自動車用オープニングトリムウエザストリップ
【課題】重量が軽減され、コーナー部に装着が容易で、製造が容易な自動車用オープニングトリムウエザストリップを提供することを目的とするものである。
【解決手段】
オープニングトリムウエザストリップ10は、車体開口部周縁6に設けられているフランジ7に取付けられる取付基部20と、取付基部20に一体的に設けられ、車体開口部開閉部材2に当接して車体開口部開閉部材2と車体開口部周縁6との間をシールするシール部を有する。取付基部20は、金属製インサートを埋設せず、車外側側壁21と底壁23及び車内側側壁22を有する断面略コ字形に形成される。底壁23は長手方向に連続する硬質樹脂板26で形成されるか又は底壁23に長手方向に連続する硬質樹脂板26が埋設されている。硬質樹脂板26は、車外側側壁21及び車内側側壁22よりも剛性が高い。
【解決手段】
オープニングトリムウエザストリップ10は、車体開口部周縁6に設けられているフランジ7に取付けられる取付基部20と、取付基部20に一体的に設けられ、車体開口部開閉部材2に当接して車体開口部開閉部材2と車体開口部周縁6との間をシールするシール部を有する。取付基部20は、金属製インサートを埋設せず、車外側側壁21と底壁23及び車内側側壁22を有する断面略コ字形に形成される。底壁23は長手方向に連続する硬質樹脂板26で形成されるか又は底壁23に長手方向に連続する硬質樹脂板26が埋設されている。硬質樹脂板26は、車外側側壁21及び車内側側壁22よりも剛性が高い。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車ドア等の車体開口部を開閉する車体開口部開閉部材と車体開口部周縁との間をシールする自動車用オープニングトリムウエザストリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下、本発明について、図7に示すように、自動車のドア2と車体開口部周縁6との間をシールするオープニングトリムウエザストリップ(以下、OTWSという。)10を例に取り説明する。
従来、自動車のドア2と車体開口部周縁6との間のシールは、図6と図7に示すように、ドア2におけるドアフレーム2aとドアパネル2bの外周に取付けられるドアウエザストリップ170と、ドアフレーム2a等の内周に取付けられ、ドアガラス5との間をシールするガラスラン160と、車体開口部周縁6のフランジ7に取付けられるOTWS110とによりなされる。なお、上記のフランジ7は、車体開口部周縁6を規定しているアウターパネル9と車内側のインナーパネル8等とによって形成されている。
【0003】
車体の開口部には、上記のフランジ7にOTWS110が取付けられており、ドアウエザストリップ170が車体開口部周縁6をシールする部分よりもさらに車内側でドア2と車体開口部周縁6との間をシールしている。OTWS110は、断面略コ字形の取付基部120によりフランジ7に取付けられ、中空シール部130がドアフレーム膨出部2cに当接してシールしている。図6に示す取付基部120には、金属インサートは埋設されていないが、従来の取付基部120の内部には、断面略コ字形の内部に沿って、フランジ7を把持するために、金属インサート等の芯材が埋設され、その内面にフランジ保持リップを備えている。
【0004】
しかしながら、この従来のOTWS110は、金属インサートを有するため重量が増加してしまう。そのため、自動車の軽量化の要請に応じるため、金属インサートを廃止することが検討されている。
【0005】
このため、図9に示すように、車体の開口部に取付けるOTWS210において、フランジ7に取付けるトリム部220と、トリム部220から一体的に中空シール部230を設けて、トリム部220の車外側側壁221のフランジ7と対向する面に両面接着テープ222を取り付けて、フランジ7の側面に接着することが行われている(例えば、特許文献1及び2参照。)。しかしながら、この場合には、両面接着テープ222を車外側側壁221の全面に亘り取付ける必要があるが、両面接着テープ222が高価であり、コストアップの原因となっている。
【0006】
なお、両面接着テープ222の代わりにクリップを使用して車外側側壁221をフランジ7に取付けることも考えられるが、クリップを使用する場合には、車体の開口部の上辺に取付けると、クリップとクリップの間において、車外側側壁221が垂れ下がり、シール性が低下する不具合が考えられる。このため、クリップの使用はできなかった。
【0007】
また、図10に示すように、金属インサートを使用しないでソリッドゴムを使用したトリム部320と、スポンジゴムを使用した中空シール部330を有するOTWS310において、トリム部320の底壁323の両端と車外側側壁321と車内側側壁322の連続部分である肩部分324、325を尖った角状に形成して、車外側側壁321と車内側側壁322の先端が開き難くしたものがある(例えば、特許文献3及び4参照。)。しかしながら、この場合では、底壁323、車外側側壁321と車内側側壁322が同じ剛性の大きなソリッドゴムで形成されていても、車外側側壁321と車内側側壁322の先端が開くのを充分に防止することができなかった。
【0008】
さらに、図11に示すように、金属インサートを使用しないトリム部420と、スポンジゴムを使用した中空シール部430を有するOTWS410において、トリム部420の底壁423と車内側側壁422の内面に連続した断面L字形の高硬度ゴム材又は高硬度樹脂材の部材425を使用するものがある(例えば、特許文献5参照。)。しかしながら、この場合には、OTWS410を車体開口部周縁6のコーナー部に取付けるときには、この部材425の剛性が大きくて、コーナー部に沿って曲げ難く、車体開口部周縁6に装着する作業が難しかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−274285号公報
【特許文献2】特開2007−152978号公報
【特許文献3】特開2009−280193号公報
【特許文献4】特開2010−006200号公報
【特許文献5】特許3752627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このため、本発明は、重量が軽減され、コーナー部に装着が容易で、製造が容易な自動車用OTWSを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、自動車の車体開口部開閉部材と自動車の車体開口部周縁との間をシールするOTWSにおいて、
OTWSは、車体開口部周縁に設けられているフランジに取付けられる取付基部と、取付基部に一体的に設けられ、車体開口部開閉部材に当接して車体開口部開閉部材と車体開口部周縁との間をシールするシール部を有し、
取付基部は、金属製インサートを埋設せず、車外側側壁と底壁及び車内側側壁を有する断面略コ字形に形成され、底壁は長手方向に連続する硬質樹脂板で形成されるか又は底壁に長手方向に連続する硬質樹脂板を有し、硬質樹脂板は、車外側側壁及び車内側側壁よりも剛性が高いことを特徴とする自動車用OTWSである。
【0012】
請求項1の本発明では、OTWSは、車体開口部周縁に設けられているフランジに取付けられる取付基部と、取付基部に一体的に設けられ、車体開口部開閉部材に当接して車体開口部開閉部材と車体開口部周縁との間をシールするシール部を有している。このため、車体開口部周縁に取付基部を取付けると、車体開口部開閉部材の閉時にシール部が車体開口部開閉部材に当接して、車体開口部開閉部材と車体開口部周縁との間をシールすることができる。
【0013】
取付基部は、金属製インサートを埋設しないため、取付基部の重量を軽減することができ、自動車の軽量化に貢献することができる。
取付基部は、車外側側壁と底壁及び車内側側壁を有する断面略コ字形に形成され、底壁は長手方向に連続する硬質樹脂板で形成されるか又は底壁に長手方向に連続する硬質樹脂板を有し、硬質樹脂板は、車外側側壁及び車内側側壁よりも剛性が高く形成されている。このため、車外側側壁及び車内側側壁よりも剛性の大きな硬質樹脂板に取付けられるか或いは、硬質樹脂板を有する底壁に取付けられる車外側側壁及び車内側側壁の先端部分の開きを防止することができる。
【0014】
さらに、硬質樹脂板は断面形状が平板状であるため、OTWSを車体開口部周縁のコーナー部に取付けるときに、コーナー部に沿って撓みやすく、OTWSを車体開口部周縁に取付けることが容易である。さらに、硬質樹脂板は剛性が大きく、取付基部の他の部分がゴムや熱可塑性エラストマー等で形成されていても、OTWSの長手方向の伸びを抑制することができる。
【0015】
請求項2の本発明は、硬質樹脂板は、オレフィン系熱可塑性樹脂で形成され、OTWSの他の部分は、EPDMゴム又はオレフィン系熱可塑性エラストマーで形成された自動車用OTWSである。
【0016】
請求項2の本発明では、硬質樹脂板は、オレフィン系熱可塑性樹脂で形成されたため、充分な剛性を有するとともに、耐候性に優れている。
OTWSの他の部分は、EPDMゴム又はオレフィン系熱可塑性エラストマーで形成されたため、押出成形時に硬質樹脂板と強固に溶着・接着することができ、充分な柔軟性を有し、硬質樹脂板と同時にリサイクルすることができる。
【0017】
