説明

脂肪物質に富む水性組成物の存在下で、淡色化し、あるいは淡色化直接染色し、あるいは酸化染色する方法、及びそのためのデバイス

【課題】酸化剤の存在下で行われる、ヒトケラチン繊維の淡色化(lightening)又は染色法を提供する。
【解決手段】ケラチン繊維、特にヒトケラチン繊維、例えば毛髪を淡色化し、あるいはこれを染色する方法であって、(a) 1種又はそれ以上の脂肪物質及び1種又はそれ以上の界面活性剤を含む、水性化粧料組成物(A);(b) 1種又はそれ以上のアルカリ性薬剤を含む化粧料組成物(B);(c) 1種又はそれ以上の酸化剤を含む組成物(C);を、該繊維に適用する工程を含み、ここで、該組成物(A)における該脂肪物質の量は、該組成物(A)の全質量に対して20質量%を越えるものであり、使用された該工程が、該ケラチン繊維を染色する工程である場合には、該化粧料組成物(B)は、さらに1種又はそれ以上の酸化性染料及び/又は1種又はそれ以上の直接染料をも含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン繊維、特にヒトケラチン繊維、例えば毛髪を淡色化し(lightening)、及びこれを染色する方法に係わり、該方法は、1種又はそれ以上の脂肪物質及び1種又はそれ以上の界面活性剤を含む、水性化粧料組成物(A)、1種又はそれ以上のアルカリ薬剤を含む化粧料組成物(B)、及び1種又はそれ以上の酸化剤を含む組成物(C)の使用を含み、使用された該方法が、該ケラチン繊維を染色する方法である場合には、該化粧料組成物(B)は、さらに1種又はそれ以上の染料をも含む。
本発明は、また複数の区画を備えたデバイスにも係わり、該デバイスは、前記水性化粧料組成物(A)を含有する第一の区画、前記化粧料組成物(B)を含有する第二の区画及び前記酸化組成物(C)を含有する第三の区画を含む。
本発明は、ケラチン繊維の淡色化及びこれを染色する分野、及びより詳しくは染髪の分野に係わる。
【背景技術】
【0002】
多くの人々が、その毛髪の色を改善し、及び特にその白髪を隠蔽する手段を、長きに渡り探し求めてきた。これらを実施するために、本質的に、既に開発済みの2つの型の着色法がある。
その第一の型の着色法は、永久染色又は酸化染色法であり、そこでは、一般的には酸化性塩基として知られる、酸化染料プリカーサを含む染料組成物を使用する。これらの酸化性塩基は、無色又は幾分着色された化合物であり、これらは、酸化性生成物と結合した際に、酸化縮合過程を通して、着色された化合物を生成し得る。
また、これらの酸化塩基によって得られた色合いは、しばしば、これらをカプラー又はモディファイヤーと結合させることによって変化する可能性があることが知られており、これらは、特に芳香族メタ-ジアミン、メタ-アミノフェノール、メタ-ジフェノール及び幾つかのヘテロ環式化合物、例えばインドール化合物から選択される。酸化性塩基及びカプラーとして使用される、これらの様々な分子は、広範囲に渡る色彩を得ることを可能とする。
【0003】
上記第二の型の染色は、半永久染色又は直接染色と呼ばれ、この方法は、ケラチン繊維に、該繊維に対してアフィニティーを持つ着色された又は着色性の分子である直接染料を適用する工程、該染料を所定期間に渡り繊維上に維持して、拡散により該分子を該繊維内に浸透させる工程、及び次にこれらを濯ぎ落とす工程からなる。
これらの染色操作を実施するために、一般的に使用される該直接染料は、ニトロベンゼン、アンスラキノン、ニトロピリジン、アゾ、キサンテン、アクリジン、アジン及びトリアリールメタン直接染料から選択される。
この型の方法は、色彩を発現させるために、酸化剤の使用を必要としない。しかし、該着色と共に、淡色化する(lightening)効果を得る目的での、酸化剤の使用を排除するものではない。このような方法は、従って、淡色化条件下での直接染色又は半永久染色と呼ばれる。
【0004】
従って、大多数の場合においては、淡色化条件下での永久又は半永久染色方法は、該染色組成物と共に、少なくとも1種の酸化剤を含む水性組成物を、アルカリpH条件下で使用することからなる。この酸化剤の役割は、少なくとも部分的には、毛髪のメラニンを分解することにあり、この分解は、存在する該酸化剤の性質に依存して、該繊維を多かれ少なかれ顕著な淡色化に導く。従って、比較的軽度に淡色化するためには、一般的に、該酸化剤は過酸化水素である。より実質的な淡色化が望ましい場合には、通常過酸化塩、例えば過硫酸塩が、過酸化水素の存在下で使用される。
ヒトケラチン繊維を淡色化する方法は、大多数の場合において、アルカリpH条件下にて、少なくとも1種の酸化剤を含む水性組成物を使用することからなる。この酸化剤の役割は、毛髪のメラニンを分解することにあり、この分解は、存在する該酸化剤の性質に依存して、該繊維を多かれ少なかれ顕著な淡色化に導く。従って、比較的軽度に淡色化するためには、一般的に、該酸化剤は過酸化水素である。より高い淡色化が必要とされる場合には、通常過酸化塩、例えば過硫酸塩が、過酸化水素の存在下で使用される。
【0005】
該公知技術の淡色化及び染色工程を実施する際に遭遇する困難の一つは、これらの方法がアルカリ条件下で実施され、また最も普通に使用される該アルカリ性薬剤がアンモニア水であるという事実に起因している。アンモニア水の使用は、この型の方法において特に有利である。その理由は、このアンモニア水の使用が該組成物のpHを、アルカリpHに調節して、該酸化剤の活性化を可能とすることにある。しかし、このアルカリ性薬剤は、また繊維鱗片の上昇、隆起を伴う、ケラチン繊維の膨潤をも引起し、これは該酸化剤、また存在する場合には該染料、特に該酸化染料の繊維内への侵入を促進し、またその結果として染色反応の効力を高める。
しかし、この塩基性化剤は、極めて揮発性が高く、該処理工程中に放出されるアンモニアの、特徴的で強烈な、むしろ不快な臭気のために、ユーザーは不快さを感じる。
さらに、放出されるアンモニアの量は、この損失を補償するために、該方法を構成するに要する量を大幅に越える量で、該薬剤を適用することを要求する。このことは、ユーザーに多少とも重大な問題をもたらさないわけではなく、該ユーザーは、その臭気によって迷惑を被るばかりか、例えば、特に刺すような痛みとしての、頭皮の刺激等の、不寛容という大きな危険性と直面する恐れさえもある。
純粋にかつ単純に該アンモニア水の全部又は幾分かを、1種又はそれ以上の他の標準的な塩基性化剤で置換するという選択に関連して、この置換は、特に該塩基性化剤が、該酸化剤の存在下で、着色された繊維の十分な淡色化をもたらさないという理由から、アンモニア水に基くものと同程度に効果的な組成物をもたらすものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的の一つは、酸化剤の存在下で行われる、ヒトケラチン繊維の淡色化(lightening)又は染色法を提案することにあり、該方法は、既存の方法に係わる諸欠点を示さずに、すなわち多量のアンモニア水の存在に起因する諸欠点を示さずに、少なくとも同等の有効性を維持する。該淡色化法は、該淡色化の性能並びに均質性に関して効果的なものでなければならず、また該染色法は、達成される染色力、及び該繊維に沿った着色の色彩性及び均質性に関して、効果的なものでなければならない。
これら目的及びその他の目的は、本発明により達成され、本発明の課題の一つは、ケラチン繊維、例えば毛髪を淡色化し、あるいはこれを染色する方法であって、該方法は、
(a) 1種又はそれ以上の脂肪物質及び1種又はそれ以上の界面活性剤を含む、水性化粧料組成物(A);
(b) 1種又はそれ以上のアルカリ性薬剤を含む化粧料組成物(B);
(c) 1種又はそれ以上の酸化剤を含む組成物(C);を、
該繊維に適用する工程を含み、ここで、該組成物(A)における該脂肪物質の量は、該組成物(A)の全質量に対して20質量%を越えるものであり、
使用された該工程が、該ケラチン繊維を染色する工程である場合には、該化粧料組成物(B)は、さらに1種又はそれ以上の酸化染料及び/又は1種又はそれ以上の直接染料をも含む。
【0007】
本発明による該淡色化方法は、既存の組成物、特に水酸化アンモニウムを主成分とする組成物によって得られるものと同等又はこれを越える、毛髪淡色化性能特性を与えることを可能とする。
本発明による染色方法は、強力で、僅かに選択的な着色、即ち該繊維に沿って均一な着色へと導く。
さらに、本発明の方法は、組成物を毛髪に適用した際に又はその製造の際に攻撃的な臭気を放出しない組成物の製造を可能とする。
本発明は、また多数の区画を備えたデバイスにも係わり、該デバイスは、第一の区画内に、1種又はそれ以上の脂肪物質及び1種又はそれ以上の界面活性剤を含む、水性化粧料組成物(A)を含み;第二の区画に、1種又はそれ以上のアルカリ性薬剤、さらにまた場合により1種又はそれ以上の酸化染料及び/又は1種又はそれ以上の直接染料を含有する化粧料組成物(B)を含み;及び第三の区画に、1種又はそれ以上の酸化剤を含む組成物(C)を含む。
【0008】
本発明のその他の特徴並びに利点は、以下に与えられる説明及び実施例を読むことにより一層明白になるであろう。
以下の本明細書において、また特に述べない限り、数値範囲の上限及び下限は、当該範囲内に含まれる。
本発明の方法によって処理されるヒトケラチン繊維は、好ましくは毛髪である。
以前に示した如く、本発明の方法は、1種又はそれ以上の脂肪物質を含む水性化粧料組成物(A)の存在下で行われる。
以前に述べたように、該水性化粧料組成物(A)中の脂肪物質の量は、該組成物(A)の全質量に対して20質量%を越えるものである。
該「水性組成物」なる用語は、5質量%を越える水、好ましくは10質量%を越える水、及びより一層好ましくは20質量%を越える水を含む組成物を意味する。
【0009】
さらに、本発明の該淡色化方法は、ヒトケラチン繊維の染色のために通常使用される、直接染料又は酸化染料プリカーサ(塩基及びカプラー)を含まない組成物の存在下で行われ、あるいはまたこれらが存在する場合には、その全含有率は、各組成物の質量に対して、0.005質量%を越えない。具体的には、このような含有率においては、該組成物が場合により染色されるだけであり、即ち該ケラチン繊維の着色は観測されないであろう。好ましくは、本発明による淡色化方法は、酸化性塩基、又はカプラー、又は直接染料の存在なしに行われる。
該用語「脂肪物質」とは、通常の周囲温度(25℃)及び大気圧下(1013hPa(760mmHg))において水に対して不溶であり、即ち5%未満、好ましくは1%未満及びより一層好ましくは0.1%未満の水に対する溶解度を持つ、有機化合物を意味する。これらは、その構造において、少なくとも2つのシロキサン基、又は1つの、少なくとも6個の炭素原子を含む炭化水素を基本とする鎖を持つ。さらに、該脂肪物質は、一般に、上記と同一の温度及び圧力条件下で、有機溶媒、例えばクロロホルム、エタノール、ベンゼン、液状石油ゼリー、又はデカメチルシクロペンタシロキサンに対して溶解性である。
【0010】
該脂肪物質は、特にC6-C16低級アルカン、動物、植物、動物又は合成起源の非-シリコーン系オイル、脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸及び/又は脂肪アルコールのエステル、非-シリコーン系ワックス、及びシリコーンから選択される。
本発明の目的にとって、該脂肪アルコール、脂肪エステル及び脂肪酸は、より具体的には6〜30個の炭素原子を含む、場合により、特に1種又はそれ以上のヒドロキシル基(特に、1〜4個)で置換された、直鎖又は分岐鎖で、飽和又は不飽和の炭化水素を基本とする基を、1種又はそれ以上含むものであることを思い起こすべきである。これら化合物が不飽和である場合、これらは、1〜3個の炭素-炭素共役又は非-共役二重結合を含むことができる。
該C6-C16低級アルカンに関連して、これらのアルカンは、直鎖又は分岐鎖、又はことによっては環式のアルカンである。一例として、該アルカンは、ヘキサン、ウンデカン、ドデカン及びトリデカン、イソパラフィン、例えばイソヘキサデカン及びイソデカンから選択することができる。
【0011】
本発明の組成物において使用できる、動物、植物、無機物又は合成起源の非-シリコーン系オイルとして、列挙可能な例は、以下の通りである:
・動物起源の炭化水素を主成分とするオイル、例えばパーヒドロスクアレン;
・植物又は合成起源のトリグリセライドオイル、例えばヘプタン酸又はオクタン酸トリグリセライド等の、6〜30個の炭素原子を含む液状脂肪酸トリグリセライド、あるいはまた例えばヒマワリ油、コーン油、大豆油、インゲン豆の油、ブドウ種子油、ゴマ油、ヘーゼルナッツ油、アプリコット油、マカダミア油、アララ(arara)油、ヒマシ油、アボカド油、カプリル酸/カプリン酸トリグリセライド、例えばステアリネリーデュボア(Stearineries Dubois)社によって市販されているもの、又はダイナマイトノーベル(Dynamit Nobel)社によって、ミグリオール(MiglyolTM) 810、812及び818なる名称の下に市販されているもの、ホホバ油及びシアバター油;
【0012】
・無機物又は合成起源の、16個を越える炭素原子を含む、直鎖又は分岐鎖炭化水素、例えば揮発性又は不揮発性液状パラフィン、及びその誘導体、石油ゼリー、液状石油ゼリー、ポリデセン、水添ポリイソブテン、例えばパーリーム(ParleamTM)、好ましくは液状パラフィン、石油ゼリー、液状石油ゼリー、ポリデセン、水添ポリイソブテン、例えばパーリーム(ParleamTM);
・フルオロオイル、パーフルオロメチルシクロペンタン及びパーフルオロ-1,3-ジメチルシクロヘキサン、例えばBNFLフルオロケミカルズ(Fluorochemicals)社により、フルテック(FlutecTM) PC1及びフルテック(FlutecTM) PC3なる名称の下に市販されているもの;パーフルオロ-1,2-ジメチルシクロブタン;パーフルオロアルカン、例えば3M社によりPF 5050TM及びPF 5060TMなる名称の下に市販されているドデカフルオロペンタン及びテトラデカフルオロヘキサン、又はアトケム(Atochem)社によりフォラルキル(ForalkylTM)なる名称の下に市販されているブロモパーフルオロオクチル;ノナフルオロメトキシブタン及びノナフルオロエトキシイソブタン;パーフルオロモルホリン誘導体、例えば3M社によりPF 5052TMなる名称の下に市販されている4-トリフルオロメチルパーフルオロモルホリン。
【0013】
上記水性化粧料組成物(A)において使用できる、該脂肪アルコールとしては、6〜30個、より詳しくは8〜30個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐鎖で、飽和又は不飽和の脂肪アルコール、例えばセチルアルコール、ステアリルアルコール及びこれらの混合物(セチルステアリルアルコール)、オクチルドデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-ウンデシルペンタデカノール、オレイルアルコール又はリノレイルアルコールを挙げることができる。
該水性化粧料組成物(A)において使用できる、該脂肪酸は、飽和又は不飽和のカルボン酸であり得、また6〜30個の炭素原子、及び特に9〜30個の炭素原子を含む。これらは、より具体的にはミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、及びイソステアリン酸から選択される。
上記トリグリセライド以外の有利な、また該組成物(A)において使用できる上記脂肪酸及び/又は脂肪アルコールのエステルは、飽和又は不飽和で直鎖又は分岐鎖の、C1-C26脂肪族モノ-又はポリ酸と、飽和又は不飽和で直鎖又は分岐鎖の、C1-C26脂肪族一価又は多価アルコールのエステルであり、該エステルの全炭素原子数は、特に10以上である。
【0014】
該モノエステルとして列挙できるものは、ジヒドロアビエチルベヘネート、オクチルドデシルベヘネート、イソセチルベヘネート、セチルラクテート、C12-C15アルキルラクテート、イソステアリルラクテート、ラウリルラクテート、リノレイルラクテート、オレイルラクテート、(イソ)ステアリルオクタノエート、イソセチルオクタノエート、オクチルオクタノエート、セチルオクタノエート、デシルオレエート、イソセチルイソステアレート、イソセチルラウレート、イソセチルステアレート、イソデシルオクタノエート、イソデシルオレエート、イソノニルイソノナノエート、イソステアリルパルミテート、メチルアセチルリシノレエート、ミリスチルステアレート、オクチルイソノナノエート、2-エチルヘキシルイソノネート、オクチルパルミテート、オクチルペラルゴネート、オクチルステアレート、オクチルドデシルエルケート、オレイルエルケート、エチル及びイソプロピルパルミテート、2-エチルヘキシルパルミテート、2-オクチルデシルパルミテート、アルキルミリステート、例えばイソプロピル、ブチル、セチル、2-オクチルドデシル、ミリスチル又はステアリルミリステート、ヘキシルステアレート、ブチルステアレート、イソブチルステアレート、ジオクチルマレート、ヘキシルラウレート、2-ヘキシルデシルラウレートである。
【0015】
さらにこの変形に係わるものとして、C4-C22ジカルボン酸又はトリカルボン酸と、C1-C22アルコールとのエステル及びモノ、ジ-又はトリカルボン酸と、C2-C26ジ-、トリ-、テトラ-又はペンタヒドロキシアルコールとのエステルを使用することもできる。
特に、以下のものを挙げることができる:ジエチルセバケート、ジイソプロピルセバケート、ジイソプロピルアジペート、ジ-n-プロピルアジペート、ジオクチルアジペート、ジイソステアリルアジペート、ジオクチルマレエート、グリセリルウンデシレネート、オクチルドデシルステアロイルステアレート、ペンタエリスリチルモノリシノレエート、ペンタエリスリチルテトライソノナノエート、ペンタエリスリチルテトラペラルゴネート、ペンタエリスリチルテトライソステアレート、ペンタエリスリチルテトラオクタノエート、プロピレングリコールジカプリレート、プロピレングリコールジカプレート、トリデシルエルケート、トリイソプロピルシトレート、トリイソステアリルシトレート、グリセリルトリラクテート、グリセリルトリオクタノエート、トリオクチルドデシルシトレート、トリオレイルシトレート、プロピレングリコールジオクタノエート、ネオペンチルグリコールジヘプタノエート、ジエチレングリコールジイソノナノエート、及びポリエチレングリコールジステアレート。
【0016】
上記エステルとしては、エチル、イソプロピル、ミリスチル、セチル、又はステアリルパルミテート、2-エチルヘキシルパルミテート、2-オクチルデシルパルミテート、アルキルミリステート、例えばイソプロピル、ブチル、セチル又は2-オクチルドデシルミリステート、ヘキシルステアレート、ブチルステアレート、イソブチルステアレート、ジオクチルマレート、ヘキシルラウレート、2-ヘキシルデシルラウレート、イソノニルイソノナノエート又はセチルオクタノエートを使用することが好ましい。
上記組成物(A)は、また脂肪エステルとして、C6-C30及び好ましくはC12-C22脂肪酸の糖エステル及びジエステルを含むこともできる。該用語「糖」とは、酸素-担持炭化水素を主成分とする化合物であって、幾つかのアルコール官能基を含み、アルデヒド又はケトン官能基を含んでいても含まなくてもよく、また少なくとも4個の炭素原子を含む、該化合物を意味することを想起すべきである。これらの糖は、単糖、オリゴ糖又は多糖であり得る。
列挙可能な適当な糖の例は、スクロース(又はサッカロース)、グルコール、ガラクトース、リボース、フコース、マルトース、マンノース、アラビノース、キシロース及びラクトース、及びこれらの誘導体、特にアルキル誘導体、例えばメチルグルコース等のメチル誘導体を包含する。
【0017】
該脂肪酸の糖エステルは、特に前に記載した糖と、直鎖又は分岐鎖で、飽和又は不飽和のC6-C30及び好ましくはC12-C22脂肪酸とのエステル又はこれらエステルの混合物を含む群から選択することができる。これら化合物が不飽和である場合、これらは、1〜3個の共役又は非-共役炭素-炭素二重結合を含むことができる。
この変形に従う該エステルは、モノ-、ジ-、トリ-、テトラ-エステル及びポリエステル、並びにこれらの混合物から選択することもできる。
これらのエステルは、例えばオレエート、ラウレート、パルミテート、ミリステート、ベヘネート、ココエート、ステアレート、リノレエート、リノレネート、カプレート及びアラキドネート、又はこれらの混合物、例えば特にオレオ-パルミテート、オレオ-ステアレート、及びパルミト-ステアレート混合エステルから選択することができる。
モノエステル及びジエステル及び特にスクロース、グルコース又はメチルグルコースモノ-又はジ-オレエート、ステアレート、ベヘネート、オレオパルミテート、リノレエート、リノレネート及びオレオ-ステアレートを使用することが、特に一層好ましい。
【0018】
列挙可能な例は、メチルグルコースジオレエートである、アマーコール(Amerchol)社によりグルケート(GlucateTM) DOなる名称の下に市販されている製品である。
同様に列挙可能な糖と脂肪酸とのエステル又はエステル混合物の例は、以下のものを含む:
・クロデスタ(Crodesta)社により、F160、F140、F110、F90、F70及びSL40なる名称の下で市販されている製品であり、夫々73%のモノエステル及び27%のジエステル及びトリエステルから形成された、スクロースパルミトステアレート、61%のモノエステル及び39%のジエステル、トリエステル及びテトラエステルから形成された、スクロースパルミトステアレート、52%のモノエステル及び48%のジエステル、トリエステル及びテトラエステルから形成された、スクロースパルミトステアレート、45%のモノエステル及び55%のジエステル、トリエステル及びテトラエステルから形成された、スクロースパルミトステアレート、39%のモノエステル及び61%のジエステル、トリエステル及びテトラエステルから形成された、スクロースパルミトステアレート、及びスクロースモノラウレートとされているもの;
・リョートシュガーエステル(Ryoto Sugar Esters)なる名称の下に市販されている製品、例えばB370と称され、20%のモノエステルと、80%のジ-、トリ-、ポリエステルから形成されたスクロースベヘネートに対応するもの;
・ゴールドシュミット(Goldschmidt)社によりテゴソフト(TegosoftTM) PSEなる名称の下に市販されているスクロースモノ-ジパルミト-ステアレート。
【0019】
本発明の水性化粧料組成物(A)において使用することのできる該非-シリコーン系ワックスは、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、エスパルト草ワックス、パラフィンワックス、オゾケライト、植物ワックス、例えばオリーブワックス、ライスワックス、水添ホホバワックス又は花弁の無水ワックス、例えばベルタン(Bertin)社(フランス)により市販されているクロフサスグリ花の精製ワックス、動物由来のワックス、例えばミツロウ又は変性ミツロウ[セラベリナ(cerabellina)]から選択され;本発明で使用できる他のワックス又はワックス状の出発物質は、一般的には、特に海洋性ワックス、例えばソフィム(Sophim)社により、参照名M82の下に市販されている製品、及びポリエチレンワックス又はポリオレフィンワックスである。
本発明の水性化粧料組成物(A)において使用することのできる、該シリコーンは、揮発性又は不揮発性、環状、直鎖又は分岐鎖シリコーンであり、これらは有機基で変性されており、又は変性されておらず、25℃において5×10-6〜2.5 m2/s及び好ましくは1×10-5〜1 m2/sなる範囲の粘度を持つ。
【0020】
本発明による該組成物(A)において使用できる上記シリコーンは、オイル、ワックス、樹脂又はガムの形状であり得る。
好ましくは、該シリコーンは、ポリジアルキルシロキサン、特にポリジメチルシロキサン(PDMS)、及びポリ(オキシアルキレン)基、アミノ基及びアルコキシ基から選択される少なくとも一つの官能基を含む、有機変性ポリシロキサンから選択される。
該オルガノポリシロキサンは、Walter Nollの「シリコーン類の化学及び技術(Chemistry and Technology of Silicones)」(1968), アカデミックプレス(Academic Press)刊においてより一層詳しく定義されている。これらは揮発性又は不揮発性であり得る。
【0021】
これらが揮発性である場合、該シリコーンは、より具体的には60〜260℃なる範囲の沸点をもつものから選択され、及びより一層特定的には、以下に列挙するものから選択される:
(i) 3〜7個及び好ましくは4〜5個のケイ素原子を含む、環状のポリジアルキルシロキサン。例えば、ユニオンカーバイド(Union Carbide)社により、ボラタイルシリコーン(Volatile Silicone TM) 7207なる名称の下に又はロディア(Rhodia)社により、シルビオン(SilbioneTM) 70045 V 2なる名称の下に市販されているオクタメチルシクロテトラシロキサン、ユニオンカーバイド(Union Carbide)社によりボラタイルシリコーン(Volatile Silicone TM) 7158なる名称の下に及びロディア(Rhodia)社により、シルビオン(SilbioneTM) 70045 V 5なる名称の下に市販されているデカメチルシクロペンタシロキサン及びこれらの混合物。
同様に、ジメチルシロキサン/メチルアルキルシロキサン型のシクロコポリマー、例えば以下の式で表される、ユニオンカーバイド(Union Carbide)社により、ボラタイルシリコーン(Volatile Silicone TM) FZ 3109なる名称の下に市販されているものを例示することもできる:
【0022】
【化1】

