説明

肺癌を治療するためのピコプラチンおよびアムルビシン

ピコプラチンおよびアムルビシンの投与、または放射線療法およびピコプラチンを含む肺癌を治療するための方法が提供される。肺癌を治療するためのアムルビシンと併せたピコプラチンの使用が提供される。肺癌は、SCLCまたはNSCLCであってよい。癌は、治療に対して抵抗性もしくは不応性であっても、一次有機白金化学療法の中止後に進行するものでもよい。治療は、場合により、ベストサポーティブケアのレジメンと併せて、ピコプラチンおよびアムルビシンの投与を包含してもよい。薬物または薬物組合せの複数回用量を投与することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この出願は、2008年2月8日に出願された米国出願第61/027,387号、2008年2月8日に出願された米国出願第61/027,382号、および2008年2月8日に出願された米国出願第61/027,360号(これらの開示は、それらの全体が、参考として本明細書に援用される)の優先権を主張する。この出願はまた、米国出願第60/857,066号(2006年11月6日出願)、同第60/857,725号(2006年11月8日出願)、同第60/877,495号(2006年12月28日出願), 60/889,191 (2007年2月9日出願)、同第60/931,589号(2007年5月24日出願)、および同第60/983,852号(2007年10月30日出願)、ならびに2007年11月5日に出願された米国出願第11/982,841号(これらの開示は、それらの全体が、参考として本明細書に援用される)の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
小細胞肺癌(SCLC)は、全肺癌のおおよそ14%を占める。2004年には、米国でおおよそ26,000件の新症例が、欧州で51,000件の新症例があった(非特許文献1)。未治療SCLC患者の生存期間中央値は、2〜4カ月である(非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4)。現在、併用化学療法が、SCLCのための標準的な一次療法(first−line therapy)と見なされている。最も一般的なレジメンは、シスプラチンまたはカルボプラチンおよびエトポシドを包含する。残念ながら、一次化学療法に対する40〜90%の奏効率にもかかわらず、長期生存が珍しいのは、患者に、化学療法に対する抵抗性および再発が生じるためである(非特許文献5;非特許文献6)。疾患再発後の予想平均全生存期間は、2〜4カ月である(非特許文献7)。
【0003】
診断時に、SCLC患者のおおよそ30%は、限局型と呼ばれる、片肺、縦隔、および鎖骨上窩リンパ節に限定された腫瘍を有するであろう。当初、これらの患者の70〜90%は、化学療法に奏効するであろうが、再発率は高い(75〜90%)。限局型の患者の生存時間中央値は、14〜20カ月の範囲であり、2年生存率は40%である。胸部および頭部への放射線療法の追加をもってしても、5年を超えて生きる患者は6〜15%に過ぎない。より広範囲に及ぶ進展型の患者は、さらに悪い予後を有する。初期化学療法に対する奏効率は、比較的高く、すなわち、40〜70%のままであるが、9〜11カ月の生存期間中央値は、限局型の患者よりも短く、長期生存は稀である。多剤集中療法をもってしても、2年を超えて生きる進展型の患者は5%未満である。
【0004】
非小細胞肺癌(NSCLC)は、異質な組織型からなる集合体である。最も一般的な組織型は、類表皮癌すなわち扁平上皮癌、腺癌、および大細胞癌である。これらの組織型が一緒に分類されることが多いのは、診断、ステージング、予後、および治療へのアプローチが類似しているためである。切除可能疾患のある患者は、手術またはアジュバント化学療法を伴う手術により治癒させることができる。局所制御は、多数の切除不能疾患のある患者において放射線療法で行うことができるが、治癒は、少数の患者で見られるに過ぎない。局所進行性の切除不能疾患のある患者は、化学療法と併用される放射線療法で長期に生存することがある。進行した転移性疾患のある患者は、化学療法で、改善された生存期間および症状の緩和を得ることができる。
【0005】
診断時、NSCLC患者は、疾患の程度と治療アプローチの双方を反映する3つのグループに分けることができる。患者の第一のグループは、手術で切除可能である腫瘍を有する。手術に対する医学的禁忌を有する切除可能疾患のある患者は、治癒的放射線治療の候補者である。第二のグループは、局所進行(T3〜T4)および/または領域進行(N2〜N3)した肺癌のある患者を包含する。最後のグループは、診断時に見いだされた遠隔転移のある患者(M1)を包含する。このグループは、原発腫瘍からの症状を緩和するために放射線療法または化学療法で治療することができる。白金ベースの化学療法は、症状の短期の緩和および生存有利性に関係している。現在、日常的な使用に推奨することができる単一の化学療法レジメンはない。
【0006】
最初の有機白金抗癌薬であるシスプラチン、シス−ジクロロジアンミン白金(II)は、およそ30年前に導入され、ヒト患者における様々な固形腫瘍の治療に依然として広く使用されており、様々な腫瘍型に対する広範囲な活性を持っている。しかしながら、シスプラチンは、腎障害(腎毒性)ならびに悪心および嘔吐などの多くの望ましくない副作用も示す。シスプラチンよりも副作用の少ない有機白金化合物の探索は、カルボプラチン(シス−ジアミン−1,1−シクロブタンジカルボキシレート白金(II))の発見につながったが、この化合物も腎毒性および骨髄毒性を示し、ゆっくりとした骨髄回復をもたらす蓄積性の用量関連毒性を引き起こすことが公知である。より最近では、オキサリプラチン(トランス−1,2−シクロヘキサン−ジアンミンオキサレート白金(II))も開発されたが、この化合物は、その腎毒性はカルボプラチンに比べて低減されたものの、重大な神経毒性を持っている。研究されている他の白金含有薬は、サトラプラチンおよびロバプラチンを包含する。それらの望ましくない副作用の他に、これらの有機白金化合物は、すべての腫瘍型に対して有効なのではなく、重要なことに、腫瘍は、変異してこれらの化合物に対する抵抗性または耐容性を生じ、これらの化合物ではもはや制御することができない腫瘍となることがある。
【0007】
現在、不応性または抵抗性のSCLC患者を治療するための米国食品医薬品局(FDA)により認可されている二次療法(second−line therapy)はない。これらの患者は、極めて不良な予後を有する。奏効率は、この患者グループにおける任意の単剤レジメンについて10%未満である(非特許文献4;Murray、2003;非特許文献5、NCCN、2008)。NCCN(National Comprehensive Cancer Network)2008ガイドラインは、イホスファミド、パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビン、またはトポテカンによる単独療法を使用することができることを示している。しかしながら、これらの薬剤は、有意な奏効率も生存上の利益も示しておらず、この集団におけるそれらの使用は、薬物関連毒性を伴うことが多い。刊行文献には、不応性または抵抗性の疾患を有する患者に有意な有益性を提供する現在利用可能な療法がないという高度のコンセンサスがある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Jemal A, Tiwari Ra, Murray Tら、Cancer Statistics, 2004. CA Cancer J Clin 2004;54(1):8−29
【非特許文献2】Clark R, Ihde DC. Small−cell lung cancer: treatment progress and prospects. Oncology (Williston Park) 1998;12(5):647−58; discussion 661−3
【非特許文献3】Glisson BS. Recurrent small cell lung cancer: update. Semin Oncol 2003;30(1):72−8
【非特許文献4】Davies A, Evans W, Mackay Jら、Treatment of recurrent small cell lung cancer. Hematology/Oncology Clinics of North America 2004;18:387−416
【非特許文献5】Sundstrom S, Bremnes RM, Kaasa Sら、Second−line chemotherapy in recurrent small cell lung cancer. Results from a crossover schedule after primary treatment with cisplatin and etoposide (EP−regimen) or cyclophosphamide, epirubicin, and vincristin (CEV−regimen). Lung Cancer 2005;48(2):251−61
【非特許文献6】Jackman DM, Johnson BE. Small−cell lung cancer. Lancet 2005;366(9494):1385−96
【非特許文献7】Huisman C, Postmus PE, Giaccone Gら、Second−line chemotherapy and its evaluation in small cell lung cancer. Cancer Treat Rev 1999;25(4):199−206
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、肺癌のための改善された化学療法の満たされていない必要性が明らかに残っている。不応性の、抵抗性の、および91〜180日進行性の肺癌のために改善された治療を提供することができる併用療法も必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、ピコプラチンおよびアムルビシンの使用を含む肺癌患者を治療する方法、肺癌の治療におけるピコプラチンおよびアムルビシンの使用、ならびにピコプラチンおよびアムルビシンを含む医薬組成物を対象とする。
【0011】
様々な実施形態において、本発明は、ヒトにおいて肺癌を治療するための方法であって、肺癌を患っているヒトに、抗癌有効量のピコプラチンおよび抗癌有効量のアムルビシンを投与することを含む方法を提供する。
【0012】
様々な実施形態において、本発明は、肺癌を患っているヒトにおいて肺癌を治療するための、抗癌有効量のアムルビシンと併せた抗癌有効量のピコプラチンの使用を提供する。
【0013】
様々な実施形態において、本発明は、肺癌を治療するための方法であって、
(a)ピコプラチンおよびアムルビシンで治療するために、初期治療に対して不応性であったか初期治療に対して応答した肺癌を患っており、その後、前記肺癌が、初期治療の最終日から180日以内に進行したヒト患者の集団を選択するステップ、
(b)ピコプラチンおよびアムルビシンで治療するための前記集団から、初期治療の最終日から91〜180日以内に肺癌が進行した患者からなる、患者の亜集団を選択するステップ、
(c)治療のために選択された前記患者にピコプラチンおよびアムルビシンを投与するステップ、
(d)場合により、ステップ(c)と同時に、ベストサポーティブケア(best supportive care)(BSC)のレジメンを患者に提供するステップ
を含み、
これにより、前記患者の寿命が、ステップ(c)を受けない患者の寿命を超えて延長される方法を提供する。
【0014】
様々な実施形態において、本発明は、ヒトへの静脈内投与のために製剤化された、ピコプラチンおよびアムルビシン、ならびに薬学的に許容できる水性担体を含む医薬組成物を提供する。
【0015】
様々な実施形態において、本発明は、肺癌を治療するための方法であって、肺癌を患っているヒト患者を放射線療法で治療し、続いて、抗癌有効量のピコプラチンおよび、場合により、アムルビシンを前記患者に投与することを含む方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書における「一実施形態」または「ある実施形態」への言及は、記載されている実施形態が、特定の特徴、構造、または特性を包含することができるが、あらゆる実施形態が、特定の特徴、構造、または特性を必ずしも包含しなくてもよいことを示している。さらに、そのような語句は、必ずしも同じ実施形態に言及していない。さらに、特定の特徴、構造、または特性が、ある実施形態に関連して記載されている場合、明確に記載されているか否かにかかわらず、他の実施形態に関連してそのような特徴、構造、または特性に影響を及ぼすことは当業者の知識の内にあるものと思量される。「様々な実施形態」という用語は、本発明に従って、1つまたは複数の実施形態を指すが、必ずしもすべての実施形態を指すものではない。
【0017】
他に指示がない限り、本文書において示される単語および語句は、当業者にとってそれらの通常の意味を有する。そのような通常の意味は、当技術分野におけるそれらの使用を参照することにより、および一般的および科学的な辞書、例えば、Webster’s Third New International Dictionary、Merriam−Webster Inc.、Springfield、MA、1993年、The American Heritage Dictionary of the English Language、Houghton Mifflin、Boston MA、1981年、およびHawley’s Condensed Chemical Dictionary、第14版、Wiley Europe、2002年を参照することにより得ることができる。
【0018】
「治療」という用語は、疾患、状態、または障害と闘うことを目的とする患者の管理およびケアと定義され、症状もしくは合併症の発症を防ぐために本発明の化合物を投与すること、または症状もしくは合併症を緩和すること、または疾患、状態、もしくは障害を取り除くことを包含する。
【0019】
本発明の文脈内での「治療すること」とは、障害もしくは疾患に関係する症状の緩和、またはそれらの症状のさらなる増悪もしくは悪化の阻害、または疾患もしくは障害の防止もしくは予防を意味する。したがって、癌または転移性疾患を治療することは、疾患の進展を遅らせる、止めるまたは逆転させることおよび/または疾患の症状の制御、緩和もしくは防止を包含する。同様に、本明細書で使用するように、本発明の化合物の「有効量」または「治療有効量」とは、全体的または部分的に、障害もしくは状態に関係する症状を緩和し、またはそれらの症状のさらなる増悪もしくは悪化を止めるか遅らせ、または障害もしくは状態を防止するかそれらの予防を提供する化合物の量を指す。特に、「治療有効量」とは、悪性成長活動または転移の阻害により望ましい治療結果を得るのに必要な用量および期間における有効な量を指す。治療有効量は、治療上有益な効果が、本発明の化合物のいかなる毒性または有害な効果をも上回る量でもある。例えば、癌を治療することとの関連で、ピコプラチンまたはアムルビシンの治療有効量は、肺癌などの癌の治療において有益な効果を有するのに十分な量を指す。
【0020】
様々な実施形態において、本発明は、ヒトにおいて肺癌を治療するための方法であって、肺癌を患っているヒトに、抗癌有効量のピコプラチンおよび抗癌有効量のアムルビシンを投与することを含む方法を提供する。肺癌は、小細胞肺癌(SCLC)であってよい。あるいは、肺癌は、非小細胞肺癌(NSCLC)であってよい。
【0021】
ピコプラチンおよびアムルビシンは、1回または複数回用量で投与することができ、場合により、ベストサポーティブケア(BSC)のレジメンを患者に同時に提供する。ピコプラチンの投与は、経口、静脈内、またはそれらの組合せであってよく、アムルビシンの投与は、経口、静脈内、またはそれらの組合せであってよい。一実施形態において、ピコプラチンの投与は、経口である。
【0022】
ピコプラチンは、2〜4週治療サイクルの1日目に1日1回投与することができ、少なくとも2サイクルの治療が行われる。ピコプラチンの約5mg/m〜約150mg/mの用量を投与することができる。アムルビシンは、2〜4週治療サイクルの1日目に開始して1〜3日にわたって1日1回投与することができ、少なくとも2サイクルの治療を行うことができる。アムルビシンの約5mg/m〜約45mg/mの1日用量を投与することができる。さらに、ピコプラチン、アムルビシン、または両方を、初期治療用量(または、アムルビシンについての用量)で投与し、次いで、その後は約7日間隔で再び投与することができる。
【0023】
一実施形態において、治療サイクルは、21日治療サイクルである。治療サイクルは、治療に対する患者奏効に応じて、例えば、1週または2週ずつ増減することができる。1つの具体的実施形態において、ピコプラチンは、21日治療サイクルの1日目に開始して1日にわたって毎日投与され、アムルビシンは、21日治療サイクルの最初の3日にわたって毎日投与される。
【0024】
