説明

脂溶性変性セルロースまたはセルロース誘導体を含む化粧用組成物

本発明は、化粧品として許容できる媒体中に、液体脂肪相および脂溶性変性セルロースまたはセルロース誘導体を含む、皮膚、唇、眉毛または爪をメークアップするための化粧用組成物に関し、前記変性セルロースまたは変性セルロース誘導体は、式-OYR:
(式中、
- Rは、
A)変性セルロースについては8〜50個の炭素原子、変性セルロース誘導体については4〜50個の炭素原子を有する、飽和または不飽和の、直鎖または分枝鎖、あるいは飽和または不飽和環を含む炭化水素系基であって、その鎖中に1個または複数の芳香族基およびO、N、P、SiまたはSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含んでいてもよく、フッ素化またはパーフルオロ化されていてもよい基、
B)ポリオレフィン、水素添加または非水素添加ポリジエン、親油性重縮合物、およびこれらの混合物から選択されるポリマー性の基、
から選択される基であり、
- Yは、単結合または二価結合基である)
の基から選択される疎水基で全体または一部が置換された遊離ヒドロキシル官能基を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭皮を含め、ヒトの顔または身体の皮膚、唇および爪などのケラチン物質ならびに睫毛、眉毛および毛髪などのケラチン繊維をメークアップまたはケアするための、脂溶性変性セルロースまたは脂溶性変性セルロース誘導体を含む化粧品として許容できる媒体を含む、化粧用組成物に関する。
【0002】
組成物は、ルースまたはコンパクトパウダー、ファンデーション、メークアップルージュ、アイシャドウ、コンシーラー製品、頬紅、リップスティック、リップバーム、リップグロス、リップペンシル、アイペンシル、マスカラ、アイライナー、ネイルエナメル、ボディメークアップ製品または皮膚着色製品などのメークアップ組成物であってよい。
【0003】
用語「メークアップ組成物」は、着色された皮膜を皮膚に付着させるよう意図された組成物を意味する。メークアップ組成物は、好ましくは色素または顔料などの染料を含む。
【背景技術】
【0004】
既知のメークアップ組成物は、経時耐性、特に色の耐性に乏しいことが多い。この耐性の乏しさは、一般に、ファンデーションまたはパウダーの場合、皮膚から分泌される皮脂および/または汗との相互作用に続いての、あるいはリップスティックの場合、唾液との相互作用に続いての色の変化(変色または褪色)により特徴付けられる。このことが、使用者にメークアップをかなり定期的に適用し直すことを余儀なくさせ、これが時間の無駄につながる可能性がある。
【0005】
「非移り性」であると称される唇および皮膚用メークアップ組成物は、それが接触しうる基材(グラス、衣類、タバコまたは織物)に、少なくとも部分的に、付着することのない付着を形成するという利点を有する組成物である。
【0006】
耐性および移り耐性、特にリップスティックの耐性および移り耐性の向上は、揮発油を皮膜形成性ポリマー、例えばシリコーン樹脂、と組み合わせることにより得られる。しかし、これらの組成物は、揮発性シリコーン油が蒸発した後に、皮膚または唇に、時間経過に伴い不快感(かさつき感およびつっぱり感)をもたらす皮膜を残すという欠点を有し、このことが、相当数の女性にこのタイプのリップスティックの使用を敬遠させる。さらに、得られる耐性は消費者の期待を下回る。
【0007】
ケラチン繊維、特にまつげ用の組成物の場合、例えばマスカラ皮膜の剥がれによる目の下のくまの形成および/または粒子の形成により特徴付けられる、水、摩擦あるいは汗または皮脂に対する耐性に、当業者は直面する。
【非特許文献1】R. Hofer、European Coating Journal、2000年3月、26〜37頁
【特許文献1】米国特許第3157681号
【特許文献2】特許米国特許第5998570号
【特許文献3】フランス特許第2782723号
【非特許文献2】Radhakrishnan P. N.、European Polymer Journal、35、2185〜92頁(1999年)
【特許文献4】インド国特許第143864号
【非特許文献3】「Advanced Organic Chemicstry」、J. March、John Wiley & son、1992年版
【非特許文献4】Nahm S.H、J of Wood Chemistry and Technology、6(1)、89〜112頁、(1986年)
【非特許文献5】Bottorff K.J.、Tappi Journal、77(4)、105〜116頁(1994年)
【非特許文献6】Zhou Y.J.、Paper Technology、1991年7月、19〜22頁
【特許文献5】特許出願FR-A-2 792 190
【非特許文献7】「Microemulsions Theory and Practice」、L.M. Prince Ed.、Academic Press、(1977年)21〜32頁
【非特許文献8】ISO標準11357-3:1999
【非特許文献9】CTFA(第6版、1995年)
【特許文献6】US-A-5 874 069
【特許文献7】US-A-5 919 441
【特許文献8】US-A-6 051 216
【特許文献9】US-A-5 981 680
【非特許文献10】Encyclopedia of Chemical Technology、Kirk-Othmer」、Volume 22、333〜432頁、3rd Edition、1979年、Wiley
【特許文献10】特許US 4 887 622
【特許文献11】特許FR 2 796 529
【特許文献12】特許FR 2 722 380
【特許文献13】特許FR 2 796 529
【特許文献14】特許US 5 492 426
【特許文献15】特許FR 2 761 959
【特許文献16】特許出願WO 01/03538
【特許文献17】特許FR 2 806 273
【特許文献18】特許FR 2 775 566
【特許文献19】特許FR 2 727 609
【特許文献20】特許出願WO 03/018423
【特許文献21】特許FR 2 791 042
【特許文献22】特許FR 2 792 618
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、睫毛への適用後に、特に水に対して、例えば入浴またはシャワーの間に、摩擦に対して、特に指による摩擦および/または涙、汗または皮脂に対して良好な耐性を示すメークアップ皮膜の形成を可能にする組成物を得ることが求められている。
【0009】
したがって、ケラチン物質上への付着、特に良好な耐性、移り耐性および感触を有すると同時に、適用し易くかつ、均一な付着が得られるメークアップをもたらす化粧品が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の組成物は、特にヒトの身体、唇、爪または睫毛などのケラチン繊維のための、特に非治療的ケアおよび/またはトリートメント作用を有するメークアップ製品であってよい。本発明の組成物は特に、リップスティック、リップグロス、メークアップルージュ、アイシャドウ、タトゥー製品、ケラチン繊維用メークアップまたはケア製品、特にトップコートまたはベースコートとして適用される睫毛用のメークアップまたはケア製品(マスカラ)、アイライナー、ネイルエナメル、皮膚用人工タンニング製品、毛髪着色製品またはヘアケア製品である。
【0011】
特に、本発明の組成物は、ファンデーション、アイシャドウ、メークアップルージュ、コンシーラー製品、ボディメークアップ製品などの皮膚メークアップ組成物、リップスティックまたはリップグロスなどのリップメークアップ製品、睫毛メークアップ製品またはマスカラあるいはネイルメークアップ製品またはネイルエナメルである。
【0012】
本発明者は、驚くべきことに、親油性にさせるために疎水基により変性したセルロースまたはセルロース誘導体の使用が、ケラチン物質上に、良好な耐性を示す付着をもたらす化粧用組成物の製造を可能にすることを見出した。
【0013】
本発明の主題の1つは、より具体的には、特に皮膚、唇、睫毛または爪のための、化粧品として許容できる媒体中に、液体脂肪相および脂溶性変性セルロースまたはセルロース誘導体を含む化粧用組成物であって、前記変性セルロースまたは前記変性セルロース誘導体が、式-OYR:
(式中、
- Rは、
A) 変性セルロースについては8〜50個の炭素原子、変性セルロース誘導体については4〜50個の炭素原子を含む、直鎖または分枝状の、飽和または不飽和鎖、あるいは飽和または不飽和環を含む炭化水素系基であって、
その鎖中に1個または複数の芳香族基ならびに/あるいはO、N、P、SiおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含んでいてもよく、フッ素化またはパーフルオロ化されていてもよい基;
B) ポリオレフィン、水素添加または非水素添加ポリジエンおよび親油性重縮合物、ならびにこれらの混合物から選択されるポリマー性の基;
から選択される基を表し、
- Yは、単結合または二価結合基を表す)
の基から選択される疎水基で全体または一部が置換された遊離ヒドロキシル官能基を含む、化粧用組成物である。
【0014】
用語「脂溶性」は、室温(25℃)および大気圧(105Pa)において、組成物の全重量に対して、少なくとも1重量%の濃度で、液体脂肪相の重量の大部分を形成する油に可溶であることを意味する。
【0015】
用語「炭化水素系」は、実質的に炭素および水素原子からなることを意味する。
【0016】
本発明はまた、上記定義の組成物を皮膚、唇、睫毛または爪に適用することを含む、皮膚、唇、睫毛または爪をケアまたはメークアップするための化粧方法にも関する。
【0017】
好ましくは、本発明の組成物は、洗い流さない組成物である。
【0018】
本発明はまた、ケラチン物質上でのメークアップの耐性および/または移り耐性を向上させるための、上記定義の組成物の化粧用の使用にも関する。
【0019】
特に、睫毛のコーティングのための組成物、またはマスカラの場合、このような組成物は、睫毛への適用後に、特に水に対して、例えば入浴またはシャワーの間に、摩擦に対して、特に指による摩擦および/または涙、汗または皮脂に対して良好な耐性を示すメークアップ皮膜の形成を可能にする。
【0020】
最後に、本発明の主題は、良好な感触を有し、適用し易く、皮膚、唇またはケラチン繊維上に、良好な耐性を示しかつ/または移らない沈着物を与える組成物を得ることを目的とする、脂溶性変性セルロースまたはセルロース誘導体の使用であって、前記変性セルロースまたは前記変性セルロース誘導体が、式-OYR:
(式中、
- Rは、
A) 変性セルロースについては8〜50個の炭素原子、変性セルロース誘導体については4〜50個の炭素原子を含む、直鎖または分枝状の、飽和または不飽和鎖、あるいは飽和または不飽和環を含む炭化水素系基であって、
その鎖中に1個または複数の芳香族基ならびに/あるいはO、N、P、SiおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含んでいてもよく、フッ素化またはパーフルオロ化されていてもよい基;
B) ポリオレフィン、水素添加または非水素添加ポリジエンおよび親油性重縮合物、ならびにこれらの混合物から選択されるポリマー性の基;
から選択される基を表し、
- Yは、単結合または二価結合基を表す)
の基から選択される疎水基で全体または一部が置換された遊離ヒドロキシル官能基を含む使用である。
【0021】
前記および下記の文章において、用語「単結合」は、酸素と基Rとの間にブリッジを形成する共有単結合を意味することが指摘される。この場合、基-OYRは、基-ORに相当する。
【0022】
前記および下記の文章において、用語「二価結合基」は、酸素原子と基Rとの間にブリッジを形成する有機スペーサー基を意味し、前記結合基は場合により
基-(C=O)-、-(C=O)O-、-SO2-、-CO-NH-、-CO-NR'-および-Si(R3)2-から選択され、基R3は、同一でも異なっていてもよく、1〜500個の炭素原子を含む直鎖または分枝状炭化水素系基、あるいは3〜500個の炭素原子を含む環状炭化水素系基であって、前記基は、飽和または不飽和でありかつ場合によりO、N、S、Siおよび/またはPから選択される1個または複数のヘテロ原子を含みかつ、R'は、1〜4個の炭素原子を含むアルキル基を意味する、
から選択される。
【0023】
好ましくは、R3は、1〜10個の炭素原子を含むアルキル基を表す。
【0024】
本発明の組成物の液体脂肪相は、室温(25℃)および大気圧(105Pa)において液体である少なくとも1つの(すなわち、1個または複数の)互いに相容する脂肪物質を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
I) 脂溶性変性セルロースまたはセルロース誘導体
本記述において、用語「セルロース」および「セルロース誘導体」は、その遊離ヒドロキシル官能基を式-OYRの疎水基により全体または一部が置換されて脂溶性になる前のセルロースまたはセルロース誘導体を意味する。
【0026】
本記述において、用語「変性セルロース」および「変性セルロース誘導体」は、その遊離ヒドロキシル官能基の式-OYRの疎水基による全体的または部分的置換の後に得られるセルロースまたはセルロース誘導体を意味し、この変性セルロースまたはこの変性セルロース誘導体は脂溶性である。
【0027】
一実施形態によれば、その遊離ヒドロキシル官能基の式-OYRの疎水基による全体的または部分的置換により変性されたセルロース誘導体が組成物に使用される。セルロース誘導体(非変性)はセルロースエステルおよびセルロースエーテルから選択される。
【0028】
セルロースエステル
用語「セルロースエステル」は、基-O-Y-Rによる変性前は、前記および下記の文章において、部分的または完全にエステル化された無水グルコース環のα(1-4)結合からなるポリマーを意味し、エステル化は前記無水グルコース環の遊離ヒドロキシル官能基の全てまたは一部のみと、1〜4個の炭素原子を含む直鎖または分枝状カルボン酸またはカルボン酸誘導体(酸塩化物または酸無水物)との反応により得られることが指摘される。
【0029】
好ましくは、セルロースエステルは、前記環の遊離ヒドロキシル官能基のいくつかと、1〜4個の炭素原子を含むカルボン酸との反応により生成される。
【0030】
有利には、セルロースエステルは、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、イソ酪酸セルロース、アセト酪酸セルロースおよびアセトプロピオン酸セルロース、ならびにこれらの混合物から選択される。
【0031】
これらのセルロースエステルは、3,000〜1,000,000、好ましくは10,000〜500,000、好ましくは15,000〜300,000の範囲の重量平均分子量を有してよい。
【0032】
好ましい一実施形態によれば、本発明の主題は、化粧品として許容できる媒体中に、液体脂肪相および脂溶性変性セルロースエステルを含む、特に皮膚、唇または睫毛をメークアップするための化粧用組成物であって、前記変性セルロースエステルは、式-OYR:
(式中、
- Rは、
A) 4〜50個の炭素原子を含む、直鎖または分枝状の、飽和または不飽和鎖、あるいは飽和または不飽和環を含む炭化水素系基であって、
その鎖中に1個または複数の芳香族基ならびに/あるいはO、N、P、SiおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含んでいてもよく、フッ素化またはパーフルオロ化されていてもよい基;
B) ポリオレフィン、水素添加または非水素添加ポリジエンおよび親油性重縮合物、ならびにこれらの混合物から選択されるポリマー性の基;
から選択される基を表し、
- Yは、単結合または二価結合基を表す)
の基から選択される疎水基で全体または一部が置換された遊離ヒドロキシル官能基を含む。
【0033】
セルロースエーテル
前記および下記の文章において、用語「セルロースエーテル」は、部分的にエーテル化された無水グルコース環のα(1-4)結合からなるポリマーを意味し、前記環の遊離ヒドロキシル官能基のいくつかは基-ORにより置換されており、Rは好ましくは、1〜4個の炭素原子を含む直鎖または分枝状アルキル基である。
【0034】
したがってセルロースエーテルは、好ましくは、セルロースメチルエーテル、プロピルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテルおよびイソブチルエーテルなど、1〜4個の炭素原子を含むアルキル基を有するセルロースアルキルエーテルから選択される。
【0035】
これらのセルローステーテルは、3,000〜1,000,000、好ましくは10,000〜500,000好ましくは15,000〜300,000の範囲の重量平均分子量を有してよい。
【0036】
したがって、本発明の組成物の脂溶性変性セルロース誘導体(最終物)は、
a) 好ましくは、1〜4個の炭素原子を含むカルボン酸エステルまたは1〜4個の炭素原子を含むアルキル基を有するアルキルエーテルから選択される基、および
b) 上記定義の式-OYRの基から選択される「疎水性の」基
により同時に置換されたヒドロキシル基を含む。
【0037】
変性セルロースおよびセルロース誘導体は、脂溶性、すなわち室温(25℃)および大気圧(105Pa)において、組成物の全重量に対して少なくとも1重量%の濃度で、液体脂肪相の重量の大部分を形成する油に可溶である。
【0038】
好ましくは、変性セルロースまたは変性セルロース誘導体は、液体脂肪相の重量の大部分を形成する油に完全に可溶であり、すなわち、室温および大気圧において、1重量%以上の濃度で、前記大部分を占める油に完全に溶解する。
【0039】
液体脂肪相が油の混合物を含むとき、2種以上の油が同一の質量比で存在する場合、変性セルロースまたは変性セルロース誘導体は、油のうちの少なくとも1種に可溶である。
【0040】
本発明において使用される変性セルロースまたは変性セルロース誘導体の価値は、これらが、前記定義のように、本発明の組成物の液体脂肪相に対して良好な溶解性を示し、かつこれらを含む組成物に、特に液体脂肪相が揮発油を優勢に含む場合、さらに改善された耐性(水、唾液または汗に対する耐性)を与えるという事実にある。これらの化合物はまた、特に液体脂肪相が揮発油を優勢に含む場合、「移り耐性」組成物を得ることをも可能にする。
【0041】
本発明の脂溶性変性セルロースまたはセルロース誘導体は、好ましくは皮膜形成性ポリマーである。
【0042】
用語「皮膜形成性」は、それ自体でまたは皮膜形成補助剤の存在下で、ケラチン物質に接着する肉眼的に連続性の皮膜、好ましくは粘着性皮膜、より好ましくは、例えば非粘着性表面、例えばテフロン(登録商標)被覆またはシリコーン被覆された表面に注ぐことにより前記皮膜が形成されるときに前記皮膜を分離しかつ別個に取り扱うことができるような粘着性および機械的特性を有する皮膜を形成することができるポリマーを意味する。
【0043】
本発明の組成物の変性セルロースまたはセルロース誘導体はまた、組成物の液体脂肪相に対する増粘剤としてまたはさらにゲル化剤としても作用してよい。
【0044】
セルロースまたはセルロース誘導体は、炭化水素系(非ポリマー性)または以下に記述のポリマー性の基-O-Y-Rにより変性される。
【0045】
A/ 炭化水素系基R
本発明の好ましい一実施形態によれば、基Rは、前記の定義A)に相当する非ポリマー性炭化水素系基であり、すなわち基Rは、
・組成物がセルロース誘導体を含む場合、4〜50個の原子を含み、
・組成物が変性セルロース誘導体を含む場合、8〜50個の炭素原子を含み、
(前記炭化水素系基は、1個または複数の芳香族基および/またはO、N、P、SiおよびSから選択されていてもよい1個または複数のヘテロ原子をその鎖中に含む)
・これらの基は好ましくはフッ素化またはパーフルオロ化されていてもよい、
直鎖または分枝状、環状または非環状鎖を含む飽和または不飽和炭化水素系基であってよい。
【0046】
これらの基は、非ポリマー性であり、すなわちいくつかのモノマーの重合または重縮合により生じるものではないことが指摘される。
【0047】
一実施形態によれば、基Rは、
変性セルロースについては8〜25個の炭素原子を含む直鎖炭化水素系基および変性セルロース誘導体については4〜25個の炭素原子を含む直鎖炭化水素系基、特に8〜11個の炭素原子を含む飽和直鎖炭化水素系基および8〜22個の炭素原子を含む少なくとも1個の不飽和を有する直鎖炭化水素系基から選択される。
【0048】
n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシルおよびn-ウンデシル、ならびにこれらの混合物などの飽和直鎖アルキル基;
・変性セルロースについては8〜50個の炭素原子を含む飽和分枝鎖炭化水素系基、および変性セルロース誘導体については4〜50個の炭素原子、好ましくは8〜50個の炭素原子を含む飽和分枝鎖炭化水素系基を特に挙げることができる。
8〜40個の炭素原子を含む分枝アルキル基を特に挙げることができる。
イソブチル、tert-ブチル、イソペンチル、tert-ヘキシル、2-エチルヘキシル、tert-オクチル、イソノニル、イソデシル、ネオデシル、イソドデシル、イソヘキサデシルおよびイソステアリル基;
・変性セルロースについては8〜50個の炭素原子、好ましくは8〜20個の炭素原子を含む環状炭化水素系基、および変性セルロース誘導体については6〜50個の炭素原子、好ましくは6〜20個の炭素原子を含む環状炭化水素系基を特に挙げることができる。
シクロヘキシル、イソボルニル、アダマンチルおよびノルボルニル基;
・アルキルケテンダイマーなどの12〜24個の炭素原子を含む不飽和脂肪酸誘導体から誘導される分枝および/または環状炭化水素系基、および
・これらの混合物を特に挙げることができる。
【0049】
B/ ポリマー系の基R
本発明の一実施形態によれば、基Rは、ポリオレフィン、ポリジエン、親油性重縮合物例えばポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ尿素、コポリマー(尿素/ウレタン)およびポリエーテルなど、ならびにこれらの混合物から選択されるポリマー性の基であってよい。
【0050】
これらの基は、親油性、好ましくは脂溶性の疎水基から選択される。
【0051】
1) ポリオレフィン
ポリオレフィンとしては、例えば、2〜20個の炭素原子を含むα-オレフィンから選択されるモノマーの単独重合または共重合により得られるポリマー、特にモノマーが結晶性ホモポリマーを生じるα-オレフィンコポリマー;分枝α-オレフィンホモポリマーまたはコポリマーが含まれる。エチレン(またはプロピレン)とブテン、ヘキセン、オクテン、デセンまたはドデセンなどのより長鎖のα-オレフィンとのイソブチレンホモポリマーまたはコポリマーを特に挙げることができる。
【0052】
前述のオレフィンとシクロオレフィンとの共重合により誘導される非結晶性コポリマー、特にエチレンまたはプロピレンとノルボルネンまたはノルボルネン誘導体とのコポリマーもまた挙げることができる。
【0053】
2) ポリジエン
ポリジエンは、例えば4〜20個の炭素原子を含むジエン、例えばブタジエン、イソプレンまたはヘキサジエンなど、の重合により生成されるポリジエンから、あるいは例えば4〜20個の炭素原子を含むジエンと、前述のα-オレフィンなどの他のビニルモノマーとのおよび/またはスチレンまたは置換スチレンとの重合により生成されるポリマーから選択されてよい。
【0054】
ポリジエンの例は、好ましくは水素添加されているポリブタジエンおよびポリイソプレンである。
【0055】
3) 親油性重縮合物
本発明によれば、親油性重縮合物は、親油性であることを条件に、ポリエステル、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリ尿素、コポリマー(尿素/ウレタン)およびポリエーテルから選択されてよい。
【0056】
3.1/ 親油性ポリエステルとしては例えば、ジオールまたはトリオールなどの少なくとも1種のポリオールと、ジカルボン酸またはトリカルボン酸あるいはジカルボン酸またはトリカルボン酸誘導体(例えば酸塩化物または酸無水物)などの少なくとも1種のポリカルボン酸とのポリエステル化により誘導されるポリエステル、あるいは1〜5個の炭素原子を含むジアルキルエステルを挙げることができる。
【0057】
ポリエステルは、少なくともジオール、ポリオール、ジカルボン酸またはトリカルボン酸が親油性である限りは、親油性である。
【0058】
a) ポリオール
ポリオールは、
・長い直線または分枝鎖、例えばC8〜C40、を含む脂肪族ジオール、
から特に選択されてよい。
1,12-ドデカンジオールおよび1,10-デカンジオールを特に挙げることができ、後者はSovermol 110の名称でCognis社により市販されている。
下記構造のジオールを使用することも可能である。
【0059】
【化1】

