説明

自動化不眠症治療システム

【課題】覚醒/睡眠状態を判定するための受動手段を使用する不眠症を治療するための自動化された行動的方法およびシステムを提供する。
【解決手段】不眠症を患う被験者を治療するための自動化された方法であって、被験者の覚醒/睡眠状態を示す情報を使用する不眠症の治療のための行動療法を選択することと、被験者の側で必要な行動なしで被験者の覚醒/睡眠状態を示す情報を生成するために受動覚醒/睡眠判定手段を提供することと、必要に応じて覚醒/睡眠情報を使用する上記行動療法のステップを実施することと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許出願へのクロスリファレンス
この出願は、2003年2月28日に出願された米国予備特許出願No. 60/451,055号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、主に、不眠症を患う人を助けることに関し、より詳細には、覚醒/睡眠状態を判定する受動方法を使用する不眠症治療のための高度に効果的な自動化システムに関する。
【背景技術】
【0003】
不眠症は、睡眠を開始または維持することが困難であるという愁訴、あるいは、睡眠が爽快ではなくまたは元気を回復することができないという愁訴である。不眠症を患う人は、眠りに入ることか眠り続けることが困難であるか、または、早く起き過ぎる。結果として不眠症の人は、毎夜の不眠だけではなく、次の日の疲労、意識混濁、いらいらについても不安を抱き始める。
【0004】
不眠症は、広く一般化した問題である。たとえば、米国で行われた研究によると、50%を超える回答者が、少なくとも1週間に数夜、下記の不眠症の症状の少なくとも1つを経験したと報告した。すなわち、眠りに入る困難さ、夜間の頻繁な覚醒、早過ぎる覚醒および再度睡眠に戻ることができないこと、そして寝覚めの悪さ感じて起きることである。事実、35%の回答者が、毎晩またはほぼ毎晩、これら4つの不眠症症状の少なくとも1つを経験したと語っている。これらの研究の統計を、研究が行われたときの米国国勢調査の場合に当てはめると、1億2千万人を超える米国の成人が、少なくとも1週間に数夜、不眠症の4つの症状のうち少なくとも1つを経験していることが示唆されている。この1億2千万人のうち、7千万を超える人が毎晩または、ほぼ毎晩これらの症状を経験している。米国内での不眠症の直接的経済コストは、毎年140億米ドルに近いと推定される。一般に市販されている薬物および薬草療法等の「オルタナティブ」治療に使われる額は、この概算の2倍に及ぶ可能性がある。
【0005】
非薬理的な行動療法は、不眠症の治療に重要な成功を達成している。行動療法は、薬理的な療法に対して多くの利点を有する。すなわち、
・耐性、依存または副作のためのリスクがない、
・症状を治療する代わりに、中心的行動を修正する、
・安全および効果の記録化、
である。不眠症の治療のために効果的であると判っている非薬理的な行動療法は多数ある。もっとも広範囲に評価されているものは、刺激制御療法、睡眠抑制療法、リラクゼーショントレーニングおよび逆説的志向である。これらの療法の中で、刺激制御療法よりも効果的であるとされる技術はない。
【0006】
刺激制御療法は、不眠症が、通常、睡眠に関連する一時的な(就寝時刻)きっかけや環境的な(ベッド/寝室)きっかけに対する条件付応答であるという仮定に基づいている。したがって、刺激制御療法の主な目的は、起きたままでいることへの手がかりとして作用する明白なおよび隠れた睡眠の相容れない活動を短縮することによって、および、変わりのない覚醒および睡眠スケジュールを強制することによって、ベッドおよび寝室を即座の睡眠開始に再び関連させることである。刺激制御療法は、下記の指令手順から構成されるとして特徴づけられてもよい。
1.ベッドおよび寝室を睡眠のためのみに使用する(性行為がこのルールの唯一の例外である)。
2.ベッドに入るときには、すぐに眠りに就くために灯りを消す。
3.短い時間内に(たとえば、15分から20分)眠りに入ることができないと自分でわかった場合には、ベッドを出て寝室を離れる。望む限り起きておき、すぐに眠ることができるときに寝室に戻る。
4.依然として眠りに入ることができない場合には、ステップ3を繰り返す。一晩中、必要なだけ頻繁にこれを行う。
5.前の夜の睡眠持続時間にかかわらず、朝には規則的な覚醒時間を維持する。
6.昼間の居眠りを避ける。
【0007】
不眠症を治療する別の非薬理的な行動的アプローチ、すなわち睡眠抑制療法は、睡眠時間の主観的な量に、より近づくように、ベッド内で過ごす時間の量を短縮することから構成される。たとえば、ベッドで過ごす8時間のうち一夜当たり平均5時間の睡眠を報告している人の場合には、初期の所定睡眠ウインドウ(すなわち、就寝時刻から起床時刻まで)は、5時間である。その後、ベッド内での許可可能な時間は、睡眠効率(ベッド内で過ごした合計時間に対する合計睡眠時間の率)が0.9を超える場合には、所与の週に15〜20分だけ増加し、睡眠効率が0.8より下の場合には、同一の時間量だけ減少し、睡眠効率が0.8から0.9の間になる場合には、安定した状態が維持される。調整は、所望の睡眠持続時間が達成されるまで、周期的に行われる(通常、週ベースで)。睡眠抑制療法は、より早い睡眠の開始、より高い睡眠効率、および、より少ない夜内変動性をもたらす。また、睡眠抑制療法を実施しているときに過度の昼間の眠気を防止するために、ベッド内時間は、1夜当たり5時間未満にならないことが一般に薦められる。
【0008】
睡眠パラメータ(たとえば、睡眠開始までの待ち時間、合計睡眠時間、睡眠開始後の合計覚醒時間、睡眠効率等)の自己査定を必要とする不眠症治療のためのこれらの行動的手法は、睡眠パラメータを意識して把握する負担を自動化システムに委ねることで、有意に高めることができる。たとえば、睡眠抑制療法への現在のアプローチで、患者は、各夜に達成された睡眠の量に注意し且つ各週の平均睡眠時間および平均睡眠効率を手で計算する必要がある。不眠症を患う人はその睡眠時間を大幅に過小評価する傾向があるため、過度に制限された睡眠スケジュールを有するプログラムを始めることがあり、そのため、容認し難いレジメンを計画として組んでしまい、コンプライアンスの低下を招いてしまう。さらに、患者は、その睡眠パラメータを継続して再評価し、睡眠スケジュールを、適宜、調整する必要がある。
【0009】
不眠症のための行動療法の自動化で中心となることは、睡眠パラメータの判定である。睡眠パラメータの判定は、覚醒/睡眠判定、すなわち、被験者が覚醒しているかまたは眠っているかに関する判定を必要とし、これらの用語は当業者では理解されている。覚醒/睡眠状態を判定するための公知の技術は、能動的か、または受動的かのいずれかの装置を使用して被験者の視点から判定される2つの広いカテゴリーに分類される。被験者が覚醒しているかまたは眠っているかを判定するための被験者の動作に依存する装置は、能動装置とみなされる。能動装置は、たとえば、被験者がボタンを押すことで音声トーンに応答することが必要となる場合や、被験者がいずれかの所与の瞬間に覚醒しているかまたは眠っているかを推察/判定するためにデッドマンスイッチのプランジャを押さえつける必要がある場合がある。対照的に、受動装置は、被験者が覚醒しているかまたは眠っているかを判定するために被験者の側で行動を必要とすることはない。受動装置は、たとえば、脳波記録(EEG)信号を使用して覚醒または睡眠の状態を示し、この場合は、判定を行うために被験者の側でいずれの行動をも必要としない。
【0010】
装置の両方のカテゴリーには利点および欠点がある。おそらく受動装置に対する能動装置での1つの最大の利点は、その相対的な簡易性である。たとえば、デッドマンスイッチ(能動装置)の接触状態をモニタすることは、EEG分析(受動装置)を使用して覚醒/睡眠状態の変化を判定しようとするよりもはるかに簡単であり、直接的である。
【0011】
2002年に、Riley,W.らは、ネバダ州リーノーでの、行動療法の進歩のための協会(Association for the Advancement of Behavior Therapy)のNo. 36回年次総会で、「コンピュータ化された一次性不眠への行動的介入の初期評価(Initial Evaluation of a Computerized Behavioral Intervention for Primary Insomnia)」という名称のアブストラクトにおいて、覚醒/睡眠状態情報を必要とする不眠症のための行動療法に関して語っている。そのアプローチは、被験者が応答することが必要とされる10分ごとの低音量の可聴ビープ音を生成する能動装置を使用した。このビープ音の発生およびそれに対する応答(または応答の欠如)を、被験者の覚醒/睡眠状態を判定するために使用された。しかし、このような覚醒/睡眠判定の能動方法は、真に自動化されたものではなく、下記のような多くの欠点を有している。
(1)刺激(ビープ音)の連続的な生成は、被験者に過度の作業負荷を生ぜしめる可能性がある。被験者が非常に頻繁に刺激に応答するという負担をかけられる場合には、装置自体が、眠りに入るプロセスに干渉する可能性がある。対照的に、刺激を与える頻度が低過ぎる場合には、一時的な精度のため、覚醒/睡眠判定の時間局在性が不正確になり過ぎる。連続刺激の間の長時間インターバルは、被験者が眠りに入る機会を与えるが、被験者の覚醒/睡眠状態に関する現在の情報を求める装置の必要性とは対立する。たとえば、10分ごとに連続刺激を呈示すると、装置は、介入時間中に起こったことはわからない;被験者がインターバル中に眠りに入ったり覚醒したりすることが可能である、等の理由からである。これは、行動療法の実施に否定的な衝撃を与える可能性がある。
(2)Rileyらの能動装置に使用される刺激は、低振幅の場合には被験者に見落とされる可能性があるか、または、振幅が高過ぎる場合には被験者を起こしてしまう可能性がある。あるいは、小振幅振動刺激を使用する能動装置は、見落とされる可能性があり、または、大振幅振動刺激は被験者を起こす可能性がある。同一の欠点は、能動装置に用いられる他の種類の刺激にも当てはまる。
(3)能動装置を使用する場合には、被験者は、覚醒性のより高いレベルにあり、作業を行わなければならないことで睡眠を阻害されることもある。結果として、被験者は、ベッド内で単にリラックスすることができず、受動的に装置に依存する。不眠症患者の睡眠時間は、睡眠障害のない人よりもストレスが多いため、能動装置は不眠症患者には特に有害でありうる。眠りに入ろうとしている人に要求される作業は、睡眠に否定的な衝撃をもたらすが、これは、不眠症患者では特にそうである。デッドマンスイッチのプランジャを押し下げるほど簡単な作業であっても、リラックスして知らないうちに眠らなければならいときには、高レベルの覚醒性を必要とする(すなわち、スイッチを押さえ続けることを確実にさせる)。