ピコプラチンおよびアムルビシンの併用療法は、肺癌がこれまでに、放射線でも、いかなる他の化学療法剤でも治療されたことがない、一次療法であってよい。あるいは、この療法は、患者が、一次化学療法および/または放射線治療の中止後に、不応性である、抵抗性である、または91〜180日以内の再発/進行性である場合に使用することができる。
【0025】
治療は、進展型のSCLCのための一次療法として使用することができる。治療は、放射線療法と併せて投与される限局型のSCLCのための一次療法であってよい。あるいは、治療は、初期化学療法に対して不応性であるか一次の白金含有療法の終了から6カ月以内に進行性である進展型または限局型のSCLCのための二次療法であってよい。
【0026】
また、治療は、進展型のNSCLCのための一次療法であってよい。治療は、限局型のNSCLCのための一次療法であってよく、治療は、放射線療法と併せて投与される。あるいは、治療は、初期化学療法に対して不応性であるか一次の白金含有療法の終了から6カ月以内に進行性である進展型または限局型のNSCLCのための二次療法であってよい。
【0027】
様々な実施形態において、患者は、放射線療法でまず治療され、かつ/またはピコプラチン、および、場合により、アムルビシンを使用する治療法と併せて放射線療法で治療される。例えば、患者を放射線療法で治療し、ピコプラチン、またはピコプラチンとアムルビシン併用によるより有効な治療のために癌を感作することができる。
【0028】
本発明の様々な実施形態は、肺癌を治療するための方法であって、肺癌を患っているヒト患者を放射線療法で治療し、続いて、抗癌有効量のピコプラチンおよび、場合により、アムルビシンを患者に投与することを含む方法をさらに提供する。
【0029】
様々な実施形態において、本発明は、肺癌を患っているヒトにおいて肺癌を治療するための、抗癌有効量のアムルビシンと併せた抗癌有効量のピコプラチンの使用を提供する。
【0030】
さらに、本発明は、ヒトにおいて肺癌を治療するための方法であって、一次化学療法の中止後(すなわち、最終投与後)に、不応性である、抵抗性であるまたは91〜180日以内の再発/進行性である肺癌を患っているヒト患者に、約3〜6週間隔をおいて少なくとも2回用量で投与することができるピコプラチンを投与すること、および、場合により、ベストサポーティブケア(BSC)のレジメンを同時に患者に提供することを含む方法を提供する。治療は、約3〜6週間隔をおいて3日連続して3回の1日用量で投与することができるアムルビシンの投与をさらに包含することができる。
【0031】
他の白金含有(Pt)薬剤による一次白金含有化学療法を通じて奏効しないか進行する肺癌のある患者は、「不応性」であると見なされる。他の白金剤を含む初期または「一次」化学療法に当初は奏効し、その後、90日(3カ月)以内に再発/進行(PD)する患者は、「抵抗性」であると見なされる。初期治療に奏効するが、その後、再発するか、腫瘍が、他の白金剤による一次療法の中止後、約91〜180日(〜3〜6カ月)以内に進行する患者は、本明細書において、「91〜180日進行性」肺癌を有すると見なされる。本方法は、肺癌の制御をもたらすことができ、これらの患者の寿命を延ばすことができる。「制御」とは、奏効(完全または部分、「PR」)または安定、すなわち、増悪がないことと定義される。肺癌は、小細胞肺癌(SCLC)または非小細胞肺癌(NSCLC)であってよい。
【0032】
本方法の様々な実施形態において、患者は、これまで転移性疾患について治療されたことがないか、患者は、これまでに局在性または転移性疾患について、化学療法などの全身治療を受けたことがない。例えば、患者は、原発腫瘍を摘出または減量するための手術を受け、次いで、転移の発生を防止するか遅らせることを包含する癌の増悪を防止するか遅らせるために本発明のピコプラチン、5−FU、ロイコボリンレジメン(例えば、FOLPI)のうちの1つで治療されたことがあってもよい。患者は、本ピコプラチン治療の少なくとも6カ月前に、原発腫瘍治療時の早期化学療法を受けたことがあってもよい。
【0033】
様々な実施形態において、ピコプラチンは、寛解なしに単に疾患を止めようとすることでなく、治癒的意図で投与することができる。ピコプラチンの用量は、患者において治癒を得るために、疾患静止をもたらす用量を超えて増加させることができる。
【0034】
したがって、本発明のある実施形態は、肺癌を治療するための方法であって、(a)ピコプラチンおよびアムルビシンで治療するために、初期治療に対して不応性であったか初期治療に対して応答した肺癌を患っており、その後、肺癌が初期治療の最終日から180日以内に進行したヒト患者の集団を選択すること、(b)ピコプラチンおよびアムルビシンで治療するための前記集団から、初期治療の最終日から91〜180日以内に肺癌が進行した患者からなる患者の亜集団を選択すること、(c)治療のために選択された前記患者にピコプラチンおよびアムルビシンを投与すること、(d)場合により、ステップ(c)と同時に、ベストサポーティブケア(BSC)のレジメンを患者に提供することを含み、これにより、患者の寿命が、ステップ(c)を受けない患者の寿命を超えて延長される方法を提供する。
【0035】
本発明による方法のある実施形態において、ピコプラチンは、治療が、ピコプラチンの投与前、および/またはピコプラチン投与と同時かのどちらかの放射線療法と組み合わされている場合の治療のために選択された患者に投与される最適な化学療法用の抗癌剤であってよい。別の実施形態において、ピコプラチンは、有効量の少なくとも1つの非白金抗癌剤と併せて前記患者に投与される。
【0036】
ピコプラチンは、本明細書で定義されているようなSCLCおよび/またはNSCLCのためのBSCの同時治療と併せて投与することもできる。好ましくは、本方法は、患者の寿命を延ばし、肺癌の制御をもたらすこともできる。
【0037】
これまで、肺癌が、一次化学療法後約91〜180日(3〜6カ月)で進行する患者は、典型的には、感受性腫瘍を有するとして治療されてきたが、本発明者らは、そのような腫瘍は、一般的に、例えば、シスプラチンまたはカルボプラチンなどの有機白金化合物を含む一次療法に奏効せず、したがって、それらで再治療するべきではなく、むしろ、そのような一次有機白金化合物に対して抵抗性を生じた腫瘍に適している有機白金化合物で治療するべきであることを認識した。本発明者らは、一次療法の中止後91〜180日間以内に進行する肺癌のある患者、ならびに、肺癌が、治療に対して不応性であり、180日以内に進行するか、初期治療に奏効し、その後、初期治療の中止の180日以内に進行する(総称して、「180日以内進行性」と呼ぶ)患者のこの集団は、治療中のいかなる客観的な腫瘍縮小効果に関係なく、それらの全生存期間(寿命)を増やすためにピコプラチンおよびアムルビシンで有利に治療することができることを認識した。
【0038】
一実施形態において、患者は、シスプラチンまたはカルボプラチンなどの別の白金含有薬による患者の初期治療(「一次療法」)後に進行性である肺癌を患っている患者から選択され、癌が、初期治療に対して奏効し、次いで、180日以内に進行するという点で、初期治療に対して奏効し、一次治療の中止後約91〜180日以内に進行する患者を包含する。別の実施形態において、患者は、シスプラチンまたはカルボプラチンなどの別の白金含有薬と併せた患者の初期前治療(「一次療法」)に対して不応性である癌を患っている患者から選択される。
【0039】
本発明の一実施形態において、ピコプラチン約60mg/m〜150mg/m、または第二の実施形態において、好ましくは、約150mg/mが各用量で投与される。さらに、アムルビシン約5mg/m〜45mg/m、または、別の実施形態において、約10、15、20、25、35、40、または45mg/mが各用量で投与される。用量は、経口的もしくは非経口的に、または経口経路と非経口経路の組合せを介して投与することができる。一実施形態において、ピコプラチン用量は、ピコプラチンの水溶液の静脈内注入により投与される。単回用量の注入は、典型的には、約1〜2時間にわたって行われる。アムルビシン用量は、アムルビシンの水溶液の静脈内注入により投与することができる。単回用量の注入は、典型的には、約5分〜約2時間にわたって行われる。
【0040】
ピコプラチンおよびアムルビシンを含有する溶液は、組み合わせる、別個に投与する、または順次に投与することができる。したがって、本発明は、ヒトへの静脈内投与のために製剤化された、ピコプラチンおよびアムルビシン、ならびに薬学的に許容できる水性担体を含む医薬組成物も提供する。
【0041】
溶液は、適当な塩で等張性であるように前もって調整された生理学的塩溶液であってよい。本発明の一実施形態において、ピコプラチン約0.5mg/mlが、水性注入溶液中に存在し、NaCl、MgCl、CaCl、KClなどの少なくとも1つの薬学的に許容できる張度調整剤を含有する。アムルビシンの類似の水溶液を用いることができる。好ましい投与を実現するために、1用量当たり、例えば、静脈内注入1回当たり、ピコプラチン約200〜300mgが投与されることが好ましい。アムルビシンの投与は、1用量当たり、例えば、静脈内注入または注射1回当たり、アムルビシン約40〜60mgを包含することができる。
【0042】
癌の治療の間に、約21日(3週)の間隔で、ピコプラチン2〜10回の用量を投与することができ、典型的には、2〜4回の用量が投与される。例えば、副作用を軽減するために治療スケジュールを変更することが必要である場合に、6週までの、例えば、3〜4週の間隔を用いることができる。癌の治療の間に、約21日(3週)の間隔で、アムルビシン2〜10回の治療(3日連続して3回の用量の)を投与することができ、典型的には、2〜4回の治療が投与される。例えば、副作用を軽減するために治療スケジュールを変更することが必要である場合に、6週までの、例えば、3〜4週の間隔を用いることができる。上で使用されるように、91〜180日進行性の、抵抗性の、または不応性の肺癌のいずれかである「肺癌を患っている」という用語は、複合組織型SCLC/非小細胞肺癌を患っている患者を包含することも意図されている。ピコプラチンおよびアムルビシンは、任意の順序で順次に、または同時に(concurrently)(同時に(simultaneously)または重複して)投与することができる。
【0043】
本発明の一実施形態において、少なくとも1.5×10/Lの絶対好中球数および少なくとも100×10/Lの血小板数を有すると判断された肺癌を患っている患者に、ピコプラチン約150mg/mの初回用量が投与される。ピコプラチンが静脈内に投与される場合、1〜2時間にわたって投与されることが好ましい。ピコプラチン150mg/mの2回目用量は、初回投与から約21日後に前記患者に投与され、このレベルでのさらなる投与は、血液学的パラメーターが安定なままである場合に続行される。アムルビシン投与は、類似のスケジュールに従うことができる。
【0044】
肺癌のためのベストサポーティブケア(BSC)は、肺癌に対して限定された治療有効性を有することもあるが、治癒的であるとは見なされない多くの姑息的治療法を含む。例えば、本発明の一実施形態において、BSCは、転移性癌の症状を制御するための放射線、疼痛を制御するための鎮痛剤の投与、便秘の管理、および呼吸困難の治療ならびにヘモグロビンレベル(すなわち、≧9g/L以上)を維持するための、例えば、輸液による貧血の治療のうちの1つまたは複数、好ましくは、すべてを包含する。肺癌のためのBSCの他の特徴を下に示す。本発明によるある実施形態において、ピコプラチンおよび/またはアムルビシンは、ベストサポーティブケアのレジメンと併せて投与することができる。別の実施形態において、ピコプラチンおよび/またはアムルビシンは、患者に投与される最適な化学療法用の抗癌剤であってよい。肺癌は、主に男性疾患であるため、患者は、男性患者であってよい。
【0045】
本方法は、例えば、有効抗嘔吐量の5−HT受容体アンタゴニストおよびデキサメタゾンが、ステップ(c)に先立って患者に投与されることをさらに含むことができる。
【0046】
本発明は、(a)水、(b)溶液を等張性にするのに有効な量のNaClなどの張度調整剤、(c)溶存ピコプラチン約0.5mg/mL、および(d)溶存アムルビシン約0.5mg/mLを含む溶液を含む、ピコプラチンおよびアムルビシンの静脈内投与に適合された剤形を投与することを含む方法であって、前記剤形の投与が、抵抗性の、不応性の、または進行性の肺癌を治療するのに有効である方法も提供する。ピコプラチンの水溶液およびアムルビシンの水溶液を含む別個の単位剤形は、別個に、順次に、または同時に(concurrently)(同時に(simultaneously)を包含する)投与することができる。
【0047】
さらに、本発明は、肺癌、具体的には、不応性を包含するNSCLCを治療するためのピコプラチン単独の使用および三次以上の治療レベルを提供する。ピコプラチンの投与は、上に記載されている治療グループのいずれかについて、放射線療法と併せて、肺癌を治療するために使用することもできる。肺癌は、SCLCまたはNSCLCであってよい。これらの方法は、本明細書に記載されているようなアムルビシンの投与を包含することもできる。
【0048】
様々な実施形態において、本発明は、肺癌を患っているヒトにおいて肺癌を治療するための抗癌有効量のアムルビシンと併せた抗癌有効量のピコプラチンの使用を提供する。肺癌は、小細胞肺癌(SCLC)であってよく、または非小細胞肺癌(NSCLC)であってよい。
【0049】
様々な実施形態において、ピコプラチンおよびアムルビシンは、1回または複数回用量で投与することができ、ヒトは、場合により、ベストサポーティブケア(BSC)のレジメンを同時に提供される。
【0050】
様々な実施形態において、ピコプラチンは、経口経路または静脈内経路による投与に適合された剤形であってよく、アムルビシンは、経口経路または静脈内経路による投与に適合された剤形であってよい。
【0051】
様々な実施形態において、ピコプラチンは、2〜4週治療サイクルの1日目に1日1回投与することができ、少なくとも2サイクルの治療が行われる。
【0052】
様々な実施形態において、アムルビシンは、2〜4週治療サイクルの1日目に開始して1〜3日にわたって1日1回投与することができ、少なくとも2サイクルの治療が行われる。
【0053】
様々な実施形態において、治療サイクルは、21日治療サイクルであってよい。
【0054】
様々な実施形態において、ピコプラチン約5mg/m〜約150mg/mの用量を投与することができる。
【0055】
様々な実施形態において、アムルビシン約5mg/m〜約45mg/mの1日用量を投与することができる。
【0056】
様々な実施形態において、ピコプラチン、アムルビシン、または両方を、初期治療用量で投与し、次いで、その後は約7日間隔で投与することができる。
【0057】
様々な実施形態において、ピコプラチンは、21日治療サイクルの1日目に開始して1日にわたって毎日投与することができ、アムルビシンは、21日治療サイクルの最初の3日にわたって毎日投与することができる。
【0058】
様々な実施形態において、「治療すること」は、肺癌がこれまでにいかなる他の化学療法剤でも治療されたことがない、一次療法として使用される治療を含むことができる。
【0059】
様々な実施形態において、「治療すること」は、患者が、一次化学療法の中止後、不応性である、抵抗性である、または91〜180日以内に再発/進行性である二次または三次療法として使用される治療を含むことができる。
【0060】
例えば、治療は、進展型のSCLCのための一次療法であってよく、あるいは、限局型のSCLCのための一次療法であってよく、治療は、放射線療法と併せて投与される。
【0061】
または、治療は、初期化学療法に対して不応性であるか一次の白金含有療法の終了から6カ月以内に進行性である進展型または限局型のSCLCのための二次療法であってよい。
【0062】
あるいは、治療は、進展型のNSCLCのための一次療法であってよく、または、限局型のNSCLCのための一次療法であってよく、治療は、放射線療法と併せて投与される。
【0063】
または、治療は、初期化学療法に対して不応性であるか一次の白金含有療法の終了から6カ月以内に進行性である進展型または限局型のNSCLCのための二次療法であってよい。
【0064】
様々な実施形態において、患者は、これまでに放射線療法で治療されたことがあってよい。
【0065】
ピコプラチンすなわち[SP−4−3]−アンミン(ジクロロ)−(2−メチルピリジン)白金(II)(NX473、ZD0473、AMD473、または[SP−4−3]−アンミン(ジクロロ)−(2−メチルピリジン)白金(II)としても公知)は、白金抵抗性(シスプラチン抵抗性など)細胞系に対して有効であるとして開発された新白金剤であり、ヒトにおける固形腫瘍の治療を目的とする(Raynaud、1997;Holford、1998(両方);Rogers、2002)。他の白金類似体のように、ピコプラチンは、細胞死につながるDNAの複製および転写を妨害するDNAにおける共有結合架橋の形成により細胞死を引き起こす。
【0066】
「ピコプラチン」という名称は、この製品のために、米国一般名(USAN)、英国一般名(BAN)および国際一般名(INN)として指定されている。ピコプラチンの分子式は、C10ClPtであり、分子量は、376.14である。ピコプラチンの構造式は、
【0067】
【化1】