請求項3の本発明は、車外側側壁の根元側の部分と車内側側壁は、車外側側壁の先端側の部分よりも硬質のゴム又は熱可塑性エラストマーで形成された自動車用OTWSである。
【0018】
請求項3の本発明では、車外側側壁の根元側の部分と車内側側壁は、車外側側壁の先端側の部分よりも硬質のゴム又は熱可塑性エラストマーで形成されたため、車外側側壁と車内側側壁の撓みを抑制し、取付基部がフランジを保持する力を向上させることができる。
【0019】
請求項4の本発明は、車外側側壁と車内側側壁の対向する内面には、それぞれフランジを保持する車外側保持リップと車内側保持リップが形成され、車外側保持リップの少なくとも一部と車内側保持リップは、記車外側側壁の根元側の部分及び車内側側壁よりも軟質のゴム又は熱可塑性エラストマーで形成された自動車用OTWSである。
【0020】
請求項4の本発明では、車外側側壁と車内側側壁の対向する内面には、それぞれフランジを保持する車外側保持リップと車内側保持リップが形成されたため、車外側保持リップと車内側保持リップで強固にフランジの側面を保持することができ、フランジから取付基部が外れにくい。
車外側保持リップの少なくとも一部と車内側保持リップは、記車外側側壁の根元側の部分と車内側側壁よりも軟質のゴム又は熱可塑性エラストマーで形成されたため、取付基部内にフランジが挿入されたときに、柔軟に撓んでフランジを保持することができ、フランジの厚さが変化しても、保持リップが撓んで、挿入作業性を維持することができる。
【0021】
請求項5の本発明は、シール部は中空部を有する中空シール部である自動車用OTWSである。
【0022】
請求項5の本発明では、シール部は中空部を有する中空シール部であるため、車体開口部開閉部材に当接したときに、車体開口部開閉部材の形状に沿って柔軟に撓み、シール性を確保することができるとともに、当接面積が大きく、車体開口部開閉部材の組み付けばらつきがあっても、シール性を保持することができる。
【0023】
請求項6の本発明は、中空シール部は、車外側側壁から延設され中空部を二分するブリッジ部が形成された自動車用OTWSである。
【0024】
請求項6の本発明では、中空シール部は、車外側側壁から延設され中空部を二分するブリッジ部が形成されたため、中空シール部が車体開口部開閉部材に当接したときに、中空シール部が異常変形することがなく、確実にシールすることができ、コーナー部に取付けられた場合には中空シール部が座屈し難い。
【発明の効果】
【0025】
本発明では、底壁は長手方向に連続する硬質樹脂板で形成されるか又は底壁に長手方向に連続する硬質樹脂板が埋設されているため、車外側側壁及び車内側側壁の先端部分の開きを防止することができる。
さらに、硬質樹脂板は断面形状が平板状であるため、OTWSを車体開口部周縁のコーナー部に取付けるときに、コーナー部に沿って撓みやすく、OTWSを車体開口部周縁に取付けることが容易である。さらに、硬質樹脂板は剛性が大きく、OTWSの長手方向の伸びを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施の形態であるOTWSが図8におけるA−A線に沿った部分の車体開口部周縁に装着された状態の断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態であるOTWSが図8におけるA−A線に沿った部分の断面図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態であるOTWSが図8におけるA−A線に沿った部分の断面図である。
【図4】本発明の第4の実施の形態であるOTWSが図8におけるA−A線に沿った部分の断面図である。
【図5】本発明の第5の実施の形態であるOTWSが図8におけるA−A線に沿った部分の車体開口部周縁に装着された状態の断面図である。
【図6】本発明の実施の形態であるOTWSが車体開口部周縁の上辺部に取付けられ、ドアが閉じられた状態の車体開口部周縁とドアフレームの上辺の断面図である。
【図7】自動車のドアを開いた状態において、OTWSの車体開口部周縁への取り付け状態を示す、自動車の後方から見た斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態であるOTWSの正面図である。
【図9】従来のOTWSを自動車の開口縁に取付けた状態における断面図である。
【図10】従来の他のOTWSを自動車の開口縁に取付けた状態における断面図である。
【図11】従来の他のOTWSの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施の形態を、車体開口部開閉部材であるドア2とドア2を取付ける車体開口部の車体開口部周縁6とを塞ぐOTWS10を例にとり説明する。
本発明の第1〜第5の実施の形態について、図1〜図8に基づき説明する。
図1〜5は、本発明の第1〜5の実施の形態であるOTWS10が図7における車体開口部周縁6に装着された状態の図8におけるA−A線に沿った部分の断面図である。
【0028】
図7に示すように、自動車の車体1は、車体開口部を有し、その車体開口部は、車体開口部開閉部材であるドア2により開閉される。車体開口部の周囲は、車体開口部周縁6を形成し、車体開口部周縁6は車体1を構成するアウターパネル9やインナーパネル8等の先端が溶接されて、フランジ7(図1及び図5参照)となっている。このフランジ7に車体開口部周縁6とドア2との間をシールするOTWS10が装着される。
フランジ7は、車体1の車体開口部周縁6の部位により溶接されるパネルの数が2枚〜5枚程度まで変化するためその厚さが車体開口部周縁6の部位により変化する。
【0029】
自動車のドア2と車体開口部周縁6との間のシールは、従来と同様に図6に示すように、ドア2におけるドアフレーム2aとドアパネル2bの外周に取付けられるドアウエザストリップ70と、ドアフレーム2a等の内周に取付けられ、ドアガラス5との間をシールするガラスラン60と、車体開口部周縁6のフランジ7に取付けられるOTWS10とによりなされる。
【0030】
OTWS10は、押出成形により直線状に成形される。この直線状に形成された1本のOTWS10は、図8に示すように、接続部11により環状に形成され、図7に示すように、車体開口部周縁6の形状に沿って、車体開口部周縁6のフランジ7に装着される。環状に形成すると、車体開口部周縁6に隙間なく装着することが容易となる。
【0031】
OTWS10の両端を接続する接続部11は押出成形によって形成された他の部分よりも軟質の材料で形成することができる。この場合は、環状に形成され、フランジ7に装着するときに、両端を接続する接続部11は軟質の材料で形成されたため、軟質の材料は伸縮が容易であり、OTWS10の装着時の伸縮を吸収することができる。
【0032】
また、OTWS10の端末同士を装着前に接着剤で接着して環状にしてもよい。
さらに、装着前には、環状に接続せずに直線状のOTWS10の一方の端末から順次、フランジ7に装着して、装着が完了すると、他方の端末が一方の端末と接合するようにしてもよい。
【0033】
次に、図1に基づき、第1の実施の形態のOTWS10の断面形状について説明する。
OTWS10は、車体開口部周縁6に形成されたフランジ7に取付けられる、断面略コ字形の取付基部であるトリム部20と、トリム部20と一体的に形成され、ドア2のドアフレーム膨出部2cに当接して、ドア2と車体開口部周縁6との間をシールするシール部を有する。第1の実施の形態のシール部は中空状の中空シール部30として形成されたが、シール部をリップ状に形成することもできる。
【0034】
トリム部20は、車外側側壁21、車内側側壁22と底壁23を有する断面略コ字形を備えている。トリム部20は、フランジ7の肉厚の変化に対応できるようにしたため底壁23は所定の幅寸法を有している。トリム部20の車外側側壁21、車内側側壁22と底壁23は一体的に連続して形成され、フランジ7を挟持する挟持力を補強する金属板で形成されたインサート(芯材)は埋設されていない。このためOTWS10を軽量化することができる。
【0035】
第1の実施の形態では、図1に示すように、底壁23は、硬質合成樹脂の平板状に形成された硬質樹脂板26のみから形成されている。底壁23である硬質樹脂板26は、後述するOTWS
10の他の部分と同時に押出成形することができる。あるいは、予め長尺状の硬質樹脂板26を成形し、その長尺状の硬質樹脂板26を押出成形機に供給し、OTWS 10の他の部分を成形してもよい。第1の実施の形態では、底壁23は、ポリプロピレン樹脂で形成されている。硬質樹脂板26をポリエチレン樹脂等の他の硬質のオレフィン系合成樹脂で形成することもできる。
【0036】
第1の実施の形態では、硬質樹脂板26は、1.2mm程度の肉厚のものが使用されるが、1.0〜1.5mmの範囲で使用することが好ましい。硬質樹脂板26がこの厚さを有するため、車体開口部周縁6のコーナー部にトリム部20を取付けるときに、トリム部20が硬質樹脂板26の肉厚方向に曲げ変形可能であり、取付が容易である。
【0037】
第1の実施の形態では、硬質樹脂板26の硬度は、ポリプロピレン樹脂の場合は、ロックウェル硬度で95度のものが使用される。なお、ロックウェル硬度で85〜110度の範囲で使用することが好ましい。また、ポリエチレン樹脂の場合は、ショアD硬度で65度のものが使用される。なお、ショアD硬度で60〜70度の範囲で使用することが好ましい。
