説明

自動原稿搬送装置およびネットワーク複合機

【課題】消費電力を極力抑えることのできる省エネモードを有する自動原稿搬送装置を提供することを目的とする。
【解決手段】通常モードと、省エネモードとによる動作を行う自動原稿搬送装置であって、本体部と、閉状態の場合に本体部と共に原稿の搬送経路を形成し、開状態の場合に搬送経路を露出させるカバーと、原稿が搬送経路の搬送開始位置にあることと、カバーが開状態であることとの少なくとも一方が起こっていることを検出する第一検出部と、第二検出部と、通常モードの場合に第一検出部および第二検出部の電源をオンにし、省エネモードの場合に第一検出部の電源をオンにし、第二検出部の電源をオフにする電源制御部とを備え、電源制御部は、原稿が搬送開始位置にあることと、カバーが開状態であることとの少なくとも一方が起こっている場合に、省エネモードから通常モードに移行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常モードと、通常モードよりも消費電力が少ない省エネモードとによる動作を行う自動原稿搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
1枚以上の原稿を1枚ずつスキャナに搬送して、スキャナにおいて1枚ずつ原稿の読み取りを行う自動原稿搬送装置がある。このような自動原稿搬送装置において、通常モードと通常モードよりも消費電力が少ない省エネモードとを備えたものがある。
【0003】
例えば、特許文献1の自動原稿搬送装置では、原稿が所定の位置に載置されたことを検出する異なる二種類の動作原理の原稿検出センサを備えている。一つは、所定の位置に開けられた穴に光を通し、原稿が所定の位置に載置された場合に、穴を上に載置された原稿から反射された光を検出することにより原稿の有無を検出する原稿台原稿検出センサである。もう一つは、原稿が載置された状態で、原稿によってレバーによるフォトインタラプタの光の遮断を解除されることを検出することにより原稿の有無を検出する給紙部原稿検出センサである。特許文献1では、原稿があることを原稿台原稿検出センサが検出した場合に省エネモードから通常モードに移行し、その後に給紙部原稿検出センサがさらに原稿があることを検出しなかった場合に省エネモードにすぐに移行する。これにより、環境光の強弱が検出されることによる原稿台原稿検出センサの誤検出があってもすぐに省エネモードに移行させることにより、誤検出による省エネモードから通常モードへの移行を最小限にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−295037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような自動原稿搬送装置においては、原稿の搬送経路において紙詰まり等が発生した場合に、紙詰まりなどを解消できるように、カバーを開けることによって原稿の搬送経路を露出可能なカバーが設けられている。また、自動原稿搬送装置には、カバーが開閉したことをユーザに対して報知することができるように、カバーの開閉状態を検出するカバー開閉検出センサが設けられている。したがって、省エネモードにおいても、カバー開閉検出センサの電源をオンにして、カバーが開状態であることを検出した場合に、ユーザに報知するためにエラー表示を行う必要がある。また、特許文献1のように原稿が所定の位置に載置された場合には、ユーザが通常モードに復帰するための操作を行わなくても、原稿が載置されたことを検出するのみで通常モードに復帰させるというニーズがある。つまり、省エネモードにおいては、原稿を検出するセンサと、カバーの開閉状態を検出するセンサとの少なくとも2つのセンサの電源をオンにしておく必要がある。しかしながら、省エネモードにおいては、消費電力を抑えるために極力通電しておくセンサの数を減らした方が好ましい。
【0006】
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、消費電力を極力抑えることのできる省エネモードを有する自動原稿搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一形態に係る自動原稿搬送装置は、通常モードと、前記通常モードよりも消費電力が少ない省エネモードとによる動作を行う自動原稿搬送装置であって、本体部と、閉状態の場合に前記本体部と共に原稿の搬送経路を形成し、開状態の場合に前記搬送経路を露出させるカバーと、原稿が前記搬送経路の搬送開始位置にあることと、前記カバーが開状態であることとの少なくとも一方を検出する第一検出部と、前記カバーの開閉状態を検出する第二検出部と、前記通常モードの場合に前記第一検出部および前記第二検出部の電源をオンにし、前記省エネモードの場合に前記第一検出部の電源をオンにし、かつ、前記第二検出部の電源をオフにする電源制御部とを備え、前記電源制御部は、原稿が前記搬送経路の搬送開始位置にあることと、前記カバーが開状態であることとの少なくとも一方が起こっていることが前記第一検出部により検出された場合に、前記省エネモードから前記通常モードに移行する。
【0008】
これによれば、原稿が搬送経路の搬送開始位置にあることと、カバーが開状態であることとの少なくとも一方が起こっていることを第一検出部が検出する。このため、第二検出部が起動していない状態であっても、カバーが閉状態であって、かつ、原稿が搬送開始位置にない状態であることを検出することができる。
【0009】
通常モードから省エネモードへの移行には、カバーが閉状態であることと、原稿が搬送開始位置にないこととの両方が必須である。この理由は、前者ではカバーが開状態である場合には、ユーザにカバーが開状態であることを示すエラー表示を行う必要があるためである。また、後者ではカバーが閉状態であって原稿が搬送開始位置にある場合にはユーザが原稿の読み取り開始を行う動作を開始したと判断しスキャナの電源をオンにする必要があるためである。すなわち、前者および後者の両方の条件が成立する場合に、初めて省エネモードに移行でき、その条件を一つのセンサで判定できれば、省エネ状態においてそれ以外のセンサの電源をオフにすることができる。
