説明

自動車の車体前部構造

【課題】自動車の前突時に、フードに対しその上方から何らかの物体が衝突したとき、この衝突に基づき、車体前部や物体に与えられる衝撃力を、より十分に緩和させるようにする。
【解決手段】フロントカウル3が、その前部を構成して後下方に向かうよう延出する樹脂製のカウル前部板9を備える。カウル前部板9よりも前側に位置して、その後縁部17がカウル前部板9の前縁部18の上方に位置するフード16を設ける。カウル前部板9をその上方から覆うカウルルーバ24を設ける。カウル前部板9とカウルルーバ24との各前縁部18,26を互いに結合し、これら両前縁部18,26と上記フード16の後縁部17との間をシールするシール体38を設ける。両前縁部18,26の後方近傍におけるカウル前部板9の部分に第1脆弱部42を形成する。この第1脆弱部42の後方近傍におけるカウル前部板9の他の部分に第2脆弱部43を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロントカウル、このフロントカウルよりも前側に位置するフード、および上記フロントカウルをその上方から覆うカウルルーバを備えた自動車の車体前部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記自動車の車体前部構造には、従来、下記特許文献1,2に示されるものがある。このうち、特許文献1の公報のものによれば、車体の側面視で、フロントカウルは、その前部を構成して後下方に向かうよう延出する樹脂製のカウル前部板を備えている。このカウル前部板よりも前側に位置して、その後縁部が上記カウル前部板の前縁部の上方に位置するフードが設けられると共に、上記カウル前部板をその上方から覆うカウルルーバが設けられている。これらカウル前部板とカウルルーバとの各前縁部が互いに結合され、これら両前縁部と上記フードの後縁部との間をシールするシール体が設けられている。また、上記シール体によるシール性能を向上させるため、上記カウル前部板が補強部により補強されている。
【0003】
一方、上記特許文献2の公報のものによれば、上記特許文献1の公報のものとほぼ同じ構成に加えて、上記カウルルーバの取付作業を容易にさせる上で、このカウルルーバを変形し易くさせるための変形部(特許文献2の公報中、符号17の部分)が、上記カウルルーバに形成されている。
【特許文献1】特開2005−125905号公報
【特許文献2】特開2002−211439号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、自動車の走行中、この自動車がその前方の何らかの物体に衝突(前突)したとする。この場合、この前突により跳ね上げられた物体が、上記特許文献1にいうフードの後部上面に対しその上方から衝突することがある。
【0005】
ここで、前記したように特許文献1のものでは、上記カウル前部板は補強部により補強されている。このため、上記衝突によりフードに与えられる衝撃力は、上記シール体を介し上記のように補強されたカウル前部板によって強固に支持されがちとなる。よって、上記特許文献1のものによれば、物体がフードの後部上面に衝突したとき、この衝突に基づいて車体や物体に与えられようとする衝撃力を、十分に緩和させることは容易でない。
【0006】
一方、上記特許文献2のものによれば、上記のように物体がフードの後部上面に衝突したとき、この衝突に基づく衝撃力の一部は、上記カウルルーバにより支持される。そして、上記衝撃力の一部は、上記カウルルーバの上記変形部が変形することにより、緩和させられると考えられる。しかし、上記衝突に基づく衝撃力のほとんどは上記カウル前部板によって支持されると考えられる。
【0007】
ここで、上記特許文献2におけるカウル前部板は板金製であって、ある程度の大きさの剛性を有している。このため、上記衝撃力のほとんどは、上記カウル前部板によって強固に支持されがちとなる。よって、上記特許文献2のものによっても、物体がフードの後部上面に衝突したとき、この衝突に基づいて車体や物体に与えられようとする衝撃力を、十分に緩和させることは容易でない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の目的は、自動車の前突時に、フードに対しその上方から何らかの物体が衝突したとき、この衝突に基づき、車体前部や物体に与えられる衝撃力を、より十分に緩和させるようにすることである。
【0009】
