説明

自動製パン器

【課題】穀物粒を出発原料としてパンを安全に製造することができる自動製パン器を提供する。
【解決手段】制御装置130は、第1のパン容器が焼成室内の収容位置に収容されているか否かを検知するマイクロスイッチ34と、蓋の開閉を検知する磁気センサ17と、の状態を確認することで、自動製パン器の異常を検知する。特に、穀物粒を粉砕する粉砕工程において異常を検知する。これにより、自動製パン器が、パンを安全に製造することが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として一般家庭で使用される自動製パン器に関する。
【背景技術】
【0002】
市販の家庭用自動製パン器は、パン原料を入れるパン容器をそのまま焼き型としてパンを製造する仕組みのものが一般的である。このような自動製パン器では、まず、パン原料が入れられたパン容器が本体内の焼成室に入れられる。そして、パン容器内のパン原料がパン容器内に設けられる混練ブレードでパン生地に練り上げられる(練り工程)。その後、練り上げられたパン生地を発酵させる発酵工程が行われ、パン容器が焼き型として使用されてパンが焼き上げられる(焼成工程)。
【0003】
このような自動製パン器を用いてパンの製造が行われる場合、これまでは、パン原料として、小麦や米などの穀物を製粉した粉(小麦粉、米粉等)や、そのような製粉した粉に各種の補助原料が混ぜられたミックス粉が必要とされた。しかしながら、一般家庭においては、米粒に代表されるように、粉の形態ではなく粒の形態で穀物が所持されることがある。このために、自動製パン器が穀物粒から直接パンを製造できるように構成されていれば、非常に便利である。このようなことを念頭において、本出願人らは、穀物粒を出発原料としてパンを製造するパンの製造方法を開発している(特許文献1参照)。
【0004】
このパンの製造方法では、まず、穀物粒と液体とが混合され、この混合物の中で粉砕ブレードが回転されて穀物粒が粉砕される(粉砕工程)。そして、粉砕工程を経て得られたペースト状の粉砕粉を含むパン原料が、混練ブレードを用いてパン生地に練り上げられる(練り工程)。その後、練り上げられたパン生地を発酵させる発酵工程が行われ、続いてパンを焼き上げる焼成工程が行われる。
【0005】
ところで、市販の家庭用自動製パン器には、動作中の異常を検知する手段が設けられることがある。例えば、特許文献2〜4には、焼成室内の温度の異常を検知したり、停電を検知したりする検知手段を備えた自動製パン器が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−35476号公報
【特許文献2】特開平11−32920
【特許文献3】特開平6−121744
【特許文献4】特開昭62−5321
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のパンの製造方法を自動製パン器が行うためには、上述した粉砕ブレードやその駆動機構など、特許文献2〜4で提案されている従来の自動製パン器とは異なる構成が必要になる。また、特許文献1のパンの製造方法中の粉砕工程では、粉砕ブレードが高速回転し得るため、安全性に配慮した構成にすることが望まれる。
【0008】
そこで、本発明の目的は、穀物粒を出発原料としてパンを安全に製造することができる自動製パン器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明の自動製パン器は、穀物粒を出発原料としてパンを製造する第1の製造工程を実行し得る自動製パン器であって、異常を検知する異常検知手段が設けられ、前記第1の製造工程中の、穀物粒を粉砕する工程が行われる前及び途中の少なくとも一方で、前記異常検知手段が異常の有無を検知する。
【0010】
穀物粒を出発原料としてパンを製造することができる自動製パン器では、粉砕ブレードが高速回転して穀物粒を粉砕する粉砕工程において、安全性の確保が必要となる。この点、本構成によれば、粉砕工程における異常の有無を検知することができるため、粉砕工程における安全性を確保することができる。
【0011】
上記構成の自動製パン器において、前記第1の製造工程を実行する際に、第1のパン容器が焼成室に収容されるものであり、前記第1のパン容器が前記焼成室内の収容位置に収容されているか否かを検知する第1のパン容器検知手段が、さらに設けられ、前記第1の製造工程中の、穀物粒を粉砕する工程が行われる前及び途中の少なくとも一方で、前記第1のパン容器検知手段が、前記第1のパン容器が前記焼成室内の前記収容位置に収容されていないことを検知する場合に、前記異常検知手段が異常を検知することとしてもよい。本構成によれば、粉砕工程を行う際に、第1のパン容器が焼成室内の収容位置(正しく動作し得る位置)に収容されていなければ、異常検知手段が異常として検知する。そのため、粉砕工程の安全性をより高めることが可能になる。
【0012】
上記構成の自動製パン器において、前記第1の製造工程中の、穀物粒を粉砕する工程が行われる前及び途中の少なくとも一方で、前記異常検知手段が異常を検知するとき、前記第1の製造工程が停止され、前記異常検知手段が、第1時間が経過する前に当該異常を検知しなくなる場合、前記第1の製造工程が再開され、前記異常検知手段が、前記第1時間が経過しても当該異常を検知する場合、前記第1の製造工程が中止されることとしてもよい。本構成によれば、異常検知手段が異常を検知した状態で、第1時間が経過したときに、製造工程を中止することができる。そのため、異常が解消しない場合に無駄に待機することを、抑制することが可能になる。
【0013】
上記構成の自動製パン器において、穀物粉を出発原料に用いる第2の製造工程を実行し得るとともに、当該第2の製造工程を実行する際に、第2のパン容器が焼成室に収容されるものであり、前記第1の製造工程を開始する前に、前記第1のパン容器検知手段が、前記第1のパン容器が前記焼成室内の前記収容位置に収容されていないことを検知する場合、及び、前記第2の製造工程を開始する前に、前記第1のパン容器検知手段が、前記第1のパン容器が前記焼成室内の前記収容位置に収容されていることを検知する場合、の少なくとも一方の場合に、前記異常検知手段が異常を検知することとしてもよい。本構成によれば、例えば、第1のパン容器と第2のパン容器との取り違えや、第1のパン容器が焼成室内の収容位置(正しく動作し得る位置)に収容されていないことを、異常検知手段が異常として検知する。さらに、異常検知手段は、第1の製造工程または第2の製造工程を開始する前に、この異常の有無を検知する。そのため、このような異常な状態で、製造工程が実行されて安全性が害されることを、抑制することが可能になる。
【0014】
上記構成の自動製パン器において、前記第1の製造工程または前記第2の製造工程を開始する前に、前記異常検知手段が異常を検知するとき、前記異常検知手段が、第2時間が経過する前に当該異常を検知しなくなる場合、前記第1の製造工程または前記第2の製造工程が開始され、前記異常検知手段が、前記第2時間が経過しても当該異常を検知する場合、前記第1の製造工程または前記第2の製造工程の実行が取り消されることとしてもよい。本構成によれば、異常検知手段が異常を検知した状態で、第2時間が経過したときに、製造工程を実行せず取り消すことができる。そのため、異常が解消しない場合に無駄に待機することを、抑制することが可能になる。
【0015】
上記構成の自動製パン器において、前記第1のパン容器は、その底壁が前記焼成室の底壁に向けられた状態で前記焼成室内に挿入されることで、前記焼成室内の前記収容位置に収容されるものであり、前記第1のパン容器検知手段が、前記第1のパン容器の側壁から外側に突出する突出部と、少なくとも一部が前記焼成室の側壁から内側に突出するとともに、前記第1のパン容器が挿入される方向に沿って可動する可動部と、前記可動部に押される状態と押されない状態とを検知するスイッチ部と、を備え、前記第1のパン容器が前記焼成室内の前記収容位置に収容されていないとき、前記スイッチ部が前記可動部に押されないことで、前記第1のパン容器検知手段は前記第1のパン容器が前記焼成室内の前記収容位置にないことを検知し、前記第1のパン容器が前記焼成室内の前記収容位置に収容されるとき、前記突出部は前記第1のパン容器が挿入される方向に前記可動部を押し、当該可動部に前記スイッチ部が押されることで、前記第1のパン容器検知手段が前記第1のパン容器が前記焼成室内の前記収容位置に収容されていることを検知することとしてもよい。本構成によれば、簡易な機械的構成によって、第1のパン容器が焼成室内の収容位置に収容されているか否かを確認することが可能になる。
【0016】
上記構成の自動製パン器において、少なくとも前記可動部が設けられる前記焼成室の側壁に、所定の幅を有し前記第1のパン容器が挿入される方向に延在するガイド部が設けられ、前記突出部が、前記ガイド部の前記所定の幅と略等しい幅の切欠部を有し、前記第1のパン容器が前記焼成室内に挿入されて前記収容位置に収容されるとき、前記突出部の前記切欠部と前記ガイド部とが嵌合することとしてもよい。本構成によれば、容易に第1のパン容器を焼成室内の収容位置に収容することが可能になる。
【0017】
上記構成の自動製パン器において、前記焼成室を遮蔽する蓋部の開閉を検知する蓋開閉検知手段が、さらに設けられ、前記第1の製造工程中の、穀物粒を粉砕する工程が行われる前及び途中の少なくとも一方で、前記蓋開閉検知手段が、前記蓋部が開いていることを検知する場合に、前記異常検知手段が異常を検知することとしてもよい。本構成によれば、粉砕工程を行う際に蓋が開いていれば、異常検知手段が異常として検知する。そのため、粉砕工程の安全性をより高めることが可能になる。
【0018】
上記構成の自動製パン器において、前記第1の製造工程中の、穀物粒を粉砕する工程が行われる前及び途中の少なくとも一方で、前記異常検知手段が異常を検知するとき、前記第1の製造工程が停止され、前記異常検知手段が、第3時間が経過する前に異常を検知しなくなる場合、前記第1の製造工程が再開され、前記異常検知手段が、前記第3時間が経過しても異常を検知する場合、前記第1の製造工程が中止されることとしてもよい。本構成によれば、異常検知手段が異常を検知した状態で、第3時間が経過したときに、製造工程を中止することができる。そのため、異常が解消しない場合に無駄に待機することを、抑制することが可能になる。
【0019】
上記構成の自動製パン器において、所定の製造工程を開始する前に、前記蓋開閉検知手段が、前記蓋が開いていることを検知する場合に、前記異常検知手段が異常を検知することとしてもよい。本構成によれば、所定の製造工程を開始する前に蓋が開いていると、異常検知手段が異常として検知する。そのため、このような異常な状態で、製造工程が実行されて安全性が害されることを、抑制することが可能になる。
【0020】
上記構成の自動製パン器において、所定の製造工程を開始する前に、前記異常検知手段が異常を検知するとき、前記異常検知手段が、第4時間が経過する前に当該異常を検知しなくなる場合、当該所定の製造工程が開始され、前記異常検知手段が、前記第4時間が経過しても当該異常を検知する場合、当該所定の製造工程の実行が取り消されることとしてもよい。本構成によれば、異常検知手段が異常を検知した状態で、第4時間が経過したときに、製造工程を実行せず取り消すことができる。そのため、異常が解消しない場合に無駄に待機することを、抑制することが可能になる。
【0021】
上記構成の自動製パン器において、異常をユーザに報知する異常報知手段がさらに設けられ、前記異常検知手段が異常を検知する場合、当該異常を前記異常報知手段がユーザに報知することとしてもよい。本構成によれば、検知された異常を、ユーザが認識することが可能になる。そのため、ユーザは、検知された異常を解消するなどの対応をすることが可能になる。
【0022】
上記構成の自動製パン器において、所定の製造工程の終了時刻を算出する終了時刻算出手段がさらに設けられ、前記異常検知手段が、異常を検知した後に当該異常を検知しなくなることで、当該所定の製造工程が遅れて開始される、または、当該所定の製造工程が停止後に再開される場合、前記終了時刻算出手段は、当該所定の製造工程が遅れて開始される、または、当該所定の製造工程が停止後に再開されることで、必要になる時間だけ、当該所定の製造工程の終了時刻が遅くなるように、当該所定の製造工程の終了時刻を算出してもよい。本構成によれば、異常の検知によって製造工程が短縮化することで、パン等の完成度が低下したり、自動製パン器の安全性が低下したりすることを、抑制することが可能になる。
【0023】
