説明

脳性ナトリウム利尿ペプチドのアイソフォーム

心臓病(例えば、心不全)および腎臓病(例えば、腎不全)を診断および処置するための方法および材料について記述する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は心不全などの心臓病(heart condition)を診断するための、より具体的には、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)のアイソフォームを検出することによって心臓病を診断するための方法および材料に関する。本発明は同様に、心臓病(例えば、心不全)および腎臓病(例えば、腎不全)を処置するための方法および材料に関する。なお本出願は、2003年6月20日付で出願した米国特許仮出願第60/480,460号の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
背景
ナトリウム利尿ペプチドファミリーのメンバーは、体液恒常性を調節するホルモンである。心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)は、血管内容量の増加に応じて心房筋細胞により分泌される。ANPがいったん循環血液中に入れば、その作用は主に腎臓、血管組織および副腎に及び、そこではその作用によって腎臓によるナトリウムおよび水の排泄ならびに血管内容量および血圧の減少が起こる。BNPも心筋細胞に由来し、ANPと同様に、これはヒト血漿中を循環している。BNPはナトリウム利尿性であり、レンニン阻害性であり、血管拡張性でありおよび変弛緩性である。主要な循環および貯蔵型のBNPは、環構造を有する32アミノ酸のペプチドである。BNPの生理作用はグアニル酸シクラーゼ連結型受容体のナトリウム利尿ペプチド受容体A(NPR-A)によって媒介される。BNPのクリアランスは、これを循環血液から除去するNPR-C受容体によって促進される。BNPはまた、中性エンドペプチダーゼによる酵素的切断を介して分解される。C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)は内皮細胞に由来し、血管拡張性および増殖阻害性のペプチドとして機能する。デンドロアスピス(Dendroaspis)ナトリウム利尿ペプチド(DNP)は構造がANP、BNPおよびCNPに類似しており、デンドロアスピスアングスチセプス(Dendoaspis angusticeps)またはグリーンマンバヘビの毒液から単離される。
【0003】
ANPおよびBNPはヒトにおいてうっ血性心不全の間に血漿および心臓中で増加しており、それらは心室機能不全の血清マーカーとして役立っていることのほかに、心臓保護作用を発揮している。疫学的証拠から、45歳を超える成人人口の少なくとも3%が心室収縮機能障害を抱えている可能性があり、52%が無症候性の可能性があるということが示唆されている。
【発明の開示】
【0004】
概要
本発明は選択的スプライシングによって生じた新規型のBNPの同定に基づいている。選択的スプライスによるヒトBNPアイソフォームはBNPの17アミノ酸のジスルフィド環構造を含み、固有のカルボキシ末端を有し、かつ異なるスプライシング変異から生ずる。アイソフォームの1つBNP2は、環に付着している固有の33アミノ酸残基のC末端伸張を有する。このアイソフォームは第2イントロンの包含の結果である。BNP3は新規の14アミノ酸残基のC末端伸張を含んでおり、それは第2イントロン内に存在する選択的スプライス受容部位の結果である。本明細書において記述されるように、BNP2およびBNP3の発現は心不全の間に心筋細胞中で増加している。すなわち、BNP2およびBNP3ポリペプチドまたはBNP2もしくはBNP3をコードするリボ核酸を心臓病の指標として利用することができる。したがって、そのようなポリペプチドまたはリボ核酸の存在、非存在またはレベルを使用して、心臓病を診断することおよび心臓病の処置をモニタリングすることができる。さらに、BNP2およびBNP3を心臓病の処置のための治療薬として使用することができる。
【0005】
本発明は精製ポリペプチドおよびそのポリペプチドに特異的な結合親和性を有する抗体を特徴とする。このポリペプチドはSEQ ID NO:1、2、3、4、35または36のアミノ酸配列; SEQ ID NO:1または2のアミノ酸配列の少なくとも6個の連続した残基を有する配列; SEQ ID NO:1または2のアミノ酸配列に対して少なくとも65%の配列同一性を有する配列; および少なくとも6個の連続した残基長のSEQ ID NO:1または2の断片に対して少なくとも65%の配列同一性を有する配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。そのアミノ酸配列はSEQ ID NO:1もしくはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列に少なくとも75%(例えば、80、90または95%)の配列同一性または少なくとも6個の連続した残基長のSEQ ID NO:1もしくはSEQ ID NO:2の断片に少なくとも75%(例えば、80、90または95%)の配列同一性を有することができる。いくつかの態様では、そのポリペプチドはSEQ ID NO:35またはSEQ ID NO:36のアミノ酸配列を含むことができる。薬学的組成物はポリペプチドおよび薬学的に許容される担体を含むことができる。
【0006】
他の局面では、本発明は精製された上述のポリペプチドをコードする単離核酸、その核酸を含むベクターおよびそのベクターを含む宿主細胞を特徴とする。そのポリペプチドはSEQ ID NO:5の核酸配列; SEQ ID NO:5のヌクレオチド番号383から489の核酸配列; SEQ ID NO:6の核酸配列; またはSEQ ID NO:6のヌクレオチド番号388から432の核酸配列によってコードされることができる。その宿主細胞は真核宿主細胞とすることができる。
【0007】
本発明は同様に、ナトリウム利尿キメラポリペプチドを特徴とする。このポリペプチドは第1領域および第2領域を含んでおり、その第1領域はa) SEQ ID NO:16の残基番号1から27の配列; b) SEQ ID NO:17の残基番号1から25の配列; c) SEQ ID NO:18の残基番号1から23の配列; d) SEQ ID NO:19の残基番号1から22の配列; およびe) 1個から5個のアミノ酸置換を有するa)、b)、c)またはd)の配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を有し; ならびにその第2領域はf) SEQ ID NO:1または2の配列; g) SEQ ID NO:1または2のアミノ酸配列の少なくとも6個の連続した残基を有する配列; h) SEQ ID NO:1または2のアミノ酸配列に対して少なくとも65%の配列同一性を有する配列; およびi) 少なくとも6個の連続した残基長のSEQ ID NO:1または2の断片に対して少なくとも65%の配列同一性を有する配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する。
【0008】
別の局面では、本発明は次式のアミノ酸配列を含む精製ポリペプチドを特徴とする:

