説明

脱炭酸装置、及び燃料電池発電装置

【課題】凝縮水などの二酸化炭素を含む被処理水から二酸化炭素を、効率よく除去できる脱炭酸装置、及びそれを用いた燃料電池発電装置を提供すること。
【解決手段】この脱炭酸装置11は、被処理水を貯留する貯留部100と、この貯留部100に貯留された被処理水120に空気を吹き込むバブリング機構110とを備え、バブリング機構110は、空気の導入口111と、被処理水120に空気を吹き込む噴出口112と、バブリング機構110に取り込んだ空気をバブリング機構110の外部の気相へと排気する排気口113と、この排気口113に配設されたバブリング機構110内の圧力を調整する圧力調整機構とを有する。そして、この脱炭酸装置11を燃料電池発電装置に配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凝縮水などの二酸化炭素を含む被処理水から二酸化炭素を除去するための脱炭酸装置、及びそれを備えた燃料電池発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池発電装置は、水素と酸素との結合エネルギーを直接電気エネルギーに変換する発電装置である。かかる燃料電池発電装置には、電解質と、これを挟持する燃料極及び空気極から成る単位電池を複数積層することによって構成された燃料電池本体が使用されており、天然ガスなどの炭化水素系の原燃料を水蒸気改質して得られた燃料ガス中の水素と、空気中の酸素とを、燃料電池の燃料極及び空気極にそれぞれ供給し、両極間で起きる電気化学反応を利用して起電力を得ている。
【0003】
原燃料を燃料ガスに改質するには、天然ガスなどの炭化水素系の原燃料に水蒸気を加えて、水と原燃料との反応を触媒で促進して行う改質器が通常用いられる。従って、改質器には、燃料の改質に必要となる水を補給する必要がある。
【0004】
一般的に改質反応に用いる水は、改質器から排出される燃焼排ガスや、燃料電池本体から排出される反応排ガスなどの排ガスを凝縮させて得られる凝縮水をイオン交換式の水処理装置などで不純物を除去して得られるイオン交換水などが用いられている。
【0005】
しかしながら、改質器から排出される燃焼排ガスは炭酸ガス濃度が比較的高いことから、燃焼排ガスから回収できる凝縮水には、二酸化炭素がほぼ飽和量まで溶存している。このため、水処理装置への負荷を低減させるため、これらの凝縮水は、精製処理を行う前に、脱炭酸処理を行い、凝縮水中に溶存している二酸化炭素の除去を行っている。
【0006】
凝縮水の脱炭酸処理方法としては、凝縮水と空気とを接触させて、拡散現象により凝縮水中の二酸化炭素を空気側へと拡散させる、拡散現象を利用した処理方法などが一般的に行われている。
【0007】
このような、拡散現象を利用した脱炭酸装置としては、ラッシヒリングなどの充填材を充填させたパイプなどが従来から用いられており、パイプの上部に凝縮水を供給すると共に、パイプの下部から脱炭酸用空気を供給し、凝縮水を重力落下させながら脱炭酸用空気と接触させて脱炭酸処理を行っている。
【0008】
また、下記特許文献1、2には、凝縮水に脱炭酸用の空気を吹き込み、凝縮水をバブリングすることで脱炭酸処理する方法が開示されている。
【特許文献1】特開平11−97046号公報
【特許文献2】特開2005−32673号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
バブリング方式の脱炭酸処理方法は、拡散現象を利用した脱炭酸処理方法に比べて高い効果が得られるものの、以下のような問題点があった。
【0010】
すなわち、燃料電池本体の空気極から排出される排空気は、通常の空気とほぼ同程度であることから、脱炭酸用空気として用いられているが、燃料電池本体の稼動状態により、排出される排空気量も変動してしまう。このため、バブリングによる脱炭酸処理効率は、燃料電池本体の稼動状態によって変動しやすく、安定した効果が得られにくかった。
