説明

自動車のドア装置

【課題】特に四人乗りクーペ型乗用車の、前部座席乗員が着座中に後部座席乗員が乗り降りできる実用的な長尺ドアを実現すること。さらには、特許文献5の課題、前座席乗員と後座席乗員が乗り降りする時には、前座席または後座席の一方の乗員が乗り降りした後一度ドアを閉めて再度ドアを開けないと他方の乗り降りができなかったことを解決することである。
【解決手段】一方の端部が車体開口部5の後端部に連結し他方の端部がドア4と連結するリンクからなる第2の連結手段を備え、前後二列の座席の前後方向の範囲まで開放できるスウィング方式の長尺前側開きドアとし、閉止される第1のドアの状態、前座席2の前後方向の範囲のみが開放される第2のドアの状態、前座席2および後座席3の前後方向の範囲が開放される第3のドアの状態の三つの状態間の遷移制御を行う二段開きドアとすることである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
自動車のドアの開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明のドア装置は、自動車の、特にクーペ型自動車の前後二列の座席の自動車の前後方向の範囲を単独でカバーする長尺ドアであって、Bピラーのないデザインを可能にし、前座席乗員が着座している状態での後座席乗員の乗り降りも容易にするドア装置である。
【0003】
自動車の側面に設けられた長尺ドアの既存の開閉方式には三方式ある。第1の方式は長尺ガルウィングドア方式で生産販売されている例はないが、コンセプトモデルとしては、シトローエン・イプノス(Paris Show 2008、富士重工業ハイブリッドツアラーコンセプト(Tokyo Motor Show 2009)等が発表されている。それらはデザイン上の理由でドア上端部に設けられたヒンジのみで開放状態のドアの支持を行っている。しかし、実用的な長尺ガルウィングドア方式では、第一にドア上端部に開閉のためのヒンジが装着されるため車体屋根部の剛性とドアの窓枠の剛性の問題があり、第二にドア支持機構を設けるためにドア前ピラー(Aピラー)とドア後方ピラー(Bピラー)が太くなる問題がある。それらは、車体とドアの重量が大きく、重心を高くする問題がある。
【0004】
第2の方式は二重ヒンジで前方に開放する長尺ドアである。ドアの開口を大きくして後座席乗員の乗り降りを容易にするものである。例としてルノー アヴァンタイム(フランス 2004年で生産終了)がある。それは1.4mの前方に開放する長尺ドアを有するが、本発明のドア装置のように前後二列の座席の自動車の前後方向の範囲を単独でカバーするものでないので、前座席2を移動するか倒さないと後座席乗員の乗り降りが困難であり、ドアを大きく開口しないと前座席2の乗員の乗り降りが困難であり、ドアを大きく開口するには自動車の側方に大きなスペースを必要とする。二重ヒンジを用いたドア装置の特許文献としては特許文献1、特許文献2、特許文献3がある。それらは本発明の長尺ドアではなく、前座席乗員が着座している状態での後座席乗員の乗り降りも容易にものでない。
【特許文献1】特開平5-112126
【特許文献2】特開平5-112129
【特許文献3】特開平5-113074
【0005】
第3の方式は長尺両開きドアであり、生産販売している例もコンセプトモデルとしての発表の例もない。前後二列の座席の自動車の前後方向の範囲を単独でカバーする長尺両開きドアの特許文献としては特許文献4、特許文献5がある。それらの長尺両開きドアは、ドアの開閉と支持を行う部材の存在により、前座席乗員と後座席乗員の双方が乗り降りする場合に一度ドアを閉めてドアの反対側を開けなければならない問題がある。
【特許文献4】国際特開2005/111352
【特許文献5】特開2008-174224号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、特に四人乗りクーペ型乗用車の、前部座席乗員が着座中に後部座席乗員が乗り降りできる実用的な長尺ドアを実現すること。さらには、特許文献5の課題、前座席乗員と後座席乗員が乗り降りする時には、前座席2または後座席3の一方の乗員が乗り降りした後一度ドアを閉めて再度ドアを開けないと他方の乗り降りができなかったことを解決することである。また、クーペ型自動車が、後座席3に比べて前座席2の快適性を重視することを考慮して、長尺ドアの構造の単純化と軽量化を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
長尺ドアの開放する範囲を、通常は前席の範囲とし、必要に応じて前席と後席をカバーする範囲とする。そのために、特許文献5のドア装置について、四つの変更を行う。第1の変更は両開きドアから前側開き(片方向開き)ドアとすることであり、第2の変更はドア開放範囲をドアと同じ範囲すなわち前後二列の座席の自動車の前後方向の範囲まで拡大することであり、第3の変更は、閉止される第1のドアの状態、前座席2の前後方向の範囲のみが開放される第2のドアの状態、前座席2および後座席3の前後方向の範囲が開放される第3のドアの状態の三つの状態間の遷移制御を行う二段開きドアとすることである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のドア装置の前座席2の前後方向の範囲のみが開放される第2のドアの状態は、前席乗員の快適な乗り降りと乗り降りに必要な車体1の側面のスペースの相反する問題を解決した。また、前座席2および後座席3の前後方向の範囲が開放される第3のドアの状態は、前座席乗員が着座したまま座席を移動することなく、後席乗員が乗り降りすることを可能にした。従って、本発明はクーペ型自動車に要求される前座席2の快適さを実現したものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は二段スウィング方式の長尺前側開きドアである。本発明のドア装置の基本的な構成は、ドア4と開口部5、二つの第1の連結手段、第2の連結手段、ドア4の開閉操作の入力を受付ける入力装置10、制御装置20からなり、制御装置20は、入力装置10からの信号を受けて、閉止される第1のドアの状態、前座席2の前後方向の範囲のみが開放される第2のドアの状態、前座席2および後座席3の前後方向の範囲が開放される第3のドアの状態の三つの状態間の遷移の制御を行う。第1の連結手段は、ロックソレノイド34a, 34bとロックピン35a,35bの組合せ、第2の連結手段は、リンク111,211,212,311,312,411,412と回転駆動機構121,122,221,222,223,321,322,323,421,422,423の組合せであり、入力装置10は、例えばリモート操作盤10であり、制御装置20は入力制御部21、記憶装置22と出力制御部23からなる。