請求項1の発明は、車体の側面視で、フロントカウル3が、その前部を構成して後下方に向かうよう延出する樹脂製のカウル前部板9を備え、このカウル前部板9よりも前側に位置して、その後縁部17が上記カウル前部板9の前縁部18の上方に位置するフード16を設けると共に、上記カウル前部板9をその上方から覆うカウルルーバ24を設け、これらカウル前部板9とカウルルーバ24との各前縁部18,26を互いに結合し、これら両前縁部18,26と上記フード16の後縁部17との間をシールするシール体38を設けた自動車の車体前部構造において、
互いに結合された上記両前縁部18,26の後方近傍における上記カウル前部板9の部分に第1脆弱部42を形成すると共に、この第1脆弱部42の後方近傍における上記カウル前部板9の他の部分に第2脆弱部43を形成したものである。
【0010】
なお、この項において、上記各用語に付記した符号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
【発明の効果】
【0011】
本発明による効果は、次の如くである。
【0012】
請求項1の発明は、車体の側面視で、フロントカウルが、その前部を構成して後下方に向かうよう延出する樹脂製のカウル前部板を備え、このカウル前部板よりも前側に位置して、その後縁部が上記カウル前部板の前縁部の上方に位置するフードを設けると共に、上記カウル前部板をその上方から覆うカウルルーバを設け、これらカウル前部板とカウルルーバとの各前縁部を互いに結合し、これら両前縁部と上記フードの後縁部との間をシールするシール体を設けた自動車の車体前部構造において、
互いに結合された上記両前縁部の後方近傍における上記カウル前部板の部分に第1脆弱部を形成すると共に、この第1脆弱部の後方近傍における上記カウル前部板の他の部分に第2脆弱部を形成しており、次の作用効果が生じる。
【0013】
即ち、自動車の前突時に、上記フードに対しその上方から何らかの物体が衝突したとき、この衝突に基づく衝撃力は、上記シール体を介しカウル前部板とカウルルーバとの両前縁部に与えられる。そして、上記衝撃力は、上記両前縁部を下方に向けて押動することにより上記カウル前部板に対し曲げモーメント(偶力)を与え、かつ、このカウル前部板に対し、その後下方への延出方向である長手方向に向かって圧縮力を与える。
【0014】
ここで、上記したように、互いに結合されている上記両前縁部は互いに補強し合うため、これら両前縁部に上記衝撃力が与えられたとき、上記両前縁部の後方近傍の第1脆弱部や第2脆弱部に応力が容易に集中して、これら第1脆弱部や第2脆弱部を起点として、上記カウル前部板が容易に屈曲させられる。
【0015】
また、上記したように、カウル前部板には少なくとも2つの第1、第2脆弱部が互いに少し離れて形成されているため、上記したようにカウル前部板がその長手方向に向かって圧縮力を与えられるとき、このカウル前部板は、例えば、Z字状に容易に屈曲させられる。
【0016】
よって、上記衝突により、上記車体や物体に与えられようとする衝撃力は、上記各屈曲によって、より十分に緩和される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の自動車の車体前部構造に関し、自動車の前突時に、フードに対しその上方から何らかの物体が衝突したとき、この衝突に基づき、車体前部や物体に与えられる衝撃力を、より十分に緩和させるようにする、という目的を実現するため、本発明を実施するための最良の形態は、次の如くである。
【0018】
即ち、車体の側面視で、フロントカウルが、その前部を構成して後下方に向かうよう延出する樹脂製のカウル前部板を備える。このカウル前部板よりも前側に位置して、その後縁部が上記カウル前部板の前縁部の上方に位置するフードが設けられている。上記カウル前部板をその上方から覆うカウルルーバが設けられている。これらカウル前部板とカウルルーバとの各前縁部が互いに結合され、これら両前縁部と上記フードの後縁部との間をシールするシール体が設けられている。互いに結合された上記両前縁部の後方近傍における上記カウル前部板の部分に第1脆弱部が形成されると共に、この第1脆弱部の後方近傍における上記カウル前部板の他の部分に第2脆弱部が形成されている。
【実施例】
【0019】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例を添付の図に従って説明する。
【0020】