【0011】
一方、燃料電池本体の最低負荷時の排空気量で十分に脱炭酸性能が得られるバブリング量となる様に、バブリング機構の空気噴出口の孔径や孔数を調整することが考えられるが、燃料電池本体の負荷の増大に伴い、バブリングの勢いが激しくなり、騒音などの問題があった。また、上記負荷の増大に伴い圧力損失が大きくなり、空気極に空気を供給する空気供給装置にかかる負荷が燃料電池本体の負荷の増大に伴い増加する。このため、処理能力の高い空気供給装置が必要となり、装置コストや運転コストを要し、更には、燃料電池発電装置の小型化が困難であった。
【0012】
したがって、本発明の目的は、上記課題を解決し、凝縮水などの二酸化炭素を含む被処理水から二酸化炭素を効率よく除去できる脱炭酸装置、及びそれを用いた燃料電池発電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の脱炭酸装置は、被処理水を貯留する貯留部と、この貯留部に貯留された前記被処理水に空気を吹き込むバブリング機構とを備えた脱炭酸装置であって、前記バブリング機構は、空気の導入口と、前記被処理水に空気を吹き込む噴出口と、前記バブリング機構に取り込んだ前記空気を前記バブリング機構の外部の気相へと排気する排気口と、この排気口に配設された前記バブリング機構内の圧力を調整する圧力調整機構とを有することを特徴とする。
【0014】
上記本発明の脱炭酸装置によれば、例えば、最小の空気供給量で、脱炭酸効率が充分得られるようにバブリング量を調整しておき、空気供給量の変動によって空気供給量が増大した場合には、圧力調整機構によって、排気口を通して余剰の空気を外部の気相へ排気することにより、バブリング機構内の圧力の増大を抑制できる。このため、バブリング機構へ空気を供給するための空気供給装置などにかかる負荷を低減でき、装置全体の運転コスト、装置コスト、装置スペースを低減できる。そして、バブリング機構への空気供給量によらず、ほぼ安定したバブリング効率が得られ、過剰バブリングによる騒音などの問題を引き起こすことなく、安定した脱炭酸処理状態を維持できる。
【0015】
また、本発明の脱炭酸装置において、前記圧力調整機構は、スリット状の開口部を有する弾性板であることが好ましい。この態様によれば、バブリング機構への空気量が少ない場合は、スリット部が閉じてバブリング機構内の圧力低下が防止できる。一方、バブリング機構への空気量が多い場合は、スリット部が上に持ち上げられて排気量が増えるので、空気供給量の変動に影響されず、バブリング機構内の圧力を一定に維持できる。
【0016】
また、本発明の脱炭酸装置において、前記圧力調整機構は、バネ又は錘によって閉じる方向に付勢された蓋であることが好ましい。この態様によれば、バブリング機構への空気量に応じて、排気口に配設された上記蓋の開口度が変動するので、空気供給量によらず、バブリング機構内の圧力を一定に維持できる。
【0017】
一方、本発明の燃料電池発電装置は、電解質を燃料極及び空気極によって挟持した単位電池が複数個積層された燃料電池本体と、燃料を改質して前記燃料極に改質ガスを供給する改質器と、前記空気極に空気を供給する空気供給装置と、前記燃料電池本体及び/又は前記改質器より排出される排ガスから凝縮水を回収する凝縮熱交換器と、前記凝縮水に溶存している炭酸ガスを除去する脱炭酸装置と、前記脱炭酸装置で脱炭酸処理された凝縮水を貯留する水タンクとを備えた燃料電池発電装置において、前記脱炭酸装置は、前記凝縮水を一時的に貯留する貯留部と、この貯留部に貯留された前記凝縮水に脱炭酸用空気を吹き込むバブリング機構とを備え、前記バブリング機構は、脱炭酸用空気の導入口と、前記凝縮水に脱炭酸用空気を吹き込む噴出口と、前記バブリング機構に取り込んだ前記脱炭酸用空気を前記バブリング機構の外部の気相へと排気する排気口と、この排気口に配設された前記バブリング機構内の圧力を調整する圧力調整機構を有することを特徴とする。
