説明

自動車用オープニングトリムウエザストリップ

【課題】重量が軽減され、コーナー部に装着しても、中空シール部やカバーリップ部の座屈を防止することができる自動車用オープニングトリムウエザストリップを提供する。
【解決手段】オープニングトリムウエザストリップ10は、取付基部20と中空シール部30を有する。取付基部20は、少なくとも底壁25と車外側側壁21を有する断面略L字形部分を備え、車外側側壁21の車内側面にフランジ7に取付ける両面接着テープ24が貼着されている。底壁25はソリッド材で形成される。中空シール部30の底壁側の先端からカバーリップ34が形成され、取付基部20を上下方向に湾曲させたときに、湾曲の中立軸が底壁25内に存在するようにした自動車用オープニングトリムウエザストリップである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車ドア、トランクリッド、スライディングルーフ等の車体開口部を開閉する車体開口部開閉部材と車体開口部周縁との間をシールする自動車用オープニングトリムウエザストリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下、本発明について、図3に示すように、自動車のドア2と車体開口部周縁6との間をシールするオープニングトリムウエザストリップ10を例に取り説明する。
従来、自動車のドア2と車体開口部周縁6との間のシールは、図5に示すように、ドア2におけるドアフレーム等の外周のリテーナー4に取付けられるドアウエザストリップ160と、ドアフレーム等の内周のチャンネル3に取付けられ、ドアガラス5との間をシールするガラスラン150と、車体開口部周縁6のフランジ7に取付けられるオープニングトリムウエザストリップ110とによりなされる。なお、上記のフランジ7は、車体開口部周縁6を規定しているアウターパネル9と車内側のインナーパネル8等とによって形成されている。
【0003】
車体の開口部には、上記のフランジ7にオープニングトリムウエザストリップ110が取付けられており、ドアウエザストリップ160が車体開口部周縁6をシールする部分よりもさらに車内側でドア2と車体開口部周縁6との間をシールしている。オープニングトリムウエザストリップ110は、断面略U字形の取付基部120によりフランジ7に取付けられ、中空シール部130がドアフレーム膨出部2aに当接してシールしている。この取付基部120は、フランジ7を把持するために、金属インサート等の芯材124が埋設され、その内面にフランジ保持リップを備えている。
【0004】
しかしながら、このオープニングトリムウエザストリップ110は、金属インサートを有するため重量が増加してしまうとともに、フランジ7を取付基部120に挿入するために力が必要となり、取付けに手間がかかり、作業性がよくなかった。
また、オープニングトリムウエザストリップ110は、押出成形品を車体開口部周縁6の形状に合わせて、コーナー部に沿って曲げて取付けている。このコーナー部に沿って曲げた場合には、中空シール部が座屈することがあった。
【0005】
そのため、図6に示すように、車外側側壁221と、車内側側壁222と底壁223から構成される取付基部220の内部に金属インサート224を埋設し、底壁223に埋設される部分で、金属インサート224の各片を長手方向に接続するものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
この場合は、オープニングトリムウエザストリップ210をコーナー部に沿って曲げると、金属インサート224の各片を接続した部分が伸縮することがないため、湾曲の中立軸は底壁223の部分となり、中立軸に近い中空シール部230のカバーリップ234は座屈することがない。しかし、上記のように、車輌の軽量化のため、金属インサート224を廃止する要請がある。
【0007】
また、車体開口部周縁6の全周に装着される場合には、車体開口部周縁6のフランジ7は、その部位によって厚さが異なる。即ち、フランジ7は、車体を構成する複数のパネルの先端が接合されて形成されるが、接合されるパネルの数は、部位によって2枚から5枚程度まで変化し、その厚さは1.4mmから8mm程度まで変化する。
【0008】
