説明

脳血管分析装置

【課題】脳血管系の血管枝ごとで弾性係数、血管の順応性と血流抵抗、血流量を測定して脳血栓を始めるとする様々な脳血管の難治の病を早期診断することができる脳血管分析装置を提供する。
【解決手段】
本発明は、脳血管の疾患を診断するために、脳血管の生物力学的特性と血流特性を測定するように心電図、心音図、脈波信号及び超音波ドップラー信号を基礎資料として脳血管系を生物力学的に分析する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管の生物力学的特性と血流特性を測定し、脳血管の疾患を分析する血管分析システムに関し、より詳しくは、脳血管系を内頚動脈枝、前大脳血管枝、中大脳血管枝、後大脳血管枝、椎骨動脈枝及び脳底動脈枝からなる系に区分し、これを分析して脳血管系の血管枝ごとで血管の気質的変化を示す血管の弾性係数を求め、脳血管系の血流特性、気質的変化と機能的変化とを同時に示す血管の順応性と血流抵抗、血流量を測定し、脳血栓を始めとする様々な脳血管の難治の病を早期診する脳血管分析置に関する。
【背景技術】
【0002】
今臨床においては、脳血管の疾患を早期診断するために、超音波ドップラー計を用いている。しかし、超音波ドップラー計は、血管特性を測定することができないため、脳血管の疾患を早期診断するには、一定の制限を有している。
【0003】
今まで開発された脳血管の疾患の分析機としては、血管造影機、MRA、FMRI、SPET、TCD、TEE、TTE、QFM、CVD等がある。
【0004】
この中で、血管造影機は、血管自体の病的変化を直感的に観察することができる長所はあるが、造影剤の注入のための血管侵襲的な操作が必須でかつ操作が複雑である。
MRAやFMRIは、血管造影機の欠陥を克服した体系ではあるが、製作原価と診断費用が高価であるため、特定な病棟でのみ利用することができるという欠陥がある。
【0005】
特に、MRA、FMRI、SPETは、互いに多少の差があるが、これらの設備による検査は、血管分布、血流特性、低血流区域等を確認することができる反面、血管の特性を確認することができない。
【0006】
超音波血流測定機(ultrasonic Quanti tative Flow Measurement System:QFM)と脳血管特性測定機(CVD)は、安い費用で頚動脈の血流量と、中大脳血管と前大脳血管の順応性を求めることができる。
【0007】
しかし、血管の特性を特徴化する血管の気質的状態及び機能的状態を評価するには、血管に流れる血流量や血管壁に作用する血圧のような血流状態と関連する情報よりは、血管自体の気質的状態と機能的状態を反映する血管の弾性係数、血管の順応性と血流抵抗等の情報を認知することが必要である。
【0008】
しかし、血管の気質状態を反映する脳血管系の血管枝ごとで血管の弾性係数と血管の順応性と直径、血流抵抗、血流量を測定することは、極めて難しい問題である。
【0009】
これは、脳血管系の構造が複雑であり、脳血管系で血管枝は互いに異なる力学的挙動をするのにも起因するが、生きている人体で血管の気質的変化を示す指標である弾性係数を測定するには、生体内の血管を採集して引っ張り器で引っ張ることが最も正確な方法ではあるが、そのようなことは不可能であるためである。
【0010】
2002年に米国のカルフォニア綜合大学教授らであるWerner G、Marifan C、Tonny M、Jeffrey C等の複数の学者たちがヒトの脳血管の生物力学的特性を研究し、‘Mechanical and Failure Propertis of Human Cerebral Blood Vesseies’に脳血管の特性に関する論文を発表したことがある。
【0011】
しかし、これらの結果は、ヒトの血管を採集して実験したものであり、診断を行うのに用いることのできる指標としては利用することができない。
【0012】
脳血管系の血流量と順応性、弾性係数、血流抵抗等を間接的に求めるための研究は多様に行われていた。
【0013】
1997〜2004年の間米国学者であるBiedma、Haoliu、Cwako shiを始めとする多くの学者たちが脳血管の順応性と抵抗を求める問題を提案した。
【0014】
しかし、以上の研究結果は、脳血管で血圧、血管の順応性と弾性係数、血流抵抗、血流量の分布に関する一般的な開示のみを盛り込んでいるだけであり、臨床に直接適用することができる結果は得られなかった。
【0015】
臨床に適用する目的で、2006年に丁光宏(Ding Guanghong)教授(上海▲復▼旦大学部校長)は、脳血管の個別的な枝の血流量を求める設備であるKF−3000を開発している。
【0016】
KF−3000は、脳血管系で血流特性を求めるのに革新的な成果を上げたが、血管の特性までは把握することができず、TCDを脳血管の疾病を早期診断するまでは発展させることができなかった。
【0017】
丁光宏博士の研究とは異なり、日本COLLINは、脳血管の疾病を早期診断するのに決定的意義を持つ脳血管系の血流特性と血管特性を評価する脳血流量計QFM−2000Xを提案し、類似する装置として、特許出願された‘脳血管のパラメーター測定装置及び方法’(An apparatus measuring parameter of cerebrovascular and method thereof)に基づくCVD−1000も提案されている。
【0018】
臨床に適用する目的で開発された超音波血流測定機(ultrasonic Quanti tative Flow Measurement System:QFM)と、特許出願された‘脳血管のパラメーター測定装置及び方法’による構成は、安い費用で内頚動脈の血流量と中大脳血管と、前大脳血管の順応性を求めることにより、脳血管疾病を早期診断することができる可能性を示した。
【0019】
しかし、超音波血流測定機(QFM)と上記特許の構成は、基本測定指標として血管の順応性と血流指標とを選定することにより、血管特性の2つの基本特性である血管の気質的変化と機能的変化を区分して究明することはできなかった。
【0020】
特に、超音波血流測定機(QFM−2000X)と脳血管特性測定機(CVD−1000)は、脳血管の順応性と抵抗を求めるには、様々な欠点を示していた。
【0021】
QFM−2000Xは、脳血管系を左右に分離して内頚動脈に入り込む血流量を脳血流量と仮定し、左側脳血管系と右側脳血管系を評価する順応性Cと抵抗Rを求めた。
【0022】
従って、脳の個別的血管枝を評価することができなかった。
【0023】
また、これらの構成は、脳血管の順応性と抵抗を求めるために、血圧波形を圧力脈波に、血流波形を超音波ドップラーに与え、両波形が一致するまで校正してC、Rを求めたが、C、Rの解は、変動振幅が大きく、また曲線近似が実際現象と大きく差が出る欠点があった。
【0024】
実際、超音波ドップラーにより血流波形を測るとき、水平面の誤差のために測定誤差が非常に大きい。ところが、そのような測定誤差を持つ波形を置いて両波形を近似させることは事実と合わず再現性が少ない。また、曲線対曲線の近似は、若干の波形変動にも両波形の近似時に大きい誤差を引き起こす。
【0025】
従って、QFM−2000Xにおいて、順応性Cや抵抗Rは測定するヒトによってほぼ10〜100倍までの差をもたらして再現性がなく、臨床指標として用いるのが困難である。
【0026】
特許出願された脳血管のパラメーター測定装置及び方法の構成は、脳血管系を模型化して分析するとき、脳に入り込む血流量を求めずに、脳に流れる血流量が心拍出量のk倍になるものと仮定することにより、正確な臨床指標を得ることができなかった。特許出願された脳血管のパラメーター測定装置及び方法の構成においては、次のように開示している。
【0027】
内頚動脈の断面積が80〜90%減っても内頚動脈に流れ込む血流量には変化がないので、これに基づいて内頚動脈に流れ込む血流量は、
=K
として計算することができる。ここで、Sは心拍出量、Kは比例定数である。
【0028】
しかし、上記のような仮定は、医療診断機器として十分な担保になり得ない。
また、特許出願された脳血管のパラメーター測定装置及び方法の構成は、前大脳血管と中大脳血管の順応性と抵抗が一定の比率で分けられる仮定することにより、疾病診断において正確度を落とした。
【0029】
特に、QFM−2000Xと特許出願された脳血管のパラメーター測定装置及び方法は、後大脳血管の順応性と抵抗を求める方法を提示することができなかった。
【0030】
このように、QFM−2000Xと上記特許された脳血管のパラメーター測定装置及び方法は、脳血管の特性を評価するために、弾性係数は求めることができずに、順応性と抵抗のみを求めたが、それ自体も多くの欠陥を持っている。
【0031】
従って、脳血管系の弾性係数、順応性、抵抗、血流量を正確に求める新たな解法に関する要求が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
