説明

自動原稿送り装置、画像読取装置及び画像形成装置

【課題】コスト高を招くことなく、大型の原稿を折らずに給送することが可能な自動原稿送り装置を提供する。
【解決手段】所定幅の搬送路と、上記搬送路を搬送された原稿を読み取る原稿読み取り位置とを有する搬送筐体101を備えた自動原稿送り装置100であって、上記原稿読み取り位置に上記搬送路を介して上記原稿を給送させる給紙部が、上記原稿読み取り位置を通過した上記原稿を上記搬送路を介して排紙させる排紙部140より上方に設けられており、上記搬送筐体101は、上記所定幅の上記搬送路を形成する所定位置と、該所定位置から倒伏し、上記搬送路の一辺を開放した第2搬送路を形成する開放位置との間を移動する可動枠体102を有するという構成を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ADF(Auto Document Feeder)等の自動原稿送り装置と、自動原稿送り装置が接続されるスキャナ等を有する画像読取装置及び複写機、プリンタ、またはファクシミリ装置等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動原稿送り装置は、接続される装置の原稿読み取り手段、当該装置の大きさや、設置場所の制約により給送可能な原稿の原稿規格は、一般に、JIS規格のA3サイズまでのものが多い。
【0003】
したがって、従来、A3サイズ以上の原稿を給送するには、特別に大きな自動原稿送り装置を用いる必要があり、コスト高になる問題があった。
【0004】
上記問題を解決するために、A3サイズ以上(例えばA2サイズ)の原稿を二つ折りにし給送することで、原稿を読み取らせる自動原稿送り装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2005−37507号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記解決手段では、原稿を折る必要があるため、大事な原稿や、貴重な原稿には使用できない問題があった。
【0006】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、コスト高を招くことなく、大型の原稿を折らずに給送することが可能な自動原稿送り装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明では、所定幅の搬送路と、上記搬送路を搬送された原稿を読み取る読み取り位置とを有する搬送筐体を備えた自動原稿送り装置であって、上記読み取り位置に上記搬送路を介して上記原稿を給送させる給紙部が、上記読み取り位置を通過した上記原稿を上記搬送路を介して排紙させる排紙部より上方に設けられており、上記搬送筐体は、上記所定幅の上記搬送路を形成する所定位置と、該所定位置から倒伏し、上記搬送路の一辺を開放した第2搬送路を形成する開放位置との間を移動する枠体を有するという構成を採用する。
このような構成を採用することで、本発明では、原稿の搬送幅を制限していた所定幅の搬送路の一辺を開放した第2搬送路を設けることによって、大型の原稿を読み取り位置に給送することができる。
【0008】
また、本発明では、上記搬送筐体は、上記読み取り位置を挟んだ上記排紙部の逆側に、上記第2搬送路に上記原稿を給紙する第2給紙部を有するという構成を採用する。
このような構成を採用することで、第2給紙部と排紙部とを結ぶ直線的な搬送経路で大型の原稿を読み取り位置に給送することができる。
【0009】
また、本発明では、上記第2給紙部は、上記搬送筐体の一部が展開して設けられるという構成を採用する。
このような構成を採用することで、通常の原稿の場合に、第2給紙部は、搬送筐体の一部として収容することができる。
【0010】
また、本発明では、上記第2給紙部は、上記第2給紙部に給紙する上記原稿を支える原稿給紙トレイを有し、上記原稿給紙トレイは、上記搬送筐体の一部であるという構成を採用する。
このような構成を採用することで、展開した搬送筐体の一部を大型の原稿の給紙のための原稿給紙トレイとして有効に活用することができる。
【0011】
また、本発明では、上記枠体は、上記開放位置にあるとき、上記原稿の幅方向に伸長して、搬送される上記原稿を支える伸長部材を有するという構成を採用する。
このような構成を採用することで、大型の原稿が給送時に垂れ下がることを防止することができる。
【0012】
また、本発明では、上記排紙部は、折り畳まれたときに、排紙した上記原稿を上記搬送路に対応する幅で支持し、展開されたときに、排紙した上記原稿を上記第2搬送路に対応する幅で支持する原稿排紙トレイを有するという構成を採用する。
このような構成を採用することで、大型の原稿にも対応することができる原稿排紙トレイで、排紙された原稿を支持することができる。
【0013】
また、本発明では、上記一辺を除く上記搬送路を形成する上記搬送筐体を補強する略コの字形状の補強部材を有するという構成を採用する。
このような構成を採用することで、所定幅の搬送路の一辺を開放した場合であっても、搬送筐体の強度を確保することができる。
【0014】
また、本発明では、上記枠体が上記開放位置にあることを検出する検出装置と、上記搬送筐体に設けられ、上記検出装置の検出結果に連動して、上記原稿の読み取りに関する設定の操作が可能になる操作装置とを有するという構成を採用する。
このような構成を採用することで、自動給送装置が接続される装置の操作パネル等が大型の原稿で隠れることによる操作性の低下を枠体の展開と連動して作動する予備の操作装置を設けることによって緩和することができる。
【0015】
また、本発明では、上記操作装置は、上記枠体が上記所定位置にあるときに遮蔽され、上記枠体が上記開放位置にあるときに露出するという構成を採用する。
このような構成を採用することで、通常の原稿の給送時の、予期せぬ操作装置の誤動作等を防止することができる。
【0016】
また、本発明では、上記搬送筐体は、上記枠体が上記開放位置に位置あるときに、上記枠体と協働して、搬送される上記原稿の幅方向のズレを防止するズレ防止ローラを有するという構成を採用する。
