説明

自動焦点制御ユニット、電子機器、自動焦点制御方法

【課題】対物レンズの切り換えにより生じる光軸ずれを補正し、高速に焦点合わせを行う。
【解決手段】
複数の対物レンズ2から選択された一つの対物レンズ2を介して試料3にレーザ光を照射する第1の発光素子42と、複数配列された受光素子の一部で試料3からの反射光を受光するラインセンサ47と、複数配列された受光素子の他の一部にLED光を照射する第2の発光素子49と、第2の発光素子49の照射領域を複数の受光素子に亘って順次拡大させるスリット部材50と、ラインセンサ47を受光素子の配列方向に移動させる移動機構48と、選択された対物レンズ2が試料3に合焦したときの第2の発光素子49に照射されている受光素子及び受光光量を選択された対物レンズ2に対応して登録し、再度対物レンズ2を用いる際、登録値からラインセンサ47の位置を制御する制御部15を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査試料と対物レンズとの位置を調整することにより自動的に焦点を制御する自動焦点制御ユニット及び自動焦点制御方法に関し、特に、複数の対物レンズを切り換えて使用する際に、対物レンズに応じて焦点合わせを行うことができる自動焦点制御ユニット、電子機器及び自動焦点制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光学顕微鏡や深度測定機等の光学機器の分野において、観察する検査試料に自動的に焦点を合わせるための装置として、オートフォーカス装置が用いられている。
【0003】
このオートフォーカス装置には、検査試料に対してレーザ光を照射し、このレーザ光が検査試料上で反射してなる反射レーザ光を検出し、この反射レーザ光により検査試料との位置関係を測定し、自動的に焦点を合わせるものがある。このオートフォーカス装置は、フォトダイオード等の光検出器を備え、この光検出器で反射レーザ光を検出する。
【0004】
このようなオートフォーカス装置が光学顕微鏡等に用いられる場合、レーザ光は、光源から照射され、対物レンズを介して検査試料に照射される。対物レンズを介して照射されたレーザ光は、検査試料上で反射レーザ光となり、再び対物レンズを介して光検出器に照射される。
【0005】
反射レーザ光は、光検出器上に、検査試料と対物レンズとの距離に応じたスポットを形成する。このオートフォーカス装置が搭載された光学顕微鏡では、反射レーザ光が光検出器上の所定の位置にスポットを形成するように対物レンズを移動させる。これによって、この光学顕微鏡では、焦点合わせが行われる。
【0006】
顕微鏡等に使用される焦点検出方法としては、例えば、ナイフエッジ法、差動スポットサイズ法、非点収差法、横ずらし法、フーコー法と呼ばれる方法が知られており、その中でもナイフエッジ法を用いた手法が一般的に用いられている。
【0007】
ナイフエッジ法は、ナイフエッジミラーと2分割受光素子を用いて自動焦点合わせを行う焦点検出手法であり、例えば、図12に示すように半導体レーザダイオード102より出射されたレーザ光をナイフエッジミラー105によって光束の約半分程度を遮蔽した後、コリメータレンズ106及び対物レンズ101を介して検査試料103に照射し、検査試料103からの反射レーザ光をナイフエッジミラー105のミラー面によって2分割受光素子104側へ反射させる。2分割受光素子104は、対物レンズ101が検査試料103の表面に対して焦点合わせがなされているときには、反射レーザ光が2分割受光素子104を構成する2つの受光部に等量入射するように予め位置決めされている。
【0008】
検査試料103に焦点が合っていない場合、検査試料103からの反射レーザ光は、2分割受光素子104への入射位置がずれ、2分割受光素子104を構成する2つの受光素子からの出力に差が生じる。従って、ナイフエッジ法では、これら2つの受光素子からの出力が等量となる位置に検査試料103又は対物レンズ101を光軸方向へ移動させることにより、検査試料103に対する焦点合わせを実現している。
【0009】
ところで、近年、LCDパネルや電子デバイス等は、微細な回路パターンが形成されるとともに、基板の大判化が進み、その製造工程や検査工程では、高速且つ正確に検査対象領域を特定し、焦点合わせを行うことへの要求が高まっている。そこで、顕微鏡による部品検査では、倍率の異なる複数の対物レンズを備え、大判の検査試料に対してアライメントマークの検出時には低倍率の対物レンズを用い、検査試料の所定領域の観察には高倍率の対物レンズを用いるなど、観察部位の位置や状態などにより対物レンズを切り換えて用いるものが提案されている。
【0010】
しかし、ナイフエッジ法を用いた焦点検出方法においては、対物レンズ101を切り換えることにより光軸ずれや色収差が発生した場合、図13に示すように2分割受光素子104に入射する位置がずれてしまうため、対物レンズ101毎に2分割受光素子104からの出力に補正値を加える等の工夫が必要となる。
【0011】
また、色収差を補正する手法として、色収差補正レンズを光軸方向に移動させ色収差特性が異なる対物レンズに交換した場合にも合焦誤差を補正できるようにした焦点制御方法も提案されているが、かかる手法では、色収差補正レンズを光軸ずれが発生することなく移動させる手段が必要であり、高精度な組立が要求される。また、光学部品を増やすことで焦点検出装置としてのコストアップに繋がるだけではなく、焦点検出装置の構成が大型化することとなり、従来からの標準的な顕微鏡に対して焦点検出装置を搭載することが困難となってしまう。
【0012】
【特許文献1】特開平10−161195号公報