【0060】
(式中、R10はC8〜C30の長さのアルキル鎖、特にR10= C24〜C28混合物またはR10= C20〜C24混合物である)
【0061】
これらのジオールは、Vikinolの商品名でAtofina社により販売されている。
【0062】
・ジオールダイマー
ジオールダイマーは、一般にC36の、分枝ジオールであり、「脂肪酸ダイマー」から脂肪族および/または脂環式混合物として調製されることが多い。「脂肪酸ダイマー」は、同一の構造を有する化合物であるが(ジオール末端基の代わりに)2つのカルボン酸末端基を有している。
【0063】
論文R. Hofer、European Coating Journal、2000年3月、26〜37頁に指摘されているように、脂肪酸ダイマーのジオールへの変換は、
・脂肪酸ダイマーのメチルエステルの水素添加によるか、
・またはオレイルアルコールの直接的二量体化により行うことができる。
【0064】
脂肪酸ダイマーを定義するために、米国特許第3157681号および米国特許第5998570号を参照することができる。
【0065】
Sovermol 908(純ダイマー97.5%含有)およびSovermol 650 NS(純ダイマー68%含有)の商品名でCognis社により販売されているジオールダイマーを特に挙げることができる。
【0066】
・好ましくは水素添加され、ヒドロキシル末端基を含むポリジエンおよびポリオレフィン
ヒドロキシル末端基を含むこれらのポリマーは、例えばフランス特許第2782723号に定義されている。これらは、好ましくはブタジエン、イソプレンおよび1,3-ペンタジエンホモポリマーおよびコポリマーを含むグループから選択される。これらは、Mw<7,000、好ましくは1,000と5,000の間で、(末端基に)1.8と3の間、好ましくは約2のヒドロキシル官能基を有するオリゴマーである。
【0067】
これらのポリマーは好ましくは水素添加されて使用される。
【0068】
Poly BD R-45HTおよびPoly BD R-20LMのブランド名でAtofina社により販売されているヒドロキシル化ポリブタジエンを特に挙げることができ、これらは好ましくは水素添加されて使用されることになる。
【0069】
α,ω-ヒドロキシル化末端基を含むポリオレフィンホモポリマーまたはコポリマー、例えば:
・α,ω-ヒドロキシル末端基を含むポリイソブテンオリゴマー;
・特に、下記構造を有する、Polytailのブランド名でMitsubishi社により販売されているコポリマーを使用することもまた可能である。
【0070】
【化2】

【0071】
・炭化水素系油での親和性(溶解性)を賦与するためのC10からC50の長い脂肪族鎖を有するジオールおよびトリオール。
これらのジオールおよびトリオールのうちで:
2〜3個のヒドロキシル基を有する天然または合成油であって、好ましい油は、当然のことながら、鎖1つにつき2個のヒドロキシル基を有する油、例えば下記構造のモノグリセリドを挙げることができる。
【0072】
【化3】

【0073】
(式中、R9は、6〜50個の炭素原子を含む直鎖または分枝状、飽和または不飽和脂肪族鎖である)
【0074】
例えば、モノステアリン酸グリセリルを挙げることができる。このようなグリセロールモノエステルは、下記一般式に対応する。
【0075】
【化4】

【0076】
鎖1つにつき3個のヒドロキシル基を含む油、例えば、水添または非水添ヒマシ油を使用して、ポリマーの架橋を避け(その良好な溶解性を維持する)こともまた可能である。
【0077】
・ポリマーの親油性が、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブタンジオール、フランジメタノール、シクロヘキサンジメタノール、グリセロール、トリメチロールプロパンおよびペンタエリスリトール、ならびにこれらの混合物などのポリカルボン酸により与えられる場合のポリオール。
【0078】
b) ジカルボン酸およびポリカルボン酸:
これらは好ましくは、直鎖、分枝状または環状ジカルボン酸、好ましくは4〜60個の炭素原子を含む直鎖、分枝状または環状ジカルボン酸、あるいはこれらの誘導体:無水物、酸二塩化物、C1〜C6アルコールの反応により誘導されるジエステル、特に
・飽和または不飽和環を含んでよく、かつ-O-、-S-または-N-のタイプの1個または複数のヘテロ原子により中断されてよい1個または複数の共役または非共役不飽和を含んでよい、直鎖または分枝状C3〜C50アルキルまたはアルケニル鎖;
・1個または複数のC1〜C10アルキル基により置換されていてもよい、(酸基または酸誘導体の2個の原子を含む)C8〜C30シクロアルキル鎖;
・1個または複数のC1〜C10アルキル基により置換されていてもよい、(酸基または酸誘導体の2個の原子を含む)C8〜C30芳香族鎖;
を含むものから選択される。
【0079】
脂肪族カルボン酸およびそれらの誘導体(C1〜6無水物、酸塩化物またはエステル)、特に下記式を有するもの、例えば、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸およびスベリン酸ならびにこれらの誘導体が好ましい。
【0080】
【化5】

【0081】
(式中、aは2から20の整数である)
【0082】
イタコン酸およびマレイン酸もまた脂肪族二酸として挙げることができる。
【0083】
最終的に、特に好ましい第2のクラスの脂肪族二酸および誘導体は、脂肪酸ダイマーであって、多くの場合脂肪族および/またはアクリル混合物としての、分枝状の二酸、一般にC36の二酸である。これらの脂肪酸ダイマーは、特に米国特許第3157681号に定義されている。
【0084】
芳香族二酸および誘導体のうちで、
・下記式の二酸;
【0085】
【化6】

【0086】
(式中、第2の酸基COOHは、オルト、メタまたはパラ位にあり、ベンゼン環は、1個または複数のアルキル基、好ましくはC1〜C6アルキル基で置換されていてもよい)
・特に1個または複数のアルキル基、好ましくはC1〜C6アルキル基で置換されていてもよいアントラセンジカルボン酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸およびビフェニルジカルボン酸;
・二塩化物およびジエステル誘導体、特にメチルおよびエチルなどのC1〜C6アルキルジエステルならびにこれらの酸;ならびに
・これらの混合物
を挙げることができる。
【0087】
親油性ポリエステルとしては、少なくとも2個の反応性基を有する長いC10〜C40アルキル鎖を有する分枝ポリエステル、例えばヒドロキシル末端基を有するポリ(12-ヒドロキシステアレート)も挙げることができる。
【0088】
ヒドロキシル末端基を有するポリ(12-ヒドロキシステアレート)の調製は、論文Radhakrishnan P. N.、European Polymer Journal、35、2185〜92頁(1999年)およびインド国特許第143864号に記述されている。ヒドロキシル末端基を有するポリ(12-ヒドロキシステアレート)は、12-ヒドロキシステアリン酸の自己縮合とそれに続いての酸残基を消費するポリオールとの反応により得られる。その場合オリゴマーの構造は以下の通りであり、
【0089】
【化7】