【0010】
図1は本発明のモデル一覧を示す図である。二段スウィング方式の長尺前側開きドアには、第2の連結手段の構造と動作によって分類される四つの方式、すなわち、実施例1に示す単リンク機構の二段スウィング方式(Model-151)、実施例2に示す二重リンク機構Aの二段スウィング方式(Model-152)、実施例3に示す二重リンク機構Bの二段スウィング方式(Model-153)、実施例4に示す折畳み二段スウィング方式(Model-154)のがある。また、図2から図7は図1に示した四つの方式のさらに詳細な動作によって分類した方式、Model-1511a,b,c,d,e,f,g,Model-1512a,b,c,d,e,f,g,Model-1513a,b,c,d,Model-1514b,c,dについての動作説明図である。図8から図16は図2から図7で示した方式から選択した代表的なモデル、Model-1511c, Model-1512b, Model-1513a, Model-1514bについての構成図である。また、図17は本発明の実施例5のドア4と車体1を一体の構造物にするトラス構造6についてのModel-151bの例で示した概念図、図18はModel-151に共通のリモート操作盤10の外観図である。図19はModel-151に共通の制御システム構成図、図20から図25はModel-151に共通の制御装置のフロー図である。
【実施例1】
【0011】
実施例1はModel-1511に関するものである。Model-1511の第2の連結手段は単リンク機構であって、リンク111、第1回転駆動機構121、第2回転駆動機構122で構成される。図2と図3によって、Model-1511a,b,c,d,e,f,gの動作を説明する。Model-1511aの動作について、閉止される第1のドアの状態から前座席2の前後方向の範囲のみが開放される第2のドアの状態への遷移、第2のドアの状態から前座席2および後座席3の前後方向の範囲が開放される第3のドアの状態への遷移は双方ともドア4の平行移動である。Model-1511bの動作について、第1のドアの状態から第2のドアの状態への遷移はドア4の平行移動であり、第2のドアの状態から第3のドアの状態への遷移はドア4の回転である。Model-1511cの動作について、第1のドアの状態から第2のドアの状態への遷移はドア4の回転であり、第2のドアの状態から第3のドアの状態への遷移はドア4の平行移動である。Model-1511dの動作について、第1のドアの状態から第2のドアの状態への遷移と第2のドアの状態から第3のドアの状態への遷移はドア4の回転である。Model-1511eの動作について、第1のドアの状態から第2のドアの状態への遷移はドア4の平行移動であり、第2のドアの状態から第3のドアの状態への遷移はドア4のModel-1511bとは逆方向の回転と平行移動である。Model-1511fの動作について、第1のドアの状態から第2のドアの状態への遷移はドア4のModel-1511b等とは逆方向の回転と平行移動であり、第2のドアの状態から第3のドアの状態への遷移はドア4の平行移動である。Model-1511gの動作について、第1のドアの状態から第2のドアの状態への遷移はドア4のModel-1511bとは逆方向の回転と平行移動であり、第2のドアの状態から第3のドアの状態への遷移もドア4のModel-1511bとは逆方向の回転である。
【0012】
図8、図9はModel-1511の代表的なモデルであるModel-1511cの構造図であり、図8(a)は第1のドアの状態の背面図、図8(b)は同正面図、図9(a)は第1のドアの状態、図9(b)は第2のドアの状態、図9(c)は第3のドアの状態の平面図である。車体側ブラケット31は車体1の開口部5に装着され、ドア側ブラケット32はドア4に装着される。第1の連結手段はロックソレノイド(前側)34a、ロックソレノイド(後側)34bとそれに直角に配置されたロックピン(前側)35a、ロックピン(後側)35bで構成され、車体側ブラケット31の前端部と後端部において車体側ブラケット31とドア側ブラケット32の着脱を行う。第2の連結手段はリンク(Model-1511)111、第1回転駆動機構(Model-1511)121、第2回転駆動機構(Model-1511)122で構成され、第1回転駆動機構(Model-1511)121はリンク(Model-1511)111の一方の端部と車体側ブラケット31の後端部を連結し、第2回転駆動機構(Model-1511)122はリンク(Model-1511)111の他方の端部とドア側ブラケット32の中央部を連結する。
【0013】
図18はModel-151に共通のリモート操作盤10の外観図である。セーフティスイッチ11の部分を把持することにより、操作が可能になる。左右のドアに対応した、Open1/2スイッチ12、Openスイッチ13、Closeスイッチ14が配置されている。操作信号は無線によって車体1に装着された制御装置に送信される。車体1のコンソール等にも同様の操作盤を装着する。
【0014】
