剤および非水性溶媒を欠いているため、これらの化合物によって引き起こされる可能性のある有害効果が回避される。
【0013】
HLB値が14〜18であるノニオン性界面活性剤の薬学上許容可能な例としては、ソルビタンポリオキシエチレン脂肪酸誘導体、ポリオキシエチレン水素化ヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレン脂肪酸誘導体、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体およびブロック共重合体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0014】
本発明の一態様では、HLB値が14〜18であるノニオン性界面活性剤の薬学上許容可能な例は、ポリソルベート20(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート)、ポリソルベート40(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート)、ポリソルベート60(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート)およびポリソルベート80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)のようなソルビタンポリオキシエチレン脂肪酸誘導体、ポリオキシエチレン(60)水素化ヒマシ油、ポリオキシエチレングリコール(60)水素化ヒマシ油およびポリオキシエチレングリコール(40)水素化ヒマシ油のようなポリオキシエチレン水素化ヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレン(20)ステアレート、ポリオキシエチレン(32)ジステアレート、ポリオキシエチレン(20)オレエート、ポリオキシエチレン(32)オレエートおよびポリオキシエチレン(32)ジオレエートのようなポリオキシエチレン脂肪酸誘導体、ポリオキシエチレン(20)オレイルアルコール、ポリオキシエチレン(20)ステアリルアルコールおよびポリオキシエチレン(20)セテアリールアルコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体およびブロック共重合体のような脂肪族アルコールエトキシレートからなる群から選択される。好ましい態様では、ノニオン性界面活性剤はポリソルベート80である。
【0015】
本発明のもう一つの態様では、薬学上許容可能な等張化剤は、デキストロース、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、デキストラン、または、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウムおよび乳酸ナトリウムのような電解質からなる群から選択される。好ましい態様では、等張化剤はグリセリンである。
【0016】
本発明の更にもう一つの態様では、薬学上許容可能な増粘剤は、ポビドン(Povidone)K25、ポビドンK30およびポビドンK90Fのようなポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、キサンタンガム、グアーガム、ウェランガム、トラガカントゴム、セラトニアガム、寒天、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ポリエチレングリコール、グリセリン、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、プロピレングリコールアルギン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、カルボマーおよびマルトデキストリンからなる群から選択される。好ましい態様では、増粘剤は、ポビドンK25、ポビドンK30およびポビドンK90Fから選択されるポリビニルピロリドンである。特に好ましい態様では、増粘剤はポビドンK90Fである。
【0017】
必要に応じて、適当なpH調節剤を、固形物としてまたは水性溶液として添加することができる。pH調節剤の薬学上許容可能な例としては、クエン酸およびその塩、酒石酸およびその塩、リン酸およびその塩、炭酸およびその塩、乳酸およびその塩、酢酸およびその塩、硫酸およびその塩、ホウ酸およびその塩、マレイン酸およびその塩、コハク酸およびその塩、塩酸、硝酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミンまたはそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