【0023】
また、環状ポリジアルキルシロキサンとオルガノシロキサン化合物との混合物、例えばオクタメチルシクロテトラシロキサンとテトラトリメチルシリルペンタエリスリトールとの混合物(50/50)及びオクタメチルシクロテトラシロキサンと、オキシ-1,1'-ビス(2,2,2',2',3,3'-ヘキサトリメチルシリルオキシ)ネオペンタンとの混合物;
(ii) 2〜9個のケイ素原子を含み、また5×10-6 m2/s以下の25℃における粘度を持つ、線状の揮発性ポリジアルキルシロキサン。その一例は、特にトーレシリコーン(Toray Silicone)社によりSH 200なる名称の下で市販されている、デカメチルテトラシロキサンである。この範疇に属するシリコーンは、またCosmetics and Toiletries, Vol. 91, Jan. 76, pp. 27-32, トッド&バイエルス(Todd & Byers)に掲載された「化粧料用の揮発性シリコーン流体(Volatile Silicone Fluids for Cosmetics)」と題する論文に記載されている。
不揮発性ポリジアルキルシロキサン、ポリジアルキルシロキサンガム及び樹脂、上記有機官能基で変性された、ポリオルガノシロキサン、及びこれらの混合物が好ましく使用される。
【0024】
これらのシリコーンは、より特定的には、ポリジアルキルシロキサンから選択され、中でも特にトリメチルシリル末端基を含むポリジメチルシロキサンを挙げることができる。該シロキサンの粘度は、例えば25℃において、ASTM標準445アペンディックスC(ASTM standard 445 Appendix C)に従って測定される。
これらポリジアルキルシロキサンとしては、非-限定的なものとして、以下の市販製品を挙げることができる:
・ロディア(Rhodia)社により市販されている、47及び70 047シリーズのシルビオン(SilbioneTM)オイル又はミラシル(MirasilTM)オイル、例えばオイル70 047 V 500 000;
・ロディア(Rhodia)社により市販されている、ミラシル(MirasilTM)シリーズのオイル;
・ダウコーニング(Dow Corning)社から入手できる、200シリーズのオイル、例えば60 000 mm2/sなる粘度を持つDC200;
・ゼネラルエレクトリック(General Electric)社から入手できる、ビスカシル(Viscasil TM)オイル及びゼネラルエレクトリック社から入手できるSFシリーズの幾つかのオイル(SF 96、SF 18)。
【0025】
また、ジメチコノール(Dimethiconol)(CTFA)なる名称の下に知られている、ジメチルシラノール末端基を含むポリジメチルシロキサン、例えばロディア(Rhodia)社から入手できる48シリーズのオイル等をも例示できる。
ポリジアルキルシロキサンのこの範疇において、同様に、ポリ(C1-C20)ジアルキルシロキサンである、ゴールドシュミット(Goldschmidt)社により、アビルワックス(Abil WaxTM) 9800及び9801なる名称の下に市販されている製品を挙げることができる。
本発明による該組成物(A)に従って使用することのできる上記シリコーンガムは、特にポリジアルキルシロキサン及び好ましくは200,000〜1,000,000なる範囲の高い数平均分子量をもつ、ポリジメチルシロキサンであり、これらは溶媒中で、単独で又は混合物として使用される。該溶媒は、揮発性シリコーン、ポリジメチルシロキサン(PDMS)オイル、ポリフェニルメチルシロキサン(PPMS)オイル、イソパラフィン、ポリイソブチレン、塩化メチレン、ペンタン、ドデカン及びトリデカン、又はこれらの混合物から選択することができる。
【0026】
本発明に従ってより具体的に使用できる製品は、以下に列挙するような混合物である:
・連鎖末端においてヒドロキシル化されたポリジメチルシロキサン、又はジメチコノール(CTFA)から形成された、及びシクロメチコーン(CTFA)としても知られている環状ポリジメチルシロキサン、例えばダウコーニング(Dow Corning)社により市販されている製品Q2 1401から形成された混合物;
・ポリジメチルシロキサンガムと、環状シリコーン、例えばゼネラルエレクトリック(General Electric)社から入手できる製品SF 1214シリコーンフルード(Silicone Fluid)から生成される混合物;この製品は、デカメチルシクロペンタシロキサンに相当するオイル:SF 1202シリコーンフルード(Silicone Fluid)に溶解された、数平均分子量500,000を持つジメチコーンに相当する、SF 30ガムである;
・二種の異なる粘度を持つPDMSの混合物、及びより具体的には、PDMSガムとPDMSオイルとの混合物、例えばゼネラルエレクトリック社から入手できる製品SF 1236。この製品SF 1236は、20 m2/sなる粘度を持つ上で定義したSE 30ガムと、5×10-6 m2/sなる粘度を持つSF 96オイルとの混合物である。この製品は、好ましくは15%のSE 30ガムと、85%のSF 96オイルとを含む。
【0027】
本発明に従って使用することのできるオルガノポリシロキサン樹脂は、以下の単位を含む架橋シロキサン系樹脂である:
R2SiO2/2、R3SiO1/2、RSiO3/2及びSiO4/2
ここで、Rは、1〜16個の炭素原子を含む炭化水素を基本とする基を表す。これら製品の中で、特に好ましいものは、置換基Rが、C1-C4低級アルキル基、より具体的にはメチル基を表すものである。
これら樹脂としては、ダウコーニング(Dow Corning) 593なる名称の下に市販されている製品、又はゼネラルエレクトリック(General Electric)社によってシリコーンフルード(Silicone Fluid) SS 4230及びSS 4267なる名称の下に市販されているものを挙げることができ、これらは、ジメチル/トリメチルシロキサン構造を持つシリコーンである。
また、特にシン-エツ(Shin-Etsu)社によりX22-4914、X21-5034及びX21-5037なる名称の下で市販されている、トリメチルシロキシシリケート型の樹脂を挙げることもできる。
本発明に従って使用することができる上記有機変性シリコーンは、上で定義した如きシリコーンであって、その構造内に、炭化水素を基本とする基を介して結合した、1種又はそれ以上の有機官能基を含んでいる。
【0028】
上に記載したシリコーン以外に、該有機変性シリコーンは、前に述べた有機官能基で官能化された、ポリジアリールシロキサン、特にポリジフェニルシロキサン、及びポリアルキルアリールシロキサンであり得る。
該ポリアルキルアリールシロキサンは、特に1×10-5〜5×10-2 m2/sなる範囲の25℃における粘度を持つ、直鎖及び/又は分岐鎖のポリジメチル/メチルフェニルシロキサン及びポリジメチル/ジフェニルシロキサンから選択される。
これらのポリアルキルアリールシロキサンの中で、列挙可能な例は、以下のような名称の下に市販されている製品を含む:
・ロディア(Rhodia)社から入手できる70 641シリーズのシルビオン(SilbioneTM)オイル;
・ロディア(Rhodia)社から入手できる、ロドルシル(RhodoursilTM) 70 633及び763シリーズのオイル;
・ダウコーニング(Dow Corning)社から入手できるオイル、ダウコーニング556コスメティックグレードフルード(Dow Corning 556 Cosmetic Grade Fluid);
・バイエル(Bayer)社から入手できる、PKシリーズのシリコーン、例えば製品PK20;
・バイエル(Bayer)社から入手できる、PN及びPHシリーズのシリコーン、例えば製品PN1000及びPH1000;
・ゼネラルエレクトリック(General Electric)社から入手できる、SFシリーズの幾つかのオイル、例えばSF 1023、SF 1154、SF 1250及びSF 1265。
【0029】
該有機変性シリコーンとしては、以下に列挙するものを含むポリオルガノシロキサンを挙げることができる:
・場合によりC6-C24アルキル基を含む、ポリエチレンオキシ及び/又はポリプロピレンオキシ基、例えばダウコーニング(Dow Corning)社により、DC 1248なる名称の下で市販されている、ジメチコーンコポリオールとして知られている製品、あるいはユニオンカーバイド(Union Carbide)社によりオイル:シルウエット(SilwetTM) L 722、L 7500、L 77及びL 711、及びダウコーニング(Dow Corning)社により、Q2 5200なる名称の下で市販されている(C12)アルキルメチコーンコポリオール;
・置換又は無置換のアミノ基、例えばジェネシー(Genesee)社によりGP 4 シリコーンフルード(Silicone Fluid)及びGP 7100なる名称の下で市販されている製品、あるいはダウコーニング(Dow Corning)社により、Q2 8220及びダウコーニング(Dow Corning) 929 又は939なる名称の下で市販されている製品。該置換アミノ基は、特にC1-C4アミノアルキル基である;
・アルコキシル化された基、例えばSWSシリコーンズ(Silicones)社により、シリコーンコポリマー(Silicone Copolymer)F-755なる名称の下で市販されている製品、及びゴールドシュミット(Goldschmidt)社により、アビルワックス(Abil WaxTM) 2428、2434及び2440。
【0030】
好ましくは、上記脂肪物質は、如何なるC2-C3オキシアルキレン単位又は如何なるグリセロール化単位をも含まないものである。
より詳しくは、該脂肪物質は、室温及び大気圧下で、液体又はペースト状態にある化合物から選択される。
好ましくは、該脂肪物質は、25℃なる温度及び大気圧下において液体状態にある化合物である。
好ましくは、該脂肪物質は、脂肪酸ではない。
該脂肪物質は、好ましくは、C6-C16低級アルカン、脂肪アルコール、脂肪酸及び/又は脂肪アルコールのエステル、非-シリコーン系の無機、植物又は合成起源のオイル、及びシリコーンから選択される。
一態様によれば、1又は複数の該脂肪物質は、液状石油ゼリー、ポリデセン、脂肪酸及び/又は脂肪アルコールエステル、液状エステル、又はこれらの混合物から選択される。
好ましくは、本発明による組成物の該脂肪物質(1又は複数)は、非-シリコーン系のものである。
【0031】
本発明による該水性組成物(A)は、少なくとも20%の脂肪物質を含む。好ましくは、該脂肪物質の濃度は、該組成物全質量の、25〜80質量%なる範囲、より一層好ましくは25〜65質量%なる範囲及びさらに一層良好には30〜55質量%なる範囲内にある。
該水性化粧料組成物(A)は、また1種又はそれ以上の界面活性剤をも含む。
好ましくは、該界面活性剤(1又は複数)は、ノニオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤から選択される。
該アニオン性界面活性剤は、より具体的には、以下に列挙する化合物の塩(特に、アルカリ金属塩、とりわけナトリウム塩、アンモニウム塩、アミン塩、例えばアミノアルコール塩又はアルカリ土類金属塩、例えばマグネシウム塩)から選択される:
【0032】
・アルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート、アルキルアミドエーテルサルフェート、アルキルアリールポリエーテルサルフェート、及びモノグリセライドサルフェート;
・アルキルスルホネート、アルキルアミドスルホネート、アルキルアリールスルホネート、α-オレフィンスルホネート、パラフィンスルホネート;
・アルキルホスフェート、アルキルエーテルホスフェート;
・アルキルスルホサクシネート、アルキルエーテルスルホサクシネート、アルキルアミドスルホサクシネート、アルキルスルホサクシナメート;
・アルキルスルホアセテート;
・アシルザルコシネート、アシルイセチオネート、及びN-アシルタウレート;
・脂肪酸、例えばオレイン酸、リシノール酸、パルミチン酸又はステアリン酸、ココナッツオイル酸又は水添ココナッツオイル酸の塩;
・アルキル-D-ガラクトシドウロン酸塩;
・アシルラクチレート;
・ポリオキシアルキレン化アルキルエーテルカルボン酸、ポリオキシアルキレン化アルキルアリールエーテルカルボン酸、又はポリオキシアルキレン化アルキルアミドエーテルカルボン酸、特に2〜50個のエチレンオキサイド基を含むカルボン酸の塩;及び
・これらの混合物。
【0033】
これら様々な化合物のアルキル又はアシル基は、有利には6〜24個の炭素原子及び好ましくは8〜24個の炭素原子を含むものであることに注意すべきであり、また該アリール基は、好ましくはフェニル基又はベンジル基を表す。
該ノニオン性界面活性剤は、より具体的には、モノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化、モノグリセロール化又はポリグリセロール化ノニオン性界面活性剤から選択される。そのオキシアルキレン単位は、より具体的には、オキシエチレン単位又はオキシプロピレン単位、又はこれらの組み合わせ、好ましくはオキシエチレン単位である。
列挙できるオキシアルキレン化ノニオン性界面活性剤の例は、以下のものを含む:
・オキシアルキレン化(C8-C24)アルキルフェノール;
・飽和又は不飽和で、直鎖又は分岐鎖のオキシアルキレン化C8-C30アルコール;
・飽和又は不飽和で、直鎖又は分岐鎖のオキシアルキレン化C8-C30アミド;
・飽和又は不飽和で、直鎖又は分岐鎖の、C8-C30酸と、ポリエチレングリコールとのエステル;
・飽和又は不飽和で、直鎖又は分岐鎖の、C8-C30酸と、ソルビトールとのポリオキシエチレン化エステル;
・飽和又は不飽和の、オキシエチレン化植物油;
・特に、エチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドの縮合物;
・上記のものの単独又は混合物。
【0034】
該界面活性剤は、1〜100なる範囲、及び好ましくは2〜50なる範囲のモル数のエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドを含む。有利には、該ノニオン性界面活性剤は、如何なるオキシプロピレン単位をも含まない。
本発明の好ましい一態様によれば、該オキシアルキレン化ノニオン性界面活性剤は、オキシエチレン化C8-C30アルコール、ポリオキシエチレン化直鎖又は分岐鎖で、飽和又は不飽和のC8-C30酸エステル、及びポリオキシエチレン化ソルビトールエステルから選択される。
モノグリセロール化又はポリグリセロール化ノニオン性界面活性剤の例としては、モノグリセロール化又はポリグリセロール化されたC8-C40アルコールを使用することが好ましい。
特に、該モノグリセロール化又はポリグリセロール化C8-C40アルコールは、以下の式で表されるものに相当する:
RO-[CH2-CH(CH2OH)-O]m-H
ここで、Rは直鎖又は分岐鎖のC8-C40及び好ましくはC8-C30アルキル又はアルケニル基を表し、またmは、1〜30なる範囲及び好ましくは1〜10なる範囲の数値を表す。
【0035】
本発明に関連して適した化合物の例としては、4モルのグリセロールを含むラウリルアルコール(INCI名:ポリグリセリル-4ラウリルエーテル)、1.5モルのグリセロールを含むラウリルアルコール、4モルのグリセロールを含むオレイルアルコール(INCI名:ポリグリセリル-4オレイルエーテル)、2モルのグリセロールを含むオレイルアルコール(INCI名:ポリグリセリル-2オレイルエーテル)、2モルのグリセロールを含むセテアリル(cetearyl)アルコール、6モルのグリセロールを含むセテアリルアルコール、6モルのグリセロールを含むオレオセチルアルコール、及び6モルのグリセロールを含むオクタデカノールを挙げることができる。
該アルコールは、同様にmが統計値を表すようなアルコール混合物を表すこともでき、このことは、市販の製品においては、幾つかの種のポリグリセロール化脂肪アルコールが、混合物として共存する可能性のあることを意味する。
該モノグリセロール化又はポリグリセロール化アルコールとしては、とりわけより好ましくは、グリセロール1モルを含むC8/C10アルコール、グリセロール1モルを含むC10/C12アルコール、及びグリセロール1.5モルを含むC12アルコールを使用することである。
【0036】
好ましくは、本発明の組成物中に存在する該界面活性剤は、ノニオン性界面活性剤である。
本発明の組成物における該界面活性剤の含有率は、より詳しくは、該組成物の質量に対して、0.1〜50質量%なる範囲及び好ましくは0.5〜30質量%なる範囲に相当する。
本発明の水性化粧料組成物(A)は、また毛髪染色又は淡色化組成物において従来から使用されている様々な補助剤、例えばアニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性又は両性イオン性ポリマー又はその混合物;無機増粘剤、及び特にフィラー、例えばクレー、タルク;有機増粘剤、特にアニオン性、カチオン性、ノニオン性及び両性ポリマー会合性増粘剤;酸化防止剤;浸透剤;金属イオン封鎖剤;香料;分散剤;フィルム-形成剤;セラミド;保存剤;不透明化剤をも含むことができる。