【0038】
第1の実施の形態では、車内側側壁22は、硬質樹脂板26の表面に直接溶着して断面形状が平板状に形成されている。車内側側壁22は、IRHD90度のEPDMソリッドゴムを使用する。なお、この硬度は、IRHD85〜95度の範囲で使用することが好ましい。EPDMソリッドゴム以外に、同程度の硬度のオレフィン系熱可塑性エラストマーを使用することができる。高硬度のEPDMソリッドゴム又はオレフィン系熱可塑性エラストマーを使用するため、フランジ7がトリム部20内に挿入されたときに、撓みが少なく、金属インサートが埋設されていなくても、強固にフランジ7を保持することができる。
車内側側壁22は、肉厚が3mm程度で形成されており、フランジ7の保持力を確保することができる。
【0039】
EPDMソリッドゴム又はオレフィン系熱可塑性エラストマーは、ポリプロピレン樹脂等のオレフィン系合成樹脂と相溶性がよいため、車内側側壁22を押出成形するときに、押出成形時の溶融状態の熱で、強固に底壁23の硬質樹脂板26であるポリプロピレン樹脂と溶着することができる。
【0040】
車内側側壁22の内面から車内側保持リップ25が斜めに車外側側壁21に向けて延設されている。車内側保持リップ25は、IRHD70度のEPDMソリッドゴムを使用する。この硬度は、IRHD65〜80度の範囲で使用することが好ましい。EPDMソリッドゴム以外に、同程度の硬度のオレフィン系熱可塑性エラストマーを使用することができる。
【0041】
車内側保持リップ25は、1本で長く延設されており、車内側側壁22よりも軟質の材料で形成されている。このため、車体開口部周縁6の各部位によりフランジ7の厚さが異なっても、その厚さの変化に対応して車内側保持リップ25が撓むことができ、フランジ7へトリム部20を取付けることが容易であるとともに、保持力を維持できる。
【0042】
車外側側壁21は、硬質樹脂板26である底壁23と溶着する側の車外側側壁根元部21aと、車外側側壁根元部21aの先端から延設される車外側側壁先端部21bから形成される。車外側側壁根元部21aは、車内側側壁22と同様に、IRHD90度のEPDMソリッドゴムを使用する。なお、この硬度は、IRHD85〜95度の範囲で使用することが好ましい。
【0043】
EPDMソリッドゴム以外に、同程度の硬度のオレフィン系熱可塑性エラストマーを使用することができる。高硬度のEPDMソリッドゴム又はオレフィン系熱可塑性エラストマーを使用するため、フランジ7がトリム部20内に挿入されたときに、撓みが少なく、強固にフランジ7を保持することができる。車外側側壁根元部21aの肉厚は、車内側側壁22の肉厚と同程度であり、フランジ7を強固に保持できる。
【0044】
車外側側壁根元部21aの内面から車外側保持リップ24が1本、斜めに車内側側壁22に向けて延設されている。車外側保持リップ24の車外側側壁根元部21aから延設されているものは、車外側側壁根元部21aと同じ材料で形成され、IRHD90度のEPDMソリッドゴムを使用する。
【0045】
車外側側壁根元部21aの内面と底壁23の内面で形成される角部には、シーラー27が充填されている。シーラー27は、粘着性のゴム又は樹脂材で形成されている。トリム部20にフランジ7を取付けたときに、フランジ7の先端がシーラー27の内部に埋設される。このため、フランジ7の先端から雨水や騒音の進入を防止して、トリム部20のシール性を向上させることができる。
【0046】
車外側側壁先端部21bは、車外側側壁根元部21aの先端からその延長方向に延設されている。車外側側壁先端部21bは、車内側保持リップ25と同じIRHD70度のEPDMソリッドゴムを使用する。この硬度は、IRHD65〜80度の範囲で使用することが好ましい。EPDMソリッドゴム以外に、同程度の硬度のオレフィン系熱可塑性エラストマーを使用することができる。このため、車体開口部周縁6のフランジ7の形状に応じて撓むことができる。
【0047】
車外側側壁先端部21bの内面から車外側保持リップ24が2本、斜めに車内側側壁22に向けて延設されている。車外側側壁先端部21bから延設されている車外側保持リップ24は、車外側側壁先端部21bと同じ材料で形成され、IRHD70度のEPDMソリッドゴムが使用されている。この2本の車外側保持リップ24と車外側側壁根元部21aから延設された1本の車外側保持リップ24はフランジ7の車外側面に当接し、車内側保持リップ25と合わせてフランジ7を保持する。
【0048】
次に、本発明の第1の実施の形態の中空シール部30について説明する。車外側側壁21の外面には中空シール部30が一体的に設けられている。中空シール部30は、ドア閉時に、ドア2のドアフレーム膨出部2cに当接してドア2と車体開口部周縁6の間をシールする。
【0049】
中空シール部30は、車外側側壁21の外面部分から延設された中空シール第1保持壁31と、車外側側壁21の先端側から上方に延設された中空シール第2保持壁32と、中空シール第1保持壁31と中空シール第2保持壁32のそれぞれの先端と連結され車体開口部開閉部材であるドア2に当接してシールする円弧状の中空シール当接壁33を有している。このため、中空シール部30は、中空シール第1保持壁31と中空シール第2保持壁32が中空シール当接壁33を支えて中空形状を維持して、ドア2との間のシール性を確保できる。
【0050】
中空シール第1保持壁31は、車外側側壁21の側面から斜め外方向(図1における斜め右下方向)に延設され、中央付近で車外側側壁21の延長方向と平行で先端方向(図1における横方向)に屈曲して延設されている。この屈曲した先端に上述のとおり中空シール当接壁33が接続されている。中空シール第1保持壁31は、車外側側壁先端部21bと同様にIRHD70度のEPDMソリッドゴムで形成されている。
【0051】
中空シール第1保持壁31はソリッド材で形成され、中空シール第2保持壁32、中空シール当接壁33及び後述するブリッジ部34はスポンジ材で形成されている。このため、フランジ7のコーナー部に沿って湾曲させて取付けた場合に、中空シール第1保持壁31は変形し難く、中空形状を保持し、また、OTWS10は、スポンジ材で形成されている部分が多く、OTWS10の重量を軽減できる。
【0052】
中空シール第1保持壁31と中空シール当接壁33の連結部から中空シール当接壁33の延長方向に中空シール延出部37が形成されている。中空シール延出部37の先端は、車内に取付けられた内装部材であるガーニッシュ50の側端を覆っている。このため、OTWS10の取付部分の美観を向上させることができる。
【0053】
中空シール部30には、車外側側壁21と中空シール当接壁33を連結するブリッジ部34が形成されている。ブリッジ部34は、中空シール当接壁33がドアフレーム膨出部2cに当接したときに、中空シール当接壁33を支えて、中空シール当接壁33が大きく凹むのを防止して、中空シール当接壁33がドアフレーム膨出部2cに接触する接触圧が大きくすることができる。このため、ドアフレーム膨出部2cと中空シール部30との間を確実にシールすることができる。また、OTWS10が車体開口部周縁6のコーナー部に沿って湾曲させて取付けられる場合においても、中空シール部30が座屈することを防止できる。
【0054】
中空シール当接壁33とブリッジ部34は連通する円形の空気孔35、36が長手方向に所定間隔を置いて、複数個形成されている。ドア閉時にドアフレーム膨出部2cが中空シール部30を押圧したときに、空気孔35、36から中空シール部30の中の空気を排出して、ドア閉力を低減させることができる。
【0055】
図1に示すように、中空シール当接壁33は、中央付近が他の部分よりも内側が膨らんだ厚肉に形成されている。このため、中空シール部30の中空シール当接壁33がドアフレーム膨出部2cに当接したときに、中空シール当接壁33の中央付近の厚肉部分が、剛性が大きくなり、内側に凹み難く、シール性を確保できる。
【0056】
中空シール第2保持壁32、中空シール当接壁33と中空シール延出部37の表面には、中空シール第1保持壁31と同じソリッド材の中空シール部表皮層38が形成されている。このため中空シール部30の表面がスムースであり、見栄えを良くすることができる。また、中空シール延出部37の剛性を向上させて、中空シール延出部37の先端が捲り上がることを防止できる。
【0057】
次に、図2に基づき本発明の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態は、第1の実施の形態と比べて、底壁23の構成が異なり、他の部分は同様であるため異なる点を中心に説明し、第1の実施の形態と同様な部分は、説明を省略する。
【0058】
第2の実施の形態における底壁23は、硬質樹脂板26とその内面に形成される底壁内層23aから構成される。底壁内層23aは、車内側側壁22の下端と車外側側壁根元部21aの下端と連続して形成され、硬質樹脂板26のトリム部20の内面側を覆って形成されている。底壁内層23aは、車内側側壁22及び車外側側壁根元部21aと同じ材料であるIRHD90度のEPDMソリッドゴムで形成されている。
【0059】
