説明

自動車排気ガス用の白金−ロジウム触媒

【課題】 本発明は、自動車エンジンのフューエルカットによる排気ガス雰囲気の変動による排気ガス浄化用の触媒の耐リーン化と、この触媒はさらにエンジン近傍の高温度領域に装着されるために触媒自体の耐熱化と、を備えた自動車排気ガス用の白金−ロジウム触媒を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明の自動車排気ガス用の白金−ロジウム触媒は、ジルコニウムで安定化した95〜99.9wt%の第1のセリウム酸化物或いは活性アルミナのいずれか一方に0.1〜5wt%の白金を担持した白金触媒担持粉末と、希土類金属元素で安定化したジルコニウム酸化物に0.1〜5wt%のロジウムを担持したロジウム触媒担持粉末と、ジルコニウムで安定化した第2のセリウム酸化物と、耐熱性無機酸化物とを含む混合物とバインダーとから触媒層が形成され、且つ触媒層と触媒層を表面に担持した触媒担体基材とから成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジルコニウムで安定化した第1のセリウム酸化物または活性アルミナのいずれか一方に白金を担持した白金触媒担持粉末、ジルコニウム酸化物にロジウムを担持したロジウム触媒担持粉末、ジルコニウムで安定化した第2のセリウム酸化物、及び耐熱性無機酸化物からなる触媒層を有する自動車排気ガス用の白金−ロジウム触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
実公平5−20435号には、白金のシンタリング抑制効果、及び白金のCOの酸化活性の促進効果のために、白金及びロジウムを分離して担持させることを目的として、白金をアルミナに担持させずに酸化セリウムに白金を担持させ且つロジウムをアルミナに担持させた触媒層を担体基体にコーテイングすることが開示される。
【0003】
特表2002−518171号には、エンジン燃料から排出される硫黄化合物による被害を回避するために、担体上に触媒貴金属Rhをほんの僅か存在させて、酸化窒素を窒素に還元する化学反応に触媒貴金属を作用させて還元する方法を開示する。この方法では使用する触媒貴金属は、担体上に低濃度で含まれるRhのみである。
【0004】
日本特許第3050566号には、塊状セリア(セリウム酸化物)の担体上に分散した白金触媒成分と、パラジウム触媒成分と、耐熱結合材とを含む排気ガス浄化用触媒組成物が開示される。この排気ガス浄化用の触媒組成物は、炭化水素と一酸化炭素との酸化反応、及び酸化窒素の還元反応の双方を触媒として機能することを可能とする。
【0005】
【特許文献1】実公平5−20435号
【特許文献2】特表2002−518171号
【特許文献3】日本特許第3050566号
【0006】
しかしながら、最近の自動車はエンジン燃費の向上が要求されるために、フューエルカット(F/C)を増加させることによって排気ガス雰囲気の変動が増加する。この排気ガス雰囲気の変動のために排気ガス浄化用の触媒の耐リーン化が要求され、この触媒はさらにエンジン近傍の高温度領域に装着されるようになり、排気ガス浄化用の触媒には耐熱化が要求されるようになった。
【0007】
上述するように、自動車の排気ガス浄化用に白金とロジウムとの貴金属を用いた触媒担体はさらに高温度で排気ガスを浄化処理することが必要となり、このような高温度領域では白金とロジウムとが互いに合金化を生じやすい条件となり、且つ処理するガス雰囲気が大きく変動するようになり、これらの触媒担体は排気ガスを浄化する性能を著しく低下する恐れが生じるようになった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の白金−ロジウム触媒は、エンジンの排気ガス中の炭化水素及び一酸化炭素の酸化作用を促進し、且つ酸化窒素の還元作用を促進するものであるが、酸化物に担持された白金及びロジウムが、排気ガスの浄化作用中に高温度の排気ガスに曝されることにより白金及びロジウムが各酸化物から離脱した場合でも、白金とロジウムが互いに合金化することを抑制して、触媒反応効率を低下することなく初期効率を維持させることを目的とする。
【0009】
さらに本発明は、高温度の排気ガスに曝されることにより、白金を担持する活性アルミナまたはセリウム酸化物、及びロジウムを担持するジルコニウム酸化物が、高温度の排気ガス雰囲気によって劣化することを阻止して、セリウム酸化物及びジルコニウム酸化物に担持された触媒貴金属の担持効率を低下することなく維持させることを目的とする。
【0010】
さらに、複数の触媒貴金属をそれぞれ異なる担持効率の良い担持材料に担持させて担持材料の最適化をはかることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、白金触媒を担持する活性アルミナまたはセリウム酸化物と、ロジウム触媒を担持するジルコニウム酸化物に加えて、さらに緩衝材として耐熱性無機酸化物を触媒層中に存在させる。耐熱性無機材料が存在することにより、高温度の排気ガス中においてそれぞれの酸化物から白金及びロジウムが離脱した場合、白金及びロジウムが互いに合金化することを阻止する障壁材料として耐熱性無機材料が作用する。
【0012】
さらに本発明は、白金を担持していない第2のセリウム酸化物を単独で触媒層中に存在させることにより、白金を担持している第1のセリウム酸化物より第2のセリウム酸化物自体の耐熱性を向上することができるので、セリウム酸化物の劣化を抑えることができる。
【0013】
本発明は、具体的には下記の構成を備えることにより課題を解決する。