【0010】
つまり本発明では、第一検出部が、カバーが閉状態であることと、原稿が搬送開始位置にないこととの両方が起こっていることを判定できるため、省エネモードにおいてカバーの開閉を検出する第二検出部の電源をオフにすることができる。これにより、第一検出部とは別にカバーの開閉状態を検出する第二検出部の電源を省エネモードにおいてオフにすることができるため、省エネモードにおける消費電力をより低減させることができる。
【0011】
また、さらに、原稿の搬送を行う原稿搬送部と、前記原稿搬送部により搬送された原稿をスキャンするスキャナ部とを備え、前記電源制御部は、さらに、前記通常モードから前記省エネモードに移行した場合、前記原稿搬送部および前記スキャナ部の電源をオフにし、前記省エネモードから前記通常モードに移行した場合であって、前記カバーが前記第二検出部により閉状態であると検出された場合に、前記原稿搬送部および前記スキャナ部の電源をオンにすることが好ましい。
【0012】
これによれば、省エネモードから通常モードに復帰した場合に、カバーが第二検出部により閉状態であるか否かを確認する。そして、第二検出部が、カバーが閉状態であると検出した場合に、原稿搬送部およびスキャナ部の電源をオンにして、原稿の読み取り準備を行う。
【0013】
上述したように、第一検出部は、原稿が搬送経路の搬送開始位置にあることと、カバーが開状態であることとの少なくとも一方が起こっていることを検出するため、単にカバーが開状態にされたことを検出して通常モードに移行する場合がある。カバーが閉状態である場合に限定すれば、原稿が搬送経路の搬送開始位置にあることと、カバーが開状態であることとの少なくとも一方が起こっていることを第一検出部が検出する場合には、原稿が搬送経路の搬送開始位置にあることを検出していることになる。つまり、第一検出部が動作したことによって省エネモードから通常モードに移行した場合に、電源制御部は、カバーが閉状態であることを第二検出部から確認することで、原稿が搬送経路の搬送開始位置にあることを判断できる。
【0014】
このように、カバーが閉状態であって原稿が搬送経路の搬送開始位置にあることを確認した後に、原稿の読み取りを行うための原稿搬送部およびスキャナ部の電源を入れる。つまり、省エネモードから通常モードに移行した場合には、カバーが開状態であることを検出すれば、電源制御部は原稿搬送部およびスキャナ部の電源はオフのままに制御するため、消費電力を無駄に消費することを低減させることができる。
【0015】
また、前記第一検出部は、前記カバーに配置され、前記カバーが閉状態の場合のみに所定の位置に移動可能な爪部と、前記本体部に配置され、前記爪部が前記所定の位置にあることを検出するフォトセンサと、第一の位置と第二の位置との間を回転することにより移動可能な原稿検出用爪部と、前記カバーが閉状態の場合であって、前記原稿検出用爪部が前記第一の位置に回転して移動した場合に前記爪部を前記所定の位置に回転して移動させ、前記原稿検出用爪部が前記第一の位置から前記第二の位置側に回転して移動した場合に前記爪部を前記所定の位置とは別の位置に回転して移動させる回転伝動軸とを有し、前記原稿検出用爪部は、前記カバーが閉状態の場合であって、前記搬送開始位置に原稿が配置されていない場合に、前記第一の位置に位置し、前記カバーが閉状態の場合に、前記搬送開始位置に配置された原稿に押し出されることよって、前記第一の位置から前記第一の位置以外の位置に移動することが好ましい。
【0016】
また、前記第一検出部は、前記カバーに配置され、前記カバーが閉状態の場合のみに所定の位置に移動可能な爪部と、前記本体部に配置され、前記爪部が前記所定の位置にあることを検出するフォトセンサとを有し、前記爪部は、前記カバーが閉状態の場合であって、前記搬送開始位置に原稿が配置されていない場合に、前記所定の位置に位置し、前記カバーが閉状態の場合に、前記搬送開始位置に配置された原稿に押し出されることよって、前記所定の位置から前記所定の位置とは別の位置に移動する形態とすることもできる。
【0017】
また、前記第一検出部は、前記カバーに配置され、所定の位置と、前記所定の位置とは別の位置との間を回転することにより移動可能な爪部と、前記カバーに配置され、前記爪部が前記所定の位置にあることを検出するフォトセンサと、第一の位置と第二の位置との間を回転することにより移動可能な回転検出用爪部と、前記回転検出用爪部が前記第一の位置に回転して移動した場合に前記爪部を前記所定の位置に回転して移動させ、前記回転検出用爪部が前記第一の位置から前記第二の位置側に回転して移動した場合に前記爪部を前記所定の位置とは別の位置に回転して移動させる回転伝動軸とを有し、前記回転検出用爪部は、前記カバーが開状態の場合に前記第一の位置以外の位置に位置し、前記カバーが閉状態の場合であって、前記搬送開始位置に原稿が配置されていない場合に、前記第一の位置に位置し、前記カバーが閉状態の場合に、前記搬送開始位置に配置された原稿に押し出されることよって、前記第一の位置の位置から前記第一の位置以外の位置に移動する形態とすることもできる。
【0018】
また、前記第一検出部は、前記カバーに配置され、所定の位置と、前記所定の位置とは別の位置との間を回転することにより移動可能な爪部と、前記カバーに配置され、前記爪部が前記所定の位置にあることを検出するフォトセンサとを有し、前記爪部は、前記カバーが開状態の場合に前記所定の位置とは別の位置に位置し、前記カバーが閉状態の場合であって、前記搬送開始位置に原稿が配置されていない場合に、前記所定の位置に位置し、前記カバーが閉状態の場合に、前記搬送開始位置に配置された原稿に押し出されることよって、前記所定の位置から前記所定の位置とは別の位置に移動する形態とすることもできる。
【0019】
また、本発明は、このような自動原稿搬送装置を内蔵するネットワーク複合機として実現することもできる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る自動原稿搬送装置によれば、省エネモードにおける消費電力をより低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施の形態におけるネットワーク複合機の斜視図である。