上記補助剤は、一般にその各々に対して、該組成物(A)の質量に対して、0.01〜20質量%なる範囲の量で存在する。
【0037】
本発明の有利な一変形によれば、該水性組成物(A)は、親有機物性クレー及びヒュームドシリカ、又はこれらの混合物から選択される、1種又はそれ以上の無機増粘剤を含む。
該親有機物性クレーは、モンモリロナイト、ベントナイト、ヘクトライト、アタパルジャイト及びセピオライト並びにこれらの混合物から選択することができる。このクレーは、好ましくはベントナイト又はヘクトライトである。
これらのクレーは、四級アミン、三級アミン、アミンアセテート、イミダゾリン、アミン石鹸、脂肪硫酸塩、アルキルアリールスルホネート、及びアミンオキサイド、並びにこれらの混合物から選択される化合物で変性されていてもよい。
列挙可能な親有機物性クレーは、クオータニウム(quaternium)-18ベントナイト、例えばレオックス(Rheox)社によりベントン(Bentone) 3、ベントン38及びベントン38Vなる名称の下に市販されているもの、ユナイテッドキャタリスト(United Catalyst)社により、チキソゲル(Tixogel) VPなる名称の下に市販されているもの、サザンクレー(Southern Clay)社により、クレイトン(Claytone) 34、クレイトン40及びクレイトンXLなる名称の下に市販されているもの;ステアラルコニウム(stearalkonium)ベントナイト、例えばレオックス(Rheox)社によりベントン(Bentone) 27、ユナイテッドキャタリスト(United Catalyst)社により、チキソゲル(Tixogel) LGなる名称の下に市販されているもの、及びサザンクレー(Southern Clay)社により、クレイトン(Claytone) AF及びクレイトンAPAなる名称の下に市販されているもの;クオータニウム-18/ベンザルコニウムベントナイト、例えばサザンクレー(Southern Clay)社により、クレイトン(Claytone) HT及びクレイトンPSなる名称の下に市販されているもの;クオータニウム-18ヘクトライト、例えばレオックス(Rheox)社によりベントンゲル(Bentone Gel) DOA、ベントンゲルECO5、ベントンEUG、ベントンゲルIPP、ベントンゲルISD、ベントンゲルSS71、ベントンゲルVS8、ベントンゲルVS38、及びバイオフィル(Biophil)社により、シマゲル(Simagel) M及びシマゲルSI 345なる名称の下に市販されているものを包含する。
【0038】
該ヒュームドシリカは、オクスハイドリック火炎(oxhydric flame)内で、揮発性ケイ素含有化合物を高温加水分解することにより得ることができ、この方法は微粉砕されたシリカを与える。この方法は、特に表面に多数のシラノール基を持つ親水性シリカを得ることを可能とする。このような親水性シリカは、例えばデグッサ(Degssa)社により、エーロシル(Aerosil) 130TM、エーロシル(Aerosil) 200 TM、エーロシル(Aerosil) 255 TM、エーロシル(Aerosil) 300 TM及びエーロシル(Aerosil) 380 TMなる名称、及びカボット(Cabot)社により、Cab-O-Sil HS-5TM、Cab-O-Sil EH-5TM、Cab-O-Sil LM-130TM、Cab-O-Sil MS-55TM及びCab-O-Sil M-5TMなる名称の下に市販されている。
化学反応を通して該シリカの表面を化学的に変性して、シラノール基の数を減じることができる。シラノール基は、特に疎水性の基で置換することができ、結果として疎水性シリカが得られる。
該疎水性の基は、以下に列挙するものであり得る:
【0039】
・特に、ヘキサメチルジシラザンの存在下で、ヒュームドシリカを処理することによって得られる、トリメチルシロキシル(trimethylsiloxyl)基。このようにして処理されたシリカは、CTFA(第6版、1995)によれば、「シリカシリレート」として知られている。これらは、例えばデグッサ(Degssa)社により、エーロシル(Aerosil) R812TMなる名称、及びカボット(Cabot)社により、Cab-O-Sil TS-530TMなる名称の下に市販されている。
・特にポリジメチルシロキサン又はジメチルジクロロシランの存在下で、ヒュームドシリカを処理することによって得られる、ジメチルシリルオキシル(dimethylsilyloxyl)又はポリジメチルシロキサン基。このようにして処理されたシリカは、CTFA(第6版、1995)によれば、「シリカジメチルシリレート」として知られている。これらは、例えばデグッサ(Degssa)社により、エーロシル(Aerosil) R972TM及びエーロシル(Aerosil) R974TMなる名称、及びカボット(Cabot)社により、Cab-O-Sil TS-610TM及びCab-O-Sil TS-720TMなる名称の下に市販されている。
該ヒュームドシリカは、好ましくはナノメータ乃至マイクロメータのオーダーであり得る、例えば約5〜200nmなる範囲内の粒径を持つ。
【0040】
好ましくは、本発明の組成物は、場合により変性されていてもよい、ヘクトライト、有機変性ベントナイト又はヒュームドシリカを含む。
上記無機増粘剤が存在する場合には、該増粘剤は、該組成物の質量に対して、1〜30質量%なる範囲の量に相当する。
本発明の組成物は、また1種又はそれ以上の有機増粘剤をも含むことができる。
これらの増粘剤は、脂肪酸アミド(ココナッツ酸ジエタノールアミド又はモノエタノールアミド、オキシエチレン化アルキルエーテルカルボン酸モノエタノールアミド)、ポリマー増粘剤、例えばセルロースを主成分とする増粘剤(ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース)、グアーガム及びその誘導体(ヒドロキシプロピルグアー)、微生物起源のガム(ザンタンガム、スクレログルカンガム)、アクリル酸又はアクリルアミドプロパンスルホン酸の架橋されたホモポリマー及び会合性ポリマー(親水性ゾーン及び疎水性ゾーンを含み、水性媒体中で、可逆的に相互に又は他の分子と会合することのできる脂肪鎖(少なくとも10個の炭素原子を含むアルキル又はアルケニル)を有するポリマー)から選択することができる。
【0041】
一特定の態様によれば、該有機増粘剤は、セルロースを主成分とする増粘剤(ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース)、グアーガム及びその誘導体(ヒドロキシプロピルグアー)、微生物起源のガム(ザンタンガム、スクレログルカンガム)、アクリル酸又はアクリルアミドプロパンスルホン酸の架橋されたホモポリマーから選択され、またセルロースを主成分とする増粘剤、特にヒドロキシエチルセルロースから選択されることが好ましい。
該有機増粘剤が存在する場合、その含有率は、通常該組成物の質量に対して、0.01〜20質量%なる範囲及び好ましくは0.1〜5質量%なる範囲にある。
有利には、該組成物(A)は、ゲル又はクリームの状態にある。
染色法の場合、本発明の方法は、1種又はそれ以上の酸化染料、1種又はそれ以上の直接染料、又はこれらの混合物を含む、化粧料組成物(B)の存在下で行われる。
該酸化染料は、一般的に、場合により1種又はそれ以上のカプラーと結合した、1種又はそれ以上の酸化性塩基から選択される。
該酸化性塩基は、例えばp-フェニレンジアミン、ビス(フェニル)アルキレンジアミン、p-アミノ-フェノール、o-アミノ-フェノール、及びヘテロ環式塩基、及びその付加塩類から選択される。
【0042】
列挙可能なp-フェニレンジアミンとしては、例えばp-フェニレンジアミン、p-トリレンジアミン、2-クロロ-p-フェニレンジアミン、2,3-ジメチル-p-フェニレンジアミン、2,6-ジメチル-p-フェニレンジアミン、2,6-ジエチル-p-フェニレンジアミン、2,5-ジメチル-p-フェニレンジアミン、N,N-ジメチル-p-フェニレンジアミン、N,N-ジエチル-p-フェニレンジアミン、N,N-ジプロピル-p-フェニレンジアミン、4-アミノ-N,N-ジエチル-3-メチルアニリン、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン、4-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-メチルアニリン、4-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-クロロアニリン、2-β-ヒドロキシエチル-p-フェニレンジアミン、2-フルオロ-p-フェニレンジアミン、2-イソプロピル-p-フェニレンジアミン、N-(β-ヒドロキシプロピル)-p-フェニレンジアミン、2-ヒドロキシメチル-p-フェニレンジアミン、N,N-ジメチル-3-メチル-p-フェニレンジアミン、N-エチル-N-(β-ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン、N-(β,γ-ジヒドロキシプロピル)-p-フェニレンジアミン、N-(4'-アミノフェニル)-p-フェニレンジアミン、N-フェニル-p-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルオキシ-p-フェニレンジアミン、2-β-アセチルアミノエチルオキシ-p-フェニレンジアミン、N-(β-メトキシエチル)-p-フェニレンジアミン、4-アミノフェニルピロリジン、2-チエニル-p-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルアミノ-5-アミノトルエン及び3-ヒドロキシ-1-(4'-アミノフェニル)ピロリジン、及びこれらの酸付加塩類である。
【0043】
上記p-フェニレンジアミンとしては、p-フェニレンジアミン、p-トリレンジアミン、2-イソプロピル-p-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチル-p-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルオキシ-p-フェニレンジアミン、2,6-ジメチル-p-フェニレンジアミン、2,6-ジエチル-p-フェニレンジアミン、2,3-ジメチル-p-フェニレンジアミン、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン、2-クロロ-p-フェニレンジアミン及び2-β-アセチルアミノエチルオキシ-p-フェニレンジアミン、及びこれらの酸付加塩が特に好ましい。
列挙可能な該ビス(フェニル)アルキレンジアミンは、例えばN,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4'-アミノフェニル)-1,3-ジアミノプロパノール、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4'-アミノフェニル)エチレンジアミン、N,N'-ビス(4-アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4-アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス(4-メチルアミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス(エチル)-N,N'-ビス(4'-アミノ-3'-メチルフェニル)エチレンジアミン、及び1,8-ビス(2,5-ジアミノフェノキシ)-3,6-ジオキサオクタン、及びこれらの付加塩類である。
【0044】
列挙可能な該p-アミノフェノールは、例えばp-アミノフェノール、4-アミノ-3-メチルフェノール、4-アミノ-3-フルオロフェノール、4-アミノ-3-クロロフェノール、4-アミノ-3-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メチルフェノール、4-アミノ-2-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メトキシメチルフェノール、4-アミノ-2-アミノメチルフェノール、4-アミノ-2-(β-ヒドロキシエチルアミノメチル)フェノール及び4-アミノ-2-フルオロフェノール、及びこれらの酸付加塩である。
列挙可能な該o-アミノ-フェノールは、例えば2-アミノ-フェノール、2-アミノ-5-メチルフェノール、2-アミノ-6-メチルフェノール、及び5-アセタミド-2-アミノ-フェノール、及びこれらの付加塩類である。
列挙可能な該ヘテロ環式塩基は、例えばピリジン誘導体、ピリミジン誘導体及びピラゾール誘導体である。
列挙可能な該ピリジン誘導体は、例えば特許GB 1 026 978及びGB 1 153 196に記載されている化合物、例えば2,5-ジアミノピリジン、2-(4-メトキシフェニル)アミノ-3-アミノピリジン、及び3,4-ジアミノピリジン、及びこれらの付加塩類である。
【0045】
本発明において有用な他のピリジン酸化性塩基は、例えば特許出願FR 2 801 308に記載されている、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン酸化性塩基又はこれらの付加塩類である。列挙可能なその例は、ピラゾロ[1,5-a]ピリジ-3-イルアミン、2-アセチルアミノピラゾロ[1,5-a]ピリジ-3-イルアミン、2-モルホリン-4-イルピラゾロ[1,5-a]ピリジ-3-イルアミン、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-2-カルボン酸、2-メトキシピラゾロ[1,5-a]ピリジ-3-イルアミン、(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジ-7-イル)メタノール、2-(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジ-5-イル)エタノール、2-(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジ-7-イル)エタノール、(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジ-2-イル)メタノール、3,6-ジアミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン、3,4-ジアミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3,7-ジアミン、7-モルホリン-4-イルピラゾロ[1,5-a]ピリジ-3-イルアミン、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン-3,5-ジアミン、5-モルホリン-4-イルピラゾロ[1,5-a]ピリジ-3-イルアミン、2-[(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジ-5-イル)(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール、2-[(3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジ-7-イル)(2-ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-5-オール、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-4-オール、3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-6-オール及び3-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリジン-7-オール、及びこれらの付加塩類を含む。
列挙可能な該ピリミジン誘導体は、例えば特許DE 2 359 399; JP 88-169 571; JP 05-63124; EP 0 770 375又は特許出願WO 96/15765に記載されている化合物、例えば2,4,5,6-テトラアミノピリミジン、4-ヒドロキシ-2,5,6-トリアミノピリミジン、2-ヒドロキシ-4,5,6-トリアミノピリミジン、2,4-ジヒドロキシ-5,6-ジアミノピリミジン及び2,5,6-トリアミノピリミジン、及びこれらの付加塩類、及び互変異性平衡が存在する場合には、これらの互変異性体である。
【0046】