図19はModel-151に共通の制御システム構成図である。制御装置20は入力制御部21、記憶装置22、出力制御部23からなる。入力制御部21はリモート操作盤10、ドア位置センサー(前側)33a、ドア位置センサー(後側)33bの入力信号を受け、記憶装置22から制御プログラムを読出して出力装置に送信し、記憶装置22はModel-1511,1512,1513,1514のそれぞれに対応した、第1のドアの状態、第2のドアの状態、第3のドアの状態の三つの状態間の遷移を行うための制御プログラムと現在のドアの状態の情報を記憶し、出力制御部23は取得した制御プログラムによって、ロックソレノイド(前側)34a、ロックソレノイド(後側)34bと第1回転駆動機構121,221,321,421、第2回転駆動機構122,222,322,422、第3回転駆動機構223,323,423を駆動する。Model-1511と他のモデルとの差異はModel-1511には第3回転駆動機構がないことである。
【0015】
図20から図25はModel-151に共通の制御フロー図である。図20はリモート操作盤10がスイッチの操作を検出する制御フロー、図21は入力制御部21が現在のドアの状態から目的のドアの状態に遷移するための制御プログラムを記憶装置22から読み出すフロー図、図22は出力制御部23が入力制御部21から取得した制御プログラムを識別してそれに対応するサブルーチンを起動するフロー、図23は第1のドアの状態から第2のドアの状態または第3のドアの状態に遷移する制御を行うサブルーチン(12,13)のフロー、図24は第2のドアの状態または第3のドアの状態から第1のドアの状態に遷移する制御を行うサブルーチン(21,31)のフロー、図25は第2のドアの状態または第3のドアの状態から第3のドアの状態または第2のドアの状態に遷移する制御を行うサブルーチン(23,32)のフローである。Model-1511と他のモデルとの差異はModel-1511にはステップS41、ステップS50、ステップS60の第3回転駆動機構プログラム駆動がないことである。
【0016】
Model-1511の代表的なモデルであるModel-1511cの、閉止された第1のドアの状態から前座席2の前後方向の範囲のみが開放された第2のドアの状態に遷移する制御について、図8、図9と図18から図25で説明する。リモート操作盤10は、ステップS10でセーフティスイッチ11が押されたこと、ステップS13で左Open1/2スイッチ13が押されたことを検出し、ステップS14で左Open1/2信号を無線で送信する。制御装置20の入力制御部21は、ステップS20で記憶装置22からドアが第1のドアの状態であることを示すパラメータX=1を読み出し、ステップS22で左Open1/2信号を受信するとパラメータY=2とし、ステップS24で制御プログラム(XY=12)を記憶装置22から読み出し、ステップS25で制御プログラム(XY=12)を出力制御部23に送信する。出力制御部23は、ステップS30で制御プログラム(XY=12)を受信し、ステップ31で制御プログラムのパラメータがX=1であることを検出するとサブルーチン(制御(12,13))を実行し、ステップS34で制御終了信号を入力制御部21に送信する。出力制御部23は、サブルーチン(制御(12,13))の、ステップS40でロックロックソレノイド(前側)34aとロックロックソレノイド(後側)34bとロックロックソレノイド(中央)34cを解除し、ステップS41で第1回転駆動機構(Model-1511)121と第2回転駆動機構(Model-1511)122を駆動して、第1のドアの状態を基準として、第1回転駆動機構(Model-1511)121の回転角が0°からθ1aに、第2回転駆動機構(Model-1511)122を回転角が0°からθ2aになるように制御することによって、ドア側ブラケット32は第1のドアの状態から前側が回転開放した第2のドアの状態に遷移する。入力制御部21は、ステップS26で制御終了信号を受信すると、ステップS27でドア状態情報を第2のドアの状態であることを示すパラメータX=2とする。
【0017】
続いて、Model-1511cの、第2のドアの状態から前座席2および後座席3の前後方向の範囲が開放される第3のドアの状態に遷移する制御について、前記第1のドアの状態から第2のドアの状態に遷移する制御との差分を説明する。リモート操作盤10は、ステップS11で左Openスイッチ12が押されたことを検出し、ステップS12で左Open信号を無線で送信する。制御装置20の入力制御部21は、ステップS20で記憶装置22からドアが第2のドアの状態であることを示すパラメータX=2を読み出し、ステップS23で左Open信号を受信するとパラメータY=3とし、ステップS24で記憶装置22から制御プログラム(XY=23)を読み出し、ステップS25で制御プログラム(XY=23)を出力制御部23に送信する。出力制御部23は、ステップS30で制御プログラム(XY=23)を受信し、ステップ31で制御プログラムのパラメータがX=2,Y=3であることを検出するとサブルーチン(制御(23,32))を実行する。出力制御部23は、サブルーチン(制御(23,32))のステップS60で第1回転駆動機構121と第2回転駆動機構122を駆動して、第1のドアの状態を基準として、第1回転駆動機構(Model-1511)121の回転角がθ1aからθ1bに、第2回転駆動機構(Model-1511)122の回転角がθ2aからθ2bになるように制御することによって、ドア側ブラケット32は第2のドアの状態から後方に平行移動した第3のドアの状態に遷移する。入力制御部21は、ステップS26で制御終了信号を受信すると、ステップS27でドア状態情報を第3のドアの状態であることを示すパラメータX=3とする。
【0018】