このような構成を採用することで、搬送路の一辺を開放することによる第2搬送路での、大型の原稿の幅方向のずれを防止することができる。
【0017】
また、本発明では、上記原稿を搬送する搬送装置を有しており、上記ズレ防止ローラは、上記搬送筐体から上記原稿の幅方向に展開する展開機構を備えて、上記展開機構が非展開時に、上記搬送装置が有する輪列機構と非連結とされ、上記展開機構が展開時に、上記輪列機構と連結されるという構成を採用する。
このような構成を採用することで、原稿の幅方向のずれを防止しつつ、搬送装置と協働して大型の原稿を給送することができる。
【0018】
また、本発明では、上記枠体は、上記ズレ防止ローラを収納可能な凹部を有しており、上記所定位置にあるとき、上記凹部が上記ズレ防止ローラを収納するという構成を採用する。
このような構成を採用することで、通常の原稿の給送時に使用されないズレ防止ローラを収容することができることができる。
【0019】
また、本発明では、上記記載の自動原稿送り装置が設けられる画像読取装置を採用する。
【0020】
また、本発明では、上記読み取り位置で上記原稿を読み取る画像読み取り手段と、上記自動原稿送り装置によって搬送される上記原稿を上記画像読み取り手段の読み取り幅で読み取った第1画像データ及び、上記原稿を180度回転させて、上記自動原稿送り装置で搬送した上記原稿を上記読み取り幅で読み取った第2画像データを合成して一枚の画像データとする画像合成装置とを備えるという構成を採用する。
このような構成を採用することで、大型の原稿を一度に読み取ることができない場合であっても、画像データを2つに分けて読み取り、合成することで、大型の原稿の全体を読み取ることができる。
【0021】
また、本発明では、上記原稿の搬送方向の長さを検出する原稿長さ検出手段を有し、上記画像合成装置は、上記原稿を90度回転して搬送した際に、上記原稿長さ検出手段で検出された上記搬送方向と直交する上記原稿の辺の長さに基づいて合成するという構成を採用する。
このような構成を採用することで、2つの画像データを重ね合わせる幅を原稿の長さから算出することで容易に画像データを合成することができる。
【0022】
また、本発明では、上記記載の画像読取装置が設けられる画像形成装置を採用する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、所定幅の搬送路と、上記搬送路を搬送された原稿を読み取る読み取り位置とを有する搬送筐体を備えた自動原稿送り装置であって、上記読み取り位置に上記搬送路を介して上記原稿を給送させる給紙部が、上記読み取り位置を通過した上記原稿を上記搬送路を介して排紙させる排紙部より上方に設けられており、上記搬送筐体は、上記所定幅の上記搬送路を形成する所定位置と、該所定位置から倒伏し、上記搬送路の一辺を開放した第2搬送路を形成する開放位置との間を移動する枠体を有するという構成を採用することで、原稿の搬送幅を制限していた所定幅の搬送路の一辺を開放した第2搬送路を設けることによって、大型の原稿を読み取り位置に給送することができる。
したがって、本発明では、コスト高を招くことなく、大型の原稿を折らずに給送することができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0025】
図1は、本実施形態における複写機(画像形成装置)1のブロック構成図を示す。
複写機1は、原稿の画像を読み取る画像読取装置10と、読み取られた画像データを基に印刷処理をする印刷部5と、それらの動作を制御する制御部6と、ユーザーの指令を制御部6へ伝送する複写機操作装置7とを有する構成となっている。
【0026】
画像読取装置10は、原稿を原稿読み取り位置(読み取り位置)に給送する自動原稿送り装置100(後述)と、原稿の画像を読み取る画像読取部12と、読み取った画像を記憶する画像記憶部13と、記憶された画像を画像処理する画像処理部(画像合成装置)14とを有する構成となっている。
【0027】
画像読取部12は、原稿の画像を読み取るCCD(Charge Coupled Device)ラインセンサを有するスキャナ(画像読み取り手段)等を備える構成となっており、制御部6の制御の下、自動原稿送り装置100から原稿読み取り位置に給送された原稿の画像をスキャナで読み取り、原稿画像の形状や色彩等の画像データを画像記憶部13に出力する構成となっている。
なお、画像読取部12の読み取り可能な幅は、一般に用いられるA3サイズ(297mm×420mm)を読み取り可能な幅(297mm以上であって当該値の近傍の幅)である。
【0028】
画像記憶部13は、ハードディスク等の外部記憶装置或いは/及び半導体メモリ等から構成されており、制御部6の制御の下、画像読取部12から入力された画像データを書き込んで記憶すると共に、当該画像データを読み出して画像処理部14へ出力する構成となっている。
【0029】
画像処理部14は、制御部6の制御の下、画像記憶部13から入力された原稿の画像データ(RGB型式画像データ)に各種の画像処理(画像合成処理等)を施すと共に、当該画像処理によって生成された画像データ(RGB型式画像データ)を印刷形式の画像データ(CMYK型式画像データ)に変換して印刷部5に出力するものである。
【0030】
印刷部5は、制御部6の制御の下、印刷用紙を搬送しつつ当該印刷用紙にトナーを付着させることにより、画像処理部14から入力された画像データに基づいて印刷用紙に画像を形成するものであり、例えば、給紙カセット、感光ドラム、露光装置、定着装置等を備える構成となっている。
【0031】
制御部6は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の内部メモリ、並びに自動原稿送り装置100、画像読取部12、画像記憶部13、画像処理部14、印刷部5、及び後述する複写機操作装置7とのデータ授受を行う各種入出力インターフェース回路等から構成されている。
【0032】