である。
【0068】
ピコプラチンならびにピコプラチンを製造するためのおよび治療においてピコプラチンを使用するための方法は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第5,665,771号(1997年9月9日発行)、および米国特許第6,518,428号(2003年2月11発行)に、およびWO2001/087313として公開された2001年5月10日出願のPCT/GB0102060に開示および特許請求されている。
【0069】
ピコプラチンを使った第I相および第II相二次試験において、奏効は、卵巣癌、前立腺癌、およびSCLCを包含するいくつかの腫瘍型で見られた。実質的な腎毒性、神経毒性または耳毒性は、動物試験ならびに第I相および第II相治験においてごく稀にピコプラチンについて観察されている(Beale、2003;Treat;2002;Giaccone、2002;Gore、2002)。ピコプラチンの第I相試験において、活性の徴候は、卵巣癌、NSCLC、SCLC、結腸直腸癌、頭頸部癌、腎細胞癌、胸腺癌、膵臓癌、胃癌、平滑筋肉腫、肝癌、中皮腫、および前立腺癌のある被験者において見られた(Beale、2003)。
【0070】
アムルビシン、すなわち(7S,9S)−9−アセチル−9−アミノ−7−[(2−デオキシ−β−D−エリスロ−ペントピラノシル(pentapyranosyl))オキシ]−7,8,9,10−テトラヒドロ−6,11−ジヒドロキシ−5,12−ナフタセンジオン(nephthacenedione)を、その塩酸塩として下に図示する。
【0071】
【化2】