そこで、図7に示すように、車外側側壁321と底壁323とで取付基部320を形成し、車外側側壁321に両面接着テープ324を貼着し、両面接着テープ324をフランジ7の側面に接着して取付けるものがある(例えば、特許文献2参照。)。この場合は、オープニングトリムウエザストリップ310をコーナー部に沿って曲げると、車外側側壁321と底壁323がソリッド材で形成されているため、車外側側壁321の中央付近よりも若干底壁25寄りの部分が湾曲の中立軸となり、中立軸から離れた中空シール部330のカバーリップ334が座屈することとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許4110574号公報
【特許文献2】特開2007−253795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このため、本発明は、重量が軽減され、コーナー部に装着しても、中空シール部やカバーリップ部の座屈を防止することができる自動車用オープニングトリムウエザストリップを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、自動車の車体開口部開閉部材と自動車の車体開口部周縁との間をシールするオープニングトリムウエザストリップにおいて、
オープニングトリムウエザストリップは、車体開口部周縁に設けられているフランジに取付けられる取付基部と、取付基部に一体的に設けられ、車体開口部開閉部材に当接して車体開口部開閉部材と車体開口部周縁との間をシールする中空シール部を有し、中空シール部はスポンジ材で形成され、中空シール部の底壁側の先端からカバーリップが形成され、
取付基部は、少なくとも底壁と車外側側壁を有する断面略L字形部分を備え、車外側側壁の車内側面にフランジに取付ける両面接着テープが貼着され、底壁はソリッド材で形成され、車外側側壁をスポンジ材で形成することにより、取付基部を上下方向で湾曲させるときの湾曲の中立軸を底壁内に存在するようにしたことを特徴とする自動車用オープニングトリムウエザストリップである。
【0012】
請求項1の本発明では、オープニングトリムウエザストリップは、車体開口部周縁に設けられているフランジに取付けられる取付基部と、取付基部に一体的に設けられ、車体開口部開閉部材に当接して車体開口部開閉部材と車体開口部周縁との間をシールする中空シール部を有している。このため、車体開口部周縁に取付基部を取付けると、車体開口部開閉部材の閉時に中空シール部が車体開口部開閉部材に当接して、車体開口部開閉部材と車体開口部周縁との間をシールすることができる。
【0013】
取付基部は、少なくとも底壁と車外側側壁を有する断面略L字形部分を備え、車外側側壁の車内側面にフランジに取付ける両面接着テープが貼着されている。このため、オープニングトリムウエザストリップをコーナー部に取付けたときに、両面接着テープにより中空シール部の座屈を防止でき、フランジの肉厚が変化しても、肉厚にかかわりなく両面接着テープを使用して、車外側側壁をフランジの側面に確実に取り付けることができる。そして、車外側側壁と断面略L字形に一体に形成された底壁でフランジの先端を保持して、フランジの先端から騒音や雨水の浸入をシールすることができる。
【0014】
底壁はソリッド材で形成され、車外側側壁をスポンジ材で形成することにより、取付基部を上下方向で湾曲させるときの湾曲の中立軸を底壁内に存在するようにした。このため、オープニングトリムウエザストリップをコーナー部に取付けたときに、湾曲の中立軸に近いカバーリップ部が座屈し難くなる。車外側側壁と中空シール部がスポンジ材で形成されているため、さらにオープニングトリムウエザストリップの重量を軽減することができる。
【0015】
請求項2の本発明は、中空シール部は、車外側側壁の底壁との接続部分から延設された第1中空連結部と、車外側側壁の先端側から延設された第2中空連結部と、第1中空連結部と第2中空連結部のそれぞれの先端と連結され車体開口部開閉部材に当接してシールするシール当接部から形成され、第1中空連結部はソリッド材で形成され、第2中空連結部とシール当接部はスポンジ材で形成された自動車用オープニングトリムウエザストリップである。
【0016】