(4)特に視覚刺激または聴覚刺激を使用する場合には、ベッドパートナーを起こしてしまう能動装置もある。
(5)スイッチの接触を使用する方法は、被験者が覚醒するときに自動的に再係合することができないという欠点を有する。このため、睡眠開始の初回のエピソードを検出するだけになってしまう。不眠症を患う人はまた夜間に覚醒した後に睡眠に戻ることが困難でありうるか、または、おそらく、単に眠ったままでいることが困難であることもある。たとえば、デッドマンスイッチでは、装置が覚醒後に睡眠開始の次の期間を再判定するために被験者によって再係合されなければならない。これらの方法は、健常者の睡眠で多くの場合では、使用が極めてやっかいなものとなり、睡眠が非常に中断される人には特に困難である。
【0012】
能動的な覚醒/睡眠判定方法は、下記を含む他の出願にも記載されている。
【0013】
MacLeanの米国特許No. 5,259,390号には、睡眠行動をモニタするために手に装着された振動刺激応答装置が記載されている。この装置は、完全睡眠ポリグラフが与えられる前の、家庭内でのプリスクリーニングを意図したものである。これは、被験者が振動刺激を感じるたびに応答ボタンを押すように被験者に求めることによって、覚醒および睡眠状態を判定する。
【0014】
Wyattらの米国特許No. 6,078,549号は、睡眠開始前の時間、睡眠時間等のパラメータを記録するために複数のスイッチを使用する睡眠パターンタイマーに関連するものである。この装置を使用して、スイッチ(単/複)を閉じた位置で保持し被験者が眠りに入るときに離すように被験者に要請することによって、睡眠障害の診断および治療を補助する。
【0015】
Wyattの米国特許No. 6,392,962号は、不眠症患者は合計睡眠時間を過小評価し且つ/または眠りに入るのに必要な時間を過大評価するため、他のやり方では困難とされる睡眠障害の治療において役立つ情報を提供する方法を伴う。装置は、手に装着されたアクチュエータを備えた手首装着タイマーを含み、不眠症患者が眠りに入ったときに計時を停止し、これによりアクチュエータとの接触が係合、解除される。これは、覚醒/睡眠判定(睡眠開始時)用に意図され、且つ、不眠症患者の睡眠待ち時間の過大評価および合計睡眠および睡眠効率の過小評価を補正するものである。
【0016】
本発明者らの知るところでは、行動睡眠療法の実施を自動化するために、覚醒/睡眠を判定する受動的手法は、使用されていないかまたは示唆されていない。そのような方法は、被験者の側でのいずれの行動をも必要とせずに、または、刺激を伴う応答をもたらさずに、被験者の覚醒/睡眠状態を判定することができる。覚醒/睡眠状態を受動的に判定するのに(但し、不眠症のための自動化行動療法を教示したり示唆したりしない)使用することができる装置の例として下記が挙げられる。
1)Blanchetらの米国特許No. 5,154,180号(EEGを使用して自動的に睡眠段階を判定するシステム)
2)Conlanの米国特許No. 5,197,791号(活動(または運動)モニタ(アクチグラフィ)を使用して覚醒および睡眠を検出することができるシステム)
3)Lavieの米国特許No. 5,280,791号(心臓EKG R−Rインターバルを分析することによってヒトの睡眠状態を判定することができるシステム)
4)Oginoの米国特許No. 5,479,939号(ベッド内の非接触式身体運動センサによって覚醒および睡眠の間を判定するために使用することができるシステム)
5)Conlanの米国特許No. 5,573,013号(活動モニタ(アクチグラフィ)を使用して覚醒および睡眠を検出することができるシステム)
6)Sacknerらの米国特許No. 5,588,425号(パルス酸素測定波形において心臓の収縮期上昇運動に基づいて、モニタされる被験者における睡眠および覚醒の間を識別するために使用することができるシステム)
7)Oginoの米国特許No. 5,724,990号(ベッドまたはシートの非接触式身体運動センサによって覚醒と睡眠の間を判別するために使用することができる装置)
8)Rapoportらの米国特許No. 5,732,696号(睡眠を記録するために複数の生理的な信号(EEG、EMGおよびEOG)を使用するシステム)
9)Kaplanらの米国特許No. 5,813,993号(本発明者ら)(自発的なEEGの単一チャネルからの連続した覚醒、眠気、睡眠、無意識または知覚麻痺に沿って患者の状態を追跡するシステム)
10)Baderの米国特許No. 5,846,206号(ヒトの身体に接触する静止圧力センサを使用してヒトの覚醒状態を評価するシステム)
11)Oginoの米国特許No. 5,902,255号(ベッドまたはシートの非接触式身体運動センサによって覚醒および睡眠の間を弁別するために使用することができる装置)
12)Halyakの米国特許No. 5,928,133号(「生理的なモニタリング手段」または「電気抵抗の測定」または「身体的電気的特性のモニタリング」の等を用いる一般的な技術を使用して、被験者が、どの観点から見ても既に覚醒しているときに、予め設定された時間の範囲内でヒトを起こすための装置)
13)Pardeyらの米国特許No. 5,999,846号(一定期間のエポックにわたって被験者からの電気信号(EEGまたは他のもの)を使用する「不眠または覚醒性のモニタ」、ヒプノグラムを生成するために覚醒および睡眠を判定するニューラルネットワークを使用して各エポックに睡眠段階タイプを割り当てるための方法、睡眠の質のサマリーインデックスを生成するためにヒプノグラムを分析する方法、および、ヒプノグラムに基づいて睡眠の質のサマリーインデックスを表示する方法)
14)Dimpfelの米国特許No. 6,157,857号(EEGを使用する睡眠ステージングのためのシステム)
15)Baumgart−Schmittの米国特許No. 6,272,378号(入ってくるデータから1セットの特徴(FFT系)を記憶し(圧縮の方法として)、次いで、これらの特徴を分析してニューラルネットワークを用いて睡眠の段階を判定する装置を使用して、単一の前部EEG波形を用いて睡眠の段階を自動的に分類するシステム)
16)Goorらの米国特許No. 6,322,515号(抹消動脈トーンの変化をモニタし検出することによって睡眠および覚醒を判定することができるシステム)
17)Van der Loosらの米国特許No. 6,468,234号(被験者の睡眠の質を測定するために従来のマットレスの頂部に置かれるセンサシート)
18)Levendowskiらの米国特許No. 6,496,724号、No. 6,625,485号および米国特許公開No. 2002/0183644号(連続覚醒に沿ってEEGを定量化するシステム)
【0017】
覚醒/睡眠判定のための上記の受動的な方法/装置のいずれは、本発明を実行するために使用することができる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、その実施において睡眠パラメータを知ることを必要とする行動的不眠症治療法のためのシステムを具備する。このシステムは、被験者の覚醒/睡眠状態を示す情報を生成するために、治療されている被験者の側でのいずれの行動をも必要としない真に自動化されたシステムを達成するために、受動覚醒/睡眠判定手段を用いる。
【0019】
したがって、本発明の自動化された方法は、被験者の覚醒/睡眠状態を示す情報を用いた行動療法を選択することと、覚醒/睡眠状態を示す情報を生成するために受動覚醒/睡眠判定手段を提供することと、必要に応じて覚醒/睡眠情報を使用する行動療法のステップを実施することと、を伴う。
【0020】
被験者の覚醒/睡眠状態を示す情報を使用するいずれの行動療法が使用されてもよいが、刺激制御療法、睡眠抑制療法およびその2つの組み合わせが、本発明の実施に好適である。また、いずれの受動覚醒/睡眠判定手段が使用されてもよいが、判定手段は、EEG、EKG、EOG、アクチグラフィ、身体運動、電気皮膚反応、呼吸変化、眼球運動、および、これらの受動覚醒/睡眠判定手段の2つまたはそれ以上の組み合わせから選択されることが現在では好適である。EEGは、現在では好適な睡眠判定手段である。
【0021】
薬物療法は、本発明の自動化された方法にしたがって実施される行動的不眠症治療法とともに使用されてもよい。また、覚醒/睡眠状態を判定するための能動手段を使用して、受動覚醒/睡眠判定手段を補足してもよい。
【0022】
1つの重要な実施の形態において、本発明によるシステムでは、1)システムに電力供給するための手段と、2)受動覚醒/睡眠判定のための手段と、3)適切な行動療法ルールにしたがって被験者がベッドから出なければならないか否かを判定するための手段と、4)行動療法ルールにしたがってユーザがベッドから出なければならないと判定された場合に、被験者がベッドを離れるように警告するための手段と、を含む。
【0023】
本発明の別の重要な実施の形では、不眠症を患っている被験者を治療するために、1)システムに電力供給するための手段と、2)システムがトレーニングモードにあるか否かを判定するための手段と、3)受動覚醒/睡眠判定のための手段と、4)被験者が睡眠期間を完了したか否かを判定し、完了した場合には一晩中の睡眠統計を計算するための手段と、5)先に得られた睡眠データに基づいて睡眠抑制療法のパラメータを計算するための手段と、7)次の睡眠セッションのために、計算された睡眠抑制療法プログラムパラメータを表示するための手段と、を含むシステムが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明は、その実施において睡眠パラメータを知ることを必要とする不眠症治療の行動療法を実施するために自動化された方法の一部として受動覚醒/睡眠判定手段を使用する。そのような行動療法は、たとえば、刺激制御療法、睡眠抑制療法ならびにその組み合わせを含む。
【0025】
実施において睡眠パラメータを知ることを必要とする不眠症治療のための行動療法を実施するために、規則的な時間インターバルで患者が覚醒しているかまたは睡眠しているかを判定することが必要である。最良の治療結果を達成するために、精度の高い覚醒/睡眠判定が望ましい。さらに、継続してまたは極めて狭い間隔での時間インターバルで正確に覚醒/睡眠状態を判定することができることは、時間的に大まかな試料採取に対して好適である。これは、たとえば、EEG、EKG、EOG、アクチグラフィ、身体運動、電気皮膚反応、呼吸変化、眼球運動または、これらの様式の2つまたはそれ以上を組み合わせる判定手段を使用する受動覚醒/睡眠判定手段を使用して達成されてもよい。また、本発明の焦点が不眠症の非薬理的行動療法の自動化にある限り、薬物療法が不眠症治療のための行動療法とともに使用される場合に、本発明のシステムを使用してもよい。最後に、覚醒/睡眠状態を判定するための受動的な技術および装置が、常に本発明のシステムを実行する場合の核となる限り、覚醒/睡眠状態を判定するための能動的な技術および装置を、睡眠への干渉が問題とはならない段階でシステムの補助的な方法として使用してもよい。
