説明

自動組立装置

【課題】搬送中のワークに部品を組み付けることのできる自動組立装置を提供する。
【解決手段】ワーク12を水平方向に搬送する搬送手段30、31と、搬送手段30、31で搬送されているワーク12の上方へ被挿入部品13を供給する供給手段40、41と、搬送手段30、31で搬送されているワーク12および供給手段40、41で供給された被挿入部品13のうち少なくとも一方を上下方向に移動させる上下駆動手段33とを備え、供給手段40、41は、被挿入部品13をワーク12の搬送方向に取り出すことのできるように開放された開放部413を有し、搬送手段30、31でワーク12を水平方向に搬送しながら上下駆動手段33でワーク12を被挿入部品13に挿入させることで、ワーク12で被挿入部品13を引っ掛けて開放部413から引き出し、開放部413から引き出された被挿入部品13をワーク12に自重落下させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークに部品を組み付ける自動組立装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の自動組立装置は、一般的に、(1)ワーク搬送、(2)ワーク停止、(3)ワーク位置決め、(4)部品組立および(5)ワーク位置決め解除を一連の動作として行うようになっている。
【0003】
このような自動組立装置では、一般的に、ピックアンドプレースユニットが用いられている。具体的には、ピックアンドプレースユニットは、部品供給装置で供給された部品をつまみ上げて、位置決めされたワークの上に運んで下ろすことで、ワークと部品とを組み立てる。
【0004】
また、特許文献1に記載の自動組立装置(ワッシャー組付装置)では、定位置に位置決めされたワーク(フライホイールシャフト)に、部品(ワッシャ)を下方から組み付けるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭59−17130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術では、上記(1)〜(5)の各動作が順次行われるので、サイクルタイムを短縮して生産性を向上しようとすれば、各動作時間を短縮する必要がある。しかしながら、各動作時間の短縮は、振動、応答性、耐久性等の面で限界があり、故障の増加や組立信頼性の低下等が懸念されるため、サイクルタイムの大幅な短縮は困難である。
【0007】
本発明は上記点に鑑みて、搬送中のワークに部品を組み付けることのできる自動組立装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、ワーク(12)を水平方向に搬送する搬送手段(30、31)と、
搬送手段(30、31)で搬送されているワーク(12)の上方へ被挿入部品(13)を供給する供給手段(40、41)と、
搬送手段(30、31)で搬送されているワーク(12)および供給手段(40、41)で供給された被挿入部品(13)のうち少なくとも一方を上下方向に移動させる上下駆動手段(33)とを備え、
供給手段(40、41)は、被挿入部品(13)を水平方向に取り出すことのできるように開放された開放部(413)を有し、
搬送手段(30、31)でワーク(12)を水平方向に搬送しながら上下駆動手段(33)でワーク(12)を被挿入部品(13)に挿入させることで、ワーク(12)で被挿入部品(13)を引っ掛けて開放部(413)から引き出し、開放部(413)から引き出された被挿入部品(13)をワーク(12)に自重落下させることを特徴とする。
【0009】
これによると、ワーク(12)を被挿入部品(13)に引っ掛けて引き出すことで被挿入部品(13)を自重落下させるので、搬送中のワーク(12)に被挿入部品(13)を組み付けることができる。
【0010】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、供給手段(40、41)で供給された被挿入部品(13)を位置決めする位置決め機構(43)を備え、
位置決め機構(43)は、被挿入部品(13)にワーク(12)が引っ掛けられた状態になると被挿入部品(13)の位置決めを解除するように構成されていることを特徴とする。
【0011】
これにより、ワーク(12)による被挿入部品(13)の引っ掛け・引き出しを確実に行うことができる。
【0012】
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の発明において、ワーク(12)は、被挿入部品(13)に挿入される部位の断面形状が円形になっており、
被挿入部品(13)は、ワーク(12)が挿入される円形孔を有する板状の部品であり、
ワーク(12)が被挿入部品(13)の円形孔から上方へ突き出す長さL、および被挿入部品(13)に対するワーク(12)の相対的な移動方向と水平面とがなす角度θは、下記数式(1)の関係を満たしていることを特徴とする。
【0013】
t+L≦(A−d)tanθ … (1)