アムルビシンは、合成テトラサイクリン誘導体であり、特公平3−5397号に記載されている技法を包含する様々な技法により調製することができる。塩酸アムルビシンは、いくつかの結晶性形態を有することが公知であり、それらのある具体的結晶性形態は、熱安定性に優れている(特開平11−222497号)。
【0072】
塩酸アムルビシンおよび活性代謝産物アムルビシノールは、DNAインターカレーション活性、トポイソメラーゼII阻害活性、トポイソメラーゼII切断可能複合体の安定化により媒介されるDNA切断作用、およびラジカル生成作用を示す。作用の一次機構は、トポイソメラーゼII切断可能複合体の安定化により媒介されるDNA切断作用である。
【0073】
合成9−アミノアントラサイクリンであるアムルビシンは、そのC−13ケトン基のヒドロキシ基への還元を通じて、活性代謝産物、アムルビシノールに変換される。代表的なアントラサイクリン、ドキソルビシンの構造とのその化学構造の類似性にもかかわらず、アムルビシンの作用様式は、ドキソルビシンの作用様式と異なっている。アムルビシンおよびアムルビシノールは、トポイソメラーゼII媒介性切断可能複合体を安定化することにより細胞傷害効果を発揮するDNAトポイソメラーゼIIの阻害剤であり、DNAインターカレーターとしてはドキソルビシンよりもおおよそ10分の1の弱さである。アムルビシノールのインビトロ細胞傷害活性は、その親化合物、アムルビシンのそれに比べて18〜220倍も強力であった。前臨床試験において、アムルビシンは、ヌードマウスに移植されたいくつかのヒト腫瘍異種移植片においてドキソルビシンよりも強力な抗腫瘍活性を示し、心毒性はほとんど引き起こさなかった。III期またはIV期の非SCLCおよび拡張期SCLCのある化学療法を受けたことのない患者における1〜3日目の45mg/mの用量でのアムルビシンに対する奏効率は、治療意図による解析でそれぞれ25%および79%であった。主要なグレード3または4の毒性は、第II相治験において好中球減少(72.1%)、白血球減少(52.5%)、貧血(23.0%)、血小板減少(14.8%)、食欲不振(4.9%)、および悪心/嘔吐(4.9%)であった。
【0074】
肺癌の治療
本発明は、静脈内(IV)投与に適合された、好ましくは無菌の、好ましくは等張性の水溶液を含むピコプラチン剤形を提供する。溶液は、水、約0.3〜0.75mg/mL、例えば、約0.75〜1.0重量%、または約0.5mg/mLの濃度のピコプラチンおよびNaClなどの張度調整剤を含有する。一部の実施形態において、保存剤は、溶液で用いられない。溶液の密度は、約1.005g/mLであってよい。
【0075】
【表1A】