このため、硬質樹脂板26と底壁内層23aの溶着面積が大きく、車内側側壁22及び車外側側壁根元部21aを強固に底壁23に取付けることができる。また、フランジ7にトリム部20を取付けたときに、フランジ7の先端が底壁23に当接しても、ソリッドゴム等で形成された底壁内層23aにフランジ7の先端が当接するため、直接硬質樹脂板26と接触することがなく、衝撃を吸収し、異音の発生を防止することができる。
【0060】
なお、硬質樹脂板26の車内側側壁22と接する面に、長手方向に連続する突条を形成することができる。この場合には、この突条が車内側側壁22の底面に入り込んでトリム部20が形成されるため、車内側側壁22と硬質樹脂板26の接触面積が増加して、接着力が向上するとともに、車内側側壁22が倒れにくくなる。
【0061】
次に、図3に基づき本発明の第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態は、第1の実施の形態と比べて、車外側側壁21の構成が異なり、他の部分は同様であるため異なる点を中心に説明し、第1の実施の形態と同様な部分は、説明を省略する。
【0062】
第3の実施の形態における車外側側壁21は、底壁23に対して車内側側壁22方向に第1の実施の形態よりも若干大きく傾斜して形成されている。このため、OTWS10を車体開口部周縁6の湾曲した部分に取付けても、トリム部20の開口部が開くのを防止して、シール性を向上させるとともに、フランジ7の保持力を確保することができる。
【0063】
車外側側壁根元部21aは、底壁23である硬質樹脂板26の車外側の端に一体的に形成され、若干車外側に張り出して形成される。このため、車外側側壁21を傾斜して形成しても、トリム部20の開口部の寸法を第1の実施の形態と同じように確保することができる。車外側側壁根元部21aの内面に形成される車外側保持リップ24はトリム部20の内部方向に若干長く張り出して形成されている。車外側保持リップ24の底壁23側の面から底壁23の内面に亘りシーラー27が充填されている。
【0064】
車外側側壁根元部21aの延長方向に車外側側壁先端部21bが形成され、車外側側壁先端部21bの内面には2本の車外側保持リップ24が形成され、トリム部20の開口部側の車外側保持リップ24の方が短く形成されている。トリム部20内にフランジ7を挿入した場合に、車外側保持リップ24が開口側から底壁23側に行くにつれて、順に長く形成されているため、車外側側壁21が傾斜して形成されていても、3本の車外側保持リップ24は、フランジ7の側面に同じように当接することができる。このため、トリム部20がフランジを保持する力を確保することができる。
【0065】
次に、図4に基づき本発明の第4の実施の形態について説明する。第4の実施の形態は、第1の実施の形態と比べて、底壁23の構成が異なり、他の部分は同様であるため異なる点を中心に説明し、第1の実施の形態と同様な部分は説明を省略する。
【0066】
第4の実施の形態における底壁23は、硬質樹脂板26が底壁23の内部に埋設されて形成され、トリム部20の内面側に形成される底壁内層23aと、トリム部20の外面側に形成される底壁外層23bを有している。底壁内層23aと底壁外層23bが硬質樹脂板26を包むように端部で連続して形成されるとともに、底壁内層23aは、車内側側壁22の下端と車外側側壁根元部21aの下端と連続して形成されている。底壁内層23aと底壁外層23bは、車内側側壁22及び車外側側壁根元部21aと同じ材料であるIRHD90度のEPDMソリッドゴムで形成されている。
【0067】
このため、硬質樹脂板26を完全に固着することができるとともに、第2の実施の形態と同様に、車内側側壁22及び車外側側壁根元部21aを強固に底壁23に取付けることができる。また、フランジ7にトリム部20を取付けたときに、フランジ7の先端が底壁23に当接しても、ソリッドゴム等で形成された底壁内層23aにフランジ7の先端が当接するため、直接硬質樹脂板26と接触することがなく、衝撃を吸収し、異音の発生を防止することができる。
【0068】
次に、図5に基づき本発明の第5の実施の形態について説明する。第5の実施の形態は、第1の実施の形態と比べて、底壁23からカバーリップ40が形成されていることと、中空シール部30の中空形状と中空シール延出部37が形成されていない点が異なり、他の部分は同様であるため異なる点を中心に説明し、第1の実施の形態と同様な部分は説明を省略する。
【0069】
第5の実施の形態における底壁23の車外側の外面から断面円弧状にカバーリップ40が底壁23の外面を覆うように形成されている。カバーリップ40の先端は、ガーニッシュ50の先端を覆うように取付けられている。このため、ガーニッシュ50の先端が、第1の実施の形態のように、底壁23の全体を覆うように長く形成されていなくても、ガーニッシュ50とOTWS10の間の隙間を覆うことができ、見栄えを向上させている。
【0070】
カバーリップ40は、スポンジEPDMゴムやソリッドEPDMゴムを使用することができる。この場合は、OTWS10の重量を軽減することができる。
また、カバーリップ40を軟質の材料で形成することができる。例えば、軟質のオレフィン系熱可塑性エラストマーを使用することができる。この場合には、ガーニッシュ50や他の内装材の色彩に合わせて、カバーリップ40を着色することができる。
【0071】
第5の実施の形態における中空シール部30は、中空シール第1保持壁31、中空シール第2保持壁32及び中空シール当接壁33が一体的に略円弧状に形成され、中空シール延出部37が形成されていない。また、中空シール部30が全体的に略円弧状に形成されているため、強度が強くブリッジ部34は形成されていない。
【0072】
次に、OTWS10の製造方法を説明する。
このOTWS10は、押出成形により成形され、取付基部20を構成する硬度の異なる2種類のソリッドゴムと中空シール部30を構成するスポンジゴムを押出成形機で一体に押出すことができる。硬質樹脂板26を底壁23として使用する場合には、硬質樹脂板26をトリム部20や中空シール部30と同時に押出成形したり、硬質樹脂板26を予め成形して、トリム部20や中空シール部30と同時に押出成形したりすることができる。硬質樹脂板26を底壁23に埋設するときも同様に、トリム部20と中空シール部30と同時に押出成形する。
【0073】
OTWS10の成形においては、成形材料は、ソリッド材の場合は、合成ゴム、合成樹脂(熱可塑性エラストマー)が使用され、例えば合成ゴムではEPDMゴム、熱可塑性エラストマーではポリオレフィン系エラストマー等が使用される。スポンジ材としてとしては、上記EPDMゴム、熱可塑性エラストマーを発泡させて使用する。
【0074】
合成ゴムの場合は、押出成形後に加硫槽に搬送されて、熱風や高周波等により加熱されて加硫、発泡が行われる。硬質合成樹脂(熱可塑性エラストマー)、の場合は、押出成形と同時にあるいは押出成形の後に加熱されて発泡して、冷却され固化される。その後所定の長さに切断されて、押出成形部分は製造される。
押出されたOTWS10は、所定寸法に切断されて、接続部11で型成形等により環状に接続されてもよく、自動車の車体開口縁のフランジ7に取付けられる。
【符号の説明】
【0075】
2 ドア
6 車体開口部周縁
7 フランジ
10 OTWS
20 トリム部(取付基部)
21 車外側側壁
21a 車外側側壁根元部
21b 車外側側壁先端部
22 車内側側壁
23 底壁
26 硬質樹脂板
30 中空シール部
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車ドア等の車体開口部を開閉する車体開口部開閉部材と車体開口部周縁との間をシールする自動車用オープニングトリムウエザストリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
以下、本発明について、図7に示すように、自動車のドア2と車体開口部周縁6との間をシールするオープニングトリムウエザストリップ(以下、OTWSという。)10を例に取り説明する。
従来、自動車のドア2と車体開口部周縁6との間のシールは、図6と図7に示すように、ドア2におけるドアフレーム2aとドアパネル2bの外周に取付けられるドアウエザストリップ170と、ドアフレーム2a等の内周に取付けられ、ドアガラス5との間をシールするガラスラン160と、車体開口部周縁6のフランジ7に取付けられるOTWS110とによりなされる。なお、上記のフランジ7は、車体開口部周縁6を規定しているアウターパネル9と車内側のインナーパネル8等とによって形成されている。
【0003】
車体の開口部には、上記のフランジ7にOTWS110が取付けられており、ドアウエザストリップ170が車体開口部周縁6をシールする部分よりもさらに車内側でドア2と車体開口部周縁6との間をシールしている。OTWS110は、断面略コ字形の取付基部120によりフランジ7に取付けられ、中空シール部130がドアフレーム膨出部2cに当接してシールしている。図6に示す取付基部120には、金属インサートは埋設されていないが、従来の取付基部120の内部には、断面略コ字形の内部に沿って、フランジ7を把持するために、金属インサート等の芯材が埋設され、その内面にフランジ保持リップを備えている。
【0004】
