説明

自動車用シート換気モジュール

ハウジング(4)、及び、それを通じて、ハウング(4)内に空気流を発生させるためのエアチャンネル(6)を備えているモジュール。シートエアダクトは、少なくとも1つのシート(12)を通して、空気を流通させることが可能となっている。インペラ(14)は、シートエアダクト(8)とエアチャンネル(6)の間の空気流を発生させる。ハウジング(4)を通じて、第2の空気流を発生させるために、第2のエアチャンネル(46)が設けられている。ミキサバッフル(48)は、さまざまな混合比率で、第1の空気流と第2の空気流を混合させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の車室内の空調、特に、自動車のシートの暖房及び換気に関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、自動車は、外気温度が低い時に、車室内に暖かい空気を吹き込み、また反対に、車室を冷やすために、新鮮な空気を導入するようになっている暖房及び換気装置を装備している。これらの装置の多くは、特に、夏季において、車内の温度を効果的に下げることができる空調回路をも備えている。
【0003】
さらに、高い快適さを、運転者及び乗客に提供するために、車両のシートを暖房したり、換気したりすることが望まれている。このような要求を満たすいくつかの装置が、公知である(米国特許第6,478,369号公報;米国特許第5,921,100号公報;米国特許第6,059,018号公報)。
【0004】
これらの公報の一つは、通気性のシート生地を通して、空気を吹き込むようにしたシート換気装置について記述している。しかし、空気流を逆流させることはできないので、快適性は目立つほどには改善されていない。
【0005】
2番目の公報は、シートにおける通気性を有する生地を通して、空気を吸引するシート換気装置について記述している。この装置は、夏季においてのみ、効果的である。しかも、空気を、逆流させることができない。
【0006】
第3の公報は、シート内で空気を循環させることによって換気するシートについて記述しているが、空気を排出するための孔は設けられていない。この装置は、それほど有効ではなく、暖かさ或いは涼しさを感じるまでに、長時間かかる。
【0007】
さらに、別の公報には、加熱層によって、シートを暖房するシステムについて記述している。この装置は、冬季には有効である。しかし、この装置から受ける感覚は、好ましいものではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、機能がさらに拡大された、暖房、換気、あるいは空調設備が望まれている。車室用空調及び換気装置の温度とは無関係に、温度調節が可能な空気を逆流させることが必要である。またこの装置は、価格が低く、かつ、各シート用に、必要に応じて設けることができるように、モジュール化されていなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的に沿って、本発明は、自動車用のシートにおいて、次の特徴を有する換気モジュールを提案している。
すなわち、このモジュールは、
ハウジングと、
ハウジング内を空気流を循環させる、少なくとも1つのエアチャンネルと、
少なくとも1つのシートを通して、空気を循環させるシートエアチャンネルと、
エアチャンネル内に設けた加熱手段と、
シートエアチャンネルとエアチャンネル間を循環する空気流をつくり出すエアインペラとから構成されている。
【0010】
前記モジュールは、少なくとも、
第2の空気流をハウジング内を循環させる第2のエアチャンネルと、
第1及び第2の空気流を、さまざまな比率で混合するために、第1のエアチャンネルを閉鎖する第1の位置と、第2のエアチャンネルを閉鎖する第2位置の間で動くことができるミキサバッフルとを備えていると有利である。
【0011】
このように、シートを横断する空気流の温度は、車室用の暖房及び換気装置の温度とは独立して、調整される。この空気流を、例えば、加熱用電気抵抗器のような加熱手段によって、加熱してもよい。
【0012】
望ましい実施例では、インペラは、シートを通して、空気を吹き出し、或いは吸い込む能力を有している。このことを、例えば、インペラの回転方向を逆にすることによって行わせるようにしてもよい。
【0013】
別の実施例では、インペラは、第1及び第2の端部を持つダクト内に設けられ、第1のバッフルが第1の端部に、第2のバッフルが第2の端部に配置されている。第1及び第2のバッフルは、第1及び第2のダクトの端部が、シートエアチャンネル、又はエアチャンネルに接続されるように設計されている。
【0014】
これらの特徴によって、通気性のある生地を通して、シートに空気流を送り込むことが可能となる。或いは逆に、最も効果的な要領で、シートを通して空気を吸い込むことができる。