上記構成の自動製パン器において、前記終了時刻算出手段が算出する終了時刻を報知する終了時刻報知手段が、さらに設けられることとしてもよい。本構成によれば、仮に製造工程の終了時刻が遅くなったとしても、終了時刻報知手段が、ユーザに対して正しい終了時刻を報知する。そのため、ユーザは、正しい終了時刻を認識することが可能になる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、穀物粒を出発原料としてパンを製造する製造工程中の粉砕工程で発生し得る異常を、検知することが可能になる。そのため、パンを安全に製造することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施形態の自動製パン器の外観構成を示す概略斜視図
【図2】本実施形態の自動製パン器の蓋の構成を示す概略斜視図
【図3】本実施形態の自動製パン器の本体内部の構成を説明するための模式図
【図4】本実施形態の自動製パン器が備える第1の動力伝達部に含まれるクラッチについて説明するための図
【図5】本実施形態の自動製パン器における、第1のパン容器が収容された焼成室及びその周辺の構成を模式的に示す図
【図6】本実施形態の自動製パン器における第1のパン容器に装着されるブレードユニットの構成を示す概略斜視図
【図7】本実施形態の自動製パン器における第1のパン容器に装着されるブレードユニットの構成を示す概略分解斜視図
【図8】本実施形態の自動製パン器における第1のパン容器に装着されるブレードユニットの構成を示す概略側面図及び概略断面図
【図9】本実施形態の自動製パン器における、第2のパン容器が収容された焼成室及びその周辺の構成を模式的に示す図
【図10】本実施形態の自動製パン器における第2のパン容器に装着される第2の混練ブレードのハブと第2のブレード回転軸との関係を説明するための図
【図11】本実施形態の自動製パン器における第1のパン容器が焼成室内の収容位置に収容されていない場合の突出部、可動部及びガイド部の構成を示す斜視図
【図12】本実施形態の自動製パン器における第1のパン容器が焼成室内の収容位置に収容されていない場合の可動部の構成を示す斜視図
【図13】本実施形態の自動製パン器における第1のパン容器が焼成室内の収容位置に収容されている場合の突出部、可動部及びガイド部の構成を示す斜視図
【図14】本実施形態の自動製パン器における第1のパン容器が焼成室内の収容位置に収容されている場合の可動部の構成を示す斜視図
【図15】本実施形態の自動製パン器の構成を示すブロック図
【図16】本実施形態の自動製パン器によって実行される米粒用製パンコースと小麦粉製パンコースのそれぞれの流れを示す模式図
【図17】本実施形態の自動製パン器における製造コース開始前の異常検知動作を示すフローチャート。
【図18】本実施形態の自動製パン器における製造コース開始後の異常検知動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の自動製パン器の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本明細書に登場する具体的な時間や温度等はあくまでも例示であり、それらは本発明の内容を限定するものではない。
(自動製パン器の構成)
図1は、本実施形態の自動製パン器の外観構成を示す概略斜視図である。また、図2は、本実施形態の自動製パン器の蓋の構成を示す概略斜視図である。図1に示すように、略直方体形状に設けられる自動製パン器1の本体10(その外殻は例えば金属や合成樹脂等によって形成される)の上面の一部には、操作部20が設けられている。この操作部20は、操作キー群と、時間、操作キー群によって設定された内容、自動製パン器の異常等を表示する出力部21と、によって構成されている。操作キー群には、例えば、スタートキー、取り消しキー、タイマーキー、予約キー、パンの製造コース(米粒を出発原料に用いてパンを製造する製造工程、米粉を出発原料に用いてパンを製造する製造工程、小麦粉を出発原料に用いてパンを製造する製造工程等)を選択する選択キー等が含まれる。出力部21は、例えば、液晶表示パネルや発光素子、スピーカ等によって構成され、音や光(画像を含む)を出力することで、ユーザに報知を行う。本実施形態においては、出力部21が、異常を報知する異常報知手段や、終了時刻を報知する終了時刻報知手段となっている。
【0027】
本体10内部には、詳細は後述するが収容される焼成室30が設けられている。この焼成室30は、例えば板金からなる底壁30a及び4つの側壁30b(図5も参照)で構成された平面形状略矩形の箱形状の部屋であり、その上面は開口している。この焼成室30は、本体10上部に設けられる蓋40(本発明の蓋部の一例)によって開閉可能となっており、蓋40が閉められることで焼成室が遮蔽される。また、焼成室30の少なくとも一つの側壁30bには、ガイド部32a,32b及び可動部33(図5も参照、詳細は後述)が設けられる。蓋40は、図示しない蝶番軸で本体10の背面側に取り付けられており、その蝶番軸を支点として回動することで、焼成室30の開閉が可能になっている。なお、図1は、この蓋40が開かれた状態を示している。
【0028】
この蓋40には、焼成室30内を覗けるように、例えば耐熱ガラスからなる覗き窓41が設けられている。また、蓋40には、パン原料収納容器19が着脱自在に取り付けられるようになっている。このパン原料収納容器19は、パンの製造工程の途中で一部のパン原料を自動投入することを可能にするものである。なお、図1及び図2は、蓋40にパン原料収納容器19が取り付けられた状態を示しており、更に詳細には、パン原料収納容器19の容器蓋が開いた状態を示している。
【0029】
図2に示すように、自動製パン器1の蓋40の内部にはフレーム部材42(例えばアルミニウム合金のダイキャスト成型品からなる)が収容され、このフレーム部材42は、蓋40の裏面側から内カバー43(例えば板金製)によって支持されている。フレーム部材42には、蓋40を閉状態とした場合において本体10の背面寄りとなる部分に、ドーム状壁42bによって形成される凹部空間45が形成されている。この凹部空間45は、パン原料収納容器19を保持する保持部である。なお、フレーム部材42の、蓋40を閉状態とした場合において本体10の前面寄りとなる部分には、壁部42aによって囲まれた略矩形状(蓋40を裏面側から見た場合を想定)の貫通孔44が設けられている。壁部42aは、蓋40の上面側に配置される覗き窓41に当接して覗き窓41を支持する。
【0030】
また、蓋40は、それが閉じられた状態において、その上面の略全体が本体10の前面側から背面側に向けて高くなる傾斜構造を有している。このために、蓋40が閉じられた状態において、本体10前面寄りに配置される覗き窓41から焼成室30に収容される第1のパン容器80(後述の図5参照)または第2のパン容器110(後述の図9を参照)内の様子が観察し易くなっている。また、蓋40が閉じられた状態において、本体10の背面寄りに取り付けられるパン原料収納容器19は、蓋40の厚みが厚い部分に配置されることになるため、その高さを高くして大きな容積を稼げるようになっている。
【0031】
本体10の操作部20が設けられる側の上部背面寄りであって蓋40に対向する側面近傍には、磁気センサ17が設けられている。この磁気センサ17は、詳細には本体10の内部に固定配置されており、外部からは見えない。このために、図1では磁気センサ17を破線で示している。
【0032】
また、蓋40には、蓋40が閉じられた状態において、本体10に配置される磁気センサ17と対向配置される永久磁石18が固定配置されている。この永久磁石18は、例えば蓋40の外側面に凹部を設けて、その凹部に固定配置する構成としてもよいし、また、蓋40の内部に固定配置するようにしても構わない。本実施形態では、蓋40を上から見た場合に永久磁石18は見えないために、図2では永久磁石18を破線で示している。
【0033】
蓋40を開いた状態とするために、蓋40が閉じられた状態(ここでは、蓋40の下面と本体10が当接した状態を想定している)から背面側に向かって蓋40を回転すると、永久磁石18が磁気センサ17から離れる方向に移動する(図1参照)。このために、蓋40が開かれると磁気センサ17によって検知される磁力の大きさが変化する。すなわち、磁気センサ17によって蓋40の開閉状態を検知することが可能となる。
【0034】
本実施形態の自動製パン器1では、磁気センサ17が、永久磁石18と対になって蓋40の開閉を検知できる構成となっている。永久磁石18の磁力は、磁気センサ17で蓋40の開閉動作に伴う磁力の変化を確実に検知できるように、適宜決定すればよい。なお、本実施形態では、蓋40が閉じられた状態において、磁気センサ17及び永久磁石18が自動製パン器1の背面寄りに位置する構成としているが、この構成に限定される趣旨ではない。例えば、蓋40が閉じられた状態において、磁気センサ17及び永久磁石18が自動製パン器1の正面(前面)寄りに位置するような構成としても構わない。
【0035】
以上のように、本実施形態においては、磁気センサ17が、蓋40の開閉を検知する蓋開閉検知手段となっている。具体的には、磁気センサ17が永久磁石18の磁力を検知する状態が、蓋40が閉まっていることを示し、磁気センサ17が永久磁石18の磁力を検知しない状態が、蓋40が開いていることを示す。
【0036】
本実施形態の自動製パン器1では、操作部20の下部側の本体10内に自動投入用ソレノイド16(後述の図15参照)が設けられている。このソレノイド16が駆動すると、そのプランジャーが、蓋40に隣接する本体壁面10aに設けられる開口10bから突出する。そして、突出したプランジャーが蓋40の側壁40aに設けられる開口スイッチ46を押圧し、これによりパン原料収納容器19が開口する(図1及び図2に示す状態になる)ようになっている。パン原料収納容器19には、パン原料(例えばグルテンやドライイースト等の粉体パン原料)が収納され、パン原料収納容器19が開口することで、当該パン原料が焼成室30に収容された第1のパン容器80(後述の図5参照)または第2のパン容器110(後述の図9を参照)に投入される。
【0037】
なお、蓋40の内側(例えば、フレーム部材42など)やパン原料収納容器19は、基材をアルミニウムとして表面をアルマイト処理すると、軽くて耐久性に優れるため、好ましい。なお、他の方法(例えば、シリコン塗装やフッ素等のコーティング)で表面処理を行っても構わない。
【0038】
図3は、本実施形態の自動製パン器の本体内部の構成を説明するための模式図である。図3は、自動製パン器1を上側から見た場合を想定しており、図の下側が自動製パン器1の正面側、図の上側が背面側である。図3に示すように、自動製パン器1には、焼成室30の右横に練り工程で用いられる低速・高トルクタイプの混練モータ50が固定配置され、焼成室30の後ろ側に粉砕工程で用いられる高速回転タイプの粉砕モータ60が固定配置されている。混練モータ50及び粉砕モータ60はいずれも竪軸である。
【0039】
混練モータ50の上面から突出する出力軸51には第1のプーリ52が固定される。この第1のプーリ52は、第1のベルト53によって、その径が第1のプーリ52よりも大きく形成されるとともに第1の回転軸54の上部側に固定される第2のプーリ55に連結されている。第1の回転軸54の下部側には、その回転中心が第1の回転軸54とほぼ同一となるように第2の回転軸57が設けられている(後述の図4も参照)。なお、第1の回転軸54及び第2の回転軸57は、本体10内部に回転可能に支持されている。また、第1の回転軸54と第2の回転軸57との間には、動力伝達と動力遮断を行うクラッチ56が設けられている(後述の図4も参照)。このクラッチ56の構成については後述する。
【0040】
第2の回転軸57の下部側には第3のプーリ58が固定されている(後述の図4も参照)。第3のプーリ58は、第2のベルト59によって、焼成室30の下部側に設けられるとともに原動軸11に固定される第1の原動軸用プーリ12(第3のプーリ58とほぼ同一の径を有する)に連結されている(後述の図4参照)。混練モータ50自身が低速・高トルクタイプであり、その上、第1のプーリ52の回転が第2のプーリ55によって減速回転される(例えば1/5の速度に減速される)。このため、クラッチ56が動力伝達を行う状態で混練モータ50を駆動すると、原動軸11は低速(例えば180rpm程度)・高トルクで回転する。
【0041】
なお、第1のプーリ52、第1のベルト53、第1の回転軸54、第2のプーリ55、クラッチ56、第2の回転軸57、第3のプーリ58、第2のベルト59、及び第1の原動軸用プーリ12で構成される動力伝達部のことを、以下では、第1の動力伝達部PT1と表現することがある。