式中、Xaa1はGluまたはLysであり; Xaa2はPro、HisまたはArgであり; Xaa3はProまたはLeuであり; Xaa4はPro、LeuまたはSerであり; Xaa5はCysまたはProであり; Xaa6はPro、His、GlnまたはArgであり; Xaa7はArg、PheまたはLeuであり; Xaa8はAsp、Glyまたはなしであり; Xaa9はSer、ProまたはLeuであり; Xaa10はProまたはなしであり; Xaa11はSer、Alaまたはなしであり; Xaa12はProまたはAlaであり; Xaa13はAla、Phe、IleまたはLeuであり; Xaa14はPro、LysまたはLeuであり; Xaa15はVal、LeuまたはTrpであり; Xaa16はCys、HisまたはValであり; Xaa17はAsp、Ala、Ile、Thr、ProまたはArgであり; Xaa18はThr、ProまたはHisであり; Xaa19はVal、Ile、Pro、Val、SerまたはLeuであり; Xaa20はArg、Ser、IleまたはGluであり; Xaa21はVal、Ile、AlaまたはProであり; Xaa22はThr、ValまたはLeuであり; Xaa23はLeu、SerまたはHisであり; Xaa24はGlyまたはAlaであり; Xaa25はPhe、Ser、ThrまたはLeuであり; Xaa26はVal、AspまたはLeuであり; Xaa27はVal、LeuまたはSerであり; Xaa28はSer、ArgまたはLeuであり; Xaa29はAsn、Asp、ProまたはThrであり; Xaa30はHis、Gln、AsnまたはThrであり; Xaa31はThr、IleまたはSerであり; およびXaa32はPro、LeuまたはGluである。
【0009】
更に別の局面では、本発明は患者において心臓病を診断する方法を特徴とする。この方法は患者由来の生体試料を提供する段階; 生体試料中のBNP2またはBNP3の存在、非存在またはレベルを検出する段階; およびBNP-2もしくはBNP-3の存在、BNP2もしくはBNP3のレベルまたはBNP2もしくはBNP3の非存在に少なくとも部分的に基づいて、患者が心臓病を患うものとまたは心臓病を患わないものと分類する段階を含む。心臓病は心不全、不安定狭心症、急性心筋梗塞または高血圧症とすることができる。BNP2の存在、非存在またはレベルが検出されてもよく、あるいはBNP3の存在、非存在またはレベルが検出されてもよい。いくつかの態様では、BNP2およびBNP3の存在、非存在またはレベルが検出される。
【0010】
心臓病は同様に、患者由来の生体試料を提供する段階; 生体試料中のBNP2またはBNP3をコードするリボ核酸の存在、非存在またはレベルを検出する段階; および少なくとも部分的に、BNP2もしくはBNP3をコードするリボ核酸の存在、BNP2もしくはBNP3をコードするリボ核酸のレベルまたはBNP2もしくはBNP3をコードするリボ核酸の非存在に基づいて、患者が心臓病を患うものとまたは心臓病を患わないものと分類する段階により、患者において診断することができる。心臓病は心不全、不安定狭心症、急性心筋梗塞または高血圧症とすることができる。
【0011】
別の局面では、本発明は哺乳類において心臓病を処置する方法を特徴とする。この方法は哺乳類にポリペプチドまたは核酸を、心臓病の症状の重症度が軽減される条件の下で投与する段階を含む。このポリペプチドはSEQ ID NO:1、2、3、4、35または36のアミノ酸配列; SEQ ID NO:1または2のアミノ酸配列の少なくとも6個の連続した残基を有する配列; SEQ ID NO:1または2のアミノ酸配列に対して少なくとも65%の配列同一性を有する配列; および少なくとも6個の連続した残基長のSEQ ID NO:1または2の断片に対して少なくとも65%の配列同一性を有する配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。そのアミノ酸配列はSEQ ID NO:1もしくはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列に少なくとも75%(例えば、80、90または95%)の配列同一性または少なくとも6個の連続した残基長のSEQ ID NO:1もしくはSEQ ID NO:2の断片に少なくとも75%(例えば、80、90または95%)の配列同一性を有することができる。いくつかの態様では、そのポリペプチドはSEQ ID NO:35またはSEQ ID NO:36のアミノ酸配列を含むことができる。その核酸は上記のポリペプチドをコードする配列を含む。そのポリペプチドはSEQ ID NO:5の核酸配列; SEQ ID NO:5のヌクレオチド番号383から489の核酸配列; SEQ ID NO:6の核酸配列; またはSEQ ID NO:6のヌクレオチド番号388から432の核酸配列によってコードされることができる。心臓病は心不全、不安定狭心症、急性心筋梗塞および/または高血圧症とすることができる。
【0012】
別の局面では、本発明は哺乳類において腎臓病を処置する方法を特徴とする。この方法は哺乳類にポリペプチドまたは核酸を、腎臓病の症状の重症度が軽減される条件の下で投与する段階を含む。このポリペプチドはSEQ ID NO:1、2、3、4、35または36のアミノ酸配列; SEQ ID NO:1または2のアミノ酸配列の少なくとも6個の連続した残基を有する配列; SEQ ID NO:1または2のアミノ酸配列に対して少なくとも65%の配列同一性を有する配列; および少なくとも6個の連続した残基長のSEQ ID NO:1または2の断片に対して少なくとも65%の配列同一性を有する配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。そのアミノ酸配列はSEQ ID NO:1もしくはSEQ ID NO:2のアミノ酸配列に少なくとも75%(例えば、80、90または95%)の配列同一性または少なくとも6個の連続した残基長のSEQ ID NO:1もしくはSEQ ID NO:2の断片に少なくとも75%(例えば、80、90または95%)の配列同一性を有することができる。いくつかの態様では、そのポリペプチドはSEQ ID NO:35またはSEQ ID NO:36のアミノ酸配列を含むことができる。その核酸は上記のポリペプチドをコードする配列を含む。そのポリペプチドはSEQ ID NO:5の核酸配列; SEQ ID NO:5のヌクレオチド番号383から489の核酸配列; SEQ ID NO:6の核酸配列; またはSEQ ID NO:6のヌクレオチド番号388から432の核酸配列によってコードされることができる。腎臓病は腎不全とすることができる。
【0013】
別の局面では、本発明は哺乳類の内部でcGMPを増加させる方法を特徴とする。この方法は哺乳類に本明細書に記載のポリペプチドまたはそのポリペプチドをコードする核酸を、哺乳類の内部でcGMPのレベルが増加される条件の下で投与する段階を含む。
【0014】
別の局面では、本発明は哺乳類の内部で動脈を拡張させる方法を特徴とする。この方法は哺乳類に本明細書に記載のポリペプチドまたはそのポリペプチドをコードする核酸を、その動脈が拡張する条件の下で投与する段階を含む。
【0015】
別の局面では、本発明は哺乳類において利尿および/またはナトリウム利尿を増加させる方法を特徴とする。この方法は哺乳類に本明細書に記載のポリペプチドまたはそのポリペプチドをコードする核酸を、利尿および/またはナトリウム利尿が増加する条件の下で投与する段階を含む。
【0016】
別の局面では、本発明は精製された抗体を特徴とする。この抗体はBNP2ポリペプチドに結合し、かつSEQ ID NO:16に記載の配列からなるBNPポリペプチドにまたはSEQ ID NO:4に記載の配列からなるBNP3ポリペプチドに結合しない。BNP2ポリペプチドはSEQ ID NO:1に記載の配列を含むことができる。この抗体はモノクローナル抗体とすることができる。
【0017】
別の局面では、本発明は精製された抗体を特徴とする。この抗体はBNP3ポリペプチドに結合し、かつSEQ ID NO:16に記載の配列からなるBNPポリペプチドにまたはSEQ ID NO:3に記載の配列からなるBNP2ポリペプチドに結合しない。BNP3ポリペプチドはSEQ ID NO:2に記載の配列を含むことができる。この抗体はモノクローナル抗体とすることができる。
【0018】
特記しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、当業者が通常理解しているのと同じ意味を有する。本発明の実施または試験に際して、本明細書に記載される方法および材料に類似または等価であるものを使用することができるが、適当な方法および材料を以下に記述する。本明細書に記載される全ての刊行物、特許出願、特許およびその他の参考文献は、その全体が参照により組み入れられる。矛盾が生じた場合には、定義を含めて、本明細書により統制される。さらに、材料、方法および例は、単なる例示に過ぎず限定することを意図するものではない。
【0019】
本発明のその他の特徴および利点は、以下の詳細な説明から、および特許請求の範囲から明らかであろう。
【0020】
詳細な説明
全体として、本発明はBNP2およびBNP3ポリペプチドを含むBNPのアイソフォーム、ならびに心不全、高血圧症、不安定狭心症、突然心臓死および急性心筋梗塞を含む各種の心臓病のほかに、腎不全に対する指標としてそのアイソフォームを使用する方法を提供する。本明細書において記述されるように、BNP2およびBNP3は心不全患者由来の生体試料中に存在するが、しかし対照患者由来の生体試料中には存在しないかまたは低いレベルで存在する。したがって、BNP2またはBNP3の存在またはレベルを生体試料中において検出し、それを利用して心臓病を診断すること、心臓病に対する処置をモニタリングすること、または心疾患の進行を追跡することができる。BNPアイソフォームの存在またはレベルは、以下のようにBNP2もしくはBNP3ポリペプチドまたはBNP2もしくはBNP3をコードするリボ核酸を測定することによって評価することができる。
【0021】
さらに、本明細書において提供されるポリペプチド(例えば、BNP2およびBNP3)ならびにそのようなポリペプチドをコードする核酸を心臓病および/または腎臓病の処置用の治療薬として使用することができる。BNP2およびBNP3の治療効果は、変力性の特性も変時性の特性もないバランスのとれた血管拡張薬であるBNPに類似している可能性がある。組換えBNP(ネシリチド(Nesiritide)、ナトレコール(Natrecor)(登録商標))による静脈内療法は顕著に、肺毛細血管楔入圧および体血管抵抗を減らし、心係数を増加する。BNPは不整脈誘発性ではなく、心拍数に影響を与えない(Burger and Burger, Curr. Opin. Investig. Drugs 2(7):929-35 (2001))。
【0022】
いくつかの態様では、本明細書において提供されるポリペプチド(例えば、BNP2およびBNP3)またはそのようなポリペプチドをコードする核酸を使用して、哺乳類でcGMPを刺激することおよび/または動脈を血管拡張することができる。さらに、本明細書において提供されるポリペプチド(例えば、BNP2およびBNP3)またはそのようなポリペプチドをコードする核酸を使用して、高血圧症、肺高血圧症および/またはうっ血性心不全を処置することができる。他の態様では、本明細書において提供されるポリペプチド(例えば、BNP2およびBNP3)またはそのようなポリペプチドをコードする核酸を使用して、哺乳類で利尿および/またはナトリウム利尿を増加させることができる。例えば、BNP2またはBNP3ポリペプチドを哺乳類に投与して、ナトリウムの尿流および尿中排泄を増加させることができる。さらに、本明細書において提供されるポリペプチド(例えば、BNP2およびBNP3)またはそのようなポリペプチドをコードする核酸を使用して、流体の過負荷状態(例えば、うっ血性心不全、肝不全および腎不全)を処置することおよび/またはナトリウムの過負荷状態(例えば、うっ血性心不全)を処置することができる。
【0023】
BNPアイソフォーム