【図2】自動原稿搬送装置の斜視図である。
【図3】自動原稿搬送装置のカバーを開けた状態の斜視図である。
【図4】原稿検出センサとカバー開閉検出センサとの概略構成図である。
【図5】原稿検出センサの動作原理を示す図である。
【図6】自動原稿搬送装置の省エネモードから通常モードへの復帰処理に係る機能ブロック図である。
【図7】自動原稿搬送装置の通常モード復帰処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】(a)は、カバーが開状態になった場合の各センサへの電源オンおよびオフの制御の状態を示すタイムチャートであり、(b)は、カバーが閉状態かつ原稿有りの場合の各センサへの電源オンおよびオフの制御の状態を示すタイムチャートである。
【図9】変形例(1)における原稿検出センサとカバー開閉検出センサとの概略構成図である。
【図10】変形例(1)における原稿検出センサの動作原理を示す図である。
【図11A】(a)は変形例(2)におけるカバーが開状態における回転検出部を示す図であり、(b)は変形例(2)におけるカバーが開状態におけるセンサ用爪部と原稿検出用フォトセンサとを示す図である。
【図11B】(a)は変形例(2)におけるカバーが閉状態であって原稿無しの場合における回転検出部を示す図であり、(b)は変形例(2)におけるカバーが閉状態であって原稿無しの場合におけるセンサ用爪部と原稿検出用フォトセンサとを示す図である。
【図11C】(a)は変形例(2)におけるカバーが閉状態であって原稿有りの場合における回転検出部を示す図であり、(b)は変形例(2)におけるカバーが閉状態であって原稿有りの場合における爪部とフォトセンサとを示す図である。
【図12A】変形例(3)におけるカバーが開状態における原稿検出センサを示す図である。
【図12B】変形例(3)におけるカバーが閉状態であって原稿無しの場合における原稿検出センサを示す図である。
【図12C】変形例(3)におけるカバーが閉状態であって原稿有りの場合における原稿検出センサを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0023】
図1は、本実施の形態における自動原稿搬送装置を含むネットワーク複合機の斜視図である。図2は、自動原稿搬送装置の斜視図である。図3は、自動原稿搬送装置のカバーを開けた状態を示す斜視図である。
【0024】
図1に示すように、自動原稿搬送装置(ADF:Automatic Document Feeder)100は、ネットワーク複合機1の最上部に装備され、複写しようとする原稿またはファクシミリを送信しようとする原稿を、スキャナ部62(後述参照)の画像読取位置へと自動的に搬送する装置である。自動原稿搬送装置100は、図2および図3に示すように、カバー11と、読み取りを行う前の原稿が載置される給紙トレイ12と、読み取りが行われた後の原稿が排出される排紙トレイ13と、カバー11と共に搬送経路70を形成する本体部14とを備える。なお、搬送経路70に双方向をX方向とし、給紙トレイ12上においてX方向と垂直な方向をY方向とし、高さ方向であってX方向およびY方向と垂直な方向をZ方向とする。自動原稿搬送装置100には、通常モードと、通常モードよりも消費電力が少ない省エネモードとの少なくとも2つのモードにおける動作を行う。
【0025】
カバー11は、閉状態の場合に本体部14と共に原稿の搬送経路70を形成し、開状態の場合に搬送経路70を露出させる。カバー11は、閉状態の場合に、本体部14の手前側と奥側とに設けられる手前側カバー支持部15および奥側カバー支持部16において支持される。カバー11の裏側には、原稿検出のための原稿検出部30と、カバー11の開閉を検出するためのカバー検出用爪部35とが設けられる。
【0026】
原稿検出部30は、センサ用爪部31と、回転伝動軸32と、原稿検出用爪部33と、回転軸固定部34とを有する。ここで、図4は、原稿検出センサ21とカバー開閉検出センサ22との概略構成図である。原稿検出センサ21(第一検出部)は、原稿検出部30と原稿検出用フォトセンサ51とから成る。原稿検出部30のセンサ用爪部31は、図4に示すように、カバー11が開状態(図4の破線の状態)から閉状態となった場合に、奥側カバー支持部16に設けられる第一孔41の内部の原稿検出用フォトセンサ51の第一センシング領域81に位置する。原稿検出用フォトセンサ51は、光を発光する発光部と、発光部により発行された光を受光する受光部とから成るいわゆるフォトインタラプタである。原稿検出用フォトセンサ51は、発光部からの光が遮断されたことを受光部が検出したことにより、第一センシング領域81に物体があることを判断する。つまり、ここでは、原稿検出用フォトセンサ51は、センサ用爪部31が第一センシング領域81にあるか否かを検出する。原稿検出用フォトセンサ51は、第一センシング領域81に物体があることを検出すれば、その検出信号が「High」となり、第一センシング領域81に物体がないことを検出すれば、その検出信号が「Low」となる。なお、原稿検出用フォトセンサ51が検出する検出信号の「High」および「Low」と第一センシング領域81に物体があることとの関係は、上記と逆であってもよい。
【0027】
また、カバー開閉検出センサ22(第二検出部)は、カバー検出用爪部35とカバー開閉検出用フォトセンサ52とから成る。カバー検出用爪部35は、図4に示すように、カバー11が開状態(図4の破線の状態)から閉状態となった場合に、奥側カバー支持部16に設けられる第二孔42の内部のカバー開閉検出用フォトセンサ52の第二センシング領域82に位置する。カバー開閉検出用フォトセンサ52は、原稿検出用フォトセンサ51と同様の構成であり、発光部からの光が遮断されたことを受光部が検出したことにより、第二センシング領域82に物体があることを判断する。つまり、ここでは、カバー開閉検出用フォトセンサ52は、カバー検出用爪部35が第二センシング領域82にあるか否かを検出する。これにより、カバー11が開状態であるか閉状態であるかを検出している。カバー開閉検出用フォトセンサ52は、第二センシング領域82に物体があることを検出すれば、その検出信号が「High」となり、第二センシング領域82に物体がないことを検出すれば、その検出信号が「Low」となる。なお、カバー開閉検出用フォトセンサ52が検出する検出信号の「High」および「Low」と第一センシング領域81に物体があることとの関係は、上記と逆であってもよい。