【特許文献2】特開平11−249027号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで、本発明は、対物レンズを切り換えることにより発生する光軸ずれ及び色収差を補正し、高速且つ正確に焦点合わせを行うことができる自動焦点制御ユニット及びそれを備えた電子機器、自動焦点制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決するために、本発明に係る自動焦点制御ユニットは、倍率の異なる複数の対物レンズから選択された一つの対物レンズを介して試料にレーザ光を照射する第1の発光素子と、複数の受光素子が相隣接して配列され、上記複数の受光素子の一部で上記試料からの反射光を受光するラインセンサと、上記複数の受光素子の他の一部にレーザ光を照射する第2の発光素子と、上記第2の発光素子から照射されるレーザ光の上記ラインセンサに対する照射領域が上記複数の受光素子に亘って順次拡大するように横切るスリット部材と、上記ラインセンサを上記反射光の光軸に対して上記複数の受光素子の配列方向に相対的に移動させる移動機構と、選択された上記対物レンズの上記試料に対する焦点合わせがされた状態における、上記第2の発光素子から出射されたレーザ光に照射されている上記複数の受光素子及び該複数の受光素子の受光光量を上記選択された対物レンズに対応づけて登録し、再度上記対物レンズを用いる際に、上記登録値を基に、上記ラインセンサの位置を制御する制御部とを備える。
【0015】
また、本発明に係る電子機器は、倍率の異なる複数の対物レンズから選択された一つの対物レンズを介して試料にレーザ光を照射する第1の発光素子と、複数の受光素子が相隣接して配列され、上記複数の受光素子の一部で上記試料からの反射光を受光するラインセンサと、上記複数の受光素子の他の一部にレーザ光を照射する第2の発光素子と、上記第2の発光素子から照射されるレーザ光の上記ラインセンサに対する照射領域が上記複数の受光素子に亘って順次拡大するように横切るスリット部材と、上記ラインセンサを反射光の光軸に対して上記複数の受光素子の配列方向に相対的に移動させる移動機構と、選択された上記対物レンズの上記試料に対する焦点合わせがされた状態における、上記第2の発光素子から出射されたレーザ光に照射されている上記複数の受光素子及び該複数の受光素子の受光光量を上記選択された対物レンズに対応づけて登録し、再度上記対物レンズを用いる際に、上記登録値を基に、上記ラインセンサの位置を制御する制御部とを備えた自動焦点制御ユニットを有する。
【0016】
また、本発明に係る自動焦点制御方法は、選択可能に設けられた倍率の異なる複数の対物レンズ毎に、第1の発光素子から照射されたレーザ光が試料に焦点を結ぶラインセンサの基準位置において、上記ラインセンサの一端側に設けられ、上記試料からの反射光が入射する複数の受光素子と、上記ラインセンサの他端側に設けられ、第2の発光素子から照射されたレーザ光の受光領域がスリット部材を介して漸次拡大された複数の受光素子とを基準素子として登録するとともに、上記ラインセンサの他端側に設けられた基準素子の受光光量を基準信号として登録する工程と、選択された対物レンズに応じて、上記基準素子及び上記基準信号に基づいて、上記ラインセンサを上記基準位置に移動させる工程と、上記基準位置に移動された上記ラインセンサの一端側に設けられた上記基準素子に、上記選択された対物レンズを介して上記試料に照射されたレーザ光の反射光が、等量入射するように、上記対物レンズ又は上記試料を上記対物レンズの光軸方向に移動させる工程とを有する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、予め、選択された対物レンズに対応した基準位置にラインセンサが移動されているため、試料に対して、対物レンズの焦点が大きく外れることがなく、迅速な焦点合わせを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る自動焦点制御ユニット、電子機器及び自動焦点制御方法が適用された顕微鏡1について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
顕微鏡1は、図1に示すように、倍率の異なる複数の対物レンズ2を備えた対物レンズユニット10と、検査試料3に照射されたレーザ光の反射光が入射されるとともに撮像素子4が設けられる撮像ユニット11と、対物レンズ2を介して検査試料3に対して照明用の光を照射する照明ユニット12と、検査試料3に対する対物レンズ2の焦点検出を行う自動焦点制御ユニット13と、自動焦点制御ユニット13の検出結果に応じて対物レンズユニット10と検査試料3が載置されたステージとの距離を可変する駆動ユニット14と、自動焦点制御ユニット13による検出結果に応じて駆動ユニット14を駆動する制御部15とを備える。
【0020】
かかる顕微鏡1は、対物レンズユニット10が回転することにより、検査試料3や検査部位に応じて倍率の異なる複数の対物レンズ2を切り換えて用いることができ、かつ、自動焦点制御ユニット13によって、切り換えられた対物レンズ2に応じた焦点検出を行うものである。
【0021】
対物レンズユニット10は、図1に示すように、倍率の異なる複数の対物レンズ2a,2b・・・と、対物レンズ2が取り付けられるレボルバ20と、レボルバ20を回転可能に支持するレボルバ支持部21と、レボルバ20に形成された取付孔のいずれに対物レンズ2が取り付けられているかを検出する図示しない検出部とを有する。レボルバ20は、外周面に対物レンズ2を固定する取付孔が複数形成され、倍率の異なる複数の対物レンズ2a,2b・・・が取り付けられている。レボルバ支持部21は、レボルバ20を支持することにより、対物レンズ2を顕微鏡1の光路上に移動させるものであり、レボルバ20を回転させる回転モータ機構が内蔵されている。また、レボルバ支持部21は、照明ユニット12に接続されるとともに、駆動ユニット14が取り付けられている。