図において、符号1は自動車で、矢印Frは、この自動車1の進行方向の前方を示している。
【0021】
上記自動車1の車体2前部は、この車体2の各側部を構成し、この車体2の骨格部材とされる左右一対の不図示のフロントピラーと、上記車体2の幅方向に延び、その長手方向の各端部が上記フロントピラーに支持され、車体2の骨格部材とされるフロントカウル3と、上記車体2の幅方向、かつ、縦方向に延びその上縁部が上記フロントカウル3に結合され、下縁部が不図示のフロアパネルの前縁部に結合される板金製のダッシュパネル4とを備えている。上記フロントカウル3とダッシュパネル4との前側がエンジンルーム5とされ、後側が車室6とされている。
【0022】
上記フロントカウル3は、その側面断面視でU字形状とされている。このフロントカウル3は、その前部を構成して後下方に向かうよう延出する樹脂製のカウル前部板9と、このカウル前部板9の後縁部から一旦後下方に延出した後、上方に向かって延出するカウル本体板10と、このカウル本体板10の延出端縁部から前上方に向かって延出する延出板11と、上記カウル本体板10の基部側の端縁部(前縁部)と上記延出板11の延出端縁部とを互いに結合させる補強板12とを備えている。
【0023】
上記カウル本体板10、延出板11、および補強板12は板金製とされ、互いにスポット溶接により結合されて一体的な組み合わせ体10−12が形成されている。この組み合わせ体10−12は側面断面視で、強度と剛性が大きい閉断面構造とされている。上記カウル前部板9の後縁部は、上記カウル本体板10の前縁部にシール材13を介し強固に結合されている。また、上記カウル前部板9の前後方向の中途部から後方に向けて左右一対のブラケット14が一体的に突設されている。前記ダッシュパネル4は、その上縁部が上記カウル本体板10に結合されている。
【0024】
上記フロントカウル3のカウル前部板9よりも前側に位置して、上記エンジンルーム5をその上方から開閉可能に閉じる板金製のフード16が設けられている。このフード16の後縁部17は、上記カウル前部板9の前縁部18の上方近傍に位置している。
【0025】
上記車室6の上部前面を形成するフロントウィンド21が設けられている。このフロントウィンド21は、上記車体2に形成されたウィンド開口を閉じるウィンドガラス22を備えている。このウィンドガラス22は後上方に向かって傾斜するよう車体2に支持されている。上記ウィンドガラス22の前下部は上記フロントカウル3の前記組み合わせ体10−12の前上方の近傍に位置している。
【0026】
上記車体2の幅方向に長く延びて、上記フロントカウル3のカウル前部板9をその上方から全体的に覆うと共に、このカウル前部板9に支持される樹脂製のカウルルーバ24が設けられている。このカウルルーバ24は、このカウルルーバ24の側面断面視(図1,3,4)で、前後方向の中途部を構成し、上方に向かって膨出する膨出部25と、この膨出部25の前下縁部から前方に向かって一体的に延出する前縁部26と、上記膨出部25の後下縁部から後方に向かって一体的に延出する後縁部27とを備えている。
【0027】
上記カウルルーバ24の前縁部26は、上記カウル前部板9の前縁部18にその上面側から重ね合わされている。そして、上記両前縁部18,26は、車体2の幅方向で複数(7つ)のクリップ29により結合されている。また、上記カウルルーバ24の膨出部25の長手方向における中途部には、左右一対のブラケット31が下方に向かって一体的に突設されている。これらブラケット31は、上記膨出部25の長手方向における中途部の左右各一部分を下方に向かって有底の筒形状となるよう膨出させることにより形成されている。そして、上記フロントカウル3の延出板11の前縁部、フロントカウル3のブラケット14、およびカウルルーバ24のブラケット31の突出端部が互いに重ね合わされて左右一対の他のクリップ32により互いに結合されている(図2,4)。
【0028】
つまり、上記各クリップ29,32による結合で、前記したように上記フロントカウル3のカウル前部板9に上記カウルルーバ24が支持されている。
【0029】
上記カウルルーバ24の膨出部25の前部板34には、この膨出部25の内外を連通させる多数の通気孔を有するルーバ部36が形成されている。このルーバ部36は、上記車体2の幅方向における車体2の中心線35の一側方に偏って、上記カウルルーバ24のほぼ半分(左側半分)に形成されている。上記ルーバ部36、フロントカウル3の内部空間、および不図示の空調装置を通して、車体2の外部の空気が車室6に導入可能とされている。
