説明

自動袋詰め包装における脱気方法及びガス置換方法

【課題】ガゼット部をグリッパで挟持し、グリッパを離間させて袋口を緊張させたときにガゼット部がゆがむのを防止し、袋内に袋外部に通じる隙間が形成されるのを防止できる脱気方法及びガス置換方法を提供する。
【解決手段】グリッパ27は包装袋11のガゼット部12の折込部頂部13を横切って該頂部の両側を所望の範囲に亘って挟持し、ノズル31を下降させて袋口15に挿入し、その間スチームを吹き出して袋内を脱気、置換し、その後ノズルを引き出し、次いでグリッパ25,27を遠ざけて袋口を緊張させて閉じ、その状態で熱板で袋口をシールする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、自動袋詰め包装における脱記方法及びガス置換方法に関する。さらに詳細に言えば、ガセット付き包装袋のガゼット部をグリッパで挟持して行う自動袋詰め包装における脱記方法及びガス置換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動袋詰め包装に使用する包装袋の一つとして、底部或は側部に折込部を備えたいわゆるガゼット付きといわれるものがある。このようなガゼット付き包装袋は、充填するための内部容積を大きく確保できる一方で、空き袋状態では小さいスペースで済み、保管、搬送などの点で便宜である。そして充填物の充填などの作業を行うには、例えば実公平7−18571に示されるように、ガゼット部が拡がれるように各ガゼット部の二つの縁部をそれぞれ別個の二つのグリッパで掴んで行うのが一般的である。
特開昭49−103788号では、従前内容物の充填後に袋口にミシン掛けをするに際し手作業で袋口のガゼット部の折込部を内側に折込むようにしていた手間を省くために、充填時に袋口ガゼット部を折込んだ状態に保持する固定具を使用した粉粒体の包装方法及び装置が開示されている。
【0003】
【特許文献1】実公平7−18571号公報
【特許文献2】特開昭49−103788号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで包装袋の中には、例えば病人用の流動食を包装する包装袋のように、使用時に水などを注入して事前に充填されていた充填物と混合してから使用するものがある。この包装袋の場合、充填物を充填する際には使用時に必要とされる容積より小さい容積であってもよく、充填物を充填可能である限りガゼット部を挟持していても差し支えない。
【0005】
また、底部にガゼット部を備え、上部角部にスパウトを備え、事実上ガゼット部を下側にした状態では両側部をグリッパで挟持することができず、袋を横向きにしてガゼット部を挟持しなければならない包装袋もある。
【0006】
ところで、袋詰め包装機で食品などの自動包装を行う場合、グリッパで挟持する両側縁部の幅はサイドシールの幅に略等しい10mm位に設定されているのが普通である。本願の発明者がガゼット付き包装袋をそのガゼット部を挟持して自動包装をする場合について精査したところ、その脱気或はガス置換工程において次のような問題点が見出された。これを図1を参照して説明すると、図は包装袋1に充填物を充填し、脱気或はガス置換した後にグリッパ2(2)を離間させて袋口1aすなわち未シール部分を緊張させた状態であり、ガゼット部1b及びそのガゼット1b部を挟持している側のグリッパ2のみを示した部分平面断面図(イ)及び正面図(ロ)である。
【0007】
この場合、図からわかるとおり、グリッパ2(2)がガゼット部1bをその全幅に亘って挟持していないために、グリッパ2(2)が離間したときにガゼット部1bがゆがんで、正面図(ロ)に二点鎖線で示すように、折込部頂部1cに沿って袋口1aへ延び、それから両グリッパで挟持している部分をつなぐようにして、袋内に隙間が形成され、そこが通路1dとなって空気の流入或は置換ガスの流出が生じることが判明した。病人用流動食などの場合、きわめて高い脱気或はガス置換精度が要求され、脱気不良或はガス置換不良は食品の変質の原因となり、重大な問題となる。
【0008】