【0022】
かかる対物レンズユニット10は、レボルバ20が自動又は手動で回転されることにより、一つの対物レンズ2の光軸が顕微鏡1の光路上に合致された状態で支持される。このとき対物レンズユニット10は、選択された対物レンズ2がステージと対向され、所望の倍率でステージ上に載置された検査試料3の観察を行うことができる。
【0023】
撮像ユニット11は、対物レンズユニット10と対向配置され、後述する照明ユニット12及び自動焦点制御ユニット13より光路分岐された観察光学系が構成されるものであり、集光レンズ群が内蔵された鏡筒部25と、CCD等の撮像素子27が内蔵されたカメラ部26とを有する。撮像ユニット11は、カメラ部26によって検査試料3の映像信号を生成し、図示しないモニタ等に出力する。
【0024】
照明ユニット12は、照明用光源30から所定の光量の光を出射して、検査試料3を照らし、撮像ユニット11による観察を可能とするものである。照明ユニット12は、鏡筒31内に、第1のレンズ32と、開口絞り33と、第2のレンズ34と、照明用ミラー35とを有し、これらが同一の光軸上に配設されている。
【0025】
照明ユニット12は、照明用光源30から出射された光が第1のレンズ32で集光され、開口絞り33を介して第2のレンズ34に入射される。第2のレンズ34に入射した光は、所定のスポット径とされ照明用ミラー35で対物レンズユニット10側に反射されて、検査試料3に照射される。
【0026】
次いで、自動焦点制御ユニット13について、図2及び図3を用いて説明する。なお、図2は自動焦点制御ユニット13の一実施例であり、図3は自動焦点制御ユニット13の構成を示す概略図である。図2及び図3に示すように、自動焦点制御ユニット13は、焦点制御用の出射レーザ光L1を照射する照射部40と、照射部40から出射され検査試料3によって反射された反射レーザ光L2を検出する光検出部41とを有する。
【0027】
照射部40は、出射レーザ光L1を発光する第1の発光素子42と、この第1の発光素子42が発光した出射レーザ光L1の少なくとも一部を遮光するナイフエッジミラー43と、第1の発光素子42が発光した出射レーザ光L1の発散角を変換して平行光とするコリメータレンズ44と、コリメータレンズ44を透過した出射レーザ光L1を対物レンズユニット10側に反射するダイクロイックミラー45とを有する。
【0028】
第1の発光素子42は、例えば半導体レーザダイオードが用いられる。ナイフエッジミラー43は、エッジ部が第1の発光素子42が発光した出射レーザ光L1及び検査試料3からの反射レーザ光L2の光軸上に配設されている。ナイフエッジミラー43は、第1の発光素子42と対向する面がレーザ光を透過させない遮蔽面とされ、出射レーザ光L1の略55%を遮蔽する。また、ナイフエッジミラー43は、第1の発光素子42と対向する遮蔽面と反対側の面がミラー面とされ、検査試料3からの反射レーザ光L2を全て光検出部41側へ反射する。
【0029】
ダイクロイックミラー45は、コリメータレンズ44によって平行光とされた出射レーザ光L1を対物レンズユニット10側に反射させる。また、ダイクロイックミラー45は、検査試料3からの反射レーザ光L2をナイフエッジミラー43側に反射させるとともに、撮像ユニット11側に透過させる。
【0030】
ナイフエッジミラー43によって反射された反射レーザ光L2を検出する光検出部41は、受光素子が複数配列されたラインセンサ47と、ラインセンサ47を受光素子の配列方向に亘ってスライドさせるスライド機構48と、ラインセンサ47に形成された受光素子のうちの一部にLED光を照射する第2の発光素子49と、第2の発光素子49によるラインセンサ47上の照射領域を規制するスリット部材50とを備える。
【0031】
ラインセンサ47は、略矩形状の受光素子が複数配列されてなり、各受光素子のそれぞれに入射する光量を検出する。そして、後述するようにラインセンサ47は、制御部15において、所定の受光素子による受光光量に基づいてフォーカスエラー信号が生成され、駆動ユニット14が駆動されてフォーカシング制御が行われる。またラインセンサ47は、対物レンズ2に応じて、スリット部材50を介してLED光が入射される所定の受光素子の光量が記録され、対物レンズ2が切り換えられる度に、切り換えられた対物レンズ2に応じて記録された所定の受光素子及び受光光量に基づき、スライド機構48によって所定位置にスライドされる。
【0032】
かかるラインセンサ47は、例えば図2に示すように、スライダ51上に形成されることにより、反射レーザ光L2の光軸に対して直交する図2中矢印S方向及び反矢印S方向へスライド可能とされている。スライダ51は、光検出部41を構成する筐体にスライド自在に支持されるとともに、スライド方向の一端側にスプリング52が当接され、常時図2中矢印S方向に付勢されている。また、スライダ51は、スプリング52の付勢方向に、スライド機構48のレバー部材55が当接される当接部53が形成されている。そしてスライダ51は、レバー部材55が揺動されることにより、矢印S方向又は反矢印S方向にスライドされる。
【0033】
ラインセンサ47をスライドさせるスライド機構48は、例えば図2に示すピエゾアクチュエータ54と、レバー部材55とを備える。ピエゾアクチュエータ54は、制御部15によって対物レンズ2に応じてラインセンサ47をスライドさせるために必要な電圧が印加される。レバー部材55は、光検出部41の筐体に回動自在に支持されるとともに、一端をピエゾアクチュエータ54と当接され、他端をスライダ51の当接部53に当接されている。レバー部材55は、当接部55を介してスプリング52の付勢力を受けて、常時図2中矢印R方向へ回動付勢されている。
【0034】
