説明

自動原稿送り装置及び画像形成装置

【課題】 画像送信又は画像形成用の原稿に送信済み、または読込済み確認用の印を付与する場合に、いかなる条件及び環境下においても均一で、使用者のニーズに適合した捺印品質を確保することができる自動原稿送り装置を提供する。
【解決手段】 自動原稿送り装置に捺印手段を設け、原稿の紙種に応じて捺印手段の押圧力または押圧時間のいずれかまたは両方を変化させる。また原稿の置かれた環境条件または捺印回数に応じて捺印手段の押圧力を変化させることにより捺印品質の調整を図る。さらには、インク濃度の異なる複数の捺印手段を設け、原稿の紙種、環境条件若しくは捺印条件等に応じて、いずれか一の捺印手段を選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリやファクシミリ兼用の複写機(複合機)等の画像形成装置に用いる自動原稿送り装置に関し、詳しくは読み込みを完了した原稿に読込済みである印を付与する捺印手段を備えた自動原稿送り装置及びこれを用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ファクシミリやファクシミリ兼用の複写機(複合機)等の画像形成装置に用いる自動原稿送り装置には、読み込みを完了した原稿に読込済み印を付与し、原稿の送信抜けを防止する捺印手段付きのものがあり、このような機種では、原稿が原稿載置台から画像読取位置へと搬送され、読込手段により原稿の読み込みが完了した後に、捺印手段により読込済み印が付与されている。
【0003】
ところで、捺印手段が原稿に読込済み印を付与する際には、押圧力や押圧時間などの捺印条件によって捺印の鮮明さが左右される。例えば、同一の押圧時間で原稿送り速度を速くし過ぎると読込済み印のかすれやずれが問題となり、遅くしすぎたり一時停止させたりすれば印のにじみや送信スピードの低下が問題となる。また捺印回数や原稿の置かれた環境条件によっても読込済み印のにじみが問題となることがある。
【0004】
このような捺印品質に関する問題を解決するため、捺印手段の押圧時間(捺印手段を原稿に当接させている時間)を選択可能に構成し、選択された押圧時間に対応して原稿送り速度を制御するという技術(特許文献1参照)、環境温度及び湿度の影響を考慮して捺印手段の押圧時間を調整制御する技術(特許文献2参照)及び捺印回数に応じて捺印手段の押圧時間を調整制御する技術(特許文献3参照)などが知られている。
【0005】
【特許文献1】特開平10−254195
【特許文献2】特開2004−193737
【特許文献3】特開2004−274549
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら近年、市場にはインク浸透性の異なる多くの紙種が提供されており、このような紙種の原稿に読込済み印を付与する場合にも、捺印手段の押圧時間を調整制御しなければ読込済み印の明瞭な捺印品質を全体として確保することはできない。また、インクの濃度及び品質等によっては捺印手段の押圧時間の調整だけでは捺印品質を向上させることができない場合もある。例えば、紙種によってはインク浸透性が大きいためににじみやすく、そのためインク濃度や押圧力を変える必要が生じる場合もある。
【0007】
本発明は、このような実情に鑑みなされたものであり、画像送信又は画像形成用の原稿に送信済み、または読込済み確認用の印を付与する場合に、いかなる条件及び環境下においても均一で、使用者のニーズに適合した捺印品質を確保でき、捺印不良の生じない自動原稿送り装置及びこれを用いた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本願第一の発明では、原稿の紙種、環境条件若しくは捺印条件または原稿の紙種及び捺印環境条件等に応じて、一の捺印手段の押圧力または押圧時間を変化させる自動原稿送り装置を提供するものである。
【0009】
請求項1に係る自動原稿送り装置は、原稿の読込を完了したことを示す読込済み印を当該原稿に押印する捺印手段と、原稿の置かれた環境条件または捺印手段の捺印回数のいずれかまたは両方に応じて、捺印手段の押圧力を変化させる捺印制御手段とから構成されている。
【0010】
請求項2に係る自動原稿送り装置は、原稿の読込を完了したことを示す読込済み印を当該原稿に押印する捺印手段と、原稿の紙種に応じて、捺印手段の押圧力または押圧時間のいずれかまたは両方を変化させる捺印制御手段とから構成されている。
【0011】
請求項3に係る自動原稿送り装置は、原稿の読込を完了したことを示す読込済み印を当該原稿に押印する捺印手段と、原稿の紙種に応じて、捺印手段の押圧力または押圧時間のいずれかまたは両方を変化させる捺印制御手段とから構成され、この捺印制御手段が、原稿が置かれた環境条件又は捺印手段の捺印回数のいずれかまたは両方に応じて、捺印手段の押圧力を調整するように構成されている。
【0012】
請求項4に係る自動原稿送り装置は、原稿の読込を完了したことを示す読込済み印を当該原稿に押印する捺印手段と、原稿の紙種に応じて、捺印手段の押圧力または押圧時間のいずれかまたは両方を変化させる捺印制御手段とから構成され、この捺印制御手段が、原稿が置かれた環境条件又は捺印手段の捺印回数のいずれかまたは両方に応じて、捺印手段の押圧時間または押圧力及び押圧時間を調整するように構成されている。
【0013】
本願第二の発明では、原稿の紙種、環境条件若しくは捺印条件または原稿の紙種及び捺印環境条件等に応じて、複数の捺印手段の中から一の捺印手段を選択し制御する自動原稿送り装置を提供するものである。
【0014】
請求項5に係る自動原稿送り装置は、異なるインク濃度を有し、原稿の読込を完了したことを示す読込済み印を当該原稿に押印する複数の捺印手段と、原稿の紙種に応じて、複数の捺印手段の中から一の捺印手段を選択して動作させる選択制御手段とから構成されている。
