説明

胎児監視装置および方法

本明細書には、UWB医療用レーダを使用して胎児および/または母体を監視する装置、システムおよび方法が記載されている。これらの装置およびシステムは、妊娠の事実上全ての段階中および分娩中に、胎児心拍数、胎児心拍変動、胎児呼吸、肉眼的胎動、母体収縮、母体心拍数、母体呼吸および他の派生パラメータなどの胎児および/または母体の複数の健康指標を、高い分解能および高い信頼性で同時に監視することを可能にするUWBセンサを含むことができる。ノーマル・モーション・インデックスからの逸脱が胎児仮死または母体困難を示していると判定する際に使用する個々のノーマル・モーション・インデックスおよび集合ノーマル・モーション・インデックスを生成するために、このセンサは、単一のセンサまたは複数のセンサを使用した生理データの新規の収集を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本特許出願は、2009年4月22日に出願された米国特許仮出願第61/171,772号の優先権を主張するものである。
[0002]本出願は、2010年4月14日に出願された「SYSTEM AND METHOD FOR EXTRACTING PHYSIOLOGICAL DATA USING ULTRA−WIDEBAND RADAR AND IMPROVED SIGNAL PROCESSING TECHNIQUES」という名称の米国特許出願第12/759,909号に関係することがある。
【0002】
[0003]本明細書に記載された全ての刊行物および特許出願は、個々の各刊行物または特許出願が個別に、参照によって組み込まれると明確に示されているのと同じように、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0003】
[0004]本明細書に記載された装置および方法は、母親および胎児の生理を監視する胎児監視装置の分野に関する。具体的には、本発明は、超広帯域(ultra−wideband)(UWB)医療用レーダを使用するセンサと、胎児および/または母体の1つまたは複数の健康指標を非侵襲的に監視し、追跡する分析技法およびソフトウェアとに関する。
【背景技術】
【0004】
[0005]超広帯域(UWB)は、「キャリアフリー(carrier−free)」技術、「ベースバンド」技術または「インパルス」技術として1960年代の初めから知られている技術を表す比較的に新しい用語である。UWB装置から送信されるスペクトルは、一般に中心周波数の10%未満の帯域幅を有する狭帯域信号を発射するラジオ、テレビジョンおよびレーダシステムから送信されるスペクトルとは異なり、中心周波数の50%以上の帯域幅を有することがある。この極めて広い帯域幅のため、UWB装置は、より伝統的なシステムにはない利点を有する。それらは、はるかに大量のデータを運び、または集めることができ、はるかに低い電力レベルで機能し、多重通路干渉を受けにくく、さまざまな材料に進入することができる。
【0005】
[0006]UWBの背後にある基本概念は、持続時間が極めて短い無線周波(RF)エネルギーのバースト、一般に持続時間が数十ピコ秒(1兆分の1秒)から数ナノ秒(10億分の1秒)のバーストを生成し、送信し、受信することである。これらのバーストは、1サイクルないしわずか数サイクルのRF搬送波からなる。その結果としての波形は、実際のRF中心周波数を決定することがしばしば困難であるほどに極めて広帯域であり、用語「キャリアフリー」はこのことに由来する。この短いパルス持続時間はさらに、レーダが、より伝統的なシステムよりもはるかに近い距離から、より細かい分解能で「見る」ことを可能にする。
【0006】
[0007]その超低電力パルスおよび微細分解能画像化性能により、この技術を、本発明の発明者らが提示している胎児監視システムなどの多くの生医学用途に対して使用することができる。統計によれば、危険な状態にある妊娠に関して、病院環境外で胎児を監視することに対する要求は大きい。米国では、毎年の妊娠が600万件を超え、その結果、毎年420万件の出生届が出されている。これらの妊娠のうち、約10%は、ハイリスク(high−risk)に分類されている。ハイリスクは、母親もしくは胎児の疾患もしくは死亡の発生率、または分娩前もしくは分娩後の合併症の発症率が高いことを表す。妊娠をハイリスクにする条件または特性はいくつかあり、それらは危険因子として知られている。これらの危険因子の一部は、妊娠前の女性に存在し、その例には、母親が低年齢または高齢であること、太り過ぎまたはやせ過ぎであること、以前の妊娠で問題が生じたこと、高血圧、糖尿病、HIVなどの健康状態が以前からあることなどが含まれる。妊娠中に他の危険因子が現れることがあり、これには、子癇前症および子癇症、妊娠真性糖尿病、細菌性膣炎、出血、妊娠性胆汁うっ滞、頚管無力症および癒着胎盤が含まれる。医師は、これらの因子を識別し、それらの因子を定量化して、特定の女性および乳児に対する危険度を判定することを試みる。このことは、医師が、出生前および出生後の管理を調節して、危険をできる限り小さくすることを可能にする。
【0007】
[0008]危険因子を定量化し、胎児の発育を追跡するのに役立てる目的に使用可能なさまざまな手法がある。妊娠中に、胎児の心拍変動を、有限の期間にわたって規則的な間隔で評価する目的に、特定の1つの検査、ノンストレス検査(Non−Stress Test)(NST)が一般的に使用されている。胎動に応答して胎児の心拍数を測定する目的には一般に、胎児監視装置が使用されている。
【0008】
[0009]陣痛前および陣痛中の胎児の健康を評価する目的には、超音波胎児心拍数監視および電子式胎児心拍数監視が一般的に使用されている。胎児の監視は、胎児の障害(fetal compromise)または胎児仮死の検出を可能にするが、現在使用可能な実現された胎児監視法に関連した危険もあり、これには、不必要な外科的介入に至る可能性がある偽陽性が含まれる。胎児心拍数追跡の変わりやすい首尾一貫しない解釈は、妊娠の管理に影響を及ぼす可能性があるため、パターンを解釈する系統的なアプローチが重要である。
【0009】
[00010]胎児心拍数は、胎児の環境および刺激に反応して絶えず細かく調整される。胎児心拍数パターンは、リアシュアリング(reassuring)、ノンリアシュアリング(non−reassuring)またはオミナス(ominous)に分類される。胎児頻脈、徐脈および良好な短期変動を有する晩発性徐脈などのノンリアシュアリングパターンは一般に、胎児アシドーシスを除くための介入を必要とする。オミナスパターンは、子宮内胎児救急蘇生法および即時分娩を必要とする。リアシュアリング胎児心拍数パターンとノンリアシュアリング胎児心拍数パターンとを区別することは、正確な解釈の要諦であり、正確な解釈は、適当なトリアージ判断を導くために不可欠である。
【0010】
[00011]胎児心拍数(FHR)の聴診は、外部または内部手段によって実行される。外部監視は、胎児の反応を識別するため、手持ち式のドップラー超音波プローブを使用して、子宮収縮中および子宮収縮後30秒間、聴診し、FHRを数えることによって実行される。外部監視は、母親の腹の表面に置かれ、弾性ベルトまたは弾性ガードルによって適当な位置に保持された外部変換器を使用して実行することもできる。この変換器は、胎児の心臓の運動を検出するためにドップラー超音波を使用し、FHR監視装置に接続される。この監視装置は、FHRを計算し、細長い連続紙上にFHRを記録する。最近、FHR信号を改良し、記録の正確さを向上させるために、第2世代の胎児監視装置にマイクロプロセッサおよび数学的手順が組み込まれた。しかしながら、既存の超音波測定装置ではデータの脱落が頻繁に起こり、誤った測定値がFHRの正確な評価として伝達される可能性があることはよく知られている。例えば、現在の超音波FHRシステムは、実際には超音波装置が単純にFHR信号を捕捉していないだけであるときに、心拍数の上昇を示唆する誤ったデータを挿入することが知られている。誤ったデータの提示は、胎児もしくは母親の移動、またはオペレータによるセンサの移動によって引き起こされる可能性があり、これらの移動によって、超音波センサは信号を失い、事実上、実際のFHRの2倍になる傾向がある実験によらないFHRの評価を生み出す。胎児心拍動に起因するドップラー圧力波の波面を追跡するように超音波FHRセンサが適正に配置されていることを保証する必要があることによって、この問題はより深刻になることがある。センサが適正に配置されていない場合、センサは正確なデータを集めない。
【0011】
[00012]内部監視は、FHR監視装置に接続されたねじ型電極を胎児の頭皮に取り付けることによって実行される。胎児の頭皮に電極を配置することができるようにするためには、胚膜を破り、子宮頚を少なくとも部分的に広げなければならない。電子式胎児心拍数監視の最も重要な危険は、偽陽性結果を生成する傾向があることである。電子式胎児心拍数監視は、費用の増大ならびに母親および胎児の合併症の危険度の増大につながる外科的介入の比率の増大に関連する。複数の研究によれば、連続的な電子式胎児心拍数監視を使用した場合には、間欠的な聴診に比べて、出産1000件あたり、帝王切開分娩が38件、鉗子手術が30件余計に実行される。臨床医による胎児心拍数追跡の変わりやすい首尾一貫しない解釈は、患者の管理に影響を及ぼす可能性がある。医療過誤責任に対する連続電子式胎児心拍数監視の影響は、まだよく確立されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
[00013]電子式胎児監視に関連した他のまれな危険には、胎児頭皮感染、および子宮内陣痛計またはカテーテルによる子宮穿孔が含まれる。既存の技術のある種の限界を考慮すれば、胎児心拍数および他の胎児指標を非侵襲的に監視することができるセンサであって、測定の信頼性を高め、胎児仮死の偽陽性の潜在性を最小化し、監視の方法論に起因する他の合併症の可能性を排除し、母体の健康を増進し、正常な基線振舞いまたはリアシュアリング振舞いを、ノンリアシュアリング振舞いまたはオミナス振舞いから高い信頼性で識別する連続監視を提供し、最後に、正確な解釈によって、適当なトリアージ判断の確率を最大化にするように意思決定を改善するセンサを提供することは、極めて有益であろう。特に、FHRの正確な読みを保証するのに、胎児および胎児の心臓の近くにきちんと配置することにあまり依存しないセンサを提供することは有益であろう。
【0013】
[00014]さらに、胎児の健康指標に加えて、母体の1つまたは複数の健康指標を決定することができる監視装置を提供することも求められている。母体および胎児の1つまたは複数の健康指標を決定するのに、現在のシステムおよび装置は一般に、独立して動作する複数の装置を必要とする。このプロセスは、追加の時間をとり、手技の複雑さを増大させる。
【0014】
[00015]最後に、加える信号の電力およびエネルギーレベルを調節することができる超広帯域(UWB)によって、胎児および/または母体の健康を監視するシステムを提供することは非常に有益であろう。加える電力レベルの調節は、このシステムが、胎児および母体を不必要に高いエネルギーレベルにさらすことを防ぎ、システムのエネルギー必要量を調節することを可能にすることがある。
【0015】
[00016]本明細書には、上述の必要性に対処することができる方法、装置およびシステムが記載される。
【課題を解決するための手段】
【0016】
[00017]本明細書には、超広帯域(UWB)医療用レーダを使用した胎児および/または母体監視装置が記載される。本明細書に記載されたUWB装置およびシステムは、1つまたは複数のセンサ(UWBセンサ)と、UWB信号および/または追加のセンサ信号を処理する処理装置とを含み、さらに、生信号または処理された信号(または抽出されたデータ)を記憶する記憶装置と、この生信号または処理された信号を外部サーバおよび/またはネットワークへ伝達する通信モジュールとを含むことができる監視システムの一部として使用することができる。このシステムはさらに、信号またはデータの監視、報告または記憶を可能にするように構成されたソフトウェア、ファームウェアまたはハードウェアを含むことができ、さらに、患者情報を提示し、かつ/または母体および/もしくは胎児の健康に関する警報を出す医師インタフェースまたは医療サービス提供者インタフェースを含むことができる。