本発明は、前述の従来技術の問題点を解消するために導き出されたものであり、脳血管の疾患を診断するために、脳血管の生物力学的特性と血流特性を測定するように心電図、心音図、脈波信号及び超音波ドップラー信号を基礎資料として脳血管系を生物力学的に分析することにより、脳血管系の血管枝ごとに弾性係数、血管の順応性と血流抵抗、血流量を測定し、脳血栓を始めとする様々な脳血管の難治の病を早期診断することができる脳血管分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0033】
前述の目的を達成するために、本発明による脳血管分析装置は、心電図センサ、心音図センサ、脈波センサ及び超音波センサを含む生体信号測定センサ部と、生体信号測定センサ部の各センサに連結されて測定された生体信号の受信を受けて信号処理する生体信号受信及び処理部とで構成された生体信号測定計、及び生体信号受信及び処理部と連結されて互いに通信して測定データの受信を受けて脳血管を分析するための生物力学的指標を算出する主処理部と、主処理部に連結されて使用者の制御命令の入力を受ける入力部と、主処理部に連結されて算出された結果を表示する出力部とで構成された分析指標算出計を含んで構成され、主処理部は、生体信号測定計から獲得した生体信号により得た脳血管の圧力曲線、圧力曲線に関する収縮期と弛緩期の面積及び脳血管の血流量を含む基礎情報により生物力学的指標を算出することを第1の特徴とする。
【0034】
そして、生体信号受信及び処理部は、生体信号測定センサ部から受信される生体信号を処理し、主処理部に測定データを伝送するように制御する制御器(microcontroller)、制御器の制御信号により心電図センサ、心音図センサ、脈波センサ及び超音波センサから受信される生体信号を選択する多重信号選択器、多重信号選択器により選択された生体信号を制御器の制御信号によって雑音除去又は増幅も調節する雑音除去及び信号増幅器、雑音除去及び信号増幅器を通過した生体信号を受け、入力部の制御命令又は主処理部に内蔵されたプログラムの制御命令が、制御器を通して必要な生体信号の選択を受けるようにする信号切換器、信号切換器で選択された生体信号を制御器の制御信号によってサンプリング(sampling)してホールディング(holding)する標本維持器、及び標本維持器を通してホールディング(holding)された生体信号を、制御器の制御信号によってデジタル信号に変えて制御器に送るA/D変換器を含んで構成されたことを第2の特徴とする。
【0035】
そして、脈波センサは、カフ(Cuff)脈波センサ、頚動脈脈波センサ及び大腿動脈脈波センサのうち何れか一つであり、生体信号測定計は、生体信号測定センサ部からECG、PCG及びAPG波形を同時に得ることを第3の特徴とする。
【0036】
そして、頚動脈脈波センサと大腿動脈脈波センサは同一の圧力センサであり、カフ(Cuff)脈波センサは、カフ血圧計に圧力センサが更に付着されたことを第4の特徴とする。
【0037】
そして、カフ(Cuff)脈波センサは、カフ血圧計の空気袋と連結されたゴム管に支路管を形成し、支路管の出口にアダプタを装着し、アダプタを頚動脈脈波センサ又は大腿動脈脈波センサと同一の構造のセンサ開放溝に装着したことを第5の特徴とする。
【0038】
そして、主処理部は、入力部により基礎情報の入力を受け、生体信号測定計を通して生体信号の受信を受ける第1段階、受信された生体信号の波形を分析し、分析された波形資料をもとに脳血管の圧力曲線、圧力曲線に関する収縮期と弛緩期の面積及び脳血管の血流量を得る第2段階、及び得た圧力曲線、圧力曲線の面積及び血流量と入力された基礎情報をもとに脳血管の順応性C及び抵抗Rを含む生物力学的指標を算出し、脳血管の分析結果を表示する第3段階が含まれるようにプログラムされたことを第6の特徴とする。
【0039】
そして、第2段階の脳血管は、左、右側後大脳動脈を含み、第3段階における生物力学的指標中の左、右側後大脳動脈の順応性(Cp1、Cp2)及び左、右側後大脳動脈の抵抗(Rp1、Rp2)は、所定の数式によりそれぞれ算出されたことを第7の特徴とする。
【0040】
そして、第2段階の脳血管は、左、右側前大脳動脈を含み、第3段階における生物力学的指標中の左、右側前大脳動脈の順応性(Ca1、Ca2)及び左、右側前大脳動脈の抵抗(Ra1、Ra2)は、所定の数式によりそれぞれ算出されたことを第8の特徴とする。
【0041】
そして、第2段階の脳血管は、左、右側中大脳動脈を含み、第3段階における生物力学的指標中の左、右側中大脳動脈の順応性(Ca1、Ca2)及び左、右側中大脳動脈の抵抗(Ra1、Ra2)は、所定の数式によりそれぞれ算出されたことを第9の特徴とする。
【0042】
そして、主処理部は、第3段階で算出された脳血管の順応性C及び抵抗Rを出力部にC−R状態図(Chart)上の点で表示されるように制御することを第10の特徴とする。
【発明の効果】
【0043】
本発明は、脳血管の個別的血管枝の気質的変化を反映する弾性係数を分析し、脳血管系の血流特性と脳血管の個別的血管枝の気質的変化と機能的変化を反映する血流量、血管の順応性、血流抵抗を算出することにより、脳血管の疾患の発生の危険性を早期に診断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明による脳血管分析装置の一実施例による全体システムのブロック図である。
【図2】図1の生体信号受信及び処理部の構成と信号流れを概念的に示すブロック図である。
【図3】図1の脈波センサの一種であるカフ脈波センサの構成を示す一面図及び要部分解斜視図である。
【図4】脳血管の血管枝の連結状態を概念的に示すウィリス輪(Willi's circle)である。
【図5】内頚動脈で前大脳動脈と中大脳動脈が分岐される場合であると仮定して模型化させた図4による脳血管の模型化回路図である。
【図6】内頚動脈と中大脳動脈を1つの血管枝と仮定して模型化させた図4による脳血管の模型化回路図である。
【図7】図1の主処理部の一例示的作業図である。
【図8】図1の主処理部による分析結果の一例としてC−R状態図(Chart)を示す一例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように、本発明の実施例について添付した図面を参考として詳細に説明する。しかし、本発明は、様々な相違する形態に具現することができ、ここで説明する実施例に限定されない。
【0046】
図1は本発明による脳血管分析装置の一実施例による全体システムのブロック図であり、図2は図1の生体信号受信及び処理部の構成と信号流れを概念的に示すブロック図であり、図3は図1の脈波センサの一種であるカフ脈波センサの構成を示す一面図及び要部分解斜視図であり、図4は脳血管の血管枝の連結状態を概念的に示すウィリス輪(Willi's circle)である。図5は内頚動脈で前大脳動脈と中大脳動脈が分岐される場合であると仮定して模型化させた図4による脳血管の模型化回路図であり、図6は内頚動脈と中大脳動脈を1つの血管枝と仮定して模型化させた図4による脳血管の模型化回路図であり、図7は図1の主処理部の一例示的作業図であり、図8は図1の主処理部による分析結果の一例としてC−R状態図(Chart)を示す一例示図である。
【0047】
本発明による脳血管分析装置の一実施例は、基本的に図1のように、心電図センサ122、心音図センサ124、脈波センサ126及び超音波センサ128を含む生体信号測定センサ部120と、生体信号測定センサ部120の各センサに連結されて測定された生体信号の受信を受けて信号処理する生体信号受信及び処理部140とで構成された生体信号測定計100、及び生体信号受信及び処理部140と連結されて互いに通信して測定データの受信を受けて脳血管を分析するための生物力学的指標を算出する主処理部210と、主処理部210に連結されて使用者の制御命令の入力を受ける入力部220と、主処理部210に連結されて算出された結果を示す出力部240とで構成された分析指標算出計200を含んで構成され、主処理部210は生体信号測定計100から得られた生体信号により得た脳血管の圧力曲線、圧力曲線に関する収縮期と弛緩期の面積及び脳血管の血流量を含む基礎情報により生物力学的指標を算出することを特徴とする。
【0048】
ここで、心電図センサ122は、少なくいとも3つ以上の電極で構成され、心電図(Electrocardiogram:ECG)波形を得るためのものであり、心音図センサと共に脳血管圧力曲線の特徴点(収縮期の開始点、収縮期の最高点、切痕点、弛緩期の最高点、弛緩期の終了点)を把握するためのものである。
【0049】
心音図センサ124は、心臓の弁膜が開閉するときに出る音を感知するためにマイクロフォンで構成され、これを通して心音図(Phonocardiogram:PCG)波形を得て脳血管圧力曲線の特徴点を把握するためのものである。
【0050】
脈波センサ126は、脈動による脈波を感知してAPG(Accelerated Plethysmogram:APG)波形を得るためのものであり、圧電素子で構成された圧力センサを用いることができるが、脈動を感知することができれば、これに限定されない。
【0051】
