説明

肺サーファクタントとPDE5阻害剤とを含有する肺疾病の治療用の組成物

本発明は、肺サーファクタント機能不全及び/又はホスホジエステラーゼ5(PDE5)活性が有害となる疾病の治療のための、肺サーファクタントとPDE5阻害剤との組合せ投与に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の適用分野
本発明は治療目的のための一定の公知有効化合物の組合せ物に関する。本発明による組合せ物で使用される化合物は、公知の肺サーファクタントと公知のホスホジエステラーゼ5(PDE5)阻害剤種からの有効化合物である。本発明の範囲での治療目的のためのそれらの組合せの使用は従来技術にまだ記載されていない。
【0002】
従来技術
人の健康な肺において、休息時と運動中の両方で、常に換気が良好な領域と換気が乏しい又は全く換気がない領域とが同時に並行して存在する(換気不均等)。今までに未知の機構により、殆ど換気がないか又は換気がない肺胞に隣接する毛細血管に潅流が殆どないか又は全くないようになる。これにより、ガス交換に関連しない肺の領域の非効率的な潅流が最小限となる。身体運動中には、換気の分布が変化し(新規の肺胞の動員)、そして関連の毛細血管床の潅流に増大が見られる。反対に、生理学的又は病理学的な過程により殆ど換気がない場合に(気道閉塞)、毛細血管流は血管収縮を通じて減少する。この過程を、“低酸素性血管収縮”と呼ぶ(Euler-Liljestrand機構)。
【0003】
前記の換気と潅流の順応機構が損なわれる(“ミスマッチ”)と、換気が適切で肺の潅流が正常であるにも拘わらず、ガス交換機能に多かれ少なかれ顕著な虚脱が見られることがあり、これは換気又は潅流を更に高めても不適切にのみ補償できるに過ぎない。これらの状態では、換気がなくてもより良く潅流がなされる(短絡)領域と、より換気が良くても潅流がない(死腔換気)領域とが存在する。この換気と潅流とのミスマッチの結果は、低酸素症(ガス交換の低下に伴う患者の血液の酸素含量の低下)、無効潅流(換気がない領域の不経済な潅流)及び無効換気(潅流の乏しい領域の不経済な換気)である。
【0004】
炎症性肺疾患及び変性性肺疾患、例えば慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支炎、気管支喘息、肺線維症、肺気腫、間質性肺疾患及び肺炎を患う患者においては、部分呼吸不全又は全呼吸不全であることが観察される。その原因は、肺内潅流状態と換気の不均等分布との不適切な順応である。
【0005】
COPD患者は肺変化、すなわち気道と肺血管の変化及び肺外変化に見舞われる。気道は、炎症と粘液過剰分泌と粘液クリアランス異常が共存するため閉塞される。肺胞壁が破壊され、肺気腫がもたらされる。気流の制限と気道上皮の損失によって酸素化が損なわれる。肺血液循環は、平滑筋細胞増殖、肥厚した内膜におけるエラスチンとコラーゲンの沈着による血管再構築[Santos S et al. Eur Respir J 2002 19: 632-8] 喫煙者とマイルドなCOPDの患者における肺血管再構築のキャラクタリゼーション(Characterization of pulmonary vascular remodelling in smokers and patients with mild COPD.)]と換気/潅流ミスマッチとにより損なわれる。このミスマッチは、生理学的順応機構より優勢な血管作動性(炎症性)メディエーターの作用に由来し、部分的には疾病の進行の間に発生する肺毛細血管の構造的変化に由来するものである。この作用は、特に運動中と、酸素要求量が高まり、それが呼吸困難(低酸素症)と身体能力の限界によって表面化した場合とで明らかである。今までにCOPDの治癒的療法は出回っていない。抗コリン作動薬(臭化イプラトロピウム、臭化チオトロピウム及び臭化オキシトロピウム)及び短時間作用性及び長時間作用性のβ−アドレナリン受容体アゴニスト(サルメテロール、硫酸テルブタリン)が使用される。
【0006】
ARDS(成人性呼吸促迫症候群)の患者も換気/潅流ミスマッチに見舞われ、ガス交換機能の虚脱がもたらされる。ARDSは、種々の病因の重度なガス交換疾患に関連する多数の急性の拡散浸潤性の肺病変(特に動脈性低酸素血症)に適用される記述表現である[G.R. Bernard et al.:ARDSにおける米国−欧州コンセンサス会議の報告書:定義、機構、関連の成果及び臨床試験協調;集中治療医学、1994年、20/225〜232(Report of the American-European consensus conference on ARDS: definitions, mechanisms, relevant outcomes and clinical trial coordination; Intensive Care Medicine, 1994, 20/225-232)]。ARDSという表現はIRDS(新生児呼吸困難症候群)のためにも使用されるが、それは多くの共通の臨床的特徴及び病理学的特徴があるためである。IRDSの場合には、肺サーファクタント欠乏は早産によって引き起こされるが、一方、ARDSの場合の肺サーファクタント不全は種々の病因に基づく肺の疾病によって引き起こされる。
【0007】
ALI(急性肺損傷)、例えばARDSの引き金となる原因は、例えば[ハリソンの内科原理、第10版、1983年、McGraw−Hill Int.Book Comp(Harrison's Principles of Internal Medicine 10th Ed. 1983 McGraw-Hill Int. Book Comp.)に従って引用される]びまん性肺感染(例えばウイルス、細菌、菌類による)、例えば胃液吸入又は溺れかけた時、毒物もしくは刺激物(例えば塩素ガス、窒素酸化物、煙)の吸引、直接的又は間接的な外傷(例えば多発骨折又は肺挫傷)、肺外の炎症に対する全身反応(例えば出血性膵炎、グラム陰性敗血症)、高血液容量の輸血又は選択的に心肺バイパス後である場合がある。
【0008】
目下、ARDSの療法は主に、体外膜型酸素化による種々の形態の換気(例えば呼吸気の酸素濃度の増大)のできる限り早い適用にある。種々の換気技術の特別な使用は、死亡率の僅かな低下を導くにすぎず、これは圧力を伴う高いFiO(吸入酸素分圧;呼吸気中の酸素の割合)での換気により肺を損傷させる危険をはらんでいる。特に、換気により肺が損傷を受けてたARDS患者は、好適な血液酸素化を得るために更に高圧とより高いFiOを必要とする。
【0009】
種々の重度のサーファクタント異常は多くの他の疾病状態、例えば閉塞性肺疾患、例えば喘息、細気管支炎、COPD及び肺移植後又は選択的に心肺バイパス後についても報告されている[概要は、例えばM. Griese Eur. Respir. J. 1999; 13: 1455-1467]。Hohlfeld他[Hohlfeld J et al. Eur Respir J 1997, 10: 482-91]によって論評されるように、喫煙はCOPD患者に知られる肺胞破壊及び気道炎症の病因となるだけでなく、サーファクタントの組成と機能を変更させる原因となる。
【0010】
長年にわたり、肺サーファクタント調剤を当該児童の肺に導入することによってIRDSを治療することが好適であると判明している。肺サーファクタント調剤がARDSを含むALIにおいても臨床的に有効であるということは予備試験から知られている。
【0011】
WO00027360号は、IRDS又はARDSの治療用の、粉末状の肺サーファクタント調剤を含有する第一の容器と粉末状の界面活性調剤を含有する第二の容器を含む治療セットを開示している。
【0012】
WO00158423号は、慢性疾病、例えばCOPD、喘息、嚢胞性線維症、肺変性、慢性気管支炎又は肺気腫の予防又は治療用の医薬品の製造のための肺サーファクタント調剤の使用を開示している。
【0013】
肺サーファクタントと他の治療学的に有効な化合物との組合せ物は当業者に公知である。WO9609831号は、グルココルチコステロイドと肺サーファクタントとを含有するARDS及びIRDSの治療用の組成物を指摘している。WO9835683号は、IRDS及びARDSの治療用の、N−(3,5−ジクロロピリジ−4−イル)−3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロメトキシベンザミドと肺サーファクタントとを含有する組成物に関する。WO9966926号は、IRDS及びARDSの治療用の、4−(2,6−ジクロロアニリノ)−3−チオフェン酢酸又は2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル 4−(2,6−ジクロロアニリノ)−3−チオフェン酢酸エステルと肺サーファクタントとを含有する組成物に関する。WO03011316号は、選択的COX−2阻害剤と肺サーファクタントとの組合せ物に関する。
【0014】
一連の全体のPDE5阻害物質はその業界で公知であり、勃起不全及び肺高血圧の治療のための強力かつ効果的な物質として述べられている。例えばEP1223170号は、PDE5阻害剤及び肺高血圧と喘息の予防又は治療のためのその使用を開示している。
【0015】
発明の要旨
本発明は、肺サーファクタントと組み合わせてPDE5阻害剤を含有する医薬品組成物、並びに肺サーファクタント機能不全及び/又はホスホジエステラーゼ5(PDE5)活性が有害となる疾病の症状の出始めを予防又は軽減するための方法、及び肺サーファクタント機能不全及び/又はホスホジエステラーゼ5(PDE5)活性が有害となる疾病の重症度を治療又は軽減するための方法に関する。
【0016】
特に本発明は、肺サーファクタントと組み合わせてPDE5阻害剤を投与することにより、肺サーファクタント機能不全及び/又はホスホジエステラーゼ5(PDE5)活性によって媒介される疾病を治療するための医薬品組成物及び方法に関する。
【0017】
この関連において、本発明の課題は、以下の条件:
− 肺サーファクタント機能不全の低減
− 換気/潅流ミスマッチのリマッチング
− 酸素化の回復
− 身体機能の改善
を満たす一定の治療薬を提供することである。
【0018】
肺サーファクタントとPDE5阻害剤とを組み合わせて使用することで、前記の少なくとも1つの条件が満たされることが判明した。有利には、肺サーファクタントとPDE5阻害剤とを組み合わせた使用は前記の少なくとも2つの条件を満たす。特に有利には、肺サーファクタントとPDE5阻害剤とを組み合わせて使用することで、前記の少なくとも3つの条件が満たされることが判明した。
【0019】
従って、本発明は第一の態様では、肺サーファクタント及び/又はホスホジエステラーゼ5(PDE5)の活性が有害となる疾病の症状の出始めを予防又は軽減するための、又はかかる疾病の重症度を治療又は軽減するための、必要とする患者における肺サーファクタントとPDE5阻害剤との組合せ使用に関する。