本発明の白金−ロジウム触媒は、ジルコニウムで安定化した第1のセリウム酸化物または活性アルミナのいずれか一方からなる95〜99.9wt%の第1の触媒担持物質に、5〜0.1wt%の白金を担持させた白金触媒担持物質と、
希土類金属元素で安定化したジルコニウム酸化物からなる95〜99.9wt%の第2の触媒担持物質に、0.1〜5wt%のロジウムを担持させたロジウム触媒担持物質と、
ジルコニウムで安定化した第2のセリウム酸化物と、
耐熱性無機酸化物と、
を含む混合物とバインダーとから触媒層が形成され、且つ
前記触媒層と該触媒層を表面に担持した触媒担体基材とから成る。
【0014】
さらに、本発明の白金−ロジウム触媒は、ジルコニウムで安定化した前記第2のセリウム酸化物に対して、ジルコニウムで安定化した前記第1のセリウム酸化物に白金を担持させた白金触媒担持物質が、0.3〜3.5の範囲の重量比で含まれるのが好ましい。
【0015】
さらに、本発明の白金−ロジウム触媒は、前記混合物の重量に対して、前記耐熱性無機酸化物が、0.04〜0.56の範囲の重量比で含まれるのが好ましい。
【0016】
さらに、本発明の白金−ロジウム触媒は、前記耐熱性無機酸化物が、γ−アルミナ、θ−アルミナ、α−アルミナ、ジルコニア、及びバリウム化合物の群の少なくとも1種であることが好ましい。
【0017】
さらに、本発明の白金−ロジウム触媒は、ジルコニウムで安定化した前記第1及び第2のセリウム酸化物において、セリウム/ジルコニウムのモル比が51〜80/49〜20の範囲であることが好ましい。
【0018】
さらに、本発明の白金−ロジウム触媒は、希土類金属元素で安定化したジルコニウム酸化物において、ジルコニウム/希土類金属元素のモル比が51〜95/49〜5の範囲であることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、白金及びロジウムを担持させるそれぞれの酸化物を適正に選ぶことにより、排気ガスの浄化作用中に高温度の排気ガスに白金及びロジウム触媒が曝されても、白金及びロジウムがそれぞれの酸化物から離脱することを抑制できるので、白金とロジウムが互いに合金化することを非常に少なくできて、それによって触媒反応効率を低下することなく長期間維持することができる。
【0020】
さらに本発明は、白金及びロジウムを単独にそれぞれ異なる担持材料に担持させ且つ白金及びロジウムの担持量を最適化したことにより、貴金属触媒粒子の径が粗大化することなく微細粒子として分散させることが可能となる。したがって、最少の貴金属触媒含有量で最大の触媒機能を備える触媒担体を提供でき、貴金属触媒の価格を下げることができる。
【0021】
さらに、本発明においては、単独に存在する第2のセリウム酸化物は貴金属を担持しないことによりセリウムの熱劣化を抑制し、さらに耐熱性無機酸化物を触媒層に含ませることにより、それらの酸化物が白金及びロジウムを担持するそれぞれの酸化物の熱的障壁材として機能することによって、耐熱性をさらに向上することができる。
すなわち、本発明の白金−ロジウム触媒に備わる触媒層は、白金触媒担持粉末及びロジウム触媒担持粉末に加えて耐熱性無機酸化物が緩衝材として存在することにより、白金とロジウムとの合金化を抑制することができるので、本発明の白金−ロジウム触媒は、耐熱性無機酸化物の存在しない従来の触媒担体に比較して、自動車の特に高温度の排気ガス中で触媒性能を長時間維持することができる。
【0022】
さらに、白金及びロジウムなどの貴金属を担持しないジルコニウムで安定化した第2のセリウム酸化物は、触媒貴金属を担持した第1のセリウム酸化物より高温度で劣化しにくい。したがって、触媒貴金属を担持したジルコニウムで安定化した第1のセリウム酸化物に加えて、さらに触媒貴金属を担持しないジルコニウムで安定化した第2のセリウム酸化物を含む触媒層からなる本発明の白金−ロジウム触媒は、酸素吸蔵能(OSC)を高く維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の白金−ロジウム触媒11は、活性アルミナまたは第1の安定化したセリウム酸化物3に白金1を担持した第1の白金触媒担持粉末7と、安定化したジルコニウム酸化物4にロジウム2を担持させたロジウム触媒担持粉末8と、単独で存在する第2の安定化したセリウム酸化物6と、耐熱性無機酸化物5とから成る混合物とバインダーとから形成される触媒層9を表面に担持した触媒担体基材10からなる。
図1に本発明の触媒層を表面に担持した触媒担体基材からなる自動車排気ガス用の白金−ロジウム触媒を示す。
【0024】
従来技術の白金−ロジウム触媒20は、セリウム酸化物14に白金12を担持した白金触媒担持粉末16と、ジルコニウム酸化物15にロジウム13を担持させたロジウム触媒担持粉末17とから成る混合物とバインダーとから形成される触媒層18を表面に担持した触媒担体基材19からなる。したがって、従来技術の白金−ロジウム触媒20は、単独で存在する安定化したセリウム酸化物及び耐熱性無機酸化物を含まない。
図2に従来技術の触媒層を表面に担持した触媒担体基材からなる自動車排気ガス用の白金−ロジウム触媒を示す。
【0025】
本願発明の白金触媒担持粉末は、高温度領域において安定である第1のセリウム酸化物に白金を担持させたものであり、この第1のセリウム酸化物の高温度領域での安定化はジルコニウムで安定化させる。この安定化させた第1のセリウム酸化物は、エンジン直近の1000℃におよぶ高温度雰囲気でも熱的に安定であり、このセリウム酸化物から白金が分離することを抑制する。
