説明

自動ワインダ

【課題】巻取ユニットに係る設定と、玉揚装置に係る設定と、の間の整合性を容易に確保できる自動ワインダを提供する。
【解決手段】複数で設けられ、給糸ボビンから解舒された紡績糸を紙管に巻き取って巻取パッケージを形成する巻取ユニット1・1・・・と、前記巻取ユニット1・1・・・の作動を制御する巻取ユニット制御部1Aと、前記複数の巻取ユニット1・1・・・に沿って走行する玉揚装置10・10と、前記玉揚装置10・10の作動を制御する玉揚装置制御部10Aと、を備える。更に、前記巻取ユニット制御部1Aによる前記巻取ユニット1・1・・・の作動の制御の設定と、前記玉揚装置制御部10Aによる前記玉揚装置10・10の作動の制御の設定と、を関連付けて記憶する関連記憶部32を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給糸ボビンから解舒された紡績糸を紙管に巻き取って巻取パッケージを形成する自動ワインダに係る。
【背景技術】
【0002】
この種の技術として特許文献1に示すものがある。即ち、巻取りユニットを多数並列に設置して構成される自動ワインダにおいて、ロットチェンジ(巻き返す糸の種類や番手等の品質変更)を行う際に、玉揚装置を用いて、新たに供給される新給糸ボビンの糸を自動的に空の紙管に巻きつけて自動的に巻取りを開始できるようにした自動ワインダがある。
【0003】
【特許文献1】特許第3609575号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この特許文献1に記載されている自動ワインダは、巻取ユニットに係る設定と、玉揚装置に係る設定と、を別画面で行うようになっていたので、巻取ユニットに係る設定を変更したときに玉揚装置に係る設定も併せて変更しなければならない場合に、後者の設定を変更し忘れてしまうという問題があった。
【0005】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、巻取ユニットに係る設定と、玉揚装置に係る設定と、の間の整合性を容易に確保できる自動ワインダを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0007】
本発明の第一の観点によれば、以下のように構成される、自動ワインダが提供される。即ち、複数で設けられ、給糸ボビンから解舒された紡績糸を紙管に巻き取って巻取パッケージを形成する巻取ユニットと、前記巻取ユニットの作動を制御する巻取ユニット制御手段と、前記複数の巻取ユニットに沿って走行する玉揚装置と、前記玉揚装置の作動を制御する玉揚装置制御手段と、を備える。更に、前記巻取ユニット制御手段による前記巻取ユニットの作動の制御の設定と、前記玉揚装置制御手段による前記玉揚装置の作動の制御の設定と、を関連付けて記憶する関連記憶手段を備える。これによれば、前記関連記憶手段により記憶されている関連付けを参照することにより、前記巻取ユニット制御手段による前記巻取ユニットの作動の制御の設定と、前記玉揚装置制御手段による前記玉揚装置の作動の制御の設定と、の間の整合性の有無を判断できる。
【0008】
上記の自動ワインダは、前記巻取ユニット制御手段による前記巻取ユニットの作動の制御の設定が変更されると、前記関連記憶手段により記憶される前記関連付けを参照することにより前記玉揚装置制御手段による前記玉揚装置の作動の制御の設定を更新する設定更新手段を備えることが好ましい。これによれば、前記巻取ユニット制御手段による前記巻取ユニットの作動の制御の設定の変更に伴って前記玉揚装置制御手段による前記玉揚装置の作動の制御の設定も変更する必要がある場合に、後者の変更をし忘れることがない。
【0009】
上記の自動ワインダは、前記巻取ユニット制御手段による前記巻取ユニットの作動の制御の設定と、前記玉揚装置制御手段による前記玉揚装置の作動の制御の設定と、を一画面に表示する設定表示手段を備えることが好ましい。これによれば、自動ワインダのオペレータが、前記巻取ユニット制御手段による前記巻取ユニットの作動の制御の設定と、前記玉揚装置制御手段による前記玉揚装置の作動の制御の設定と、の間の整合性の有無を容易に把握できる。
【0010】
本発明の第二の観点によれば、以下のように構成される、自動ワインダが提供される。即ち、複数で設けられ、給糸ボビンから解舒された紡績糸を紙管に巻き取って巻取パッケージを形成する巻取ユニットと、前記巻取ユニットの作動を制御する巻取ユニット制御手段と、複数で設けられ、前記複数の巻取ユニットに沿って走行する玉揚装置と、前記玉揚装置の作動を制御する玉揚装置制御手段と、を備える。更に、前記巻取ユニット制御手段による前記巻取ユニットの作動の制御の設定と、前記玉揚装置制御手段による前記玉揚装置の作動の制御の設定と、を関連付けて記憶する関連記憶手段を備える。これによれば、前記関連記憶手段により記憶されている関連付けを参照することにより、前記巻取ユニット制御手段による前記巻取ユニットの作動の制御の設定と、前記玉揚装置制御手段による前記玉揚装置の作動の制御の設定と、の間の整合性の有無を判断できる。
【0011】
上記の自動ワインダは、前記巻取ユニット制御手段による前記巻取ユニットの作動の制御の設定が変更されると、前記関連記憶手段により記憶されている前記関連付けを参照することにより前記複数の玉揚装置の走行範囲の設定を更新する設定更新手段を備えることが好ましい。これによれば、前記巻取ユニット制御手段による前記巻取ユニットの作動の制御の設定の変更に伴って前記複数の玉揚装置の走行範囲の設定も変更する必要がある場合に、後者の変更をし忘れることがない。
【0012】