本発明は、静脈内(IV)投与に適合された、好ましくは無菌の、好ましくは等張性の水溶液を含むアムルビシン剤形も提供する。溶液は、水、約0.3〜0.75mg/mL、例えば、約0.75〜1.0重量%、または約0.5mg/mLの濃度のアムルビシンおよびNaClなどの張度調整剤を含有する。一部の実施形態において、保存剤は、溶液で用いられない。溶液の密度は、約1.005g/mLであってよい。一部の実施形態において、アムルビシン剤形は、ラクトース、L−システインHClなどの添加物、ならびに/または塩酸および/もしくは水酸化ナトリウムなどのpH調節剤を包含することができる。pHは、約2.4〜3.0に調整することができる。浸透圧比(生理的食塩水に対する)は、約1.0〜1.3であってよい(食塩水か注射用5%グルコースのどちらかに溶かされている)。
【0076】
【表1B】

アムルビシンの1つの典型的剤形では、アムルビシン45mg(力価)/m(体表面積)を、生理的食塩水または注射用5%グルコースおおよそ20mLに溶かす。この用量を、連続3日間にわたって1日1回静脈内投与することができ、その後、約3週〜約4週の「休薬期間」を守ることができる。「1コース」すなわち1治療サイクルを含み、次いで、投与を繰り返す。この用量は、患者条件に基づいて減らすことができる。アムルビシンの別の適当な組成物は、下記の表に従って形成することができる:
【0077】
【表1C】

薬物が、生理的食塩水または注射用5%グルコースに溶かされている場合に5mg(力価)/mL。
【0078】
本発明者らは、一次有機白金療法に対して不応性であるか抵抗性である、または一次療法の中止後91〜180日間以内に進行する肺癌患者の集団へのピコプラチンおよびアムルビシンの投与、例えば、静脈内投与が、肺癌のさらなる増悪を阻害することおよび/または患者の寿命の延長に関して有利であることを認識した。一次療法に当初は奏効し、次いで、90日以内に進行する癌は、抵抗性肺癌と呼ばれる。一次療法に当初は奏効し、次いで、次いで91〜180日間の間に進行する癌は、91〜180日進行性肺癌と呼ぶこともできる。
【0079】
ピコプラチンは、初期白金薬療法後に、肺癌の二次治療についての最大耐容用量であると決定されている1用量当たり約60mg/mから約150mg/mまでの範囲の用量で投与することができる。これらの用量単位は、体表面積1平方メートル当たりのミリグラムでの量を指す。アムルビシンは、1用量当たり約5mg/mから約45mg/mまでの範囲の用量で投与することができる。
【0080】
本発明による別の実施形態において、肺癌を患っている患者は、ベストサポーティブケアのレジメンと併せてピコプラチンおよびアムルビシンで治療することができる。ベストサポーティブケア(BSC)を被験者に提供するのに使用される一般的ガイドラインは、肺癌または緩和ケアのためのNCCNガイドライン(NCCN Palliative Care Guidelines、2007)に基づいている。別の実施形態において、ピコプラチンおよびアムルビシンは、治療のために選択された患者に投与される唯一の化学療法用の抗癌剤であってよい。
【0081】
本発明は、肺癌を治療する方法であって、有効抗嘔吐量の5−HT受容体アンタゴニストおよびデキサメタゾンが、有機白金化合物の投与に付随して起こることがある悪心および嘔吐の副作用を軽減するために、ピコプラチンおよびアムルビシンの投与に先立って患者に投与される方法をさらに包含する。本発明に従って使用することができる5−HT受容体アンタゴニストの例は、オンダンセトロンである。
【0082】
ピコプラチンおよびアムルビシンの投与は、当業者に公知である任意の適当な技法により行うことができる。ピコプラチンおよびアムルビシンを投与するのに使用することができる追加の剤形は、参照により本明細書に組み込まれている米国仮特許出願第60/989,020号および第60/889,681号に記載されている。放射線療法の使用を包含する、ピコプラチンおよびアムルビシンを使用する併用療法を行うのに適した技法は、やはり参照により本明細書に組み込まれている米国特許出願第10/276,503号に見いだすこともできる。
【0083】
第II相試験
本明細書で定義されているように、不応性の、抵抗性の、または91〜180日進行性の疾患を有するSCLCを患っている患者集団についてのピコプラチン単独療法の第II相試験を行った。SCLCが一次有機白金化学療法(シスプラチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチン)に奏効しない(不応性の)45例およびSCLCが一次療法の中止後90日以内に再発した(抵抗性の)26例、すなわち、不応性または抵抗性のSCLCのある71例の患者、その上に、91〜180日進行性SCLCのある6例の患者を包含する、測定可能な疾患を有する77例の患者のコホートを、21日毎に1〜2時間にわたって静脈内に与えられる150mg/mの用量にてピコプラチンで治療した。ピコプラチンは、IV注入用の無菌で等張性の0.5mg/mL水溶液として提供された。
【0084】
患者は、ピコプラチン1〜10サイクルを受けた。中央値である2投与サイクル、および平均値である3投与サイクルが投与された。有害イベント(AE)は、NCI CTCAEを使用してグレード付けした。任意の重度の最も高い頻度で報告されたAEを、下の表2に示す。グレード3または4の神経毒性、耳毒性、および腎毒性はなかった。治療関連死はなかった。
【0085】
【表2】