複写機操作装置7は、例えばタッチパネル、液晶ディスプレイやハードウエアキー等から構成されており、ユーザーと複写機1とを関係付けるマンマシンインタフェースとして機能する。タッチパネルは、周知のように表示パネルの表示面に抵抗膜方式等の透明な面状押圧センサを設けたものであり、表示パネルに表示された操作ボタン(ボタン部)にユーザーが指等で押圧すると、面状押圧センサが押圧位置(押圧座標)を示す操作信号を制御部6に出力するものである。このようなタッチパネルには、各種機能のそれぞれ割り付けられた複数の操作ボタンが制御部6によって所定のレイアウトで表示される構成となっている。
ハードウエアキーは、例えば電源ボタン、数字ボタン、印刷開始ボタン等、タッチパネルに表示される操作ボタン以外の物理的に備えられた操作部であり、ユーザーの操作に基づいた操作信号を制御部6に出力する構成となっている。
【0033】
次に、自動原稿送り装置100について、図2、図3、及び図4を参照して詳しく説明する。
図2は、JIS規格のA3以下の大きさの原稿を給送する場合(以下、通常給送モードと称する)の自動原稿送り装置100の斜視図を示す。
図3は、JIS規格のA3より大きな原稿を給送する場合(以下、大型給送モードと称する)の自動原稿送り装置100の斜視図を示す。
図4は、図3における線視X−X断面図を示す。
【0034】
先ず、図4を参照して、自動原稿送り装置100の内部の構成について説明する。
自動原稿送り装置100は、原稿読み取り位置に原稿を給送するものであるが、ここで、原稿読み取り位置とは、自動原稿送り装置100と、自動原稿送り装置100の下部に設けられた画像読取部12とが対向する位置であって、原稿を読み取らせる位置のことをいう。
【0035】
自動原稿送り装置100は、原稿を搬送して原稿読み取り位置で画像読取部12に原稿を読み取らせる搬送装置110と、通常給送モード時に原稿を搬送装置110に給紙する給紙部120と、大型給送モード時に大型の原稿を搬送装置110に給紙する第2給紙部130と、原稿読み取り位置を通過して搬送装置110から排出される原稿を支持する排紙部140(後述)と、搬送装置110の強度を補強する補強部材150とを有する構成となっている。
給紙部120は、原稿読み取り位置に対して排紙部140と同一側で、排紙部140より上方に設けられ、第2給紙部130は、原稿読み取り位置を挟んだ排紙部140の逆側に設けられている。自動原稿送り装置100は、通常給送モード時、給紙部120から搬送装置110を介して排紙部140へ原稿を搬送する搬送路を通じて原稿が給送され、大型給送モード時、第2給紙部130から搬送装置110を介して排紙部140へ原稿を搬送する搬送路(第2搬送路)を通じて原稿が給送される。
【0036】
搬送装置110は、給紙部120から原稿を一枚ずつ内部に導入するピックアップローラ113と、ピックアップローラ113から導入された原稿の先端の位置を調節する調節ローラ114と、調節ローラ114によって先端の位置を調節された原稿を原稿読み取り位置へ向けて給送する給送ローラ115と、給送ローラ115によって給送された原稿を密着させて原稿読み取り位置を通過させ画像読取部12に読み取らせる密着ローラ116と、密着ローラ116への原稿の密着を補助する補助ローラ117a〜117dと、原稿読み取り位置を通過した原稿を排紙部140へ排出する排出ローラ118と、第2給紙部130から原稿を一枚ずつ内部に導入する第2ピックアップローラ131及び第2調節ローラ132とを有する構成となっている。
なお、各ローラは、互いに軸方向(紙面垂直方向)に平行に設置される。
【0037】
ピックアップローラ113は、一対のローラでピックアップベルト113aを張架して、給紙部120近傍の上部に設置される。ピックアップローラ113は、通常は待機位置にあり、給紙時に、不図示のアームによって移動され、積載した原稿の最上面に当接可能な構成となっている。
第2ピックアップローラ131も同様の構成となっており、第2ピックアップベルト131aを張架して第2給紙部130近傍の上部に設置される。
【0038】
調節ローラ114は、ピックアップローラ113の下流に設けられ、ピックアップローラ113と協働して、給紙された原稿の先端の位置を調整する構成となっている。
第2調節ローラ132は、後述する補助ローラ117cと共に調節ベルト132aを張架して、第2ピックアップローラ131から導入された原稿を後述する密着ローラ116と補助ローラ117cに巻回される調節ベルト132aとの間に給送する構成となっている。
【0039】
給送ローラ115は、調節ローラ114の下流に設けられ、一対のローラの回転駆動で、密着ローラ116へ原稿を給送する構成となっている。
【0040】
密着ローラ116は、画像読取部12の近傍であって、給送ローラ115の更に下流に位置し、画像読取部12との間に介在するガラス面20に近接するように設けられる。
また、補助ローラ117a〜117dは、密着ローラ116の周面に密接するように複数設けられる。
そして、密着ローラ116は、密着ローラ116の周面に設けられた補助ローラ117a〜117dと協働して、給送された原稿を密着ローラ116に密着させつつ、画像読取部12と対向する位置で原稿が読み取られる原稿読み取り位置を通過させる構成となっている。
【0041】
排出ローラ118は、原稿読み取り位置を通過した原稿を複数設けられた一対のローラの回転駆動で、排紙部140へ排出する構成となっている。
【0042】
補強部材150は、図5に示す図4の線視Y−Y断面図ように、略コの字形状に形成され、また、図4に示す搬送装置110の外装を形成する搬送筐体101の内部の天壁を支える支持部150aと、低壁を支える支持部150bと、支持部150a、150bの一端の間に懸架された支持部150cとを有し、搬送筐体101を補強する構成となっている。当該補強は、後述する大型給送モード時に搬送路の一辺を開放することに伴い、搬送筐体101の強度を向上させるために設けられたものである。
【0043】
次に、図2及び図3を参照して、自動原稿送り装置100の外部の構成について説明する。