請求項2の本発明では、中空シール部は、車外側側壁の底壁との接続部分から延設された第1中空連結部と、車外側側壁の先端側から延設された第2中空連結部と、第1中空連結部と第2中空連結部のそれぞれの先端と連結され車体開口部開閉部材に当接してシールするシール当接部から形成される。このため、中空シール部は中空形状を維持して、車体開口部開閉部材との間のシール性を確保できる。
【0017】
第1中空連結部はソリッド材で形成され、第2中空連結部とシール当接部はスポンジ材で形成されたため、コーナー部に取付けた場合に、第1中空連結部は変形し難く、シール当接部が異常変形しにくいとともに、カバーリップ部が座屈しにくく、ガーニッシュ等とカバーリップ部が離れることがなく、見栄えがよい。
【0018】
請求項3の本発明は、中空シール部は、車外側側壁とシール当接部を連結するブリッジ部が形成された自動車用オープニングトリムウエザストリップである。
【0019】
請求項3の本発明では、中空シール部は、車外側側壁とシール当接部を連結するブリッジ部が形成されたため、中空シール部のシール当接部が車体開口部開閉部材に当接したときに、シール当接部が異常変形することがなく、確実にシールすることができ、コーナー部に取付けられた場合には中空シール部が座屈し難い。
【0020】
請求項4の本発明は、シール当接部は、中央付近が他の部分よりも厚肉に形成された自動車用オープニングトリムウエザストリップである。
【0021】
請求項4の本発明では、シール当接部は、中央付近が他の部分よりも厚肉に形成されたため、中空シール部のシール当接部が車体開口部開閉部材に当接したときに、中央付近の厚肉部分が、凹み難くシール性を確保できる。
【0022】
請求項5の本発明は、底壁の屈曲中立軸付近に伸張防止用の糸が埋設された自動車用オープニングトリムウエザストリップである。
【0023】
請求項5の本発明では、底壁の屈曲中立軸付近に伸張防止用の糸が埋設されたため、オープニングトリムウエザストリップが長手方向に延びることを防止できるとともに、コーナー部に取付けられたときに、伸張防止用の糸が屈曲中立軸となることができる。
【0024】
請求項6の本発明は、両面接着テープは車外側側壁の先端側に貼着された自動車用オープニングトリムウエザストリップである。
【0025】
請求項6の本発明では、両面接着テープは車外側側壁の先端側に貼着されたため、底壁の屈曲中立軸から離れた中空シール部の部分をフランジに接着することができ、座屈することを防止できる。また、高価な両面接着テープを削減することができ、コストダウンに貢献することができる。
【0026】
請求項7の本発明は、カバーリップ部の裏面にソリッド材が設けられた自動車用オープニングトリムウエザストリップである。
【0027】
請求項7の本発明では、カバーリップ部の裏面にソリッド材が設けられたため、カバーリップ部の剛性が向上し、コーナー部に取付けられたときに、カバーリップ部が座屈しにくく、見栄えがよい。
【0028】
請求項8の本発明は、オープニングトリムウエザストリップは、直線状に押出形成されたウエザストリップの両端を接続して、フランジの形状に対応して環状に形成され、両端を接続する接続部は押出成形によって形成された他の部分よりも軟質の材料で形成された自動車用オープニングトリムウエザストリップである。
【0029】
請求項8の本発明では、オープニングトリムウエザストリップは、直線状に押出形成されたウエザストリップの両端を接続して、フランジの形状に対応して環状に形成され、両端を接続する接続部は押出成形によって形成された他の部分よりも軟質の材料で形成された。このため、環状に形成され、フランジに装着するときに、フランジの形状に合わせて仮止めして、その後、装着することが容易である。両端を接続する接続部は軟質の材料で形成されたため、軟質の材料は伸縮が容易であり、ウエザストリップの装着時の伸縮を吸収することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明では、取付基部は、少なくとも底壁と車外側側壁を有する断面略L字形部分を備え、車外側側壁の車内側面にフランジに取付ける両面接着テープが貼着されている。このため、オープニングトリムウエザストリップをコーナー部に取付けたときに、両面接着テープにより中空シール部の座屈を防止できる。