上記の自動ワインダは、前記巻取ユニット制御手段による前記巻取ユニットの作動の制御の設定と、前記複数の玉揚装置の走行範囲の設定と、を一画面に表示する設定表示手段を備えることが好ましい。これによれば、前記巻取ユニット制御手段による前記巻取ユニットの作動の制御の設定と、前記複数の玉揚装置の走行範囲の設定と、の間の整合性の有無を容易に把握できる。
【0013】
本発明の第三の観点によれば、以下のように構成される、自動ワインダが提供される。即ち、複数で設けられ、給糸ボビンから解舒された紡績糸を紙管に巻き取って巻取パッケージを形成する巻取ユニットと、前記巻取ユニットの作動を制御する巻取ユニット制御手段と、異なる糸種の給糸ボビンを前記複数の巻取ユニットに配分する給糸ボビン供給装置と、前記給糸ボビン供給装置の作動を制御する給糸ボビン供給装置制御手段と、を備える。また、前記巻取ユニット制御手段による前記巻取ユニットの作動の制御の設定と、前記給糸ボビン供給装置制御手段による前記給糸ボビン供給装置の配分の設定と、を関連付けて記憶する関連記憶手段を備える。更に、前記巻取ユニット制御手段による前記巻取ユニットの作動の制御の設定が変更されると、前記関連記憶手段により記憶されている前記関連付けを参照することにより前記給糸ボビン供給装置制御手段による前記給糸ボビン供給装置の配分の設定を更新する設定更新手段を備える。これによれば、前記巻取ユニット制御手段による前記巻取ユニットの作動の制御の設定の変更に伴って前記給糸ボビン供給装置制御手段による前記給糸ボビン供給装置の配分の設定も変更する必要がある場合に、後者の変更をし忘れることがない。
【0014】
上記の自動ワインダは、前記巻取ユニット制御手段による前記巻取ユニットの作動の制御の設定と、前記給糸ボビン供給装置制御手段による前記給糸ボビン供給装置の配分の設定と、を一画面に表示する設定表示手段を備えることが好ましい。これによれば、自動ワインダのオペレータが、前記巻取ユニット制御手段による前記巻取ユニットの作動の制御の設定と、前記給糸ボビン供給装置制御手段による前記給糸ボビン供給装置の配分の設定と、の間の整合性の有無を容易に把握できる。
【0015】
なお、前記巻取ユニット制御手段による前記巻取ユニットの作動の制御の設定は、糸種又は番手、糸速のうち少なくとも何れか一を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
〔第一実施形態〕
以下、本発明の第一実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0017】
先ず、本実施形態に係る自動ワインダの全体構成について概説する。図1は、本発明の第一実施形態に係る自動ワインダの全体概略図である。
【0018】
本実施形態に係る自動ワインダ100は、複数で設けられ、給糸ボビンから解舒された紡績糸を紙管に巻き取って巻取パッケージPを形成する巻取ユニット1・1・・・と、前記複数の巻取ユニット1・1・・・に沿って走行する玉揚装置10・10と、異なる糸種の給糸ボビン(本図において二点鎖線で示す。)を前記複数の巻取ユニット1・1・・・に適宜に配分する給糸ボビン供給装置20と、該自動ワインダ100を総括的に制御/管理する機台制御装置30と、各巻取ユニット1・1・・・によって生成され玉揚された巻取パッケージPを所定の場所へ搬送するパッケージ搬送装置40と、を備えている。本図に示す如く前記複数の巻取ユニット1・1・・・は列設されており、列設される該巻取ユニット1・1・・・の一端に前記の給糸ボビン供給装置20は設けられている。
【0019】
次に、前記の巻取ユニット1・1・・・の構成について詳細に説明する。図2は、巻取ユニットの全体概略図である。なお、本図には一の巻取ユニット1のみが代表して描かれている。
【0020】
この巻取ユニット1は、給糸ボビンBkから解舒される紡績糸Yをトラバースさせながら紙管Bf上に巻き付けて、所定長で所定形状のパッケージ(巻取パッケージ)Pとするものであって、紙管Bfを把持するクレードル2と、紡績糸Yをトラバースさせる綾振ドラム3と、を備えている。クレードル2は、綾振ドラム3に対して近接又は離間する方向に揺動自在であり、それによって、紙管Bfに紡績糸Yを巻いて形成した巻取パッケージPが綾振ドラム3に対して接触又は離間される。また、クレードル2には、糸切れ時にクレードル2を上げて、パッケージPを綾振ドラム3から離反させるリフトアップ機構2aと、クレードル2を上げると同時に、クレードル2に把持されたパッケージPの回転を停止させるパッケージブレーキ機構2bが取り付けられている。
【0021】
綾振ドラム3の周面には螺旋状の綾振溝3aが刻設されており、この綾振溝3aによって紡績糸Yをトラバースさせるようにしている。また、巻取ユニット1は、給糸ボビンBkと綾振ドラム3との間の糸走行経路中に、給糸ボビンBk側から順に、解舒補助装置4、ヤーンフィーラ5、テンション付与装置6、糸継装置7、ヤーンクリアラ8を配設している。
【0022】
解舒補助装置4は、給糸ボビンBkの解舒と共に芯管に被さる筒体を下げることにより、給糸ボビンBkからの糸の解舒を補助するものである。ヤーンフィーラ5は、解舒補助装置4とテンション付与装置6との間における紡績糸Yの有無を検出するものである。テンション付与装置6は、走行する紡績糸Yに対して所定のテンションを付与するものである。図2に示される例では、固定の櫛歯6aに対して可動の櫛歯6bを配置するゲート式のものが用いられている。櫛歯6aに対して櫛歯6bが噛み合わせ状態または開放状態になるように旋回自在になっており、その旋回はロータリー式のソレノイドにより行われる。
【0023】