【0020】
本発明のもう一つの態様では、肺サーファクタント機能不全及び/又はホスホジエステラーゼ5(PDE5)の活性が有害となる疾病の症状の出始めを予防又は軽減するための、又はかかる疾病の重症度を治療又は軽減するための必要とする患者における医薬品を製造するための、肺サーファクタントとPDE5阻害剤との組合せ物の使用を提供している。
【0021】
本発明のもう一つの態様では、肺サーファクタント機能不全及び/又はホスホジエステラーゼ5(PDE5)の活性が有害となる疾病の症状の出始めを予防又は軽減するか、又は肺サーファクタント機能不全及び/又はホスホジエステラーゼ5(PDE5)の活性が有害となる疾病の重症度を治療又は軽減するにあたり、それを必要とする患者に、有効量の(1)肺サーファクタントと(2)PDE5阻害剤とを投与することによる方法を提供している。
【0022】
本発明のもう一つの態様では、肺サーファクタント機能不全及び/又はホスホジエステラーゼ5(PDE5)の活性が有害となる疾病の症状の出始めを予防又は軽減するか、又は肺サーファクタント機能不全及び/又はホスホジエステラーゼ5(PDE5)の活性が有害となる疾病の重症度を治療又は軽減するにあたり、それを必要とする患者に、有効量の肺サーファクタントとPDE5阻害剤及び、場合により製剤学的に認容性の担体の固定組合せ物を投与することによる方法を提供している。
【0023】
本発明のもう一つの態様では、肺サーファクタント機能不全及び/又はホスホジエステラーゼ5(PDE5)の活性が有害となる疾病の症状の出始めを予防又は軽減するか、又は肺サーファクタント機能不全及び/又はホスホジエステラーゼ5(PDE5)の活性が有害となる疾病の重症度を治療又は軽減するにあたり、それを必要とする患者に、有効量の肺サーファクタントとPDE5阻害剤及び、場合により製剤学的に認容性の担体の自由組合せ物を投与することによる方法を提供している。
【0024】
本発明のもう一つの態様では、肺サーファクタント機能不全及び/又はホスホジエステラーゼ5(PDE5)の活性が有害となる疾病の症状の出始めを予防又は軽減するか、又は肺サーファクタント機能不全及び/又はホスホジエステラーゼ5(PDE5)の活性が有害となる疾病の重症度を治療又は軽減するにあたり、それを必要とする患者に、有効量の(1)肺サーファクタントと(2)PDE5阻害剤とを同時に投与することによる方法を提供している。
【0025】
もう一つの態様では、本発明は、肺サーファクタント機能不全及び/又はホスホジエステラーゼ5(PDE5)の活性が有害となる疾病の症状の出始めを予防又は軽減するか、又は肺サーファクタント機能不全及び/又はホスホジエステラーゼ5(PDE5)の活性が有害となる疾病の重症度を治療又は軽減するにあたり、それを必要とする患者に、有効量の(1)肺サーファクタントと(2)PDE5阻害剤を、連続的に、時間的に接近して又は時間的に離して、任意の順序で、それを必要とする患者に投与することによる方法に関する。
【0026】
本発明のもう一つの態様では、COPD、気管支炎、気管支喘息、肺線維症、肺気腫、間質性肺疾患、肺炎、ALI、ARDS、IRDS及び気管支喘息からなる群から選択される疾病の症状の出始めを予防又は軽減するための、又はかかる疾病の重症度を治療又は軽減するための必要とする患者における医薬品を製造するための、肺サーファクタントとPDE5阻害剤との組合せ物の使用を提供している。
【0027】
本発明は、肺サーファクタント機能不全及び/又はホスホジエステラーゼ5(PDE5)の活性が有害となる疾病の症状の出始めを予防又は軽減するか、又は肺サーファクタント機能不全及び/又はホスホジエステラーゼ5(PDE5)の活性が有害となる疾病の重症度を治療又は軽減するために効果的な医薬品組成物を製造する方法において、有効量の肺サーファクタントとPDE5阻害剤を製剤学的に認容性の担体と混合することを含む方法に関する。
【0028】
本発明のもう一つの態様では、肺サーファクタントと固定組合せでPDE5阻害剤及び場合により製剤学的に認容性の担体を含有する、肺サーファクタント機能不全及び/又はホスホジエステラーゼ5(PDE5)活性が有害となる疾病の症状の出始めを予防又は軽減するため又はかかる疾病の重症度を治療又は軽減するための医薬品組成物を提供している。
【0029】
本発明のもう一つの態様では、肺サーファクタントと自由組合せでPDE5阻害剤を含有する、肺サーファクタント機能不全及び/又はホスホジエステラーゼ5(PDE5)活性が有害となる疾病の症状の出始めを予防又は軽減するため又はかかる疾病の重症度を治療又は軽減するための医薬品組成物を提供している。
【0030】
本発明のもう一つの態様では、COPD、気管支炎、気管支喘息、肺線維症、肺気腫、間質性肺疾患、肺炎、ALI、ARDS、IRDS又は気管支喘息からなる群から選択される疾病の症状の出始めを予防又は軽減するため又はかかる疾病の重症度を治療又は軽減するための、肺サーファクタントとPDE5阻害剤及び場合により製剤学的に認容性の担体を含有する医薬品組成物の使用を提供している。
【0031】
発明の詳細な説明
本発明の主題である組合せ療法は、肺サーファクタントと一緒にPDE5阻害剤とを投与して、肺サーファクタント機能不全及び/又はホスホジエステラーゼ5(PDE5)の活性が有害となる疾病の症状の出始めを予防することを含む。
【0032】
従って、本発明は、肺サーファクタント機能不全及び/又はホスホジエステラーゼ5(PDE5)の活性が有害となる疾病の症状の予防又はかかる疾病の治療において、肺サーファクタントとPDE5阻害剤とを組み合わせて使用することに関する。
【0033】
本発明において有用な肺サーファクタントは、天然の肺サーファクタントと同じ界面活性特性(天然の肺サーファクタントは、例えば肺胞中の表面張力を下げる)を有することが知られている任意の化合物又は肺サーファクタント調剤であってよい。
【0034】
肺サーファクタントの界面活性を測定できる簡単かつ迅速な生体内試験は、例えばいわゆるウィルヘルミーバランスである[Goerke, J. Biochim. Biophys. Acta, 344: 241-261 (1974), King R.J. and Clements J.A., Am. J. Physicol. 223: 715-726 (1972)]。前記方法は、約0mN/mの表面張力を達成する肺サーファクタントの作用として測定されて、肺サーファクタント品質についての情報を与える。肺サーファクタントの界面活性を測定するためのもう一つの測定装置は脈動気泡界面活性計(pulsating bubble surfactometer)[Possmayer F. et al., Prog. Resp. Res., Ed. v. Wichert, Vol. 18: 112-120 (1984)]である。肺サーファクタント調剤の活性は、例えばHafer他[D. Haefner et al.:急性肺損傷のラット肺洗浄モデルにおける酸素化と組織学に対するrSP−Cサーファクタントの効果(Effects of rSP-C surfactant on oxygenation and histology in a rat lung lavage model of acute lung injury.) Am. J. Respir. Crit. Care Med. 1998, 158: 270-278]によって記載されるように生体内試験によって測定することもできる。
【0035】
公知の肺サーファクタント調剤の群と本発明で使用される肺サーファクタントとして有用でありうるそれらの改変物は、天然の肺サーファクタントの機能を有する肺サーファクタント調剤を含む。有利な肺サーファクタント調剤は、例えば前記の試験で活性を有するものである。特に有利な肺サーファクタント調剤は、かかる試験において、天然の肺サーファクタント、特に天然のヒトの肺サーファクタントと比較して高い活性を示すものである。この関連で、これらは、リン脂質のみを含有する組成物であるが、リン脂質の他に、とりわけ付加的に肺サーファクタントタンパク質を含有する組成物であってもよい。
【0036】
本発明による有利なリン脂質は、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、パルミトイルオレイルホスファチジルグリセロール(POPG)及び/又はホスファチジルグリセロール(PG)である。特に有利には、リン脂質は、種々のリン脂質の混合物、特にジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)及びパルミトイルオレイルホスファチジルグリセロール(POPG)の、有利には7対3〜3対7の比の混合物である。
【0037】
肺サーファクタント調剤として挙げることができる市販製品は、
・ クロサーフォ(R)(CUROSURFO)(INN:ポラクタントアルファ(PORACTANT ALFA))(セロノ医薬研究所(Serono, Pharma GmbH)、Unterschleissheim)、均質化されたブタ肺由来の天然のサーファクタント;
・ サーバンタ(R)(SURVANTA)(INN:ベラクタント)(アボット・ゲーエムベーハー(Abbott GmbH)、ヴィースバーデン)、ウシ肺の抽出物;
・ アルベオファクト(R)(ALVEOFACTO)(INN:ボバクタント(BOVACTANT))(ベーリンガーインゲルハイム)、ウシ肺の抽出物;
・ エキソサーフォ(R)(EXOSURFO)(INN:パルミチン酸コルフォセリル)(グラクソスミスクライン)、賦形剤を含有する合成リン脂質;
・ サーファクテン(R)(INN:サーファクテンTA)(三菱ウェルファーマ株式会社)、ウシ肺から抽出された肺サーファクタント;
・ インファサーフ(R)(INFASURF)(INN:カルファクタント(CALFACTANT)(フォレスト・ファーマシューティカル(Forest Pharmaceutical))、仔ウシ肺から抽出されたサーファクタント;
・ アレック(R)(ALEC)(INN:プマクタント(PUMACTANT))(ブリタニア・ファーマシューティカル(Britannia Pharmaceutical)、DPPCとPGの人工サーファクタント;及び
・ ブレス(R)(BLESS)(ブレス・バイオケミカル・インク(BLES Biochemical Inc.))、ウシ脂質抽出物サーファクタント
である。
【0038】