底壁はソリッド材で形成され、車外側側壁をスポンジ材で形成することにより、取付基部を上下方向で湾曲させるときの湾曲の中立軸を底壁内に存在するようにしたため、オープニングトリムウエザストリップをコーナー部に取付けたときに、湾曲の中立軸に近いカバーリップ部が座屈し難くなる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1の実施の形態であるオープニングトリムウエザストリップが図4におけるA−A線に沿った部分の車体開口部周縁に装着された状態の断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態であるオープニングトリムウエザストリップが図4におけるA−A線に沿った部分の車体開口部周縁に装着された状態の断面図である。
【図3】自動車のドアを開いた状態において、オープニングトリムウエザストリップの車体開口部周縁への取り付け状態を示す、自動車の後方から見た斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態であるドアオープニングトリムウエザストリップの正面図である。
【図5】従来のドアオープニングトリムウエザストリップを自動車の開口縁に取付けた状態における断面図である。
【図6】従来の他のドアオープニングトリムウエザストリップを自動車のフランジに取付ける状態における断面図である。
【図7】従来の他のドアオープニングトリムウエザストリップを両面接着テープで自動車のフランジに取付ける状態における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の実施の形態を、車体開口部開閉部材であるドア2とドア2を取付ける車体開口部の車体開口部周縁6とを塞ぐオープニングトリムウエザストリップ10を例にとり説明する。本発明は、上記のオープニングトリムウエザストリップ10以外にも、スライディングルーフ、ラッゲージウ、バックドア等の自動車の車体開口部と、その開口部を閉じる車体開口部開閉部材との間をシールするシール部と取付基部を有するオープニングトリムウエザストリップにも使用することができる。
【0033】
本発明の第1と第2の実施の形態について、図1〜図4に基づき説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態であるオープニングトリムウエザストリップ10が図3における車体開口部周縁6に装着された状態の図4におけるA−A線に沿った部分の断面図である。
図2は、本発明の第2の実施の形態であるオープニングトリムウエザストリップ10が、同様に図3における車体開口部周縁6に装着された状態の図4におけるA−A線に沿った部分の断面図である。
【0034】
図3に示すように、自動車の車体1は、車体開口部を有し、その車体開口部は、車体開口部開閉部材であるドア2により開閉される。車体開口部の周囲は、車体開口部周縁6を形成し、車体開口部周縁6は車体1を構成するアウターパネル9やインナーパネル8等の先端が溶接されて、フランジ7(図1〜図2参照)となっている。このフランジ7に車体開口部周縁6とドア2との間をシールするオープニングトリムウエザストリップ10が装着される。
フランジ7は、車体1の車体開口部周縁6の部位により溶接されるパネルの数が2枚〜5枚程度まで変化するためその厚さが車体1の部位により変化する。
【0035】
オープニングトリムウエザストリップ10は、押出成形により直線状に成形される。この直線状に形成された1本のオープニングトリムウエザストリップ10は、図4に示すように、接続部11により環状に形成され、図3に示すように、車体開口部周縁6の形状に沿って、フランジ7に装着される。環状に形成すると、ドア2の周縁や車体開口部周縁6に装着することが容易となる。
【0036】
オープニングトリムウエザストリップ10の両端を接続する接続部11は押出成形によって形成された他の部分よりも軟質の材料で形成することができる。この場合は、環状に形成され、フランジ7に装着するときに、両端を接続する接続部11は軟質の材料で形成されたため、軟質の材料は伸縮が容易であり、オープニングトリムウエザストリップ10の装着時の伸縮を吸収することができる。
【0037】
また、オープニングトリムウエザストリップ10の端末同士を装着前に接着剤で接着して環状にしてもよい。
装着は、環状に接続せずに直線状のオープニングトリムウエザストリップ10の一方の端末から順次、フランジ7に装着して、装着が完了すると、他方の端末が一方の端末と接合するようにしてもよい。