糸継装置7は、糸欠点を検出して行う糸切断時又は解舒中の糸切れ時等に、給糸ボビンBk側紡績糸としての下糸Y1と、パッケージP側紡績糸としての上糸Y2と、を糸継するものである。ヤーンクリアラ8は、紡績糸Yの欠陥を検出するためのものであって、クリアラ8からの紡績糸Yの太さに応じた信号が適宜のアナライザで処理されることで、スラブ等の糸欠点を検出する。また、このクリアラ8には、糸欠点を検出した時に紡績糸Yを切断するためのカッター8aが付設されている。
【0024】
糸継装置7の上下には、給糸ボビンBk側の下糸Y1を捕捉して案内する下糸捕捉案内手段11と、パッケージP側の上糸Y2を捕捉して案内する上糸捕捉案内手段12が設けられている。この構成で、糸切断時又は糸切れ時においては、下糸捕捉案内手段11の吸引口11aが図示の位置で下糸Y1を捕捉し、軸11bを中心にして下から上へと旋回して糸継装置7に下糸Y1を案内する。同時に、上糸捕捉案内手段12のサクションマウス12aが図示の位置から軸12bを中心にして下から上へと旋回し、逆転させられるパッケージPから上糸Y2を捕捉し、更に軸12bを中心にして上から下へと旋回し、糸継装置7に上糸Y2を案内するようになっている。
【0025】
上記の巻取ユニット1は、該巻取ユニットの作動を制御する巻取ユニット制御部(巻取ユニット制御手段)1Aを備えている。即ち、この巻取ユニット制御部1Aは、前述したヤーンフィーラ5や糸継装置7、ヤーンクリアラ8などの上述した各構成要素の作動を制御するように構成されている。
【0026】
次に、図1に略示した前記の玉揚装置10・10について説明する。この玉揚装置10・10は図1に示す如く列設された複数の巻取ユニット1・1・・・に沿って走行するように設けられており、本実施形態においては複数(具体的には二つ)で設けられ、各々は該玉揚装置10の作動を制御する玉揚装置制御部10Aを備えている。そして、これら玉揚装置10・10は、巻取ユニット1・1・・・の夫々に対して、満管の玉揚や空の紙管Bfの装着、空の紙管Bfに対するバンチ巻き、空の紙管Bfへの紡績糸Yの糸端の装着などを行えるように構成されている。
【0027】
次に、図1に略示した前記の給糸ボビン供給装置20について説明する。この給糸ボビン供給装置20は、異なる糸種の給糸ボビン(本図において二点鎖線で示す。)を前記複数の巻取ユニット1・1・・・に適宜に配分するものであって、異なる2種類の糸種(糸種A・糸種B)が巻回された給糸ボビンBkを区分けして格納する給糸ボビン保管部と、給糸ボビンBkを各巻取ユニット1・1・・・へ搬送するための給糸ボビン搬送ベルトと、該給糸ボビン供給装置20の作動を制御する給糸ボビン供給装置制御部20Aと、を備えている。
【0028】
また、図1に略示した前記のパッケージ搬送装置40は、該パッケージ搬送装置40の作動を制御するパッケージ搬送装置制御部40Aを備えている。
【0029】
次に、図1に略示した機台制御装置30について説明する。図3は、自動ワインダが備える機台制御装置の構成概略図である。
【0030】
本実施形態において機台制御装置30は、自動ワインダ100を総括的に制御/管理するものであって、図略のCPUやRAM、ROMを備える中央管理部31と、関連記憶部(関連記憶手段)32と、設定更新部(設定更新手段)33と、設定表示部(設定表示手段)34と、操作部(操作手段)35と、を備えて成る。
【0031】
前記の中央管理部31は、図示の如く、各巻取ユニット1の巻取ユニット制御部1Aと、各玉揚装置10の玉揚装置制御部10Aと、前記給糸ボビン供給装置20の給糸ボビン供給装置制御部20Aと、前記パッケージ搬送装置40のパッケージ搬送装置制御部40Aと、電気的に接続されており、各種のデータを送受信できるように構成されている。同様に中央管理部31は、上記の関連記憶部32・設定更新部33・設定表示部34・操作部35に対しても電気的に接続されており、各種のデータを送受信可能に構成されている。
【0032】
前記の関連記憶部32は、適宜にRAMやROMなどを備え、前記巻取ユニット制御部1Aによる前記巻取ユニット1の作動の制御の設定と、前記玉揚装置制御部10Aによる前記玉揚装置10の作動の制御の設定と、を関連付けて記憶している(後述する表1参照)。
【0033】
本実施形態において、上記の巻取ユニット1の作動の制御の設定とは「糸種や番手、糸速」の設定である。これらの設定は、前記の中央管理部31のRAM又はROMに記憶され、前記巻取ユニット1の巻取ユニット制御部1Aは中央管理部31のRAM又はROMに記憶されているこれらの設定を適宜に読み込んで該巻取ユニット1の各装置(例えば綾振ドラム3など)を制御するようになっている。なお、これら糸種や番手、糸速に係る設定は、相互に関連するものであって、便宜上、これらの設定は組み合わされて一の「ロット」として管理されるようになっている。換言すれば、前記巻取ユニット制御部1Aによる前記巻取ユニット1の作動の制御の設定の内容に対する固有な呼称として「ロット」が用いられている。
【0034】
また、上記の玉揚装置10の作動の制御の設定とは「バンチ巻き量(回)やP/Qワインドの別」の設定である。これらの設定も、前記の中央管理部31のRAM又はROMに記憶され、前記玉揚装置10の玉揚装置制御部10Aは中央管理部31のRAM又はROMに記憶されているこれらの設定を適宜に読み込んで該玉揚装置10の各装置を制御するようになっている。なお、「バンチ巻き量(回)」とは満管パッケージP(満巻の巻取パッケージP)の交換を円滑に行うために行われる空の紙管Bfに対するバンチ巻きの巻回数を意味し、「P/Qワインドの別」とは図2において紙管Bf周りに形成される巻取パッケージPのリフトアップ機構2a側の巻径が他側の巻径に比べて大きいか否かの別を意味し、前述のバンチ巻きは通常、巻取パッケージPの巻径の大きい側に露出する紙管Bfの端部にじかに施されることとなっている。