但し、tは被挿入部品(13)の厚み、dはワーク(12)のうち被挿入部品(13)に挿入される部位の外径、Aは被挿入部品(13)の円形孔の内径である。
【0014】
これにより、ワーク(12)による被挿入部品(13)の引っ掛け・引き出しをスムーズに行うことができる。
【0015】
請求項4に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の発明において、上下駆動手段(33)は、搬送手段(30、31)による水平方向の運動を上下方向の運動に変換するカム機構で構成されていることを特徴とする。
【0016】
これにより、上下駆動手段(33)の構成を簡素化できる。
【0017】
以上では、本発明を自動組立装置の発明として把握した場合について説明したが、本発明を自動組立方法の発明として把握することも可能である。
【0018】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】スパークプラグの断面図である。
【図2】一実施形態における自動組立装置の二面図である。
【図3】一実施形態における自動組立装置の上下駆動機構およびその周辺部を示す正面図である。
【図4】一実施形態における自動組立装置のエスケープ部を示す平面図および断面図である。
【図5】一実施形態における自動組立装置において、パッキンの孔に碍子の先端部が入り込む過程を示す斜視図である。
【図6】一実施形態における自動組立装置において、碍子によるパッキンの引っ掛け・引き出し時の作動を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、一実施形態を説明する。本実施形態の自動組立装置は、スパークプラグの組立工程に用いられるものである。
【0021】
まず、本実施形態の組立対象物であるスパークプラグを説明する。スパークプラグは、エンジン(内燃機関)のシリンダー内で、火花を飛ばし燃料に点火する部品であり、エンジンの燃焼室を区画形成するエンジンヘッド(図示せず)に設けられたネジ穴に挿入されて固定されるようになっている。
【0022】
図1は、スパークプラグの断面図である。スパークプラグは、導電性の鉄鋼材料(例えば低炭素鋼等)等よりなる筒形状のハウジング10を有しており、このハウジング10の外周面には、スパークプラグをエンジンブロック(図示せず)に固定するためのネジ部101が設けられている。
【0023】
ハウジング10の外周面には、ガスケット11が組み付けられている。ガスケット11は、ハウジングとエンジンブロックとを密着させ、燃焼室の気密性を保つ役割を果たす。
【0024】
ハウジング10の内部には、アルミナセラミック(Al2O3)等の電気絶縁体からなる筒形状の碍子12が収納されて固定されている。碍子12の一端側(図1では上端側)の部位は、ハウジング10から突出した突出部121を構成している。
【0025】
碍子12の残余の部位は、断面外形が円形の大外径部122、中外径部123および小外径部124で構成されている。大外径部122、中外径部123および小外径部124は、碍子12の一端側から他端側に向かってこの順番に配置されている。
【0026】
大外径部122は、突出部121よりも外径が大きくなっている。碍子12のうち大外径部122と突出部121との間に形成される段差部は、ハウジング10の一端部(図1では上端部)に形成されたかしめ部102と係合している。小外径部124と中外径部123との間に形成された段差部は、ハウジング10の内周面に形成された段差部と係合している。これら2箇所での係合によって、碍子12がハウジング10に固定されている。
【0027】
碍子12とハウジング10との係合部には、円環形状のパッキン13(パッキング・ワッシャ)およびリング14が配置されている。パッキン13およびリング14は、碍子12とハウジング10とを密着させ、気密性を維持する役割を果たすものである。
【0028】
パッキン13は、碍子12のうち小外径部124と中外径部123との間の段差部に配置され、リング14は、碍子12のうち大外径部122と突出部121との間の段差部に配置されている。
【0029】
碍子12の軸孔125には中心電極15が固定されている。中心電極15は、碍子12によってハウジング10に対して絶縁保持されている。
【0030】
中心電極15は、内材が例えばCu等の熱伝導性に優れた金属材料により構成され、外材がNi基合金等の耐熱性および耐食性に優れた金属材料により構成された円柱体からなる。この中心電極15の一端部(図1では下端部)には、火花放電部材としての貴金属チップ16がレーザ溶接や抵抗溶接等によって接合されている。
【0031】
ハウジング10のうち貴金属チップ16側の端部(図1では下端部)には接地電極17が接合されている。接地電極17は、Niを主成分とするNi基合金からなるもので、略90°屈曲した形状を有し、その一端部(図1では上端部)がハウジング10に溶接され、他端部(図1では下端部)が貴金属チップ16と所定の空隙を有して離隔している。
【0032】
