説明

自動車充電装置

【課題】充電ケーブルに付着した土や水等の汚れを、充電コネクタの把持部やコネクタ部に付着させることなく、充電コネクタと充電ケーブルをコンパクトに収納することができる自動車充電装置を提供すること。
【解決手段】端部に充電コネクタを有する充電ケーブルを巻付けながら保持する充電ケーブル巻付け部と、該充電ケーブル巻付け方向と同一方向に充電コネクタの先端コネクタ面が向くように充電コネクタを保持する充電コネクタ保持部を備え、該充電コネクタ保持部と充電ケーブル巻付け部とを隔てる隔壁を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車充電装置に関するものである。
【0002】
電気自動車やプラグインハイブリッドカーの普及に伴い、今後、家庭用自動車充電装置への需要増加が予想される。
【0003】
例えば、特許文献1には、自動車充電装置の構造として、先端に充電コネクタを有する充電ケーブルを該充電装置と一体に備え、充電を行う際に、該充電装置から充電コネクタを外して、電気自動車と接続して使用する構造が記載され、該充電コネクタと充電ケーブルを不使用時に収納しておく構造として、該電気自動車用充電装置の外側面に設けたコネクタ収納部にコネクタを保持させ、ケーブル収納かごに充電ケーブルを保持させる構造が記載されている。なお、充電ケーブルは余裕を持って長めに設計し、充電時には余剰部分を地面に這わせて使用することが一般的である。
【0004】
一般家庭の駐車スペースへの設置が想定される家庭用自動車充電装置は、できる限りコンパクトであることが求められるが、従来の構造(例えば、特許文献1記載の充電コネクタを収納するコネクタ収納部と充電ケーブルを収納するケーブル収納部を各々別個独立に設ける構造)では、充電コネクタと充電ケーブルをまとめてコンパクトに収納することができず、自動車充電装置が大型化してしまい、一般家庭の駐車スペースへの設置には不都合であるという問題があった。
【0005】
電気自動車充電装置のコンパクト化の観点からは、充電コネクタと充電ケーブルをまとめてコンパクトに収納することが好ましいが、前述のように、充電ケーブルは余裕を持って長めに設計し、充電時には余剰部分を地面に這わせて使用することが一般的であるため、充電ケーブルには土や水等の汚れが付着しやすく、充電コネクタと充電ケーブルをまとめて収納した場合には、充電ケーブルに付着していた土や水等の汚れが、充電コネクタの把持部やコネクタ部にも付着し、把持部の汚れにより充電作業が快適に行えなくなる問題や、コネクタ部の汚れが充電装置の不具合の要因になる問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−122714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は前記問題を解決し、充電ケーブルに付着した土や水等の汚れを、充電コネクタの把持部やコネクタ部に付着させることなく、充電コネクタと充電ケーブルをコンパクトに収納することができる自動車充電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた本発明の自動車充電装置は、端部に充電コネクタを有する充電ケーブルを巻付けながら保持する充電ケーブル巻付け部と、該充電ケーブル巻付け方向と同一方向に充電コネクタの先端コネクタ面が向くように充電コネクタを保持する充電コネクタ保持部を備え、該充電コネクタ保持部と充電ケーブル巻付け部とを隔てる隔壁を有することを特徴とするものである。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の自動車充電装置において、該充電ケーブル巻付け部および充電コネクタ保持部が、給電手段を収納した筐体の側面に形成されていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の自動車充電装置において、充電コネクタ保持部が筐体の上部側面に形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の自動車充電装置において、充電コネクタ保持部は、充電コネクタの先端コネクタ部を係止するコネクタ係止手段を備え、該コネクタ係止手段が、一対の立壁部の間隙に形成され、該一対の立壁部の下端部を覆う底面部を、該隔壁としたことを特徴とするものである。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の自動車充電装置において、コネクタ係止手段を、一対の立壁部の左右両側に設け、充電ケーブルの左巻き・右巻きの何れにも、対応可能としたことを特徴とするものである。
【0013】