好適な肺サーファクタントタンパク質は、天然源、例えば肺洗浄又は羊水からの抽出により得られるタンパク質、及び遺伝子工学又は化学合成によって製造されるタンパク質の両者である。本発明によれば、特にSP−B(サーファクタントタンパク質B)及びSP−C(サーファクタントタンパク質C)と呼ばれる肺サーファクタントタンパク質並びにそれらの改質誘導体に関心が持たれる。これらの肺サーファクタントタンパク質のアミノ酸配列、それらの単離又は遺伝子工学による製造は公知である(例えばWO8603408号、EP0251449号、WO8904326号、WO8706943号、WO8803170号、WO9100871号、EP0368823号及びEP0348967号)。ヒトのSP−Cとは幾つかのアミノ酸置換によって異なる、SP−Cと呼ばれる肺サーファクタントの改質誘導体は、例えばWO9118015号及びWO9532992号に記載されている。この関連で特に協調されるべきは組み換えSP−C(rSP−C)誘導体であり、これらはWO9532992号に記載され、特にヒトのSP−Cとは4位と5位においてシステインがフェニルアラニンに置換され、かつ32位においてメチオニンがイソロイシンによって置換されることで異なっている[そこではrSP−C(FF/I)又はルスプルチド(LUSUPULTIDE)(INN)又はベンチキュート(R)(VENTICUTE)と呼ばれる]。肺サーファクタントタンパク質の改質誘導体は、例えばEP0593094号及びWO9222315号に記載されるような、肺サーファクタントタンパク質に関連して完全に最初から設計されたアミノ酸配列を有するタンパク質を意味するとも解される。有利には、この関連でポリペプチドKL4(INN:シナプルチド、サーファキシン(R))を挙げることができる。本発明による肺サーファクタントタンパク質という名称は、種々の肺サーファクタントタンパク質の混合物も含むものである。EP0100910号、EP0110498号、EP0119056号、EP0145005号及びEP0286011号では肺サーファクタントタンパク質を含有するリン脂質組成物と該タンパク質を含有しないリン脂質組成物とが記載されており、これらは同様に調剤の成分として適している。
【0039】
肺サーファクタント調剤中に存在してよい更なる成分として、脂肪酸、例えばパルミチン酸が挙げられる。肺サーファクタント調剤は、有利な粘性を達成するために、電解質、例えばカルシウム塩、マグネシウム塩及び/又はナトリウム塩(例えば塩化カルシウム、塩化ナトリウム及び/又は炭酸水素ナトリウム)を含有してもよい。本発明による有利な肺サーファクタント調剤は、80〜85質量%のリン脂質、0.5〜3.0質量%の肺サーファクタントタンパク質、3〜15質量%の脂肪酸、有利にはパルミチン酸及び0〜3質量%の塩化カルシウムを含有する。
【0040】
肺サーファクタント調剤は、自体公知の方法及び当業者によく知られた方法、例えばWO9532992号に記載された方法によって製造される。本発明によれば、肺サーファクタント調剤は、有利には凍結乾燥された、特に噴霧乾燥された肺サーファクタント調剤である。凍結乾燥された調剤は、例えばWO9735882号、WO9100871号及びDE3229179号に開示されている。WO9726863号は、噴霧乾燥により粉末化された肺サーファクタント調剤の製造方法を記載している。本発明によれば、前記のように製造された調剤が好ましい。
【0041】
本発明において有用なPDE5阻害剤は、PDE5酵素を阻害することが知られているか、又はPDE5阻害剤として作用することが明らかとなっており、かつ唯一のPDE5阻害剤又は実質的に唯一のPDE5阻害剤である任意の化合物であってよいが、治療効果を示す程度まで他のPDEファミリーの一員並びにPDE5を阻害する化合物ではない。
【0042】
本発明で有用に使用できるPDE5阻害剤の一群は以下の化合物から選択される化合物を含む:
・ SY−39:4−メチル−5−(4−ピリジニル)チアゾール−2−カルボキサミド;これらの化合物及びそれらの製剤学的に認容性の塩の製造並びにPDE5阻害剤としてのそれらの使用は特許出願EP0199968号に開示されている。
【0043】
・ ジピリダモール:2,2′,2′′,2′′′−[(4,8−ジピペリジノピリミド[5,4−d]ピリミジン−2,6−ジイル)−ジニトリロ]−テトラエタノール;これらの化合物及びそれらの製剤学的に認容性の塩の製造並びにPDE5阻害剤としてのそれらの使用は特許出願DE1116676号に開示されている。
【0044】
・ SKF−96231:2−(2−プロポキシフェニル)プリン−6(1H)−オン2−(2−プロポキシフェニル)−1,7−ジヒドロ−5H−プリン−6−オン;これらの化合物及びその製剤学的に認容性の塩の製造並びにPDE5阻害剤としてのそれらの使用は特許出願EP0293063号に開示されている。
【0045】
・ ER−21355:1−[6−クロロ−4−(3,4−メチレンジオキシベンジルアミノ)キナゾリン−2−イル]−ピペリジン−4−カルボン酸;これらの化合物及びその製剤学的に認容性の塩の製造並びにPDE5阻害剤としてのそれらの使用は特許出願WO9307124号に開示されている。
【0046】
・ SCH−51866:(+)−シス−5−メチル−2−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−3,4,5,6a,7,8,9−オクタヒドロシクロペンタ[4,5]イミダゾ[1,2−b]プリン−4−オン;これらの化合物及びその製剤学的に認容性の塩の製造並びにPDE5阻害剤としてのそれらの使用は特許出願WO9419351号に開示されている。
【0047】
・ A−02131−1:5−[6−フルオロ−1−(フェニルメチル)−1H−インダゾール−3−イル]−2−フラン−メタノール;これらの化合物及びその製剤学的に認容性の塩の製造並びにPDE5阻害剤としてのそれらの使用は特許出願EP0667345号に開示されている。
【0048】
・ SCH−59498:シス−2−ヘキシル−5−メチル−3,4,5,6a,7,8,9,9a−オクタヒドロシクロペンタ[4,5]イミダゾ[2,1−b]プリン−4−オン;これらの化合物及びその製剤学的に認容性の塩の製造並びにPDE5阻害剤としてのそれらの使用は特許出願WO9119717号に開示されている。
【0049】
・ E−4010:4−(3−クロロ−4−メトキシベンジルアミノ)−1−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)−フタラジン−6−カルボニトリル;これらの化合物及びその製剤学的に認容性の塩の製造並びにPDE5阻害剤としてのそれらの使用は特許出願WO9605176号に開示されている。
【0050】
・ タダラフィル:(6R,12aR)−2,3,6,7,12,12a−ヘキサヒドロ−2−メチル−6−(3,4−メチレンジオキシ−フェニル)−ピラジノ[2′,1′:6,1]ピリド[3,4−b]インドール−1,4−ジオン;これらの化合物及びその製剤学的に認容性の塩の製造並びにPDE5阻害剤としてのそれらの使用は特許出願WO9519978号に開示されている。
【0051】
・ バルデナフィル:2−[2−エトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)フェニル]−5−メチル−7−プロピルイミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)−オン;これらの化合物及びその製剤学的に認容性の塩の製造並びにPDE5阻害剤としてのそれらの使用は特許出願WO9924433号に開示されている。
【0052】
・ UK−343664:1−エチル−4−[[3−[3−エチル−4,7−ジヒドロ−7−オキソ−2−(2−ピリジニルメチル)−2H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル]−4−プロポキシフェニル]スルホニル]−ピペラジン;これらの化合物及びその製剤学的に認容性の塩の製造並びにPDE5阻害剤としてのそれらの使用は特許出願WO9849166号に開示されている。
【0053】
・ T−0156:2−(2−メチルピリジン−4−イルメチル)−1−オキソ−8−(2−ピリミジニルメトキシ)−4−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−1,2−ジヒドロ[2,7]ナフチリジン−3−カルボン酸メチルエステル;これらの化合物及びその製剤学的に認容性の塩の製造並びにPDE5阻害剤としてのそれらの使用は特許出願WO0012503号に開示されている。
【0054】
・ DA−8159:3−(1−メチル−7−オキソ−3−プロピル−6,7−ジヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル)−N−[2−(1−メチルピロリジン−2−イル)エチル]−4−プロポキシベンゼンスルホンアミド;これらの化合物及びそれらの製剤学的に認容性の塩の製造並びにPDE5阻害剤としてのそれらの使用は特許出願WO0027848号に開示されている。
【0055】
・ FR−181074:1−(2−クロロベンジル)−3−イソブチリル−2−プロピルインドール−6−カルボキサミド;これらの化合物及びそれらの製剤学的に認容性の塩の製造並びにPDE5阻害剤としてのそれらの使用は特許出願WO9632379号に開示されている。
【0056】
・ FR−226807:N−(3,4−ジメトキシベンジル)−2−[2−ヒドロキシ−1(R)−メチルエチルアミノ]−5−ニトロベンザミド;これらの化合物及びそれらの製剤学的に認容性の塩の製造並びにPDE5阻害剤としてのそれらの使用は特許出願WO9954284号に開示されている。
【0057】
・ シルデナフィル:5−[2−エトキシ−5−(4−メチル−1−ピペラジニルスルホニル)フェニル]−1−メチル−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;これらの化合物及びそれらの製剤学的に認容性の塩の製造並びにPDE5阻害剤としてのそれらの使用は特許出願EP0463756号に開示されている。
【0058】
・ KF−31327:3−エチル−8−[2−[4−(ヒドロキシメチル)ピペリジン−1−イル]ベンジルアミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−g]キナゾリン−2−チオン;これらの化合物及びそれらの製剤学的に認容性の塩の製造並びにPDE5阻害剤としてのそれらの使用は特許出願WO9808848号に開示されている。
【0059】
・ T−1032:2−(4−アミノフェニル)−1−オキソ−7−(2−ピリジニルメトキシ)−4−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル;これらの化合物及びその製剤学的に認容性の塩の製造並びにPDE5阻害剤としてのそれらの使用は特許出願WO9838168号に開示されている。
【0060】