【0028】
図5は、原稿検出センサ21の動作原理を示す図である。上述したように原稿検出センサ21は、センサ用爪部31と、回転伝動軸32と、原稿検出用爪部33と、回転軸固定部34と、原稿検出用フォトセンサ51とから成る。
【0029】
センサ用爪部31は、カバー11が閉状態の場合のみに原稿検出用フォトセンサ51の第一センシング領域81に移動可能である。つまり、カバー11が開状態の場合には、センサ用爪部31は、第一センシング領域81に移動できない。原稿検出用爪部33は、図5に示すように、第一の位置(図5の破線の位置)と第二の位置(図5の実線の位置)との間を回転することにより移動可能な構造である。回転伝動軸32は、カバー11が閉状態の場合であって、原稿検出用爪部33が第一の位置に回転して移動した場合にセンサ用爪部31を原稿検出用フォトセンサ51の第一センシング領域81に回転して移動させる。そして、原稿検出用爪部33が原稿によって押し出されて第一の位置から第二の位置側に回転して移動した場合にセンサ用爪部31を第一センシング領域81とは別の位置に回転して移動させる。回転軸固定部34は、図3に示すように、回転伝動軸32をカバー11に固定するための部材であって、回転伝動軸32の軸受部として機能する。つまり、原稿検出センサ21は、カバー11が閉状態の場合において、原稿が搬送開始位置90にないときに、センサ用爪部31が第一センシング領域81に位置するため、カバー11が閉状態、かつ、原稿が搬送開始位置90にないときに「High」になる。また、カバー11が閉状態の場合において、原稿が設置されたときに原稿検出用爪部33が原稿に押し出されることに連動して、センサ用爪部31が第一センシング領域81から外れた位置に位置するため、このときに「Low」になる。つまり、原稿検出センサ21は、原稿が搬送開始位置90にない状態においては、カバー11の開閉状態を検出することが可能である。
【0030】
図6は、自動原稿搬送装置の省エネモードから通常モードへの復帰処理に係るブロック図である。
【0031】
自動原稿搬送装置100は、電源制御部101と、原稿検出センサ21と、カバー開閉検出センサ22と、読取検出センサ23と、反転検出センサ24と、原稿幅検出センサ25と、原稿搬送部61と、スキャナ部62とを備える。
【0032】
電源制御部101は、各種センサや各種機器の電源のオンオフの制御を行う制御部である。電源制御部101は、通常モードの場合に、原稿検出センサ21、カバー開閉検出センサ22、読取検出センサ23、反転検出センサ24、原稿幅検出センサ25、原稿搬送部61およびスキャナ部62の電源をオンにする。ただし、電源制御部101は、省エネモードから通常モードに移行した直後に原稿搬送部61およびスキャナ部62の電源をオンにしない。この点の制御については後述する。電源制御部101はまた、省エネモードの場合に、原稿検出センサ21の電源をオンにし、カバー開閉検出センサ22、読取検出センサ23、反転検出センサ24、原稿幅検出センサ25、原稿搬送部61およびスキャナ部62の電源をオフにする。電源制御部101は、原稿検出センサ21により原稿が搬送経路70の搬送開始位置90にあることと、カバーが開状態であることとの少なくとも一方が起こっていることが検出された場合に、省エネモードから通常モードに移行する。つまり、電源制御部101は、原稿検出センサ21の原稿検出用フォトセンサ51の第一センシング領域81に物体が検出されない状態となった場合に、省エネモードから通常モードに移行する。電源制御部101は、省エネモードから通常モードに移行した場合であって、カバー11がカバー開閉検出センサ22により閉状態であると検出された場合に、原稿搬送部61およびスキャナ部62の電源をオンにする。
【0033】
原稿検出センサ21およびカバー開閉検出センサ22の説明は上述と同様であるため省略する。
【0034】
読取検出センサ23は、原稿がスキャナ部62の読み取り位置に達したか否かを検出するセンサである。反転検出センサ24は、原稿が給紙トレイ12から搬送経路70を通過して、その下の排紙トレイ13に至るまでの間にX方向が変化する位置である反転位置に達したか否かを検出するセンサである。原稿幅検出センサ25は、Y方向における原稿の幅を検出するセンサである。
【0035】
原稿搬送部61は、原稿を給紙トレイ12の搬送開始位置90から搬送経路70を経て排紙トレイ13に至るまでの間に配置される原稿を搬送するためのローラ(図示せず)と、ローラを駆動するモータ(図示せず)とから成る。
【0036】
スキャナ部62は、原稿をスキャンするためのイメージセンサおよびイメージセンサに原稿の像を導くレンズなどの光学系から成る。
【0037】
次に、以上のように構成された本実施の形態における通常モード復帰処理の処理手順について説明する。
【0038】
図7は、自動原稿搬送装置の通常モード復帰処理の流れを示すフローチャートである。図8は、(a)が、カバーが開状態になった場合の各センサへの電源オンおよびオフの制御の状態を示すタイムチャートであり、(b)が、カバーが閉状態かつ原稿有りの場合の各センサへの電源オンおよびオフの制御の状態を示すタイムチャートである。
【0039】
図7に示すように、所定時間(例えば10分間)、ネットワーク複合機1の操作が行われなかった場合に、通常モードから省エネモードへと移行する。具体的には、省エネモードに移行する場合に、電源制御部101は、原稿検出センサ21の電源をオンにし、カバー開閉検出センサ22を含むその他のセンサ22〜25の電源をオフにし、原稿搬送部61およびスキャナ部62の電源をオフにする(S101)。図8を参照して、各センサ21〜25および各機器61、62の電源制御について説明する。図8(a)および(b)に示すように、省エネモードに移行した第一のタイミングT1において、原稿検出センサ21以外の電源がオフになる。