【0017】
[00018]本明細書に記載された装置、システムおよび方法は、胎児および/または母体の複数の健康パラメータまたは健康指標を同時にかつ/または並行して監視できるように構成される。例えば、同じ「スキャン」(例えば単一のUWBパルスまたは一連のパルス)を処理して、胎動、胎児心拍数、胎児呼吸(偽呼吸(pseudo−respiration))、母体子宮収縮数(uterine contraction rate)、母体心拍数、母体呼吸、母体血圧などの胎児および/または母体の複数の健康指標を提供することができる。本明細書の装置および方法は、さまざまな運動速度または運動周波数に関する情報を提供するマトリックスであって、進入深さをインデックスとすることができるマトリックスの形成を記述し、処理装置は、このマトリックスを分析して、母体および/または胎児の健康指標のうちの一部または全部の健康指標を抽出することができる。
【0018】
[00019]いくつかの変形では、このシステムがさらに、母親および/または胎児を動的に監視し、加えられる電力を受信された信号の強度に基づいて制御するように構成され得る。したがって、出力されるUWB信号の電力を必要に応じて増大させ、または低減させて、胎児および/または母親に加えられる電力を制限することができる。
【0019】
[00020]本明細書に記載されたシステムおよび装置は、複数のUWBセンサおよび/または複数のタイプのセンサ(UWBセンサと超音波センサ、UWBセンサと圧力センサ、UWBセンサと温度センサなど)を含む、複数のセンサを含むことができる。複数のUWBセンサを有する変形では、センサが、UWB信号の送信と受信の両方を実行する単一のアンテナを含むことができ、または1つもしくは複数の送信アンテナおよび1つもしくは複数の受信アンテナを含むことができる。複数のUWBセンサが使用されるときには、モノスタティック監視またはマルチスタティック(例えばバイスタティック)監視を提供するようにシステムが構成され得る。モノスタティックモードでは、送信(TX)を実行するアンテナ(1つまたは複数)と受信(RX)を実行するアンテナ(1つまたは複数)とが同一であるか、または同じ位置に配置され(例えば伝統的なレーダ)、マルチスタティックモードでは、システムが、送信(TX)用に使用されるアンテナと受信(RX)用に使用されるアンテナの対を切り替えることができる。あるいは、単一の送信アンテナを、複数の受信アンテナととともに使用することもできる。例えば、腹の頂部のTX/RXアンテナ(1つまたは複数)がパルスを送信することができ、体の周囲の別の位置に配置された1つまたは複数の受信アンテナが、送信されたそれらのパルスの反射を受信することができる。胎児の心臓の主表面が伝搬方向に対して垂直(例えば最良の反射)に近くない場合、マルチスタティック技法を使用して、反射された信号(以後、反射信号)の質を向上させることができる。これらのマルチスタティック構成(例えば2つ以上の受信アンテナを有する構成)を、順方向散乱技法をサポートするように構成することもできる。順方向散乱では、1つのTX/RXアンテナまたは一対のアンテナがある1つの位置(例えば母親の左腹)に配置され、第2のTX/RXアンテナまたは一対のアンテナが別の位置(例えば母親の右腹)に配置され、その結果、第1の位置からのTX信号は第2の位置にあるRXアンテナによって受信され、第2の位置からのTX信号は第1の位置にあるRXアンテナによって受信される。これらの技法は、胎児の活動をより適切に分離し、追跡することができる。
【0020】
[00021]これらの胎児監視装置およびシステムは、臨床(例えば病院)環境で、またはいくつかの変形では家庭環境で使用することができる。
[00022]例えば、本明細書には、胎児および母体の健康指標を並行して監視することができる超広帯域(UWB)胎児監視システムであって、UWB信号データを受信し、送信するように構成されたセンサであり、少なくとも1つのアンテナを備えるセンサと、このセンサから信号データを受信し、この情報を処理して、深さおよび時間をインデックスとする反射信号のマトリックスを形成し、このマトリックスから、胎児の複数の健康指標または胎児および母体の複数の健康指標を抽出するように構成された信号処理装置とを備えるシステムが記載される。
【0021】
[00023]このセンサはさらに、別個の受信アンテナと送信アンテナとを含み、または受信と送信の両方を実行するように構成された結合型アンテナを含んでもよい。いくつかの変形では、このシステムが複数のセンサを備え、それらの複数のセンサがそれぞれ、UWB信号データを受信し、送信するように構成されており、少なくとも1つのアンテナを備える。前述のとおり、モノスタティック動作するようにこのシステムを構成することができ、そのときには、それぞれのセンサからのUWB信号の送信が、その同じセンサによって受信され、またはマルチスタティック動作するようにこのシステムを構成することもでき、そのときには、1つのセンサからのUWB信号の送信が別のセンサによって受信される。
【0022】
[00024]信号処理装置を、胎児心拍数、胎児心拍変動、胎児呼吸、胎動からなるグループから選択された胎児の1つまたは複数の健康指標を決定するように構成することができる。信号処理装置を、母体心拍数、母体収縮数および収縮強度、母体血圧、母体呼吸からなるグループから選択された母体の1つまたは複数の健康指標を決定するように構成することもできる。
【0023】
[00025]このシステムは一般に、前記アンテナに接続された送信器をさらに含むことができ、この送信器は、超広帯域スペクトル信号としてこのアンテナから発射された信号として送信される低電圧、短持続時間の一連の広帯域パルスを発生させるように構成される。このアンテナに受信器を接続することができ、この受信器は、このアンテナによって受信された発射された信号の反射を受信し、この反射を処理して、信号処理装置へ送られるデータを生成するように構成される。センサからより遠い位置で反射された信号が、センサにより近い位置で反射された信号よりも高い倍率で増幅されるように、この受信器を、信号の深さに基づいて信号を増幅するように構成することができる。
【0024】
[00026]信号処理装置を、特に胎児心拍数および母体収縮数を決定するように構成することができる。
[00027]いくつかの変形では、このシステムがさらに、データおよび/または信号(例えばマトリックス情報)を記憶する局所記憶装置を含む。このシステムはさらに、監視システムと通信する通信モジュールを含むことができる。この監視システムは、データを記憶し、送信するように構成されたコンピュータシステムを備えることができる。例えば、この監視システムは、ネットワーク化されたサーバを備えることができる。
【0025】
[00028]いくつかの変形では、センサが、信号処理装置に結合し、信号処理装置から外れるように構成された1度だけ使用する使い捨てセンサとして構成され得る。例えば、センサ(1つまたは複数)を、母親の体に(接着剤によって)取り付けられるように構成された接着剤センサとすることができる。他の例では、着用されるように、または母親の被服に取り付けられるように、センサが構成される。いくつかの変形では、耐久性があり、再使用されるように、センサが構成される。
【0026】
[00029]いくつかの変形では、このシステムが、温度センサ、心拍数(脈拍)センサ(例えば母体心拍数を決定するため)、加速度計(胎児または母親の運動を判定するため)などの、1つまたは複数の非UWBセンサを含む。この非UWBセンサからのデータをUWBデータと統合し、処理装置へ送ることができる。
【0027】
[00030]本明細書にはさらに、胎児および母体の健康指標を並行して監視することができる超広帯域(UWB)胎児監視システムが記載される。このシステムは、UWBデータを受信し、送信するように構成されたセンサであり、少なくとも1つのアンテナを備えるセンサと、このアンテナに接続された送信器であり、超広帯域スペクトル信号としてこのアンテナから発射された信号として送信される低電圧、短持続時間の一連の広帯域パルスを発生させるように構成された送信器と、前記センサからデータを受信し、この情報を処理して、深さおよび時間をインデックスとする反射信号のマトリックスを形成し、このマトリックスから、胎児心拍数および母体収縮数を抽出するように構成された信号処理装置とを含むことができる。
【0028】
[00031]本明細書にはさらに、胎児の健康指標を適応エネルギー監視するように構成された超広帯域(UWB)胎児監視システムであって、UWB信号データを受信し、送信するように構成されたセンサであり、少なくとも1つのアンテナを備えるセンサと、このセンサから信号データを受信し、この情報を処理して、深さおよび時間をインデックスとする反射信号のマトリックスを形成し、胎児によって反射された信号のエネルギーレベルを決定するように構成された信号処理装置と、このセンサによって送信されたUWB信号のエネルギーレベルを、胎児によって反射された信号のエネルギーレベルに基づいて調整するように構成された送信エネルギーレベルアダプタ(transmitted energy level adapter)とを備えるシステムが記載される。
【0029】
[00032]本明細書に記載されたシステムは、どのシステムも、さらに、胎児および/または母親に関する情報を提示する1つまたは複数の出力を含むことができる。例えば、出力は、ビデオモニタ、ストリップ/チャートプリンタおよび/またはレコーダ、プリンタ、音声出力などを含むことができる。
【0030】
[00033]この送信エネルギーレベルアダプタは、胎児によって反射された信号のエネルギーレベルを所定のターゲットエネルギーレベルと比較するように構成された比較器を含むことができ、この送信エネルギーレベルアダプタは、胎児によって反射された信号のエネルギーレベルを前記所定のターゲットエネルギーレベル以内に維持するように、UWB信号のエネルギーレベルを調整するように構成される。
【0031】
[00034]本明細書にはさらに、胎児および母体の健康指標を監視する超広帯域(UWB)胎児監視システムが記載される。このシステムは、UWB信号データを受信し、送信するように構成されたセンサであり、少なくとも1つのアンテナと、電源と、超広帯域スペクトル信号としてこのアンテナから発射された信号として送信される低電圧、短持続時間の一連の広帯域パルスを発生させるように構成された送信器とを備えるセンサと、電源を充電するように構成された充電クレードルと、前記センサから情報を受信し、その情報を信号処理装置へ送るように構成された通信装置とを含むことができ、この信号処理装置は、この情報を処理して、深さおよび時間をインデックスとする反射信号のマトリックスを形成し、このマトリックスから、胎児の複数の健康指標または胎児および母体の複数の健康指標を抽出するように構成される。
【0032】
[00035]この信号処理装置を、前記マトリックスから、胎児心拍数および母体収縮数を決定するように構成することができる。このシステムはさらに、胎児または母体の複数の健康指標のうちの1つまたは複数の健康指標を表示するように構成された出力を含むことができる。
【0033】
[00036]本明細書にはさらに、胎児および母体の2つ以上の健康指標を超広帯域(UWB)システムを使用して同時に監視する方法が記載される。この方法は、低電圧、短持続時間の一連の広帯域パルスを、超広帯域スペクトル内の発射された信号として、胎児に向けて送信するステップと、それらの低電圧、短持続時間の一連の広帯域パルスの反射信号を受信するステップと、この反射信号を処理して、深さおよび時間をインデックスとするマトリックスを形成するステップと、このマトリックスから、胎児の第1の健康指標および胎児の第2の健康指標または母体の第1の健康指標を抽出するステップとを含むことができる。
【0034】
[00037]いくつかの変形では、この方法がさらに、胎児の第1の健康指標および胎児の第2の健康指標または母体の第1の健康指標を表示するステップを含む。この方法はさらに、妊娠患者の体表または妊娠患者の近くにセンサを配置するステップを含むことができ、このセンサは、UWBデータを受信し、送信するように構成されたアンテナを備え、このセンサは少なくとも1つのアンテナを備える。