・ FR−229934:ペンタン−1−スルホン酸[1−[3−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−2−メチル−3H−ベンゾイミダゾール−5−イル]−メタノイル]−アミド;これらの化合物及びそれらの製剤学的に認容性の塩の製造並びにPDE5阻害剤としてのそれらの使用は特許出願WO9900373号に開示されている。
【0061】
・ BMS−263504:1−[[3−(7,8−ジヒドロ−8−オキソ−1H−イミダゾ[4,5−g]キナゾリン−6−イル)−4−プロポキシフェニル]スルホニル]−4−メチルピペラジン;これらの化合物及びそれらの製剤学的に認容性の塩の製造並びにPDE5阻害剤としてのそれらの使用は特許出願WO9964004号に開示されている。
【0062】
・ WIN−65579:1−シクロペンチル−6−(3−エトキシ−4−ピリジニル)−3−エチル−1,7−ジヒドロ−4H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オン;これらの化合物及びそれらの製剤学的に認容性の塩の製造並びにPDE5阻害剤としてのそれらの使用は特許出願US5294612号に開示されている。
【0063】
・ UK−371800:3−エチル−5−[5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)−2−[2−メトキシ−1(R)−メチル−エトキシ]ピリジン−3−イル]−2−メチル−6,7−ジヒドロ−2H−ピラゾロ[4,3−d]−ピリミジン−7−オン;これらの化合物及びそれらの製剤学的に認容性の塩の製造並びにPDE5阻害剤としてのそれらの使用は特許出願WO9954333号に開示されている。
【0064】
・ BF/GP−385:2−(1H−イミダゾール−1−イル)−6−メトキシ−4−(2−メトキシエチルアミノ)−キナゾリン;これらの化合物及びそれらの製剤学的に認容性の塩の製造並びにPDE5阻害剤としてのそれらの使用は特許出願EP0579496号に開示されている。
【0065】
・ CP−248:(1Z)−N−ベンジル−2−[6−フルオロ−2−メチル−3−(3,4,5−トリメトキシベンジリデン)−3H−インデン−1−イル]−アセトアミド;これらの化合物及びそれらの製剤学的に認容性の塩の製造並びにPDE5阻害剤としてのそれらの使用は特許出願WO9747303号に開示されている。
【0066】
・ ザプリナスト:3,6−ジヒドロ−5−(o−プロポキシフェニル)−7H−s−トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−7−オン;これらの化合物及びそれらの製剤学的に認容性の塩の製造並びにPDE5阻害剤としてのそれらの使用は特許出願DE2162096号に開示されている。
【0067】
・ ベスナリノン:3,4−ジヒドロ−6−[4−(3,4−ジメトキシベンゾイル)−1−ピペラジニル]−2(1H)−キノリノン;これらの化合物及びそれらの製剤学的に認容性の塩の製造並びにPDE5阻害剤としてのそれらの使用は特許出願DE3142982号に開示されている。
【0068】
用語“製剤学的に認容性の塩”の範囲内に含まれる塩は、遊離塩基と好適な有機酸又は無機酸とを反応させるか、又は該酸と好適な有機塩基又は無機塩基とを反応させることによって一般的に製造される無毒の化合物の塩を指す。薬学で慣用に使用される製剤学的に認容性の無機酸及び有機酸の塩が特に挙げられる。適当な塩は、例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、酢酸、クエン酸、D−グルコン酸、安息香酸、2−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、酪酸、スルホサリチル酸、マレイン酸、ラウリン酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、シュウ酸、酒石酸、エンボン酸、ステアリン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸又は3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸のような酸との水溶性及び水不溶性の酸付加塩であり、その際、前記の酸は塩調製において(一塩基酸又は多塩基酸のどちらであるかに依存して、そしてどの塩が望ましいかに依存して)等モル量比又はそれとは異なる比で使用される。
【0069】
塩基との塩の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム、マグネシウム、チタン、アンモニウム、メグルミン又はグアニジニウムの塩であり、その際、この場合にも塩基は塩調製において等モル量比又はそれとは異なる比で使用される。
【0070】
前記の有効化合物及び製剤学的に認容性の塩は、例えば製剤学的に認容性の溶媒和物の形、特にその水和物の形で存在してもよいと解されるべきである。
【0071】
本発明において特に有利なPDE5阻害剤の一群[以下に“選択されたPDE5阻害剤”と呼称する]は、タダラフィル(Cialis(R))、シルデナフィル(Viagra(R))、バルデナフィル(Levitra(R))、UK357903、E8010及びTA−1790及びこれらの化合物の製剤学的に認容性の塩からなる。有利な選択されたPDE5阻害剤は、タダラフィル(Cialis(R))、シルデナフィル(Viagra(R))及びバルデナフィル(Levitra(R))及びこれらの化合物の製剤学的に認容性の塩である。シルデナフィル(Viagra(R))及びその製剤学的に認容性の塩が特に好ましい。
【0072】
挙げることができる“肺サーファクタント機能不全及び/又はホスホジエステラーゼ5(PDE5)活性が有害となる疾病”は、特に肺サーファクタント不全素因及びミスマッチ素因による種々の由来の疾患である。例として挙げられる疾病は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支炎、気管支喘息、肺線維症、肺気腫、間質性肺疾患、肺炎、ALI(急性肺損傷)、ARDS(成人性呼吸促迫症候群)、IRDS(新生児呼吸困難症候群)及び気管支喘息である。有利な例は、COPD、ALI、ARDS、IRDS及び気管支喘息である。
【0073】
“肺サーファクタント不全素因”という表現は、天然の肺サーファクタントが、例えば肺胞中の表面張力を低下させる界面活性特性の機能的障害を特徴とする、例えば肺胞中の表面張力を低下させる疾病素因を指す。特にそれは、天然の肺サーファクタントの破壊を特徴とし、結果、天然の肺サーファクタントの界面活性特性の損失をもたらす疾病素因を指す。
【0074】
表現“ミスマッチ素因”とは、
1. 低酸素症(ガス交換の低下に伴う患者の血中の酸素含量の低下)、無効潅流(換気がない領域の不経済な潅流)及び無効換気(潅流の乏しい領域の不経済な換気)を引き起こす肺胞のガス交換機能の多かれ少なかれ顕著な虚脱を特徴とする疾病素因、及び/又は
2. 疲労筋群の潅流を害するほどの非疲労筋群の無効潅流を引き起こす骨格筋の潅流における多かれ少なかれ顕著な虚脱を特徴とする疾病素因
を指す。
【0075】
本発明によれば、疾病のミスマッチ素因は、筋肉への酸素不足と組み合わさって、心肺予備力が“浪費”され、こうして筋機能に制限をもたらすため、患者の能力に制限をもたらす。臨床的症状は、能力の制限と運動依存性又は永続性の呼吸困難である。
【0076】
本発明によれば、骨格筋における“潅流/要求のマッチング”の調節は、肺と同様に、内因性血管拡張剤(特にNO/cGMP)の局所放出を通して行われる。要求主導型の潅流は、疲労筋群に優勢であり(筋選択性)、筋群のなかでも、殊に疲労筋繊維型に優勢である(筋内選択性)。従って、疲労型、疲労の期間及び疲労の程度が生理学状況下に、その都度、特異的な潅流プロフィールを決定する。種々の炎症性疾患(例えばCOPD)は潅流/要求のミスマッチをもたらすことがある。結果的に、疲労筋群の潅流を害するほどの非疲労筋群の無効潅流がもたらされ、筋能力に制限が生ずる。
【0077】
本発明によれば、“リマッチング”という表現は、ミスマッチが緩和され、肺循環の血管が拡張されるのと同時に、肺内の換気のより良い肺の領域を選んで肺内の血流が再配分される機構を指す。この機構は、休息時と身体運動時の両方でのガス交換機能の改善をもたらす。PDE5阻害剤は、換気と潅流の生理学的順応の意味で、特に換気の良い領域で必要な血管拡張の強化を可能にし、そうして肺内のcGMP分布の生理学的不均等が強まり、こうしてリマッチングが促進されると示されている。この機構によってガス交換は強化され、そして酸素供給は改善される。またリマッチングは、骨格筋における“潅流/要求のマッチング”の緩和を指し、その血流は疲労筋群に優勢(筋選択性)に再配分され、そして筋群のなかでも、殊に疲労筋繊維型に優勢である(筋内選択性)。
【0078】
表現“組み合わせの使用”(又は“組合せ物”)とは、意図される特定の治療計画の部分として肺サーファクタントとPDE5阻害剤とを投与して、これらの治療剤の相互作用により有益な効果を提供することに及ぶ。これらの治療剤を組み合わせて投与することは、一般に、規定の時間(選択された組合せ物によっては通常、分、時間、日又は週)にわたり行われる。“組み合わせの使用”は一般に、これらの2種の治療剤を、偶発的そして任意に本発明の組合せ物をもたらす別々の単独療法の部分として投与すること含むことを意図していない。
【0079】
“組合せ使用”又は“組合せ”は、本発明の範囲内では、個々の成分を同時に(組合せ医薬品の形で−“固定組合せ物”)、大体同時に、又はそれぞれ連続的に(別個の個装から−“自由組合せ物”;直接連続的に又は選択的に比較的長時間の間隔で)自体公知のかつ慣用の様式で投与できることを意味すると解されるべきである。例としては、一方の治療剤を朝に摂取し、そしてもう一方をその日中に摂取してよい。また、別の筋書きでは1種の治療剤を一日一回投与し、もう一方を1週間に二回投与してよい。個々の成分を直接連続的に投与する場合には、第二の成分の投与の遅延により、例えば組合せ物の有益な治療効果を逃すべきではない。
【0080】
本発明は、本願に記載される本発明の特定の態様及び有利な態様の全ての組合せを包含すると理解されるべきである。このように本発明は明らかに、肺サーファクタントの例として本願に挙げられた全ての化合物又は調剤とPDE5阻害剤として本願に挙げられる全ての化合物並びに全ての可能な必然の組合せ物を明示している。特に、肺サーファクタントとPDE5阻害剤の組合せ物の有利な例として挙げられる組合せ物は、
・ シルデナフィルとルスプルチドの組合せ物、
・ タダラフィルとルスプルチドの組合せ物、
・ バルデナフィルとルスプルチドの組合せ物、