【0026】
さらに、本願発明のロジウム触媒担持粉末は、高温度領域において安定であるジルコニウム酸化物にロジウムを担持させたものであり、このジルコニウム酸化物の高温度領域での安定化は希土類金属元素で安定化する。この安定化したジルコニウム酸化物は、上記と同様にエンジン直近の高温度雰囲気でも熱的に安定であり、このジルコニウム酸化物からロジウムが分離することを抑制する。
【0027】
上述するように、本発明においては、安定化した第1のセリウム酸化物に白金を担持し、且つ安定化したジルコニウム酸化物にロジウムを担持したことにより、白金並びにロジウムが高温度で熱的に安定になり、それぞれの酸化物から白金並びにロジウムが分離することを抑制するので、白金とロジウムとが互いに合金化することを抑制でき、このような高温度領域においても触媒効率を低下させることなく当初の効果を維持することができる。
【0028】
さらに、本願発明の白金−ロジウム触媒は、触媒貴金属を担持せずに単独で存在する第2の安定化したセリウム酸化物と耐熱性無機酸化物とを含み、第2の安定化したセリウム酸化物は触媒貴金属を担持する第1のセリウム酸化物より耐熱性が優れ、また耐熱性無機酸化物が白金を担持した安定化したセリウム酸化物とロジウムを担持したジルコニウム酸化物との熱の緩衝材として機能するので、白金及びロジウムの分離を抑制することができる。その結果として、白金とロジウムが互いに合金化することを抑制でき、このような高温度領域においても触媒効率を低下させることなく当初の効果を維持することができる。
【0029】
本発明の白金−ロジウム触媒においては、白金触媒担持粉末は、触媒性能を維持するために0.1wt%以上の白金を第1のセリウム酸化物に担持させ、且つ微細な白金粒子を広範囲に分散させ且つ粒子の粗大防ぐために5wt%以下の白金を第1のセリウム酸化物に担持させて、残部を第1のセリウム酸化物とする。
【0030】
さらに、本発明の白金−ロジウム触媒においては、ロジウム触媒担持粉末は、触媒性能を維持するために0.1wt%以上のロジウムを安定化したジルコニウム酸化物に担持させ、且つ微細なロジウム粒子を広範囲に分散させ且つ粒子の粗大防ぐために5wt%以下のロジウムを安定化したジルコニウム酸化物に担持させて、残部を安定化したジルコニウム酸化物とする。
【0031】
本発明の白金−ロジウム触媒においては、耐熱性無機酸化物が、γ−アルミナ、θ−アルミナ、α−アルミナ、及びバリウム化合物の群の少なくとも1種から選択されるが、さらに種々の金属酸化物に置き換えることができる。
【0032】
白金及びロジウムなどの貴金属を担持しないジルコニウムで安定化した第2のセリウム酸化物は、触媒貴金属を担持した第1のセリウム酸化物に比較してより高温度領域においても劣化を低減することができる。
ジルコニウムで安定化した第1及び第2のセリウム酸化物中のモル比Ce/Zrを51/49以下にすると(セリウム量を51より少なくすると)、酸素吸蔵能(OSC)が低下して炭化水素50%浄化達成時間が長くなる。さらに、モル比Ce/Zrを80/20以上にすると(ジルコニウム量を20より少なくすると)、耐熱性が低下して炭化水素50%浄化達成時間が長くなる。
一方、希土類金属元素で安定化したジルコニウム酸化物のロジウム触媒担持粉末において、ジルコニウム/希土類金属元素のモル比が51/49未満であると(ジルコニウム量を51より少なくすると)、ジルコニウムがロジウムを安定化する効果が低下する。また、ジルコニウム/希土類金属元素のモル比が95/5を越えると(希土類金属元素量を5より少なくすると)、ジルコニウム自体の比表面積(SSA)が低下する。
【実施例】
【0033】
実施例1
実施例1の方法においては、ジルコニウムで安定化した第1のセリウム酸化物からなる粉末75gを、硝酸白金溶液に浸漬してその後250℃の温度で12時間の乾燥することによって、上記ジルコニウムで安定化した第1のセリウム酸化物の粉末に白金を担持させた白金触媒担持粉末を調製して準備した。この調製された白金触媒担持粉末は、1.1wt%の白金が上記セリウム酸化物の粉末に担持されていた。
さらに、実施例1の方法においては、希土類金属元素としてセリウムで安定化したジルコニウム酸化物からなる粉末40gを、硝酸ロジウム溶液に浸漬してその後250℃の温度で12時間の乾燥することによって、上記セリウムで安定化したジルコニウム酸化物の粉末にロジウムを担持させたロジウム触媒担持粉末を調製して準備した。この調製されたロジウム触媒担持粉末は、0.5wt%のロジウムが上記ジルコニウム酸化物の粉末に担持されていた。
さらに、実施例1においては、上記のように調製した第1のセリウム酸化物の粉末に白金を担持した上記白金触媒担持粉末75gと、上記のように調製したジルコニウム酸化物の粉末にロジウムを担持した上記ロジウム触媒担持粉末40gと、耐熱性無機酸化物としてγ−アルミナ粉末40gと、貴金属を含まないジルコニウムで安定化した第2のセリウム酸化物粉末15gと、バインダー6gと、水200gとをそれぞれ混合した混合物を、攪拌してその後スラリー状にして触媒溶液を得た。このスラリー状の触媒溶液を担持基体となるモノリスハニカム担体に被覆することにより、モノリスハニカム担体に触媒層を形成した。
この触媒層を担持したモノリスハニカム担体を、250℃の温度で1時間乾燥してその後500℃で1時間焼成して調製することにより、実施例1の触媒層が形成された白金−ロジウム触媒を得た。