しかしながら、この従来のOTWS110は、金属インサートを有するため重量が増加してしまう。そのため、自動車の軽量化の要請に応じるため、金属インサートを廃止することが検討されている。
【0005】
このため、図9に示すように、車体の開口部に取付けるOTWS210において、フランジ7に取付けるトリム部220と、トリム部220から一体的に中空シール部230を設けて、トリム部220の車外側側壁221のフランジ7と対向する面に両面接着テープ222を取り付けて、フランジ7の側面に接着することが行われている(例えば、特許文献1及び2参照。)。しかしながら、この場合には、両面接着テープ222を車外側側壁221の全面に亘り取付ける必要があるが、両面接着テープ222が高価であり、コストアップの原因となっている。
【0006】
なお、両面接着テープ222の代わりにクリップを使用して車外側側壁221をフランジ7に取付けることも考えられるが、クリップを使用する場合には、車体の開口部の上辺に取付けると、クリップとクリップの間において、車外側側壁221が垂れ下がり、シール性が低下する不具合が考えられる。このため、クリップの使用はできなかった。
【0007】
また、図10に示すように、金属インサートを使用しないでソリッドゴムを使用したトリム部320と、スポンジゴムを使用した中空シール部330を有するOTWS310において、トリム部320の底壁323の両端と車外側側壁321と車内側側壁322の連続部分である肩部分324、325を尖った角状に形成して、車外側側壁321と車内側側壁322の先端が開き難くしたものがある(例えば、特許文献3及び4参照。)。しかしながら、この場合では、底壁323、車外側側壁321と車内側側壁322が同じ剛性の大きなソリッドゴムで形成されていても、車外側側壁321と車内側側壁322の先端が開くのを充分に防止することができなかった。
【0008】
さらに、図11に示すように、金属インサートを使用しないトリム部420と、スポンジゴムを使用した中空シール部430を有するOTWS410において、トリム部420の底壁423と車内側側壁422の内面に連続した断面L字形の高硬度ゴム材又は高硬度樹脂材の部材425を使用するものがある(例えば、特許文献5参照。)。しかしながら、この場合には、OTWS410を車体開口部周縁6のコーナー部に取付けるときには、この部材425の剛性が大きくて、コーナー部に沿って曲げ難く、車体開口部周縁6に装着する作業が難しかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−274285号公報
【特許文献2】特開2007−152978号公報
【特許文献3】特開2009−280193号公報
【特許文献4】特開2010−006200号公報
【特許文献5】特許3752627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このため、本発明は、重量が軽減され、コーナー部に装着が容易で、製造が容易な自動車用OTWSを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、自動車の車体開口部開閉部材と自動車の車体開口部周縁との間をシールするOTWSにおいて、
OTWSは、車体開口部周縁に設けられているフランジに取付けられる取付基部と、取付基部に一体的に設けられ、車体開口部開閉部材に当接して車体開口部開閉部材と車体開口部周縁との間をシールするシール部を有し、
取付基部は、金属製インサートを埋設せず、車外側側壁と底壁及び車内側側壁を有する断面略コ字形に形成され、底壁は長手方向に連続する硬質樹脂板で形成されるか又は底壁に長手方向に連続する硬質樹脂板を有し、硬質樹脂板は、車外側側壁及び車内側側壁よりも剛性が高いことを特徴とする自動車用OTWSである。
【0012】
請求項1の本発明では、OTWSは、車体開口部周縁に設けられているフランジに取付けられる取付基部と、取付基部に一体的に設けられ、車体開口部開閉部材に当接して車体開口部開閉部材と車体開口部周縁との間をシールするシール部を有している。このため、車体開口部周縁に取付基部を取付けると、車体開口部開閉部材の閉時にシール部が車体開口部開閉部材に当接して、車体開口部開閉部材と車体開口部周縁との間をシールすることができる。
【0013】
取付基部は、金属製インサートを埋設しないため、取付基部の重量を軽減することができ、自動車の軽量化に貢献することができる。
取付基部は、車外側側壁と底壁及び車内側側壁を有する断面略コ字形に形成され、底壁は長手方向に連続する硬質樹脂板で形成されるか又は底壁に長手方向に連続する硬質樹脂板を有し、硬質樹脂板は、車外側側壁及び車内側側壁よりも剛性が高く形成されている。このため、車外側側壁及び車内側側壁よりも剛性の大きな硬質樹脂板に取付けられるか或いは、硬質樹脂板を有する底壁に取付けられる車外側側壁及び車内側側壁の先端部分の開きを防止することができる。
【0014】
さらに、硬質樹脂板は断面形状が平板状であるため、OTWSを車体開口部周縁のコーナー部に取付けるときに、コーナー部に沿って撓みやすく、OTWSを車体開口部周縁に取付けることが容易である。さらに、硬質樹脂板は剛性が大きく、取付基部の他の部分がゴムや熱可塑性エラストマー等で形成されていても、OTWSの長手方向の伸びを抑制することができる。
【0015】
請求項2の本発明は、硬質樹脂板は、オレフィン系熱可塑性樹脂で形成され、OTWSの他の部分は、EPDMゴム又はオレフィン系熱可塑性エラストマーで形成された自動車用OTWSである。
【0016】
請求項2の本発明では、硬質樹脂板は、オレフィン系熱可塑性樹脂で形成されたため、充分な剛性を有するとともに、耐候性に優れている。
OTWSの他の部分は、EPDMゴム又はオレフィン系熱可塑性エラストマーで形成されたため、押出成形時に硬質樹脂板と強固に溶着・接着することができ、充分な柔軟性を有し、硬質樹脂板と同時にリサイクルすることができる。
【0017】
請求項3の本発明は、車外側側壁の根元側の部分と車内側側壁は、車外側側壁の先端側の部分よりも硬質のゴム又は熱可塑性エラストマーで形成された自動車用OTWSである。
【0018】
請求項3の本発明では、車外側側壁の根元側の部分と車内側側壁は、車外側側壁の先端側の部分よりも硬質のゴム又は熱可塑性エラストマーで形成されたため、車外側側壁と車内側側壁の撓みを抑制し、取付基部がフランジを保持する力を向上させることができる。
【0019】
請求項4の本発明は、車外側側壁と車内側側壁の対向する内面には、それぞれフランジを保持する車外側保持リップと車内側保持リップが形成され、車外側保持リップの少なくとも一部と車内側保持リップは、記車外側側壁の根元側の部分及び車内側側壁よりも軟質のゴム又は熱可塑性エラストマーで形成された自動車用OTWSである。
【0020】
請求項4の本発明では、車外側側壁と車内側側壁の対向する内面には、それぞれフランジを保持する車外側保持リップと車内側保持リップが形成されたため、車外側保持リップと車内側保持リップで強固にフランジの側面を保持することができ、フランジから取付基部が外れにくい。
車外側保持リップの少なくとも一部と車内側保持リップは、記車外側側壁の根元側の部分と車内側側壁よりも軟質のゴム又は熱可塑性エラストマーで形成されたため、取付基部内にフランジが挿入されたときに、柔軟に撓んでフランジを保持することができ、フランジの厚さが変化しても、保持リップが撓んで、挿入作業性を維持することができる。
【0021】
請求項5の本発明は、シール部は中空部を有する中空シール部である自動車用OTWSである。
【0022】
請求項5の本発明では、シール部は中空部を有する中空シール部であるため、車体開口部開閉部材に当接したときに、車体開口部開閉部材の形状に沿って柔軟に撓み、シール性を確保することができるとともに、当接面積が大きく、車体開口部開閉部材の組み付けばらつきがあっても、シール性を保持することができる。
【0023】
請求項6の本発明は、中空シール部は、車外側側壁から延設され中空部を二分するブリッジ部が形成された自動車用OTWSである。
【0024】
請求項6の本発明では、中空シール部は、車外側側壁から延設され中空部を二分するブリッジ部が形成されたため、中空シール部が車体開口部開閉部材に当接したときに、中空シール部が異常変形することがなく、確実にシールすることができ、コーナー部に取付けられた場合には中空シール部が座屈し難い。
【発明の効果】
【0025】
本発明では、底壁は長手方向に連続する硬質樹脂板で形成されるか又は底壁に長手方向に連続する硬質樹脂板が埋設されているため、車外側側壁及び車内側側壁の先端部分の開きを防止することができる。
さらに、硬質樹脂板は断面形状が平板状であるため、OTWSを車体開口部周縁のコーナー部に取付けるときに、コーナー部に沿って撓みやすく、OTWSを車体開口部周縁に取付けることが容易である。さらに、硬質樹脂板は剛性が大きく、OTWSの長手方向の伸びを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施の形態であるOTWSが図8におけるA−A線に沿った部分の車体開口部周縁に装着された状態の断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態であるOTWSが図8におけるA−A線に沿った部分の断面図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態であるOTWSが図8におけるA−A線に沿った部分の断面図である。