搬送装置110の外装を形成する搬送筐体101は、図2に示すように、搬送筐体101に接続されて原稿の搬送路の一辺を形成する可動枠体(枠体)102と、搬送筐体101に接続されて第2給紙部130(図4参照)を閉塞する第2可動枠体103とを有し、さらに、図3に示すように、第2操作装置104と、ズレ防止ローラ105とを有する構成となっている。
また、排紙部140は、排紙トレイ(原稿排紙トレイ)141と、排紙トレイ141の一部を形成する可動排紙トレイ141aとを有する構成となっている。
【0044】
通常給送モード時、可動枠体102は、図2に示すように、搬送筐体101の一部を形成する通常位置(所定位置)すなわち原稿の幅方向の一側に立設して待機している。したがって、可動枠体102によって搬送路の幅は制限され、搬送可能な原稿の大きさは、A3以下のサイズとなる。なお、通常給紙モード時に、可動枠体102は、原稿の幅方向のズレを抑制する係止部材として働くことと成る(図6(a)に示す通常給送モード時の自動原稿送り装置100の左側面模式図(第2可動枠体103不図示)参照)。
また、可動枠体102は、下部が給紙方向に平行な軸線回りに回転自在に支持されており、大型給送モード時に図3に示すように、通常位置から90度倒伏して搬送路の一辺を開放する開放位置へと移動可能な構成となっている(図6(b)に示す大型給送モード時の自動原稿送り装置100の左側面模式図参照)。さらに、可動枠体102は、内部に伸長部材102aを有しており、開放位置において略水平方向に伸長可能な伸長部材102aを突出させることにより、大型の原稿の搬送時に原稿が自重で垂れ下がることを抑制することができる。
【0045】
また、可動枠体102は、通常位置にあるとき搬送筐体101と当接する当接面に、後述するズレ防止ローラ105を収容することができる凹部102bが形成されており、通常位置にあるとき、ズレ防止ローラ105を収容し、開放位置にあるとき、ズレ防止ローラ105を露出させる構成となっている。さらに、可動枠体102は、ズレ防止ローラ105と協働して、原稿を搬送する従属ローラ102cを有する構成となっている。
従属ローラ102cは、可動枠体102に埋め込まれ内部で原稿の幅方向に延びる軸線回りに回転自在に支持される構成となっている。
【0046】
第2可動枠体103は、通常給送モード時では、図2に示すように、搬送筐体101の一部を形成する位置に待機しており、図3に示す第2給紙部130を閉塞している。
第2可動枠体103は、図4に示すように、それぞれが原稿の幅方向に延びる第1展開軸103a及び第2展開軸103bを有し、大型給送モード時では、第1展開軸103aを基点として、直線形状に変形するとともに、第2展開軸103bを基点として、原稿を給紙する給紙方向に倒伏し、第2給紙部130を外部に露出させる構成となっている。また、第2可動枠体103は、当該倒伏により、第2給紙部130と同一の高さの略水平面を形成し、第2給紙部130からの原稿の給紙を下部から支えることによって補助する原稿給紙トレイの効果を奏することができる。
【0047】
可動枠体102の開放位置への移動により搬送路の一辺を開放し、第2可動枠体103の倒伏により第2給紙部130を露出させることによって、第2給紙部130から原稿読み取り位置を介して排紙部140へ繋がる大型の原稿を給送可能な第2搬送路が形成されることとなる。また、第2給紙部130は、原稿読み取り位置を挟んだ排紙部140の逆側に設けられているため、大型の原稿を直線的に搬送することが可能となる。
【0048】
ここで、図6(a)及び(b)に示すように、大型給送モード時、可動枠体102が倒伏したかを検出する検出スイッチ(検出装置)106が、自動原稿送り装置100の下部を形成する機械ベース107の側面に突出して形成されており、可動枠体102が通常位置にあるとき非押下とされる(図6(a)参照)。
そして、検出スイッチ106は、図6(b)に示すように、開放位置に可動枠体102が移動したときに、可動枠体102の下面で、押下される構成となっている。そして、検出スイッチ106は、押下されたか否かを図3に示す第2操作装置104へ伝送する構成となっている。
【0049】
第2操作装置104は、図3に示すように、搬送筐体101の上面に設けられた表示部104aと、搬送筐体101の側面に設けられた操作パネル104bとを有する構成となっている。
表示部104aは、例えば、液晶ディスプレイやタッチパネル等で形成されており、検出スイッチ105が押下されたことに連動して作動する。したがって、通常給送モード時は、表示部104aは非作動である。
操作パネル104bは、ハードウエアキーから構成されており、可動枠体102が通常位置にあるとき、遮蔽されて、開放位置にあるとき露出される。したがって、操作パネル104bは、通常給送モード時に閉塞されるため、予期せぬハードウエアキーの押下による誤動作等を防止することができる。また、当該閉塞時、操作パネル104bが可動枠体102に押下されないように、搬送筐体101には、ある一定の深さの溝(凹部)が設けられており、操作パネル104bは、溝内に配置されている。
第2操作装置104は、大型給送モード時に、大型の原稿が複写機本体側に設けられた複写機操作装置7を覆い隠してしまうことによる、操作の困難性を回避するために設けられており、第2の操作装置として作動する。したがって、可動枠体102が開放位置にあるとき、表示部104aが作動し、また、操作パネル104bが露出することによって、原稿の搬送開始又は終了等の原稿の読み取りに関する設定や表示を行うことが可能な構成となっている。
【0050】
ズレ防止ローラ105は、図3に示すように、搬送筐体101の可動枠体102と当接する当接面に設けられ、大型の原稿を給送するときに、原稿の幅方向のズレを防止するものである。
図7(a)に示すように、ズレ防止ローラ150は、幅方向に展開する展開機構105aを有しており、可動枠体102に収容されているときは、非展開で、搬送筐体101の側面に密着している。そして、可動枠体102が、開放位置に移動したとき、図7(b)に示すように、展開機構105aを基点として、90度展開し、搬送路の幅方向に延在する構成となっている。