本発明は精製されたBNPのアイソフォームを特徴とする。本明細書において「精製(された)」という用語はBNPアイソフォームに言及して用いる場合、そのポリペプチドがこれに本来結び付いているその他のポリペプチド、脂質、糖質および核酸を実質的に含んでいないことを意味する。すなわち、精製ポリペプチドは、その天然環境から取り除かれており少なくとも60パーセントの純度である任意のポリペプチドである。精製ポリペプチドは少なくとも約65、70、75、80、85、90、95または99パーセントの純度とすることができる。通常、精製ポリペプチドは非還元性のポリアクリルアミドゲル上で1本の主要なバンドをもたらすはずである。
【0024】
BNPのアイソフォームとは任意のポリペプチドであって、(1) SEQ ID NO:1、2、3、4、14、35もしくは36に記載のアミノ酸配列を有する、(2) SEQ ID NO :1もしくは2に記載のアミノ酸配列に対しその全長にわたって少なくとも約45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95もしくはそれ以上の同一性の割合がある約6、7、8、9、10、11、12、13、14もしくはそれ以上のアミノ酸残基の長さを有するアミノ酸配列を含む、または(3) ハイブリダイゼーション条件(下記を参照されたい)の下で、SEQ ID NO :1もしくは2に記載の配列をコードする核酸のセンスもしくはアンチセンス鎖にハイブリダイズする核酸配列によってコードされる約6、7、8、9、10、11、12、13、14もしくはそれ以上の連続アミノ酸残基を含む任意のポリペプチドのことを指す。例えば、あるポリペプチドは10、15、20、25、30またはそれ以上の残基長のアミノ酸配列を含みかつヒトBNP2の33アミノ酸のC末端断片を含むSEQ ID NO:1のアミノ酸配列(図1Aを参照されたい)と少なくとも45%の同一性を有することができる。ヒトBNP2の完全長のアミノ酸配列はSEQ ID NO:3に記載されており、成熟BNP2ポリペプチドの配列はSEQ ID NO:36に記載されている(図1Aの下線の配列を参照されたい)。SEQ ID NO:2はヒトBNP3の14アミノ酸のC末端断片を含む(図2を参照されたい)。ヒトBNP3の完全長のアミノ酸配列はSEQ ID NO:4に記載されており、一方で成熟BNP3ポリペプチドの配列はSEQ ID NO:35に記載されている(図2の下線の配列を参照されたい)。
【0025】
SEQ ID NO:1に記載のポリペプチド配列に対し少なくとも45%の同一性を有するポリペプチド配列の非制限的な例としては、図3に描かれているC末端のBNP2ポリペプチド配列が挙げられる。例えば、ヒト(SEQ ID NO:1)およびブタ(SEQ ID NO:8)由来のC末端のBNP2配列は約48%の同一性を有する。ヒト(SEQ ID NO:1)およびマウス(SEQ ID NO:11)由来のC末端のBNP2配列は約67%の同一性を有する。ヒト(SEQ ID NO:1)およびオランウータン(SEQ ID NO:7)由来のC末端のBNP2配列は約91%の同一性を有する。ヒト(SEQ ID NO:1)、チンパンジー(SEQ ID NO:9)およびゴリラ(SEQ ID NO:12)由来のC末端のBNP2配列は約97%の同一性を有する。
【0026】
任意のアミノ酸配列に対しその全長にわたる長さと同一性の割合は次のように決定される。最初に、BLASTNバージョン2.0.14およびBLASTPバージョン2.0.14を含むBLASTZの独立バージョン由来のBLAST 2 Sequences(B12seq)プログラムを利用し、あるアミノ酸配列を同定されたアミノ酸配列(例えば、SEQ ID NO:1)と比較する。このBLASTZの独立バージョンはFish & Richardson P.C.のウェブサイト(「fr」.「com/blast/」)のワールドワイドウェブまたは米国政府系の全米バイオテクノロジー情報センターのウェブサイト(「ncbi」.「nlm」.「nih」.「gov」)のワールドワイドウェブから得ることができる。BLASTZの独立バージョンはオールドウェストベリーにあるニューヨーク州立大学の図書館から図書整理番号QH 447.M6714で得ることもできる。B12seqプログラムの使用法を説明している使用説明書は、BLASTZに添付のリードミーファイルの中で見つけることができる。B12seqはBLASTNまたはBLASTPアルゴリズムを利用し、2つの配列間で比較を行う。BLASTNは核酸配列を比較するために使用されており、その一方でBLASTPはアミノ酸配列を比較するために使用されている。
【0027】
2つのアミノ酸配列を比較するため、B12seqのオプションを以下のように設定する: -iを比較される第1のアミノ酸配列を含むファイル(例えば、C:\seq1.txt)に設定する; -jを比較される第2のアミノ酸配列を含むファイル(例えば、C:\seq2.txt)に設定する; -pをblastpに設定する; -oを任意の所望のファイル名(例えば、C:\output.txt)に設定する; およびその他のオプションは全てそのデフォルト設定のままとする。例えば、以下のコマンドを使用して、2つのアミノ酸配列間の比較を含む出力ファイルを生成させることができる: C:\B12seq -i c:\seq1.txt -j c:\seq2.txt -p blastp -o c:\output.txt。標的配列が、同定されている配列のいずれかの部分と相同性を共有するならば、指定の出力ファイルはそれらの相同性の領域を整列された配列として示すはずである。標的配列が、同定されている配列のどの部分とも相同性を共有しないならば、指定の出力ファイルは整列された配列を示さないはずである。整列されたら、任意の適合位置で始まりその他の任意の適合位置で終わる、同定配列(例えば、SEQ ID NO:1)由来の配列との一致が示された標的配列由来の連続するアミノ酸残基の数をカウントすることによって、長さを決定する。適合位置は、同一のアミノ酸残基が標的配列と同定配列の両方に存在する任意の位置である。標的配列中に供与されたギャップはカウントされない。ギャップはアミノ酸残基ではないからである。同様に、同定配列中に供与されたギャップはカウントされない。同定配列由来のアミノ酸残基ではなく、標的配列のアミノ酸残基がカウントされるからである。
【0028】
特定の長さに対する同一性の割合は、その長さに対して適合した位置の数をカウントし、その数をその長さで割って、得られた値に100を乗ずることにより決定される。例えば、(1) 50アミノ酸の標的配列をSEQ ID NO:1に記載の配列と比較し、(2) B12seqプログラムが標的配列由来の20アミノ酸残基を、その20アミノ酸の領域の最初と最後のアミノ酸残基の適合する、SEQ ID NO:1に記載の配列の領域と整列して表示し、そして(3) その整列された20アミノ酸に対する適合数が18であるならば、50アミノ酸の標的配列は長さ20とその長さに対する同一性の割合90 (すなわち、18÷20×100 = 90)を含む。
【0029】
SEQ ID NO:1に記載の配列と整列する単一のアミノ酸標的配列は多くの異なる長さを有し、その各々の長さはそれぞれの同一性の割合を有することができるものと理解されるであろう。同一性の割合値は、小数点以下第一位に四捨五入されることに留意されたい。例えば、78.11、78.12、78.13および78.14は78.1に切り下げられ、その一方で78.15、78.16、78.17、78.18および78.19は78.2に切り上げられる。長さの値は、常に整数になるということにも留意されたい。
【0030】
ハイブリダイゼーション条件は中程度にまたは高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件とすることができる。本発明の目的の場合、中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件とは、25 mM KPO4 (pH 7.4)、5×SSC、5×デンハルト溶液、50 μg/mL 変性、超音波処理済サケ精子DNA、50%ホルムアミド、10%硫酸デキストランおよび1〜15 ng/mL プローブ(約5×107 cpm/μg)を含有するハイブリダイゼーション溶液中にて約42℃でハイブリダイゼーションを行い、その上、2×SSCおよび0.1%ドデシル硫酸ナトリウムを含有する洗浄溶液を用いて約50℃で洗浄を行うことを意味する。
【0031】
高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件とは、25 mM KPO4 (pH 7.4)、5×SSC、5×デンハルト溶液、50 μg/mL 変性、超音波処理済サケ精子DNA、50%ホルムアミド、10%硫酸デキストランおよび1〜15 ng/mL プローブ(約5×107 cpm/μg)を含有するハイブリダイゼーション溶液中にて約42℃でハイブリダイゼーションを行い、その上、0.2×SSCおよび0.1%ドデシル硫酸ナトリウムを含有する洗浄溶液を用いて約65℃で洗浄を行うことを意味する。
【0032】
いくつかの態様では、BNPのアイソフォームはヒト臍帯血管内皮細胞(HUVEC)においてcGMPの産生を刺激することができる。細胞内のcGMP産生は、例えば、BIOTRACK cGMP酵素免疫測定キット(Amersham Pharmacia Biotech)を用いてアッセイすることができる。他の態様では、BNPのアイソフォームは血管作用性である。血管作用性はアイソフォームに対する血管(例えば、心室中の頸動脈)の反応性を判定することにより評価することができる。
【0033】
BNPのアイソフォームは天然供給源から(例えば、単離された細胞、組織または体液から)抽出により、そのポリペプチドをコードする組換え核酸の発現により、または化学合成により得ることができる。例えば、BNPのアイソフォームをコードする発現ベクター(以下に記述される)を利用する標準的な組換え技術を使うことができる。次いで、その結果得られたポリペプチドを、例えば、アフィニティークロマトグラフィー技術およびHPLCを利用して精製することができる。精製度はカラムクロマトグラフィー法、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法または高速液体クロマトグラフィー法を含むがこれらに限定されない、適切な任意の方法により測定することができる。BNPのアイソフォームを「遺伝子操作」して、ポリペプチドを精製(例えば、アフィニティーマトリックス上に捕捉)可能とするタグ配列を含有させることができる。例えば、c-myc、ヘマグルチニン、ポリヒスチジンまたはFlag(商標)タグ(Kodak)などのタグを使用して、ポリペプチド精製に役立てることができる。そのようなタグはカルボキシル末端またはアミノ末端のいずれかを含めて、ポリペプチド内のどこにでも挿入することができる。利用できるその他の融合としては、アルカリホスファターゼのような、ポリペプチドの検出に役立つ酵素が挙げられる。
【0034】
2つの領域、つまり成熟したナトリウム利尿ポリペプチド(例えば、BNP、DNP、ANPまたはCNP)のN末端および環構造を含んだ第1領域ならびにBNPアイソフォームのC末端部分を含んだ第2領域を含むナトリウム利尿キメラポリペプチドを産生させることができる。BNPのN末端および環構造はSEQ ID NO:16の残基番号1から27を含んでおり、その一方でDNPおよびANPのN末端および環構造はそれぞれ、SEQ ID NO:17およびSEQ ID NO:18の残基番号1から23を含んでいる。BNP、DNP、ANPおよびCNPの配列は図4に示されている。他の態様では、第1領域は、1個から5個のアミノ酸置換を有するナトリウム利尿ポリペプチドのN末端および環構造を含むことができる。BNPアイソフォームの適当なC末端部分は前述のように、SEQ ID NO:1および2のアミノ酸配列に対し少なくとも45%の同一性を有する。このC末端部分はSEQ ID NO:20に記載の配列を有することができる(以下に記述)。キメラポリペプチドは細胞の環状GMP産生または血管作用性を刺激する能力を含めて、ナトリウム利尿(naturietic)ペプチドの生物活性を有することができる。
【0035】
いくつかの態様では、本発明のポリペプチドは次式に記載の配列を有することができる:

式中、Xaa1はGluまたはLysであり; Xaa2はPro、HisまたはArgであり; Xaa3はProまたはLeuであり; Xaa4はPro、LeuまたはSerであり; Xaa5はCysまたはProであり; Xaa6はPro、His、GlnまたはArgであり; Xaa7はArg、PheまたはLeuであり; Xaa8はAsp、Glyまたはなしであり; Xaa9はSer、ProまたはLeuであり; Xaa10はProまたはなしであり; Xaa11はSer、Alaまたはなしであり; Xaa12はProまたはAlaであり; Xaa13はAla、Phe、IleまたはLeuであり; Xaa14はPro、LysまたはLeuであり; Xaa15はVal、LeuまたはTrpであり; Xaa16はCys、HisまたはValであり; Xaa17はAsp、Ala、Ile、Thr、ProまたはArgであり; Xaa18はThr、ProまたはHisであり; Xaa19はVal、Ile、Pro、Val、SerまたはLeuであり; Xaa20はArg、Ser、IleまたはGluであり; Xaa21はVal、Ile、AlaまたはProであり; Xaa22はThr、ValまたはLeuであり; Xaa23はLeu、SerまたはHisであり; Xaa24はGlyまたはAlaであり; Xaa25はPhe、Ser、ThrまたはLeuであり; Xaa26はVal、AspまたはLeuであり; Xaa27はVal、LeuまたはSerであり; Xaa28はSer、ArgまたはLeuであり; Xaa29はAsn、Asp、ProまたはThrであり; Xaa30はHis、Gln、AsnまたはThrであり; Xaa31はThr、IleまたはSerであり; およびXaa32はPro、LeuまたはGluである。SEQ ID NO:20の各位置に記載のアミノ酸は、ヒト(SEQ ID NO:3); オランウータン(SEQ ID NO:7); チンパンジー(SEQ ID NO:9); ゴリラ(SEQ ID NO:12); ネコ(SEQ ID NO:12); イヌ(SEQ ID NO:14); マウス(SEQ ID NO:11); ヒツジ(SEQ ID NO:10); およびブタ(SEQ ID NO:8)由来のBNP2を含めて、天然に存在するBNP2ポリペプチドに存在する残基に相当する。そのようなポリペプチドをコードする核酸を以下のように産生させることができる。
【0036】
本発明のポリペプチドは薬学的に許容される無毒性の賦形剤または担体との混合により、薬学的組成物として製剤化することができる。そのような組成物を心臓病または腎臓病を処置するのに有効な量でその必要性のある被験体に投与することができる。薬学的組成物は非経口投与用に、具体的には溶液もしくは水性生理的緩衝液中の懸濁液の形態で; 経口投与用に、具体的には錠剤もしくはカプセル剤の形態で; または鼻腔内投与用に、具体的には散剤、点鼻薬もしくは煙霧剤の形態で調製されてもよい。標準的な方法を利用し、その他の投与経路用の組成物を必要に応じて調製してもよい。
【0037】
非経口投与用の製剤には共通の賦形剤として、滅菌水または生理食塩水、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール、植物性油、水素化ナフタレンおよび同様のものが含まれてもよい。具体的には、生体適合性の、生体分解性ラクチド重合体、ラクチド/グリコリド共重合体またはポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン共重合体は、ポリペプチドの放出をインビボで制御するための賦形剤の例である。その他の適当な非経口送達系としては、エチレン酢酸ビニル共重合体粒子、浸透圧ポンプ、移植可能な注入系およびリポソームが挙げられる。吸入投与用の製剤には、必要に応じてラクトースなどの賦形剤が含まれてもよい。吸入製剤は、例えば、ポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル、グリココール酸塩およびデオキシコール酸塩を含有する水溶液であってもよく、またはそれらは点鼻薬の形態で投与するために油性溶液であってもよい。必要に応じて、化合物は鼻腔内に塗布されるゲルとして製剤化することができる。非経口投与用の製剤には口腔投与用のグリココール酸塩が含まれてもよい。
【0038】
経口投与の場合、錠剤またはカプセル剤を結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース); 増量剤(例えば、ラクトース、微結晶性セルロースまたはリン酸水素カルシウム); 滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ); 崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプンまたはグリコールデンプンナトリウム); または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)などの薬学的に許容される賦形剤とともに従来の方法によって調製することができる。錠剤は当技術分野において周知の方法によってコーティングすることができる。経口投与用の製剤は化合物の制御放出をもたらすように製剤化されてもよい。
【0039】
点鼻剤は液状でまたは乾燥製品として供与されてもよい。霧状の水性懸濁液または水溶液にはpHおよび/または等張性を調整する担体または賦形剤が含まれてもよい。
【0040】
BNPのアイソフォームをコードする核酸
本発明は同様に、BNPポリペプチドをコードする単離された核酸を特徴とする。本明細書において「単離(された)」という用語は核酸に言及して用いる場合、天然に存在する核酸であって、その起源生物の天然に存在するゲノム中では直接接している両配列(一方は5'末端でおよび一方は3'末端で)と直接には接していない、天然に存在する核酸のことを指す。例えば、単離された核酸は、以下に限定されることはないが、任意の長さの組換えDNA分子とすることができ、但し天然に存在するゲノム中で通常、その組換えDNA分子に直接隣接して見られる核酸配列のうちの1つが除去されているか欠失されていなければならない。したがって、単離された核酸には、以下に限定されることはないが、その他の配列から独立した別個の分子(例えば、PCRまたは制限エンドヌクレアーゼ処理により産生されたcDNAまたはゲノムDNA断片)として存在する組換えDNAのほか、ベクター、自己複製プラスミド、ウイルス(例えば、レトロウイルス、アデノウイルスまたはヘルペスウイルス)中に、または原核生物もしくは真核生物のゲノムDNA中に組み込まれた組換えDNAが含まれる。さらに、単離された核酸には、雑種または融合核酸配列の一部である組換えDNA分子が含まれてもよい。
【0041】
本明細書において「単離」という用語は核酸に言及して用いる場合、任意の天然に存在しない核酸も含む。天然に存在しない核酸の配列は自然界で見られることはなく、天然に存在するゲノム中において直接隣接する配列を有していないためである。例えば、遺伝子操作された核酸などの天然に存在しない核酸は、単離された核酸であると考えられる。遺伝子操作された核酸(例えば、SEQ ID NO:20のポリペプチドをコードする核酸)は、一般的な分子クローニング技術または化学的な核酸合成技術を用いて作り出すことができる。単離された天然に存在しない核酸は、その他の配列から独立させておいてもよく、あるいはベクター、自己複製プラスミド、ウイルス(例えば、レトロウイルス、アデノウイルスまたはヘルペスウイルス)または原核生物もしくは真核生物のゲノムDNAの中に組み込まれていてもよい。さらに、天然に存在しない核酸には、雑種または融合核酸配列の一部である核酸分子が含まれてもよい。例えば、cDNAライブラリーもしくはゲノムライブラリー、またはゲノムDNAの制限消化物を含有するゲルスライス内の数百から数百万のその他の核酸の中に存在している核酸は、単離された核酸とは考えられるべきではない。
【0042】
本明細書において用いる「核酸」という用語は、mRNA、cDNA、ゲノムDNA、合成(例えば、化学的に合成された)DNAおよび核酸類似体を含めて、RNAとDNAの両者のことを指す。核酸は二本鎖であってもまたは一本鎖であってもよく、一本鎖の場合、センス鎖であってもまたはアンチセンス鎖であってもよい。さらに、核酸は環状であってもまたは直線状であってもよい。核酸類似体を塩基部分、糖部分またはリン酸骨格で修飾して、例えば、核酸の安定性、ハイブリダイゼーションまたは溶解性を向上させることができる。塩基部分での修飾としては、デオキシチミジンの代わりにデオキシウリジンならびにデオキシシチジンの代わりに5-メチル-2'-デオキシシチジンおよび5-ブロモ-2'-デオキシシチジンが挙げられる。糖部分の修飾としては、2'-O-メチルまたは2'-O-アリル糖を形成させるリボース糖の2'ヒドロキシルの修飾を挙げることができる。デオキシリボースリン酸骨格を修飾して、各塩基部分が6員のモルホリノ環に連結されているモルホリノ核酸、またはデオキシリン酸骨格が擬ペプチド骨格により置換されており4種の塩基は保持されたままであるペプチド核酸を生成させることができる。例えば、Summerton and Weller (1997) Antisense Nucleic Acid Drug Dev. 7:187-195; およびHyrup et al. (1996) Bioorgan. Med. Chem. 4:5-23を参照されたい。さらに、デオキシリン酸骨格は、例えば、ホスホロチオエートもしくはホスホロジチオエート骨格、ホスホロアミダイトまたはアルキルホスホトリエステル骨格と置換することができる。
【0043】
本発明の核酸はSEQ ID NO:5もしくは6に記載の配列(図1および2を参照されたい)を有するかまたはSEQ ID NO:5のヌクレオチド番号383から489もしくはSEQ ID NO:6のヌクレオチド番号388から432に記載の配列に対し少なくとも45%の同一性(例えば、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90または95%の同一性)を有する配列を有することができる。SEQ ID NO:5のヌクレオチド番号383から489は、SEQ ID NO:1に記載のアミノ酸配列をコードする。SEQ ID NO:6のヌクレオチド番号388から432は、SEQ ID NO:2に記載のアミノ酸配列をコードする。
【0044】
配列同一性は上述のように決定することができる。核酸配列を比較するには、BLASTNを使用する。2つの核酸配列を比較するため、オプションを以下のように設定する: -iを比較される第1の核酸配列を含むファイル(例えば、C:\seq1.txt)に設定する; -jを比較される第2の核酸配列を含むファイル(例えば、C:\seq2.txt)に設定する; -pをblastnに設定する; -oを任意の所望のファイル名(例えば、C:\output.txt)に設定する; -qを-1に設定する; -rを2に設定する; およびその他のオプションは全てそのデフォルト設定のままとする。以下のコマンドによって、2つの配列間の比較を含む出力ファイルを生成させることができる: C:\B12seq -i c:\seq1.txt -j c:\seq2.txt -p blastn -o c:\output.txt -q -1 -r 2。標的配列が、同定されている配列のいずれかの部分と相同性を共有するならば、指定の出力ファイルはそれらの相同性の領域を整列された配列として示すはずである。標的配列が、同定されている配列のどの部分とも相同性を共有しないならば、指定の出力ファイルは整列された配列を示さないはずである。
【0045】
整列されたら、任意の適合位置で始まりその他の任意の適合位置で終わる、同定配列由来の配列との一致が示された標的配列由来の連続するヌクレオチドの数をカウントすることによって、長さを決定する。適合位置は、同一のヌクレオチドが標的配列と同定配列の両方に存在する任意の位置である。標的配列中に供与されたギャップはカウントされない。ギャップはヌクレオチドではないからである。同様に、同定配列中に供与されたギャップはカウントされない。同定配列由来のヌクレオチドではなく、標的配列のヌクレオチドがカウントされるからである。
【0046】
通常、単離核酸は少なくとも10ヌクレオチド長(例えば、10、15、20、25、30、35、40、50、75、100、200、300、350、400またはそれ以上のヌクレオチド長)である。完全長に満たない核酸分子は、例えば、診断用のプライマーまたはプローブとして有用とすることができる。単離核酸分子は一般的な分子クローニング技術および化学的な核酸合成技術を含むがこれらに限定されない、標準的な技術によって産生させることができる。例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術を使うことができる。PCRとは、標的核酸が酵素的に増幅される手順または技術のことを指す。対象とするまたはそれを越える領域の末端の配列情報を通常利用して、増幅される鋳型の逆鎖と配列が同一であるオリゴヌクレオチドプライマーを設計する。PCRは全ゲノムDNAまたは全細胞RNA由来の配列を含めて、DNAおよびRNA由来の特定配列を増幅するために使用することができる。プライマーは通常、15から50ヌクレオチド長であるが、10ヌクレオチドから数百ヌクレオチド長に及んでもよい。例えば、プライマーは12、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40または45ヌクレオチド長とすることができる。プライマーは制限消化から従来の方法によって精製されてもよく、または化学的に合成されてもよい。通常、プライマーは増幅で最大限の効率を得るために一本鎖であるが、プライマーは二本鎖であってもよい。二本鎖プライマーは増幅に使用する前に、まず初めに鎖を分離させるために変性される(例えば、加熱処理される)。一般的なPCR技術は、例えば、DieffenbachおよびDveksler(編)によるPCR Primer: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1995に記述されている。鋳型の供給源としてRNAを使用する場合、逆転写酵素を使用して相補DNA(cDNA)鎖を合成することができる。リガーゼ連鎖反応、鎖置換増幅、自己持続性配列複製または核酸配列ベースの増幅を利用して、単離核酸を得ることもできる。例えば、Lewis Genetic Engineering News 12(9):1 (1992); Guatelli et al. (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:1874-1878; およびWeiss (1991) Science 254: 1292を参照されたい。
【0047】
単離核酸は同様に、単一の核酸分子として(例えば、ホスホロアミダイト技術による3'から5'方向の自動DNA合成を利用して)または一連のオリゴヌクレオチドとして化学的に合成されてもよい。例えば、所望の配列を含む長いオリゴヌクレオチド(例えば、>100ヌクレオチド)の1対または複数の対であって、このオリゴヌクレオチド対がアニールされる場合に二重鎖が形成されるように各対が短い相補性部分(例えば、約15ヌクレオチド)を含むものを合成することができる。DNAポリメラーゼを使用してオリゴヌクレオチドを伸長し、その結果、オリゴヌクレオチド対あたり1つの二本鎖核酸分子をもたらし、これを次にベクター中に連結することができる。
【0048】
単離核酸は突然変異誘発法によって得ることもできる。例えば、図1、2または3に記載の配列を例えば、PCRを介したオリゴヌクレオチド指定突然変異誘発法および/または部位特異的突然変異誘発法などの標準的な技術により突然変異させることができる。Short Protocols in Molecular Biology, Chapter 8, Green Publishing Associates and John Wiley & Sons, Edited by Ausubel et al., 1992を参照されたい。改変される位置の例は、図3の配列アライメントから同定することができる。
【0049】
本明細書において提供されるポリペプチドをコードする核酸は、薬学的に許容される無毒性の賦形剤または担体との混合により、薬学的組成物として製剤化することができる。そのような組成物を心臓病または腎臓病を処置するのに有効な量でその必要性のある被験体に投与することができる。
