自動分析装置および移送ユニット
【課題】使用者がキュベットなどの容器を所定の廃棄位置へ廃棄する際の生物学的災害の発生を回避できる自動分析装置および移送ユニットを提供する。
【解決手段】自動分析装置1のキュベット廃棄ユニット240は、キュベットCを所定のキュベット廃棄位置244へ移送する際にキュベットCを保持するキュベット保持部243に設けられた廃液吸引ノズル246−1からキュベット351内の廃液LCを吸引することで、キュベットCと廃液LCとを分離する。反応液吸引ノズル276−1は、キュベット保持部273における嵌着部273−1a下から突出しているため、嵌着部273−1aにキュベット351が嵌着される際に先端部276−1aがキュベット351内に挿入され、内部の反応液351bが排出される。
【解決手段】自動分析装置1のキュベット廃棄ユニット240は、キュベットCを所定のキュベット廃棄位置244へ移送する際にキュベットCを保持するキュベット保持部243に設けられた廃液吸引ノズル246−1からキュベット351内の廃液LCを吸引することで、キュベットCと廃液LCとを分離する。反応液吸引ノズル276−1は、キュベット保持部273における嵌着部273−1a下から突出しているため、嵌着部273−1aにキュベット351が嵌着される際に先端部276−1aがキュベット351内に挿入され、内部の反応液351bが排出される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動分析装置および移送ユニットに関し、例えば使用後の反応容器を廃棄可能な自動分析装置およびその移送ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液状の検体を液状の試薬と反応させることで複数の項目を自動的に分析する分析装置では、検体と試薬とをキュベットと呼ばれる反応容器にそれぞれ分注し、これらを攪拌した後、生成された反応液を光学的に測定していた(例えば以下に示す特許文献1または2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−321286号公報
【特許文献2】特開平8−146010号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来技術では、測定後の反応液や試薬などの廃液が入った容器をそのまま破棄箱にセットされた廃棄袋へ廃棄していた。そのため使用者は、容器から流れ出した廃液が溜まっている廃棄袋を分析装置から取り出して特定の廃棄場所まで運搬しなければならないため、運搬時に廃棄袋内の液が漏れ出したり漏れ出した液が飛散したりなどの可能性があり、これによって使用者が生物学的災害(バイオハザード)を被る可能性があるという問題が存在した。
【0005】
そこで本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、使用者がキュベットなどの容器を所定の廃棄位置へ廃棄する際に生物学的災害が発生する可能性を低減することができる自動分析装置および移送ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために、本発明による自動分析装置は、所定容器を所定の廃棄位置へ移送する容器移送手段と、前記容器移送手段が前記所定容器の移送動作を開始してから完了するまでの間に前記所定容器内の液体を吸引する吸引手段と、を備えたことを特徴としている。
【0007】
上記した本発明による自動分析装置は、前記容器移送手段が、前記所定容器を着脱可能に保持する保持部と、該保持部を所定位置へ移動させる移動機構と、を含み、前記吸引手段が、前記保持部に保持された吸引管と、該吸引管に接続された吸引ポンプと、を含み、前記吸引管が、前記保持部が前記所定容器を保持する際に先端部が該所定容器内に挿入されることを特徴としている。
【0008】
上記した本発明による自動分析装置は、前記吸引ポンプが、前記保持部が前記所定容器を保持する前に吸引を開始することを特徴としている。
【0009】
上記した本発明による自動分析装置は、前記保持部に対する前記吸引管の先端部の位置を調整する先端位置調整手段を備えたことを特徴としている。
【0010】
上記した本発明による自動分析装置は、前記先端位置調整手段が、前記吸引管の先端部を下方へ付勢するバネを含み、前記吸引管が、前記バネにより下方へ付勢された状態で上下方向にスライド可能に前記保持部に保持され、前記吸引管の先端部が、前記保持部が前記所定容器を保持している状態で該所定容器の底部に当接することを特徴としている。
【0011】
上記した本発明による自動分析装置は、前記所定容器が、上部が開口されており、前記保持部が、前記所定容器の前記開口に嵌挿されることで該所定容器を保持する嵌着部を含み、前記吸引管の先端部が、前記嵌着部底部から突出していることを特徴としている。
【0012】
上記した本発明による自動分析装置は、前記嵌着部が、前記所定容器の開口形状と異なる断面形状を有していることを特徴としている。
【0013】
上記した本発明による自動分析装置は、前記所定容器が、両側に爪を有し、前記保持部が、前記所定容器の前記爪と掛合可能な孔が形成された2つの掛持部と、該掛持部を開閉可能に連結する連結部と、前記連結部に固定されたガイド部と、該ガイド部によって上下方向にスライド可能に保持されたスライド部と、を含み、前記吸引管が、先端部が前記スライド部底部から突出するように該スライド部に保持されていることを特徴としている。
【0014】
上記した本発明による自動分析装置は、前記容器移送手段により移送された前記所定容器を廃棄する廃棄部を備えたことを特徴としている。
【0015】
上記した本発明による自動分析装置は、前記吸引手段により吸引された液体を蓄える廃液タンクを備えたことを特徴としている。
【0016】
上記した本発明による自動分析装置は、所定容器を1以上ストックする容器ストック部を備え、前記容器移送手段が、前記容器ストック部から所定容器を取得し、該取得した所定容器を所定位置へセットすることを特徴としている。
【0017】
また、本発明による移送ユニットは、所定容器を所定の廃棄位置へ移送する移送ユニットであって、前記所定容器の移送動作を開始してから完了するまでの間に前記所定容器内の液体を吸引する吸引手段を備えたことを特徴としている。
【0018】
上記した本発明による移送ユニットは、前記所定容器を着脱可能に保持する保持部を備え、前記吸引手段が、前記保持部に保持された吸引管を含み、前記吸引管が、前記保持部が前記所定容器を保持する際に先端部が該所定容器内に挿入されることを特徴としている。
【0019】
上記した本発明による移送ユニットは、前記保持部に対する前記吸引管の先端部の位置を調整する先端位置調整手段を備えたことを特徴としている。
【0020】
上記した本発明による移送ユニットは、前記先端位置調整手段が、前記吸引管の先端部を下方へ付勢するバネを含み、前記吸引管が、前記バネにより下方へ付勢された状態で上下方向にスライド可能に前記保持部に保持され、前記吸引管の先端部が、前記保持部が前記所定容器を保持している状態で該所定容器の底部に当接することを特徴としている。
【0021】
上記した本発明による移送ユニットは、前記所定容器が、上部が開口されており、前記保持部が、前記所定容器の前記開口に嵌挿されることで該所定容器を保持する嵌着部を含み、前記吸引管の先端部が、前記嵌着部底部から突出していることを特徴としている。
【0022】
上記した本発明による移送ユニットは、前記嵌着部が、前記所定容器の開口形状と異なる断面形状を有していることを特徴としている。
【0023】
上記した本発明による移送ユニットは、前記所定容器が、両側に爪を有し、前記保持部が、前記所定容器の前記爪と掛合可能な孔が形成された2つの掛持部と、該掛持部を開閉可能に連結する連結部と、前記連結部に固定されたガイド部と、該ガイド部によって上下方向にスライド可能に保持されたスライド部と、を含み、前記吸引管が、先端部が前記スライド部底部から突出するように該スライド部に保持されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、反応液や試薬などの廃液をキュベットなどの所定容器から吸引する構成を備えているため、廃棄時に廃液と所定容器とを分離することが可能となる。この結果、所定容器用のディスポーザやこれにセットされた廃棄袋などに廃液が溜まることを防止でき、運搬時に廃棄袋内の液が漏れ出したり漏れ出した液が飛散したりなどの弊害の発生を回避することが可能となる。これにより、使用者が生物学的災害(バイオハザード)を被る可能性を低減することが可能な自動分析装置および移送ユニットを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面と共に詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明において、各図は本発明の内容を理解でき得る程度に形状、大きさ、および位置関係を概略的に示してあるに過ぎず、従って、本発明は各図で例示された形状、大きさ、および位置関係のみに限定されるものではない。さらに、各図では、構成の明瞭化のため、断面におけるハッチングの一部が省略されている。
【0026】
<実施の形態1>
以下、本発明の実施の形態1による自動分析装置1を図面と共に詳細に説明する。なお、本実施の形態において例示する自動分析装置1は、免疫に関する項目について測定するための分析装置であるが、本発明はこれに限定されず、例えば生化学に関する項目について分析するための自動分析装置など、種々の分析装置に本実施の形態を適用することが可能である。
【0027】
(自動分析装置)
図1は、本実施の形態による自動分析装置1の概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、自動分析装置1は、メインユニット100と、メインユニット100に接続された制御端末400とを備える。メインユニット100は、検体と試薬とを反応させ、これにより生成された反応生成物の作用による発光基質の発光量を測定するための装置である。また、制御端末400は、メインユニット100の制御やメインユニット100によって測定された結果の分析などを実行するための装置である。自動分析装置1は、これら2つの装置が連携することによって複数の検体の免疫学的な分析を自動的に行なう。
【0028】
ここで、まず、メインユニット100について説明する。メインユニット100は、大別して、BF(Bound−Free)処理槽110と、キュベット供給ユニット120と、検体供給ユニット130と、検体分注ユニット140と、第1キュベット移送ユニット150と、免疫反応槽160と、第1試薬分注ユニット170と、第1試薬保冷庫180と、第2試薬分注ユニット190と、第2試薬保冷庫200と、第2キュベット移送ユニット210と、酵素反応槽220と、測光ユニット230と、キュベット廃棄ユニット240と、を備える。
【0029】
BF処理槽110は、検体と試薬とを混合させた混合液から未反応の検体および/または試薬(以下、単に未反応物質という)を分離する所謂BF洗浄処理を行なうための槽である。このBF処理槽110は、図示しない駆動機構によって中心112を軸として回動する回転テーブル111を有する。回転テーブル111は、外周内側に沿って複数のキュベットホルダ(不図示)が配列された第1反応ライン113と、第1反応ライン113の内側に沿って複数のキュベットホルダ(不図示)が配置された第2反応ライン114と、を含む。各キュベットホルダにはキュベットCが適宜セットされる。したがって、回転テーブル111が中心112を軸として回動することで、目的のキュベットホルダまたはこれにセットされたキュベットCが所定の位置(キュベット脱離位置113a、検体分注位置113b、第1試薬分注位置113c、第1キュベット入出位置113d、第2キュベット入出位置114aまたは第2試薬分注位置114b)に配置される。なお、第1反応ライン113には、キュベットC内の混合液を攪拌するための不図示の攪拌部が設けられる。第2反応ライン114には、キュベットC内の混合液を攪拌するための不図示の攪拌部およびキュベットC内の混合液に対してBF処理を実行するためのBF処理部115が設けられる。BF処理部115は、後述する第1試薬に含まれる磁性粒子を集磁する集磁機構を含み、これを用いて反応物質と未反応物質とを分離する。また、本実施の形態において、検体とは、例えば被検者から採取した血液もしくは尿などである。
【0030】
キュベット供給ユニット120は、キュベットストック部124にストックされているキュベットCをBF処理槽110へ供給するための機構である。このキュベット供給ユニット120は、メインユニット100上面に対して突出入可能な枢軸121として機能する棒状部材(不図示)に一方の端が枢持されたアーム部122と、アーム部122の他方の端に設けられたキュベット保持部123と、を有する。アーム部122は、図示しない駆動機構によって棒状部材が回転することで枢軸121を中心として枢回し、不図示の駆動機構によって棒状部材が突出入することによって上下する。また、キュベット保持部123は、先端がキュベットCの上部開口に嵌合することでこれを保持し、キュベットCの上部開口端を押進することでこれを脱離させる。この構成を利用することで、キュベット供給ユニット120は、キュベットストック部124のキュベット嵌合125に配置されているキュベットCをキュベット保持部123で保持し、また、保持したキュベットCをキュベット脱離位置113aに配置された回転テーブル111のキュベットホルダにセットする。
【0031】
検体供給ユニット130は、分析対象の検体がそれぞれ入れられる1つ以上の検体容器134を保持可能な検体ラック133を1つ以上収容する検体収容部131と、検体ラック133が搬送される搬送レール132と、を有する。検体収容部131に収容された検体ラック133は、不図示の搬送機構によって搬送レール132の第1搬送経路135または第2搬送経路136上を搬送される。また、第1搬送経路135上を搬送される検体ラック133は、第1検体分取位置135aに一旦停止し、適宜、自身が保持する検体容器134内の検体が後述の検体分注ユニット140によって分取される。同様に、第2搬送経路136上を搬送される検体ラック133は、第2検体分取位置136aに一旦停止し、適宜、自身が保持する検体容器134内の検体が検体分注ユニット140によって分取される。なお、第1/第2搬送経路135/136上を搬送された検体ラック133は、不図示の搬送機構によって検体収容部131に戻されるか、あるいは、図示しない収容部に送られる。
【0032】
検体分注ユニット140は、第1検体分取位置135aまたは第2検体分取位置136aにおいて分取した検体をBF処理槽110における所定のキュベットC内へ分注するための機構である。この検体分注ユニット140は、メインユニット100上面に対して突出入可能な枢軸141として機能する棒状部材(不図示)に一方の端が枢持されたアーム部142と、アーム部142の他方の端に設けられた分注チップ保持部143と、を有する。アーム部142は、図示しない駆動機構によって棒状部材が回転することで枢軸141を中心として枢回し、不図示の駆動機構によって棒状部材が突出入することによって上下動する。また、分注チップ保持部143には、ディスポーザブルな分注チップ146が取り付けられると共に、不図示の吸引ポンプと連結されており、この吸引ポンプを駆動することで検体の吸引および吸引した検体の吐出が可能となっている。この構成を利用することで、検体分注ユニット140は、第1または第2検体分取位置135aまたは136aにおいて分取した検体を、BF処理槽110の検体分注位置113bに配置されたキュベットC内に分注する。なお、検体分注ユニット140は、検体を分注するたびに分注チップ廃棄位置147に設けられた穴内に分注チップ146を廃棄し、分注チップストック部144の分注チップ嵌合位置145において新たな分注チップ146を分注チップ保持部143に取り付ける。また、分注チップ廃棄位置147において廃棄された分注チップ146は、不図示のディスポーザに収容され、その後、ユーザによって外部に廃棄される。
【0033】
第1キュベット移送ユニット150は、BF処理槽110と免疫反応槽160と後述する酵素反応槽220との間でキュベットCを移送するための機構である。この第1キュベット移送ユニット150は、キュベット供給ユニット120と同様に、メインユニット100上面に対して突出入可能な枢軸151として機能する棒状部材(不図示)に一方の端が枢持されたアーム部152と、アーム部152の他方の端に設けられたキュベット保持部153と、を有する。この構成を利用することで、第1キュベット移送ユニット150は、目的のキュベットCをBF処理槽110の第1キュベット入出位置113dから取り出し、これを後述する免疫反応層160のキュベット入出位置163a、164aおよび165aのいずれかに配置されたキュベットホルダ(不図示)にセットする。また、第1キュベット移送ユニット150は、免疫反応槽160において処理されたキュベットCをキュベット入出位置163a、164aまたは165aにおいて取り出し、これをBF処理槽110の第2キュベット入出位置114aに配置されたキュベットホルダ(不図示)にセットする。さらに、第1キュベット移送ユニット150は、BF処理槽110において処理されたキュベットCを第2キュベット入出位置114aから取り出し、これを酵素反応槽220のキュベット入出位置223aに配置されたキュベットホルダ(不図示)にセットする。
【0034】
免疫反応槽160は、キュベットC内に注入された検体に所定の前処理等をするため、または、検体と試薬との反応を促進するための機構である。この免疫反応槽160は、図示しない駆動機構によって中心162を軸として回動する回転テーブル161を有する。回転テーブル161は、最外周に位置し、前処理および前希釈用の外周ライン163と、外周ライン163よりも内側に位置し、検体と第1試薬である固相担体試薬との免疫反応を促進するための中周ライン164と、最内周に位置し、検体と第2試薬の一つである標識抗体との免疫反応を促進するための内周ライン165と、を含む。各ライン(163、164、165)には、複数のキュベットホルダ(不図示)が配列されており、これに適宜キュベットCがセットされる。したがって、回転テーブル161が中心162を軸として回動することで、目的のキュベットホルダまたはこれにセットされたキュベットCが所定のキュベット入出位置163a、164aまたは165aに配置される。なお、本発明は、外周ライン163と中周ライン164と内周ライン165との3重に限らず、適宜変更できることは言うまでもない。
【0035】
第1試薬分注ユニット170は、後述の第1試薬保冷庫180において保管されている固相担体試薬(第1試薬)または第2試薬保冷庫200において保管されている標識抗体が含まれる第2試薬(以下、これを標識試薬という)を分取し、これをBF処理槽110における所定のキュベットC内へ分注するための機構である。この第1試薬分注ユニット170は、検体分注ユニット140と同様に、メインユニット100上面に対して突出入可能な枢軸171として機能する棒状部材(不図示)に一方の端が枢持されたアーム部172と、アーム部172の他方の端に設けられ、不図示の吸引ポンプと連結された第1試薬分注プローブ173と、を有する。この構成を利用することで、第1試薬分注ユニット170は、第1試薬分取位置183において第1試薬保冷庫180から固相担体試薬(第1試薬)を分取し、分取した固相担体試薬(第1試薬)を第1試薬分注位置113cにおいて目的のキュベットC内に分注する。また、第1試薬分注ユニット170は、第2試薬分取位置203aにおいて第2試薬保冷庫200から標識試薬(第2試薬)を分取し、分取した標識試薬(第2試薬)を第1試薬分注位置113cにおいて目的のキュベットC内に分注する。なお、第1試薬分注プローブ173は、ディスポーザブルでなくともよい。その代わり、第1試薬分注ユニット170は、第1試薬分注プローブ173を洗浄するための洗浄部174を備え、固相担体試薬(第1試薬)を分注するたびに、洗浄部174において第1試薬分注プローブ173を洗浄する。
【0036】
第1試薬保冷庫180は、分析対象である検体内の抗原または抗体と特異的に結合する反応物質を固相した不溶性担体である磁性粒子を含む固相担体試薬(BF液とも言う)である第1試薬を温度管理の下で保管するための機構である。この第1試薬保冷庫180は、図示しない駆動機構によって中心182を中心として回動する回転テーブル181を有する。回転テーブル181には、外周内側に沿って複数の第1試薬容器184が配列される。したがって、回転テーブル181が中心182を軸として回動することで、目的の固相担体試薬(第1試薬)を蓄える第1試薬容器184が第1試薬分取位置183に配置される。なお、第1試薬保冷庫180には、不図示のバーコードリーダが設けられており、これを用いて第1試薬容器184の側面に貼り付けられているバーコードを読み取る。また、読み取った内容に基づいて、第1試薬保冷庫180が保管する固相担体試薬(第1試薬)が管理される。
【0037】
第2試薬分注ユニット190は、後述する第2試薬保冷庫200において保管されている第2試薬である基質液を分取し、これをBF処理槽110における所定のキュベットC内へ分注するための機構である。この第2試薬分注ユニット190は、第1試薬分注ユニット170と同様に、メインユニット100上面に対して突出入可能な枢軸191として機能する棒状部材(不図示)に一方の端が枢持されたアーム部172と、アーム部172の他方の端に設けられ、不図示の吸引ポンプと連結された第2試薬分注プローブ193と、を有する。この構成を利用することで、第2試薬分注ユニット190は、第2試薬分取位置203bにおいて第2試薬保冷庫200から基質液(第2試薬)を分取し、分取した基質液(第2試薬)を第2試薬分注位置114bにおいて目的のキュベットC内に分注する。なお、第2試薬分注プローブ193は、ディスポーザブルでなくともよい。その代わり、第2試薬分注ユニット190は、第2試薬分注プローブ193を洗浄するための洗浄部194を備え、基質液(第2試薬)を分注するたびに、洗浄部194において第2試薬分注プローブ193を洗浄する。
【0038】