【0015】
請求項6に係る自動原稿送り装置は、異なるインク濃度を有し、原稿の読込を完了したことを示す読込済み印を当該原稿に押印する複数の捺印手段と、原稿が置かれた環境条件または捺印手段の捺印回数のいずれかまたは両方に応じて、複数の捺印手段の中から一の捺印手段を選択して動作させる選択制御手段とから構成されている。
【0016】
請求項7に係る自動原稿送り装置は、異なるインク濃度を有し、原稿の読込を完了したことを示す読込済み印を原稿に押印する複数の捺印手段と、原稿の紙種並びに原稿が置かれた環境条件または捺印手段の捺印回数のいずれかまたは両方に応じて、複数の捺印手段の中から一の捺印手段を選択して動作させる選択制御手段とから構成されている。
【0017】
請求項8に係る自動原稿送り装置は、異なるインク濃度を有し、原稿の読込を完了したことを示す読込済み印を当該原稿に押印する複数の捺印手段と、原稿の紙種に応じて複数の捺印手段の中から一の捺印手段を選択して動作させる選択制御手段と、原稿が置かれた環境条件または前記捺印手段の捺印回数のいずれかまたは両方に応じて、選択制御手段によって選択された捺印手段の押圧力または押圧時間を変化させる捺印制御手段とから構成されている。
【0018】
請求項9に係る自動原稿送り装置は、請求項1、請求項3、請求項4または請求項6から請求項8のいずれかに記載の自動原稿送り装置において、環境条件を温度若しくは湿度または温度及び湿度として構成したものである。
【0019】
請求項10に係る自動原稿送り装置は、請求項1から請求項9のいずれかに記載の自動原稿送り装置において、捺印回数が一定値以上になったとき、捺印手段の交換時期であることを知らせる通知手段を備えて構成されたものである。
【0020】
請求項11に係る自動原稿送り装置は、請求項10に係る自動原稿送り装置において、捺印手段の捺印回数を初期値に設定するリセット手段を備えたものである。
【0021】
請求項12に係る自動原稿送り装置は、請求項1から請求項11のいずれかに記載の自動原稿送り装置において、原稿に押印される読込済み印のインク濃度を調整する調整手段を備えて構成したものである。
【0022】
請求項13に係る自動原稿送り装置は、請求項12に記載の自動原稿送り装置において、調整手段の調整結果に応じて、捺印手段の選択または捺印手段の動作条件を変化させる捺印制御手段を備えたものである。
【0023】
請求項14に記載の画像形成装置は請求項1から請求項13のいずれかに記載の原稿自動送り装置を備えて構成されている。上記構成による自動原稿送り装置及び画像形成装置によれば、以下のような作用、効果が得られる。
【発明の効果】
【0024】
本願第一の発明の自動原稿送り装置では、原稿の置かれた環境条件または捺印手段の捺印回数に応じて、捺印手段の押圧力を変化させているので、押圧時間を変化させるより、原稿が置かれた環境の変化等に対してもより安定した捺印品質を確保できる。例えば原稿送り速度が変化しても、印のズレやかすれが生じることが少なく均一な捺印品質を確保でき、捺印不良の生じない自動原稿送り装置とすることができる。
【0025】
また、原稿の紙種に応じて、捺印手段の押圧力または押圧時間のいずれかまたは両方を変化させることにより、紙種による印のかすれやにじみを防止することができ、均一な捺印品質を確保することができる。
【0026】
原稿の紙種に応じて、捺印手段の押圧力または押圧時間のいずれかまたは両方を変化させるだけでなく、さらに、原稿が置かれた環境条件又は捺印手段の捺印回数のいずれか、または両方に応じて、捺印手段の押圧力を調整する構成とすることにより、環境変化や経時変化などに対してもより一層安定した捺印品質を確保することが可能となる。
【0027】
また、本発明に係る自動原稿送り装置では、原稿の紙種に応じて、捺印手段の押圧力または押圧時間のいずれかまたは両方を変化させるだけでなく、さらに、原稿が置かれた環境条件又は捺印手段の捺印回数のいずれか、またはその両方に応じて、捺印手段の押圧時間または押圧力と押圧時間の両方を調整するように構成することができるので、いかなる条件及び環境下においても印のにじみやかすれ及び押印のズレが生じない、均一な捺印品質を確保することが可能となる。
【0028】
本願第二の発明の自動原稿送り装置では、原稿の紙種に応じて、複数の捺印手段の中から一の捺印手段を選択しているので、各捺印手段を原稿の紙種に応じた適切なインク濃度及び動作条件に設定しておけば、捺印不良が少なく、印のにじみやかすれのない均質な捺印品質を確保できる。
【0029】
また、異なるインク濃度を有する複数の捺印手段を備え、原稿が置かれた環境条件または捺印手段の捺印回数のいずれかまたは両方に応じて、複数の捺印手段の中から一の捺印手段を選択して動作させることによっても同様な効果を確保することができる。
【0030】
さらに、原稿の紙種及び原稿が置かれた環境条件または捺印手段の捺印回数のいずれかまたは両方に応じて、複数の捺印手段の中から一の捺印手段を選択して動作させることにより、紙種による印のかすれやにじみをより効果的に防止して、均質な捺印品質を確保することができる。
【0031】
また、原稿の紙種に応じて複数の捺印手段の中から一の捺印手段を選択し、さらに原稿が置かれた環境条件または捺印手段の捺印回数のいずれかまたは両方に応じて、選択制御手段により選択された捺印手段の押圧力または押圧時間を変化させるように構成すれば、紙種による印のかすれやにじみを防止できるだけでなく、環境変化や経時変化などに対してもより一層安定した捺印品質を確保することができる。なお、環境条件として温度若しくは湿度または温度及び湿度の変化を考慮すると、原稿の紙質、水分含有量による印のにじみやかすれを効果的に防止することができる。
【0032】