本発明のもう一つの態様では、薬学上許容可能なpH調節剤は、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸カルシウムおよびクエン酸リチウムのようなクエン酸およびその塩、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウム、酒石酸カルシウムおよび酒石酸リチウムのような酒石酸およびその塩、リン酸二水素ナトリウムおよびリン酸一水素ナトリウム、リン酸リチウム、リン酸カリウムおよびリン酸カルシウムのようなリン酸およびその塩、炭酸ナトリウムおよび炭酸水素ナトリウムのような炭酸およびその塩、乳酸ナトリウム、乳酸カリウムおよび乳酸カルシウムのような乳酸およびその塩、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムおよび酢酸カルシウムのような酢酸およびその塩、硫酸ナトリウムおよび硫酸カリウムのような硫酸およびその塩、ホウ酸ナトリウムのようなホウ酸およびその塩、マレイン酸リチウム、マレイン酸ナトリウム、マレイン酸カリウムおよびマレイン酸カルシウムのようなマレイン酸およびその塩、コハク酸リチウム、コハク酸ナトリウム、コハク酸カリウムおよびコハク酸カルシウムのようなコハク酸およびその塩、塩酸、硝酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミンまたはそれらの混合物からなる群から選択される。
【0019】
好ましい態様では、医薬組成物は、下記の成分、すなわち、シプロフロキサシンまたは薬学上許容可能なその塩を0.2〜0.4%必要に応じて含むフルオシノロンアセトニド0.02〜0.03%、ポリソルベート80 2〜3%、グリセリン2〜3%、ポビドンK90F 0.1〜0.3%、必要に応じて、pH4.0〜5.0に調節するのに十分な量の1種類以上の薬学上許容可能なpH調節剤の量、および水を含んでなる。好ましい態様では、組成物は、前記成分だけからなっている。
【0020】
特に好ましい態様では、医薬組成物は、下記の組成、すなわち、フルオシノロンアセトニド0.025%、ポリソルベート80 2.5%、グリセリン2.4%、ポビドンK90F 0.2%、pH4.0〜5.0に調節するのに十分な量の乳酸ナトリウムおよび100%とするのに十分な量の水を有する。
【0021】
特に好ましい態様では、医薬組成物は、下記の組成、すなわち、フルオシノロンアセトニド0.025%、シプロフロキサシンHCl 0.349%、ポリソルベート80 2.5%、グリセリン2.4%、ポビドンK90F 0.2%および100%とするのに十分な量の水を有する。
【0022】
好ましい態様では、医薬組成物は、滅菌され、点滴薬形態で局所使用する使い捨て単回投与容器に包含される。
【0023】
本発明のもう一つの態様は、場合によっては細菌感染を伴う、耳の炎症に罹っている個人の予防および/または治療方法であって、前記の医薬組成物の治療上有効量を個人に局所投与することを含んでなる、方法に関する。
【0024】
詳細には、耳の炎症は、湿疹様外耳炎、ケロイド、肉芽腫性鼓膜炎、水疱性鼓膜炎または突発性難聴である。
【0025】
詳細には、細菌感染を伴う耳の炎症は、びまん性外耳道炎(スイマーズ・イアー)、限局性外耳炎(フォランキュローシス)、外傷性鼓膜穿孔、耳性帯状疱疹(ラムゼー・ハント症候群)、滲出性中耳炎(OME、膠耳とも呼ばれる)、中耳腔換気用チューブを介する耳漏、中耳腔換気用チューブによる急性中耳炎(AOMT)、急性中耳炎(AOM)または慢性化膿性中耳炎(CSOM)である。
【0026】
本発明のもう一つの態様は、薬剤として使用するための前記医薬組成物に関する。詳細には、その使用は、場合によっては細菌感染を伴う、耳の炎症の予防および/または治療を目的とする。
【0027】
本発明のもう一つの態様は、場合によっては細菌感染を伴う、耳の炎症の予防および/または治療のための薬剤の製造を目的とする前記医薬組成物の使用である。
【0028】
本発明のもう一つの態様は、場合によっては細菌感染を伴う、耳の炎症に罹っている個人の予防および/または治療の方法であって、前記医薬組成物の治療上有効量を個人に局所投与することを含んでなる、方法である。
【0029】
一態様では、耳の炎症は、湿疹様外耳炎、ケロイド、肉芽腫性鼓膜炎、水疱性鼓膜炎または突発性難聴である。
【0030】
もう一つの態様では、細菌感染を伴う耳の炎症は、びまん性外耳道炎、限局性外耳炎、外傷性鼓膜穿孔、耳性帯状疱疹、滲出性中耳炎、中耳腔換気用チューブを介する耳漏、中耳腔換気用チューブによる急性中耳炎、急性中耳炎または慢性化膿性中耳炎である。
【0031】
この明細書の説明および特許請求の範囲を通じて、「含んでなる(comprise)」という用語および「含んでなる(comprising)」のようなこの単語の語尾変化は、他の技術的特徴、添加物または成分を除外しようとするものではない。
【0032】
本発明の追加の目的、利点および特徴は、記載内容を検討することによって当業者には明らかになるであろうし、または本発明の実施によって知ることができる。
【実施例】
【0033】
下記の実施例は、実例として提供されるものであり、本発明を制限しようとするものではない。
【0034】
例1:フルオシノロンを含んでなる水性溶液
【表1】