かかるスライド機構48は、ピエゾアクチュエータ54が伸張されると、スプリング52の付勢力に対抗してレバー部材55が反矢印R方向へ回動され、スライダ51を反矢印S方向へスライドさせる。また、スライド機構48は、ピエゾアクチュエータ54が伸縮されると、スプリング52の付勢力を受けてスライダ51を矢印S方向へスライドさせるとともに、レバー部材55が矢印R方向へ回動される。これにより、スライド機構48は、ラインセンサ47を反射レーザ光L2の光軸と直交する方向へスライドさせ、対物レンズ2に応じて、反射レーザ光L2がラインセンサの所定の受光素子に入射する基準位置に移動させることができる。
【0035】
また、光検出部41は、ラインセンサ47に対向して、ラインセンサ47の複数の受光素子にLED光を照射する第2の発光素子49と、第2の発光素子49による照射領域を規制するスリット部材50が配設されている。第2の発光素子49は、例えば発光ダイオードが用いられる。スリット部材50は、図4に示すように、検査試料3からの反射レーザ光L2が入射する受光素子が形成されたラインセンサ47の一端47a側とは反対側の他端47b側に設けられた複数の受光素子に、第2の発光素子49から出射されたLED光を照射させる開口部57が形成されている。
【0036】
開口部57は、他端47b側に配列された複数の受光素子の照射領域を、配列方向に亘って順番に漸次拡大させる斜辺57aが形成されている。斜辺57aは、他端47b側に配列された受光素子のうち、少なくとも3つ以上の受光素子を斜めに横切る。したがって、図5に示すように、開口部57を介して第2の発光素子49と対向されたラインセンサ47の受光素子は、配列方向に沿ってLED光の照射領域が増加し、検出される光量が階段状に増加する。光検出部41は、スリット部材50を介して第2の発光素子49のLED光が照射される所定の受光素子と、これら所定の受光素子の入射光量から、ラインセンサ47のスリット部材50に対する位置を判別することができる。
【0037】
自動焦点制御ユニット13は、対物レンズユニット10に設けられた対物レンズ2毎に、出射レーザ光L1が検査試料3に焦点を結ぶことにより、検査試料3からの反射レーザ光L2がラインセンサ47の一端47a側に配列された所定の受光素子に等量入射する基準位置が設定される。そして自動焦点制御ユニット13は、この基準位置において、第2の発光素子49から照射されるLED光がラインセンサ47の他端47b側に配列された所定の受光素子及びこれら所定の受光素子の第2の発光素子49からの入射光量を、基準素子及び基準電圧として登録する。
【0038】
そして、自動焦点制御ユニット13は、対物レンズ2が切り換えられると、当該切り換え られた対物レンズ2に対応したラインセンサ47の基準位置を、登録された基準素子及び基準信号を基に決定する。ラインセンサ47は、基準素子が基準信号の電圧レベルとなるまでスライド機構48によってスライドされることにより、自動的に基準位置に移動される。
【0039】
具体的に、自動焦点制御ユニット13は、一つの対物レンズ2を介して検査試料3に出射レーザ光L1が焦点を結ぶことにより、ラインセンサ47の一端47a側に配列された2つの受光素子n,n+1が、検査試料3からの反射レーザ光L2が均等に受光する位置を基準位置とし、かかるラインセンサ47の基準位置を対物レンズユニット10に設けられた各対物レンズ2a,2b・・毎に決定する(図4)。図5に示すように、各基準位置において、対物レンズ2a,2b・・・は、いずれも検査試料3に対して合焦され、2つの受光素子n,n+1は、反射レーザ光L2が等量入射し、電圧レベルVn,Vn+1は等しい。
【0040】
また自動焦点制御ユニット13は、これら各基準位置におけるラインセンサ47の他端47bに配列され、スリット部材50の開口部57を介して第2の発光素子49のLED光が照射される複数の受光素子s,s+1,s+2・・・と、これら各受光素子s,s+1,s+2・・・の受光光量の電圧レベルVs,Vs+1,Vs+2・・・を得る。このとき、複数の受光素子s,s+1,s+2・・・は、受光光量Vs,Vs+1,Vs+2・・・が階段状に増加する。
【0041】
そして、自動焦点制御ユニット13は、対物レンズユニット10において対物レンズ2aを選択したときに反射レーザ光L2が等量入射した2つの受光素子n、n+1の素子番号と階段状の信号が得られた受光素子s、s+1、s+2・・・の素子番号とを、対物レンズ2aに対応する基準素子として登録し、且つ受光素子s、s+1、s+2・・・において検出された階段状の電圧レベルVs,Vs+1,Vs+2・・・を対物レンズ2aに対応する基準信号として登録する。
【0042】
かかる基準素子及び基準信号の登録は、オペレータによって対物レンズ2毎に検査試料3に対する焦点合わせが行われ、合焦時における基準素子及び基準信号が計測され、図示しない制御コントローラ内に設けられたメモリに登録されることにより行われる。そして、自動焦点制御ユニット13は、次回以降、同じ対物レンズ2aを選択し検査試料3に対する焦点合わせを行なう場合は、対物レンズ2aに対応して予め登録された基準素子s、s+1、s+2・・・が、基準信号Vs,Vs+1,Vs+2・・・を計測するまでラインセンサ47をスライド機構48によってスライドさせ、常にラインセンサ47を対物レンズ2aに対応した基準位置に保持する。
【0043】
自動焦点制御ユニット13は、対物レンズ2bその他全ての対物レンズ2についても、同様に、基準素子及び基準信号を登録する。基準素子及び基準信号の電圧レベルは、対物レンズ2毎に異なっていてもよく、同じであってもよい。
【0044】
このとき、対物レンズ2aから対物レンズ2bに切り換えることにより、図6(a)及び(c)に示すように、光軸ずれが発生した場合、切り換えられた対物レンズ2bに対応する基準素子である受光素子n、n+1に対しずれた位置に反射レーザ光L2が入射される。この場合、2つの基準素子n、n+1が均等に反射レーザ光L2を受光するようにスライド機構48によりラインセンサ47を受光素子の配列方向にスライドさせ、自動で位置調整を行なう。