本願発明は上記従来例の問題点に鑑みなされたものであり、ガゼット部をグリッパで挟持した場合でも、グリッパを離間させて袋口を緊張させたときにガゼット部がゆがむのを防止し、それにより前記したような袋外部に通じる隙間が形成されるのを防止し、空気の流入或は置換ガスの流出を防止できる脱気方法及びガス置換方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本願発明に係る脱気方法及びガス置換方法においては、ガゼット部側を挟持するグリッパは、ガゼットの折込部の頂部を横切ってこの折込部の頂部の両側を所望の範囲に亘って包装袋を挟持することとした。そして、この方法は、開口された袋口からノズルを挿入する工程と、該ノズルを介して包装袋内を脱気あるいはガス置換する工程と、ノズルを袋口から抜出す工程と、グリッパを離間して袋口を緊張させる工程と、袋口を緊張させた状態で袋口をシールする工程とを含んで構成されるようにした。
ある実施の形態では、ノズルの袋口に挿入される挿入部は、円筒形状の弾性材料で作られている。この場合、挿入後に袋口を適宜に緊張させることにより挿入部を袋口の形状に対応した形に変形させ、挿入部外周と袋口との間の隙間を小さくできる。
ある実施の形態では、使用されるガゼット付き包装袋は、底部がガゼット部である自立型包装袋であり、このガゼット部をグリッパで挟持して上記の脱気方法及びガス置換方法が実施される。
さらに他の実施の形態では、使用する包装袋は、上側角部にスパウトを備えて。
【発明の効果】
【0010】
上記のとおり本願発明においては、ガゼット部の折込部の頂部を横切って該頂部の両側を所望の範囲でグリッパで挟持するようにしたので、両側からグリッパで挟持して引っ張ってもガゼット部にゆがみが生じない。したがって折込部の頂部に沿って隙間が生じることはなく、袋口がよく密着して、外部からの空気の流入或は内部の置換ガスが流出することがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下図面を参照して本発明の実施の形態について説明するが、以下の実施の形態は例示的に示すものであり、本願発明の範囲がそれに限定されるものではない。
【0012】
図2は本願発明の具体的実施の形態で使用する、下側にガゼット部12を備えた包装袋11の正面図で、ガゼット部12は頂部13まで折り込まれ、図中でハッチングを施した部分はシールされている。この包装袋11は病人用の流動食を包装するための包装袋であり、その上部両側角部に使用前に水を補充するためのスパウト19と、使用時に流動食の出口となるスパウト20とが取付けられている。図から判るとおり、上部両側角部にスパウト19、20があるので、ガゼット部12を下側にしたままの状態で両側部14、16をグリッパで挟持しようとすると、高さ方向で略中央部を挟持することとなり、袋11の姿勢が安定せず、各工程での処理が略不可能となる。
【0013】
そこで本実施の形態では図3に示すように、包装袋11を図2の状態から反時計方向90度回転させた状態でグリッパ25、27で挟持することとした。すなわち一方のグリッパ27でガゼット部12側を、そして反対側縁部17をグリッパ25で挟持し、そのとき上側となる縁部14に充填物を充填するためのシールをしてない袋口15を形成してある。図から判るとおり、図中左側のグリッパ25は従来と同じように縁部17のシールしてある範囲内で袋11を挟持しているが、右側のグリッパ27は、ガゼット部12の幅方向途中から折込部分12aの頂部13を少し超えた位置までの範囲で袋を挟持している。これについては再度後述することとして、先にスチーム脱気すなわち充填物充填後にスチームを包装袋11内へ吹き込んで袋11内の空気を排気する例によって本実施の形態の脱気工程を説明する。
【0014】
図4は袋11への充填物の充填が済み、袋11が脱気工程へ移動してきた待機状態を模式的に表した図で、(イ)は平面断面図、(ロ)は正面図である。なお、平面図(イ)では正面図(ロ)に示したスチーム供給装置30のスチーム供給源36などの図示は省略し、ノズル31のみを図示してある。なお、図5及び6においては正面図でもノズル31のみを図示してある。
【0015】