本願発明に係る自動原稿送り装置においては、捺印回数が一定値以上になったとき、捺印手段の交換時期であることを知らせる通知手段を備えることにより、事前に捺印品質の低下を防止でき、捺印手段の交換により捺印回数を初期値に設定するリセット手段を備えることにより、制御手段の使用を持続させることが可能である。
【0033】
さらに、原稿に押印される読込済み印のインク濃度を調整する調整手段を備えることにより、使用者のニーズに適合した捺印品質を提供することができ、その調整手段の調整結果に応じて、捺印手段の選択または動作条件を変化させる捺印制御手段を備えることにより、より一層、捺印品質の均一化を高めることができる。なお、本願発明に係る自動原稿送り装置を備えた画像形成装置によれば、利用者のニーズに適合した捺印品質と操作機能を効果的に提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。図1は第一の発明の最適な実施態様である画像形成装置1及び自動原稿送り装置2の構成例を示すブロック図であり、自動原稿送り装置2がファクシミリ機能を有する電子写真方式の複合機等の画像形成装置1に接続された状態を示している。
【0035】
画像形成装置1は、装置全体の制御手段である制御部10を有するほか、制御部10によって動作が制御される画像読取部11、操作及び表示部12、画像形成部13、画像形成部13に記録紙を送る給紙部14及び送受信部15等を有して構成されている。
【0036】
制御部10にはデータ処理を行うCPU10aほか、制御プログラムを格納したROM10b、記憶手段としてのRAM10c、画像メモリ10dのほか、捺印手段31の作動制御を行う捺印制御部10eが設けられ、捺印手段31であるスタンプ手段(図2参照、28)の押圧時間を決定するタイマ10f、捺印回数を記憶するカウンタ10gが内蔵されている。
【0037】
制御部10では、ROM10bに格納された制御プログラムに従って、RAM10cをワークエリアとして使用しながら、捺印手段31の作動制御を含めた自動原稿送り装置2の全体の動作を制御する。なお、画像メモリ10dは、画像読取部11から読み込んだ原稿の情報を符号化処理や復号化処理等の画像処理を行う場合の一時メモリ等として利用される。
【0038】
画像形成装置1の画像読取部11は原稿の画像情報を読み取る装置であり、CCD(Charge Coupled Device)を利用したイメージスキャナが利用されている。この画像読取部11では原稿に光を照射して原稿面を走査し、その反射光を結像レンズ等の光学系を介してCCDに入射することで原稿の画像情報を読み取る。画像情報はCCDの素子数で定まる所定の解像度で読み取ることができる。
【0039】
操作及び表示部12は画像形成装置1及び自動原稿送り装置2を動作させるための手段及びFAX送信、コピー時の設定内容及び動作状態を表示するための手段であり、LCD(Liquid Crystal Display)やキーボード(テンキー等)が利用されている。操作部にはFAX原稿の送信ボタン、コピースタートを指示するスタートボタン及び原稿の読込済み印を捺印する捺印機能選択ボタン等が備えられている。表示部には使用者が捺印モード、コピーモードなどを選択した機能の内容が表示される。
【0040】
画像形成部13は画像読取部11で読み取られ、一時記憶された画像を出力する場合等に利用される。図示しないが画像形成部13は表面に潜像が形成されるドラム状の感光体を中央に有しており、感光体の外周面に沿って動作順に、感光体表面を一様に帯電させる帯電装置、露光装置、現像装置、記録紙を感光体から分離する転写分離装置及びクリーニング装置が配設されて構成されている。
【0041】
画像形成部13の露光装置は、CCDにより読み込まれてディジタル化された画像情報をもとに、半導体レーザを電気的に変調し、コリメータレンズを通して多面体反射鏡(ポリゴンミラー)とレンズ群によって主走査を行い、さらに感光体を回転させることで副走査を行って、原稿画像の静電潜像を感光体上に再現する。現像装置はこの静電潜像にトナーを付与して顕在化させ、給紙部14に載置された記録紙にトナー画像を転写定着して画像を形成する。画像形成部13の具体的構成は多くの複写機と同じであり、ここでは省略する。
【0042】
送受信部15はFAX機能を利用する場合に使用される。画像メモリ10dに格納された画像情報は制御部10の指示に従い、送受信部15において送信信号に変換され外部機器へデータの送信を行う。また、外部機器からのデータの受信し、検波を行う。
【0043】
自動原稿送り装置2は画像形成装置1の画像読取部11へ原稿を搬送する原稿搬送手段20のほか、原稿の読込を完了したことを示す読込済み印を捺印する捺印手段31、搬送される原稿の後端を検知する原稿検知センサ32、原稿が置かれた環境条件を判断する手段としての温度・湿度検知手段33及び原稿の紙種を検知判断する紙種判別手段34を備えて構成されている。なお、環境条件及び原稿の紙種の入力は操作及び表示部12からの手動入力によってもよい。
【0044】
図2は自動原稿送り装置2の要部断面図である。原稿搬送手段20はピックアップローラ21、フィードローラ22、分離ローラ23、原稿案内ローラ24及び一対の排紙ローラ25を備え、これらのローラによって原稿Dを搬送する原稿搬送路26と原稿排出路27が形成されている。原稿案内ローラ24は自動原稿送り装置2の下部に配置されたスリット状の露光用ガラス16に当接し、原稿読取位置Aを形成している。
【0045】
この自動原稿送り装置2では、原稿載置台29上に原稿記載面を上向きにして載置された原稿Dをピックアップローラ21が取り出し、フィードローラ22と分離ローラ23によって捌きを行った後、最上部の一枚だけを原稿搬送路26へ送り出す。原稿Dはレジストローラ(参照符号なし)で給紙タイミングと斜行防止が図られた後、搬送ローラ(参照符号なし)にガイドされて原稿読取位置Aへと搬送される。
【0046】