列挙可能な該ピラゾール誘導体は、例えば特許DE 3 843 892及びDE 4 133 957、及び特許出願WO 94/08969、WO 94/08970、FR-A-2 733 749及びDE 195 43 988に記載されている化合物、例えば4,5-ジアミノ-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)ピラゾール、3,4-ジアミノピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(4'-クロロベンジル)ピラゾール、4,5-ジアミノ-1,3-ジメチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチル-1-フェニルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-メチル-3-フェニルピラゾール、4-アミノ-1,3-ジメチル-5-ヒドラジノピラゾール、1-ベンジル-4,5-ジアミノ-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-t-ブチル-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-t-ブチル-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-(4'-メトキシフェニル)ピラゾール、4,5-ジアミノ-1-エチル-3-ヒドロキシメチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-ヒドロキシメチル-1-メチルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-ヒドロキシメチル-1-イソプロピルピラゾール、4,5-ジアミノ-3-メチル-1-イソプロピルピラゾール、4-アミノ-5-(2'-アミノエチル)アミノ-1,3-ジメチルピラゾール、3,4,5-トリアミノピラゾール、1-メチル-3,4,5-トリアミノピラゾール、3,5-ジアミノ-1-メチル-4-メチルアミノピラゾール及び3,5-ジアミノ-4-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-1-メチルピラゾール、及びこれらの付加塩類である。4,5-ジアミノ-1-(β-メトキシエチル)ピラゾールを使用することも可能である。
4,5-ジアミノピラゾールが好ましく使用され、また4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)-ピラゾール及び/又はその塩が、さらに一層好ましく使用される。
【0047】
同様に列挙可能なピラゾール誘導体は、ジアミノ-N,N-ジヒドロピラゾロピラゾロン、及び特に特許出願FR-A-2 886 136に記載されているもの、例えば以下に列挙するもの及びこれらの付加塩類である:2,3-ジアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-エチルアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-イソプロピルアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-(ピロリジン-1-イル)-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、4,5-ジアミノ-1,2-ジメチル-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン、4,5-ジアミノ-1,2-ジエチル-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン、4,5-ジアミノ-1,2-ジ-(2-ヒドロキシエチル)-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン、2-アミノ-3-(2-ヒドロキシエチル)アミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2-アミノ-3-ジメチルアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、2,3-ジアミノ-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H,6H-ピリダジノ[1,2-a]ピラゾール-1-オン、4-アミノ-1,2-ジエチル-5-(ピロリジン-1-イル)-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン、4-アミノ-5-(3-ジメチルアミノピロリジン-1-イル)-1,2-ジエチル-1,2-ジヒドロピラゾール-3-オン、2,3-ジアミノ-6-ヒドロキシ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン。
2,3-ジアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン及び/又はその塩が、好ましく使用される。
4,5-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチル)ピラゾール及び/又は2,3-ジアミノ-6,7-ジヒドロ-1H,5H-ピラゾロ[1,2-a]ピラゾール-1-オン及び/又はその塩が、ヘテロ環式塩基として好ましく使用される。
【0048】
本発明による該化粧料組成物(B)は、場合により、ケラチン繊維の染色においてこれまでに使用されているものから有利に選択される、1種又はそれ以上のカプラーを含むことができる。
これらのカプラーとしては、特にm-フェニレンジアミン、m-アミノフェノール、m-ジフェノール、ナフタレンを主成分とするカプラー及びヘテロ環式カプラー、及びこれらの付加塩類をも挙げることができる。
例えば、1,3-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシ-2-メチルベンゼン、4-クロロ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、2,4-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチルオキシ)ベンゼン、2-アミノ-4-(β-ヒドロキシエチルアミノ) 1-メトキシベンゼン、1,3-ジアミノベンゼン、1,3-ビス(2,4-ジアミノフェノキシ)プロパン、3-ウレイドアニリン、3-ウレイド-1-ジメチルアミノベンゼン、セサモール、1-β-ヒドロキシエチルアミノ-3,4-メチレンジオキシベンゼン、α-ナフトール、2-メチル-1-ナフトール、6-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシ-N-メチルインドール、2-アミノ-3-ヒドロキシピリジン、6-ヒドロキシベンゾモルホリン、3,5-ジアミノ-2,6-ジメトキシピリジン、1-N-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-3,4-メチレンジオキシベンゼン、2,6-ビス(β-ヒドロキシエチルアミノ)トルエン、6-ヒドロキシインドリン、2,6-ジヒドロキシ-4-メチルピリジン、1-H-3-メチルピラゾール-5-オン、1-フェニル-3-メチルピラゾール-5-オン、2,6-ジメチルピラゾロ[1,5-b]-1,2,4-トリアゾール、2,6-ジメチル[3,2-c]-1,2,4-トリアゾール及び6-メチルピラゾロ[1,5-a]ベンズイミダゾール、これらの酸付加塩、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0049】
一般に、本発明に関連して使用できる該酸化性塩基及びカプラーの付加塩類は、特に酸付加塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、トシレート、ベンゼンスルホネート、リン酸塩及び酢酸塩から選択される。
該酸化性塩基の各々は、有利には該組成物の全質量に対して、0.0001〜10質量%なる範囲、及び好ましくは該組成物の全質量に対して、0.005〜5質量%なる範囲の量に相当する。
該カプラーが存在する場合、該カプラー(1又は複数)の含有率は、該組成物の全質量に対して、0.0001〜10質量%なる範囲、及び好ましくは該化粧料組成物(B)の全質量に対して、0.005〜5質量%なる範囲の量に相当する。
該直接染料に関連して、これらの染料は、より具体的には、イオン性及びノニオン性の種、好ましくはカチオン性又はノニオン性の種から選択される。
列挙可能な適当な直接染料の例は、アゾ;メチン;カルボニル;アジン;ニトロ(ヘテロ)アリール;トリ(ヘテロ)アリールメタン;ポルフィリン;フタロシアニン直接染料、及び天然直接染料の単独又は混合物を含む。
より具体的には、該アゾ染料は、-N=N-官能基を含み、その2つの窒素原子は、同時に一つのリングに組込まれてはいない。しかし、該配列-N=N-の2つの窒素原子の一方が、リングに組込まれているものを排除するものではない。
【0050】
上記メチン群の染料は、より具体的には、>C=C<及びN=C<から選択される少なくとも一つの配列を含み、該配列中の2つの原子が、同時に一つのリング内に組込まれていない化合物である。しかし、該配列の窒素又は炭素原子の一方が、あるリングに組込まれていてもよいことを指摘しておく。より具体的には、この群の染料は、メチン、アゾメチン、モノ-及びジ-アリールメタン、インドアミン(又はジフェニルアミン)、インドフェノール、インドアニリン、カルボシアニン、アザカルボシアニン及びその異性体、ジアザカルボシアニン及びその異性体、テトラアザカルボシアニン及びヘミシアニン等の型の化合物から誘導される。
上記カルボニル群の染料に関連して、その列挙可能な例は、アクリドン、ベンゾキノン、アンスラキノン、ナフトキノン、ベンズアントロン、アンスラアントロン、ピラントロン、ピラゾールアントロン、ピリミジノアントロン、フラバアントロン、イダントロン(idanthrone)、フラボン、(イソ)ビオラントロン(バットブルー-20)、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、イソキノリノン、アンスラピリドン、ピラゾロキナゾロン、ペリノン、キナクリドン、キノフタロン、インジゴイド、チオインジゴ、ナフタルイミド、アンスラピリミジン、ジケトピロロピロール及びクマリンから選択される染料を包含する。
【0051】
該環状アジン群の染料に関しては、特にアジン、キサンテン、チオキサンテン、フルオリンジン、アクリジン、(ジ)オキサジン、(ジ)チアジン、及びピロニンを挙げることができる。
該ニトロ(ヘテロ)芳香族染料は、より詳しくは、ニトロベンゼン又はニトロピリジン直接染料である。
上記ポルフィリン又はフタロシアニン型の染料に関しては、場合により1又はそれ以上の金属又は金属イオン、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、亜塩及びケイ素を含む、カチオン性又は非-カチオン性化合物を使用することができる。
列挙可能な特に適した直接染料の例は、ニトロベンゼン染料;アゾ直接染料;アゾメチン直接染料;メチン直接染料;アザカルボシアニン直接染料、例えばテトラアザカルボシアニン(テトラアザペンタメチン);キノン及び特にアンスラキノン、ナフトキノン又はベンゾキノン直接染料;アジン;キサンテン;トリアリールメタン;インドアミン;インジゴイド;フタロシアニン直接染料;ポルフィリン及び天然直接染料の単独又はこれらの混合物を包含する。
【0052】
これら染料は、単一発色団型の染料(即ち、一種のみの染料を含む)又は多重発色団、好ましくは二又は三発色団型の染料;該発色団は同一でも異なっていてもよく、また同一の化学物質群を由来とする又はその他を由来とするものであり得る。多重発色団染料は、400〜800nmなる範囲内の可視領域において吸収を示す、分子を夫々由来とする、幾つかのラジカルを含むことに注意すべきである。さらに、該染料のこの吸光度は、如何なる予備的なその酸化も、あるいは如何なる他の化学種との組合せをも必要としない。
多重発色団染料の場合、該発色団は、カチオン性又は非-カチオン性であり得る、少なくとも一つのリンカーによって、一緒に結合されている。
好ましくは、該リンカーは、直鎖、分岐鎖又は環状のC1-C20アルキル鎖であり、これは場合により少なくとも一つのヘテロ原子(例えば、窒素又は酸素)及び/又はこのような原子を含む少なくとも一つの基(CO、SO2)で中断されており;場合によりフェニル核と融合されていてもされていなくてもよく、該リング内に組込まれた少なくとも一つの四級化窒素原子及び場合により少なくとも一つの他のヘテロ原子(例えば、酸素、窒素又は硫黄原子)を含む、少なくとも一つのヘテロ環によって中断されており;場合により少なくとも一つの置換又は無置換のフェニル又はナフチル基、場合により2つの置換又は無置換のC1-C15アルキル基で置換された少なくとも一つの四級アンモニウム基で中断されており;該リンカーは、如何なるニトロ、ニトロソ又はパーオキシ基をも含まないものである。
【0053】
該ヘテロ環又は芳香核が置換されている場合、これらは、例えば1種又はそれ以上の、場合によりヒドロキシル基、C1-C2アルコキシ基、C2-C4ヒドロキシアルコキシ基、アセチルアミノ基、又は1種又はそれ以上のC1-C4アルキル基で置換され、場合により少なくとも一つのヒドロキシル基を持ち、又は該2つの基は恐らくこれらが結合している窒素原子と共に、窒素原子以外の、同一又は異なる他のヘテロ原子を場合により含む5-又は6-員のヘテロ環を形成する、アミノ基で置換されたC1-C8アルキル基;ハロゲン原子;ヒドロキシル基;C1-C2アルコキシ基;C2-C4ヒドロキシアルコキシ基;アミノ基;1又は2個の同一又は異なる、場合により少なくとも一つのヒドロキシル基を持つ、C1-C4アルキル基で置換されたアミノ基で置換されている。
本発明に従って使用できる該ベンゼン系直接染料としては、非-限定的な例として、以下に列挙するものを挙げることができる:
【0054】
・1,4-ジアミノ-2-ニトロベンゼン;
・1-アミノ-2-ニトロ-4-β-ヒドロキシエチルアミノベンゼン;
・1-アミノ-2-ニトロ-4-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノベンゼン;
・1,4-ビス(β-ヒドロキシエチルアミノ)-2-ニトロベンゼン;
・1-β-ヒドロキシエチルアミノ-2-ニトロ-4-ビス(β-ヒドロキシエチルアミノ)ベンゼン
・1-β-ヒドロキシエチルアミノ-2-ニトロ-4-アミノベンゼン;
・1-β-ヒドロキシエチルアミノ-2-ニトロ-4-(エチル)(β-ヒドロキシエチル)アミノベンゼン;
・1-アミノ-3-メチル-4-β-ヒドロキシエチルアミノ-6-ニトロベンゼン;
・1-アミノ-2-ニトロ-4-β-ヒドロキシエチルアミノ-5-クロロベンゼン;
・1,2-ジアミノ-4-ニトロベンゼン;
・1-アミノ-2-β-ヒドロキシエチルアミノ-5-ニトロベンゼン;
・1,2-ビス(β-ヒドロキシエチルアミノ)-4-ニトロベンゼン;
・1-アミノ-2-トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ-5-ニトロベンゼン;
・1-ヒドロキシ-2-アミノ-5-ニトロベンゼン;
【0055】
・1-ヒドロキシ-2-アミノ-4-ニトロベンゼン;
・1-ヒドロキシ-3-ニトロ-4-アミノベンゼン;
・1-ヒドロキシ-2-アミノ-4,6-ジニトロベンゼン;
・1-β-ヒドロキシエチルオキシ-2-β-ヒドロキシエチルアミノ-5-ニトロベンゼン;
・1-メトキシ-2-β-ヒドロキシエチルアミノ-5-ニトロベンゼン;
・1-β-ヒドロキシエチルオキシ-3-メチルアミノ-4-ニトロベンゼン;
・1-β,γ-ジヒドロキシプロピルオキシ-3-メチルアミノ-4-ニトロベンゼン;
・1-β-ヒドロキシエチルアミノ-4-β,γ-ジヒドロキシプロピルオキシ-2-ニトロベンゼン
・1-β,γ-ジヒドロキシプロピルアミノ-4-トリフルオロメチル-2-ニトロベンゼン;
・1-β-ヒドロキシエチルアミノ-4-トリフルオロメチル-2-ニトロベンゼン;
・1-β-ヒドロキシエチルアミノ-3-メチル-2-ニトロベンゼン;
・1-β-アミノエチルアミノ-5-メトキシ-2-ニトロベンゼン;
・1-ヒドロキシ-2-クロロ-6-エチルアミノ-4-ニトロベンゼン;
・1-ヒドロキシ-2-クロロ-6-アミノ-4-ニトロベンゼン;
・1-ヒドロキシ-6-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-3-ニトロベンゼン;
・1-β-ヒドロキシエチルアミノ-2-ニトロベンゼン;
・1-ヒドロキシ-4-β-ヒドロキシエチルアミノ-3-ニトロベンゼン;
【0056】
本発明に従って使用できる上記アゾ、アゾメチン、メチン及びテトラアザペンタメチン直接染料としては、特許出願WO 95/15144、WO 95/01772及びEP 714 954;FR 2 189 006、FR 2 285 851、FR 2 140 205、EP 1 378 544及びEP 1 674 073に記載されているカチオン性染料を挙げることができる。
従って、最も特別には以下の式(I)〜(IV)で表される染料、及び好ましくは以下の式(I)及び(III)で表される化合物を挙げることができる:
【0057】
【化2】