本実施例による脈波センサ126は、脳血管の頻度スペクトル情報を得るためのカフ(Cuff)脈波センサ、左、右側頚動脈の脈波を直接測定して脳血管の確率密度スペクトル情報を得るための頚動脈センサ、大腿動脈の脈波を直接測定して脈波伝達速度(Plse Wave Velocity:PWV)等を求めるための大腿動脈センサのうち何れか1つを指す。
【0052】
ここで、頚動脈脈波センサと大腿動脈脈波センサは同一種類の圧力センサであり得、カフ(Cuff)脈波センサはカフ血圧計に圧力センサが更に付着されたもので構成することができる。
【0053】
図3は、カフ(Cuff)脈波センサの具体的構成の例を示すものであり、これによると、従来カフ血圧計10の空気袋13と連結されたゴム管(14又は17)に支路管21を形成し、支路管の出口にアダプタ21を装着し、アダプタ21を頚動脈脈波センサ又は大腿動脈脈波センサと同一の構造のセンサ(例えば、圧力センサ、34)の開放溝32に装着して用いることができる。
【0054】
超音波センサ128は、超音波をよく通過させることができる頭蓋骨の位置に探触子(probe)を置いて超音波を発射させて反射波を分析することにより、脳血管の血流速度及び血流量を測定するためのものであり、頭蓋骨貫通ドップラー(Trans-Carnial Doppler:TCD)とも言う。
【0055】
以上のように、心電図センサ122、心音図センサ124、脈波センサ126及び超音波センサ128は、別個の生体信号を感知するための生体信号測定センサ部110の必須構成となり、生体信号測定センサ部110と連結される生体信号受信及び処理部140が内蔵された装置には、少なくとも4つの連結端子が備えられる。
【0056】
そして、生体信号受信及び処理部140は、図2のように、生体信号測定センサ部120から受信される生体信号を処理して主処理部210に測定データを伝送するように制御する制御器(microcontroller:マイコン、148)、制御器148の制御信号により心電図センサ122、心音図センサ124、脈波センサ126及び超音波センサ128から受信される生体信号を選択する多重信号選択器141、多重信号選択器141により選択された生体信号を制御器148の制御信号によって雑音除去又は増幅も調節する雑音除去及び信号増幅器142、雑音除去及び信号増幅器142を通過した生体信号を受けて入力部220の制御命令又は主処理部210に内蔵されたプログラムの制御命令が、制御器148を通して必要な生体信号を選択されるようにする信号切換器143、信号切換器143で選択された生体信号を制御器148の制御信号によってサンプリング(sampling)してホールディング(holding)する標本維持器144、及び標本維持器144を通してホールディング(holding)された生体信号を制御器148の制御信号によってデジタル信号に変えて制御器148に送るA/D変換器145を含んで構成される。
【0057】
ここで、多重信号選択器141は、心電図センサ122、心音図センサ124、脈波センサ126及び超音波センサ128により同時測定して同時入力されるとき、これらの測定信号を順次選別して処理するためのものであり、雑音除去及び信号増幅器142は、得られた生体信号で各種雑音を除去して標準波とし、患者(被験者)によって増幅度を調節することができるように備えられる。
【0058】
のように、生体信号受信及び処理部140は、生体信号測定計100に含まれるように備えられるのが好ましいが、回路設計によって後述の主処理部210と一体として構成することもできる。
【0059】
次に、生体信号測定計100で得られて処理された生体信号は分析指標算出計200に伝達され、分析指標算出計200で脳血管圧力曲線を算出し、脳血管圧力曲線の面積及び血流量の情報を利用して生物力学的指標を算出するようになる。
【0060】
生体信号受信及び処理部140が、図1のように、主処理部210と離れて構成されるときは、両者間の所定の通信手段(例えば、RS−232C)によりデータをやり取りするようになる。
【0061】
主処理部210は、内蔵型メモリ部又は外付型メモリ部に保存されたプログラムによって生体信号受信及び処理部140から伝達された測定データを処理して脳血管を分析するための生物力学的指標を算出する核心装置であり、コンピュータの中央処理装置に当たる。
【0062】
ここで、脳血管を分析するための生物力学的指標は、各脳血管枝の血流量、順応性、血流抵抗、動脈硬化度及び血流速度を言う。
【0063】
先ず、各生物力学的指標が、本明細書で用いる定義と他の指標間の関係について簡単に説明する。
【0064】
血流量は、脳血管枝に沿って流れる血液量を言うものであって単位はmLであり、時間の関数で表現する場合はQ又はQ(t)であり、一定時間流れた血液量(Qの時間積分量)で表現する場合はSで表記する。血流量は、一般的に脳血管枝の長さ方向に離隔された2ヶ所の血圧差(P−Pv)に正比例し、血流抵抗(R)に反比例する。血流量が少ないと、それによる虚血症状等が現れるようになる。
【0065】
順応性(Complience)は、単位体積の血管に単位力を与えたときに起こる体積変化を言うものであって単位はmL/mmHgであり、簡略にCと表記する。Cが小さいとは血管壁が硬化されるか、又は収縮されることを示し、反対にCが大きいとは血管壁が柔軟であるか、拡張型痙攣が起こることを意味する。
【0066】
血流抵抗(Resistance)は、脳血管枝に沿って流れる血液が受ける抵抗を言うものであって単位はmmHg/Lであり、簡略にRで表記される。Rは近似的に脳血管枝の長さ方向に離隔された2ヶ所の血圧差(P−Pv)と血流量(Q)の比で決定される。
【0067】
動脈硬化度(Asc)は、血管を単位長さだけ変形させるために、どの程度力を与えるかを示す指標、即ち血管の硬化度を示す指標であり、血管の気質的変化を反映するものであって単位はKg/cmであり、一般的に弾性波伝播速度の2乗に比例する。
【0068】
最後に、血流速度(V)は、脳血管枝に沿って流れる血液の速度であって単位はcm/sであり、これは主に超音波センサ128により測定される。一方、脈波伝達速度(Plse Wave Velocity:PWV)は、頚動脈と大腿動脈で脈波記録方法により測定したものであり、大動脈の弾力状態を反映する。血管壁が硬くなるほど速くなるが、特に動脈硬化性変化が激しいほど血流速度又は脈波伝達速度が速くなる。
【0069】
また、各生物力学的指標を示す文字において、下付文字aは前大脳動脈41、bは脳底動脈46、cは内頚動脈42、dは心臓の弛緩期、mは中大脳動脈43、pは後大脳動脈45、sは心臓の収縮期、vは椎骨動脈48、acは前大脳交通動脈40、pcは後大脳交通動脈44、1は左側、2は右側をそれぞれ指す。
【0070】
一方、主処理部210には、使用者の制御命令の入力を受ける入力部220と、主処理部で算出された結果を表示する出力部240とがそれぞれ連結される。
【0071】
ここで、出力部240は、プリンタだけでなく、モニタを通した画面出力部も含む。従って、図1に図示した映像処理部230は画面出力部に内蔵するようになる。
【0072】
そして、入力部220は、通常のキーボード、マウスだけでなく、画面出力部(モニタ)に備えられたタッチ入力手段も含む。
【0073】
上記のような構成で核心的な部分は、主処理部210の制御により生体信号を測定、分析してこれをもとに所定の数式により各生物力学的指標を算出させることにあるので、以下においては、これについて詳細に説明する。
【0074】
主処理部210の制御は、基本的に入力部220により基礎情報(被検者の血圧、身長、体重、人種等)の入力を受け、生体信号測定計100を通して生体信号の受信を受けた後(第1段階)、受信された生体信号の波形を分析し、分析された波形資料をもとに脳血管の圧力曲線、圧力曲線に関する収縮期と弛緩期の面積及び脳血管の血流量を得るステップ(第2段階)を経て、得た圧力曲線、圧力曲線の面積及び血流量と入力された基礎情報をもとに脳血管の順応性C及び抵抗Rを含む生物力学的指標を算出し、出力部240に脳血管の分析結果を表示するステップ(第3段階)が含まれるようにプログラムされたことを特徴として多様に実施することができる。
【0075】
脳血管は、図4に示された脳血管枝を言うものであり、本実施例によると、後述の所定の数式により、左、右側の後大脳動脈45、左、右側前大脳動脈41及び左、右側中大脳動脈43を含む各脳血管枝の生物力学的指標を自動的に計算し、出力部240に図8のようなC−R状態図(Chart)等でその結果を表示するようになる。
【0076】
後述のように、主処理部210により得られた測定データら(Qc1、Qc2、Qv1、Qv2)から複数個の方程式を連立して解くようにすることで、各脳血管枝の圧力曲線(Pa1、Pa2、Pc1、Pc2、Pp1、Pp2、Pv1、Pv2)を得て、各脳血管枝の生物力学的指標を計算するようになる。
【0077】
その例を検討すると、左、右側の後大脳動脈の順応性(Cp1、Cp2)及び左、右側の後大脳動脈の抵抗(Rp1、Rp2)は、下記数式1〜4によりそれぞれ算出する。
【0078】
左側後大脳動脈の順応性
【0079】
【数1】