【0026】
EEG系覚醒/睡眠判定手段は、現在のところ本発明を実行するのに好適である。これら装置は、被験者の状態(覚醒しているか眠っているか)を受動的にモニタする。睡眠は脳で始まり脳によって制御されるため、EEG信号は、覚醒/睡眠判定手段のための良好な情報源となる。
【0027】
運動/動きセンサ(アクチグラフィ等)からの情報を分析することによって覚醒および睡眠を判定する装置もまた、覚醒/睡眠状態を受動的に検出するために使用することもできる。睡眠がよく途切れ、且つ浅い不眠症患者では、そのような装置は眠っている時間を過小評価する可能性がある。別のタイプの不眠症患者は、眠ろうと試みて、動かずにベッドに横たわって時を過ごすことがある。この状況では、運動や動作を基にしたモニタは、眠っている時間を過大評価する可能性がある。そのようなモニタは、たとえば、ケンブリッジニューロテクノロジー社(Cambridge Neurotechnology Ltd.)(イギリス)(アクチウォッチ(Actiwatch))、ミニミッター社(Mini Mitter Co. Inc.)(ベンド、オレゴン州(Bend, Oregon))ミニミッター(Mini Mitter)および、多数の能動モニタリング製品を販売しているアンビュレートリーモニタリング社(Ambulatory Monitoring, Inc.(アーズリー 、ニューヨーク州(Ardsley, NY))から得られてもよい。
【0028】
刺激制御療法および睡眠抑制療法の実施は、下記のガイドラインや指令の組み合わせを必要とする。これらのガイドラインおよび指令は、それぞれの技術においてフローチャートの形態で表すことができる。下記の図1、2A〜2Eおよび3は、各技術が、本発明による自動化システムでどのように実施することができるかを示している。
【0029】
刺激制御への適用
先に説明したように、刺激制御は、不眠症患者が一貫性のある覚醒および睡眠パターンを確立し、睡眠の手がかりとしてベッドおよび寝室を確立し、且つ、睡眠に干渉するかもしれない活動への不眠症患者の関与を軽減するように設計された行動療法である。刺激制御は、睡眠開始期の不眠症および睡眠維持での不眠症の両方に特に効果的な介入であることがわかった。本発明に使用される刺激制御の自動化は、下記のルールに基づいている。
現行ルール(常時、施行中のもの)
1.被験者が眠っている間は絶対に被験者に警告を発してはならない。
2.連続10分未満のいずれの睡眠後に、警告が許可される前に少なくとも2回の連続したエポックの覚醒が必要である。
3.少なくとも連続10分のいずれの睡眠後に、15分ルール(下記参照)にしたがって被験者に警告する。
【0030】
特別ルール(睡眠開始期のみに行われる)
1.眠ろうと試みる最初の20分内に少なくとも連続5分の睡眠がない場合に、20分経過時に警告する。
2.眠ろうと試みる最初の20分内にすべて含まれる、5分以上ではあるが10分未満の連続睡眠期間がある場合に、その後の10分の間には警告を禁止する。
【0031】
15分ルール
1.スライドウインドウを使用して、過去15分間の睡眠を調べる。被験者が過去15分のうちの少なくとも14分の間に覚醒していたと判定された場合に、警告する。
【0032】
図1は、本発明による刺激制御療法の自動化実施の高レベルな概要を表すフローチャートであり、次で述べる。システム概要についての詳細および改良は、次いで、図2A〜2Eのフローチャートも検討に関連して呈示される。
【0033】
システムは、10で、電源オン(またはEEG電極の接続)で始動する。システムは、ハードウェア、ソフトウェア、電力、電極/センサ状態等を含んでもよい診断手順を完了する12。エラー表示および警告には、適切に対処しなければならない。診断に続いて、ユーザがシステム設定の調整を行う機会がなければならない14。装置を最初に使用する時に、これらの設定は、デフォルトでレビュー用として表示されてもよい。装置のその後の使用時に、このメニューは、任意に表示されるかまたはユーザに呼び出すかたちでもよい。これらの設定は、現在の時間、年齢、睡眠目標、警告の選択(聴覚、触覚または両方)、言語、表示の選択、セットアップの選択、バックライトの選択、短縮メッセージの使用、冗長メッセージの使用等を設定する事項を含む。
【0034】
装置を始動するたびに(またはユーザが接続するたび等に)、個別に夜またはサマリー統計を表示して、ユーザがそれらを所望によりレビューすることを可能にしてもよい16。進歩の傾向等も16で表示されてもよい。これはすべてユーザフィードバックのカテゴリーに入る。
【0035】
システムは、睡眠関連パラメータを得る必要がある。この実施のために、システムは、18で各々用に、覚醒/睡眠データ、ベッド内状態(手動で引き出されるかまたは自動化手段を使用してのいずれかで)、および、時間(または経過時間)
を得る。これらの観察は、30秒ごとに行うことができる。
【0036】
ユーザがシステムを使用するのを終了するときに、睡眠関連パラメータの記録および計算は、20で停止する。システムは記録の終了を、ユーザが手動でこれを装置に示すことによってか、あるいは、電極/センサの接続を切断するとき、のいずれかで知る。データ収集が完了したときには、システムは22でユーザに、もっとも最近の一晩中の睡眠統計および他の関連パラメータを示す。ユーザに関心のある数字を示し、たとえば、睡眠開始への時間、ベッド内にいる合計時間、睡眠に費やした合計時間、睡眠開始後に覚醒に費やした合計時間、覚醒の回数等である。システムは、次いで、24で終了する。しかし、ユーザが20で終了しない場合には、システムは、26でベッド内状態をチェックする。ユーザがベッド内にいないとき場合には、28で警告がオフにされ(いずれのもことが現在オンである場合)、30で情報ディスプレイが呈される。ユーザがベッド外にいる間に(18)、睡眠関連パラメータの記録および計算が継続される。情報ディスプレイ30はユーザに、この睡眠セッション用に現在の睡眠統計を表示してもよく、一定のベッド外指令を出すことができる(たとえば、居眠りをしてはいけない、すぐに眠れる場合のみベッドへ戻るように、等)。
【0037】
ユーザがステップ26でベッドにいた場合には、システムは32でその現在の睡眠状態および睡眠歴をレビューし、刺激制御療法のルールが、ユーザがベッドから出ることを提案するか否かを判定する。(より具体的な情報については、刺激制御療法ルールを参照のこと)。たとえば、ユーザが、眠った後に過去15分間覚醒していた場合には、刺激制御療法のルールは、ユーザがベッドから出て寝室を離れるように提案する。装置は、ユーザに警告の信号を発し(その装置の設定にしたがって)、ベッドおよび寝室を離れ、且つ再度すぐに眠ることができる場合のみにベッドに戻るべきであるというメッセージを表示する。刺激制御療法ルールが、32でユーザがベッドから出るように示唆しなかった場合には、システムは18へ戻り、モニタリングを継続する。
【0038】
各夜ごとに収集されたデータ(ステップ18で収集することができる)は、下記のように表示されると考える。
【表1】

【0039】
表1のデータを記憶するのに必要なメモリは、最小である。30秒ごとに新しい値を設定することが想定され、且つ、4バイト長の整数を使用して時間を記憶し1バイト数を使用して覚醒およびベッド内の結果を記憶する場合には、これは結果として12バイト/分になる。この速度で、1メガバイトのメモリまたは他の記憶装置が、180夜を超える睡眠歴データまたは、60日を超える連続記録を保持することができる。
【0040】
上記の例において、ユーザは、覚醒を開始し、ベッドから出て、睡眠およびベッド内を終了した。睡眠期間中にシステムが走行するため、新しい睡眠歴値が表に加えられる(メモリ内または記憶装置内のいずれかに)。本発明を使用して実施される行動療法のいずれ、および、数種類の睡眠衛生ルールは、睡眠歴情報を使用することができる。
【0041】
上記睡眠歴データは、刺激制御療法プログラムを実施するのに十分であり、ユーザが、不眠症の症状に役立つことに向けてその進歩を追跡することを可能にする。
【0042】
次に、図2Aのフローチャートでは、本発明に従った刺激制御システムを実施する例が示されている。開始100から始めると、システムパワーアップおよびセルフチェック102が可能になる。セルフチェックは、ハードウェアおよびソフトウェア、電力レベル、センサチェック(たとえば、EEG電極用または、電極がシステムに接続されているか否か、そして電極インピーダンスが許容範囲内であるか否かに関するチェック)等のための標準診断を含む。フローチャートには詳述されていないが、システムは、有効センサ信号およびセンサ接続の完全性を継続してまたは周期的にチェックしなければならない。
【0043】
状態チェック104でセルフチェックの状態が判定され(可、不可または注意)、システムは、可、不可または警告へと分岐してゆく。セルフチェックが可である場合には、システムはステップ106へ進む。装置が操作されるべきではない状態にあること(すなわち、操作するにはバッテリーが低下している、ハードウェアの故障等)がセルフチェックで検出された場合には、不可の状態が存在し、システムは108へ進む。セルフチェックが注意状態(バッテリーが低下し始める等)を検出した場合には、システムは110でユーザに警告し、112でタイムアウトするか、あるいは、リセットするかのいずれかとなる。
【0044】
ユーザの選択に依存して、注意状態の警告は、注意状態のテキスト表示、指令または情報のテキスト表示、ディスプレイバックライトの作動、点滅光、聴覚指示、触覚指示、合成音声または記録音声、低レベルの電気刺激または、さらには適切な装置によって生成される芳香のいずれの1つまたはそれ以上であってもよい。これらの警告(および他のいずれの適切な警告)を「警告セット」と称する。ユーザは、可能性の高い場合として、112でボタンを押すことで、警告リセットを発することにより警告を認識してもよいが、この状態は、予め設定された長さの時間、すなわち、30秒後に任意にタイムアウトすることができる。いずれの場合にも、装置は、106へ継続する。また、セルフチェック102/104の間にエラー状態が作られる場合には、システムは、警告セットから1つまたはそれ以上の適切か警告を生成する。この状態は、エラー状態が修復され、電源を一旦切ってすぐに入れなおすこと等によって装置が再開されるまで、装置を使用することをできなくする。
【0045】