第2試薬保冷庫200と、磁性粒子と結合した抗原または抗体と特異的に結合する標識抗体(例えば酵素)を含む標識試薬(第2試薬)と、基質を含む基質液(第2試薬)と、を温度管理の下で保管するための機構である。この第2試薬保冷庫200は、第1試薬保冷庫180と同様に、図示しない駆動機構によって中心202を中心として回動する回転テーブル201を有する。回転テーブル201には、外周内側に沿って複数の第2試薬容器204が配列される。したがって、回転テーブル201が中心202を軸として回動することで、目的の第2試薬(標識試薬または基質液)が第2試薬分取位置203aまたは203bに配置される。なお、第2試薬保冷庫200には、不図示のバーコードリーダが設けられており、これを用いて第2試薬容器204の側面に貼り付けられているバーコードを読み取る。また、読み取った内容に基づいて、第2試薬保冷庫200が保管する第2試薬(標識試薬または基質液)が管理される。
【0039】
第2キュベット移送ユニット210は、後述する酵素反応槽220から測光ユニット230へキュベットCを移送するための機構である。この第2キュベット移送ユニット210は、第1キュベット移送ユニット150と同様に、メインユニット100上面に対して突出入可能な枢軸211として機能する棒状部材(不図示)に一方の端が枢持されたアーム部212と、アーム部212の他方の端に設けられたキュベット保持部213と、を有する。この構成を利用することで、第2キュベット移送ユニット210は、目的のキュベットCを酵素反応槽220のキュベット取出位置223bから取り出し、これを測光ユニット230のキュベット入出位置233に設けられたキュベットホルダ(不図示)セットする。
【0040】
酵素反応槽220は、キュベット内に注入された基質液(第2試薬)内の気質が発光可能な状態となる酵素反応を促進するための槽である。この酵素反応槽220は、免疫反応層160と同様に、図示しない駆動機構によって中心222を軸として回動する回転テーブル221を有する。回転テーブル221は、外周内側に沿って複数のキュベットホルダ(不図示)が配列された酵素反応ライン223を含む。各キュベットホルダにはキュベットCが適宜セットされる。したがって、回転テーブル221が中心222を軸として回動することで、目的のキュベットホルダまたはこれにセットされたキュベットCが所定の位置(キュベット入出位置223a、キュベット取出位置223b)に配置される。
【0041】
測光ユニット230は、例えばキュベットC内における化学反応により生じた微弱な光を計測するための機構である。この測光ユニット230は、キュベットC内の反応液から出力された光、もしくは、キュベットC内の反応液を透過した光を増幅された電気信号に変換するための光電子増倍管を含む受光部232を含む。また、測光ユニット230は、キュベットCへ光を照射する光源部231を含んでもよい。測光ユニット230に設けられたキュベットホルダは、不図示の光学窓を1つ以上備え、この光学窓を介して光の入射および取り出しを行なうことが可能となっている。
【0042】
キュベット廃棄ユニット240は、測定が終了した反応液(以下、廃液という)が入っているキュベットCを廃棄するための機構である。このキュベット廃棄ユニット240は、第1キュベット移送ユニット150と同様に、メインユニット100上面に対して突出入可能な枢軸241として機能する棒状部材(不図示)に一方の端が枢持されたアーム部242と、アーム部242の他方の端に設けられたキュベット保持部243と、を有する。この構成を利用することで、キュベット廃棄ユニット240は、測定完了後のキュベットCを測光ユニット230のキュベット入出位置233から取り出し、これをキュベット廃棄位置244に設けられた穴からメインユニット100内のディスポーザ(不図示)へ廃棄する。また、キュベット廃棄ユニット240は、所定容器であるキュベットを所定の廃棄位置へ移送するための容器移送手段の他に、キュベットCの廃棄時にキュベットC内の廃液とキュベットCとを分離する手段としての吸引手段を備える。なお、キュベット廃棄ユニット240の詳細については、後述において詳細に説明する。
【0043】
また、上記各構成要素は、例えばメインユニット100に設けられたインターフェース(不図示)を介して外部接続された制御端末400からの制御の下に動作する。制御端末400は、例えばメインユニット100のインターフェースと所定の回線420を介して接続するインターフェース(I/F)410と、入力された測定結果を分析する分析部402と、使用者が各種指示や命令などを入力するための入力部403と、各種測定・分析結果や検体ステータスや測定・分析進行状況などをユーザへ表示する表示部404と、各種制御プログラムや入力された測定結果および生成した分析結果などを記憶する記憶部405と、上記各部の制御やメインユニット100およびサブユニット300における各部を制御する制御部401と、を含む。
【0044】
(キュベット廃棄ユニット)
次に、上記した自動分析装置1におけるキュベット廃棄ユニット240の構成および動作について、図面を用いて詳細に説明する。なお、キュベット廃棄ユニット240は、キュベットCを移送するための移送ユニットの一つである。
【0045】
ここで、本実施の形態において使用するキュベットCの一例について、図面を用いて説明する。図2Aは、本実施の形態において使用するキュベットCの概略形状を示す斜視図であり、図2Bは、キュベットCの変形例であるキュベットC2の概略形状を示す斜視図である。図2Aに示すように、本実施の形態において使用するキュベットCは、例えば、上部に開口CAが形成された円筒状の容器である。このようなキュベットCは、例えば硬質ガラスやプラスチックやクォーツなどの透明な材料を用いて形成される。また、本実施の形態の変形例によるキュベットC2は、例えば図2Bに示すように、上部に形成された開口CA2の角がやや丸みを帯びた略四角形の形状を有している略四角柱状の容器である。ただし、本発明はこれらの形状に限定されず、後述するキュベット保持部243によって保持可能な形状を有する容器であれば、如何様にも変形可能である。
【0046】
また、本実施の形態によるキュベット廃棄ユニット240は、所定容器であるキュベットCを所定の廃棄位置であるキュベット廃棄位置244へ移送するための容器移送手段であり、上述したように、アーム部242を有する。アーム部242の一方の端は、枢軸241として機能する棒状部材である枢軸部材241Aに固定される。この枢軸部材241Aは、後述する駆動機構247によってメインユニット100上面に対し突出入可能である。これにより、アーム部242のメインユニット100上面に対する上下位置が変位可能に構成される。また、枢軸部材241Aは、駆動機構247によって回転可能である。これにより、アーム部242が枢軸241を中心として枢回可能に構成される。さらに、アーム部242の他方の端には、上述したようにキュベット保持部243が設けられる。キュベット保持部243は、例えばキュベットCの開口CA(図2A参照)と嵌合することで、これを保持する。ここで、キュベット廃棄ユニット240のより詳細な構成を図3A〜図3Dおよび図4に示す。
【0047】
図3Aは、キュベット廃棄ユニット240の概略構成を示す上面図であり、図3Bは、キュベット廃棄ユニット240の概略構成を示す側面図であり、図3Cは、キュベット廃棄ユニット240を図3BにおけるB方向から見た際の概略構成を示す正面図であり、図3Dは、図3CにおけるC−C’断面の概略構造を示す模式図である。また、図4は、本実施の形態によるキュベット廃棄ユニット240の図3AにおけるA−A’断面の概略構造を模式的に示す断面図である。
【0048】
まず、図3A、図3Bおよび図4に示すように、キュベット廃棄ユニット240のアーム部242は、枢軸部材241Aに固定された第1部材242−1と、キュベット保持部243を上下に摺動可能に保持する第2部材242−2と、第1部材242−1と第2部材242−2とを連結する第3部材242−3と、を含む。また、アーム部242には、後述するドレイン管246−2を持設するための持設部材242−5と、持設部材242−5をアーム部242における例えば第1部材242−1に固定するための固定部材242−6と、が含まれる。
【0049】
また、図3Bおよび図4に示すように、アーム部242の一方の端側に取り付けられたキュベット保持部243は、キュベットCを着脱可能に保持するための保持部材243−1(例えば保持部)と、保持部材243−1を下方へ付勢するためのバネ242−4の受け軸となるバネ軸部材243−4と、ドレイン管246−2をキュベット保持部243に持設するための持設部材243−5と、を含む。保持部材243−1は、下部にキュベットCを嵌着するための嵌着部243−1aと、上部に円錐状に広がったテーパ部243−1dと、を含む。バネ軸部材243−4は、中心にドレイン管246−2を挿入するための貫通孔が形成された円筒状をしており、保持部材243−1の上端に嵌挿されて固定されている。また、持設部材243−5は、バネ軸部材243−4から延出するドレイン管246−2を保持するために、バネ軸部材243−4に固定される。
【0050】
バネ軸部材243−4およびテーパ部243−1dを含む保持部材243−1の上端は、アーム部242における第2部材242−2内部に設けられた円筒状の空洞242−2aにスライド可能に嵌挿される。空洞242−2aの底部には、テーパ部243−1dと当接することで保持部材243−1が第2部材242−2から抜け落ちることを防止するための絞り部242−2bが設けられる。また、空洞242−2aの上面には、第2部材242−2の上面まで貫通する貫通孔242−2cが設けられており、この貫通孔242−2cからバネ軸部材243−4の上端が突出する。なお、突出したバネ軸部材243−4の上端には、ドレイン管246−2を持設するための上述した持設部材243−5が取り付けられる。
【0051】
バネ軸部材243−4の周囲には、キュベット保持部243に対する廃液吸引ノズル246−1の先端部246−1aの位置を調整するための先端位置調整手段としてのバネ242−4が設けられる。バネ242−4の一方の端は保持部材243−1の上面と当接し、他方の端は空洞242−2aの上面と当接する。したがって、保持部材243−1は、下方へ付勢された状態で上下方向にスライド可能に第2部材242−2に取り付けられる。また、第2部材242−2内の空洞242−2aには、保持部材243−1の上面と当接する段差部242−2dが設けられている。
【0052】
保持部材243−1内部には、円筒状の空洞243−1eが設けられており、この空洞243−1eにドレイン管246−2の一方の端部である先端部246−2aが挿入される。また、空洞243−1eには、廃液吸引ノズル246−1がスライド可能に挿設される。空洞243−1eの底面243−1fには嵌着部243−1a先端まで貫通する貫通孔243−1gが設けられており、廃液吸引ノズル246−1の先端部246−1aがこの貫通孔243−1gから突出する。なお、廃液吸引ノズル246−1の上端には空洞243−1eの底面243−1fと掛合する掛合部246−1bが設けられており、これにより、廃液吸引ノズル246−1が保持部材243−1の貫通孔243−1gから抜け落ちないように掛止される。
【0053】
ドレイン管246−2の先端部246−2aは、空洞243−1e内において、廃液吸引ノズル246−1の上端部分にスライド可能に挿入される。これにより、ドレイン管246−2と廃液吸引ノズル246−1とが伸縮可能に連結される。ただし、この構成に限らず、廃液吸引ノズル246−1の先端(下端)位置が保持部材243−1における嵌着部243−1aに対して上下方向に変位可能な構成であれば、如何様にも変形してよい。
【0054】
保持部材243−1における空洞243−1e内のドレイン管246−2周囲には、バネ246−3が設けられる。バネ246−3の一方の端は空洞243−1eの上面と当接し、他方の端は廃液吸引ノズル246−1の上面と当接する。したがって、廃液吸引ノズル246−1は、下方へ付勢された状態で保持部材243−1にスライド可能に取り付けられる。
【0055】
また、図3B、図3Cおよび図4に示すように、略円筒形である保持部材243−1の胴体周囲には、キュベットCを嵌着部243−1aから脱離させるための押進部材243−3がスライド可能に設けられる。保持部材243−1の胴体部には凸部243−2が設けられる。凸部243−2は、押進部材243−3に設けられた開口レール243−3aに嵌挿される。したがって、押進部材243−3は、保持部材243−1に対し、上下方向に延在する開口レール243−3aに沿ってスライド可能である。なお、押進部材243−3は、保持部材243−1が掛止された状態でアーム部242の第2部材242−2によって押進されることで保持部材243−1に対してスライドし、これにより、嵌着部243−1aからキュベットCを脱離させる。
【0056】
また、図3Bから図3Dに示すように、嵌着部243−1aには、キュベットCが嵌着されたか否かを検出するためのセンサ243−1hが設けられている。センサ243−1hは、例えばフォトダイオードや圧電センサなどで構成される。このセンサ243−1hで検出された結果は、図示しない配線などを介してメインユニット100外部に接続された制御端末400へ送られる。
【0057】
また、図3Dに示すように、嵌着部243−1aの水平断面には、溝243−1bが設けられることで、キュベットCの開口CAの形状と異なる断面形状とされている。この溝243−1bは、開口CAの縁と嵌着部243−1aとの間に空気穴として機能する隙間を形成するための溝である。この溝243−1bにより、嵌着された状態のキュベットC内が密封されることを防止できるため、キュベットCが嵌着された状態でも廃液吸引ノズル246−1からキュベットC内部の廃液LCを吸い取ることが可能となる。
【0058】
また、図3Bおよび図4に示すように、枢軸部材241Aは、例えばメインユニット100の上面下に配設された駆動機構247(例えば移動機構)と連結される。駆動機構247は、例えば枢軸部材241Aを回転するためのモータと、枢軸部材241Aを上下方向に移動させるためのモータと、を含んでなり、図1に示す制御端末400からの制御の下、枢軸部材241Aを回転または上下動させる。この回転および上下動によりアーム部242が枢軸部材241Aを中心として枢回または上下動することで、キュベット保持部243の位置が制御される。
【0059】
また、同じく図3Bおよび図4に示すように、ドレイン管246−2の他方の端部である後端部246−2bは、例えば枢軸部材241Aの上面241aから下面241bにかけて形成された貫通孔241cを通って、例えばメインユニット100の上面下に配設された吸引ポンプ248と連結される。このように本実施の形態では、廃棄対象のキュベットC内部の廃液LCを吸引するための吸引手段として、廃液吸引ノズル246−1およびドレイン管246−2よりなる吸引管と、これに接続された吸引ポンプ248と、を含む構成が設けられている。吸引ポンプ248には、例えば容積ポンプや非容積ポンプなど、液体を吸引して排出することが可能なポンプであれば如何なるものも適用することができる。また、この他、例えばメインユニット100内に設けられた既存のシリンジなどを吸引ポンプ248として用いてもよい。このような吸引ポンプ248は、図1に示す制御端末400からの制御の下、吸引を開始または停止する。
【0060】
キュベットC内の廃液は、廃液吸引ノズル246−1からドレイン管246−2を通って吸引ポンプ248へ吸引される。また、吸引ポンプ248には、ドレイン管246−2の延長としてのドレイン管246−2cが接続される。よって、吸引ポンプ248へ吸引された廃液は、ドレイン管246−2cを通って廃液タンク249へ排出される。このため使用者は、廃液タンク249に蓄えられた廃液LCを廃棄すればよい。なお、本実施の形態における廃液LCとは、例えば測定が完了した混合液や反応液など、以降の分析において必要とされないキュベットC内の液を指す。また、廃液タンク249には、例えば分析過程において発生した他の廃液などが蓄えられるタンクと共通のものを使用してよい。さらに、本発明では、廃液を廃液タンク249に蓄える構成でなく、直接外部の廃棄経路へ排出する構成としてもよい。
【0061】
また、例えば図3Bおよび図4に示すように、廃液吸引ノズル246−1の先端部246−1aは、例えば廃液吸引ノズル246−1の本体部分よりも細くなっている。これは、毛細管現象を利用して廃液吸引ノズル246−1内に残留した廃液が垂れることを防止するためである。ただし、廃液吸引ノズル246−1自体が十分に細い管であれば、上記のような先細の形状としなくてもよい。
【0062】
・キュベット廃棄動作
次に、本実施の形態によるキュベット廃棄時の動作(以下、キュベット廃棄動作という)について、図面を用いて詳細に説明する。図5は、本実施の形態によるキュベット廃棄動作を示すフローチャートであり、図6(a)〜図7(c)は、本実施の形態によるキュベット廃棄動作の説明を補助するための断面図である。
【0063】
本実施の形態によるキュベット廃棄動作では、まず、制御端末400の制御部401は、測光ユニット230による測定が完了したキュベットC、すなわち廃棄対象のキュベットCが存在するか否かを判定する(ステップS101)。廃棄対象のキュベットCが存在する場合(ステップS101のYes)、制御部401は、キュベットCをキュベット廃棄位置244へ移送する移送動作を開始する。そこで、制御部401は、まず、駆動機構247を制御して枢軸部材241Aに固定されたアーム部242を上下動および/または枢回させることで、図6(a)に示すように、キュベット廃棄ユニット240におけるキュベット保持部243をキュベット入出位置233上へ移動させる(ステップS102)。なお、制御部401は、廃棄対象のキュベットCが存在しない場合(ステップS101のNo)、ステップS101の判定を繰り返す。
【0064】
また、本実施の形態によるキュベット廃棄動作では、制御部401が、吸引ポンプ248を作動させることで、図6(a)に示すように、ドレイン管246−2を介する廃液吸引ノズル246−1からの吸引を開始する(ステップS103)。なお、この吸引動作は、ステップS102で示す動作の完了前に開始されてもよい。
【0065】
次に、制御部401は、駆動機構247を制御して枢軸部材241Aに固定されたアーム部242を下降させることで、キュベット保持部243を下降させる。これにより、図6(b)に示すように、キュベット保持部243における嵌着部243−1aがキュベット入出位置233に設けられた開口から測光ユニット230内のキュベットホルダ234にセットされたキュベットCの開口CAに嵌挿され、キュベットCが嵌着部243−1aに嵌着される(ステップS104)。この際、保持部材243−1を付勢するバネ242−4が押縮する程度にキュベット保持部243を下降させることで、キュベットCが確実に嵌着部243−1aに嵌着されるように構成するとよい。
【0066】
また、この動作において、廃液吸引ノズル246−1の先端部246−1aがキュベットC内の底部に当接すると、図6(b)に示すように、廃液吸引ノズル246−1を下方へ付勢していたバネ246−3が押縮され、先端部246−1aの位置が嵌着部243−1aに対して上方向へ変位する。この構成により、キュベットC内部の廃液を全て吸引できるように廃液吸引ノズル246−1の先端部246−1aをキュベットCの底部に当接させる構成が可能となると共に、廃液吸引ノズル246−1がキュベットC内の底部に当接した以降であってもキュベット保持部243の下降が可能となる。
【0067】
さらに、上記のステップS104では、廃液吸引ノズル246−1からの吸引が継続して実行されているため、キュベットC内の廃液LCは廃液吸引ノズル246−1からドレイン管246−2を介して吸引ポンプ248へ吸引された後、ドレイン管246−2cを介して廃液タンク249へ排出される(例えば図6(b)参照)。この際、嵌着部243−1aに設けられた溝243−1bによってキュベットC内部が密閉されることがないため、嵌着部243−1aを嵌着後も継続してキュベットC内を吸引すること可能である。
【0068】
次に、制御部401は、キュベットCが嵌着部243−1aに嵌着されているか否かを検出する(ステップS105)。これは、例えば駆動機構247を制御してキュベット保持部243を上昇させた際に、嵌着部243−1aのセンサ243−1hによってキュベットCが検出されるか否かを判定することで実現することができる。このステップによる検出の結果、キュベットCが嵌着部243−1aに嵌着されていない場合(ステップS105のNo)、制御部401は、ステップS104へ帰還し、再度、駆動機構247を制御してキュベット保持部243を上昇および下降させることで、キュベットCを嵌着部243−1aに嵌着させる。ただし、ステップS104に示す動作を複数回繰り返した場合でも、キュベットCの嵌着が検出されない場合、表示部404にエラーメッセージを表示し、動作を中断または終了するように構成してもよい。
【0069】
一方、ステップS105による判定の結果、キュベットCが嵌着部243−1aに嵌着されている場合(ステップS105のYes)、制御部401は、駆動機構247を制御して枢軸部材241Aに固定されたアーム部242を上昇させることで、図6(c)に示すように、キュベット保持部243の嵌着部243−1aに嵌着されたキュベットCをキュベット入出位置233からメインユニット100の上面上に抜出する(ステップS106)。続いて、制御部401は、駆動機構247を制御して枢軸部材241Aに固定されたアーム部242を枢回させることで、図7(a)に示すように、キュベットCを保持するキュベット保持部243をキュベット廃棄位置244上に移動させる(ステップS107)。
【0070】
次に、制御部401は、駆動機構247を制御して枢軸部材241Aに固定されたアーム部242を下降させることで、キュベットCをキュベット保持部243の嵌着部243−1aから脱離させる(ステップS108)。これにより、キュベットCの移送動作が完了する。
【0071】
より具体的に説明すると、まず、図7(b)に示すように、キュベット保持部243を下降させることで、嵌着されているキュベットCおよびキュベット保持部243をメインユニット100の上面におけるキュベット廃棄位置244に設けられた開口内に挿入する。この際、キュベット保持部243の保持部材243−1に設けられた凸部243−2がメインユニット100上面に当接するように構成する。
【0072】