【0040】
次に、電源制御部101は、原稿検出センサ21により原稿が搬送経路70の搬送開始位置90にあることと、カバー11が開状態であることとの少なくとも一方が起こっていること(以下、「検出状態」という。)が検出されたか否かを確認する(S102)。つまり、電源制御部101は、原稿検出センサ21の原稿検出用フォトセンサ51の第一センシング領域81にセンサ用爪部31が位置する状態から、センサ用爪部31が第一センシング領域81以外の位置に位置する状態へ変化したか否かを確認する。
【0041】
電源制御部101は、原稿検出センサ21が検出状態となった場合(S102:Yes)に、カバー開閉検出センサ22および各種センサ23〜25の電源をオンにする(S103)。このとき、図8(a)および(b)に示すように、第二のタイミングT2において原稿検出センサ21が「Low」となる。この場合に、第二のタイミングT2の後の第三のタイミングT3において、カバー開閉検出センサ22の電源がオンになる。なお、電源制御部101は、原稿検出センサ21が検出状態とならなかった場合(S102:No)に、ステップS102を繰り返す。
【0042】
電源制御部101は、カバー開閉検出センサ22によりカバー11が開状態であることを検出しているか否かを確認する(S104)。つまり、電源制御部101は、カバー開閉検出センサ22のカバー開閉検出用フォトセンサ52の第二センシング領域82にカバー検出用爪部35が位置するか否かを確認する。
【0043】
電源制御部101は、カバー開閉検出センサ22によりカバー11が開状態であることを検出された場合(S104:Yes)に、カバー11が開状態であることをユーザに報知するために表示部(図示せず)に「カバー開」のエラー表示を行う(S105)。このとき、図8(a)に示すように、第四のタイミングT4においてカバー開閉検出センサ22が「Low」となる。この場合に、第四のタイミングT4の後に原稿搬送部61およびスキャナ部62の電源をオフにしたままとする。
【0044】
電源制御部101は、カバー開閉検出センサ22によりカバー11が閉状態であることを検出された場合(S104:No)に、「カバー開」のエラー表示があるか否かの確認を行う(S106)。
【0045】
電源制御部101は、「カバー開」のエラー表示がある場合(S106:Yes)に、表示部の「カバー開」のエラー表示を解除する(S107)。
【0046】
電源制御部101は、「カバー開」のエラー表示がない場合(S106:No)、または、ステップS107の後に、原稿搬送部61およびスキャナ部62の電源をオンにする(S108)。このとき、図8(b)に示すように、第四のタイミングT4においてカバー開閉検出センサ22が「Low」となる。この場合に、第四のタイミングT4の後の第五のタイミングT5において、原稿搬送部61およびスキャナ部62の電源がオンになる。
【0047】
ステップS108において、カバー11が閉状態となっており、かつ、原稿の搬送経路70の搬送開始位置90に原稿が載置されていることが確認されたため、電源制御部101は、ユーザが原稿の読み取りを開始させるために原稿を載置したものと判断する。そして、自動的にユーザの行動を判断することにより、省エネモードから通常モードへ復帰させて、スキャナによる原稿の読み込みの準備を開始する。
【0048】
以上のように本実施の形態の自動原稿搬送装置100によれば、原稿が搬送経路70の搬送開始位置90にあることと、カバー11が開状態であることとの少なくとも一方が起こっていることを第一検出部としての原稿検出センサ21が検出する。このため、第二検出部としてのカバー開閉検出センサ22が起動していない状態であっても、カバー11が閉状態であって、かつ、原稿が搬送開始位置90にない状態であることを検出することができる。
【0049】
ところで、通常モードから省エネモードへの移行には、カバー11が閉状態であることと、原稿が搬送開始位置90にないこととの両方が必須である。この理由は、前者ではカバー11が開状態である場合には、ユーザにカバー11が開状態であることを示すエラー表示を行う必要があるためである。また、後者ではカバー11が閉状態であって原稿が搬送開始位置90にある場合にはユーザが原稿の読み取り開始を行う動作を開始したと判断しスキャナ(各種センサ23〜25、原稿搬送部61およびスキャナ部62)の電源をオンにする必要があるためである。すなわち、前者および後者の両方の条件が成立する場合に、初めて省エネモードに移行でき、その条件を一つのセンサで判定できれば、省エネ状態においてそれ以外の各種センサ23〜25の電源をオフにすることができる。
【0050】
本実施の形態の自動原稿搬送装置100では、原稿検出センサ21が、カバー11が閉状態であることと、原稿が搬送開始位置90にないこととの両方が起こっていることを判定できる。このため、電源制御部101は、省エネモードにおいてカバー11の開閉を検出するカバー開閉検出センサ22の電源をオフにすることができる。これにより、原稿検出センサ21とは別にカバー11の開閉状態を検出するカバー開閉検出センサ22の電源を省エネモードにおいてオフにすることができるため、省エネモードにおける消費電力をより低減させることができる。
【0051】
また、本実施の形態の自動原稿搬送装置100によれば、省エネモードから通常モードに復帰した場合に、カバー11がカバー開閉検出センサ22により閉状態であるか否かを確認する。そして、カバー11が閉状態であることをカバー開閉検出センサ22が検出した場合に、原稿搬送部61およびスキャナ部62の電源をオンにする原稿の読み取り準備を行う。
【0052】