【0051】
ズレ防止ローラ105の一端には、ギア105bが設けられており、他端には、従属ローラ102cと協働して、原稿を搬送するローラ105cが設けられている。ギア105bは、展開機構105aの展開時に、搬送筐体101の側面に設けてある穴部101aに挿入され、搬送筐体101の内部に設けられている搬送装置110の可動ギア(輪列機構)110aに連結される構成となっている。したがって、ズレ防止ローラ105は、搬送装置110の駆動を可動ギア110aを介してギア105bで受け取り、軸105dを介してローラ105cに伝送し、搬送装置110と同期して原稿を搬送可能な構成となっている。なお、ズレ防止ローラ105は、ギア105bと、可動ギア110aとのギア比を調節しており、搬送装置110の搬送速度と同じ搬送速度で原稿を搬送することができる構成となっている。
【0052】
排紙部140は、図2に示すように、原稿読み取り位置を通過して排紙された原稿を受け取る排紙トレイ(原稿排紙トレイ)141と、排紙トレイ141の一部を形成する可動排紙トレイ141aとを有する構成となっている。
可動排紙トレイ141aは、排紙トレイ141と手前側の端部でヒンジ連結され、通常給送モード時は、排紙トレイ141に折り畳まれており、排紙トレイ141と協働して、A3以下の原稿を支持する構成となっている。
また、可動排紙トレイ141aは、図3に示すように、大型給送モード時に、排紙トレイ141から展開することで排紙トレイ141の幅を拡充して、大型の原稿を支持できる構成となっている。
【0053】
ここで、上記構成の複写機1における通常給送モード時の動作について説明する。
【0054】
先ず、ユーザーは、図4に示すように、原稿を給紙部120から挿入し、自動原稿送り装置100の搬送装置110に、複写機操作装置7を操作して原稿の搬送を開始させる。
【0055】
このとき、図2に示すように、可動枠体102が通常位置に待機しており、検出スイッチ106は非押下である(図6(a)参照)。したがって、第2操作装置104は非作動である。そして、第2可動枠体103は、搬送筐体101の一部を形成する位置に待機することとなり、第2給紙部130を閉塞することとなる。
また、排紙トレイ141は、可動排紙トレイ141aを非展開とさせることにより通常の原稿の幅に対応するように備えることとなる。
【0056】
自動原稿送り装置100は、図4に示すように、搬送装置110に通常の原稿を搬送させる。そして、搬送装置110は、大型の原稿を一辺が可動枠体102によって制限された搬送路を経由して原稿読み取り位置を通過させる動作を行うこととなる。
原稿は、給紙部120を介して搬送装置110に挿入される。そして、挿入された原稿は、ピックアップローラ113によって搬送装置110内部に導入され、ピックアップローラ113と調節ローラ114とによって給送ローラ115に送るように原稿の搬送方向の先端の位置を調節される。そして、先端の位置を調節された原稿は、給送ローラ115によって密着ローラ116に給送される。
【0057】
密着ローラ116は、補助ローラ117a〜117dと協働して、原稿を密着させ、原稿読み取り位置を通過させる。原稿読み取り位置では、画像読取部12がCCDラインセンサを有するスキャナで原稿を読み取る。そして、原稿読み取り位置を通過した原稿は、排出ローラ118によって、排紙部140へ排出され、排紙トレイ141及び非展開の可動排紙トレイ141aに支持されることとなる(図2参照)。
【0058】
図1に示すように、画像読取部12で読み取った画像データは、画像記憶部13で記憶され、画像処理部14で所望の画像処理を受ける。そして、画像処理を受けた画像データを基に、印刷部5が印刷用紙に画像を形成することで、原稿の画像が印刷された印刷物が形成されることとなる。
【0059】
以上の通常給送モード時の動作で、通常の原稿を搬送することができ、画像読取部12に原稿を読み取らせることができる。
【0060】
続いて、上記構成の複写機1における大型給送モード時の動作について説明する。
【0061】
先ず、ユーザーは、大型の原稿を自動原稿送り装置100で給送するために、図3に示すように、可動枠体102を倒伏させ、通常位置から開放位置に移動させる。可動枠体102が開放位置にあるとき、検出スイッチ106が押下され(図6(b)参照)、第2操作装置104が作動することとなる。次いで、第2可動枠体103を給紙方向に倒伏して、第2給紙部130を露出させ、また、第2可動枠体103を大型の原稿の給紙用の原稿給紙トレイとさせる。
また、ユーザーは、排紙トレイ141の可動排紙トレイ141aを展開させることにより大型の原稿を支持できるように備えさせ、さらに、可動枠体102の伸長部材102aも引き出し、大型の原稿の垂れを防止する。
さらに、可動枠体102の凹部102bに収容されていたズレ防止ローラ105を展開し、搬送装置110の可動ギア110aとギア105bで連結させる(図7(b)参照)。そして、可動枠体102に設けられた従属ローラ102cとズレ防止ローラ105のローラ105cとが当接して対面することとなる。
【0062】
次いで、ユーザーは、大型の原稿の先端を第2給紙部130に挿入するかたちで、原稿給紙トレイとなった第2可動枠体103上に載置し、第2操作装置104の操作パネル104bに設けられた搬送開始のハードウエアキーを押下することで、自動原稿送り装置100に原稿読み取り位置への大型の原稿の搬送を開始させる。
【0063】
自動原稿送り装置100は、図4に示すように、搬送装置110に大型の原稿を搬送させる。そして、搬送装置110は、大型の原稿を一辺が開放された第2搬送路を経由して原稿読み取り位置を通過させる動作を行うこととなる。
大型の原稿は、原稿給紙トレイとなった第2可動枠体103から、第2給紙部130を介して搬送装置110に挿入される。そして、挿入された原稿は、第2ピックアップローラ131によって搬送装置110内部に導入されて、第2調節ローラ132へと搬送される。第2調節ローラ132と補助ローラ117cは、回転駆動することによって調節ベルト132aで原稿を搬送し、密着ローラ116と、補助ローラ117cに巻回される調節ベルト132aとの間に原稿を給送する。