続いて、駆動機構247を制御して枢軸部材241Aに固定されたアーム部242をさらに下降させる。この際、凸部243−2とメインユニット100上面とが当接しているため、キュベット保持部243はメインユニット100上面に対して係止している。したがって、アーム部242のさらなる下降により、キュベット保持部243の保持部材243−1を下方へ付勢していたバネ242−4が押縮され、アーム部242における第2部材242−2の下面242−2eが押進部材243−3の上端243−3bと当接する。ここで、保持部材243−1に設けられた押進部材243−3は開口レール243−3aに沿ってスライド可能である。したがって、アーム部242のさらなる下降により、図7(c)に示すように、押進部材243−3が開口レール243−3aに沿って下方へ押進し、嵌着部243−1aに嵌着されているキュベットCを下方へ押進する。この結果、嵌着部243−1aに嵌着されていたキュベットCが嵌着部243−1aから脱離し、下方に設けられたディスポーザ244a内に廃棄される。ここで、例えばディスポーザ244a内に廃棄袋をセットしておくことで、キュベットCが廃棄袋内に廃棄されるため、使用者は、廃棄袋をそのまま所定の廃棄場所へ廃棄すればよい。
【0073】
なお、制御部401は、キュベットCが嵌着部243−1aから脱離しているか否かを検出し(ステップS109)、確実に脱離するまでステップS108で説明した動作を繰り返す(ステップS109のNoおよびステップS108)。ステップS109の検出は、例えば嵌着部243−1aのセンサ243−1hによってキュベットCが検出されるか否かを判定することで実現することができる。ただし、ステップS108に示す動作を複数回繰り返した場合でも、キュベットCの脱離が検出されない場合、表示部404にエラーメッセージを表示し、動作を中断または終了するように構成してもよい。
【0074】
また、キュベットCが嵌着部243−1aから脱離したことが検出されると(ステップS109のYes)、次に、制御部401は、吸引ポンプ248を停止させる(ステップS110)。このように、本実施の形態では、容器移送手段であるキュベット廃棄ユニット240がキュベットCの移送動作を開始してから完了するまでの間にキュベットC内の液体を吸引するように構成される。なお、移送動作を開始してから完了するまでの間にキュベットC内の液体を吸引するとは、移送動作の開始から完了までの期間を通して吸引動作を行なうことを意味しておらず、移送動作が完了するまでの少なくとも一部の期間、廃棄対象のキュベットC内の液体を吸引する動作を実行することを意味している。したがって、本実施の形態では、吸引ポンプ248による吸引をキュベットC内の廃液LCの吸引を、キュベットCの嵌着部43−1aへの嵌着前に終了しても、キュベットCをキュベット廃棄位置244において脱離した後に終了してもよい。
【0075】
次に、制御部401は、駆動機構247を制御して枢軸部材241Aに固定されたアーム部242を枢回および/または上下動させることで、キュベット保持部243における廃液吸引ノズル246−1を廃液吸引ノズル洗浄ユニット245におけるノズル洗浄位置245a上(図1参照)へ移動させる。続いて、廃液吸引ノズル洗浄ユニット245およびキュベット廃棄ユニット240の廃液吸引ノズル246−1に連結された吸引ポンプ248を制御することで、廃液吸引ノズル246−1を洗浄する(ステップS111)。なお、廃液吸引ノズル246−1の洗浄は、例えば廃液吸引ノズル洗浄ユニット245から吐出された所定の洗浄水または純水の吸引および排出を1回以上実行することで実現することができる。また、廃液吸引ノズル246−1の洗浄は、複数個のキュベットCを廃棄した後、あるいは、一連の分析処理の終了後に実行するように構成してもよい。
【0076】
次に、制御部401は、一連の分析処理が終了したか否かを判定し(ステップS112)、分析処理が完了していない場合、すなわち、一連の分析処理において未測定のキュベットCが存在する場合(ステップS112のNo)、ステップS101へ帰還し、上述した一連の動作(ステップS101〜ステップS111)を再度実行する。一方、分析処理が完了している場合(ステップS112のYes)、制御部401は、処理を終了する。
【0077】
以上のように、本実施の形態によれば、キュベットCの廃棄時に廃液としての反応液とキュベットCとが分離されるため、キュベットC用のディスポーザ244aやこれにセットされた廃棄袋などに反応液などの廃液が溜まることを防止できる。これにより、使用者による運搬時の液漏れや漏れ出した液の飛散などを回避することが可能となり、使用者が生物学的災害を被ることを防止することが可能となる。
【0078】
また、本実施の形態では、上述のように、キュベットCの廃棄時に廃液としての反応液とキュベットCとが分離されるため、使用済みキュベットCの再利用が容易になるという効果も得られる。
【0079】
さらに、本実施の形態では、キュベットCを廃棄する際に同時にキュベットC内の廃液LCも吸引して排出するため、廃棄に要する時間が長くなることを回避できる。
【0080】
さらにまた、本実施の形態では、廃棄時にキュベットCより吸引した廃液LCを、分析過程において発生した他の廃液と同じ廃液タンク249に排出できるため、装置構成の複雑化および使用者による廃液作業の複雑化を回避することが可能となる。
【0081】
さらにまた、本実施の形態では、キュベット廃棄ユニット240にキュベットC内の廃液LCを排出してキュベットCと廃液とを分離する廃液分離手段(例えば反応液吸引ノズル246−1、ドレイン管246−2および吸引ポンプ248)を設けているため、自動分析装置1の大型化を可能な限り回避することができる。
【0082】
<実施の形態2>
次に、本発明の実施の形態2による自動分析装置2を図面と共に詳細に説明する。なお、本実施の形態において例示する自動分析装置2は、免疫に関する項目について測定するための分析装置であるが、本発明はこれに限定されず、例えば生化学に関する項目について分析するための自動分析装置など、種々の分析装置に本実施の形態を適用することが可能である。
【0083】
(自動分析装置)
図8は、本実施の形態による自動分析装置2の概略構成を示すブロック図である。図8に示すように、自動分析装置2は、メインユニット500と、メインユニット500に接続された制御端末400とを備える。メインユニット500は、メインユニット100と同様に、検体と試薬とを反応させ、これにより生成された反応生成物の作用による発光基質の発光量を測定するための装置である。また、制御端末400は、本発明の実施の形態と同様に、メインユニット500の制御やメインユニット500によって測定された結果の分析などを実行するための装置である。
【0084】
ここで、まず、メインユニット500について説明する。メインユニット500は、例えば、ラックセット部510と、ラック回収部520と、カートリッジストック部530と、カートリッジ移送ユニット540、回転・上下駆動機構551、X方向移動機構552、Y方向移送機構553−1および553−2よりなるカートリッジ移送機構と、分注ユニット560と、分注ユニット移送機構570と、分注チップストック部580と、分注チップディスポーザ590と、攪拌ユニット600と、光源ランプセット610および受光ユニット611と、カートリッジディスポーザ620と、吸引ノズル洗浄ユニット650と、を備える。
【0085】
上記において、カートリッジストック部530は、図9に示すような構成を有するカードリッジ531を1つ以上ストック可能である。なお、図9に示すように、本実施の形態において使用するカートリッジ531は、第1試薬が入れられる第1試薬容器531aと、第2試薬が入れられる第2試薬容器531bと、検体と第1試薬および/または第2試薬とによる反応液が生成される反応容器531cと、が一体形成された構成を有する。また、カートリッジ531の両端には、移送時に使用される掛合用の爪531dが設けられている。
【0086】
上記構成を有するカートリッジ531は、後述するカードリッジ移送機構を用いてカートリッジ供給位置532から移送され、所定のカートリッジセット位置640にセットされる。また、使用後のカートリッジ531は、廃液(第1試薬、第2試薬および/または反応液)と、容器部分(カートリッジ531)とに分離される。廃液は、後述する廃液タンク548に排出され、容器部分であるカートリッジ531は、後述するカートリッジ移送機構を用いて移送されてカートリッジディスポーザ620へ廃棄される。
【0087】
廃液とカートリッジ531との分離には、例えば後述するドレイン管546および吸引ポンプ547とが用いられる。吸引ノズル洗浄ユニット650は、ドレイン管546の先端部分である吸引ノズルを洗浄するための構成である。吸引ノズル部分の洗浄は、例えば吸引ノズル洗浄ユニット650から吐出された所定の洗浄水または純水の吸引および排出を1回以上実行することで実現することができる。
【0088】
カートリッジ移送機構は、所定容器であるカートリッジ531を保持し、これを所定の廃棄位置であるカートリッジディスポーザ620へ移送するための容器移送手段であり、上述したように、カートリッジ移送ユニット540と回転・上下駆動機構551とX方向移動機構552とY方向移動機構553−1および553−2とよりなる。カートリッジ移送ユニット540は、所定容器を着脱可能に保持するための構成である。回転・上下駆動機構551は、カートリッジ移送ユニット540を水平方向に回転させるための構成であり、例えば回転軸部材541を回転するためのモータを含む。X方向移動機構552は、X方向レール552aに沿って移動することで、カートリッジ移送ユニット540をX方向(図8中横方向)に移動させるための構成であり、例えばX方向レール552aを走行するためのモータおよび車輪を含む。Y方向移動機構553−1および553−2は、Y方向レール553aおよび553bに沿って移動することで、移送ユニット540をX方向レール552aごとY方向(図8中縦方向)に水平移動させるための構成であり、それぞれ例えばY方向レール553aまたは553bを走行するためのモータおよび車輪を含む。したがって、本実施の形態では、回転・上下駆動機構551とX方向移動機構552とY方向移動機構553−1および553−2とよりなる移動機構が、保持部を含むカートリッジ移送ユニット540を所定位置へ移動させる。なお、カートリッジ移送ユニット540については、後述において詳細に説明する。
【0089】
また、ラックセット部510は、液体状の検体が入れられた検体容器512を1つ以上保持可能な検体ラック511を1つ以上格納可能である。ラックセット部510に格納された検体ラック511は、図示しない自動搬送機構によって図8に示す搬送経路630上を搬送され、その後、ラック回収部520内に収納される。この際、検体ラック511は、搬送経路630上における検体吸引位置631に一旦停止し、分注ユニット560を用いて適宜保持している検体容器512から検体が吸引される。
【0090】
分注ユニット560は、レール570aに沿って自走可能な分注ユニット移送機構570に取り付けられており、分注ユニット移送機構570が移動することで移動ライン560a上を適宜移動する。そこで、分注ユニット560は、検体吸引位置631において吸引した検体を、カートリッジセット位置640にセットされたカートリッジ(以下、単にセット済みカートリッジという)531における反応容器531c内に注入する。また、分注ユニット560は、セット済みカートリッジ531における第1試薬容器531aおよび/または第2試薬容器531bから第1試薬および/または第2試薬を適宜吸引し、同カートリッジ531における反応容器531c内に注入する。これにより、反応容器531c内に、1つ以上の測定項目に応じた反応液が生成される。
【0091】
なお、分注ユニット560は、分注チップ581を備えており、これを用いて検体や第1または第2試薬の吸引および吐出を行なう。この分注チップ581は、例えば一度の分注ごとに交換される。交換時には、分注ユニット560が分注チップディスポーザ590上へ移動し、この位置で分注チップ581を脱離させる。その後、分注ユニット560は、1つ以上の分注チップ581がストックされた分注チップストック部580上へ移動し、この位置で新たな分注チップ581を嵌着してセットする。
【0092】
また、カートリッジ531の反応容器531c内に生成された反応液は、例えば攪拌ユニット600により攪拌された後、光源ランプセット610および受光ユニット611を用いて各項目について測定される。また、得られた測定結果は、メインユニット500外部に接続された制御端末400へ出力され、制御端末400において適宜分析される。
【0093】
なお、上記各構成要素は、本発明の実施の形態1と同様に、例えばメインユニット500に設けられたインターフェース(不図示)を介して外部接続された制御端末400からの制御の下に駆動される。制御端末400は、本発明の実施の形態1と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0094】
(カートリッジ保持ユニット)
次に、上記した自動分析装置2におけるカートリッジ移送ユニット540の構成および動作について、図面を用いて詳細に説明する。図10Aは、本実施の形態によるカートリッジ移送ユニット540の概略構成を示す斜視図であり、図10Bは、図10AにおけるD−D’間の概略断面構造を示す模式図である。
【0095】
カートリッジ移送ユニット540は、図10Aに示すように、上部が駆動機構551に連結された回転軸となる回転軸部材541と、回転軸部材541の下部に取り付けられたカートリッジ保持部540−1と、カートリッジ531の各容器内における廃液(第1/第2試薬および反応液)を廃液するための廃液部540−2と、よりなる。
【0096】
カートリッジ保持部540−1は、カートリッジ531を着脱可能に保持するための保持部であり、図10Bに示すように、回転軸部材541に固定された水平部材542(例えば連結部)と、水平部材542の両端に設けられたアーム部材543−1および543−2(例えば掛持部)と、を含む。アーム部材543−1は、一方の端がアーム部材543−1に固定され、他方の端が水平部材542の側面に出し入れ可能に嵌挿された連結部材543−1aにより、水平部材542と連結される。同様に、アーム部材543−2は、一方の端がアーム部材543−2に固定され、他方の端が水平部材542の側面に出し入れ可能に嵌挿された連結部材543−2aにより、水平部材542と連結される。
【0097】
水平部材542の内部には、制御端末400からの制御の下で回転するギア543−3が設けられている。また、連結部材543−1aにおける水平部材542に嵌挿される部分には、ギア543−3と係合する歯543−1bが設けられている。同様に、連結部材543−2aにおける水平部材542に嵌挿される部分には、ギア543−3と係合する歯543−2bが設けられている。したがって、ギア543−3が回転することで、アーム部材543−1および543−2間の距離が広狭する。
【0098】
また、図10Bに示すように、例えばアーム部材543−2には、カートリッジ531が保持されているか否かを検出するためのセンサ543−4が設けられている。センサ543−4は、例えばフォトダイオード圧電センサなどで構成される。このセンサ543−4で検出された結果は、図示しない配線を介して外部に接続された制御端末400へ送られる。
【0099】
アーム部材543−1の下部には、孔543−1cが設けられている。同様に、アーム部材543−2の下部には、孔543−2cが設けられている。各孔543−1cおよび543−2cには、カートリッジ531を保持する際に、カートリッジ531の両端に設けられた爪531dが嵌挿される。したがって、カートリッジ保持部540−1は、この孔543−1cおよび543−2cとカートリッジ531の爪531dとの掛合を利用して、カートリッジ531を保持する。
【0100】
また、廃液部540−2は、カートリッジ531を廃棄位置であるカートリッジディスポーザ620へ移送する際にカートリッジ531の各容器(531a、531bおよび531c)内の液体を吸引するための吸引手段であり、図10Bに示すように、水平部材542の下部に設けられており、水平部材542に固定されたガイド部材545−1および545−2と、ガイド部材545−1および545−2の間に配置されたスライド部材544と、を含む。
【0101】
スライド部材544におけるガイド部材545−1側の側面には、上下のスライド方向に延在する凹部544−4が設けられており、スライド部材544におけるガイド部材545−2側の側面には、制御端末400からの制御の下で回転するギア544−5が設けられている。また、ガイド部材545−1には、スライド部材544の凹部544−4に摺動可能に組み合わせられる凸部545−1aが設けられている。一方、ガイド部材545−2には、ギア544−5と係合する歯545−2aが設けられている。この構成により、ギア544−5の回転を利用して、スライド部材544が2つのガイド部材545−1および545−2で挟まれた空間を上下に移動する。
【0102】
また、図10Aおよび図10Bに示すように、スライド部材544には、セット済みカートリッジ531の各容器(531a、531bおよび531c)に入っている廃液(第1試薬、第2試薬および反応液)を吸引するための吸引管としてのドレイン管546が設けられている。ドレイン管546は、例えばカートリッジ531における各容器それぞれに対して設けられる。したがって、本実施の形態では、第1試薬容器531aに残っている第1試薬を排出するためのドレイン管546−1と、第2試薬容器531bに残っている第2試薬を排出するためのドレイン管546−2と、反応容器531cに入っている反応液を排出するためのドレイン管546−3とがそれぞれ設けられる。
【0103】
図10Bに示すように、第1試薬廃出用のドレイン管546−1は、スライド部材544に設けられた貫通孔に挿入される。ドレイン管546−1の先端部分は、吸引ノズル546−1aとして機能する。この吸引ノズル546−1aは、スライド部材544下に突出している。したがって、吸引時には、図10Aに示す吸引ポンプ547により吸引が行なわれている状態で、ドレイン管546−1の吸引ノズル546−1a部分が第1試薬容器531aの底部にまで挿入される。
【0104】
また、スライド部材544の内部には、例えば円筒状の空洞544−1が設けられている。上記のドレイン管546−1は、空洞544−1の上部に形成された貫通孔から、空洞544−1を通って、空洞544−1の下部に形成された貫通孔へ抜けるように挿入される。また、ドレイン管546−1には、これの径よりも大きな径の係止部546−1bが設けられている。この係止部546−1bは、空洞544−1の底面と当接する。この構成により、ドレイン管546−1がスライド部材544の下方へ突出しすぎることが防止される。
【0105】
さらに、スライド部材544の空洞544−1内部におけるドレイン管546−1周囲には、カートリッジ保持部540−1に対するドレイン管546−1の吸引ノズル546−1aの位置を調整するための先端位置調整手段としてのバネ546−1cが設けられる。バネ546−1cの一方の端は、空洞544−1の上面と当接する。また、他方の端は、ドレイン管546−1の係止部546−1bと当接する。したがって、ドレイン管546−1は、バネ546−1cにより下方へ付勢された状態で上下方向にスライド可能にスライド部材544に挿設される。
【0106】
なお、以上の構成は、第2試薬廃出用のドレイン管546−2および反応液排出用のドレイン管546−3についても同様である。すなわち、ドレイン管546−2は、吸引ノズル546−2aと係止部546−2bとを備え、空洞544−2を介し且つバネ546−2cで下方へ付勢された状態でスライド部材544にスライド可能に挿入される。同様に、ドレイン管546−3は、吸引ノズル546−3aと係止部546−3bとを備え、空洞544−3を介し且つバネ546−3cで下方へ付勢された状態でスライド部材544にスライド可能に挿入される。
【0107】
また、本実施の形態においてドレイン管546−1、546−2および546−3よりなるドレイン管546は、図10Aに示すように、吸引ポンプ547と連結される。本実施の形態において、吸引ポンプ547には、本発明の実施の形態1と同様に、容積ポンプや非容積ポンプなど、液体を吸引して排出することが可能なポンプであれば如何なるものも適用できる。また、この他、例えばメインユニット500内に設けられた既存のシリンジなどを吸引ポンプ547として用いてもよい。このような吸引ポンプ547は、制御端末400からの制御の下、吸引を開始または停止する。これにより、カートリッジ531における第1試薬容器531a内の第1試薬と第2試薬容器531b内の第2試薬と反応容器531c内の反応液とがそれぞれドレイン管546を通って吸引ポンプ547へ吸引される。また、吸引ポンプ547には、ドレイン管546の延長としてのドレイン管546aが接続されている。よって、吸引ポンプ547へ吸引された第1および第2試薬ならびに反応液は、ドレイン管546aを通って廃液タンク548へ排出される。したがって、使用者は、廃液タンク548に蓄えられた廃液を廃棄すればよい。なお、廃液タンク548には、例えば測定過程において発生した他の廃液なども蓄えられる。なお、廃液タンク548には、例えば分析過程において発生した他の廃液なども蓄えられる。ただし、本発明では、廃液を廃液タンク548に蓄える構成でなく、直接外部の廃棄経路へ排出する構成としてもよい。
【0108】
・カートリッジ廃棄動作
次に、本実施の形態によるセット済みカートリッジ廃棄時の動作(以下、カートリッジ廃棄動作という)について、図面を用いて詳細に説明する。図11は、本実施の形態によるカートリッジ廃棄動作を示すフローチャートであり、図12(a)〜図12(c)は、本実施の形態によるカートリッジ廃棄動作の説明を補助するための断面図である。
【0109】
本実施の形態によるカートリッジ廃棄動作を開始すると、まず、制御端末400の制御部401は、カートリッジ531をカートリッジ廃棄位置であるカートリッジディスポーザ620へ移送する移送動作を開始する。したがって、制御部401は、X方向移動機構552、Y方向移動機構553−1および553−2ならびに駆動機構551を制御することで、図12(a)に示すように、カートリッジ移送ユニット540をカートリッジセット位置640(例えば図8参照)にセットされたカートリッジ531上へ移動させる(ステップS301)。
【0110】
また、本実施の形態によるカートリッジ廃棄動作では、制御部401が、ギア543−3を回転させることで、図12(a)に示すように、カートリッジ保持部540−1におけるアーム部材543−1および543−2間の距離を広げることで、カートリッジ保持部540−1を開いた状態にする(ステップS302)。この際、アーム部材543−1および543−2間の距離が、カートリッジ531の一方の爪531dの先端から他方の爪531dの先端までの距離よりも大きくなるように、アーム部材543−1および543−2間を広げる。なお、この動作は、ステップS301で示す動作と並列に実行されてもよい。
【0111】