【0035】
[00038]反射信号を処理する前記ステップは、単一の広帯域パルスに対応する反射信号を、この広帯域パルスの進入深さを反映した複数のビン(bin)に分割するステップを含むことができる。
【0036】
[00039]いくつかの変形では、抽出する前記ステップが、マトリックスから母体収縮数を決定するステップと、マトリックスから胎児心拍数を決定するステップとを含むことができる。
【0037】
[00040]一般に、この抽出ステップは、最初に、マトリックス内の胎児の領域と母体の領域とを区別するのに役立つ1つまたは複数の目印を決定することによって実行することができる。例えば、抽出する前記ステップは、マトリックスから、第1の深さにおける母体収縮数を決定するステップと、マトリックスから、第2の深さにおける母体収縮数を決定するステップと、第1の深さと第2の深さの間の領域を分析することによって、マトリックスから、胎児の第1の健康指標を決定するステップとを含むことができる。
【0038】
[00041]この方法はさらに、送信アンテナからより離れたより深い位置で反射された反射信号が、送信アンテナにより近い位置で反射された反射信号よりも高い倍率で増幅されるように、反射信号を、反射信号の深さに基づいて増幅するステップを含むことができる。
【0039】
[00042]本明細書にはさらに、陣痛中および分娩中の胎児および母体の健康を超広帯域(UWB)システムを使用して同時に監視する方法であって、UWBデータを受信し、送信するように構成されたセンサであり、少なくとも1つのアンテナを備えるセンサを、分娩時監視のため、妊婦の体表に配置するステップと、低電圧、短持続時間の一連の広帯域パルスを、超広帯域スペクトル内の発射された信号として送信するステップと、それらの低電圧、短持続時間の一連の広帯域パルスの反射信号を受信するステップと、この反射信号を処理して、深さおよび時間をインデックスとするマトリックスを形成するステップと、このマトリックスから、胎児心拍数および母体収縮数を抽出するステップとを含む方法が記載される。
【0040】
[00043]本明細書に記載された装置、システムおよび方法は、臨床環境内と臨床環境外の両方においてNSTデータを収集するのに適当な遠隔胎児監視を提供することができる。
【0041】
[00044]いくつかの変形では、この胎児監視システムが、少なくとも1つの(UWB)センサと、充電クレードルと、通信装置(1つまたは複数)と、処理局(例えばサーバ)とを含む。このシステムは、医師によって提供される命令に従うことができる。例えば、いくつかの変形では、このシステムが在宅医療に対して使用されることができる。この変形では、充電クレードルからセンサを取り外し、センサを腹部に配置することによって、指示された時刻に、母親(または他の介護者)が検査手順を開始することができる。配置の際、母親の助けとなる胎児心拍動に比例した可聴信号を提供するために、内蔵スピーカを含めることができる。適正に配置されると、センサは、データを記録する。このデータは、胎児心拍数、肉眼的体動および偽呼吸に関係した胎動、ならびに子宮収縮を含むことができる。センサはさらに、胎動の印を手動で付けるために母親が使用することができる取外し可能な押しボタン(「キックカウンタ」)に接続することができる。医師によって指定された時間、例えば5分、10分、30分などが経過した後に、センサは検査を自動的に終了することができ、センサは、検査が終了したことを母親に知らせる可聴プロンプトと視覚プロンプトの両方を提供する。検査の終わりに、母親は、センサを充電クレードルに戻す。
【0042】
[00045]センサを含むユニットが充電クレードルに戻された後、母親は、通信装置(例えばスマートホン)を取り出し、データ転送アプレットを起動することができる。スマートホン上のこのアプレットは、センサとスマートホンの間の無線Bluetooth接続を起動し、携帯電話のネットワークを介してサーバに接続し、データをサーバにアップロードすることができる。このアップロードの終わりに、サーバとのセッションを閉じる前に、母親は、短い音声メッセージまたはテキストメッセージをこのデータレコードに添付することができる。検査データがサーバにアップロードされると、サーバは、母親の保健サービス提供者に警報を出す。保健サービス提供者は次いで、標準ブラウザを介してインターネットにアクセスすることができる任意の装置を介してサーバにアクセスすることができる。ログオンした後に、保健サービス提供者はそのデータを調べ、希望する場合には、そのデータを分析するソフトウェアを実行して、胎動の周期、胎児の心臓の頻脈および除脈、ならびに子宮収縮を識別することができる。この分析ソフトウェアはさらに、このデータに基づいて、胎児の状態を指示する胎児スコアを計算する。データの検討が完了した後に、保健サービス提供者は、胎児の健康を指示するメッセージ、または追跡調査のために保健サービス提供者と連絡をとるよう母親に求めるメッセージを母親に送ることができる。最後に、保健サービス提供者は、任意の時点で、検査を実施することを母親に思い出させるためのプロンプトがその日に母親へ送られるように、一連の日付を入力することができる。
【0043】
[00046]本明細書にはさらに、超広帯域(UWB)胎児監視データを処理するシステムが記載される。例えば、UWB胎児(および胎児/母体)データを処理するシステムは、UWB信号データを受信し、送信するように構成されたセンサであり、少なくとも1つのアンテナと、電源と、超広帯域スペクトル信号としてこのアンテナから発射された信号として送信される低電圧、短持続時間の一連の広帯域パルスを発生させるように構成された送信器とを備えるセンサと、センサによって受信されたUWB反射データを処理して、深さおよび時間をインデックスとする反射信号のマトリックスであり、胎児の複数の健康指標または胎児および母体の複数の健康指標をそこから抽出することができるマトリックスを形成するように構成された信号処理装置と、この信号処理装置から情報を受信し、抽出された胎児の健康指標または胎児および母体の健康指標を、1つまたは複数の遠隔報告局(remote reporting station)へ送るように構成されたサーバとを含むことができる。
【0044】
[00047]この信号処理装置を、マトリックスから、胎児の複数の健康指標または胎児および母体の複数の健康指標を抽出するように構成することができる。上述の任意の指標を抽出することができる。いくつかの変形では、前記サーバが、マトリックスから、胎児の複数の健康指標または胎児および母体の複数の健康指標を抽出するように構成される。このように、マトリックスからの抽出は、個々の信号処理装置レベルで実行することができ、または、処理のために患者側装置から集中型サーバへ送ることもできる。したがって、いくつかの変形では、信号処理装置が主に信号を調整し、処理装置へ送る準備を整える。あるいは、信号処理装置が反射信号から情報を抽出してもよい。情報の抽出は、より効率的でより簡素化されたサーバへの送信を可能にする。このサーバは、抽出された情報を処理する論理を実行するのに十分なコンピュータサーバ、またはマトリックス情報を処理して、胎児および/ないし母親の1つないし複数の健康指標を抽出する論理を実行するのに十分なコンピュータサーバとすることができる。
【0045】
[00048]いくつかの変形では、このサーバが、抽出された指標を1つまたは複数のモバイル装置へ送るように構成される。例えば、このシステムは、患者データにアクセスするための1つまたは複数のアカウントを、患者、医師、介護者などに対して発行することができる。このデータを医師もしくは介護者に直接に送ることができ、または医師/介護者が遠隔位置からこのデータにアクセスすることもできる。いくつかの変形では、このシステムが、胎児/母体の健康指標に基づいて医師/介護者または他の人に警報を発するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】[00049]妊婦に結合されたセンサの一変形を示す図である。
【図2A】[00050]本明細書に記載された時間対深さマトリックスを示す図である。
【図2B】[00051]マトリックスの他の変形を示す図である。
【図3】[00052]システムから集められ、本明細書に記載された移動窓FFTを使用して分析されたデータの部分的な分析を示す図である。
【図4A】[00053]本明細書に記載されたシステムの概念実証(proof−of−concept)変形からとられたデータを示すチャートであり、胎児心拍数の分析においてこのシステムと超音波胎児監視装置とを比較したチャートである。
【図4B】[00054]胎児心拍数を測定するUWB概念実証レーダ装置と超音波胎児監視装置との他の比較を示す図である。
【図4C】[00055]子宮収縮を検出する概念実証UWBレーダシステムの使用を示す図である。
【図4D】[00055]子宮収縮を検出する概念実証UWBレーダシステムの使用を示す図である。
【図5】[00056]反射値のマトリックスから胎児の健康指標(例えば胎児心拍数)を決定する本明細書に記載された方法の一変形を示す図である。
【図6】[00057]本明細書に記載されたUWB胎児監視システムの一変形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
[00058]本明細書に記載された胎児監視システムは、どのシステムも、UWB信号を発射し、そのUWB信号の反射を受信する1つまたは複数のUWBセンサと、その反射UWB信号を処理するように構成された処理装置とを含むことができる。この処理装置は、その反射信号を、時間および組織内の深さをインデックスとするマトリックス、または周波数および組織内の深さをインデックスとするマトリックスに編成するように構成されていることがある。この処理装置はさらに、胎児および/または母体の2つ以上の健康指標に対して特異的な運動情報を抽出するように構成されていることがある。
【0048】
[00059]例えば、いくつかの変形では、本明細書に記載された医療用胎児レーダセンサが、関連電子装置および/または関連論理を含むセンサ(または「センサユニット」)を含む。この論理は、本明細書に記載された機能を実行するハードウェア、ファームウェアおよび/またはソフトウェアを含むことがある。このセンサ20は、送信(Tx)アンテナおよび受信(Rx)アンテナ、または結合型送信/受信アンテナを含むことがある。このセンサ20は、処理装置と両方向モードで通信することができ、この処理装置は、電子装置ハウジングの部分とすることができる。この電子装置ハウジングはさらに、電磁信号を送信アンテナへ送達し、受信アンテナから反射信号を受信するトランシーバTx/Rx、送信回路および受信回路を含むことができる。この処理装置を中央処理装置(CPU)とすることができる。いくつかの変形では、センサが処理装置と一体であり、あるいは、無線方式で、または物理接続(例えば導線)を介して、センサを処理装置に接続することができる。このシステムはさらに、データ記憶装置、トランシーバから生データを受信するための入力、およびセンサ用の電源を含むことができる。
【0049】
[00060]この処理装置内において、受信されたデータまたは記録されたデータを、特定の論理(例えばCPU上で動作するソフトウェアに組み込まれたアルゴリズム)を使用して処理することができ、受信されたデータまたは記録されたデータを使用して、胎児/母体の複数の健康指標を決定することができる。
【0050】
[00061]図1に示されているように、一例では、このシステムが、送信アンテナと受信アンテナの両方を含むセンサ20を含むことができる。センサ20は、妊婦の腹の表面に配置されている。この例ではセンサ20が、監視対象の被検者のそばに置かれたトランシーバユニットに、導線を介して接続されている。トランシーバユニットからの音声ケーブルが、サウンドカードPCI上のコンピュータの音声入力に直接に接続されている。次いで、このコンピュータに(この例ではソフトウェアとして)組み込まれた論理が、本明細書に記載された生データを処理、変換して、胎児および/または母体の健康指標を決定し、追跡し、監視するために使用される。
【0051】