【0090】
Mw≒2,000であるようなtを伴う。
【0091】
3.2/ ポリエステルアミド
挙げることができるポリエステルアミドの例には、エタノールアミンなどのアミノアルコールと二酸および3.1./パートb)において挙げたポリ酸とを反応させて得られるポリエステルアミドが含まれる。
【0092】
挙げることができるポリアミドの例には、3〜50個の炭素原子を含む、脂肪族、環式脂肪族または芳香族ジカルボン酸(またはC1〜C4エステル誘導体)と、2〜50個の炭素原子を含む、直鎖または分枝状脂肪族、環式脂肪族または芳香族ジアミンとの縮合により得られるポリアミドが含まれ、二酸は場合により前述の二酸で、さらに、(2分子の不飽和脂肪一酸間での縮合により誘導される)脂肪酸ダイマーを伴う二酸から選択され、ジアミンは場合によりエチレンジアミン、1,2-ジアミノプロパン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,2-ジアミノ-2-メチルプロパン、1,6-ジアミノヘキサン、1,10-ジアミノデカン、イソホロンジアミン、アダマンタンジアミンおよび2,6-ジアミノピリジンから選択される。
【0093】
本発明の特に好ましい一形態によれば、前述のジオールダイマーと同一の構造ではあるが、2個のヒドロキシルの代わりに2個の第1級アミン官能基を含む、ジアミンダイマーを使用することが可能である。これらは、前述のR. Hofferの論文で指摘のジオールダイマーなどの脂肪酸ダイマーから得られてよい。
【0094】
最終的に、構造H2N-D-NH2のダイマー(式中Dが8〜40個の炭素原子を含む直鎖または分枝状アルキル鎖である)を使用することもまた可能である。
【0095】
挙げることができるこのようなジアミンの例には:
・1,10-ジアミノデカンおよび1,12-ジアミノドデカン、
・Akzo-Nobel社により
Duomeen CまたはCD:ココプロピレンジアミン(蒸留または非蒸留)
Duomeen HT:水添牛脂プロピレンジアミン、
Duomeen M: C16〜C22アルキルプロピレンジアミン、
Duomeen O:オレイルプロピレンジアミン、
Duomeen T: 牛脂プロピレンジアミン、
の名称で販売されているジアミノオイル、
が含まれる。
【0096】
3.4/ ポリウレタン、ポリ尿素およびポリ尿素-ウレタン
挙げることができるポリウレタン、ポリ尿素およびポリ尿素-ウレタンには、4〜100個の炭素原子、好ましくは4〜30個の炭素原子を含む、脂肪族、環式脂肪族および/または芳香族ジイソシアネート、例えばジイソシアン酸ヘキサメチレン、ジイソシアン酸イソホロン、ジイソシアン酸トルエンおよびジイソシアン酸ジフェニルメタン、と上記定義のようなジオールまたは上記定義のようなジアミン、またはジオール/ジアミン混合物との重付加により得られるものが含まれる。
【0097】
有利には、上記定義の基Rは、水素結合を確立することができる1個または複数の基を有してよい。
【0098】
用語「水素結合を確立することができる基」は、電気的に陰性の原子に結合した水素原子と電気的に陰性の原子のどちらかを含む基を意味する。基が電気的に陰性の原子に結合した水素原子を含むとき、水素原子は、例えば、ケラチンなどのもう1つの分子が有する電気的に陰性なもう1つの原子と相互作用して水素結合を形成することができる。基が電気的に陰性の原子を含むとき、電気的に陰性の原子は、例えば、ケラチンなどのもう1つの分子が有する電気的に陰性な原子に結合した水素原子と相互作用して水素結合を形成することができる。
【0099】
有利には、水素結合を確立することができるこれらの基は、下記の基から選択することができる:
・ヒドロキシル-OH;
・カルボン酸-COOH;
・R1とR2が同一または異なっているアミノ-NR1R2;
・下記式のピリジノ;
【0100】
【化8】

【0101】
・下記式のピリミジノ;
【0102】
【化9】

【0103】
・下記式の1つに相当するオキサゾリノ:
【0104】
【化10】

【0105】
・式-NH-CO-R'または-CO-NH-R1のアミド;
・下記式の1つに相当するピロリジノ:
【0106】
【化11】

【0107】
・式-O-CO-NH-R'または-NH-CO-O-R'のカルバモイル;
・式-O-CS-NHR1または-NH-CS-O-R'のチオカルバモイル;
・カルボネート-O-CO-O-R';
・R1が同一または異なっているウレイル-NR1-CO-N(R1)2;
・R1が同一または異なっているチオウレイル-NR1-CS-N(R1)2;
・R1が同一または異なっているオキサミド-NR1-CO-CO-N(R1)2;
・R1が同一または異なっているグアニジノ-NH-C(=NH)-N(R1)2;
・R1が同一または異なっているビグアニジノ-NH-C(=NH)-NH-C(=NH)-N(R1)2;
・スルホナミド-NR1-S(=O)2-R'であってよい。
(式中、R1およびR'がHまたは1〜4個の炭素原子を含むアルキル基を表し、R'が1〜4個の炭素原子を含むアルキル基を表す)
【0108】
基は、鎖Rにより、鎖の末端または前記鎖の側面のどちらかに有することを理解されたい。
【0109】
水素結合を確立することができる少なくとも1個の基を有する誘導体は、これらの基がケラチン物質と水素結合を確立する能力によりこれらを含む組成物に非常に優れた接着性を与えるため、特に有利である。
【0110】
本発明の脂溶性変性セルロールまたはセルロース誘導体は、本発明の組成物の全重量に対して、固体(または活性物質)の重量で、0.5重量%〜50重量%、好ましくは1重量%〜45重量%、より好ましくは4重量%〜40重量%、さらに好ましくは5重量%〜30重量%に相当してよい。
【0111】
一実施形態によれば、脂溶性誘導体は、組成物の全重量に対して、少なくとも4重量%、好ましくは5重量%の含有量で存在する。
【0112】
組成物が変性セルロース誘導体を含むとき、この誘導体は、当業者の手の届く範囲内で種々のプロセスより、特に以下の2つの主要合成経路:
・セルロースエステルまたはエーテル誘導体から出発し、かつこれら誘導体を適切な試薬と反応させて、上記定義の式-Y-Rを遊離ヒドロキシル官能基にグラフトさせる経路(以下の記述に置いてルートAと称する)、あるいは;
・上記定義の基-Y-Rですでに変性されたセルロースから出発し、かつこのように変性されたこれらセルロースを適切な試薬と反応させて、遊離ヒドロキシル官能基の少なくともいくつかをエステル化またはエーテル化させる工程(ルートBと称する)、
に従って調製することができる。
【0113】
本発明のセルロース誘導体を合成するための好ましいルートは、ルートAである。このルートのみが、本特許出願において詳細に記述されることになる。
【0114】
組成物が変性セルロースを含むとき、このセルロースは、変性セルロース誘導体について上記で用いられた同一の合成経路Aにより調製されてよい。
【0115】
この合成経路によれば、出発試薬は、一定数の遊離OH官能基を含むセルロース、セルロースエステルまたはセルロースエーテルであり、遊離OH官能基において適切な試薬と反応し基-O-Y-Rを与える。
【0116】
二価結合-Y-が、基-C(=O)-である場合、-O-Y-は、エステル基であり、本発明のポリマーはまた、最初のセルロースエステルのエステル基を、脂肪酸HOOC-Rによるかまたは、-Rが上記の定義を有しかつRは特に直鎖、分枝状または環状炭化水素系基である式CH3OC(O)-Rのこの脂肪酸のメチルエステルにより、部分的または完全にエステル交換することにより調製されてもよい。
【0117】
このエステル交換はまた、脂肪酸HOOC-Rの混合物、または基Rが異なっている、脂肪酸のメチルエステルCH3-O-C(O)-Rの混合物により行われてもよい。
【0118】
一般に、基-Y-Rを出発物質のセルロース、セルロースエステルまたはセルロースエーテルに付加するための反応は、Rが定義A)に基づく炭化水素系基(非ポリマー性)であるのかまたは定義B)に基づくポリマー性基であるのかにより異なる。
【0119】
I/ Rが非ポリマー性炭化水素系基であるとき
上記に指摘の2つの主要なタイプの反応がある。
【0120】
1/ 出発試薬がセルロースエステルであるとき、最初のセルロースエステル中にすでに存在するエステル基の部分的または全体的エステル交換が行われる。
この反応は、脂肪酸R-COOH(Rは上記に与えられた定義に相当する)または異なる性質の基Rを有する脂肪酸の混合物を使用して行うことができる。この反応は、有利な一実施形態に従って、脂肪酸から出発するのではなく、そのメチルエステルCH3-O-C(O)-Rから、または脂肪酸のメチルエステルの混合物から出発することにより行われてよく、反応はナトリウムメトキシドにより触媒され、反応中に形成されるメチルアルコールは留去する。
【0121】
これらのエステル交換反応の特定の場合において、脂肪酸または脂肪酸(またはこれらのメチルエステル)の混合物の選択は、より特に:
・カルボン酸: n-ヘキサン酸、n-ヘプタン酸、n-オクタン酸、n-ノナン酸、n-デカン酸、n-ウンデカン酸(基Rが直鎖アルキル基の場合)、
・カルボン酸: tert-ブタン酸、イソペンタン酸、tert-ヘキサン酸、イソデカン酸、イソドデカン酸、ネオデカン酸(=バーサチック酸)、イソステアリン酸、オクチルドデカン酸(基Rが分枝状アルキル基の場合)、
に関連する。
【0122】
言うまでもなく、この経路は、出発試薬がもはやセルロースエステルではなく、むしろ定義されたようなセルロースまたはセルロースエーテルである場合、適用されない。
【0123】
しかし、この経路により、OH官能基の置換度は、制限される。高置換度が所望される場合、脂肪酸塩化物または無水物を使用することにより直接、出発のセルロースエステルのOH残基をエステル化することが好ましい。
【0124】
2/ 直接反応がセルロースまたはセルロースエーテルまたはセルロース誘導体の遊離OH官能基で行われる。
以下の文章において、本発明に基づき変性された、変性セルロースまたはセルロース誘導体(特にセルロースエステルまたはエーテル)を調製するための方法の記述において、以下の略語:
・Cell-OH:記述の明白さを目的として、1個のOHのみを考慮に入れた出発の非変性セルロースまたは非変性セルロース誘導体(セルロースエステルまたはエーテル);
・R:上記に与えられた定義に相当するセルロースにグラフトする炭化水素系鎖、
を使用する。
【0125】
以下の文章において、非ポリマー性の性質の鎖Rをグラフト化するために使用されてよい種々の反応が記述されることになる。
【0126】
2.1) エーテル化
エーテル化のために、以下の反応が想定されてよく、この反応について、鎖Rとセルロースまたはセルロースエステルまたはエーテルとの間の接合を形成する基Yは、単結合である:
【0127】
a/ 塩基性媒体中(例えば水酸化ナトリウム水溶液の存在下)における、アルキルハロゲン化物R-X(Xはハロゲンを表す)との反応:
Cell-OH+R-X→Cell-OR+HX
(Xは塩素、臭素およびヨウ素から選択されるハロゲンである。)
【0128】
b/ エポキシドとの反応:
【0129】
【化12】

【0130】
(式中、R4は上記定義の鎖Rの構造中に含まれる鎖を表し、前記鎖Rは、本明細書において基-CH2- (CHOH)- R4により表され;適切なエポキシド試薬は、1,2-エポキシオクタン、1,2-エポキシノナン、1,2-エポキシデカン、1,2-エポキシネオデカン、1,2-エポキシシクロデカン、1,2-エポキシシクロドデカン、1,2-エポキシシクロヘキサンまたは1,2-エポキシ-3-フェノキシプロパンであってよい。)
【0131】
c/ 還元性媒体(例えばプラチナ存在下におけるトリエチルシラン)中でのアルデヒドとの反応:
【0132】
【化13】

【0133】
(式中、R5は鎖Rの構造中に含まれる鎖を表し、前記鎖Rは本明細書において基-CH2-R5により表される。)
【0134】
一変形例によれば、この反応は2つの工程で進行し、第1の工程は、環状アセタールを形成する、アルデヒドとグリコールなどのジオールとの初期反応:
【0135】
【化14】

【0136】
と、それに続いての環状アセタールとセルロースまたはセルロース誘導体との反応:
【0137】
【化15】

【0138】
(式中、R6は鎖Rの構造中に含まれる鎖を表し、前記鎖Rは本明細書において基-CH-(CH2-CH2-OH)-R6により表される。)
である。
【0139】
d/ 酸性媒体中での、C1〜C4アルキル基を意味するR'を有する混合エーテルR-O-R'との反応:
【0140】
【化16】

【0141】
e/ PdCl2およびHgCl2の存在下での、グラフト化される基を有する二重結合、例えば末端二重結合、を有するセルロースまたはセルロース誘導体の遊離-OH官能基の付加反応:
【0142】
【化17】

【0143】
(式中、R7は鎖Rの構造中に含まれる鎖を表し、前記鎖Rは本明細書において基-CH2-CH2-R7により表され、かつRaおよびRbは鎖Rの構造中に含まれる鎖を表し、本明細書において基-CHRa -CH2-Rbにより表される。)
【0144】
他のエーテル化反応、特に書籍「Advanced Organic Chemicstry」、J. March、John Wiley & son、1992年版において言及されているエーテル化反応を想定することができる。
【0145】
2.2) エステル化
挙げることができるエステル化反応の例には、以下の反応が含まれ、式中YはCO結合基を表す:
・カルボン酸R-CO2Hとの反応:
【0146】
【化18】

【0147】
・酸塩化物R-COClとの反応:
【0148】
【化19】

【0149】
・酸無水物との反応、例えば:
【0150】
【化20】

【0151】
(式中、R8、R9およびR10は- (CHR8)-CR9R10-CO2H-がRを表すようにする)
【0152】
カルボン酸との反応によるエステル化よりもむしろ酸塩化物または酸無水物との反応によるエステル化の方が好ましい。
【0153】
適切なエステル化試薬は、オクタン酸、2-エチルヘキサン酸、ノナン酸、デカン酸、ネオデカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、イソノナン酸、イソデカン酸、イソドデカン酸、イソステアリン酸であってよい。
【0154】
酸塩化物としては、塩化ネオデカノイル、塩化ウンデカノイル、塩化デカノイル、塩化ドデカノイルおよび塩化イソノナノイルを挙げることができる。
【0155】
酸無水物としては、最も具体的には、アルキルサクシニル無水物、具体的には、イソオクタデセニルコハク酸無水物、1-オクテニルコハク酸無水物、1-ノネイルコハク酸無水物を挙げることができる。
・エステル化はまた、セルロース誘導体の-OH残基を、一官能性環状ケテン基を含む反応性アルキルケテンダイマー(AKD)と反応させることにより行われてもよい。
【0156】
AKDは、14〜22個の炭素原子を含み、かつ下記式を有する不飽和脂肪酸の混合物から出発する反応により得られる:
【0157】
【化21】

【0158】
(式中、R14およびR15は、同一でも異なっていてもよく、鎖R14およびR15上の炭素原子数の和が30から36原子の範囲であるようなC8〜C20アルキル鎖である)
【0159】
例えば、R14=C14H29およびR15=C16H33である。
【0160】
その場合エステル化反応は以下のCell-OHを伴うものである。
【0161】
【化22】

【0162】
これらの化合物は、以下の文書に記述されている:Nahm S.H、J of Wood Chemistry and Technology、6(1)、89〜112頁、(1986年);Bottorff K.J.、Tappi Journal、77(4)、105〜116頁(1994年)およびZhou Y.J.、Paper Technology、1991年7月、19〜22頁。
【0163】
一般に、脂溶性基-O-Y-Rで変性されたセルロースまたはセルロース誘導体の調製は有利には、前述のエステル化反応により行われる。
【0164】
2.3) カーボネートとのエステル交換
カーボネートR'-O-CO-O-Rとの以下の反応が想定されてよく、この反応に対してYは-CO-O-結合基を表す:
【0165】
【化23】

【0166】
2.4) 塩化スルホニルによるエステル化
Yが-SO2-結合基を表す、スルホン酸または塩化スルホニルによるエステル化反応の例として、以下の反応を想定することができる:
【0167】
【化24】

【0168】
2.5) イソシアネートによるエステル化
Yが-CO-NH-結合基を表す、カルバメート結合形成のための反応の例として、イソシアネートOCN-Rとの以下の反応を想定することができる:
【0169】
【化25】