原稿Dは原稿案内ローラ24と露光用ガラス16によって形成された原稿読取位置Aを原稿案内ローラ24にガイドされて移動する時に、画像読取部11に設けられた光源により露光されて原稿画像の全体が読み取られる。原稿Dの画像が読み取られたか否かは原稿搬送路26を通過する原稿Dの後端がケース40に固定された原稿検知センサ32に検知されたか否かによって判断される。
【0047】
原稿検知センサ32が検知した信号は画像形成装置1に設けられた制御部10に送られ、制御部10からの指令により、例えば原稿Dは所定の位置(捺印位置)に一時的に停止させられる。そして制御部10が捺印手段31を制御し、原稿Dの所定位置に読込済み印を押印する。その後、原稿Dは原稿排出路27を経由して排紙ローラ25により原稿排紙台30上に載置される。
【0048】
捺印手段31はスタンプ手段28とスタンプ捺印時の受け板であるバックプレートBPとからなり、一対の排紙ローラ25の上流側に原稿排出路27を挟んで配置されている。スタンプ手段28は、図3にその一例を示すように、内部にインク収容部を有する可動部28a、電磁力により可動部28aを駆動するソレノイド28b、取り付け板28cを備えており、取り付け板28cは自動原稿送り装置2のケース40に固定されている。なお、スタンプ手段28にはインク濃度調整手段28dが設けられ、手動または自動によりインク濃度の調整が可能である。調整方法は特に限定しないが、回転板によりインク供給口の大きさを制御してインク抽出量の調整を図ることによっても達成可能である。
【0049】
可動部28aの先端部には原稿Dに接触する印章部28eが形成されており、その形状は、例えば丸型等である。捺印時に制御部10からの指令によりソレノイド28bが励磁されると、可動部28aが押し出されて図3中の1点鎖線位置に移動し原稿Dに印章部28eを押圧する。その結果、使用するインクによって原稿Dに黄色い丸、青い丸等が捺印される。捺印が終わると可動部28aは図示しないバネ手段により実線位置に戻される。
【0050】
なお、第一の発明に係る実施の態様では、印章部28eの原稿Dへの押圧力の制御はソレノイド28bへの印加電圧の大きさによって制御し、押圧時間の制御はソレノイド28bへの電圧印加時間のデューティー比を変化させることによって達成している。ただし、この制御方法は一例であって、本発明はこれに限定するものではない。
【0051】
図示しないが原稿Dが置かれた環境条件を判断する手段として温度・湿度検知手段33が設けられている。温度・湿度検知手段33は熱電対を利用した熱電温度計やサーミスタ等の温度センサと、セラミック湿度センサや高分子湿度センサなどの湿度計等が使用可能である。もっとも、自動検知手段を用いることなく、任意の温度・湿度計等により得られた環境情報に基づいて、操作及び表示部12から手動で入力しても良い。
【0052】
原稿Dの紙種を検知判断する紙種判別手段34は判定対象物を紙厚にするか、反射光量や透過光量にするかなどによっていろいろ構成することができる。紙種の判別についても操作及び表示部12から直接手動入力とする方法が考えられる。なお、制御部10には捺印手段31の捺印回数を記憶するカウンタ10gが設けられており、捺印手段31の作動毎にカウントされる。捺印回数が一定以上になった場合には、操作及び表示部12の捺印回数通知手段12aにその旨が表示され、スタンプ手段28の交換が行われた場合にはリセット手段12bにより初期値に戻される。リセット手段12bは操作及び表示部12からの手動入力とするが、捺印手段31の交換時に自動的にリセット可能としても良い。
【0053】
以下に、本願第一の発明に係る最適な実施態様である自動原稿送り装置2の捺印手段31の動作制御について説明する。図4は自動原稿送り装置2の捺印手段31の押圧力を制御するための第一の実施例に係るフローチャートである。押圧力の制御は捺印手段31の駆動源の印加電圧を加減することにより行う。例えば、捺印制御1はソレノイド28bへの印加電圧を18V、捺印制御2は20V、捺印制御3は22V、捺印制御4は24Vとすること等により行う。
【0054】
まず、ユーザが操作及び表示部12の選択ボタン(参照符号なし)により捺印機能を選択する(S11)。すると、温度・湿度センサが作動して(S12)、温度・湿度検知手段33が環境条件を判断する(S13)。環境温度が25℃未満の場合には環境湿度を判断し(S14)、環境湿度が50%未満の場合には、低温乾燥状態にあるので最も押圧力の高い捺印制御4で捺印手段31を制御する(S15)。環境湿度が50%を超える場合には(S16)、原稿の水分含有率が高くなるので、押圧力を弱くして捺印制御2を選択する(S17)。
【0055】
環境温度が25℃以上の場合(S18)にも同様に環境湿度を判断し(S19)、環境湿度が50%を超える場合には(S20)、高温多湿状態を考慮して印加電圧を低く押さえる捺印制御1を選択する(S21)。環境湿度が50%以下の場合には印加電圧を少し高くして捺印制御3で制御するように選択する(S22)。
【0056】
ここで、ユーザにより操作及び表示部12のFAX送信ボタンが押されると、送信が開始され(S23)、原稿搬送手段20によって原稿Dが原稿載置台29より送り出される。画像読取部11で原稿Dが読み取られた後、温度・湿度検知手段33から制御部10に送られた電気信号に基づいて、制御部10は捺印手段31への印加電圧、すなわちスタンプ手段28のソレノイド28bへの印加電圧を決定し、捺印手段31へ指令を発して捺印を行う(S24)。この動作は原稿Dがなくなるまで繰り返される(S25)。
【0057】
なお、捺印機能が選択されない場合には、ユーザにより操作及び表示部12のFAX送信ボタン操作により、そのまま送信が開始される(S26)。なお、図4に記載のフローチャートにおいて、温度・湿度検知手段33による捺印制御ではなく、捺印手段31の捺印回数によって押圧力を変化させる捺印制御を行うことも効果的である。その場合のフローチャートは重複するので省略する。