続いて、Model-1511cの、第3のドアの状態から第1のドアの状態に遷移する制御について、前記第1のドアの状態から第2のドアの状態に遷移する制御、第2のドアの状態から第3のドアの状態に遷移する制御との差分を説明する。リモート操作盤10は、ステップS15で左Closeスイッチ14が押されたことを検出し、ステップS16で左Close信号を無線で送信する。制御装置20の入力制御部21は、ステップS20で記憶装置22からドアが第3のドアの状態であることを示すパラメータX=3を読み出し、ステップS21で左Close信号を受信するとパラメータY=1とし、ステップS24で記憶装置22から制御プログラム(XY=31)を読み出し、ステップS25で制御プログラム(XY=31)を出力制御部23に送信する。出力制御部23は、ステップS30で制御プログラム(XY=31)を受信し、ステップ32で制御プログラムのパラメータがY=1であることを検出するとサブルーチン(制御(21,31))を実行する。出力制御部23は、サブルーチン(制御(21,31))の、ステップS50で第1回転駆動機構121と第2回転駆動機構122を駆動して、第1回転駆動機構(Model-1511)121の回転角がθ1bから0°に、第2回転駆動機構(Model-1511)122の回転角がθ2bから0°になるように制御し、ステップS51でドア位置センサー(前側)33aとドア位置センサー(後側)33bの入力信号を検出すると、ステップS52でロックロックソレノイド(前側)34aとロックロックソレノイド(後側)34bとロックロックソレノイド(中央)34cをロックすることによって、ドア側ブラケット32は閉止した第1のドアの状態に遷移する。入力制御部21は、ステップS26で制御終了信号を受信すると、ステップS27でドア状態情報を第1のドアの状態であることを示すパラメータX=1とする。
【0019】
Model-1511の他のモデルであるModel-1511a,b,d,e,f,gの制御もModel-1511cと同様であり、θ1a,θ2a,θ1b,θ2bの値が異なるだけである。
【実施例2】
【0020】
実施例2はModel-1512に関するものである。Model-1512の第2の連結手段は図1に示す二重リンク機構Aであって、第1リンク(Model-1512)211、第2リンク(Model-1512)212、第1回転駆動機構(Model-1512)221、第2回転駆動機構(Model-1512)222、第3回転駆動機構(Model-1512)223で構成される。Model-1512はModel-1511に比べて、第2のドアの状態、第3のドアの状態におけるドア4の位置を車体1に近づけることができるので、ドア4の開閉に必要な車体1の側面のスペースを少なくすることができる。図4はModel-1512a,b,c,dの、図5はModel-1512e,f,gの動作を説明するものであり、Model-1512a,b,c,d,e,f,gのそれぞれのドアの状態の遷移の基本的な動作はModel-1511a,b,c,d,e,f,gのそれぞれと同様である。以下、実施例1のModel-1511との差分について説明する。
【0021】
図10、図11はModel-1512の代表的なモデルであるModel-1512bの構造図であり、図10(a)は第1のドアの状態の背面図、図10(b)は同正面図、図11(a)は第1のドアの状態、図11(b)は第2のドアの状態、図11(c)は第3のドアの状態の平面図である。Model-1512の第2の連結手段は、第1リンク(Model-1512)211、第2リンク(Model-1512)212、第1回転駆動機構(Model-1512)221、第2回転駆動機構(Model-1512)222、第3回転駆動機構(Model-1512)223で構成され、第1回転駆動機構(Model-1512)221は第1リンク(Model-1512)211の一方の端部と車体側ブラケット31の後端部を連結し、第2回転駆動機構(Model-1512)222は第1リンク(Model-1512)211の他方の端部と第2リンク(Model-1512)212の一方の端部を連結し、第3回転駆動機構(Model-1512)223は第2リンク(Model-1512)212の他方の端部とドア側ブラケット32の中央部を連結する。
【0022】
Model-1512の代表的なモデルであるModel-1512bの第1のドアの状態から第2のドアの状態に遷移する制御について、図10、図11と図18から図25で説明する。出力制御部23は、サブルーチン(制御(12,13))の、ステップS40でロックロックソレノイド(前側)34aとロックロックソレノイド(後側)34bとロックロックソレノイド(中央)34cを解除し、ステップS41で第1回転駆動機構221、第2回転駆動機構222、第3回転駆動機構223を駆動して、第1のドアの状態を基準として、第1回転駆動機構(Model-1512)221の回転角が0°からθ1aに、第2回転駆動機構(Model-1512)222を回転角が0°からθ2aになるように制御することによって、ドア側ブラケット32は第1のドアの状態から後方に平行移動した第2のドアの状態に遷移する。この時、第3回転駆動機構(Model-1512)223は回転しない。
【0023】
続いて、Model-1512bの、第2のドアの状態から第3のドアの状態に遷移する制御について説明する。出力制御部23は、サブルーチン(制御(23,32))の、ステップS60で第1回転駆動機構221、第2回転駆動機構222、第3回転駆動機構223を駆動して、第1のドアの状態を基準として、第1回転駆動機構(Model-1512)221の回転角がθ1aからθ1bに、第2回転駆動機構(Model-1512)222を回転角がθ2aからθ2bに、第3回転駆動機構(Model-1512)223を回転角が0°からθ3bになるように制御することによって、ドア側ブラケット32は第2のドアの状態から前側が回転開放した第3のドアの状態に遷移する。
【0024】