セルフチェックが可であったとすると、システムは(任意に)、ステップ106で、警告セットから1つまたはそれ以上の適切な警告を生成する(情報、現在のシステム状態等の表示)。ユーザはステップ114で、システム設定を変えるかパラメータをレビューする機会を与えられてもよく、たとえば、時間を変えること、警告時間を変えること、警告の選択を設定すること、または、先に装置によって得られた睡眠パラメータをレビューすることを含むものである。好ましくは、パラメータを変えるかレビューするこの機会は、予め設定された長さの時間後にタイムアウトする。
【0046】
次いで、システムは、ベッド内検知を使用してステップ116でユーザがベッド内にいるか否かを判定する。ベッド内での検知は、ユーザがベッド内にいるか否かを受動的に検知するRFトランスミッタとレシーバのペアで行うか、あるいは、それを示すためにユーザが使用する装置の手動ボタンを押すことにより可能である。好適な方法は、受動RFである。ユーザがベッド内にいる場合には、システムは、図2Bの118で、ベッド内モードを開始し、後述のように、ステップ120へ制御を移す。ユーザがベッド内にいない場合には、システムは、190でベッド外モニタモードを開始し、図2Cのステップ192へ制御を移す。
【0047】
ベッド内モード
システムがベッド内モード(図2B)に入るときには、好ましくは、可聴チップまたは短い振動作のための形態で聴覚または触覚の警告(ユーザの選択に依存して)を生成し、「今は眠ろうとしなさい。労働または読書等の他の作業をしてはいけません」等の刺激制御または他の指令、または、他の刺激制御または睡眠衛生メッセージを生成する。次いで、ステップ120で、数種類の変数が初期化される。変数Tはゼロに設定され、TBonusはゼロに設定され、メンテナンスフラッグはFALSEに設定される。好ましくは、別個のサブシステムが、覚醒/睡眠状態、ベッド内状態を継続して判定し、現在の経過時間の追跡を行う。
【0048】
TBonusおよびメンテナンスフラッグを使用して、上記に概説した基本ルールを実施する。TBonusは、特に、先に記載された特別ルールを実施するために使用される。特別ルール#2は、5〜10分間の睡眠の短い間隔を既に達成した場合に、睡眠開始期間中に眠りに入るためにユーザに特別な時間を提供することが意図されている。特別ルールは、正式には、従来の刺激制御指令の一部ではないが、機械実施ルールの厳格性が付与される場合に有用であると考えられていた。メンテナンスフラッグを使用して、ユーザが睡眠開始期間を離れたことを示す(少なくとも10分の睡眠のため)。これによって、装置は、メンテナンスルールに従い、睡眠開始ルールを無視することを可能にする。
【0049】
次いで、システムはステップ122へ進み、十分な量のEEGデータが収集された後に(データのエポック)、新しい覚醒/睡眠判定が生成されるのを待つ。本発明のこの好適な実施の形態の目的において、30秒のエポック長が適切であると思われる。
【0050】
データのエポックが収集され、覚醒/睡眠判定がされるときに、または、ベッド内センサが状態を変えるときに(後述の自動化手段によるか、または、ユーザによる手動での指示によるか、のいずれかで)、あるいは、現在の時間が予め設定された覚醒時間を超えるときに、変数Tが、現在の経過した時間に設定され、システムはステップ124へ進む。ここで、システムは、ユーザがベッド内にいるか否かを判定する。ユーザがベッド内にいない場合には、システムは、図2Cの126でベッド外モニタモードへの制御へと進む。ユーザがベッド内にいる場合には、システムは、128で、ユーザを覚醒させる時間か否かをチェックする(任意のアラームクロック機能)。ユーザを覚醒させる時間である場合には、システムは、図2Dの160で覚醒モードへ制御を移す。ユーザを覚醒させる時間でない場合には、システムは、ユーザのEEG覚醒/睡眠状態をチェックする。ユーザが覚醒していない場合には、システムは、134でステップ136へ移る。ステップ136で、システムは、過去10分の間にユーザが眠っていたか否かを知るためにユーザの覚醒/睡眠歴をチェックする。眠っていた場合、メンテナンスフラッグは、138でTRUEに設定され、システムは122の待機状態へ戻る。そうでない場合には、システムは、メンテナンスフラッグを変えずに122へ戻る。ユーザが現在、覚醒している場合には(すなわち、もっとも最近の覚醒/睡眠判定が覚醒である場合)、134で、システムはステップ140へ移り、そこで、最後の2つの覚醒/睡眠判定が両方とも覚醒であったか否かがチェックされる(すなわち、このエポックとその直前のもの)。140で、ユーザが両方のエポックで覚醒していないことが示される場合には(すなわち、起床直後)、142で、最後の5分の間に、ユーザが眠っていたか否かを知るために、覚醒/睡眠歴のチェックが行われる。少なくとも最後の5分の間にユーザが眠っていなかったことが示される場合には、システムはステップ122の待機状態へ戻る。そうでない場合には、システムは144で、TBonusが先に設定されていたか否かをチェックする。TBonusが先に設定されていなかった場合には、すなわち、TBonusがゼロに等しい場合には、146でシステムはTBonusを現在の経過時間+10分に設定して、122へ戻る。これは、睡眠開始期間中に少なくとも5分の連続睡眠の見返りとして10分の間、アラームを効果的に停止させる。TBonusが先に設定されていたと判定される場合には、すなわち、TBonusがゼロに等しくない場合には、システムは122へ戻る(すなわち、No. 2のボーナスを与えない)。
【0051】
140でユーザが両方のエポックで覚醒していたことが示された場合、143で、メンテナンスフラッグがTRUEであるか否かがチェックされる。TRUEである場合には、145で、最後の15分の間にユーザが少なくとも14分間は覚醒していたか否かを知るために、覚醒/睡眠歴のチェックが行われる。ユーザが最後の15分のうちの少なくとも14分の間覚醒していなかった場合には、システムは122へ戻る。そうでない場合には、制御は、図2Eの220の警告モードへ移る。メンテナンスフラッグがTRUEではない場合には、150で、変数Tが20分(睡眠開始期間の長さ)以上であるか、そして変数TがTBonus以上であるか否かを判定するために、システムはチェックを行う。両方ともTRUEである場合には、システムは、図2Eの220の警告モードへ制御を移す。そうでない場合には、システムは、122の待機状態へ戻る。
【0052】
覚醒モード
図2Dの160の覚醒モードにおいて、システムは、適切なやり方で、ステップ162でユーザに、きっぱりと覚醒しベッドから出るように警告する。ユーザの選択に依存して、警告は、警告セットの警告のいずれの1つであってもよい。ステップ164でベッド内センサは、ユーザの場所を判定する。ユーザがベッド内にいる場合には、ユーザが166で「スヌーズ」機能を作動するまで、警告が続く(スヌーズ機能付標準アラームクロックと同様)。ユーザがスヌーズ機能を作動し166、予め設定されたスヌーズ時間限界を超えない168場合には(すなわち、ユーザがスヌーズを無制限に押すことを許さない)、これにより、172で示されるように10分間、170で警告は停止し、その後、警告は162で再開される。スヌーズ限界に達するか超えた場合には、174で適切な警告が生成され、システムは164へ戻る。適切な睡眠衛生の目的から、予定された覚醒時間にユーザをベッドから離れさせる間に、スヌーズ機能の任意の追加は、装置をさらに使用させるように仕向けることになるであろう。スヌーズの限界は、ユーザが過度に長時間ベッド内に居ないようにするのに役立つ。警告は、164で示されるようにユーザがベッドを離れ176で警告リセット機能を使用することによってのみ、停止することが可能である。ユーザがベッド外にいて176で警告リセットを作動するときには、警告は178でオフになる。そうでない場合には、アラームは継続する(162へ戻る)。警告の作動停止に続いて、180でシステムは、図2Cの190のモニタモードへ制御を移す。
【0053】
ベッド外モニタモード
システムが図2Cの190でベッド外モニタモードに入るときには、可聴チップまたは短い振動作のための形態で聴覚または触覚の警告(ユーザの選択に依存して)を生成し、「疲れを感じ、再度眠ろうと試みたいときのみ、ベッドへ戻る」および/または「ベッド外にいるときには眠ってはいけません」等の刺激制御または他の指令を生成する。192で、すべての警告(作動中であれば)が作動停止となる。システムは、十分な量のEEGデータを収集した後に(データのエポックと呼ばれる)、新しい覚醒/睡眠判定が生成されるのを待ち、次いで、変数Tは、194で現在の経過した時間に設定される。現在の好適な実施の形態の目的のために、30秒のエポック長が適切であると思われる。別個のサブシステム(ハードウェアおよび/またはソフトウェア)が、覚醒/睡眠状態、ベッド内状態を継続して判定し、現在の経過時間の追跡を行う。データのエポックが収集され、覚醒/睡眠判定がされた時点で、または、ベッド内センサが状態を変えるときに(先に記載された自動化手段によるか、または、ユーザによる手動操作による)、または、現在の時刻が予め設定された覚醒時間を超えるときに、変数Tは、現在の経過した時間に設定され、システムは、ステップ196で、ユーザがベッド内にいるか否か(先に記載されたように)を判定するように進む。ユーザがベッド内にいる場合には、システムはステップ198へ進み、これは、図2Bの118でベッド内モードへ制御を移す。ユーザがベッド内にいない場合には、201で覚醒時間に到達していることをユーザに警告する時間であるか否かを知るために、システムはチェックを行う(アラームクロック機能)。ユーザを覚醒させる時間である場合には、図2Dの160の覚醒モードへ制御が移される。ユーザを覚醒させる時間でない場合には、システムは、204で覚醒/睡眠判定状態をチェックする。ユーザが覚醒している場合には(すなわち、もっとも最近の覚醒/睡眠判定が覚醒である場合)、204でシステムはステップ192へ戻り、ユーザの受動的なモニタを継続する。システムが204で、ユーザは覚醒していない(すなわち、今は眠っている)と示した場合には、ユーザはベッドにいない間に眠っており、これは禁忌事項である。この状況において、適切な警告が206で生成され、ユーザを覚醒させ、且つ、ベッド内にいないときには眠るべきではないと示す(たとえば、テキスト指令を使用する)。ユーザの選択に依存して、警告は、警告セットから選択することができる。ひとたび206で警告が生成されると、ユーザが208で警告リセット機能を作動させるまで警告は継続する。警告リセットが作動すると、警告はオフにされ、モニタリングは192で継続する。
【0054】
警告モード
システムが図2Eの220の警告モードに入るときに、システムはユーザに、適切なやり方で、ステップ222でベッドおよび寝室を離れるべきであると警告する。ユーザの選択に依存して、警告は、テキストメッセージの表示、ディスプレイバックライトの作動、聴覚指示、触覚指示または、警告セットの他の警告のいずれかを含む場合が多くありうる。アラームは、ベッド内センサによって判定されるように(先に記載されたように)、224でユーザがベッドから出るまで継続する。ユーザがベッドから出た後に、システムは、226で、図2Cの190のベッド外モニタモードへ制御を移す。