図において、符号30はスチームを供給するためのスチーム供給装置であり、符号31はスチームを吹き出すためのノズルである。ノズル31の上部32は略円形断面をしているが、袋11内へ挿入される挿入部33は断面が袋11の幅方向に長い楕円形をしている。符号36はスチーム供給源であり、ここから配管37を通して送られるスチームは配管37の途中に設けられた減圧弁38で減圧された後にノズルに送られて吹き出されるようになっている。配管37には減圧弁38の先でヒータ39が取付けられている。これはスチームが減圧弁38で減圧された際にドレンが発生するのを防止するために加熱するものである。符号40はノズル31の手前で配管に設けられた温度センサーで、供給されるスチームの温度を測定するものであり、制御装置41に信号を送り、制御装置41はその信号に基づいてヒータ39を制御する。
【0016】
スチーム供給装置30は以下のようにスチームの供給を行う。先ず供給源36からスチームの供給をするが、本実施の形態ではその際に供給源に設けた減圧弁その他適宜手段(図示せず)で減圧して例えばば0.1から0.5MPaの範囲に安定させて供給する。そして減圧により生じたドレンをこれも図示しない適宜手段で除去し、この状態で減圧弁38に送り、0.01から0.05MPaに減圧する。そしてこの減圧の際に生じるドレンをヒータ39で加熱することにより除去する。ヒータは本実施の形態では100℃以上に加熱するように制御される。このようにドレンを除去され、100℃以上に過熱されたスチームがノズル31から吹き出されることとなる。
【0017】
袋11が図4のように脱気工程へ送られてくると、ノズル31が図の待機位置から降下を開始し、同時にスチームの吹き出しを開始する。このとき両側のグリッパ25,27は所定の距離だけ近づいた状態にあり、袋口15は開いている。したがってノズル31が下がるにつれてスチームが袋内へ吹き込まれ、その分空気が排出される。そして図5に示すように所定の長さだけノズル31の挿入部33が袋口15内へ挿入されてさらに所定の時間だけスチームが吹き込まれる。この際、図ではグリッパ25,27は図4と同じ位置に留まっているが、若干互いに遠ざかり、袋口15を狭め、ノズル31の挿入部33の外周との間の隙間を小さくするようにしてもよい。袋口15が大きく開いていると、袋11内の空気が排出される一方で、外から袋11内へ空気が流れ込む可能性もあるが、袋口15を狭めることにより、外から空気が流入するのを防止でき、脱気時間の短縮化が図れる。また、ノズル31の挿入部33の断面形状の楕円形は、長径が袋口15の幅の15から50%の長さ、短径は3から10mmとするのが望ましいことが判明した。
【0018】
所定時間のスチーム吹込みが行なわれるとノズル31が上昇を開始し、袋口から脱するのにタイミングを合わせてグリッパ25、27がお互いに遠ざかり、袋口15を緊張させる。ノズル31が袋口11から抜き出されるとスチームの吹き出しは停止され、ノズル31はそのまま待機位置へ戻る。これが図6に示された状態である。次いで袋11は袋口15の緊張状態を維持したまま、図7に示すシール工程へ移送され、公知の熱板51,52を用いて袋口15がシールされる。
【0019】
図8を用いて本実施の形態で袋口を緊張させたときの状態を説明する。図8は従来例での図1に対応する図である。図に示すように、グリッパ27がガゼット部12の折込部12aの途中からその頂部13を越えて袋11を挟持しているので、グリッパ25,27が互いに遠ざかって包装袋11を引っ張って袋口15を緊張させてもガゼット部12はゆがむことがない。そのため従来例のように袋11内に隙間が生じることがなく、内部のスチームが漏れたり或は外から空気が入り込むことはない。なお、図8においてガゼット部12の折込頂部13の左側において包装袋11の両側のシート11a、11bが僅かに離れた状態で描いてあるが、これは両側のシート11a、11bを示すためであり、実際にはシート間に隙間はない。通常グリッパの両側の挟持爪の先端の挟持部には図8に示すように挟持部27a、27bの向かい合う内面側にはゴムなどの弾性体27c、27dが貼り付けられているので、グリッパ27で挟持すると弾性体27c、27dには折込部頂部13の位置で段差が生じた状態となって、二枚のシート11a、11bの部分も完全に密着する。
【0020】