【0042】
粉砕モータ60の下面から突出する出力軸61には、第4のプーリ62が固定されている。この第4のプーリ62は、第3のベルト63によって、原動軸11に固定される第2の原動軸用プーリ13(第1の原動軸用プーリ12より下側で固定される;後述の図4参照)に連結されている。第2の原動軸用プーリ13は第4のプーリ62とほぼ同一の径を有する。粉砕モータ60には高速回転可能なものが選定される。そして、第4のプーリ62の回転は第2の原動軸用プーリ13においてほぼ同一速度で維持されるために、粉砕モータ60の高速回転により、原動軸11は高速回転(例えば7000〜8000rpm)を行う。
【0043】
なお、第4のプーリ62、第3のベルト63、及び第2の原動軸用プーリ13で構成される動力伝達部のことを、以下では、第2の動力伝達部PT2と表現することがある。第2の動力伝達部PT2は、クラッチを有さない構成であり、粉砕モータ60の出力軸61と原動軸11とを常時動力伝達可能に連結する。
【0044】
図4は、本実施形態の自動製パン器が備える第1の動力伝達部に含まれるクラッチについて説明するための図である。図4は、図3の矢印X方向に沿って見た場合を想定した図である。なお、図4(a)はクラッチ56が動力遮断を行う状態を示し、図4(b)はクラッチ56が動力伝達を行う状態を示す。
【0045】
図4に示すように、クラッチ56は、第1のクラッチ部材561と第2のクラッチ部材562とを有する。そして、第1のクラッチ部材561に設けられる爪561aと、第2のクラッチ部材562に設けられる爪562aとが噛み合う場合(図4(b)の状態)に、クラッチ56は動力伝達を行う。また、2つの爪561a、562aが噛み合わない場合(図4(a)の状態)に、クラッチ56は動力遮断を行う。すなわち、クラッチ56は噛み合いクラッチとなっている。
【0046】
なお、本実施形態では、2つのクラッチ部材561、562のそれぞれには、周方向(第1のクラッチ部材561を下から平面視した場合、或いは、第2のクラッチ部材562を上から平面視した場合を想定)にほぼ等間隔に並ぶ6つの爪561a、562aが設けられているが、この爪の数は適宜変更してもよい。また、爪561a、562aの形状は、好ましい形状を適宜選択すればよい。
【0047】
第1のクラッチ部材561は、抜け止め対策を施された上で、第1の回転軸54に、その軸方向(図4において上下方向)に摺動可能、且つ、相対回転不能に取り付けられている。第1の回転軸54の第1のクラッチ部材561の上部側には、バネ71が遊嵌されている。このバネ71は、第1の回転軸54に設けられるストッパ部54aと第1のクラッチ部材561とに挟まれるように配置されており、第1のクラッチ部材561を下側に向けて付勢している。一方、第2のクラッチ部材562は、第2の回転軸57の上端に固定されている。
【0048】
クラッチ56における、動力伝達状態と動力遮断状態との切り替えは、下位置と上位置とに選択配置可能なアーム部72を用いて行われる。アーム部72は、その一部が第1のクラッチ部材561の下側に配置され、第1のクラッチ部材561の外周側と当接可能となっている。
【0049】
アーム部72の駆動は、クラッチ用ソレノイド73を用いて行われる。クラッチ用ソレノイド73は、永久磁石73aを備え、いわゆる自己保持型のソレノイドとなっている。クラッチ用ソレノイド73のプランジャー73bは、アーム部72のプランジャー固定用の取付部72aに固定される。このために、電圧の印加によりハウジング73cからの突出量が変動するプランジャー73bの動きに合わせてアーム部72が動く。
【0050】
アーム部72が下位置(図4(b)の状態)から上位置(図4(a)の状態)に移動すると、第1のクラッチ部材561は、アーム部72に押されてバネ71の付勢力に抗して上方向に移動する。アーム部72が上位置にある場合には、第1のクラッチ部材561と第2のクラッチ部材562とは噛み合わない。すなわち、アーム部72が上位置にある場合には、クラッチ56は動力遮断を行う。
【0051】
一方、アーム部72が上位置から下位置に移動すると、第1のクラッチ部材561はバネ71の付勢力によって押される形で下方向に移動する。アーム部72が下位置にある場合には、第1のクラッチ部材561と第2のクラッチ部材562とは噛み合う。すなわち、アーム部72が下位置にある場合には、クラッチ56は動力伝達を行う。
【0052】
粉砕モータ60を駆動する際に、クラッチ56が動力伝達を行う状態(図4(b)の状態)であると、原動軸11を高速回転させる回転動力が混練モータ50の出力軸51に伝達される(図3参照)。この場合、粉砕モータ60が例えば8000rpmで回転されるとすると、第1のプーリ52と第2のプーリ55との半径比(例えば1:5)によって、混練モータ50の出力軸51を40000rpmで回転させる力が必要になる。その結果、粉砕モータ60に非常に大きな負荷が加わるために、粉砕モータ60が破損する可能性がある。このため、粉砕モータ60を駆動する際には、原動軸11を高速回転させる回転動力が混練モータ50の出力軸51に伝達されないようにする必要がある。そこで、自動製パン器1は、上述のように、動力伝達と動力遮断を行うクラッチ56を第1の動力伝達部PT1に含む構成となっている。
【0053】
なお、上述のように自動製パン器1においては、第2の動力伝達部PT2にはクラッチが設けられない構成としているが、これは次の理由による。すなわち、混練モータ50を駆動しても原動軸11は低速回転(例えば180rpm等)されるのみである。このため、原動軸11を回転させる回転動力が粉砕モータ60の出力軸に伝達されるようになっていても、混練モータ50に大きな負荷が加わることはない。そして、このように第2の動力伝達部PT2にクラッチが設けられない構成を敢えて採用することで、自動製パン器1の製造コストが抑制される。ただし、第2の動力伝達部PT2にクラッチが設けられる構成を採用しても、勿論構わない。
【0054】
図5は、本実施形態の自動製パン器における、第1のパン容器が収容された焼成室及びその周辺の構成を模式的に示す図である。図5は、自動製パン器1を正面側から見た場合の構成を想定しており、焼成室30及び第1のパン容器80の構成は概ね断面図で示されている。なお、パン原料が投入されるとともにパン焼き型として使用される第1のパン容器80は、焼成室30に対して出し入れ自在となっている。
【0055】
図5に示すように、焼成室30の内部には、シーズヒータ31が焼成室30に収容された第1のパン容器80を包囲するように配置されている。このシーズヒータ31を用いることにより、第1のパン容器80内のパン原料(生地となっているものも含む)の加熱が可能になる。
【0056】
図5を参照して、焼成室30の底壁30aの略中心にあたる箇所には、第1のパン容器80を支持するパン容器支持部14(例えばアルミニウム合金のダイキャスト成型品からなる)が固定されている。このパン容器支持部14は、焼成室30の底壁30aから窪むように形成され、その窪みの形状は上から見た場合に略円形となっている。このパン容器支持部14の中心には、上述の原動軸11が底壁30aに対して略垂直となるように支持されている。原動軸11の上端には、本体側接続部11aが固定されている。
【0057】
第1のパン容器80は例えばアルミニウム合金のダイキャスト成型品(その他、板金等で構成しても構わない)であり、バケツのような形状をしており、開口部側縁に設けられる鍔部80aに手提げ用のハンドル(図示せず)が取り付けられている。第1のパン容器80の水平断面は四隅を丸めた矩形である。また、第1のパン容器80の底部には、詳細は後述するブレードユニット90の一部を収容する平面視略円形状の凹部81が形成されている。
【0058】
第1のパン容器80の底部中心には、垂直方向に延びるブレード回転軸82が、シール対策を施された状態で回転可能に支持されている。このブレード回転軸82の下端(第1のパン容器80の底部から外部側に突き出ている)には、容器側接続部82aが固定されている。
【0059】
また、第1のパン容器80の底部外面側には、ブレード回転軸82を取り囲むように筒状の台座83が設けられている。第1のパン容器80は、この台座83がパン容器支持部14に受け入れられた状態で、焼成室30内に収容されるようになっている。なお、台座83は、第1のパン容器80とは別に形成してもよいし、第1のパン容器80と一体的に形成してもよい。
【0060】
第1のパン容器80の台座83がパン容器支持部14に受け入れられた状態で、第1のパン容器80が焼成室30内の収容位置(図5に示す位置)に収容されると、ブレード回転軸82の下端に設けられる容器側接続部82aと、原動軸11の上端に固定される本体側接続部11aとの連結が得られるようになる。そして、これにより、ブレード回転軸82は原動軸11から回転動力を伝えられるようになる。すなわち、本体側接続部11aと容器側接続部82aとはカップリングを構成する。
【0061】
また、図5に示すように、第1のパン容器80の少なくとも1つの側壁80b(本例では、対向する2つの側壁80b)には、外側に突出する突出部84a,84bが設けられる。一方、焼成室30の少なくとも1つの側壁30b(本例では、対向する2つの側壁30b)には、内側に突出するガイド部32a,32bが設けられる。突出部84a,84bの構成及びガイド部32a,32bの構成は、それぞれ同様である。
【0062】
第1のパン容器80が焼成室30内の収容位置に収容されたとき、突出部84a,84b及びガイド部32a,32bのそれぞれが、嵌合する(構造の詳細については後述する)。即ち、ユーザは、突出部84a,84b及びガイド部32a,32bが嵌合するように、第1のパン容器80の底壁を焼成室30の底壁30aに向けて挿入する(図中の下方向に移動させる)ことで、容易に第1のパン容器80を焼成室30内の収容位置に収容することが可能になる。なお、図5では、突出部84a及びガイド部32a、突出部84b及びガイド部32bが嵌合する場合を例示しているが、突出部84b及びガイド部32a、突出部84a及びガイド部32bがそれぞれ嵌合する(図5に示す第1のパン容器80の左右が逆になる)場合もあり得る。この場合も、第1のパン容器80は焼成室30内の収容位置に収容され得る。
【0063】
また、焼成室30のガイド部32a,32bが設けられた側壁30bの少なくとも1つ(本例では、ガイド部32aが設けられた側壁30b)には、内側に突出する可動部33が設けられる。可動部33は、焼成室30の深さ方向(第1のパン容器80の挿入方向及び離脱方向)と略等しい方向に可動する(構造の詳細については後述する)。第1のパン容器80が焼成室30内に挿入され、収容位置に至るとき、突出部84a(突出部84bの場合もある)は、可動部33を焼成室30の底側へと押し下げる。詳細については後述するが、本実施形態の自動製パン器1は、この可動部33の押し下げを検知することで、第1のパン容器80が焼成室30内の収容位置に収容されているか否かを検知する。
【0064】
また、ブレード回転軸82の第1のパン容器80内部に突出する部分には、その上からブレードユニット90が着脱可能に取り付けられるようになっている。このブレードユニット90の構成について、図6から図8を参照しながら説明する。
【0065】
図6は、本実施形態の自動製パン器における第1のパン容器に装着されるブレードユニットの構成を示す概略斜視図である。図7は、本実施形態の自動製パン器における第1のパン容器に装着されるブレードユニットの構成を示す概略分解斜視図である。図8は、本実施形態の自動製パン器における第1のパン容器に装着されるブレードユニットの構成を示す図で、図8(a)は概略側面図、図8(b)は図8(a)のA−A位置における断面図である。
【0066】
ブレードユニット90は、大きくは、ユニット用シャフト91と、ユニット用シャフト91に相対回転不能に取り付けられる粉砕ブレード92と、ユニット用シャフト91に相対回転可能且つ粉砕ブレード92を上から覆うように取り付けられる平面視略円形のドーム状カバー93と、ドーム状カバー93に相対回転可能に取り付けられる混練ブレード101と、ドーム状カバー93に取り付けられ、粉砕ブレード92を下から覆うガード106と、を備える構成となっている(例えば、図6〜図8参照)。
【0067】
なお、ブレードユニット90がブレード回転軸82に取り付けられた状態において、粉砕ブレード92は、第1のパン容器80の凹部81底面より少し上の箇所に位置する。また、粉砕ブレード92及びドーム状カバー93のほぼ全体は凹部81に収容される(例えば図5参照)。
【0068】