【0055】
オプション機能
図2A〜2Eに描かれたシステムの下記の機能は選択によることに注意しなければならない。
1.ユーザが覚醒時間を特定することを可能にせしめ、且つ毎朝一定の時間にユーザを覚醒させるアラームクロックとして作用することを可能にする覚醒機能。そのような覚醒が存在する場合には、ユーザは、必要に応じて新しい時間を使用可/使用不可にするかまたは特定する能力を有さなければならない。
2.ユーザがベッドを離れるときにベッドおよび寝室外のユーザの睡眠をモニタするベッド外モニタ。これは、不眠症治療に悪影響を与える可能性がある居眠りを防止する助けをする。
3.ユーザがベッド外にいるときには必ず、現在の記録期間用にデータおよびサマリー統計を表示するディスプレイ。たとえば、ユーザが何らかの理由で夜中にベッドから出るときには、装置は、眠っていた時間数、ベッド内にいた時間数、その夜のそれまでの睡眠効率、現在時間のまたは経過した時間等を表示してもよい。
4.ベッドから出させる警告は、ユーザが実際にベッドから出るまで維持されてもよい。自動ベッド内センサがない場合には、ユーザは、警告を停止するためにベッド外にいることを(すなわち、ボタンを押す)装置に示さなければならない。
5.適切なモニタ上の、または、予め記録された音声または合成音声による(操作状況に合わせて変化する)指令および情報の呈示。たとえば、ユーザがベッド内にいて装置がユーザにベッドを離れるように告げるときには、「ベッドおよび寝室から離れなさい。すぐに眠ろうとすることができるときのみ戻りなさい」等の適切な指令を与える。または、ユーザがベッド外にいるときには、「眠いときおよびすぐに眠ろうとすることができるときには、ベッドに戻りなさい/行きなさい」とユーザに告げることができる。または、最初にベッドに入るときには、「そのまま眠るように努めなさい。読書やTVはなしで、電気を消しなさい」等とユーザに告げることができる。
【0056】
睡眠抑制療法への適用
図3は、本発明による、自動装置における睡眠抑制療法の実施の高レベルでの概要を表す。
【0057】
システムは、電源を入れるかまたはEEG電極300の接続で始動する。システムは、診断手順302を完了する。そこでは、ハードウェア、ソフトウェア、電力、電極/センサ状態等が含まれてよい。エラーおよび注意は、適切に取り扱わなければならない。診断に続いて、304で、ユーザがシステム設定を調整できる機会がなければならない。装置の最初の使用時に、これらの設定はデフォルトでは、レビュー用に表示されてもよい。装置のその後の使用時には、このメニューは、任意に表示されるかまたはユーザに呼び出されてもよい。これらの設定は、現在の時間、年齢、睡眠目標、警告の選択(聴覚、触覚または両方)、言語、セットアップパラメータ、ディスプレイの選択、バックライトの選択、短縮メッセージの使用、冗長メッセージの使用等の事項を含む。装置を始動するたびに(またはユーザと接続されるたび等)、システムは、個別の夜またはサマリー統計を表示して、ユーザがそれらを所望のとおりにレビューすることを可能にしてもよい。進歩の傾向等も306で表示されてもよい。これはすべてユーザフィードバックのカテゴリーに入る。
【0058】
システムは、睡眠抑制療法プログラムを実施する前に、多数の夜用に睡眠関連パラメータをユーザから得る必要がある。専門家の大半は、プログラムパラメータを判定するために、1週間分のデータを使用する。この装置を付与することによる睡眠の変化を排除するために、データの第1日目または第2日目は、プログラムパラメータの計算から排除されてもよい。システムは、トレーニングモードで自動的に始動することができ、または、ユーザがトレーニングモードを手動で選択することができる。システムがトレーニングモードにあるときには308、システムは、316で、覚醒/睡眠データ、ベッド内状態(手動で引き出されるかまたは自動化手段を使用してのいずれかで)と各観察の時間を得る。これらの観察は、30秒ごとにまたは他の所望のインターバルで行うことができる。夜のデータ収集が318で終了するときに、記録は停止する。システムは記録の終了を、ユーザが手動でそのようなことを装置に示すことによって、または、電極/センサが接続を断たれるかのいずれかで知ることになる。データ収集が完了したときには、システムは、必要な睡眠関連パラメータ320を計算し、それをユーザ322に表示する。睡眠抑制療法プログラムに関連するパラメータ、たとえば、合計睡眠時間、合計ベッド内時間、睡眠効率等が計算される。
【0059】
システムがもはやトレーニングモードにない場合には、308では、これは310へ移り、そこで、睡眠抑制療法プログラムパラメータが、先に収集されたデータに基づいて計算される。過去1週間にわたる平均の睡眠時間数および過去1週間にわたる平均睡眠効率等のパラメータが計算される。睡眠抑制療法プログラムパラメータは、312でユーザに表示される。ユーザは、314で、一定のプログラムパラメータを変える機会を有してもよく、その後、システムはステップ316で先へ進む。各夜に収集されたデータ(ステップ316で収集することができる)は、下記と同様のものとなると考える。
【表2】

【0060】
表2のデータを記憶するのに必要なメモリは、最小である。30秒ごとに新しい値を設定し、4バイト長の整数を用いて時間を記憶し、1バイト数を使用して覚醒およびベッド内の結果を記憶すると想定する場合には、これは結果として12バイト/分になる。この割合で、1メガバイトのメモリまたは他の記憶装置は、180夜分を超える睡眠歴データまたは、60日を超える連続記録を保持することができる。
【0061】
上記の睡眠抑制療法の例において、ユーザは、覚醒を開始し、ベッドから出て、起床した。睡眠期間中にシステムが作動するため、新しい睡眠歴値が表に加えられる(メモリ内または記憶装置内のいずれかに)。本発明を使用して実施される行動療法のいずれか、数種類の睡眠衛生ルールが、睡眠歴情報を使用することができる。
【0062】
上記睡眠歴データは、睡眠抑制療法プログラムパラメータを計算するのに十分であり、ユーザが、不眠症の症状に役立つ方向でその進歩を追跡することを可能にする。
【0063】
図3に描かれたシステムは、下記のように任意の特徴も含んでもよい。
1.もっとも可能性の高い睡眠に対応する時間インターバル(単/複)に関連する追加情報が計算されるステップ。たとえば、ユーザが1夜当たり平均5時間の睡眠をとると考えると、睡眠は、大半の夜で午前3時から6時の間の時間に集中する(これは、ユーザがもっとも多く眠っている時間的インターバルである)。睡眠抑制療法プログラムの「基準」の導入は、単に、ユーザがベッド内時間を1夜当たり5時間に限定するように示唆することになる。この追加情報で、システムを実施するのに使用される装置は、睡眠の機会をさらに増やすために、5時間の睡眠を、午前3時から6時の時間に一致するように計画することをさらに示唆することができる。
2.さらにステップを進めると、ユーザが睡眠のためのこの最適な時間に近づくにつれて、装置が警告を始動させることができる。明らかに、ユーザが既にベッド内にいる場合にはアラームは停止される。
3.システムは、ひとたびユーザが推奨の長さの時間、ベッド内にいると、警告を発することができる、この例では、装置は、ユーザがベッド内に5時間いた後に、警告する。
4.システムは、ユーザが覚醒時間を特定することを可能にし、且つ毎朝不変の時間にユーザを覚醒させるアラームクロックとして作用することを可能にするために適切な手段を含んでもよい。ユーザは、必要に応じて新しい時間を使用可にし/使用不可にするか、あるいは指定する能力を有さなければならない。
5.ユーザがベッド外にいるときに装置を着用することができ、装置は、ベッドおよび寝室外でのユーザの睡眠をモニタすることができる。これは、不眠症治療に悪影響を与える可能性がある居眠りを防止する助けとなる。
6.ユーザがベッド外にいるときには必ず、装置は、現在の記録期間用にデータおよびサマリー統計を表示してもよい。たとえば、ユーザが何らかの理由で夜中にベッドから出るときには、装置は、眠っていた時間数、ベッド内にいた時間数、この夜のそれまでの睡眠効率、現在のまたは経過した時間等を表示してもよい。
【0064】
導入
いずれの行動不眠症療法を有する本発明のシステムの導入は、使用されるべき受動的なモニタ形式のハードウェアの物理的配列で開始される。下記の表3は、覚醒/睡眠判定手段を識別するもので、これは本発明とともに使用されてもよい。表3に記載されたいずれの受動モニタ様式の使用も、装置仕様書にしたがって実行されるべきである。
【表3】

【0065】
このようにして、たとえば、身体装着EEG装置の場合には、患者は、必要に応じて装置を身体に装着し、予めゲルを塗布した電極を使用して、電極を頭部に、好ましくは髪の生え際の外側に、装着する。次いで、たとえば、刺激制御療法が選択された場合には(ユーザによって手動で選択されるか、または、装置によって自動的に選択されるか、のいずれかである)、ユーザは、すぐに眠ろうとすることができるときにベッドへ行く。装置は、ユーザがベッドにいることを、自動検知手段によってか、または、ボタンを押すことによって(または電極ケーブルを静止ユニットへ接続することによって)ユーザがこれを装置に示すことによって知ることになる。
【0066】
その次に、システムはユーザをモニタし、そのEEG信号を分析することによってユーザが覚醒しているかまたは眠っているかを継続して追跡する。この情報を使用して、装置は、上述のように図1および2A〜2Eに示されたアルゴリズムフローに従う。ユーザが適切な時間期間内に、少なくとも所定の長さの時間の間に、眠りに入った場合には、装置は、覚醒/睡眠情報、ベッド内状態および時間等を連続して収集しながら、単に受動モニタリングを続ける。行動治療プログラムが、ユーザがベッドから出なければならないことを要求する場合には、装置は、警告の設定から選ばれたアラームを通してユーザに警告する。好ましくは、アラームの種類および強度は、デフォルト値が望ましくなかった場合には、ユーザによって予め設定される。たとえば、傍らにベッドパートナーがいる場合にこの装置を使用する際には、聴覚アラームよりも無音の触覚アラームを好むこともある。
【0067】