続いて、Model-1512bの、第3のドアの状態から第1のドアの状態に遷移する制御について説明する。出力制御部23は、サブルーチン(制御(21,31))の、ステップS50で第1回転駆動機構221、第2回転駆動機構222、第3回転駆動機構223を駆動して、第1のドアの状態を基準として、第1回転駆動機構(Model-1512)221の回転角がθ1bから0°に、第2回転駆動機構(Model-1512)222を回転角がθ2bから0°に、第3回転駆動機構(Model-1512)223を回転角がθ3bから0になるように制御することによって、ドア側ブラケット32は第3のドアの状態から閉止した第1のドアの状態に遷移する。
【0025】
図12はModel-1512bのドア装置を装着した四人乗りクーペ型の自動車の概要構造図である。図12(a)は第1のドアの状態の平面図、図12図(b)は第2のドアの状態の平面図、12図(c)は第3のドアの状態の平面図、図12(d)は第1のドアの状態の正面図である。第1のドアの状態から第2のドアの状態への遷移は平行移動であって、ドア4の開閉のための車体1の側面のスペースは小さく、第2のドアの状態から第3のドアの状態への遷移は回転であって、車体1の後方のスペースを必要としない。
【0026】
Model-1512の他のモデルであるModel-1512a,c,d,e,f,gの制御もModel-1512bと同様であり、θ1a,θ2a,θ3a,θ1b,θ2b,θ3bの値が異なるだけである。
【実施例3】
【0027】
実施例3はModel-1513に関するものである。Model-1513の第2の連結手段は図1に示す二重リンク機構Bであって、第1リンク(Model-1513)311、第2リンク(Model-1513)312、第1回転駆動機構(Model-1513)321、第2回転駆動機構(Model-1513)322、第3回転駆動機構(Model-1513)323で構成される。Model-1513もModel-1512と同様に、第2のドアの状態、第3のドアの状態におけるドア4の位置を車体1に近づけることができるので、ドア4の開閉に必要な車体1の側面のスペースを少なくすることができる。図6はModel-1513a,b,c,dの動作を説明するものであって、Model-1513a,b,c,dのそれぞれのドアの状態の遷移の基本的な動作はModel-1511a,b,c,d,Model-1512a,b,c,dのそれぞれと同様である。Model-1513にはModel-1513e,f,gは存在しない。以下、実施例1のModel-1511、実施例2のModel-1512との差分について説明する。
【0028】
図13、図14はModel-1513の代表的なモデルであるModel-1513aの構造図であり、図13(a)は第1のドアの状態の背面図、図13(b)は同正面図、図14(a)は第1のドアの状態、図14(b)は第2のドアの状態、図14(c)は第3のドアの状態の平面図である。Model-1513の第2の連結手段は、Model-1512と同様に第1リンク(Model-1513)311、第2リンク(Model-1513)312、第1回転駆動機構(Model-1513)321、第2回転駆動機構(Model-1513)322、第3回転駆動機構(Model-1513)323で構成され、第1回転駆動機構(Model-1513)321は第1リンク(Model-1513)311の一方の端部と車体側ブラケット31の後端部を連結し、第2回転駆動機構(Model-1513)322は第1リンク(Model-1513)311の他方の端部と第2リンク(Model-1513)312の一方の端部を連結し、第3回転駆動機構(Model-1513)323は第2リンク(Model-1513)312の他方の端部とドア側ブラケット32の中央部を連結する。
【0029】
Model-1513のModel-1512との差異は二つある。第1は動作の差異であって、Model-1512は、第1のドアの状態から第2のドアの状態への遷移を主に第1回転駆動機構(Model-1512)221で駆動し、Model-1513は、第1のドアの状態から第2のドアの状態への遷移を主に第2回転駆動機構(Model-1513)322で駆動することである。Model-1513e,f,gの動作は存在しない。第2は構造の差異であって、Model-1512の第1リンク(Model-1512)211は第2リンク(Model-1512)212より長く、Model-1513の第1リンク(Model-1513)311は第2リンク(Model-1513)312より短いことである。
【0030】
Model-1513の代表的なモデルであるModel-1513aの第1のドアの状態から第2のドアの状態に遷移する制御について、図13、図14と図18から図25で説明する。出力制御部23は、サブルーチン(制御(12,13))の、ステップS40でロックロックソレノイド(前側)34aとロックロックソレノイド(後側)34bとロックロックソレノイド(中央)34cを解除し、ステップS41で第1回転駆動機構(Model-1513)321、第2回転駆動機構(Model-1513)322、第3回転駆動機構(Model-1513)323を駆動して、第1のドアの状態を基準として、第1回転駆動機構(Model-1513)321の回転角が0°からθ1aに、第2回転駆動機構(Model-1513)322を回転角が0°からθ2aに、第3回転駆動機構(Model-1513)323を回転角が0°からθ3aになるように制御することによって、ドア側ブラケット32は第1のドアの状態から後方に平行移動した第2のドアの状態に遷移する。
【0031】
続いて、Model-1513aの、第2のドアの状態から第3のドアの状態に遷移する制御について説明する。出力制御部23は、サブルーチン(制御(23,32))の、ステップS60で第1回転駆動機構(Model-1513)321、第2回転駆動機構(Model-1513)322、第3回転駆動機構(Model-1513)323を駆動して、第1のドアの状態を基準として、第1回転駆動機構(Model-1513)321の回転角がθ1aからθ1bに、第2回転駆動機構(Model-1513)322を回転角がθ2aから0°に、第3回転駆動機構(Model-1513)323を回転角がθ3aからθ3b(=θ3a)になるように制御することによって、ドア側ブラケット32は第2のドアの状態からさらに後方に平行移動した第3のドアの状態に遷移する。