【0080】
右側後大脳動脈の順応性
【0081】
【数2】

【0082】
左側後大脳動脈の抵抗
【0083】
【数3】

【0084】
及び
右側後大脳動脈の抵抗
【0085】
【数4】

【0086】
であり
数式1乃至4において、Pp1sは左側後大脳動脈の収縮期血圧、Pp1dは左側後大脳動脈の弛緩期血圧、Pp2sは右側後大脳動脈の収縮期血圧、Pp2dは右側後大脳動脈の弛緩期血圧、Ap1sは左側後大脳動脈圧力曲線の収縮期面積、Ap1dは左側後大脳動脈圧力曲線の弛緩期面積、Ap2sは右側後大脳動脈圧力曲線の収縮期面積、Ap2dは右側後大脳動脈圧力曲線の弛緩期面積、Sp1は左側後大脳動脈の血流量、Sp2は右側後大脳動脈の血流量である。
【0087】
また、左、右側前大脳動脈の順応性(Ca1、Ca2)及び左、右側前大脳動脈の抵抗(Ra1、Ra2)は、下記数式5〜8によりそれぞれ算出される。
【0088】
左側前大脳動脈の順応性
【0089】
【数5】

【0090】
右側前大脳動脈の順応性
【0091】
【数6】

【0092】
左側前大脳動脈の抵抗
【0093】
【数7】

【0094】
及び
右側前大脳動脈の抵抗
【0095】
【数8】

【0096】
であり
数式5乃至8において、Pa1sは左側前大脳動脈の収縮期血圧、Pa1dは左側前大脳動脈の弛緩期血圧、Pa2sは右側前大脳動脈の収縮期血圧、Pa2dは右側前大脳動脈の弛緩期血圧、Aa1sは左側前大脳動脈圧力曲線の収縮期面積、Aa1dは左側前大脳動脈圧力曲線の弛緩期面積、Aa2sは右側前大脳動脈圧力曲線の収縮期面積、Aa2dは右側前大脳動脈圧力曲線の弛緩期面積、Sa1は左側前大脳動脈の血流量、Sa2は右側前大脳動脈の血流量、Kは臨床係数である。
【0097】
そして、左、右側中大脳動脈の順応性(Ca1、Ca2)及び左、右側中大脳動脈の抵抗(Ra1、Ra2)は、下記数式9〜12によりそれぞれ算出される。
【0098】
左側中大脳動脈の順応性
【0099】
【数9】