ユニット用シャフト91は、例えばステンレス鋼板等の金属によって形成される略円柱状の部材であり、一方端(下端)に開口が設けられ、その内部は中空となっている。すなわち、ユニット用シャフト91は、下端からブレード回転軸82を挿入できるように、挿入孔91cが形成された構成となっている(例えば図8(b)参照)。
【0069】
また、ユニット用シャフト91の側壁の下部側(開口側)には、ユニット用シャフト91の回転中心を挟んで対称配置される一対の切り欠き部91aが形成されている(例えば図7参照。ただし、図7では一対の切り欠き部91aの一方のみが示される)。切り欠き部91aの形状は側面視略矩形状であり、詳細には一方端(上端)が丸みを帯びている。切り欠き部91aは、ブレード回転軸82を水平に貫くピン821(図8(b)参照)に係合させるために設けられている。ブレード回転軸82のピン821と、切り欠き部91aとが係合することによって、ユニット用シャフト91はブレード回転軸82に相対回転不能に取り付けられた状態になる。
【0070】
図8(b)に示すように、ブレード回転軸82(破線で示す)の上端面(略円形状)の中央部に設けられる凸部82bと係合するように、ユニット用シャフト91の内部側の上面中央部には凹部91bが形成されている。これにより、ユニット用シャフト91とブレード回転軸82との中心を合わせた状態で、ブレードユニット90はブレード回転軸82に容易に取り付けることができる。このために、ブレード回転軸82を回転させた場合に、不要なガタツキが発生することが抑制される。本実施形態では、ブレード回転軸82側に凸部82b、ユニット用シャフト91側に凹部91bを設ける構成としたが、これとは逆に、ブレード回転軸82側に凹部、ユニット用シャフト91側に凸部が設けられる構成としても構わない。
【0071】
穀物粒粉砕用の粉砕ブレード92は、例えばステンレス鋼板を加工することによって形成される。この粉砕ブレード92は、例えば図7に示すように、第1の切削部921と、第2の切削部922と、第1の切削部921と第2の切削部922とを連結する連結部923と、を備える。連結部923の中央部には、平面視略矩形状(スタジアム形状)の開口923aが形成されている。この開口923aにユニット用シャフト91の下部側が嵌め込まれる形で、粉砕ブレード92はユニット用シャフト91に取り付けられる。
【0072】
なお、ユニット用シャフト91の下部側には、側面の一部(切り欠き部91aが設けられる位置近傍)を削って平坦面が形成されている。これにより、ユニット用シャフト91を下から平面視した場合に、ユニット用シャフト91の下部側は、連結部923に設けられる開口923aとほぼ同形状(略矩形状)となっている。ユニット用シャフト91の下部側を平面視した場合の面積は、開口923aより、ほんの僅かだけ小さくなっている。このような形状を採用しているために、粉砕ブレード92はユニット用シャフト91に相対回転不能に取り付けられる。粉砕ブレード92の下部側には抜け止め用のストッパ部材94がユニット用シャフト91に嵌め込まれるために、粉砕ブレード92がユニット用シャフト91から脱落することはない。
【0073】
粉砕ブレード92を囲んで覆い隠すように配置されるドーム状カバー93は、例えばアルミニウム合金のダイキャスト成型品からなり、その内面側には、ベアリング95(本実施形態では転がり軸受けを使用している)を収容する凹状の収容部931(図8(b)参照)が形成されている。換言すると、この収容部931を形成するために、ドーム状カバー93は、それを外面から見た場合に、中央部に略円柱状の凸部93aが形成された構成となっている。なお、凸部93aには開口が形成されておらず、収容部931に収容されるベアリング95はその側面及び上面が収容部931の壁面に囲い込まれた状態となっている。
【0074】
ベアリング95は上下に抜け止めリング96a、96bが配置された状態で、その内輪95aがユニット用シャフト91に相対回転不能に取り付けられている(内輪95a内側の貫通孔にユニット用シャフト91が圧入されている)。また、ベアリング95は、その外輪95bの外壁が収容部931の側壁に固定されるように、収容部931に圧入されている。このベアリング95(内輪95aが外輪95bに対して相対回転する)の介在によって、ドーム状カバー93はユニット用シャフト91に相対回転可能に取り付けられている。
【0075】
また、ドーム状カバー93の収容部931には、外部からベアリング95内に異物(例えば穀物粒の粉砕時に用いられる液体や粉砕により得られたペースト状物等)が入り込まないように、例えばシリコン系或いはフッ素系の材料によって形成されるシール材97及び、このシール材97を保持する金属製のシールカバー98が、ベアリング95の下部側から圧入されている。シールカバー98は、ドーム状カバー93への固定が確実となるように、リベット99によってドーム状カバー93に固着されている。このリベット99による固定は行わなくてもよいが、確実な固定を得るために、本実施形態のように構成するのが好ましい。なお、シール材97及びシールカバー98はシール手段として機能する。また、シールカバー98は、フッ素などによりコーティングすると好ましい。特に、銀色の塗料を用いると、塗装が剥がれ難く、万が一剥がれたとしても目立ち難いため、好ましい。
【0076】
ドーム状カバー93の外面には、凸部93aに隣接する箇所に垂直方向に延びるように配置される支軸100(図7参照)により、平面形状「く」の字形の混練ブレード101(例えばアルミニウム合金のダイキャスト成型品からなる)が取り付けられている。混練ブレード101は、支軸100に相対回転不能に取り付けられており、ドーム状カバー93に相対回転可能に取り付けられる支軸100と動きを共にする。換言すると、混練ブレード101は、ドーム状カバー93に対して相対回転可能に取り付けられた構成となっている。
【0077】
混練ブレード101の先端(支軸100を中心として混練ブレード101を回転したときに最も大きな円を描く部分を想定)側近傍の一方面には、図6〜図8に示すように緩衝材107が取り付けられている。緩衝材107は、混練ブレード101の先端から突出するように設けられている(例えば図8(a)参照)。
【0078】
緩衝材107の固定は、混練ブレード101の一方面と固定用板108とで緩衝材107を挟持した状態とし、混練ブレード101の他方面側から挿入されるリベット109のカシメで得られる構成となっている。なお、本実施形態ではリベット109の数を2つとしているが、その数が限定されないのは言うまでもない。
【0079】
この緩衝材107は、混練ブレード101が詳細は後述する開き姿勢となった場合に、第1のパン容器80(の内壁)と直接接触しないように配置されている。混練ブレード101と第1のパン容器80とが直接接触すると、それらの間の干渉が原因となって破損が発生する可能性があり、このような破損を防止すべく緩衝材107は設けられている。
【0080】
本実施形態の自動製パン器1においては、第1のパン容器80及び混練ブレード101の表面にはフッ素コーティングが施されている。このため、本実施形態の緩衝材107は、このフッ素コーティングが混練ブレード101と第1のパン容器80との接触で剥がれないように設けられたものといえる。そして、この点から、緩衝材107を構成する材料としては、フッ素コーティングを剥がさないようにコーティング材よりも柔らかい材料が好ましく、例えば、シリコーンゴムやTPE(Thermoplastic Elastomers;熱可塑性エラストマ)等が用いられる。また、緩衝材107は防音対策としても機能するが、この点は後述する。なお、以下では、この緩衝材107も混練ブレード101の一部と見なして説明が行われる場合がある。
【0081】
また、本実施形態では、ドーム状カバー93の外面に、混練ブレード101に並ぶように補完混練ブレード102(例えばアルミニウム合金のダイキャスト成型品からなる)が固定配置されている。この補完混練ブレード102は、必ずしも設ける必要がないが、パン生地を練り上げる練り工程における混練効率を高めるために設けるのが好ましい。
【0082】
図9は、本実施形態の自動製パン器の概略構成を示す一部断面図で、第2のパン容器を用いる場合の構成を示す図である。なお、図9は自動製パン器を正面側から見た場合を想定している。また、第1のパン容器80を用いる場合(図5参照)と重複する構成については、特に説明の必要がない場合には説明を省略する。
【0083】
第2のパン容器110(例えば板金製)は、第1のパン容器80と同様にバケツのような形状をしており、開口部側縁に設けられる鍔部110aに手提げ用のハンドル(図示せず)が取り付けられている。また、第2のパン容器110も水平断面は四隅を丸めた矩形である。ただし、第2のパン容器110の底部には、第1のパン容器80のような凹部81は形成されていない。これは、第2のパン容器110を用いる場合には粉砕工程がなく、粉砕ブレード92を取り付ける必要がないことと関係している。また、第2のパン容器110は、凹部81を設ける必要がないために、第1のパン容器80に比べて、その高さが低くなっている。また、第2のパン容器110には、第1のパン容器80とは異なり、側壁110bに上述の突出部84a,84b(図5参照)が設けられていない。さらに、第2のパン容器110を焼成室30内の収容位置(図9に示す位置)に収容したとき、第2のパン容器110(特に、鍔部110a)とガイド部32a,32bとは接触しないように構成されている。
【0084】
第2のパン容器110の底部中心には、垂直方向に延びる第2のブレード回転軸111が、シール対策が施された状態で支持されている。この第2のブレード回転軸111の下端(第2のパン容器110の外部にある)には容器側カップリング部材111aが固定されている。また、第2のパン容器110の外側底面には筒状の台座112が設けられており、第2のパン容器110は、この台座112がパン容器支持部14に受け入れられた状態で、焼成室30内に配置されるようになっている。
【0085】
なお、この台座112とパン容器支持部14との結合手法は、第1のパン容器80の台座83とパン容器支持部14との結合手法と同様である。また、台座112とパン容器支持部14との結合によって、第2のブレード回転軸111に設けられる容器側カップリング部材111aと、原動軸11に固定される原動軸側カップリング部材11aとの連結(カップリング)も達成される。そして、このカップリングにより、第2のブレード回転軸111は原動軸11から回転力が伝えられるようになる。
【0086】
第2のブレード回転軸111の上端には、第2の混練ブレード120(例えばアルミニウム合金のダイキャスト成型品)が取り付けられている。この第2の混練ブレード120は、上述の混練ブレード101及び補完混練ブレード102(図6〜図8参照)を一体化したような形状であり、そのハブ121が第2のブレード回転軸111の上端に回転不能に連結されている。
【0087】
図10は、第2のパン容器における第2の混練ブレードのハブと第2のブレード回転軸との関係を説明するための図で、図10(a)は断面図、図10(b)は上面図である。第2の混練ブレード120のハブ121の中心孔は、下端から所定の高さまでは円形孔部121aであるが、そこから上がD字孔部121bとなっている。D字孔部121bは、D字の弦にあたる部分の下部が第2のブレード回転軸111の中心に向けて張り出した段差構造となっている。一方、第2のブレード回転軸111は、上端まで少し距離を残すところまでは円形断面であるが、そこから上がD字形断面部111bとなっている。D字形断面部111bは、D字孔部121bとは逆に、D字の弦に当る部分の上部が張り出した段差構造となっている。
【0088】
D字形断面部111bの張り出した部分がD字孔部121bの張り出した部分に対してオーバーハングした状態となるように、D字孔部121bとD字形断面部111bとを組み合わさることによって、第2の混練ブレード120のハブ121は、第2のブレード回転軸111に回転不能に連結される。なお、ハブ121と第2のブレード回転軸111との嵌合にはゆとりがあるので、ハブ121に第2のブレード回転軸111を問題なく通して上記オーバーハングした状態を得られる。また、第2のブレード回転軸111に動力が伝えられると、図10(b)に示すように、D字孔部121bとD字形断面部111bとの角度がずれて張り出し部分同士が引っ掛かる。このため、第2の混練ブレード120が第2のブレード回転軸111から簡単に抜けることはない。
(突出部、可動部及びガイド部の構成)