【0018】
上記燃料電池発電装置によれば、例えば、最小の空気供給量で、脱炭酸効率が充分得られるようにバブリング量を調整しておき、空気供給量の変動によって空気供給量が増大した場合には、圧力調整機構によって、排気口を通して余剰の空気を外部の気相へ排気することにより、バブリング機構内の圧力の増大を抑制できる。このため、バブリング機構へ空気を供給するための空気供給装置などにかかる負荷を低減でき、装置全体の運転コスト、装置コスト、装置スペースを低減できる。そして、バブリング機構への空気供給量によらず、ほぼ安定したバブリング効率が得られ、過剰バブリングによる騒音などの問題を引き起こすことなく、安定した脱炭酸処理状態を維持できる。
【0019】
また、本発明の燃料電池発電装置において、前記脱炭酸用空気は、前記燃料電池本体の空気極側から排出される排空気であることが好ましい。該排空気は、二酸化炭素の濃度が低く、通常の空気とほぼ同じであることから、排ガスを有効利用できる。
【0020】
また、本発明の燃料電池発電装置において、前記圧力調整機構は、スリット状の開口部を有する弾性板であることが好ましい。この態様によれば、脱炭酸用空気の供給量が少ない場合は、スリット部が弾性的に閉じてバブリング機構内の圧力低下が防止できる。一方、脱炭酸用空気の供給量が多い場合は、スリット部が弾性力に抗して開き排気量が増える。このため、脱炭酸用空気の供給量の変動に影響されず、バブリング機構内の圧力を一定に維持できる。
【0021】
また、本発明の燃料電池発電装置において、前記圧力調整機構は、バネ又は錘によって閉じる方向に付勢された蓋であることが好ましい。この態様によれば、脱炭酸用空気の供給量に応じて、排気口に配設された上記蓋の開口度が変動するので、脱炭酸用空気の供給量によらず、バブリング機構内の圧力を一定に維持できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、例えば、最小の空気供給量で、脱炭酸効率が充分得られるようにバブリング量を調整した場合であっても、空気供給量の変動によってバブリング機構内の圧力変動が生じにくく、バブリング機構へ空気を供給するための空気供給装置にかかる負荷を低減でき、騒音などの問題を引き起こすこともなく、安定した脱炭酸処理状態を維持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面に基づいて本発明の燃料電池発電装置の実施形態を説明する。図1に、本発明の燃料電池発電装置の概略構成図を示し、図2に、本発明の脱炭酸装置の第1の実施形態の概略構成図を示す。
【0024】
なお、以下に示す本発明の脱炭酸装置は、燃料電池発電装置以外の用途にも用いることができる。すなわち、被処理水が、二酸化炭素を溶存した水であれば、燃料電池発電装置の燃焼排ガスなどから回収する凝縮水に限らず好ましく脱炭酸処理できる。
【0025】
本発明の燃料電池発電装置は、電解質1cを挟持する燃料極1a及び空気極1bと、これらからなる単位セルの複数個を重ねる毎に配設される冷却管を有する冷却系1dとで構成されている燃料電池本体1と、燃料極1aに燃料を改質して得られる水素を主体とした改質ガスを供給する改質器3と、空気極1bに空気を供給する空気供給装置7と、燃料電池本体1及び/又は改質器3より排出される排ガスから凝縮水を回収する凝縮熱交換器22と、回収した凝縮水に溶存している炭酸ガスを除去する本発明の脱炭酸装置11と、該脱炭酸装置11で脱炭酸処理された凝縮水を貯留する水タンク10とで主に構成されている。
【0026】