【0035】
そして、上記の関連記憶部32に記憶されている関連付けとは、例えば下記表1の如くである(例としてロット1〜ロット5を表す。)。即ち、本願発明者は前記のバンチ巻き量(回)やP/Qワインドの別は各ロットに対して唯一に定められる点に着目し、これらの玉揚装置10の作動の制御の設定をロットに密接に結び付けた(関連付けた)状態で関連記憶部32に記憶することとしているのである。付言するならば、別の観点から、玉揚装置10の作動の制御の設定をロットに含めたとも言える。
【0036】
【表1】

【0037】
次に、前記の設定表示部34について説明する(設定更新部33の説明は後述する。)。下記表2は、設定表示部の一表示例を示す。なお、下記表2中、「錘」とは巻取ユニットと同義である。
【0038】
【表2】

【0039】
上記表2に示す如く、本実施形態では、便宜上の観点から、これら巻取ユニット1・1・・・をグループ分けして管理するようになっている。即ち、例えば上記「GR1」で示されるグループは図1に示す如く列設される複数の巻取ユニット1・1・・・のうち機台制御装置30側から数えて1〜12番目の巻取ユニット1・1・・・を意味しており、このグループに属する巻取ユニット1・1・・・ではLOT1の仕様の巻取パッケージPが生成されるよう中央管理部31及び巻取ユニット制御部1A、玉揚装置制御部10Aが協動して作動するように設定されている。
【0040】
また、上記表2に示す如く、前記巻取ユニット制御部1Aによる前記巻取ユニット1・1・・・の作動の制御の設定(ロット名(糸種や番手、糸速を含む。))と、前記玉揚装置制御部10Aによる前記玉揚装置10・10の作動の制御の設定(バンチ巻き量(回)やP/Qワインドの別)と、が一画面に同時に表示されるようになっている。
【0041】
次に、上記の設定更新部33及び操作部35について説明する。即ち、操作部35は、需要と供給との兼ね合いで上記GR1〜GR3の何れかのグループに属する巻取ユニット1・1・・・によって生成される巻取パッケージPの仕様を変更する必要が生じた場合に、該グループに対して表2の如く設定したロット名を他のロット名に変更するためのものである。具体的には、自動ワインダ100のオペレータが操作部35を操作することにより、表2中のロット名は他のロット名へ特段の制約なく自由に変更可能に構成されている。
【0042】
そして、設定更新部33は、前記巻取ユニット制御部1Aによる前記巻取ユニット1・1・・・の作動の制御の設定(ロット名)が変更されると、前記関連記憶部32により記憶される前記関連付け(テーブル、表1)を参照することにより前記玉揚装置制御部10Aによる前記玉揚装置10の作動の制御の設定(バンチ巻き量(回)及びP/Qワインドの別)を更新するように構成されている。
【0043】
表2を参照しつつ具体的に説明すると以下の如くである。即ち、自動ワインダ100のオペレータが上記の操作部35を介して、仕様がLOT2である巻取パッケージPを増産するために表2中GR3に対して現行のLOT3に代えて新たにLOT2を設定したとする(ロットチェンジ)。これによると、GR3に属する巻取ユニット1・1・・・に対して直ちに糸種及び番手、糸速が適宜に変更され、これと同時に、前記の設定更新部33は、前記関連記憶部32により記憶されている前記関連付けとしての表1を参照し、表1中でLOT2に関連付けられたバンチ巻き量(回)及びP/Qワインドの別を、GR2に対して設定し直す(更新する、変更する)ように構成されている。別の観点から言えば(端的に言えば)、表2に示すロット名を他のロット名へ変更するだけで、糸種及び番手、糸速のみならず、更には、バンチ巻き量(回)及びP/Qワインドの別までもが一度に更新されるようになっている。なお、表2中、一つのグループに設定されるロット名を他のロット名へ変更する場合に限らず、一つのグループの「錘No.範囲」を変更する場合においても、勿論、上記の構成により、バンチ巻き量(回)及びP/Qワインドの別は適正に更新可能となる。
【0044】
次に、本実施形態に係る自動ワインダ100の作動について簡単に説明する。即ち、前述したように、一つのグループによって生成される巻取パッケージPの仕様を変更する必要が生じたとき、自動ワインダ100のオペレータは、前記の操作部35を介し、前記の設定表示部34を見ながら、該グループに設定されているロット名を他のロット名へ変更する。このとき、オペレータは、バンチ巻き量(回)やP/Qワインドの別をいちいち設定しなくてもよい。なぜなら、前記の設定更新部33が、オペレータにより入力された新たなロット名に呼応して、ロットチェンジ前のバンチ巻き量(回)及びP/Qワインドの別を、その新たなロット名に対して唯一に定まるバンチ巻き量(回)及びP/Qワインドの別(表1参照)に変更するようになっているからである。
【0045】
以上説明したように上記の第一実施形態において自動ワインダ100は、以下のように構成されている。
【0046】
◆即ち、複数で設けられ、給糸ボビンBkから解舒された紡績糸Yを紙管Bfに巻き取って巻取パッケージPを形成する巻取ユニット1・1・・・と、前記複数の巻取ユニット1・1・・・に沿って走行する玉揚装置10・10と、を備える。また、前記巻取ユニット1・1・・・の作動を制御する巻取ユニット制御部1Aと、前記玉揚装置10・10の作動を制御する玉揚装置制御部10Aと、を備える。更に、前記巻取ユニット制御部1Aによる前記巻取ユニット1・1・・・の作動の制御の設定(ロット名)と、前記玉揚装置制御部10Aによる前記玉揚装置10・10の作動の制御の設定(バンチ巻き量(回)やP/Qワインドの別)と、を関連付けて(表1参照)記憶する関連記憶部32を備える。これにより、前記関連記憶部32により記憶されている関連付け(表1参照)を参照することにより、前記巻取ユニット制御部1Aによる前記巻取ユニット1・1・・・の作動の制御の設定と、前記玉揚装置制御部10Aによる前記玉揚装置10・10の作動の制御の設定と、の間の整合性の有無を判断できる。