[00062]本明細書に記載されたシステムは一般に、胎児の1つまたは複数の健康指標(例えば胎児心拍数、体動、偽呼吸など)を監視することができる。さらに、このシステムは同時に、母体の1つまたは複数の健康指標(例えば母体心拍数、母体呼吸、母体収縮数/収縮強度など)を監視することができる。米食品医薬品局(FDA)および米連邦通信委員会(FCC)によって求められている規格を含むさまざまな規制要件に準拠して、センサのエネルギー出力を、被検者の安全を最大化するあるレベルに制限することができる。妊婦を含む全ての人のエネルギー場に対する連続公衆暴露量に関するFDAの現行の限度量は、全身に均して1キログラムあたり0.08ワット(W/kg)、局所暴露については1.6W/kgである。本発明の最大平均出力は0.8mWに過ぎず、FDAの現在の限度量に比べてかなり小さく、1/1000でしかない。母親の皮膚、皮下脂肪、子宮筋および羊水による吸収または反射により送信信号のエネルギーは減衰するため、胎児が受ける入射エネルギーはこれよりもなおいっそう小さくなる。本明細書に記載されているとおり、必要に応じた最小レベルのエネルギーだけが加えられるように、このシステムが、発射されるエネルギーを動的に変化させるように、発射され、反射されるエネルギーを整合させることによって、このシステムを、発射されるエネルギーを最小化するように適合させることもできる。
【0052】
[00063]センサによって送信された電波の形態の電磁エネルギーは、母親および胎児を含む被検者に対して限られた熱効果を生み出す。この装置の平均電力出力は一般に0.001mW/cm未満である。この場合も、母体の組織は、この入射エネルギーが胎児に到達する前に、入射エネルギーの支配的部分を吸収する。心臓の問合せ領域における胎児の体温は、摂氏0.001度未満しか上昇しないと考えられ、これは十分に許容範囲内である。現在広く使用されている装置との関係でこのことを考えて見ると、我々は、電子レンジなどのマイクロ波機器、携帯電話および無線ネットワークからのエネルギーに日々さらされている。本明細書に記載されたシステムのエネルギー暴露量は一般に、携帯電話から発射されるエネルギーの1/1000未満である。電波の子宮内影響を評価している入手可能な証拠に基づけば、エネルギー出力がこのように低いことから、このセンサは、人間に対して使用してもおそらく安全であり、胚または胎児の成長または発育を妨げるおそれがある催奇形効果も知られていない。
【0053】
[00064]この装置またはシステムの送信部分は一般に、センサを通して送られ、胎児に向けて送信される無線周波信号を生成する。無線周波信号の発射および送信のタイミングは、送信信号が送信される前に受信チャネルが決してアクティブにならないような態様で、対応する受信器(例えばRxアンテナ)と同期される。センサ10は、送信アンテナと受信アンテナの両方を小さな長方形の細片として含むように、適当な任意の方式で構成されることができる。この細片は、患者の皮膚または被服に接着剤で固定され、または他の方法で患者に取り付けられるように構成することができる。いくつかの変形では、このセンサ要素が、患者が着用した衣服と一体であるように構成され、または患者が位置するベッドまたは寝具と一体であるように構成される。
【0054】
[00065]送信アンテナは一般に、送信された信号を胎児に向けて送達し、受信アンテナは、送信された信号の反射を捕捉する。受信アンテナは、集められた反射信号をシステムに送達し、受信アンテナは、受信信号を処理装置へ送る前に受信信号を処理する受信前処理装置(または受信回路)を含むことができる。いくつかの変形では、この前処理装置の機能が処理装置によって実行され、または別個の装置もしくは回路が使用され得る。例えば、受信回路は、反射された生レーダ信号を、送信された信号と絶えず同期がとられる受信器タイミング回路のある時間間隔によって駆動されたパケットとして受信することができる。それぞれの信号パケット内で、段々と深くなる深さで反射された送信信号の反射が捕捉される。例えばパケットの前端が最も小さな倍率で増幅され、パケットの後端が最も大きな倍率で増幅される利得補償回路を使用して、それぞれのデータパケットを増幅することができる。これによって、より表面に近い反射よりも大きく減衰するより深い組織での反射を増強することができる。信号が増幅された後に、その信号を一連の低域フィルタに通して、データがディジタル化された後のエイリアシングを防ぐことができる。
【0055】
[00066]一変形では、この集められた反射およびタイミング同期(sync)信号がセンサから処理装置へ送られ、並行して、この反射信号およびタイミング信号を、音声出力、ビデオ出力などの出力へ送ることができる。例えば、音声出力(例えばコンピュータサウンドカード)に接続された音声ケーブルを通して、この反射信号およびタイミング信号を送ることができる。これらの2つの信号を使用して、出力用のステレオ信号を生成することができる。例えばステレオ信号の左側は同期信号、右側は反射信号である。論理を使用して、これらの信号を(例えばコンピュータのサウンドカード上に)出力し、それと並行して、集められたデータを、処理のために書き込み、保存することができる。
【0056】
[00067]胎児/母体の複数の健康指標の監視は、データを編成し、そのデータを分析することができる処理装置によって実行することができる。処理装置は例えば、一連の変換によってデータを処理して、胎児および/または母体の複数の健康指標を決定する論理を含むことができる。集められたデータおよび/または保存されたデータ(例えば反射データ)を、流れているデータパケットが複数の列として整列した図2Aに示された形のマトリックスに作り変えることができる。この例では、それぞれのデータパケットが、特定のサンプリング時間における、範囲ビン(range bin)としても知られているさまざまな深さの体(胎児および/または母親)の特性を表す。これらの範囲ビン内のデータの分析を使用して、特定の範囲ビン内の組織の誘電特性の変化を、反射信号に基づいて決定し、さらなる分析のために深さおよび時間に従って相関させることができる。
【0057】
[00068]特定の時刻における、特定の問合せ深さを表すそれぞれの範囲ビンからのデータを、あるフィルタリング方式に従って処理することができる。別の例ではこのデータが反射強度を表し、別の例ではこのデータが周波数データを表すことができる。フィルタリングは、マトリックス内のデータに適用することができ、またはデータがマトリックスに入れられるときに適用することができる。マトリックス内の信号の周波数成分に基づいて、および/またはマトリックス内の他の信号と比較したときのマトリックスの1つの領域内の信号の関係に基づいて、1つまたは複数のパラメータを決定することができる。例えば、ターゲット周波数範囲の外側の信号を無視することによって、それ以外の信号から胎児心拍動を決定することができる。抑制される他の信号は、他の生体影響、装置に関連した電子信号または周囲環境内の他の漂遊電子信号に関連することがある。例えば、母体呼吸(約20BPM)、胎児呼吸または偽呼吸(約50〜60BPM)、母体心拍数(90〜100BPM)などの特性周波数成分または予想される周波数成分に基づいて、それ以外の信号を決定することができる。予想範囲が120〜160BPMである胎児心拍数は、関心の1つのターゲット周波数範囲である。したがって、予想範囲内の周波数を求めてマトリックスを経時的にスキャンすることによって、予測推定値を決定することができる。しかしながら、胎児仮死を指示している可能性がある例えば胎児心拍数などの異常な測定値または範囲外の測定値を捕捉するために、予想範囲を拡張することができる。
【0058】
[00069]一例では、母親の内部解剖学的構造および胎児から反射された送信エネルギーに由来する受信信号をサンプリングするように、UWBセンサがプログラムされる。サンプラは、送信器と受信器のサンプラとの間の可変の時間遅延によってトリガすることができ、この時間遅延は、送信アンテナから、関心の解剖学的深さを経て最終的に受信アンテナまでの飛行時間に等しい。この遅延は、子宮および胎児を含む解剖学的領域に対応する時間窓を横切って変化する可能性があり、センサ内の回路遅延および伝搬遅延を補償するために必要な追加の遅延を考慮する。
【0059】
[00070]UWBセンサのタイミングパラメータは、レーダ構成、センサ内の固有の回路遅延および伝搬遅延、ならびに母親の体内の問合せの所望の範囲に依存する可能性がある。例えばモノスタティック動作するように構成されたUWBセンサに関して言えば、センサ内の測定された回路遅延および伝搬遅延は10nsであり、所望の解剖学的範囲は50cmである。50cmは、母親の腹部の皮膚の表面から脊柱までの範囲を十分にカバーすることができ、したがって子宮および胎児が含まれることを保証することができる。最小時間遅延は、センサ内の回路遅延および伝搬遅延を考慮するために10nsに設定することができ、最大時間遅延は、10nsに、50cmに対応する往復飛行時間を加えた時間に設定することができる。平均誘電率を50と仮定すると、往復飛行時間は約24nsと計算され、最大時間遅延は34nsとなる。アクティブな24nsの範囲窓を横切ってサンプラのタイミングを変化させるために使用されるステップサイズは250psに設定され、これは、約5mmの半径方向分解能を提供する。範囲が24ns、ステップサイズが250psであるとすると、範囲窓内には96個の範囲ビンがある。
【0060】
[00071]ディジタル化された信号内のエイリアシングを防ぐため、関心の最大周波数よりもかなり大きな速度で、この時間遅延を、この範囲窓を横切って掃引することができる。胎児心拍数の予想範囲が120〜240BPM、すなわちまたは2〜4Hzであるとすると、掃引速度を100Hzに設定することができる。範囲窓のそれぞれの掃引は、一連のサンプルを生成し、別個の範囲ビンあたりのサンプル数は一般に4ないし8に設定され、単一の任意の深さにおいてこれらのサンプルを平均することによって、雑音を低減させることができる。したがって、掃引速度100Hz、1掃引あたり96ステップ、1ステップあたり4サンプルとすると、受信器のサンプリングレートは約38kサンプル/秒である。範囲ビンあたり4サンプルのそれぞれのサンプルセットが平均され、約9.6kサンプル/秒の有効サンプリングレートが得られる。
【0061】
[00072]図2Bに示された変形などのいくつかの変形では、時間/範囲マトリックスが合計96の列を有し、それぞれの列が、対応する範囲ビンに関して平均されたデータを含むことができる。行数は、所望の生理データのタイプおよびそのデータを抽出するために必要なアルゴリズムに依存することがある。行数は一般に、1分ないし5分間分のデータを記憶することができるように設定され、新たなデータで絶えず更新され、データのスライディング窓を提供する。アルゴリズムは、子宮収縮を識別する単純な微分/ピーク検出アルゴリズムから、移動平均フィルタが静的反射を減衰させ、フーリエ解析技法が胎児心拍数の測定を可能にするより精巧な運動検出アルゴリズムまでさまざまである。追加の時間ドメインおよび周波数ドメイン技法を適用して、データをさらに純化し、正確さおよび一貫性を向上させることもできる。
【0062】
[00073]図3を参照すると、このシステムは、胎児および/または母体の健康指標をリアルタイムで計算し、決定することができる。例えば、このシステムは、マトリックス内のそれぞれのさまざまな問合せ深さの「ビン」の範囲に対して、それぞれの範囲ビンに関連した反射によって実現されるスペクトル分析を実行することができる。この例では、それぞれの範囲ビン内の反射信号の全ての周波数成分の強度を経時的に決定するために、移動高速フーリエ変換(FFT)窓が適用される。それぞれの時間窓の中で最も大きな強度を有する周波数を決定し、胎児心拍数を視覚的に表示するために、その周波数を、時間プロット内のベクトルとして記録することができる。この方法による胎児心拍数の測定を超音波胎児心拍数監視装置と比較することにより、この方法の正確さは確認されている。
【0063】
[00074]図3は、スペクトル分析に関連した胎児および/または母体の健康指標の特徴的指標を抽出するプロセスの一変形を示す。この例では、移動FFT窓を使用した計算によって指標(例えば心拍数)を決定することができる。この例では、その特定の窓の中で最も大きな強度を有する周波数が、胎児心拍数であると判定される。