【0064】
密着ローラ116は、補助ローラ117c及び117dと協働して、原稿を密着させ、原稿読み取り位置を通過させる。原稿読み取り位置では、画像読取部12がCCDラインセンサを有するスキャナで原稿を読み取る。そして、原稿読み取り位置を通過した原稿は、排出ローラ118によって、排紙部140へ排出され、排紙トレイ141及び展開した可動排紙トレイ141aに支持されることとなる(図3参照)。
【0065】
また、上記搬送時、ズレ防止ローラ105が可動枠体102に設けられた従属ローラ102cと協働して原稿を抑えるとともに、搬送装置110と同期して同じ速度で原稿を搬送することで、幅方向のズレを防止することができる。
【0066】
以上の大型給送モード時の給送動作で、大型の原稿を折らずに搬送することができ、画像読取部12に原稿を読み取らせることが可能となる。
【0067】
しかしながら、画像読取部12は、構成上A3(約297mm)までの幅でしか原稿を読み取ることができないため、A3より大きな大型の原稿のすべてを読み取り一枚の画像データを取得するためは、画像合成手段が必要となる。以下、当該画像合成手段について述べる。
【0068】
図8は、例えば、JIS規格A2サイズの原稿Pを搬送した場合の画像読取部12で読み取られる原稿Pの範囲を示す模式図である。
図8(a)に示すように、大型の原稿Pを上記自動原稿送り装置100の搬送動作によって原稿読み取り位置を通過させると、画像読取部12に原稿Pの上側の画像である第1画像データD1が読み取られることとなる。このとき、第1画像データD1は、画像読取部12の読み取り幅の関係で下側を欠いた画像データとなる。
したがって、下側の画像データが必要となるため、次は、図8(b)に示すように、原稿Pを180回転させて、自動原稿送り装置100で搬送し、画像読取部12に原稿Pの下側の画像である第2画像データD2を読み取らせる。
【0069】
第1画像データD1及び第2画像データD2は、図1に示すように画像読取部12によって画像記憶部13に出力され、また、画像記憶部13によって当該画像データを記憶されると共に、画像処理部14へ出力される。
画像処理部14は、第2画像データD2を180度回転させて、第1画像データD1及び第2画像データD2を合成処理して一枚の画像データとする。なお、当該合成処理には、周知のパターンマッチング手法等を用いることが考えられるが、ここでは、原稿Pの搬送方向と直交する辺の長さに基づいて容易に合成できる合成処理を提案する。
【0070】
当該合成処理は、図9に示すように、原稿Pの搬送方向と直交する辺の長さである直交長さMに基づいて、第1画像データD1及び第2画像データD2を合成するものである。第1画像データD1及び第2画像データD2の読み取られた幅は同一であるため、長さMで、互いを対向させるように配置すると、重複部分が出現する。そして、当該重複部分の重なり長さmを直交長さM及び第1画像データD1及び第2画像データD2の読み取り幅から算出し、第1画像データD1または、第2画像データD2から、重なり長さm分だけ差し引いたものを合成させることで、容易に合成させることができる。
【0071】
原稿Pの直交長さMを入力するに当たって、原稿PがA2、B2等の用紙規格に合致するものであれば、直交長さMを複写機操作装置7または、第2操作装置104で直接入力すれば足りるが、原稿Pが上記用紙規格に合致するものでない場合は、直交長さMを検出する原稿長さ検出手段が必要となる。
【0072】
当該原稿長さ検出手段は、自動原稿送り装置100によって原稿Pが原稿読み取り位置に搬送され、画像読取部12に原稿Pの先端が読み取られた時間から、原稿Pが読み取り終えた時間までの読み取り時間を画像読取部12が計測しており、計測された当該読み取り時間と、搬送装置110の原稿Pの搬送速度から直交長さMを算出するものである。
したがって、原稿Pを90度回転させたものを自動原稿送り装置100で搬送して、上記原稿長検出手段によって、直交長さMを検出することができ、当該直交長さMを基に、上記合成処理を行うことができる。
【0073】
そして、印刷部5は、画像処理部14によって合成された画像データを基に、印刷用紙にトナー等を付着させることにより、大型の原稿の印刷物が形成されることとなる。
【0074】
したがって、上述した本実施形態では、所定幅の搬送路と、上記搬送路を搬送された原稿を読み取る原稿読み取り位置とを有する搬送筐体101を備えた自動原稿送り装置100であって、上記原稿読み取り位置に上記搬送路を介して上記原稿を給送させる給紙部120が、上記原稿読み取り位置を通過した上記原稿を上記搬送路を介して排紙させる排紙部140より上方に設けられており、搬送筐体101は、上記所定幅の上記搬送路を形成する通常位置と、該通常位置から倒伏し、上記搬送路の一辺を開放した第2搬送路を形成する開放位置との間を移動する可動枠体102を有するという構成を採用する。
このような構成を採用することで、本発明では、原稿の搬送幅を制限していた所定幅の搬送路の一辺を開放した第2搬送路を設けることによって、大型の原稿を原稿読み取り位置に給送することができる。
【0075】
また、本実施形態では、搬送筐体101は、上記読み取り位置を挟んだ排紙部140の逆側に、上記第2搬送路に上記原稿を給紙する第2給紙部130を有するという構成を採用することで、第2給紙部130と排紙部140とを結ぶ直線的な搬送経路で大型の原稿を原稿読み取り位置に給送することができる。
【0076】
また、本実施形態では、第2給紙部130は、搬送筐体101の一部(第2可動枠体103)が展開して設けられるという構成を採用することで、通常給送モードの場合に、第2給紙部130は、搬送筐体101の一部として収容することができ、大型給送モードの場合に、展開して露出することができる。
【0077】