ハウジング10および接地電極17には、エンジン本体を通じて電流が流れるようになっている。
【0033】
碍子12の軸孔125内において、中心電極15の他端側(図1では上端側)には、第1ガラスシール層18、レジスタ19、第2ガラスシール層20およびステム21が配置されている。
【0034】
ステム21は金属製であり、その一端部(図1では上端部)に端子部211が設けられている。端子部211は、碍子12の他端部から突出して露出しており、点火コイル(図示せず)のブーツ部が装着されるようになっている。
【0035】
レジスタ19は、所定の電気抵抗値を有する抵抗体であり、炭素粉末を混合したガラスを主成分とする粉末状の抵抗材を焼き固めて(焼結して)形成されたものである。このレジスタ19の長手方向両端側に導電性ガラスからなる第1、第2ガラスシール層18、20が配置されることにより、中心電極15側(燃焼室内)と端子部211側(燃焼室外)とが連通してしまうことを防止している。
【0036】
レジスタ19と円柱状のステム21との間に第2ガラスシール層20が配置されることにより、レジスタ19と円柱状のステム21とを電気的に接続している。
【0037】
上記構成を有するスパークプラグによれば、中心電極15と接地電極17との間で電気火花(スパーク)を発生させることができる。
【0038】
次に、スパークプラグの組立手順のうち、ハウジング10、碍子12、パッキン13およびリング14の組立手順を説明する。
【0039】
まず、碍子12にパッキン13を嵌める。具体的には、碍子12の一端部(貴金属チップ16側の端部)からパッキン13を嵌めて、碍子12の段差部(小外径部124と中外径部123との間の段差部)にパッキン13を載せる。
【0040】
次いで碍子12にハウジング10を被せる。具体的には、かしめ部102がまだかしめ加工されていないハウジング10を、碍子12の一端部(貴金属チップ16側の端部)から被せ、パッキン13を碍子12とハウジング10との間に挟み込む。
【0041】
次いで、碍子12にリング14を嵌める。具体的には、碍子12の他端部(突出部121側の端部)からリング14を嵌めて、碍子12の段差部(大外径部122と突出部121との間の段差部)にリング14を載せる。
【0042】
次いで、ハウジング10にかしめ部102をかしめ加工して、パッキン13を碍子12とハウジング10のかしめ部102との間に挟み込む。これにより、碍子12がハウジング10に固定される。
【0043】
次に、碍子12(ワーク)とパッキン13(被挿入部品)とを組み立てる自動組立装置を説明する。図2は、本実施形態の自動組立装置を示す二面図である。図2(a)は平面図であり、図2(b)は側面図である。図2(b)の上下方向は、自動組立装置の設置状態における上下方向(鉛直方向)を示している。
【0044】
自動組立装置は、碍子12を搬送する搬送手段として、ワークチャック部30と駆動部31とを有している。
【0045】
ワークチャック部30は、ベース32上に多数個配置されており、碍子12を把持する本体部301と、ベース32によって水平方向に移動可能に支持される水平移動部302とを有している。水平移動部302は、本体部301を上下方向に移動可能に支持している。
【0046】
駆動部31は、ベース32と平行に延びるシャフト311と、シャフト311を回転駆動するモータ312と、シャフト311とモータ312の回転軸とを連結するベルト313とを有している。
【0047】
シャフト311には、螺旋状のリード311aが設けられている。リード311aは、ワークチャック部30の水平移動部302に形成された溝302aと噛み合うようになっている。シャフト311の回転によって、ワークチャック部30の水平移動部302がベース32上を水平方向に移動する。ワークチャック部30の水平移動部302がベース32上を水平方向に移動することで、ワークチャック部30の本体部301も水平移動部302とともに水平方向に移動する。
【0048】
ワークチャック部30の本体部301は、碍子12の軸が上下方向と平行になり、碍子12の貴金属チップ16側の端部が上方になるように碍子12を把持する。
【0049】
本体部301は、カム機構33(上下駆動手段)によって上下方向に駆動されるようになっている。図3に示すように、カム機構33は、カム溝331が形成されたカム溝形成部材332と、カム溝331に配置されたカムフォロア333とを有しており、本体部301の水平方向の運動を上下方向の運動に変換する。カムフォロア333は、ステー部材334を介してワークチャック部30に連結されている。
【0050】
図3は、1つの本体部301が時間の経過と共に移動していく様子を示している。シャフト311の回転によって水平移動部302および本体部301が水平方向に移動すると、カムフォロア333がカム溝331の側壁によって上下方向に押圧されることによって本体部301が上下方向に移動する。
【0051】
なお、カム機構33の代わりにアクチュエータ等の手段を用いて本体部301を上下方向に駆動するようにしてもよい。
【0052】