以上、本実施形態の自動製パン器1の概略構成について説明したが、次に、上述した第1のパン容器に設けられる突出部84a,84b、ガイド部32a,32b及び可動部33の構成の詳細について、図面を参照して説明する。なお、以下では説明の具体化のため、突取部84aが、ガイド部32a及び可動部33が設けられた側壁30bに向けられた状態で、第1のパン容器80が焼成室30に挿入される場合(図5参照)を例示する。
【0089】
図11は、第1のパン容器が焼成室内の収容位置に収容されていない場合の突出部、可動部及びガイド部の構成を示す斜視図であり、焼成室30の内側(第1のパン容器80が収容され得る側)から側壁30bを見た場合の図である。図12は、第1のパン容器が焼成室内の収容位置に収容されていない場合の可動部の構成を示す斜視図であり、焼成室30の外側から側壁30bを見た場合の図である。また、図13は、第1のパン容器が焼成室内の収容位置に収容されている場合の突出部、可動部及びガイド部の構成を示す斜視図であり、焼成室30の内側(第1のパン容器80が収容され得る側)から側壁30bを見た場合の図である。図14は、第1のパン容器が焼成室内の収容位置に収容されている場合の可動部の構成を示す斜視図であり、焼成室30の外側から側壁30bを見た場合の図である。
【0090】
図11〜図14の下側が焼成室30の底側であり、上側が焼成室30の開口する側(蓋40側)である。即ち、図11〜図14中の上下方向が、第1のパン容器80の挿入方向及び離脱方向である。また、図11及び図13では図示の都合上、第1のパン容器80の側壁80b(図5参照)を表示せず、当該側壁80bと接続される突出部84aの面に斜線のハッチングを付して示している。
【0091】
図11に示すように、ガイド部32aは、所定の幅を有するとともに上下方向に延在する構成である。また、ガイド部32aは、下側ほど焼成室30の内側に突出している。また、突出部84aは、ガイド部32aの幅と略等しい(当該幅より僅かに大きくてもよい)幅の切欠部85aを有する。そして、図13に示すように、切欠部85aとガイド部32aとが嵌合した状態で第1のパン容器80が焼成室30内に挿入されれば、第1のパン容器80が収容位置に収容されるように、ガイド部32aが配置されている。
【0092】
また、図11に示すように、焼成室30の側壁30bには、上下方向に沿って長い孔301が設けられ、可動部33の一部である接触部33aが当該孔301に通じられるように、可動部33が配置される。さらに、接触部33aの少なくとも一部は、側壁30bの内側の表面から突出している。そして、図13に示すように、切欠部85aとガイド部32aとが嵌合した状態で第1のパン容器80が焼成室30に挿入されると、接触部33aが突出部84aによって押されるように、孔301が配置されている。
【0093】
また、図12に示すように、焼成室30の側壁30bの外側には、可動部33の一部であり接触部33aと接続する胴体部33bが配置される。胴体部33bは、上下方向に沿って長く、上下方向に沿って長い孔331,332が設けられ、当該孔331,332には、焼成室30の側壁30bの外側に固定された突起302,303(例えば、先端にナットが取り付けられたボルト)が通じられている。図12及び図14に示すように、この孔331,332及び突起302,303によって、可動部33が上下方向に沿って動くように構成される。
【0094】
図12に示すように、胴体部33bの下側にはスイッチ押下部33cが接続されている。また、スイッチ押下部33cの近傍には、マイクロスイッチ34と傾斜部35とが設けられている。傾斜部35は、下側ほどマイクロスイッチ34に近づく斜面を有している。そして、上述のように接触部33aが突出部84aによって下側に押されると、図14に示すように可動部33が下側に移動する。このとき、スイッチ押下部33cは、傾斜部35の斜面に当接して下側に進もうとするため、マイクロスイッチ34に向けて付勢される。図14に示すように、マイクロスイッチ34は、この状態でスイッチ押下部33cによってボタン341が押下される(オンになる)ように、配置されている。
【0095】
また、図12に示すように、胴体部33bの上側には、バネ(引張りバネ)36の一端が固定されている。バネ36の他端は、バネ36の一端よりも上側になるように、側壁30bに固定される。即ち、可動部33は、バネ36によって上方向に付勢され得る。少なくとも、図14に示すように可動部33が下側に移動したときに、バネ36によって上方向の付勢力が発生するように構成される。このバネ36によって、第1のパン容器80が焼成室30から離脱するときに可動部33が上側に移動し、マイクロスイッチ34のボタン341が元に戻る(オフになる)。
【0096】
以上のように、本実施形態においては、マイクロスイッチ34が、第1のパン容器80が焼成室30内の収容位置に収容されているか否かを検知する第1のパン容器検知手段となっている。具体的には、マイクロスイッチ34のオンの状態が、第1のパン容器80が焼成室30内の収容位置に収容されていることを示し、マイクロスイッチ34のオフの状態が、第1のパン容器80が焼成室30内の収容位置に収容されていないことを示す。なお、第1のパン容器検知手段をこのような構成にすることで、簡易な機械的構成によって、第1のパン容器80が焼成室30内の収容位置に収容されているか否かを確認することが可能になる。
(自動製パン器の制御)
図15は、本実施形態の自動製パン器の構成を示すブロック図である。図15に示すように、自動製パン器1における制御動作は制御装置130によって行われる。制御装置130は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、I/O(input/output)回路部等からなるマイクロコンピュータ(マイコン)によって構成される。この制御装置130は、焼成室30の熱の影響を受け難い位置に配置するのが好ましい。また、制御装置130には、時間計測機能が備えられており、パンの製造工程における時間的な制御が可能となっている。さらに、制御装置130は、製造工程の終了時刻を算出し得る。
【0097】
制御装置130には、上述の操作部20と、焼成室30の温度を検知する温度センサ15と、マイクロスイッチ34と、磁気センサ17と、混練モータ駆動回路131と、粉砕モータ駆動回路132と、ヒータ駆動回路133と、第1のソレノイド駆動回路134と、第2のソレノイド駆動回路135と、が電気的に接続されている。
【0098】
混練モータ駆動回路131は、制御装置130からの指令の下で混練モータ50の駆動を制御するための回路である。また、粉砕モータ駆動回路132は、制御装置130からの指令の下で粉砕モータ60の駆動を制御するための回路である。ヒータ駆動回路133は、制御装置130からの指令の下でシーズヒータ31の動作を制御するための回路である。第1のソレノイド駆動回路134は、制御装置130からの指令の下で、パンの製造工程の途中で一部のパン原料を自動投入する際に駆動する自動投入用ソレノイド16の駆動を制御するための回路である。第2のソレノイド駆動回路135は、制御装置130からの指令の下でクラッチ56(図4参照)の状態を切り替えるクラッチ用ソレノイド73(図4参照)の駆動を制御するための回路である。
【0099】
制御装置130は、操作部20からの入力信号に基づいてROM等に格納されたパンの製造コース(製パンコース)に係るプログラムを読み出し、混練モータ駆動回路131を介して混練モータ50による混練ブレード101及び補完混練ブレード102または第2の混練ブレード120回転の制御、粉砕モータ駆動回路132を介して粉砕モータ60による粉砕ブレード92の回転の制御、ヒータ駆動回路133を介してシーズヒータ31による加熱動作の制御、第1のソレノイド駆動回路134を介して自動投入用ソレノイド16によるパン原料収納容器19の開口制御、第2のソレノイド駆動回路135を介してクラッチ用ソレノイド73によるクラッチ56の切替制御を行いながら、自動製パン器1にパンの製造工程を実行させる。
【0100】
また、制御装置130は、必要に応じてマイクロスイッチ34及び磁気センサ17の少なくとも一方の状態を確認し、自動製パン器1の異常を検知する。また、制御装置130は、なお、制御装置130による異常の検知方法や、異常の検知結果に応じた自動製パン器1の動作の制御方法の詳細については、後述する。
【0101】
以上のように、本実施形態においては、制御装置130が、自動製パン器1の異常の有無を検知する異常検知手段となっている。
(自動製パン器の動作)
次に、以上のように構成される自動製パン器1でパンを製造する場合の動作について説明する。ここでは、自動製パン器1によって米粒などの穀物粒を出発原料に用いてパンを製造する場合と、小麦粉や米粉などの製粉した粉を出発原料に用いてパンを焼き上げる場合と、を例に挙げて、自動製パン器1の動作を説明する。
【0102】
図16は、自動製パン器1によって実行される米粒用製パンコースと小麦粉製パンコースのそれぞれの流れを示す模式図である。図16(a)は、米粒用製パンコースの流れを示し、図16(b)は、小麦粉製パンコースを示す。上述のように、出発原料が穀物粒である米粒用製パンコースでは、第1のパン容器80が用いられ、出発原料が穀物粉である小麦粉製パンコースでは、第2のパン容器110が用いられる。
【0103】
図16(a)に示すように、米粒用製パンコースにおいては、浸漬工程と、粉砕工程と、休止工程と、練り(捏ね)工程と、発酵工程と、焼成工程と、がこの順番で順次に実行される。
【0104】
米粒用製パンコースを開始するにあたって、ユーザは、第1のパン容器80のブレード回転軸82にユニット用シャフト91を被せることによって、ブレードユニット90をブレード回転軸82に取り付ける。上述のように、ブレードユニット90がガード106を備える構成であるために、この作業時にユーザの指が粉砕ブレード92に触れることがなく、ユーザは安全に作業を行える。このブレードユニット90の取り付け作業後に、ユーザは、米粒、水、調味料(例えば食塩、砂糖、ショートニング等)をそれぞれ所定量ずつ計量して第1のパン容器80に入れる。また、ユーザは、パンの製造途中で自動投入される一部のパン原料を計量してパン原料収納容器19に入れる。
【0105】
なお、パン原料収納容器19に収納されるパン原料としては、例えば、グルテン、ドライイースト等が挙げられる。グルテンの代わりに、例えば小麦粉、増粘剤(グアガム等)及び上新粉のうちの少なくとも1つをパン原料収納容器19に収納するようにしてもよい。また、グルテン、小麦粉、増粘剤、上新粉等は用いずに、例えばドライイーストのみがパン原料収納容器19に収納されるようにしてもよい。更に、場合によっては、例えば食塩、砂糖、ショートニングといった調味料についてもパンの製造工程の途中で自動投入すべく、例えばグルテン、ドライイーストと共に、これらの原料をパン原料収納容器19に収納するようにしてもよい。この場合には、第1のパン容器80に予め投入しておくパン原料は米粒及び水(単なる水の代わりに、例えばだし汁のような味成分を有する液体、果汁やアルコールを含有する液体等でもよい)となる。
【0106】
この後、ユーザは、第1のパン容器80を焼成室30に入れ、更に、パン原料収納容器19を蓋40の保持部45に嵌め込む。そして、ユーザは蓋40を閉じ、操作部20によって米粒用製パンコースを選択し、スタートキーを押す。これにより、制御装置130は、米粒を出発原料に用いてパンを製造する米粒用製パンコースの制御動作を開始する。
【0107】
米粒用製パンコースがスタートされると、制御装置130の指令によって浸漬工程が開始される。浸漬工程では、第1のパン容器80に予め投入されたパン原料が静置状態とされ、この静置状態が予め定められた所定時間(本実施形態では30分)維持される。この浸漬工程は、米粒に水を含ませることによって、その後に行われる粉砕工程において、米粒を芯まで粉砕しやすくすることを狙う工程である。
【0108】
なお、米粒の吸水速度は水の温度によって変動し、水温が高いと吸水速度が高まり、水温が低いと吸水速度が低下する。このために、浸漬工程の時間は、例えば自動製パン器1が使用される環境温度等によって変動させるようにしてもよい。これにより、米粒の吸水度合いのばらつきを抑制することが可能になる。また、浸漬時間を短時間とするために、シーズヒータ31に通電して、焼成室30の温度が高められるようにしてもよい。
【0109】
また、浸漬工程の初期段階で粉砕ブレード92が回転されるようにしてもよく、更に、その後も、断続的に粉砕ブレード92が回転されるようにしてもよい。このようにすると、米粒の表面に傷をつけることができ、米粒の吸液効率が高められる。
【0110】
上記所定時間が経過すると、制御装置130の指令によって、浸漬工程が終了され、米粒を粉砕する粉砕工程が開始される。この粉砕工程では、米粒と水とが含まれる混合物の中で粉砕ブレード92が高速回転(例えば7000〜8000rpm)される。そのため、特にこの粉砕工程は、安全に行う必要がある。