また、本実施形態では、第2給紙部130は、第2給紙部130に給紙する上記原稿を支える原稿給紙トレイを有し、上記原稿給紙トレイは、上記搬送筐体の一部(第2可動枠体103)であるという構成を採用することで、展開した搬送筐体101の一部を大型の原稿の給紙のための原稿給紙トレイとして有効に活用することができる。
【0078】
また、本実施形態では、可動枠体102は、上記開放位置にあるとき、上記原稿の幅方向に伸長して、搬送される上記原稿を支える伸長部材102aを有するという構成を採用することで、大型の原稿が給送時に垂れ下がることを防止することができる。
【0079】
また、本実施形態では、排紙部140は、折り畳まれたときに、排紙した上記原稿を上記搬送路に対応する幅で支持し、展開されたときに、排紙した上記原稿を上記第2搬送路に対応する幅で支持する排紙トレイ141を有するという構成を採用することで、大型の原稿にも対応することができる排紙トレイ141で、排紙された原稿を支持することができる。
【0080】
また、本実施形態では、上記一辺を除く上記搬送路を形成する搬送筐体101を補強する略コの字形状の補強部材150を有するという構成を採用することで、所定幅の搬送路の一辺を開放した場合であっても、搬送筐体101の強度を確保することができる。
【0081】
また、本実施形態では、可動枠体102が上記開放位置にあることを検出する検出スイッチ106と、搬送筐体101に設けられ、検出スイッチ106の検出結果に連動して、上記原稿の読み取りに関する設定の操作が可能になる第2操作装置104とを有するという構成を採用することで、自動原稿送り装置100が接続される複写機本体の複写機操作装置7が大型の原稿で覆い隠れることによる操作性の低下を可動枠体102の展開と連動して作動する予備の操作装置を設けることによって緩和することができる。
【0082】
また、本実施形態では、第2操作装置104は、可動枠体102が上記通常位置にあるときに遮蔽され、可動枠体102が上記開放位置にあるときに露出するという構成を採用することで、通常の原稿の給送時の、予期せぬ操作装置104の誤動作等を防止することができる。
【0083】
また、本実施形態では、搬送筐体101は、可動枠体102が上記開放位置に位置あるときに、可動枠体102と協働して、搬送される上記原稿の幅方向のズレを防止するズレ防止ローラ105を有するという構成を採用することで、搬送路の一辺を開放することによる第2搬送路での、大型の原稿の幅方向のずれを防止することができる。
【0084】
また、本実施形態では、上記原稿を搬送する搬送装置110を有しており、ズレ防止ローラ105は、搬送筐体101から上記原稿の幅方向に展開する展開機構105aを備えて、展開機構105aが非展開時に、搬送装置110が有する可動ギア110aと非連結とされ、展開機構105aが展開時に、可動ギア110aと連結されるという構成を採用することで、原稿の幅方向のずれを防止しつつ、搬送装置110と協働して大型の原稿を同じ速度で搬送することができる。
【0085】
また、本実施形態では、可動枠体102は、ズレ防止ローラ105を収納可能な凹部102bを有しており、上記通常位置にあるとき、凹部102bが上記ズレ防止ローラ105を収納するという構成を採用することで、通常の原稿の給送時に使用されないズレ防止ローラ105を収容することができることができる。
【0086】
また、本実施形態では、上記記載の自動原稿送り装置100が設けられる画像読取装置10を採用することで、大型の原稿を自動原稿送り装置100で搬送して読み取ることができる。
【0087】
また、本実施形態では、上記原稿読み取り位置で上記原稿を読み取る画像読取部12と、自動原稿送り装置100によって搬送される上記原稿を画像読取部12の読み取り幅で読み取った第1画像データD1及び、上記原稿を180度回転させて、自動原稿送り装置100で搬送した上記原稿を上記読み取り幅で読み取った第2画像データD2を合成して一枚の画像データとする画像処理部14とを備えるという構成を採用することで、大型の原稿を一度に読み取ることができない場合であっても、画像データを2つに分けて読み取り、合成することで、大型の原稿の全体を読み取ることができる。
【0088】
また、本実施形態では、上記原稿の搬送方向の長さを検出する原稿長さ検出手段を有し、画像処理部14は、上記原稿を90度回転して搬送した際に、上記原稿長さ検出手段で検出された上記搬送方向と直交する上記原稿の辺の直交長さMに基づいて合成するという構成を採用することで、2つの画像データを重ね合わせる幅を原稿の長さから算出することで容易に画像データを合成することができる。
【0089】
また、本実施形態では、上記記載の画像読取装置10が設けられる複写機1を採用することで、上記構成の画像読取装置10を有する複写機1が得られる。
【0090】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0091】
例えば、上記実施形態において、自動原稿送り装置は、通常、JIS規格A3幅までの原稿を搬送可能なものが、大型給紙モード時は、A2、B2等の大型の原稿を搬送可能になると説明した。したがって、本発明をJIS規格A4幅までの原稿を搬送する自動原稿送り装置に応用することによって、A3、B3等の規格以上の原稿を搬送できることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の実施の形態における複写機全体構成を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態における通常給送モード時の自動原稿送り装置の全体構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態における大型給送モード時の自動原稿送り装置の全体構成を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態における図3における線視X−X断面図である。
【図5】本発明の実施の形態における図4における補強部材の線視Y−Y断面図である。