【0100】
右側中大脳動脈の順応性
【0101】
【数10】

【0102】
左側中大脳動脈の抵抗
【0103】
【数11】

【0104】
及び
右側中大脳動脈の抵抗
【0105】
【数12】

【0106】
であり
数式9乃至12において、Pm1sは左側中大脳動脈の収縮期血圧、Pm1dは左側中大脳動脈の弛緩期血圧、Pm1sは右側中大脳動脈の収縮期血圧、Pm2dは右側中大脳動脈の弛緩期血圧、Am1sは左側中大脳動脈圧力曲線の収縮期面積、Am1dは左側中大脳動脈圧力曲線の弛緩期面積、Am2sは右側中大脳動脈圧力曲線の収縮期面積、Am2dは右側中大脳動脈圧力曲線の弛緩期面積、Sm1は左側中大脳動脈の血流量、Sm2は右側中大脳動脈の血流量、Kは臨床係数である。
【0107】
一方、主処理部210は、第3段階で算出された脳血管の各枝の順応性C及び抵抗Rを出力部240にC−R状態図(Chart)上の点で表示することができる。
【0108】
図8において、C−R状態図(Chart)の領域区画は、多様な臨床結果によって精密度を高めることができるように、再区画することができるのは当然であるが、臨床結果の一例として各領域を定義すると、下記のとおりである。
【0109】
領域1は重症度脳血管の起始部攣縮であると判断される区域であり、領域2は血管狭窄の移行が始まる区域であり、領域3は血管狭窄が移行される区域であり、領域4は脳動脈硬化及び狭窄区域であり、領域5は起始部攣縮が疑われる区域であり、領域6は正常若しくは攣縮移行区域であり、領域7は正常区域であり、領域8と領域10は正常若しくは自覚症状によって脳血管痙攣であると診断することができる区域であり、領域9は起始部攣縮であると判断される区域であり、領域11は脳血管痙攣又は脳血管拡張剤の服用状態が疑われる区域である。
【0110】
以下においては、実施例を裏付ける関連理論及び臨床資料を補充的に提示する。
【0111】
本発明おいては、主処理部210が測定されたデータを利用して複数個の血圧と血流量に関する方程式を連立して解くように演算を進めることになる。
【0112】
主処理部210が脳血管状態を評価するための演算をするには、脳血管系が複雑であるために、先ず脳血管系を簡略化しなければならない。
【0113】
ここで、脳血管系の分析のために、進めた実験資料を紹介すると、表1のとおりである。
【0114】
【表1】

表1と図4から分かるように、脳血管系は、内頚動脈、椎骨動脈、中大脳動脈、前大脳動脈、後大脳動脈を基本系として構成することができる(表1から分かるように、順応性は他の動脈らに比べて1/100〜1/10000程度であるので無視する)。
【0115】
図4と表1の実験結果から、脳血管系は、内頚動脈枝、前大脳動脈枝、中大脳動脈枝、後大脳動脈枝、椎骨動脈枝及び脳底動脈枝からなっているので、動脈枝ごとにウインドケッセル(Windkesell)模型を対応させ、血流特性を考慮して弾性鋼らに連結して多弾性鋼とし、弾性鋼ごとを1つの血流管路として分析すると、図4で表示された脳血管系を完璧に分析したものとなる。
【0116】
先ず、弾性鋼ごとを連結させて多弾性鋼とする場合をみると、血流特性を考慮して2つに模型化することができる。
【0117】
動脈枝ごとにウインドケッセルの模型を対応させ、血流特性を考慮して弾性鋼らを連結して多弾性鋼とする方法は、図5のように、内頚動脈で前大脳動脈と中大脳動脈が分岐する場合と仮定して多弾性鋼を構成する場合と、内頚動脈と中大脳動脈を1つの血管枝と仮定し、即ち内頚動脈+中大脳動脈を1つの弾性鋼と仮定して多弾性鋼を構成する場合とに分けることができる。
【0118】
この場合に準じ、図4の脳血管系は、内頚動脈42、椎骨動脈48、中大脳動脈43、前大脳動脈41、後大脳動脈45をそれぞれ1つの血流管路と仮定して考察することができる。
【0119】
図5で換算された脳血管系の血管枝らで血管の順応性と抵抗、弾性係数を求めるには、次のような問題を解明しなければならない。
【0120】
先ず、左右椎骨動脈46と内頚動脈42の入口で超音波により描かれた曲線と脈波曲線8個を与え、前大脳、中大脳、後大脳の血管枝の左右側の順応性と抵抗、弾性係数等18個を求めることができないため、医学的に妥当でありながらも、生物力学では矛盾のない仮定を与え、図4を簡略化しなければならない。
【0121】
この問題を解明するために、表1の実験資料を検討すると、実験資料から後大脳動脈の順応性Cと後交通動脈の順応性Cpcの比は25:1、前大脳動脈の順応性Cと前大脳交通動脈の順応性Cacの比は40:1である。
【0122】
また、脳血管に関する実験資料で得られたC、RとP=Pは、平均血圧103mmHg、P=Pの平均血圧を105mmHgと与えて計算を進めると、Qpc、Qacの血流量はQ、Q、Qの1/300程度しかない。
【0123】
以上の事実から前大脳交通動脈と後大脳交通動脈を力学的な固定端と見ることができる。
【0124】
従って、交通動脈を無視して動脈枝らの順応性と抵抗を求めることができる。
【0125】
このような仮定は、医学的にも妥当である。事実上前大脳交通動脈と後大脳交通動脈においては、脳血栓はそれほど起こらず、脳出血がたまに起こるので血圧と血流量のみ求め、順応性と抵抗を求めなくても診断においては不便がない。
【0126】
これにより、脳血管系は交通動脈で分割されたものと考察することができる。
【0127】
先ず、後大脳動脈を分析する問題について検討する。
【0128】
この問題は、脳底動脈で左右後大脳動脈が分岐される点でPp1=Pp2と左右Qp1、Qp2を与え、後大脳動脈をそれぞれ1つの弾性鋼と仮定して左右後大脳動脈の順応性と抵抗を求める問題と、後大脳動脈を単純管路と仮定して血流を考察する問題に帰する。
【0129】
後大脳動脈で順応性、血流抵抗、血流量を求めるのに最も難問題は、左右後大脳動脈が分岐される点でPp1=Pp2であるとき、左右後大脳動脈に流れる血流量(Qp1、Qp2)を求める問題である。椎骨動脈は、脳底動脈に合流したのち後大脳動脈で分岐される。
【0130】
脳底動脈で左右後大脳動脈に流れる血流量の特性を解明するために実験した結果、左右側Kv*椎骨動脈+Kc*内頚動脈の血流量比と左右側後大脳動脈の血流量比との間には、高い相関関係があることを示した。
【0131】
その実験過程は、次のとおりである。
【0132】
脳底動脈で左右後大脳動脈に流れる血流量の特性を鶏鳴するために、総50名の男たちを標本として実験を進めた。
【0133】
平均動脈圧は118mmHg〜132mmHg、脳底動脈の入口における血流量は5.2〜7.8mL/s、総心動周期は541個を取った。実験結果は、下記表2のとおりである。
【0134】
【表2】

【0135】
上記実験結果、左右側椎骨動脈+内頚動脈の血流量比(SV1/SV2)と左右側後大脳動脈の血流量比(SP1/SP2)との間には、下記数式13、14のように表現される高い相関関係があることが分かった。
【0136】
【数13】

【0137】
【数14】

【0138】
上記実験結果を理論的に考察してみると、左右内頚動脈+椎骨動脈の血流量が左右後大脳血管の血流量と相関がある理由は、次のとおり説明することができる。
【0139】
脳底動脈が後大脳動脈と連結される部位においては、シグマ効果が生じて前下小脳動脈と後下小動脈、上小脳血管は、脳底動脈で血液を吸い込む‘吸入点’のように挙動する。また、内頚動脈で流れる血液流れは、後大脳交通動脈を通して後大脳動脈の血液流れを補充する。その量は後大脳に流れる総血流量の30〜38%まである。一方、脳に流入される血液は、流体力学的速度境界層‘引き’により軸対称の大田幹を保存しようとする特徴を有している。
【0140】
このような現象を考慮し、椎骨動脈から脳底動脈を通して流れる血液の流れ量は、左右後大脳動脈に必ずしも同様に流れない。
【0141】
η=SV1/SV2を左右側Kv*椎骨動脈の血流量+Kc*頚動脈の血流量の比とし(ここで、KvとKcはそれぞれ実験定数であって、Kv=0.131〜0.152、Kc=0.73〜0.82である)、ζ=SP1/SP2を左、右側後大脳動脈の血流量の比とすると、数式13は下記数式15のように表現される。
【0142】
【数15】