【0032】
続いて、Model-1513aの、第3のドアの状態から第1のドアの状態に遷移する制御について説明する。出力制御部23は、サブルーチン(制御(21,31))の、ステップS50で第1回転駆動機構(Model-1513)321、第2回転駆動機構(Model-1513)322、第3回転駆動機構(Model-1513)323を駆動して、第1のドアの状態を基準として、第1回転駆動機構(Model-1513)321の回転角がθ1bから0に、第2回転駆動機構(Model-1513)322を回転角がθ2bから0に、第3回転駆動機構(Model-1513)323を回転角がθ3bから0になるように制御することによって、ドア側ブラケット32は第3のドアの状態から閉止した第1のドアの状態に遷移する。
【0033】
Model-1513の他のモデルであるModel-1512b,c,dの制御もModel-1513aと同様であり、θ1a,θ2a,θ3a,θ1b,θ2b,θ3bの値が異なるだけである。
【実施例4】
【0034】
実施例4はModel-1514に関するものである。Model-1514の第2の連結手段は図1に示す折畳みリンク機構であって、第1リンク(Model-1514)411、第2リンク(Model-1514)412、第1回転駆動機構(Model-1514)421、第2回転駆動機構(Model-1514)422、第3回転駆動機構(Model-1514)423で構成される。
Model-1514もModel-1512,Model-1513と同様に、第2のドアの状態、第3のドアの状態におけるドア4の位置を車体1に近づけることができるので、ドア4の開閉に必要な車体1の側面のスペースを少なくすることができる。図7はModel-1514b,c,dの動作を説明するものであって、Model-1514b,c,dのそれぞれのドアの状態の遷移の基本的な動作はModel-1511b,c,d,Model-1512b,c,d,Model-1513b,c,dのそれぞれと同様である。Model-1514にはModel-1514a,e,f,gは存在しない。以下、実施例1のModel-1511、実施例2のModel-1512、実施例3のModel-1513との差分について説明する。
【0035】
図15、図16はModel-1514の代表的なモデルであるModel-1514bの構造図であり、図15(a)は第1のドアの状態の背面図、図15(b)は同正面図、図16(a)は第1のドアの状態、図16(b)は第2のドアの状態、図16(c)は第3のドアの状態の平面図である。Model-1514の第2の連結手段は、第1リンク(Model-1514)411、第2リンク(Model-1514)412、第1回転駆動機構(Model-1514)421、第2回転駆動機構(Model-1514)422、第3回転駆動機構(Model-1514)423で構成され、第1回転駆動機構(Model-1514)421は第1リンク(Model-1514)411の一方の端部と車体側ブラケット31の後端部を連結し、第2回転駆動機構(Model-1514)422は第1リンク(Model-1514)411の他方の端部と第2リンク(Model-1514)412の一方の端部を連結し、第3回転駆動機構(Model-1514)423は第2リンク(Model-1514)412の他方の端部とドア側ブラケット32の後端部を連結する。

第1リンク(Model-1514)411と第2リンク(Model-1514)412は、第1のドアの状態においては折畳まれてドア側ブラケット32の近傍で平行な状態にある。
【0036】
Model-1514の第2の連結手段はModel-1512,Model-1513の第2の連結手段とは異なるものである。Model-1512,Model-1513においては、第2リンク(Model-1512)212、第2リンク(Model-1513)312はドア側ブラケット32の中央部に連結され、第1のドアの状態において、第1リンク(Model-1512)211と第2リンク(Model-1512)212、第1リンク(Model-1513)311と第2リンク(Model-1513)312は展開してドア側ブラケット32の近傍で平行になる。
一方Model-1514においては、第2リンク(Model-1514)412はドア側ブラケット32の後端部に連結され、第1のドアの状態において、第1リンク(Model-1514)411と第2リンク(Model-1514)412は折畳まれてドア側ブラケット32の近傍で平行になる。
【0037】
Model-1514の代表的なモデルであるModel-1514bの第1のドアの状態から第2のドアの状態に遷移する制御について、図15、図16と図18から図25で説明する。出力制御部23は、サブルーチン(制御(12,13))の、ステップS40でロックロックソレノイド(前側)34aとロックロックソレノイド(後側)34bとロックロックソレノイド(中央)34cを解除し、ステップS41で第1回転駆動機構(Model-1514)421、第2回転駆動機構(Model-1514)422、第3回転駆動機構(Model-1514)423を駆動して、第1のドアの状態を基準として、第1回転駆動機構(Model-1514)421の回転角が0°からθ1aに、第2回転駆動機構(Model-1514)422を回転角が0°からθ2aになるように制御することによって、ドア側ブラケット32は第1のドアの状態から後方に平行移動した第2のドアの状態に遷移する。
【0038】