【0030】
上記カウル前部板9の前縁部18およびカウルルーバ24の前縁部26と、上記フード16の後縁部17との間をシールするゴム製のシール体38が設けられている。このシール体38は、車体2の幅方向に延び、上記カウル前部板9の前縁部18とカウルルーバ24の前縁部26との間に挟み付けられて取り付けられる基部板39と、この基部板39の前縁部に一体的に形成され、上記フード16の後縁部17下面を圧接させる閉断面形状のシール本体40とを備えている。一方、上記ウィンドガラス22の前縁部と上記カウルルーバ24の後縁部27との間には他のシール体41が介設されている。
【0031】
上記カウル前部板9の前縁部18、カウルルーバ24の前縁部26、およびシール体38の基部板39の互いの結合部の後方近傍における上記カウル前部板9の部分に、このカウル前部板9の強度と剛性とを局部的に低下させる第1脆弱部42が形成されている。また、この第1脆弱部42の後方近傍における上記カウル前部板9の他の部分に、上記カウル前部板9の強度と合成とを局部的に低下させる第2脆弱部43が形成されている。
【0032】
上記第1、第2脆弱部42,43は、断面V字形状の溝とされ、上記カウル前部板9の上記各部分において、上記フロントカウル3の長手方向のほぼ全長にわたり連続的に形成されている。上記第1脆弱部42は上記カウル前部板9の上面に形成され、第2脆弱部43はカウル前部板9の下面に形成されている。
【0033】
前記したように、カウルルーバ24の左側半分には多数の通気孔を有するルーバ部36が形成されている。このため、このルーバ部36が脆弱部となって、上記カウルルーバ24の左側半分の強度と剛性とが過大になることが防止されている。
【0034】
一方、上記カウルルーバ24の右側半分には、その長手方向のほぼ全長にわたり第3脆弱部44が形成されている。この第3脆弱部44は、上記第1脆弱部42に対向するよう上記カウルルーバ24の前縁部26の後方近傍におけるこのカウルルーバ24の部分に形成されている。上記第3脆弱部44は上記カウルルーバ24の上記部分の強度と剛性とを局部的に低下させる。これにより、上記カウルルーバ24の右側半分の強度と剛性とが過大になることが防止されている。
【0035】
その他、47はワイパー、48はウォッシャーノズルである。
【0036】
上記構成によれば、互いに結合された上記両前縁部18,26の後方近傍における上記カウル前部板9の部分に第1脆弱部42を形成すると共に、この第1脆弱部42の後方近傍における上記カウル前部板9の他の部分に第2脆弱部43を形成しており、次の作用効果が生じる。
【0037】
即ち、自動車1の前突時に、上記フード16に対しその上方から何らかの物体50が衝突したとき、この衝突に基づく衝撃力は、上記シール体38を介しカウル前部板9とカウルルーバ24との両前縁部18,26に与えられる。そして、上記衝撃力は、上記両前縁部18,26を下方に向けて押動することにより上記カウル前部板9に対し曲げモーメント(偶力)を与え、かつ、このカウル前部板9に対し、その後下方への延出方向である長手方向に向かって圧縮力を与える。
【0038】
ここで、上記したように、互いに結合されている上記両前縁部18,26は互いに補強し合うため、これら両前縁部18,26に上記衝撃力が与えられたとき、上記両前縁部18,26の後方近傍の第1脆弱部42や第2脆弱部43に応力が容易に集中して、これら第1脆弱部42や第2脆弱部43を起点として、上記カウル前部板9が容易に屈曲させられる。
【0039】
また、上記したように、カウル前部板9には少なくとも2つの第1、第2脆弱部42,43が互いに少し離れて形成されているため、上記したようにカウル前部板9がその長手方向に向かって圧縮力を与えられるとき、このカウル前部板9は、例えば、図1,3中一点鎖線で示すように、Z字状に容易に屈曲させられる。
【0040】
よって、上記衝突により、上記車体2や物体50に与えられようとする衝撃力は、上記各屈曲によって、より十分に緩和される。
【0041】
また、上記の場合、カウル前部板9とカウルルーバ24との両前縁部18,26は互いに結合されているが、この結合は、熱溶着結合などに比べて結合強度が低いクリップ29によるものとされている。このため、上記衝撃力が上記両前縁部18,26に与えられて大きく変形し、その内部応力が大きくなったとき、上記クリップ29による上記両前縁部18,26の結合は直ちに解除可能とされる。
【0042】