【0111】
なお、粉砕モータ60を用いて粉砕ブレード92を回転させる場合、制御装置130は、クラッチ用ソレノイド73を駆動させて、クラッチ56が動力遮断を行うようにする(図4(a)の状態とする)。上述したように、このように制御しないとモータ破損の可能性があるからである。なお、粉砕ブレード92は、粉砕工程の初期段階では低速で回転され、その後、高速回転されるようにするのが好ましい。
【0112】
なお、粉砕工程においては、粉砕ブレード92の回転中に振動が発生するが、緩衝材107が第1のパン容器80と接触する構成を採用しているために、この振動によって生じる衝突音が緩和されるようになっている。
【0113】
粉砕工程における米粒の粉砕は、先に行われた浸漬工程によって米粒に水が浸み込んだ状態で実行されるために、米粒を芯まで容易に粉砕することができる。粉砕工程における粉砕ブレード92の回転は本実施形態では間欠回転とされる。この間欠回転は、例えば30秒回転して5分間停止するというサイクルで行われ、このサイクルが10回繰り返される。なお、最後のサイクルでは、5分間の停止は行わない。粉砕ブレード92の回転は連続回転としてもよいが、例えばパン容器80内の原料温度が高くなり過ぎることを防止する等の目的のために、間欠回転とするのが好ましい。
【0114】
なお、自動製パン器1においては所定の時間(本実施形態では50分)で粉砕工程が終了するようにしている。しかしながら、米粒の硬さのばらつきや環境条件によって粉砕粉の粒度にばらつきが生じることがある。このため、粉砕工程の終了が、粉砕モータ60の負荷の大きさ(例えば、モータの制御電流等で判断できる)を指標に判断される構成等としても構わない。
【0115】
粉砕工程が終了すると、制御装置130の指令によって休止工程が実行される。この休止工程は、粉砕工程によって上昇した第1のパン容器80内の内容物の温度を下げる冷却期間として設けられている。温度を下げるのは、次に行われる練り工程が、イーストが活発に働く温度(例えば30℃前後)で実行されるようにするためである。本実施形態では、休止工程は所定時間(30分)とされているが、場合によっては、第1のパン容器80の温度等が所定の温度となるまで、休止工程が行なわれる構成等としても構わない。
【0116】
休止工程が終了すると、制御装置130の指令によって練り工程が開始される。練り工程の開始にあたって、制御装置130はクラッチ用ソレノイド73を駆動して、クラッチ56が動力伝達を行うようにする(図4(b)の状態)。そして、制御装置130は混練モータ50を制御してブレード回転軸82を回転させる。
【0117】
なお、練り工程初期におけるブレード回転軸82の回転は、間欠回転或いは低速回転とするのが好ましい。また、混練ブレード101を折り畳み姿勢にすると、混練ブレード101の延長上に補完混練ブレード102が並ぶために、混練ブレード101があたかも大型化したかのようになってパン原料は力強く押され、生地の練り上げをしっかり行うことができるため、好ましい。
【0118】
混練ブレード101(この用語は、折り畳み姿勢においては、補完混練ブレード102を含む表現として用いる。以下同様。)の回転は、練り工程の初期においては非常にゆっくりとされ、段階的に速度が速められるように制御装置130によって制御される。混練ブレード101の回転が非常にゆっくりである練り工程の初期段階において、制御装置130は自動投入用ソレノイド16を駆動させて、パン原料収納容器19を開口する。これにより、例えば、グルテン、ドライイーストといったパン原料が、第1のパン容器80内に自動投入される。
【0119】
なお、本実施形態では、パン原料収納容器19に収納されるパン原料を、混練ブレード101が回転している状態で投入することにしているが、これに限定されず、混練ブレード101が停止している状態で投入してもよい。ただし、本実施形態のように、混練ブレード101が回転している状態でパン原料を投入するようにした方が、パン原料を均一に分散することができるので好ましい。
【0120】
パン原料収納容器19に収納されたパン原料が第1のパン容器80に投入された後は、混練ブレード101の回転によって、パン原料は所定の弾力を有する一つにつながった生地(dough)に練り上げられていく。混練ブレード101が生地を振り回して第1のパン容器80の内壁にたたきつけることにより、混練に「捏ね」の要素が加わることになる。混練ブレード101の回転によりドーム状カバー93も回転する。ドーム状カバー93が回転すると、ドーム状カバー93に形成されるリブ93eも回転するために、ドーム状カバー93内のパン原料は速やかに窓93dから排出され、混練ブレード101が混練しているパン原料の塊(生地)に同化する。
【0121】
自動製パン器1においては、練り工程の時間は、所望の弾力を有するパン生地が得られる時間として実験的に求められた所定の時間(本実施形態では10分)を採用する構成としている。ただし、練り工程の時間を一定とすると、環境温度等によってパン生地の出来上がり具合が変動する場合がある。このため、例えば、混練モータ50の負荷の大きさ(例えば、モータの制御電流等で判断できる)を指標に、練り工程の終了時点が判断される構成等としても構わない。
【0122】
なお、具材(例えばレーズン、ナッツ、チーズ等)入りのパンを焼く場合には、この練り工程の途中で投入するようにすればよい。
【0123】
練り工程が終了すると、制御装置130の指令によって発酵工程が開始される。この発酵工程では、制御装置130はシーズヒータ31を制御して、焼成室30の温度を、発酵が進む温度(例えば38℃)に維持する。そして、発酵が進む環境下で所定の時間(本実施形態では60分)放置される。
【0124】
なお、場合によっては、この発酵工程の途中で、混練ブレード101を回転してガス抜きや生地を丸める処理を行うようにしても構わない。
【0125】
発酵工程が終了すると、制御装置130の指令によって焼成工程が開始される。制御装置130はシーズヒータ31を制御して、焼成室30の温度を、パン焼きを行うのに適した温度(例えば125℃)まで上昇させる。そして、制御装置130は、焼成環境下で所定の時間(本実施形態では50分)パンを焼くように制御する。焼成工程の終了については、例えば操作部20の出力部21における表示や報知音等によってユーザに知らされる。ユーザは、製パン完了を検知すると、蓋40を開けて第1のパン容器80を取り出して、パンの製造を完了させる。
【0126】
なお、第1のパン容器80内のパンは、例えば、第1のパン容器80の開口を斜め下に向けることで取り出すことができる。そして、このパンの取り出しと同時に、ブレード回転軸82に取り付けられたブレードユニット90も第1のパン容器80から取り出される。ガード106の存在により、このパンの取り出し作業時にユーザは粉砕ブレード92に触れることがなく、ユーザは安全にパンの取り出し作業を行える。パンの底には、ブレードユニット90の混練ブレード101及び補完混練ブレード102(第1のパン容器80の凹部81から上側に突き出ている)の焼き跡が残る。しかし、ドーム状カバー93とガード106が凹部81の中に収容される構成であるために、それらがパンの底に大きな焼き跡を残すようなことは抑制される。
【0127】
一方、図16(b)に示すように、小麦粉製パンコースにおいては、練り(捏ね)工程と、一次発酵工程と、ガス抜き工程と、生地休め工程(ベンチタイムやねかしとも呼ばれる)と、生地丸め工程と、成型発酵工程と、焼成工程と、がこの順番で順次に実行される。
【0128】
小麦粉製パンコースを実行するにあたって、ユーザは、第2のパン容器110に、第2の混練ブレード120を取り付ける。そして、所定量の水を第2のパン容器110に入れた後、所定量の小麦粉、食塩、砂糖、ショートニングを入れ、最後に、ドライイーストを水に触れないように第2のパン容器110に入れる。なお、食塩、砂糖、ショートニングといった調味料は、ユーザの好みで、その量を適宜変更して構わない。この後、ユーザは、第2のパン容器110を焼成室30に入れて蓋40を閉じ、操作部20によって小麦粉製パンコースを選択し、スタートキーを押す。これにより、制御装置130によって小麦粉を出発原料に用いてパンを製造する小麦粉製パンコースが開始される。
【0129】
小麦粉製パンコースがスタートされると、制御装置130の指令によって練り工程が開始される。練り工程が開始されると、制御装置130は混練モータ50を制御して第2のブレード回転軸111を正方向回転させる。これにより、第2の混練ブレード120は低速、高トルクで回転される。なお、第2の混練ブレード120の回転は、例えば、練り工程の初期においては非常にゆっくりとされ、段階的に速度が速められるように制御装置130によって制御される。
【0130】
第2の混練ブレード120の回転により、第2のパン容器110内のパン原料は混練され、所定の弾力を有する一つにつながった生地(dough)に練り上げられていく。第2の混練ブレード120が生地を振り回して第2のパン容器110の内壁にたたきつけることにより、混練に「捏ね」の要素が加わることになる。この練り工程は、所望の弾力を有するパン生地が得られる時間として実験的に求められた所定の時間(本実施形態では12分)行われる。
【0131】
なお、具材(例えばレーズン、ナッツ、チーズ等)入りのパンを焼く場合には、この練り工程の途中で投入するようにすればよい。
【0132】
練り工程が終了すると、制御装置130の指令によってパン生地を発酵させる一次発酵工程が開始される。この一次発酵工程が開始されると、制御装置130はシーズヒータ31を制御して、焼成室30の温度を発酵が進む所定の温度(本実施形態では32℃)に維持させる。一次発酵工程は、本実施形態では48分50秒間行われる。
【0133】
一次発酵工程が終了すると、制御装置130の指令によってパン生地中に含まれるガスを抜くガス抜き工程が開始される。このガス抜き工程では、制御装置130は混練モータ50の駆動を制御して、第2の混練ブレード120を所定時間(本実施形態では10秒間)連続回転させる。また、このガス抜き工程では、焼成室30の温度を所定の温度に維持すべく、制御装置130はシーズヒータ31の制御も行う。
【0134】
ガス抜き工程が終了すると、制御装置130の指令によってパン生地を休ませる生地休め工程(ベンチタイム;「ねかし」と呼ばれることもある)が実行される。このベンチタイムにおいては、制御装置130はシーズヒータ31を制御し、焼成室30の温度を所定の温度(本実施形態では32℃)に維持させる。ベンチタイムは、本実施形態では35分30秒間)行われる。
【0135】
生地休め工程が終了すると、制御装置130の指令によってパン生地を丸める生地丸め工程が開始される。この生地丸め工程では、制御装置130は混練モータ50の駆動を制御し、第2の混練ブレード120を回転させる。この生地丸め工程では、第2の混練ブレード120は非常にゆっくりと所定の時間(本実施形態では1分30秒)回転される。
【0136】
生地丸め工程が終了すると、制御装置130の指令によってパン生地を再度発酵させる成型発酵工程が行われる。この成型発酵工程では、制御装置130はシーズヒータ31を制御し、焼成室30の温度を発酵が進む所定の温度(本実施形態では38℃)として、この状態を所定の時間(本実施形態では60分)維持させる。
【0137】
成型発酵工程が終了すると、制御装置130の指令によってパン生地を焼成する焼成工程が実行される。この焼成工程では、制御装置130がシーズヒータ31を制御して、焼成室30の温度を、パン焼きを行うのに適した温度(本実施形態では120℃)まで上昇させる。そして、焼成環境下で所定の時間(本実施形態では47分)パンを焼く。焼成工程の終了については、例えば操作部20の出力部21における表示や報知音等によってユーザに知らされる。ユーザは、製パン完了を検知すると、蓋40を開けて第2のパン容器110を取り出して、パンの製造を完了させる。
(異常検知動作)
次に、本実施形態の自動製パン器における異常検知動作について、図面を参照して説明する。図17は、自動製パン器1が製造コースを開始する前の異常検知動作を示すフローチャートである。図18は、自動製パン器1が製造コースを開始した後の異常検知動作を示すフローチャートである。
1.製造コース開始前