【0170】
適切なイソシアネート試薬の例は、ブチルイソシアネート、イソブチルイソシアネート、ペンチルイソシアネート、ヘキシルイソシアネート、ヘプチルイソシアネート、オクチルイソシアネート、2-エチルヘキシルイソシアネート、ノニルイソシアネート、デシルイソシアネート、ウンデシルイソシアネート、ドデシルイソシアネートまたはフェニルイソシアネートであってよい。
【0171】
この反応は特に好ましい。
【0172】
2.6) アルコキシシランとの反応
Yが-Si(R12)2-結合基を表す、アルコキシシランとの反応の例として、以下の反応を想定することができる:
【0173】
【化26】

【0174】
(式中、R12は、同一でも異なっていてもよく、場合により1から500の炭素原子の直鎖、分枝状または環状、飽和または不飽和炭化水素系鎖であり、1個または複数のO、N、S、Siおよび/またはP原子、好ましくは1〜10個の炭素原子を含んでよく、基R12はしたがって上記定義の基R3と同一の定義を有する)
【0175】
II/ Rがポリマー性基であるとき
Rが前述のようなポリマー由来の基であるとき、グラフト化反応は以下のスキームに従って行うことができる:
Cell-OH+X1-POL → Cell-O-Y-POL
(式中、POLはその配列が上記に与えられたポリマー性の基Rの定義に相当するポリマーを表し、X1は、ポリマーの有する官能基を表し、前記官能基は最初のセルロースまたは最初のセルロース誘導体(セルロースエステルまたはエーテル)のヒドロキシルに対して反応性であり、かつYは上記に与えられたものと同一の定義に相当し、かつ-OHとX1との反応により生成される)
【0176】
非ポリマー性の炭化水素系鎖のグラフト化に関してと同一の点において、最初のセルロース誘導体の遊離ヒドロキシル官能基に対して反応性である反応性官能基X1は、エポキシド、アルデヒド、アセタール、ハロゲン(塩素、臭素またはヨウ素)、エチレン、カルボキシル酸または誘導体(塩化物、無水物またはC1〜C4アルキルエステル)、カーボネート、スルホン酸、塩化スルホニル、イソシアネートおよびモノアルコキシシラン官能基から選択されてよい。
【0177】
出発のポリマーPOL-X1は、その多くが市販されている、X1が、ビニルタイプの反応性二重結合であるもの以外は、合成される必要がある。ポリマーPOL-X1は、例えば、標準的な方法を介して適したX1へと変換されるX1以外の反応性官能基を含むポリマーから合成することができる。
【0178】
例えば、以下の反応を挙げることができる:
【0179】
【化27】

【0180】
反応性末端基X1を含む重縮合に関して、これらの調製は、特にポリエステルおよびポリアミドに関しては、このような基がすでに鎖の末端に存在する限りにおいて、反応性基の導入のためにいかなる特定の処理をも必要としない。
【0181】
例えば、ポリエステルは一般に、調製の最後に、反応性-CO2H末端基および-OH末端基を含む。この-OH末端基は、出発のセルロースまたは出発のセルロース誘導体(セルロースエステルまたはエーテル)へのグラフト化のための反応を妨害することがないように、好ましくは不安定な水素を含まない不活性基によりブロックされるであろうことに留意すべきである。
【0182】
同一のコメントは、出発のセルロース誘導体とのグラフト化のための反応に対して不活性である基により保護される反応性-CO2H末端基および-NH2末端基を含むポリアミドにも当てはまる。
【0183】
反応性基X1はまた、選択される重縮合のタイプに関して不活性かまたは重縮合の実験条件下で不活性であるべきである基X1を有する試薬、および重縮合に関与することができる1つの基のみの重縮合の間に、反応媒体への導入により、重縮合に導入されてもよい。したがってこの試薬は、重縮合に関して一官能性であり、したがって連鎖制御剤として作用する。
【0184】
重縮合に関して一官能性であり、出発のセルロース誘導体のヒドロキシル官能基に対して反応性の基を有するこの試薬は、ポリマーの連鎖を1つの反応性基X1のみで終わらせるために、好ましくは重縮合の間に導入される。
【0185】
第2の実施形態によれば、グラフト化反応は、第1段階において、出発のセルロースまたは出発のセルロース誘導体(セルロースエステルまたはエーテル)のヒドロキシル官能基の全てまたは一部を、反応性官能基に変換し、次いで第2段階において、前記反応性官能基を前記炭化水素系鎖Rを含むポリマーの適切な反応性末端基と反応させることであってよい。
【0186】
例えば、以下の反応を挙げることができる:
【0187】
【化28】