【0015】
ある特定の実施例では、第2のエアチャンネルは、空気導入ダクトを介して、車両の換気、暖房或いは空調装置の接続されている。
【0016】
特に、この空気導入ダクトを、ハウジング内のエバポレータ出口で、車両の換気、暖房或いは空調装置と接続しておくのがよい。このようにして、冷たい空気が取り入れられ、外気温度が高い場合に、効率よくシートを冷やすことができる。
【0017】
さらに別の実施例では、空気取り入れ口は、車両の換気、暖房或いは空調装置の混合室に接続されている。このようにして、温度調節された空気を取り入れることが可能となる。
【0018】
シートは、シートを通して空気を吹き出す排出チャンネルを備えているのがよい。別の実施例によれば、モジュールの通常作動中、入口チャンネル、或いは排出チャンネルを閉鎖するために、入口或いは排出口にバッフルが設けられている。
【0019】
車両が停止した時に、車室内の空気を冷やす手段は設けられていない。従って、太陽に照らされている車両では、車内の表面温度が上昇し、車室内の空気が、“車室内の表面温度へ加熱”される。即ち、車内の表面温度によって、車室内の空気温度が上昇することになる。
【0020】
上述の種類のモジュールによると、車両のシートから空気を排出することが可能となり、従って、モジュールの始動操作の際に、“室内表面温度からシートを冷やす”ことが可能となる。
【0021】
モジュールを、車両の床の上に搭載しても差し支えなく、柔軟性のあるダクトにより、シートのエアチャンネルと、少なくとも1つのシートとが接続されることになる。
【0022】
別の実施例では、モジュールは、車両シートのクッションの下に、直接据付られている。
【0023】
最後に、モジュールを、車両の中央コンソール内に配置してもよく、この際、左側のシートには左側シート用ダクトが、右側シートには右側シート用ダクトが接続される。
【0024】
本発明の別な実施例では、モジュールは、チャンネル内、或いは第2のエアチャンネル内に位置している、制御用の電子回路基板を備えている。
【0025】
また、別の実施例では、モジュールを制御するために、空気取り入れダクト内に、制御用の電子回路基板が配置されている。電子回路は、洩れ検知計算手段を含んでいるのが好ましい。
【0026】
モジュールは、シートのグループ、例えば、前列のシートグループに接続することも可能となっている。
【0027】
空気を通過させるために、良く知られているような方法で、シートの生地のクッション部分と背当て部分の双方に、微小な通気孔が設けられている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図1は、本発明による自動車用シート換気モジュール2の第1の実施例を模式的に示している。
【0029】
モジュールは、エアチャンネル6及びシートチャンネル8が配置されているハウジング4を備えている。シートエアチャンネル8は、シートエアダクト10を介して、シート12に接続されている。
【0030】
シートダクト10は、シートの高さを調節したい時に、換気モジュール2に対してシート12の位置を変えることができるように、例えば伸縮自在のもの、或いはフレキシブルな特性を持たせたものであってもよい。
【0031】
インペラ14は、ハウジング4の中に配置されている。このインペラは、矢印18によって示す回転方向に回転する時に、矢印16によって示すように、エアチャンネル6を介して、空気を吸引するようになっている。空気は、矢印20で示すように、シートエアチャンネル8を通って、シートのクッション内に作られているポケット22に向かって吹き出されることになる。シートの生地部材は、矢印23によって示すように、空気の通過を可能とするような、有孔性、或いは微小な孔を持った通気性となっている。
【0032】
またシート12は、また、空気を通すことのできるダクト(表示せず)によってポケット22に接続されている、シートバックの中につくられたポケット24を備えている。
【0033】
シートバックの生地は、空気の通過を可能とするような、有孔性、或いは微小な孔を有する通気性となっている。
【0034】
ダクトフィルタ26は、吸引される空気中に浮遊しているダストを留めるために、シートエアチャンネル6の入口に配置されている。加熱装置、例えば、電気抵抗器、特に正の温度係数(PTC)をもつ抵抗器が、エアフィルタの後に配置されている。電気抵抗器は、ポケット22、24に送り込まれる空気を暖めることができるようになっている。
【0035】
インペラ14の回転方向は、矢印30によって示すように、逆としても差し支えない。この場合は、エアチャンネル6を通して空気を吸い込む代わりに、空気は、破線の矢印32で示すように、シート12のクッション,及びシートバックの生地を通して吸引されることになる。