改質器3は、改質触媒部3aとバーナ部3bとで構成されている。改質触媒部3aの改質原料の投入側は、原料供給ラインL3を介して脱硫器2に接続している。また、原料供給ラインL3は分岐しており、精製水供給ラインL4を介して精製水貯留タンク9に接続している。改質ガスの回収側は、変性器4及びCO除去器5の配置された改質ガス供給ラインL1を介して燃料極1aに接続している。一方、バーナ部3bの燃料導入口3cは、原料供給ラインL3から分岐した起動用燃料供給ラインL5と、燃焼空気ブロア6に接続する燃焼空気供給ラインL6と、燃料極1aのオフガス排出側と連結する燃料予熱器21の配置されたオフガス供給ラインL7とが接続している。また、バーナ部3bの燃焼排ガス排出口3dは、燃料予熱器21の配置された燃焼排ガスラインL8を介して凝縮熱交換器22に接続している。
【0027】
改質器3では、バーナ部3bにて、燃焼空気供給ラインL6から供給される燃焼用空気と、起動用燃料供給ラインL5から供給される原燃料及び/又はオフガス供給ラインL7から供給されるオフガスとを燃焼して改質触媒部3aを加熱し、改質触媒部3aにて、原料供給ラインL3から供給される脱硫器2で脱硫処理された原燃料と、精製水供給ラインL4から供給される精製水とを改質反応させて水素に富む改質ガスを生成する。そして、改質器3で生成された改質ガスは、変性器4及びCO除去器5にて一酸化炭素濃度を低減させた後、改質ガス供給ラインL1から燃料極1aへと供給される。
【0028】
燃料電池本体1の空気極1bの排空気ガス排出側は、空気排出ラインL9を介して凝縮熱交換器22に接続している。
【0029】
凝縮熱交換器22の上部側は、燃焼排ガスラインL8及び空気排出ラインL9と接続している。また、凝縮熱交換器22の下部側は、凝縮熱交換器22で凝縮処理後の排空気ガス及び凝縮水を脱炭酸装置11へ供給する脱炭酸用空気供給ラインL11と、凝縮処理後の燃焼排ガス及び凝縮水を脱炭酸装置11へ供給する凝縮水回収ラインL10とが接続している。
【0030】
脱炭酸装置11は、凝縮水120を一次的に貯留する貯留部100と、この貯留部100に貯留された凝縮水120に脱炭酸用空気を吹き込むバブリング機構110とで主に構成されている。
【0031】
この実施形態では、脱炭酸装置11として、図2に示すものが用いられている。すなわち、脱炭酸装置11の上部には、凝縮水回収ラインL10と接続する凝縮水の導入部であるドレン口102と、凝縮水中の二酸化炭素を取り込んだ脱炭酸用空気及び燃焼排ガスを排出する排気口101とが配置されている。また、下側部には、脱炭酸用空気供給ラインL11と接続される、脱炭酸用空気の導入部である吹き込み口103が配置されている。また、内部は凝縮水の貯留部100とされており、所定の高さ方向に伸びたオーバーフロー配管104と、貯留部100に貯留された凝縮水120に空気を吹き付けるバブリング機構110が配置されている。
【0032】
バブリング機構110は、全体として筒状のケースからなり、吹き込み口103に連結された空気導入口111と、凝縮水120に空気を吹き込む噴出口112と、バブリング機構110内に取り込んだ脱炭酸用空気をバブリング機構110の外部の気相へと排気する排気口113と、錘114cによって排気口113を閉じる方向に付勢された蓋114aとで構成されている。また、蓋114aは、排気口113と一端がヒンジ114bで固定されて、開閉可能となっている。
【0033】
脱炭酸処理の対象となる凝縮水は、ドレン口102から供給され、貯留部100に一時的に貯留される。そして、脱炭酸用空気をバブリング機構110内に供給し、噴出口112から、貯留部100に貯留された凝縮水120に脱炭酸用空気を吹き付けてバブリング処理を行い、凝縮水120に溶存している二酸化炭素を脱気する。凝縮水120中の二酸化炭素を取り込んだ空気は排気口101から系外に排気される。
【0034】
ここで、従来のバブリング機構では、燃料電池本体の稼動状況などにより、バブリング処理に要する量以上の脱炭酸用空気がバブリング機構110に供給されると、バブリング機構110内の圧力が上昇し、圧力損失が増加してバブリング機構110への脱炭酸用空気の供給が困難となり、更には、バブリングが激しく行われるようになるので、騒音などの問題が生じる。