【0045】
そして、図6(b)に示す対物レンズ2bが検査試料3に対して合焦された基準位置において、検査試料3からの反射レーザ光L2が等量入射する受光素子n,n+1及び第2の発光素子49のLED光が照射される複数の受光素子s、s+1、s+2・・・の素子番号を、対物レンズ2bに対応する基準素子として登録し、また受光素子s、s+1、s+2・・・において検出された信号Vs,Vs+1,Vs+2・・・を対物レンズ2bに対応する基準信号として登録する。
【0046】
そして、自動焦点制御ユニット13は、次回以降、対物レンズ2bを選択し検査試料3に対する焦点合わせを行なう場合は、対物レンズ2bに対応して予め登録された基準素子s、s+1、s+2・・・が、基準信号Vs,Vs+1,Vs+2・・・を計測するまでラインセンサ47をスライド機構48によってスライドさせ、常にラインセンサ47を対物レンズ2bに対応した基準位置に保持する。
【0047】
これにより、自動焦点制御ユニット13は、対物レンズ2を切り換えることにより光軸ずれや色収差が発生した場合にも、予めかかる光軸ずれや色収差が補正された基準位置にラインセンサ47を自動的にスライドさせ、高速且つ確実に焦点合わせを行うことができる。
【0048】
顕微鏡1は、自動焦点制御ユニット13によって、選択された対物レンズ2に対応した基準位置にラインセンサ47を保ちながら、検査試料3からの反射レーザ光L2が基準素子n,n+1に等量入射するように、検査試料3が載置されたステージ又は対物レンズユニット10を駆動ユニット14によって焦点合わせ方向、すなわち対物レンズ2の光軸方向に移動させることにより自動的に焦点合わせを行う。
【0049】
かかる自動焦点合わせは、制御部15によって、基準素子n,n+1の反射レーザ光L2の受光光量をモニタし、フォーカスサーボ信号を生成、駆動ユニット14にフィードバックすることにより行う。具体的に、ラインセンサ47は、図7(a)に示すように、基準素子n,n+1のそれぞれに入射する光量を検出する。そして、ラインセンサ47では、制御部15において、図7(b)に示すように、基準素子nの信号から基準素子n+1の信号の差分を取る。このようにS字カーブとして得られる、いわゆるフォーカスエラー信号に基づいて、制御部15が対物レンズ2を駆動させる。
【0050】
この自動焦点制御ユニット13では、図5に示したように、対物レンズ2と検査試料3とが焦点距離にあって、受光素子n及び受光素子n+1上に入射する光量が等量となるように、駆動ユニット14によって、対物レンズユニット10を対物レンズ2の光軸方向へ駆動させる。すなわち、この自動焦点制御ユニット10では、制御部15によって、図7(b)中JFで示す受光素子n及び受光素子n+1の各受光光量の減算値がゼロの値を示す点(ゼロクロス点)で対物レンズユニット10を停止するように、駆動ユニット14が制御される。
【0051】
受光素子n及び受光素子n+1における各受光光量の減算値がプラスの場合は、ジャストフォーカスJF点よりも焦点が上にあるとして、ジャストフォーカスJF点を目指し、下方に対物レンズユニット10を移動させる。また受光素子n及び受光素子n+1の各受光素子における受光光量の減算値がマイナスの場合は、ジャストフォーカスJF点よりも焦点が下にあるとして、ジャストフォーカスJF点を目指し、上方に対物レンズユニット10を移動させる。
【0052】
このとき、顕微鏡1は、自動焦点制御ユニット13によって予め選択された対物レンズ2に対応した基準位置にラインセンサ47が移動されているため、検査試料3に対して、対物レンズ2の焦点が大きく外れることがなく、迅速な焦点合わせを行うことができる。
【0053】
以上のように、自動焦点制御ユニット13により焦点合わせが行われた顕微鏡1は、照明ユニット12により検査試料3に対して照明用の光が照射され、この光を用いて撮像ユニット5にて検査試料3を結像する。
【0054】
次いで、かかる自動焦点制御ユニット13を用いて検査試料3の検査工程について説明する。先ず、対物レンズユニット10に設けられている対物レンズ2a,2b・・・毎に、検査試料3に焦点合わせがなされた際に、反射レーザ光L2がラインセンサ47の一端47a側に設けられた複数の受光素子に等量入射する基準位置を設定する。自動焦点制御ユニット13は、この基準位置におけるラインセンサ47の一端側に設けられ、反射レーザ光L2が等量入射する複数の受光素子n,n+1と、ラインセンサ47の他端47b側に設けられ、第2の発光素子49から出射されたLED光の照射領域がスリット部材50によって漸次拡大する複数の受光素子s、s+1、s+2・・・とを、選択された対物レンズに対応する基準素子として内蔵メモリに登録する。また、自動焦点制御ユニット13は、基準素子s、s+1、s+2・・・の受光光量を検出し、電圧レベルを基準信号として内蔵メモリに登録する。
【0055】
この基準素子及び基準信号の登録工程は、オペレータによって検査試料3に焦点を結ぶように対物レンズユニット10が駆動され、焦点を結んだ際に、受光素子n,n+1に反射レーザ光L2が等量入射する位置をラインセンサ47の基準位置として設定する。そして、この基準位置における受光素子n,n+1と、第2の発光素子49のLED光を受光する受光素子s、s+1、s+2・・・を基準素子として登録し、基準素子s、s+1、s+2・・・の受光光量を基準信号として内蔵メモリに登録する。
【0056】