【0064】
[00075]本明細書に記載されたシステムの初期の概念実証モデルを構築し、そのモデルを使用して胎児心拍数を決定した。この検査装置から集められたデータの一部の一例が図4Aに示されている。図4Aは、初期プロトタイプ装置を使用して測定された最大周波数を、超音波胎児心拍数監視装置との比較で示す図である。この例では、幅が3秒であり、それぞれの場合に次の窓の95%が前の窓と重なる移動FFT窓を使用した。この移動FFT法の適用は、胎児心拍数の実質的に連続する評価および測定を提供し、スペクトル漏れを最小化し、それによって測定値および計算値の信頼性(reliability)および信頼度(confidence)を増大させる。重なりの大きいこの移動FFT窓プロセスを全ての範囲ビンで実行して、それぞれの範囲ビン内の測定値が、胎児心拍数を示す振舞いを示しているかどうかを判定した。
【0065】
[00076]図4Bは、前述のプロトタイプUWBシステム401によって決定された胎児心拍動と既製の胎児心拍動監視装置403との他の比較を示す。これらの信号は非常に近い。
【0066】
[00077]図4Cおよび4Dは、同じプロトタイプ装置からの子宮収縮情報の抽出を示す。前述のとおり、同じ反射データを分析して、胎児心拍動/心拍数と母体子宮収縮とを同時にまたは並行して決定することができる。したがって、過剰なサンプリングを回避することができる。
【0067】
[00078]システムは、胎児および/または母体の1つまたは複数の健康指標を決定するために、全ての範囲ビンを循環反復プロセスで調べることができるが、全ての範囲ビンが、1つまたは複数の指標を指示する振舞いを示すわけではない。したがって、所望の指標(1つまたは複数)の特性を示している範囲ビンからの反射を捕捉するために、1つまたは複数の深さを分離するように、このシステムを調整することができる。いくつかの変形では、胎児および/または母体の1つまたは複数の健康指標を決定する際にどの範囲のビンを使用するのかを決定するために、このシステムが目印を使用することができる。例えば、信号は母体を完全に貫通する可能性があるため、胎児の周囲の母体の領域を指示するマーカ(例えば子宮収縮)を使用して、取得された深さ内において胎児の位置を決定することができ、したがって、この深さを使用して、胎児および/または母親の健康指標を決定するときに調べるマトリックスの部分を狭めることができる。さらに、生理マーカの拡張された位置は、調べられる指標を分離し、確認するのに役立つことがある。
【0068】
[00079]いくつかの変形では、このシステムが、送信された信号が母親の組織に十分に進入して、心臓のある既知の深さまで到達したかどうかを判定する論理を含むことがある。このシステムは、この進入距離をさらに使用して、どの範囲ビン(1つまたは複数)が、胎児の心臓活動を指示する振舞いを最も高い確率で示しているのかを推定することができる。例えば、この方法は、送信された信号が進入する組織の比誘電率を決定することができる。比誘電率は、異なる媒質を通過する光の速度を計算するために使用される単位のない定数である。下表1は、胎児の心臓に到達するのに進入が十分であったかどうかを判定する際に考慮されるさまざまな組織の比誘電率の値を示す。
【0069】
【表1】

【0070】
[00080]これらの既知の誘電率を、下式1に示されたレーダ距離式に組み入れる。
【0071】
【数1】

【0072】
[00081]異なる範囲ビン内の異なる深さの誘電率は異なるため、次いでこの関係を下式2に示すように拡張する。
【0073】
【数2】

【0074】
[00082]決定されたこの関係を用いて、このシステムは、送信された信号が、特定の被検者の胎児の心臓(または胎児/母体の他の解剖学的マーカ)に到達するのに要する伝搬時間を決定することができる。一変形では、このシステムが固定リターン時間(fixed return time)を使用する。このリターン時間を使用して、送信された信号が胎児の心臓(または他のマーカ)に到達したときを決定し、送信された信号が胎児の心臓(または他のマーカ)に到達したかどうかを判定することができる。例えば、下式3によって示されているように、ある1つの状況では、最後の範囲ビンに対するリターン時間が5.7ナノ秒(ns)であると決定することができる。この値は、遭遇する組織部分の厚さの仮定または推定に依存することがある。皮膚および脂肪の厚さ、ならびに胎児の心臓までの距離は一般に知ることができる。
【0075】
【数3】

【0076】
[00083]固定リターン時間を使用してシステムを較正する際に、送信された信号が遭遇する皮膚および脂肪以外の組織または媒質の比誘電率が等しいと仮定すると有用なことがある。例えば、一変形では、全体の比誘電率が、子宮、羊水および筋肉の比誘電率の平均であると仮定し、それにより全体の比誘電率の値を55.38とする。送信パラメータが固定されているこの状況では、センサが、それぞれの個々の母親の胎児の心臓に問合せができるかどうかを判定することが可能である。場合によっては、母親の生理的構成および生理的構造が、固定された特定の較正を使用して胎児の心臓を画像化することを許さないこともある。
【0077】
[00084]移動する解剖学的特徴物(例えば胎児の心臓、胎児の体、母親の心臓、子宮など)の位置に関して、反射信号は、マトリックスの異なる「ビン」内に存在するものの動画を提示することができる。したがって、それぞれのビン内で反射されたエネルギーの変化を使用して、さまざまな運動周波数、したがって調べられているさまざまな指標を決定することができる。このシステムはある範囲のビンを分析することができる。
【0078】
[00085]図5は、本明細書に記載されたシステムを使用して胎児の健康指標(例えば胎児心拍数)を決定する1つの方法を示す。
[00086]胎児心拍数は、胎児心拍動信号のピークを検出し、連続する心拍動間の周期を計算し、この周期の逆数をとって心拍数を計算することにより決定することができる。具体的には、データ内の心拍動を検出する1つの方法は、複数のステップで実行され得る。胎児心拍数波形のある有限区間を取得し得、帯域フィルタを使用してその波形を強調することができる。自己相関関数を使用して、そのデータ区間内で観察された周期的運動を強調することができる。観察されると予想される周期的運動が、胎児心拍動に対応することがある。次いで、あるアルゴリズムを使用して、単一の心拍動波形のピークに対応するデータ区間の極大を見つけることができる。連続するピーク間のサンプルの数を計算し、そのサンプリングレートに基づいて胎児心拍動の周期を計算することができる。この胎児心拍動周期の逆数をとることによって、胎児心拍数を計算することができる。
【0079】
[00087]同様に、本明細書に記載された装置を使用して、子宮壁に対応する1つまたは複数の位置から子宮収縮を決定することができる。一変形では、さまざまな時刻におけるレーダ反射のオフセットの大きな差を計算することによって、母体収縮を検出することができる。レーダ反射信号の平均を数秒間にわたって計算することによって、平衡状態を決定することができる。次いで、平衡状態のオフセットと収縮中のオフセットレベルとの間の標準偏差を計算することによって、収縮を検出することができる。この標準偏差が所与のしきい値よりも大きい場合に、標準偏差のその大きな変化が母体収縮によるものであると仮定することができる。このしきい値は、母体収縮の数回の検査によって決定することができる。
【0080】
[00088]動作時、本明細書に記載されたシステムおよび方法は、妊娠中および分娩中の胎児の健康と母体の健康の両方に関する有用な情報を提供しうる複数の特徴の監視および評価をサポートする。例えば、このシステムは、母親の子宮内の胎児に関連した運動(体動)、ならびに母体収縮数および/または収縮強度などの他の特徴を監視することができる。監視対象の胎児および/または母体の複数の健康指標を使用して、胎児の健康に関係するさまざまな機能の測定に基づく結合母体/胎児指数(NMI)を生成することができる。関連NMIからの逸脱の評価を可能にするために成人の心臓NMIまたは呼吸NMIを確立することが重要であるのと同様に、本明細書に記載されたシステムは、これに対応して、総合胎児NMIを生み出す目的に使用することができる、全体的な体動、心拍数および心律動、関連する変動ならびに周期性呼吸を含む胎児の重要データの非侵襲収集をサポートする。以下は、使用することができる胎児NMIの諸成分の説明である。当然ながら、個々の指標を個別に提示し、または適用することもでき、慣れ親しんだ形(例えば心拍数については拍動/分)に変換してもよく、または変換しなくてもよい。
【0081】
[00089]例えば、このシステムは、しばしば「キックカウンティング」と呼ばれる母親の子宮内の胎動の非侵襲自動追跡を可能にし、この非侵襲自動追跡は、手動キックカウンティング技法よりもはるかに正確で臨床的にはるかに意義のある胎児の健康評価法をサポートする。それとは別に、本発明は、新生児の体動および呼吸の監視もサポートする。このシステムは、これらのパラメータのそれぞれを監視し、評価することができる。
【0082】
[00090]いくつかの変形では、このシステムが、複数の生理的運動を同時に監視して、いくつかの個々のNMIを生成する。次いで、これらの個々のNMIは、特定の観察領域に関する被検者の所望の状態を指示する「集合NMI(Aggregate NMI)」を生成するために統合される。例えば、複数の指標を同時に提供する所望のデータを集めるために、1つのセンサだけが必要であることがある。いくつかの変形では、2つ以上のUWBセンサまたはセンサのアレイからのデータを使用して、データの可用性および正確さを増大させることができる。例えば、集合NMIの1つの変形は、被検者(胎児および/または母親)が徐脈、頻脈などの異常状態に向かって所望のNMIから逸脱していることを指示するであろう目安とするために心臓NMIと呼吸NMIとを集約した心肺NMIである。運動が正常である限り、医師が患者の全体的な健康を心配する可能性は低い。しかしながら、「異常な」運動または活動を示唆する選択されたNMIからの逸脱を医師に知らせることができ、医師は、そのNMIからの逸脱の原因に対して先制的に対応することができる。このように、このシステムは、異常な生理的運動を監視し、追跡して、医師または医療介護者による早期の先制処置を可能にすることができる。
【0083】
[00091]例えば、このシステムは、複数の指標を(好ましくは同時に、または同じマトリックスを使用して)監視することによって、胎児、母親および新生児の健康の判定を可能にし、それらの指標を使用して1つまたは複数のNMIを生成することができ、それによって、その後に、予測または予想されるNMIの範囲からの逸脱を監視することを可能にすることができる。このシステムは、予想される(所定の)NMIまたは個々の指標(1つまたは複数)からの逸脱を表示することができ、この逸脱は、胎児、新生児または母親自身の健康に関連した合併症を防ぐために診療を受ける必要があることを治療する側の医師および母親に早期に通知することができる。このシステムは、FHR変動を拍動−拍動ベースで決定するのに特によく適しており、長期トレンド分析にも特によく適している。
【0084】
[00092]前述のとおり、このシステムはさらに、母親の子宮内での胎動を検出し、監視することができる。運動の低下は、臨床的に認められた妊娠の最終トリメスターにおける信頼性の高い胎児仮死の目安であり、運動の低下を、FHR、FHR変動および胎児呼吸の測定と組み合わせることができる。胎児仮死を評価する現在の方法は主に、超音波による胎動の直接母体観察、または一般に胎児がまだ母親の子宮にいる間に胎児頭皮監視装置を取り付ける必要がある極めて侵入的な胎児EKGに依存している。これらの方法は、観測の誤りを引き起こしやすいか(母親による不正確なカウント)、家庭での使用には適さない特殊な機器を必要とするか(超音波)、または記録のアーチファクトなどの偽陽性を提供する(EKG)。本明細書に記載されたシステムは、かさばる機器、システムを操作する技師、または電極などの信頼性の低い要素の使用を必要としない、他に類のない持ち運びのできる信頼性の高い装置を提供することができる。それぞれの妊娠に対して個別化されたNMIを確立することができることと相まって、このシステムは、個々の指標またはNMIの予想される値からの逸脱を識別することにより潜在的な妊娠の問題を早期に指示して、早産、羊水吸引などの後の破滅的な事象を防ぐ方法を提供することができる。