腫瘍縮小効果は、RECIST基準を使用して6週毎に評価した。77例の患者のうち、3例(4%)が部分奏効(PR)を有し、34例(44%)が安定疾患(未確認のPR+SD)を有し、36例(47%)が進行性疾患を有していた。疾患制御率は、77例の患者で48%であった。全生存期間中央値は、27週であった(77例のうち63例の死亡イベント;95%CI=21〜32週)。1年生存率は、18%であった(95%CI=11〜28)。無増悪生存期間中央値は、9週であった(77例のうち71例の増悪イベント;95%CI=7〜12週)。ピコプラチン単独療法は、SCLCのための他の報告された治療選択肢と比べて遜色のない生存期間中央値をもたらし、軽減された毒性プロファイルを有していた。治療レジメンへのアムルビシンの追加は、治療奏効を改善し、一部の実施形態において、治療を成功させるのに必要とされる用量を下げることができる。
【0086】
用量低減
白血球数(WBS)および血小板数およびヘモグロビンをサイクル1および2の11〜15日目の間に1度取得し、血液学的毒性が生じたか否かを決定する。毒性が観察された場合、各被験者についてのその後の用量を、1サイクル当たり30mg/mずつ、2回の低減まで減らす。絶対好中球数(ANC)および血小板数についての限界または任意の他の毒性についての限界が満たされない場合、ピコプラチンを、さらに21日まで遅らせ、用量を減らす。ピコプラチンの投与は、下に記載されているような未解消の血液学的毒性のイベントにおいて遅らせることができる。ピコプラチンの用量は、前サイクルにおける血液学的毒性、クレアチニンの増加、または下に記載されているような体重の変化のイベントにおいて低減される。被験者が用量低減を受けたらすぐに、用量を再び増量しなくてもよい。続く治療は、毒性が再発しない限りそのレベルで続き、毒性が再発する場合、低減用量の30mg/mのさらなる低減を行うことができる。2回までの用量低減が許されるものとする。治験責任医師が、用量低減の程度をこれらのガイドラインに含まれているものよりも大きくするべきであると判断する場合、治験責任医師の判断は、被験者の安全性を守るために優先するであろう。同様に、治験責任医師が、用量低減をこれらのガイドラインにより提案されるよりも早期に適用すべきであると判断する場合、治験責任医師の判断は、被験者の安全性を守るために優先するであろう。類似の用量低減を、併用療法を使用する場合に、アムルビシンに関して用いることができる。
【0087】
下記の血液学的数値、すなわち、絶対好中球数(ANC)≧1.5×109/L、および血小板数≧100×109/Lが、ピコプラチンが投与される前に得られるべきである。これらの基準が満たされない場合、臨床検査を最低限1週間隔で測定し、必要な臨床検査値に達しているかどうかを見るべきである。0.5×10/L未満の絶対好中球数または25×10/L未満の血小板数のイベントにおいて、血液学値は、好中球数および血小板数がこれらのレベルを超えて改善されるまで少なくとも週2回はモニターされなければならない。
【0088】
投与基準を満たさないイベントの解消には最高で21日が許される(すなわち、サイクルの42日目まで)。42日目(計画した治療後21日)まで再投与基準を満たさない被験者は、毒性の理由でさらなる治療から除かれるべきである。
【0089】
30mg/mの用量低減は、下記の基準のうちのいずれかが前サイクル中に観察された場合に必須である:
血液学的イベントについては:少なくとも5日にわたって絶対好中球数(ANC)<0.5×10/L、グレード≧2の発熱が合併する絶対好中球数<1.0×10/L、または血小板数<25×10/L、または21日目までに血小板数>100×10/Lおよび絶対好中球数>1.5×10/Lに達しないこと。非血液学的イベント(悪心および嘔吐または脱毛症を除く)については:治療関連グレード3毒性、または任意のグレード4毒性。
【0090】
異常な血清クレアチニンのある患者については、推定クレアチニンクリアランスを決定するべきである。算出されたクレアチニンクリアランスが、<60mL/分である場合、被験者をモニターし、腎機能のさらなる悪化がないことを確認するべきである。クレアチニンクリアランスの低下が観察される場合、ピコプラチンの用量を、表3に従って変更するべきである。用量低減は、1用量当たり30〜60mg/mの範囲である。
【0091】
【表3】

用量低減が、ピコプラチン<90mg/mを受ける患者をもたらす場合、患者は、試験治療から外されるべきである。
【0092】
体表面積の前の計算で使用された重量からの10%以上の重量変化は、体表面積の再計算および薬物用量の適切な変更を必要とする。
【0093】
第III相試験
第III相臨床試験は、上で定義されているように、抵抗性および91〜181日進行性を包含する、180日以内の不応性または進行性の患者において、ベストサポーティブケア単独と比較したベストサポーティブケア(BSC)と併せたピコプラチン単独療法の生存期間中央値有意性を実証するために行われる。
【0094】
計画は、増悪まで続ける活性試験薬(ピコプラチン)+BSC対BSC単独の21日サイクルの非盲検無作為化試験である。おおよそ399例の適格被験者を、2:1の比でピコプラチン+BSC対BSC単独の2つの治療群へ無作為に割り当てる。
【0095】
ピコプラチンの用量は、21日毎に150mg/mである。ピコプラチンを受けるように無作為化されたすべての被験者は、1〜2時間にわたって投与される最初の21日サイクルの1日目にピコプラチン150mg/mを受ける。ピコプラチンは、IV注入用の無菌で等張性の0.5mg/mL水溶液として提供される。
【0096】
ピコプラチン+BSC群に無作為化された被験者は、ピコプラチンの投与に先立って5−HT受容体アンタゴニストおよびデキサメタゾンによる抗嘔吐療法を受け、必要に応じて、ピコプラチン投与後に抗嘔吐剤を受ける。全被験者がBSCを受ける。
【0097】
用量低減
白血球数(WBS)および血小板数およびヘモグロビンをサイクル1、2および3の11〜15日目の間に1回取得し、血液学的毒性が生じたか否かを決定する。毒性が観察された場合、各被験者についてのその後の用量を、1サイクル当たり30mg/mずつ減らす。絶対好中球数(ANC)および血小板数についての限界または任意の他の毒性についての限界が満たされない場合、ピコプラチンを、さらに21日まで遅らせ、用量を減らすことができる。ピコプラチンの用量は、下に記載されているような未解消の血液学的毒性のイベントにおいて遅延されるであろう。投与基準を満たさないイベントの解決には最高で21日の遅延が許される(すなわち、サイクルの42日目まで)。42日目(計画した治療後21日)まで再投与基準を満たさない被験者は、毒性の理由で試験薬によるさらなる治療から除かれるべきであるが、BSCを受ける試験を継続するべきである。類似の用量低減を、併用療法を使用する場合に、アムルビシンに関して用いることができる。
【0098】
ピコプラチンの用量は、前サイクルにおける血液学的毒性、腎機能の低下、または下に記載されているような有意な非血液学的毒性のイベントにおいて30mg/mずつ低減されるであろう。被験者が用量低減を受けたらすぐに、用量を再び増量してはならない。続く治療は、毒性が再発しない限りその低減用量レベルで続き、毒性が再発する場合、低減用量の30mg/mのさらなる低減を行うことができる。治験責任医師が、用量低減の程度をこれらのガイドラインに提示されているものよりも大きくするべきであるか、用量低減を規定されているよりも早期に適用すべきであると判断する場合、治験責任医師の判断が優先するであろう。
【0099】
下記の血液学的数値、すなわち、ANC≧1.5×10/Lおよび血小板数≧100×10/Lが、ピコプラチンが投与される前に得られなければならない。これらの基準が満たされない場合、臨床検査を最低限1週間隔で繰り返し、必要な臨床検査値に達しているかどうかを見るべきである。0.5×10/L未満の絶対好中球数または25×10/L未満の血小板数のイベントにおいて、血液学値は、好中球数および血小板数がこれらのレベル以上に上昇するまで少なくとも週に3回はモニターされなければならない。
【0100】
投与基準を満たさない毒性(血液学的または非血液学的)の解消には最高で21日の遅延が許される(すなわち、サイクルの42日目まで)。42日目(計画した治療後21日)まで再投与基準を満たさない被験者は、毒性の理由でさらなるピコプラチン治療から除かれるべきであるが、試験でBSCを受け続けるべきである。
【0101】
30mg/mの用量低減は、下記の基準のうちのいずれかが前サイクル中に観察された場合に必須である:
血液学的イベントについては:少なくとも5日にわたってANC<0.5×10/L、またはグレード≧2の発熱(>39℃)が合併するANC<1.0×10/L、または血小板数<25×10/L、または21日目に血小板数<100×10/LおよびANC<1.5×10/L。非血液学的イベント(脱毛症を除く)については:治療関連グレード3毒性、または任意のグレード4毒性、または推奨抗嘔吐治療を受けながらのグレード3もしくは4の悪心もしくは嘔吐。
【0102】
クレアチニンクリアランスの低下が観察される場合、ピコプラチンの用量は、表4に従って変更されるべきである。
【0103】
【表4】