【0035】
例2:フルオシノロン+シプロフロキサシンを含んでなる水性溶液
【表2】

【0036】
例3:フルオシノロンを含んでなる水性溶液
【表3】

【0037】
例4:フルオシノロン+シプロフロキサシンを含んでなる水性溶液
【表4】

【0038】
例5:フルオシノロンを含んでなる水性溶液
【表5】

【0039】
例6:懸濁固形粒子の非存在
フルオシノロンアセトニドとシプロフロキサシンとを含んでなる医薬組成物の2バッチにおける活性成分の濃度を、濾過前および後に測定して、活性成分の損失をもたらす0.22μmフィルターに保持されうる懸濁活性粒子が含まれていないことを確かめた。
【0040】
バッチ1
【表6】

【0041】
バッチ2
【表7】

【0042】
例7:懸濁固形粒子の非存在
フルオシノロンアセトニドとシプロフロキサシンとを含んでなる医薬組成物の動的光散乱測定を、濾過前および後に行い、活性成分の損失をもたらす0.22μmフィルターに保持されうる懸濁活性粒子が含まれていないことを確かめた。
【0043】
【表8】

【0044】
例8:懸濁固形粒子の非存在
フルオシノロンアセトニドを含んでなる医薬組成物の動的光散乱測定を、濾過前および後に行い、活性成分の損失をもたらす0.22μmフィルターに保持されうる懸濁活性粒子が含まれていないことを確かめた。
【0045】
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量/容量百分率で下記の成分を含んでなる透明な水性溶液の形態での、防腐剤を含まない無菌の耳の医薬組成物:
(i) シプロフロキサシンまたは薬学上許容可能なその塩を0.1〜0.8%必要に応じて含むフルオシノロンアセトニドを0.01〜0.10%、
(ii)親水−親油性バランス(HLB)値が14〜18である1種類以上の薬学上許容可能なノニオン性界面活性剤を総量で0.5〜4.0%、
(iii) 1種類以上の薬学上許容可能な等張化剤を総量で0.5〜4.0%、
(iv) 1種類以上の薬学上許容可能な増粘剤を総量で0.05〜1.00%、
(v) 必要に応じて、pHを4.0〜5.0に調節するのに十分な量の1種類以上の薬学上許容可能なpH調節剤、および
(vi) 水。
【請求項2】
1種類以上の薬学上許容可能なノニオン性界面活性剤が、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン(60)水素化ヒマシ油、ポリオキシエチレングリコール(60)水素化ヒマシ油、ポリオキシエチレングリコール(40)水素化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(20)ステアレート、ポリオキシエチレン(32)ジステアレート、ポリオキシエチレン(20)オレエート、ポリオキシエチレン(32)オレエート、ポリオキシエチレン(32)ジオレエート、ポリオキシエチレン(20)オレイルアルコール、ポリオキシエチレン(20)ステアリルアルコール、ポリオキシエチレン(20)セテアリールアルコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体ブロック共重合体、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
薬学上許容可能なノニオン性界面活性剤がポリソルベート80である、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
1種類以上の薬学上許容可能な等張化剤が、デキストロース、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、デキストラン、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、乳酸ナトリウム、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
薬学上許容可能な等張化剤がグリセリンである、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
1種類以上の薬学上許容可能な増粘剤が、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、キサンタンガム、グアーガム、ウェランガム、トラガカントゴム、セラトニアガム、寒天、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ポリエチレングリコール、グリセリン、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、プロピレングリコールアルギン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、カルボマー、マルトデキストリン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
1種類以上の薬学上許容可能な増粘剤が、ポビドンK25、ポビドンK30、ポビドンK90F、およびそれらの混合物からなる群から選択されるポリビニルピロリドンである、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
薬学上許容可能な増粘剤がポビドンK90Fである、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
1種類以上の薬学上許容可能なpH調節剤が、クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸リチウム、酒石酸、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウム、酒石酸カルシウム、酒石酸リチウム、リン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸リチウム、リン酸カリウム、リン酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、乳酸カルシウム、酢酸、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、硫酸、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、マレイン酸、マレイン酸リチウム、マレイン酸ナトリウム、マレイン酸カリウム、マレイン酸カルシウム、コハク酸、コハク酸リチウム、コハク酸ナトリウム、コハク酸カリウム、コハク酸カルシウム、塩酸、硝酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
重量/容量百分率が、
(i) シプロフロキサシンまたは薬学上許容可能なその塩を0.2〜0.4%必要に応じて含むフルオシノロンアセトニド 0.02〜0.03%、
(ii) ポリソルベート80 2〜3%、
(iii) グリセリン2〜3%、
(iv) ポビドンK90F 0.1〜0.3%、
(v) 必要に応じて、pHを4.0〜5.0に調節するのに十分な量の1種類以上の薬学上許容可能なpH調節剤、および
(vi) 水
である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項11】
医薬組成物が、滅菌され、点滴薬形態で局所使用する使い捨て単回投与容器に包含されている、請求項1〜10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
薬剤として使用するための、請求項1〜11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
場合によっては細菌感染を伴う、耳の炎症の予防および/または治療に使用するための、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
耳の炎症が、湿疹様外耳炎、ケロイド、肉芽腫性鼓膜炎、水疱性鼓膜炎または突発性難聴である、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
細菌感染を伴う耳の炎症が、びまん性外耳道炎、限局性外耳炎、外傷性鼓膜穿孔、耳性帯状疱疹、滲出性中耳炎、中耳腔換気用チューブを介する耳漏、中耳腔換気用チューブによる急性中耳炎、急性中耳炎または慢性化膿性中耳炎である、請求項13に記載の医薬組成物。

【公表番号】特表2013−521245(P2013−521245A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555383(P2012−555383)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【国際出願番号】PCT/EP2011/052939
【国際公開番号】WO2011/107436
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(501048446)ラボラトリオス・サルバト・ソシエダッド・アノニマ (8)
【氏名又は名称原語表記】LABORATORIOS SALVAT, S.A.
【Fターム(参考)】