説明

腹膜透析用の分岐した可溶性グルコースポリマー

本発明は、少なくとも30重量%、好ましくは35重量%〜80重量%のアミロース含量を有するデンプンから作られ、7%〜10%、好ましくは8%〜9%のグリコシド結合α−1,6含量と、50,000〜150,000ダルトンのMwとを有する分岐した可溶性グルコースポリマーに関し、この分岐した可溶性グルコースポリマーは、上記ポリマーが試験「B」に基づいて25%〜35%の還元糖含量および6,000〜12,000ダルトンの放出生成物のMwとして表される膵臓α−アミラーゼに対して抵抗性のあることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、50,000から150,000ダルトンの間の狭い重量平均分子量(Mw)分布に対して7から10%の間、好ましくは8まで9%の間のα−1,6グルコシド結合の含量を有する分岐した可溶性グルコースポリマーに関する。
【0002】
これらの分岐した可溶性グルコースポリマーはまた、α−アミラーゼに対する或る一定の抵抗性と、100mOsm/kg未満の低い浸透圧重量モル濃度とを有する。
【0003】
本発明の目的では「α−アミラーゼに対する或る一定の抵抗性」という表現は、これらの分岐した可溶性グルコースポリマーが、比較的非グリセミックであることに関して有する能力、具体的にはα−アミラーゼを含有する培地中でのそれらの浸透能の持続時間を長くすることに関して有する能力(腹膜内産物の加水分解をシミュレートする)、したがって長く続く治療の間、具体的には腹膜透析用途においてそれらの使用を可能にすることに関して有する能力を意味することを意図している。
【0004】
本発明はまた、全く特有の分岐鎖長分布プロフィールを有する可溶性分岐グルコースポリマーに関する。
【0005】
本発明の目的では用語「分岐鎖長分布プロフィール」とは、α−1,6分岐点を介して他のα−1,4線状グルコシド鎖と結合しているα−1,4線状グルコシド鎖の、重合度(すなわちDP)として表されるサイズ分布を意味することを意図している。
【0006】
本発明はまた、非常に多くの産業用途において、具体的には医薬産業において、より具体的には腹膜透析において使用することができるような分岐した可溶性グルコースポリマーを含む組成物に関する。
【0007】
最後に、本発明は、前記分岐した可溶性グルコースポリマーの生産方法、またより具体的には腹膜透析液の生産を意図するように前記ポリマーを精製する方法に関する。
【背景技術】
【0008】
従来、工業的に生産されるグルコースポリマーは、天然またはハイブリッドデンプン、およびそれらの誘導体の加水分解によって調製されている。
【0009】
したがって、これらのデンプン加水分解物は、穀類または塊茎植物由来のデンプンの酸加水分解または酵素加水分解によって生産される。それらは、実際にはグルコースと、きわめて多様な分子量のグルコースポリマーとの混合物である。
【0010】
工業的に生産される(或る一定の平均重合度すなわちDPを有する)これらのデンプン加水分解物(デキストリン、マルトデキストリンなど)は、線状構造(α−1,4グルコシド結合)と分岐構造(α−1,6グルコシド結合)の両方を含有する広い分布の糖を含む。
【0011】
これらのデンプン加水分解物、具体的にはマルトデキストリンは、輸送体または充填剤として、賦形剤(texturing agent)として、噴霧乾燥担体として、代用脂肪として、被膜形成剤として、凍結調整剤として、抗結晶化剤として、または栄養源として広く使用される。
【0012】
マルトデキストリンの糖組成が、それらの物理学的特性および生物学的特性の両方を決定することは当業者に知られている。
【0013】
したがって、それらの吸湿性、それらの発酵性、それらの粘度、それらの甘味性、それらの安定性、それらのゲル化性、およびそれらの浸透圧重量モル濃度は、それらが使用される様々な分野に応じて従来から評価され選択されている基準である。
【0014】
したがってこれらの糖の物理化学的挙動の基本的知識が、例えばそれらを腹膜透析液に組み込むことにつながる。
【0015】
腹膜透析は、透析液を腹膜腔中にカテーテルによって導入することにある。
【0016】
一定の時間の後、血液と透析物の間で溶質の交換が行われる。
【0017】
適切な浸透圧剤の使用は、過剰な水を血液から透析物へ排出し、こうして腎臓不全を克服することを可能にする。
【0018】
体から過剰な水(限外濾過)および溶質を除去するための腹膜透析の従来の方法は、透析液を腹膜腔中に注入することにあり、これは浸透圧剤としてのグルコースの添加により血液に関して高張性にする。
【0019】
理想的な半透膜を通過する流量は、溶液中に存在する溶質粒子の総数(浸透圧重量モル濃度)によって主に決まり、それらのサイズには関係ない。
【0020】
一方、腹膜などの生体膜の場合にはその流量は、その膜を通過しないか、またはやや通過する溶質のみに左右され、したがって溶液の総浸透圧重量モル濃度には必ずしもリンクしない。
【0021】
これに加えて溶質がこの膜を通過する能力はまた、それら分子の形状、それらのイオン電荷、かつまたそれらのサイズにも左右される。
【0022】
理想的な浸透圧剤の選択は注意を要する。前記薬剤は、浸透勾配が腹膜を通して水および有毒物質を血液から透析液へ移動させることを可能にしなければならない。
【0023】
それはまた、非毒性かつ生物学的に不活性でなければならず、一方で同時に体内で代謝可能で、その一部は血液中で同化されなければならない。
【0024】
それはまた、長時間にわたる限外濾過勾配を維持するように、かつ血液中の望ましくない非分解性物質が蓄積されないように、あまり速く腹膜を通過してはならない。
【0025】
したがって、欧州特許第207 676号明細書は、連続的な、また携行用の腹膜透析に使用するには、5000〜100,000ダルトンのMwおよび低い多分散性指数すなわちPIを有する、水に溶かして10%の透明かつ無色の溶液を形成するデンプン加水分解物が好ましいはずであるということを教示している。
【0026】
これは、3以下のDPを有するグルコースまたはオリゴ糖を全くまたはほんの少ししか含有しない、また100,000ダルトンを超えるMwを有するグルコースポリマーを全くまたはほんの少ししか含有しない、主に5000から50,000ダルトンの間の高分子量グルコースポリマーを含有する組成物ということになる。
【0027】
実際には、この用途の場合、腹壁を速やかに通過する低分子量のモノマーまたはポリマーは、長時間にわたる浸透圧勾配を作り出すための対象にならず、またさらに100,000ダルトンを超え、浸透能を欠く非常に高分子量のポリマーは、それらが体の中で劣化し、また沈殿する危険があるので避けるべきであり、また禁止されるべきでさえある。
【0028】
本出願人の会社は、その欧州特許第667 356号明細書において、水に完全に可溶であり、2.8未満の低い多分散性指数を有し、Mwが8000から22,500ダルトンの間にあるデンプン加水分解物を、もち性デンプンから生成する方法を提案している。
【0029】
この方法は、アミロペクチンのみからなるデンプンの乳状液を酸加水分解にかけ、次いでこの酸加水分解物を細菌α−アミラーゼを用いる酵素加水分解によってさらに加水分解し、その加水分解物をアルカリ金属またはアルカリ土類金属形態のマクロポーラス強力カチオン樹脂上でクロマトグラフにかけることにある。
【0030】
イコデキストリンとも呼ばれるこの特定のデンプン加水分解物は、本明細書中で後述するように光散乱によって求められる21,000〜22,000ダルトンのMwを有する。
【0031】
イコデキストリンのグルコース分子の大部分は、小分率のα−1,6分岐状α−1,4鎖(10%未満)を有するα−1,4結合の線状鎖(90%を超える)である。
【0032】
イコデキストリンは、透析液で浸透圧剤としてこれまで使用されていたグルコースの日々の吸収の顕著な減少を可能にし、こうしてカロリー含量が重大な要因である糖尿病および/または肥満患者の治療に実質的な利点をもたらす。