・ シルデナフィルとシナプルチドの組合せ物、
・ タダラフィルとシナプルチドの組合せ物、
・ バルデナフィルとシナプルチドの組合せ物、
・ シルデナフィルとポラクタントアルファの組合せ物、
・ タダラフィルとポラクタントアルファの組合せ物、
・ バルデナフィルとポラクタントアルファの組合せ物、
・ シルデナフィルとベラクタントの組合せ物、
・ タダラフィルとベラクタントの組合せ物、
・ バルデナフィルとベラクタントの組合せ物、
・ シルデナフィルとボバクタントの組合せ物、
・ タダラフィルとボバクタントの組合せ物、
・ バルデナフィルとボバクタントの組合せ物、
・ シルデナフィルとパルミチン酸コルフォセリルの組合せ物、
・ タダラフィルとパルミチン酸コルフォセリルの組合せ物、
・ バルデナフィルとパルミチン酸コルフォセリルの組合せ物、
・ シルデナフィルとサーファクタントTAの組合せ物、
・ タダラフィルとサーファクタントTAの組合せ物、
・ バルデナフィルとサーファクタントTAの組合せ物、
・ シルデナフィルとカルファクタントの組合せ物、
・ タダラフィルとカルファクタントの組合せ物、及び
・ バルデナフィルとカルファクタントの組合せ物
である。
【0081】
肺サーファクタントとPDE5阻害剤との組合せ物の特に有利な例は、シルデナフィルとルスプルチドの組合せ物、タダラフィルとルスプルチドの組合せ物、並びにバルデナフィルとルスプルチドの組合せ物である。
【0082】
それぞれの治療剤のほぼ同時の投与は、例えばそれが必要な被験者に気管内又は気管支内の投与によって、固定比の各治療剤を含有する溶解された液状治療剤の点滴注入としてか、エーロゾル化された溶液としてか、又は乾燥粉末として実施できる。
【0083】
それぞれの治療剤を連続的に、時間的に接近して又は時間的に離して投与することは、任意の好適な経路によって、例えばそれらに制限されないが、気管内又は気管支内の点滴注入、経口経路、静脈内経路、筋内経路、そして直接吸収又は粘膜組織を通じての吸収によって実施できる。治療剤は、同じ経路又は異なる経路によって投与してよい。例えば、選択された組合せ物の第一の治療剤を気管内又は気管支内の点滴注入によって投与する一方で、該組合せ物の他方の治療剤を経口的に、静脈内で、気管内で、気管支内で、舌下で、腹腔内で又は皮下で投与してよい。治療剤を投与する順序は厳密には重要ではない。
【0084】
肺サーファクタントの最も有利な投与形路は、液状形又はエーロゾル化された溶液での点滴注入による又は乾燥粉末としての気管内又は気管支内経路である。
【0085】
肺サーファクタントの乾燥粉末製剤は、有利にはWO9726863号に記載される噴霧乾燥法によって製造される。
【0086】
PDE5阻害剤の最も有利な投与経路は経口経路である。もう一つの有利な実施態様では、PDE5阻害剤は静注又は注射によって投与される。更なる一実施態様では、PDE5阻害剤は筋内注入又は皮下注入によって投与される。他の投与経路、例えば吸入による経鼻経路及び経皮経路及び気管内又は気管支内での点滴注入も検討される。
【0087】
経口投与を意図する医薬品組成物の場合には、治療剤を配合して、自体公知の方法及び当業者によく知られた方法に従って医薬品が得られる。治療剤は医薬品として、有利には適当な医薬品担体と組み合わせて、錠剤、被覆錠剤、カプセル剤、カプレット剤、エマルジョン、懸濁液、シロップ又は液剤の形で使用され、その際、治療剤含量は有利には0.1〜95質量%であり、そして適当な担体の選択によって、治療剤及び/又は所望の作用開始(例えば徐放形又は腸溶形)に厳密に合わせた医薬品投与形を達成することができる。
【0088】
当業者はその専門知識により所望の医薬品製剤に適した担体又は賦形剤に精通している。溶剤、ゲル形成剤、錠剤助剤及び他の有効化合物担体の他に、例えば、酸化防止剤、分散剤、乳化剤、消泡剤、矯臭剤、保存剤、可溶化剤、着色剤又は浸透促進剤及び錯化剤(例えばシクロデキストリン)を使用することができる。
【0089】
本発明の治療剤は、この分野で知られる種々の方法によって投与できるが、多くの治療用途のためには、有利な投与形路は、肺サーファクタントを乾燥粉末として吸入によるか、又は気管内又は気管支内での液体の点滴注入によって投与し、かつPDE5阻害剤を経口投与する、肺サーファクタントとPDE5阻害剤との自由組合せ物である。幾つかの治療用途のためには、肺サーファクタントとPDE5阻害剤とを固定組合せで投与することが有利なことがあり、その場合に、有利な投与形路は乾燥粉末製剤の吸入か又は液体製剤の気管支内点滴注入である。
【0090】
治療剤は、個々の用量について慣例のオーダーで投薬される。治療剤の個々の作用が相互に良い影響を及ぼし、こうして治療剤を組み合わせて投与するとそれぞれの用量は恐らく通常と比較して少なくすることができると考えられる。
【0091】
肺サーファクタント調剤を気管内又は気管支内で投与する場合に、10〜100mgのリン脂質を1mlの懸濁液中に含有する本発明による調剤の懸濁液又は溶液を投与することが好ましいことが判明している。有利には、本発明による調剤は、1回服用あたり、リン脂質の量が体重kgあたり10〜400mgとなる量で投与される。一般に、投与は1〜7日の期間にわたり一日1〜3回実施される。使用される肺サーファクタント溶液が0.5〜2.0mgのrSP−C(FF/I)を1mlの溶剤あたりに含有する方法が好ましい。使用される肺サーファクタント溶液が0.75〜1.5mgのrSP−C(FF/I)を1mlの溶剤あたりに含有する方法が特に挙げられる。
【0092】
市販の肺サーファクタント調剤を好適な用量で、製品特性の摘要に挙げられる投与計画に従って投与することが好ましいとも判明している。BLES(R)の気管内投与の場合に、リン脂質の日用量は100〜150mg/kg体重の範囲である。有利にはその日用量は135mgリン脂質/kg体重である。カルファクタントの気管内投与の場合に、日用量は3〜6mL/kg体重のカルファクタントであり、この用量は体重1kgあたり約105〜210mgのリン脂質及び1.95〜3.90mgのサーファクタントタンパク質B(SP−B)である。サーファクタントTAの気管内投与の場合に、日用量は体重1kgあたり60〜120mLのサーファクタントTAである。ポラクタントアルファの気管内投与の場合には、日用量は、100〜200mg/kgから最大日用量300〜400mg/kgまでであり、これは体重1kgあたり約70〜280mgのリン脂質及び体重1kgあたり1〜4gの疎水性タンパク質(サーファクタントタンパク質B及びサーファクタントタンパク質C)である。ベラクタントの気管内投与の場合には、日用量は体重1kgあたり100〜200mgのリン脂質及び体重1kgあたり4〜8mgの疎水性タンパク質(サーファクタントタンパク質B及びサーファクタントタンパク質C)である。パルミチン酸コルフォセリルの気管内投与の場合に、日用量は体重1kgあたり54〜162mgのリン脂質である。
【0093】
PDE5阻害剤を経口、静脈内又は皮下で投与する場合に、日用量は、恐らく、有利には一日一回の投与につき、治療されるべき被験者の体重kgあたり0.001〜3mgの範囲である。
【0094】
シルデナフィル、タダラフィル及びバルデナフィルのための錠剤製剤は商標名Viagra(R)、Cialis(R)及びLevitra(R)としてそれぞれ市販されている。
【0095】
シルデナフィルについての市販の錠剤製剤は、25、50又は100mgのシルデナフィルを含有する。Viagra(R)についての製品特性の摘要によれば、単独療法として、PDE5阻害剤のシルデナフィルは一般に成人に対して、25、50又は100mgの日用量で経口投与される。
【0096】
バルデナフィルについての市販の錠剤製剤は、5、10又は20mgのバルデナフィルを含有する。Levitra(R)についての製品特性の摘要によれば、単独療法として、PDE5阻害剤のバルデナフィルは一般に成人に対して、5、10又は20mgの日用量で経口投与される。
【0097】
タダラフィルについての市販の錠剤製剤は、10又は20mgのタダラフィルを含有する。Cialis(R)についての製品特性の摘要によれば、単独療法として、PDE5阻害剤のタダラフィルは一般に成人に対して、10又は20mgの日用量で経口投与される。
【0098】
効用
本発明の組合せ物は、単一包装中に全治療過程を含む“患者パッケージ”で患者に処方することができる。患者パッケージは、薬剤師が大量の供給品から患者の医薬品支給分を分配する古典的な処方より好ましく、その際、患者は、常に患者パッケージに含まれる、古典的な処方において通常であれば見逃すような添付文書に到達する。添付文書を内包することは医師の指示との患者のコンプライアンスを改善し、従って一般により効果的な治療をもたらすことになる。患者に本発明の正しい使用を説明する添付文書を含む、単一の患者パッケージ又は各成分の化合物の複数の患者パッケージによる本発明の組合せ物の投与は本発明の望ましい付加的な特徴であり、これはそれぞれ単独の成分の投与と比較して患者のコンプライアンスを高める。
【0099】
本発明のもう一つの有益な効果は、本発明の組合せ物の使用を指す。驚くべきことに、肺サーファクタント機能不全及び/又はホスホジエステラーゼ5(PDE5)活性が有害となる疾病の症状の出始めを予防又は軽減するにあたり又はかかる疾病を治療又は軽減するにあたりそれを必要とする患者において予想されない治療作用、特に相乗作用を肺サーファクタントとPDE5阻害剤との組成物を用いることにより得ることができることが判明した。例えば、かかる組合せを使用することによって、肺サーファクタント機能不全及び/又はホスホジエステラーゼ5(PDE5)活性が有害となる疾病を患う患者において酸素化を、肺サーファクタント又はPDE5阻害剤を単独で使用するのと比較して優れた回復をもたらすことが可能である。特に、肺サーファクタントとPDE5阻害剤との組合せ使用は肺サーファクタント不全素因及び/又はミスマッチ素因に関連する有益な効果を引き起こし、その効果は肺サーファクタント単独又はPDE5阻害剤単独によって引き起こされる効果より極めて大きいものである。従って、(1)肺サーファクタントの量は、PDE5阻害剤と組み合わせて使用する場合に大きく低減でき、このことは、肺サーファクタントが比較的高価であるため、それを必要とする患者の治療コストをとりわけ大きく削減する、(2)肺サーファクタントを、例えば点滴注入によって服用することに関連した不快感の頻度を肺サーファクタント単独を使用するよりも減らすことができる。
【0100】
本組合せ物のもう一つの有益な効果として、肺サーファクタントとPDE5阻害剤の組合せ使用が患者の身体能力を肺サーファクタント単独又はPDE5阻害剤単独の使用と比較して大きく改善するが、それは該組合せ物の活性が肺サーファクタントの単独服用で知られるような酸素化を改善するだけでなく、肺の潅流/換気のミスマッチ及び/又は骨格筋の潅流/要求のミスマッチの重症度を緩和するからである。このように、肺サーファクタントとPDE5阻害剤との組合せ使用は、(1)肺の換気、(2)適切な換気部位での肺の特異的な潅流及び(3)疲労筋群に優勢な要求主導型の潅流を改善する。