続いて、Model-1514bの、第2のドアの状態から第3のドアの状態に遷移する制御について、前記第1のドアの状態から第2のドアの状態に遷移する制御との差分を説明する。出力制御部23は、サブルーチン(制御(23,32))の、ステップS60で第1回転駆動機構(Model-1514)421、第2回転駆動機構(Model-1514)422、第3回転駆動機構223を駆動して、第1のドアの状態を基準として、第1回転駆動機構(Model-1514)421の回転角がθ1aからθ1b(=θ1a)に、第2回転駆動機構(Model-1514)422を回転角がθ2aからθ2b(=θ2a)に、第3回転駆動機構(Model-1514)423を回転角が0°からθ3bになるように制御することによって、ドア側ブラケット32は第2のドアの状態から回転した第3のドアの状態に遷移する。
【0039】
続いて、Model-1514aの、第3のドアの状態から第1のドアの状態に遷移する制御について、前記第1のドアの状態から第2のドアの状態に遷移する制御との差分を説明する。出力制御部23は、サブルーチン(制御(21,31))の、ステップS50で第1回転駆動機構(Model-1514)421、第2回転駆動機構(Model-1514)422、第3回転駆動機構(Model-1514)423を駆動して、第1のドアの状態を基準として、第1回転駆動機構(Model-1514)421の回転角がθ1bから0°に、第2回転駆動機構(Model-1514)422を回転角がθ2bから0°に、第3回転駆動機構(Model-1514)423を回転角がθ3bから0°になるように制御することによって、ドア側ブラケット32は第3のドアの状態から閉止した第1のドアの状態に遷移する。
【0040】
Model-1514の他のモデルであるModel-1514c,dの制御もModel-1514bと同様であり、θ1a,θ2a,θ3a,θ1b,θ2b,θ3bの値が異なるだけである。
【実施例5】
【0041】
実施例5は、本発明の二段スウィング方式の長尺前側開きドア(Model-151)の車体1の開口部5に形成されるトラス構造6に関するものである。図17はトラス構造6をModel-1512の例で示している。車体側ブラケット31とドア側ブラケット32は、トラス構造6の三角形を形成する、ロックソレノイド(前側)34aとロックピン(前側)35aからなる第1の連結手段、ロックソレノイド(後側)34bとロックピン(後側)35bからなる第1の連結手段、ロックソレノイド(中央)34cロックピン(中央)35cからなる第3の連結手段によって一体の構造物になるように工夫されている。従って第2の連結手段を形成する第1回転駆動機構(Model-1512)221等に、車体1の変形による応力が加わることはない。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明のドア装置は、特にクーペ型自動車以外には、キャブリオレ型自動車と小型ハッチバック型自動車に利用可能性がある。キャブリオレ型自動車においては、大きなドア開口面積により後席乗員の快適な乗り降りが可能になり、ドアを車体構造の一部として用いることにより高剛性軽量な車体が可能になる。小型ハッチバック型自動車においては、大きなドア開口面積により側面から車内への多様な荷物の搭載が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】長尺後開きドア装置(二段スウィング方式)のモデル一覧を示す図である。
【図2】Model-1511a,b,c,dの動作説明図である。
【図3】Model-1511e,f,gの動作説明図である。
【図4】Model-1512a,b,c,dの動作説明図である。
【図5】Model-1512e,f,gの動作説明図である。
【図6】Model-1513a,b,c,dの動作説明図である。
【図7】Model-1514b,c,dの動作説明図である。
【図8】Model-1511cの構造図(1)である。
【図9】Model-1511cの構造図(2)である。
【図10】Model-1512bの構造図(1)である。
【図11】Model-1512bの構造図(2)である。
【図12】Model-1512bのドア装置を装着した四人乗りクーペ型の自動車の概要構造図である。
【図13】Model-1513aの構造図(1)である。
【図14】Model-1513aの構造図(2)である。
【図15】Model-1514bの構造図(1)である。
【図16】Model-1514bの構造図(2)である。
【図17】Model-151(Model-1512)のトラス構造の概念図である。
【図18】Model-151のリモート操作盤の外観図である。
【図19】Model-151の制御システム構成図である。
【図20】Model-151のリモート操作盤の制御フロー図である。
【図21】Model-151の入力制御部の制御フロー図である。
【図22】Model-151の出力制御部の制御フロー図である。
【図23】Model-151の制御(12,13)の制御フロー図である。
【図24】Model-151の制御(21,31)の制御フロー図である。
【図25】Model-151の制御(23,32)の制御フロー図である。
【符号の説明】
【0044】
1 車体
2 前座席
3 後座席
4 ドア
5 開口部
6 トラス構造
10 リモート操作盤
11 セーフティスイッチ
12 Openスイッチ
13 Open1/2スイッチ
14 Closeスイッチ
20 制御装置
21 入力制御部
22 記憶装置
23 出力制御部
31 車体側ブラケット
32 ドア側ブラケット
33a ドア位置センサー(前側)
33b ドア位置センサー(後側)
34a ロックソレノイド(前側)
34b ロックソレノイド(後側)
34c ロックソレノイド(中央)
35a ロックピン(前側)
35b ロックピン(後側)
35c ロックピン(中央)
111 リンク(Model-1511)
121 第1回転駆動機構(Model-1511)
122 第2回転駆動機構(Model-1511)