【0085】
[00093]胎動の直接観察および胎動NMIとの比較と並行して、このシステムを、前述のとおり、母体NMIから逸脱を同時に追跡するために使用することもできる。例えば、このシステムは、妊娠中によく見られる状態である子癇前症の指標である母親の心臓機能の変化を追跡することができる。さらに、このシステムは、妊娠の第2および第3トリメスターにおける一回拍出量および心拍出量の予想される大幅な増大を追跡し、それによって、乳児突然死症候群(SIDS)は新生児の親にとって重大な心配事であり、その結果、SIDSを防ぐことを目的としたさまざまな乳児監視装置が開発され、販売されているという問題の連想を防ぐために、特定の被検者向けのNMIを生成することを可能にする。このシステムによって、新生児およびそれよりも年長の乳児のSIDSおよび呼吸または心臓機能の他の異常を、家庭で、高い信頼性で監視することができ、したがって、乳児の心停止もしくは不整脈または呼吸不全を検出することによって保護の範囲が拡大される。さらに、新生児の母親または父親などの一般使用者にフィードバックを提供するときに、NMIの使用およびNMIからの逸脱の使用は不可欠である。
【0086】
[00094]例えば、本明細書に記載された装置およびシステムを、新生児または乳児に対して使用するように適合させ、乳児または新生児を監視してSIDSを防ぐように構成することができる。いくつかの変形では、新生児または若齢の乳児を監視するシステムが、センサ(例えば使い捨てセンサまたは再使用可能なセンサ)と、センサから反射(UWB)データを受信する処理装置(局所または遠隔)とを含む。本明細書に記載された任意の構成において、1つまたは複数のセンサをSIDS監視装置の一部として使用することができる。
【0087】
[00095]本明細書に記載されたシステムおよび装置では、このシステムが、UWB発生装置またはUWB源を含むことができる。このUWB発生装置は一般に、1つまたは複数のUWBパルスを発生させる。このUWB発生装置は、パルスのタイミングと構成の両方を希望に応じて構成することができる。本明細書に記載された構成要素は、どの構成要素も、電源に接続することができ、この電源は、電池、充電式電池または壁の電源アダプタもしくは他の外部電源アダプタとすることができる。本明細書に記載された多くの変形では、このシステムが、前述のとおり、タイマまたは同期タイマを含む。例えば、同期タイマは、信号処理装置との間でUWBパルスの印加を調整して、本明細書に記載されたマトリックスの形成を助けることができる。
【0088】
[00096]本明細書に記載された変形は、どの変形も、コントローラ(例えばシステムコントローラ)を含むことができ、このコントローラは、別個の要素とすることができ、または信号処理装置を含む1つもしくは複数の構成要素と一体の要素とすることができる。このコントローラは、UWB信号の発射をトリガし、システム全体のタイミングをとる制御論理を含むことができる。いくつかの変形では、このコントローラが、システム/装置を活動化し、システム/装置を非活動化し、またはシステム/装置の振舞いを変更する1つまたは複数のユーザ入力を含む。入力は、ボタン、ダイヤル、スライダ、タッチスクリーン、または離れた位置に置かれた命令を受信する受信器とすることができる。コントローラに提供される命令は、監視中のパラメータ(例えば健康指標)の変更を可能にすることができ、またはタイミングを変更することができる(自動的にターンオン/オフし、または自動的にパルスを発射するようにシステムが構成されているとき)。
【0089】
[00097]これらのシステム、装置および方法を使用して、胎児仮死の重要な指標である胎児心拍数(FHR)変動を追跡することができる。FHRは、ある基線から一定の範囲内で変動する。この変動は、健康な神経系、化学受容器、圧受容器および心臓反応性を反映する。未熟なときには変動は小さく、したがって28週以前は心拍数の変動はほとんどない。32週後には変動は正常であるべきである。胎児低酸素症、先天性心異常および胎児頻脈も変動の低下を引き起こす。拍動−拍動変動または短期変動は、振幅が5ないし10拍動/分(BPM)である基線付近でのFHRの振動である。長期変動は、ややよりゆっくりした心拍数の振動であり、3ないし10サイクル/分の周波数および10ないし25BPMの振幅を有する。臨床的に、拍動−拍動変動の喪失は長期変動の喪失よりも重大であり、オミナスに分類されることがある。このシステムは、いくつかの新規の態様およびこれらの新規の態様の相乗作用的な組合せによって、この拍動−拍動変動の喪失を追跡することができる。第1に、このシステムは、FHR活動を含む大きな体積に問合せをするため、最適な位置にセンサを配置することに対する依存度が低くなり得る。第2に、このシステムは、心臓活動を指示する電気信号ではなしに、実際の心臓組織の運動を追跡し、測定する。第3に、このシステムは、被検者との電気的な接触または音響的な接触の維持に依存せず、胎児の位置の変化を補償することができる。第4に、このシステムは、事前に電極を貼り付けまたは音響ゲルを塗布することなしに、いつでも非侵襲的に使用することができる。第5に、このシステムは、複数の問合せ深さを使用して、胎児の心臓活動を指示するデータの取得を保証する。第6に、このシステムは、FHR変動の誤った読みを生じさせる母体心拍数を迅速かつ正確に分離することができる。第7に、このシステムは、FHR活動をクロスチェックするために使用される複数の方法を含む。第8に、このシステムは、拍動−拍動ベースのFHR変動のより詳細な評価をリアルタイムで実行することを可能にする非常に高い周波数、高い解像度および微細な粒状度で、ターゲット問合せ体積からデータを集める。第9に、このシステムは、胎児頭皮電極などの極めて侵襲性の構成要素を使用する必要性を回避し、それにより、監視によってより多くの害が生じる潜在性を回避する。第10に、このシステムは、胎児仮死に関する追加の情報を提供することができる新たな分析の導入をサポートする。
【0090】
[00098]前述のとおり、本明細書に記載された装置およびシステムとともに、1つまたは複数のUWBセンサを使用することができる。例えば、本明細書に記載されたシステムは、複数のUWBセンサを含むことができる。それぞれのセンサは、TxとRxの両方のアンテナとして構成された1つのアンテナを含むことができ、または、別個のTxアンテナとRxアンテナなど複数のアンテナを含むことができる。単一のアンテナがTxとRxの両方に対して使用される場合、そのアンテナは、送信要素、受信要素およびアンテナ要素の間のRFスイッチを含むことができる。
【0091】
[00099]2つ以上のアンテナが使用されるとき(例えば2つ以上のセンサを含むとき)、システムは、アンテナセット間の所定のまたは設定可能な結合または割当てを有することができる。例えば、複数のアンテナ対が使用され、それらの複数のアンテナ対を、それぞれのRxアンテナ(またはRxとして使えるアンテナ)が特定のTxアンテナとの間で調整されるように結合することができる。この特定のTxアンテナは、個々のセンサ上のTxアンテナと同じアンテナである必要は必ずしもない。例えば、それぞれのセンサが一対のTx/Rxアンテナを含む複数のUWBセンサを、母親の体表の異なる位置で使用することができる。これらのセンサならびにそれらのRxおよびTxアンテナを、モノスタティックモード、マルチスタティックモード(例えばバイスタティックモード)などの2つの基本モードのうちの一方のモードで動作するように構成することができる。モノスタティックレーダは、TxアンテナとRxアンテナが(伝統的なUWBレーダの場合のように)同じ位置に配置されるように動作し、マルチスタティックシステムでは、同じ位置にないTxアンテナと1つまたは複数のRxアンテナとが一緒に動作することができる。例えば、母親の腹の頂部に配置されたセンサ上のTx/Rx対はパルスを送信することができ、第2の位置(例えば下腹)に配置された1つまたは複数の受信アンテナは、その送信パルスの反射を受信することができる。マルチスタティック技法を使用して、反射信号の質を向上させることができる。例えば、胎児の心臓の主表面が伝搬方向に対して垂直(最良の反射)に近くない場合、マルチスタティック動作は、信号を改良することができる。したがって、いくつかの変形では、このシステムが、Txアンテナを有する1つまたは複数の「マスタ」センサと、受信(Rx)アンテナを有する1つまたは複数の「スレーブ」センサとを含むことができる。このシステムはさらに、バイスタティック(2アンテナ)のケースを、順方向散乱技法もサポートすることができる真のマルチスタティック(2つ以上の受信アンテナ)のケースに一般化することができる。順方向散乱では、Tx/Rxアンテナ対を含む1つのセンサが第1の位置(例えば母親の左腹)に配置され、一対のTx/Rxアンテナを含む第2のセンサが、母親の右腹などの第2の位置に配置される。このようにすると、左Tx信号を右RXアンテナによって受信することができ、右Tx信号を左RXアンテナによって受信することができる。これらの技法を使用して、胎児の活動をより適切に分離し、追跡することができる。
【0092】
[000100]本明細書に記載されたシステムを適応システムとすることもできる。例えば、1つまたは複数のシステムパラメータを変更して、受信された所望の反射を最適化し、同時に、受信された望んでいない反射を最小化することができる。例えば、このシステムは、モノスタティック動作からバイスタティック動作への切替えを自動および/または手動で可能にできる。いくつかの変形では、このシステムが、母親の心臓データおよび/または呼吸データを集め、そのデータをフィルタに通すことができ、または、そのデータを、胎児データと思われるデータから差し引くことができる。いくつかの変形では、受信された反射を、胎児の心臓運動などの胎児および/または母体の健康指標の記憶されたモデルと相関させて、それらの指標をより適切に分離するように、このシステムが構成される。
【0093】
[000101]動作時、本明細書に記載された胎児監視装置は、母親の胎内の胎児の位置および活動に基づいて制限される現在使用可能な監視装置とは違い、陣痛および分娩過程の事実上全ての段階において使用することができる。したがって、本明細書に記載されたシステムおよび装置を使用して、母親が陣痛から分娩へ移行するときの胎児の連続監視、または帝王切開術に対するORのときの胎児の連続監視を可能にすることができる。例えば、分娩または手術準備の妨害を最小化するために、Tx/Rxアンテナを有する1つまたは複数のセンサを動的に(屈曲アームまたは無線トランシーバモジュール)再配置することができる複数アンテナ(複数センサ)システムを使用することができる。
【0094】
[000102]前述のとおり、これらのセンサ(RxおよびTxアンテナならびに前処理電子装置および/または前処理論理を含む)を使い捨てセンサとすることができる。例えば、アンテナを有する使い捨てセンサを、母親の皮膚に例えば接着剤によって接触されるように構成することができる。衛生目的から、アンテナを有するセンサ要素を使用後に廃棄することができる。前述のとおり、アンテナアセンブリは、前処理用のRF信号増幅器を含むことがある。
【0095】
[000103]いくつかの変形では、明瞭な信号を得るために必要なシステムへ加えられるエネルギーを低減させ、制限し、同時に、母親および/または胎児に対する総エネルギー暴露量を最小化するように、このシステムを適合させることができる。例えば、送信されたエネルギーレベルを適応的に調整することができるシステムは、胎児心拍動などの受信された指標のRFエネルギーレベルの自動測定を含むことができる。このシステムは次いで、測定されたエネルギーレベルとターゲットエネルギーレベルとの比較を実行することができる。次いで、その差を送信器に提供して、受信エネルギーレベルが所望のターゲットレベルを満たすように、送信されるエネルギーレベルを増大させ、または低減させることができる。この補償は、胎児が必要以上のRFにさらされないようにすることを可能にし、それにもかかわらず、妊婦の解剖学的構造の変動を補償する。