【図4】本発明の第4の実施の形態であるOTWSが図8におけるA−A線に沿った部分の断面図である。
【図5】本発明の第5の実施の形態であるOTWSが図8におけるA−A線に沿った部分の車体開口部周縁に装着された状態の断面図である。
【図6】本発明の実施の形態であるOTWSが車体開口部周縁の上辺部に取付けられ、ドアが閉じられた状態の車体開口部周縁とドアフレームの上辺の断面図である。
【図7】自動車のドアを開いた状態において、OTWSの車体開口部周縁への取り付け状態を示す、自動車の後方から見た斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態であるOTWSの正面図である。
【図9】従来のOTWSを自動車の開口縁に取付けた状態における断面図である。
【図10】従来の他のOTWSを自動車の開口縁に取付けた状態における断面図である。
【図11】従来の他のOTWSの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施の形態を、車体開口部開閉部材であるドア2とドア2を取付ける車体開口部の車体開口部周縁6とを塞ぐOTWS10を例にとり説明する。
本発明の第1〜第5の実施の形態について、図1〜図8に基づき説明する。
図1〜5は、本発明の第1〜5の実施の形態であるOTWS10が図7における車体開口部周縁6に装着された状態の図8におけるA−A線に沿った部分の断面図である。
【0028】
図7に示すように、自動車の車体1は、車体開口部を有し、その車体開口部は、車体開口部開閉部材であるドア2により開閉される。車体開口部の周囲は、車体開口部周縁6を形成し、車体開口部周縁6は車体1を構成するアウターパネル9やインナーパネル8等の先端が溶接されて、フランジ7(図1及び図5参照)となっている。このフランジ7に車体開口部周縁6とドア2との間をシールするOTWS10が装着される。
フランジ7は、車体1の車体開口部周縁6の部位により溶接されるパネルの数が2枚〜5枚程度まで変化するためその厚さが車体開口部周縁6の部位により変化する。
【0029】
自動車のドア2と車体開口部周縁6との間のシールは、従来と同様に図6に示すように、ドア2におけるドアフレーム2aとドアパネル2bの外周に取付けられるドアウエザストリップ70と、ドアフレーム2a等の内周に取付けられ、ドアガラス5との間をシールするガラスラン60と、車体開口部周縁6のフランジ7に取付けられるOTWS10とによりなされる。
【0030】
OTWS10は、押出成形により直線状に成形される。この直線状に形成された1本のOTWS10は、図8に示すように、接続部11により環状に形成され、図7に示すように、車体開口部周縁6の形状に沿って、車体開口部周縁6のフランジ7に装着される。環状に形成すると、車体開口部周縁6に隙間なく装着することが容易となる。
【0031】
OTWS10の両端を接続する接続部11は押出成形によって形成された他の部分よりも軟質の材料で形成することができる。この場合は、環状に形成され、フランジ7に装着するときに、両端を接続する接続部11は軟質の材料で形成されたため、軟質の材料は伸縮が容易であり、OTWS10の装着時の伸縮を吸収することができる。
【0032】
また、OTWS10の端末同士を装着前に接着剤で接着して環状にしてもよい。
さらに、装着前には、環状に接続せずに直線状のOTWS10の一方の端末から順次、フランジ7に装着して、装着が完了すると、他方の端末が一方の端末と接合するようにしてもよい。
【0033】
次に、図1に基づき、第1の実施の形態のOTWS10の断面形状について説明する。
OTWS10は、車体開口部周縁6に形成されたフランジ7に取付けられる、断面略コ字形の取付基部であるトリム部20と、トリム部20と一体的に形成され、ドア2のドアフレーム膨出部2cに当接して、ドア2と車体開口部周縁6との間をシールするシール部を有する。第1の実施の形態のシール部は中空状の中空シール部30として形成されたが、シール部をリップ状に形成することもできる。
【0034】
トリム部20は、車外側側壁21、車内側側壁22と底壁23を有する断面略コ字形を備えている。トリム部20は、フランジ7の肉厚の変化に対応できるようにしたため底壁23は所定の幅寸法を有している。トリム部20の車外側側壁21、車内側側壁22と底壁23は一体的に連続して形成され、フランジ7を挟持する挟持力を補強する金属板で形成されたインサート(芯材)は埋設されていない。このためOTWS10を軽量化することができる。
【0035】
第1の実施の形態では、図1に示すように、底壁23は、硬質合成樹脂の平板状に形成された硬質樹脂板26のみから形成されている。底壁23である硬質樹脂板26は、後述するOTWS
10の他の部分と同時に押出成形することができる。あるいは、予め長尺状の硬質樹脂板26を成形し、その長尺状の硬質樹脂板26を押出成形機に供給し、OTWS 10の他の部分を成形してもよい。第1の実施の形態では、底壁23は、ポリプロピレン樹脂で形成されている。硬質樹脂板26をポリエチレン樹脂等の他の硬質のオレフィン系合成樹脂で形成することもできる。
【0036】
第1の実施の形態では、硬質樹脂板26は、1.2mm程度の肉厚のものが使用されるが、1.0〜1.5mmの範囲で使用することが好ましい。硬質樹脂板26がこの厚さを有するため、車体開口部周縁6のコーナー部にトリム部20を取付けるときに、トリム部20が硬質樹脂板26の肉厚方向に曲げ変形可能であり、取付が容易である。
【0037】
第1の実施の形態では、硬質樹脂板26の硬度は、ポリプロピレン樹脂の場合は、ロックウェル硬度で95度のものが使用される。なお、ロックウェル硬度で85〜110度の範囲で使用することが好ましい。また、ポリエチレン樹脂の場合は、ショアD硬度で65度のものが使用される。なお、ショアD硬度で60〜70度の範囲で使用することが好ましい。
【0038】
第1の実施の形態では、車内側側壁22は、硬質樹脂板26の表面に直接溶着して断面形状が平板状に形成されている。車内側側壁22は、IRHD90度のEPDMソリッドゴムを使用する。なお、この硬度は、IRHD85〜95度の範囲で使用することが好ましい。EPDMソリッドゴム以外に、同程度の硬度のオレフィン系熱可塑性エラストマーを使用することができる。高硬度のEPDMソリッドゴム又はオレフィン系熱可塑性エラストマーを使用するため、フランジ7がトリム部20内に挿入されたときに、撓みが少なく、金属インサートが埋設されていなくても、強固にフランジ7を保持することができる。
車内側側壁22は、肉厚が3mm程度で形成されており、フランジ7の保持力を確保することができる。
【0039】
EPDMソリッドゴム又はオレフィン系熱可塑性エラストマーは、ポリプロピレン樹脂等のオレフィン系合成樹脂と相溶性がよいため、車内側側壁22を押出成形するときに、押出成形時の溶融状態の熱で、強固に底壁23の硬質樹脂板26であるポリプロピレン樹脂と溶着することができる。
【0040】
車内側側壁22の内面から車内側保持リップ25が斜めに車外側側壁21に向けて延設されている。車内側保持リップ25は、IRHD70度のEPDMソリッドゴムを使用する。この硬度は、IRHD65〜80度の範囲で使用することが好ましい。EPDMソリッドゴム以外に、同程度の硬度のオレフィン系熱可塑性エラストマーを使用することができる。
【0041】
車内側保持リップ25は、1本で長く延設されており、車内側側壁22よりも軟質の材料で形成されている。このため、車体開口部周縁6の各部位によりフランジ7の厚さが異なっても、その厚さの変化に対応して車内側保持リップ25が撓むことができ、フランジ7へトリム部20を取付けることが容易であるとともに、保持力を維持できる。
【0042】
車外側側壁21は、硬質樹脂板26である底壁23と溶着する側の車外側側壁根元部21aと、車外側側壁根元部21aの先端から延設される車外側側壁先端部21bから形成される。車外側側壁根元部21aは、車内側側壁22と同様に、IRHD90度のEPDMソリッドゴムを使用する。なお、この硬度は、IRHD85〜95度の範囲で使用することが好ましい。
【0043】
EPDMソリッドゴム以外に、同程度の硬度のオレフィン系熱可塑性エラストマーを使用することができる。高硬度のEPDMソリッドゴム又はオレフィン系熱可塑性エラストマーを使用するため、フランジ7がトリム部20内に挿入されたときに、撓みが少なく、強固にフランジ7を保持することができる。車外側側壁根元部21aの肉厚は、車内側側壁22の肉厚と同程度であり、フランジ7を強固に保持できる。
【0044】
車外側側壁根元部21aの内面から車外側保持リップ24が1本、斜めに車内側側壁22に向けて延設されている。車外側保持リップ24の車外側側壁根元部21aから延設されているものは、車外側側壁根元部21aと同じ材料で形成され、IRHD90度のEPDMソリッドゴムを使用する。
【0045】