【0033】
浸透圧剤としてイコデキストリンを含有する腹膜透析液(具体的には、Baxter Healthcare Corp.により商品名Extraneal(登録商標)で販売されている)は、長くかかる毎日の交換(携行式連続腹膜透析においては夜間、また自動腹膜透析においては昼間)用に一般に使用されている。
【0034】
しかしながら、より少ない血糖およびより長続きする浸透能を生じさせる浸透圧剤が存在するならば、このイコデキストリンをさらに改良することができ、これは透析治療処置の著しい簡素化につながる。
【0035】
実際に、透析物の収率が向上することになるので、透析バッグを替える頻度がより少なくなり、これにより患者の生活の質が確実に改善されることになる。
【0036】
したがって腹膜透析において理想的な炭水化物は、
−水溶性であり、
−低粘度を有し、
−老化せず、
−全身循環において低いグルコース出現動態を生じさせ、
−ゆっくり加水分解されるが、その加水分解の終わりに体の酵素によって完全に分解され、かつ
−長続きする浸透圧を働かせる
べきである。
【0037】
実際に、最後の2点に関して腎不全を患っている患者の腹腔中に溶液の状態で投与された浸透圧剤の結果は、腹腔液中でのそれらの安定性、それらの全身循環中の吸収度、およびアミラーゼによるそれらの加水分解速度によって決まる。
実のところ従来技術のすべての浸透圧剤は、急速に加水分解されるという欠点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0038】
【特許文献1】欧州特許第207 676号明細書
【特許文献2】欧州特許第667 356号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0039】
したがって上記全体から考えると、これまで満たされていない、具体的には安定性および可溶性に関して卓越した特性を示す、また同様に、それらグルコースポリマーを含有する製品に、特に腹膜透析分野においてそれらを使用することを可能にする、より長寿命と制御された消化性とを付与するグルコースポリマーを獲得する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0040】
多大な研究費用を費やして、少なくとも30重量%、好ましくは35から80重量%の間のアミロース含量を有するデンプンから調製される新規な分岐した可溶性グルコースポリマーを構想し、開発することによって、今まで調和させることが困難であると考えられたこれらのすべての目的を調和させたことは本出願人の会社の功績である。
【0041】
本明細書中で後に例証するように本出願人の会社は、アミロースを多く含むデンプンを出発物質として使用しさえすれば、具体的には安定性、より長寿命、および制御された消化性に関して卓越した特性を有するグルコースポリマーの生産を達成することができることを見出した。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明による分岐グルコースポリマーは、本出願人の会社がそれ自身の先行する特許出願においてすでに提案し、記述した他の高度に分岐した可溶性グルコースポリマーを含めた従来技術のものときわめて異なるという意味で可溶性グルコースポリマーの新規な系列を構成する。
【0043】
したがって本出願人の会社は、国際公開第2004/022602号パンフレット中で強く主張されているように、腹膜透析に使用することができるデンプン系製品は、優先的に11から18%の間のα−1,6分岐度と、10,000から200,000の間の分子量とを有しなければならないということに基づく第一の技術的先入観を克服した。
【0044】
本出願人の会社はまた、高度に分岐した可溶性グルコースポリマー(10%を超える分岐度)のみが腹膜透析に使用することができると考え、
−その欧州特許第1 369 432号明細書ではそのポリマーは、10%を超える、好ましくは12から30%の間のα−1,6結合の含量と、30,000〜200,000ダルトンのMwとを有する高度に分岐した可溶性グルコースポリマーであり、
−その欧州特許出願第1 548 033号明細書ではそのポリマーは、13から17%の間のα−1,6結合の含量と、90,000〜150,000ダルトンのMwとを有する高度に分岐した可溶性グルコースポリマーであり、また
−その欧州特許出願第1 994 061号明細書ではそのポリマーは、20から30%の間のα−1,6結合の含量と、20,000〜30,000ダルトンのMwとを有する高度に分岐した可溶性グルコースポリマーであった。
【0045】
実のところ、本発明による少なくとも30重量%、好ましくは35から80%の間のアミロース含量を有するデンプンから調製される分岐した可溶性グルコースポリマーは、7から10%の間、好ましくは8から9%の間のα−1,6グルコシド結合の含量と、50,000から150,000ダルトンの間のMwとを有する。
【0046】
これらのポリマーは、それらのα−アミラーゼに対する卓越した抵抗性を特徴とし、その抵抗性は、本発明による分岐ポリマーの水溶液を調製し、それを膵臓由来のアミラーゼと接触させて腹膜中での製品の加水分解をシミュレートすることにある試験によって求められる。
【0047】
本出願人の会社は、過去にその欧州特許出願第1 177 216号明細書において、2.5から10%の間のα−1,6グルコシド結合と、10,000から10ダルトンの間のMwとを有する分岐した可溶性グルコースポリマーについて述べた。
【0048】
大部分が標準的なデンプン、特にもち性コーンスターチから調製されるそれらの化合物のいずれも、本明細書中で後に例証するように膵臓α−アミラーゼに対する抵抗性に関してこのような卓越した特性を示さなかった。
【0049】
最後に、これらのポリマーは、試験「A」に基づいて測定される100mOsm/kg未満の値を有する浸透圧重量モル濃度を有する。
【0050】
本発明による分岐した可溶性グルコースポリマーは、7から10%の間、好ましくは8から9%の間のα−1,6グルコシド結合の含量を有する。
【0051】
前記含量は、プロトンNMR分析によって求められる。
【0052】
次いで分岐度は、前記可溶性グルコースポリマーのグルコース残基のすべてのC1が担持するグルコシドプロトン由来のシグナル全体に100の値を与えたとき、α−1,6結合を介して別のアンヒドログルコース単位を結び付けるアンヒドログルコース単位のC1が担持するプロトン由来のシグナルの量に対応する比率として表される。
【0053】
これらの条件下で、本発明による分岐した可溶性グルコースポリマーは、7から10%の間、好ましくは8から9%の間のα−1,6グルコシド結合の含量を有する。
【0054】
α−1,6グルコシド結合のこの含量は、本発明による分岐グルコースポリマーに、そのポリマーがそれから誘導されるデンプンに関する分岐度の点で特別の構造を付与する。
【0055】
このα−1,6グルコシド結合の含量は、本発明による分岐グルコースポリマーを消化し難くし、これは緩やかな消化が望ましいすべての用途にそれらを使用できることに寄与する。
【0056】
本発明による分岐した可溶性グルコースポリマーの分子量は、その重量平均分子量(Mw)を測定することによって求められる。
【0057】
この値は、直列に取り付けられ、光散乱検出器に連結されたPSS SUPREMA 100カラムおよびPSS 5 SUPREMA 1000カラム上でのサイズ排除クロマトグラフィーによって得られる。
【0058】
その場合、本発明による分岐グルコースポリマーは、50,000から150,000ダルトンの間のMw値を有する。
【0059】
本発明によるこのポリマーは、それらのα−アミラーゼに対する卓越した抵抗性を特徴とし、前記抵抗性は本出願人の会社によって開発された試験に基づいて求められる。
【0060】