BSAの前の計算で使用された重量からの10%以上の重量変化は、BSAの再計算および薬物用量の適切な変更を必要とする。
【0104】
ピコプラチンは、6サイクルにわたってまたは進行か許容できない毒性が生じるまで投与されることが好ましい。ピコプラチンの中止後、全被験者は、BSCを受け続け、死亡または試験の終わりまで3週毎に評価され続ける。
【0105】
この第III相治験の目的は、不応性であるか一次の白金含有化学療法の終了の180日以内に進行性(91〜180日進行を包含する)である疾患を有するSCLCのある患者のための二次療法として、ピコプラチン+ベストサポーティブケア(BSC)の有効性および安全性をBSC単独と比較することである。毒性は、第II相試験におけるように、NCI CTCAE v3を使用してグレード付けされる。一般的ガイドラインは、患者にBSCを提供するために利用され、上のように、SCLCおよび緩和ケアについてのNCCNガイドラインに基づいている。
【0106】
試験の目標は、下記のエンドポイントを評価することである:
全生存期間。その疾患における奏効率よりむしろ患者生存期間、すなわち、寿命の延長が、測定の主要エンドポイントである。全生存期間は、無作為化の日から任意の原因による死亡日まで測定される。死亡したことが知られていない各被験者について、全生存期間は、最後に患者が生存していることが知られていた日付で評価する。全生存期間中央値の増加は、BSC単独で治療された患者についての生存期間と比較して、ピコプラチンで治療された患者について統計的に有意であり、例えば、約2〜20週長く、例えば、約14週であると考えられる。
【0107】
客観的な縮小の効果(完全または部分奏効)を得る被験者の比率。客観的な縮小の効果のある被験者の比率は、完全奏効(CR)または部分奏効(PR)の放射線学的証拠を得る被験者の比率として測定される。この分析について、CRまたはPRについてRECISTにより規定されるような基準を満たさない放射線学的に評価可能な(RE)集団における全被験者は、あたかも縮小効果を有していなかったかのように包含される。縮小効果のカテゴリー化は、試験薬の開始から記録される最良総合効果(best overall response)を使用する。客観的な縮小の効果は、少なくとも4週後に縮小効果を記録する確認検査を必要とする。
【0108】
疾患制御(完全もしくは部分奏効、または安定疾患)を得る被験者の比率。疾患制御のある患者の比率は、CR(完全奏効)、PR(部分奏効)、またはSD(安定)の放射線学的証拠を得る被験者の比率として測定される。この分析について、CR、PR、またはSDについてRECISTにより規定されているような基準を満たさないRE集団における全被験者は、あたかも進行していたかのように包含される。完全奏効およびPRは、少なくとも4週後に奏効を記録する確認検査を必要とする。安定は、無作為化の日から少なくとも6週後にCTにより記録され、これは、確認検査を必要としない。
【0109】
奏効または増悪の全分析は、RECISTによる疾患状態の見直しに基づいている。これらの評価は、6週毎に行われる。
【0110】
第IV相試験
第III相臨床試験は、上で定義されているように、抵抗性および91〜181日進行性を包含する、180日以内に不応性または進行性の患者において、ベストサポーティブケア単独と比較してベストサポーティブケア(BSC)と併せたピコプラチンおよびアムルビシン併用療法の生存期間中央値優位性を実証するために行われることが意図されている。この試験は、上に記載されているピコプラチン第I相および第III相試験の態様を、治療法におけるアムルビシンの追加と組み合わせるであろう。
【0111】
参考文献
下の全参考文献、および本明細書で言及されるすべての他の文書、特許、および刊行物は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0112】
【化3】