【0058】
ここで、
Dは、窒素原子又はCH基を表し、
R1及びR2は、同一又は異なっていてもよく、水素原子;-CN、-OH又はNH2で置換されていてもよいC1-C4アルキル基を表し;あるいは該ベンゼンリングの炭素原子と共に、1又はそれ以上のC1-C4アルキル基で置換されていてもよい、場合により酸素又は窒素原子を含むヘテロ環を形成し;あるいは4'-アミノフェニル基を表し;
R3及びR'3は、同一又は異なっていてもよく、水素原子又は塩素、臭素、ヨウ素及びフッ素原子から選択されるハロゲン原子、又はシアノ基、C1-C4アルキル基、C1-C4アルコキシ基又はアセチルオキシ基を表し;
X-は、好ましくは塩素原子、メチルサルフェート及びアセテート基から選択されるアニオンを表し;
Aは、以下の式で示される構造A1〜A18、好ましくはA1、A4、A7、A13及びA18基から選択される基を表し:
【0059】
【化3】

【0060】
ここで、R4は、ヒドロキシル基で置換されていてもよいC1-C4アルキル基を表し、またR5は、C1-C4アルコキシ基を表し;
【0061】
【化4】

【0062】
ここで、
R6は、水素原子又はC1-C4アルキル基を表し;
R7は水素原子、-CN基又はアミノ基で置換されていてもよいアルキル基、4'-アミノフェニル基を表すか、あるいはR6と共に、場合により酸素及び/又は窒素原子を含み、C1-C4アルキル基で置換されていてもよいヘテロ環を形成し;
R8及びR9は、同一又は異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、例えば臭素、塩素、ヨウ素又はフッ素原子、C1-C4アルキル基又はC1-C4アルコキシ基、又はCN基を表し;
X-は、好ましくは塩素原子、メチルサルフェート及びアセテート基から選択されるアニオンを表し;
Bは、以下の構造式B1〜B6で表されるものから選択される基を表し:
【0063】
【化5】