試験「B」と呼ばれるこの試験は、具体的には透析液用の浸透圧剤の選択における必須の判定基準である、ポリマーのアミラーゼ加水分解に対する抵抗性を評価することを可能にする。
【0061】
試験「B」によればアミラーゼ消化のための操作条件は、
−0.6gの試験生成物を正確に量り分け、
−150mlのマレイン酸Na緩衝液(pH7)を0.1モル/lで加え、
−生成物が溶解するまで撹拌し、
−溶液の温度が37℃になるように、そのフラスコをサーモスタットで37℃に調温した水槽中に15分間置き、
−0分時に1.5mlの試料(試料SI)を採取し、
−8USPの活性当量を有するブタのパンクレアチン(動物由来のα−アミラーゼ)0.15gを加え、
−サーモスタットで調温した槽中で撹拌(THP 15 Variomag撹拌機の撹拌能力の4分の3で)しながら37℃で300分間インキュベートし、
−15、30、45、60、90、120、180、240、300分時に1.5mlの試料を採取し、
−試料を100℃の乾燥槽中に10分間置くことによって酵素反応を停止し、
−加水分解速度を調べるために試料上の還元糖を検定し、
−こうして放出されるアミラーゼ加水分解生成物の平均モル質量を求める。
【0062】
還元糖を検定するために用いる方法はSomogyi−Nelson法であり、これは、
−200μlの試料を栓付き試験管中に導入し、前記試料に200μlの使用液(酒石酸ナトリウム試薬および硫酸銅試薬)を加え、
−沸騰させ、冷却後にアルセノモリブデン酸試薬、次いで水を加える、
ことにある。
【0063】
得られた溶液をマイクロプレート上に付着させ、次いで吸光度をマイクロプレートリーダー上で520nmの波長で読み取る。
【0064】
試験「B」により還元糖を判定するための基準値は、300分で測定された値である。
【0065】
こうして放出されるアミラーゼ加水分解生成物の平均モル質量を求めるために使用する方法については、Shodex OH pak−SB802カラム−SB803カラム−SB805カラム上でのHPSECクロマトグラフィー法である。
【0066】
溶離溶媒は、0.1M硝酸ナトリウム+0.02%アジ化ナトリウムの溶液である。流量は0.5ml/分である。カラムは、30℃の温度に維持される。
【0067】
屈折計を検出モジュールとして使用し、またカラムを既知のモル質量のプルランで較正する。
【0068】
試験「B」に基づいて平均モル質量を求めるための基準値もまた、300分で測定された値である。
【0069】
その場合、本発明の分岐した可溶性グルコースポリマーは、試験「B」に基づいて、
−25から35%の間の還元糖含量、および
−6000から12,000ダルトンの間の放出生成物のMw
で表される膵臓α−アミラーゼに対する抵抗性を示す。
【0070】
本発明による分岐した可溶性グルコースポリマーの第一のサブファミリーは、試験「B」に基づいて、
−25%以上、30%未満の還元糖含量、および
−9500ダルトン以上、12,000ダルトン未満の放出生成物のMw
で表される膵臓α−アミラーゼに対する抵抗性を示す。
【0071】
本発明による分岐した可溶性グルコースポリマーの第二のサブファミリーは、試験「B」に基づいて、
−30%以上、35%未満の還元糖含量、および
−6000ダルトン以上、9500ダルトン未満の放出生成物のMw
で表される膵臓α−アミラーゼに対する抵抗性を示す。
【0072】
本発明による分岐した可溶性グルコースポリマーはまた、特定の浸透圧重量モル濃度を有する。
【0073】
溶液の浸透圧重量モル濃度は、水1kgに溶解する物質のモル量として定義される。
【0074】
本発明による分岐した可溶性グルコースポリマーの浸透圧重量モル濃度は、欧州特許出願第1 369 432号明細書に記載されているものと同じ試験「A」に基づいて測定され、これは水1kgに溶かした本発明による分岐グルコースポリマー100g(乾燥)を含有する溶液の浸透圧重量モル濃度を求めることにある。
【0075】
この溶液の浸透圧重量モル濃度は、Fiske TM Associatesから入手したMark 3浸透圧計上で作製業者の仕様書に従って測定され、100mOsm/kg未満の浸透圧重量モル濃度値が得られる。
【0076】
この値は、腹膜透析用である化合物の期待すべき値に従う(高過ぎる値は前記化合物の水との強い結合を意味し、それらが腹膜の半透膜を通過するのを損なう)。
【0077】
血液の浸透圧重量モル濃度(300mOsm/kg)よりも著しく低い浸透圧重量モル濃度値が推奨される。
【0078】
その場合、本明細書中で上記に示した、本発明による分岐した可溶性グルコースポリマーの第一のサブファミリーは、10から20mOsm/kgの間の著しく低い浸透圧重量モル濃度を有する。
【0079】
一方、本明細書中で上記に示した、本発明による分岐した可溶性グルコースポリマーの第二のサブファミリーは、50から100mOsm/kgの間の浸透圧重量モル濃度を有する。
【0080】
最後に、本発明による分岐した可溶性グルコースポリマーは、それらの鎖長分布プロフィールを特徴とする。
【0081】
本発明による分岐した可溶性グルコースポリマーの分岐鎖の長さの決定は、2段階で行われる。
【0082】
第一段階は、細菌イソアミラーゼを用いて前記生成物を脱分岐(α−1,6結合の特異的加水分解)することにあり、続いて第二段階でその放出されたオリゴ糖の重合度をサイズ排除クロマトグラフィー(HPSEC)によって既知のサイズのプルランと比較して特定する。
【0083】
この手法は、分析される生成物50mgを量り分け、それに水3.75mlを加えることにある。この混合物を撹拌した後、0.5mlのジメチルスルホキシド(DMSO)を加え、その混合物を撹拌しながら30分間煮沸させる。
【0084】
次いで温度を45℃まで下げ、0.25mlの1M酢酸ナトリウム緩衝液(前もって酢酸でpH3.5にした)を加える。
【0085】
次いで、Hayashibara社によって販売されている、シュードモナス・アミロデラモサ(Pseudomonas amyloderamosa)から抽出されたイソアミラーゼを加え(59,000U/mgの割合)、45℃で20分間放置して作用させる。
【0086】
この添加を20回繰り返し、次いで3分間煮沸することによって反応を停止させる。
【0087】
次いでこの溶液を、Fluka社およびSigma社からそれぞれ販売されているAmberlite 200樹脂およびAmberlite IRA−67樹脂を用いて脱塩する。
【0088】
次いでこの溶液を、細孔径0.45μmを有するナイロンフィルターを通して濾過してからHPSECカラムに注入する。
【0089】
HPSECクロマトグラフィーのパラメータ(TSKによって販売されているPWXLオリゴカラムおよびShodexによって販売されているSB802カラム+803カラム+804カラム+805カラム上での)を
−注入量:200l、
−流量:0.5ml/分、
−カラム温度:40℃、
−溶離液:0.2M硝酸ナトリウム+0.02%アジ化Na、
−溶離時間:180分
のように決める。
【0090】
放出されたオリゴ糖のサイズを、それらの溶離時間を既知のサイズのプルランの溶離時間と比較することによって決める。
【0091】
その場合、本発明による分岐グルコースポリマーは、
−DP<10が25〜80%、
−DP>30が2〜10%
であり、平均DPが4から12の間にある
ことを特徴とする分岐鎖長分布プロフィールを有する。
【0092】
本明細書中で上記に示した、本発明による第一系統の分岐グルコースポリマーは、
−DP<10が25〜40%、
−DP>30が5〜10%
であり、平均DPが10から12の間にある
ことを特徴とする分岐鎖長分布プロフィールを有する。
【0093】
本明細書中で上記に示した、本発明による第二系統の分岐グルコースポリマーは、
−DP<10が65〜80%、
−DP>30が2〜5%
であり、平均DPが4から6の間にある
ことを特徴とする分岐鎖長分布プロフィールを有する。