【0047】
◆また、本実施形態に係る自動ワインダ100は、前記巻取ユニット制御部1Aによる前記巻取ユニット1・1・・・の作動の制御の設定(ロット名)が変更されると、前記関連記憶部32により記憶される前記関連付け(表1参照)を参照することにより前記玉揚装置制御部10Aによる前記玉揚装置10・10の作動の制御の設定(バンチ巻き量(回)やP/Qワインドの別)を(併せて/同時に)更新(変更)する設定更新部33を備える。これにより、下記の極めて優れた効果が奏される。
【0048】
(従来の自動ワインダ)
即ち、一般に、自動ワインダは巻取ユニットと玉揚装置とを備え、巻取パッケージを生成するにあたり、これらの装置の夫々に種々の役割分担が為されている。このような構造上・構成上の事情から、巻取ユニットに係る設定と、玉揚装置に係る設定と、は別個独立して取り扱われている。従って、巻取ユニットに係る設定を変更する際に併せて玉揚装置に係る設定を変更する必要がある場合、自動ワインダのオペレータには、忘れずに玉揚装置に係る設定も変更しなければならないという重い負担がかかる。しかも、玉揚装置に係る設定の変更を忘れてしまった場合には、仕様に沿わない巻取パッケージが大量に生成されてしまうこととなる。
【0049】
(本実施形態に係る自動ワインダ)
これに対し、本実施形態に係る自動ワインダ100は、上記の設定更新部33を備えることにより、前記巻取ユニット制御部1Aによる前記巻取ユニット1・1・・・の作動の制御の設定の変更に伴って前記玉揚装置制御部10Aによる前記玉揚装置10・10の作動の制御の設定も変更する必要がある場合に後者の変更をし忘れることが、決してない。従って、自動ワインダ100のオペレータへの負担が軽減されると共に、常に仕様に沿った巻取パッケージPを生成できる。
【0050】
◆また、本実施形態に係る自動ワインダ100は、前記巻取ユニット制御手段による前記巻取ユニットの作動の制御の設定と、前記玉揚装置制御手段による前記玉揚装置の作動の制御の設定と、を一画面に(同時に)表示する設定表示部34を備える。これにより、下記の極めて優れた効果が奏される。
【0051】
(従来の自動ワインダ)
即ち、一般に、自動ワインダが備える表示器には、上述した構造上・構成上の事情から、巻取ユニットに係る設定と、玉揚装置に係る設定と、は一画面に(同時に)表示されることはなかった。そのせいで、自動ワインダのオペレータが巻取ユニットに係る設定の変更ばかりに気をとられ、つい、玉揚装置に係る設定の存在を忘れてしまい易くなっていた。
【0052】
(本実施形態に係る自動ワインダ)
これに対し、本実施形態に係る自動ワインダ100は、上記の設定表示部34を備えることにより、巻取ユニット1・1・・・に係る設定の変更の際に、漏れなく、玉揚装置10・10に係る設定が視界に入るようになっているので、玉揚装置10・10に係る設定の存在を、常に、意識できる。更には、自動ワインダ100のオペレータが、前記巻取ユニット制御部1Aによる前記巻取ユニット1・1・・・の作動の制御の設定と、前記玉揚装置制御部10Aによる前記玉揚装置10・10の作動の制御の設定と、の間の整合性の有無を容易に把握できる。同一画面内に表示されているからである。
【0053】
(変形例)
◇第一実施形態において前記玉揚装置10・10は、図1に示す如く二つで設けられているとしたが、これに代えて、この玉揚装置10は一つで設けられても良いし三つ以上で設けられていても良い。
【0054】
◇また、上記第一実施形態において巻取ユニット1の作動を制御する巻取ユニット制御部1Aは該巻取ユニット1に設けられているとしたが、これに代えて、機台制御装置30に備えられる構成でも良い。玉揚装置制御部10Aについても同様である。
【0055】
〔第二実施形態〕
次に、本発明の第二実施形態を図面を参照しつつ説明する。ここでは、上記の第一実施形態と相違する点を中心に説明し、重複する説明は割愛する。
【0056】
上記第一実施形態においては、前記玉揚装置10は、一機で設けられても良いし、例えば二機以上の複数で設けられても良いとした。一方、本実施形態においては、前記玉揚装置10は、少なくとも二機以上の複数で設けられることとする(図1参照)。ここでは、玉揚装置10・10が二機、設けられている例について説明する。
【0057】
また、上記第一実施形態においては前記の設定表示部34に上記表2が表示されるとしたが、本実施形態においてはこの設定表示部34に例えば下記表3が表示されるように構成されている。
【0058】
【表3】

【0059】
上記表3において、「AD」は玉揚装置10・10の走行範囲の設定を意味し、「AD1」は二機ある玉揚装置10・10のうち主として若い錘No.範囲に属する巻取ユニット1・1・・・を担当する玉揚装置10を意味し、二機ある玉揚装置10・10のうち他方の玉揚装置10が「AD2」で示されている。従って、この表3は、二機ある玉揚装置10・10のうち「AD1」で示される玉揚装置10が錘No.範囲1〜24に属する巻取ユニット1・1・・・を担当するように設定されていることを示し、一方、「AD2」で示される玉揚装置10が錘No.範囲25−60を担当するように設定されていることを示す。
【0060】
また、上記表3において、「CBF」は給糸ボビン供給装置20の配分の設定を意味しており、糸種Aが巻回されている給糸ボビンBkを錘No.範囲1−24に属する巻取ユニット1・1・・・に給糸ボビン供給装置20が分配することを「A」は意味し、一方、糸種Bが巻回されている給糸ボビンBkを錘No.範囲25−60に属する巻取ユニット1・1・・・に給糸ボビン供給装置20が分配することを「B」は意味する。なお、ここでいう糸種Aや糸種Bは、上記表1及び表2における項目としての「糸種」に対応するものである。