請求項6記載の発明は、請求項1記載の自動車充電装置において、充電コネクタ保持部の略中央に、充電コネクタの左置き・右置き兼用のコネクタ係止手段を設け、充電ケーブルの左巻き・右巻きの何れにも、対応可能としたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る自動車充電装置では、端部に充電コネクタを有する充電ケーブルを巻付けながら保持する充電ケーブル巻付け部と、該充電ケーブル巻付け方向と同一方向に充電コネクタの先端コネクタ面が向くように充電コネクタを保持する充電コネクタ保持部を備える構成により、充電コネクタと充電ケーブルを、略同一平面上にまとめてコンパクトに収納可能とした。更に、該充電コネクタ保持部と充電ケーブル巻付け部とを隔てる隔壁を有する構成により、充電コネクタと充電ケーブルをまとめて収納しつつ、充電ケーブルに付着した土や水等の汚れが、充電コネクタの把持部やコネクタ部に付着する問題を回避可能とした。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、充電ケーブル巻付け部および充電コネクタ保持部を、給電手段を収納した筐体の側面に形成する構成により、自動車充電装置全体を、よりコンパクトにすることができる。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、充電コネクタ保持部を筐体の上部側面に形成する構成により、充電コネクタの着脱作業性の向上を図ることができる。
【0017】
請求項4記載の発明によれば、充電コネクタ保持部は、充電コネクタの先端コネクタ部を係止するコネクタ係止手段を備え、該コネクタ係止手段が、一対の立壁部の間隙に形成され、該一対の立壁部の下端部を覆う底面部を、該隔壁とした構成により、自動車充電装置全体を、よりコンパクトにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態の自動車充電装置の全体斜視図である。
【図2】本実施形態の自動車充電装置の全体斜視図である。
【図3】充電コネクタを充電コネクタ保持部から外した図である。
【図4】自動車充電装置を構成する筐体から前板部を取り外した筐体本体の説明図である。
【図5】左巻き構造を採用した自動車充電装置の全体斜視図である。
【図6】本発明のその他の実施形態の全体斜視図である。
【図7】本発明のその他の実施形態の全体斜視図である。
【図8】本発明のその他の実施形態の全体斜視図である。
【図9】本発明のその他の実施形態の全体斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。
【0020】
図1、2には、本実施形態の自動車充電装置の全体斜視図を示している。図3は、充電コネクタを充電コネクタ保持部から外した図を示し、図4は、自動車充電装置を構成する筐体から前板部を取り外した筐体本体の説明図を示している。
【0021】
図1〜図4に示すように、本発明の自動車充電装置は、先端に充電コネクタ3有する充電ケーブル2を、自動車充電装置の筐体1の側面13に沿って巻付けて保持する構造を有している。本発明では、充電ケーブル巻付け方向と同一方向に充電コネクタ3の先端コネクタ面が向くように充電コネクタを保持する充電コネクタ保持部4を備える構成により、充電コネクタと充電ケーブルを、略同一平面上にまとめてコンパクトに収納可能としている。なお、本発明において「先端コネクタ面」とは「先端コネクタ部31」の先端断面を意味するものである。充電ケーブル2の巻付け方法は、図1に示すように、筐体全周に沿わせる方法でもよいし、図2に示すように、筐体上部に充電ケーブルを引掛けて筐体下部には接触しない程度に余裕を持たせて巻く方法でもよい。
【0022】
筐体1は、前面開口部を有し、側面13と背面14が一体に形成された筐体本体12と、該前面開口部を覆う前板部11からなり、内部には遮断器、充電制御機器等の給電手段が格納されている。本実施形態において、筐体本体12の形状は、略円形で、やや縦長としているが、形状は特に限定されず、円形でも良いし、オーバル形、方形の角を円弧状にしたもの、その他、方形の上部を円弧状としたもの等でも良い。前板部11は、パネルや扉として、着脱自在若しくは開閉自在となっている。
【0023】
筐体1の左下側面または右下側面には、給電手段を収納した筐体1から充電ケーブル2を引き出す出線口が設けられている。本実施形態では、出線口は左下側面に位置しており、充電ケーブル2は筐体1の下部の円弧に沿うように、右巻きで巻付けられている。反対に、図5に示すように、左巻き構造とするには、右下側面に出線部を設ければよい。また左右両方に出線口を設け、選択的に出線位置を変更可能な構造とすることにより、右巻きと左巻きを必要に応じて変更することができる。その他、下側面の中心位置に出線口を設け、左右いずれの巻き方にも対応できるようにしてもよい。
【0024】
充電ケーブル2の巻付け後に、充電コネクタ3を保持する充電コネクタ保持部4は、筐体1の背面14を構成する背面板を上方に延設して形成した背面側立壁41と、該背面側立壁41の前面に配置される前面側立壁42と、これら一対の立壁41、42の下端部を覆う底面部45を有している。底面部45が隔壁となるため、充電コネクタ保持部4に保持される充電コネクタ3は、筐体1に巻付けられた充電ケーブル2から隔離して保持される。従って、当該構造によれば、充電ケーブルに土や水等の汚れが付着していた場合であっても、収納時にこれらの汚れが充電コネクタの把持部やコネクタ部に付着することはない。
【0025】