【0038】
次に、図1に基づき、第1の実施の形態のオープニングトリムウエザストリップ10の断面形状について説明する。
オープニングトリムウエザストリップ10は、フランジ7に取付けられる、断面略L字形の取付基部20と、取付基部20と一体的に形成され、ドア2のドアフレーム膨出部2aに当接して、ドア2と車体開口部周縁6との間をシールする中空状の中空シール部30を有する。
【0039】
取付基部20は、少なくとも車外側側壁21と底壁25を有する断面略L字形を備えている。取付基部20は、フランジ7の肉厚の変化に対応できるようにしたため底壁25は所定の幅寸法を有している。取付基部20の車外側側壁21と底壁25は一体的に連続して形成され、フランジ7を挟持する挟持力を補強する金属板や硬質合成樹脂等で形成されたインサート(芯材)は埋設されていない。このためオープニングトリムウエザストリップ10を軽量化することができる。底壁25の詳細については後述する。
【0040】
車外側側壁21は、断面がフランジ7の側面に沿って略平板状に形成され、車外側側壁21の車内側面には両面接着テープ24が貼着されている。オープニングトリムウエザストリップ10の車外側側壁21は、両面接着テープ24によりフランジ7の車外側側面に接着される。
車外側側壁21は、後述する中空シール部30と同様にスポンジ材で形成されている。スポンジ材はスポンジゴム、スポンジ熱可塑性エラストマー等を使用する。
【0041】
両面接着テープ24を使用すると、フランジ7の車外側側面に接着するのみであるため、フランジ7の厚さが変化しても装着方法は同じであり、フランジ7への接着力は同様であり、装着が容易である。また、車外側側壁21に両面接着テープ24を貼着すると貼着面積も大きく、強固に取付基部20を接着することができる。そのため、車外側側壁21とフランジ7との間のシール性を確保することができる。
【0042】
両面接着テープ24をアクリルフォーム等のスポンジ材で形成し、肉厚を厚くしたりすると、車外側側壁21と両面接着テープ24の接着を強固にすることができるとともに、フランジ7の側面に形成されたスポット痕等の凹凸に合わせて両面接着テープ24が変形して車外側側壁21とフランジ7とを密着させることができる。
【0043】
車外側側壁21の外面には中空シール部30が一体的に設けられている。
中空シール部30は、ドア閉時に、ドア2のドアフレーム膨出部2aに当接してドア2と車体開口部周縁6の間をシールする。
【0044】
中空シール部30は、車外側側壁21の底壁25との接続部分から延設された第1中空連結部31と、車外側側壁21の先端側から上方に延設された第2中空連結部32と、第1中空連結部31と第2中空連結部32のそれぞれの先端と連結され車体開口部開閉部材であるドア2に当接してシールする円弧状のシール当接部33を有している。このため、中空シール部30は、第1中空連結部31と第2中空連結部32がシール当接部33を支えて中空形状を維持して、ドア2との間のシール性を確保できる。
【0045】
第1中空連結部31は、車外側側壁21の側端から車外側(シール当接部33方向)に延設され、中央付近で下方向(車外側側壁21と平行で先端方向)に屈曲して延設されている。この屈曲した先端に上述のとおりシール当接部33が接続されている。第1中空連結部31は、底壁25と同様にソリッド材で形成されている。
【0046】
第1中空連結部31とシール当接部33の連結部からシール当接部33の延長方向にカバーリップ部34が形成されている。カバーリップ部34の先端は、車内に取付けられた内装部材であるガーニッシュ40の側端を覆っている。このため、オープニングトリムウエザストリップ10の取付部分の美観を向上させることができる。
【0047】
カバーリップ部34の裏面に第1中空連結部31から連続してソリッド材が設けられている。このため、カバーリップ部34の剛性が向上し、フランジ7のコーナー部に取付けられたときに、カバーリップ部34が座屈しにくい。
第1中空連結部31はソリッド材で形成され、第2中空連結部32、シール当接部33及び後述するブリッジ部35はスポンジ材で形成されている。このため、フランジ7のコーナー部に沿って湾曲させて取付けた場合に、第1中空連結部31は変形し難く、カバーリップ部34が座屈しにくく、ガーニッシュ40とカバーリップ部34が離れることがなく、見栄えがよい。