211 第1リンク(Model-1512)
212 第2リンク(Model-1512)
221 第1回転駆動機構(Model-1512)
222 第2回転駆動機構(Model-1512)
223 第3回転駆動機構(Model-1512)
311 第1リンク(Model-1513)
312 第2リンク(Model-1513)
321 第1回転駆動機構(Model-1513)
322 第2回転駆動機構(Model-1513)
323 第3回転駆動機構(Model-1513)
411 第1リンク(Model-1514)
412 第2リンク(Model-1514)
421 第1回転駆動機構(Model-1514)
422 第2回転駆動機構(Model-1514)
423 第3回転駆動機構(Model-1514)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の車体1の側面に設けられた、当該自動車の前後二列に配列された前座席2と後座席3の当該自動車の前後方向の範囲を単独でカバーするドア4と、
前記ドアに対応して、前記車体に設けられ、前記前座席と前記後座席の当該自動車の前後方向の範囲を単独でカバーする開口部5と、
前記車体と前記ドアとの間に介在し、前記車体の前記開口部の前後方向の前端部及び後端部において、前記ドアを前記車体に着脱可能に連結する二つの第1の連結手段34a,34b,34c,35a,35b,35cと、
前記車体と前記ドアとの間に介在し、一方の端部が前記車体の前記開口部の前後方向の後端部と回転駆動可能に連結し、他方の端部が前記ドアと回転駆動可能に連結する第2の連結手段111,121,122,211,212,221,222,223,311,312,321,322,323,411,412,421,422,423と、
前記ドアが二つの前記第1の連結手段によって前記車体に連結され閉止される第1のドアの状態、前記ドアが前記前座席の当該自動車の前後方向の範囲を開放する第2のドアの状態、前記前座席および前記後座席の当該自動車の前後方向の範囲を開放する第3のドアの状態の三つの状態の内、所望の状態を指示する入力を受付ける入力装置10と、
前記入力装置からの信号を受けて、前記第1の連結手段を制御して前記ドアの前記車体への連結または解除を行い、前記第2連結手段を制御して前記車体に対する前記第2の連結手段の回転駆動と前記第2の連結手段に対する前記ドアの回転駆動を行うことにより、前記第1のドアの状態、前記第2のドアの状態、前記第3のドアの状態の三つの状態間の遷移を行う制御装置40を備えること、
を特徴とする自動車のドア装置。
【請求項2】
請求項1の自動車のドア装置において、
前記第2の連結手段が、リンク111と二つの回転駆動機構121,122からなること、
さらに、前記リンクは一方の端部が第1回転駆動機構121によって前記車体の前記開口部5の前後方向の後端部と回転駆動可能に連結され、前記リンクの他方の端部が第2回転駆動機構122によって前記ドア4の前後方向の概略中央部に回転駆動可能に連結されること、
さらに前記リンクは、第1のドアの状態において、前記ドア内側面に平行な状態で収納すること、
を特徴とする自動車のドア装置。
【請求項3】
請求項1の自動車のドア装置において、
前記第2の連結手段が、第1リンク211と第2リンク212と三つの回転駆動機構221,222,223からなること、
さらに、前記第1リンクの一方の端部と前記第2リンクの一方の端部が第1回転駆動機構221で回転駆動可能に連結され、前記第1リンクの他の端部が第2回転駆動機構222によって前記車体1の前記開口部5の前後方向の後端部と回転駆動可能に連結され、前記第2リンクの他の端部が第3回転駆動機構223によって前記ドア4の前後方向の概略中央部に回転駆動可能に連結されること、
さらに前記第1リンクと前記第2リンクは、第1のドアの状態において伸長して前記ドア内側面に平行な状態で収納されること、
を特徴とする自動車のドア装置。
【請求項4】
請求項1の自動車のドア装置において、
前記第2の連結手段が、第1リンク311と第2リンク312と三つの回転駆動機構321,322,323からなること、
さらに、前記第1リンクの一方の端部と前記第2リンクの一方の端部が第1回転駆動機構321で回転駆動可能に連結され、前記第1リンクの他の端部が第2回転駆動機構322によって前記車体1の前記開口部5の前後方向の後端部と回転駆動可能に連結され、前記第2リンクの他の端部が第3回転駆動機構323によって前記ドア4の前後方向の後端部に回転駆動可能に連結されること、
さらに前記第1リンクと前記第2リンクは、第1のドアの状態においては折畳まれて前記ドア内側面に平行な状態で収納されること、
を特徴とする自動車のドア装置。
【請求項5】
請求項1から4の自動車のドア装置において、
前記車体1と前記ドア4との間に介在し、前記車体の前記開口部5の前後方向の前端部及び後端部において、前記ドアを前記車体に着脱可能に連結する二つの第1の連結手段34a,34b,34c,35a,35b,35cと、
さらに、前記車体の前記開口部の前後方向の概略中央の下端部において、前記ドアと前記車体部分を着脱可能に連結する第3の連結手段34c,35cを備え、
前記ドアの閉止時に、前記二つの第1の連結手段と前記第3の連結手段によって前記ドアと前記開口部を連結固定し、前記二つの第1の連結手段と前記第3の連結手段を頂点とする実質上の三角形のトラス構造6を形成すること、
を特徴とする自動車のドア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2011−184924(P2011−184924A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−50457(P2010−50457)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(306043688)
【Fターム(参考)】