【0050】
ベクターおよび宿主細胞
本発明は同様に、上述されているものなどの核酸を含むベクターを提供する。本明細書において用いる「ベクター」とは、挿入される断片(segment)の複製をもたらすように他のDNA断片を挿入できるプラスミド、ファージまたはコスミドなどのレプリコンのことである。本発明のベクターは発現ベクターとすることができる。「発現ベクター」とは1つまたは複数の発現制御配列を含むベクターのことであり、「発現制御配列」とは他のDNA配列の転写および/または翻訳を制御しかつ調節するDNA配列のことである。
【0051】
本発明の発現ベクターでは、核酸は1つまたは複数の発現制御配列に作動可能に連結される。本明細書において用いる「作動可能に連結される」とは、発現制御配列が対象とするコード配列の発現を効果的に制御するように遺伝子構築体中に挿入されることを意味する。発現制御配列の例としては、プロモーター、エンハンサーおよび転写終結領域が挙げられる。プロモーターはある領域の、通常は転写が始まる点の100ヌクレオチド上流以内(一般にRNAポリメラーゼIIに対する開始部位の近傍)のDNA分子からなる発現制御配列である。コード配列をプロモーターの制御下に置くためには、ポリペプチドの翻訳読み枠の翻訳開始部位をプロモーターの下流の1ヌクレオチドから約50ヌクレオチドの間に位置づけることが必要である。エンハンサーは時間、位置およびレベルという点で発現特異性を与える。エンハンサーは、プロモーターとは異なり、転写部位からさまざまな距離にある場合に機能することができる。エンハンサーは転写開始部位の下流にあってもよい。RNAポリメラーゼがコード配列をmRNAに転写可能であり、mRNAがコード配列によってコードされるタンパク質に翻訳されることができる場合に、コード配列は「作動可能に連結」されており、細胞中で発現制御配列の「制御下」にある。
【0052】
適当な発現ベクターには、例えば、バクテリオファージ、バキュロウイルス、タバコモザイクウイルス、ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、ポックスウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルスに由来するプラスミドおよびウイルスベクターが含まれるが、これらに限定されることはない。多数のベクターおよび発現系がNovagen (Madison, WI)、Clontech (Palo Alto, CA)、Stratagene (La Jolla, CA)およびInvitrogen/Life Technologies (Carlsbad, CA)などの会社から市販されている。
【0053】
発現ベクターは、発現された核酸配列のその後の操作(例えば、精製または局在化)を容易とするように設計されたタグ配列を含むことができる。緑色蛍光タンパク質(GFP)、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)、ポリヒスチジン、c-myc、ヘマグルチニンまたはFlag(商標)タグ(Kodak, New Haven, CT)配列などのタグ配列が通常、コードされるポリペプチドとの融合体として発現される。そのようなタグはカルボキシル末端またはアミノ末端のいずれかを含めて、ポリペプチド内のどこにでも挿入することができる。
【0054】
本発明は同様に、本発明のベクターを含む宿主細胞を提供する。「宿主細胞」という用語は、ベクターを導入できる原核細胞および真核細胞を含むよう意図される。いずれかの方法を利用して、ベクターを細胞に導入することができる。例えば、リン酸カルシウム沈殿法、エレクトロポレーション法、熱ショック法、リポフェクション法、マイクロインジェクション法およびウイルスを介した核酸移入法を利用して、単離核酸を細胞に導入することができる。さらに、別記(米国特許第5,580,859号および第5,589,466号)のとおり、裸のDNAをインビボの細胞に直接送達することができる。
【0055】
心臓病を診断するためにBNP2またはBNP3を使用する方法
全体として、本発明の方法は患者(例えば、ヒト患者)由来の生体試料中のBNPアイソフォームの存在または非存在を検出する段階およびBNPアイソフォームの存在または非存在に基づいて患者を診断する段階を含む。他の態様では、BNPアイソフォームのレベルを測定し、これを対照集団由来のアイソフォームのレベル(例えば、心臓病を抱えていない複数の対照被験体由来のBNP2の平均レベル)と比較することができる。すなわち、BNPのアイソフォームの存在または対照集団のレベルと比べてアイソフォームのレベルの増加は心臓病を示すものである。BNPのアイソフォームを検出するのに適した生体試料としては、例えば、血液(全血、血漿および血清を含めて)、尿、唾液、心臓組織および循環細胞が挙げられる。
【0056】
心臓病を診断する際に考慮できるさらなる要因としては、例えば、家族歴またはその他の遺伝的要因およびトロポニンIもしくはT、高感度C反応性タンパク質(hs-CRP)、クレアチンキナーゼ(CK)、CK-MB、クレアチニンまたはミオグロビンなどのその他の心臓マーカーのレベルを挙げることができる。一般に、ミオグロビンは心臓特異的ではないが、しかしこれは梗塞を起こした心筋層から初期段階で(梗塞から約2〜3時間後に)放出されて、約24時間以内に正常に戻る。トロポニンIおよびトロポニンTの心臓性のアイソフォームは特異的であるが、しかしミオグロビンよりも遅く(梗塞の5から48時間後)に循環血液中に現れる。心筋組織はCK-MBの1つのアイソフォームを含んでおり、その一方で骨格組織は異なるアイソフォームを有している。そのような心臓マーカーに特異的な結合親和性を有する抗体が市販されている。
【0057】
被験体中のBNPアイソフォームの存在、非存在またはレベルを利用して、心臓病に対する処置(例えば、ACE阻害剤またはβ遮断薬による処置)をモニタリングすることもできる。例えば、処置前の被験体のBNPアイソフォームのベースラインレベルを処置後のさまざまな時点(例えば、処置後の1時間もしくは数時間、1日もしくは数日、1週もしくは数週または1ヶ月もしくは数ヶ月)でのアイソフォームのレベルと比較することができる。ベースラインレベルに比べてBNPアイソフォームのレベルの減少は、処置に対する肯定的な反応を示すものである。処置はBNPアイソフォームの存在、非存在またはレベルおよび上記のその他の心臓マーカーのレベルを組み合わせたものに基づいてモニタリングすることができる。
【0058】
BNPのアイソフォームの検出
BNP2またはBNP3などのBNPのアイソフォームは、例えば、1種または複数種の抗体を用いて免疫学的に検出することができる。本明細書において用いる「抗体(antibody)」または「抗体(antibodies)」という用語は、そのままの分子だけでなくBNPアイソフォームのエピトープ決定基に結合できるその断片も含む。「エピトープ」という用語は、抗体の抗原結合部位が結合する抗原上の抗原決定基のことを指す。エピトープ決定基は通常、アミノ酸または糖側鎖などの分子の化学的に活性な表面配置からなっており、それは一般的に、特定の三次元構造特性および特定の電荷特性を持っている。エピトープは一般的に少なくとも5個の連続的なアミノ酸(連続エピトープ)を有するか、またあるいは特定の構造を規定する非連続的なアミノ酸のセット(例えば、立体構造エピトープ)とすることができる。「抗体(antibody)」および「抗体(antibodies)」という用語は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化またはキメラ抗体、一本鎖Fv抗体断片、Fab断片およびF(ab)2断片を含む。ポリクローナル抗体は、免疫動物の血清中に含まれる抗体分子の不均一な集団である。モノクローナル抗体は、抗原の特定のエピトープに対する抗体の均一な集団である。
【0059】
BNPのアイソフォームに特異的な結合親和性を有する抗体断片は、公知の技術によって作製することができる。例えば、F(ab')2断片は抗体断片のペプシン消化によって産生することができる; Fab断片はF(ab')2断片のジスルフィド架橋を還元することによって作製することができる。または、Fab発現ライブラリーを構築することができる。例えば、Huse et al., Science, 246:1275 (1989)を参照されたい。抗体またはその断片を産生させたら、ELISA技術、放射免疫測定およびウエスタンブロッティングを含めて標準的な免疫測定法により、BNPアイソフォームを認識するかどうか試験する。Short Protocols in Molecular Biology, Chapter 11, Green Publishing Associates and John Wiley & Sons, Ausubel, F.M et al(編), 1992を参照されたい。
【0060】
免疫アッセイでは、BNPのアイソフォームに特異的な結合親和性を有する抗体またはそのような抗体に結合する二次抗体を直接的にまたは間接的に標識することができる。適当な標識には、放射性核種(例えば、125I、131I、35S、3H、32P、33Pまたは14C)、蛍光成分(例えば、フルオレセイン、FITC、PerCP、ローダミンまたはPE)、発光成分(例えば、Quantum Dot Corporation, Palo Alto, CAから供給されているQdot(商標)ナノ粒子)、限定された波長の光を吸収する化合物または酵素(例えば、アルカリホスファターゼまたは西洋ワサビペルオキシダーゼ)が含まれるが、これらに限定されることはない。抗体は、上記の分子で標識したアビジンまたはストレプトアビジンを用いて検出されるビオチンとの結合によって間接的に標識されてもよい。標識を検出するかまたは定量化する方法は標識の性質に依存するものであり、当技術分野において公知である。検出器の例には、X線フィルム、放射能測定器、シンチレーション計数管、分光光度計、比色計、蛍光光度計、照度計および濃度計が含まれるが、これらに限定されることはない。当業者によく知られているこれらの手法の組合せ(「多層式」アッセイを含めて)を利用して、アッセイの感度を高めることができる。
【0061】
BNPのアイソフォームを検出する免疫アッセイはサンドイッチアッセイ、競合的アッセイ(競合的RIA)または架橋式免疫アッセイ(bridge immunoassay)を含めて、公知のさまざまな形式で行うことができる。例えば、米国特許第5,296,347号; 第4,233,402号; 第4,098,876号; および第4,034,074号を参照されたい。BNPのアイソフォームを検出する方法には全体として、生体試料をBNPのアイソフォームに結合する抗体と接触させる段階および抗体とのBNPアイソフォームの結合を検出する段階が含まれる。例えば、BNPのアイソフォームに特異的な結合親和性を有する抗体を当技術分野において公知のさまざまな方法のいずれかによって固体基板上に固定化し、これを生体試料に暴露させることができる。固体基板上の抗体とのBNPアイソフォームの結合は、適切な機器、例えば、Biacore装置(Biacore International AB, Rapsgatan, Sweden)によって定性的にまたは定量的に検出可能な、結合による表面プラズモン共鳴の強度の変化をもたらす表面プラズモン共鳴現象を利用することによって検出することができる。または、上記のように抗体を標識し検出する。既知量のアイソフォームを用いて標準曲線を作成し、アイソフォームのレベルの定量化に役立てることができる。
【0062】
他の態様では、捕捉抗体を固体基板上に固定化する「サンドイッチ」アッセイを利用して、BNPのアイソフォームの存在、非存在またはレベルを検出する。この固体基板を生体試料と、試料中の任意のBNP2またはBNP3が固定化抗体に結合できるように接触させることができる。固定化抗体に結合したBNPアイソフォームの存在、非存在またはレベルは、そのアイソフォームに特異的な結合親和性を有する「検出」抗体および上記の方法を利用して測定することができる。いくつかの態様では、BNPならびにBNP2およびBNP3に結合親和性を有する捕捉抗体を使用する。この態様では、BNP2またはBNP3に特異的な結合親和性を有する検出抗体を使用することができる。サンドイッチアッセイでは、捕捉抗体は検出抗体と同じエピトープ(またはポリクローナル抗体の場合には一連の同じエピトープ)に結合するべきではないということが理解されよう。すなわち、モノクローナル抗体を捕捉抗体として使用するならば、検出抗体は、その捕捉モノクローナル抗体が結合するエピトープとは物理的に完全に分離しているかもしくはそのエピトープと部分的に重複しているだけのエピトープに結合する別のモノクローナル抗体、またはその捕捉モノクローナル抗体が結合するエピトープ以外のもしくはそのエピトープのほかのエピトープに結合するポリクローナル抗体とすることができる。ポリクローナル抗体を捕捉抗体として使用するならば、検出抗体は、その捕捉ポリクローナル抗体が結合するエピトープのいずれかとは物理的に完全に分離しているかもしくはそのエピトープのいずれかと部分的に重複しているエピトープに結合するモノクローナル抗体、またはその捕捉ポリクローナル抗体が結合するエピトープ以外のもしくはそのエピトープのほかのエピトープに結合するポリクローナル抗体とすることができる。サンドイッチアッセイは、サンドイッチELISAアッセイ、サンドイッチ・ウエスタンブロッティングアッセイまたはサンドイッチ免疫磁性検出アッセイとして行うことができる。
【0063】
抗体(例えば、捕捉抗体)を結合できる適当な固体基板には、マイクロタイタープレート、チューブ、ナイロンまたはニトロセルロース膜などの膜およびビーズまたは粒子(例えば、アガロース、セルロース、ガラス、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、磁性体または磁化できるビーズもしくは粒子)が含まれるが、これらに限定されることはない。自動免疫アッセイ系を利用する場合に、磁性体または磁化できる粒子を特に有用とすることができる。
【0064】
BNPのアイソフォームに特異的な結合親和性を有する抗体は、標準的な方法により産生させることができる。一般に、ポリペプチドは前述のように組換えによって産生されてもよく、または生体試料から精製されてもよく、これを使用して、ウサギ、ニワトリ、マウス、モルモットまたはラットを含む宿主動物を免疫することができる。例えば、SEQ ID NO:1もしくは2に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチド、または長さが少なくとも6アミノ酸であるその断片を使用して、動物を免疫することができる。免疫反応を増加させるのに使用できるさまざまなアジュバントは宿主動物種に依存し、これらにはフロイントアジュバント(完全および不完全)、ミネラルゲル、例えば、水酸化アルミニウム、界面活性物質、例えば、リゾレシチン、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油エマルジョン、キーホールリンペットヘモシアニンおよびジニトロフェノールが含まれる。モノクローナル抗体はBNPポリペプチドおよび標準的なハイブリドーマ技術を用いて調製することができる。具体的には、モノクローナル抗体は、Kohler, G. et al., Nature, 256:495 (1975)により記述されているような持続的な培養細胞系によって抗体分子の産生をもたらすいずれかの技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kosbor et al., Immunology Today, 4:72 (1983); Cole et al., Proc. Natl. Acad. Sci USA, 80:2026 (1983))およびEBV-ハイブリドーマ技術(Cole et al.,「Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy」, Alan R. Liss, Inc., pp. 77-96 (1983))により得ることができる。そのような抗体はIgG、IgM、IgE、IgA、IgDおよびそのいずれかのサブクラスを含めて、いずれかの免疫グロブリンクラスのものとすることができる。本発明のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、インビトロでおよびインビボで培養することができる。