【0094】
これと比較してイコデキストリンは、
−DP<10が22%、
−DP>30が16%
であり、平均DPが13である
ことを特徴とする分岐鎖長分布プロフィールを有する。
【0095】
したがって本発明による分岐グルコースポリマーは、特にイソデキストリンと比較した場合、はっきりと識別できる鎖長分布(より低いDP>30含量に対して著しく高いDP<10含量)を有することを特徴とする。
【0096】
したがってこの分岐鎖長分布は、本発明による分岐グルコースポリマーに、分岐短鎖で作られる全く特殊な構造を付与する。
【0097】
本発明はまた、浸透圧剤として、デンプンの酵素処理によって得られる
−7から10%の間、好ましくは8から9%のα−1,6グルコシド結合の含量、および
−光散乱によって求められる50,000から150,000ダルトンの間の重量平均分子量(Mw)
を有する少なくとも1種類の分岐した可溶性グルコースポリマーを含むことを特徴とする腹膜透析液に関する。
【0098】
本発明による腹膜透析液はまた、電解質の血清から腹膜への移行による損失を避けるために、生理学的に許容できる電解質、例えば、具体的にはナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、または塩素を含むことができる。
【0099】
本発明による分岐ポリマーを水に溶解することによって溶液を得る場合、それは透明かつ無色であるべきである。
【0100】
それは、エンドトキシン、ペプチドグリカン、およびβ−グルカンを含まず、かつ原料由来のまたはその生成に使用される酵素製剤由来の汚染物質も含まない。
【0101】
この趣旨で、前記溶液に使用される高分岐ポリマーは、本明細書中で後に例証するように、タンパク質、細菌、細菌毒素、繊維、金属の痕跡などのいずれの着色または望ましくない汚染物質も除去するために、好ましくは精製されることになる。
【0102】
本発明による透析液はまた、緩衝剤(具体的には、乳酸塩、酢酸塩、グルコン酸塩)および他の添加剤、例えばアミノ酸、インスリン、多価アルコール、例えばソルビトール、エリトリトール、マンニトール、マルチトール、またはキシリトールなど、あるいは水素添加デンプン加水分解物を含んでもよい。
【0103】
組成物への多価アルコールの添加、好ましくは前述の不純物(具体的にはエンドトキシン、および細菌由来の他の残渣)を含まない非発熱性多価アルコールの添加は、それらのより大きな浸透能により、またそれらが減少しないためにグルコースまたはマルトースの場合よりも溶液の浸透圧重量モル濃度を増すことを可能にするのでより有利である。
【0104】
最後に、グルコース、マルトース、および/またはグルコースポリマーを用いて本発明の高度に分岐した可溶性グルコースポリマーを含有する透析液を完成させることもまた可能である。
【0105】
アミノ酸系腹膜透析液は、たとえそれらの注意を要する酸分解の調節のコストおよび危険性がその単独のまた連続的な処方を制限するとしても、グルコースおよびその誘導体に関連した腹膜の加速老化の防止には一定の価値がある。
【0106】
したがって同一の腹膜透析液において様々な分子、すなわちグルコース、本発明による高度に分岐した可溶性グルコースポリマー、およびアミノ酸の混合物を作り出すことを構想することが可能である。
【0107】
したがって具体的には、腹膜の安定性に対する有害な影響の原因であるグルコース分解生成物(GDP)またはグルコースと前記アミノ酸の結合により生ずる生成物(すなわちAGE)の発生を避けるために、これらの様々な成分を別々に滅菌すること(区分された袋の使用)が好ましい。
【0108】
さらに本発明による透析液は、含有する浸透圧剤が長時間にわたる浸透圧を与え、かつ緩やかなグルコース出現動態を生じさせ、一方で同時に老化に対して安定であることを可能にし、こうして上記で定義した主要な基準を満たすので、従来技術の製品と比較して有利である。
【0109】
本発明による分岐した可溶性グルコースポリマーを調製するために、
1)少なくとも30重量%、好ましくは35から80重量%の間のアミロース含量と、5から25%の間の乾物含量とを有するデンプンの乳状液のバーストおよび可溶化のステップ、
2)好熱性微生物から抽出された25,000U/mlから60,000U/mlの間の活性度を有するグリコーゲン分岐酵素を、デンプン1g(乾燥)当たり800から2500Uの間の用量で、60℃から80℃の間の温度で連続的に12〜18時間加えるステップ、
3)任意選択で、100から150KNU/mlの間の活性度を有するα−アミラーゼ型のデンプン液化酵素で95℃の温度、5から8の間のpHで30〜60分間、好ましくは45分間処理するステップ、
4)得られた分岐した可溶性グルコースポリマーを
−活性炭および/または粒状ブラックカーボンによる少なくとも1回の処理ステップ、
−少なくとも1回の滅菌濾過ステップ、および
−任意選択で、少なくとも1回の熱処理ステップ
によって精製するステップ、
5)得られた精製済み分岐した可溶性グルコースポリマーを回収するステップ
の一連のステップを含む方法を行うことができる。
【0110】
アミロースを多く含むデンプンを分岐酵素で変性する方法は、部分的または完全に糊化された形態になるようにデンプンをまず蒸解することにある。
【0111】
本発明による方法のこの第一ステップは、アミロースを多く含むデンプンの乳状液のバーストおよび可溶化に対応しており、このデンプンの可溶化は分岐酵素による処理を可能にすることを意図している。
【0112】
本発明の目的では用語「アミロースを多く含むデンプン」とは、少なくとも30重量%、好ましくは35から80重量%の間のアミロース含量を有するデンプンを意味することを意図している。
【0113】
本発明によるこの方法の一実施形態では、5から25%の間の乾物含量を有するエンドウデンプンの乳状液を調製し、当業者には一層よく知られている任意の手法によってデンプンの糊化温度以上の、優先的には100から200℃の間、より優先的には140から160℃の間の温度で、4〜5バールの圧力で3〜5分間加熱する。
【0114】
本発明の目的では用語「分岐酵素」とは、幾種類かのグリコーゲン分岐酵素からなる群から選択される分岐酵素を意味することを意図している。
【0115】
より具体的にはこれらの分岐酵素は、好熱性の生物および/または微生物から抽出される。
【0116】
デンプンの全体的または部分的可溶化のこのステップの後、分子間複合体の形成を制限する条件下で分岐酵素を反応培地中に連続的に導入する。
【0117】
より具体的には分岐酵素を反応培地中に導入するための条件は、デンプンの老化、また構造化されたアミロース−脂質結合体の老化の結果として生ずる不溶性物質の形成を制限するように時間および温度に関して調節される。
【0118】
したがって、こうして部分的または全体的に糊化されたデンプンペーストを、その選択した分岐酵素の最適温度にするために冷却する。
【0119】
例えば、バシラス(Bacillus)属(バシラス・ステアロサーモフィラス(B.stearothermophilus)、バシラス・メガテリウム(B.megaterium)など)の好熱性微生物から抽出された熱安定グリコーゲン分岐酵素を選択する場合、デンプンペーストをこの酵素の最適作用温度、すなわち60から80℃の間の温度にすることが必要である。
【0120】
部分的または全体的に糊化されたデンプンペーストを、その140から160℃の間の初期温度から60〜80℃の温度まで15分間未満で急速に冷却するように選択するのが有利であり、それによりデンプンの老化および構造化されたアミロース−脂質結合体の形成を避けるような分岐酵素の迅速な添加が可能になる。
【0121】
次いで溶液のpHを調整して、前記酵素の作用モードに応じた値にする。
【0122】