【0058】
図5は自動原稿送り装置2の捺印手段31の押圧時間を原稿の紙種を考慮して制御する第二の実施例に係るフローチャートである。押圧時間の制御は捺印手段31の動作時間を加減することにより行う。例えば、捺印制御1は捺印手段31のソレノイド28bへの電圧印加時間を捺印選択時間の20%(以下、DutyX%と記載する)、捺印制御2はDuty30%、捺印制御3はDuty40%、捺印制御4はDuty50%とすること等により行う。
【0059】
まず、ユーザが操作及び表示部12の選択ボタンにより捺印機能を選択する(S31)、すると、紙種判別センサが作動して、紙種判別手段34が原稿の紙種を判断する(S32)。最初に原稿の紙種がAか否か判断される(S33)。
【0060】
紙種がAの場合(例えば、水分含有量が多い場合)には押圧時間を短くすることが必要であることから捺印制御1を選択する。(S34)。紙種がAでない場合は紙種がBか否かが判断され(S35)、Bの場合には捺印制御2を選択する(S36)。さらにBでない場合は紙種がCと判断され(S37)、捺印制御3を選択する(S38)。捺印制御条件と原稿の紙種との対応関係は事前に調査して決定されている。
【0061】
ここで、ユーザにより操作及び表示部12のFAX送信ボタンが押されると、送信が開始され(S39)、原稿搬送手段20によって原稿Dが原稿載置台29より送り出される。画像読取部11によって原稿Dの画像が読み取られた後、紙種判別手段34から制御部10に送られた電気信号に基づいて、制御部10は捺印手段31への電圧印加時間、すなわち、スタンプ手段28の押圧時間を決定し、捺印手段31へ指令を発して捺印を行う(S40)。この動作は原稿Dがなくなるまで繰り返される(S401)。
【0062】
なお、捺印機能が選択されない場合には、ユーザにより操作及び表示部12のFAX送信ボタン操作により、そのまま送信が開始される(S402)。また、図5に記載のフローチャートにおいても紙種判別手段34による自動判別制御ではなく、原稿の紙種を、操作及び表示部12に設けられたボタン、例えばテンキーにより入力するように構成することができる。さらに原稿の紙種によって押圧力または押圧力及び押圧時間を変化させる捺印制御を行うことも効果的である。その場合のフローチャートは省略する。
【0063】
図6は自動原稿送り装置2の捺印手段31の押圧力を原稿の紙種及び捺印回数に応じて制御する第三の実施例に係るフローチャートである。押圧力の制御は捺印手段31の駆動原の印加電圧を加減することにより行う。例えば、捺印制御1はソレノイド28bへの印加電圧を18V、捺印制御2は20V、捺印制御3は22V、捺印制御4は24Vとすることにより行う。なお、フローチャートには記載しないが、インク濃度調整手段28dが設けられている場合には、送信作動前にインク濃度の調整を行ってユーザの希望濃度に設定することができる。これにより、良いよい印品質を確保することが可能である。
【0064】
まず、ユーザが操作及び表示部12の選択ボタンにより捺印機能を選択する(S41)、すると、紙種判別センサが作動して、紙種判別手段34が原稿の紙種を判断する(S42)。ここでは最初に原稿の紙種がAか否か判断される(S43)。
【0065】
原稿の紙種がAの場合には制御部10のカウンタ10gにより捺印回数が参照される(S44)。捺印回数が1000回未満の場合には(S45)、捺印手段31の印章部28eの劣化は少ないと判断して捺印制御1を選択し(S46)、押圧力は小さく制限される。捺印回数が1000回以上2000回未満の場合は捺印制御2が選択され(S47)、押圧力が一段高く設定される。さらに捺印回数が2000回を超えた場合(S48)には印章部28eの劣化を考慮してスタンプ手段28の交換を操作及び表示部12に表示した後(S49)、捺印制御3を選択する(S50)。
【0066】
原稿の紙種がAでない場合には紙種がBと判断される(S51)。もちろん紙種数を増加することができるが、ここでは説明のために原稿の紙種を2種類とする。原稿の紙種がBの場合にも制御部10のカウンタ10gにより捺印回数が参照される(S52)。
【0067】
捺印回数が1000回未満の場合(S53)にはスタンプ手段28の印章部28eの劣化は少ないと判断するが、紙種Bの特性により押圧力を強くした捺印制御2を選択する(S47)。捺印回数が1000回以上2000回未満の場合は(S54)、捺印制御3が選択され(S50)、押圧力が一段高く設定される。さらに捺印回数が2000回を超えた場合(S55)には印章部28eの劣化を考慮してスタンプ手段28の交換を操作及び表示部12に表示した後(S56)、捺印制御4を選択する(S57)。
【0068】
ここで、ユーザにより操作及び表示部12のFAX送信ボタンが押されると、送信が開始され(S58)、原稿搬送手段20によって原稿Dが原稿載置台29より送り出される。画像読取部11によって原稿Dが読み取られた後、紙種判別手段34から制御部10に送られた電気信号に基づいて、制御部10は捺印手段31への押圧力、すなわちスタンプ手段28のソレノイド28bへの印加電圧を決定し、捺印手段31へ指令を発して捺印を行う(S59)。
【0069】
捺印が行われる度毎に制御部10のカウンタ10gは1つずつ計数されていき(S60)、捺印回数が一定値以上、この例では2000回以上になったら操作及び表示部12の捺印回数通知手段12aに表示される。この動作は原稿Dがなくなるまで繰り返される(S61)。なお、捺印機能が選択されない場合には、ユーザにより操作及び表示部12のFAX送信ボタン操作により、そのまま送信が開始される(S62)。
【0070】