原稿検出センサ21は、原稿が搬送経路70の搬送開始位置90にあることと、カバー11が開状態であることとの少なくとも一方が起こっていることを検出するため、単にカバー11が開状態にされたことを検出して通常モードに移行する場合がある。カバー11が閉状態である場合に限定して、以下に説明する。原稿検出センサ21の検出信号が「Low」になる場合には、原稿が搬送経路70の搬送開始位置90にあることを検出していることになる。原稿検出センサ21の検出信号が「Low」になる場合とは、原稿が搬送経路70の搬送開始位置90にあることと、カバー11が開状態であることとの少なくとも一方が起こっていることを原稿検出センサ21が検出する場合である。つまり、原稿検出センサ21が動作したことにより省エネモードから通常モードに移行した場合、電源制御部101は、カバー11が閉状態であることをカバー開閉検出センサ22から確認することで、原稿が搬送経路70の搬送開始位置90にあることを判断できる。
【0053】
このように、電源制御部101は、カバー11が閉状態であって原稿が搬送経路70の搬送開始位置90にあることを確認した後に、原稿の読み取りを行うための原稿搬送部61およびスキャナ部62の電源を入れる。つまり、省エネモードから通常モードに移行した場合に、カバー11が開状態であることをカバー開閉検出センサ22が検出すれば、電源制御部101は原稿搬送部61およびスキャナ部62の電源はオフのままに制御するため、消費電力を無駄に消費することを低減させることができる。
【0054】
(変形例)
以上、本発明に係る情報処理装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
【0055】
つまり、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0056】
(1)
上記実施の形態の自動原稿搬送装置100では、原稿検出センサ21を構成する原稿検出部30が、原稿により押し出される原稿検出用爪部33と、原稿検出用フォトセンサ51に直接作用するセンサ用爪部31とが分離されている。しかし、この形態に限らずに、一体型であってもよい。
【0057】
図9は、変形例(1)における原稿検出センサとカバー開閉検出センサとの概略構成図である。カバー11に取り付けられる爪部131は、カバー11が閉状態の場合に、図9の破線の状態から実線の状態となる。このように、爪部131は、回転軸141を軸としてカバー11に固定されており、カバー11の開閉状態にかかわらず、回転軸141から下側に垂れる。そして、カバー11が閉状態の場合に、原稿検出用フォトセンサ151(フォトセンサ)の第一センシング領域181(所定の位置)に位置する。これにより、原稿が搬送開始位置90にない状態において、カバー11の開閉状態を検出できる原稿検出センサ121としてもよい。
【0058】
図10は、変形例(1)における原稿検出センサの動作原理を示す図である。図10に示すように、爪部131は、カバー11が閉状態での場合であって、搬送開始位置90に原稿が配置されていない場合に、原稿検出用フォトセンサ151の第一センシング領域181に位置する(図10の破線の状態)。爪部131は、カバー11が閉状態の場合に、搬送開始位置90に配置された原稿に押し出されることによって、原稿検出用フォトセンサ151の第一センシング領域181から第一センシング領域181とは別の位置に移動する。なお、この場合に、原稿検出用フォトセンサ151は、上記実施の形態における原稿検出用フォトセンサ51と異なり、原稿の有無を判定するための部材とフォトセンサに作用する部材とを兼用するために、原稿が載置される搬送開始位置90の直下に配置される。
【0059】
(2)
上記実施の形態の自動原稿搬送装置100では、原稿検出センサ21を構成する原稿検出用フォトセンサ51は、本体部14側に配置されているが、これに限らずに、カバー11に配置してもよい。
【0060】
図11Aは、(a)が変形例(2)におけるカバー211が開状態における回転検出部233を示す図であり、(b)が変形例(2)におけるカバーが開状態におけるセンサ用爪部231(爪部)と原稿検出用フォトセンサ251(フォトセンサ)とを示す図である。図11Bは、(a)が変形例(2)におけるカバーが閉状態であって原稿無しの場合における回転検出部を示す図であり、(b)が変形例(2)におけるカバーが閉状態であって原稿無しの場合におけるセンサ用爪部と原稿検出用フォトセンサとを示す図である。図11Cは、(a)が変形例(2)におけるカバーが閉状態であって原稿有りの場合における回転検出部を示す図であり、(b)が変形例(2)におけるカバーが閉状態であって原稿有りの場合における爪部とフォトセンサとを示す図である。なお、図11A、図11Bおよび図11Cの(a)と(b)とでは、Y方向の位置が異なる位置の図であり、特に回転伝動軸232のX方向およびZ方向の位置は一致する。
【0061】
図11A、図11Bおよび図11Cに示すように、カバー211は、Y方向の異なる位置において第一空間401および第二空間402を有する。なお、原稿検出用フォトセンサ251は、上記実施の形態の原稿検出用フォトセンサ51と同様の構成である。
【0062】
カバー211が開状態の場合を図11Aに基づいて説明する。図11A(a)に示すように、第一空間401において、回転検出部233は、回転伝動軸232を軸として回転し下方に垂れる。このとき回転検出部233は第一空間401の内部に収納される。一方で、図11A(b)に示すように、センサ用爪部231は、原稿検出用フォトセンサ251の第一センシング領域281とは別の位置に位置する。
【0063】
カバー211が閉状態かつ原稿が搬送開始位置90にない場合を、図11Bに基づいて説明する。図11B(a)に示すように、カバー211が閉状態となり水平な状態となると、回転検出部233は、回転伝動軸232を軸として回転し下方に垂れる。このとき回転検出部233は一部が第一空間401の下方に出る。一方で、図11B(b)に示すように、センサ用爪部231は、回転検出部233の回転が回転伝動軸232によって伝えられることにより回転し、原稿検出用フォトセンサ251の第一センシング領域281に移動する。これにより、原稿検出センサ221は、カバー211が閉状態になったことを検出することができる。
【0064】