本明細書中で後に例証するように、反応培地の温度を分岐酵素の最適作用温度まで急速に下げるステップの後、25,000U/mlから60,000U/mlの間の活性度の前記分岐酵素を、エンドウデンプン1g(乾燥)当たり800から2500Uの間の用量で、60℃から80℃の間の温度で12〜18時間使用することが選択される。
【0123】
反応の終わりに、酵素は最終的に90℃〜95℃の温度で熱失活することができる。
【0124】
こうして分岐した可溶性グルコースポリマーが水溶液の状態で得られる。
【0125】
本発明によるこの方法の任意選択の第三ステップは、デンプン液化酵素、例えばα−アミラーゼに作用するようにさせることにある。
【0126】
反応条件(温度およびpH)は、0.10〜0.30mlのα−アミラーゼ、例えば95℃の温度で100から150KNU/mlの間の活性度を有するNovozymesから入手できるTermamyl(登録商標)120L型のα−アミラーゼ、5から8の間のpH、30〜60分間、好ましくは45分間である。
【0127】
次いでこのα−アミラーゼを、例えば10%HClを用いてpHを3.5まで下げることによって失活させる。
【0128】
この処理の終わりに、本発明による分岐した可溶性グルコースポリマーが、それらの酵素分解生成物を含む混合物として水溶液の状態で得られる。
【0129】
前述の特許出願、具体的には欧州特許第1 369 432号明細書および第1 548 033号明細書の教示に反して、高分子量画分を回収するために、また低分子量画分を除くために、例えば膜分離法およびクロマトグラフィーの群から選択される手法を用いた分別をここでは必ずしも行わない。
【0130】
したがって分岐酵素のみを用いた処理の直接生成物と、分岐酵素、次いでα−アミラーゼを用いた処理の直接生成物とが、上述の分岐した可溶性グルコースポリマーの2つの系統、すなわち
−分岐酵素による処理のみによって得られた本発明によるグルコースポリマーに対応する第一系統、および
−分岐酵素およびα−アミラーゼによる複合処理によって得られた本発明によるグルコースポリマーに対応する第二系統
を構成する。
【0131】
したがって、例えば膜分離法およびクロマトグラフィーの群から選択される手法を用いた、本明細書中で上述した第二系統の生成物の分別は、本発明による第三系統の分岐した可溶性グルコースポリマーを結果として生じさせることになる。
【0132】
本発明によるこの方法の第四ステップは、得られた分岐した可溶性グルコースポリマーを
−活性炭および/または粒状ブラックカーボンによる少なくとも1回の処理のステップ、
−少なくとも1回の滅菌濾過のステップ、
−任意選択で、少なくとも1回の熱処理のステップ
によって精製することにある。
【0133】
こうして、これらの活性炭および/または粒状ブラックカーボンによる処理のステップ、濾過のステップ、または熱処理のステップを特定の配列で組み合わせることによって、本出願人の会社は、汚染、具体的にはエンドトキシン、β−グルカン、およびペプチドグリカンが「実質上存在しない」ことを保証することに明らかに成功する。
【0134】
したがって、このような方法の安全性が、前記方法の終りでの細菌の防除を、ペプチドグリカンを検出するための単独の試験(例えば、本出願人の会社によって開発され、検証された高検出感度の試験−これについては本明細書中で後述する)に、またエンドトキシンを検出するための従来の試験(LAL試験=グラム陰性菌の主要成分である細菌エンドトキシンを検出するための試験)に限定することを可能にする。
【0135】
本発明の目的では用語「実質上存在しない」とは、薬局方試験に記載のものをはるかに下回る閾値での数量的把握を意味することを意図している。すなわち、
−Charles River−Endosafeによって生産された試薬(感度0.015EU/mlのLALライセート(OR15015参照)および1瓶当たりCSEエンドトキシン500ngまたは10ng(E110またはE120参照))を用いたLAL試験(ゲル−クロットエンドポイント法)によるエンドトキシン(およびβ−グルカン)については、0.6EU/g、また
−本出願人の会社によって開発された高感度試験によるペプチドグリカン(およびβ−グルカン)については、グルコースポリマー1g当たり<8ng(したがってペプチドグリカンについて欧州特許第1 720 999号明細書に記載の参考閾値をはるかに下回る)。
【0136】
「本出願人の会社によって開発され、検証された高感度試験」という表現は、Wako Pure Chemical Industries Ltd.社によって生産され、販売されているSLP−HSシングルセットキット(293−58301参照)を適合させることによって本出願人の会社により開発され、検証された試験を意味することを意図している。
【0137】
この試験は、「SLP−HS」(カイコ幼虫血漿高感度)試薬を加えることにある。前記試薬は、カイコ幼虫血漿から調製され、
−水(例えばLAL試験用の特殊な水)に溶かして5%に調製されたグルコースポリマーの溶液中に含まれるペプチドグリカンおよびβ−グルカンと反応させ、
−セリン−プロテアーゼカスケード反応を引き起こし、
−Wako Pure Chemical Industries Ltd.社によって製造され、販売されているToxinometerチューブリーダーによって、前記ペプチドグリカンおよびβ−グルカンをきわめて低い閾値、すなわち、
・閾値約0.05ng/ml(すなわち、グルコースポリマー1g当たり1ng)の検出限界(LD)、および
・閾値約0.15ng/ml(すなわち、グルコースポリマー1g当たり3ng)の定量限界(LQ)
(試験されるこのグルコースポリマー製品の確定されたLDおよびLQ)で検出および/または定量することができる。
【0138】
より具体的にはSLP−HP試験は、
−適切な品質の水(例えばLAL試験用の特殊な水)に溶かした5%溶液の状態の試験用グルコースポリマーを調製し、
−直線検量線(対数目盛線形回帰曲線Ta=f(PG含量))を設定するためのSLP−HSシングルセットキットのペプチドグリカン基準(黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)から抽出された)を用いて、0.04〜2.5ng/ml(標的値)の適用範囲にわたって水中でのペプチドグリカンの較正範囲を作成し、
−この調製した試験溶液100μlを、希釈液(前述のキット中で与えられる)100μlを加えることにより再構成した後のHS−SLPチューブ中に導入し、
−このSLP−HSチューブを、サーモスタットで30℃に調温され、製造業者が推奨する条件に従ってパラメータが決められるToxinometerチューブリーダー(Wako Pure Chemical Ltd.)のインキュベーションウェル中に差し込む
ことにある。
【0139】
この試験溶液のPG含量は、設定した直線検量線によって計算される。
【0140】
結果は、試験される5%溶液1ml当たりのng、次いでグルコースポリマー1g当たりのngで表される。
【0141】
最後には、本発明によるこの方法によって得られるグルコースポリマー中のこれらのペプチドグリカン/β−グルカンの量が、グルコースポリマー1g当たり8ngをはるかに下回ることを保証されることは注目に値する。
【0142】
上述のように、腹膜透析を意図する分岐した可溶性グルコースポリマーを精製するためのステップにおいてこの精製の第一ステップは、特定の配置で活性炭および/または粒状ブラックカーボンを使用することにある。
【0143】
本出願人の会社は、下記の3つの変形形態の少なくとも1つでこの手段を実施することを推奨する。
−本発明による方法の第一の変形形態では、すなわち粒状ブラックカーボンを使用する場合には、この配置は向流モードでの作用に基づく。
【0144】
カラム中の滞留時間は約3時間である。パーコレーションは、細菌汚染を避けるために約80℃の温度で約2m/時間の速度で行われる。
【0145】
精製される本発明によるグルコースポリマーと粒状ブラックカーボンの接触は、グルコースポリマー溶液がカラムの底部でまず最初に飽和した粒状ブラックカーボンと接触するという意味で向流モードで行われる。