なお、図6では原稿の紙種とスタンプ手段28の捺印回数に応じて捺印制御を行う例を示したが、捺印回数の変わりに原稿の環境条件を考慮して捺印制御を行うこともできる。その場合の捺印制御方法は本実施例のような押圧力の調整を行う場合に限らず、原稿の紙種に応じて押圧時間を制御し、環境条件に応じて押圧力を制御する方法も可能である。またその逆、例えば、原稿の紙種に応じて押圧力を制御し、環境条件に応じて押圧時間を制御する方法も可能である。その場合のフローチャートは重複するので省略する。
【0071】
また、図6に記載のフローチャートにおいて、紙種判別手段34による紙種の自動判別を行うのではなく、原稿の紙種を操作及び表示部12に設けられたボタン、例えばテンキーにより入力するように構成しても良い。
【0072】
次に、本願第二の発明に係る最適な実施態様である画像形成装置1と自動原稿送り装置2の捺印手段31の制御動作について説明する。図7は第二の発明の最適な実施態様である画像形成装置1及び自動原稿送り装置2の構成例を示すブロック図である。
【0073】
本願第二の発明では単一の捺印手段31により捺印制御するのではなく、原稿の紙種に応じて使用するインク濃度の異なる複数の捺印手段31を設け、画像形成装置1の制御部10に設けられたスタンプ選択手段10hにより、複数の捺印手段31の中から一つの捺印手段31を選択する。さらに各捺印手段31を環境条件や捺印回数で制御する方法が採用されている。その他の構成については第一の発明と同じであるので、各構成の説明は省略する。なお、図7において、図1と同じ機能構成部分については同じ符号を使用している。
【0074】
図8は自動原稿送り装置2の捺印手段31(複数)の制御を原稿の紙種に応じて選択することとした第四の実施例に係るフローチャートである。捺印手段31の制御は原稿の紙種に対応したインク濃度を有する複数の捺印手段31の中から一を選択することにより行う。例えば、捺印手段31の捺印スタンプ1はインク濃度薄い、捺印スタンプ2はインク濃度普通、捺印スタンプ3はインク濃度濃いとすること等により行う。
【0075】
まず、ユーザが操作及び表示部12の選択ボタンにより捺印機能を選択する(S71)、すると、紙種判別センサが作動して、紙種判別手段34が原稿の紙種を判断する(S72)。最初に原稿の紙種がAか否か判断される(S73)。
【0076】
原稿の紙種がAの場合には、原稿Aの紙質を考慮してインク濃度が薄い捺印スタンプ1を選択する(S74)。紙種がAでない場合は紙種がBか否かが判断され(S75)、紙種がBの場合には捺印スタンプ2を選択する(S76)。さらに紙種がBでない場合は紙種がCと判断され(S77)、捺印スタンプ3を選択する(S78)。各捺印スタンプのインク濃度と原稿の紙種との適合性は事前に調整されている。
【0077】
ここで、ユーザにより操作及び表示部12のFAX送信ボタンが押されると、送信が開始され(S79)、原稿搬送手段20によって原稿Dが原稿載置台29より送り出される。画像読取部11によって原稿Dが読み取られた後、紙種判別手段34から制御部10に送られた電気信号に基づいて、制御部10は選択された捺印手段31のソレノイド28bへ電圧を印加して捺印を行う(S80)。この動作は原稿Dがなくなるまで繰り返される(S81)。
【0078】
なお、捺印機能が選択されない場合には(S71)、ユーザにより操作及び表示部12のFAX送信ボタン操作により、そのまま送信が開始される(S82)。また、図8に記載のフローチャートにおいて、紙種判別手段34による自動判別制御ではなく、原稿の紙種を、操作及び表示部12に設けられたボタン、例えばテンキーにより入力するように構成しても良い。
【0079】
なお、本実施の態様において、スタンプ手段28のインク濃度の調整手段が設けられる場合には、その調整手段はインク濃度調整手段28dの調整による方法ではなく、ユーザの希望濃度に合わせて上記各捺印スタンプの選択を変更するように構成することもできる。例えば、ユーザがインク濃度濃を希望している場合には、原稿の紙種がAの場合には捺印スタンプ1ではなく捺印スタンプ2を選択し、原稿の紙種がBの場合に捺印スタンプ2ではなく捺印スタンプ3を選択するように構成することも可能である。
【0080】
図9は自動原稿送り装置2に設けられた複数の捺印手段31の制御を環境条件に応じて選択することとした第五の実施例に係るフローチャートである。この実施例では捺印手段31の制御を環境温度、湿度に対応して、異なるインク濃度を有する複数の捺印手段31の中から一の捺印スタンプを選択することにより行う。例えば、インク濃度薄い捺印スタンプ1は低温乾燥時に使用し、インク濃度が普通の捺印スタンプ2は高温乾燥または低温多湿時に、インク濃度が濃い捺印スタンプ3は高温多湿時に使用することにより行う。
【0081】
まず、ユーザが操作及び表示部12の選択ボタンにより捺印機能を選択する(S91)。すると、温度・湿度センサが作動して、温度・湿度検知手段33が環境条件を判断する(S92)。環境温度が25℃未満の場合(S93)には環境湿度を判断し(S94)、環境湿度が50%未満の場合には、低温乾燥状態にあるので捺印スタンプ1を選択する(S95)。環境湿度が50%を超える場合には(S96)、原稿の水分含有率が高くなるので、捺印スタンプ2を選択する(S97)。
【0082】
環境温度が25℃以上の場合にも同様に(S98)環境湿度を判断し(S99)、環境湿度が50%を超える場合には(S100)、高温多湿状態を考慮してインク濃度の濃い捺印スタンプ3を選択する(S101)。環境湿度が50%以下の場合(S99)には乾燥状態を考慮して捺印スタンプ2を選択する(S102)。
【0083】
ここで、ユーザにより操作及び表示部12のFAX送信ボタンが押されると、送信が開始され(S103)、原稿搬送手段20によって原稿Dが原稿載置台29より送り出される。画像読取部11によって原稿Dが読み取られた後、温度・湿度検知手段33から制御部10に送られた電気信号に基づいて、制御部10はいずれかのスタンプ手段28を選択し、捺印手段31へ指令を発して捺印を行う(S104)。この動作は原稿Dがなくなるまで繰り返される(S105)。