また、本実施の形態によるカートリッジ廃棄動作では、制御部401が、吸引ポンプ547を作動させることで、ドレイン管546−1、546−2および546−3からの吸引を開始する(ステップS303)。なお、この吸引動作は、ステップS302で示す動作の完了前に開始されてもよい。
【0112】
次に、制御部401は、図12(b)に示すように、駆動機構551を制御してカートリッジ移送ユニット540を下降させた後、ギア543−3を回転させてアーム部材543−1および543−2間を閉じることで、カートリッジ保持部540−1にカートリッジ531を保持させると共に、ギア544−5を回転させることで廃液部540−2を下降させてカートリッジ531における各容器(531a、531bおよび531c)内の廃液(第1試薬、第2試薬および/または反応液)を吸引する(ステップS304)。この際、カートリッジ保持部540−1のアーム部材543−1および543−2における孔543−1cおよび543−2cをそれぞれカートリッジ531の爪531dに掛合させることにより、カートリッジ531がカートリッジ保持部540−1に保持される。また、このステップでは、ドレイン管546−1、546−2および546−3を介した吸引が継続して実行されているため、カートリッジ531の各容器(531a、531bおよび531c)に入っている廃液は、それぞれ吸引ノズル546−1a、546−2aおよび546−3aからドレイン管546(546−1、546−2および546−3)を介して吸引ポンプ547へ送られた後、ドレイン管546aを介して廃液タンク548へ排出される(図10A参照)。
【0113】
また、この動作において、各ドレイン管546−1、546−2および546−3の吸引ノズル546−1a、546−2aおよび546−3aの先端がカートリッジ531の各容器(531a、531bおよび531c)の底部にそれぞれ当接すると、図12(b)に示すように、ドレイン管546−1、546−2および546−3をそれぞれ下方へ付勢していたバネ546−1c、546−2cおよび546−3cが押縮され、各吸引ノズル546−1a、546−2aおよび546−3aの先端位置がスライド部材544に対して独立して上方向へ変位する。この構成により、吸引ノズル546−1a、546−2aおよび546−3aのいずれかがカートリッジ531の各容器(531a、531bおよび531c)の底部に当接した以降であっても、スライド部材544を下降させることが可能となり、すべての吸引ノズル546−1a、546−2aおよび546−3aの先端をカートリッジ531の各容器(531a、531bおよび531c)の底部に当接させることができ、各容器(531a、531bおよび531c)内の廃液を確実に排出することが可能となる。
【0114】
次に、制御部401は、カートリッジ移送ユニット540がカートリッジ531を保持しているか否かを検出する(ステップS305)。これは、例えば駆動機構551を制御してカートリッジ移送ユニット540を上昇させた際に、カートリッジ保持部540−1のセンサ543−4によってカートリッジ531が検出されるか否かを判定することで実現することができる。このステップによる検出の結果、カートリッジ保持部540−1がカートリッジ531を保持していない場合(ステップS305のNo)、制御部401は、ステップS304へ帰還し、再度、駆動機構551およびギア543−3を制御してカートリッジ移送ユニット540の上昇および下降ならびにアーム部材543−1および543−2の開閉を行なうことで、カートリッジ保持部540−1にカートリッジ531を保持させる。ただし、ステップS304に示す動作を複数回繰り返した場合でも、カートリッジ531の保持が検出されない場合、表示部404にエラーメッセージを表示し、動作を中断または終了するように構成してもよい。
【0115】
一方、ステップS305による判定の結果、カートリッジ保持部540−1がカートリッジ531を保持している場合(ステップS305のYes)、制御部401は、X方向移動機構552、Y方向移動機構553−1および553−2ならびに駆動機構551を制御することで、図12(c)に示すように、カートリッジ移送ユニット540をカートリッジディスポーザ620上に移動させる(ステップS306)。
【0116】
次に、制御部401は、ギア543−3を回転させてカートリッジ保持部540−1におけるアーム部材543−1および543−2間の距離を広げることで、図12(c)に示すように、カートリッジ保持部540−1に保持されていたカートリッジ531を放離する(ステップS307)。これにより、カートリッジ531の爪531dがアーム部材543−1および543−2の孔543−1cおよび543−2cからそれぞれ外れ、カートリッジ531が落下してカートリッジディスポーザ620内に廃棄される。ここで、例えばカートリッジディスポーザ620内に廃棄袋をセットしておくことで、カートリッジ531が廃棄袋内に廃棄されるため、使用者は、廃棄袋をそのまま所定の廃棄場所へ廃棄すればよい。
【0117】
なお、制御部401は、カートリッジ531がカートリッジ保持部540−1から放離されているか否かを検出し(ステップS308)、確実に放離されるまでステップS307で説明した動作を繰り返す(ステップS308のNoおよびステップS307)。ステップS308の検出は、例えばカートリッジ保持部540−1のアーム部材543−2に取り付けられたセンサ543−4によってカートリッジ531が検出されるか否かを判定することで実現することができる。ただし、ステップS307に示す動作を複数回繰り返した場合でも、カートリッジ531の放離が検出されない場合、表示部404にエラーメッセージを表示し、動作を中断または終了するように構成してもよい。
【0118】
また、カートリッジ531がカートリッジ保持部540−1から放離したことが検出されると(ステップS308のYes)、次に、制御部401は、吸引ポンプ547を停止させる(ステップS309)。ただし、吸引ポンプ547による吸引は、例えばカートリッジ531の各容器(531a、531bおよび531c)内の廃液が十分に排出された段階で終了してもよい。
【0119】
次に、制御部401は、X方向移動機構552、Y方向移動機構553−1および553−2ならびに駆動機構551を制御することで、カートリッジ移送ユニット540を吸引ノズル洗浄ユニット650(図8参照)へ移動させ、カートリッジ移送ユニット540における各ドレイン管546−1、546−2および546−3の吸引ノズル546−1a、546−2aおよび546−3aを洗浄し(ステップS310)、その後、処理を終了する。なお、吸引ノズル546−1a、546−2aおよび546−3aの洗浄は、例えば吸引ノズル洗浄ユニット650から吐出された所定の洗浄水または純水の吸引および排出を1回以上実行することで実現することができる。
【0120】
・カートリッジ供給動作
次に、本実施の形態によるカートリッジ供給時の動作(以下、カートリッジ供給動作という)について、図面を用いて詳細に説明する。図13は、本実施の形態によるカートリッジ供給動作を示すフローチャートである。
【0121】
本実施の形態によるカートリッジ供給動作では、まず、制御部401が、X方向移動機構552、Y方向移動機構553−1および553−2ならびに駆動機構551を制御することで、カートリッジ移送ユニット540をカートリッジ供給位置532上に移動させる(ステップS401)。
【0122】
また、本実施の形態によるカートリッジ供給動作では、制御部401が、ギア543−3を回転させることで、図11においてステップS302で示した動作と同様に、カートリッジ保持部540−1におけるアーム部材543−1および543−2間の距離を広げ、開いた状態にする(ステップS402)。なお、この動作は、ステップS401で示す動作と並列に実行されてもよい。
【0123】
次に、制御部401は、図11においてステップS304で示した動作におけるカートリッジ保持部540−1の動作と同様に、駆動機構551を制御してカートリッジ移送ユニット540を下降させた後、ギア543−3を回転させてアーム部材543−1および543−2間を閉じることで、カートリッジ保持部540−1にカートリッジ531を保持させる(ステップS403)。
【0124】
次に、制御部401は、図11においてステップS305で示した動作と同様に、カートリッジ移送ユニット540がカートリッジ531を保持しているか否かを検出する(ステップS404)。このステップによる検出の結果、カートリッジ保持部540−1がカートリッジ531を保持していない場合(ステップS404のNo)、制御部401は、ステップS403へ帰還し、再度、駆動機構551およびギア543−3を制御してカートリッジ移送ユニット540の上昇および下降ならびにアーム部材543−1および543−2の開閉を行うことで、カートリッジ保持部540−1にカートリッジ531を保持させる。ただし、ステップS403に示す動作を複数回繰り返した場合でも、カートリッジ531の保持が検出されない場合、表示部404にエラーメッセージを表示し、動作を中断または終了するように構成してもよい。
【0125】
一方、ステップS404による判定の結果、カートリッジ保持部540−1がカートリッジ531を保持している場合(ステップS404のYes)、制御部401は、X方向移動機構552、Y方向移動機構553−1および553−2ならびに駆動機構551を制御することで、カートリッジ移送ユニット540をカートリッジセット位置640上に移動させる(ステップS405)。
【0126】
次に、制御部401は、駆動機構551を制御してカートリッジ移送ユニット540を下降させた後、ギア543−3を回転させてアーム部材543−1および543−2間を開くことで、カートリッジセット位置640にカートリッジ531をセットする(ステップS406)。
【0127】
なお、制御部401は、カートリッジ531がカートリッジセット位置640にセットされているか否かを検出し(ステップS407)、セットされるまでステップS406で説明した動作を繰り返す(ステップS407のNoおよびステップS406)。ステップS407の検出は、例えばカートリッジ保持部540−1のアーム部材543−2に取り付けられたセンサ543−4によってカートリッジ531がカートリッジ保持部540−1から放離されているか否かを検出することで実現することができる。ただし、ステップS406で示す動作を複数回繰り返した場合でも、カートリッジ531の放離が検出されない場合、表示部404にエラーメッセージを表示し、動作を中断または終了するように構成してもよい。また、カートリッジ531がセットされたことが検出されると(ステップS407のYes)、制御部401は、処理を終了する。
【0128】
以上のように、本実施の形態によれば、カートリッジ531の廃棄時に廃液としての第1/第2試薬および反応液とカートリッジ531とが分離されるため、カートリッジディスポーザ620やこれにセットされた廃棄袋などに反応液などの廃液が溜まることを防止できる。これにより、使用者による運搬時の液漏れや漏れ出した液の飛散などを回避することが可能となり、使用者が生物学的災害を被ることを防止することが可能となる。
【0129】
また、本実施の形態では、上述のように、カートリッジ531の廃棄時に第1/第2試薬や反応液などの廃液とカートリッジ531とが分離されるため、使用済みカートリッジ531の再利用が容易になるという効果も得られる。
【0130】
さらに、本実施の形態では、カートリッジ531を廃棄する際に同時にカートリッジ531内の廃液も吸引して排出するため、廃棄に要する時間が長くなることを回避できる。
【0131】
さらにまた、本実施の形態では、廃棄時にカートリッジ531より吸引した廃液を、分析過程において発生した他の廃液と同じ廃液タンク548に排出できるため、装置構成の複雑化および使用者による廃液作業の複雑化を回避することが可能となる。
【0132】
さらにまた、本実施の形態では、カートリッジ移送ユニット540にカートリッジ531内の廃液を排出する手段(例えば廃液部540−2)を設けているため、自動分析装置2の大型化を可能な限り回避することができる。
【0133】
また、上記実施の形態は本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、仕様等に応じて種々変形することは本発明の範囲内であり、更に本発明の範囲内において、他の様々な実施の形態が可能であることは上記記載から自明である。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】本発明の実施の形態1による自動分析装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2A】本発明の実施の形態1において使用するキュベットの概略構成を示す斜視図である。
【図2B】本発明の実施の形態1において使用するキュベットの変形例の概略構成を示す斜視図である。
【図3A】本発明の実施の形態1によるキュベット廃棄ユニットの概略構成を示す上面図である。
【図3B】本発明の実施の形態1によるキュベット廃棄ユニットの概略構成を示す側面図である。
【図3C】本発明の実施の形態1によるキュベット廃棄ユニットを図3BにおけるB方向から見た際の概略構成を示す正面図である。
【図3D】図3CにおけるC−C’断面の概略構造を示す模式図である。
【図4】本発明の実施の形態1によるキュベット廃棄ユニットの図3AにおけるA−A’断面の概略構造を模式的に示す断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1によるキュベット廃棄動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態1によるキュベット廃棄動作の説明を補助するための断面図である(その1)。
【図7】本発明の実施の形態1によるキュベット廃棄動作の説明を補助するための断面図である(その2)。
【図8】本発明の実施の形態2による自動分析装置の概略構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施の形態2において使用するカートリッジの概略構成を示す斜視図である。
【図10A】本発明の実施の形態2によるカードリッジ移送ユニットの概略構成を示す斜視図である。
【図10B】図10Aに示すカートリッジ移送ユニットのD−D’断面の概略構成を示す断面図である。
【図11】本発明の実施の形態2によるカートリッジ廃棄動作を示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態2によるカートリッジ廃棄動作の説明を補助するための断面図である。
【図13】本発明の実施の形態2によるカートリッジ供給動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0135】
1、2 自動分析装置
100 メインユニット
230 測光ユニット
233 キュベット入出位置
234 キュベットホルダ
240 キュベット廃棄ユニット
241 枢軸
241A 枢軸部材
241a 上面
241b、242−2e 下面
241c、242−2c、243−1g 貫通孔
242 アーム部
242−1 第1部材
242−2 第2部材
242−2a、243−1e 空洞
242−2b 絞り部
242−2d 段差部
242−3 第3部材
242−4、246−3 バネ
242−5、243−5 持設部材
242−6 固定部材
243 キュベット保持部
243−1 保持部材
243−1a 嵌着部
243−1b 溝
243−1d テーパ部
243−1f 底面
243−1h センサ
243−2 凸部
243−3 押進部材
243−3a 開口レール
243−3b 上端
243−4 バネ軸部材
244 キュベット廃棄位置
244a ディスポーザ
245 廃液吸引ノズル洗浄ユニット
245a ノズル洗浄位置
246−1 廃液吸引ノズル
246−1a、246−2a 先端部
246−1b 掛合部
246−2 ドレイン管
246−2b 後端部
246−2c ドレイン管
247 駆動機構
248 吸引ポンプ
249 廃液タンク
C、C2 キュベット
CA、CA2 開口
LC 廃液
400 制御端末
401 制御部
402 分析部
403 入力部
404 表示部
405 記憶部
410 インターフェース(I/F)
420 回線
500 メインユニット
531 カートリッジ
531a 第1試薬容器
531b 第2試薬容器
531c 反応容器
531d 爪
532 カートリッジ供給位置
540 カートリッジ移送ユニット
540−1 カートリッジ保持部
540−2 廃液部
541 回転軸部材
542 水平部材
543−1、543−2 アーム部材
543−1a、543−2a 連結部材
543−1b、543−2b、545−2a 歯
543−1c、543−2c 孔
543−3、544−5 ギア
543−4 センサ
544 スライド部材
544−1、544−2、544−3 空洞
544−4 凹部
545−1、545−2 ガイド部材
545−1a 凸部
546、546a、546−1、546−2、546−3 ドレイン管
546−1a、546−2a、546−3a 吸引ノズル
546−1b、546−2b、546−3b 係止部
546−1c、546−2c、546−3c バネ
547 吸引ポンプ
548 廃液タンク
551 駆動機構
552 X方向移動機構
553−1、553−2 Y方向移動機構
620 カートリッジディスポーザ
640 カートリッジセット位置
650 吸引ノズル洗浄ユニット
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動分析装置および移送ユニットに関し、例えば使用後の反応容器を廃棄可能な自動分析装置およびその移送ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液状の検体を液状の試薬と反応させることで複数の項目を自動的に分析する分析装置では、検体と試薬とをキュベットと呼ばれる反応容器にそれぞれ分注し、これらを攪拌した後、生成された反応液を光学的に測定していた(例えば以下に示す特許文献1または2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−321286号公報
【特許文献2】特開平8−146010号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来技術では、測定後の反応液や試薬などの廃液が入った容器をそのまま破棄箱にセットされた廃棄袋へ廃棄していた。そのため使用者は、容器から流れ出した廃液が溜まっている廃棄袋を分析装置から取り出して特定の廃棄場所まで運搬しなければならないため、運搬時に廃棄袋内の液が漏れ出したり漏れ出した液が飛散したりなどの可能性があり、これによって使用者が生物学的災害(バイオハザード)を被る可能性があるという問題が存在した。
【0005】
そこで本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、使用者がキュベットなどの容器を所定の廃棄位置へ廃棄する際に生物学的災害が発生する可能性を低減することができる自動分析装置および移送ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために、本発明による自動分析装置は、所定容器を所定の廃棄位置へ移送する容器移送手段と、前記容器移送手段が前記所定容器の移送動作を開始してから完了するまでの間に前記所定容器内の液体を吸引する吸引手段と、を備えたことを特徴としている。
【0007】
上記した本発明による自動分析装置は、前記容器移送手段が、前記所定容器を着脱可能に保持する保持部と、該保持部を所定位置へ移動させる移動機構と、を含み、前記吸引手段が、前記保持部に保持された吸引管と、該吸引管に接続された吸引ポンプと、を含み、前記吸引管が、前記保持部が前記所定容器を保持する際に先端部が該所定容器内に挿入されることを特徴としている。
【0008】
上記した本発明による自動分析装置は、前記吸引ポンプが、前記保持部が前記所定容器を保持する前に吸引を開始することを特徴としている。
【0009】
上記した本発明による自動分析装置は、前記保持部に対する前記吸引管の先端部の位置を調整する先端位置調整手段を備えたことを特徴としている。
【0010】
上記した本発明による自動分析装置は、前記先端位置調整手段が、前記吸引管の先端部を下方へ付勢するバネを含み、前記吸引管が、前記バネにより下方へ付勢された状態で上下方向にスライド可能に前記保持部に保持され、前記吸引管の先端部が、前記保持部が前記所定容器を保持している状態で該所定容器の底部に当接することを特徴としている。
【0011】
上記した本発明による自動分析装置は、前記所定容器が、上部が開口されており、前記保持部が、前記所定容器の前記開口に嵌挿されることで該所定容器を保持する嵌着部を含み、前記吸引管の先端部が、前記嵌着部底部から突出していることを特徴としている。
【0012】
上記した本発明による自動分析装置は、前記嵌着部が、前記所定容器の開口形状と異なる断面形状を有していることを特徴としている。
【0013】
上記した本発明による自動分析装置は、前記所定容器が、両側に爪を有し、前記保持部が、前記所定容器の前記爪と掛合可能な孔が形成された2つの掛持部と、該掛持部を開閉可能に連結する連結部と、前記連結部に固定されたガイド部と、該ガイド部によって上下方向にスライド可能に保持されたスライド部と、を含み、前記吸引管が、先端部が前記スライド部底部から突出するように該スライド部に保持されていることを特徴としている。
【0014】
上記した本発明による自動分析装置は、前記容器移送手段により移送された前記所定容器を廃棄する廃棄部を備えたことを特徴としている。
【0015】
上記した本発明による自動分析装置は、前記吸引手段により吸引された液体を蓄える廃液タンクを備えたことを特徴としている。
【0016】
上記した本発明による自動分析装置は、所定容器を1以上ストックする容器ストック部を備え、前記容器移送手段が、前記容器ストック部から所定容器を取得し、該取得した所定容器を所定位置へセットすることを特徴としている。
【0017】
また、本発明による移送ユニットは、所定容器を所定の廃棄位置へ移送する移送ユニットであって、前記所定容器の移送動作を開始してから完了するまでの間に前記所定容器内の液体を吸引する吸引手段を備えたことを特徴としている。
【0018】
上記した本発明による移送ユニットは、前記所定容器を着脱可能に保持する保持部を備え、前記吸引手段が、前記保持部に保持された吸引管を含み、前記吸引管が、前記保持部が前記所定容器を保持する際に先端部が該所定容器内に挿入されることを特徴としている。