【0188】
Cell-OCOCH2CH2-CO2HとCell-OHとの反応が起こる可能性があるが、この反応が最小限に抑えられる(架橋が回避される)条件が使用される。
【0189】
本発明によれば、ポリマーグラフトは:
・好ましくは半結晶性であるポリオレフィン(ホモポリマーまたはコポリマー);
・好ましくは水素添加されたポリジエン;
・親油性重縮合物、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ尿素、コポリマー(尿素/ウレタン)またはポリエーテルであって、これらは全て親油性である、
であってよい。
【0190】
II) 液体脂肪相
本発明の組成物の液体脂肪相は、油としても知られている、室温(25℃)および大気圧(105Pa)において液体である少なくとも1つの脂肪物質を含む。
【0191】
組成物の液体脂肪相は、連続脂肪相であってよい。
【0192】
油は揮発性または不揮発性であってよく、かつ極性または無極性であってよい。
【0193】
本発明の組成物は、有利には少なくとも1種の揮発油を含む。
【0194】
本発明において、用語「揮発油」は、室温および大気圧下でケラチン物質と接触して1時間以内に蒸発することが可能なすべての非水性媒体を意味する。本発明の揮発油は、室温で液体であり、室温および大気圧下でゼロではない蒸気圧、0.13Paから40,000Pa(10-3から300mmHg)の範囲、特に1.3Paから13,000Pa(0.01から100mmHg)の範囲、より特に1.3Paから1,300Pa(0.01から10mmHg)の範囲の蒸気圧を有する揮発性化粧用油である。
【0195】
用語「不揮発油」は、室温および大気圧下で,少なくとも数時間ケラチン物質上に残留し、かつ特に0.13Pa(0.01mmHg)未満の蒸気圧を有する油を意味する。
【0196】
これらの油は、炭化水素系油またはシリコーン油、あるいはこれらの混合物であってよい。
【0197】
用語「炭化水素系油」は、主として炭素および水素原子を含み、かつ場合により酸素、窒素、イオウ、またはリン原子を含む油を意味する。揮発性炭化水素系油は、8〜16個の炭素原子を含む炭化水素系油、特に分枝状C8〜C16アルカン、例えば石油由来のC8〜C16イソアルカン(イソパラフィンとしても知られている)、例えばイソドデカン(2,2,4,4,6-ペンタメチルヘプタンとしても知られている)、イソデカンおよびイソヘキサデカン、例えばIsoparおよびPermethylの商品名で販売されている油から選択されてよい。
【0198】
C8〜C16分枝状アルカン、例えば、イソドデカン、イソデカンおよびイソヘキサデカンなどのC8〜C16イソパラフィンから選択される揮発油を使用することは好ましい。
【0199】
使用されてよい揮発油はまた、揮発性シリコーン、例えば直鎖または環状揮発性シリコーンで、特に粘度≦5センチストークス(5×10-6m2/s)を有し、かつ特に2〜10個のケイ素原子を含むシリコーンを含んでよく、これらのシリコーンは、1〜10個の炭素原子を含むアルキルまたはアルコキシ基を任意選択で含んでいてもよい。本発明において使用されてよい揮発性シリコーン油として、特にオクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサンおよびドデカメチルペンタシロキサン、ならびにこれらの混合物を挙げることができる。
【0200】
揮発油は、本発明の組成物中に、組成物の全重量に対して、0.1重量%〜95重量%、好ましくは1重量%〜65重量%、より好ましくは2重量%〜50重量%の範囲の含有量で存在してよい。
【0201】
組成物はまた、特に不揮発性炭化水素系油および/またはシリコーン油から選択される少なくとも1種の不揮発油をも含んでよい。
【0202】
特に挙げることができる不揮発性炭化水素系油には、
・動物由来の炭化水素系油;
・植物由来の炭化水素系油、例えば、脂肪酸が、場合により直鎖または分枝状、かつ飽和または不飽和である鎖で、C4からC24の種々の鎖長を有してよいグリセロールの脂肪酸エステルからなるトリグリセリド;これらの油は特に小麦胚芽油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、ゴマ油、トウモロコシ油、アプリコット油、ヒマシ油、シア油、アボカド油、オリーブ油、ダイズ油、スイートアーモンド油、パーム油、ナタネ油、綿実油、へーゼルナッツ油、マカダミア油、ホホバ油、アルファルファ油、ポピーシード油、パンプキン油、マロー油、ブラックカラント油、イブニングプリムローズ油、ミレット油、オオムギ油、キノア油、ライ麦油、サフラワー油、ククイナッツ油、パッションフラワー油またはムスクローズ油;あるいは別法としてカプリル/カプリン酸トリグリセリド、例えばStearineries Dubois社により販売されているものまたはMiglyol 810、812および818の名称でDynamit Nobelにより販売されているもの;
・10〜40個の炭素原子を含む合成エーテル;
・鉱物または合成由来の直鎖または分枝状炭化水素、例えばワセリン、ポリデセン、パールリームなどの水添ポリイソブテン、スクワランおよび流動パラフィン、ならびにこれらの誘導体;ならびに
・合成エステル、例えば、式R1COOR2の油(式中、R1+ R2≧10を条件として、R1が1〜40個の炭素原子を含む直鎖または分枝状脂肪酸残基を表し、かつR2が炭化水素系鎖、特には、1〜40個の炭素原子を含む分枝状鎖を表す)、例えばパーセリンオイル(オクタン酸セトステアリル)、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、安息香酸アルキルC12〜C15、ラウリン酸ヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、イソステアリン酸イソステアリル、およびオクタン酸、デカン酸またはリシノレイン酸アルコールまたはポリアルコール、例えばジオクタン酸プロピレングリコール;ヒドロキシル化エステル、例えば乳酸イソステアリルまたはリンゴ酸ジイソステアリル;およびペンタエリスリトールエステル;
・12〜26個の炭素原子を含む分枝状および/または不飽和炭化水素系鎖を有する、室温で液体である脂肪アルコール、例えばオクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、2-ヘキシルデカノール、2-ブチルオクタノールまたは2-ウンデシルペンタデカノール;
・オレイン酸、リノール酸またはリノレン酸などの高級脂肪酸;
ならびにこれらの混合物、
が含まれる。
【0203】
本発明の組成物において使用されてよい不揮発性シリコーン油は、不揮発性ポリジメチルシロキサン(PDMS)、アルキルまたはアルコキシ基をペンダントとしておよび/またはシリコーン鎖の末端に含み、これらの基が2〜24個の炭素原子を含むポリジメチルシロキサン、フェニルシリコーン、例えばフェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、および2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケート、ならびにこれらの混合物であってよい。
【0204】
不揮発油は、本発明の組成物中に、組成物の全重量に対して、0.01重量%〜95重量%、好ましくは0.1重量%〜80重量%、より好ましくは1重量%〜50重量%(特に0.1重量%〜10重量%)の範囲の含有量で存在してよい。
【0205】
液体脂肪相は、組成物の全重量に対して、0.01重量%〜98重量%、好ましくは0.05重量%〜75重量%、より好ましくは1重量%〜60重量%に相当してよい。
【0206】
本発明の組成物は、実質的に水、または水と水混和性溶媒(25℃で50重量%を超える水への混和性)、例えばエタノールまたはイソプロパノールなど1〜5個の炭素原子を含む低級モノアルコール、プロピレングリコールなどの2〜8個炭素原子を含むグリコール,1,3-ブチレングリコールまたはジプロピレングリコール、C3〜C4ケトンおよびC2〜C4アルデヒド、ならびにこれらの混合物、との混合物からなる水相を含んでよい。
【0207】
水相(水および任意選択で水混和性溶媒)は、組成物の全重量に対して、0.1重量%〜65重量%、好ましくは1重量%〜55重量%、より好ましくは5重量%〜50重量%の含有量で存在してよい。
【0208】
水および/または水溶性溶媒は、非変性形態で、本発明の処方に導入されてよく、あるいは前記組成物の1個または複数の構成成分により配合されてもよい。したがって、水は特に、ラテックスまたは疑似ラテックス、すなわちポリマー粒子の水性分散物を導入することにより組成物に導入されてよい。
【0209】
一実施形態によれば、本発明の組成物は無水物である。用語「無水組成物」は、上記定義の水相を10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下の比率で含む、またはさらに水を含まない組成物を意味する。
【0210】
本発明の組成物は、化粧品として許容できる媒体、すなわちケラチン物質に適合する(許容できる耐性、毒性および感触の)媒体を含む。
【0211】
本発明の組成物はまた、室温で固体であり、特にワックス、ペースト状物質およびガム、ならびにこれらの混合物から選択される少なくとも1種の脂肪物質をも含んでよい。これらの脂肪物質は、動物、植物、鉱物または合成由来であってよい。
【0212】
ワックス
本発明の組成物は、ワックスまたはワックスの混合物を含んでよい。
【0213】
本発明の状況において考慮されるワックスは一般に、室温(25℃)で固体であり、可逆的な固体/液体状態変化を有し、30℃以上で、200℃以下でもよい融点を有する親油性化合物である。
【0214】
ワックスを液状にする(溶融する)ことにより、油と混和させ、かつ顕微鏡的に均一な混合物を形成することが可能になるが、混合物の温度を室温に戻すと、混合物の油中でワックスの再結晶が得られる。
【0215】
特に、本発明に適するワックスは、30℃超、好ましくは45℃超、特に55℃超の融点を有してよい。
【0216】
ワックスの融点は、示差走査熱量計(DSC)、例えば、DSC 30の名称でMettler社により販売されている熱量計を用いて測定してよい。
【0217】
測定プロトコールは以下の通りである:
るつぼに入れた生成物の試料15mgを、10℃/分の加熱速度で、0℃から120℃の範囲の最初の温度上昇にかけ、次いで、10℃/分の冷却速度で、120℃から0℃に冷却し、最終的に5℃/分の加熱速度で、0℃から120℃の範囲の二度目の温度上昇にかける。二度目の温度上昇の間に、空のるつぼによって吸収される力と生成物の試料を含むるつぼによって吸収される力との差の変化を、温度の関数として測定する。化合物の融点は、吸収された力の差の変化を温度の関数として表す曲線のピークの頂点に対応する温度の値である。
【0218】
本発明の組成物において使用されてよいワックスは、室温において固体でかつ硬い、動物、植物、鉱物または合成由来、およびこれらの混合物であるワックスから選択される。
【0219】
ワックスはまた、0.05Mpaから30Mpaの範囲、好ましくは6Mpaから15Mpaの範囲の硬度を有する。硬度はTA-XT2iの名称でRheo社により販売されている、0.1mm/秒の測定速度で進行する直径2mmのステンレス鋼シリンダを備え、かつワックスに0.3mmの進入深さで進入する、テクスチュロメータを用いて20℃で測定された圧縮力を測定することにより決定する。
【0220】
測定プロトコールは以下の通りである:
ワックスをワックスの融点+20℃に等しい温度で融解する。融解したワックスを直径30mmで深さ20mmの容器に注ぎ込む。ワックスを室温(25℃)で24時間、再結晶させ、次いで、硬度測定を行う前に少なくとも1時20℃で保管する。硬度の値は、ワックスと接触するテクスチュロメータのシリンダの表面積で除した測定された最大圧縮力の値である。
【0221】
炭化水素系ワックス、例えば、ミツロウまたはラノリンワックス; ライスワックス、モクロウ、カルナウバロウ、カンデリラロウ、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンおよびオゾケライト;ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュ合成により得られるワックスおよびワックス性のコポリマー、ならびにこれらのエステルも特に使用されてよい。
【0222】
直鎖または分枝状C8〜C32脂肪鎖を含む、動物または植物油の触媒的水素添加により得られるワックスもまた挙げることができる。
【0223】
これらのワックスのうちで、特に挙げることができるのは、水添ホホバ油、Iso-Jojoba-50(登録商標)の市販参照名でDesert Whale社により製造または販売されている部分的に水素添加されたトランス異性化ホホバ油などの異性化ホホバ油、水添ヒマワリ油、水添ヒマシ油、水添ヤシ油および水添ラノリン油および「Hest 2T-4S」の名称でHeterene社により販売されているビス(1,1,1-トリメチロールプロパン)テトラステアレート、Hest 2T-4Bの名称でHeterene社により販売されているビス(1,1,1-トリメチロールプロパン)テトラベヘネートである。
【0224】
シリコーンワックス、例えば16〜45個の炭素原子を含むアルキルまたはアルコキシジメチコンおよびフッ素ワックスをもまた、挙げることができる。
【0225】
「Phytowax Olive 18 L57」の名称で販売されている、ステアリルアルコールによりエステル化されたオリーブ油の水素添加により得られるワックスあるいは他に「Phytowax ricin 16L64および22L73」の名称でSophim社により販売されている、セチルアルコールによりエステル化されたヒマシ油の水素添加により得られるワックスもまた使用されてよい。このようなワックスは、特許出願FR-A-2 792 190に記述されている。
【0226】
特定の一実施形態によれば、本発明の組成物は、少なくとも1種の「粘着性の」ワックス、すなわち0.7N.s以上の粘着性および3.5Npa以下の硬度を有するワックスを含んでよい。
【0227】
ワックスの粘着性は、「TA-TX2i(登録商標)」の名称でRheo社により販売されている、45°の角度を形成する円錐形アクリルポリマースピンドルを備えたテクスチュロメータを用いて、20℃で、力(圧縮力または伸張力)の変化を時間の関数として測定することにより決定される。
【0228】
測定プロトコールは以下の通りである:
ワックスを、ワックスの融点+10℃に等しい温度で融解する。融解したワックスを直径25mmで深さ20mmの容器に注ぎ込む。ワックスの表面が平らかつ滑らかになるようワックスを室温(25℃)で24時間、再結晶させ、次いで、粘着性測定を行う前に少なくとも1時間、20℃で保管する。
【0229】
テクスチュロメータのスピンドルを0.5mm/秒の速度で移動させ、次いでワックスに2mmの進入深さで進入させる。スピンドルがワックスに2mmの深さで進入したら、スピンドルを1秒間静止させ(緩和時間に相当)、次いで0.5mm/秒の速度で後退させる。
【0230】
緩和時間の間に力(圧縮力)は大きく低下してゼロになり、次いで、スピンドルが後退する間に、力(伸張力)はマイナスになり、次いで再び値0にまで上昇する。粘着性は、力のマイナスの値(伸張力)に対応する曲線部分に対する時間の関数としての力の曲線の積分に相当する。粘着性の値はN.sで表示される。
【0231】
硬度は、先に記述のプロトコールに従って測定される。
【0232】
使用されてよい粘着性ワックスには、C20〜C40アルキル(ヒドロキシステアリルオキシ)ステアレート(20〜40個の炭素原子を含むアルキル基)、例えば「Kester Wax K 82 P(登録商標)」および「Kester Wax K 80 P(登録商標)」の名称でKoster Keunen社により販売されているワックスが含まれる。
【0233】
約0.46Mpaの硬度および約1N.sの粘着性値を有する、SP18の参照名でStrahl & Pitsch社により販売されているマイクロクリスタリンワックスもまた挙げることができる。
【0234】
前述のワックスは一般に、45℃未満の出発融点を有する。
【0235】
ワックスは、ワックスの水性マイクロ分散液の形態であってもよい。表現「ワックスの水性マイクロ分散液」は、ワックス粒子の水性分散物を意味し、分散物における前記ワックス粒子のサイズは、約1μm以下である。
【0236】
ワックスマイクロ分散液は、コロイド性のワックス粒子の安定な分散物であり、特に「Microemulsions Theory and Practice」、L.M. Prince Ed.、Academic Press、(1977年)21〜32頁に記述されている。
【0237】
特に、これらのワックスマイクロ分散液は、界面活性剤および任意選択で少量の水の存在下でワックスを融解することとそれに続いて攪拌を行いながら、熱水を徐々に添加することにより得られてよい。油中水タイプのエマルションの中間形態が観察され、それに続いて水中油タイプのマイクロエマルションの最終生成を伴う転相が観察される。冷却すると、固体ワックスコロイド粒子の安定なマイクロ分散液が得られる。
【0238】
ワックスマイクロ分散液はまた、ワックス、界面活性および水の混合物を、超音波、高圧ホモジナイザーまたはターボミキサーなどの攪拌手段を用いて攪拌することによっても得られる。
【0239】
ワックスマイクロ分散液の粒子は、好ましくは1μm未満(特に0.02μmから0.99μmの範囲)、好ましくは0.5μm未満(特に0.06μmから0.5μmの範囲)の平均サイズを有する。
【0240】
これらの粒子は、実質的にワックスまたはワックスの混合物からなる。しかし、粒子は、少量の油性および/またはペースト状添加剤、界面活性剤および/または通常の脂溶性添加剤/活性成分を含んでよい。
【0241】
用語「ペースト状脂肪物質」は、23℃の温度で液体部分と固体部分とを含む親油性脂肪化合物を意味する。
【0242】
前記ペースト状化合物は好ましくは20℃で、0.001から0.5Mpa、好ましくは0.002から0.4Mpaの範囲の硬度を有する。
【0243】
硬度は、化合物の試料へプローブを進入させる方法に従って、特に直径2mmのステンレス鋼スピンドルを備えたテクスチュア分析器(例えば、RheoのTA-XT2i機器)を用いて測定する。硬度測定は20℃において、5つの試料の中心部で行う。スピンドルを、各試料に0.1mm/秒の前速度で、次いで0.1mm/秒の測定速度で、進入深さは0.3mmで、導入する。判明する硬度値は、硬度の最大ピークである。
【0244】
23℃で測定されたペースト状化合物の液体部分は、好ましくは、化合物の9重量%〜97重量%に相当する。この液体部分は、23℃で、好ましくは15重量%と85重量%との間、より好ましくは40重量%と85重量%との間に相当する。23℃におけるペースト状化合物の液体部分の重量は、ペースト状化合物の融解熱に対する23℃で消費された融解熱の比率に等しい。
【0245】