【0065】
BNP2およびBNP3を検出するための代替技術には、エレクトロスプレーイオン化(ESI)およびマトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)などの質量分析技術が含まれる。例えば、Gevaert et al., Electrophoresis 22(9): 1645-51, 2001; Chaurand et al., J Am Soc Mass Spectrom 10(2): 91-103, 1999を参照されたい。そのような用途に有用な質量分析計はApplied Biosystems (Foster City, CA); Bruker Daltronics (Billerica, MA); およびAmersham Pharmacia (Sunnyvale, CA)から入手できる。
【0066】
BNPのアイソフォームをコードする核酸の検出
いくつかの臨床診断技術のいずれか1つを利用して、BNPのアイソフォームをコードするリボ核酸を検出することができる。ハイブリダイゼーションはナイロン膜(例えば、マクロアレイ)もしくはマイクロアレイ(例えば、マイクロチップ)などの固体基板上でまたは溶液中で(例えば、ORIGEN技術)行うことができる。いくつかの態様では、核酸に基づく方法としては、例えば、PCR法による増幅段階を挙げることができる。PCR法の場合には鋳型核酸を精製する必要はない; 鋳型核酸は細胞溶解物などの複合混合物のうちでわずかな分画であってもよい。鋳型DNAまたはRNAは日常的な技術を利用して生体試料から抽出することができる。
【0067】
PCR増幅産物が産生されたら、これは、例えば、FRET技術を利用したハイブリダイゼーションによって検出することができる。FRET技術(例えば、米国特許第4,996,143号、第5,565,322号、第5,849,489号および第6,162,603号を参照されたい)は、ドナー蛍光成分と対応するアクセプター蛍光成分が相互に一定の距離内に位置する場合に、この2種の蛍光成分間で起こるエネルギー転移を可視化するかまたは別の方法で検出かつ定量化できるという概念に基づいている。各々が蛍光成分を含んだ、2種のオリゴヌクレオチドプローブは、標的核酸配列とのオリゴヌクレオチドプローブの相補性によって決定される特定の位置で増幅産物にハイブリダイズすることができる。適切な位置での増幅産物とのオリゴヌクレオチドプローブのハイブリダイゼーションによって、FRETシグナルが生ずる。ハイブリダイゼーションの温度および時間は、約35℃から約65℃で約10秒から約1分間に及ぶことができる。FRETの検出は、PCRアッセイの各サイクル後の増幅産物の増加が検出されるようにおよび、いくつかの態様では、定量化されるように、実時間で行われてもよい。
【0068】
蛍光分析および定量化は、例えば、光子計数落射蛍光顕微鏡システム(特定の波長領域における蛍光発光をモニタリングするのに適した二色性ミラーおよびフィルターを含む)、光子計数光電子増倍管システムまたは蛍光光度計を用いて行うことができる。エネルギー転移を開始させる励起は、アルゴンイオンレーザー、高輝度水銀アーク灯、光ファイバー光源または所望の領域での励起を目的に適切にフィルター処理される別の高輝度光源で行うことができる。
【0069】
蛍光成分は、例えば、ドナー成分および対応するアクセプター成分とすることができる。ドナーおよび対応するアクセプター蛍光成分に関して本明細書において用いる「対応する」とは、ドナー蛍光成分の励起スペクトルに重なる発光スペクトルを有するアクセプター蛍光成分のことを指す。アクセプター蛍光成分の発光スペクトルの波長の極大は通常、ドナー蛍光成分の励起スペクトルの波長の極大よりも少なくとも100 nm大きくするべきであり、その結果、効率的な非放射性エネルギー転移をそれらの間にもたらすことができる。
【0070】
蛍光ドナー成分および対応するアクセプター成分は一般に、(a) 高効率Forsterエネルギー転移; (b) 大きな最終Stokesシフト(>100 nm); (c) 可視スペクトルの赤色部分への可能な限りの発光のシフト(>600 nm); および(d) ドナー励起波長での励起によって生ずるラマン水(散乱による)蛍光発光(Raman water fluorescent emission)よりも大きな波長への発光のシフトで選択される。例えば、ドナー蛍光成分はレーザー線近傍の励起極大(例えば、ヘリウム-カドミウム442 nmまたはアルゴン488 nm)、高い減衰係数、高量子収率および対応するアクセプター蛍光成分の励起スペクトルとのその蛍光発光の十分な重複で選択することができる。高い減衰係数、高量子収率、ドナー蛍光成分の発光とのその励起の十分な重複および可視スペクトルの赤色部分での発光(>600 nm)を有する、対応するアクセプター蛍光成分を選択することができる。
【0071】
FRET技術において各種のアクセプター蛍光成分とともに使用できる代表的なドナー蛍光成分としては、フルオレセイン、Lucifer Yellow、B-フィコエリトリン、9-アクリジンイソチオシアネート、Lucifer Yellow VS、4-アセタミド-4'-イソチオシアナトスチルベン-2,2'-ジスルホン酸、7-ジエチルアミノ-3-(4'-イソチオシアナトフェニル)-4-メチルクマリン、スクシンイミジル1-ピレンブチレートおよび4-アセタミド-4'-イソチオシアナトスチルベン-2,2'-ジスルホン酸誘導体が挙げられる。使用するドナー蛍光成分にもよるが、代表的なアクセプター蛍光成分としては、LC(商標)-Red 640、LC(商標)-Red 705、Cy5、Cy5.5、LissamineローダミンB塩化スルホニル、テトラメチルローダミンイソチオシアネート、ローダミンxイソチオシアネート、エリトロシンイソチオシアネート、フルオレセイン、ジエチレントリアミンペンタアセテートおよびその他のランタニドイオンキレート剤(例えば、ユウロピウムまたはテルビウム)が挙げられる。ドナーおよびアクセプター蛍光成分は、例えば、Molecular Probes社(Eugene, OR)またはSigma Chemical社(St. Louis, MO)から入手することができる。
【0072】
ドナーおよびアクセプター蛍光成分は、リンカーアームを介してプローブオリゴヌクレオチドに付着させることができる。リンカーアームはドナーとアクセプター蛍光成分との間の距離に影響を及ぼすと思われるので、各リンカーの長さは重要である。本発明の目的でリンカーアームの長さは、ヌクレオチド塩基から蛍光成分までのオングストローム(Å)の距離である。一般に、リンカーアームは長さが約10から約25Åである。リンカーアームは、例えば、国際公開公報第84/03285号に記述されている類のものであってもよい。国際公開公報第84/03285号には同様に、リンカーアームを特定のヌクレオチド塩基に付着させる方法、および蛍光成分をリンカーアームに付着させる方法が開示されている。
【0073】
LC(商標)-Red 640-NHS-エステルなどのアクセプター蛍光成分をC6-ホスホロアミダイト(ABI (Foster City, CA)またはGlen Research (Sterling, VA)から入手可能)と結合させて、例えば、LC(商標)-Red 640-ホスホロアミダイトを生成させることができる。オリゴヌクレオチドにフルオレセインなどのドナー蛍光成分を結合させるのに頻繁に使用されているリンカーとしては、チオ尿素リンカー(Glen ResearchまたはChemGene (Ashland, MA)が提供しているFITC-由来、例えば、フルオレセイン-CPG's)、アミド-リンカー(BioGenex (San Ramon, CA)が提供しているフルオレセイン-NHS-エステル由来、例えば、フルオレセイン-CPG)またはオリゴヌクレオチド合成後のフルオレセイン-NHS-エステルのカップリングを必要とする3'-アミノ-CPG'sが挙げられる。
【0074】
市販の実時間PCR装置(例えば、LightCycler(商標), Roche Molecular Biochemicals, Indianapolis, IN)を利用し、PCR増幅、増幅産物の検出および定量化を単一の密閉キュベット中で組み合わせて、サイクル時間を劇的に減少させることができる。検出および定量化は増幅と同時に起こるので、実時間PCR法では増幅産物を操作する必要性がなく、増幅産物間の二次汚染の危険性が少ない。実時間PCRは所要時間を大幅に減らすので、これは臨床検査室においてまたは当技術分野において従来のPCR技術に対する魅力的な代替手段である。
【0075】
サーモサイクラーを実行するごとに、対照試料を含有させることができる。陽性対照試料では、例えば、対照プライマーおよび対照プローブを用いて対照の鋳型核酸(例えば、標的核酸以外の核酸)を増幅させることができる。陽性対照試料では、例えば、対照の鋳型核酸を含むプラスミド構築体を増幅させることもできる。そのようなプラスミド対照は内部的に(例えば、試料内で)または試験試料と同時に別の実行試料中で増幅させることができる。サーモサイクラーを実行するごとに、例えば、標的の鋳型DNAがない陰性対照も含有させるべきである。そのような対照は増幅、ハイブリダイゼーションおよび/またはFRET反応の成功または失敗の指標となる。したがって、対照反応によって、例えば、プライマーが配列特異的にアニールしかつ伸長を開始する能力、ならびにプローブが配列特異的にハイブリダイズする能力およびFRETが起こるかどうかを容易に判定することができる。
【0076】
別のFRET形式では、増幅産物の存在、非存在またはレベル、故に、BNPのアイソフォームをコードする核酸の存在、非存在またはレベルを検出するのにTaqMan(登録商標)技術を利用する。TaqMan(登録商標)技術では2種の蛍光成分で標識した1種の一本鎖ハイブリダイゼーションプローブを利用する。第1の蛍光成分が適当な波長の光で励起されると、その吸収されたエネルギーはFRETの原理にしたがって第2の蛍光成分に転移される。第2の蛍光成分は一般に、クエンチャー分子である。PCR反応のアニーリングステップの間に、標識されたハイブリダイゼーションプローブが標的DNA(すなわち、増幅産物)に結合し、引き続く伸長段階の間にTaqポリメラーゼの5'から3'方向のエキソヌクレアーゼ活性によって分解される。結果として、励起蛍光成分とクエンチャー成分は相互に空間的に分離した状態となる。結果として、クエンチャーがない場合には第1の蛍光成分の励起によって、第1の蛍光成分からの蛍光発光を検出することができる。例証として、ABI PRISM(登録商標) 7700 Sequence Detection System (Applied Biosystems, Foster City, CA)はTaqMan(登録商標)技術を利用しており、BNPのアイソフォームを検出するために本明細書において記述した方法を行うのに適している。ABI PRISM(登録商標) 7700 Systemを利用したPCR増幅および検出に関する情報は、Applied Biosystemsのウェブサイトで見つけることができる。
【0077】
FRETとともに分子ビーコンを利用して、本発明の実時間PCR法による増幅産物の存在を検出することもできる。分子ビーコン技術では第1の蛍光成分と第2の蛍光成分で標識されたハイブリダイゼーションプローブを利用する。第2の蛍光成分は一般にクエンチャーであり、蛍光標識は通常、プローブの各末端に位置している。分子ビーコン技術では二次構造の形成(例えば、ヘアピン)を可能とする配列を有するプローブオリゴヌクレオチドを利用する。プローブ内部での二次構造の形成の結果として、両蛍光成分はプローブが溶液中に存在する場合に空間的に近接している。標的核酸(すなわち、増幅産物)とのハイブリダイゼーション後、プローブの二次構造が破壊されて、蛍光成分は相互に分離した状態となり、その結果、適当な波長の光による励起後、第1の蛍光成分の発光を検出することができる。
【0078】
FRETの代替手段として、増幅産物を、例えば、蛍光性のDNA結合色素(例えば、SYBRGreenI(登録商標)またはSYBRGold(登録商標) (Molecular Probes))により検出することができる。増幅産物との相互作用によって、そのようなDNA結合色素は適当な波長の光による励起後に蛍光シグナルを放出する。核酸にインターカレートする色素のような二本鎖DNA結合色素を使用することもできる。二本鎖DNA結合色素が使用される場合、融解曲線分析が通常、増幅産物の存在を確認するために行われる。
【0079】
製品
BNPアイソフォーム、BNPアイソフォームをコードする核酸またはBNPのアイソフォーム(例えば、BNP2またはBNP3)に特異的な結合親和性を有する抗体を、包装材料を用いて組み合わせ、キットとして販売することができる。そのようなキットは心臓病の診断、心臓病の処置のモニタリング、心臓病の進行のモニタリングまたは心臓病もしくは腎臓病の処置に有用とすることができる。製品を製造するための構成品および方法は周知である。製品には本明細書において記述される1種または複数種のポリペプチド、核酸または抗体が組み合わされてもよい。さらに、製品には二次抗体、抗BNP抗体、緩衝液、指標分子、固相(例えば、ビーズ)および/または心臓病の診断、心臓病の処置のモニタリングもしくは心臓病の進行のモニタリングに有用なその他の作用物質などの試薬がさらに含まれてもよい。抗体はふた付きの管または容器(bottle)のいずれかであるプラスチック、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンもしくはプロピレン容器(vessel)などの容器(container)の中に入れることができ、または抗体は固相、例えば、抗体(例えば、抗BNP2抗体または抗BNP3抗体)を含むベッドサイド検査用の携帯機器に含有させることができる。各種の試薬を心臓病もしくは腎臓病の処置、心臓病の処置のモニタリングまたは心臓病の進行のモニタリングに有効とする方法について記述している使用説明書がそのようなキットの中に含まれていてもよい。
【0080】
特許請求の範囲に記述される本発明の範囲を限定するものではない以下の例で、本発明をさらに説明する。
【0081】
実施例
実施例1-脳性ナトリウム利尿ペプチド-2(BNP-2)の同定
BNPゲノム配列の第2イントロンがヘビDNPポリペプチドのC末端に相同性を有するポリペプチドをコードしていることが分かった。第2イントロンによってコードされるポリペプチドが発現されていたかどうかを判定するために、心不全を抱えているおよび抱えていない患者の腎臓、脳および心臓(左心室および心房)組織から単離した細胞RNAを用いてノザンブロッティングを行った。およそ5 μgのRNAをホルムアルデヒド含有1%アガロースゲルによって電気泳動し、これをナイロン膜に転写した。ノザンブロッティングはAmbion社(Austin, TX)が提供しているNorthernMax(商標)キットを用い、製造元の使用説明書にしたがって行った。その膜をUVオートクロスリンクし、これを42℃で1時間プレハイブリダイズし、第2イントロン配列を含んだ標識プローブとともに42℃で一晩ハイブリダイズした。このプローブはRandom Primers DNA Labeling System (Gibco BRL)を用いて32Pで標識した。この膜を洗浄1回につき室温、5分で低ストリンジェンシー緩衝液(NorthernMax(商標)キット中に提供のもの、2×SSC、0.1% SDSまたは2×SSPE、0.1% SDSに相当)中にて2回洗浄し、次いでこれを洗浄1回につき42℃、15分で高ストリンジェンシー緩衝液(NorthernMax(商標)キット中に提供のもの、0.1×SSC、0.1% SDSまたは0.1×SSPE、0.1% SDSに相当)中にて2回洗浄した。ブロット上のハイブリダイゼーションシグナルは、オートラジオグラフィーによって分析した。第2イントロンに対する伝達暗号は心不全患者の左心房で検出された。
【0082】
実施例2-ヒトBNP-2のクローニング
TRIzol(登録商標)試薬 (Gibco BRL)を用いて、全RNAを健常および心不全のヒトの心臓組織から単離した。オリゴ(dT)プライマーおよびInvitrogen社(Carlsbad, CA)が提供しているThermoScript(商標) RT-PCRキットを用い、製造元の使用説明書にしたがって相補DNA(cDNA)を産生させた。RT-PCRは配列