実施例1の白金−ロジウム触媒においては、触媒被覆量170gに対して、白金を担持した第1のセリウム酸化物Pt−CZは75gであり、第2のセリウム酸化物は15gであり、ロジウムを担持したジルコニウム酸化物は40gであり、耐熱性無機酸化物であるγ−アルミナは40gであって、セリウム酸化物(CZ)/白金担持セリウム酸化物の重量比は0.2であり、その50%浄化達成時間は表2に示すとおり36秒である。
【0034】
実施例2
実施例2では、実施例1と同様の方法で、白金触媒担持粉末とロジウム触媒担持粉末とを調製して準備した。
上記のように調製することにより得た白金を担持させた上記白金触媒担持粉末を60g、及び貴金属を含まないジルコニウムで安定化した第2のセリウム酸化物粉末を30gと変化させた以外は、他の混合物は実施例1と同一及び同量を混合し且つ攪拌してスラリー状の触媒溶液を調製した。
上記のように調製したスラリー状の触媒溶液を被覆することにより触媒層を担持したモノリスハニカム担体を、実施例1と同様の方法で乾燥及び焼成を行って、実施例2の触媒層が形成された白金−ロジウム触媒を得た。
実施例2の白金−ロジウム触媒においては、触媒被覆量170gに対して、白金を担持した第1のセリウム酸化物Pt−CZは60gであり、第2のセリウム酸化物は30gであり、ロジウムを担持したジルコニウム酸化物は40gであり、耐熱性無機酸化物であるγ−アルミナは40gであって、セリウム酸化物(CZ)/白金担持セリウム酸化物の重量比は0.5であり、その50%浄化達成時間は表2に示すとおり34秒である。
【0035】
実施例3
実施例3では、実施例1と同様の方法で、白金触媒担持粉末とロジウム触媒担持粉末とを調製して準備した。
上記のように調製することにより得た白金を担持させた上記白金触媒担持粉末を30g、及び貴金属を含まないジルコニウムで安定化した第2のセリウム酸化物粉末を60gと変化させた以外は、他の混合物は実施例1と同一及び同量を混合し且つ攪拌してスラリー状の触媒溶液を調製した。
上記のように調製したスラリー状の触媒溶液を被覆することにより触媒層を担持したモノリスハニカム担体を、実施例1と同様の方法で乾燥及び焼成を行って、実施例3の触媒層が形成された白金−ロジウム触媒を得た。
実施例3の白金−ロジウム触媒においては、触媒被覆量170gに対して、白金を担持した第1のセリウム酸化物Pt−CZは30gであり、第2のセリウム酸化物は60gであり、ロジウムを担持したジルコニウム酸化物は40gであり、耐熱性無機酸化物であるγ−アルミナは40gであって、セリウム酸化物(CZ)/白金担持セリウム酸化物の重量比は2であり、その50%浄化達成時間は表2に示すとおり33秒である。
【0036】
実施例4
実施例4では、実施例1と同様の方法で、白金触媒担持粉末とロジウム触媒担持粉末とを調製して準備した。
上記のように調製することにより得た白金を担持させた上記白金触媒担持粉末を15g、及び貴金属を含まないジルコニウムで安定化した第2のセリウム酸化物粉末を75gと変化させた以外は、他の混合物は実施例1と同一及び同量を混合し且つ攪拌してスラリー状の触媒溶液を調製した。
上記のように調製したスラリー状の触媒溶液を被覆することにより触媒層を担持したモノリスハニカム担体を、実施例1と同様の方法で乾燥及び焼成を行って、実施例4の触媒層が形成された白金−ロジウム触媒を得た。
実施例4の白金−ロジウム触媒においては、触媒被覆量170gに対して、白金を担持した第1のセリウム酸化物Pt−CZは15gであり、第2のセリウム酸化物は75gであり、ロジウムを担持したジルコニウム酸化物は40gであり、耐熱性無機酸化物であるγ−アルミナは40gであって、セリウム酸化物(CZ)/白金担持セリウム酸化物の重量比は5であり、その50%浄化達成時間は表2に示すとおり37秒である。
【0037】
比較例1
比較例1では、実施例1と同様の方法で、白金触媒担持粉末とロジウム触媒担持粉末とを調製して準備した。
上記のように調製することにより得た白金を担持した上記白金触媒担持粉末を90gと変化させ、且つ貴金属を含まなくてジルコニウムで安定化した第2のセリウム酸化物を除いた以外は、他の混合物は実施例1と同一及び同量を混合し且つ攪拌してスラリー状の触媒溶液を調製した。
上記のように調製したスラリー状の触媒溶液を被覆することにより触媒層を担持したモノリスハニカム担体を、実施例1と同様の方法で乾燥及び焼成を行って、比較例1の触媒層が形成された白金−ロジウム触媒を得た。
比較例1の白金−ロジウム触媒においては、触媒被覆量170gに対して、白金を担持した第1のセリウム酸化物Pt−CZは90gであり、第2のセリウム酸化物は0であり、ロジウムを担持したジルコニウム酸化物は40gであり、耐熱性無機酸化物であるγ−アルミナは40gであって、したがって、セリウム酸化物(CZ)/白金担持セリウム酸化物の重量比は0であり、その50%浄化達成時間は表2に示すとおり40秒である。
【0038】
実施例1〜4と比較例1の排気ガス浄化
酸化物としてジルコニウムで安定化した第1のセリウム酸化物粉末に白金を担持した白金触媒担持粉末Pt−CZは、白金を担持しない第2のセリウム酸化物CZとの重量比CZ/(Pt−CZ)に依存して、排気ガス中の炭化水素を50%浄化するまでの時間が大きく変化する。上記重量比を変化させた実施例1〜4(E1〜E4)の白金触媒担持粉末、及び比較例1(C1)の白金触媒担持粉末(第2のセリウム酸化物CZを含まない)について、排気ガス中の炭化水素を50%浄化するまでの達成時間を図3に示す。
図3に示すように、第2のセリウム酸化物CZと、白金を担持した第1のセリウム酸化物Pt−CZとの重量比CZ/(Pt−CZ)は、0.3〜3.5の範囲で炭化水素50%浄化達成時間が35秒未満となり、最も速くて良好な触媒性能を示した。