図17に示すように、製造コース開始前の異常検知動作では、最初に、ユーザによって製造コースが選択される(STEP1)。なお、このときユーザは、操作部20を介して、選択した製造コースの実行時刻(例えば、終了時刻)を指定する(予約する)ことも可能である。具体的に例えば、制御装置130は、図16(a)や図16(b)に示す製造コースの任意のタイミング(例えば、製造コースの最初や発酵の前など)に待機工程を挿入することで、ユーザが望む時間にパンの製造を完了する。この待機工程では、自動製パン器1の機械的な動作や加熱などの動作が、原則的に行われない。また、待機工程は、挿入されるタイミングによっては、所定の工程(例えば、ねかし工程)の一部としても解釈され得る。なお、この予約時に挿入される待機工程も、製造コースの一部を成すものとする。即ち、予約を伴う製造コースは、仮に待機工程が最初に行われたとしても、予約が確定したとき(後述するSTEP11)から製造コースが開始されるものとする。
【0138】
なお、STEP1において、制御装置130が、マイクロスイッチ34の状態(オンまたはオフ)を確認することで、第1のパン容器80が焼成室30内の収容位置に収容されているか否かを確認しても構わない。そして、例えば制御装置130が、第1のパン容器80が焼成室30内の収容位置に収容されていることを確認するとき、ユーザが操作部20を介して出発原料が穀物粉である製造コース(例えば、上述の小麦粉製パンコース)を選択しようとする指示(例えば、出力部21に小麦粉製パンコースを表示させる指示)を入力すると、異常を検知して出力部21を制御し、ユーザに対して製造コースの選択が異常(不可能)である旨を報知する。また例えば、制御装置130は、第1のパン容器80が焼成室30内の収容位置に収容されていないことを確認しているとき、ユーザが操作部20を介して出発原料が穀物粒である製造コース(例えば、上述の米粒用製パンコース)を選択しようとする指示(例えば、出力部21に米粒用製パンコースを表示させる指示)を入力すると、異常を検知して出力部21を制御し、ユーザに対して製造コースの選択が異常(不可能)である旨を報知する。さらに、制御装置130が、上記の異常を検知する場合、その異常の原因であるユーザの選択を受けつけなくても構わない。
【0139】
制御装置130は、STEP1で第1のパン容器を用いる製造コース(例えば、上述の米粒用製パンコース)が選択されたとき(STEP2、YES)、マイクロスイッチ34の状態(オンまたはオフ)を確認することで、第1のパン容器80が焼成室30内の収容位置に収容されているか否かを確認する(STEP3)。このとき、制御装置130が、第1のパン容器80が焼成室30内の収容位置に収容されていないこと(マイクロスイッチ34がオフ)を確認すると(STEP3、NO)、異常を検知して出力部21を制御し、ユーザに対してパン容器が異常であることを報知する(STEP4)。例えば、出力部21に「CASE」と表示する。
【0140】
さらに、制御装置130は、異常を検知する状態が、連続して(または、累計して)時間X(例えば、1分)を経過したか否かを確認する(STEP5)。制御装置130が、時間Xが経過していることを確認すると(STEP5、YES)、STEP1で選択された製造コースの実行を取り消し(STEP6)、終了する。例えば、製造コースが未選択の状態(スタンバイ状態)に戻る。なお、制御装置130が製造コースの実行を取り消すとき、出力部21を制御してその旨をユーザに対して報知しても構わない。
【0141】
一方、制御装置130は、時間Xが経過していないことを確認すると(STEP5、NO)、STEP2に戻り異常の検知を継続する。
【0142】
また、制御装置130は、STEP1で第1のパン容器を用いる製造コース(例えば、上述の米粒用製パンコース)が選択され(STEP2、YES)、第1のパン容器80が焼成室30内の収容位置に収容されていること(マイクロスイッチ34がオン)を確認すると(STEP3、YES)、磁気センサ17の状態を確認することで、蓋40が開いているか否かを確認する(STEP7)。このとき、制御装置130が、蓋40が開いている(磁気センサ17が永久磁石18の磁力を検知しない)ことを確認すると(STEP7、YES)、異常を検知して出力部21を制御し、ユーザに対して蓋40が異常であることを報知する(STEP8)。例えば、出力部21に「OPEN」と表示する。その後、制御装置130は、上述したSTEP5を行う。
【0143】
これに対して、制御装置130は、STEP1で第1のパン容器を用いない製造コース(例えば、上述の小麦粉製パンコース)が選択されたとき(STEP2、NO)も、マイクロスイッチ34の状態(オンまたはオフ)を確認することで、第1のパン容器80が焼成室30内の収容位置に収容されているか否かを確認する(STEP9)。ただし、このときは、制御装置130が、第1のパン容器80が焼成室30内の収容位置に収容されていること(マイクロスイッチ34がオン)を確認すると(STEP9、YES)、異常を検知して上述のSTEP4を行う。一方、制御装置130が、第1のパン容器80が焼成室30内の収容位置に収容されていないこと(マイクロスイッチ34がオフ)を確認すると(STEP9、NO)、上述のSTEP7を行う。
【0144】
ところで、制御装置130が、STEP7で蓋40が閉じている(磁気センサ17が永久磁石18の磁力を検知する)ことを確認すると(STEP7、NO)、異常を検知しないものとして、製造コースの時間調整を行う(STEP10)。この製造コースの時間調整とは、例えば、上述のように制御装置130が異常を検知する場合に、ユーザがその異常を解消するために要した時間(製造コースの開始が遅れた時間)を、動作制御に反映させるものである。例えば、制御装置130は、これまでに算出していた製造コースの終了時刻に上記の時間を加算することで、新たな終了時刻を算出する。このとき、制御装置130は、出力部21を制御することで、当該新たな終了時刻をユーザに対して報知しても構わない。なお、制御装置130は、製造コースの中に短縮可能な工程(短縮してもパン等の完成度や自動製パン器1の安全性に影響を与え難い工程、例えば、予約を伴う製造コースにおける待機工程など)がある場合、当該工程を短縮化することで、終了時刻を維持しても構わない。
【0145】
そして、制御装置130は、必要に応じてSTEP10で製造コースの時間調整を行うと、製造コースを開始する(STEP11)。
【0146】
制御装置130が上記のように異常検知動作を行うことで、例えば、第1のパン容器80と第2のパン容器110との取り違えや、第1のパン容器80が焼成室30内の収容位置(正しく動作し得る位置)に収容されていないこと、蓋40が開いていることを、異常として検知する。さらに、制御装置130は、製造コースを開始する前に、この異常の有無を検知する。そのため、このような異常な状態で、製造コースが実行されて安全性が害されることを、抑制することが可能になる。
【0147】
また、制御装置130が異常を検知した状態で、時間Xが経過したときに、製造コースを実行せず取り消すことができる。そのため、異常が解消しない場合に無駄に待機することを、抑制することが可能になる。
【0148】
なお、図17に示す例では、パン容器の異常及び蓋40の異常のどちらを検知する場合であっても、共通の時間Xの経過を確認することとしているが、それぞれの異常を検知する場合に異なる時間の経過を確認しても構わない。
【0149】
また、制御装置130は、異常の検知によって製造コースの開始が遅れる場合に、製造コースの時間調整を行う。そのため、製造コースが短縮化されてパン等の完成度が低下したり、自動製パン器1の安全性が低下したりすることを、抑制することが可能になる。さらに、制御装置130は、仮に製造コースの終了時刻が遅くなったとしても、出力部21を制御して、ユーザに対して正しい終了時刻を報知する。そのため、ユーザは、正しい終了時刻を認識することが可能になる。
2.製造コース開始後
図18に示すように、製造コース開始後の異常検知動作では、最初に、制御装置130が異常を検知すべきタイミング(以下、異常検知タイミングとする)が否かを確認する(STEP110)。異常検知タイミングとは、安全性の確保が必要になる工程を行う前や、当該工程が行われている途中である。当該工程には、少なくとも粉砕工程が含まれる。なお、このような工程は、第1のパン容器80を用いる製造コースにのみ含まれ、第2のパン容器110を用いる製造コースには含まれないこともあり得る。ただし、以下では説明の一般化のため、第2のパン容器110を用いる製造コースにも、安全性の確保が必要になる工程があるものとする。
【0150】
制御装置130が、異常検知タイミングであることを確認するとき(STEP110、YES)、第1のパン容器を用いる製造コース(例えば、上述の米粒用製パンコース)を実行していれば(STEP111、YES)、マイクロスイッチ34の状態(オンまたはオフ)を確認することで、第1のパン容器80が焼成室30内の収容位置に収容されているか否かを確認する(STEP112)。このとき、制御装置130が、第1のパン容器80が焼成室30内の収容位置に収容されていないこと(マイクロスイッチ34がオフ)を確認すると(STEP112、NO)、異常を検知して実行中の製造コースを停止する。さらに、制御装置130は、出力部21を制御して、ユーザに対してパン容器が異常であることを報知する(STEP113)。例えば、出力部21に「CASE」と表示する。
【0151】
さらに、制御装置130は、異常を検知する状態が、連続して(または、累計して)時間Y(例えば、10分)を経過したか否かを確認する(STEP114)。制御装置130が、時間Yが経過していることを確認すると(STEP114、YES)、実行を停止していた製造コースの実行を中止するとともに、出力部21を制御して製造コースを中止した旨をユーザに対して報知して(STEP115)、終了する。
【0152】
一方、制御装置130は、時間Yが経過していないことを確認すると(STEP114、NO)、STEP110に戻り異常の検知を継続する。
【0153】
また、制御装置130は、異常検知タイミングであることを確認し(STEP110、YES)、第1のパン容器を用いる製造コース(例えば、上述の米粒用製パンコース)を実行しており(STEP111、YES)、第1のパン容器80が焼成室30内の収容位置に収容されていること(マイクロスイッチ34がオン)を確認すると(STEP112、YES)、磁気センサ17の状態を確認することで、蓋40が開いているか否かを確認する(STEP116)。このとき、制御装置130が、蓋40が開いている(磁気センサ17が永久磁石18の磁力を検知しない)ことを確認すると(STEP116、YES)、異常を検知して実行中の製造コースを停止する。さらに、制御装置130は、出力部21を制御して、ユーザに対して蓋40が異常であることを報知する(STEP117)。例えば、出力部21に「OPEN」と表示する。その後、制御装置130は、上述したSTEP114を行う。
【0154】
これに対して、制御装置130は、異常検知タイミングであることを確認し(STEP110、YES)、第1のパン容器を用いない製造コース(例えば、上述の小麦粉製パンコース)を実行している場合(STEP111、NO)、上述のSTEP116を行う。
【0155】
ところで、制御装置130が、STEP116で蓋40が閉じている(磁気センサ17が永久磁石18の磁力を検知する)ことを確認すると(STEP116、NO)、異常を検知しないものとして、製造コースの時間調整を行う(STEP118)。この製造コースの時間調整とは、例えば、上述のように制御装置130が異常を検知する場合に、ユーザがその異常を解消するために要した時間(製造コースの停止から再開までにかかった時間)や、製造コースの停止及び再開により必要となる時間(工程のやり直しや追加がある場合は、当該工程に要する時間)を、動作制御に反映させるものである。例えば、制御装置130は、これまでに算出していた製造コースの終了時刻に上記の時間を加算することで、新たな終了時刻を算出する。このとき、制御装置130は、出力部21を制御することで、当該新たな終了時刻をユーザに対して報知しても構わない。なお、制御装置130は、製造コースの中に短縮可能な工程(短縮してもパン等の完成度や自動製パン器1の安全性に影響を与え難い工程、例えば、予約を伴う製造コースにおける待機工程など)がある場合、当該工程を短縮化することで、終了時刻を維持しても構わない。
【0156】
そして、制御装置130は、必要に応じてSTEP118の製造コースの時間調整を行い、製造コースが終了していれば(STEP119、YES)、終了する。一方、制御装置130は、製造コースが未だに終了していなければ(STEP119、NO)、実行中の製造コースを続行または停止している製造コースを再開して(STEP120)、STEP110に戻り異常の検知を継続する。
【0157】