【0019】
上記した本発明による移送ユニットは、前記保持部に対する前記吸引管の先端部の位置を調整する先端位置調整手段を備えたことを特徴としている。
【0020】
上記した本発明による移送ユニットは、前記先端位置調整手段が、前記吸引管の先端部を下方へ付勢するバネを含み、前記吸引管が、前記バネにより下方へ付勢された状態で上下方向にスライド可能に前記保持部に保持され、前記吸引管の先端部が、前記保持部が前記所定容器を保持している状態で該所定容器の底部に当接することを特徴としている。
【0021】
上記した本発明による移送ユニットは、前記所定容器が、上部が開口されており、前記保持部が、前記所定容器の前記開口に嵌挿されることで該所定容器を保持する嵌着部を含み、前記吸引管の先端部が、前記嵌着部底部から突出していることを特徴としている。
【0022】
上記した本発明による移送ユニットは、前記嵌着部が、前記所定容器の開口形状と異なる断面形状を有していることを特徴としている。
【0023】
上記した本発明による移送ユニットは、前記所定容器が、両側に爪を有し、前記保持部が、前記所定容器の前記爪と掛合可能な孔が形成された2つの掛持部と、該掛持部を開閉可能に連結する連結部と、前記連結部に固定されたガイド部と、該ガイド部によって上下方向にスライド可能に保持されたスライド部と、を含み、前記吸引管が、先端部が前記スライド部底部から突出するように該スライド部に保持されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、反応液や試薬などの廃液をキュベットなどの所定容器から吸引する構成を備えているため、廃棄時に廃液と所定容器とを分離することが可能となる。この結果、所定容器用のディスポーザやこれにセットされた廃棄袋などに廃液が溜まることを防止でき、運搬時に廃棄袋内の液が漏れ出したり漏れ出した液が飛散したりなどの弊害の発生を回避することが可能となる。これにより、使用者が生物学的災害(バイオハザード)を被る可能性を低減することが可能な自動分析装置および移送ユニットを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面と共に詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明において、各図は本発明の内容を理解でき得る程度に形状、大きさ、および位置関係を概略的に示してあるに過ぎず、従って、本発明は各図で例示された形状、大きさ、および位置関係のみに限定されるものではない。さらに、各図では、構成の明瞭化のため、断面におけるハッチングの一部が省略されている。
【0026】
<実施の形態1>
以下、本発明の実施の形態1による自動分析装置1を図面と共に詳細に説明する。なお、本実施の形態において例示する自動分析装置1は、免疫に関する項目について測定するための分析装置であるが、本発明はこれに限定されず、例えば生化学に関する項目について分析するための自動分析装置など、種々の分析装置に本実施の形態を適用することが可能である。
【0027】
(自動分析装置)
図1は、本実施の形態による自動分析装置1の概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、自動分析装置1は、メインユニット100と、メインユニット100に接続された制御端末400とを備える。メインユニット100は、検体と試薬とを反応させ、これにより生成された反応生成物の作用による発光基質の発光量を測定するための装置である。また、制御端末400は、メインユニット100の制御やメインユニット100によって測定された結果の分析などを実行するための装置である。自動分析装置1は、これら2つの装置が連携することによって複数の検体の免疫学的な分析を自動的に行なう。
【0028】
ここで、まず、メインユニット100について説明する。メインユニット100は、大別して、BF(Bound−Free)処理槽110と、キュベット供給ユニット120と、検体供給ユニット130と、検体分注ユニット140と、第1キュベット移送ユニット150と、免疫反応槽160と、第1試薬分注ユニット170と、第1試薬保冷庫180と、第2試薬分注ユニット190と、第2試薬保冷庫200と、第2キュベット移送ユニット210と、酵素反応槽220と、測光ユニット230と、キュベット廃棄ユニット240と、を備える。
【0029】
BF処理槽110は、検体と試薬とを混合させた混合液から未反応の検体および/または試薬(以下、単に未反応物質という)を分離する所謂BF洗浄処理を行なうための槽である。このBF処理槽110は、図示しない駆動機構によって中心112を軸として回動する回転テーブル111を有する。回転テーブル111は、外周内側に沿って複数のキュベットホルダ(不図示)が配列された第1反応ライン113と、第1反応ライン113の内側に沿って複数のキュベットホルダ(不図示)が配置された第2反応ライン114と、を含む。各キュベットホルダにはキュベットCが適宜セットされる。したがって、回転テーブル111が中心112を軸として回動することで、目的のキュベットホルダまたはこれにセットされたキュベットCが所定の位置(キュベット脱離位置113a、検体分注位置113b、第1試薬分注位置113c、第1キュベット入出位置113d、第2キュベット入出位置114aまたは第2試薬分注位置114b)に配置される。なお、第1反応ライン113には、キュベットC内の混合液を攪拌するための不図示の攪拌部が設けられる。第2反応ライン114には、キュベットC内の混合液を攪拌するための不図示の攪拌部およびキュベットC内の混合液に対してBF処理を実行するためのBF処理部115が設けられる。BF処理部115は、後述する第1試薬に含まれる磁性粒子を集磁する集磁機構を含み、これを用いて反応物質と未反応物質とを分離する。また、本実施の形態において、検体とは、例えば被検者から採取した血液もしくは尿などである。
【0030】
キュベット供給ユニット120は、キュベットストック部124にストックされているキュベットCをBF処理槽110へ供給するための機構である。このキュベット供給ユニット120は、メインユニット100上面に対して突出入可能な枢軸121として機能する棒状部材(不図示)に一方の端が枢持されたアーム部122と、アーム部122の他方の端に設けられたキュベット保持部123と、を有する。アーム部122は、図示しない駆動機構によって棒状部材が回転することで枢軸121を中心として枢回し、不図示の駆動機構によって棒状部材が突出入することによって上下する。また、キュベット保持部123は、先端がキュベットCの上部開口に嵌合することでこれを保持し、キュベットCの上部開口端を押進することでこれを脱離させる。この構成を利用することで、キュベット供給ユニット120は、キュベットストック部124のキュベット嵌合125に配置されているキュベットCをキュベット保持部123で保持し、また、保持したキュベットCをキュベット脱離位置113aに配置された回転テーブル111のキュベットホルダにセットする。
【0031】
検体供給ユニット130は、分析対象の検体がそれぞれ入れられる1つ以上の検体容器134を保持可能な検体ラック133を1つ以上収容する検体収容部131と、検体ラック133が搬送される搬送レール132と、を有する。検体収容部131に収容された検体ラック133は、不図示の搬送機構によって搬送レール132の第1搬送経路135または第2搬送経路136上を搬送される。また、第1搬送経路135上を搬送される検体ラック133は、第1検体分取位置135aに一旦停止し、適宜、自身が保持する検体容器134内の検体が後述の検体分注ユニット140によって分取される。同様に、第2搬送経路136上を搬送される検体ラック133は、第2検体分取位置136aに一旦停止し、適宜、自身が保持する検体容器134内の検体が検体分注ユニット140によって分取される。なお、第1/第2搬送経路135/136上を搬送された検体ラック133は、不図示の搬送機構によって検体収容部131に戻されるか、あるいは、図示しない収容部に送られる。
【0032】
検体分注ユニット140は、第1検体分取位置135aまたは第2検体分取位置136aにおいて分取した検体をBF処理槽110における所定のキュベットC内へ分注するための機構である。この検体分注ユニット140は、メインユニット100上面に対して突出入可能な枢軸141として機能する棒状部材(不図示)に一方の端が枢持されたアーム部142と、アーム部142の他方の端に設けられた分注チップ保持部143と、を有する。アーム部142は、図示しない駆動機構によって棒状部材が回転することで枢軸141を中心として枢回し、不図示の駆動機構によって棒状部材が突出入することによって上下動する。また、分注チップ保持部143には、ディスポーザブルな分注チップ146が取り付けられると共に、不図示の吸引ポンプと連結されており、この吸引ポンプを駆動することで検体の吸引および吸引した検体の吐出が可能となっている。この構成を利用することで、検体分注ユニット140は、第1または第2検体分取位置135aまたは136aにおいて分取した検体を、BF処理槽110の検体分注位置113bに配置されたキュベットC内に分注する。なお、検体分注ユニット140は、検体を分注するたびに分注チップ廃棄位置147に設けられた穴内に分注チップ146を廃棄し、分注チップストック部144の分注チップ嵌合位置145において新たな分注チップ146を分注チップ保持部143に取り付ける。また、分注チップ廃棄位置147において廃棄された分注チップ146は、不図示のディスポーザに収容され、その後、ユーザによって外部に廃棄される。
【0033】
第1キュベット移送ユニット150は、BF処理槽110と免疫反応槽160と後述する酵素反応槽220との間でキュベットCを移送するための機構である。この第1キュベット移送ユニット150は、キュベット供給ユニット120と同様に、メインユニット100上面に対して突出入可能な枢軸151として機能する棒状部材(不図示)に一方の端が枢持されたアーム部152と、アーム部152の他方の端に設けられたキュベット保持部153と、を有する。この構成を利用することで、第1キュベット移送ユニット150は、目的のキュベットCをBF処理槽110の第1キュベット入出位置113dから取り出し、これを後述する免疫反応層160のキュベット入出位置163a、164aおよび165aのいずれかに配置されたキュベットホルダ(不図示)にセットする。また、第1キュベット移送ユニット150は、免疫反応槽160において処理されたキュベットCをキュベット入出位置163a、164aまたは165aにおいて取り出し、これをBF処理槽110の第2キュベット入出位置114aに配置されたキュベットホルダ(不図示)にセットする。さらに、第1キュベット移送ユニット150は、BF処理槽110において処理されたキュベットCを第2キュベット入出位置114aから取り出し、これを酵素反応槽220のキュベット入出位置223aに配置されたキュベットホルダ(不図示)にセットする。
【0034】
免疫反応槽160は、キュベットC内に注入された検体に所定の前処理等をするため、または、検体と試薬との反応を促進するための機構である。この免疫反応槽160は、図示しない駆動機構によって中心162を軸として回動する回転テーブル161を有する。回転テーブル161は、最外周に位置し、前処理および前希釈用の外周ライン163と、外周ライン163よりも内側に位置し、検体と第1試薬である固相担体試薬との免疫反応を促進するための中周ライン164と、最内周に位置し、検体と第2試薬の一つである標識抗体との免疫反応を促進するための内周ライン165と、を含む。各ライン(163、164、165)には、複数のキュベットホルダ(不図示)が配列されており、これに適宜キュベットCがセットされる。したがって、回転テーブル161が中心162を軸として回動することで、目的のキュベットホルダまたはこれにセットされたキュベットCが所定のキュベット入出位置163a、164aまたは165aに配置される。なお、本発明は、外周ライン163と中周ライン164と内周ライン165との3重に限らず、適宜変更できることは言うまでもない。
【0035】
第1試薬分注ユニット170は、後述の第1試薬保冷庫180において保管されている固相担体試薬(第1試薬)または第2試薬保冷庫200において保管されている標識抗体が含まれる第2試薬(以下、これを標識試薬という)を分取し、これをBF処理槽110における所定のキュベットC内へ分注するための機構である。この第1試薬分注ユニット170は、検体分注ユニット140と同様に、メインユニット100上面に対して突出入可能な枢軸171として機能する棒状部材(不図示)に一方の端が枢持されたアーム部172と、アーム部172の他方の端に設けられ、不図示の吸引ポンプと連結された第1試薬分注プローブ173と、を有する。この構成を利用することで、第1試薬分注ユニット170は、第1試薬分取位置183において第1試薬保冷庫180から固相担体試薬(第1試薬)を分取し、分取した固相担体試薬(第1試薬)を第1試薬分注位置113cにおいて目的のキュベットC内に分注する。また、第1試薬分注ユニット170は、第2試薬分取位置203aにおいて第2試薬保冷庫200から標識試薬(第2試薬)を分取し、分取した標識試薬(第2試薬)を第1試薬分注位置113cにおいて目的のキュベットC内に分注する。なお、第1試薬分注プローブ173は、ディスポーザブルでなくともよい。その代わり、第1試薬分注ユニット170は、第1試薬分注プローブ173を洗浄するための洗浄部174を備え、固相担体試薬(第1試薬)を分注するたびに、洗浄部174において第1試薬分注プローブ173を洗浄する。
【0036】
第1試薬保冷庫180は、分析対象である検体内の抗原または抗体と特異的に結合する反応物質を固相した不溶性担体である磁性粒子を含む固相担体試薬(BF液とも言う)である第1試薬を温度管理の下で保管するための機構である。この第1試薬保冷庫180は、図示しない駆動機構によって中心182を中心として回動する回転テーブル181を有する。回転テーブル181には、外周内側に沿って複数の第1試薬容器184が配列される。したがって、回転テーブル181が中心182を軸として回動することで、目的の固相担体試薬(第1試薬)を蓄える第1試薬容器184が第1試薬分取位置183に配置される。なお、第1試薬保冷庫180には、不図示のバーコードリーダが設けられており、これを用いて第1試薬容器184の側面に貼り付けられているバーコードを読み取る。また、読み取った内容に基づいて、第1試薬保冷庫180が保管する固相担体試薬(第1試薬)が管理される。
【0037】
第2試薬分注ユニット190は、後述する第2試薬保冷庫200において保管されている第2試薬である基質液を分取し、これをBF処理槽110における所定のキュベットC内へ分注するための機構である。この第2試薬分注ユニット190は、第1試薬分注ユニット170と同様に、メインユニット100上面に対して突出入可能な枢軸191として機能する棒状部材(不図示)に一方の端が枢持されたアーム部172と、アーム部172の他方の端に設けられ、不図示の吸引ポンプと連結された第2試薬分注プローブ193と、を有する。この構成を利用することで、第2試薬分注ユニット190は、第2試薬分取位置203bにおいて第2試薬保冷庫200から基質液(第2試薬)を分取し、分取した基質液(第2試薬)を第2試薬分注位置114bにおいて目的のキュベットC内に分注する。なお、第2試薬分注プローブ193は、ディスポーザブルでなくともよい。その代わり、第2試薬分注ユニット190は、第2試薬分注プローブ193を洗浄するための洗浄部194を備え、基質液(第2試薬)を分注するたびに、洗浄部194において第2試薬分注プローブ193を洗浄する。
【0038】
第2試薬保冷庫200と、磁性粒子と結合した抗原または抗体と特異的に結合する標識抗体(例えば酵素)を含む標識試薬(第2試薬)と、基質を含む基質液(第2試薬)と、を温度管理の下で保管するための機構である。この第2試薬保冷庫200は、第1試薬保冷庫180と同様に、図示しない駆動機構によって中心202を中心として回動する回転テーブル201を有する。回転テーブル201には、外周内側に沿って複数の第2試薬容器204が配列される。したがって、回転テーブル201が中心202を軸として回動することで、目的の第2試薬(標識試薬または基質液)が第2試薬分取位置203aまたは203bに配置される。なお、第2試薬保冷庫200には、不図示のバーコードリーダが設けられており、これを用いて第2試薬容器204の側面に貼り付けられているバーコードを読み取る。また、読み取った内容に基づいて、第2試薬保冷庫200が保管する第2試薬(標識試薬または基質液)が管理される。
【0039】
第2キュベット移送ユニット210は、後述する酵素反応槽220から測光ユニット230へキュベットCを移送するための機構である。この第2キュベット移送ユニット210は、第1キュベット移送ユニット150と同様に、メインユニット100上面に対して突出入可能な枢軸211として機能する棒状部材(不図示)に一方の端が枢持されたアーム部212と、アーム部212の他方の端に設けられたキュベット保持部213と、を有する。この構成を利用することで、第2キュベット移送ユニット210は、目的のキュベットCを酵素反応槽220のキュベット取出位置223bから取り出し、これを測光ユニット230のキュベット入出位置233に設けられたキュベットホルダ(不図示)セットする。
【0040】
酵素反応槽220は、キュベット内に注入された基質液(第2試薬)内の気質が発光可能な状態となる酵素反応を促進するための槽である。この酵素反応槽220は、免疫反応層160と同様に、図示しない駆動機構によって中心222を軸として回動する回転テーブル221を有する。回転テーブル221は、外周内側に沿って複数のキュベットホルダ(不図示)が配列された酵素反応ライン223を含む。各キュベットホルダにはキュベットCが適宜セットされる。したがって、回転テーブル221が中心222を軸として回動することで、目的のキュベットホルダまたはこれにセットされたキュベットCが所定の位置(キュベット入出位置223a、キュベット取出位置223b)に配置される。
【0041】
測光ユニット230は、例えばキュベットC内における化学反応により生じた微弱な光を計測するための機構である。この測光ユニット230は、キュベットC内の反応液から出力された光、もしくは、キュベットC内の反応液を透過した光を増幅された電気信号に変換するための光電子増倍管を含む受光部232を含む。また、測光ユニット230は、キュベットCへ光を照射する光源部231を含んでもよい。測光ユニット230に設けられたキュベットホルダは、不図示の光学窓を1つ以上備え、この光学窓を介して光の入射および取り出しを行なうことが可能となっている。
【0042】
キュベット廃棄ユニット240は、測定が終了した反応液(以下、廃液という)が入っているキュベットCを廃棄するための機構である。このキュベット廃棄ユニット240は、第1キュベット移送ユニット150と同様に、メインユニット100上面に対して突出入可能な枢軸241として機能する棒状部材(不図示)に一方の端が枢持されたアーム部242と、アーム部242の他方の端に設けられたキュベット保持部243と、を有する。この構成を利用することで、キュベット廃棄ユニット240は、測定完了後のキュベットCを測光ユニット230のキュベット入出位置233から取り出し、これをキュベット廃棄位置244に設けられた穴からメインユニット100内のディスポーザ(不図示)へ廃棄する。また、キュベット廃棄ユニット240は、所定容器であるキュベットを所定の廃棄位置へ移送するための容器移送手段の他に、キュベットCの廃棄時にキュベットC内の廃液とキュベットCとを分離する手段としての吸引手段を備える。なお、キュベット廃棄ユニット240の詳細については、後述において詳細に説明する。
【0043】
また、上記各構成要素は、例えばメインユニット100に設けられたインターフェース(不図示)を介して外部接続された制御端末400からの制御の下に動作する。制御端末400は、例えばメインユニット100のインターフェースと所定の回線420を介して接続するインターフェース(I/F)410と、入力された測定結果を分析する分析部402と、使用者が各種指示や命令などを入力するための入力部403と、各種測定・分析結果や検体ステータスや測定・分析進行状況などをユーザへ表示する表示部404と、各種制御プログラムや入力された測定結果および生成した分析結果などを記憶する記憶部405と、上記各部の制御やメインユニット100およびサブユニット300における各部を制御する制御部401と、を含む。
【0044】
(キュベット廃棄ユニット)
次に、上記した自動分析装置1におけるキュベット廃棄ユニット240の構成および動作について、図面を用いて詳細に説明する。なお、キュベット廃棄ユニット240は、キュベットCを移送するための移送ユニットの一つである。
【0045】
ここで、本実施の形態において使用するキュベットCの一例について、図面を用いて説明する。図2Aは、本実施の形態において使用するキュベットCの概略形状を示す斜視図であり、図2Bは、キュベットCの変形例であるキュベットC2の概略形状を示す斜視図である。図2Aに示すように、本実施の形態において使用するキュベットCは、例えば、上部に開口CAが形成された円筒状の容器である。このようなキュベットCは、例えば硬質ガラスやプラスチックやクォーツなどの透明な材料を用いて形成される。また、本実施の形態の変形例によるキュベットC2は、例えば図2Bに示すように、上部に形成された開口CA2の角がやや丸みを帯びた略四角形の形状を有している略四角柱状の容器である。ただし、本発明はこれらの形状に限定されず、後述するキュベット保持部243によって保持可能な形状を有する容器であれば、如何様にも変形可能である。
【0046】
また、本実施の形態によるキュベット廃棄ユニット240は、所定容器であるキュベットCを所定の廃棄位置であるキュベット廃棄位置244へ移送するための容器移送手段であり、上述したように、アーム部242を有する。アーム部242の一方の端は、枢軸241として機能する棒状部材である枢軸部材241Aに固定される。この枢軸部材241Aは、後述する駆動機構247によってメインユニット100上面に対し突出入可能である。これにより、アーム部242のメインユニット100上面に対する上下位置が変位可能に構成される。また、枢軸部材241Aは、駆動機構247によって回転可能である。これにより、アーム部242が枢軸241を中心として枢回可能に構成される。さらに、アーム部242の他方の端には、上述したようにキュベット保持部243が設けられる。キュベット保持部243は、例えばキュベットCの開口CA(図2A参照)と嵌合することで、これを保持する。ここで、キュベット廃棄ユニット240のより詳細な構成を図3A〜図3Dおよび図4に示す。