なお、第2のセリウム酸化物CZと白金を担持した第1のセリウム酸化物Pt−CZとの重量比CZ/(Pt−CZ)が0.3未満のときは、白金を担持しない第2のセリウム酸化物の減少によりセリウム酸化物の劣化が進むことにより、炭化水素50%浄化達成時間が35秒を越えることになる。したがって、重量比CZ/(Pt−CZ)が0.3未満のときは、触媒効果は減少した。
また、第2のセリウム酸化物CZと白金を担持した第1のセリウム酸化物Pt−CZとの重量比CZ/(Pt−CZ)が3.5を越えるときは、白金を担持する第1のセリウム酸化物Pt−CZの量が減少することによりPtの担持密度増大により白金のシンタリングが起き触媒機能が低下して、炭化水素50%浄化達成時間が35秒を越えることになる。したがって、重量比CZ/(Pt−CZ)が3.5を越えるときは、触媒効果は減少した。
【0039】
実施例5
実施例5では、実施例1と同様の方法で、白金触媒担持粉末とロジウム触媒担持粉末とを調製して準備した。
上記のように調製した白金を担持させた白金触媒担持粉末を30g、貴金属を含まないジルコニウムで安定化した第2のセリウム酸化物を60g、及び耐熱性無機酸化物としてγ−アルミナを10gと変化させた以外は、他の混合物は実施例1と同一及び同量を混合し且つ攪拌してスラリー状の触媒溶液を調製した。
上記のように調製したスラリー状の触媒溶液を被覆することにより触媒層を担持したモノリスハニカム担体を、実施例1と同様の方法で乾燥及び焼成を行って、実施例5の触媒層が形成された白金−ロジウム触媒を得た。
実施例5の白金−ロジウム触媒においては、触媒被覆量140gに対して、白金を担持した第1のセリウム酸化物Pt−CZは30gであり、第2のセリウム酸化物は60gであり、ロジウムを担持したジルコニウム酸化物は40gであり、耐熱性無機酸化物であるγ−アルミナは10gであって、耐熱性無機酸化物であるγ−アルミナ/その他の添加物の重量比は0.077であり、その50%浄化達成時間は表2に示すとおり34秒である。
【0040】
実施例6
実施例6では、実施例5と同様の方法で、白金触媒担持粉末とロジウム触媒担持粉末とを調製して準備した。
さらに、実施例6では、耐熱性無機酸化物としてγ−アルミナを70gと変化させた以外は、他の混合物は実施例5と同一及び同量を混合し且つ攪拌してスラリー状の触媒溶液を調製した。
上記のように調製したスラリー状の触媒溶液を被覆することにより触媒層を担持したモノリスハニカム担体を、実施例1と同様の方法で乾燥及び焼成を行って、実施例6の触媒層が形成された白金−ロジウム触媒を得た。
実施例6の白金−ロジウム触媒においては、触媒被覆量200gに対して、白金を担持した第1のセリウム酸化物Pt−CZは30gであり、第2のセリウム酸化物は60gであり、ロジウムを担持したジルコニウム酸化物は40gであり、耐熱性無機酸化物であるγ−アルミナは70gであって、耐熱性無機酸化物であるγ−アルミナ/その他の添加物の重量比は0.538であり、その50%浄化達成時間は表2に示すとおり35秒である。
【0041】
実施例7
実施例7では、実施例5と同様の方法で、白金触媒担持粉末とロジウム触媒担持粉末とを調製して準備した。
さらに、実施例7では、耐熱性無機酸化物としてγ−アルミナを100gと変化させた以外は、他の混合物は実施例5と同一及び同量を混合し且つ攪拌してスラリー状の触媒溶液を調製した。
上記のように調製したスラリー状の触媒溶液を被覆することにより触媒層を担持したモノリスハニカム担体を、実施例1と同様の方法で乾燥及び焼成を行って、実施例7の触媒層が形成された白金−ロジウム触媒を得た。
実施例7の白金−ロジウム触媒においては、触媒被覆量230gに対して、白金を担持した第1のセリウム酸化物Pt−CZは30gであり、第2のセリウム酸化物は60gであり、ロジウムを担持したジルコニウム酸化物は40gであり、耐熱性無機酸化物であるγ−アルミナは100gであって、耐熱性無機酸化物であるγ−アルミナ/その他の添加物の重量比は0.769であり、その50%浄化達成時間は表2に示すとおり37秒である。
【0042】
比較例2
比較例2では、実施例5と同様の方法で、白金触媒担持粉末とロジウム触媒担持粉末とを調製して準備した。
さらに、比較例2においては耐熱性無機酸化物としてのγ−アルミナを除いた以外は、他の混合物は実施例5と同一及び同量を混合し且つ攪拌してスラリー状の触媒溶液を調製した。
上記のように調製したスラリー状の触媒溶液を被覆することにより触媒層を担持したモノリスハニカム担体を、実施例1と同様の方法で乾燥及び焼成を行って、比較例2の触媒層が形成された白金−ロジウム触媒を得た。
比較例2の白金−ロジウム触媒においては、触媒被覆量130gに対して、白金を担持した第1のセリウム酸化物Pt−CZは30gであり、第2のセリウム酸化物は60gであり、ロジウムを担持したジルコニウム酸化物は40gであり、耐熱性無機酸化物であるγ−アルミナは0であって、したがって、耐熱性無機酸化物であるγ−アルミナ/その他の添加物の重量比は0であり、その50%浄化達成時間は表2に示すとおり40秒である。
【0043】
実施例3、5〜7と比較例2の排気ガス浄化
白金触媒担持粉末は、添加される耐熱性無機酸化物とその他の添加物との重量比に依存して、排気ガス中の炭化水素を50%浄化するまでの時間が大きく変化する。耐熱性無機酸化物としてγ−アルミナを添加した実施例3、5〜7(E3、E5〜E7)の白金触媒担持粉末、及び比較例2(C2)の白金触媒担持粉末(耐熱性無機酸化物としてγ−アルミナを含まない)について、排気ガス中の炭化水素を50%浄化するまでの達成時間を図4に示す。