なお、制御装置130は、異常検知タイミングではないことを確認する場合(STEP110、NO)、上述のSTEP119を行う。
【0158】
制御装置130が上記のように異常検知動作を行うことで、例えば、第1のパン容器80が焼成室30内の収容位置(正しく動作し得る位置)に収容されていないことや、蓋40が開いていることを、粉砕工程を行う際に異常として検知する。そのため、粉砕工程の安全性をより高めることが可能になる。
【0159】
また、制御装置130が異常を検知した状態で、時間Yが経過したときに、製造コースを中止することができる。そのため、異常が解消しない場合に無駄に待機することを、抑制することが可能になる。
【0160】
なお、図18に示す例では、パン容器の異常及び蓋40の異常のどちらを検知する場合であっても、共通の時間Yの経過を確認することとしているが、それぞれの異常を検知する場合に異なる時間の経過を確認しても構わない。
【0161】
また、制御装置130は、異常の検知によって製造コースの実行を停止し、異常が検知されなくなった後に再開する場合に、製造コースの時間調整を行う。そのため、製造コースが短縮化されてパン等の完成度が低下したり、自動製パン器1の安全性が低下したりすることを、抑制することが可能になる。さらに、制御装置130は、仮に製造コースの終了時刻が遅くなったとしても、出力部21を制御して、ユーザに対して正しい終了時刻を報知する。そのため、ユーザは、正しい終了時刻を認識することが可能になる。
【0162】
以上のように、穀物粒を出発原料としてパンを製造する自動製パン器1では、粉砕ブレード92が高速回転する粉砕工程において、安全性の確保が必要となる。本実施形態の自動製パン器1では、制御装置130が粉砕工程における異常の有無を検知するため、粉砕工程における安全性を確保することができる。したがって、本実施形態の自動製パン器1は、パンを安全に製造することが可能である。
(その他)
以上に示した自動製パン器の実施形態は本発明の一例であり、本発明が適用される自動製パン器の構成は、以上に示した実施形態に限定されるものではない。
【0163】
例えば、以上に示した実施形態では、パン原料収納容器19が蓋40に取り付けられる構成を示したが、場合によっては、パン原料収納容器19は、本体10に取り付けられるようにしてもよい。また、製造コースによっては、パン原料収納容器19に、レーズンやナッツ等の具材入りパンを製造する場合の具材を入れることも可能である。
【0164】
また、以上に示した実施形態においては、穀物粒として米粒が例示され、自動製パン器の構成及び動作が説明された。しかし、本発明は、例えば小麦、大麦、粟、稗、蕎麦、とうもろこし、大豆等の米粒以外の穀物粒が出発原料として用いられる場合にも、適用可能である。
【0165】
また、以上に示した製造コース(米粒用製パンコース及び小麦粉製パンコース)は例示であり、他の製造フローとしてもよい。一例を挙げると、米粒用製パンコースにおいて、粉砕工程後の休止工程を省いてもよい。
【0166】
また、以上に示した実施形態では、粉砕ブレード92及び混練ブレード101がブレードユニット90に含まれ、ブレード回転軸82に一体的に取り付けられる(取り外される)構成とした。しかし、この構成に限らず、粉砕ブレード92及び混練ブレード101は、別々にブレード回転軸82に取り付けられる構成であっても構わない。また、場合によっては、粉砕ブレードと混練ブレードとを別々とせず、粉砕機能と混練機能とを発揮する1つのブレードのみを備える構成等としても構わない。
【0167】
また、以上に示した実施形態では、粉砕ブレード92によって穀物粒が粉砕される場合と、混練ブレード101によってパン生地が練り上げられる場合とで、別々のモータが使用される構成とした。しかし、本発明の自動製パン器は、この構成に限定される趣旨ではない。すなわち、例えば1つのモータのみが備えられる構成とし、粉砕ブレード92によって穀物粒が粉砕される場合と、混練ブレード101によってパン生地が練り上げられる場合とで、同一のモータを使用する構成としても構わない。
【0168】
また、以上においては、生地の製造工程(浸漬工程、粉砕工程及び練り工程)、発酵工程及び焼成工程の、パンの製造にかかる全ての工程を実行し得る自動製パン器1について例示したが、本発明の自動製パン器は、必ずしもこれら全ての工程を実行可能なものに限られない。例えば、上記工程のうち、生地の製造工程を除く少なくとも一つの工程を実行し得ないものも、本発明の自動製パン器に含まれ得る。この場合、実行し得ない工程に関する構成(例えば、シーズヒータ31やヒータ駆動回路133)は、自動製パン器に備えられなくても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0169】
本発明は、家庭用の自動製パン器に好適である。
【符号の説明】
【0170】
1 自動製パン器
10 本体
17 磁気センサ、蓋開閉検知センサ(蓋開閉検知手段)
18 永久磁石
21 出力部(異常報知手段、終了時刻報知手段)
30 焼成室
32a,32b ガイド部
33 可動部
34 マイクロスイッチ(第1のパン容器検知手段)
40 蓋(蓋部)
80 第1のパン容器
84a,84b 突出部
85a 切欠部
110 第2のパン容器
130 制御装置(異常検知手段、終了時刻算出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀物粒を出発原料としてパンを製造する第1の製造工程を実行し得る自動製パン器であって、
異常を検知する異常検知手段が設けられ、
前記第1の製造工程中の、穀物粒を粉砕する工程が行われる前及び途中の少なくとも一方で、前記異常検知手段が異常の有無を検知することを特徴とする自動製パン器。
【請求項2】
前記第1の製造工程を実行する際に、第1のパン容器が焼成室に収容されるものであり、
前記第1のパン容器が前記焼成室内の収容位置に収容されているか否かを検知する第1のパン容器検知手段が、さらに設けられ、
前記第1の製造工程中の、穀物粒を粉砕する工程が行われる前及び途中の少なくとも一方で、前記第1のパン容器検知手段が、前記第1のパン容器が前記焼成室内の前記収容位置に収容されていないことを検知する場合に、前記異常検知手段が異常を検知することを特徴とする請求項1に記載の自動製パン器。
【請求項3】
前記第1の製造工程中の、穀物粒を粉砕する工程が行われる前及び途中の少なくとも一方で、前記異常検知手段が異常を検知するとき、前記第1の製造工程が停止され、
前記異常検知手段が、第1時間が経過する前に当該異常を検知しなくなる場合、前記第1の製造工程が再開され、
前記異常検知手段が、前記第1時間が経過しても当該異常を検知する場合、前記第1の製造工程が中止されることを特徴とする請求項2に記載の自動製パン器。
【請求項4】
穀物粉を出発原料に用いる第2の製造工程を実行し得るとともに、当該第2の製造工程を実行する際に、第2のパン容器が焼成室に収容されるものであり、
前記第1の製造工程を開始する前に、前記第1のパン容器検知手段が、前記第1のパン容器が前記焼成室内の前記収容位置に収容されていないことを検知する場合、及び、
前記第2の製造工程を開始する前に、前記第1のパン容器検知手段が、前記第1のパン容器が前記焼成室内の前記収容位置に収容されていることを検知する場合、の少なくとも一方の場合に、
前記異常検知手段が異常を検知することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の自動製パン器。
【請求項5】
前記第1の製造工程または前記第2の製造工程を開始する前に、前記異常検知手段が異常を検知するとき、
前記異常検知手段が、第2時間が経過する前に当該異常を検知しなくなる場合、前記第1の製造工程または前記第2の製造工程が開始され、
前記異常検知手段が、前記第2時間が経過しても当該異常を検知する場合、前記第1の製造工程または前記第2の製造工程の実行が取り消されることを特徴とする請求項4に記載の自動製パン器。
【請求項6】
前記第1のパン容器は、その底壁が前記焼成室の底壁に向けられた状態で前記焼成室内に挿入されることで、前記焼成室内の前記収容位置に収容されるものであり、
前記第1のパン容器検知手段が、
前記第1のパン容器の側壁から外側に突出する突出部と、
少なくとも一部が前記焼成室の側壁から内側に突出するとともに、前記第1のパン容器が挿入される方向に沿って可動する可動部と、
前記可動部に押される状態と押されない状態とを検知するスイッチ部と、を備え、
前記第1のパン容器が前記焼成室内の前記収容位置に収容されていないとき、前記スイッチ部が前記可動部に押されないことで、前記第1のパン容器検知手段は前記第1のパン容器が前記焼成室内の前記収容位置にないことを検知し、
前記第1のパン容器が前記焼成室内の前記収容位置に収容されるとき、前記突出部は前記第1のパン容器が挿入される方向に前記可動部を押し、当該可動部に前記スイッチ部が押されることで、前記第1のパン容器検知手段が前記第1のパン容器が前記焼成室内の前記収容位置に収容されていることを検知することを特徴とする請求項2〜請求項5のいずれかに記載の自動製パン器。
【請求項7】
少なくとも前記可動部が設けられる前記焼成室の側壁に、所定の幅を有し前記第1のパン容器が挿入される方向に延在するガイド部が設けられ、
前記突出部が、前記ガイド部の前記所定の幅と略等しい幅の切欠部を有し、
前記第1のパン容器が前記焼成室内に挿入されて前記収容位置に収容されるとき、前記突出部の前記切欠部と前記ガイド部とが嵌合することを特徴とする請求項6に記載の自動製パン器。
【請求項8】
前記焼成室を遮蔽する蓋部の開閉を検知する蓋開閉検知手段が、さらに設けられ、
前記第1の製造工程中の、穀物粒を粉砕する工程が行われる前及び途中の少なくとも一方で、前記蓋開閉検知手段が、前記蓋部が開いていることを検知する場合に、前記異常検知手段が異常を検知することを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の自動製パン器。
【請求項9】
前記第1の製造工程中の、穀物粒を粉砕する工程が行われる前及び途中の少なくとも一方で、前記異常検知手段が異常を検知するとき、前記第1の製造工程が停止され、
前記異常検知手段が、第3時間が経過する前に異常を検知しなくなる場合、前記第1の製造工程が再開され、
前記異常検知手段が、前記第3時間が経過しても異常を検知する場合、前記第1の製造工程が中止されることを特徴とする請求項8に記載の自動製パン器。
【請求項10】
所定の製造工程を開始する前に、前記蓋開閉検知手段が、前記蓋が開いていることを検知する場合に、
前記異常検知手段が異常を検知することを特徴とする請求項8または請求項9に記載の自動製パン器。
【請求項11】
所定の製造工程を開始する前に、前記異常検知手段が異常を検知するとき、
前記異常検知手段が、第4時間が経過する前に当該異常を検知しなくなる場合、当該所定の製造工程が開始され、
前記異常検知手段が、前記第4時間が経過しても当該異常を検知する場合、当該所定の製造工程の実行が取り消されることを特徴とする請求項10に記載の自動製パン器。
【請求項12】
異常をユーザに報知する異常報知手段がさらに設けられ、
前記異常検知手段が異常を検知する場合、当該異常を前記異常報知手段がユーザに報知することを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれかに記載の自動製パン器。
【請求項13】
所定の製造工程の終了時刻を算出する終了時刻算出手段がさらに設けられ、
前記異常検知手段が、異常を検知した後に当該異常を検知しなくなることで、当該所定の製造工程が遅れて開始される、または、当該所定の製造工程が停止後に再開される場合、
前記終了時刻算出手段は、当該所定の製造工程が遅れて開始される、または、当該所定の製造工程が停止後に再開されることで、必要になる時間だけ、当該所定の製造工程の終了時刻が遅くなるように、当該所定の製造工程の終了時刻を算出することを特徴とする請求項1〜請求項12のいずれかに記載の自動製パン器。
【請求項14】
前記終了時刻算出手段が算出する終了時刻を報知する終了時刻報知手段が、さらに設けられることを特徴とする請求項13に記載の自動製パン器。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−100795(P2012−100795A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−250478(P2010−250478)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】