上記の実施の形態では、ノズル31は全体を金属で作ってあるが、挿入部33の部分を例えばゴムなどの弾性体で作ってもよい。この場合挿入部の断面は先の例と異なり、円形とすることができる。そして袋内へ挿入後に袋口を緊張させることにより挿入部を楕円形に変形させ、それにより袋口とノズルの外周との間の隙間を小さくすることが可能となる。このノズルの実施の形態では、ノズルの吹き出し口の袋の幅方向寸法が同じである場合、先の例のものより有効面積が大きくなって袋内の空気とスチームとの置換が効果的に行なうことができ、さらに下降時において袋口の全円周方向において均一にスチームを吹き出すことができるので空気の袋内への逆流入を効果的に防止でき、さらに置換作業の効率化を図れる。
【0021】
また、上記の実施の形態はスチーム脱気の例であり、高温のノズルに袋口が接触するのを避けるために、ノズル31が袋口から抜取られたときにタイミングを合わせて袋口を緊張させるようにしているが、例えば吸引ノズルによる脱気、或は不活性ガス吹込みノズルによるガス置換を行なう際には、袋口を緊張させた状態でノズルを抜取るようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】従来方法でガゼット部を挟持して袋口を緊張させたときの状態を示す図で、(イ)は平面断面図、(ロ)は正面図である。
【図2】本発明の実施に形態で使用する包装袋の一例を示す正面図である。
【図3】包装袋をガゼット部とそれと反対側の縁部をグリッパで挟持した状態を示す図である。
【図4】スチーム脱気を行う際の待機状態を示す図で、(イ)は平面断面図、(ロ)は正面図である。
【図5】ノズルの挿入部が袋口に挿入された状態を示す図で、(イ)は平面断面図、(ロ)は正面図である。
【図6】ノズルの挿入部が袋口から抜出された状態を示す図で、(イ)は平面断面図、(ロ)は正面図である。
【図7】袋口をシールする状態を示す図で、(イ)は平面断面図、(ロ)は正面図である。
【図8】本実施の形態で袋口を緊張させたときの状態を示す図で、従来例の図1に対応する図である。
【符号の説明】
【0023】
11:包装袋 12:ガゼット部 12a:折込部 13:頂部 15:袋口 19、20:スパウト 25、27:グリッパ 30:スチーム供給装置 31:ノズル 33:挿入部 36:スチーム供給源 38:減圧弁 39:ヒータ 40:温度センサ 51、52:熱板


【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を充填するための袋口を上側にして両側部を一対のグリッパで保持したときに、少なくとも一方の側部がガゼット部となる包装袋を使用する袋詰め包装における脱気方法及びガス置換方法において、前記ガゼット部側を挟持するグリッパは、前記ガゼットの折込部の頂部を横切って該折込部の頂部の両側を所望の範囲に亘って前記包装袋を挟持し、前記脱気方法及びガス置換方法は、
開口された袋口からノズルを挿入する工程と、
該ノズルを介して包装袋内を脱気あるいはガス置換する工程と、
前記ノズルを前記袋口から抜出す工程と、
前記一対のグリッパを離間して前記袋口を緊張させる工程と、
前記袋口を緊張させた状態で前記袋口をシールする工程と
を含むことを特徴とする、袋詰め包装における脱気方法及びガス置換方法。
【請求項2】
前記ノズルの前記袋口に挿入される挿入部は、円筒形状の弾性材料で作られていることを特徴するとする、請求項1記載の袋詰め包装における脱気方法及びガス置換方法。
【請求項3】
前記包装袋は、底部がガゼット部である自立型包装袋であり、前記底部のガゼット部を前記グリッパで挟持して行うことを特徴する、請求項1または2記載の袋詰め包装における脱気方法及びガス置換方法。
【請求項4】
前記包装袋は、該包装袋の上側角部にスパウトを備えていることを特徴とする、請求項3記載の袋詰め包装における脱気方法及びガス置換方法。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−216997(P2007−216997A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−37681(P2006−37681)
【出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【出願人】(000222727)東洋自動機株式会社 (91)
【Fターム(参考)】