また、スポンジ材で形成されている部分が多く、オープニングトリムウエザストリップ10の重量を軽減できる。
【0048】
中空シール部30には、車外側側壁21とシール当接部33を連結するブリッジ部35が形成されている。ブリッジ部35は、シール当接部33がドアフレーム膨出部2aに当接したときに、シール当接部33を支えて、シール当接部33が大きく凹むのを防止して、シール当接部33がドアフレーム膨出部2aに接触する接触圧が大きくすることができる。このため、ドアフレーム膨出部2aと中空シール部30との間を確実にシールすることができる。また、オープニングトリムウエザストリップ10が車体開口部周縁6のコーナー部に沿って湾曲させて取付けられる場合においても、中空シール部30が座屈することを防止できる。
【0049】
シール当接部33とブリッジ部35は連通する円形の空気孔36が長手方向に所定間隔を置いて、複数個形成されている。ドア閉時にドアフレーム膨出部2aが中空シール部30を押圧したときに、空気孔36から中空シール部30の中の空気を排出して、ドア閉力を低減させることができる。
【0050】
図1に示すように、シール当接部33は、中央付近が他の部分よりも内側が膨らんだ厚肉に形成されている。このため、中空シール部30のシール当接部33がドアフレーム膨出部2aに当接したときに、シール当接部33の中央付近の厚肉部分が、剛性が大きくなり、内側に凹み難く、シール性を確保できる。
【0051】
取付基部20の底壁25は、車外側側壁21の先端に連続する断面略T字形の底壁元部26とフランジ7の先端と対向するとともに底壁元部26のの横片の延長上に設けられる底壁先端部27と、底壁元部26と底壁先端部27とを連結する底壁連結部28から形成される。底壁連結部28は他の部分と比べて薄肉に形成されている。底壁25は、ソリッド材で形成されている。
【0052】
底壁元部26の横片と縦片が交わる角部の近傍の横片には、フランジ7の車外側の先端であるアウターパネル9の先端が当接する。フランジ7の先端が底壁元部26に当接して押しても、底壁元部26はソリッド材で形成されており、変形することが少なく、アウターパネル9の先端がフランジ7では最も突出しているため、オープニングトリムウエザストリップ10はフランジ7に対して位置決めがされて、両面接着テープ24がフランジ7の所定位置に接着される。
【0053】
底壁先端部27にはスポンジ部23が取付けられている。スポンジ部23をスポンジ材で形成したため、フランジ7のアウターパネル9先端以外の部分をスポンジ部23の中に埋め込んで、フランジ7の先端を包み込むことができる。このため、フランジ7がスポット溶接等でなされた場合に、フランジ7の各板金の間には隙間が生ずるが、このフランジ7の板金の先端の隙間から騒音や雨水が漏洩することを防止することができる。また、車外側からフランジ7の先端と底壁25の間を通って侵入する埃や騒音もシールすることができる。
【0054】
底壁元部26の中心付近(後述する底壁25の屈曲中立軸付近)に伸張防止用の補強糸22を埋設することができる。この場合は、オープニングトリムウエザストリップ10を取付けるときに長手方向に延びることを防止できるとともに、フランジ7のコーナー部に沿って湾曲させて取付けられたときに、伸張防止用の補強糸22が屈曲中立軸となることができる。そのため、より確実に中空シール部30がカバーリップ部34の座屈を防止できる。
【0055】
車外側側壁21の先端部分と連続する底壁元部26の縦片は、底壁元部26全体と一体的にIRHD90°〜95°である硬質の材料で形成されている。取付基部20を車体開口部周縁6のコーナー部に沿って湾曲させて取付けたときに、車外側側壁21は、その上下方向で湾曲させられるが、車外側側壁21はスポンジ材で形成され、底壁元部26はIRHD90°〜95°である硬質の材料で厚肉に形成されているため、底壁元部26がその湾曲の中立軸となる。即ち、コーナー部においては、この底壁元部26よりも先端側にある車外側側壁21は伸張されて、底壁元部26は伸張も圧縮もされなくなる。なお、底壁元部26の縦片の長さは、特に規定していないが、中立軸を底壁25側へ寄せようとするためには、車外側側壁21の長さの1/20〜1/10で設定されている。1/20よりも短いとフランジ7の先端の位置決めが難しくなり、1/10よりも長いと中立軸が底壁25側へ寄らずに、カバーリップ部34の先端の変形が生じる恐れがある。