【0036】
シートの生地を通して吸引された空気は、矢印34によって示すように、シートエアダクト10を通ってハウジングに送られ、それから、矢印36によって示すように、ハウジングの外に吹き出される。
【0037】
図1のシート換気モジュール2は、さまざまなモードで運転してもよい。夏季には、シートを冷やすために、シートの生地を通して空気を吸い込むことが可能となっている。反対に、空気を吸い込み、生地を通して、それを車室内に吹き出すことも可能となっている。
【0038】
一方、例えば冬季に、シートを暖めたい場合には、モジュールは、吹き出しモードだけで運転されることになる。空気は、矢印16によって示すように、吸引され、それから、シート12のクッション、及びシートバックに送られる前に、電気抵抗器28を通過することによって暖められる。
【0039】
PTC電気抵抗器28は、オン/オフモードで作動させても差し支えない。さらに洗練された実施例では、希望する温度によって、電力を、さまざまなレベルに設定できるように、可変となっていてもよい。また、このモジュールは、自動車の主換気装置、暖房或いは空調装置と完全に独立して作動することが、注目するべき点となっている。
【0040】
このモジュールは、車両が空調装置を備えていない場合に作動させても、差し支えない。
【0041】
別の実施例として、このモジュールは、“室内表面温度からの冷却”と呼ばれる始動局面をもつように追加してもよい。室内表面温度からの冷却は、シート12に蓄積されていた熱い空気を排出するのに有用である。
【0042】
図10に示すように、シート12は、一端がポケット22に開口し、他端がシート12の外に開口している排出チャンネル200を備えている。ポケット22とシート12の外との連絡は、排出チャンネル200を開閉する排出バッフル202によって制御されるようになっている。
【0043】
実施例においては、室内表面の温度から、インペラ14の温度まで冷やすのに必要な空気を供給するために、入口チャンネル204、及び入口バッフル206が設けられている。
【0044】
室内表面温度からの冷却は、入口バッフル206,及び排出バッフル202を開放することによって達成される。インペラ14は、空気208を循環させるようになっている。空気208は、ポケット22に入り、その結果、排出チャンネル200を通して、ポケット22に蓄積されていた、熱い空気の排出210が可能となっている。
【0045】
このようにして、モジュールが、上記のように作動する前に、シート12に蓄積されていた相当量の熱を排出することが可能となる。空気208は、加熱手段28の下流から取り入れられる空気、或いはシート下から取り入れられる循環空気、又は加熱手段28の上流で取り入れられる空気であってもよい。
【0046】
モジュールの通常の作動中、排出バッフル202,及び入口バッフル206は、共に閉鎖されている。従って、このようなモジュールは、始動時に、シートによって保持されていた熱によって、相当温度が上がった熱を、乗客に向かって吹きつけることを避けることができる。
【0047】
別の実施例では、排出チャンネル200だけが用いられ、入口チャンネル204は、エアチャンネル6から構成されている。室内表面温度からの冷却は、加熱手段28を使用する前に行われる。
【0048】
ここで説明されている例では、室内表面温度からの冷却は、ポケット22について行われているが、必要に応じて、ポケット24についても、或いは両方について行われてもよい。
【0049】
本発明によるシート換気装置の第2の実施例の縦断面と横断面が、図2及び図3にそれぞれ示されている。図1に示されている前例との違いは、第1のエアチャンネル6と平行な、第2のエアチャンネル46を備えていることである。
【0050】
チャンネル6と違って、チャンネル46は、加熱用電気抵抗器を備えていないが、必要な場合には、ダストフィルタを備えていてもよい。
【0051】
軸47に取り付けられているミキサバッフル48は、図2に示すように、第1のエアチャンネル6、或いは第2のエアチャンネル46を完全に閉鎖できるようになっている。第2のエアチャンネルが完全に閉鎖された場合、全空気は、第1のエアチャンネルと通じて循環されることになる。逆も又同様となっている。
【0052】
ミキサバッフル48は、第1及び第2のチャンネルを通る空気の割合を変えるために、前述の両極端位置の中間にあっても差し支えない。シートに吹き込まれる空気の温度は、このようにして、電気抵抗器28(チャンネル6)によって暖められた空気と、第2のチャンネル46から自動車の室内に取り込まれた、大気温度の空気を、所望の比率で混合することによって、調整されることが可能となる。
【0053】