自動焦点制御ユニット13は、対物レンズユニット10に設けられている対物レンズ2a,2b・・・毎に、ラインセンサ47の基準位置における基準素子及び基準信号を設定した後、検査試料3の観察を行う。顕微鏡1は、検査試料3が大判の場合、アライメントマークの検出時には低倍率の対物レンズ2を選択し、検査試料3の特定の箇所を観察する時には高倍率の対物レンズ2を用いるなど、対物レンズ2が切り換えて用いられる。
【0057】
そして自動焦点制御ユニット13は、切り換えられた対物レンズ2に応じて予め設定した基準素子及び基準信号から、ラインセンサ47を基準位置にスライドさせる。これにより、自動焦点制御ユニット13は、対物レンズ2の切り換えによって光軸ずれや色収差が発生した場合にも、自動焦点合わせを高速且つ確実に行うことができる。
【0058】
基準位置へのスライドは、基準素子s、s+1、s+2・・・が基準信号の電圧レベルを有するように、スライド機構48によってスライダ51を矢印S方向又は反矢印S方向へスライドさせることにより行う。これにより、ラインセンサ47は、反射レーザ光L2の光軸方向と直交する受光素子の配列方向にスライドされ、基準素子n,n+1に跨って反射レーザ光L2が入射する。
【0059】
次いで、基準素子n,n+1に反射レーザ光L2が等量入射するように、駆動ユニット14が対物レンズユニット10を駆動する。顕微鏡1は、自動焦点制御ユニット13によって基準素子n,n+1の受光光量が検出され、この検出値を基に制御部15によってフォーカスエラー信号が生成される。そして、顕微鏡1は、フォーカスエラー信号に基づいて駆動ユニット14が対物レンズユニット10を焦点合わせ方向、すなわち対物レンズ2の光軸方向に移動させる。顕微鏡1は、基準素子n,n+1の受光光量が等量となるまで対物レンズユニット10が移動されることにより、検査試料3に対する焦点合わせが完了する。
【0060】
その後、顕微鏡1は、対物レンズ2が切り換えられると、上記と同様にラインセンサ47を基準位置までスライドさせ、基準素子n,n+1の受光光量が等量となるまで対物レンズユニット10を昇降させる。
【0061】
なお、自動焦点制御ユニット13は、検査試料3に対して対物レンズユニット10が移動して検査箇所を変更あるいは移動していくトレース動作中においても、焦点合わせを保つことで、移動後あるいは移動中の測定や検査を速やかに行うことができる。トレース動作中において、自動焦点制御ユニット13は、選択された対物レンズ2に対応して予め登録された基準素子s、s+1、s+2・・・の基準信号の電圧をモニタし、当該基準信号との差をキャンセルするようにラインセンサ47をスライドさせ、基準位置を保つ。そして、自動焦点制御ユニット13は、このラインセンサ47の基準位置を保ちながら、トレースされている検査試料3からの反射レーザ光L2を基準素子n,n+1にて等量受光するように、対物レンズユニット10を駆動ユニット14にて、対物レンズ2の光軸方向に移動させる。これにより、自動焦点制御ユニット13は、トレース動作中においても、自動で焦点合わせを行うことができる。
【0062】
ここで、スリット部材50は、ラインセンサ47の他端47bに配列された受光素子のうち、5つ以上に第2の発光素子49のLED光が照射されるように、開口部57及びその斜辺57aが形成されている。そして、基準信号を検出する受光素子s、s+1、s+2として、LED光が照射された受光素子の両側を除いた3つ、例えば真ん中の3つを選択し、選択された3つの受光素子が検出した信号Vs,Vs+1,Vs+2を基準信号として登録する。これにより、スリット部材50の開口部57のエッジ部分における入射光量のばらつきが発生した場合にも、安定した基準信号の検出を行い、確実にラインセンサ47を基準位置に移動させることができる。
【0063】
また、スリット部材50は、開口部57をラインセンサ47の他端47b側の受光素子よりも大きく開口されている。すなわち、図4に示すように、ラインセンサ47の他端47b側の受光素子は、開口部57を介して全面に亘って第2の発光素子49と対峙され、全面に亘ってLED光が入射される。かかる全面照射される受光素子が、上述した入射光量が漸次増大する受光素子と隣接して複数設けられることにより、当該全面照射される受光素子の受光光量を測定することで、第2の発光素子49が照射するLED光が所定のパワーであることを確認することができる。
【0064】
かかるスリット部材50は、例えばラインセンサ47の各受光素子が長手方向の長さ200μm、幅54.5μmとし、各受光素子間のピッチ9μmとして形成され、一端47aから他端47bまで素子番号1〜128の受光素子が配列されたラインセンサ47を用いる場合、開口部57の斜辺57aが35°に設定されている。
【0065】
また、自動焦点制御ユニット13に配設されているナイフエッジミラー43は、図8に示すように第1の発光素子42から照射される出射レーザ光L1を半分強(約55%)遮蔽し、約45%の出射レーザ光L1をコリメータレンズ44側へ入射させている。これは、光路分割部材であるナイフエッジミラー43により光束の半分を遮蔽した際、対物レンズ2を切り換えることにより光軸ずれがあると、図6(c)に示すように、半導体レーザダイオードを用いる第1の発光素子42に対し、検査試料3により反射された反射レーザ光L2が入射することがある。そして、第1の発光素子42に反射レーザ光L2が入射すると、出射レーザ光L1が共振されて、レーザ出力を不安定にさせ、その結果、自動焦点合わせに支障をきたすおそれがある。
【0066】
そこで、自動焦点制御ユニット13は、光路分割部材であるナイフエッジミラー43により光束の半分強(約55%)を遮蔽し、遮蔽されない約45%の出射レーザ光L1をコリメータレンズ44へ入射させている。これにより、自動焦点制御ユニット13は、光軸ずれがあった場合でも第1の発光素子42に対し、検査試料3により反射された反射レーザ光L2が入射することを防止でき、自動焦点合わせを正確かつ確実に行うことができる。