【0047】
図3Aは、キュベット廃棄ユニット240の概略構成を示す上面図であり、図3Bは、キュベット廃棄ユニット240の概略構成を示す側面図であり、図3Cは、キュベット廃棄ユニット240を図3BにおけるB方向から見た際の概略構成を示す正面図であり、図3Dは、図3CにおけるC−C’断面の概略構造を示す模式図である。また、図4は、本実施の形態によるキュベット廃棄ユニット240の図3AにおけるA−A’断面の概略構造を模式的に示す断面図である。
【0048】
まず、図3A、図3Bおよび図4に示すように、キュベット廃棄ユニット240のアーム部242は、枢軸部材241Aに固定された第1部材242−1と、キュベット保持部243を上下に摺動可能に保持する第2部材242−2と、第1部材242−1と第2部材242−2とを連結する第3部材242−3と、を含む。また、アーム部242には、後述するドレイン管246−2を持設するための持設部材242−5と、持設部材242−5をアーム部242における例えば第1部材242−1に固定するための固定部材242−6と、が含まれる。
【0049】
また、図3Bおよび図4に示すように、アーム部242の一方の端側に取り付けられたキュベット保持部243は、キュベットCを着脱可能に保持するための保持部材243−1(例えば保持部)と、保持部材243−1を下方へ付勢するためのバネ242−4の受け軸となるバネ軸部材243−4と、ドレイン管246−2をキュベット保持部243に持設するための持設部材243−5と、を含む。保持部材243−1は、下部にキュベットCを嵌着するための嵌着部243−1aと、上部に円錐状に広がったテーパ部243−1dと、を含む。バネ軸部材243−4は、中心にドレイン管246−2を挿入するための貫通孔が形成された円筒状をしており、保持部材243−1の上端に嵌挿されて固定されている。また、持設部材243−5は、バネ軸部材243−4から延出するドレイン管246−2を保持するために、バネ軸部材243−4に固定される。
【0050】
バネ軸部材243−4およびテーパ部243−1dを含む保持部材243−1の上端は、アーム部242における第2部材242−2内部に設けられた円筒状の空洞242−2aにスライド可能に嵌挿される。空洞242−2aの底部には、テーパ部243−1dと当接することで保持部材243−1が第2部材242−2から抜け落ちることを防止するための絞り部242−2bが設けられる。また、空洞242−2aの上面には、第2部材242−2の上面まで貫通する貫通孔242−2cが設けられており、この貫通孔242−2cからバネ軸部材243−4の上端が突出する。なお、突出したバネ軸部材243−4の上端には、ドレイン管246−2を持設するための上述した持設部材243−5が取り付けられる。
【0051】
バネ軸部材243−4の周囲には、キュベット保持部243に対する廃液吸引ノズル246−1の先端部246−1aの位置を調整するための先端位置調整手段としてのバネ242−4が設けられる。バネ242−4の一方の端は保持部材243−1の上面と当接し、他方の端は空洞242−2aの上面と当接する。したがって、保持部材243−1は、下方へ付勢された状態で上下方向にスライド可能に第2部材242−2に取り付けられる。また、第2部材242−2内の空洞242−2aには、保持部材243−1の上面と当接する段差部242−2dが設けられている。
【0052】
保持部材243−1内部には、円筒状の空洞243−1eが設けられており、この空洞243−1eにドレイン管246−2の一方の端部である先端部246−2aが挿入される。また、空洞243−1eには、廃液吸引ノズル246−1がスライド可能に挿設される。空洞243−1eの底面243−1fには嵌着部243−1a先端まで貫通する貫通孔243−1gが設けられており、廃液吸引ノズル246−1の先端部246−1aがこの貫通孔243−1gから突出する。なお、廃液吸引ノズル246−1の上端には空洞243−1eの底面243−1fと掛合する掛合部246−1bが設けられており、これにより、廃液吸引ノズル246−1が保持部材243−1の貫通孔243−1gから抜け落ちないように掛止される。
【0053】
ドレイン管246−2の先端部246−2aは、空洞243−1e内において、廃液吸引ノズル246−1の上端部分にスライド可能に挿入される。これにより、ドレイン管246−2と廃液吸引ノズル246−1とが伸縮可能に連結される。ただし、この構成に限らず、廃液吸引ノズル246−1の先端(下端)位置が保持部材243−1における嵌着部243−1aに対して上下方向に変位可能な構成であれば、如何様にも変形してよい。
【0054】
保持部材243−1における空洞243−1e内のドレイン管246−2周囲には、バネ246−3が設けられる。バネ246−3の一方の端は空洞243−1eの上面と当接し、他方の端は廃液吸引ノズル246−1の上面と当接する。したがって、廃液吸引ノズル246−1は、下方へ付勢された状態で保持部材243−1にスライド可能に取り付けられる。
【0055】
また、図3B、図3Cおよび図4に示すように、略円筒形である保持部材243−1の胴体周囲には、キュベットCを嵌着部243−1aから脱離させるための押進部材243−3がスライド可能に設けられる。保持部材243−1の胴体部には凸部243−2が設けられる。凸部243−2は、押進部材243−3に設けられた開口レール243−3aに嵌挿される。したがって、押進部材243−3は、保持部材243−1に対し、上下方向に延在する開口レール243−3aに沿ってスライド可能である。なお、押進部材243−3は、保持部材243−1が掛止された状態でアーム部242の第2部材242−2によって押進されることで保持部材243−1に対してスライドし、これにより、嵌着部243−1aからキュベットCを脱離させる。
【0056】
また、図3Bから図3Dに示すように、嵌着部243−1aには、キュベットCが嵌着されたか否かを検出するためのセンサ243−1hが設けられている。センサ243−1hは、例えばフォトダイオードや圧電センサなどで構成される。このセンサ243−1hで検出された結果は、図示しない配線などを介してメインユニット100外部に接続された制御端末400へ送られる。
【0057】
また、図3Dに示すように、嵌着部243−1aの水平断面には、溝243−1bが設けられることで、キュベットCの開口CAの形状と異なる断面形状とされている。この溝243−1bは、開口CAの縁と嵌着部243−1aとの間に空気穴として機能する隙間を形成するための溝である。この溝243−1bにより、嵌着された状態のキュベットC内が密封されることを防止できるため、キュベットCが嵌着された状態でも廃液吸引ノズル246−1からキュベットC内部の廃液LCを吸い取ることが可能となる。
【0058】
また、図3Bおよび図4に示すように、枢軸部材241Aは、例えばメインユニット100の上面下に配設された駆動機構247(例えば移動機構)と連結される。駆動機構247は、例えば枢軸部材241Aを回転するためのモータと、枢軸部材241Aを上下方向に移動させるためのモータと、を含んでなり、図1に示す制御端末400からの制御の下、枢軸部材241Aを回転または上下動させる。この回転および上下動によりアーム部242が枢軸部材241Aを中心として枢回または上下動することで、キュベット保持部243の位置が制御される。
【0059】
また、同じく図3Bおよび図4に示すように、ドレイン管246−2の他方の端部である後端部246−2bは、例えば枢軸部材241Aの上面241aから下面241bにかけて形成された貫通孔241cを通って、例えばメインユニット100の上面下に配設された吸引ポンプ248と連結される。このように本実施の形態では、廃棄対象のキュベットC内部の廃液LCを吸引するための吸引手段として、廃液吸引ノズル246−1およびドレイン管246−2よりなる吸引管と、これに接続された吸引ポンプ248と、を含む構成が設けられている。吸引ポンプ248には、例えば容積ポンプや非容積ポンプなど、液体を吸引して排出することが可能なポンプであれば如何なるものも適用することができる。また、この他、例えばメインユニット100内に設けられた既存のシリンジなどを吸引ポンプ248として用いてもよい。このような吸引ポンプ248は、図1に示す制御端末400からの制御の下、吸引を開始または停止する。
【0060】
キュベットC内の廃液は、廃液吸引ノズル246−1からドレイン管246−2を通って吸引ポンプ248へ吸引される。また、吸引ポンプ248には、ドレイン管246−2の延長としてのドレイン管246−2cが接続される。よって、吸引ポンプ248へ吸引された廃液は、ドレイン管246−2cを通って廃液タンク249へ排出される。このため使用者は、廃液タンク249に蓄えられた廃液LCを廃棄すればよい。なお、本実施の形態における廃液LCとは、例えば測定が完了した混合液や反応液など、以降の分析において必要とされないキュベットC内の液を指す。また、廃液タンク249には、例えば分析過程において発生した他の廃液などが蓄えられるタンクと共通のものを使用してよい。さらに、本発明では、廃液を廃液タンク249に蓄える構成でなく、直接外部の廃棄経路へ排出する構成としてもよい。
【0061】
また、例えば図3Bおよび図4に示すように、廃液吸引ノズル246−1の先端部246−1aは、例えば廃液吸引ノズル246−1の本体部分よりも細くなっている。これは、毛細管現象を利用して廃液吸引ノズル246−1内に残留した廃液が垂れることを防止するためである。ただし、廃液吸引ノズル246−1自体が十分に細い管であれば、上記のような先細の形状としなくてもよい。
【0062】
・キュベット廃棄動作
次に、本実施の形態によるキュベット廃棄時の動作(以下、キュベット廃棄動作という)について、図面を用いて詳細に説明する。図5は、本実施の形態によるキュベット廃棄動作を示すフローチャートであり、図6(a)〜図7(c)は、本実施の形態によるキュベット廃棄動作の説明を補助するための断面図である。
【0063】
本実施の形態によるキュベット廃棄動作では、まず、制御端末400の制御部401は、測光ユニット230による測定が完了したキュベットC、すなわち廃棄対象のキュベットCが存在するか否かを判定する(ステップS101)。廃棄対象のキュベットCが存在する場合(ステップS101のYes)、制御部401は、キュベットCをキュベット廃棄位置244へ移送する移送動作を開始する。そこで、制御部401は、まず、駆動機構247を制御して枢軸部材241Aに固定されたアーム部242を上下動および/または枢回させることで、図6(a)に示すように、キュベット廃棄ユニット240におけるキュベット保持部243をキュベット入出位置233上へ移動させる(ステップS102)。なお、制御部401は、廃棄対象のキュベットCが存在しない場合(ステップS101のNo)、ステップS101の判定を繰り返す。
【0064】
また、本実施の形態によるキュベット廃棄動作では、制御部401が、吸引ポンプ248を作動させることで、図6(a)に示すように、ドレイン管246−2を介する廃液吸引ノズル246−1からの吸引を開始する(ステップS103)。なお、この吸引動作は、ステップS102で示す動作の完了前に開始されてもよい。
【0065】
次に、制御部401は、駆動機構247を制御して枢軸部材241Aに固定されたアーム部242を下降させることで、キュベット保持部243を下降させる。これにより、図6(b)に示すように、キュベット保持部243における嵌着部243−1aがキュベット入出位置233に設けられた開口から測光ユニット230内のキュベットホルダ234にセットされたキュベットCの開口CAに嵌挿され、キュベットCが嵌着部243−1aに嵌着される(ステップS104)。この際、保持部材243−1を付勢するバネ242−4が押縮する程度にキュベット保持部243を下降させることで、キュベットCが確実に嵌着部243−1aに嵌着されるように構成するとよい。
【0066】
また、この動作において、廃液吸引ノズル246−1の先端部246−1aがキュベットC内の底部に当接すると、図6(b)に示すように、廃液吸引ノズル246−1を下方へ付勢していたバネ246−3が押縮され、先端部246−1aの位置が嵌着部243−1aに対して上方向へ変位する。この構成により、キュベットC内部の廃液を全て吸引できるように廃液吸引ノズル246−1の先端部246−1aをキュベットCの底部に当接させる構成が可能となると共に、廃液吸引ノズル246−1がキュベットC内の底部に当接した以降であってもキュベット保持部243の下降が可能となる。
【0067】
さらに、上記のステップS104では、廃液吸引ノズル246−1からの吸引が継続して実行されているため、キュベットC内の廃液LCは廃液吸引ノズル246−1からドレイン管246−2を介して吸引ポンプ248へ吸引された後、ドレイン管246−2cを介して廃液タンク249へ排出される(例えば図6(b)参照)。この際、嵌着部243−1aに設けられた溝243−1bによってキュベットC内部が密閉されることがないため、嵌着部243−1aを嵌着後も継続してキュベットC内を吸引すること可能である。
【0068】
次に、制御部401は、キュベットCが嵌着部243−1aに嵌着されているか否かを検出する(ステップS105)。これは、例えば駆動機構247を制御してキュベット保持部243を上昇させた際に、嵌着部243−1aのセンサ243−1hによってキュベットCが検出されるか否かを判定することで実現することができる。このステップによる検出の結果、キュベットCが嵌着部243−1aに嵌着されていない場合(ステップS105のNo)、制御部401は、ステップS104へ帰還し、再度、駆動機構247を制御してキュベット保持部243を上昇および下降させることで、キュベットCを嵌着部243−1aに嵌着させる。ただし、ステップS104に示す動作を複数回繰り返した場合でも、キュベットCの嵌着が検出されない場合、表示部404にエラーメッセージを表示し、動作を中断または終了するように構成してもよい。
【0069】
一方、ステップS105による判定の結果、キュベットCが嵌着部243−1aに嵌着されている場合(ステップS105のYes)、制御部401は、駆動機構247を制御して枢軸部材241Aに固定されたアーム部242を上昇させることで、図6(c)に示すように、キュベット保持部243の嵌着部243−1aに嵌着されたキュベットCをキュベット入出位置233からメインユニット100の上面上に抜出する(ステップS106)。続いて、制御部401は、駆動機構247を制御して枢軸部材241Aに固定されたアーム部242を枢回させることで、図7(a)に示すように、キュベットCを保持するキュベット保持部243をキュベット廃棄位置244上に移動させる(ステップS107)。
【0070】
次に、制御部401は、駆動機構247を制御して枢軸部材241Aに固定されたアーム部242を下降させることで、キュベットCをキュベット保持部243の嵌着部243−1aから脱離させる(ステップS108)。これにより、キュベットCの移送動作が完了する。
【0071】
より具体的に説明すると、まず、図7(b)に示すように、キュベット保持部243を下降させることで、嵌着されているキュベットCおよびキュベット保持部243をメインユニット100の上面におけるキュベット廃棄位置244に設けられた開口内に挿入する。この際、キュベット保持部243の保持部材243−1に設けられた凸部243−2がメインユニット100上面に当接するように構成する。
【0072】
続いて、駆動機構247を制御して枢軸部材241Aに固定されたアーム部242をさらに下降させる。この際、凸部243−2とメインユニット100上面とが当接しているため、キュベット保持部243はメインユニット100上面に対して係止している。したがって、アーム部242のさらなる下降により、キュベット保持部243の保持部材243−1を下方へ付勢していたバネ242−4が押縮され、アーム部242における第2部材242−2の下面242−2eが押進部材243−3の上端243−3bと当接する。ここで、保持部材243−1に設けられた押進部材243−3は開口レール243−3aに沿ってスライド可能である。したがって、アーム部242のさらなる下降により、図7(c)に示すように、押進部材243−3が開口レール243−3aに沿って下方へ押進し、嵌着部243−1aに嵌着されているキュベットCを下方へ押進する。この結果、嵌着部243−1aに嵌着されていたキュベットCが嵌着部243−1aから脱離し、下方に設けられたディスポーザ244a内に廃棄される。ここで、例えばディスポーザ244a内に廃棄袋をセットしておくことで、キュベットCが廃棄袋内に廃棄されるため、使用者は、廃棄袋をそのまま所定の廃棄場所へ廃棄すればよい。
【0073】
なお、制御部401は、キュベットCが嵌着部243−1aから脱離しているか否かを検出し(ステップS109)、確実に脱離するまでステップS108で説明した動作を繰り返す(ステップS109のNoおよびステップS108)。ステップS109の検出は、例えば嵌着部243−1aのセンサ243−1hによってキュベットCが検出されるか否かを判定することで実現することができる。ただし、ステップS108に示す動作を複数回繰り返した場合でも、キュベットCの脱離が検出されない場合、表示部404にエラーメッセージを表示し、動作を中断または終了するように構成してもよい。
【0074】
また、キュベットCが嵌着部243−1aから脱離したことが検出されると(ステップS109のYes)、次に、制御部401は、吸引ポンプ248を停止させる(ステップS110)。このように、本実施の形態では、容器移送手段であるキュベット廃棄ユニット240がキュベットCの移送動作を開始してから完了するまでの間にキュベットC内の液体を吸引するように構成される。なお、移送動作を開始してから完了するまでの間にキュベットC内の液体を吸引するとは、移送動作の開始から完了までの期間を通して吸引動作を行なうことを意味しておらず、移送動作が完了するまでの少なくとも一部の期間、廃棄対象のキュベットC内の液体を吸引する動作を実行することを意味している。したがって、本実施の形態では、吸引ポンプ248による吸引をキュベットC内の廃液LCの吸引を、キュベットCの嵌着部43−1aへの嵌着前に終了しても、キュベットCをキュベット廃棄位置244において脱離した後に終了してもよい。
【0075】
次に、制御部401は、駆動機構247を制御して枢軸部材241Aに固定されたアーム部242を枢回および/または上下動させることで、キュベット保持部243における廃液吸引ノズル246−1を廃液吸引ノズル洗浄ユニット245におけるノズル洗浄位置245a上(図1参照)へ移動させる。続いて、廃液吸引ノズル洗浄ユニット245およびキュベット廃棄ユニット240の廃液吸引ノズル246−1に連結された吸引ポンプ248を制御することで、廃液吸引ノズル246−1を洗浄する(ステップS111)。なお、廃液吸引ノズル246−1の洗浄は、例えば廃液吸引ノズル洗浄ユニット245から吐出された所定の洗浄水または純水の吸引および排出を1回以上実行することで実現することができる。また、廃液吸引ノズル246−1の洗浄は、複数個のキュベットCを廃棄した後、あるいは、一連の分析処理の終了後に実行するように構成してもよい。
【0076】
次に、制御部401は、一連の分析処理が終了したか否かを判定し(ステップS112)、分析処理が完了していない場合、すなわち、一連の分析処理において未測定のキュベットCが存在する場合(ステップS112のNo)、ステップS101へ帰還し、上述した一連の動作(ステップS101〜ステップS111)を再度実行する。一方、分析処理が完了している場合(ステップS112のYes)、制御部401は、処理を終了する。
【0077】
以上のように、本実施の形態によれば、キュベットCの廃棄時に廃液としての反応液とキュベットCとが分離されるため、キュベットC用のディスポーザ244aやこれにセットされた廃棄袋などに反応液などの廃液が溜まることを防止できる。これにより、使用者による運搬時の液漏れや漏れ出した液の飛散などを回避することが可能となり、使用者が生物学的災害を被ることを防止することが可能となる。
【0078】
また、本実施の形態では、上述のように、キュベットCの廃棄時に廃液としての反応液とキュベットCとが分離されるため、使用済みキュベットCの再利用が容易になるという効果も得られる。
【0079】
さらに、本実施の形態では、キュベットCを廃棄する際に同時にキュベットC内の廃液LCも吸引して排出するため、廃棄に要する時間が長くなることを回避できる。
【0080】
さらにまた、本実施の形態では、廃棄時にキュベットCより吸引した廃液LCを、分析過程において発生した他の廃液と同じ廃液タンク249に排出できるため、装置構成の複雑化および使用者による廃液作業の複雑化を回避することが可能となる。
【0081】
さらにまた、本実施の形態では、キュベット廃棄ユニット240にキュベットC内の廃液LCを排出してキュベットCと廃液とを分離する廃液分離手段(例えば反応液吸引ノズル246−1、ドレイン管246−2および吸引ポンプ248)を設けているため、自動分析装置1の大型化を可能な限り回避することができる。
【0082】
<実施の形態2>
次に、本発明の実施の形態2による自動分析装置2を図面と共に詳細に説明する。なお、本実施の形態において例示する自動分析装置2は、免疫に関する項目について測定するための分析装置であるが、本発明はこれに限定されず、例えば生化学に関する項目について分析するための自動分析装置など、種々の分析装置に本実施の形態を適用することが可能である。
【0083】
(自動分析装置)
図8は、本実施の形態による自動分析装置2の概略構成を示すブロック図である。図8に示すように、自動分析装置2は、メインユニット500と、メインユニット500に接続された制御端末400とを備える。メインユニット500は、メインユニット100と同様に、検体と試薬とを反応させ、これにより生成された反応生成物の作用による発光基質の発光量を測定するための装置である。また、制御端末400は、本発明の実施の形態と同様に、メインユニット500の制御やメインユニット500によって測定された結果の分析などを実行するための装置である。
【0084】
ここで、まず、メインユニット500について説明する。メインユニット500は、例えば、ラックセット部510と、ラック回収部520と、カートリッジストック部530と、カートリッジ移送ユニット540、回転・上下駆動機構551、X方向移動機構552、Y方向移送機構553−1および553−2よりなるカートリッジ移送機構と、分注ユニット560と、分注ユニット移送機構570と、分注チップストック部580と、分注チップディスポーザ590と、攪拌ユニット600と、光源ランプセット610および受光ユニット611と、カートリッジディスポーザ620と、吸引ノズル洗浄ユニット650と、を備える。