【0084】
なお、捺印機能が選択されない場合には、ユーザにより操作及び表示部12のFAX送信ボタン操作により、そのまま送信が開始される(S106)。また、図9に記載のフローチャートにおいて、温度・湿度検知によるスタンプ手段28の選択ではなく、各捺印手段31の捺印回数によってスタンプ手段28の選択を行うことも可能である。その場合のフローチャートは条件変更だけであるので省略する。
【0085】
図10は自動原稿送り装置2に設けられた複数の捺印手段31の制御を原稿の紙種及び環境条件に応じて、いずれかを選択することとした第六の実施例に係るフローチャートである。複数の捺印手段31の制御は原稿の紙種に対応したインク濃度を有する複数の捺印手段31の中から一の捺印スタンプを選択し、その後に、選択された捺印スタンプの押圧力を環境条件により変化させることにより行う。本実施例では、押圧力の制御はスタンプ手段28のソレノイド28bへの印加電圧を加減することで達成している。
【0086】
複数の捺印手段31は、例えば、捺印スタンプ1はインク濃度薄い、捺印スタンプ2はインク濃度濃いとし、原稿の紙種に対応していずれかを選択する。押圧力の制御は、例えば、捺印制御1はソレノイド28bへの印加電圧を18V、捺印制御2は20V、捺印制御3は22V、捺印制御4は24Vとすることにより行う。なお、図10のフローチャートには記載しないが、インク濃度調整手段28dが設けられている場合には、送信作動前にインク濃度の調整を行ってユーザの希望濃度に設定することができる。
【0087】
まず、ユーザが操作及び表示部12の選択ボタンにより捺印機能を選択する(S111)、すると、紙種判別センサが作動して、紙種判別手段34が原稿の紙種を判断する(S112)。最初に原稿の紙種がAか否か判断される(S113)。
【0088】
紙種がAの場合にはインク濃度が薄い捺印スタンプ1を選択する(S114)。紙種がAでない場合は紙種がBと判断され(S115)、捺印スタンプ2が選択される(S116)。もちろん、紙種が2種類以上ある場合には、紙種がBでないか否かを順次判断していけばよい。また、事前に原稿の紙種とインク濃度の適合性が調整されていなければならない。
【0089】
捺印機能が選択された場合において、紙種Aがセットされている場合には同時に温度・湿度検知センサが作動して、温度・湿度検知手段33が環境条件を判断する。環境温度が25℃未満の場合(S117)には環境湿度を判断し、環境湿度が50%未満の場合には(S118)、低温乾燥状態にあるので捺印制御4を選択する(S119)。環境湿度が50%を超える場合には、原稿の水分含有率が高くなるので、捺印制御2を選択する(S120)。
【0090】
環境温度が25℃以上の場合(S117)にも同様に環境湿度を判断し、環境湿度が50%を超える場合には(S121)、高温多湿状態を考慮して印加電圧を低く押さえる捺印制御1を選択して捺印スタンプを作動させる(S122)。環境湿度が50%以下の場合には印加電圧を少し高くして捺印制御3を選択する(S123)。紙種がBと判別された場合には捺印スタンプ2が選択された後、捺印スタンプ1の場合と同様に環境条件が判断され、その環境条件に応じて捺印スタンプ2の押圧力が制御される(一点鎖線Iで囲まれた部分は同じ制御を行う)。
【0091】
ここで、ユーザにより操作及び表示部12のFAX送信ボタンが押されると、送信が開始され(S124)、原稿搬送手段20によって原稿Dが原稿載置台29より送り出される。画像読取部11によって原稿Dが読み取られた後、紙種判別手段34から制御部10に送られた電気信号に基づいて、制御部10は捺印手段31への印加電圧、すなわちスタンプ手段28のソレノイド28bへの印加電圧を決定し、捺印手段31へ指令を発して捺印を行う(S125)。この動作は原稿Dがなくなるまで繰り返される(S126)。
【0092】
なお、捺印機能が選択されない場合には(S111)、ユーザにより操作及び表示部12のFAX送信ボタン操作により、そのまま送信が開始される(S127)。また、図10に記載のフローチャートにおいて、紙種判別手段34による自動判別制御ではなく、原稿の紙種を、操作及び表示部12に設けられたボタン、例えばテンキーにより入力するように構成しても良い。さらに捺印回数に応じて押圧力若しくは押圧時間を変化させる捺印制御方法及び環境条件に応じて押圧時間を変化させる捺印制御方法を行うことも効果的である。その場合のフローチャートは省略する。
【0093】
一方、図10のフローチャートとは異なり、自動原稿送り装置2に設けられた複数の捺印手段31の制御を原稿の紙種及び環境条件または原稿の紙種及び捺印回数等に応じて、複数の捺印手段31の中から一の捺印手段を選択するように捺印制御手段を構成する方法を採用することもできる。この方法は制御部10のスタンプ選択手段10hに格納される選択制御プログラム(選択制御手段)を充実させることにより達成できる。この制御方法は捺印手段31の駆動部を簡素化できる利点があるが、捺印品質の制御が固定化される。
【0094】
以上、本願発明に係る構成において、上記制御方法を採用すれば、いかなる環境及び条件下においても原稿に付与する読込済み印の捺印品質を均一に保持することが可能となる。なお、本実施態様の構成は一例であって、これに限定するものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で変更が可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】第一の発明の最適な実施態様である画像形成装置及び自動原稿送り装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】自動原稿送り装置の要部断面図である。