【0035】
本発明においては、バブリング機構110に、過剰に取り込んだ脱炭酸用空気を外気へと排気する排気口113を設け、更に、この排気口113に、錘114cで閉じる方向に付勢され、開閉可能に配置された蓋114aを設置したことで、バブリング機構110内の圧力に応じて、蓋114aが開口し、その開口度は圧力が高いほど大きくなる。このため、バブリング機構110内の空気を、バブリング機構110内の圧力に応じた排気量で排気でき、これによりバブリング機構110内の圧力をほぼ一定状態に維持できる。
【0036】
よって、例えば、燃料電池本体1の稼動状態などによって空気供給量が増加した場合であっても、バブリング機構110内を通すための圧力損失が増加しにくく、空気供給装置7にかかる負荷を低減できる。また、バブリング空気量が過剰とならないので、騒音などの問題も生じることがない。
【0037】
上記脱炭酸装置11で脱炭酸処理された凝縮水は、水タンク10へと導入し、脱炭酸凝縮水回収ラインL12から水処理装置12へと供給される。水処理装置12で精製処理された凝縮水(精製水)は、精製水貯留タンク9に供給され、冷却水ラインL13から燃料電池本体1の冷却系1d及び凝縮熱交換器22へと供給して、冷却水として循環利用することができ、また、精製水供給ラインL4から改質器3の改質触媒部3aへと供給して、原燃料の改質反応にも利用できる。
【0038】
以上のように、本発明の燃料電池発電装置によれば、脱炭酸用空気の供給量の変動があっても、ほぼ安定して凝縮水の脱炭酸処理を行え、更に、脱炭酸用空気をバブリング機構110内に通すための圧力損失を低減できるので、運転コスト、装置コストなどを低減できる。
【0039】
図3には、本発明の燃料電池発電装置に用いる脱炭酸装置11の第2の実施形態が示されている。
【0040】
第1の実施形態の脱炭酸装置11との相違点としては、SUS等のラッシヒリング135が充填された予備脱気部130が、脱炭酸装置11の上方に配置されている点である。
【0041】
この態様によれば、ドレン口102から脱炭酸装置11に供給された凝縮水を、予備脱気部130で予備脱気処理できるので、凝縮水の脱炭酸処理効率が向上する。
【0042】
図4には、本発明の燃料電池発電装置に用いる脱炭酸装置11の第3の実施形態が示されている。
【0043】
第1の実施形態の脱炭酸装置11との相違点としては、排気口113に、スリット状の開口部(スリット部)115bを有する弾性板115aが配置されている点である。
【0044】
弾性板115aとしては、フッ素ゴム、二トリルゴム(NBR)などが挙げられる。
【0045】
この態様によれば、バブリング機構110への空気供給量が少ない場合、すなわち、バブリング機構110内の圧力が低い場合は、スリット部115bが弾性的に閉じ、バブリング機構110の圧力低下を防止できる。一方、バブリング機構110への空気供給量が多い場合は、スリット部115bが上に持ち上げられて、弾性力に抗して開口し、その開口度は圧力が高いほど大きくなるので、圧力に応じて排気させることができる。このため、空気供給量の変動に影響されず、バブリング機構110内の圧力をほぼ一定に維持できる。
【0046】
図5には、本発明の燃料電池発電装置に用いる脱炭酸装置11の第4の実施形態が示されている。
【0047】
第1の実施形態の脱炭酸装置11との相違点としては、排気口113に、バネ116bで閉じる方向に付勢された蓋116aが配置されている点である。
【0048】
この態様によれば、バブリング機構110への空気供給量、すなわち、バブリング機構110内の圧力に応じて、バネ116bの伸びが変動し、蓋116aの開口度が変動するので、空気供給量の変動に影響されず、バブリング機構110内の圧力をほぼ一定に維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の燃料電池発電装置の概略構成図である。