換気モジュールは、垂直に配置された軸を有する電動モータ50を備えている。このモータは、渦巻き54の中に備えられている羽根車52を駆動し、シートダクト(図示せず)を介して、1台或いはそれ以上のシート12に接続されているシートチャンネル8を通して、空気を吹き込むことができるようになっている。
【0054】
この実施例では、先の実施例と異なって、インペラ52の回転方向を逆転させることはできない。従って、このモジュールは、シートの生地を通して、冷たい空気を吹き込むことによって、シートの換気を行うことになる。
【0055】
電気抵抗器28は、通電を切られるか、又は、電気抵抗器によって暖められた空気が、第2の入口チャンネル46を通して取り込まれる温度の低い空気と、さまざまな比率で混合される、暖房モードで運転しても差し支えない。
【0056】
図4と図5は、本発明による換気モジュールの第3の実施例を示している。図2と図3の実施例と同じように、ダストフィルタ26、及び正の電気抵抗係数をもつ抵抗器28を備える第1のエアチャンエル6と、第2のエアチャンネル46とから構成されている。
【0057】
軸47に取り付けられたミキサバッフル48は、前述したように、第1及び第2のエアチャンネルから来る空気流を、さまざまな比率で混合することができるようになっている。
【0058】
この実施例では、インペラ14は、第1の開口端60と第2の開口端62を有するダクト内に設置されている。軸66に取り付けられている第1のバッフル64は、第1の開口端60に向かい合って配置されており、一方、軸70に取り付けられている第2のバッフル68は、ダクト58の第2の開口端62に面して配置されている。
【0059】
バッフル64は、図4に実線で示す第1の位置になってもよい。この位置では、バッフル64は、特に、ミキサバッフル48によって、第2のエアチャンネルが開放されていることによって、ハウジング4の外と連絡するダクト58の開口端60に設けられている。
【0060】
バッフル64は、図4の破線で示す第2の位置をとってもよい。この時、ダクト58の第1の開放端は、シートエアチャンネルと連絡することになり、シートエアダクト10を介して、1つ以上のシート12のクッション及びシートバックに配置されているポケットと連通することになる。
【0061】
同様に、第2のバッフル68は、ダクト48の第2の開放端62が、矢印74と76で示されているように、シートエアチャンネル8と連通する、図4に実線で示す位置、及び、ダクト48の第2の開放端62が、第2のエアチャンネル46を介して、ハウジングの外と連通する、図4に破線で示す第2の位置の間を移動することができるようになっている。
【0062】
バッフル64と68は、上述の2つの位置の中間に位置することはないことに注意されたい。
【0063】
図4に示す位置では、矢印74と76で示すように、インペラ14によって、シートの生地を通して、空気が吸引され、矢印72で示すように、チャンネル46を介して、換気モジュールから吹き出される。
【0064】
一方、図5に示す位置では、空気は、矢印78によって示すように、エアチャンネル46を介して、車室内から吸い込まれ、矢印80によって示すように、シート12に吹き込まれる。このように、第1及び第2のバッフルの働きによって、インペラ14の回転方向を変えないまま、空気流の方向を逆転させることが可能となる。
【0065】
このような要領で、換気モジュールを、吸い込みモード、又は吹き出しモードで運転してもよい。吸い込みモードで作動している場合、客室に吹き込まれる空気を暖める必要がないことは明らかである。なぜなら、第1のエアチャンネル6は閉鎖されているからである。
【0066】
PTC電気抵抗器は通電を停止されることになる。他方、吹き出し位置では、換気モジュールを、2通りの方法で運転してもよい。ミキサバッフル48は、図5の実践で示すように、車両のシートの中にできるだけ冷たい空気を吹き込むために、閉鎖位置をとっても差し支えない。これは、夏季に使用される運転モードである。
【0067】
別の実施例では、図11に示すように、このモジュールは、排出チャンネル200、室内表面温度度からの冷却用チャンネル204、排出バッフル202及び図10と同じ用に作動する、室内表面温度度からの冷却用バッフル206を有する、室内表面温度度からの冷却機能を備えていてもよい。
【0068】
他の実施例では、排出チャンネルだけが使用され、入口チャンネル204は、エアチャンネル6、或いは第2の入口チャンネル46から構成される。室内表面温度度からの冷却は、加熱手段28が使用される前に実施されることになる。
【0069】
図6と図7は、それぞれ、本発明の換気モジュールによって換気されるシート12の側面図と正面図を示している。
【0070】