図4に示すように、耐熱性無機酸化物としてのγ−アルミナと、触媒を形成する混合物中のその他の添加物の重量比は、0.04〜0.56の範囲で炭化水素50%浄化達成時間が35秒未満となり、最も速くて良好な触媒性能を示した。
なお、耐熱性無機酸化物としてのγ−アルミナと、触媒を形成する混合物中のその他の添加物の重量比が0.04未満のときは、耐熱性無機酸化物としてのγ−アルミナの減少により耐熱性の効果が減少することにより、炭化水素50%浄化達成時間が35秒を越えることになる。したがって、γ−アルミナとその他の添加物の重量比が0.04未満のときは、触媒効果は減少した。
また、耐熱性無機酸化物としてのγ−アルミナと、触媒を形成する混合物中のその他の添加物の重量比が0.56を越えるときは、耐熱性無機酸化物としてのγ−アルミナの増加により暖気性が悪化するために、炭化水素50%浄化達成時間が35秒を越えることになる。したがって、γ−アルミナとその他の添加物の重量比が0.56を越えるときは、触媒効果は減少した。
【0044】
実施例8
実施例8においては希土類金属元素としてセリウムで安定化したジルコニウム酸化物に代えて、希土類金属元素としてイットリウムで安定化したジルコニウム酸化物を用いて、このイットリウムで安定化したジルコニウム酸化物の粉末にロジウムを担持したロジウム触媒担持粉末、及びジルコニウムで安定化した第1のセリウム酸化物担持粉末に白金を担持した白金触媒担持粉末は、実施例1の方法で調製された。
また、実施例8においては、上記のように調製したイットリウムで安定化したジルコニウム酸化物の粉末にロジウムを担持したロジウム触媒担持粉末40gを混合した以外は、他の混合物は実施例1と同一及び同量を混合し且つ攪拌してスラリー状の触媒溶液を調製した。
上記のように調製したスラリー状の触媒溶液を被覆することにより触媒層を担持したモノリスハニカム担体を、実施例1と同様の方法で乾燥及び焼成を行って、実施例8の触媒層が形成された白金−ロジウム触媒を得た。
【0045】
実施例9
実施例9では、γ−アルミナに代えて同量のθ−アルミナを使用した以外は、他の混合物は実施例1と同一及び同量を混合し且つ攪拌してスラリー状の触媒溶液を調製した。
上記のように調製したスラリー状の触媒溶液を被覆することにより触媒層を担持したモノリスハニカム担体を、実施例1と同様の方法で乾燥及び焼成を行って、実施例9の触媒層が形成された白金−ロジウム触媒を得た。
【0046】
実施例10
実施例10では、γ−アルミナに代えて同量のα−アルミナを使用した以外は、他の混合物は実施例1と同一及び同量を混合し且つ攪拌してスラリー状の触媒溶液を調製した。
上記のように調製したスラリー状の触媒溶液を被覆することにより触媒層を担持したモノリスハニカム担体を、実施例1と同様の方法で乾燥及び焼成を行って、実施例10の触媒層が形成された白金−ロジウム触媒を得た。
【0047】
実施例11
実施例11では、γ−アルミナに代えて同量のジルコニアを使用した以外は、他の混合物は実施例1と同一及び同量を混合し且つ攪拌してスラリー状の触媒溶液を調製した。
上記のように調製したスラリー状の触媒溶液を被覆することにより触媒層を担持したモノリスハニカム担体を、実施例1と同様の方法で乾燥及び焼成を行って、実施例11の触媒層が形成された白金−ロジウム触媒を得た。
【0048】
実施例12
実施例12では、γ−アルミナに代えて同量の硫酸バリウムを使用した以外は、他の混合物は実施例1と同一及び同量を混合し且つ攪拌してスラリー状の触媒溶液を調製した。
上記のように調製したスラリー状の触媒溶液を被覆することにより触媒層を担持したモノリスハニカム担体を、実施例1と同様の方法で乾燥及び焼成を行って、実施例12の触媒層が形成された白金−ロジウム触媒を得た。
【0049】
比較例3
比較例3では、γ−アルミナと、白金を担持しないジルコニウムで安定化した第2のセリウム酸化物との使用を除いた以外は、他の混合物は実施例1と同一及び同量を混合し且つ攪拌してスラリー状の触媒溶液を調製した。
上記のように調製したスラリー状の触媒溶液を被覆することにより触媒層を担持したモノリスハニカム担体を、実施例1と同様の方法で乾燥及び焼成を行って、比較例3の触媒層が形成された白金−ロジウム触媒を得た。
【0050】
実施例13
実施例13の方法においては、γ−アルミナからなる粉末125gを、硝酸白金溶液に浸漬してその後250℃の温度で12時間の乾燥することによって、上記γ−アルミナの粉末に白金を担持させた白金触媒担持粉末を調製して準備した。この調製された白金触媒担持粉末は、1.1wt%の白金が上記γ−アルミナの粉末に担持されていた。
さらに、実施例13の方法においては、希土類金属元素としてセリウムで安定化したジルコニウム酸化物からなる粉末25gを、硝酸ロジウム溶液に浸漬してその後250℃の温度で12時間の乾燥することによって、上記セリウムで安定化したジルコニウム酸化物の粉末にロジウムを担持させたロジウム触媒担持粉末を調製して準備した。この調製されたロジウム触媒担持粉末は、0.5wt%のロジウムが上記ジルコニウム酸化物の粉末に担持されていた。
さらに、実施例13においては、上記のように調製したγ−アルミナの粉末に白金を担持した上記白金触媒担持粉末125gと、上記のように調製したジルコニウム酸化物の粉末にロジウムを担持した上記ロジウム触媒担持粉末25gと、耐熱性無機酸化物としてγ−アルミナ粉末40gと、貴金属を含まないジルコニウムで安定化した第2のセリウム酸化物粉末100gと、バインダー6gと、水200gとをそれぞれ混合した混合物を、攪拌してその後スラリー状にして触媒溶液を得た。このスラリー状の触媒溶液を媒担持基体となるモノリスハニカム担体に被覆することにより、モノリスハニカム担体に触媒層を形成された。