【0101】
最後に、肺サーファクタントとPDE5阻害剤との組合せ物の使用は、ARDS又はIRDSを伴う患者が換気を行う時間を大きく削減し、従って、肺サーファクタントとPDE5阻害剤の組合せ物を投与することによって、換気の副作用を回避でき、例えば患者についての院内感染又は肺炎を、肺サーファクタント単独を使用したのと比較して低下させることができることが判明した。
【0102】
実施例
実施例1:乾燥粉末吸入用のルスプルチドとタダラフィルの固定組合せ物
9.8gの1,2−ジパルミトイル−3−sn−ホスファチジルコリン、4.2gの1−パルミトイル−2−オレオイル−3−sn−ホスファチジルグリセロールアンモニウム、0.62gのタダラフィル、0.7gのパルミチン酸、0.36gの塩化カルシウム及び0.28gのrSP−C(FF/I)を820mlの2−プロパノール/水(90:10)中に溶解させ、そしてBuechi B 191型の研究用噴霧乾燥器(Buechi B 191 laboratory spray-dryer)中で噴霧乾燥させる。噴霧条件:乾燥ガス 窒素、入口温度 110℃、出口温度 59〜61℃。超微粉砕できる微細な粉末が得られる。約55mg/kg体重を乾燥粉末として気管内に好適な乾燥粉末吸入装置を用いて単一服用のために投与できる。
【0103】
実施例2:気管支内の点滴注入用のルスプルチドとシルデナフィルの固定組合せ物
9.8gの1,2−ジパルミトイル−3−sn−ホスファチジルコリン、4.2gの1−パルミトイル−2−オレオイル−3−sn−ホスファチジルグリセロールアンモニウム、0.7gのパルミチン酸、0.36gの塩化カルシウム及び0.28gのrSP−C(FF/I)を実施例1に記載のように噴霧乾燥させる。0.79mgのシルデナフィルを0.01Nの塩酸1mL中に溶解させ、そして更に0.9%の塩化ナトリウム279mLで希釈する。この溶液に15.34gのサーファクタント組成物を添加し、懸濁させる。ヒトにおける単一服用のために、1ml/kg体重のこの懸濁液を気管支鏡によって案内して気管支内に点滴注入できる。
【0104】
実施例3:気管支内の点滴注入用のベラクタントと経口投与用のシルデナフィルの自由組合せ物
ヒトにおける単一服用のために、市販のベラクタント(サーバンタ(R))は気管内に100mg/kgで、1mLあたりに25mgのリン脂質を含有する0.9%の塩化ナトリウム中の懸濁液(11.0〜15.5mg/mLの二飽和ホスファチジルコリン、0.5〜1.75mg/mLのトリグリセリド、1.4〜3.5mg/mLの遊離脂肪酸及び1.0mg/mL未満のタンパク質からなる)として投与される。この服用を、1回又は数回の10又は20mgのタダラフィル(Cialis(R)として市販されている)の経口投与と組み合わせる。
【0105】
実施例4:気管支内の点滴注入用のポラクタントアルファと経口投与用のバルデナフィルの自由組合せ物
ヒトにおける単一服用のために、市販のポラクタントアルファ(クロサーフォ(R))は気管支内に100〜200mg/kgで投与される。懸濁液1mLあたりの組成:ブタ肺由来のリン脂質画分 80mg/mL、これは約74mg/mLの全リン脂質と0.9mg/mLの低分子量疎水性タンパク質に相当する。この服用を、1回又は数回の10又は20mgのバルデナフィル(Levitra(R)として市販されている)の経口投与と組み合わせる。
【0106】
実施例5:気管内の点滴注入用のルスプルチドと経口投与用のシルデナフィルの自由組合せ物
ヒトにおける単一服用のために、ルスプルチドは吸入によって乾燥粉末として10〜100mg/kg体重の用量で投与される。懸濁液1mLあたりの組成:10〜400mg/mLのリン脂質及び0.1〜4mg/mLのrSP−C(FF/I)。この服用を、1回又は数回の25又は100mgのシルデナフィル(Viagra(R))として市販されている)の経口投与と組み合わせる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肺サーファクタント機能不全及び/又はホスホジエステラーゼ5(PDE5)の活性が有害となる疾病の症状の出始めを予防又は軽減するための、又はかかる疾病の重症度を治療又は軽減するための、それを必要とする患者における、肺サーファクタントとPDE5阻害剤との組合せ使用。
【請求項2】
肺サーファクタント機能不全及び/又はホスホジエステラーゼ5(PDE5)の活性が有害となる疾病の症状の出始めを予防又は軽減するための、又はかかる疾病の重症度を治療又は軽減するための、それを必要とする患者における医薬品を製造するための、肺サーファクタントとPDE5阻害剤の組合せ物の使用。
【請求項3】
肺サーファクタント機能不全及び/又はホスホジエステラーゼ5(PDE5)の活性が有害となる疾病の症状の出始めを予防又は軽減するか、又は肺サーファクタント機能不全及び/又はホスホジエステラーゼ5(PDE5)の活性が有害となる疾病の重症度を治療又は軽減するにあたり、それを必要とする患者に、有効量の(1)肺サーファクタントと(2)PDE5阻害剤を投与することによる方法。
【請求項4】
有効量の(1)肺サーファクタントと(2)PDE5阻害剤を、それを必要とする患者に同時に投与する、請求項3記載の方法。
【請求項5】
有効量の(1)肺サーファクタントと(2)PDE5阻害剤を、それを必要とする患者に、連続的に、時間的に接近して又は時間的に離して、任意の順序でそれを必要とする患者に投与する、請求項3記載の方法。
【請求項6】
肺サーファクタント機能不全及び/又はホスホジエステラーゼ5(PDE5)の活性が有害となる疾病の症状の出始めを予防又は軽減するか、又は肺サーファクタント機能不全及び/又はホスホジエステラーゼ5(PDE5)の活性が有害となる疾病の重症度を治療又は軽減するために効果的な医薬品組成物を製造する方法において、有効量の肺サーファクタントとPDE5阻害剤を製剤学的に認容性の担体と混合することを含む方法。
【請求項7】
肺サーファクタントが、ポラクタントアルファ、ベラクタント、ボバクタント、パルミチン酸コルフォセリル、サーファクタントTA、カルファクタント、プマクタント、ルスプルチド又はシナプルチドからなる群から選択される、請求項1から6までのいずれか1項記載の使用又は方法。
【請求項8】
肺サーファクタントがルスプルチドである、請求項7記載の使用又は方法。
【請求項9】
PDE5阻害剤が
4−メチル−5−(4−ピリジニル)チアゾール−2−カルボキサミド;
2,2′,2′′,2′′′−[(4,8−ジピペリジノピリミド[5,4−d]ピリミジン−2,6−ジイル)−ジニトリロ]−テトラエタノール;
2−(2−プロポキシフェニル)プリン−6(1H)−オン2−(2−プロポキシフェニル)−1,7−ジヒドロ−5H−プリン−6−オン;
1−[6−クロロ−4−(3,4−メチレンジオキシベンジルアミノ)キナゾリン−2−イル]−ピペリジン−4−カルボン酸;
(+)−シス−5−メチル−2−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−3,4,5,6a,7,8,9−オクタヒドロシクロペンタ[4,5]イミダゾ[2,1−b]プリン−4−オン;
5−[6−フルオロ−1−(フェニルメチル)−1H−インダゾール−3−イル]−2−フラン−メタノール;
シス−2−ヘキシル−5−メチル−3,4,5,6a,7,8,9,9a−オクタヒドロシクロペンタ[4,5]イミダゾ[2,1−b]プリン−4−オン;
4−(3−クロロ−4−メトキシベンジルアミノ)−1−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)−フタラジン−6−カルボニトリル;
(6R,12aR)−2,3,6,7,12,12a−ヘキサヒドロ−2−メチル−6−(3,4−メチレンジオキシ−フェニル)ピラジノ[2′,1′:6,1]ピリド[3,4−b]インドール−1,4−ジオン;
2−[2−エトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)フェニル]−5−メチル−7−プロピルイミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)オン;
1−エチル−4−[[3−[3−エチル−4,7−ジヒドロ−7−オキソ−2−(2−ピリジニルメチル)−2H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル]−4−プロポキシフェニル]スルホニル]−ピペラジン;
2−(2−メチルピリジン−4−イルメチル)−1−オキソ−8−(2−ピリミジニルメトキシ)−4−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−1,2−ジヒドロ[2,7]ナフチリジン−3−カルボン酸メチルエステル;
3−(1−メチル−7−オキソ−3−プロピル−6,7−ジヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル)−N−[2−(1−メチルピロリジン−2−イル)エチル]−4−プロポキシベンゼンスルホンアミド;
1−(2−クロロベンジル)−3−イソブチリル−2−プロピルインドール−6−カルボキサミド;
N−(3,4−ジメトキシベンジル)−2−[2−ヒドロキシ−1(R)−メチルエチルアミノ]−5−ニトロベンズアミド;
5−[2−エトキシ−5−(4−メチル−1−ピペラジニルスルホニル)フェニル]−1−メチル−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;
3−エチル−8−[2−[4−(ヒドロキシメチル)ピペリジン−1−イル]ベンジルアミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−g]キナゾリン−2−チオン;
2−(4−アミノフェニル)−1−オキソ−7−(2−ピリジニルメトキシ)−4−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル;
ペンタン−1−スルホン酸[1−[3−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−2−メチル−3H−ベンゾイミダゾール−5−イル]−メタノイル}−アミド;
1−[[3−(7,8−ジヒドロ−8−オキソ−1H−イミダゾ[4,5−g]キナゾリン−6−イル)−4−プロポキシフェニル]スルホニル]−4−メチルピペラジン;