該一対の立壁部41、42の間隙には、充電コネクタ3の先端コネクタ部31を係止するコネクタ係止手段43を備えている。該コネクタ係止手段43は、例えばV字状に形成した溝等、先端コネクタ部31を載置できる構造であればよい。
【0026】
コネクタ係止手段43を、一対の立壁部41、42の間隙の左右両側に設け、充電ケーブル2の左巻き(図4)・右巻き(図1)の何れにも、対応可能な構造とすることもできる。また、充電コネクタ保持部4の略中央に、充電コネクタの左置き・右置きの双方に対応可能なコネクタ係止手段43を設け、充電ケーブル2の左巻き・右巻きの何れにも、対応可能な構造とすることもできる。
【0027】
図6〜図9には、その他の実施形態の自動車充電装置の全体斜視図を示している。
【0028】
図6に示すように、一対の立壁部41、42の上部に雨よけ部の屋根44を設けたものでは、雨が直接コネクタ部にかかるのを避けることができる。この屋根44の開閉は前後開きでもよいし、横開きでもよい。なお、背面側立壁41の上下から前面へ延びる屋根44と底面部45を設けて、少なくとも底面部45にコネクタ係止手段43を設けたものでもよいし、本実施形態に更に開閉可能とした前面側立壁42を付加したものでもよい。
【0029】
図7に示すように、コネクタ係止手段43に、充電コネクタ3の把持部32が露出するように引掛ける構造とすることもできる。
【0030】
図8に示すように、コネクタ係止手段43に、先端コネクタ部31を下向きに係止するものでは屋根を用いなくても雨がかかる心配がない。この場合、充電ケーブル2の急激な折り曲げを避けるために、充電ケーブルの力がかかる対応部に円弧状の干渉部を設けたものとすることが好ましい。
【0031】
図9に示すように、充電コネクタ保持部4を上下スライド構造としたものでは、充電ケーブル2の巻付け作業時には、充電コネクタ保持部4を上方に位置させておき、充電ケーブル巻付け後には、充電コネクタ保持部4を下側にスライドさせることができる。またこの下側位置で、筐体の前面板11と前面側立壁42とが嵌り込む構造とすることにより、筐体の側面に巻付けられた充電ケーブル2を固定的に保持することができる。
【0032】
以上の実施形態では充電コネクタ保持部4を、筐体1の上部に設けたもので説明したが、筐体1の下部や左右部に設けたものでもよい。下部に設けたものでは、筐体自体を充電コネクタ保持部4の上部の雨よけ部として兼用することができる。
【0033】
その他、筐体の外周に充電ケーブルを巻き、筐体の内部に充電コネクタ保持部4を設けたものとしてもよい。その場合は、筐体の前面板11を開閉自在の扉構造とし、内部に、独立の充電コネクタ収納部を設けることが好ましい。
【0034】
また、前面板11に前面側から充電コネクタ3の外形に対応した凹部を形成しておき、前面側から嵌めこんで圧入して収納するようにすることもできる。
【符号の説明】
【0035】
1 筐体
11 前板部
12 筐体本体
13 側面
14 背面
2 充電ケーブル
3 充電コネクタ
31 先端コネクタ部
32 把持部
4 充電コネクタ保持部
41 背面側立壁
42 前面側立壁
43 コネクタ係止手段
44 屋根
45 底面部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部に充電コネクタを有する充電ケーブルを巻付けながら保持する充電ケーブル巻付け部と、該充電ケーブル巻付け方向と同一方向に充電コネクタの先端コネクタ面が向くように充電コネクタを保持する充電コネクタ保持部を備え、
該充電コネクタ保持部と充電ケーブル巻付け部とを隔てる隔壁を有することを特徴とする自動車充電装置。
【請求項2】
該充電ケーブル巻付け部および充電コネクタ保持部が、
給電手段を収納した筐体の側面に形成されていることを特徴とする請求項1記載の自動車充電装置。
【請求項3】
充電コネクタ保持部が筐体の上部側面に形成されていることを特徴とする請求項2記載の自動車充電装置。
【請求項4】
充電コネクタ保持部は、充電コネクタの先端コネクタ部を係止するコネクタ係止手段を備え
該コネクタ係止手段が、一対の立壁部の間隙に形成され、
該一対の立壁部の下端部を覆う底面部を、該隔壁としたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の自動車充電装置。
【請求項5】
コネクタ係止手段を、充電コネクタ保持部の左右両側に設け、充電ケーブルの左巻き・右巻きの何れにも、対応可能としたことを特徴とする請求項4記載の自動車充電装置。
【請求項6】
充電コネクタ保持部の略中央に、充電コネクタの左置き・右置き兼用のコネクタ係止手段を設け、充電ケーブルの左巻き・右巻きの何れにも、対応可能としたことを特徴とする請求項1記載の自動車充電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−14969(P2012−14969A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−150800(P2010−150800)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【出願人】(000227401)日東工業株式会社 (374)
【Fターム(参考)】