この触媒層を担持したモノリスハニカム担体を、250℃の温度で1時間乾燥してその後500℃で1時間焼成して調製することにより、実施例1の触媒層が形成された白金−ロジウム触媒を得た。
【0051】
実施例14
実施例14の触媒溶液は、白金を担持しない耐熱性無機酸化物としてγ−アルミナ粉末の代わりにθ−アルミナを使用した以外は、実施例13と同様に混合し且つ攪拌してスラリー状に調製された。
上記のように調製したスラリー状の触媒溶液を被覆することにより触媒層を担持したモノリスハニカム担体を、実施例13と同様の方法で乾燥及び焼成を行って、実施例14の触媒層が形成された白金−ロジウム触媒を得た。
【0052】
実施例15
実施例15の触媒溶液は、白金を担持しない耐熱性無機酸化物としてγ−アルミナ粉末の代わりにα−アルミナを使用した以外は、実施例13と同様に混合し且つ攪拌してスラリー状に調製された。
上記のように調製したスラリー状の触媒溶液を被覆することにより触媒層を担持したモノリスハニカム担体を、実施例13と同様の方法で乾燥及び焼成を行って、実施例15の触媒層が形成された白金−ロジウム触媒を得た。
【0053】
実施例16
実施例16の触媒溶液は、白金を担持しない耐熱性無機酸化物としてγ−アルミナ粉末の代わりにジルコニアを使用した以外は、実施例13と同様に混合し且つ攪拌してスラリー状に調製された。
上記のように調製したスラリー状の触媒溶液を被覆することにより触媒層を担持したモノリスハニカム担体を、実施例13と同様の方法で乾燥及び焼成を行って、実施例16の触媒層が形成された白金−ロジウム触媒を得た。
【0054】
実施例17
実施例17の触媒溶液は、白金を担持しない耐熱性無機酸化物としてγ−アルミナ粉末の代わりに硫酸バリウムを使用した以外は、実施例13と同様に混合し且つ攪拌してスラリー状に調製された。
上記のように調製したスラリー状の触媒溶液を被覆することにより触媒層を担持したモノリスハニカム担体を、実施例13と同様の方法で乾燥及び焼成を行って、実施例17の触媒層が形成された白金−ロジウム触媒を得た。
【0055】
比較例4
比較例4の触媒溶液は、白金を担持しない耐熱性無機酸化物としてγ−アルミナ粉末と、白金を担持しないジルコニウムで安定化した第2のセリウム酸化物の使用を除いた以外は、実施例13と同様に混合し且つ攪拌してスラリー状に調製された。
上記のように調製したスラリー状の触媒溶液を被覆することにより触媒層を担持したモノリスハニカム担体を、実施例13と同様の方法で乾燥及び焼成を行って、比較例4の触媒層が形成された白金−ロジウム触媒を得た。
【0056】
表1に各実施例と各比較例において形成した白金−ロジウム触媒の構成する個々の構成物の種類を示す。実施例2〜7の白金−ロジウム触媒は、実施例1の触媒と同種の構成物からなるが、実施例1とはそれぞれ個々の構成物の含有量を変化させた。実施例8は、実施例1で使用した希土類金属元素としてセリウムで安定化したジルコニウム酸化物に代えて、希土類金属元素としてイットリウムで安定化したジルコニウム酸化物を用いた。
表1
試料 触媒貴金属 耐熱性無機酸化物 その他の混合物
実施例1 Pt-Ce系 γアルミナ Pt-Ce、Rh-Zr及びCeの各酸化物
実施例9 Pt-Ce系 θアルミナ Pt-Ce、Rh-Zr及びCeの各酸化物
実施例10 Pt-Ce系 αアルミナ Pt-Ce、Rh-Zr及びCeの各酸化物
実施例11 Pt-Ce系 ジルコニア Pt-Ce、Rh-Zr及びCeの各酸化物
実施例12 Pt-Ce系 硫酸Ba Pt-Ce、Rh-Zr及びCeの各酸化物
比較例3 Pt-Ce系 無し Pt-Ce、Rh-Zr、Ce酸化物無し
実施例13 Pt-Al2O3系 γアルミナ Pt-Al2O3、Rh-Zr及びCeの各酸化物
実施例14 Pt-Al2O3系 θアルミナ Pt-Al2O3、Rh-Zr及びCeの各酸化物
実施例15 Pt-Al2O3系 αアルミナ Pt-Al2O3、Rh-Zr及びCeの各酸化物
実施例16 Pt-Al2O3系 ジルコニア Pt-Al2O3、Rh-Zr及びCeの各酸化物
実施例17 Pt-Al2O3系 硫酸Ba Pt-Al2O3、Rh-Zr及びCeの各酸化物
比較例4 Pt-Al2O3系 無し Pt-Al2O3、Rh-Zr酸化物、Ce酸化物無し
【0057】
耐久試験
上記の実施例及び比較例において得られた白金−ロジウム触媒の耐久試験を行った。この耐久試験は、各白金−ロジウム触媒を排気量3リットルのガソリンエンジンに取り付けた。このエンジンの回転数は3500rpmとした。各白金−ロジウム触媒の入口側において排気ガス温度は800℃とし且つ白金−ロジウム触媒中央部の排気ガス温度は1050℃として、20時間の耐久試験を実施した。
各白金−ロジウム触媒は次に示す条件でエージングを行った。エージング条件は、1サイクルを60秒として、この1サイクルの初めから20秒の期間は理論空燃比A/F=14.6に制御して、その後56秒まで燃料を増加して20秒から26秒までは理論空燃比A/F=13の状態を保持し、さらに26秒から60秒までは理論空燃比A/F=15.5の状態に制御した。この1サイクルの期間中に、白金−ロジウム触媒は26秒目から触媒中央部の温度が上昇して1050℃に達し、56秒目からは酸素過剰の下で1050℃から温度が低下する耐久試験となった。上記のサイクルで20時間の耐久試験を行った触媒でもって、次に評価試験を行った。