よって、上記カウルルーバ24が上記フロントカウル3のカウル前部板9を過度に補強する、ということは防止される。この結果、上記衝突により、上記車体2や物体50に与えられようとする衝撃力は、上記カウルルーバ24により阻害されることなく、より十分に緩和される。
【0043】
また、上記カウルルーバ24はフロントカウル3のカウル前部板9に結合されているが、上記カウルルーバ24には、ルーバ部36が形成されると共に第3脆弱部44が形成されている。これにより、上記カウルルーバ24は全体的に強度と剛性とが過大になることが防止されている。このため、上記カウルルーバ24が上記フロントカウル3のカウル前部板9を過度に補強する、ということが防止される。よって、上記衝突により、上記車体2や物体50に与えられようとする衝撃力は、上記カウルルーバ24に阻害されることなく、より十分に緩和される。
【0044】
また、上記カウルルーバ24に対しその上方から何らかの物体50が直接衝突した場合には、上記カウルルーバ24は、これに形成された上記ルーバ部36と第3脆弱部44とにより、容易に変形して、上記衝撃力が十分に緩和される。また、この場合、上記カウル前部板9に衝撃力が与えられるときの作用効果は、前記したものと同様である。
【0045】
また、上記シール体38の基部板39は薄く形成されている。このため、上記フード16の上面に対し物体50が衝突して、このフード16が下方に向かって変形するとき、この変形のストロークを、より大きくすることができる。これによっても、上記衝撃力を、より十分に緩和できる。
【0046】
なお、以上は図示の例によるが、上記両前縁部18,26の結合は熱溶着や締結によるものであってもよい。また、上記シール体38の基部板39は、上記両前縁部18,26に外嵌して固着される側面断面視でコの字形状のようなものであってもよい。
【0047】
また、上記各脆弱部42−44は、断面U字形状などの溝を断続状に形成したものであってもよく、細孔を列設したものでもよく、スリットであってもよい。また、上記第1脆弱部42と第2脆弱部43とは、上記カウル前部板9を基準とした上下関係を逆にしてもよく、共に上面に形成し、もしくは共に下面に形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図2のI−I線矢視断面図である。
【図2】自動車の車体の部分平面部分破断図である。
【図3】図2のIII−III線矢視断面図である。
【図4】図2のIV−IV線矢視断面図である。
【図5】図2で示したものの正面部分拡大部分破断図である。
【符号の説明】
【0049】
1 自動車
2 車体
3 フロントカウル
4 ダッシュパネル
5 エンジンルーム
6 車室
9 カウル前部板
16 フード
17 後縁部
18 前縁部
21 フロントウィンド
22 ウィンドガラス
24 カウルルーバ
25 膨出部
26 前縁部
27 後縁部
29 クリップ
34 前部板
35 中心線
36 ルーバ部
38 シール体
42 第1脆弱部
43 第2脆弱部
44 第3脆弱部
50 物体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の側面視で、フロントカウルが、その前部を構成して後下方に向かうよう延出する樹脂製のカウル前部板を備え、このカウル前部板よりも前側に位置して、その後縁部が上記カウル前部板の前縁部の上方に位置するフードを設けると共に、上記カウル前部板をその上方から覆うカウルルーバを設け、これらカウル前部板とカウルルーバとの各前縁部を互いに結合し、これら両前縁部と上記フードの後縁部との間をシールするシール体を設けた自動車の車体前部構造において、
互いに結合された上記両前縁部の後方近傍における上記カウル前部板の部分に第1脆弱部を形成すると共に、この第1脆弱部の後方近傍における上記カウル前部板の他の部分に第2脆弱部を形成したことを特徴とする自動車の車体前部構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−137554(P2008−137554A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−327491(P2006−327491)
【出願日】平成18年12月4日(2006.12.4)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)
【Fターム(参考)】