【0096】
[000104]本明細書に記載された装置またはシステムを、サーバ、ネットワーク、あるいは測定されたデータおよび/またはリアルタイムでもしくは記録された情報から計算されたデータへのアクセスを可能にする他の要素を含むシステムの一部とすることもできる。例えば、いくつかの変形では、本明細書に記載されたシステムが、Tx/Rxアンテナ(または一対のアンテナ)を有するUWBセンサと、信号処理およびシステム管理のため処理装置とを含む。このシステムはさらに局所記憶装置を含むことができる。1つまたは複数の検査セッションで捕捉されたデータを、この局所センサ記憶装置に記憶することができる。検査データを、無線または有線で、サーバを含んでもよいコンピュータシステムまたは監視システムへ転送することができる。例えば、検査データを、無線で無線ネットワークモデムへ転送し、次いで無線ネットワークモデムからネットワーク化されたサーバへ転送することができる。このデータをそのサーバに記憶し、コンピュータシステム、手で持てる大きさのスマートホンまたは医療機器によって取り出すことができる。それらのコンピュータシステム、スマートホンまたは医療機器は、取り出された情報を次いで、表示し、分析し、または印刷することができる。この例では、これらのサーバ、ネットワークまたは監視システムを、このシステムの一部とみなし、またはこのシステムとは別個のものとみなすことができる。
【0097】
[000105]いくつかの変形では、この無線ネットワークおよび関連サーバが、複数のセンサからそのネットワーク化されたサーバへデータを同時に転送する能力を有する。
[000106]図6は、胎児の2つ以上の健康指標または胎児および母体の2つ以上の健康指標に関する情報を転送するサーバを含むシステムの一変形を示す。この例では、このシステムが、一対のアンテナを有するUWBセンサを含む。この例の小型センサは、1つまたは複数のUWBレーダトランシーバ、埋め込まれた処理装置、局所不揮発性記憶装置、ユーザインタフェース、充電式電池および無線通信リンク、例えばBluetoothからなる。UWBレーダトランシーバ(1つまたは複数)は、一連のUWBインパルスを発生させ、その結果生じた反射を、UWBトランシーバから関心の解剖学的深さまでの往復飛行時間に基づいて受信する。このトランシーバ(1つまたは複数)は、センサ回路の残りの要素を収容した同じケースの中に配置し、またはこのセンサベースに接続する取外し可能な別個のケースの中に収容することができる。このトランシーバ用の取外し可能なケースは、センサの患者と接触する部分の除去および交換を可能にすると考えられる。この取外し可能なケースとセンサベースの間の接続は、電気コネクタと機械式の留め具からなると思われる。
【0098】
[000107]この例の埋め込まれた処理装置は、センサの全体的な制御、レーダデータの収集および前処理、胎動および子宮の活動の識別、データの局所記憶、母親との対話、ならびにスマートホンへのデータの転送を担う。プログラム制御されるレーダパラメータには、レーダの状態(使用可能/使用禁止)、パルス繰返し周波数(PRF)、焦点深度、送信される電力、受信器利得、スキャン速度などがある。
【0099】
[000108]受信されたレーダデータは、埋め込まれたプロセッサによってディジタル化され、処理される。基本的な処理は、雑音の低減および解剖学的運動の分離を含むことができる。分離された後、運動している物体をさまざまな技法を使用してさらに分析して、その運動が、胎児の心臓活動に対応するのか、または胎動に対応するのか、または子宮収縮に対応するのかを判定することができる。胎児の心臓活動は、パターン認識に関する時間ドメイン技法と周波数ドメイン技法の組合せを使用して分離することができる。心拍動間間隔の測定は、心臓反射の時間広がりを低減させて、測定の正確さを増大させるより離散的な波形を提供する心臓反射の高域フィルタリングを利用することができる。子宮収縮に対応すると思われる運動データを、レーダから、脂肪、子宮、羊膜などのさまざまな解剖学的層および胎児までの相対的な範囲に基づく静的技法を使用して得られた結果と相関させる。胎児の心臓活動、胎動および子宮収縮からなる処理されたデータを、タイムスタンプとともに不揮発性記憶装置に局所的に記憶することができる。センサは、複数の検査手技からのデータを記憶する十分な記憶装置を含むことができる。
【0100】
[000109]埋め込まれた処理装置は、可聴インジケータと視覚インジケータの組合せ、ならびに1つまたは複数のスイッチによって、母親と対話することができる。可聴インジケータが含まれる場合、可聴インジケータは、音声スピーカおよび関連駆動回路からなることができる。処理装置は次いで、聴診法によってよく知られている伝統的な心臓の「ドクンドクン(lub―dub)」パターンをまねた可聴音などの可聴音を合成することができる。この音声パターンを、胎児心拍数およびレーダ信号振幅に比例させることができ、それによって使用者(母親を含む)は、音声トーンができるだけ大きくなるようにすることによって、センサの位置を最適化することができる。視覚インジケータは、少なくとも、電源投入灯およびデータ収集が進行中であることを指示する電灯からなることができる。追加の視覚インジケータは、胎児心拍数で明滅する光源、または数値表示部、例えば胎児心拍数を指示するLCDパネルを含むことができる。電源投入灯の調節によって、または数値表示部にアイコンが含まれる場合にはそのアイコンによって、電池の充電レベルを母親に知らせることができる。検査の完了は、可聴インジケータと視覚インジケータの両方によって知らせることができる。手動スイッチは、少なくとも、電源制御、音量調節および消音ボタンを含む。このセンサは、センサが体表にない場合、またはセンサが推奨された使用法を大幅に超えて使用されている場合にレーダを自動的に使用禁止にする自動遮断機能を有する。
【0101】
[000110]図6に示された例では、センサがクレードルの中に置かれ、スマートホンから問合せを受けたときに、処理装置は、記憶装置からデータを取り出し、そのデータをスマートホンにアップロードすることができる。データの完全性は、検査合計および転送応答プロトコルを含む標準無線転送法によって保証することができる。前述のとおり、このセンサは、正確さを向上させ、生理信号の分離を改良するために他の変換器を含むことができる。これらの変換器は、加速度計または圧力変換器を含むことができる。
【0102】
[000111]図6に示された例はさらに充電クレードルを含む。充電クレードルは、センサ内の電池の充電を担うことができる。センサを使用していないときには、充電クレードルを使用してセンサを保持することもできる。最後に、このクレードルは、センサ内の無線通信回路を使用可能にすることができ、それによって、センサが母親の体表にあるときにデータが送信されることを防ぎ、母親および胎児へのRF暴露をさらに低減させることができる。
【0103】
[000112]図6に示されたシステムはさらに通信装置を含む。通信装置を含め、または組み込んで、いくつかの機能を提供することができる。例えば、「スマートホン」などの通信装置は、胎児監視装置センサ向けのアプリケーションを実行することができる。ある範囲の市販のスマートホンおよびPDAに対しては、類似の能力を使用可能にすることができる。
【0104】
[000113]例えば、図6において、このシステムは、使用者がセンサの配置を構成するのを助けるスキャンモードである第1のモードで動作することができる。このシステムはさらに、要約データを表示し、その要約データをサーバを介して保健サービス提供者へ送る第2のモードを含むことができる。前述のとおり、この通信装置は、センサがスキャンモードにあるときに、使用者にフィードバックを提供することができる。スマートホンまたはPDAは、スピーカシステムを起動させ、センサが適当な位置にあるか否かを使用者に通知することができる。センサが適当な位置にあることをアプリケーションが通知した後、PDA/スマートホンは次いで、胎児/母体の健康指標、例えば胎児心拍数を、1分ごとに、または他の適当な間隔で更新することができる。このモードは、使用者の判断で配置するためのツールとして使用することができ、検査過程においては必要ない。しかしながら、このアプリケーションを使用して、センサから全ての要約データを取得し、それらのデータを保健サービス提供者に送ることができる。
【0105】
[000114]この例では、スキャンが完了し、アプリケーションが通信を開始したときに、完全なデータ転送プロセスを開始することができる。この通信装置は、スマートホンアプリケーションを用いて、全てのデータを求めてセンサにアクセスすることができることがある。アプリケーションが開いた後、アプリケーションはセンサと通信して、フラッシュメモリ内のデータがカレントであるかどうかを判定する。そのデータがカレントデータである場合、使用者は、分析されるデータの転送を実行することができ、カレントデータでない場合、転送は実行されない。そのデータが分析された後、アプリケーションの画面に要約データの図表が現れる。この要約は、胎児/母体の健康指標のうちの1つの指標または好ましくは複数の指標のグラフまたは他の要約を示す。例えば、この要約は、胎児心拍数のグラフ、胎動が発生したことを示すマーカ、さらには収縮が発生したことを示すマーカを、いずれも時間に対して示すことができる。
【0106】
[000115]保健サービス提供者へデータを送る使用者の準備が整ったときに、アプリケーションは、例えばボタンを押すことによって、使用者が要約データを送ることを可能にすることができる。スマートホンアプリケーションは、タブで区切られたテキストファイルとしてデータを保存し、それを電子メールに添付することで、電子メールプロバイダの働きをすることができる。要約データは、スマートホン/PDAの記憶装置に自動的に保存することができ、使用者はいつでもその要約データを見ることができる。このアプリケーションはさらに、胎児の状態を監視するための2回以上の検査にまたがる、または1週間以上の期間にわたる包括的な要約を使用者に提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
胎児および母体の健康指標を並行して監視することができる超広帯域(UWB)胎児監視システムであって、
UWB信号データを受信し、送信するように構成されたセンサであり、少なくとも1つのアンテナを備えるセンサと、
前記センサから信号データを受信し、この情報を処理して、深さおよび時間をインデックスとする反射信号のマトリックスを形成し、前記マトリックスから、胎児の複数の健康指標または胎児および母体の複数の健康指標を抽出するように構成された信号処理装置と
を備えるシステム。
【請求項2】
前記センサが、受信アンテナおよび送信アンテナを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記センサが、受信し、送信するように構成された結合型アンテナを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
複数のセンサをさらに備え、前記複数のセンサがそれぞれ、UWB信号データを受信し、送信するように構成されており、少なくとも1つのアンテナを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
モノスタティック動作するように構成されており、それぞれのセンサからの前記UWB信号の前記送信が、その同じセンサによって受信される、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