警告に応答して、ユーザは、ベッドから出て、再度すぐに眠ることができるまで(自動化システムの刺激制御プログラムによって特定されるように)寝室を離れる。ユーザがベッド内にいる状態か、または、寝室を離れない場合には、装置はこの行動を検出して、ユーザに、意図されたようにプログラムにしたがっていないことを警告する。生活の状態または状況から寝室を離れることが不可能な人の場合には、装置はこの状態を緩和するように設定することができる。ユーザがプログラムのルールにしたがって再度すぐに眠ることができるときには(これは書かれてもよいが、適切なときに装置ディスプレイに表示されてもよく、音声で提供されてもよい)、再度ベッドに戻って、眠ろうと試みることになる。ユニットは、ベッド内かまたはベッド外かを、継続してモニタする。ユーザがベッド外にいる間にユニットが睡眠を検出した場合には、この行動は禁忌事項であることをユーザに警告し、プログラムの効果を軽減してもよい。睡眠は、可能なときは必ず、ベッドおよび寝室内のみでなければならない。この行動療法は、「リコンディショニング」プログラムであるため、可能なときは必ず、ルールが守られなければならない。さらに、システムは、いずれかの覚醒を検出し、必要ならば、ベッドを出る必要があることをユーザに警告する。
【0068】
先に説明したように、刺激制御療法の場合には、ユーザは、眠ろうと試みるときのみベッド内にいるべきである。眠ることができない場合には、システムによって物理的にベッドおよび寝室から離れるように指令される。これは、ユーザがベッド内にいたときを装置が知っていることを必要とする。圧力トランデューサーまたはベッドシーツの下の動きセンサを使用して、ユーザがベッド内にいるか(おそらく眠ろうとしているか)否かを検知することができる。または、ユーザは、装置のボタンを押すことによって、すぐに眠ろうとすることができることを手動で装置に示すことができる(手動アプローチ)。この手動アプローチでは、ユーザがボタンを押すことを忘れて、装置が作動しないままになるという可能性がある。装置が身体に着用された場合には、ベッドに非常に近くに置かれた非常に低い電力RF送信信号(ビーコン)を拾うRFレシーバを含むことができる。ユーザがベッド内にいるときには、低電力送信信号(ビーコン)を検出し、身体着用装置に十分に近いことでユーザがベッド内にいることを自動的に知る仕組みである。体温を拾う温度センサ等の他の多くの装置を使用することもできる。しかし、現在、小型RFトランスミッタが好適であり、直接ベッドの下に置かれるか、ヘッドボードに置かれるか、または、ナイトスタンドに置かれるかであり、ベッドパートナー、ペット等の誤った検出をする傾向はない。
【0069】
ユーザがベッド内にいるか否かを判定するのに使用される受動センサ、たとえば、低電力RFトランスミッタもまた、プログラムの整合性を確実にする上での補助とするために使用することができる。本発明の1つのモードにおいて、装置がユーザに、ベッドから出るように警告するときには、ユーザが物理的にベッドおよび寝室から離れたことを装置が検出するまで(すなわち、ビーコンの送信範囲外)、アラーム(たとえば可聴および/または振動)が継続することができる。RFビーコンから放射された出力信号は、事実上、指向性を有する。さらに、RFビーコンの電力はユーザ調整可能である。これによってユーザはRFビーコンを調整することができ、そのため、送信パターンは、可能な限り、ベッドおよび寝室の領域と一致した。
【0070】
さらに、装置は、睡眠がベッド内のみに発生するという整合性を確実にする上での補助とすることができる。ユーザがソファーまたは椅子で眠りに入った場合には(すなわち、ベッドおよび寝室内ではない)、装置は、睡眠がベッドおよび寝室外で発生していることを検出し、警告信号を発することができる。睡眠がベッド/寝室内でのみ発生することを確実にすることは、良好な睡眠衛生を実施する別のステップであり、療法全体の一部である。
【0071】
上記は、覚醒および睡眠情報のみが利用可能であるときのシステムの使用を例示する。追加睡眠ステージング情報が利用可能であるときには、より入念な計画を実施することが可能である。たとえば、ステージ1睡眠情報を追加することによって、ユーザが所定の時間インターバル(たとえば20分)内にステージ1睡眠を超えて進んでいない場合には、システムがユーザを睡眠から覚醒させるのを可能にする。
【0072】
本発明のシステムを実施するためのハードウェアは、多くの異なる形状および形態を取ってもよく、たとえば、下記に記載されるものである。
【0073】
静止装置
本発明のシステムを実施するための卓上用装置は、ユーザのベッドの隣の床またはナイトスタンドに配置することができる。EEG電極(または他の適切なセンサ)は、装置内に差し込むケーブルに接続する。このアプローチの1つの欠点は、ユーザが静止装置に束縛されることであり、ワイヤがもつれたり邪魔になったりする可能性がある。通常、ワイヤをベッドの頂部へ向けて次いで装置に配線することで、この問題を解決する。ユーザがベッドから出なければならないときには(すなわち、トイレを使用する必要があるか、または、装置がそうするように指令するために)、静止装置からの接続を断ち電極ケーブルを自身で担持しなければならない。したがって、このアプローチの利益は、ユーザがベッドに戻るときには自分自身を装置に再装着しなければならないことであり、これは、他のディテクタまたはユーザ側の行動なしで装置が始動し停止するために必要な情報を提供する(すなわち、これは基本的に、デフォルトでは自動ベッド内センサである)。最後に、装置は、ユーザがベッド外にいるときにベッドおよび寝室外部のいずれかの睡眠を継続してモニタすることができない。卓上用装置が壁のコンセントから電力を供給される場合には、業界でよく知られた設計技術を使用して接地障害を防止するために適切な接地分離設計技術を使用しなければならない。
【0074】
半静止状態
上述のようなものであるが、電極/EEG増幅器と静止装置との間にワイヤレス接続を使用する卓上用モデルも使用されてもよい。この場合、身体着用することができる小型ワイヤレス増幅器/トランスミッタに電極を差し込み、信号を卓上用装置へ送る。これは、ユーザと静止体との間の束縛を排除するという利点を有する。これは、ユーザと装置との間に、固有の電気絶縁も提供するが、それは、ユーザによって着用されたトランスミッタが電池式である可能性が高いからである。これはまた、トランスミッタが低電力であるかまたはトランスミッタから基部ユニットへの距離を検知することができる場合に、ベッドセンサとして使用されるという利点も有する。トランスミッタが十分に強力である場合には、装置はベッド外でのモニタリングにも使用されてもよい。
【0075】
身体着用可能性
本発明のシステムを実施するためのハードウェアのもっとも望ましい形態は、装置全体が身体着用式である点である。この場合、装置はユーザによって着用され、電極は直接装置内に差し込む。装置は、電池式である場合が多く、壁のコンセントから離す必要はない。この装置は、上述の半静止システムよりも簡単であるが、それは、これが最新式のEEGトランスミッタ/レシーバのペアを必要としないからである。ユーザは、常に束縛されることなく、それによってこれを上述のような静止装置よりも好ましいものにする。身体着用装置はまた、ユーザのベッド外睡眠用をモニタし、これが発生するのを防止することもできる。
【0076】
この装置は、ワイヤレスベッド内検知装置を必要とすることもあり、たとえば、先に記載したように、ベッド近傍に装着された低電力RFトランスミッタ等である。身体着用装置は、単に、ビーコン信号を検出する必要があるだけである。より最新式のモデルは、トランスミッタへの距離を測り、ユーザがベッド内にいるか近くにいるだけかを知る。好ましくは、非常に低電力のRFトランスミッタを備えたベッドシーツの下の圧力センサを、ベッド検出用に使用することができる。しかし、簡単なアプローチでは、ユーザは、ベッド内におりすぐに眠ることができるのを示すために、身体着用装置のボタンを押すだけでよい。他の装置の実施の形態は、光および運動を検知し、今ユーザが眠ろうとしているか否かに関してユーザを積極的に促す。
【0077】
1つの実施可能な身体着用装置500の概略図を図4に示している。これは、(視覚、聴覚および触覚の警告502、504および506)、HMI(ヒト機械インタフェース)ディスプレイ508(バックライトLCDおよび光)、HMI入力510(入力およびナビゲーションのためのボタン)、電源(図示せず)で構成されている。
【0078】
本発明のEEG系の実施の形態は、身体着用装置または他のものを使用して実施されてもよく、電極550は、図4および図5のブロック図に表されるように、モニタされるべきヒトにおいてセンサとして使用される。図5のブロック図は、本発明者らに付与された米国特許No. 5,813,993号に特記されたように覚醒/睡眠判定を実施することができる静止設計における本発明のEEG系の実施の形態のコンポーネントを表す。この特許に記載されたアルゴリズムを本発明の覚醒/睡眠判定に使用することができるが、他のいずれの適切な受動覚醒/睡眠判定手段またはアルゴリズムを、この代わりに使用することもできる。
【0079】
図5の静止設計に使用することができるコンポーネントの例は、下記に記載される。当業者は、身体着用設計を構築するために、全体的機能を保存しながら、代替のコンポーネントを選択することができる。たとえば、そのような身体着用設計において、556のシングルボードコンピュータは、デジタル信号プロセッサ(DSP)に取って代えることが可能である、等である。
【0080】
図5の電極550は、そのEEG信号を得るためにユーザに取り付けられる。+および−の電極が、EEG増幅器への入力であり、com電極を使用して、EEG増幅器の基準点を、ユーザと同一の電位にする。多くのEEG系装置は、具体的にその装置用に設計された独自の電極を使用する。下記がよく作用する:ネオトレースキティキャット電極(NeoTrace Kitty Cat Electrode)、ケンドールLTP(Kendall-LTP)部品番号1052NPSMであり、これらは、自動装着式電極であり、固体ゲル装着性ヒドロゲル、および、1.5mmの安全ソケット末端を備えた予め装着されたリードワイヤを有する。
【0081】
脳波記録(EEG)増幅器およびフィルタリング552は、OEMモジュールに一体化EEG増幅器を具備する。このモジュールは、電極550からのEEG信号を増幅し濾過する。大半の増幅器モジュールは、2つ以上のチャネルを含む。所望の覚醒/睡眠判定手段(EEG系を想定する)によって必要とされるチャネルの数に依存して、各未使用増幅器チャネルの+および−の入力は、一緒に短くされて、未使用チャネルが作動チャネルにノイズ干渉するのを防止するために、comへ結合されなければならない。適切な増幅器は、テレダインアナリティカルインスツルメンツ(Teledyne Analytical Instruments)、モデルA0401、4チャネル式医療信号処理増幅器である。
【0082】