【0143】
従って、後大脳動脈に流れる血流量は、椎骨動脈の血流量の80〜85%と内頚動脈で32%〜29%補充されるという事情を考慮し、下記数式16のように求めることができる。
【0144】
【数16】

【0145】
p2=1.24(Qv1+Qv2)−Sp1 (数式17)
次に、左右後大脳動脈が分岐する点でPp1=Pp2を求める。
p1=Pp2=P−Rv3*Q−R*Q (数式18)
数式18において、Rv3、RはPoisenilleの公式により、
【0146】
【数17】

【0147】
のように求める。
【0148】
上記式において、λは動脈の長さ、Dは直径、μは血液の粘稠度である。
【0149】
Dは流体力学で広く知られているプランク公式により求める。
【0150】
Q、Pを求めた後、主処理部210は、血管の順応性Cps、CpdとR、Rを求める。ここで、後大脳動脈は、脳底動脈から左右に分岐されるので、後大脳交通動脈を固定端とする単弾性鋼として取り扱うことができる(図5参照)。
【0151】
一方、脳血管は、攣縮作用と痙攣が激しいので、後大脳動脈の模型化方程式は、血管が収縮するときと血管が拡張するときとに分けて考察する。
【0152】
【数18】

【0153】
【数19】

【0154】
実験資料によると、170〜180mmHg血圧で収縮期血管の順応性と拡張期血管の順応性とは同一である。ところが、後大脳動脈内圧は普通34〜110mmHg程度であるので、後大脳動脈で血管の収縮時の順応性と拡張時の順応性との大きさは同一である。
従って、Cpd=Cpd=Cである。
【0155】
数式19と20は、P、Q、C、Rの間の関係である。C、Rを求める算法は、血圧曲線Pと血流量曲線Qとが一致するまでC、Rを調整する代わりに、血圧曲線Pの面積と血流量Sとの間の関数関係によりC、Rを求める。
【0156】
面積対面積の間の関数関係を得ると、再現性のあるC、Rを得ることができる。
【0157】
このような目的から、数式19と20をそれぞれ積分して足し引きすると、下記数式21のようになる。
【0158】
【数20】

【0159】
ここで、Sは後大脳動脈に流れる1回拍出時の血流量であり、Pは収縮期血圧であり、Pは弛緩期(拡張期)血圧であり、Aは収縮期の間の血圧曲線Pの面積であり、Aは弛緩期の間の血圧曲線Pの面積である。
【0160】
従って、数式21から左、右側後大脳動脈の順応性(Cp1、Cp2)及び抵抗(Rp1、Rp2)を求めると、下記のとおりである。
【0161】
左側後大脳動脈の順応性
【0162】
【数21】

【0163】
右側後大動脈の順応性
【0164】
【数22】

【0165】
左側後大脳動脈の抵抗
【0166】
【数23】

【0167】
及び
右側後大脳動脈の抵抗
【0168】
【数24】

【0169】
数式1乃至4において、Pp1sは左側後大脳動脈の収縮期血圧、Pp1dは左側後大脳動脈の弛緩期血圧、Pp2sは右側後大脳動脈の収縮期血圧、Pp2dは右側後大脳動脈の弛緩期血圧、Ap1sは左側後大脳動脈圧力曲線の収縮期の面積、Ap1dは左側後大脳動脈圧力曲線の弛緩期の面積、Ap2sは右側後大脳動脈圧力曲線の収縮期の面積、Ap2dは右側後大脳動脈圧力曲線の弛緩期の面積、Sp1は左側後大脳動脈の血流量、Sp2は右側後大脳動脈の血流量である。
【0170】
次に、後大脳動脈を弾性管に血液が流れる単純管路と仮定し、血液が流れる弾性管路で有弾性体の問題を解き、脳血管の気質的変化と機能的変化を区分する問題を解決する(図5参照)。
【0171】
1つの血管の弾性管で有弾性体の連続方程式と運動方程式を考察すると、
【0172】
【数25】

【0173】
【数26】

【0174】
であり、式22、23において、Aは血管の断面積、Uは血流速度、Pは血圧である。
【0175】
【数27】

【0176】
数式24において、Yは血管半径、μは粘度、τは接線応力である。
【0177】
【数28】

【0178】
数式25において、Fは平均血流速度、aは弾性波伝播速度である。
【0179】
【数29】

【0180】
数式22乃至26を考慮してまとめると、
【0181】
【数30】

【0182】
【数31】

【0183】
数式27、28において、Pは血圧曲線、μは粘度、Aは血管の断面積、ρは血液密度である。
【0184】
ここで、数式28において、
【0185】
【数32】

【0186】
を無視してXによって積分すると、
【0187】
【数33】

【0188】
これにより、単弾性管において、
【0189】
【数34】

【0190】
が成立する。
【0191】
数式30から分かるように、脳血管系で起こる血圧変動、脳血管の痙攣発作、脳血管の攣縮、薬物作用等による補充的内圧の作用は、脳血管の断面積の変化をもたらす。血管の順応性と抵抗から分かるように、順応性と抵抗が血圧変動、痙攣発作、攣縮、薬物作用等により激しい変動をもたらすのは、脳血管系の断面積の変化のためである。
【0192】
ところが、弾性係数Eは、弾性波伝播速度で表示されるので、脳血管で血圧変動、痙攣発作、攣縮、薬物作用等に関係なく、脳血管の気質的変化を代表することができる。
【0193】
一方、Moensu Kortewegによると、
【0194】
【数35】

【0195】
であるので、弾性係数E=ρ(d/h)PWVである。
【0196】
従って、C、RからAを消去し、μとPWVの相関式から脳血管の動脈硬化度Ascを得る。
【0197】
【数36】

【0198】
数式31において、S=f(PWV)、Kは臨床で得られた係数である。
【0199】
次に、上記で提起した脳血管特性と血流特性を反映する指標を臨床に適用するには、内頚動脈及び椎骨動脈に流れる血流量を求める問題を解明しなければならない。
【0200】
本発明においては、内頚動脈波曲線と超音波ドップラーにより求めた血流量曲線とが一致するまでC、Rを校正してC、Rを求める代わりに、超音波ドップラーにより得た頚椎動脈の血流量を内頚動脈波曲線の面積で表示されたC、R公式に代入する方式によりC、Rを求める。
【0201】
この方法は、脳血流特性を測定するときに経験する超音波ドップラーの弱点である水平面誤差がC、Rを求めるのに何の支障も与えないということを言う。
【0202】
言い換えれば、現在超音波測定技術により測定した血流量が臨床で無難に用いられているので、超音波測定技術により測定した血流量のみ求めると、C、R、Ascも臨床に無難に用いることができるということを示す。
【0203】
次に、交通動脈を無視した内頚動脈を分析する問題について検討する。
【0204】
この場合も上記の場合のように、前大脳動脈と中大脳動脈とが分岐する点で血圧Pa=Pm=P、この点で血流量をそれぞれQa、Qmとし、前大脳動脈と中大脳動脈をそれぞれ1つの弾性鋼と仮定し、次のような弾性鋼方程式を立てることができる。
【0205】
血管収縮時と血管拡張時との順応性は同一であるので、
【0206】
【数37】