【図6】本発明の実施の形態における通常給送モード時及び大型給送モード時の自動原稿送り装置100の左側面模式図である。
【図7】本発明の実施の形態におけるズレ防止ローラ示す平面図である。
【図8】本発明の実施の形態における画像読取部の画像データ取得幅を説明する図である。
【図9】本発明の実施の形態における画像合成処理を説明する図である。
【符号の説明】
【0093】
1…複写機(画像形成装置)、10…画像読取装置、14…画像処理部(画像合成装置)、100…自動原稿送り装置、101…搬送筐体、102…可動枠体(枠体)、102a…伸長部材、102b…凹部、103…第2可動枠体(搬送筐体の一部)104…第2操作装置(操作装置)、105…ズレ防止ローラ、105a…展開機構、106…検出スイッチ(検出装置)110…搬送装置、110a…可動ギア(輪列機構)、120…給紙部、130…第2給紙部、140…排紙部、141…排紙トレイ(原稿排紙トレイ)、150…補強部材、D1…第1画像データ、D2…第2画像データ、P…原稿

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定幅の搬送路と、前記搬送路を搬送された原稿を読み取る読み取り位置とを有する搬送筐体を備えた自動原稿送り装置であって、
前記読み取り位置に前記搬送路を介して前記原稿を給送させる給紙部が、前記読み取り位置を通過した前記原稿を前記搬送路を介して排紙させる排紙部より上方に設けられており、
前記搬送筐体は、前記所定幅の前記搬送路を形成する所定位置と、該所定位置から倒伏し、前記搬送路の一辺を開放した第2搬送路を形成する開放位置との間を移動する枠体を有することを特徴とする自動原稿送り装置。
【請求項2】
前記搬送筐体は、前記読み取り位置を挟んだ前記排紙部の逆側に、前記第2搬送路に前記原稿を給紙する第2給紙部を有することを特徴とする請求項1に記載の自動原稿送り装置。
【請求項3】
前記第2給紙部は、前記搬送筐体の一部が展開して設けられることを特徴とする請求項2に記載の自動原稿送り装置。
【請求項4】
前記第2給紙部は、前記第2給紙部に給紙する前記原稿を支える原稿給紙トレイを有し、前記原稿給紙トレイは、前記搬送筐体の一部であることを特徴とする請求項3に記載の自動原稿送り装置。
【請求項5】
前記枠体は、前記開放位置にあるとき、前記原稿の幅方向に伸長して、搬送される前記原稿を支える伸長部材を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の自動原稿送り装置。
【請求項6】
前記排紙部は、折り畳まれたときに、排紙した前記原稿を前記搬送路に対応する幅で支持し、展開されたときに、排紙した前記原稿を前記第2搬送路に対応する幅で支持する原稿排紙トレイを有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の自動原稿送り装置。
【請求項7】
前記一辺を除く前記搬送路を形成する前記搬送筐体を補強する略コの字形状の補強部材を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の自動原稿送り装置。
【請求項8】
前記枠体が前記開放位置にあることを検出する検出装置と、
前記搬送筐体に設けられ、前記検出装置の検出結果に連動して、前記原稿の読み取りに関する設定の操作が可能になる操作装置とを有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の自動原稿送り装置。
【請求項9】
前記操作装置は、前記枠体が前記所定位置にあるときに遮蔽され、前記枠体が前記開放位置にあるときに露出することを特徴とする請求項8に記載の自動原稿送り装置。
【請求項10】
前記枠体が前記開放位置に位置あるときに、前記枠体と協働して、搬送される前記原稿の幅方向のズレを防止するズレ防止ローラを有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の自動原稿送り装置。
【請求項11】
前記原稿を搬送する搬送装置を有しており、
前記ズレ防止ローラは、前記搬送筐体から前記原稿の幅方向に展開する展開機構を備えて、前記展開機構が非展開時に、前記搬送装置が有する輪列機構と非連結とされ、前記展開機構が展開時に、前記輪列機構と連結されることを特徴とする請求項10に記載の自動原稿送り装置。
【請求項12】
前記枠体は、前記ズレ防止ローラを収納可能な凹部を有しており、前記所定位置にあるとき、前記凹部が前記ズレ防止ローラを収納することを特徴とする請求項10または11に記載の自動原稿送り装置。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の自動原稿送り装置が設けられることを特徴とする画像読取装置。
【請求項14】
前記読み取り位置で前記原稿を読み取る画像読み取り手段と、
前記自動原稿送り装置によって搬送される前記原稿を前記画像読み取り手段の読み取り幅で読み取った第1画像データ及び、前記原稿を180度回転させて、前記自動原稿送り装置で搬送した前記原稿を前記読み取り幅で読み取った第2画像データを合成して一枚の画像データとする画像合成装置とを備えることを特徴とする請求項13に記載の画像読取装置。
【請求項15】
前記原稿の搬送方向の長さを検出する原稿長さ検出手段を有し、
前記画像合成装置は、前記原稿を90度回転して搬送した際に、前記原稿長さ検出手段で検出された前記搬送方向と直交する前記原稿の辺の長さに基づいて合成することを特徴とする請求項14に記載の画像読取装置。
【請求項16】
請求項13〜15のいずれか一項に記載の画像読取装置が設けられることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−57167(P2009−57167A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−226485(P2007−226485)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】