EEG増幅器552の出力がアナログ信号である場合には、データ取得カード(DAQ)554は、アナログ出力信号をデジタル化するのに必要である。適切なDAQは、メジュアメントコンピューティング(Measurement Computing)、モデルPC104−DAS16JR/16であり、PC/104形状因子を有する。埋込式の適用では、シングルボードコンピュータ(SBC)556が一般的に使用される。この例において、すべての必要なコンピュータハードウェアは、この装置に一体化される。適切なSBCは、アドバンストデジタルロジック(Advanced Digital Logic)、モデルMSMP5SEVであり、PC/104形状因子の完全166MHzペンティアム(Pentium)システムである。
【0083】
例示されたシステムはまた、キーパッド付の液晶ディスプレイ(LCD)も含む。これは、出力装置(ディスプレイおよびバックライト)および入力装置(キーパッド)の両方として使用され、そのため、ユーザはこのシステムと互いに交信し合うことができる。適切な装置は、クリスタルフォンツ(CrystalFonts)、モデルCFA633−TMC−KSであり、これは、バックライト、5ボタンキーパッドおよびRS−232シリアルインタフェースを備えた2ラインLCである。システムは、音響出力装置としてスピーカー560をさらに含む。(スピーカーが含まれなかった場合は、スピーカーの特徴は、SBC(556)の製造業者によって特定される。)
【0084】
場合によっては、564等のシステムのための主要電力供給は、EEG増幅器を操作するのに必要な電圧を生成しないこともある。さらに、多くのデジタル装置は、電力供給564に接続され、これらの装置はかなりの量の電気ノイズを電力システム内に及ぼす傾向がある。EEG増幅器は、フィルタリングによってまたはアナログ増幅器用に別個の電源を加えることによって、この電気ノイズから分離される必要があることもある。このようにして、システムは、好ましくは、EEG電源562も含む。
【0085】
システムは、医療用に分離された電源564を有する。これは、主要システム電源である。システムはユーザへの低インピーダンス電気接続を必要とするため(EEG電極550を使用する)、医療用に分離された電源を使用することが望ましい。適切な電源は、インテグレイテッドパワーデザインズ(Integrated Power Designs)、モデルSRP−35A−1002であり、これは35ワットで医療用に分離された5VDCを提供する。
【0086】
最後に、身体着用装置は図5のシステムのものに機能的に類似するが、異なる小型ハードウェアを備えることに注意されたい。また、身体着用システムは、振動警告も含んでもよく、電池式である。これはまたベッド内センサも含んでもよい。
【0087】
本発明は好適な実施の形態に関連して説明されてきたが、当業者は、本発明の原則から逸脱せずにその詳細から様々な変形例を展開してもよい。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の範囲および精神に入るすべての等価物を網羅するものと解釈されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明による刺激制御療法の自動化実施の高レベル概要を呈するフローチャートである。
【図2A】本発明による刺激制御療法の自動化実施の詳細を含むフローチャートである。
【図2B】本発明による刺激制御療法の自動化実施の詳細を含むフローチャートである。
【図2C】本発明による刺激制御療法の自動化実施の詳細を含むフローチャートである。
【図2D】本発明による刺激制御療法の自動化実施の詳細を含むフローチャートである。
【図2E】本発明による刺激制御療法の自動化実施の詳細を含むフローチャートである。
【図3】本発明による睡眠抑制療法の自動化実施の高レベル概要を呈するフローチャートである。
【図4】本発明による1つの可能な身体着用装置を表す図である。
【図5】本発明の実施の形態に基づいた静止EEGを表すブロック図である。
【符号の説明】
【0089】
500…身体着用装置、502、504、506…視覚、聴覚および触覚の警告、508…HMIディスプレイ、510…HMI入力、550…電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不眠症を患う被験者を治療するための自動化された方法であって、
前記被験者の覚醒/睡眠状態を示す情報を使用する不眠症の治療のための行動療法を選択することと、
前記被験者の側で必要な行動なしで前記被験者の覚醒/睡眠状態を示す情報を生成するために受動覚醒/睡眠判定手段を提供することと、
必要に応じて前記覚醒/睡眠情報を使用する前記行動療法のステップを実施することと、
を含む方法。
【請求項2】
前記行動療法は、刺激制御療法、睡眠抑制療法、および、刺激制御療法および睡眠抑制療法の組み合わせからなる群から選択される請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記行動療法は、刺激制御療法である請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記行動療法は、睡眠抑制療法である請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記受動覚醒/睡眠判定手段は、EEG、EKG、EOG、アクチグラフィ、身体運動、電気皮膚反応、呼吸変化、眼球運動、および、前記受動覚醒/睡眠判定手段の2つまたはそれ以上の組み合わせからなる群から選択される請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記睡眠判定手段は、EEGを含む請求項1記載の方法。
【請求項7】
薬物療法が前記行動療法とともに使用される請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記覚醒/睡眠状態を判定するための能動手段を使用して、前記受動覚醒/睡眠判定手段を補足する請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記刺激制御療法は、常に行われる現行ルールおよび睡眠開始中のみに行われる特別ルールを使用して実施され、前記ルールは、
現行ルールとして、1)被験者が眠っている間には絶対に被験者に警告してはならない、2)No. 1の所定数の連続分未満のいずれの睡眠後に、少なくとも所定数の連続エポックの覚醒が達成されるまで、警告を許可してはならない、3)少なくとも前記No. 1の所定数の連続分のいずれの睡眠後に、過去のNo. 2の所定数の分を調べ、前記被験者が前記過去のNo. 2の所定数の分のうちの少なくともNo. 3の所定数の分の間、覚醒していた場合には、前記被験者に警告する、
特別ルールとして、1)眠ろうと試みるNo. 1の期間の間に少なくともNo. 4の所定数の連続分の睡眠がない場合に、前記No. 1の期間の経過時に前記被験者に警告する、2)眠ろうと試みる前記No. 1の期間の間に含まれる、前記No. 4の所定数の連続分以上であるが前記No. 1の所定数の分未満である、連続睡眠期間がある場合に、さらなる期間の間には、警告を禁止する、
を含む請求項3記載の方法。
【請求項10】
前記No. 1の所定数の連続分は10分であり、前記所定数の連続的なエポックは2であり、前記No. 2の所定数の連続分は15分であり、前記No. 3の所定数の分は14分であり、前記No. 4の所定数の連続分は5分であり、前記No. 1の期間は20分であり、前記さらなる期間は10分である請求項9記載の方法。
【請求項11】
ベッドで眠ろうと試みる不眠症を患う被験者を治療するためのシステムであって、
前記システムに電力供給するための手段と、
受動覚醒/睡眠判定のための手段と、
適切な行動療法ルールにしたがって前記被験者がベッドから出なければならないか否かを判定するための手段と、
前記適切な行動療法ルールにしたがってユーザがベッドから出るべきであると判定された場合に、被験者がベッドを離れるように警告するための手段と、
を具備するシステム。
【請求項12】
前記システムのコンポーネントの状態をチェックするシステム診断を含む請求項11記載のシステム。
【請求項13】
時間、年齢、睡眠目的、警告の選択、言語、設定パラメータおよび表示の選択からなる群から選択されたシステム設定を前記被験者がレビューし調整することを可能にする手段を含む請求項11記載のシステム。
【請求項14】
前記ユーザが、前記システムによって先に得られた情報をレビューすることを可能にする手段を含む請求項13記載のシステム。
【請求項15】
睡眠が終了したときに前記被験者の一晩中の睡眠統計を計算するための手段を含む請求項11記載のシステム。
【請求項16】
ベッド内状態データが覚醒/睡眠データとともに得られる請求項11記載のシステム。
【請求項17】
いずれの警告をもオフにするための手段、および、前記被験者がもはやベッド内にいないと判定されたときに、前記被験者の現在の睡眠統計を表示するための手段が設けられる請求項16記載のシステム。
【請求項18】
いずれの警告をオフにするための手段、および、前記被験者がもはやベッド内にいないと判定されたときに、前記被験者に睡眠指令を出すための手段が設けられる請求項16記載のシステム。
【請求項19】
前記警告手段は、注意状態のテキスト表示、指令または情報のテキスト表示、ディスプレイバックライトの作動、点滅光、聴覚指示、触覚指示、合成音声または記録音声、低レベルの電気刺激または、適切な装置によって生成される芳香からなる群から選択される請求項11記載のシステム。
【請求項20】
前記警告手段は触覚指示である請求項19記載のシステム。
【請求項21】
前記警告は聴覚指示である請求項19記載のシステム。
【請求項22】
前記被験者が所定の起床時間を特定することを可能にするための手段を含む請求項11記載のシステム。
【請求項23】
前記警告手段をキャンセルするための被験者制御手段を含む請求項11記載のシステム。
【請求項24】
指令または情報の視覚または聴覚の呈示を含む請求項11記載のシステム。
【請求項25】
前記覚醒/睡眠判定手段は、EEG、EKG、EOG、アクチグラフィ、身体運動、電気皮膚反応、呼吸変化、眼球運動、および、前記覚醒/睡眠判定手段の2つまたはそれ以上の組み合わせからなる群から選択される請求項11記載のシステム。
【請求項26】
ベッドで眠ろうと試みる不眠症を患っている被験者を治療するためのシステムであって、
前記システムに電力供給するための手段と、
前記システムがトレーニングモードにあるか否かを判定するための手段と、
受動覚醒/睡眠判定のための手段と、
前記被験者が睡眠時間を完了したか否かおよびベッド外に居るか否かを判定し、その場合には一晩中の睡眠統計を計算するための手段と、
先に得られた睡眠データに基づいて睡眠抑制療法プログラムパラメータを計算するための手段と、
次の睡眠セッションのために、前記計算された睡眠抑制療法プログラムパラメータを表示するための手段と、
を具備するシステム。