【0207】
【数38】

【0208】
【数39】

【0209】
である。
【0210】
上記右側血管抵抗Rは5.9×10dyn・S/cm程度であり、左側血管抵抗Rは3400dyn・S/cmであるので、R/R=0である。
【0211】
従って、
【0212】
【数40】

【0213】
【数41】

【0214】
【数42】

【0215】
上記数式31、35、36のR、C、Ascは、血流量が分からないため診断に用いることができない。
【0216】
従って、診断に用いることができるR、C、Ascを求めるために、P=Pの条件でQとQを求めなければならない。
【0217】
この問題を解くために、内頚動脈が中大脳動脈と1つに連結されており、頚動脈+中大脳動脈枝で前大脳動脈が分岐されたものと仮定し、頚動脈系を再び模型化する(図6参照)。
【0218】
ここで、中大脳動脈の血管の順応性をC、前大脳の血管の順応性をC、中大脳動脈における血流抵抗をR、前大脳動脈のウィリス輪部門における血流抵抗をR、前大脳動脈の残りの部門における血流抵抗をR、中大脳における血圧をP、前大脳における血圧をP、中大脳動脈における血流量をQ、前大脳動脈における血流量をQ、内頚動脈でウィリス輪の連結点における血圧をP、静脈圧はPとしよう。
【0219】
そして、前大脳動脈と中大脳動脈の総順応性をCとすると、
【0220】
【数43】

【0221】
である。
【0222】
ここで、図6から内頚動脈PWVを1次近似で中大脳動脈のPWVとすると、内頚動脈+中大脳動脈の順応性Ccmを求めることができる。
従って、
【0223】
【数44】

【0224】
【数45】

【0225】
【数46】

【0226】
以上の結果を総合すると、左、右側前大脳動脈の順応性(Ca1、Ca2)及び左、右側前大脳動脈の抵抗(Ra1、Ra2)は、下記数式5〜8によりそれぞれ算出することがでるようになる。
【0227】
左側前大脳動脈の順応性
【0228】
【数47】

【0229】
右側前大脳動脈の順応性
【0230】
【数48】

【0231】
左側前大脳動脈の抵抗
【0232】
【数49】

【0233】
及び
右側前大脳動脈の抵抗
【0234】
【数50】

【0235】
上記数式5乃至8において、Pa1sは左側前大脳動脈の収縮期血圧、Pa1dは左側前大脳動脈の弛緩期血圧、Pa2sは右側前大脳動脈の収縮期血圧、Pa2dは右側前大脳動脈の弛緩期血圧、Aa1sは左側前大脳動脈圧力曲線の収縮期面積、Aa1dは左側前大脳動脈圧力曲線の弛緩期面積、Aa2sは右側前大脳動脈圧力曲線の収縮期面積、Aa2dは右側前大脳動脈圧力曲線の弛緩期面積、Sa1は左側前大脳動脈の血流量、Sa2は右側前大脳動脈の血流量、Kは臨床係数である。
【0236】
また、左、右側中大脳動脈の順応性(Ca1、Ca2)及び左、右側中大脳動脈の抵抗(Ra1、Ra2)は、下記数式9〜12によりそれぞれ算出することができるようになる。
【0237】
左側中大脳動脈の順応性
【0238】
【数51】

【0239】
右側中大脳動脈の順応性
【0240】
【数52】

【0241】
左側中大脳動脈の抵抗
【0242】
【数53】

【0243】
及び
右側中大脳動脈の抵抗
【0244】
【数54】

【0245】
上記数式9乃至12において、Pm1sは左側中大脳動脈の収縮期血圧、Pm1dは左側中大脳動脈の弛緩期血圧、Pm2sは右側中大脳動脈の収縮期血圧、Pm2dは右側中大脳動脈の弛緩期血圧、Am1sは左側中大脳動脈圧力曲線の収縮期面積、Am1dは左側中大脳動脈圧力曲線の弛緩期面積、Am2sは右側中大脳動脈圧力曲線の収縮期面積、Am2dは右側中大脳動脈圧力曲線の弛緩期面積、Sm1は左側中大脳動脈の血流量、Sm2は右側中大脳動脈の血流量、Kは臨床係数である。
【0246】
次に、頚動脈と椎骨動脈において、血流量と頚動脈で平均血圧Pavが与えられた条件で脳血管系の血管枝ごとで血圧と血流量を求める。
【0247】
このとき、血管ごとの抵抗Rは、上記で得た値を与える。
【0248】
臨床において、血圧は、抵抗と血流量の積であると定義する。
【0249】
従って、上記内容をもとに本発明による処理部210で血圧と血流量を求めるための連立方程式を作成すると、
【0250】
【数55】

【0251】
【数56】

【0252】
【数57】

【0253】
【数58】

【0254】
【数59】

【0255】
【数60】

【0256】
【数61】

【0257】
【数62】

【0258】
【数63】

【0259】
【数64】

【0260】
【数65】

【0261】
【数66】

【0262】
【数67】

【0263】
【数68】

【0264】
【数69】

【0265】
【数70】

【0266】
【数71】

【0267】
【数72】

【0268】
【数73】

【0269】
【数74】

【0270】
【数75】

【0271】
【数76】

【0272】
【数77】

【0273】
である。
【0274】
以上の方程式において、未知数は、Qp11、Qp12、Qp21、Qp22、Qa11、Qa12、Qa21、Qa22、Qm1、Qm2、Qpc1、Qpc2、Qac、Pa1、Pa2、Pc1、Pc2、Pv1、Pv2、Pp1、Pp2、P、P、Rであり、
、P、Qv1、Qv2、Qc1、Qc2が分かるとすると、上記連立方程式は閉ざされるようになり、未知数を求めることができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0275】
本発明の脳血管分析装置によると、脳血管の個別的血管枝の気質的変化を反映する弾性係数を分析し、脳血管系の血流特性と脳血管の個別的血管枝の気質的変化と機能的変化を反映する血流量、血管の順応性、血流抵抗を算出することにより、脳血管疾患の発生危険性を早期に診断することができるものであるので、産業上利用可能性が非常に高い。
【符号の説明】
【0276】
10:カフ血圧計
11:カフ
12:接着手段(ベルクロ)
13:内蔵された空気袋
14、17、18:ゴム管
15:空気排出バルブ
16:送気口
20:アダプタ
21:支路管
22:支路管装着部
24:蓋
26:アダプタ突出連結部
30:脈波センサ(圧力センサ)
31:通気孔
32:開放溝
34:ハウジング胴体
36:センシングリード線
40:前大脳交通動脈
41:前大脳動脈
42:内頚動脈
43:中大脳動脈
44:後大脳交通動脈
45:後大脳動脈
46:脳底動脈
47:前下小脳動脈
48:椎骨動脈
49:後下小脳動脈