1−シクロペンチル−6−(3−エトキシ−4−ピリジニル)−3−エチル−1,7−ジヒドロ−4H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オン;
3−エチル−5−[5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)−2−[2−メトキシ−1(R)−メチル−エトキシ]ピリジン−3−イル]−2−メチル−6,7−ジヒドロ−2H−ピラゾロ[4,3−d]−ピリミジン−7−オン;
2−(1H−イミダゾール−1−イル)−6−メトキシ−4−(2−メトキシエチルアミノ)−キナゾリン;
(1Z)−N−ベンジル−2−[6−フルオロ−2−メチル−3−(3,4,5−トリメトキシベンジリデン)−3H−インデン−1−イル]−アセトアミド;
3,6−ジヒドロ−5−(o−プロポキシフェニル)−7H−s−トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−7−オン;及び
3,4−ジヒドロ−6−[4−(3,4−ジメトキシベンゾイル)−1−ピペラジニル]−2(1H)−キノリノン;
又はそれらの製剤学的に認容性の塩又はN−オキシド、又はその製剤学的に認容性の塩
から選択される、請求項1から6までのいずれか1項記載の使用又は方法。
【請求項10】
PDE5阻害剤が
4−メチル−5−(4−ピリジニル)チアゾール−2−カルボキサミド;
2,2′,2′′,2′′′−[(4,8−ジピペリジノピリミド[5,4−d]ピリミジン−2,6−ジイル)−ジニトリロ]−テトラエタノール;
2−(2−プロポキシフェニル)プリン−6(1H)−オン2−(2−プロポキシフェニル)−1,7−ジヒドロ−5H−プリン−6−オン;
1−[6−クロロ−4−(3,4−メチレンジオキシベンジルアミノ)キナゾリン−2−イル]−ピペリジン−4−カルボン酸;
(+)−シス−5−メチル−2−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−3,4,5,6a,7,8,9−オクタヒドロシクロペンタ[4,5]イミダゾ[2,1−b]プリン−4−オン;
5−[6−フルオロ−1−(フェニルメチル)−1H−インダゾール−3−イル]−2−フラン−メタノール;
シス−2−ヘキシル−5−メチル−3,4,5,6a,7,8,9,9a−オクタヒドロシクロペンタ[4,5]イミダゾ[2,1−b]プリン−4−オン;
4−(3−クロロ−4−メトキシベンジルアミノ)−1−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)−フタラジン−6−カルボニトリル;
(6R,12aR)−2,3,6,7,12,12a−ヘキサヒドロ−2−メチル−6−(3,4−メチレンジオキシ−フェニル)ピラジノ[2′,1′:6,1]ピリド[3,4−b]インドール−1,4−ジオン;
2−[2−エトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)フェニル]−5−メチル−7−プロピルイミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)オン;
1−エチル−4−[[3−[3−エチル−4,7−ジヒドロ−7−オキソ−2−(2−ピリジニルメチル)−2H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル]−4−プロポキシフェニル]スルホニル]−ピペラジン;
2−(2−メチルピリジン−4−イルメチル)−1−オキソ−8−(2−ピリミジニルメトキシ)−4−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−1,2−ジヒドロ[2,7]ナフチリジン−3−カルボン酸メチルエステル;
3−(1−メチル−7−オキソ−3−プロピル−6,7−ジヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル)−N−[2−(1−メチルピロリジン−2−イル)エチル]−4−プロポキシベンゼンスルホンアミド;
1−(2−クロロベンジル)−3−イソブチリル−2−プロピルインドール−6−カルボキサミド;
N−(3,4−ジメトキシベンジル)−2−[2−ヒドロキシ−1(R)−メチルエチルアミノ]−5−ニトロベンズアミド;
5−[2−エトキシ−5−(4−メチル−1−ピペラジニルスルホニル)フェニル]−1−メチル−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;
3−エチル−8−[2−[4−(ヒドロキシメチル)ピペリジン−1−イル]ベンジルアミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−g]キナゾリン−2−チオン;
2−(4−アミノフェニル)−1−オキソ−7−(2−ピリジニルメトキシ)−4−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル;
ペンタン−1−スルホン酸[1−[3−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−2−メチル−3H−ベンゾイミダゾール−5−イル]−メタノイル}−アミド;
1−[[3−(7,8−ジヒドロ−8−オキソ−1H−イミダゾ[4,5−g]キナゾリン−6−イル)−4−プロポキシフェニル]スルホニル]−4−メチルピペラジン;
1−シクロペンチル−6−(3−エトキシ−4−ピリジニル)−3−エチル−1,7−ジヒドロ−4H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オン;
3−エチル−5−[5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)−2−[2−メトキシ−1(R)−メチル−エトキシ]ピリジン−3−イル]−2−メチル−6,7−ジヒドロ−2H−ピラゾロ[4,3−d]−ピリミジン−7−オン;
2−(1H−イミダゾール−1−イル)−6−メトキシ−4−(2−メトキシエチルアミノ)−キナゾリン;
(1Z)−N−ベンジル−2−[6−フルオロ−2−メチル−3−(3,4,5−トリメトキシベンジリデン)−3H−インデン−1−イル]−アセトアミド;
3,6−ジヒドロ−5−(o−プロポキシフェニル)−7H−s−トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−7−オン;及び
3,4−ジヒドロ−6−[4−(3,4−ジメトキシベンゾイル)−1−ピペラジニル]−2(1H)−キノリノン;
又はそれらの製剤学的に認容性の塩又はN−オキシド、又はその製剤学的に認容性の塩
から選択される、請求項1から9までのいずれか1項記載の使用又は方法。
【請求項11】
PDE5阻害剤が選択されたPDE5阻害剤から選択される、請求項1から6までのいずれか1項記載の使用又は方法。
【請求項12】
選択されたPDE5阻害剤がシルデナフィル、バルデナフィル又はタダラフィルからなる群から選択される、請求項1から6までのいずれか1項記載の使用又は方法。
【請求項13】
選択されたPDE5阻害剤がシルデナフィル、バルデナフィル又はタダラフィルからなる群から選択される、請求項1から12までのいずれか1項記載の使用又は方法。
【請求項14】
選択されたPDE5阻害剤がシルデナフィルである、請求項13記載の使用又は方法。
【請求項15】
肺サーファクタント機能不全及び/又はホスホジエステラーゼ5(PDE5)活性が有害となる疾病が、COPD、気管支炎、気管支喘息、肺線維症、肺気腫、間質性肺疾患、肺炎、ALI、ARDS、IRDS及び気管支喘息からなる群から選択される、請求項1から14までのいずれか1項記載の使用又は方法。
【請求項16】
固定組合せ物として、
(a)有効量の肺サーファクタント及び
(b)有効量のPDE5阻害剤、並びに場合により
(c)製剤学的に認容性の担体
を含有する請求項1又は2記載の使用のために好適な医薬品組成物。
【請求項17】
気管内又は気管支内の点滴注入用の固定医薬品組成物である、請求項16記載の医薬品組成物。
【請求項18】
自由組合せ物として、
(a)有効量の肺サーファクタントと場合により製剤学的に認容性の担体、及び
(b)有効量のPDE5阻害剤と場合により製剤学的に認容性の担体
を含有する、請求項1又は2記載の使用のために好適な医薬品組成物。
【請求項19】
肺サーファクタントが、ポラクタントアルファ、ベラクタント、ボバクタント、パルミチン酸コルフォセリル、サーファクタントTA、カルファクタント、プマクタント、ルスプルチド又はシナプルチドからなる群から選択される、請求項16から18までのいずれか1項記載の医薬品組成物。
【請求項20】
肺サーファクタントがルスプルチドである、請求項19記載の医薬品組成物。
【請求項21】
PDE5阻害剤が
4−メチル−5−(4−ピリジニル)チアゾール−2−カルボキサミド;
2,2′,2′′,2′′′−[(4,8−ジピペリジノピリミド[5,4−d]ピリミジン−2,6−ジイル)−ジニトリロ]−テトラエタノール;
2−(2−プロポキシフェニル)プリン−6(1H)−オン2−(2−プロポキシフェニル)−1,7−ジヒドロ−5H−プリン−6−オン;
1−[6−クロロ−4−(3,4−メチレンジオキシベンジルアミノ)キナゾリン−2−イル]−ピペリジン−4−カルボン酸;
(+)−シス−5−メチル−2−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−3,4,5,6a,7,8,9−オクタヒドロシクロペンタ[4,5]イミダゾ[2,1−b]プリン−4−オン;
5−[6−フルオロ−1−(フェニルメチル)−1H−インダゾール−3−イル]−2−フラン−メタノール;
シス−2−ヘキシル−5−メチル−3,4,5,6a,7,8,9,9a−オクタヒドロシクロペンタ[4,5]イミダゾ[2,1−b]プリン−4−オン;
4−(3−クロロ−4−メトキシベンジルアミノ)−1−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)−フタラジン−6−カルボニトリル;
(6R,12aR)−2,3,6,7,12,12a−ヘキサヒドロ−2−メチル−6−(3,4−メチレンジオキシ−フェニル)ピラジノ[2′,1′:6,1]ピリド[3,4−b]インドール−1,4−ジオン;
2−[2−エトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)フェニル]−5−メチル−7−プロピルイミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)オン;
1−エチル−4−[[3−[3−エチル−4,7−ジヒドロ−7−オキソ−2−(2−ピリジニルメチル)−2H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル]−4−プロポキシフェニル]スルホニル]−ピペラジン;