【0061】
そして、本実施形態において前記二機の玉揚装置10・10の夫々には、固有の作動の設定が割り当てられている。換言すれば、一の玉揚装置10は、自己(該玉揚装置10)が担当する巻取ユニット1・1・・・に対して、同一の作動(バンチ巻き量(回)やP/Qワインドの別)をするように構成されている。更に換言すれば、本実施形態において前記玉揚装置10・10の作動の設定(走行範囲の設定は除く。)は原則として変更しないこととなっている。
【0062】
本実施形態においては、前記の設定更新部33は、前記巻取ユニット制御部1Aによる前記巻取ユニット1・1・・・の作動の制御の設定(ロット名)が変更されると、前記関連記憶部32により記憶されている前記関連付け(上記表1)を参照することにより前記二機の玉揚装置10・10(AD1、AD2)の走行範囲の設定を更新するように構成されている。以下、具体例と共に詳しく説明する。
【0063】
例えば、表3においてAD1で称される玉揚装置10は自己が担当する巻取ユニット1・1・・・に対して、常に、バンチ巻き量(回)は5としP/Qワインドの別はPとして作動するように設定されているとする。また、表3によれば、このAD1で称される玉揚装置10はGR2(錘No.範囲13−24)に属する巻取ユニット1・1・・・を担当するように設定されている。一方で、GR2に属する巻取ユニット1・1・・・の作動の設定としてはLOT1が割り当てられている。このLOT1に対応するバンチ巻き量(回)及びP/Qワインドの別は表1によれば夫々、5及びPである。従って、GR2においては、巻取ユニット1・1・・・の作動の設定と、玉揚装置10・10の作動の設定と、の間には整合性があると言える。
【0064】
そこで、需要と供給との兼ね合いで上記GR2に属する巻取ユニット1・1・・・によって生成される巻取パッケージPの仕様を変更する必要が生じ、該グループに対してLOT1に代えて新たにLOT3を設定したとする。これによると、GR2に属する巻取ユニット1・1・・・に対して直ちに糸種及び番手、糸速が適宜に変更される。一方、LOT3に係る巻取パッケージPの仕様では、バンチ巻き量(回)及びP/Qワインドの別は夫々ゼロ及びQとなっている(上記表1参照)。従って、バンチ巻き量(回)及びP/Qワインドの別を夫々5及びPとする設定が為されたAD1で称される玉揚装置10では、変更後の上記GR2に属する巻取ユニット1・1・・・に対応できない。
【0065】
そこで、本実施形態において前記設定更新部33は、前記関連記憶部32により記憶されている前記関連付け(上記表1参照)を参照する。そして、この参照によりLOT3に係る巻取パッケージPの仕様ではバンチ巻き量(回)及びP/Qワインドの別は夫々ゼロ及びQであることを設定更新部33は取得する。更に、設定更新部33は、前記二機の玉揚装置10・10の中から、固有の作動の設定としてバンチ巻き量(回)及びP/Qワインドの別が夫々ゼロ及びQと設定されている玉揚装置10を検索し、この条件に合致する玉揚装置10を検出する(具体的にはAD2で称される玉揚装置10が検出される。)。そして、GR2に属する巻取ユニット1・1・・・を担当する玉揚装置10が、AD1で称される玉揚装置10からAD2で称される玉揚装置10へ切り替わるように、これら二機の玉揚装置10・10(AD1、AD2)の走行範囲の設定を更新するように構成されている。
【0066】
以上説明したように上記の第二実施形態において自動ワインダ100は、以下のように構成されている。
【0067】
◆即ち、複数で設けられ、給糸ボビンBkから解舒された紡績糸Yを紙管Bfに巻き取って巻取パッケージPを形成する巻取ユニット1・1・・・と、前記複数の巻取ユニット1・1・・・に沿って走行する複数の玉揚装置10・10と、を備える。また、前記巻取ユニット1・1・・・の作動を制御する巻取ユニット制御部1Aと、前記玉揚装置10・10の作動を制御する玉揚装置制御部10Aと、を備える。更に、前記巻取ユニット制御部1Aによる前記巻取ユニット1・1・・・の作動の制御の設定と、前記玉揚装置制御部10Aによる前記玉揚装置10・10の作動の制御の設定と、を関連付けて記憶する関連記憶部32を備える。これにより、前記関連記憶部32により記憶されている関連付けを参照することにより、前記巻取ユニット制御部1Aによる前記巻取ユニット1・1・・・の作動の制御の設定と、前記玉揚装置制御部10Aによる前記玉揚装置10・10の作動の制御の設定と、の間の整合性の有無を判断できる。
【0068】
◆また、本実施形態に係る自動ワインダ100は、前記巻取ユニット制御部1Aによる前記巻取ユニット1・1・・・の作動の制御の設定が変更されると、前記関連記憶部32により記憶されている前記関連付けを参照することにより前記複数の玉揚装置10・10の走行範囲の設定を更新する設定更新部33を備える。これにより、前記巻取ユニット制御部1Aによる前記巻取ユニット1・1・・・の作動の制御の設定の変更に伴って前記玉揚装置10・10の走行範囲の設定も変更する必要がある場合に、後者の変更をし忘れることが、決してない。従って、自動ワインダ100のオペレータが後者の変更を担当する場合に比較して、当該オペレータへの負担が軽減されると共に、常に仕様に沿った巻取パッケージPを生成できる。
【0069】
◆また、本実施形態に係る自動ワインダ100は、前記巻取ユニット制御部1Aによる前記巻取ユニット1・1・・・の作動の制御の設定と、前記玉揚装置制御部10Aによる前記玉揚装置10・10の走行範囲の設定と、を一画面に(同時に)表示する設定表示部34を備える。これにより、下記の優れた効果が奏される。