【0056】
そのため、底壁元部26に近いカバーリップ部34は圧縮されることが少なく、取付基部20を上下方向で湾曲させて、オープニングトリムウエザストリップ10をフランジ7のコーナー部に取付けたときに、湾曲の中立軸に近いカバーリップ部34が座屈し難くなる。従って、カバーリップ部34の先端がガーニッシュ40に接触し続けることができ、見栄えがよい。
【0057】
フランジ7に第1の実施の形態のオープニングトリムウエザストリップ10を装着するときは、まず、フランジ7に仮止めする。そして、オープニングトリムウエザストリップ10の取付基部20をフランジ7に対して斜めに位置させて、フランジ7の先端を底壁25の底壁元部26に当接させる。この場合は、取付基部20に車内側側壁が存在しないため、フランジ7を取付基部20に対して斜めに倒して挿入することができる。
【0058】
このとき、フランジ7の最も車外側のアウターパネル9が他のパネルよりも若干長いためその先端を底壁元部26に当接させる。
その後、取付基部20を回転させて両面接着テープ24をフランジ7の側面に押し付ける。そしてローラーで中空シール部30を押圧して両面接着テープ24をフランジ7に接着する。
【0059】
なお、第1の実施の形態においては、取付基部20は、車外側側壁21と底壁25とからなる断面略L字形のものを説明したが、取付基部20が、車外側側壁21、車内側側壁と底壁25とからなる断面略U字形のものを使用することもできる。
【0060】
次に、第2の実施の形態を図2に基づき、オープニングトリムウエザストリップ10の断面形状について説明する。第2の実施の形態は、第1の実施の形態と比べて、車外側側壁21の形状が異なり、異なる点を中心に説明し、第1の実施の形態と同様な部分は説明を省略する。
【0061】
車外側側壁21の先端側(底壁25と反対側)のブリッジ部35が接続している付近までについては第1の実施の形態と同様にフランジ7と平行に形成され、ブリッジ部35が接続している部分から底壁25に接続する部分までは異なる。
【0062】
車外側側壁21の先端側のフランジ7と平行な部分に、両面接着テープ24が取付けられており、両面接着テープ24の幅が略半分にすることができ、軽量化とコスト削減をすることができる。フランジ7のコーナー部に沿って湾曲させて取付けられた場合には、底壁元部26が湾曲の中立軸となり、車外側側壁21の先端側は、フランジ7から離れる力が働くが、両面接着テープ24により、フランジ7に強固に取付けられているため、車外側側壁21の先端側がフランジ7から離れることがない。
底壁元部26が湾曲の中立軸となるため、第1の実施の形態と同様に、カバーリップ部34が変形して、ガーニッシュ40から離れることがない。
【0063】
車外側側壁21は、ブリッジ部35が接続している付近から底壁25方向においては、フランジ7から離れる方向に屈曲して延設され、中空シール部30の第1中空連結部31の屈曲部分に接続している。このため、中空シール部30のブリッジ部35が短くなり、中空シール部30の形状保持力が多くなりシール性を保持することができる。
【0064】
次に、オープニングトリムウエザストリップ10の製造方法を説明する。
このオープニングトリムウエザストリップ10は、押出成形により成形され、取付基部20を構成するソリッドゴムと中空シール部30を構成するスポンジゴムを押出成形機で一体に押出すことができる。
補強糸22を取付基部20の底壁元部26に埋設するときは、取付基部20と中空シール部30と同時に押出成形する。
【0065】
オープニングトリムウエザストリップ10の成形においては、成形材料は、ソリッド材の場合は、合成ゴム、合成樹脂(熱可塑性エラストマー)が使用され、例えば合成ゴムではEPDMゴム、熱可塑性エラストマーではポリオレフィン系エラストマー等が使用される。スポンジ材としてとしては、上記EPDMゴム、熱可塑性エラストマーを発泡させて使用する。
【0066】
合成ゴムの場合は、押出成形後に加硫槽に搬送されて、熱風や高周波等により加熱されて加硫、発泡が行われる。硬質合成樹脂(熱可塑性エラストマー)、の場合は、押出成形と同時にあるいは押出成形の後に加熱されて発泡して、冷却され固化される。その後所定の長さに切断されて、押出成形部分は製造される。