【0064】
ここで、R10はC1-C4アルキル基を表し、R11及びR12は、同一又は異なっていてもよく、水素原子又はC1-C4アルキル基を表し;
【0065】
【化6】

【0066】
ここで、
R13は水素原子、C1-C4アルコキシ基、ハロゲン原子、例えば臭素、塩素、ヨウ素又はフッ素原子、又はアミノ基を表し;
R14は水素原子、C1-C4アルコキシ基を表し、又は該ベンゼンリングの炭素原子と共に、場合により酸素原子を含み、及び/又は1又はそれ以上のC1-C4アルキル基で置換されていてもよい、ヘテロ環を形成し;
R15は水素原子又はハロゲン原子、例えば塩素、臭素、ヨウ素又はフッ素原子を表し;
R16及びR17は、同一又は異なっていてもよく、水素原子又はC1-C4アルキル基を表し;
D1及びD2は、同一又は異なっていてもよく、水素原子又はCH基を表し;
m=0又は1、好ましくは1であり;
R13が、無置換のアミノ基を表す場合には、D1及びD2は、同時に-CHを表しかつm=0であることを理解すべきであり;
X-は、好ましくは塩素原子、メチルサルフェート及びアセテート基から選択されるアニオンを表し;
Eは、以下の構造式E1〜E8、特に構造式E1、E2及びE7で表されるものから選択される基を表し:
【0067】
【化7】

【0068】
ここで、R'は、C1-C4アルキル基を表し;
m=0かつD1が窒素原子を表す場合、Eは以下の構造式E9を持つ基を表すこともでき:
【0069】
【化8】

【0070】
ここで、R'は、C1-C4アルキル基を表し;
【0071】
【化9】

【0072】
ここで、
該記号Gは、以下の構造式G1〜G3で表されるものから選択される基を表し:
【0073】
【化10】

【0074】
ここで、該構造G1〜G3において、
R18はC1-C4アルキル基、C1-C4アルキル基で置換されていてもよいフェニル基、又は塩素、臭素、ヨウ素及びフッ素原子から選択されるハロゲン原子を表し;
R19はC1-C4アルキル基又はフェニル基を表し;
R20及びR21は、同一又は異なっていてもよく、C1-C4アルキル基、フェニル基を表し、又はG1においては、一緒に、1又はそれ以上のC1-C4アルキル基、C1-C4アルコキシ基又はNO2基で置換されたベンゼンリングを形成し、あるいはG2においては一緒に、場合により1又はそれ以上のC1-C4アルキル基、C1-C4アルコキシ基又はNO2基で置換されたベンゼンリングを形成し;
R20はまた水素原子を表すこともでき;
Zは酸素又は硫黄原子又は基:-NR19を表し;
Mは基:-CH、-CR(RはC1-C4アルキル基を表す)又はNR22(X-)rを表し;
Kは基:-CH、-CR(RはC1-C4アルキル基を表す)又はNR22(X-)rを表し;
Pは基:-CH、-CR(RはC1-C4アルキル基を表す)又はNR22(X-)rを表し;
rは0又は1を表し;
R22はO-原子、C1-C4アルコキシ基又はC1-C4アルキル基を表し;
【0075】
R23及びR24は、同一又は異なっていてもよく、水素原子又は塩素、臭素、ヨウ素及びフッ素原子から選択されるハロゲン原子、C1-C4アルキル基又はC1-C4アルコキシ基、あるいは-NO2基を表し;
X-は、好ましくは塩素、ヨウ素、メチルサルフェート、エチルサルフェート、アセテート及びパークロレートから選択されるアニオンを表し;
但し、R22がO-原子を表す場合には、rは0であり;
K又はP又はMが-N-(C1-C4)アルキルX-を表す場合、R23又はR24は、好ましくは、水素原子以外の基を表し;
Kが-NR22(X-)rを表す場合、M=P=-CH又はCRであり;
Mが-NR22(X-)rを表す場合、K=P=-CH又はCRであり;
Pが-NR22(X-)rを表す場合、K=Mであり、また-CH又はCRを表し;
【0076】
Zが硫黄原子を表すと共に、R21がC1-C4アルキル基を表す場合、R20は水素原子以外の基であり;
Zが-NR22を表すと共に、R19がC1-C4アルキル基を表す場合、該構造G2の基であるR18、R20又はR21の少なくとも一つは、C1-C4アルキル基以外の基であり;
記号Jは、以下に列挙する基を表し:
・(a) 以下の構造式J1で表される基:
【0077】
【化11】

【0078】
該構造式J1において、
R25は水素原子、塩素、臭素、ヨウ素及びフッ素原子から選択されるハロゲン原子、C1-C4アルキル基又はC1-C4アルコキシ基、-OH、-NO2、-NHR28、-NR29R30又はC1-C4 -NHCOアルキル基を表し、あるいはR26と共に、場合により窒素、酸素及び硫黄原子から選択される1種又はそれ以上のヘテロ原子を含む、5-又は6-員のリングを形成し;
R26は水素原子、塩素、臭素、ヨウ素及びフッ素原子から選択されるハロゲン原子、C1-C4アルキル基又はC1-C4アルコキシ基を表すか、あるいはR27又はR28と共に、場合により窒素、酸素及び硫黄原子から選択される1種又はそれ以上のヘテロ原子を含む、5-又は6-員のリングを形成し;
R27は水素原子、-OH基、基:-NHR28又は-NR29R30を表し;
R28は水素原子、C1-C4アルキル基、C1-C4モノヒドロキシアルキル基、C2-C4ポリヒドロキシアルキル基又はフェニル基を表し;
R29及びR30は、同一又は異なっていてもよく、C1-C4アルキル基、C1-C4モノヒドロキシアルキル基又はC2-C4ポリヒドロキシアルキル基を表し;
・(b) 5-又は6-員の窒素原子含有ヘテロ環式基であって、他のヘテロ原子及び/又はカルボニル基を含むことができ、また1種又はそれ以上のC1-C4アルキル基、アミノ基又はフェニル基で置換されていてもよく、また特に以下の構造式J2を持つ基を表し:
【0079】
【化12】

【0080】
該構造式J2において、
R31及びR32は、同一又は異なっていてもよく、水素原子、C1-C4アルキル基又はフェニル基を表し;
Yは-CO-基又は次式で表される基を表し:
【0081】
【化13】

【0082】
nは0又は1であり、nが1である場合、Uは-CO-基を表す。
上記構造式(I)〜(IV)において、該C1-C4アルキル基又はアルコキシ基は、好ましくはメチル、エチル、ブチル、メトキシ又はエトキシ基を表す。
式(I)及び(III)で表される上記化合物としては、以下の式で表される化合物が好ましい:
【0083】
【化14】

【0084】
同様に列挙可能な上記アゾ直接染料は、「カラーインデックスインターナショナル(Colour Index International)」第3版に記載されている以下のような染料である:
・ディパースレッド(Disperse Red) 17;
・ベーシックレッド(Basic Red) 22;
・ベーシックレッド(Basic Red) 76;
・ベーシックイエロー(Basic Yellow) 57;
・ベーシックブラウン(Basic Brown) 16;
・ベーシックブラウン(Basic Brown) 17;
・ディパースブラック(Disperse Black) 9
同様に、1-(4'-アミノジフェニルアゾ)-2-メチル-4-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノベンゼンを挙げることもできる。
【0085】
列挙可能な上記キノン直接染料は、以下に例示する染料である:
・ディパースレッド(Disperse Red) 15;
・ソルベントバイオレット(Solvent Violet) 13;
・ディパースバイオレット(Disperse Violet) 1;
・ディパースバイオレット(Disperse Violet) 4;
・ディパースブルー(Disperse Blue) 1;
・ディパースバイオレット(Disperse Violet) 8;
・ディパースブルー(Disperse Blue) 3;
・ディパースレッド(Disperse Red) 11;
・ディパースブルー(Disperse Blue) 7;
・ベーシックブルー(Basic Blue) 22;
・ディパースバイオレット(Disperse Violet) 15;
・ベーシックブルー(Basic Blue) 99;
同様に以下の化合物をも挙げることができる:
・1-N-メチルモルホリニウムプロピルアミノ-4-ヒドロキシアンスラキノン;
・1-アミノプロピルアミノ-4-メチルアミノアンスラキノン;
・1-アミノプロピルアミノアンスラキノン
・5-β-ヒドロキシエチル-1,4-ジアミノアンスラキノン
・2-アミノエチルアミノアンスラキノン;
・1,4-ビス(β,γ-ジヒドロキシプロピルアミノ)アンスラキノン。
【0086】
列挙可能な上記アジン染料は、以下のような化合物である:
・ベーシックブルー(Basic Blue) 17;
・ベーシックレッド(Basic Red) 2
本発明に従って使用できる上記トリアリールメタン染料としては、以下のような化合物を挙げることができる:
・ベーシックグリーン(Basic Green) 1;
・ベーシックバイオレット(Basic Violet) 3;
・ベーシックバイオレット(Basic Violet) 14;
・ベーシックブルー(Basic Blue) 7;
・ベーシックブルー(Basic Blue) 26。
本発明に従って使用できる上記インドアミン染料としては、以下のような化合物を挙げることができる:
・2-β-ヒドロキシエチルアミノ-5-[ビス(β-4'-ヒドロキシエチル)アミノ]アニリノ-1,4-ベンゾキノン
・2-β-ヒドロキシエチルアミノ-5-(2'-メトキシ-4'-アミノ)アニリノ-1,4-ベンゾキノン
・3-N-(2'-クロロ-4'-ヒドロキシ)フェニルアセチルアミノ-6-メトキシ-1,4-ベンゾキノンイミン
・3-N-(3'-クロロ-4'-メチルアミノ)フェニルウレイド-6-メチル-1,4-ベンゾキノンイミン
・3-[4'-N-(エチル、カルバミルエチル)アミノ]フェニルウレイド-6-メチル-1,4-ベンゾキノンイミン
本発明に従って使用できる上記テトラアザペンタメチン型の染料としては、以下の表に与えられた、以下の化合物を挙げることができる:
【0087】
【化15】