マルチスタティック動作するように構成されており、1つのセンサからのUWB信号の前記送信が別のセンサによって受信される、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記信号処理装置が、胎児心拍数、胎児心拍変動、胎児呼吸、胎動からなるグループから選択された胎児の1つまたは複数の健康指標を決定するように構成された、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記信号処理装置が、母体心拍数、母体収縮数、母体血圧、母体呼吸からなるグループから選択された母体の1つまたは複数の健康指標を決定するように構成された、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記アンテナに接続された送信器をさらに備え、超広帯域スペクトル信号として前記アンテナから発射された信号として送信される低電圧、短持続時間の一連の広帯域パルスを発生させるように、前記送信器が構成された、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記アンテナに接続された受信器をさらに備え、前記アンテナによって受信された発射された信号の反射を受信し、この反射を処理して、前記信号処理装置へ送られるデータを生成するように、前記受信器が構成された、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記センサからより遠い位置で反射された信号が、前記センサにより近い位置で反射された信号よりも高い倍率で増幅されるように、前記受信器が、信号の深さに基づいて信号を増幅するように構成された、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記信号処理装置が、胎児心拍数および母体収縮数を決定するように構成された、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記マトリックス情報を記憶する局所記憶装置をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
監視システムと通信する通信モジュールをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記監視システムが、データを記憶し、送信するように構成されたコンピュータシステムを備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記監視システムが、ネットワーク化されたサーバを備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記センサが、前記信号処理装置に結合し、前記信号処理装置から外れるように構成された1度だけ使用する使い捨てセンサとして構成された、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
非UWBセンサをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記非UWBセンサが加速度計を備える、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記1つまたは複数の抽出された胎児の健康指標または胎児および母体の健康指標を提示するように構成された出力をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記出力が、前記抽出された指標のうちの少なくとも1つの指標をチャート記録として提示するように構成された、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
胎児および母体の健康指標を並行して監視することができる超広帯域(UWB)胎児監視システムであって、
UWBデータを受信し、送信するように構成されたセンサであり、少なくとも1つのアンテナを備えるセンサと、
前記アンテナに接続された送信器であり、超広帯域スペクトル信号として前記アンテナから発射された信号として送信される低電圧、短持続時間の一連の広帯域パルスを発生させるように構成された送信器と、
前記センサからデータを受信し、この情報を処理して、深さおよび時間をインデックスとする反射信号のマトリックスを形成し、前記マトリックスから、胎児心拍数および母体収縮数を抽出するように構成された信号処理装置と
を備えるシステム。
【請求項23】
胎児の健康指標を適応エネルギー監視するように構成された超広帯域(UWB)胎児監視システムであって、
UWB信号データを受信し、送信するように構成されたセンサであり、少なくとも1つのアンテナを備えるセンサと、
前記センサから信号データを受信し、この情報を処理して、深さおよび時間をインデックスとする反射信号のマトリックスを形成し、胎児によって反射された信号のエネルギーレベルを決定するように構成された信号処理装置と、
前記センサによって送信された前記UWB信号のエネルギーレベルを、胎児によって反射された前記信号のエネルギーレベルに基づいて調整するように構成された送信エネルギーレベルアダプタと
を備えるシステム。
【請求項24】
前記送信エネルギーレベルアダプタが、胎児によって反射された信号のエネルギーレベルを所定のターゲットエネルギーレベルと比較するように構成された比較器を備え、前記送信エネルギーレベルアダプタがさらに、胎児によって反射された信号のエネルギーレベルを前記所定のターゲットエネルギーレベル以内に維持するように、前記UWB信号のエネルギーレベルを調整するように構成された、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
胎児および母体の健康指標を監視する超広帯域(UWB)胎児監視システムであって、
UWB信号データを受信し、送信するように構成されたセンサであり、少なくとも1つのアンテナと、電源と、超広帯域スペクトル信号として前記アンテナから発射された信号として送信される低電圧、短持続時間の一連の広帯域パルスを発生させるように構成された送信器とを備えるセンサと、
前記センサから情報を受信し、前記情報を信号処理装置へ送るように構成された通信装置とを備え、
前記信号処理装置が、前記情報を処理して、深さおよび時間をインデックスとする反射信号のマトリックスを形成し、前記マトリックスから、胎児の複数の健康指標または胎児および母体の複数の健康指標を抽出するように構成されたシステム。
【請求項26】
前記信号処理装置が、前記マトリックスから、胎児心拍数および母体収縮数を決定するように構成された、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
胎児または母体の前記複数の健康指標のうちの1つまたは複数の健康指標を表示するように構成された出力をさらに備える、請求項25に記載のシステム。
【請求項28】
前記電源を充電するように構成された充電クレードルをさらに備える、請求項25に記載のシステム。
【請求項29】
胎児および母体の2つ以上の健康指標を超広帯域(UWB)システムを使用して同時に監視する方法であって、
低電圧、短持続時間の一連の広帯域パルスを、超広帯域スペクトル内の発射された信号として、胎児に向けて送信するステップと、
前記低電圧、短持続時間の一連の広帯域パルスの反射信号を受信するステップと、
前記反射信号を処理して、深さおよび時間をインデックスとするマトリックスを形成するステップと、
前記マトリックスから、胎児の第1の健康指標および胎児の第2の健康指標または母体の第1の健康指標を抽出するステップと
を含む方法。
【請求項30】
前記胎児の第1の健康指標および前記胎児の第2の健康指標または前記母体の第1の健康指標を表示するステップをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
妊娠患者の体表または妊娠患者の近くにセンサを配置するステップをさらに含み、前記センサが、UWBデータを受信し、送信するように構成されたアンテナを備え、前記センサが少なくとも1つのアンテナを備える、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記反射信号を処理する前記ステップが、単一の広帯域パルスに対応する反射信号を、前記広帯域パルスの進入深さを反映した複数のビンに分割するステップを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
抽出する前記ステップが、前記マトリックスから母体収縮数を決定するステップと、前記マトリックスから胎児心拍数を決定するステップとを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
抽出する前記ステップが、前記マトリックスから、第1の深さにおける母体収縮数を決定するステップと、前記マトリックスから、第2の深さにおける母体収縮数を決定するステップと、前記第1の深さと前記第2の深さの間の領域を分析することによって、前記マトリックスから、前記胎児の第1の健康指標を決定するステップとを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
送信アンテナからより離れたより深い位置で反射された反射信号が、送信アンテナにより近い位置で反射された反射信号よりも高い倍率で増幅されるように、前記反射信号を、前記反射信号の深さに基づいて増幅するステップをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
陣痛中および分娩中の胎児および母体の健康を超広帯域(UWB)システムを使用して同時に監視する方法であって、
UWBデータを受信し、送信するように構成されたセンサであり、少なくとも1つのアンテナを備えるセンサを、分娩時監視のため、妊婦の体表に配置するステップと、
低電圧、短持続時間の一連の広帯域パルスを、超広帯域スペクトル内の発射された信号として送信するステップと、
前記低電圧、短持続時間の一連の広帯域パルスの反射信号を受信するステップと、
前記反射信号を処理して、深さおよび時間をインデックスとするマトリックスを形成するステップと、
前記マトリックスから、胎児心拍数および母体収縮数を抽出するステップと
を含む方法。
【請求項37】
超広帯域(UWB)胎児監視データを処理するシステムであって、
UWB信号データを受信し、送信するように構成されたセンサであり、少なくとも1つのアンテナと、電源と、超広帯域スペクトル信号として前記アンテナから発射された信号として送信される低電圧、短持続時間の一連の広帯域パルスを発生させるように構成された送信器とを備えるセンサと、
センサによって受信されたUWB反射データを処理して、深さおよび時間をインデックスとする反射信号のマトリックスであり、胎児の複数の健康指標または胎児および母体の複数の健康指標をそこから抽出することができるマトリックスを形成するように構成された信号処理装置と、
前記信号処理装置から情報を受信し、抽出された胎児の健康指標または胎児および母体の健康指標を、1つまたは複数の遠隔報告局へ送るように構成されたサーバと
を備えるシステム。
【請求項38】
前記信号処理装置が、前記マトリックスから、胎児の複数の健康指標または胎児および母体の複数の健康指標を抽出するように構成された、請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
前記サーバが、前記マトリックスから、胎児の複数の健康指標または胎児および母体の複数の健康指標を抽出するように構成された、請求項37に記載のシステム。
【請求項40】
前記サーバが、抽出された前記指標を1つまたは複数のモバイル装置へ送るように構成された、請求項37に記載のシステム。

【図5】
image rotate

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図4D】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2012−524627(P2012−524627A)
【公表日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507391(P2012−507391)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/032093
【国際公開番号】WO2010/124117
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
【出願人】(511248984)ライフウェーブ,インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】