カバー211が閉状態かつ原稿が搬送開始位置90に挿入される場合を、図11Cに基づいて説明する。図11C(a)に示すように、回転検出部233が下方に垂れて第一空間401の下方に出た状態で、原稿が搬送開始位置90に挿入されると、回転検出部233は搬送開始位置90に配置された原稿に押し出されることによって、破線の状態から実線の状態となる。このとき、センサ用爪部231は、回転検出部233の回転が回転伝動軸232によって伝えられることにより回転し、原稿検出用フォトセンサ251の第一センシング領域281から第一センシング領域281以外の位置に移動する。
【0065】
以上のように、原稿検出センサ221の構成であっても、上記実施の形態の原稿検出センサ21と同様の効果を得ることができる。
【0066】
(3)
また、上記変形例(2)では、原稿により押し出される回転検出部233と、原稿検出用フォトセンサ251に直接作用するセンサ用爪部231とが分離されているが、この形態に限らずに、一体型であってもよい。
【0067】
図12Aは、変形例(3)におけるカバー311が開状態における原稿検出センサ321を示す図である。図12Bは、変形例(3)におけるカバー311が閉状態であって原稿無しの場合における原稿検出センサ321を示す図である。図12Cは変形例(3)におけるカバー311が閉状態であって原稿有りの場合における原稿検出センサ321を示す図である。
【0068】
図12A、図12Bおよび図12Cに示すように、カバー311は、第三空間403を有する。原稿検出センサ221は、L字形状の爪部331と、原稿検出用フォトセンサ351とからなる。爪部331は、Z方向に沿って延びる原稿検出用爪部341と、センサ用爪部342と、回転軸343とにより構成される。原稿検出用爪部341と、センサ用爪部342とは、互いに回転軸343で交わって一体となっており、L字型の形状をなす。なお、原稿検出用フォトセンサ351は、上記実施の形態の原稿検出用フォトセンサ51と同様の構成である。
【0069】
カバー311が開状態の場合を図12Aに基づいて説明する。図12Aに示すように、第三空間403において、爪部331は、回転軸343を軸として回転し原稿検出用爪部341が下方に垂れ、センサ用爪部342は、原稿検出用フォトセンサ351の第一センシング領域381とは別の位置に位置する。
【0070】
カバー311が閉状態かつ原稿が搬送開始位置90にない場合を、図12Bに基づいて説明する。図12Bに示すように、カバー311が閉状態となり水平な状態となると、原稿検出用爪部341は、回転軸343を軸として回転し下方に垂れる。このとき原稿検出用爪部341は一部が第三空間403の下方に出る。一方で、センサ用爪部342も回転し、原稿検出用フォトセンサ351の第一センシング領域381に移動する。これにより、原稿検出センサ321は、カバー311が閉状態になったことを検出することができる。
【0071】
カバー311が閉状態かつ原稿が搬送開始位置90に挿入される場合を、図12Cに基づいて説明する。図12Cに示すように、原稿検出用爪部341が下方に垂れて第一空間401の下方に出た状態で原稿が搬送開始位置90に挿入されると、原稿検出用爪部341は搬送開始位置90に配置された原稿に押し出されることによって、破線の状態から実線の状態となる。このとき、センサ用爪部342も一緒に回転し、原稿検出用フォトセンサ351の第一センシング領域381から第一センシング領域381以外の位置に移動する。
【0072】
以上のように、原稿検出センサ321の構成であっても、上記実施の形態の原稿検出センサ21と同様の効果を得ることができる。
【0073】
(4)
上記実施の形態では、原稿が搬送経路70の搬送開始位置90にあることと、カバー11が開状態であることとの少なくとも一方が起こっていることを検出するセンサとして原稿検出センサ21を利用しているが、これに限らない。原稿検出センサ21の代わりに、原稿検出センサ21と同じ構成でY方向に異なる位置に配置される原稿幅検出センサ25を利用しても良い。
【0074】
(5)
上記実施の形態では、電源制御部101は、通常モード復帰処理のステップS102において原稿検出センサ21が検出状態となった場合に、カバー開閉検出センサ22とともに各種センサ23〜25の電源もオンにしているがこれに限らない。この第三のタイミングT3で各種センサ23〜25の電源をオンにせずにオフにしたままとしてもよい。なお、この場合においては、各種センサ23〜25は、原稿搬送部61およびスキャナ部62の電源と同じ動作を行うことが好ましい。つまり、ステップS108の第五のタイミングT5において、カバー11が閉状態となっており、かつ、原稿の搬送経路70の搬送開始位置90に原稿が載置されていることが確認されてから、電源制御部101は各種センサ23〜25の電源をオンにしてもよい。これにより、ユーザが原稿の読取を開始させるために原稿が載置されたことを確認されなかった場合には、各種センサ23〜25も原稿搬送部61およびスキャナ部62と共に、電源をオフにしたままとすることができる。このため、消費電力を無駄に消費することをより低減することができる。
【0075】
(6)
上記実施の形態では、電源制御部101は、自動原稿搬送装置100が備えているが、これに限らずに、ネットワーク複合機1側に備えるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、より消費電力の少ない省エネモードを有する自動原稿搬送装置等として利用することができる。
【符号の説明】
【0077】
1 ネットワーク複合機
11、211、311 カバー
12 給紙トレイ
13 排紙トレイ
14 本体部
15 手前側カバー支持部
16 奥側カバー支持部
21、121、221、321 原稿検出センサ
22 カバー開閉検出センサ
23 読取検出センサ
24 反転検出センサ
25 原稿幅検出センサ
30 原稿検出部
31、231、342 センサ用爪部
32、232 回転伝動軸
33、341 原稿検出用爪部
34 回転軸固定部
35 カバー検出用爪部
41 第一孔
42 第二孔
51、151、251、351 原稿検出用フォトセンサ