車外側側壁根元部21aの内面と底壁23の内面で形成される角部には、シーラー27が充填されている。シーラー27は、粘着性のゴム又は樹脂材で形成されている。トリム部20にフランジ7を取付けたときに、フランジ7の先端がシーラー27の内部に埋設される。このため、フランジ7の先端から雨水や騒音の進入を防止して、トリム部20のシール性を向上させることができる。
【0046】
車外側側壁先端部21bは、車外側側壁根元部21aの先端からその延長方向に延設されている。車外側側壁先端部21bは、車内側保持リップ25と同じIRHD70度のEPDMソリッドゴムを使用する。この硬度は、IRHD65〜80度の範囲で使用することが好ましい。EPDMソリッドゴム以外に、同程度の硬度のオレフィン系熱可塑性エラストマーを使用することができる。このため、車体開口部周縁6のフランジ7の形状に応じて撓むことができる。
【0047】
車外側側壁先端部21bの内面から車外側保持リップ24が2本、斜めに車内側側壁22に向けて延設されている。車外側側壁先端部21bから延設されている車外側保持リップ24は、車外側側壁先端部21bと同じ材料で形成され、IRHD70度のEPDMソリッドゴムが使用されている。この2本の車外側保持リップ24と車外側側壁根元部21aから延設された1本の車外側保持リップ24はフランジ7の車外側面に当接し、車内側保持リップ25と合わせてフランジ7を保持する。
【0048】
次に、本発明の第1の実施の形態の中空シール部30について説明する。車外側側壁21の外面には中空シール部30が一体的に設けられている。中空シール部30は、ドア閉時に、ドア2のドアフレーム膨出部2cに当接してドア2と車体開口部周縁6の間をシールする。
【0049】
中空シール部30は、車外側側壁21の外面部分から延設された中空シール第1保持壁31と、車外側側壁21の先端側から上方に延設された中空シール第2保持壁32と、中空シール第1保持壁31と中空シール第2保持壁32のそれぞれの先端と連結され車体開口部開閉部材であるドア2に当接してシールする円弧状の中空シール当接壁33を有している。このため、中空シール部30は、中空シール第1保持壁31と中空シール第2保持壁32が中空シール当接壁33を支えて中空形状を維持して、ドア2との間のシール性を確保できる。
【0050】
中空シール第1保持壁31は、車外側側壁21の側面から斜め外方向(図1における斜め右下方向)に延設され、中央付近で車外側側壁21の延長方向と平行で先端方向(図1における横方向)に屈曲して延設されている。この屈曲した先端に上述のとおり中空シール当接壁33が接続されている。中空シール第1保持壁31は、車外側側壁先端部21bと同様にIRHD70度のEPDMソリッドゴムで形成されている。
【0051】
中空シール第1保持壁31はソリッド材で形成され、中空シール第2保持壁32、中空シール当接壁33及び後述するブリッジ部34はスポンジ材で形成されている。このため、フランジ7のコーナー部に沿って湾曲させて取付けた場合に、中空シール第1保持壁31は変形し難く、中空形状を保持し、また、OTWS10は、スポンジ材で形成されている部分が多く、OTWS10の重量を軽減できる。
【0052】
中空シール第1保持壁31と中空シール当接壁33の連結部から中空シール当接壁33の延長方向に中空シール延出部37が形成されている。中空シール延出部37の先端は、車内に取付けられた内装部材であるガーニッシュ50の側端を覆っている。このため、OTWS10の取付部分の美観を向上させることができる。
【0053】
中空シール部30には、車外側側壁21と中空シール当接壁33を連結するブリッジ部34が形成されている。ブリッジ部34は、中空シール当接壁33がドアフレーム膨出部2cに当接したときに、中空シール当接壁33を支えて、中空シール当接壁33が大きく凹むのを防止して、中空シール当接壁33がドアフレーム膨出部2cに接触する接触圧が大きくすることができる。このため、ドアフレーム膨出部2cと中空シール部30との間を確実にシールすることができる。また、OTWS10が車体開口部周縁6のコーナー部に沿って湾曲させて取付けられる場合においても、中空シール部30が座屈することを防止できる。
【0054】
中空シール当接壁33とブリッジ部34は連通する円形の空気孔35、36が長手方向に所定間隔を置いて、複数個形成されている。ドア閉時にドアフレーム膨出部2cが中空シール部30を押圧したときに、空気孔35、36から中空シール部30の中の空気を排出して、ドア閉力を低減させることができる。
【0055】
図1に示すように、中空シール当接壁33は、中央付近が他の部分よりも内側が膨らんだ厚肉に形成されている。このため、中空シール部30の中空シール当接壁33がドアフレーム膨出部2cに当接したときに、中空シール当接壁33の中央付近の厚肉部分が、剛性が大きくなり、内側に凹み難く、シール性を確保できる。
【0056】
中空シール第2保持壁32、中空シール当接壁33と中空シール延出部37の表面には、中空シール第1保持壁31と同じソリッド材の中空シール部表皮層38が形成されている。このため中空シール部30の表面がスムースであり、見栄えを良くすることができる。また、中空シール延出部37の剛性を向上させて、中空シール延出部37の先端が捲り上がることを防止できる。
【0057】
次に、図2に基づき本発明の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態は、第1の実施の形態と比べて、底壁23の構成が異なり、他の部分は同様であるため異なる点を中心に説明し、第1の実施の形態と同様な部分は、説明を省略する。
【0058】
第2の実施の形態における底壁23は、硬質樹脂板26とその内面に形成される底壁内層23aから構成される。底壁内層23aは、車内側側壁22の下端と車外側側壁根元部21aの下端と連続して形成され、硬質樹脂板26のトリム部20の内面側を覆って形成されている。底壁内層23aは、車内側側壁22及び車外側側壁根元部21aと同じ材料であるIRHD90度のEPDMソリッドゴムで形成されている。
【0059】
このため、硬質樹脂板26と底壁内層23aの溶着面積が大きく、車内側側壁22及び車外側側壁根元部21aを強固に底壁23に取付けることができる。また、フランジ7にトリム部20を取付けたときに、フランジ7の先端が底壁23に当接しても、ソリッドゴム等で形成された底壁内層23aにフランジ7の先端が当接するため、直接硬質樹脂板26と接触することがなく、衝撃を吸収し、異音の発生を防止することができる。
【0060】
なお、硬質樹脂板26の車内側側壁22と接する面に、長手方向に連続する突条を形成することができる。この場合には、この突条が車内側側壁22の底面に入り込んでトリム部20が形成されるため、車内側側壁22と硬質樹脂板26の接触面積が増加して、接着力が向上するとともに、車内側側壁22が倒れにくくなる。
【0061】
次に、図3に基づき本発明の第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態は、第1の実施の形態と比べて、車外側側壁21の構成が異なり、他の部分は同様であるため異なる点を中心に説明し、第1の実施の形態と同様な部分は、説明を省略する。
【0062】
第3の実施の形態における車外側側壁21は、底壁23に対して車内側側壁22方向に第1の実施の形態よりも若干大きく傾斜して形成されている。このため、OTWS10を車体開口部周縁6の湾曲した部分に取付けても、トリム部20の開口部が開くのを防止して、シール性を向上させるとともに、フランジ7の保持力を確保することができる。
【0063】
車外側側壁根元部21aは、底壁23である硬質樹脂板26の車外側の端に一体的に形成され、若干車外側に張り出して形成される。このため、車外側側壁21を傾斜して形成しても、トリム部20の開口部の寸法を第1の実施の形態と同じように確保することができる。車外側側壁根元部21aの内面に形成される車外側保持リップ24はトリム部20の内部方向に若干長く張り出して形成されている。車外側保持リップ24の底壁23側の面から底壁23の内面に亘りシーラー27が充填されている。
【0064】
車外側側壁根元部21aの延長方向に車外側側壁先端部21bが形成され、車外側側壁先端部21bの内面には2本の車外側保持リップ24が形成され、トリム部20の開口部側の車外側保持リップ24の方が短く形成されている。トリム部20内にフランジ7を挿入した場合に、車外側保持リップ24が開口側から底壁23側に行くにつれて、順に長く形成されているため、車外側側壁21が傾斜して形成されていても、3本の車外側保持リップ24は、フランジ7の側面に同じように当接することができる。このため、トリム部20がフランジを保持する力を確保することができる。
【0065】
次に、図4に基づき本発明の第4の実施の形態について説明する。第4の実施の形態は、第1の実施の形態と比べて、底壁23の構成が異なり、他の部分は同様であるため異なる点を中心に説明し、第1の実施の形態と同様な部分は説明を省略する。
【0066】
第4の実施の形態における底壁23は、硬質樹脂板26が底壁23の内部に埋設されて形成され、トリム部20の内面側に形成される底壁内層23aと、トリム部20の外面側に形成される底壁外層23bを有している。底壁内層23aと底壁外層23bが硬質樹脂板26を包むように端部で連続して形成されるとともに、底壁内層23aは、車内側側壁22の下端と車外側側壁根元部21aの下端と連続して形成されている。底壁内層23aと底壁外層23bは、車内側側壁22及び車外側側壁根元部21aと同じ材料であるIRHD90度のEPDMソリッドゴムで形成されている。