【0146】
したがって精製済みグルコースポリマーは、粒状ブラックカーボンのカラムの上部、すなわち精製された粒状ブラックカーボンが向流モードで加えられる場所で回収される。
【0147】
このようにカラムの上部の粒状ブラックカーボンの最後の層が「安全バリア」として働く。
【0148】
この配置は、粒状ブラックカーボンの「追跡」作業を行うことによって制御することができる。カラムを停止し、その底部で飽和した粒状ブラックカーボンを取り出し、上部で再生粒状ブラックカーボンと入れ替える。
【0149】
飽和した粒状ブラックカーボンは、脱糖してから炉床炉中で熱処理することによって再生される。
【0150】
始動時に、また安全のために、低乾物含量を有する分岐した可溶性グルコースポリマーの最初の1mを格下げする。
【0151】
汚染物質(エンドトキシン、ペプチドグリカン、およびβ−グルカン)レベルの低下の監視は、カラムの底部から上部まで一定数の試料(例えば5個)を採取して分析することによって行うことができる。
−本発明による方法の第二の変形形態では、すなわち活性炭を使用する場合には、この配置は活性炭による「二重」の処理に基づく。
【0152】
入って来る分岐した可溶性グルコースポリマーを、活性炭(処理される乾物に対して0.5%から5%の間、好ましくは0.5%から1.5%の間の)と、70から75℃の間の温度で1時間混合する。
【0153】
次いでグルコースポリマーを濾過し、分析する。
【0154】
次いでこのグルコースポリマーに同じ性質の処理を受けさせる。この第二処理は「安全」処理である。
【0155】
本出願人の会社は、汚染物質のサイズのばらつきを考慮に入れるために、これらの二段階において異なる気孔率の活性炭を使用することを推奨する。
−本発明による方法の第三の変形形態では、粒状ブラックカーボンの段階と活性炭の段階を組み合わせることを選択する。
【0156】
その場合、本出願人の会社は、この組合せの先頭に粒状ブラックカーボンのカラムを置くことを推奨する。
【0157】
これらの二段階を実施するための条件は、本明細書中で上述したものに一致する。
【0158】
本発明による腹膜透析液の生産を意図するグルコースポリマーを精製するために実施されるこれら3つの手段の第二は、滅菌濾過を使用することにある。
【0159】
この滅菌濾過のステップは、基本的には細孔径0.1μmの膜濾過からなり、必要に応じて細孔径0.22μmの予備膜濾過がそれに先行し、またそれ自体に細孔径0.45μmの膜濾過が先行する。
【0160】
このステップは、微生物によるあらゆる汚染、具体的にはサイズが濾過孔径よりも大きいアリサイクロバチルス・アシドカルダリウス(Alicyclobacillus acidocaldarius)型の好酸性好熱菌を保存することを可能にする。
【0161】
この濾過は、シロップが向かう垂直のケーシングに挿入される数個のカートリッジを用いて行われる。
【0162】
これらのカートリッジフィルターは、例えばPallまたはMilliporeといった会社によって供給されている。これらカートリッジのサイズは、10、20、または30インチであってもよく、取り付けられるカートリッジの数により、1から20l/分/mの間の生成物流量を通すのに十分な濾過表面積を得ることが可能になる。
【0163】
これらのカートリッジフィルターは、約75℃の高温で連続的に働くための、また700時間を超える時間のあいだ上記流量を通すための抵抗能力を有する。
【0164】
75℃を超える温度での作業は、いかなる微生物の成長も、具体的には好熱菌叢の成長を制限することを可能にする。
【0165】
これらの耐熱性はまた、それらを使い始める前に滅菌を行うことを可能にする。この滅菌は、流れを2バールでケーシングの中を20分間通過させることにある。この滅菌の後に、精製水(薬局方の意味における)による5分間のすすぎがある。
【0166】
これらのフィルターはまた、設備の清掃作業に使用される或る種の化学製品、具体的には5%の濃度の過酢酸に耐える能力を有する。
【0167】
例えばMillipore社から入手した完全性試験を用いてこれらのカートリッジに対して完全性試験を行うことができる。この完全性試験は、その組み立てを点検するためにカートリッジを取り付ける時に行われる。その場合、この試験は設備の清掃のたびにその前に、また最後に分解の前に、生成段階の間の前記カートリッジの正しい機能を確認するために行われる。
【0168】
フィルターの完全性を保証するために、それらの作用圧力差(△P)は2バールを超えてはならない。超える場合はこれらのフィルターを新しいものと交換しなければならない。
【0169】
本発明による腹膜透析液の生産を意図する分岐した可溶性グルコースポリマーを精製するために実施される第三かつ最後の手段は、特定の熱処理の使用にあることができ、これは有利にはこれらの精製ステップの終わりに実施されることになる。
【0170】
本出願人の会社は、この処理が、本発明によるこの方法によって提供されるグルコースポリマーの高レベルの精製を保証するのに不可欠ではないが、安全のために実施し得ることに着目した。
【0171】
より具体的にはこの熱処理は、まだ前記グルコースポリマーを汚染する能力のある好熱性微生物の残留バイオバーデンを排除するように時間/温度の対を調節することにある。
【0172】
その場合、この熱処理のステップは、100から130℃の間の温度、好ましくは120℃の温度で、1〜5分間、好ましくは2分間加熱することにある。
【0173】
この熱処理は、その中をグルコースポリマー溶液が循環する管形熱交換器によって行われ、前記管形熱交換器は、その中の温度を約120℃に調節するために2バールの蒸気を供給されるカレンダーによって囲まれている。
【0174】
例えばActini社によって製造されているこの管形熱交換器は、数個の部品、すなわち
−生成された/ゾーンの入口と出口の間で生成されたエネルギーを回収する部分、
−2バールの蒸気で加熱する部分、
−一体化されており、所望の滞留時間に応じて調節することができる保持部分
からなる。
【0175】
この熱交換器の長さは、供給流量に応じた所望の滞留時間を保証するように計算される。例えば供給流量は、約100〜130Lの保持部分の場合、3000から4000l/時の間であることができる。
【0176】
本発明によるグルコースポリマーのためのこの精製処理を例示するために、好ましい方法の一つは、ステップ2)の最後のところで指定したように分岐酵素の不活化のステップの後に、または任意選択のステップ3)の最後のところで推奨したようにα−アミラーゼを抑制するステップの後に、
i)分岐した可溶性グルコースポリマーを含有する水溶液のpHを4から5の間の値、好ましくは4.5の値にするステップ、
ii)前記の得られた溶液に対して活性炭および/または粒状ブラックカーボンによる2回の連続する処理ステップを行うステップ、
iii)10μmの細孔径を有するフィルター上で、次いで1μmの細孔径を有するフィルター上で濾過するステップ、
iv)この分岐した可溶性グルコースポリマーの溶液を蒸発、濃縮、脱塩するステップ、
v)活性炭および/または粒状ブラックカーボンによる第三の処理ステップを行うステップ、
vi)10μmの細孔径を有するフィルター上で、次いで1.2μmの細孔径を有するフィルター上で濾過するステップ、
vii)細孔径が0.45μm、次いで0.22μmの2回の膜濾過からなる滅菌濾過を実施するステップ
の一連のステップを行うことにある。
【0177】
本出願人の会社は、ステップ2)のレベルで、その次に使用される活性炭および/または粒状ブラックカーボンのカラムの目詰まりを避けるために、活性炭および/または粒状ブラックカーボンによる2回の連続する処理の間で、第一処理の結果として生ずる溶液の粒子および不純物(例えば、汚染性の炭素または粒状ブラックカーボンの粒子)を取り除くことを推奨している。
【0178】