【0088】
上記式において、X-は、好ましくは塩素原子、ヨウ素原子、メチルサルフェート、エチルサルフェート、アセテート及びパークロレートから選択されるアニオンを表す。
該多重発色団を持つ染料として、より具体的には、対称又は非-対称のアゾ及び/又はアゾメチン(ヒドラゾン)2-発色団又は3-発色団を持つ染料を挙げることができ、これらは、一方では、少なくとも一つの場合により融合された5-又は6-員の芳香族ヘテロ環を含み、該ヘテロ環内に組込まれた少なくとも一つの四級化窒素原子及び場合により少なくとも一つの他のヘテロ原子(例えば、窒素、硫黄又は酸素原子)を含み、また他方では、少なくとも一つの、場合により置換されたフェニル又はナフチル基を含み、ここで該フェニル又はナフチル基は、場合により少なくとも一つの基OR[ここで、Rは水素原子、場合により置換されたC1-C6アルキル基、場合により置換されたフェニル核、又は少なくとも一つの基N(R')2(ここで、同一又は異なるR'は、水素原子、場合により置換されたC1-C6アルキル基、又は場合により置換されたフェニル核を表す)を表す]を有し、該基R'は、場合によりこれらが結合している窒素原子と共に、飽和5-又は6-員のヘテロ環を形成し、あるいはまた該基R'の一方及び/又は両者は、各々該窒素原子に対してo-位に位置する、該芳香族リングの炭素原子と共に、飽和5-又は6-員のヘテロ環を形成し得る。
【0089】
好ましいものとして例示できる芳香族カチオン性ヘテロ環は、1〜3個の窒素原子、及び好ましくは1又は2個の窒素原子を含み、その一方が四級化されている5-又は6-員のリングを含み、該ヘテロ環は、さらに場合によりベンゼン核と融合されている。同様に、該ヘテロ環は、場合により窒素原子以外にもう一つのヘテロ原子、例えば硫黄又は酸素原子を含むことができることに注意すべきである。
該ヘテロ環又はフェニル又はナフチル基が、置換されている場合、これらの基は、例えば場合によりヒドロキシル基、C1-C2アルコキシ基、C2-C4ヒドロキシアルコキシ基、アセチルアミノ基又は場合により少なくとも一つのヒドロキシル基を持つ、1又は2個のC1-C4アルキル基で置換された、あるいはこれら2つの基が、場合によりこれらが結合している窒素原子と共に、場合により窒素原子以外の、同一又は異なるもう一つのヘテロ原子を含む、5-又は6-員のヘテロリングを形成するアミノ基で置換された、1又はそれ以上のC1-C8アルキル基;ハロゲン原子;ヒドロキシル基;C1-C2アルコキシ基;C2-C4ヒドロキシアルコキシ基;アミノ基;場合により少なくとも一つのヒドロキシル基を持つ、1又は2個の同一又は異なるC1-C4アルキル基で置換されたアミノ基で、置換されている。
【0090】
これらの多重発色団は、飽和又は不飽和で、場合により芳香族のヘテロ環内に組込まれていても組込まれていなくてもよい、少なくとも一つの四級化された窒素原子を場合により含む、少なくとも一つのリンカーによって一緒に結合されている。
好ましくは、該リンカーは、直鎖、分岐鎖又は環状のC1-C20アルキル鎖であって、場合により少なくとも一つのヘテロ原子(例えば、窒素原子又は酸素原子)及び/又はヘテロ原子等を含む少なくとも一つの基(CO又はSO2)で中断されており;場合によりフェニル核と融合していても融合していなくてもよい、また少なくとも一つの、該リング内に組込まれた四級化窒素原子、及び場合により少なくとも一つの他のヘテロ原子(例えば、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子)を含む、少なくとも一つのヘテロ環で中断されており;場合により、少なくとも一つの置換又は無置換のフェニル又はナフチル基で中断され、場合により置換された2つのC1-C15アルキル基で置換されている、少なくとも一つの四級化アンモニウム基で中断されている。ここで、該リンカーは、如何なるニトロ、ニトロソ又はパーオキシ基をも含まないものである。
該リンカーと各発色団との間の結合は、一般的に該フェニル又はナフチル核上のヘテロ原子-含有置換基を介して、あるいは該カチオン性ヘテロ環の四級化された窒素原子を介して起こる。
【0091】
該染料は、同一又は異なる発色団を含むことができる。
このような染料の例に関しては、特に以下に列挙する特許出願を参照することができる:EP 1 637 566、EP 1 619 221、EP 1 634 926、EP 1 619 220、EP 1 672 033、EP 1 671 954、EP 1 671 955、EP 1 679 312、EP 1 671 951、EP 167 952、EP 167 971、WO 06/063 866、WO 06/063 867、WO 06/063 868、WO 06/063 869、EP 1 408 919、EP 1 377 264、EP 1 377 262、EP 1 377 261、EP 1 377 263、EP 1 399 425、EP 1 399 117、EP 1 416 909、EP 1 399 116及びEP 1 671 560。
以下の特許出願に記載されている、カチオン性直接染料を使用することも可能である:EP 1 006 153:ここには、カチオン型のリンカーを介して結合されたアンスラキノン型の2種の発色団を含む染料が記載されている;EP 1 433 472、EP 1 433 474、EP 1 433 471及びEP 1 433 473:ここには、カチオン性又は非-カチオン性リンカーを介して結合された同一又は異なる2-発色団型の染料が記載されている;及びEP 6 291 333:ここには、特に3個の発色団を含み、その一つがアンスラキノン発色団であり、これにアゾ又はジアザカルボシアニン型又はその異性体である2つの発色団が結合している染料が、記載されている。
【0092】
本発明に従って使用できる上記天然直接染料としては、ラウソン、ジュグロン、アリザリン、パープリン、カルミニン酸、ケルメス酸、プルプロガリン、プロトカテキュアルデヒド、インジゴ、イサチン、クルクミン、スピヌロシン、アピゲニジン、及びオルセインズ(orceins)を挙げることができる。これらの天然染料を含有する抽出液又は浸出液及び特にヘンナを主成分とするパップ又は抽出液を使用することも可能である。
該直接染料が存在する場合、これらは、より具体的には該組成物の全質量に対して、0.0001〜10質量%なる範囲及び好ましくは0.005〜5質量%なる範囲を占める。
該化粧料組成物(B)は、1種の型及び/又は他の型の染料を含むことができる。これは、場合により2種の染料組成物の混合物に由来するものであり得、その一つは酸化染料を含み、他方は該直接染料を含む。
該化粧料組成物(B)は、また1種又はそれ以上の、好ましくは有機アミン及びその塩、有機塩基及びアンモニウム塩から選択されるアルカリ性薬剤をも含む。
該アルカリ性薬剤は、有機又は無機又はその混合物であり得る。
【0093】
本発明の目的に対して使用できる第一の型のアルカリ性薬剤は、25℃におけるpKbが12未満、好ましくは10未満及びより一層有利には6未満の、有機アミンである。これが、最大の塩基性度を持つ官能基に相当するpKbであることに注目すべきである。
本発明の第一の変形によれば、該有機アミンは、一級、二級又は三級アミン官能基、及び1又はそれ以上のヒドロキシル基を持つ、1又はそれ以上の直鎖又は分岐鎖C1-C8アルキル基を含む。
1〜3個の同一又は異なるC1-C4ヒドロキシアルキル基を含む、アルカノールアミン、例えばモノ-、ジ-又はトリ-アルカノールアミンから選択される有機アミンが、本発明を実施する上で特に適している。
列挙可能なこの型の化合物は、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N-ジメチルアミノエタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、3-ジメチルアミノ-1,2-プロパンジオール、及びトリス(ヒドロキシメチルアミノ)メタンである。
以下の式で表される有機アミンも、使用するのに適している:
【0094】
【化16】

【0095】
ここで、Wは、ヒドロキシル基で場合により置換されたC1-C6アルケン基又はC1-C6アルキル基であり; Rx、Ry、Rz及びRtは、同一又は異なっていてもよく、水素原子、又はC1-C6アルキル基、C1-C6ヒドロキシアルキル基又はC1-C6アミノアルキル基を表す。
列挙可能なこのようなアミンの例は、1,3-ジアミノプロパン、1,3-ジアミノ-2-プロパノール、スペルミン及びスペルミジンを包含する。
本発明の他の変形によれば、該有機アミンは、アミノ酸から選択される。
より具体的には、使用可能なアミノ酸は、L-形、D-形又はラセミ形状にある天然又は合成起源のアミノ酸であり、またより具体的にはカルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸及びリン酸官能基から選択される、少なくとも一つの酸官能基を含む。該アミノ酸は、中性又はイオン化状態であり得る。
有利には、該アミノ酸は、場合によりリング内又はウレイド官能基内に含まれる、追加のアミン官能基を含む、塩基性アミノ酸である。
このような塩基性アミノ酸は、好ましくは以下の式(I)に相当するアミノ酸から選択される:
【0096】
【化17】

【0097】
ここで、Rは以下に列挙するものから選択される基を表す:
【0098】
【化18】

【0099】
-(CH2)3NH2;-(CH2)2NH2;-(CH2)2NHCONH2
【0100】
【化19】

【0101】
該式(I)に対応する化合物は、ヒスチジン、リジン、アルギニン、オルニチン及びシトルリンである。
本発明において使用できるアミノ酸としては、特にアスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン、アルギニン、オルニチン、シトルリン、アスパラギン、カルニチン、システイン、グルタミン、リジン、ヒスチジン、リジン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、N-フェニルアラニン、プロリン、セリン、タウリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン及びバリンを挙げることができる。
本発明の好ましい一変形によれば、該有機アミンは、塩基性アミノ酸から選択される。特に好ましいアミノ酸は、アルギニン、リジン及びヒスチジン、又はこれらの混合物である。
本発明のもう一つの変形によれば、該有機アミンは、ヘテロ環式有機アミンから選択される。該アミノ酸に関連して既に述べたヒスチジンに加えて、特にピリジン、ピペリジン、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール及びベンズイミダゾールを挙げることができる。
【0102】
本発明の別の変形によれば、該有機アミンは、アミノ酸のジペプチドから選択される。本発明において使用できるアミノ酸のジペプチドとしては、特にカルノシン、アンセリン及びバレイン(baleine)を挙げることができる。
本発明のもう一つの変形によれば、該有機アミンは、グアニジン官能基を含む化合物から選択される。本発明において使用できるこの型のアミンとしては、アミノ酸として既に述べたアルギニンとは別に、特にクレアチン、クレアチニン、1,1-ジメチルグアニジン、1,1-ジエチルグアニジン、グリコシアミン、メトホルミン、アグマチン、N-アミジノアラニン、3-グアニジノプロピオン酸、4-グアニジノ酪酸及び2-([アミノ(イミノ)メチル]アミノ)エタン-1-スルホン酸を挙げることができる。
好ましくは、該有機アミンは、アルカノールアミンである。より好ましくは、該有機アミンは、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、モノエタノールアミン、又はこれらの混合物から選択される。より一層好ましくは、該有機アミンは、モノエタノールアミンである。
【0103】
本発明の目的に対して使用できる、第二の型のアルカリ性薬剤は、上記の如き有機アミンの有機又は無機塩(この場合、これらの塩は、ハイブリッドアルカリ性薬剤と呼ばれる)を包含する。
好ましくは、該有機塩は、有機酸の塩、例えばクエン酸塩、乳酸塩、グリコール酸塩、グルコン酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、フマール酸塩、シュウ酸塩及び酒石酸塩から選択される。
好ましくは、該無機塩は、ヒドロハライド(例えば、塩酸塩)、炭酸塩、重炭酸塩、硫酸塩、リン酸水素塩及びリン酸塩から選択される。
本発明の目的に対して使用できる、第三の型のアルカリ性薬剤は、無機塩基である。
本発明の目的にとって、該用語「無機化合物」とは、その構造内に、水素以外の、元素周期律表の第1〜第13列の、1又はそれ以上の元素を含む任意の化合物を意味する。
本発明の一特定の態様によれば、該無機塩基は、水素以外の、元素周期律表の第1及び第2列の、1又はそれ以上の元素を含む。
好ましい一変形において、該無機塩基は、以下の構造を持つ:
(Z1x-)m(Z2y+)n
ここで、
Z2は、元素周期律表の第1〜第13列及び好ましくは第1又は第2列の金属、例えばナトリウム又はカリウムを表し;
Z1x-はCO32-、OH-、HCO32-、SiO32-、HPO42-、PO43-及びB4O72-イオンから選択され、好ましくはCO32-、OH-及びSiO32-イオンから選択されるアニオンを表し;
xは1、2又は3を表し;
yは1、2、3又は4を表し;
m及びnは、それぞれ独立に、1、2、3又は4を表し;但し、n.y = m.xであることを条件とする。
【0104】
好ましくは、該無機塩基は、以下の式:(Z1x-)m(Z2y+)nに相当するものであって、ここでZ2は元素周期律表の第1及び第2列の金属を表し、Z1x-はCO32-、OH-及びSiO32-イオンから選択されるアニオンを表し、xは1であり、yは1又は2を表し、またm及びnは、各々独立に、1又は2を表し、但しn.y = m.xであることを条件とする。
本発明に従って使用できる無機塩基としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、メタケイ酸ナトリウム及びメタケイ酸カリウムを挙げることができる。
本発明の目的に対して使用できる、第四の型のアルカリ性薬剤は、アンモニウム塩基である。
本発明による組成物(B)において使用できる該アンモニウム塩は、(NH4+)アンモニウム塩である。
本発明による組成物(B)において使用できる該アンモニウム塩は、好ましくは以下のような酸の塩:酢酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、塩化物、クエン酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、リン酸塩、硫酸塩から選択される。特に好ましい方法においては、該塩は炭酸塩である。特に好ましい方法においては、炭酸アンモニウムが使用されるであろう。
【0105】
有利には、該組成物(B)は、該組成物の質量に対して、0.01〜30質量%なる範囲、及び好ましくは0.1〜20質量%なる範囲内のアルカリ性薬剤の含有率を持つ。
好ましくは、該組成物(B)は、該アルカリ性薬剤として、全くアンモニア水を含まないことに注意すべきである。しかし、該組成物が幾分かのアンモニア水を含む場合、その含有率は、好ましくは0.03質量%(NH3として表して)を越えるべきではなく、またより一層好ましくは、該含有率は、該最終的な組成物の質量に対して、0.01質量%を越えるべきではない。
該組成物(B)は、無水又は水性組成物であり得る。該用語「水性組成物」とは、5質量%を越える水、好ましくは10質量%を越える水及びより一層有利には20質量%を越える水を含む組成物を意味する。
好ましくは、該化粧料組成物(B)は、水性組成物である。
好ましくは、該組成物(B)は、水を含む。より一層有利には、該水の濃度は、該組成物の全質量の、10〜90質量%なる範囲及びより一層好ましくは20〜80質量%なる範囲内であり得る。
【0106】
該組成物は、場合により1又はそれ以上の溶媒を含むことができる。
列挙可能な有機溶媒の例は、直鎖又は分岐鎖のC2-C4アルカノール、例えばエタノール及びイソプロパノール;グリセロール;ポリオール及びポリオールエーテル、例えば2-ブトキシエタノール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル及びモノエチルエーテル、さらにまた芳香族アルコール、例えばベンジルアルコール又はフェノキシエタノール、及びこれらの混合物を含む。
該溶媒は、これらが存在する場合には、通常、該化粧料組成物(B)の質量に対して、1〜40質量%なる範囲、及び好ましくは5〜30質量%なる範囲内の含有率に相当する。
該化粧料組成物(B)は、また標準的な添加剤、例えば前に挙げたもの等を含むことができ、それを参照することができる。
該化粧料組成物(B)のpHは、該組成物が水性である場合、2〜12なる範囲、及び好ましくは8〜11なる範囲内にある。該pHは、酸性化剤又は塩基性化剤を使用することにより調節される。
【0107】
列挙可能な該酸性化剤としては、例えば無機又は有機酸、例えば塩酸、オルトリン酸、硫酸、カルボン酸、例えば酢酸、酒石酸、クエン酸又は乳酸、及びスルホン酸が挙げられる。
該塩基性化剤としては、これが存在する場合、該塩基性化剤は、前に記載した塩とされていない有機アミン、あるいは場合により、好ましくはないが、アンモニア水から選択することができる。好ましくは、該組成物がアンモニア水又はその塩を含む場合、該塩基性化剤の含有率は、アンモニア水(NH3として表して)の含有率よりも高い。該組成物(B)における塩基性化剤としてアンモニア水を使用する場合、該組成物(B)におけるアンモニア水の含有率は、好ましくは0.03質量%(NH3として表して)を越えず、またより好ましくは該最終的な組成物の質量に対して、0.01質量%を越えないであろう。
有利には、該最終的な組成物におけるアンモニア水の含有率は、該最終的な組成物の質量に対して、0.03質量%(NH3として表して)を越えず、またより好ましくは0.01質量%を越えない。
【0108】
該最終的な組成物は、上記組成物(A)、(B)及び(C)の混合により得られ、これらの混合物は、ケラチン繊維に適用する前に(その場での調製)、あるいは該ケラチン繊維上で直接(予備混合し、あるいは予備混合せずに、また中間的な濯ぎ操作なしに、順次適用)調製されるものであることが望ましい。
この工程が、該組成物(A)及び(B)のプレミックス又は該組成物(A)、(B)及び(C)をその場で一緒に混合することによって得た処方物を用いて行われる場合、該混合と毛髪への適用との間の間隔は、好ましくは30分を越えず、好ましくは10分を越えず、またより一層好ましくは5分を越えるべきではない。
最後に、この工程は、1種又はそれ以上の酸化剤を含む組成物(C)を用いて行われる。
より詳しくは、該酸化剤は、過酸化水素、過酸化ウレア、アルカリ金属臭素酸塩又はフェリシアナイド、過酸化(peroxygenated)塩、例えば過硫酸塩、過硼酸塩、アルカリ金属又はアルカリ土類金属過炭酸塩、さらにまた過酸又はそのプリカーサから選択される。1種又はそれ以上のレドックス酵素、例えばラッカーゼ、ペルオキシダーゼ及び2-電子酸化還元酵素(例えば、ウリカーゼ)をも、場合により夫々のドナー又は補助因子の存在下で、酸化剤として使用することもできる。
【0109】
この酸化剤は、有利には、過酸化水素から、特にその濃度が、該酸化性組成物(C)に対して、より詳しくは0.1〜50質量%なる範囲、より一層有利には0.5〜20質量%なる範囲及びより一層好ましくは1〜15質量%なる範囲内であり得る水性溶液(水性過酸化水素用液)として製造される。
所定の淡色化度に依存して、該酸化剤は、また好ましくは過酸化塩から選択される酸化剤を含むことができる。
該酸化性組成物は、水性であっても、また水性でなくてもよい。該用語「水性組成物」とは、5質量%を越える水、好ましくは10質量%を越える水、及びより一層有利には20質量%を越える水を含む組成物を意味する。
【0110】
好ましくは、該酸化性組成物(C)は、水性組成物である。
また、該酸化性組成物は、1種又はそれ以上の有機溶媒を含むこともできる。
列挙可能な有機溶媒の例は、直鎖又は分岐鎖のC2-C4アルカノール、例えばエタノール及びイソプロパノール;グリセロール;ポリオール及びポリオールエーテル、例えば2-ブトキシエタノール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル及びモノエチルエーテル、さらにまた芳香族アルコール、例えばベンジルアルコール又はフェノキシエタノール、及びこれらの混合物を含む。
該溶媒は、これらが存在する場合には、通常、該酸化性組成物(C)の質量に対して、1〜40質量%なる範囲、及び好ましくは5〜30質量%なる範囲内の含有率に相当する。
該酸化性組成物(C)は、1種又はそれ以上の、前に記載したような酸性化剤を含むことができる。
通常、該化粧料組成物(C)のpHは、該組成物が水性である場合、7未満である。
【0111】
該酸化性組成物(C)は、また当分野において従来から使用されている他の成分、特に例えば上記水性組成物(A)又は組成物(B)に関連して詳しく説明されたものを含むことができる。
最後に、該酸化性組成物(C)は、様々な形状、例えば溶液、エマルション又はゲル形状にある。
本発明の第一の変形によれば、該組成物(A)、(B)及び(C)は、順次及び中間的な濯ぎなしに、湿潤状態又は乾燥状態にあるケラチン繊維に適用され、またより詳しくは、組成物(A)、次いで組成物(B)及び次に組成物(C)を、あるいは組成物(B)、次いで組成物(A)及び次に組成物(C)を適用する。
本発明の方法の第二の変形によれば、適用前に、該組成物(A)及び(B)の混合により得られる組成物、及び次に該酸化性組成物(C)が、中間的な濯ぎなしに、該ケラチン繊維に順次適用される。
【0112】
該方法の第三の変形によれば、適用に先立って、該組成物(A)、(B)及び(C)を、その場で混合することによって得た組成物を、湿潤状態又は乾燥状態にあるケラチン繊維に適用する。この変形法が好ましい。
有利には、該第二及び第三の変形において、該混合と毛髪への適用との間の間隔は、好ましくは30分を越えず、好ましくは10分を越えずまたより好ましくは5分を越えない。
この変形において、組成物[(A)+(B)]の量/組成物(C)の量なる質量比R1及び組成物(A) の量/組成物(B)の量なる比R2は、0.1〜10なる範囲、及び好ましくは0.3〜3なる範囲で変動する。
該方法の一変形に従えば、上記該組成物(A)、(B)及び(C)を混合した後に得られる該組成物は、混合後に、脂肪物質の含有率が、該組成物全質量に対して、20質量%を越える、好ましくは25質量%を越える、及びより好ましくは30質量%を越えるような組成物である。
【0113】
さらに、使用した変形とは無関係に、繊維上に存在する該混合物(該組成物のその場での混合、又はこれら組成物の連続的な適用の結果として生成)は、所定期間、一般的には約1分〜1時間及び好ましくは5〜30分間、その場に維持される。
この工程中の温度は、従来から、室温(15〜25℃なる範囲)〜80℃なる範囲、及び好ましくは室温〜60℃なる範囲内にある。
この処理の後、該ヒトケラチン繊維は、場合により水で濯がれ、場合によりシャンプー洗浄され、また次に水で濯がれ、その後乾燥されあるいは放置により乾燥される。
最後に、本発明は、多数の区画を備えたデバイスに係わり、該デバイスは、前記水性組成物(A)を含む第一の区画;1種又はそれ以上のアルカリ薬剤、及び場合により1種又はそれ以上の酸化染料、1種又はそれ以上の直接染料又はこれらの混合物を含む、化粧料組成物(B)を含有する第二の区画;及び1種又はそれ以上の酸化剤を含む、組成物(C)を含有する第三の区画を含む。
【0114】
以下に記載される例は、本発明を例示するのに役立つが、全く、本発明を限定するものではない。