【0070】
(従来の自動ワインダ)
即ち、一般に、自動ワインダが備える表示器には、上述した構造上・構成上の事情から、巻取ユニットに係る設定と、玉揚装置の走行範囲に係る設定と、は一画面に(同時に)表示されることはなかった。そのせいで、自動ワインダのオペレータは、巻取ユニットに係る設定の変更ばかりに気をとられ、つい、玉揚装置の走行範囲に係る設定の存在を忘れてしまい易くなっていた。
【0071】
(本実施形態に係る自動ワインダ)
これに対し、本実施形態に係る自動ワインダ100は、上記の設定表示部34を備えることにより、巻取ユニット1・1・・・に係る設定の変更の際に、漏れなく、玉揚装置10・10の走行範囲に係る設定が該オペレータの視界に入るようになっているので、玉揚装置10・10の走行範囲に係る設定の存在を、常に、意識できる。更には、自動ワインダ100のオペレータが、前記巻取ユニット制御部1Aによる前記巻取ユニット1・1・・・の作動の制御の設定と、前記玉揚装置10・10の走行範囲の設定と、の間の整合性の有無を容易に把握できる。同一画面内に同時に表示されているからである。
【0072】
なお、上記第二実施形態において、上記設定更新部33が前記玉揚装置10・10の走行範囲の設定を更新する際には前記自動ワインダ100のオペレータにその旨を音や光で報知する報知器を備える構成にしてもよい。また、この報知と共に、当該オペレータに対して該更新の同意/了承を要求するように構成してもよい。
【0073】
〔第三実施形態〕
次に、本発明の第三実施形態を図面を参照しつつ説明する。ここでは、上記の第二実施形態と相違する点を中心に説明し、重複する説明は割愛する。
【0074】
上記第二実施形態においては、前記玉揚装置10は少なくとも二機以上の複数で設けられていることとしたが(図1参照)、本実施形態においては、前記玉揚装置10は一機で設けられても良いし、例えば二機以上の複数で設けられても良い。
【0075】
また、前記の設定表示部34により表示されている内容は、上記の第二実施形態と同様、例えば表3である。
【0076】
また、前記の関連記憶部32により記憶されている関連付けは、前記巻取ユニット制御部1Aによる前記巻取ユニット1・1・・・の作動の制御の設定と、前記給糸ボビン供給装置制御部20Aによる前記給糸ボビン供給装置20の作動の制御の設定と、に係るものであって、例えば下記表4に示されるものである。
【0077】
【表4】

【0078】
そして、前記の設定更新部33は、前記巻取ユニット制御部1Aによる前記巻取ユニット1・1・・・の作動の制御の設定(ロット名)が変更されると、前記関連記憶部32により記憶されている前記関連付け(上記表4)を参照することにより前記給糸ボビン供給装置制御部20Aによる前記給糸ボビン供給装置20の配分の設定を更新するように構成されている。以下、具体例と共に詳しく説明する。
【0079】
例えば、需要と供給との兼ね合いで上記GR2(表3参照)に属する巻取ユニット1・1・・・によって生成される巻取パッケージPの仕様を変更する必要が生じ、該グループに対してLOT1に代えて新たにLOT2を設定したとする。これによると、GR2に属する巻取ユニット1・1・・・に対して直ちに糸種及び番手、糸速が適宜に変更される。これに伴い、前記の給糸ボビン供給装置20によってこれらの巻取ユニット1・1・・・に対して配分される給糸ボビンBkに巻回されている糸種も、糸種Aから糸種Bへ変更する必要が生じる。
【0080】
そこで、本実施形態では、前記設定更新部33は、前記関連記憶部32により記憶されている前記関連付け(上記表4)を参照するように構成されており、この参照によりLOT2に係る巻取パッケージPの仕様では糸種は糸種Bとすべきことを取得する。そして、設定更新部33は、GR2に属する巻取ユニット1・1・・・に対して前記の給糸ボビン供給装置20が糸種Bを配分するように、前記給糸ボビン供給装置20の配分の設定を更新するように構成されている。
【0081】
以上説明したように上記の第三実施形態において自動ワインダ100は、以下のように構成されている。
【0082】
◆即ち、複数で設けられ、給糸ボビンBkから解舒された紡績糸Yを紙管Bfに巻き取って巻取パッケージPを形成する巻取ユニット1・1・・・と、前記複数の巻取ユニット1・1・・・に沿って走行する玉揚装置10・10と、を備える。また、前記巻取ユニット1・1・・・の作動を制御する巻取ユニット制御部1Aと、前記玉揚装置10・10の作動を制御する玉揚装置制御部10Aと、を備える。更に、前記巻取ユニット制御部1Aによる前記巻取ユニット1・1・・・の作動の制御の設定と、前記給糸ボビン供給装置制御部20Aによる前記給糸ボビン供給装置20の配分の設定と、を関連付けて記憶する関連記憶部32(上記表4)を備える。また、前記巻取ユニット制御部1Aによる前記巻取ユニット1・1・・・の作動の制御の設定が変更されると、前記関連記憶部32により記憶されている前記関連付け(上記表4)を参照することにより前記給糸ボビン供給装置制御部20Aによる前記給糸ボビン供給装置20の配分の設定を更新する設定更新部33を備える。これによれば、前記巻取ユニット制御部1Aによる前記巻取ユニット1・1・・・の作動の制御の設定の変更に伴って前記給糸ボビン供給装置制御部20Aによる前記給糸ボビン供給装置20の配分の設定も変更する必要がある場合に、後者の変更をし忘れることがない。
【0083】