鉱物性充填剤、あるいは有機充填剤のこの除去は、滅菌条件下で当業者には一層よく知られている任意の手段によって行うことができる。
【0179】
例えばこれは、本明細書中で後に例証するように、無菌ディスク遠心分離機、例えばAlfa Laval社によって販売されているもの(BTUX型)を用いて、あるいは精密濾過モジュール、例えばPall社によって販売されており、Membraloxセラミック膜を備えたものを用いて、あるいは50、25、および10μmの一連の細孔径を有するEatonバグフィルターを用いて行うことができる。
【0180】
こうしてこの一連のステップにより、腹膜透析液の調製を意図するグルコースポリマーの生産の安全性を少しずつ増すことが可能になる。
【0181】
これらの分岐した可溶性グルコースポリマーは、それらの連産品が存在する場合でさえ、その意図する腹膜透析用途に完全に適しているので全く有利である。
【0182】
本発明の他の特徴および利点は、下記の非限定的な実施例を読むことにより明らかになるであろう。
【実施例】
【0183】
実施例1:分岐酵素のみによる本発明の分岐した可溶性グルコースポリマーの調製(本発明による第一系統のポリマー)
デンプンを多く含み(95%を超える)、36.7%のアミロース含量を有するエンドウデンプンから11%の乾物を含有するデンプンの溶液を調製する。
【0184】
このために110g(乾燥)のエンドウデンプンを、周囲温度で撹拌しながら890mlの水に再度懸濁させる。
【0185】
4%水酸化ナトリウムでpHを7.0に調整する。
【0186】
デンプンの総可溶化をJet Cooker中で150℃において4〜5バールの圧力で4分間行い、続いて熱交換器中で再循環することによって70℃まで大気中でフラッシュ冷却する。
【0187】
バシラス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)から精製されたグリコーゲン分岐酵素を、45,000U/mlの酵素の溶液で基質100g(乾燥)当たり3mlの割合で連続的に加える。
【0188】
酵素反応を70℃でpH6.8で15時間行い、次いで90℃で1時間加熱することによって停止する。
【0189】
次いで反応培地を、温度70℃、pH4.5に戻す。
【0190】
次いでそれを1%(d/d)の活性炭Norit SX+上で1時間処理し、50、25、および10μmの一連の細孔径を有するEatonバグフィルター上で濾過する。
【0191】
得られた溶液を、1重量%(乾燥/乾燥(d/d))の活性炭Norit SX+による70℃で1時間のさらなる処理にかけ、次いで11μmの細孔径を有するCricketフィルター、次いで1μmのEatonフィルター上で濾過する。
【0192】
得られた生成物を、Niro流下膜式蒸発器上で約30%の乾物含量まで濃縮する。
【0193】
混床上を40℃未満の温度で3V/V/時の流量で通過させることによって脱塩を行う。
【0194】
脱塩された溶液を70℃に加熱し、1%(d/d)の活性炭Norit SX+による1時間の第三処理にかけ、次いで11μmの細孔径を有するCricketフィルター、次いで1.2μmの細孔径を有するMilliporeカートリッジ上で濾過し、続いて0.45μm、次いで0.22μmの細孔径を有する膜上で滅菌濾過する。
【0195】
次いで溶液を噴霧乾燥する。
【0196】
こうして精製されたグルコースポリマーは、1g当たり<0.3EUのエンドトキシン含量および1g当たり<20ngのペプチドグリカン含量を有し、かつまた1g当たり好気性微生物(酵母、カビ、および好熱性好酸性細菌)が存在しない。
【0197】
下記表Iは、こうして得られた本発明による分岐した可溶性グルコースポリマーのイコデキストリンと比較した物理化学的特性の結果を示す。
【0198】
【表1】

【0199】
本発明によるグルコースポリマーは、イコデキストリンによって生産されるものと比較して卓越した血糖能および浸透能を示す。
【0200】
同等の浸透圧重量モル濃度の場合、本発明によるグルコースポリマーは、実際にイコデキストリンのものよりも大きな耐アミラーゼ性を呈する。
【0201】
本発明による分岐グルコースポリマーはまた、本出願人の会社が所有者である欧州特許第1 177 216号の明細書の教示に従って調製したものとも異なることに注目されたい。
【0202】
この欧州特許第1 177 216号明細書は、37℃でのもち性(アミロペクチンを多く含む)デンプン誘導体またはデンプンの分岐酵素によるバッチ式処理が優先されることを教示した。
【0203】
したがって本出願人の会社は、この欧州特許第1 177 216号明細書に従って得られるグルコースポリマーが、アミラーゼ抵抗性試験に関してあまり有利でない挙動を示し、これは、具体的にはMw<6000ダルトン、好ましくは5000から6000ダルトンの間の放出生成物、すなわちこの実施例1に従って生成される生成物が放出する生成物のこの半分のサイズのMwの値が反映していることを見出した。
【0204】
したがって、これらの分岐した可溶性グルコースポリマーは、分子量、分岐構造、およびそれらの耐アミラーゼ性に関する挙動の点で最善の妥協を構成し、より具体的にはこれが、腹膜透析用としてそれらを特徴づけている。
【0205】
実施例2:α−アミラーゼと併用した分岐酵素による本発明の分岐した可溶性グルコースポリマーの調製(本発明による第二系統のポリマー)
デンプンを多く含み(95%を超える)、36.7%のアミロース含量を有するエンドウデンプンから、11%の乾物を含有するデンプンの溶液を調製する。
【0206】
このために110g(乾燥)のエンドウデンプンを周囲温度で撹拌しながら890mlの水に再度懸濁させる。
【0207】
4%水酸化ナトリウムでpHを7.0に調整する。
【0208】
デンプンの総可溶化をJet Cooker中で150℃において4〜5バールの圧力で4分間行い、続いて熱交換器中で再循環させることによって大気中で70℃までフラッシュ冷却する。
【0209】
バシラス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)から精製されたグリコーゲン分岐酵素を、45,000U/mlの酵素の溶液で基質100g(乾燥)当たり2mlの割合で連続的に加える。
【0210】
酵素反応を70℃においてpH6.8で15時間行う。
【0211】
補足処理をα−アミラーゼにより下記条件下で行う。
【0212】
CaClの形態の70ppm(乾燥/乾燥)のカルシウムイオンを加える。
【0213】
混合物を95℃に加熱する。
【0214】
濃度120KNU/gのTermamyl(登録商標)120Lを0.15%(V/乾燥)加える。
【0215】
インキュベーションを45分間行い、pHを10%HClで3.5まで下げることによって反応を停止し、次いでその溶液をpH3.5において温度95℃で15分間維持する。
【0216】
次いで反応培地を温度70℃、pH4.5に戻し、次いでそれを、1%(d/d)の活性炭Norit SX+上で1時間処理し、次いで50、25、および10μmの一連の細孔径を有するEatonバグフィルター上で濾過する。得られた溶液を、1%(d/d)の活性炭Norit SX+による70℃で1時間のさらなる処理にかけ、次いで11μmの細孔径を有するCricketフィルター、次いで1μmのEatonフィルター上で濾過する。
【0217】
得られた生成物を、Niro流下膜式蒸発器上で約30%の乾物含量まで濃縮する。
【0218】
混床上を40℃未満の温度で3V/V/時の流量で通過させることによって脱塩を行う。
【0219】
脱塩された溶液を70℃に加熱し、1%(d/d)の活性炭Norit SX+による1時間の第三処理にかけ、次いで11μmの細孔径を有するCricketフィルター、次いで1.2μmの細孔径を有するMilliporeカートリッジ上で濾過し、続いて0.45μm、次いで0.22μmの細孔径を有する膜上で滅菌濾過する。