図6と図7によって、クッションポケット22、及びシートバックに収容されている拡散ポケット24の形と性質の価値を認めることが可能となる。ポケット22及び24は、運転者や乗客の体格に対するシートの位置を合わせるために、シートを上下する動きを可能にする2本のフレキシブルダクト10を介して、車両の床80に直接取り付けられたシート換気モジュール2に接続されている。
【0071】
図8は、本発明による換気モジュールの、変形実施例を模式的に示している。この変形実施例では、外部チャンネル46は、入口ダクトを介して、車両の換気、暖房或いは空調設備84に接続されている。
【0072】
図8に模式的に示されているこの装置は、装置を通して空気流を循環させるインペラ86を備えている。エバポレータ90は、この空気流を横切っている。加熱ラジェータ92は、エバポレータ90の下流に配置されている。
【0073】
ミキサバッフル94は、エバポレータ90から直接来る冷たい空気と、ラジェータ92を通った暖かい空気とを、さまざまな比率で混合することを可能にしている。冷たい流れと暖かい流れは、ミキシング室96で再び混合される。
【0074】
実線で示されているダクト82は、エバポレータ90とラジェータ92の間の位置で、加熱装置のハウジング88と接続されている。したがって、ダクト82は、前述のように、換気装置2のインペラによって吸い込まれ、シート12のポケットの中に吹き込まれる、冷たい空気を取り入れることを可能としている。
【0075】
エバポレータ90の下流から取り込まれた冷たい空気流を、前述のように、加熱抵抗器28によって作られた暖かい空気流を、さまざまな比率で混合してもよい。機械的な調整装置98は、ミキサバッフル48の位置の調整を可能としている。
【0076】
別の実施例では、換気モジュール2は、図8の中に破線で示されている。ミキシング室96に開口しているダクト102を介して、換気、暖房或いは空調装置84に接続されている。このように、空気は、冷たいまま取り入れられる代わりに、調整された温度で取り入れられることになる。
【0077】
図9は、図8のモジュールの変形実施例を示している。このモジュールは、各シートに1つずつ、合計2つの加熱用抵抗器28を備えている。この例では、抵抗器の電力は、300Wとなっている。この抵抗器は可変ではなく、オン/オフモードで動作するようになっている。
【0078】
矢印104によって示すように、フィルタ26を通って流れる空気は、左側の部屋と右側の部屋に分流される。図8の実施例と同じように、パイプ82は、冷たい空気を取り入れるために、エバポレータ90の直ぐ下流で、換気、暖房/空調装置84に接続されている。
【0079】
冷温空気取り入れパイプ82は、換気モジュールの左部分と右部分に供給できるように、2つに分割されている。モジュールは、図8の中で、長方形として示されている機械的調整装置を介して調整可能な、右側ミキサバッフル108、及び前述のものとは別に、機械的調整装置112を介して調整可能な、やはり長方形として示されている左側ミキサバッフル110から構成されている。
【0080】
モジュールのインペラ114は、右側のホイール或いはプロペラ116と、左側のホイール或いはプロペラ118から構成されている。このようにして、このモジュールは、それぞれの部分の調整を独立して行いながら、左側のシートと、右側のシートを別々に換気できることになる。
【0081】
図13に示す別の変形実施例では、電子回路基板220が、第2のエアチャンネル46に組み込まれている。電子回路基板220は、ミキサバッフル48の位置を管理すること、加熱手段28を制御すること、及びインペラの速度を変更することを可能としている。
【0082】
電子回路基板220には、調整装置108及び110を制御する手段を組み込んでもよい。
【0083】
この基板は、シートと電気的に接続されており、シート換気モジュールから制御信号を受信している。基板220は、エアチャンネル46内の空気圧力を計算することが可能なセンサを備えている。回路基板220は、エアチャンネル内にあるので、空気で冷却され、一方、基板が制御する要素部材の近くに位置しているので、コネクタに関する技術上の問題を減少させることになる。
【0084】
基板20は、コンピュータを内蔵している。動作中、コンピュータは、特に、回転速度、供給電圧、及び電流のような、インペラの動作情報を受信している。この情報によって、エアチャンネルの洩れ或いは接続不良を検出することが可能となる。
【0085】
コンピュータは、所望の出力に応じて、インペラの理論的な等価速度を決定しても差し支えない。この速度をインペラの有効回転速度と比較することによって、漏れ或いは接続不良を検知することが可能となる。実際には、許容値は、理論回転速度からの差、毎分±500に設定されている。
【0086】