【0085】
上記において、カートリッジストック部530は、図9に示すような構成を有するカードリッジ531を1つ以上ストック可能である。なお、図9に示すように、本実施の形態において使用するカートリッジ531は、第1試薬が入れられる第1試薬容器531aと、第2試薬が入れられる第2試薬容器531bと、検体と第1試薬および/または第2試薬とによる反応液が生成される反応容器531cと、が一体形成された構成を有する。また、カートリッジ531の両端には、移送時に使用される掛合用の爪531dが設けられている。
【0086】
上記構成を有するカートリッジ531は、後述するカードリッジ移送機構を用いてカートリッジ供給位置532から移送され、所定のカートリッジセット位置640にセットされる。また、使用後のカートリッジ531は、廃液(第1試薬、第2試薬および/または反応液)と、容器部分(カートリッジ531)とに分離される。廃液は、後述する廃液タンク548に排出され、容器部分であるカートリッジ531は、後述するカートリッジ移送機構を用いて移送されてカートリッジディスポーザ620へ廃棄される。
【0087】
廃液とカートリッジ531との分離には、例えば後述するドレイン管546および吸引ポンプ547とが用いられる。吸引ノズル洗浄ユニット650は、ドレイン管546の先端部分である吸引ノズルを洗浄するための構成である。吸引ノズル部分の洗浄は、例えば吸引ノズル洗浄ユニット650から吐出された所定の洗浄水または純水の吸引および排出を1回以上実行することで実現することができる。
【0088】
カートリッジ移送機構は、所定容器であるカートリッジ531を保持し、これを所定の廃棄位置であるカートリッジディスポーザ620へ移送するための容器移送手段であり、上述したように、カートリッジ移送ユニット540と回転・上下駆動機構551とX方向移動機構552とY方向移動機構553−1および553−2とよりなる。カートリッジ移送ユニット540は、所定容器を着脱可能に保持するための構成である。回転・上下駆動機構551は、カートリッジ移送ユニット540を水平方向に回転させるための構成であり、例えば回転軸部材541を回転するためのモータを含む。X方向移動機構552は、X方向レール552aに沿って移動することで、カートリッジ移送ユニット540をX方向(図8中横方向)に移動させるための構成であり、例えばX方向レール552aを走行するためのモータおよび車輪を含む。Y方向移動機構553−1および553−2は、Y方向レール553aおよび553bに沿って移動することで、移送ユニット540をX方向レール552aごとY方向(図8中縦方向)に水平移動させるための構成であり、それぞれ例えばY方向レール553aまたは553bを走行するためのモータおよび車輪を含む。したがって、本実施の形態では、回転・上下駆動機構551とX方向移動機構552とY方向移動機構553−1および553−2とよりなる移動機構が、保持部を含むカートリッジ移送ユニット540を所定位置へ移動させる。なお、カートリッジ移送ユニット540については、後述において詳細に説明する。
【0089】
また、ラックセット部510は、液体状の検体が入れられた検体容器512を1つ以上保持可能な検体ラック511を1つ以上格納可能である。ラックセット部510に格納された検体ラック511は、図示しない自動搬送機構によって図8に示す搬送経路630上を搬送され、その後、ラック回収部520内に収納される。この際、検体ラック511は、搬送経路630上における検体吸引位置631に一旦停止し、分注ユニット560を用いて適宜保持している検体容器512から検体が吸引される。
【0090】
分注ユニット560は、レール570aに沿って自走可能な分注ユニット移送機構570に取り付けられており、分注ユニット移送機構570が移動することで移動ライン560a上を適宜移動する。そこで、分注ユニット560は、検体吸引位置631において吸引した検体を、カートリッジセット位置640にセットされたカートリッジ(以下、単にセット済みカートリッジという)531における反応容器531c内に注入する。また、分注ユニット560は、セット済みカートリッジ531における第1試薬容器531aおよび/または第2試薬容器531bから第1試薬および/または第2試薬を適宜吸引し、同カートリッジ531における反応容器531c内に注入する。これにより、反応容器531c内に、1つ以上の測定項目に応じた反応液が生成される。
【0091】
なお、分注ユニット560は、分注チップ581を備えており、これを用いて検体や第1または第2試薬の吸引および吐出を行なう。この分注チップ581は、例えば一度の分注ごとに交換される。交換時には、分注ユニット560が分注チップディスポーザ590上へ移動し、この位置で分注チップ581を脱離させる。その後、分注ユニット560は、1つ以上の分注チップ581がストックされた分注チップストック部580上へ移動し、この位置で新たな分注チップ581を嵌着してセットする。
【0092】
また、カートリッジ531の反応容器531c内に生成された反応液は、例えば攪拌ユニット600により攪拌された後、光源ランプセット610および受光ユニット611を用いて各項目について測定される。また、得られた測定結果は、メインユニット500外部に接続された制御端末400へ出力され、制御端末400において適宜分析される。
【0093】
なお、上記各構成要素は、本発明の実施の形態1と同様に、例えばメインユニット500に設けられたインターフェース(不図示)を介して外部接続された制御端末400からの制御の下に駆動される。制御端末400は、本発明の実施の形態1と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0094】
(カートリッジ保持ユニット)
次に、上記した自動分析装置2におけるカートリッジ移送ユニット540の構成および動作について、図面を用いて詳細に説明する。図10Aは、本実施の形態によるカートリッジ移送ユニット540の概略構成を示す斜視図であり、図10Bは、図10AにおけるD−D’間の概略断面構造を示す模式図である。
【0095】
カートリッジ移送ユニット540は、図10Aに示すように、上部が駆動機構551に連結された回転軸となる回転軸部材541と、回転軸部材541の下部に取り付けられたカートリッジ保持部540−1と、カートリッジ531の各容器内における廃液(第1/第2試薬および反応液)を廃液するための廃液部540−2と、よりなる。
【0096】
カートリッジ保持部540−1は、カートリッジ531を着脱可能に保持するための保持部であり、図10Bに示すように、回転軸部材541に固定された水平部材542(例えば連結部)と、水平部材542の両端に設けられたアーム部材543−1および543−2(例えば掛持部)と、を含む。アーム部材543−1は、一方の端がアーム部材543−1に固定され、他方の端が水平部材542の側面に出し入れ可能に嵌挿された連結部材543−1aにより、水平部材542と連結される。同様に、アーム部材543−2は、一方の端がアーム部材543−2に固定され、他方の端が水平部材542の側面に出し入れ可能に嵌挿された連結部材543−2aにより、水平部材542と連結される。
【0097】
水平部材542の内部には、制御端末400からの制御の下で回転するギア543−3が設けられている。また、連結部材543−1aにおける水平部材542に嵌挿される部分には、ギア543−3と係合する歯543−1bが設けられている。同様に、連結部材543−2aにおける水平部材542に嵌挿される部分には、ギア543−3と係合する歯543−2bが設けられている。したがって、ギア543−3が回転することで、アーム部材543−1および543−2間の距離が広狭する。
【0098】
また、図10Bに示すように、例えばアーム部材543−2には、カートリッジ531が保持されているか否かを検出するためのセンサ543−4が設けられている。センサ543−4は、例えばフォトダイオード圧電センサなどで構成される。このセンサ543−4で検出された結果は、図示しない配線を介して外部に接続された制御端末400へ送られる。
【0099】
アーム部材543−1の下部には、孔543−1cが設けられている。同様に、アーム部材543−2の下部には、孔543−2cが設けられている。各孔543−1cおよび543−2cには、カートリッジ531を保持する際に、カートリッジ531の両端に設けられた爪531dが嵌挿される。したがって、カートリッジ保持部540−1は、この孔543−1cおよび543−2cとカートリッジ531の爪531dとの掛合を利用して、カートリッジ531を保持する。
【0100】
また、廃液部540−2は、カートリッジ531を廃棄位置であるカートリッジディスポーザ620へ移送する際にカートリッジ531の各容器(531a、531bおよび531c)内の液体を吸引するための吸引手段であり、図10Bに示すように、水平部材542の下部に設けられており、水平部材542に固定されたガイド部材545−1および545−2と、ガイド部材545−1および545−2の間に配置されたスライド部材544と、を含む。
【0101】
スライド部材544におけるガイド部材545−1側の側面には、上下のスライド方向に延在する凹部544−4が設けられており、スライド部材544におけるガイド部材545−2側の側面には、制御端末400からの制御の下で回転するギア544−5が設けられている。また、ガイド部材545−1には、スライド部材544の凹部544−4に摺動可能に組み合わせられる凸部545−1aが設けられている。一方、ガイド部材545−2には、ギア544−5と係合する歯545−2aが設けられている。この構成により、ギア544−5の回転を利用して、スライド部材544が2つのガイド部材545−1および545−2で挟まれた空間を上下に移動する。
【0102】
また、図10Aおよび図10Bに示すように、スライド部材544には、セット済みカートリッジ531の各容器(531a、531bおよび531c)に入っている廃液(第1試薬、第2試薬および反応液)を吸引するための吸引管としてのドレイン管546が設けられている。ドレイン管546は、例えばカートリッジ531における各容器それぞれに対して設けられる。したがって、本実施の形態では、第1試薬容器531aに残っている第1試薬を排出するためのドレイン管546−1と、第2試薬容器531bに残っている第2試薬を排出するためのドレイン管546−2と、反応容器531cに入っている反応液を排出するためのドレイン管546−3とがそれぞれ設けられる。
【0103】
図10Bに示すように、第1試薬廃出用のドレイン管546−1は、スライド部材544に設けられた貫通孔に挿入される。ドレイン管546−1の先端部分は、吸引ノズル546−1aとして機能する。この吸引ノズル546−1aは、スライド部材544下に突出している。したがって、吸引時には、図10Aに示す吸引ポンプ547により吸引が行なわれている状態で、ドレイン管546−1の吸引ノズル546−1a部分が第1試薬容器531aの底部にまで挿入される。
【0104】
また、スライド部材544の内部には、例えば円筒状の空洞544−1が設けられている。上記のドレイン管546−1は、空洞544−1の上部に形成された貫通孔から、空洞544−1を通って、空洞544−1の下部に形成された貫通孔へ抜けるように挿入される。また、ドレイン管546−1には、これの径よりも大きな径の係止部546−1bが設けられている。この係止部546−1bは、空洞544−1の底面と当接する。この構成により、ドレイン管546−1がスライド部材544の下方へ突出しすぎることが防止される。
【0105】
さらに、スライド部材544の空洞544−1内部におけるドレイン管546−1周囲には、カートリッジ保持部540−1に対するドレイン管546−1の吸引ノズル546−1aの位置を調整するための先端位置調整手段としてのバネ546−1cが設けられる。バネ546−1cの一方の端は、空洞544−1の上面と当接する。また、他方の端は、ドレイン管546−1の係止部546−1bと当接する。したがって、ドレイン管546−1は、バネ546−1cにより下方へ付勢された状態で上下方向にスライド可能にスライド部材544に挿設される。
【0106】
なお、以上の構成は、第2試薬廃出用のドレイン管546−2および反応液排出用のドレイン管546−3についても同様である。すなわち、ドレイン管546−2は、吸引ノズル546−2aと係止部546−2bとを備え、空洞544−2を介し且つバネ546−2cで下方へ付勢された状態でスライド部材544にスライド可能に挿入される。同様に、ドレイン管546−3は、吸引ノズル546−3aと係止部546−3bとを備え、空洞544−3を介し且つバネ546−3cで下方へ付勢された状態でスライド部材544にスライド可能に挿入される。
【0107】
また、本実施の形態においてドレイン管546−1、546−2および546−3よりなるドレイン管546は、図10Aに示すように、吸引ポンプ547と連結される。本実施の形態において、吸引ポンプ547には、本発明の実施の形態1と同様に、容積ポンプや非容積ポンプなど、液体を吸引して排出することが可能なポンプであれば如何なるものも適用できる。また、この他、例えばメインユニット500内に設けられた既存のシリンジなどを吸引ポンプ547として用いてもよい。このような吸引ポンプ547は、制御端末400からの制御の下、吸引を開始または停止する。これにより、カートリッジ531における第1試薬容器531a内の第1試薬と第2試薬容器531b内の第2試薬と反応容器531c内の反応液とがそれぞれドレイン管546を通って吸引ポンプ547へ吸引される。また、吸引ポンプ547には、ドレイン管546の延長としてのドレイン管546aが接続されている。よって、吸引ポンプ547へ吸引された第1および第2試薬ならびに反応液は、ドレイン管546aを通って廃液タンク548へ排出される。したがって、使用者は、廃液タンク548に蓄えられた廃液を廃棄すればよい。なお、廃液タンク548には、例えば測定過程において発生した他の廃液なども蓄えられる。なお、廃液タンク548には、例えば分析過程において発生した他の廃液なども蓄えられる。ただし、本発明では、廃液を廃液タンク548に蓄える構成でなく、直接外部の廃棄経路へ排出する構成としてもよい。
【0108】
・カートリッジ廃棄動作
次に、本実施の形態によるセット済みカートリッジ廃棄時の動作(以下、カートリッジ廃棄動作という)について、図面を用いて詳細に説明する。図11は、本実施の形態によるカートリッジ廃棄動作を示すフローチャートであり、図12(a)〜図12(c)は、本実施の形態によるカートリッジ廃棄動作の説明を補助するための断面図である。
【0109】
本実施の形態によるカートリッジ廃棄動作を開始すると、まず、制御端末400の制御部401は、カートリッジ531をカートリッジ廃棄位置であるカートリッジディスポーザ620へ移送する移送動作を開始する。したがって、制御部401は、X方向移動機構552、Y方向移動機構553−1および553−2ならびに駆動機構551を制御することで、図12(a)に示すように、カートリッジ移送ユニット540をカートリッジセット位置640(例えば図8参照)にセットされたカートリッジ531上へ移動させる(ステップS301)。
【0110】
また、本実施の形態によるカートリッジ廃棄動作では、制御部401が、ギア543−3を回転させることで、図12(a)に示すように、カートリッジ保持部540−1におけるアーム部材543−1および543−2間の距離を広げることで、カートリッジ保持部540−1を開いた状態にする(ステップS302)。この際、アーム部材543−1および543−2間の距離が、カートリッジ531の一方の爪531dの先端から他方の爪531dの先端までの距離よりも大きくなるように、アーム部材543−1および543−2間を広げる。なお、この動作は、ステップS301で示す動作と並列に実行されてもよい。
【0111】
また、本実施の形態によるカートリッジ廃棄動作では、制御部401が、吸引ポンプ547を作動させることで、ドレイン管546−1、546−2および546−3からの吸引を開始する(ステップS303)。なお、この吸引動作は、ステップS302で示す動作の完了前に開始されてもよい。
【0112】
次に、制御部401は、図12(b)に示すように、駆動機構551を制御してカートリッジ移送ユニット540を下降させた後、ギア543−3を回転させてアーム部材543−1および543−2間を閉じることで、カートリッジ保持部540−1にカートリッジ531を保持させると共に、ギア544−5を回転させることで廃液部540−2を下降させてカートリッジ531における各容器(531a、531bおよび531c)内の廃液(第1試薬、第2試薬および/または反応液)を吸引する(ステップS304)。この際、カートリッジ保持部540−1のアーム部材543−1および543−2における孔543−1cおよび543−2cをそれぞれカートリッジ531の爪531dに掛合させることにより、カートリッジ531がカートリッジ保持部540−1に保持される。また、このステップでは、ドレイン管546−1、546−2および546−3を介した吸引が継続して実行されているため、カートリッジ531の各容器(531a、531bおよび531c)に入っている廃液は、それぞれ吸引ノズル546−1a、546−2aおよび546−3aからドレイン管546(546−1、546−2および546−3)を介して吸引ポンプ547へ送られた後、ドレイン管546aを介して廃液タンク548へ排出される(図10A参照)。
【0113】
また、この動作において、各ドレイン管546−1、546−2および546−3の吸引ノズル546−1a、546−2aおよび546−3aの先端がカートリッジ531の各容器(531a、531bおよび531c)の底部にそれぞれ当接すると、図12(b)に示すように、ドレイン管546−1、546−2および546−3をそれぞれ下方へ付勢していたバネ546−1c、546−2cおよび546−3cが押縮され、各吸引ノズル546−1a、546−2aおよび546−3aの先端位置がスライド部材544に対して独立して上方向へ変位する。この構成により、吸引ノズル546−1a、546−2aおよび546−3aのいずれかがカートリッジ531の各容器(531a、531bおよび531c)の底部に当接した以降であっても、スライド部材544を下降させることが可能となり、すべての吸引ノズル546−1a、546−2aおよび546−3aの先端をカートリッジ531の各容器(531a、531bおよび531c)の底部に当接させることができ、各容器(531a、531bおよび531c)内の廃液を確実に排出することが可能となる。
【0114】
次に、制御部401は、カートリッジ移送ユニット540がカートリッジ531を保持しているか否かを検出する(ステップS305)。これは、例えば駆動機構551を制御してカートリッジ移送ユニット540を上昇させた際に、カートリッジ保持部540−1のセンサ543−4によってカートリッジ531が検出されるか否かを判定することで実現することができる。このステップによる検出の結果、カートリッジ保持部540−1がカートリッジ531を保持していない場合(ステップS305のNo)、制御部401は、ステップS304へ帰還し、再度、駆動機構551およびギア543−3を制御してカートリッジ移送ユニット540の上昇および下降ならびにアーム部材543−1および543−2の開閉を行なうことで、カートリッジ保持部540−1にカートリッジ531を保持させる。ただし、ステップS304に示す動作を複数回繰り返した場合でも、カートリッジ531の保持が検出されない場合、表示部404にエラーメッセージを表示し、動作を中断または終了するように構成してもよい。
【0115】
一方、ステップS305による判定の結果、カートリッジ保持部540−1がカートリッジ531を保持している場合(ステップS305のYes)、制御部401は、X方向移動機構552、Y方向移動機構553−1および553−2ならびに駆動機構551を制御することで、図12(c)に示すように、カートリッジ移送ユニット540をカートリッジディスポーザ620上に移動させる(ステップS306)。
【0116】
次に、制御部401は、ギア543−3を回転させてカートリッジ保持部540−1におけるアーム部材543−1および543−2間の距離を広げることで、図12(c)に示すように、カートリッジ保持部540−1に保持されていたカートリッジ531を放離する(ステップS307)。これにより、カートリッジ531の爪531dがアーム部材543−1および543−2の孔543−1cおよび543−2cからそれぞれ外れ、カートリッジ531が落下してカートリッジディスポーザ620内に廃棄される。ここで、例えばカートリッジディスポーザ620内に廃棄袋をセットしておくことで、カートリッジ531が廃棄袋内に廃棄されるため、使用者は、廃棄袋をそのまま所定の廃棄場所へ廃棄すればよい。
【0117】
なお、制御部401は、カートリッジ531がカートリッジ保持部540−1から放離されているか否かを検出し(ステップS308)、確実に放離されるまでステップS307で説明した動作を繰り返す(ステップS308のNoおよびステップS307)。ステップS308の検出は、例えばカートリッジ保持部540−1のアーム部材543−2に取り付けられたセンサ543−4によってカートリッジ531が検出されるか否かを判定することで実現することができる。ただし、ステップS307に示す動作を複数回繰り返した場合でも、カートリッジ531の放離が検出されない場合、表示部404にエラーメッセージを表示し、動作を中断または終了するように構成してもよい。
【0118】
また、カートリッジ531がカートリッジ保持部540−1から放離したことが検出されると(ステップS308のYes)、次に、制御部401は、吸引ポンプ547を停止させる(ステップS309)。ただし、吸引ポンプ547による吸引は、例えばカートリッジ531の各容器(531a、531bおよび531c)内の廃液が十分に排出された段階で終了してもよい。
【0119】
次に、制御部401は、X方向移動機構552、Y方向移動機構553−1および553−2ならびに駆動機構551を制御することで、カートリッジ移送ユニット540を吸引ノズル洗浄ユニット650(図8参照)へ移動させ、カートリッジ移送ユニット540における各ドレイン管546−1、546−2および546−3の吸引ノズル546−1a、546−2aおよび546−3aを洗浄し(ステップS310)、その後、処理を終了する。なお、吸引ノズル546−1a、546−2aおよび546−3aの洗浄は、例えば吸引ノズル洗浄ユニット650から吐出された所定の洗浄水または純水の吸引および排出を1回以上実行することで実現することができる。