(SEQ ID NO:21; 5'開始コドンには下線が引かれている)を有するフォワードプライマーおよび、配列

(SEQ ID NO:22、第2イントロン中のヌクレオチド番号113から133に位置している)を有するリバースプライマーを用いて行った。cDNAおよびプライマーを混合した後、最初の変性を94℃で4分間行い、続けて94℃で30秒間の変性、52℃で1分間のアニーリングおよび72℃で45秒間の伸長を35サイクル行い、その後、最後の伸長を72℃で10分間行った。得られたPCR産物(約520 bpのhBNP2 cDNA)をTopoベクター中にサブクローニングし、これを確認のために配列決定した。hBNP2 cDNAの核酸配列は図1Aに示されている。
【0083】
実施例3-イヌBNP-2のクローニング
TRIzol(登録商標)試薬 (Gibco BRL)を用いて、全RNAを健常および心不全のイヌの心臓組織から単離した。オリゴ(dT)プライマーおよびInvitrogen社(Carlsbad, CA)が提供しているThermoScript(商標) RT-PCRキットを用い、製造元の使用説明書にしたがってcDNAを作製した。RT-PCRは配列

(SEQ ID NO:23、5'開始コドンには下線が引かれている)を有するフォワードプライマー、および配列

(SEQ ID NO:24、第2イントロン中のヌクレオチド番号288から308に位置している)を有するリバースプライマーを用いて行った。cDNAおよびプライマーを混合した後、最初の変性を94℃で4分間行い、続けて94℃で30秒間の変性、55℃で1分間のアニーリングおよび72℃で45秒間の伸長を35サイクル行い、その後、最後の伸長を72℃で10分間行った。得られたPCR産物(約540 bpのdBNP2 cDNA)をTopoベクター中にサブクローニングし、これを確認のために配列決定した。dBNP cDNAの核酸配列は図1Bに示されている。
【0084】
実施例4-ヒトBNP-3のクローニング
実施例2に記述したとおり、全RNAをヒトの心臓組織から単離し、cDNAを産生させた。RT-PCRは、配列

(SEQ ID NO:25、5'開始コドンには下線が引かれている)を有するフォワードプライマー、および配列

(SEQ ID NO:26、配列中でプライマーの下線部分は第2エクソンの3'配列であり、プライマーの非下線部分は第2イントロンの位置番号289〜300に相当する)を有するリバースプライマーを用いて行った。cDNAおよびプライマーを混合した後、最初の変性を94℃で4分間行い、続けて94℃で30秒間の変性、60℃で1分間のアニーリングおよび72℃で45秒間の伸長を35サイクル行い、その後、最後の伸長を72℃で10分間行った。得られたPCR産物(約380 bpのhBNP3 cDNA)をTopoベクター中にサブクローニングし、これを確認のために配列決定した。hBNP3の核酸配列は図2に示されている。
【0085】
実施例5-抗ヒトBNP2抗体の産生
成熟ヒトBNP2ペプチドの残基番号27〜60に相当するペプチドをMayo protein core facilityで合成し、これを使用してポリクローナル抗体を産生させた。ウサギ2羽に最初は500 μgのペプチドに加えて完全フロイントアジュバントを接種し、その後、250 μgのペプチドに加えて不完全フロイントアジュバントの追加免疫の接種を3度行った。各追加免疫後、血清をウエスタンブロッティングにより評価した。1羽のウサギ(#1105)は免疫化後に特異反応を示したので、定期的な追加免疫によって高い抗体価を持続し続けた。
【0086】
このポリクローナル抗BNP2抗体を使用して、ヒト心臓組織でBNP2を検出した。パラフィン包埋したヒト心臓の左心房組織(健常および心不全)のスライス2組を脱パラフィンして、抗原回復用緩衝液で処理した。1組のスライスは5倍希釈したポリクローナルウサギ抗BNP2抗体とインキュベートし、もう一方は免疫前のウサギ血清とインキュベートした。抗ウサギビオチン複合物およびストレプトアビジン-アルカリホスファターゼを発色に使用した。BNP2は心不全患者由来の心臓組織においてのみ検出された。
【0087】
実施例6-抗ヒトBNP3抗体の産生
成熟ヒトBNP3ペプチドの残基番号27〜41に相当するペプチドをMayo protein core facilityで合成し、これを使用してポリクローナル抗体を産生させた。ウサギ2羽に最初は500 μgのペプチドに加えて完全フロイントアジュバントを接種し、その後、250 μgのペプチドに加えて不完全フロイントアジュバントの追加免疫の接種を3度行った。各追加免疫後、血清をウエスタンブロッティングにより評価した。1羽のウサギ(#1403)は免疫化後に特異反応を示したので、定期的な追加免疫によって高い抗体価を持続し続けた。
【0088】
このポリクローナル抗BNP32抗体を使用して、ヒト心臓組織でBNP3を検出した。パラフィン包埋したヒト心臓の左心房組織(健常および心不全)のスライス2組を脱パラフィンして、抗原回復用緩衝液で処理した。1組のスライスは5倍希釈したポリクローナルウサギ抗BNP3抗体とインキュベートし、もう一方は免疫前のウサギ血清とインキュベートした。抗ウサギビオチン複合物およびストレプトアビジン-アルカリホスファターゼを発色に使用した。BNP3は心不全患者由来の心臓組織においてのみ検出された。
【0089】
実施例7-ヒト心臓組織におけるBNPアイソフォームの発現レベル
実時間PCRを利用して、正常心房組織および心不全の心房組織の両者でのBNP、BNP2およびBNP3の発現レベルを評価した。GAPDHのRNAレベルを内部対照として使用した。実施例2において前述したとおり、全RNAを心臓組織から単離した。逆転写酵素およびオリゴdTにより、第一鎖cDNAを合成した。LightCycler装置およびFastStart DNA SYBR Green Iキット(Roche)を用いて、PCRを行った。このPCR反応混合液には20 μlの総量で2 μL cDNA、2 μL FastStart DNA Master SYBR(登録商標) Green I (Roche)、2.4 μL MgCl2原液(25 mM)、0.5 μMの各プライマー(表1を参照されたい)および滅菌H2Oを含有させた。プライマーは全てPrimer3ソフトエェア(Whitehead Institute)により選択した。
【0090】
【表1】

【0091】
45サイクルの95℃で10秒間の変性、60℃で5秒間のアニーリングおよび72℃で10秒間の伸長を利用し、産物を増幅させた。各反応から精製したPCR産物を測定し、定量的標準として役立てた。定量化は全て、GAPDH内在性対照に対して規準化した。蛍光性の汚染物質が試料中に存在するかどうかを判定するのに、鋳型対照は使用しなかった。増幅の特異性を確認するため、PCR産物を融解曲線分析および続けてアガロースゲル電気泳動にかけた。
【0092】
表2に示されるように、BNP3は正常心臓組織では見られなかった。心不全の心臓組織でのBNP-2の発現レベルは、正常心臓組織でのレベルよりも約7倍高かった。BNP2およびBNP3に対する伝令RNAは全BNP RNAの5%にまで相当する。
【0093】
【表2】

【0094】
実施例8-BNPアイソフォームによるcGMP産生の刺激
EGM(商標)-2 BulletKit (CC-3162) (Clonetics, East Rutherford, NJ)によって提供されている成分を添加した内皮細胞用培地(EGM(商標)-2)を用いて、ヒト臍帯血管内皮細胞(HUVEC)を96ウェルプレート中で培養した。細胞が約80%の密集度に到達した後、プレートをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で洗浄し、次いで添加物および0.5 mM IBXMを含有させたEBM-2に溶解した0、0.1、1または10 μMの合成hBNP3成熟ペプチド

と30分間インキュベートした。インキュベーション後、培地を吸引し、BIOTRACK cGMP酵素免疫測定キット(Amersham Pharmacia Biotech)を用いて、細胞を細胞内のcGMP産生についてアッセイした。cGMPの量は、同一実験内での並行反応から作成された標準曲線にしたがって計算した。表3に示されるように、BNP3の濃度を増加させることによってcGMPの産生増加が起こった。
【0095】
【表3】