【0113】
【化4】

【0114】
【化5】

【0115】
【化6】

ピコプラチンと一緒に投与するのに有用な薬剤および治療の方法も開示されており、2003年9月4日出願の米国特許出願第10/276,503号、2007年11月5日出願の第11/982,841号、2007年11月6日出願の第11/935,979号、2007年11月5日出願の第11/982,839号に、米国特許第7,060,808号および第4,673,668号に、PCT WO/98/45331およびWO/96/40210に開示されている白金および非白金抗癌薬を包含する。
【0116】
下記の特許出願は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0117】
2008年2月8日出願の米国仮特許出願第61/027,387号、代理人整理番号295.114prv
2009年2月6日出願のPCT出願第 号、代理人整理番号295.114wol
2008年2月8日出願の米国仮特許出願第61/027,382号、代理人整理番号295.115prv
2009年2月6日出願のPCT出願第 号、代理人整理番号295.115wol
2008年2月8日出願の米国仮特許出願第61/027,360号、代理人整理番号295.116prv
2007年11月5日出願の米国仮特許出願第11/982,841号、代理人整理番号295.093usl
2009年2月6日出願の米国仮特許出願第 号、代理人整理番号295.131usl 。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトにおいて肺癌を治療するための方法であって、肺癌を患っているヒトに、抗癌有効量のピコプラチンおよび抗癌有効量のアムルビシンを投与することを含む方法。
【請求項2】
前記肺癌が小細胞肺癌(SCLC)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記肺癌が非小細胞肺癌(NSCLC)である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ピコプラチンおよび前記アムルビシンが1回または複数回用量で投与され、場合により、ベストサポーティブケア(BSC)のレジメンを前記患者に同時に提供する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ピコプラチンの前記投与が、経口、静脈内、またはそれらの組合せであり、前記アムルビシンの前記投与が、経口、静脈内、またはそれらの組合せである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ピコプラチンの前記投与が経口である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ピコプラチンが2〜4週治療サイクルの1日目に1日1回投与され、少なくとも2サイクルの治療が行われる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ピコプラチン約5mg/m〜約150mg/mの用量が投与される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記アムルビシンが、2〜4週治療サイクルの1日目に開始して1〜3日にわたって1日1回投与され、少なくとも2サイクルの治療が行われる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
アムルビシン約5mg/m〜約45mg/mの1日用量が投与される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ピコプラチン、前記アムルビシン、または両方が初期治療用量で投与され、次いで、その後に約7日間隔で投与される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記治療サイクルが21日治療サイクルである、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記ピコプラチンが、21日治療サイクルの1日目に開始して1日にわたって毎日投与され、前記アムルビシンが、前記21日治療サイクルの最初の3日にわたって毎日投与される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記治療が、一次療法として使用され、前記肺癌がこれまでに他のいかなる化学療法剤でも治療されたことがない、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記患者が一次化学療法の中止後に不応性である、抵抗性である、または91〜180日以内に再発/進行性である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記治療が、進展型のSCLCのための一次療法である、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記治療が、限局型のSCLCのための一次療法であり、前記治療が、放射線療法と併せて施される、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記治療が、初期化学療法に対して不応性であるか一次の白金含有療法の終了から6カ月以内に進行性である進展型または限局型のSCLCのための二次療法である、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記治療が、進展型のNSCLCのための一次療法である、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記治療が、限局型のNSCLCのための一次療法であり、前記治療が、放射線療法と併せて施される、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記治療が、初期化学療法に対して不応性であるか一次の白金含有療法の終了から6カ月以内に進行性である進展型または限局型のNSCLCのための二次療法である、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記患者が放射線療法で最初に治療される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
肺癌を患っているヒトにおいて肺癌を治療するための抗癌有効量のアムルビシンと併せた抗癌有効量のピコプラチンの使用。
【請求項24】
前記肺癌が小細胞肺癌(SCLC)である、請求項23に記載の使用。
【請求項25】
前記肺癌が非小細胞肺癌(NSCLC)である、請求項23に記載の使用。
【請求項26】
前記ピコプラチンおよび前記アムルビシンが、1回または複数回用量で投与され、前記ヒトが、場合により、ベストサポーティブケア(BSC)のレジメンを同時に提供される、請求項23〜25のいずれか一項に記載の使用。
【請求項27】
前記ピコプラチンが、経口経路または静脈内経路による投与に適合された剤形であり、前記アムルビシンが、経口経路または静脈内経路による投与に適合された剤形である、請求項23に記載の使用。
【請求項28】
前記ピコプラチンの前記剤形が、経口経路による投与に適合されている、請求項27に記載の使用。
【請求項29】
前記ピコプラチンが、2〜4週治療サイクルの1日目に1日1回投与され、少なくとも2サイクルの治療が行われる、請求項23に記載の使用。
【請求項30】
ピコプラチン約5mg/m〜約150mg/mの用量が投与される、請求項23に記載の使用。
【請求項31】
前記アムルビシンが、2〜4週治療サイクルの1日目に開始して1〜3日にわたって1日1回投与され、少なくとも2サイクルの治療が行われる、請求項23に記載の使用。
【請求項32】
アムルビシン約5mg/m〜約45mg/mの1日用量が投与される、請求項23に記載の使用。
【請求項33】
前記ピコプラチン、前記アムルビシン、または両方が初期治療用量で投与され、次いで、その後に約7日間隔で投与される、請求項23に記載の使用。
【請求項34】
前記治療サイクルが21日治療サイクルである、請求項29または31に記載の使用。
【請求項35】
前記ピコプラチンが、21日治療サイクルの1日目に開始して1日にわたって毎日投与され、前記アムルビシンが、前記21日治療サイクルの最初の3日にわたって毎日投与される、請求項34に記載の使用。
【請求項36】
治療することが、一次療法として使用される治療を含み、前記肺癌がこれまでに他のいかなる化学療法剤でも治療されたことがない、請求項23に記載の使用。
【請求項37】
治療することが、二次または三次療法として使用される治療を含み、前記患者が一次化学療法の中止後に不応性である、抵抗性である、または180日以内に再発もしくは進行している、請求項23に記載の使用。
【請求項38】
前記治療が、進展型のSCLCのための一次療法である、請求項36に記載の使用。
【請求項39】
前記治療が、限局型のSCLCのための一次療法であり、前記治療が、放射線療法と併せて施される、請求項36に記載の使用。
【請求項40】
前記治療が、初期化学療法に対して不応性であるか一次の白金含有療法の終了から6カ月以内に進行性である進展型または限局型のSCLCのための二次療法である、請求項37に記載の使用。
【請求項41】
前記治療が、進展型のNSCLCのための一次療法である、請求項36に記載の使用。
【請求項42】
前記治療が、限局型のNSCLCのための一次療法であり、前記治療が、放射線療法と併せて施される、請求項36に記載の使用。
【請求項43】
前記治療が、初期化学療法に対して不応性であるか一次の白金含有療法の終了から6カ月以内に進行性である進展型または限局型のNSCLCのための二次療法である、請求項37に記載の使用。
【請求項44】
前記患者が、これまでに放射線療法で治療されたことがある、請求項36または37に記載の使用。
【請求項45】
肺癌を治療するための方法であって、
(a)ピコプラチンおよびアムルビシンで治療するために、ヒト患者の集団を選択するステップであって、前記患者は、初期治療に対して不応性であったか初期治療に対して応答した肺癌を患っており、その後、前記肺癌が、前記初期治療の最終日から180日以内に進行した、ステップ、
(b)治療するために選択された前記患者にピコプラチンおよびアムルビシンを投与するステップ、ならびに
(c)場合により、ステップ(c)と同時に、ベストサポーティブケア(BSC)のレジメンを前記患者に提供するステップ
を含み、
これにより、前記患者の寿命が、ステップ(b)を受けない患者の寿命を超えて延長される、方法。
【請求項46】
ステップ(b)に先立って、ピコプラチンおよびアムルビシンで治療するための前記集団から患者の亜集団を選択することをさらに含み、ここで、前記亜集団は、前記初期治療の最終日から91〜180日以内に肺癌が進行した患者からなる、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
ピコプラチンおよびアムルビシンが、治療のために選択された前記患者に投与される最適な化学療法用の抗癌剤である、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記ピコプラチンが、約21〜42日間隔をおいた複数回用量で投与され、少なくとも初回用量および2回目用量が投与され、前記アムルビシンが、約21〜42日間隔をおいた複数回用量で投与され、少なくとも初回用量および2回目用量が投与される、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
前記肺癌が、前記初期治療の最終日から91〜180日以内に進行した、請求項45に記載の方法。
【請求項50】
前記肺癌が初期治療の最終日から91〜180日以内に進行した、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
前記肺癌が初期治療の最終日から91〜180日以内に進行した、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
前記患者がベストサポーティブケア(BSC)のレジメンを提供され、前記患者の前記寿命がBSCのみを受ける患者の寿命を超えて延長される、請求項45に記載の方法。
【請求項53】
前記BSCが照射を含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記BSCが呼吸困難の治療または鎮痛剤の投与を含む、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記BSCが、少なくとも9g/dLにヘモグロビンを維持するための、貧血の治療を含む、請求項52に記載の方法。
【請求項56】
ピコプラチン約60mg/m〜約180mg/mが各用量で投与され、アムルビシン約5mg/m〜約45mg/mが各用量で投与される、請求項45〜51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
ピコプラチン少なくとも約150mg/mが初期用量で投与される、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
アムルビシン少なくとも約20mg/mが初期用量で投与される、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
前記ピコプラチン用量が、約1〜2時間にわたる、ピコプラチンの水溶液の静脈内注入により投与され、前記アムルビシン用量が、約5分〜約2時間にわたる、ピコプラチンの水溶液の静脈内注入により投与される、請求項45〜51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記用量が、約21日間隔をおかれる、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
1用量当たり、ピコプラチン約200〜300mgが投与される、請求項56に記載の方法。
【請求項62】
ピコプラチン10回用量までが投与される、請求項45〜51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
ピコプラチン約2〜4回用量が投与される、請求項56に記載の方法。
【請求項64】
前記患者の前記初期治療が、ピコプラチンを包含しない白金薬療法による治療を含んでいる、請求項45〜51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記白金薬療法がシスプラチンまたはカルボプラチンの投与を含む、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
抗嘔吐有効量の5−HT受容体アンタゴニストおよびデキサメタゾンが、ステップ(c)に先立って前記患者に投与される、請求項45〜51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記ピコプラチンが、非経口的に投与される、請求項45〜51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
ピコプラチンの後続の用量が、前の用量よりも低い、約30〜60mg/mの用量で投与される、請求項45〜51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記患者が、男性患者である、請求項45〜51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
(a)水、
(b)張度調整剤、および
(c)溶存ピコプラチン約0.5mg/mL、
を含む等張溶液を含む剤形で前記ピコプラチンを投与することを含む、請求項45〜51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記張度調整剤がNaClを含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
(a)水、
(b)張度調整剤、
(c)溶存アムルビシン約0.5mg/mL、および
(d)場合により、ラクトース、L−システイン塩酸塩、pH調節剤、またはそれらの組合せ
を含む等張溶液を含む剤形でアムルビシンを投与することを含む、請求項45〜51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記ピコプラチンおよびアムルビシンが、一緒に、または順次に投与される、請求項45〜51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記患者がSCLCを患っている、請求項45〜51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記患者が非小細胞肺癌を患っている、請求項45〜51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記患者が、複合型SCLC/非小細胞肺癌を患っている、請求項45〜51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
ヒトへの静脈内投与のために製剤化された、ピコプラチンおよびアムルビシン、ならびに薬学的に許容できる水性担体を含む医薬組成物。
【請求項78】
肺癌を治療するための方法であって、肺癌を患っているヒト患者を放射線療法で治療し、続いて、抗癌有効量のピコプラチンを前記患者に投与することを含む方法。

【公表番号】特表2011−511071(P2011−511071A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−545878(P2010−545878)
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【国際出願番号】PCT/US2009/000750
【国際公開番号】WO2009/099634
【国際公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(398003681)ポニアード ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (10)
【Fターム(参考)】