【0067】
このため、硬質樹脂板26を完全に固着することができるとともに、第2の実施の形態と同様に、車内側側壁22及び車外側側壁根元部21aを強固に底壁23に取付けることができる。また、フランジ7にトリム部20を取付けたときに、フランジ7の先端が底壁23に当接しても、ソリッドゴム等で形成された底壁内層23aにフランジ7の先端が当接するため、直接硬質樹脂板26と接触することがなく、衝撃を吸収し、異音の発生を防止することができる。
【0068】
次に、図5に基づき本発明の第5の実施の形態について説明する。第5の実施の形態は、第1の実施の形態と比べて、底壁23からカバーリップ40が形成されていることと、中空シール部30の中空形状と中空シール延出部37が形成されていない点が異なり、他の部分は同様であるため異なる点を中心に説明し、第1の実施の形態と同様な部分は説明を省略する。
【0069】
第5の実施の形態における底壁23の車外側の外面から断面円弧状にカバーリップ40が底壁23の外面を覆うように形成されている。カバーリップ40の先端は、ガーニッシュ50の先端を覆うように取付けられている。このため、ガーニッシュ50の先端が、第1の実施の形態のように、底壁23の全体を覆うように長く形成されていなくても、ガーニッシュ50とOTWS10の間の隙間を覆うことができ、見栄えを向上させている。
【0070】
カバーリップ40は、スポンジEPDMゴムやソリッドEPDMゴムを使用することができる。この場合は、OTWS10の重量を軽減することができる。
また、カバーリップ40を軟質の材料で形成することができる。例えば、軟質のオレフィン系熱可塑性エラストマーを使用することができる。この場合には、ガーニッシュ50や他の内装材の色彩に合わせて、カバーリップ40を着色することができる。
【0071】
第5の実施の形態における中空シール部30は、中空シール第1保持壁31、中空シール第2保持壁32及び中空シール当接壁33が一体的に略円弧状に形成され、中空シール延出部37が形成されていない。また、中空シール部30が全体的に略円弧状に形成されているため、強度が強くブリッジ部34は形成されていない。
【0072】
次に、OTWS10の製造方法を説明する。
このOTWS10は、押出成形により成形され、取付基部20を構成する硬度の異なる2種類のソリッドゴムと中空シール部30を構成するスポンジゴムを押出成形機で一体に押出すことができる。硬質樹脂板26を底壁23として使用する場合には、硬質樹脂板26をトリム部20や中空シール部30と同時に押出成形したり、硬質樹脂板26を予め成形して、トリム部20や中空シール部30と同時に押出成形したりすることができる。硬質樹脂板26を底壁23に埋設するときも同様に、トリム部20と中空シール部30と同時に押出成形する。
【0073】
OTWS10の成形においては、成形材料は、ソリッド材の場合は、合成ゴム、合成樹脂(熱可塑性エラストマー)が使用され、例えば合成ゴムではEPDMゴム、熱可塑性エラストマーではポリオレフィン系エラストマー等が使用される。スポンジ材としてとしては、上記EPDMゴム、熱可塑性エラストマーを発泡させて使用する。
【0074】
合成ゴムの場合は、押出成形後に加硫槽に搬送されて、熱風や高周波等により加熱されて加硫、発泡が行われる。硬質合成樹脂(熱可塑性エラストマー)、の場合は、押出成形と同時にあるいは押出成形の後に加熱されて発泡して、冷却され固化される。その後所定の長さに切断されて、押出成形部分は製造される。
押出されたOTWS10は、所定寸法に切断されて、接続部11で型成形等により環状に接続されてもよく、自動車の車体開口縁のフランジ7に取付けられる。
【符号の説明】
【0075】
2 ドア
6 車体開口部周縁
7 フランジ
10 OTWS
20 トリム部(取付基部)
21 車外側側壁
21a 車外側側壁根元部
21b 車外側側壁先端部
22 車内側側壁
23 底壁
26 硬質樹脂板
30 中空シール部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の車体開口部開閉部材と自動車の車体開口部周縁との間をシールするオープニングトリムウエザストリップにおいて、
該オープニングトリムウエザストリップは、上記車体開口部周縁に設けられているフランジに取付けられる取付基部と、該取付基部に一体的に設けられ、車体開口部開閉部材に当接して上記車体開口部開閉部材と上記車体開口部周縁との間をシールするシール部を有し、
上記取付基部は、金属製インサートを埋設せず、車外側側壁と底壁及び車内側側壁を有する断面略コ字形に形成され、上記底壁は長手方向に連続する硬質樹脂板で形成されるか又は上記底壁に長手方向に連続する硬質樹脂板を有し、上記硬質樹脂板は、車外側側壁及び車内側側壁よりも剛性が高いことを特徴とする自動車用オープニングトリムウエザストリップ。
【請求項2】
上記硬質樹脂板は、オレフィン系熱可塑性樹脂で形成され、上記オープニングトリムウエザストリップの他の部分は、EPDMゴム又はオレフィン系熱可塑性エラストマーで形成された請求項1に記載する自動車用オープニングトリムウエザストリップ。
【請求項3】
上記車外側側壁の根元側の部分と上記車内側側壁は、上記車外側側壁の先端側の部分よりも硬質のゴム又は熱可塑性エラストマーで形成された請求項1又は請求項2に記載する自動車用オープニングトリムウエザストリップ。
【請求項4】
上記車外側側壁と車内側側壁の対向する内面には、それぞれ上記フランジを保持する車外側保持リップと車内側保持リップが形成され、該車外側保持リップの少なくとも一部と車内側保持リップは、上記車外側側壁の根元側の部分及び上記車内側側壁よりも軟質のゴム又は熱可塑性エラストマーで形成された請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載する自動車用オープニングトリムウエザストリップ。
【請求項5】
上記シール部は中空部を有する中空シール部である請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載する自動車用オープニングトリムウエザストリップ。
【請求項6】
上記中空シール部は、上記車外側側壁から延設され中空部を二分するブリッジ部が形成された請求項5に記載の自動車用オープニングトリムウエザストリップ。
【請求項1】
自動車の車体開口部開閉部材と自動車の車体開口部周縁との間をシールするオープニングトリムウエザストリップにおいて、
該オープニングトリムウエザストリップは、上記車体開口部周縁に設けられているフランジに取付けられる取付基部と、該取付基部に一体的に設けられ、車体開口部開閉部材に当接して上記車体開口部開閉部材と上記車体開口部周縁との間をシールするシール部を有し、
上記取付基部は、金属製インサートを埋設せず、車外側側壁と底壁及び車内側側壁を有する断面略コ字形に形成され、上記底壁は長手方向に連続する硬質樹脂板で形成されるか又は上記底壁に長手方向に連続する硬質樹脂板を有し、上記硬質樹脂板は、車外側側壁及び車内側側壁よりも剛性が高いことを特徴とする自動車用オープニングトリムウエザストリップ。
【請求項2】
上記硬質樹脂板は、オレフィン系熱可塑性樹脂で形成され、上記オープニングトリムウエザストリップの他の部分は、EPDMゴム又はオレフィン系熱可塑性エラストマーで形成された請求項1に記載する自動車用オープニングトリムウエザストリップ。
【請求項3】
上記車外側側壁の根元側の部分と上記車内側側壁は、上記車外側側壁の先端側の部分よりも硬質のゴム又は熱可塑性エラストマーで形成された請求項1又は請求項2に記載する自動車用オープニングトリムウエザストリップ。
【請求項4】
上記車外側側壁と車内側側壁の対向する内面には、それぞれ上記フランジを保持する車外側保持リップと車内側保持リップが形成され、該車外側保持リップの少なくとも一部と車内側保持リップは、上記車外側側壁の根元側の部分及び上記車内側側壁よりも軟質のゴム又は熱可塑性エラストマーで形成された請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載する自動車用オープニングトリムウエザストリップ。
【請求項5】
上記シール部は中空部を有する中空シール部である請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載する自動車用オープニングトリムウエザストリップ。
【請求項6】
上記中空シール部は、上記車外側側壁から延設され中空部を二分するブリッジ部が形成された請求項5に記載の自動車用オープニングトリムウエザストリップ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−30656(P2012−30656A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−170754(P2010−170754)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】
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