ペースト状化合物の融解熱は、化合物が固体状態から液体状態へと変化するために消費する熱量である。ペースト状化合物は、その質量の全てが固体結晶形態であるとき、固体状態であると言われる。ペースト状化合物は、その質量の全てが形態形態であるとき、液体状態であると言われる。
【0246】
ペースト状化合物の融解熱は、示差走査熱量計(DSC)、例えばMDSC 2920の名称でTA Instrument社により販売されている熱量計を用いて、ISO標準11357-3:1999に基づき、1分につき5または10℃の温度上昇で得られたサーモグラムの曲線下の面積に等しい。ペースト状化合物の融解熱は、化合物を固体状態から液体状態へと変化させるために必要なエネルギーの量である。融解熱は、J/gで表される。
【0247】
23℃で消費される融解熱は、試料に吸収されて固体状態を23℃で試料が有する、液体部分と固体部分とからなる状態へと変化させるエネルギーの量である。
【0248】
ペースト状化合物の液体部分は、32℃において好ましくは、化合物の30重量%〜100重量%、好ましくは化合物の80重量%〜100重量%、さらに好ましくは90重量%〜100重量%に相当する。32℃で測定したペースト状化合物の液体部分が100%に等しいとき、ペースト状化合物の融点範囲の終端の温度は、32℃以下である。
【0249】
32℃で測定したペースト状化合物の液体部分は、ペースト状化合物の融解熱に対する32℃で消費された融解熱の比率に等しい。32℃で消費された融解熱は、23℃で消費された融解熱と同様の方法で算出される。
【0250】
ペースト状化合物は一般に、炭化水素系化合物、例えばラノリンおよびそれらの誘導体、または別法としてPDMSである。
【0251】
固体物質の性質および量は、所望の機械的特性および感触に依存する。
【0252】
指針として、組成物は、組成物の全重量に対して、0.1重量%〜50重量%、より好ましくは1重量%〜40重量%、さらに好ましくは5重量%〜20重量%のワックスを含んでよい。
【0253】
本発明の組成物はまた、変性セルロースまたは変性セルロース誘導体の他に、「追加の」皮膜形成性ポリマーも含んでよい。
【0254】
本発明の組成物において使用されてよい追加的皮膜形成性ポリマーのうちで、フリーラジカル型または重縮合型の合成ポリマー、および天然由来のポリマー、ならびにこれらの混合物を挙げることができる。特に挙げることができる皮膜形成性ポリマーには、アクリルポリマー、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ尿素および脂溶性変性セルロース誘導体を除くセルロース系ポリマーが含まれる。
【0255】
追加的皮膜形成性ポリマーは、組成物の液体脂肪相であってよい液体脂肪相に可溶または分散性であってよい。追加的皮膜形成性ポリマーはまた、水溶性または水相に分散性である皮膜形成性ポリマー(ラテックスとしても知られている)から選択されてもよい。
【0256】
追加的皮膜形成性ポリマーは、組成物の全重量に対して、固体重量で0.1重量%〜30重量%、より好ましくは0.5重量%〜15重量%の範囲の含有量で存在してよい。
【0257】
本発明の組成物はまた、水溶性染料、粉末染料、例えば当業者によく知られている顔料、真珠光沢顔料およびフレークから選択される1種または複数の染料をも含んでよい。染料は、組成物中に、組成物の重量に対して、0.01重量%〜50重量%、好ましくは0.01重量%〜30重量%、より好ましくは1重量%〜25重量%の範囲の含有量で存在してよい。
【0258】
用語「顔料」は、生理的媒体に不溶であってかつ組成物を着色することを意図されている白色または有色の、あらゆる形態の無機または有機粒子を意味するものと理解されるべきである。
【0259】
用語「真珠光沢顔料」は、特にある種の軟体動物がその殻の中で産生するか、または別法として合成されるあらゆる形態の虹色の粒子を意味するものと理解されるべきである。
【0260】
顔料は、白色であっても有色であっても、かつ無機および/または有機であってもよい。無機顔料のうちで、任意選択で表面処理された二酸化チタン、酸化ジルコニウムまたは酸化セリウム、およびまた酸化亜鉛、酸化鉄(黒、黄または赤)または酸化クロム、マンガンバイオレット、グンジョウ、水和クロム、コンジョウ、ならびに金属パウダー、例えばアルミニウムパウダーまたは銅パウダーを挙げることができる。
【0261】
有機顔料のうちで挙げることができるのは、カーボンブラック、D&Cタイプの顔料、およびコチニールカルミン系のレーキまたはバリウム、ストロンチウム、カルシウムまたはアルミニウム系レーキである。
【0262】
効果を有する顔料、例えば天然または合成の、有機または無機基質、例えば、ガラス、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、セラミックスまたはアルミナを含む粒子もまた挙げることができ、前記基質は場合により、金属性物質、例えばアルミニウム、金、銀、プラチナ、銅、青銅または金属酸化物、例えば二酸化チタン、酸化鉄または酸化クロム、ならびにこれらの混合物で被覆されている。
【0263】
真珠光沢顔料は、チタンまたはオキシ塩化ビスマスで被覆したマイカなどの白色真珠光沢顔料、酸化鉄で被覆したチタンマイカ、特にコンジョウまたは酸化クロムで被覆したチタンマイカ、前述のタイプの有機顔料で被覆したチタンマイカなどの有色真珠光沢顔料、およびまたオキシ塩化ビスマス系の真珠光沢顔料から選択されてよい。干渉顔料、特に液晶顔料または多層顔料を使用することも可能である。
【0264】
脂溶性染料は、例えば、Sudan Red、D&C Red 17、D&C Green 6、β-カロチン、ダイズ油、Sudan Brown、D&C Yellow 11、D&C Violet 2、D&C Orange 5、キノリンイエローまたはアナトーである。水溶性染料は、例えば、ビート根液汁およびメチレンブルー、ポンソーの二ナトリウム塩、アリザリングリーンの二ナトリウム塩、キノリンイエロー、アマランスの三ナトリウム塩、タートラジンの二ナトリウム塩、ローダミンの一ナトリウム塩、フクシンの二ナトリウム塩またはキサントフィルである。
【0265】
本発明の組成物は、少なくとも1種のフィラーを、組成物の全重量に対して、特に0.01重量%〜50重量%、好ましくは0.01重量%〜30重量%の範囲の含有量で含んでよい。用語「フィラー」は、無色または白色の、無機または合成のあらゆる形態の粒子であって、組成物が製造される温度に無関係に組成物の媒体に不溶である粒子を意味するものと理解されるべきである。これらのフィラーは、特に組成物のレオロジーまたは感触を変化させるのに役立つ。
【0266】
フィラーは、有機または無機でかつ、結晶形(例えば薄層状、立方晶、六方晶、斜方晶形等)とは無関係に、あらゆる形状、小板状、球状、または楕円形、であってよい。タルク、マイカ、シリカ、カオリン、ポリアミドパウダー、例えばNylon(登録商標)(AtochemのOrgasol(登録商標))、ポリ-β-アラニンパウダーおよびポリエチレンパウダー、テトラフルオロエチレンポリマーパウダー、(Teflon(登録商標))、ラウリルリシン、デンプン、窒化ホウ素、塩化ポリビニリデン/アクリロニトリルからなるものなどの発泡中空ポリマーマイクロスフィア、例えばExpancel(登録商標)(Nobel Industries)、アクリル酸コポリマー(Dow CorningのPolytrap(登録商標))、およびシリコーン樹脂マイクロビーズ(例えば、ToshibaのTospearls(登録商標))、エラストマー系ポリオルガノシロキサン粒子、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムおよび炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、中空シリカマイクロスフィア(MaprecosのSilica Beads(登録商標))、ガラスまたはセラミックマイクロカプセル、8〜22個、好ましくは12〜18個の炭素原子を含む有機カルボン酸から誘導される金属石けん、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛およびミリスチン酸マグネシウムを挙げることができる。
【0267】
本発明の組成物はまた、化粧品に通常使用される成分、例えばビタミン、増粘剤、ゲル化剤、微量元素、柔軟剤、金属イオン封鎖剤、香料、酸性化または塩基性化剤、防腐剤、サンスクリーン剤、界面活性剤、酸化防止剤、繊維、脱毛防止剤、睫毛ケア剤、フケ防止剤および噴射剤、ならびにこれらの混合物をも含んでよい。
【0268】
用語「繊維」は、LがDよりもきわめて長いような長さLおよび直径Dを有する物体であって、Dは繊維の断面が内接する円の直径であることを意味するものと理解されるべきである。特に、L/D比(または形状因子)は、3.5から2,500、好ましくは5から500、より好ましくは5から150の範囲内で選択される。
【0269】
特に、繊維は、1μmから10mm、好ましくは0.1mmから5mm、より好ましくは0.3mmから3mmの範囲の長さを有する。
【0270】
本発明の組成物において使用されてよい繊維は、剛性または非剛性繊維から選択されてよく、合成または天然、無機または有機由来であってよい。
【0271】
繊維は、本発明の組成物中に、組成物の全重量に対して、0.1重量%〜10重量%、より好ましくは0.5重量%〜5重量%の範囲の含有量で存在してよい。
【0272】
本発明の組成物において使用されてよいゲル化剤は、有機または無機、かつポリマー性または分子状の、親水性または親油性ゲル化剤であってよい。
【0273】
挙げることができる無機親油性ゲル化剤には、任意選択で変性されたクレイ、例えばC10〜C22脂肪酸アンモニウム塩化物で変性されたヘクトライト、例えば塩化ジステアリルジメチルアンモニウムで変性されたヘクトライト、例えば「Bentone 38V(登録商標)」の名称でElementis社により販売されている製品が含まれる。
【0274】
任意選択で疎水表面処理を受けた、粒子サイズ1μm未満のヒュームドシリカをも挙げることができる。具体的には、シリカ表面に存在するシラノール基の数の減少を発生させる化学反応により、シリカの表面を化学的に変性することが可能である。特に、シラノール基を疎水基で置換することが可能である:その際疎水性シリカが得られる。疎水基は、
・特にヒュームドシリカをヘキサメチルジシラザンの存在下で処理することにより得られるトリメチルシロキシル基。このように処理されたシリカは、CTFA(第6版、1995年)によれば、「silica silylate」として知られている。これらは、例えば「Aerosil R812(登録商標)」の名称でDegussa社により、および「Cab-O-Sil TS-530(登録商標)」の名称でCabot社により販売されている;
・特にヒュームドシリカをポリジメチルシロキサンまたはジメチルジクロロシランの存在下で処理することにより得られるジメチルシリルオキシルまたはポリジメチルシロキサン基。このように処理されたシリカは、CTFA(第6版、1995年)によれば、「silica dimethy silylate」として知られている。これらは、例えば、「Aerosil R972(登録商標)」および「Aerosil R974(登録商標)」の参照名でDegussa社により、および「Cab-O-Sil TS-610(登録商標)」および「Cab-O-Sil TS-720(登録商標)」の参照名でCabot社により販売されている、
であってよい。
【0275】
疎水性ヒュームドシリカは、特にナノメータからマイクロメータオーダー、例えば約5から200nmの範囲の粒子サイズを有する。
【0276】
ポリマー性有機親油性ゲル化剤は、例えば、部分的または全体的に架橋された三次元構造のエラストマー化オルガノポリシロキサン、例えばKSG6(登録商標)、KSG16(登録商標)およびKSG18(登録商標)の名称でShin-Etsuから、Trefil E-505C(登録商標)またはTrefil E-506C(登録商標)の名称でDow Corningから、Gransil SR-CYC(登録商標)、SR DMF 10(登録商標)、SR-DC556(登録商標)、SR 5CYC gel(登録商標)、SR DMF 10 gel(登録商標)およびSR DC 556 gel(登録商標)の名称でGrant Industries社から、およびSF 1204(登録商標)およびJK 113 (登録商標)の名称でGeneral Electricから販売されている製品;「ジブロック」または「トリブロック」タイプのブロックコポリマーであって、Luvitol HSB(登録商標)の名称でBASF社により販売されている製品などのポリスチレン/ポリイソプレンまたはポリスチレン/ポリブタジエンタイプのブロックコポリマー、Kraton(登録商標)の名称でShell Chemical Co.により販売されている製品などのポリスチレン/コポリ(エチレン-プロピレン)タイプのブロックコポリマーまたはポリスチレン/コポリ(エチレン-ブチレン)タイプのブロックコポリマー;(α)少なくとも32個の炭素原子を含むジカルボン酸から選択される少なくとも1種の酸と(β)アルキレンジアミン、特にポリアミドポリマーが、12〜30個の炭素原子を含む少なくとも1つの飽和および直鎖モノアルコールまたは少なくとも1つの飽和および直鎖モノアミンによりエステル化またはアミド化された少なくとも1つのカルボン酸末端基を含むエチレンジアミン、との縮合により生成するポリアミドタイプの重縮合物、特にエチレンジアミン/ステアリルジリノレートコポリマー例えばUniclear 100 VG(登録商標)の名称でArizona Chemical社により販売されている製品など;エチルセルロース、例えばEthocelの名称でDow Chemicalから販売されている製品;飽和または不飽和アルキル鎖により置換された、糖1個当り1〜6個、特に2〜4個のヒドロキシル基を含むガラクトマンナン、例えば、C1〜C6特にC1〜C3アルキル鎖でアルキル化されたグアーガム、ならびにこれらの混合物である。
【0277】
本発明の組成物において使用されてよいゲル化剤のうちで、デキストリンパルミテートなどのデキストリンの脂肪酸エステル、特にRheopearl TL(登録商標)またはRheopearl KL(登録商標)の名称でChiba Flour社により販売されている製品、をまた挙げることができる。
【0278】
ポリオリガノシロキサンタイプのシリコーンポリアミドをもまた挙げることができる。これらのシリコーンポリマーは以下の2つのファミリーに属すことができる:
1) 水素相互作用を確立することができる少なくとも2つの基を含むポリオルガノシロキサンであって、これら2つの基はポリマー鎖の中に位置する、および/または
2) 水素相互作用を確立することができる少なくとも2つの基を含むポリオルガノシロキサンであって、これら2つの基はグラフトまたはブランチに位置する。
【0279】
これらのポリマーは、文書US-A-5 874 069、US-A-5 919 441、US-A-6 051 216およびUS-A-5 981 680に記述されている。
【0280】
本発明の組成物が水性媒体を含むとき、本発明の組成物は親水性または水溶性のゲル化剤を含む。
【0281】
挙げることができる親水性または水溶性のゲル化剤には、
・アクリル酸またはメタクリル酸あるいはこれらの塩またはエステルのホモポリマーまたはコポリマー、特に「Versicol F」または「Versicol K」の名称でAllied Colloid社により販売されている製品、「Ultrahold 8」の名称でCiba-Geigy社により販売されている製品およびSynthalen Kタイプのポリアクリル酸;
・アクリル酸と、ナトリウム塩の形態で「Reten」の名称でHercules社により販売されているアクリルアミド、「Darvan No. 7」の名称でVanderbilt社により販売されているポリメタクリル酸ナトリウム、およびHydagen Fの名称でHenkel社により販売されているポリヒドロキシカルボン酸のナトリウム塩とのコポリマー;
・Pemulenタイプのポリアクリル酸/アクリル酸アルキルコポリマー;
・Clariant社により販売されているAMPS(アンモニアで部分的に中和され、かつ高度に架橋されたポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸);
・SEPPIC社により販売されている、SepigelまたはSimulgelタイプのAMPS/アクリルアミドコポリマー、および
・AMPS/ポリオキシエチレン化メタクリル酸アルキルコポリマー(架橋または非架橋);ならびにこれらの混合物、
が含まれる。
【0282】
水溶性ゲル化ポリマーの他の例として、
・タンパク質、例えばコムギまたはダイズタンパク質などの植物由来のタンパク質;ケラチンなどの動物由来のタンパク質、例えば加水分解ケラチンおよびスルホン化ケラチン;
・アニオン性、カチオン性、両性または非イオン性のキチンまたはキトサンポリマー;
・ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース、ならびに第4級化セルロース誘導体などの非脂溶性セルロースポリマー;
・ビニルポリマー、例えばポリビニルピロリドン、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸のコポリマー、酢酸ビニルとクロトン酸のコポリマー、ビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマー; ビニルピロリドンとカプロラクタムのコポリマー;ポリビニルアルコール;
・会合性ポリウレタン、例えばServo Delden社のC16-OE120-C16ポリマーで(Ser Ad FX1100の名称で販売され、ウレタン官能基を含む分子であり、1,300の重量平均分子量を有する)、OEはオキシエチレン単位であるポリマー、Rheox社により販売されている尿素官能基を含むRheolate 205、あるいはRheolate 208または204(これらのポリマーは純形態で販売されている)またはC20アルキル鎖および1個のウレタン結合を含み、水中20%の固体含有量で販売されているRohm & HaasのDW 1206B、を挙げることができる。これらの会合性ポリウレタンの、特に水または水性-アルコール性媒体における溶液または分散物を使用することもまた、可能である。挙げることができるこのようなポリマーの例には、Servo Delden社のSer Ad FX1010、Ser Ad FX1035およびSer Ad FX1070、およびRheox社により販売されているRheolate 255、Rheolate 278およびRheolate 244が含まれる。Rohm & Haas 社のDW 1206Fおよび DW 1206J、ならびにAcrysol RM 184またはAcrysol 44、またはBorchers社のBorchigel LW 44を使用することもまた可能である;
・任意選択で変性された天然由来のポリマー、例えば:
・アラビアガム、グアーガム、キサンタン誘導体およびカラヤガム;
・アルギン酸塩およびカラギーナン
・グリコアミノグリカンならびにヒアルロン酸およびその誘導体;