例示的淡色化法
以下の組成物を製造した。そこで、各成分の量はグラム単位で表されている。
水性組成物(A)
【0115】
【表1】

【0116】
組成物(B)
【0117】
【表2】

【0118】
使用の時点において、以下の物質を一緒に混合した:
・9質量部の水性組成物(A) (A1又はA2);
・1質量部の組成物(B);及び
・10質量部の、20容量のプラチニウムインターナショナル(Platinium International)酸化剤(6%過酸化水素)(C)。
得られた混合物は、10±0.1なるpHを有していた。この混合物を、天然の髪の房(色調深度(tone depth):4)に、10/1(g/g)なる浴比:「混合物/房」に従って適用した。
放置期間は室温(約27℃)にて30分であった。
この放置期間の経過後、該毛髪房を濯ぎ、次いでエルビブ(Elvive)マルチビタミンシャンプーで洗浄した。
【0119】
結果
該毛髪房の色彩は、ミノルタ(Minolta) CM2600D分光光度計を用いて、CIE L*a*b*表色系において評価した。
該毛髪房の淡色度(ΔEab*)は、該CIE L*a*b*表色系において評価した。このL*a*b*表色系において、L*は該色彩の強度を表し、a*は該系の緑/赤色彩軸を表し、またb*はその青/黄色色彩軸を表す。L*の値が低いほど、該色彩はより濃くあるいはより強力である。
以下の表において、ΔEab*の値は、以下の式(i)に従って、L*a*b*の値から算出される:

該毛髪房の淡色度(ΔEab*)は、色調深度4の天然の毛髪の房について算出した。
式(i)において、L*、a*及びb*は、淡色化処理後に、色調深度4の天然の毛髪の房について測定された値を表し、またL0*、a0*及びb0*は、未処理の、色調深度4の天然の毛髪の房について測定された値を表す。
ΔEab*の値が大きいほど、該淡色化(色彩のバリエーション)が大きくなる。
【0120】
【表3】

【0121】
上記の表は、アンモニア水以外のアルカリ性薬剤を含む組成物を用いて実施した、本発明の方法が、ケラチン繊維の淡色化の達成を可能とすることを示している。
染色法の例
以下のような組成物を製造した(物質の量はグラム単位で表されている):
水性組成物(A)
【0122】
【表4】

【0123】
化粧料組成物(B)
【0124】
【表5】

【0125】
組成物(C):
【0126】
【表6】

【0127】
使用の時点において、以下の物質を一緒に混合した:
・9質量部の水性組成物(A);
・1質量部の組成物(B);及び
・10質量部の、2.3なる値のpHを持つ、水性酸化性組成物(C)。
得られた混合物は、pH約10(±0.1)を有する、このようにして得た該混合物を、次に90%の白髪(NG)を含む天然の髪の房及び90%の白髪(NG)を含むパーマ掛けした毛髪の房(PWG)に適用した。その浴比:「混合物/房」は、夫々10/1(g/g)であった。
放置期間は27℃にて30分であった。この放置期間の経過後、該毛髪房を濯ぎ、次いでエルビブ(Elvive)マルチビタミンシャンプーで洗浄した。
【0128】
結果
該毛髪房の色彩は、ミノルタ(Minolta) CM2600D分光光度計を用いて、CIE L*a*b*表色系において評価した。
選択性の計算
ΔE(選択性)の値は、以下の式(ii)に従って測定されたL*、a*及びb*の値から算出した:

該式(ii)において、L*、a*及びb*は、染色された天然の白髪について測定された値を表し、またL0*、a0*及びb0*は、染色され、パーマ掛けされた白髪の房について測定された値を表す。
該着色選択性ΔEは、毛根における毛髪の性質を代表する、天然の毛髪と、最終的な毛髪の性質を代表する、パーマ掛けした毛髪との間の色彩の変化に相当する。ΔEの値が低いほど、最終的な毛髪と毛根における毛髪との間の着色均一性が高い。
得られた結果を以下の表に与える:
【0129】
【表7】

【0130】
上記の表から理解されるように、強力かつ僅かに選択的な着色が、本発明の方法に従って得られる。
さらに、該染料混合物の製造中も、また毛髪房上での放置期間中にも、如何なる攻撃的な臭気も観測されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン繊維、特にヒトケラチン繊維、例えば毛髪を淡色化し、あるいはこれを染色する方法であって、
(a) 1種又はそれ以上の脂肪物質及び1種又はそれ以上の界面活性剤を含む、水性化粧料組成物(A)、
(b) 1種又はそれ以上のアルカリ性薬剤を含む化粧料組成物(B)、
(c) 1種又はそれ以上の酸化剤を含む組成物(C)、
を該繊維に適用し、
ここで、該組成物(A)における該脂肪物質の量は、該組成物(A)の全質量に対して20質量%を越えるものであり、
使用された該方法が、該ケラチン繊維を染色する方法である場合には、該化粧料組成物(B)は、さらに1種又はそれ以上の酸化染料及び/又は1種又はそれ以上の直接染料をも含むことを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
前記水性化粧料組成物(A)が、5質量%を越える水、好ましくは10質量%を越える、より一層好ましくは20質量%を越える水を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記脂肪物質が、室温及び大気圧下で液状又はペースト状にある化合物から選択される、請求項1〜2の何れか1項に記載の方法。
【請求項4】
前記脂肪物質が、C6-C16低級アルカン、動物、植物、無機物又は合成起源の非-シリコーン系のオイル、脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル及び/又は脂肪アルコールエステル、非-シリコーン系ワックス、及びシリコーンから選択される、請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記脂肪物質が、液状石油ゼリー、ポリデセン、及び脂肪酸及び/又は脂肪アルコールの液状エステル、又はこれらの混合物から選択される、請求項1〜4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記脂肪物質の濃度が、前記組成物(A)の全質量に対して、少なくとも20質量%、より特定的には25〜80質量%なる範囲及び好ましくは25〜65質量%なる範囲内にある、請求項1〜5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記水性組成物(A)が、ノニオン性界面活性剤、特にモノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化、及びモノグリセロール化又はポリグリセロール化ノニオン性界面活性剤から選択される、1種又はそれ以上の界面活性剤を含む、請求項1〜6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記アルカリ性薬剤が、有機アミン及びその塩、無機塩基及びアンモニウム塩から選択される請求項1〜7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記アルカリ性薬剤が、モノエタノールアミンである、請求項1〜8の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記組成物(B)が、該組成物の質量に対して、0.01〜30質量%なる範囲、及び好ましくは0.1〜20質量%なる範囲内の、アルカリ性薬剤の含有率を持つ、請求項1〜9の何れか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記水性組成物(C)が、過酸化水素、過酸化ウレア、及びアルカリ金属臭素酸塩又はフェリシアナイドから選択される、1種又はそれ以上の酸化剤を含む、請求項1〜10の何れか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記組成物(A)、(B)及び(C)を、順次、かつ中間的な濯ぎなしに、乾燥状態にある又は湿った状態にある前記ケラチン繊維に適用する、請求項1〜11の何れか1項に記載の方法。
【請求項13】
適用前に、前記組成物(A)及び(B)を混合して得られる組成物及び引き続き前記酸化性組成物(C)を、連続的にかつ中間的な濯ぎなしに、前記ケラチン繊維に適用する、請求項1〜11の何れか1項に記載の方法。
【請求項14】
適用前に、前記組成物(A)、(B)及び(C)を、その場で混合することにより得た組成物を、乾燥状態にある又は湿った状態にある前記ケラチン繊維に適用する、請求項1〜11の何れか1項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1〜7の何れか1項に記載の前記水性組成物(A)を含む第一の区画;1種又はそれ以上の酸化染料、1種又はそれ以上の直接染料又はこれらの混合物、及び1種又はそれ以上のアルカリ性薬剤を含む、請求項1又は8〜10の何れか1項に記載の前記水性組成物(B)を含有する第二の区画;及び請求項1及び11の何れか1項に記載の、1種又はそれ以上の酸化剤を含む、前記組成物(C)を含む第三の区画を含むことを特徴とする、多数の区画を備えたデバイス。

【公開番号】特開2010−143928(P2010−143928A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−299476(P2009−299476)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】