押出されたオープニングトリムウエザストリップ10は、所定寸法に切断されて、接続部11で型成形等により環状に接続されてもよく、自動車の車体開口縁のフランジ7に取付けられる。
【符号の説明】
【0067】
2 ドア
6 車体開口部周縁
7 フランジ
10 ドアオープニングトリムウエザストリップ
20 トリム部(取付基部)
21 車外側側壁
22 補強糸材
24 両面接着テープ
25 底壁
26 底壁元部
30 中空シール部
31 第1中空連結部
33 シール当接部
34 カバーリップ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の車体開口部開閉部材と自動車の車体開口部周縁との間をシールするオープニングトリムウエザストリップにおいて、
該オープニングトリムウエザストリップは、上記車体開口部周縁に設けられているフランジに取付けられる取付基部と、該取付基部に一体的に設けられ、車体開口部開閉部材に当接して上記車体開口部開閉部材と上記車体開口部周縁との間をシールする中空シール部を有し、上記中空シール部はスポンジ材で形成され、上記中空シール部の底壁側の先端からカバーリップが形成され、
上記取付基部は、少なくとも底壁と車外側側壁を有する断面略L字形部分を備え、上記車外側側壁の車内側面に上記フランジに取付ける両面接着テープが貼着され、上記底壁はソリッド材で形成され、上記車外側側壁をスポンジ材で形成することにより、上記取付基部を上下方向で湾曲させるときの湾曲の中立軸を上記底壁内に存在するようにしたことを特徴とする自動車用オープニングトリムウエザストリップ。
【請求項2】
上記中空シール部は、上記車外側側壁の上記底壁との接続部分から延設された第1中空連結部と、上記車外側側壁の先端側から延設された第2中空連結部と、上記第1中空連結部と第2中空連結部のそれぞれの先端と連結され上記車体開口部開閉部材に当接してシールするシール当接部から形成され、上記第1中空連結部はソリッド材で形成され、上記第2中空連結部と上記シール当接部はスポンジ材で形成された請求項1に記載の自動車用オープニングトリムウエザストリップ。
【請求項3】
上記中空シール部は、上記車外側側壁と上記シール当接部を連結するブリッジ部が形成された請求項1又は請求項2に記載の自動車用オープニングトリムウエザストリップ。
【請求項4】
上記シール当接部は、中央付近が他の部分よりも厚肉に形成された請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の自動車用オープニングトリムウエザストリップ。
【請求項5】
上記底壁の屈曲中立軸付近に伸張防止用の糸が埋設された請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の自動車用オープニングトリムウエザストリップ。
【請求項6】
上記両面接着テープは上記車外側側壁の先端側に貼着された請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の自動車用オープニングトリムウエザストリップ。
【請求項7】
上記カバーリップ部の裏面にソリッド材が設けられた請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の自動車用オープニングトリムウエザストリップ。
【請求項8】
上記オープニングトリムウエザストリップは、直線状に押出形成されたウエザストリップの両端を接続して、上記フランジの形状に対応して環状に形成され、上記両端を接続する接続部は押出成形によって形成された他の部分よりも軟質の材料で形成された請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の自動車用オープニングトリムウエザストリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−51396(P2011−51396A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−200105(P2009−200105)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】