・サンダラックガム、ダマー樹脂、エレミガムおよびコパル樹脂;
・デオキシリボ核酸
・ヒアルロン酸およびコンドロイチン硫酸などのムコ多糖類、ならびにこれらの混合物、
を挙げることができる。
【0283】
親水性または水溶性のゲル化剤は、本発明の組成物中に、組成物の全重量に対して、0.05重量%〜40重量%、好ましくは0.5重量%〜20重量%、より好ましくは1重量%〜15重量%の範囲の含有量で存在してよい。
【0284】
本発明の組成物中は、乳化界面活性剤を含んでよく、乳化界面活性剤は特に、組成物の全重量に対して、0.5重量%〜30重量%、より好ましくは1重量%〜15重量%、さらに好ましくは3重量%〜10重量%の範囲の比率で存在する。これらの界面活性剤は、アニオン性、カチオン性および非イオン性界面活性剤から選択される。界面活性剤の特性および機能(乳化機能)の定義に関して、文書「Encyclopedia of Chemical Technology、Kirk-Othmer」、Volume 22、333〜432頁、3rd Edition、1979年、Wiley、特にアニオン性および非イオン性界面活性剤に関しては、この参照文献の347〜377頁、を参照することができる。
【0285】
本発明の組成物に使用してよい界面活性剤として、
a) 25℃において8以上のHLBを有する、単独でまたは混合物として使用される非イオン性界面活性剤;特に
・グリセロールのオキシエチレン化および/またはオキシプロピレン化エーテル(1〜150個のオキシエチレンおよび/またはオキシプロピレン基を含んでよい)
・脂肪アルコール(特にC8〜C24、好ましくはC12〜C18アルコール)、のオキシエチレン化および/またはオキシプロピレン化エーテル(1〜150個のオキシエチレンおよび/またはオキシプロピレン基を含んでよい)例えば、30個のオキシエチレン基を含むオキシエチレン化セテアリルアルコールエーテル(CTFA名「Ceteareth-30」)および7個のオキシエチレン基を含むC12〜C15脂肪アルコールの混合物のオキシエチレン化エーテル(CTFA名「C12-15 Pareth-7」であり「Neodol 25-7(登録商標)」の名称でShell Chemicalsにより販売されている);
・ポリエチレングリコールの脂肪酸(特にC8〜C24、好ましくはC16〜C22酸の)エステル (1〜150個のエチレングリコール単位を含んでよい)、例えば、Myrj 52Pの名称でICI Uniqema社により販売されているステアリン酸PEG-50およびモノステアリン酸PEG-40;
・オキシエチレン化および/またはオキシプロピレン化グリセリルエーテルの脂肪酸(特にC8〜C24、好ましくはC16〜C22酸の)エステル(1〜150個のオキシエチレンおよび/またはオキシプロピレン基を含んでよい)、例えば、「Simulsol 220 TM」の名称でSEPPIC社により販売されているモノステアリン酸PEG-200グリセリル;30個の酸化エチレン基でポリエトキシル化されたステアリン酸グリセリル、例えばGoldschmidt社の販売する製品Tagat S、30個の酸化エチレン基でポリエトキシル化されたオレイン酸グリセリル、例えばGoldschmidt社の販売する製品Tagat O、30個の酸化エチレン基でポリエトキシル化されたヤシ油脂肪酸グリセリル、例えばSherex社の販売する製品Varinoic LI 13、30個の酸化エチレン基でポリエトキシル化されたイソステアリン酸グリセリル、例えばGoldschmidt社の販売する製品Tagat L、および30個の酸化エチレン基でポリエトキシル化されたラウリン酸グリセリル、例えばGoldschmidt社の販売する製品Tagat I;
・オキシエチレン化および/またはオキシプロピレン化ソルビトールエーテルの脂肪酸(特にC8〜C24、好ましくはC16〜C22酸の)エステル(1〜150個のオキシエチレンおよび/またはオキシプロピレン基を含んでよい)例えば、「Tween 60」の名称でUniqema社により販売されているポリソルベート60;
・ジメチコンコポリオール、例えば「Q2-5220」の名称でDow Corning社により販売されている製品;
・安息香酸ジメチコンコポリオール(Finetex社のFinsolv SLB 101および201);
・EO/PO重縮合物としても知られている、酸化プロピレンと酸化エチレンのコポリマー、例えば「Synperonic」の名称で販売されているポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコールトリブロック重縮合物、例えばICI社の「Synperonic PE/L44」および「Synperonic PE/F127」、およびこれらの混合物;
・ならびにこれらの混合物、
b) 前述の25℃において8以上のHLBを有する1個または複数の非イオン性界面活性剤と任意選択で、組み合わせた、25℃において8未満のHLBを有する非イオン性界面活性剤、例えば;
・糖エステルおよびエーテル、例えばステアリン酸スクロース、ヤシ油脂肪酸スクロースおよびステアリン酸ソルビタン、ならびにこれらの混合物、例えばICI社により販売されているArlatone 2121;
・ポリオール、特にグリセロールまたはソルビトールの脂肪酸(特にC8〜C24、好ましくはC16〜C22酸の)エステル、例えばステアリン酸グリセリル、Tegin Mの名称でGoldschmidt社により販売されている製品などのステアリン酸グリセリル、Imwitor 312の名称でHuls社により販売されている製品などのラウリン酸グリセリル、ステアリン酸ポリグリセリル-2、トリステアリン酸ソルビタンまたはリシノレイン酸グリセリル;
・「Q2-3225C」の名称でDow Corning社により販売されているシクロメチコン/ジメチコンコポリオールの混合物;
c) アニオン性界面活性剤、例えば:
・C16〜C30脂肪酸塩、特にアミンから誘導されるC16〜C30脂肪酸塩、例えばステアリン酸トリエタノールアミン;
・特にアミンまたはアルカリ金属塩から誘導されるポリオキシエチレン化脂肪酸塩、およびこれらの混合物;
・リン酸エステルおよびこれらの塩、例えば「DEA oleth-10 phosphate」(Croda社のCrodafos N 10N);
・「Disodium PEG-5 citrate lauryl sulfosuccinate」「Disodium ricinoleamido MEA sulfosuccinate」などのスルホコハク酸塩;
・アルキルエーテル硫酸、例えばラウリルエーテル硫酸ナトリウム;
・イセチオン酸
・「Disodium hydrogenated tallow glutamate」(Ajinomoto社が販売するAmisoft HS-21 R)などのアシルグルタメート、およびこれらの混合物、
を挙げることができる。
【0286】
ステアリン酸トリエタノールアミンが最も特に本発明に適する。これは、一般にステアリン酸とトリエタノールアミンを単に混合することにより得られる。
【0287】
水中油または油中水エマルションを得ることを可能にする界面活性剤を使用することが好ましい。
【0288】
本発明の組成物は、特に懸濁液、分散液、溶液、ゲル、エマルション、特に水中油型(O/W)または油中水型(W/O)エマルション、または多相エマルション(W/O/Wまたはポリオール/O/WまたはO/W/O)の形態、またはクリーム、ペースト、ムース、ベシクルの分散液、特にイオン性または非イオン性脂質の分散液、2相または多相ローション、スプレー、パウダーまたはペースト、特にソフトペーストの形態であってよい。組成物は、無水であってよい:例えば無水ペーストまたはスティックであってよい。組成物は、好ましくは洗い流さない組成物である。
【0289】
当業者であれば、一般的知識に基づき、使用される構成成分の性質、特に支持体に対する溶解性を第1に、かつ組成物の意図される用途を第2に考慮に入れて、適切な製剤形態、およびそれを調製する方法をも、選択するであろう。
【0290】
本発明の組成物は、特にスティック、懸濁液、分散液、溶液、ゲル、エマルション、特に水中油型(O/W)または油中水型(W/O)エマルション、または多相エマルション(W/O/Wまたはポリオール/O/WまたはO/W/O)の形態、またはクリーム、ペースト、ムース、ベシクルの分散液、特にイオン性または非イオン性脂質の分散液、2相または多相ローション、スプレー、パウダー、ペースト、特にソフトペースト(特に25℃における動的粘度が200s-1のせん断速度で、円錐/平板型粘度計で10分の測定後に、約0.1から40Pa.sであるペースト)の形態であってよい。組成物は、無水であってよく、例えば無水ペーストであってよい。
【0291】
本発明の組成物は、メークアップ組成物、例えば肌色調整製品(ファンデーション)、メークアップルージュ、アイシャドウ、リップスティック、コンシーラー製品、頬紅、マスカラ、アイライナー、アイブロウメークアップ製品、リップペンシル、アイペンシル、ネイルエナメルなどのネイル製品、ボディメークアップ製品またはヘアメークアップ製品(ヘアマスカラまたはヘアスプレー)であってよい。
【0292】
本発明の組成物はまた、ボディおよびフェイシャルスキンケア製品、特に日焼け防止製品または皮膚着色製品(セルフタンニング製品など)であってもよい。
【0293】
一実施形態によれば、本発明の主題の1つは、ケラチン繊維(睫毛、眉毛または毛髪など)のコーティングのための組成物である。
【0294】
このような組成物は種々の形態、例えば水中ワックス型またはワックス中水型の2相エマルション、あるいは水性または無水分散液であってよい。
【0295】
特に、組成物は、ケラチン繊維のためのメークアップ製品、例えば睫毛(マスカラ)または唇または皮膚メークアップ製品であってよい。
【0296】
一変形例によれば、本発明の主題は、化粧品として許容できる媒体中に、液体脂肪相および脂溶性変性セルロースまたはセルロースエステルを含む、化粧用組成物であって、前記変性セルロースまたは前記変性セルロースエステルが、式-O-Y-R、
(式中:
・Rは、
A) 変性セルロースについては8〜50個の炭素原子、または変性セルロースエステルについては4〜50個の炭素原子を含む、直鎖または分枝状の、飽和または不飽和鎖を含む炭化水素系基、あるいは飽和または不飽和の環状の炭化水素系基であって;
場合によりその鎖中に1個または複数の芳香族基および/またはO、N、P、SiおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含み;場合によりフッ素化またはパーフルオロ化されている基;
B) ポリオレフィン、水素添加または非水素添加ポリジエンおよび親油性重縮合物、ならびにこれらの混合物から選択されるポリマー性の基、
から選択される基を表し、
・Yは、単結合または二価結合基を表す)
の基から選択される疎水基で全体または一部が置換された遊離ヒドロキシル官能基を含む、化粧用組成物である。
【0297】
もう1つの一変形例によれば、本発明の主題は、化粧品として許容できる媒体中に液体脂肪相および少なくとも4%の脂溶性変性セルロース誘導体を含む無水化粧用組成物であって、前記変性セルロース誘導体が、式-O-Y-R、
(式中:
・Rは、
A) 変性セルロース誘導体については4〜50個の炭素原子を含む、直鎖または分枝状の、飽和または不飽和鎖を含む炭化水素系基、あるいは飽和または不飽和の環状の炭化水素系基であって;
場合によりその鎖中に1個または複数の芳香族基および/またはO、N、P、SiおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含み;場合によりフッ素化またはパーフルオロ化されている基;
B) ポリオレフィン、水素添加または非水素添加ポリジエンおよび親油性重縮合物、ならびにこれらの混合物から選択されるポリマー性の基、
から選択される基を表し、
・Yは、単結合または二価結合基を表す)
の基から選択される疎水基で全体または一部が置換された遊離ヒドロキシル官能基を含む、無水化粧用組成物である。
【0298】
本発明の主題はまた、
・少なくとも1つのコンパートメントの範囲を定める容器で、前記容器が閉鎖部分により閉鎖されている容器、および
・前記コンパートメントの内部に置かれた前述の組成物、
を含む化粧用アセンブリでもある。
【0299】
容器は、いかなる適切な形態であってもよい。容器は特に、ボトル、チューブ、ジャー、ケース、箱、小袋またはカートンの形態であってよい。
【0300】
閉鎖部分は、着脱可能なストッパー、蓋、キャップ、切り取り式ストリップまたはカプセル、特に容器に取り付けられたボディとボディにつながったカバーキャップを含むタイプ、の形態であってよい。閉鎖部分はまた、容器を選択的に閉鎖する部分、特にポンプ、弁またはフラップ弁の形態であってよい。
【0301】
容器は、特にねじられたワイヤによって維持されているブラシ毛の配置を含むブラシの形態のアプリケータと組み合わされてよい。このようなねじられたブラシは、特に特許US 4 887 622に記述されている。アプリケータはまた、特に成形により得られる、複数の塗布部分を含む櫛の形態であってもよい。このような櫛は、例えば特許FR 2 796 529に記述されている。アプリケータは、例えば特許FR 2 722 380に記述されているように、細いブラシの形態であってよい。アプリケータは、フォームのブロックまたはエラストマーのブロック、フェルトまたはスパチュラの形態であってよい。アプリケータは、例えば、特許US 5 492 426に記述されているように、固定されていない(刷毛またはスポンジ)かまたは、閉鎖部材によりロッドボーンに確実に固定されていてよい。アプリケータは、例えば、特許FR 2 761 959に記述されているように、容器に確実に固定されていてよい。
【0302】
製品は、直接または間接的に容器に含まれてよい。例えば、製品は、特に拭き取り布またはパッドの形態の含浸支持体に配置されて、かつ(個別にまたは複数で)箱または小袋に配置されてよい。製品を組み込んだこのような支持体は、例えば、特許出願WO 01/03538に記述されている。
【0303】
閉鎖部材は、ねじ留めにより容器と連結されてよい。別法として、閉鎖部材と容器との連結は、ねじ留め以外、特に差し込みピン構造、クリック留め、グリッピング、溶接、接合または磁気的引力により行われる。用語「クリック留め」は、具体的には一部分、特に閉鎖部材の弾性変形による、材料のビーズまたはコードの交差とを含むあらゆるシステムであって、ビーズまたはコードの交差後に引き続いて前記部分が拘束されない位置に、弾力的に戻るシステムを意味する。
【0304】
容器は、少なくとも部分的に熱可塑性の材料でできていてよい。挙げることができる熱可塑性の材料の例はポリプロピレンまたはポリエチレンを含む。
【0305】
別法として、容器は非熱可塑性の材料、特にガラスまたは金属(または合金)でできていてよい。
【0306】
容器は、特にチューブまたはチューブ状ボトルの形態の場合、固い壁または変形可能な壁を有してよい。
【0307】
容器は、組成物の分配するためのまたは分配を容易にするための手段を含んでよい。例証として、容器は、容器内部での陽圧に応じて組成物を流出させるような変形可能な壁を有してよく、この陽圧は、容器の壁を弾性(または非弾性)的に絞ることによって生じる。別法として、特に製品がスティック形態の場合、製品はピストン構造により送り出されてよい。さらに、特にメークアップ製品(リップスティック、ファンデーション、など)のスティックの場合、容器は、構造、特にラック構造、ねじロッド構造、またはらせん溝構造を含んでよく、かつ前記開口部の方向へスティックを動かすことができてよい。このような構造は、例えば特許FR 2 806 273または特許FR 2 775 566に記述されている。液体製品に関して、このような構造は、例えば特許FR 2 727 609に記述されている。
【0308】
容器は、組成物を含む少なくとも1つの収納部の範囲を定める底面、特に底面につながり、かつ少なくとも部分的に前記底面をカバーすることができる蓋、を有するカートンからなってよい。このようなカートンは、例えば特許出願WO 03/018423または特許FR 2 791 042に記述されている。
【0309】
容器は、容器開口部区域に配置された排流口を備えていてよい。このような排流口はアプリケータおよびおそらくはそれが確実に固定されているロッドを拭うことを可能にする。このような排流口は例えば特許FR 2 792 618に記述されている。
【0310】
組成物は、容器内部で(室温で)大気圧であるか、または、特に噴射ガスを用いて加圧(エアロゾル)されていてよい。後者の場合、容器は(エアロゾルに使用されるタイプの)弁を備えていてよい。
【0311】
前述の特許または特許出願の内容は、参照として本特許出願に組み込まれている。
【0312】
以下の実施例は、本発明の組成物を非限定的に例証する。
【0313】
他に指示がない限り、量はグラムで表示される。
【実施例】
【0314】
(実施例1:イソステアリルエステル側基を含むアセト酪酸セルロースの調製)
使用する試薬は以下の通りである:
・Eastmanの4.8重量%の遊離ヒドロキシル官能基(非エステル化)を含むアセト酪酸セルロースCAB 553-0.4;
・塩化イソステアリル(C18H35OCl、M=302.5): アセト酪酸セルロースの残存-OHの2/3をエステル化する量=0.188mol、すなわち56.87g;
・トリエチルアミン=20g(反応中に放出されるHClを中和するのに十分な量);
・メチルエチルケトン(500g)+トルエン(500g)からなる1,000gの溶媒混合物。
【0315】
手順は以下の通りである:
900gのメチルエチルケトンおよび900gのトルエンからなる溶媒混合物1,800gを、中央攪拌機、コンデンサ、および窒素注入口付きの3Lの反応器に導入する。
【0316】
100gのアセト酪酸セルロースパウダーまたは顆粒CAB 553-0.4を、室温で、攪拌しながら徐々に導入する。次いで混合物を攪拌しながら50℃で1時間加熱して、セルロースエステルを完全に溶解する。溶解が完了したら、攪拌を継続しながら混合物を室温まで冷却し、20gのトリエチルアミンを加える。
【0317】
攪拌しながら窒素気流を溶液中へとバブリングさせ、溶液をアイスバスで+5℃に冷却する。
【0318】
反応器の上に設置した追加の漏斗から、100gのメチルエチルケトンと100gのトルエンの混合物に溶解した56.87gの塩化イソステアリルを加える。
【0319】
反応器に入っている溶液の温度が+5℃にまで下がったら、内部温度を+10度以下に保ちながら、塩化イソステアリル溶液を滴下する。添加時間は1時間30分である。
【0320】
添加が完了したら、混合物を攪拌して室温にまで戻し、反応を18時間継続させる。反応の間に、形成された塩酸トリエチルアミンが媒体中に析出する。沈殿による精製で得られた溶液を室温で濾過し、10リットルの100%エタノール中で攪拌する。
【0321】
得られたポリマー析出物を回収し、真空乾燥して一定重量にする。このようにして145gの乾燥ポリマーが得られる。
【0322】
(実施例2:ウォータープルーフマスカラ)
下記のマスカラ組成物を調製することができる:
【0323】
【表1】