【特許請求の範囲】
【請求項1】
心電図センサ、心音図センサ、脈波センサ及び超音波センサを含む生体信号測定センサ部と、前記生体信号測定センサ部の各センサに連結されて測定された生体信号の受信を受けて信号処理する生体信号受信及び処理部とで構成された生体信号測定計、及び
前記生体信号受信及び処理部と連結されて互いに通信して測定データの受信を受けて脳血管を分析するための生物力学的指標を算出する主処理部と、前記主処理部に連結されて使用者の制御命令の入力を受ける入力部と、前記主処理部に連結されて算出された結果を表示する出力部とで構成された分析指標算出計を含んで構成され、
前記主処理部は、前記生体信号測定計から獲得した生体信号により得た脳血管の圧力曲線、前記圧力曲線に関する収縮期と弛緩期の面積及び前記脳血管の血流量を含む基礎情報により生物力学的指標を算出することを特徴とする脳血管分析装置。
【請求項2】
前記生体信号受信及び処理部は、
前記生体信号測定センサ部から受信される生体信号を処理し、前記主処理部に測定データを伝送するように制御する制御器(microcontroller)、
前記制御器の制御信号により前記心電図センサ、心音図センサ、脈波センサ及び超音波センサから受信される生体信号を選択する多重信号選択器、
前記多重信号選択器により選択された生体信号を前記制御器の制御信号によって雑音除去又は増幅も調節する雑音除去及び信号増幅器、
前記雑音除去及び信号増幅器を通過した生体信号を受け、前記入力部の制御命令又は前記主処理部に内蔵されたプログラムの制御命令が、前記制御器を通して必要な生体信号の選択を受けるようにする信号切換器、
前記信号切換器で選択された生体信号を前記制御器の制御信号によってサンプリング(sampling)してホールディング(holding)する標本維持器、及び
前記標本維持器を通してホールディング(holding)された生体信号を、前記制御器の制御信号によってデジタル信号に変えて前記制御器に送るA/D変換器を含んで構成されたことを特徴とする請求項1に記載の脳血管分析装置。
【請求項3】
前記脈波センサは、カフ(Cuff)脈波センサ、頚動脈脈波センサ及び大腿動脈脈波センサのうち何れか一つであり、
前記生体信号測定計は、前記生体信号測定センサ部からECG、PCG及びAPG波形を同時に得ることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の脳血管分析装置。
【請求項4】
前記頚動脈脈波センサと前記大腿動脈脈波センサは同一の圧力センサであり、
前記カフ(Cuff)脈波センサは、カフ血圧計に圧力センサが更に付着されたことを特徴とする請求項3に記載の脳血管分析装置。
【請求項5】
前記カフ(Cuff)脈波センサは、前記カフ血圧計の空気袋と連結されたゴム管に支路管を形成し、前記支路管の出口にアダプタを装着し、前記アダプタを前記頚動脈脈波センサ又は前記大腿動脈脈波センサと同一の構造のセンサ開放溝に装着したことを特徴とする請求項4に記載の脳血管分析装置。
【請求項6】
前記主処理部は、
前記入力部により基礎情報の入力を受け、前記生体信号測定計を通して前記生体信号の受信を受ける第1段階、
前記受信された生体信号の波形を分析し、前記分析された波形資料をもとに脳血管の圧力曲線、前記圧力曲線に関する収縮期と弛緩期の面積及び前記脳血管の血流量を得る第2段階、及び
前記得た圧力曲線、圧力曲線の面積及び血流量と前記入力された基礎情報をもとに前記脳血管の順応性C及び抵抗Rを含む生物力学的指標を算出し、脳血管の分析結果を表示する第3段階が含まれるようにプログラムされたことを特徴とする請求項1に記載の脳血管分析装置。
【請求項7】
前記第2段階の前記脳血管は、左、右側後大脳動脈を含み、
前記第3段階における前記生物力学的指標中の左、右側後大脳動脈の順応性(Cp1、Cp2)及び左、右側後大脳動脈の抵抗(Rp1、Rp2)は、下記数式によりそれぞれ算出されたことを特徴とする請求項6に記載の脳血管分析装置。
左側後大脳動脈の順応性
【数1】

右側後大脳動脈の順応性
【数2】

左側後大脳動脈の抵抗
【数3】

及び
右側後大脳動脈の抵抗
【数4】

前記数式1乃至4において、Pp1sは左側後大脳動脈の収縮期血圧、Pp1dは左側後大脳動脈の弛緩期血圧、Pp2sは右側後大脳動脈の収縮期血圧、Pp2dは右側後大脳動脈の弛緩期血圧、Ap1sは左側後大脳動脈圧力曲線の収縮期面積、Ap1dは左側後大脳動脈圧力曲線の弛緩期面積、Ap2sは右側後大脳動脈圧力曲線の収縮期面積、Ap2dは右側後大脳動脈圧力曲線の弛緩期面積、Sp1は左側後大脳動脈の血流量、Sp2は右側後大脳動脈の血流量である。
【請求項8】
前記第2段階の前記脳血管は、左、右側前大脳動脈を含み、
前記第3段階における前記生物力学的指標中の左、右側前大脳動脈の順応性(Ca1、Ca2)及び左、右側前大脳動脈の抵抗(Ra1、Ra2)は、下記数式によりそれぞれ算出されたことを特徴とする請求項6に記載の脳血管分析装置。
左側前大脳動脈の順応性
【数5】

右側前大脳動脈の順応性
【数6】

左側前大脳動脈の抵抗
【数7】

及び
右側前大脳動脈の抵抗
【数8】

前記数式5乃至8において、Pa1sは左側前大脳動脈の収縮期血圧、Pa1dは左側前大脳動脈の弛緩期血圧、Pa2sは右側前大脳動脈の収縮期血圧、Pa2dは右側前大脳動脈の弛緩期血圧、Aa1sは左側前大脳動脈圧力曲線の収縮期面積、Aa1dは左側前大脳動脈圧力曲線の弛緩期面積、Aa2sは右側前大脳動脈圧力曲線の収縮期面積、Aa2dは右側前大脳動脈圧力曲線の弛緩期面積、Sa1は左側前大脳動脈の血流量、Sa2は右側前大脳動脈の血流量、Kは臨床係数である。
【請求項9】
前記第2段階の前記脳血管は、左、右側中大脳動脈を含み、
前記第3段階における前記生物力学的指標中の左、右側中大脳動脈の順応性(Ca1、Ca2)及び左、右側中大脳動脈の抵抗(Ra1、Ra2)は、下記数式によりそれぞれ算出されたことを特徴とする請求項6に記載の脳血管分析装置。
左側中大脳動脈の順応性
【数9】

右側中大脳動脈の順応性
【数10】

左側中大脳動脈の抵抗
【数11】

及び
右側中大脳動脈の抵抗
【数12】

前記数式9乃至12において、Pm1sは左側中大脳動脈の収縮期血圧、Pm1dは左側中大脳動脈の弛緩期血圧、Pm1sは右側中大脳動脈の収縮期血圧、Pm2dは右側中大脳動脈の弛緩期血圧、Am1sは左側中大脳動脈圧力曲線の収縮期面積、Am1dは左側中大脳動脈圧力曲線の弛緩期面積、Am2sは右側中大脳動脈圧力曲線の収縮期面積、Am2dは右側中大脳動脈圧力曲線の弛緩期面積、Sm1は左側中大脳動脈の血流量、Sm2は右側中大脳動脈の血流量、Kは臨床係数である。
【請求項10】
前記主処理部は、前記第3段階で算出された前記脳血管の順応性C及び抵抗Rを前記出力部にC−R状態図(Chart)上の点で表示されるように制御することを特徴とする請求項6乃至請求項9の何れか1項に記載の脳血管分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−504455(P2012−504455A)
【公表日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529998(P2011−529998)
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際出願番号】PCT/KR2009/005626
【国際公開番号】WO2010/038994
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(511079296)
【氏名又は名称原語表記】KIM,Kwang Tae
【出願人】(511079300)
【氏名又は名称原語表記】HYEON,Seog San
【Fターム(参考)】