【図3】スタンプ手段の一構成例を示す図である。
【図4】自動原稿送り装置の捺印手段を制御するための第一の実施例に係るフローチャートである。
【図5】自動原稿送り装置の捺印手段を制御するための第二の実施例に係るフローチャートである。
【図6】自動原稿送り装置の捺印手段を制御するための第三の実施例に係るフローチャートである。
【図7】第二の発明の最適な実施態様である画像形成装置及び自動原稿送り装置の構成例を示すブロック図である。
【図8】自動原稿送り装置の複数の捺印手段を選択制御するための第四の実施例に係るフローチャートである。
【図9】自動原稿送り装置の複数の捺印手段を選択制御するための第五の実施例に係るフローチャートである。
【図10】自動原稿送り装置の複数の捺印手段を選択制御するための第六の実施例に係るフローチャートである。
【符号の説明】
【0096】
1 画像形成装置
2 自動原稿送り装置
10 制御部
10d 画像メモリ
10e 捺印制御部(捺印制御手段)
10f タイマ
10g カウンタ
10h スタンプ選択手段(選択制御手段)
11 画像読取部
12 操作及び表示部
12a 捺印回数通知手段
12b リセット手段
13 画像形成部
14 給紙部
15 送受信部
20 原稿搬送手段
28 スタンプ手段
31 捺印手段
32 原稿検知センサ
33 温度・湿度検知手段
34 紙種判別手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の読込を完了したことを示す読込済み印を当該原稿に押印する捺印手段と、
少なくとも前記原稿の置かれた環境条件または前記捺印手段の捺印回数のいずれかに応じて、前記捺印手段の押圧力を変化させる捺印制御手段と、を備えた自動原稿送り装置。
【請求項2】
原稿の読込を完了したことを示す読込済み印を当該原稿に押印する捺印手段と、
前記原稿の紙種に応じて、少なくとも前記捺印手段の押圧力または押圧時間のいずれかを変化させる捺印制御手段と、を備えた自動原稿送り装置。
【請求項3】
少なくとも前記原稿が置かれた環境条件又は前記捺印手段の捺印回数のいずれかに応じて、前記捺印制御手段が、前記捺印手段の押圧力を調整することを特徴とする請求項2に記載の自動原稿送り装置。
【請求項4】
少なくとも前記原稿が置かれた環境条件又は前記捺印手段の捺印回数のいずれかに応じて、前記捺印制御手段が、前記捺印手段の押圧時間を調整することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の自動原稿送り装置。
【請求項5】
異なるインク濃度を有し、原稿の読込を完了したことを示す読込済み印を当該原稿に押印する複数の捺印手段と、
前記原稿の紙種に応じて、前記複数の捺印手段の中から一の捺印手段を選択して動作させる選択制御手段と、を備えた自動原稿送り装置。
【請求項6】
異なるインク濃度を有し、原稿の読込を完了したことを示す読込済み印を当該原稿に押印する複数の捺印手段と、
少なくとも前記原稿が置かれた環境条件または前記捺印手段の捺印回数のいずれかに応じて、前記複数の捺印手段の中から一の捺印手段を選択して動作させる選択制御手段と、を備えた自動原稿送り装置。
【請求項7】
異なるインク濃度を有し、原稿の読込を完了したことを示す読込済み印を当該原稿に押印する複数の捺印手段と、
前記原稿の紙種と、少なくとも前記原稿が置かれた環境条件または前記捺印手段の捺印回数のいずれかに応じて、前記複数の捺印手段の中から一の捺印手段を選択して動作させる選択制御手段と、を備えた自動原稿送り装置。
【請求項8】
異なるインク濃度を有し、原稿の読込を完了したことを示す読込済み印を当該原稿に押印する複数の捺印手段と、
前記原稿の紙種に応じて、前記複数の捺印手段の中から一の捺印手段を選択して動作させる選択制御手段と、
少なくとも前記原稿が置かれた環境状況または前記捺印手段の捺印回数のいずれかに応じて、前記選択制御手段によって選択された前記捺印手段の押圧力または押圧時間を変化させる捺印制御手段と、を備えた自動原稿送り装置。
【請求項9】
前記環境条件は温度若しくは湿度又は温度及び湿度であることを特徴とする請求項1、請求項3または請求項4、請求項6から請求項8のいずれかに記載の自動原稿送り装置。
【請求項10】
前記捺印回数が一定値以上になったときに、前記捺印手段の交換時期であることを知らせる通知手段を設けたことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の自動原稿送り装置。
【請求項11】
前記捺印手段の捺印回数を初期値に設定するリセット手段を備えた請求項10に記載の自動原稿送り装置。
【請求項12】
前記原稿に押印する読込済み印のインク濃度を調整する調整手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項11のいずれかに記載の自動原稿送り装置。
【請求項13】
前記調整手段の調整結果に応じて、前記捺印手段の選択または動作条件を変化させる捺印制御手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項12のいずれかに記載の自動原稿送り装置。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれかに記載の自動原稿送り装置を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−287304(P2006−287304A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−100785(P2005−100785)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】