【0120】
・カートリッジ供給動作
次に、本実施の形態によるカートリッジ供給時の動作(以下、カートリッジ供給動作という)について、図面を用いて詳細に説明する。図13は、本実施の形態によるカートリッジ供給動作を示すフローチャートである。
【0121】
本実施の形態によるカートリッジ供給動作では、まず、制御部401が、X方向移動機構552、Y方向移動機構553−1および553−2ならびに駆動機構551を制御することで、カートリッジ移送ユニット540をカートリッジ供給位置532上に移動させる(ステップS401)。
【0122】
また、本実施の形態によるカートリッジ供給動作では、制御部401が、ギア543−3を回転させることで、図11においてステップS302で示した動作と同様に、カートリッジ保持部540−1におけるアーム部材543−1および543−2間の距離を広げ、開いた状態にする(ステップS402)。なお、この動作は、ステップS401で示す動作と並列に実行されてもよい。
【0123】
次に、制御部401は、図11においてステップS304で示した動作におけるカートリッジ保持部540−1の動作と同様に、駆動機構551を制御してカートリッジ移送ユニット540を下降させた後、ギア543−3を回転させてアーム部材543−1および543−2間を閉じることで、カートリッジ保持部540−1にカートリッジ531を保持させる(ステップS403)。
【0124】
次に、制御部401は、図11においてステップS305で示した動作と同様に、カートリッジ移送ユニット540がカートリッジ531を保持しているか否かを検出する(ステップS404)。このステップによる検出の結果、カートリッジ保持部540−1がカートリッジ531を保持していない場合(ステップS404のNo)、制御部401は、ステップS403へ帰還し、再度、駆動機構551およびギア543−3を制御してカートリッジ移送ユニット540の上昇および下降ならびにアーム部材543−1および543−2の開閉を行うことで、カートリッジ保持部540−1にカートリッジ531を保持させる。ただし、ステップS403に示す動作を複数回繰り返した場合でも、カートリッジ531の保持が検出されない場合、表示部404にエラーメッセージを表示し、動作を中断または終了するように構成してもよい。
【0125】
一方、ステップS404による判定の結果、カートリッジ保持部540−1がカートリッジ531を保持している場合(ステップS404のYes)、制御部401は、X方向移動機構552、Y方向移動機構553−1および553−2ならびに駆動機構551を制御することで、カートリッジ移送ユニット540をカートリッジセット位置640上に移動させる(ステップS405)。
【0126】
次に、制御部401は、駆動機構551を制御してカートリッジ移送ユニット540を下降させた後、ギア543−3を回転させてアーム部材543−1および543−2間を開くことで、カートリッジセット位置640にカートリッジ531をセットする(ステップS406)。
【0127】
なお、制御部401は、カートリッジ531がカートリッジセット位置640にセットされているか否かを検出し(ステップS407)、セットされるまでステップS406で説明した動作を繰り返す(ステップS407のNoおよびステップS406)。ステップS407の検出は、例えばカートリッジ保持部540−1のアーム部材543−2に取り付けられたセンサ543−4によってカートリッジ531がカートリッジ保持部540−1から放離されているか否かを検出することで実現することができる。ただし、ステップS406で示す動作を複数回繰り返した場合でも、カートリッジ531の放離が検出されない場合、表示部404にエラーメッセージを表示し、動作を中断または終了するように構成してもよい。また、カートリッジ531がセットされたことが検出されると(ステップS407のYes)、制御部401は、処理を終了する。
【0128】
以上のように、本実施の形態によれば、カートリッジ531の廃棄時に廃液としての第1/第2試薬および反応液とカートリッジ531とが分離されるため、カートリッジディスポーザ620やこれにセットされた廃棄袋などに反応液などの廃液が溜まることを防止できる。これにより、使用者による運搬時の液漏れや漏れ出した液の飛散などを回避することが可能となり、使用者が生物学的災害を被ることを防止することが可能となる。
【0129】
また、本実施の形態では、上述のように、カートリッジ531の廃棄時に第1/第2試薬や反応液などの廃液とカートリッジ531とが分離されるため、使用済みカートリッジ531の再利用が容易になるという効果も得られる。
【0130】
さらに、本実施の形態では、カートリッジ531を廃棄する際に同時にカートリッジ531内の廃液も吸引して排出するため、廃棄に要する時間が長くなることを回避できる。
【0131】
さらにまた、本実施の形態では、廃棄時にカートリッジ531より吸引した廃液を、分析過程において発生した他の廃液と同じ廃液タンク548に排出できるため、装置構成の複雑化および使用者による廃液作業の複雑化を回避することが可能となる。
【0132】
さらにまた、本実施の形態では、カートリッジ移送ユニット540にカートリッジ531内の廃液を排出する手段(例えば廃液部540−2)を設けているため、自動分析装置2の大型化を可能な限り回避することができる。
【0133】
また、上記実施の形態は本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、仕様等に応じて種々変形することは本発明の範囲内であり、更に本発明の範囲内において、他の様々な実施の形態が可能であることは上記記載から自明である。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】本発明の実施の形態1による自動分析装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2A】本発明の実施の形態1において使用するキュベットの概略構成を示す斜視図である。
【図2B】本発明の実施の形態1において使用するキュベットの変形例の概略構成を示す斜視図である。
【図3A】本発明の実施の形態1によるキュベット廃棄ユニットの概略構成を示す上面図である。
【図3B】本発明の実施の形態1によるキュベット廃棄ユニットの概略構成を示す側面図である。
【図3C】本発明の実施の形態1によるキュベット廃棄ユニットを図3BにおけるB方向から見た際の概略構成を示す正面図である。
【図3D】図3CにおけるC−C’断面の概略構造を示す模式図である。
【図4】本発明の実施の形態1によるキュベット廃棄ユニットの図3AにおけるA−A’断面の概略構造を模式的に示す断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1によるキュベット廃棄動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態1によるキュベット廃棄動作の説明を補助するための断面図である(その1)。
【図7】本発明の実施の形態1によるキュベット廃棄動作の説明を補助するための断面図である(その2)。
【図8】本発明の実施の形態2による自動分析装置の概略構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施の形態2において使用するカートリッジの概略構成を示す斜視図である。
【図10A】本発明の実施の形態2によるカードリッジ移送ユニットの概略構成を示す斜視図である。
【図10B】図10Aに示すカートリッジ移送ユニットのD−D’断面の概略構成を示す断面図である。
【図11】本発明の実施の形態2によるカートリッジ廃棄動作を示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態2によるカートリッジ廃棄動作の説明を補助するための断面図である。
【図13】本発明の実施の形態2によるカートリッジ供給動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0135】
1、2 自動分析装置
100 メインユニット
230 測光ユニット
233 キュベット入出位置
234 キュベットホルダ
240 キュベット廃棄ユニット
241 枢軸
241A 枢軸部材
241a 上面
241b、242−2e 下面
241c、242−2c、243−1g 貫通孔
242 アーム部
242−1 第1部材
242−2 第2部材
242−2a、243−1e 空洞
242−2b 絞り部
242−2d 段差部
242−3 第3部材
242−4、246−3 バネ
242−5、243−5 持設部材
242−6 固定部材
243 キュベット保持部
243−1 保持部材
243−1a 嵌着部
243−1b 溝
243−1d テーパ部
243−1f 底面
243−1h センサ
243−2 凸部
243−3 押進部材
243−3a 開口レール
243−3b 上端
243−4 バネ軸部材
244 キュベット廃棄位置
244a ディスポーザ
245 廃液吸引ノズル洗浄ユニット
245a ノズル洗浄位置
246−1 廃液吸引ノズル
246−1a、246−2a 先端部
246−1b 掛合部
246−2 ドレイン管
246−2b 後端部
246−2c ドレイン管
247 駆動機構
248 吸引ポンプ
249 廃液タンク
C、C2 キュベット
CA、CA2 開口
LC 廃液
400 制御端末
401 制御部
402 分析部
403 入力部
404 表示部
405 記憶部
410 インターフェース(I/F)
420 回線
500 メインユニット
531 カートリッジ
531a 第1試薬容器
531b 第2試薬容器
531c 反応容器
531d 爪
532 カートリッジ供給位置
540 カートリッジ移送ユニット
540−1 カートリッジ保持部
540−2 廃液部
541 回転軸部材
542 水平部材
543−1、543−2 アーム部材
543−1a、543−2a 連結部材
543−1b、543−2b、545−2a 歯
543−1c、543−2c 孔
543−3、544−5 ギア
543−4 センサ
544 スライド部材
544−1、544−2、544−3 空洞
544−4 凹部
545−1、545−2 ガイド部材
545−1a 凸部
546、546a、546−1、546−2、546−3 ドレイン管
546−1a、546−2a、546−3a 吸引ノズル
546−1b、546−2b、546−3b 係止部
546−1c、546−2c、546−3c バネ
547 吸引ポンプ
548 廃液タンク
551 駆動機構
552 X方向移動機構
553−1、553−2 Y方向移動機構
620 カートリッジディスポーザ
640 カートリッジセット位置
650 吸引ノズル洗浄ユニット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定容器を所定の廃棄位置へ移送する容器移送手段と、
前記容器移送手段が前記所定容器の移送動作を開始してから完了するまでの間に前記所定容器内の液体を吸引する吸引手段と、
を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記容器移送手段は、前記所定容器を着脱可能に保持する保持部と、該保持部を所定位置へ移動させる移動機構と、を含み、
前記吸引手段は、前記保持部に保持された吸引管と、該吸引管に接続された吸引ポンプと、を含み、
前記吸引管は、前記保持部が前記所定容器を保持する際に先端部が該所定容器内に挿入されることを特徴とする請求項1記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記吸引ポンプは、前記保持部が前記所定容器を保持する前に吸引を開始することを特徴とする請求項2記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記保持部に対する前記吸引管の先端部の位置を調整する先端位置調整手段を備えたことを特徴とする請求項2または3記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記先端位置調整手段は、前記吸引管の先端部を下方へ付勢するバネを含み、
前記吸引管は、前記バネにより下方へ付勢された状態で上下方向にスライド可能に前記保持部に保持され、
前記吸引管の先端部は、前記保持部が前記所定容器を保持している状態で該所定容器の底部に当接することを特徴とする請求項4記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記所定容器は、上部が開口されており、
前記保持部は、前記所定容器の前記開口に嵌挿されることで該所定容器を保持する嵌着部を含み、
前記吸引管の先端部は、前記嵌着部底部から突出していることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一つに記載の自動分析装置。
【請求項7】
前記嵌着部は、前記所定容器の開口形状と異なる断面形状を有していることを特徴とする請求項6記載の自動分析装置。
【請求項8】
前記所定容器は、両側に爪を有し、
前記保持部は、前記所定容器の前記爪と掛合可能な孔が形成された2つの掛持部と、該掛持部を開閉可能に連結する連結部と、前記連結部に固定されたガイド部と、該ガイド部によって上下方向にスライド可能に保持されたスライド部と、を含み、
前記吸引管は、先端部が前記スライド部底部から突出するように該スライド部に保持されていることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一つに記載の自動分析装置。
【請求項9】
前記容器移送手段により移送された前記所定容器を廃棄する廃棄部を備えたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の自動分析装置。
【請求項10】
前記吸引手段により吸引された液体を蓄える廃液タンクを備えたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の自動分析装置。
【請求項11】
所定容器を1以上ストックする容器ストック部を備え、
前記容器移送手段は、前記容器ストック部から所定容器を取得し、該取得した所定容器を所定位置へセットすることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載の自動分析装置。
【請求項12】
所定容器を所定の廃棄位置へ移送する移送ユニットであって、
前記所定容器の移送動作を開始してから完了するまでの間に前記所定容器内の液体を吸引する吸引手段を備えたことを特徴とする移送ユニット。
【請求項13】
前記所定容器を着脱可能に保持する保持部を備え、
前記吸引手段は、前記保持部に保持された吸引管を含み、
前記吸引管は、前記保持部が前記所定容器を保持する際に先端部が該所定容器内に挿入されることを特徴とする請求項12記載の移送ユニット。
【請求項14】
前記保持部に対する前記吸引管の先端部の位置を調整する先端位置調整手段を備えたことを特徴とする請求項13記載の移送ユニット。
【請求項15】
前記先端位置調整手段は、前記吸引管の先端部を下方へ付勢するバネを含み、
前記吸引管は、前記バネにより下方へ付勢された状態で上下方向にスライド可能に前記保持部に保持され、
前記吸引管の先端部は、前記保持部が前記所定容器を保持している状態で該所定容器の底部に当接することを特徴とする請求項14記載の移送ユニット。
【請求項16】
前記所定容器は、上部が開口されており、
前記保持部は、前記所定容器の前記開口に嵌挿されることで該所定容器を保持する嵌着部を含み、
前記吸引管の先端部は、前記嵌着部底部から突出していることを特徴とする請求項13〜15のいずれか一つに記載の移送ユニット。
【請求項17】
前記嵌着部は、前記所定容器の開口形状と異なる断面形状を有していることを特徴とする請求項16記載の移送ユニット。
【請求項18】
前記所定容器は、両側に爪を有し、
前記保持部は、前記所定容器の前記爪と掛合可能な孔が形成された2つの掛持部と、該掛持部を開閉可能に連結する連結部と、前記連結部に固定されたガイド部と、該ガイド部によって上下方向にスライド可能に保持されたスライド部と、を含み、
前記吸引管は、先端部が前記スライド部底部から突出するように該スライド部に保持されていることを特徴とする請求項13〜15のいずれか一つに記載の移送ユニット。
【請求項1】
所定容器を所定の廃棄位置へ移送する容器移送手段と、
前記容器移送手段が前記所定容器の移送動作を開始してから完了するまでの間に前記所定容器内の液体を吸引する吸引手段と、
を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記容器移送手段は、前記所定容器を着脱可能に保持する保持部と、該保持部を所定位置へ移動させる移動機構と、を含み、
前記吸引手段は、前記保持部に保持された吸引管と、該吸引管に接続された吸引ポンプと、を含み、
前記吸引管は、前記保持部が前記所定容器を保持する際に先端部が該所定容器内に挿入されることを特徴とする請求項1記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記吸引ポンプは、前記保持部が前記所定容器を保持する前に吸引を開始することを特徴とする請求項2記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記保持部に対する前記吸引管の先端部の位置を調整する先端位置調整手段を備えたことを特徴とする請求項2または3記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記先端位置調整手段は、前記吸引管の先端部を下方へ付勢するバネを含み、
前記吸引管は、前記バネにより下方へ付勢された状態で上下方向にスライド可能に前記保持部に保持され、
前記吸引管の先端部は、前記保持部が前記所定容器を保持している状態で該所定容器の底部に当接することを特徴とする請求項4記載の自動分析装置。
【請求項6】
前記所定容器は、上部が開口されており、
前記保持部は、前記所定容器の前記開口に嵌挿されることで該所定容器を保持する嵌着部を含み、
前記吸引管の先端部は、前記嵌着部底部から突出していることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一つに記載の自動分析装置。
【請求項7】
前記嵌着部は、前記所定容器の開口形状と異なる断面形状を有していることを特徴とする請求項6記載の自動分析装置。
【請求項8】
前記所定容器は、両側に爪を有し、
前記保持部は、前記所定容器の前記爪と掛合可能な孔が形成された2つの掛持部と、該掛持部を開閉可能に連結する連結部と、前記連結部に固定されたガイド部と、該ガイド部によって上下方向にスライド可能に保持されたスライド部と、を含み、
前記吸引管は、先端部が前記スライド部底部から突出するように該スライド部に保持されていることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一つに記載の自動分析装置。
【請求項9】
前記容器移送手段により移送された前記所定容器を廃棄する廃棄部を備えたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の自動分析装置。
【請求項10】
前記吸引手段により吸引された液体を蓄える廃液タンクを備えたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の自動分析装置。
【請求項11】
所定容器を1以上ストックする容器ストック部を備え、
前記容器移送手段は、前記容器ストック部から所定容器を取得し、該取得した所定容器を所定位置へセットすることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載の自動分析装置。
【請求項12】
所定容器を所定の廃棄位置へ移送する移送ユニットであって、
前記所定容器の移送動作を開始してから完了するまでの間に前記所定容器内の液体を吸引する吸引手段を備えたことを特徴とする移送ユニット。
【請求項13】
前記所定容器を着脱可能に保持する保持部を備え、
前記吸引手段は、前記保持部に保持された吸引管を含み、
前記吸引管は、前記保持部が前記所定容器を保持する際に先端部が該所定容器内に挿入されることを特徴とする請求項12記載の移送ユニット。
【請求項14】
前記保持部に対する前記吸引管の先端部の位置を調整する先端位置調整手段を備えたことを特徴とする請求項13記載の移送ユニット。
【請求項15】
前記先端位置調整手段は、前記吸引管の先端部を下方へ付勢するバネを含み、
前記吸引管は、前記バネにより下方へ付勢された状態で上下方向にスライド可能に前記保持部に保持され、
前記吸引管の先端部は、前記保持部が前記所定容器を保持している状態で該所定容器の底部に当接することを特徴とする請求項14記載の移送ユニット。
【請求項16】
前記所定容器は、上部が開口されており、
前記保持部は、前記所定容器の前記開口に嵌挿されることで該所定容器を保持する嵌着部を含み、
前記吸引管の先端部は、前記嵌着部底部から突出していることを特徴とする請求項13〜15のいずれか一つに記載の移送ユニット。
【請求項17】
前記嵌着部は、前記所定容器の開口形状と異なる断面形状を有していることを特徴とする請求項16記載の移送ユニット。
【請求項18】
前記所定容器は、両側に爪を有し、
前記保持部は、前記所定容器の前記爪と掛合可能な孔が形成された2つの掛持部と、該掛持部を開閉可能に連結する連結部と、前記連結部に固定されたガイド部と、該ガイド部によって上下方向にスライド可能に保持されたスライド部と、を含み、
前記吸引管は、先端部が前記スライド部底部から突出するように該スライド部に保持されていることを特徴とする請求項13〜15のいずれか一つに記載の移送ユニット。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−78335(P2010−78335A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−243729(P2008−243729)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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