【0067】
また、自動焦点制御ユニット13は、図9に示すように、第1の発光素子42から照射される出射レーザ光L1の光路上に、直交方向に互いに異なる屈折力を有する光学手段として一対のシリンドリカルレンズ60,61を配してもよい。シリンドリカルレンズ60,61を用いることにより、自動焦点制御ユニット13は、検査試料3に入射する出射レーザ光L1を略楕円形状に整形することができ、検査試料3の段差エッジの影響を最小に抑えることができる。
【0068】
すなわち、検査試料3として、例えば半導体ウェハのようにパターンが形成された表面に出射レーザ光L1を照射すると、パターン形成による段差エッジによって出射レーザ光L1が散乱し、反射レーザ光L2の光量が不足する。これにより、ラインセンサ47による反射LED光L2の受光光量が不足し、焦点合わせの精度に影響を及ぼす虞がある。そこで、自動焦点制御ユニット13は、シリンドリカルレンズ60,61を用いて楕円形状のレーザ光を生成し、検査試料3に照射することで、段差エッジによる散乱の影響を最小に抑えることができる。
【0069】
図9に示すように、自動焦点制御ユニット13は、シリンドリカルレンズ60を第1の発光素子42とナイフエッジミラー43との間に配し、シリンドリカルレンズ61をナイフエッジミラー43のミラー面とラインセンサ47との間に配している。
【0070】
シリンドリカルレンズ60は、第1の発光素子42から出射された出射レーザ光L1に非点収差を生じさせることにより円形状のスポットから楕円形状に変形させる。長孔状に変形された出射レーザ光L1は、ナイフエッジミラー43によって半分強(55%)程度遮蔽され、残りがコリメータレンズ44に入射される。その後、上述したように、出射レーザ光L1は、ダイクロイックミラー45によって対物レンズユニット10側へ反射され、検査試料3に照射される。このとき、検査試料3に照射される出射レーザ光L1は、シリンドリカルレンズ60によって楕円形状とされている。
【0071】
検査試料3からの反射レーザ光L2は、ダイクロイックミラー45を透過して観察光学系を構成する撮像ユニット11に入射するとともに、ダイクロイックミラー45及びナイフエッジミラー43のミラー面にて反射され、シリンドリカルレンズ61に入射する。反射レーザ光L2は、再度シリンドリカルレンズに入射することにより、楕円形状から再度円形状のスポットに変形されてラインセンサ47に受光される。自動焦点制御ユニット13は、上述したとおり、ラインセンサ47の基準素子n,n+1に入射する反射レーザ光L2の受光光量を検出する。また制御部15は、基準素子n,n+1に入射する反射レーザ光L2の受光光量が等量となるように駆動ユニット14を制御し、対物レンズユニット10又は検査試料3が搭載されたステージを光軸方向に移動させることにより、自動で焦点合わせを行う。
【0072】
なお、自動焦点制御ユニット13は、図10に示すように、シリンドリカルレンズ62を一つだけ配置してもよく、またナイフエッジミラー43とコリメータレンズ44との間に配してもよい。この場合、図11に示すように、ラインセンサ47の基準素子n,n+1に入射する反射レーザ光L2は、受光素子の配列方向と直交する方向を長手方向とする楕円形状を結ぶ。このときも、反射レーザ光L2がラインセンサ47の受光素子外まで照射されることがなければ自動焦点制御に用いる光量としては十分であり、制御部15は、基準素子n,n+1に入射する反射レーザ光L2の光量が等しくなるように駆動ユニット14を制御し、対物レンズユニット10又は検査試料3が搭載されたステージを光軸方向に移動させることにより、自動で焦点合わせを行う。
【0073】
なお、本発明に係る自動焦点制御ユニット及び自動焦点制御方法は、その適用が光学顕微鏡に限定されるものではなく、例えば、深度測定装置等の光学電子機器やレーザ加工機の自動焦点制御ユニットに適用することも可能である。
【0074】
また、本発明に係る自動焦点制御ユニットは、従来から用いられている標準的な顕微鏡等の電子機器に組み込んで用いることができる。
【0075】
また、ラインセンサ47をスライドさせるスライド機構48は、ピエゾアクチュエータ54を用いる構成に限らず、受光素子の配列方向に沿ってスライドさせるあらゆる機構を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】顕微鏡の構成を示す概略図である。
【図2】自動焦点制御ユニットの一実施例を示す断面図である。
【図3】自動焦点制御ユニットの基本構成を示す概略図である。
【図4】光検出部を示す図である。
【図5】ラインセンサによって検出された受光光量を示すグラフである。
【図6】対物レンズの切換によって光軸ずれが発生した状態における自動焦点制御ユニットを示す図であり、(a)はラインセンサ上で光軸が右側へずれた場合、(b)はラインセンサ上で光軸ずれが発生しない場合、(c)はラインセンサ上で光軸が左側へずれた場合を示す。
【図7】基準素子によって検出された反射レーザ光の受光光量を示すグラフである。
【図8】ナイフエッジミラーによって半分強の出射レーザ光が遮蔽されている自動焦点制御ユニットの状態を示す図である。
【図9】一対のシリンドリカルレンズを配した自動焦点制御ユニットの構成を示す概略図である。
【図10】一つのシリンドリカルレンズを配した自動焦点制御ユニットの構成を示す概略図である。
【図11】一つのシリンドリカルレンズを配した自動焦点制御ユニットにおける光検出部を示す図である。
【図12】従来の焦点制御ユニットを示す概略図である。
【図13】対物レンズを切り換えた従来の焦点制御ユニットを示す概略図である。
【符号の説明】
【0077】