【0220】
次いで溶液を噴霧乾燥する。
【0221】
こうして精製されたグルコースポリマーは、1g当たり<0.3EUのエンドトキシン含量および1g当たり<20ngのペプチドグリカン含量を有し、かつまた1g当たり好気性微生物(酵母、カビ、および好熱性好酸性細菌)が存在しない。
【0222】
下記表IIは、こうして得られた本発明による分岐した可溶性グルコースポリマーのイコデキストリンと比較した物理化学的特性の結果を示す。
【0223】
【表2】

【0224】
本発明による方法のこの変形形態によって得られるグルコースポリマー自体もまた、α−アミラーゼ抵抗性試験の見地から、具体的には放出された生成物のMwに関して全く卓越した挙動を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも30重量%、好ましくは35から80重量%の間のアミロース含量を有するデンプンから調製され、7から10%、好ましくは8から9%の間のα−1,6グルコシド結合の含量と、50,000から150,000ダルトンの間のMwとを有する分岐した可溶性グルコースポリマーであって、試験「B」に基づいて
・25から35%の間の還元糖含量、および
・6000から12,000ダルトンの間の放出生成物のMw
によって表される膵臓α−アミラーゼに対する抵抗性を示すことを特徴とする、ポリマー。
【請求項2】
試験Aに基づいて測定される100mOsm/kg未満の値を有する浸透圧重量モル濃度を有し、前記試験Aが、Fiske(登録商標)Associatesから入手できるMark 3浸透圧計を用いて、1kgの水に溶かした100g(乾燥)の前記分岐グルコースポリマーを含有する溶液の浸透圧重量モル濃度を測定することにあることを特徴とする、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
4から12の間の平均DPで
−DP<10が25〜80%、
−DP>30が2〜10%
からなる分岐鎖長分布プロフィールを有することを特徴とする、請求項1または2のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項4】
試験「B」に基づいて
−25%以上かつ30%未満の還元糖含量、および
−9500以上かつ12,000ダルトン未満の放出生成物のMw
によって表される膵臓α−アミラーゼに対する抵抗性を示すことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項5】
試験「A」に基づいて測定される10から20mOsm/kgの間の値を有する浸透圧重量モル濃度を有することを特徴とする、請求項4に記載のポリマー。
【請求項6】
10から12の間の平均DPで
−DP<10が25〜40%、
−DP>30が5〜10%
からなる分岐鎖長分布プロフィールを有することを特徴とする、請求項4または5のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項7】
試験「B」に基づいて
−30%以上かつ35%未満の還元糖含量、および
−6000ダルトン以上かつ9500ダルトン未満の放出生成物のMw
によって表される膵臓α−アミラーゼに対する抵抗性を示すことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項8】
試験「A」に基づいて測定される50から100mOsm/kgの間の値を有する浸透圧重量モル濃度を有する、請求項7に記載のポリマー。
【請求項9】
4から6の間の平均DPで
−DP<10が65〜80%、
−DP>30が2〜5%
からなる分岐鎖長分布プロフィールを有することを特徴とする、請求項7または8のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項10】
1)少なくとも30重量%、好ましくは35から80重量%の間のアミロース含量と、5から25%の間の乾物含量とを有するデンプンの乳状液のバーストおよび可溶化のステップ、
2)好熱性微生物から抽出された25,000U/mlから60,000U/mlの間の活性度を有するグリコーゲン分岐酵素を、デンプン1g(乾燥)当たり800から2500Uの間の用量で、60℃から80℃の間の温度で12〜18時間のあいだ連続的に加えるステップ、
3)任意選択で、100から150KNU/mlの間の活性度を有するα−アミラーゼ型のデンプン液化酵素で、95℃の温度、5から8の間のpHで30〜60分間、好ましくは45分間処理するステップ、
4)得られた分岐した可溶性グルコースポリマーを
−活性炭および/または粒状ブラックカーボンによる少なくとも1回の処理のステップ、
−少なくとも1回の滅菌濾過のステップ、および
−任意選択で、少なくとも1回の熱処理のステップ
によって精製するステップ、
5)得られた精製済み分岐した可溶性グルコースポリマーを回収するステップ
の一連のステップを含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の分岐した可溶性グルコースポリマーの調製方法。
【請求項11】
前記精製のステップ4)が、
i)前記分岐した可溶性グルコースポリマーを含有する水溶液のpHを、4から5の間の値、好ましくは4.5の値にするステップ、
ii)前記得られた溶液に対して活性炭および/または粒状ブラックカーボンによる2回の連続する処理ステップを行うステップ、
iii)10μmの細孔径を有するフィルター上で、次いで1μmの細孔径を有するフィルター上で濾過するステップ、
iv)分岐した可溶性グルコースポリマーの前記溶液を蒸発、濃縮、脱塩するステップ、
v)活性炭および/または粒状ブラックカーボンによる第三の処理ステップを行うステップ、
vi)10μmの細孔径を有するフィルター上で、次いで1.2μmの細孔径を有するフィルター上で濾過するステップ、
vii)0.45μm、次いで0.22μmの細孔径の2回の膜濾過からなる滅菌濾過を実施するステップ
の一連のステップを含むことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
請求項1〜9のいずれか一項に記載されている、または請求項10および11に記載の方法によって得ることができる、前記分岐グルコースポリマーを含有することを特徴とする、食品および医薬用途においてヒトおよび動物に使用することを意図する組成物。
【請求項13】
請求項1〜9のいずれか一項に記載されている少なくとも1種類の分岐した可溶性グルコースポリマーを浸透圧剤として含むことを特徴とする腹膜透析液。
【請求項14】
ソルビトール、マンニトール、マルチトール、キシリトール、エリトリトール、および水素添加デンプン加水分解物からなる群から選択される多価アルコールもまた含むことを特徴とする、請求項13に記載の腹膜透析液。
【請求項15】
乳酸塩、酢酸塩、およびグルコン酸塩などの緩衝剤もまた含むことを特徴とする、請求項13に記載の腹膜透析液。
【請求項16】
グルコース、マルトース、および/またはグルコースポリマーもまた含むことを特徴とする、請求項13〜15のいずれか一項に記載の腹膜透析液。
【請求項17】
アミノ酸およびグルコースもまた含むことを特徴とする、請求項13〜16のいずれか一項に記載の腹膜透析液。

【公表番号】特表2013−518562(P2013−518562A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550503(P2012−550503)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【国際出願番号】PCT/FR2011/050201
【国際公開番号】WO2011/095736
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(592097428)ロケット・フルーレ (58)
【Fターム(参考)】