【図2】本発明の脱炭酸装置の第1の実施形態を示す概略構成図である。
【図3】本発明の脱炭酸装置の第2の実施形態を示す概略構成図である。
【図4】本発明の脱炭酸装置の第3の実施形態を示す概略構成図である。
【図5】本発明の脱炭酸装置の第4の実施形態を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0050】
1:燃料電池本体
2:脱硫器
3:改質器
4:変性器
5:CO除去器
7:空気供給装置
9:精製水貯留タンク
10:水タンク
11:脱炭酸装置
12:水処理装置
21:燃料予熱器
22:凝縮熱交換器
100:貯留部
101:排気口
102:ドレン口
103:吹き込み口
104:オーバーフロー配管
110:バブリング機構
111:空気導入口
112:噴出口
113:排気口
114b:ヒンジ
114a、116a:蓋
114c:錘
115b:スリット部
115a:弾性板
116b:バネ
120:凝縮水
130:予備脱気部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理水を貯留する貯留部と、この貯留部に貯留された前記被処理水に空気を吹き込むバブリング機構とを備えた脱炭酸装置であって、
前記バブリング機構は、空気の導入口と、前記被処理水に空気を吹き込む噴出口と、前記バブリング機構に取り込んだ前記空気を前記バブリング機構の外部の気相へと排気する排気口と、この排気口に配設された前記バブリング機構内の圧力を調整する圧力調整機構とを有することを特徴とする脱炭酸装置。
【請求項2】
前記圧力調整機構は、スリット状の開口部を有する弾性板である、請求項1に記載の脱炭酸装置。
【請求項3】
前記圧力調整機構は、バネ又は錘によって閉じる方向に付勢された蓋である、請求項1に記載の脱炭酸装置。
【請求項4】
電解質を燃料極及び空気極によって挟持した単位電池が複数個積層された燃料電池本体と、燃料を改質して前記燃料極に改質ガスを供給する改質器と、前記空気極に空気を供給する空気供給装置と、前記燃料電池本体及び/又は前記改質器より排出される排ガスから凝縮水を回収する凝縮熱交換器と、前記凝縮水に溶存している炭酸ガスを除去する脱炭酸装置と、前記脱炭酸装置で脱炭酸処理された凝縮水を貯留する水タンクとを備えた燃料電池発電装置において、
前記脱炭酸装置は、前記凝縮水を一時的に貯留する貯留部と、この貯留部に貯留された前記凝縮水に脱炭酸用空気を吹き込むバブリング機構とを備え、
前記バブリング機構は、脱炭酸用空気の導入口と、前記凝縮水に脱炭酸用空気を吹き込む噴出口と、前記バブリング機構に取り込んだ前記脱炭酸用空気を前記バブリング機構の外部の気相へと排気する排気口と、この排気口に配設された前記バブリング機構内の圧力を調整する圧力調整機構を有することを特徴とする燃料電池発電装置。
【請求項5】
前記脱炭酸用空気は、前記燃料電池本体の空気極側から排出される排空気である、請求項4に記載の燃料電池発電装置。
【請求項6】
前記圧力調整機構は、スリット状の開口部を有する弾性板である、請求項4又は5に記載の燃料電池発電装置。
【請求項7】
前記圧力調整機構は、バネ又は錘によって閉じる方向に付勢された蓋である、請求項4又は5に記載の燃料電池発電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−325988(P2007−325988A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−157169(P2006−157169)
【出願日】平成18年6月6日(2006.6.6)
【出願人】(000005234)富士電機ホールディングス株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】