評価試験は、各白金−ロジウム触媒を排気量3リットルのガソリンエンジンに取り付けて且つ白金−ロジウム触媒の排気ガス入り側で排気ガス温度を500℃に設定した条件のもとで行った。この評価値は、炭化水素(HC)の浄化率が50%に達するまでの時間を測定して求めた。表2に実施例1〜17及び比較例1〜4の白金−ロジウム触媒の評価試験の結果を示す。
【0058】
表2
試料 評価値
炭化水素50%削減時間(秒)
実施例1 36
実施例2 34
実施例3 33
実施例4 37
実施例5 34
実施例6 35
実施例7 37
実施例8 36
実施例9 37
実施例10 37
実施例11 38
実施例12 39
実施例13 34
実施例14 35
実施例15 35
実施例16 38
実施例17 39
比較例1 40
比較例2 40
比較例3 45
比較例4 40
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の白金−ロジウム触媒は、自動車の排気ガス中の炭化水素、一酸化炭素の酸化を促進するとともに、酸化窒素の還元を促進するものであるので、特に自動車の高温度領域における排気ガス浄化用の白金−ロジウム触媒として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の触媒層を表面に担持した触媒担体基材からなる自動車排気ガス用の白金−ロジウム触媒を示す。
【図2】従来技術の触媒層を表面に担持した触媒担体基材からなる自動車排気ガス用の白金−ロジウム触媒を示す。
【図3】第2のセリウム酸化物CZを含まない比較例1(C1)と、実施例1〜4(E1〜E4)の白金触媒担持粉末についての第2のセリウム酸化物CZと白金を担持した第1のセリウム酸化物Pt−CZとの重量比CZ/(Pt−CZ)と、排気ガス中の炭化水素を50%浄化するまでの達成時間との関係を示す。
【図4】耐熱性無機酸化物としてγ−アルミナを添加した実施例3、5〜7(E3、E5〜E7)の白金触媒担持粉末、及び比較例2(C2)の白金触媒担持粉末(耐熱性無機酸化物としてγ−アルミナを含まない)について、耐熱性無機酸化物/その他の物質と、排気ガス中の炭化水素を50%浄化するまでの達成時間との関係を示す。
【符号の説明】
【0061】
1 白金
2 ロジウム
3 第1の安定化したセリウム酸化物、または活性アルミナ
4 安定化したジルコニウム酸化物
5 耐熱性無機酸化物
6 第2の安定化したセリウム酸化物
7 白金触媒担持粉末
8 ロジウム触媒担持粉末
9 触媒層
10 触媒担体基材
11 白金−ロジウム触媒
12 白金
13 ロジウム
14 セリウム酸化物
15 ジルコニウム酸化物
16 白金触媒担持粉末
17 ロジウム触媒担持粉末
18 触媒層
19 触媒担体基材
20 白金−ロジウム触媒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジルコニウムで安定化した第1のセリウム酸化物または活性アルミナのいずれか一方からなる95〜99.9wt%の第1の触媒担持物質に、5〜0.1wt%の白金を担持させた白金触媒担持物質と、
希土類金属元素で安定化したジルコニウム酸化物からなる95〜99.9wt%の第2の触媒担持物質に、0.1〜5wt%のロジウムを担持させたロジウム触媒担持物質と、
ジルコニウムで安定化した第2のセリウム酸化物と、
耐熱性無機酸化物と、
を含む混合物とバインダーとから触媒層が形成され、且つ
前記触媒層と該触媒層を表面に担持した触媒担体基材とから成る、
ことを特徴とする自動車排気ガス用の白金−ロジウム触媒。
【請求項2】
ジルコニウムで安定化した前記第2のセリウム酸化物に対して、ジルコニウムで安定化した前記第1のセリウム酸化物に白金を担持させた白金触媒担持物質が、0.3〜3.5の範囲の重量比で含まれることを特徴とする請求項1に記載の白金−ロジウム触媒。
【請求項3】
前記混合物の重量に対して、前記耐熱性無機酸化物が、0.04〜0.56の範囲の重量比で含まれること特徴とする請求項1または2に記載の白金−ロジウム触媒。
【請求項4】
前記耐熱性無機酸化物が、γ−アルミナ、θ−アルミナ、α−アルミナ、ジルコニア、及びバリウム化合物の群の少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の白金−ロジウム触媒。
【請求項5】
ジルコニウムで安定化した前記第1のセリウム酸化物及び第2のセリウム酸化物において、セリウム/ジルコニウムのモル比が51〜80/49〜20の範囲であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の白金−ロジウム触媒。
【請求項6】
希土類金属元素で安定化したジルコニウム酸化物において、ジルコニウム/希土類金属元素のモル比が51〜95/49〜5の範囲であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の白金−ロジウム触媒。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−116460(P2006−116460A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−308131(P2004−308131)
【出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【出願人】(000104607)株式会社キャタラー (161)
【Fターム(参考)】