52 カバー開閉検出用フォトセンサ
61 原稿搬送部
62 スキャナ部
70 搬送経路
81、181、281、381 第一センシング領域
82 第二センシング領域
90 搬送開始位置
100 自動原稿搬送装置
101 電源制御部
131、331 爪部
141、343 回転軸
233 回転検出部
401 第一空間
402 第二空間
403 第三空間
T1 第一のタイミング
T2 第二のタイミング
T3 第三のタイミング
T4 第四のタイミング
T5 第五のタイミング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常モードと、前記通常モードよりも消費電力が少ない省エネモードとによる動作を行う自動原稿搬送装置であって、
本体部と、
閉状態の場合に前記本体部と共に原稿の搬送経路を形成し、開状態の場合に前記搬送経路を露出させるカバーと、
原稿が前記搬送経路の搬送開始位置にあることと、前記カバーが開状態であることとの少なくとも一方を検出する第一検出部と、
前記カバーの開閉状態を検出する第二検出部と、
前記通常モードの場合に前記第一検出部および前記第二検出部の電源をオンにし、前記省エネモードの場合に前記第一検出部の電源をオンにし、かつ、前記第二検出部の電源をオフにする電源制御部と
を備え、
前記電源制御部は、原稿が前記搬送経路の搬送開始位置にあることと、前記カバーが開状態であることとの少なくとも一方が起こっていることが前記第一検出部により検出された場合に、前記省エネモードから前記通常モードに移行する
自動原稿搬送装置。
【請求項2】
さらに、
原稿の搬送を行う原稿搬送部と、
前記原稿搬送部により搬送された原稿をスキャンするスキャナ部と
を備え、
前記電源制御部は、さらに、
前記通常モードから前記省エネモードに移行した場合、前記原稿搬送部および前記スキャナ部の電源をオフにし、
前記省エネモードから前記通常モードに移行した場合であって、前記カバーが前記第二検出部により閉状態であると検出された場合に、前記原稿搬送部および前記スキャナ部の電源をオンにする
請求項1に記載の自動原稿搬送装置。
【請求項3】
前記第一検出部は、
前記カバーに配置され、前記カバーが閉状態の場合のみに所定の位置に移動可能な爪部と、
前記本体部に配置され、前記爪部が前記所定の位置にあることを検出するフォトセンサと、
第一の位置と第二の位置との間を回転することにより移動可能な原稿検出用爪部と、
前記カバーが閉状態の場合であって、前記原稿検出用爪部が前記第一の位置に回転して移動した場合に前記爪部を前記所定の位置に回転して移動させ、前記原稿検出用爪部が前記第一の位置から前記第二の位置側に回転して移動した場合に前記爪部を前記所定の位置とは別の位置に回転して移動させる回転伝動軸と
を有し、
前記原稿検出用爪部は、
前記カバーが閉状態の場合であって、前記搬送開始位置に原稿が配置されていない場合に、前記第一の位置に位置し、
前記カバーが閉状態の場合に、前記搬送開始位置に配置された原稿に押し出されることよって、前記第一の位置から前記第一の位置以外の位置に移動する
請求項1または2に記載の自動原稿搬送装置。
【請求項4】
前記第一検出部は、
前記カバーに配置され、前記カバーが閉状態の場合のみに所定の位置に移動可能な爪部と、
前記本体部に配置され、前記爪部が前記所定の位置にあることを検出するフォトセンサと
を有し、
前記爪部は、
前記カバーが閉状態の場合であって、前記搬送開始位置に原稿が配置されていない場合に、前記所定の位置に位置し、
前記カバーが閉状態の場合に、前記搬送開始位置に配置された原稿に押し出されることよって、前記所定の位置から前記所定の位置とは別の位置に移動する
請求項1または2に記載の自動原稿搬送装置。
【請求項5】
前記第一検出部は、
前記カバーに配置され、所定の位置と、前記所定の位置とは別の位置との間を回転することにより移動可能な爪部と、
前記カバーに配置され、前記爪部が前記所定の位置にあることを検出するフォトセンサと、
第一の位置と第二の位置との間を回転することにより移動可能な回転検出用爪部と、
前記回転検出用爪部が前記第一の位置に回転して移動した場合に前記爪部を前記所定の位置に回転して移動させ、前記回転検出用爪部が前記第一の位置から前記第二の位置側に回転して移動した場合に前記爪部を前記所定の位置とは別の位置に回転して移動させる回転伝動軸と
を有し、
前記回転検出用爪部は、
前記カバーが開状態の場合に前記第一の位置以外の位置に位置し、
前記カバーが閉状態の場合であって、前記搬送開始位置に原稿が配置されていない場合に、前記第一の位置に位置し、
前記カバーが閉状態の場合に、前記搬送開始位置に配置された原稿に押し出されることよって、前記第一の位置の位置から前記第一の位置以外の位置に移動する
請求項1または2に記載の自動原稿搬送装置。
【請求項6】
前記第一検出部は、
前記カバーに配置され、所定の位置と、前記所定の位置とは別の位置との間を回転することにより移動可能な爪部と、
前記カバーに配置され、前記爪部が前記所定の位置にあることを検出するフォトセンサと
を有し、
前記爪部は、
前記カバーが開状態の場合に前記所定の位置とは別の位置に位置し、
前記カバーが閉状態の場合であって、前記搬送開始位置に原稿が配置されていない場合に、前記所定の位置に位置し、
前記カバーが閉状態の場合に、前記搬送開始位置に配置された原稿に押し出されることよって、前記所定の位置から前記所定の位置とは別の位置に移動する
請求項1または2に記載の自動原稿搬送装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の自動原稿搬送装置を備えるネットワーク複合機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【公開番号】特開2013−78063(P2013−78063A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217983(P2011−217983)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】