◆また、本実施形態において自動ワインダ100は、前記巻取ユニット制御部1Aによる前記巻取ユニット1・1・・・の作動の制御の設定と、前記給糸ボビン供給装置制御部20Aによる前記給糸ボビン供給装置20の配分の設定と、を一画面に(同時に)表示する設定表示部34(上記表3)を備える。これによれば、自動ワインダ100のオペレータが、前記巻取ユニット制御部1Aによる前記巻取ユニット1・1・・・の作動の制御の設定と、前記給糸ボビン供給装置制御部20Aによる前記給糸ボビン供給装置20の配分の設定と、の間の整合性の有無を容易に把握できる。
【0084】
なお、上記第三実施形態において、前記給糸ボビン供給装置制御部20Aによる前記給糸ボビン供給装置20の配分の設定を設定更新部33が更新する際には前記自動ワインダ100のオペレータに対してその旨を音や光で報知する報知器を備える構成にしてもよい。また、この報知と共に、当該オペレータに対して該更新の同意/了承を要求するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の第一実施形態に係る自動ワインダの全体概略図
【図2】巻取ユニットの全体概略図
【図3】機台制御装置の構成概略図
【符号の説明】
【0086】
1 巻取ユニット
1A 巻取ユニット制御部
10 玉揚装置
10A 玉揚装置制御部
20 給糸ボビン供給装置
20A 給糸ボビン供給装置制御部
30 機台制御装置
32 関連記憶部
33 設定更新部
34 設定表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数で設けられ、給糸ボビンから解舒された紡績糸を紙管に巻き取って巻取パッケージを形成する巻取ユニットと、
前記巻取ユニットの作動を制御する巻取ユニット制御手段と、
前記複数の巻取ユニットに沿って走行する玉揚装置と、
前記玉揚装置の作動を制御する玉揚装置制御手段と、
前記巻取ユニット制御手段による前記巻取ユニットの作動の制御の設定と、前記玉揚装置制御手段による前記玉揚装置の作動の制御の設定と、を関連付けて記憶する関連記憶手段と、
を備える、ことを特徴とする自動ワインダ
【請求項2】
前記巻取ユニット制御手段による前記巻取ユニットの作動の制御の設定が変更されると、前記関連記憶手段により記憶される前記関連付けを参照することにより前記玉揚装置制御手段による前記玉揚装置の作動の制御の設定を更新する設定更新手段を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の自動ワインダ
【請求項3】
前記巻取ユニット制御手段による前記巻取ユニットの作動の制御の設定と、前記玉揚装置制御手段による前記玉揚装置の作動の制御の設定と、を一画面に表示する設定表示手段を備える、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の自動ワインダ
【請求項4】
複数で設けられ、給糸ボビンから解舒された紡績糸を紙管に巻き取って巻取パッケージを形成する巻取ユニットと、
前記巻取ユニットの作動を制御する巻取ユニット制御手段と、
複数で設けられ、前記複数の巻取ユニットに沿って走行する玉揚装置と、
前記玉揚装置の作動を制御する玉揚装置制御手段と、
前記巻取ユニット制御手段による前記巻取ユニットの作動の制御の設定と、前記玉揚装置制御手段による前記玉揚装置の作動の制御の設定と、を関連付けて記憶する関連記憶手段と、
を備える、ことを特徴とする自動ワインダ
【請求項5】
前記巻取ユニット制御手段による前記巻取ユニットの作動の制御の設定が変更されると、前記関連記憶手段により記憶されている前記関連付けを参照することにより前記複数の玉揚装置の走行範囲の設定を更新する設定更新手段を備える、ことを特徴とする請求項4に記載の自動ワインダ
【請求項6】
前記巻取ユニット制御手段による前記巻取ユニットの作動の制御の設定と、前記複数の玉揚装置の走行範囲の設定と、を一画面に表示する設定表示手段を備える、ことを特徴とする請求項4又は5に記載の自動ワインダ
【請求項7】
複数で設けられ、給糸ボビンから解舒された紡績糸を紙管に巻き取って巻取パッケージを形成する巻取ユニットと、
前記巻取ユニットの作動を制御する巻取ユニット制御手段と、
異なる糸種の給糸ボビンを前記複数の巻取ユニットに配分する給糸ボビン供給装置と、
前記給糸ボビン供給装置の作動を制御する給糸ボビン供給装置制御手段と、
前記巻取ユニット制御手段による前記巻取ユニットの作動の制御の設定と、前記給糸ボビン供給装置制御手段による前記給糸ボビン供給装置の配分の設定と、を関連付けて記憶する関連記憶手段と、
前記巻取ユニット制御手段による前記巻取ユニットの作動の制御の設定が変更されると、前記関連記憶手段により記憶されている前記関連付けを参照することにより前記給糸ボビン供給装置制御手段による前記給糸ボビン供給装置の配分の設定を更新する設定更新手段と、
を備える、ことを特徴とする自動ワインダ
【請求項8】
前記巻取ユニット制御手段による前記巻取ユニットの作動の制御の設定と、前記給糸ボビン供給装置制御手段による前記給糸ボビン供給装置の配分の設定と、を一画面に表示する設定表示手段を備える、ことを特徴とする請求項7に記載の自動ワインダ
【請求項9】
前記巻取ユニット制御手段による前記巻取ユニットの作動の制御の設定は、糸種又は番手、糸速のうち少なくとも何れか一を含む、ことを特徴とする請求項1〜8の何れか一に記載の自動ワインダ

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−74524(P2008−74524A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−254152(P2006−254152)
【出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】