図2に示すように、自動組立装置は、パッキン13を供給する供給手段として、パーツフィーダ40とエスケープ部41とを有している。
【0053】
パーツフィーダ40は、パッキン13をエスケープ部41に供給する。エスケープ部41は、パーツフィーダ40から供給されたパッキン13を1つずつ分離するものであり、ワークチャック部30の上方に配置されている。パッキン13を1つずつ分離する機構としては、種々のエスケープ機構を用いることができる。
【0054】
パーツフィーダ40およびエスケープ部41の作動は、図示しない制御装置(制御手段)によって制御されるようになっている。
【0055】
図4は、エスケープ部41の平面図および断面図である。エスケープ部41は、受け面411とガイド壁412とを有している。
【0056】
受け面411は、パッキン13を下方側から受ける。ガイド壁412は、パッキン13を側方から規制する。これにより、エスケープ部41では、パッキン13の軸が上下方向と平行になる。本例では、パッキン13の滑りを良くするために、受け面411の中央に凹んだ逃がし形状が設けられている。
【0057】
エスケープ部41の最先端部には、水平方向に開放された開放部413が設けられている。これにより、エスケープ部41からパッキン13を、開放部413を通じて水平方向に取り出すことができる。
【0058】
エスケープ部41の先端部には、パッキン13の孔と重合する切り欠き414が設けられている。これにより、ワークチャック部30の本体部301が上昇したときに、本体部301に把持された碍子12の先端をパッキン13の孔に挿入させることができる。
【0059】
エスケープ部41の先端部には、パッキン13を位置決めする位置決め機構43が設けられている。位置決め機構43は、位置決め部材431と弾性部材432(付勢手段)とを有している。位置決め部材431は、弾性部材432の弾性力によって、パッキン13を供給方向と反対側に付勢する。なお、弾性部材432の代わりにアクチュエータ等の手段を用いて位置決め部材431を付勢するようにしてもよい。
【0060】
次に、上記構成における作動(自動組立方法)を説明する。モータ312を回転させると、シャフト311のリード311aによって、多数個のワークチャック部30が等ピッチで水平方向に移動する。したがって、ワークチャック部30に把持された碍子12が水平方向に連続搬送される。
【0061】
このとき、ワークチャック部30の本体部301はカム溝331にならって上下方向に移動する。したがって、ワークチャック部30の本体部301に把持された碍子12も、カム溝331にならって上下方向に移動する。
【0062】
碍子12がカム溝331にならって上昇することで、位置決め部材431によって位置決めされたパッキン13の孔(円形孔)に碍子12の先端部(具体的には小外径部124)が入り込む(挿入される)。図5は、パッキン13の孔に碍子12の先端部が入り込む過程を示す斜視図である。なお、図5では、ワークチャック部30やエスケープ部41等の図示を省略している。
【0063】
碍子12がさらに水平方向に搬送されることで、碍子12の先端部がパッキン13に引っ掛かるので、パッキン13が位置決め機構43の弾性付勢力に抗してエスケープ部41の開放部413から引き出され、自重で落下する。これにより、パッキン13が碍子12の段差部(小外径部124と中外径部123との間の段差部)に載って、碍子12とパッキン13との組み立てが完了する。
【0064】
そして、次のワークチャック部30および碍子12がエスケープ部41の先端部の真下にくるまでに、次のパッキン13がエスケープ部41の先端部に供給される。
【0065】
以上の動作を繰り返すことで、碍子12の水平方向搬送を停止させることなく、碍子12とパッキン13との組立を連続的に行うことができる。
【0066】
図6は、碍子12によるパッキン13の引っ掛け・引き出し時の作動を模式的に示す図である。図6では、パッキン13に挿入される前の碍子12を実線で示し、パッキン13に挿入されて引っ掛かった碍子12を二点鎖線で示している。
【0067】
突き出し長さL(碍子12がパッキン13の上面から突き出す長さ)、および上昇角θ(碍子12の移動方向と水平面とがなす角度)は、下記数式(1)の関係を満たしているのが好ましい。碍子12によるパッキン13の引っ掛け・引き出しがスムーズに行われるようになるからである。
【0068】
t+L≦(A−d)tanθ … (1)
但し、tはパッキン13の厚み、dは碍子12のうちパッキン13に挿入される部分(断面外形が円形の部分)の外径、Aはパッキン13の内径(円形孔の内径)である。突き出し量Lは0.5t以上が好ましい。引っ掛けが確実になるからである。
【0069】
本例では、カム機構33の構造上、上昇角θは35°程度が上限値となる。碍子12を上下方向に駆動する手段としてカム機構33の代わりにアクチュエータが用いられている場合には、上昇角θの上限値を35°よりも大きくすることが可能である。
【0070】