【0324】
(実施例3:水中ワックスエマルションマスカラ(wax-in-water emulsion mascara))
下記のマスカラ組成物を調製することができる:
【0325】
【表2】

【0326】
(実施例4:液状リップスティック)
【0327】
【表3】

【0328】
(実施例5:スティック状リップスティック)
【0329】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧品として許容できる媒体中に、液体脂肪相および脂溶性変性セルロースまたはセルロース誘導体を含む、皮膚、唇、睫毛または爪をメークアップするための化粧用組成物であって、前記変性セルロースまたは前記変性セルロース誘導体が、式-OYR:
(式中、
- Rは、
A) 変性セルロースについては8〜50個の炭素原子、変性セルロース誘導体については4〜50個の炭素原子を含む、直鎖または分枝状の、飽和または不飽和鎖、あるいは飽和または不飽和環を含む炭化水素系基であって、
その鎖中に1個または複数の芳香族基ならびに/あるいはO、N、P、SiおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含んでいてもよく、フッ素化またはパーフルオロ化されていてもよい基;
B) ポリオレフィン、水素添加または非水素添加ポリジエンおよび親油性重縮合物、ならびにこれらの混合物から選択されるポリマー性の基、
から選択される基を表し、
- Yは、単結合または二価結合基を表す)
の基から選択される疎水基で全体または一部が置換された遊離ヒドロキシル官能基を含む、化粧用組成物。
【請求項2】
セルロース誘導体が、セルロースエステルまたはエーテルから選択されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
セルロース誘導体が、1〜4個の炭素原子を含むアルキル基を有するセルロースアルキルエーテルから選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
化粧品として許容できる媒体中に、液体脂肪相および式-OYR:
(式中、
- Rは、
A) 4〜50個の炭素原子を含む、直鎖または分枝状の、飽和または不飽和鎖、あるいは飽和または不飽和環を含む炭化水素系基であって、
その鎖中に1個または複数の芳香族基ならびに/あるいはO、N、P、SiおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含んでいてもよく、フッ素化またはパーフルオロ化されていてもよい基;
B) ポリオレフィン、水素添加または非水素添加ポリジエンおよび親油性重縮合物、ならびにこれらの混合物から選択されるポリマー性の基、
から選択される基を表し、
- Yは、単結合または二価結合基を表す)
の基から選択される疎水基で全体または一部が置換された遊離ヒドロキシル官能基を含む脂溶性変性セルロースエステルを含む、皮膚、唇、睫毛または爪をメークアップするための化粧用組成物。
【請求項5】
セルロース誘導体が、セルロースの遊離ヒドロキシル官能基のいくつかと1〜4個の炭素原子を含むカルボン酸またはカルボン酸誘導体との反応から誘導されるエステルから選択されることを特徴とする、請求項1、2または4に記載の組成物。
【請求項6】
セルロースエステルが、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、イソ酪酸セルロース、アセト酪酸セルロースおよびアセトプロピオン酸セルロース、ならびにこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
二価結合基Yが、
基-(C=O)-、-(C=O)O-、-SO2-、-CO-NH-、-CO-NR'-および-Si(R3)2-:
(基R3は、同一でも異なっていてもよく、1〜500個の炭素原子を含む直鎖または分枝状炭化水素系基、あるいは3〜500個の炭素原子を含む環状炭化水素系基であって、前記基は、飽和または不飽和であり、1個または複数の原子O、N、S、Siおよび/またはPを含んでいてもよく、R'は1〜4個の炭素原子を含むアルキル基を示す)
から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
基Rが、変性セルロースについては8〜25個の炭素原子を含む直鎖炭化水素系基、変性セルロース誘導体については4〜25個の炭素原子を含む直鎖炭化水素系基、特に8〜11個の炭素原子を含む飽和直鎖炭化水素系基および8〜22個の炭素原子を含む少なくとも1個の不飽和を有する直鎖炭化水素系基から選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
基Rが、n-ブチル、ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシルおよびn-ウンデシル、ならびにこれらの混合物などの飽和直鎖アルキル基から選択されることを特徴とする、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
基Rが、変性セルロースについては8〜50個の炭素原子を含む飽和分枝鎖炭化水素系基、変性セルロース誘導体については4〜50個の炭素原子を含む飽和分枝鎖炭化水素系基から選択されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
基Rが、8〜40個の炭素原子を含む分枝アルキル基から選択される、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
基Rが、イソブチル、tert-ブチル、イソペンチル、tert-ヘキシル、2-エチルヘキシル、tert-オクチル、イソノニル、イソデシル、ネオデシル、イソドデシル、イソヘキサデシルおよびイソステアリル基、ならびにこれらの混合物から選択される、請求項10または11に記載の組成物。
【請求項13】
基Rが、変性セルロースについては8〜50個の炭素原子、好ましくは8〜20個の炭素原子を含む環状炭化水素系基、変性セルロース誘導体については6〜50個の炭素原子、好ましくは6〜20個の炭素原子を含む環状炭化水素系基から選択される、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
基Rが、シクロヘキシル、イソボルニル、アダマンチルおよびノルボルニル基、ならびにこれらの混合物から選択される、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
基Rが、アルキルケテンダイマーなどの14〜22個の炭素原子を含む不飽和脂肪酸誘導体から誘導される分枝および/または環状炭化水素系基から選択されることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
ポリオレフィンが、例えば2〜20個の炭素原子を含むα-オレフィンから選択されるモノマーの単独重合または共重合により得られるポリマーから選択されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
ポリジエンが、ブタジエン、イソプレンまたはヘキサジエンなど、例えば4〜20個の炭素原子を含むジエンの重合により生成されるポリジエンから、あるいは例えば4〜20個の炭素原子を含むジエンと他のビニルモノマーおよび/またはスチレンもしくは置換スチレンとの重合により生成されるポリマーから選択されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
親油性重縮合物が、親油性のポリエステル、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリ尿素、コポリマー(尿素/ウレタン)およびポリエーテル、ならびにこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
親油性ポリエステルが、少なくとも1種のポリオールと、少なくとも1種のポリカルボン酸、少なくとも1種のジカルボン酸またはトリカルボン酸誘導体、あるいは、1〜5個の炭素原子を含む少なくとも1種のアルキルジエステルとのポリエステル化により誘導されることを特徴とする、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
ポリアミドが、3〜50個の炭素原子を含む脂肪族、脂環式または芳香族ジカルボン酸(または1〜4個の炭素原子を含むエステル誘導体)と2〜50個の炭素原子を含む直鎖または分枝状の脂肪族、脂環式または芳香族ジアミンとの間の縮合により得られるポリアミドから選択されることを特徴とする、請求項18に記載の組成物。
【請求項21】
ポリウレタン、ポリ尿素およびポリ尿素/ウレタンが、4〜100個の炭素原子、好ましくは4〜30個の炭素原子を含む脂肪族、脂環式および/または芳香族ジイソシアネートとジオールもしくはジアミンまたはジオール/ジアミン混合物との間の重付加により得られることを特徴とする、請求項18に記載の組成物。
【請求項22】
基Rが、水素結合を確立することができる1個または複数の基を有することを特徴とする、請求項1から21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
水素結合を確立することができる基が、下記式:
・ヒドロキシル -OH;
・カルボン酸 -COOH;
・R1とR2が同一または異なっているアミノ -NR1R2;
・下記式のピリジノ;
【化1】

・下記式のピリミジノ;
【化2】

・下記式の1つに相当するオキサゾリノ:
【化3】

・式-NH-CO-R'または-CO-NH-R1のアミド;
・下記式の1つに相当するピロリジノ:
【化4】

・式-O-CO-NH-R'または-NH-CO-O-R'のカルバモイル;
・式-O-CS-NHR1または-NH-CS-O-R'のチオカルバモイル;
・カルボネート -O-CO-O-R';
・R1が同一または異なっているウレイル -NR1-CO-N(R1)2;
・R1が同一または異なっているチオウレイル -NR1-CS-N(R1)2;
・R1が同一または異なっているオキサミド -NR1-CO-CO-N(R1)2;
・R1が同一または異なっているグアニジノ -NH-C(=NH)-N(R1)2;
・R1が同一または異なっているビグアニジノ -NH-C(=NH)-NH-C(=NH)-N(R1)2;
・スルホナミド -NR1-S(=O)-R';
(R1およびR'はHまたは1〜4個の炭素原子を含むアルキル基を表し、R'は1〜4個の炭素原子を含むアルキル基を表す)
を有する基から選択される、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
変性セルロースまたは変性セルロース誘導体が、室温(25℃)および大気圧(105Pa)において、組成物の全重量に対して少なくとも1重量%の濃度で、液体脂肪相の重量の大部分を形成する油に可溶であることを特徴とする、請求項1から23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
脂溶性変性セルロースまたは変性セルロース誘導体が、皮膜形成性であることを特徴とする、請求項1から24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
脂溶性変性セルロースまたは変性セルロース誘導体が、本発明の組成物の全重量に対して0.5重量%〜50重量%、好ましくは1重量%〜45重量%、より好ましくは4重量%〜40重量%、さらに好ましくは5重量%〜30重量%の固体であることを特徴とする、請求項1から25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
脂肪相が、揮発油から選択される少なくとも1種の油から選択されることを特徴とする、請求項1から26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
揮発油が、8〜16個の炭素原子を含む炭化水素系油、2〜10個のケイ素原子を特に含む直鎖または環状揮発性シリコーン油、およびこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
揮発油が、分枝状C8〜C16アルカン、例えば、イソドデカン、イソデカンおよびイソヘキサデカンなどのC8〜C16イソパラフィンから選択されることを特徴とする、請求項27または28に記載の組成物。
【請求項30】
揮発油が、組成物の全重量に対して、0.1重量%〜95重量%、好ましくは1重量%〜65重量%、より好ましくは2重量%〜50重量%であることを特徴とする、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
脂肪相が、少なくとも1種の不揮発油を含むことを特徴とする、請求項1から30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
脂肪相が、組成物の全重量に対して、0.01重量%〜98重量%、好ましくは0.05重量%〜75重量%、より好ましくは1重量%〜60重量%であることを特徴とする、請求項1から31のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項33】
脂肪相が、少なくとも1種の不揮発油を含むことを特徴とする、請求項1から32のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項34】
水相を含むことを特徴とする、請求項1から33のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項35】
水相が、組成物の全重量に対して、0.1重量%〜65重量%、好ましくは1重量%〜55重量%、より好ましくは5重量%〜50重量%であることを特徴とする、請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
無水物であることを特徴とする、請求項1から34のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項37】
フリーラジカル型または重縮合型の合成ポリマーおよび天然由来のポリマー、ならびにこれらの混合物から選択される追加の皮膜形成性ポリマーを含むことを特徴とする、請求項1から36のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項38】
追加の皮膜形成性ポリマーが、アクリルポリマー、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ尿素、脂溶性変性セルロース誘導体以外のセルロースポリマー、およびこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
追加の皮膜形成性ポリマーが、組成物の全重量に対して、0.1重量%〜30重量%、より好ましくは0.5重量%〜15重量%の固体であることを特徴とする、請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
水溶性染料ならびに顔料、真珠光沢顔料およびフレークなどの粉末染料から選択される1種または複数の染料も含むことを特徴とする、請求項1から39のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項41】
染料が、組成物の全重量に対して、0.01重量%〜50重量%、好ましくは0.01重量%〜30重量%の範囲の含有量で存在することを特徴とする、請求項40に記載の組成物。
【請求項42】
室温で固体であり、ワックス、ペースト状脂肪物質およびガム、ならびにこれらの混合物から選択される少なくとも1種の脂肪物質を含むことを特徴とする、請求項1から41のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項43】
組成物の全重量に対して、0.1重量%〜50重量%、より好ましくは1重量%〜40重量%、さらに好ましくは5重量%〜20重量%のワックスを含むことを特徴とする、請求項1から42のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項44】
フィラーを含むことを特徴とする、請求項1から43のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項45】
フィラーが、組成物の全重量に対して、0.01重量%〜50重量%の範囲、好ましくは0.01重量%〜30重量%の範囲の含有量で存在することを特徴とする、請求項44に記載の組成物。
【請求項46】
親油性または親水性の、有機または無機の、ポリマー性または分子性のゲル化剤を含むことを特徴とする、請求項1から45のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項47】
親油性または親水性ゲル化剤が、組成物の全重量に対して、0.05重量%〜40重量%、好ましくは0.5重量%〜20重量%、より好ましくは1重量%〜15重量%の範囲の含有量で存在することを特徴とする、請求項46に記載の組成物。
【請求項48】
ビタミン、増粘剤、ゲル化剤、微量元素、柔軟剤、金属イオン封鎖剤、香料、酸性化または塩基性化剤、防腐剤、サンスクリーン剤、界面活性剤、酸化防止剤、繊維、脱毛防止剤、睫毛ケア剤、フケ防止剤および噴射剤またはこれらの混合物から選択される化粧用成分を含むことを特徴とする、請求項1から47のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項49】
懸濁液、分散液、溶液、ゲル、エマルション、特に水中油型(O/W)もしくは油中水型(W/O)エマルション、または多相エマルション(W/O/W、ポリオール/O/WまたはO/W/O)の形態、あるいはクリーム、ペースト、ムース、ベシクルの分散液、特にイオン性または非イオン性脂質の分散液、2相または多相ローション、スプレー、パウダー、ペースト、特にソフトペーストまたは無水ペースト、スティックまたは成型固体の形態であることを特徴とする、請求項1から48のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項50】
ケラチン繊維のためのメークアップ製品であることを特徴とする、請求項1から49のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項51】
マスカラであることを特徴とする、請求項1から50のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項52】
皮膚用メークアップ製品であることを特徴とする、請求項1から49のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項53】
リップメークアップ製品であることを特徴とする、請求項1から49のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項54】
ケラチン物質上でのメークアップの耐性および/または移り耐性を向上させるための請求項1から53のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項55】
良好な感触を有し、適用し易く、皮膚、唇またはケラチン繊維上に、良好な耐性を示しかつ/または移らない沈着物を与える組成物を得るための、脂溶性変性セルロースまたはセルロース誘導体の使用であって、前記変性セルロースまたは変性セルロース誘導体が、式-OYR:
(式中、
- Rは、
A) 変性セルロースについては8〜50個の炭素原子、変性セルロース誘導体については4〜50個の炭素原子を含む、直鎖または分枝状の、飽和または不飽和鎖、あるいは飽和または不飽和環を含む炭化水素系基であって、
その鎖中に1個または複数の芳香族基ならびに/あるいはO、N、P、SiおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含んでいてもよく、フッ素化またはパーフルオロ化されていてもよい基;
B) ポリオレフィン、水素添加または非水素添加ポリジエンおよび親油性重縮合物、ならびにこれらの混合物から選択されるポリマー性の基、
から選択される基を表し、
- Yは、単結合または二価結合基を表す)
の基から選択される疎水基で全体または一部が置換された遊離ヒドロキシル官能基を含む、使用。
【請求項56】
ケラチン物質に、化粧品として許容できる媒体中に液体脂肪相および脂溶性変性セルロースまたはセルロース誘導体を含む化粧用組成物を適用することを含む、ケラチン物質をメークアップするための化粧方法であって、前記変性セルロースまたは前記変性セルロース誘導体が、式-OYR:
(式中、
- Rは、
A) 変性セルロースについては8〜50個の炭素原子、変性セルロース誘導体については4〜50個の炭素原子を含む、直鎖または分枝状の、飽和または不飽和鎖、あるいは飽和または不飽和環を含む炭化水素系基であって、
その鎖中に1個または複数の芳香族基ならびに/あるいはO、N、P、SiおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含んでいてもよく、フッ素化またはパーフルオロ化されていてもよい基;
B) ポリオレフィン、水素添加または非水素添加ポリジエンおよび親油性重縮合物、ならびにこれらの混合物から選択されるポリマー性の基、
から選択される基を表し、
- Yは、単結合または二価結合基を表す)
の基から選択される疎水基で全体または一部が置換された遊離ヒドロキシル官能基を含む、化粧方法。
【請求項57】
ケラチン物質に、化粧品として許容できる媒体中に液体脂肪相および脂溶性変性セルロースエステルを含む化粧用組成物を適用することを含む、ケラチン物質をメークアップするための化粧方法であって、前記脂溶性変性セルロースエステルが、式-OYR:
(式中、
- Rは、
A) 4〜50個の炭素原子を含む、直鎖または分枝状の、飽和または不飽和鎖、あるいは飽和または不飽和環を含む炭化水素系基であって、その鎖中に1個または複数の芳香族基ならびに/あるいはO、N、P、SiおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含んでいてもよく、フッ素化またはパーフルオロ化されていてもよい基;
B) ポリオレフィン、水素添加または非水素添加ポリジエンおよび親油性重縮合物、ならびにこれらの混合物から選択されるポリマー性の基、
から選択される基を表し、
- Yは、単結合または二価結合基を表す)
の基から選択される疎水基で全体または一部が置換された遊離ヒドロキシル官能基を含む、化粧方法。
【請求項58】
化粧品として許容できる媒体中に、液体脂肪相および脂溶性変性セルロースまたはセルロースエステルを含む化粧用組成物であって、前記変性セルロースまたは前記変性セルロースエステルが、式-OYR:
(式中、
- Rは、
A) 変性セルロースについては8〜50個の炭素原子、変性セルロースエステルについては4〜50個の炭素原子を含む、直鎖または分枝状の、飽和または不飽和鎖、あるいは飽和または不飽和環を含む炭化水素系基であって、
その鎖中に1個または複数の芳香族基ならびに/あるいはO、N、P、SiおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含んでいてもよく、フッ素化またはパーフルオロ化されていてもよい基;
B) ポリオレフィン、水素添加または非水素添加ポリジエンおよび親油性重縮合物、ならびにこれらの混合物から選択されるポリマー性の基、
から選択される基を表し、
- Yは、単結合または二価結合基を表す)
の基から選択される疎水基で全体または一部が置換された遊離ヒドロキシル官能基を含む、化粧用組成物。
【請求項59】
化粧品として許容できる媒体中に、液体脂肪相および少なくとも4%の脂溶性変性セルロース誘導体を含む無水化粧用組成物であって、前記変性セルロース誘導体が、式-OYR:
(式中、
- Rは、
A) 4〜50個の炭素原子を含む、直鎖または分枝状の、飽和または不飽和鎖、あるいは飽和または不飽和環を含む炭化水素系基であって、
その鎖中に1個または複数の芳香族基ならびに/あるいはO、N、P、SiおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含んでいてもよく、フッ素化またはパーフルオロ化されていてもよい基;
B) ポリオレフィン、水素添加または非水素添加ポリジエンおよび親油性重縮合物、ならびにこれらの混合物から選択されるポリマー性の基、
から選択される基を表し、
- Yは、単結合または二価結合基を表す)
の基から選択される疎水基で全体または一部が置換された遊離ヒドロキシル官能基を含む、無水化粧用組成物。

【公表番号】特表2007−527861(P2007−527861A)
【公表日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518253(P2006−518253)
【出願日】平成16年5月14日(2004.5.14)
【国際出願番号】PCT/FR2004/001202
【国際公開番号】WO2005/013926
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】