1 顕微鏡、2 対物レンズ、3 検査試料、10 対物レンズユニット、11 撮像ユニット、12 照明ユニット、13 自動焦点制御ユニット、14 駆動ユニット、15 制御部、20 レボルバ、21 レボルバ支持部、40 照射部、41 光検出部、42 第1の発光素子、43 ナイフエッジミラー、44 コリメータレンズ、45 ダイクロイックミラー、47 ラインセンサ、48 スライド機構、49 第2の発光素子、50 スリット部材、51 スライダ、52 スプリング、54 ピエゾアクチュエータ、55 レバー部材、57 開口部、57a 斜辺、60〜62 シリンドリカルレンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
倍率の異なる複数の対物レンズから選択された一つの対物レンズを介して試料にレーザ光を照射する第1の発光素子と、
複数の受光素子が相隣接して配列され、上記複数の受光素子の一部で上記試料からの反射光を受光するラインセンサと、
上記複数の受光素子の他の一部にレーザ光を照射する第2の発光素子と、
上記第2の発光素子から照射されるレーザ光の上記ラインセンサに対する照射領域が上記複数の受光素子に亘って順次拡大するように横切るスリット部材と、
上記ラインセンサを上記反射光の光軸に対して上記複数の受光素子の配列方向に相対的に移動させる移動機構と、
選択された上記対物レンズの上記試料に対する焦点合わせがされた状態における、上記第2の発光素子から出射されたレーザ光に照射されている上記複数の受光素子及び該複数の受光素子の受光光量を上記選択された対物レンズに対応づけて登録し、再度上記対物レンズを用いる際に、上記登録値を基に、上記ラインセンサの位置を制御する制御部とを備える自動焦点制御ユニット。
【請求項2】
上記対物レンズの上記試料に対する焦点合わせがされた状態において、上記ラインセンサの相隣接した2つの受光素子に跨って反射光が等量照射される請求項1記載の自動焦点制御ユニット。
【請求項3】
上記制御部は、倍率の異なる複数の対物レンズのそれぞれについて、上記試料に対する焦点合わせがされた状態における上記スリット部材を介して上記第2の発光素子に照射される上記複数の受光素子及び受光光量を登録し、上記各対物レンズの切換時に、上記各対物レンズに応じた登録値を基に、上記スリット部材に対する上記ラインセンサの位置を制御する請求項1記載の自動焦点制御ユニット。
【請求項4】
上記第1の発光素子と上記対物レンズの間には、ナイフエッジミラーが配設されている請求項1記載の自動焦点制御ユニット。
【請求項5】
上記制御部は、選択された一つの対物レンズについて上記試料に対する焦点合わせがされた状態において、上記試料からの反射光を等量受光する相隣接した2つの受光素子を登録し、再度上記対物レンズを用いる際に、上記検出された複数の受光素子に反射光が等量入射するように、上記対物レンズ又は試料を、上記対物レンズの光軸方向へ移動させる請求項4記載の自動焦点制御ユニット。
【請求項6】
上記ナイフエッジミラーは、上記第1の発光素子から出射したレーザ光の略55%を遮蔽する請求項4記載の自動焦点制御ユニット。
【請求項7】
上記スリット部材は、上記ラインセンサの上記受光素子の配列方向に対して略35°の傾きを有する請求項1記載の自動焦点制御ユニット。
【請求項8】
上記第1の発光素子と上記試料との間の光路上には、シリンドリカルレンズが配設されている請求項1記載の自動焦点制御ユニット。
【請求項9】
倍率の異なる複数の対物レンズから選択された一つの対物レンズを介して試料にレーザ光を照射する第1の発光素子と、
複数の受光素子が相隣接して配列され、上記複数の受光素子の一部で上記試料からの反射光を受光するラインセンサと、
上記複数の受光素子の他の一部にレーザ光を照射する第2の発光素子と、
上記第2の発光素子から照射されるレーザ光の上記ラインセンサに対する照射領域が上記複数の受光素子に亘って順次拡大するように横切るスリット部材と、
上記ラインセンサを反射光の光軸に対して上記複数の受光素子の配列方向に相対的に移動させる移動機構と、
選択された上記対物レンズの上記試料に対する焦点合わせがされた状態における、上記第2の発光素子から出射されたレーザ光に照射されている上記複数の受光素子及び該複数の受光素子の受光光量を上記選択された対物レンズに対応づけて登録し、再度上記対物レンズを用いる際に、上記登録値を基に、上記ラインセンサの位置を制御する制御部とを備えた自動焦点制御ユニット
を有する電子機器。
【請求項10】
選択可能に設けられた倍率の異なる複数の対物レンズ毎に、第1の発光素子から照射されたレーザ光が試料に焦点を結ぶラインセンサの基準位置において、上記ラインセンサの一端側に設けられ、上記試料からの反射光が入射する複数の受光素子と、上記ラインセンサの他端側に設けられ、第2の発光素子から照射されたレーザ光の受光領域がスリット部材を介して漸次拡大された複数の受光素子とを基準素子として登録するとともに、上記ラインセンサの他端側に設けられた基準素子の受光光量を基準信号として登録する工程と、
選択された上記対物レンズに応じて、上記基準素子及び上記基準信号に基づいて、上記ラインセンサを上記基準位置に移動させる工程と、
上記基準位置に移動された上記ラインセンサの一端側に設けられた上記基準素子に、上記選択された対物レンズを介して上記試料に照射されたレーザ光の反射光が、等量入射するように、上記対物レンズ又は上記試料を上記対物レンズの光軸方向に移動させる工程とを有する自動焦点制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−258177(P2009−258177A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−103984(P2008−103984)
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】