2−(2−メチルピリジン−4−イルメチル)−1−オキソ−8−(2−ピリミジニルメトキシ)−4−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−1,2−ジヒドロ[2,7]ナフチリジン−3−カルボン酸メチルエステル;
3−(1−メチル−7−オキソ−3−プロピル−6,7−ジヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル)−N−[2−(1−メチルピロリジン−2−イル)エチル]−4−プロポキシベンゼンスルホンアミド;
1−(2−クロロベンジル)−3−イソブチリル−2−プロピルインドール−6−カルボキサミド;
N−(3,4−ジメトキシベンジル)−2−[2−ヒドロキシ−1(R)−メチルエチルアミノ]−5−ニトロベンズアミド;
5−[2−エトキシ−5−(4−メチル−1−ピペラジニルスルホニル)フェニル]−1−メチル−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;
3−エチル−8−[2−[4−(ヒドロキシメチル)ピペリジン−1−イル]ベンジルアミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−g]キナゾリン−2−チオン;
2−(4−アミノフェニル)−1−オキソ−7−(2−ピリジニルメトキシ)−4−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル;
ペンタン−1−スルホン酸[1−[3−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−2−メチル−3H−ベンゾイミダゾール−5−イル]−メタノイル}−アミド;
1−[[3−(7,8−ジヒドロ−8−オキソ−1H−イミダゾ[4,5−g]キナゾリン−6−イル)−4−プロポキシフェニル]スルホニル]−4−メチルピペラジン;
1−シクロペンチル−6−(3−エトキシ−4−ピリジニル)−3−エチル−1,7−ジヒドロ−4H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オン;
3−エチル−5−[5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)−2−[2−メトキシ−1(R)−メチル−エトキシ]ピリジン−3−イル]−2−メチル−6,7−ジヒドロ−2H−ピラゾロ[4,3−d]−ピリミジン−7−オン;
2−(1H−イミダゾール−1−イル)−6−メトキシ−4−(2−メトキシエチルアミノ)−キナゾリン;
(1Z)−N−ベンジル−2−[6−フルオロ−2−メチル−3−(3,4,5−トリメトキシベンジリデン)−3H−インデン−1−イル]−アセトアミド;
3,6−ジヒドロ−5−(o−プロポキシフェニル)−7H−s−トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−7−オン;及び
3,4−ジヒドロ−6−[4−(3,4−ジメトキシベンゾイル)−1−ピペラジニル]−2(1H)−キノリノン;
又はそれらの製剤学的に認容性の塩又はN−オキシド、又はその製剤学的に認容性の塩
から選択される、請求項16から18までのいずれか1項記載の医薬品組成物。
【請求項22】
PDE5阻害剤が
4−メチル−5−(4−ピリジニル)チアゾール−2−カルボキサミド;
2,2′,2′′,2′′′−[(4,8−ジピペリジノピリミド[5,4−d]ピリミジン−2,6−ジイル)−ジニトリロ]−テトラエタノール;
2−(2−プロポキシフェニル)プリン−6(1H)−オン2−(2−プロポキシフェニル)−1,7−ジヒドロ−5H−プリン−6−オン;
1−[6−クロロ−4−(3,4−メチレンジオキシベンジルアミノ)キナゾリン−2−イル]−ピペリジン−4−カルボン酸;
(+)−シス−5−メチル−2−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−3,4,5,6a,7,8,9−オクタヒドロシクロペンタ[4,5]イミダゾ[2,1−b]プリン−4−オン;
5−[6−フルオロ−1−(フェニルメチル)−1H−インダゾール−3−イル]−2−フラン−メタノール;
シス−2−ヘキシル−5−メチル−3,4,5,6a,7,8,9,9a−オクタヒドロシクロペンタ[4,5]イミダゾ[2,1−b]プリン−4−オン;
4−(3−クロロ−4−メトキシベンジルアミノ)−1−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)−フタラジン−6−カルボニトリル;
(6R,12aR)−2,3,6,7,12,12a−ヘキサヒドロ−2−メチル−6−(3,4−メチレンジオキシ−フェニル)ピラジノ[2′,1′:6,1]ピリド[3,4−b]インドール−1,4−ジオン;
2−[2−エトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)フェニル]−5−メチル−7−プロピルイミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−4(3H)オン;
1−エチル−4−[[3−[3−エチル−4,7−ジヒドロ−7−オキソ−2−(2−ピリジニルメチル)−2H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル]−4−プロポキシフェニル]スルホニル]−ピペラジン;
2−(2−メチルピリジン−4−イルメチル)−1−オキソ−8−(2−ピリミジニルメトキシ)−4−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−1,2−ジヒドロ[2,7]ナフチリジン−3−カルボン酸メチルエステル;
3−(1−メチル−7−オキソ−3−プロピル−6,7−ジヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル)−N−[2−(1−メチルピロリジン−2−イル)エチル]−4−プロポキシベンゼンスルホンアミド;
1−(2−クロロベンジル)−3−イソブチリル−2−プロピルインドール−6−カルボキサミド;
N−(3,4−ジメトキシベンジル)−2−[2−ヒドロキシ−1(R)−メチルエチルアミノ]−5−ニトロベンズアミド;
5−[2−エトキシ−5−(4−メチル−1−ピペラジニルスルホニル)フェニル]−1−メチル−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;
3−エチル−8−[2−[4−(ヒドロキシメチル)ピペリジン−1−イル]ベンジルアミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−g]キナゾリン−2−チオン;
2−(4−アミノフェニル)−1−オキソ−7−(2−ピリジニルメトキシ)−4−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−1,2−ジヒドロイソキノリン−3−カルボン酸メチルエステル;
ペンタン−1−スルホン酸[1−[3−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−2−メチル−3H−ベンゾイミダゾール−5−イル]−メタノイル}−アミド;
1−[[3−(7,8−ジヒドロ−8−オキソ−1H−イミダゾ[4,5−g]キナゾリン−6−イル)−4−プロポキシフェニル]スルホニル]−4−メチルピペラジン;
1−シクロペンチル−6−(3−エトキシ−4−ピリジニル)−3−エチル−1,7−ジヒドロ−4H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−オン;
3−エチル−5−[5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)−2−[2−メトキシ−1(R)−メチル−エトキシ]ピリジン−3−イル]−2−メチル−6,7−ジヒドロ−2H−ピラゾロ[4,3−d]−ピリミジン−7−オン;
2−(1H−イミダゾール−1−イル)−6−メトキシ−4−(2−メトキシエチルアミノ)−キナゾリン;
(1Z)−N−ベンジル−2−[6−フルオロ−2−メチル−3−(3,4,5−トリメトキシベンジリデン)−3H−インデン−1−イル]−アセトアミド;
3,6−ジヒドロ−5−(o−プロポキシフェニル)−7H−s−トリアゾロ[4,5−d]ピリミジン−7−オン;及び
3,4−ジヒドロ−6−[4−(3,4−ジメトキシベンゾイル)−1−ピペラジニル]−2(1H)−キノリノン;
又はそれらの製剤学的に認容性の塩又はN−オキシド、又はその製剤学的に認容性の塩
から選択される、請求項16から21までのいずれか1項記載の医薬品組成物。
【請求項23】
PDE5阻害剤が選択されたPDE5阻害剤の群から選択される、請求項16から18までのいずれか1項記載の医薬品組成物。
【請求項24】
選択されたPDE5阻害剤がシルデナフィル、バルデナフィル又はタダラフィルからなる群から選択される、請求項16から18までのいずれか1項記載の医薬品組成物。
【請求項25】
選択されたPDE5阻害剤がシルデナフィルである、請求項16から24までのいずれか1項記載の医薬品組成物。
【請求項26】
COPD、気管支炎、気管支喘息、肺線維症、肺気腫、間質性肺疾患、肺炎、ALI、ARDS、IRDS又は気管支喘息の治療のための、請求項16から25までのいずれか1項記載の医薬品組成物の使用。
【請求項27】
肺サーファクタントを気管内又は気管支内の点滴注入によって投与し、かつPDE5阻害剤を経口投与する、請求項26記載の医薬品組成物の使用。
【請求項28】
肺サーファクタントがルスプルチドであり、かつPDE5阻害剤がシルデナフィルである、請求項27記載の医薬品組成物の使用。

【公表番号】特表2006−527737(P2006−527737A)
【公表日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516154(P2006−516154)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【国際出願番号】PCT/EP2004/051120
【国際公開番号】WO2004/110450
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(390019574)アルタナ ファルマ アクチエンゲゼルシャフト (69)
【氏名又は名称原語表記】ALTANA Pharma AG
【住所又は居所原語表記】Byk−Gulden−Str. 2、 D−78467 Konstanz、 Germany
【Fターム(参考)】