【請求項27】
前記システムのコンポーネントの状態をチェックするシステム診断を含む請求項26記載のシステム。
【請求項28】
時間、年齢、睡眠目的、警告の選択、言語、設定パラメータおよび表示の選択からなる群から選択されたシステム設定を前記被験者がレビューし調整することを可能にする手段を含む請求項26記載のシステム。
【請求項29】
ユーザが、前記システムによって先に得られた情報をレビューすることを可能にする手段を含む請求項26記載のシステム。
【請求項30】
一晩中の睡眠の統計またはパラメータを表示するための手段を含む請求項26記載のシステム。
【請求項31】
次の睡眠セッションのためにそのようなパラメータを表示した後に適切な睡眠抑制療法プログラムパラメータを前記被験者がレビューし調整することを可能にする手段を含む請求項26記載のシステム。
【請求項32】
睡眠の機会をさらに増やすために睡眠スケジュールを計画する際に、前記被験者を補助するために、もっとも可能性の高い睡眠に対応する時間インターバルに関する追加情報を計算するための手段を含む請求項26記載のシステム。
【請求項33】
前記もっとも可能性の高い睡眠に対応する前記時間インターバルに近づくときに前記被験者に警告するための手段を含む請求項32記載のシステム。
【請求項34】
推薦された長さの時間の間、ベッド内にいた後に、前記被験者に警告するための手段を含む請求項26記載のシステム。
【請求項35】
前記被験者が所定の起床時間を特定することを可能にする請求項26記載のシステム。
【請求項36】
前記被験者自身によって着用可能であるように構成される請求項26記載のシステム。
【請求項37】
前記被験者自身によって着用可能であるように構成される請求項11記載のシステム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の睡眠または睡眠衛生を改良するために被験者の覚醒/睡眠状態を示す情報を使用する行動療法の実施を容易にするための自動化システムであって、
前記被験者の覚醒/睡眠状態を示す情報を生成するための受動覚醒/睡眠決定手段と、
前記覚醒/睡眠情報を使用する前記行動療法のステップを実施するための手段と、
を具備する自動化システム。
【請求項2】
前記行動療法は、刺激制御療法、睡眠抑制療法、リラクゼーション療法、認知行動療法、および、刺激制御療法、睡眠抑制療法、リラクゼーション療法または認知行動療法の2つまたはそれ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
被験者の個人的な覚醒/睡眠情報に基づいて被験者が実施すべき行動療法を選択するための手段を含む、請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記受動覚醒/睡眠決定手段は、EEG、EKG、EOG、アクチグラフィ、身体運動、電気皮膚反応、呼吸変化、または、眼球運動、および、EEG、EKG、EOG、アクチグラフィ、身体運動、電気皮膚反応、呼吸変化、または、眼球運動の2つまたはそれ以上の組み合わせからなる群から取られた情報を使用する、請求項1記載のシステム。
【請求項5】
薬物療法が前記行動療法とともに使用される、請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記覚醒/睡眠状態を決定するための能動手段を使用して、前記受動覚醒/睡眠決定手段を補足する、請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記行動療法は、下記のルールを使用して刺激制御療法を実施するための手段を含む刺激療法であり、すなわち、
a)被験者が眠っている間には絶対に被験者に警告してはならない、
b)少なくとも第1の所定数の連続の覚醒エポックが達成されたときのみに、被験者に警告する、
c)少なくとも第2の所定数の連続エポックのいずれの睡眠が達成されたときに、前記
被験者が維持モードにあることを指摘し、少なくとも第2の所定数の連続エポックのいずれの睡眠が達成されないときに、前記被験者は維持モードにないことを指摘する、
であり、それによって、
前記被験者が維持モードにある場合には、過去の第3のエポックの所定数を調べ、前記被験者が前記過去の第3のエポックの所定数のうち少なくとも第4のエポックの所定数の間、覚醒していた場合には、前記被験者に警告するが、
前記被験者が維持モードにない場合には且つ眠ろうと試みる第1の期間内の少なくとも第5の連続エポックの所定数の睡眠がない場合には、前記第1の期間の経過時に前記被験者に警告し、
前記被験者が維持モードになく、眠ろうと試みる前記第1の期間内に含まれる連続睡眠期間が、前記第5のエポックの所定数より大きいかまたは等しいが、前記第2の所定数のエポック未満である場合には、追加期間の間、警告を禁止する、請求項1記載のシステム。
【請求項8】
エポックは約30秒であり、前記第1の連続覚醒エポックの所定数は2であり、前記第2の連続エポックの所定数は20エポックであり、前記第3の連続エポックの所定数は30エポックであり、前記第4のエポックの所定数は28エポックであり、前記第5の連続エポックの所定数は10エポックであり、前記第1の期間は40エポックであり、前記追加期間は20エポックである、請求項7記載のシステム。
【請求項9】
前記行動療法のパラメータは、前記被験者の覚醒/睡眠情報に基づいて各被験者用に最適化される、請求項1記載のシステム。
【請求項10】
不眠症または他の睡眠愁訴のある被験者を含む、被験者の睡眠または睡眠衛生を改良することを求める被験者用に行動療法の実施を容易にするための装置であって、
前記被験者の覚醒/睡眠状態を決定するために、EEG、EKG、EOG、アクチグラフィ、身体運動、電気皮膚反応、呼吸変化、眼球運動、および、その2つまたはそれ以上の組み合わせからなる群から取られた情報を処理するための手段と、
前記覚醒/睡眠状態情報を使用して前記行動療法を実施するための手段と、
を具備する装置。
【請求項11】
前記行動療法は、刺激制御療法であり、
前記刺激制御療法のルールにしたがって前記被験者がベッドから出るべきか否かを決定するための手段と、
決定がなされた場合には、前記刺激制御療法のルールにしたがって、前記被験者にベッドを離れるように警告するための手段と、
を具備する、請求項10記載の装置。
【請求項12】
前記行動療法は、睡眠抑制療法であり、
前記睡眠抑制療法のルールにしたがって先に獲得された覚醒/睡眠情報に基づいて次回の睡眠セッション用の睡眠期間を含むプログラムパラメータを計算するための手段と、
前記被験者が前記睡眠期間を完了したか否かを決定するための手段と、
次回の睡眠セッション用に前記被験者に前記計算されたプログラムパラメータを表示するための手段と、
を具備する、請求項10記載の装置。
【請求項13】
前記行動療法は、刺激制御療法、睡眠抑制療法、リラクゼーション療法、認知行動療法、および、刺激制御療法、睡眠抑制療法、リラクゼーション療法または認知行動療法の2つまたはそれ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項10記載の装置。
【請求項14】
時間、年齢、睡眠目的、警告の好み、言語、設定パラメータおよび表示の好みからなる群から選択されたシステム設定を前記被験者がレビューし調整することを可能にする手段を含む、請求項10記載の装置。
【請求項15】
前記行動療法は、前記被験者の覚醒/睡眠状態情報および覚醒/睡眠状態歴に基づいて、各被験者用に最適化される、請求項10記載の装置。
【請求項16】
前記被験者が、前記装置によって先に獲得された情報をレビューすることを可能にする手段を含む、請求項10記載の装置。
【請求項17】
前記被験者の先の覚醒/睡眠状態歴に基づいて、前記被験者の睡眠統計を計算するための手段を含む、請求項10記載の装置。
【請求項18】
前記被験者がベッド内にいるか否かを示すことが、前記覚醒/睡眠状態情報とともに獲得される、請求項10記載の装置。
【請求項19】
すべての警告をオフにするための手段、および、前記被験者がもはやベッド内にいないと決定されたときに、前記被験者の現在の睡眠統計を表示するための手段が提供される、請求項18記載の装置。
【請求項20】
すべての警告をオフにするための手段、および、前記被験者がもはやベッド内にいないと決定されたときに、前記被験者に睡眠指令を与えるための手段が提供される、請求項18記載の装置。
【請求項21】
前記警告手段は、注意状態のテキスト表示、指令または情報のテキスト表示、ディスプレイバックライト、点滅光、聴覚指示、触覚指示、合成音声または記録音声、低レベルの電気刺激、および、適切な装置によって生成される芳香からなる群から選択される、請求項11記載の装置。
【請求項22】
前記被験者が所定の起床時間を特定することを可能にする手段を含む、請求項10記載の装置。
【請求項23】
前記警告手段をキャンセルするための被験者制御手段を含む、請求項11記載の装置。
【請求項24】
指令または情報の視覚または聴覚の呈示を含む、請求項10記載の装置。
【請求項25】
前記被験者が推薦された長さの時間の間ベッド内にいた後に、前記被験者に指示を与えるための手段を含む、請求項10記載の装置。
【請求項26】
次回の睡眠セッション用にそのようなパラメータを表示した後に、前記被験者が前記プログラムパラメータをレビューし調整することを可能にする手段を含む、請求項12記載の装置。
【請求項27】
前記被験者によって着用可能である単一の携帯用ユニットの形態である、請求項10記載の装置。
【請求項28】
前記被験者の睡眠を計画する際に前記被験者を補助するために、眠ることができるもっとも高い可能性に対応する時間インターバルを計算するための手段を含む、請求項10記載の装置。
【請求項29】
前記被験者が前記もっとも高い睡眠の可能性に対応する前記時間インターバルに近づくときに前記被験者に知らせるための手段を含む、請求項28記載の装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−524102(P2006−524102A)
【公表日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508999(P2006−508999)
【出願日】平成16年3月1日(2004.3.1)
【国際出願番号】PCT/US2004/006351
【国際公開番号】WO2004/078132
【国際公開日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
ペンティアム
PENTIUM
【出願人】(505294506)コンソリデーティッド リサーチ オブ リッチモンド,インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】