本実施形態によると、碍子12を停止させることなく搬送したままでパッキン13の組み付けを行うことができるので、組立高速化と組立信頼性という相反する要件を両立することができる。
【0071】
すなわち、上記従来技術における(1)ワーク搬送、(2)ワーク停止、(3)ワーク位置決め、(4)部品組立および(5)ワーク位置決め解除という一連の動作のうち(2)ワーク停止、(3)ワーク位置決めおよび(5)ワーク位置決め解除が不要となり、さらに(4)部品組立を(1)ワーク搬送と同時に行うことができるので、(1)ワーク搬送および(4)部品組立の各動作時間が従来と同等であってもサイクルタイムを短縮することができる。
【0072】
さらに、碍子12をパッキン13に引っ掛けて引き出すことでパッキン13を自重落下させて碍子12に組み付けるので、碍子12の搬送に同期したパッキン13の送り機構を設ける場合と比較して自動組立装置の構成を簡素化することができる。
【0073】
(他の実施形態)
なお、上記実施形態では、碍子12を上下方向に移動させているが、碍子12を上下方向に移動させず、パッキン13を上下方向に移動させるようにしてもよい。その場合、上記数式(1)における上昇角θは、パッキン13に対する碍子12の相対的な移動方向と水平面とがなす角度と定義すればよい。
【0074】
また、上記実施形態では、碍子12とパッキン13とを組み立てる自動組立装置に本発明を適用しているが、碍子12とリング14とを組み立てる自動組立装置にも本発明を適用可能である。
【0075】
さらに、スパークプラグの組み立てに限定されるものではなく、種々のワークと被挿入部品とを組み立てる自動組立装置に本発明を広く適用可能である。なお、ワークのうち被挿入部品に挿入される部位の断面外形は円形に限定されるものではなく、被挿入部品の孔(ワークが挿入される孔)は円形孔に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0076】
12 碍子(ワーク)
13 パッキン(被挿入部品)
30 ワークチャック部(搬送手段)
31 駆動部(搬送手段)
33 カム機構(上下駆動手段)
40 パーツフィーダ(供給手段)
41 エスケープ部(供給手段)
43 位置決め機構
413 開放部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワーク(12)を水平方向に搬送する搬送手段(30、31)と、
前記搬送手段(30、31)で搬送されている前記ワーク(12)の上方へ被挿入部品(13)を供給する供給手段(40、41)と、
前記搬送手段(30、31)で搬送されている前記ワーク(12)および前記供給手段(40、41)で供給された前記被挿入部品(13)のうち少なくとも一方を上下方向に移動させる上下駆動手段(33)とを備え、
前記供給手段(40、41)は、前記被挿入部品(13)を水平方向に取り出すことのできるように開放された開放部(413)を有し、
前記搬送手段(30、31)で前記ワーク(12)を水平方向に搬送しながら前記上下駆動手段(33)で前記ワーク(12)を前記被挿入部品(13)に挿入させることで、前記ワーク(12)で前記被挿入部品(13)を引っ掛けて前記開放部(413)から引き出し、前記開放部(413)から引き出された前記被挿入部品(13)を前記ワーク(12)に自重落下させることを特徴とする自動組立装置。
【請求項2】
前記供給手段(40、41)で供給された前記被挿入部品(13)を位置決めする位置決め機構(43)を備え、
前記位置決め機構(43)は、前記被挿入部品(13)に前記ワーク(12)が引っ掛けられた状態になると前記被挿入部品(13)の位置決めを解除するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の自動組立装置。
【請求項3】
前記ワーク(12)が前記被挿入部品(13)から上方へ突き出す長さL、および前記被挿入部品(13)に対する前記ワーク(12)の相対的な移動方向と水平面とがなす角度θは、下記数式(1)の関係を満たしていることを特徴とする請求項1または2に記載の自動組立装置。
t+L≦(A−d)tanθ … (1)
但し、tは前記被挿入部品(13)の厚み、dは前記ワーク(12)のうち前記被挿入部品(13)に挿入される部位の外径、Aは前記被挿入部品(13)の内径である。
【請求項4】
前記上下駆動手段(33)は、前記搬送手段(30、31)による水平方向の運動を上下方向の運動に変換するカム機構で構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の自動組立装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−250315(P2012−250315A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124369(P2011−124369)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】