【0096】
実施例9-BNPアイソフォームの血管作用性
血管作用性はニュージーランド白ウサギの頸動脈を用い、臓器チャンバー中で評価した。安楽死の後、頸動脈を冷Krebs溶液中に素早く浸した。長さが約4 mmの動脈輪(n=6)を解剖し、これを等張性筋収縮力変位変換器に連結し、25 mLのKrebs (94% O2, 6% CO2)を満たした臓器チャンバー中に懸濁させた。動脈輪を37℃で1時間平衡化し、次いでこれを漸増的に3 gまで伸ばした。実行可能性および最大収縮を60 mM KClで測定した。Krebs溶液で3回洗浄しさらに平衡化した後、動脈を滴定的にフェニレフリンで予め収縮させて、約80%の安定な最大収縮を達成した。血管作用性を研究するため、BNP3(終濃度10-10から10-7 M)または媒体を累積的に臓器槽に添加した。さらに洗浄3回および平衡化の後、動脈を再収縮し、実行可能性を増分量のニトロプルシドナトリウム(10-9から10-5 M)、つまり外因性のNO供与体による内皮非依存的な反応の評価によって確認した。
【0097】
BNP3の血管緊張低下は10-9 Mで始まり、血管反応性は約60%および約95%の完全な緊張低下がそれぞれ10-8 Mおよび10-7 Mの用量で認められるような用量依存的な様式で増加した。対照動脈輪では反応は認められなかった。これらのデータは、BNP3がその他のナトリウム利尿ペプチドについて報告されているものに類似の濃度で血管作用性であるということを実証している。Best et al., Cardiovas. Research 55:375-384 (2002)を参照されたい。
【0098】
実施例10-健常イヌでのBNP-3の腎臓内注入
BNP-3の生理学的効果を判定するため、その合成ペプチドを健常犬に直接的な腎臓内動脈注入(0.03 ng/kg/分)により送達した。生理学的評価を15分の導入期間後に行った。この用量のBNP-3を注入することで、血漿cGMPの上昇が起こった。このcGMPの上昇は尿流の増加(6〜8倍)およびナトリウムの尿中排泄の増加と関連していた。これらの増加はどちらも洗浄期間に常態に戻った。
【0099】
他の態様
本発明をその詳細な説明とともに説明してきたが、上述の説明は例証することを意図するものであり、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の範囲を限定することを意図するものではないということを理解するべきである。その他の局面、利点および変更は以下の特許請求の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】図1Aおよび1Bはそれぞれ、ヒトBNP2(SEQ ID NO:3)およびイヌBNP2(SEQ ID NO:14)のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列である。下線の配列が成熟ペプチドに相当する。
【図2】ヒトBNP-3 (SEQ ID NO:4)のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列である。下線の配列が成熟ペプチドに相当する。
【図3】オランウータン(SEQ ID NO:7); ブタ(SEQ ID NO:8); チンパンジー(SEQ ID NO:9); ヒツジ(SEQ ID NO:10); マウス(SEQ ID NO:11); ヒト(SEQ ID NO:3); ゴリラ(SEQ ID NO:12); ネコ(SEQ ID NO:13); イヌ(SEQ ID NO:14); およびヘビ(SEQ ID NO:15)由来のC末端のBNP2ポリペプチド配列のアライメントである。
【図4】BNP (SEQ ID NO:16); DNP (SEQ ID NO:17); ANP(SEQ ID NO:18); およびCNP (SEQ ID NO:19)のアミノ酸配列が含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、精製ポリペプチド:
a) SEQ ID NO:1、2、3、4、35または36のアミノ酸配列;
b) SEQ ID NO:1または2のアミノ酸配列の少なくとも6個の連続した残基を有する配列;
c) SEQ ID NO:1または2のアミノ酸配列に対して少なくとも65%の配列同一性を有する配列; および
d) 少なくとも6個の連続した残基長のSEQ ID NO:1または2の断片に対して少なくとも65%の配列同一性を有する配列。
【請求項2】
アミノ酸配列がSEQ ID NO:1または2のアミノ酸配列に対して少なくとも75%の配列同一性を有する、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項3】
アミノ酸配列が、少なくとも6個の連続した残基長のSEQ ID NO:1または2の断片に対して少なくとも75%の配列同一性を有する、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項4】
アミノ酸配列がSEQ ID NO:1または2のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の同一性を有する、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項5】
アミノ酸配列が、少なくとも6個の連続した残基長のSEQ ID NO:1または2の断片に対して少なくとも80%の同一性を有する、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項6】
アミノ酸配列がSEQ ID NO:1または2のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の同一性を有する、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項7】
アミノ酸配列が、少なくとも6個の連続した残基長のSEQ ID NO:1または2の断片に対して少なくとも90%の同一性を有する、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項8】
アミノ酸配列がSEQ ID NO:1または2のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の同一性を有する、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項9】
アミノ酸配列が、少なくとも6個の連続した残基長のSEQ ID NO:1または2の断片に対して少なくとも95%の同一性を有する、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項10】
SEQ ID NO:35またはSEQ ID NO:36のアミノ酸配列を含む、請求項1記載のポリペプチド。
【請求項11】
請求項1記載のポリペプチドをコードする単離核酸。
【請求項12】
ポリペプチドが
i) SEQ ID NO:5の核酸配列;
ii) SEQ ID NO:5のヌクレオチド番号383から489の核酸配列;
iii) SEQ ID NO:6の核酸配列; または
iv) SEQ ID NO:6のヌクレオチド番号388から432の核酸配列
によってコードされる、請求項11記載の単離核酸。
【請求項13】
請求項12記載の核酸を含む、ベクター。
【請求項14】
請求項13記載のベクターを含む、宿主細胞。
【請求項15】
真核宿主細胞である、請求項14記載の宿主細胞。
【請求項16】
請求項1記載のポリペプチドおよび薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
【請求項17】
請求項1記載のポリペプチドに特異的な結合親和性を有する、抗体。
【請求項18】
第1領域および第2領域を含むナトリウム利尿キメラポリペプチドであって、該第1領域が、以下からなる群より選択されるアミノ酸配列:
a) SEQ ID NO:16の残基番号1から27の配列;
b) SEQ ID NO:17の残基番号1から25の配列;
c) SEQ ID NO:18の残基番号1から23の配列;
d) SEQ ID NO:19の残基番号1から22の配列; および
e) 1個から5個のアミノ酸置換を有するa)、b)、c)またはd)の配列
を有し、
該第2領域が、以下からなる群より選択されるアミノ酸配列:
f) SEQ ID NO:1または2の配列;
g) SEQ ID NO:1または2のアミノ酸配列の少なくとも6個の連続した残基を有する配列;
h) SEQ ID NO:1または2のアミノ酸配列に対して少なくとも65%の配列同一性を有する配列; および
i) 少なくとも6個の連続した残基長のSEQ ID NO:1または2の断片に対して少なくとも65%の配列同一性を有する配列
を有する、ナトリウム利尿キメラポリペプチド。
【請求項19】


のアミノ酸配列を含む精製ポリペプチドであって、式中、Xaa1はGluまたはLysであり; Xaa2はPro、HisまたはArgであり; Xaa3はProまたはLeuであり; Xaa4はPro、LeuまたはSerであり; Xaa5はCysまたはProであり; Xaa6はPro、His、GlnまたはArgであり; Xaa7はArg、PheまたはLeuであり; Xaa8はAsp、Glyまたはなしであり; Xaa9はSer、ProまたはLeuであり; Xaa10はProまたはなしであり; Xaa11はSer、Alaまたはなしであり; Xaa12はProまたはAlaであり; Xaa13はAla、Phe、IleまたはLeuであり; Xaa14はPro、LysまたはLeuであり; Xaa15はVal、LeuまたはTrpであり; Xaa16はCys、HisまたはValであり; Xaa17はAsp、Ala、Ile、Thr、ProまたはArgであり; Xaa18はThr、ProまたはHisであり; Xaa19はVal、Ile、Pro、Val、SerまたはLeuであり; Xaa20はArg、Ser、IleまたはGluであり; Xaa21はVal、Ile、AlaまたはProであり; Xaa22はThr、ValまたはLeuであり; Xaa23はLeu、SerまたはHisであり; Xaa24はGlyまたはAlaであり; Xaa25はPhe、Ser、ThrまたはLeuであり; Xaa26はVal、AspまたはLeuであり; Xaa27はVal、LeuまたはSerであり; Xaa28はSer、ArgまたはLeuであり; Xaa29はAsn、Asp、ProまたはThrであり; Xaa30はHis、Gln、AsnまたはThrであり; Xaa31はThr、IleまたはSerであり; かつXaa32はPro、LeuまたはGluである、精製ポリペプチド。
【請求項20】
患者において心臓病(heart condition)を診断する方法であって、以下の段階を含む方法:
a) 該患者由来の生体試料を提供する段階;
b) 該生体試料中のBNP2またはBNP3の存在、非存在またはレベルを検出する段階; および
c) BNP-2もしくはBNP-3の存在、BNP2もしくはBNP3のレベルまたはBNP2もしくはBNP3の非存在に少なくとも部分的に基づいて、該心臓病を有するまたは該心臓病を有さないとして該患者を分類する段階。
【請求項21】
心臓病が心不全である、請求項20記載の方法。
【請求項22】
心臓病が不安定狭心症である、請求項20記載の方法。
【請求項23】
心臓病が急性心筋梗塞である、請求項20記載の方法。
【請求項24】
心臓病が高血圧症である、請求項20記載の方法。
【請求項25】
BNP2の存在、非存在またはレベルが検出される、請求項20記載の方法。
【請求項26】
BNP3の存在、非存在またはレベルが検出される、請求項20記載の方法。
【請求項27】
患者において心臓病を診断する方法であって、以下の段階を含む方法:
a) 該患者由来の生体試料を提供する段階;
b) 該生体試料中のBNP2またはBNP3をコードするリボ核酸の存在、非存在またはレベルを検出する段階; および
c) 該BNP2もしくはBNP3をコードするリボ核酸の存在、該BNP2もしくはBNP3をコードするリボ核酸のレベル、または該BNP2もしくはBNP3をコードするリボ核酸の非存在に少なくとも部分的に基づいて、該心臓病を有するまたは該心臓病を有さないとして該患者を分類する段階。
【請求項28】
心臓病が心不全である、請求項27記載の方法。
【請求項29】
心臓病が不安定狭心症である、請求項27記載の方法。
【請求項30】
心臓病が急性心筋梗塞である、請求項27記載の方法。
【請求項31】
心臓病が高血圧症である、請求項27記載の方法。
【請求項32】
哺乳類において心臓病を処置する方法であって、該心臓病の症状の重症度が軽減し、該ポリペプチドが請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10記載のポリペプチドであり、かつ該核酸が請求項11または12記載の核酸である条件の下で、ポリペプチドまたは核酸を該哺乳類に投与する段階を含む方法。
【請求項33】
ポリペプチドを投与する段階を含む、請求項32記載の方法。
【請求項34】
核酸を投与する段階を含む、請求項32記載の方法。
【請求項35】
心臓病が心不全である、請求項32記載の方法。
【請求項36】
心臓病が不安定狭心症である、請求項32記載の方法。
【請求項37】
心臓病が急性心筋梗塞である、請求項32記載の方法。
【請求項38】
心臓病が高血圧症である、請求項32記載の方法。
【請求項39】
BNP2ポリペプチドに結合し、かつSEQ ID NO:16に記載の配列からなるBNPポリペプチドには、またはSEQ ID NO:4に記載の配列からなるBNP3ポリペプチドには結合しない、精製抗体。
【請求項40】
BNP2ポリペプチドがSEQ ID NO:1に記載の配列を含む、請求項39記載の抗体。
【請求項41】
モノクローナル抗体である、請求項39記載の抗体。
【請求項42】
BNP3ポリペプチドに結合し、かつSEQ ID NO:16に記載の配列からなるBNPポリペプチドには、またはSEQ ID NO:3に記載の配列からなるBNP2ポリペプチドには結合しない、精製抗体。
【請求項43】
BNP3ポリペプチドがSEQ ID NO:2に記載の配列を含む、請求項42記載の抗体。
【請求項44】
モノクローナル抗体である、請求項42記載の抗体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2007−525957(P2007−525957A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517173(P2006−517173)
【出願日】平成16年6月2日(2004.6.2)
【国際出願番号】PCT/US2004/017554
【国際公開番号】WO2005/000095
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(501083115)メイヨ・ファウンデーション・フォー・メディカル・エデュケーション・アンド・リサーチ (27)
【Fターム(参考)】