同様に、漏れ或いは接続不良を検知するために、モータの電流を決定することも可能となる。モータに供給される電力は、理論的出力に比例しているので、許容値を±0.5Aに設定することによって、消費電流を監視することが可能となっている。
【0087】
このように、許容値が、回転速度、又は供給電流値で表わされた値を超えた場合、コンピュータは、及び漏れ、或いは接続不良を検知し、保守担当者が、それに従って保守できるように、メーセージを送信するようになっている。
【0088】
基板220を、図12に示すように、エアチャンネル6の中、或いは図14に示すように、エア入口ダクト82の中に設けてもよい。
【0089】
このモジュールは、中央コンソールに設置され、変形可能なダクトによって、各シートに接続されるようになっている。
【0090】
本発明の、他の特徴や有利な点は、添付の図面に示されている典型的な実施例の説明により、明らかであると思う。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】シングルエアダクトを含む、本発明による換気モジュールの断面の模式図である。
【図2】2本のエアダクトを含む換気モジュールの断面模式図である。
【図3】図2の換気モジュールの線III−IIIにおける断面図である。
【図4】空気の逆流を可能にする換気モジュールの模式図である。
【図5】空気の逆流を可能にする換気モジュールの模式図である。
【図6】空気拡散ポケットを含む車両用シートの側面図である。
【図7】空気拡散ポケットを含む車両用シートの正面図である。
【図8】車両の換気、暖房或いは空調装置に接続された換気モジュールの模式図である。
【図9】車両の換気、暖房或いは空調装置に接続された換気モジュールの模式図である。
【図10】図1に示したモジュールの変形実施例の断面図である。
【図11】図5に示したモジュールの変形実施例の断面図である。
【図12】図1に示したモジュールの変形実施例の断面図である。
【図13】図4に示したモジュールの変形実施例の断面図である。
【図14】図9に示したモジュールの変形実施例の部分断面を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0092】
2 シート換気モジュール
4 ハウジング
6 エアチャンネル
8 シートエアチャンネル
10 シートエアダクト
12 シート
14 インペラ
16、18、20、23、30、32、34、36 矢印
22、24 ポケット
26 ダクトフィルタ
28 電気抵抗器
30、32、34、36 矢印
46 第2のエアチャンネル
47 軸
48 ミキサバッフル
50 電動モータ
52 羽根車(インペラ)
54 渦巻き
58 ダクト
60 第1の開口端
62 第2の開口端
64 第1のバッフル
66 軸
68 第2のバッフル
70 軸
72、74、76、78、80 矢印
82 入口ダクト(パイプ)
84 換気、暖房或いは空調設備
86 インペラ
88 ハウジング
90 エバポレータ
92 加熱ラジェータ
94 ミキサバッフル
96 キミシング室
98 調整装置
102 ダクト
104 矢印
106 右側ミキサバッフル
108 調整装置
110 左側ミキサバッフル
112 調整装置
12 制御装置
114 インペラ
116 右側のホイール(プロペラ)
118 左側のホイール(プロペラ)
200 排出チャンネル
202 排出バッフル
204 入口チャンネル
206 入口バッフル
208 空気
210 空気の排出
220 電子回路基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート、特に自動車用シートの換気モジュールであって、
ハウジング(4)と、
ハウジング(4)の中で、空気流を循環させるために、ハウジング内に設けられた、少なくとも1つのエアチャンネル(6)と、
少なくとも1つのシート(12)を通して、空気を循環するためのシートエアチャンネル(8)と、
エアチャンネル内の加熱装置(28)と、
シートエアチャンネル(8)とエアチャンネル(6)との間で、空気流を循環させるためのインペラ(14)、
とから構成されていることを特徴とする換気モジュール。
【請求項2】
ハウジング(4)の中で、第2の空気流を循環させるために、第2のエアチャンネル(46)と、
第1と第2の空気流を、さまざまな比率で混合するために、第1のエアチャンネルを閉鎖する第1の位置と、第2のエアチャンネルを閉鎖する第2の位置との間を動くことのできるミキサバッフル(48)、
とから構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のモジュール。
【請求項3】
インペラ(14)は、シート(12)を通して空気流を吹き出すこと、或いは吸い込むことが可能となっている、請求項1または2に記載のモジュール。
【請求項4】
インペラ(14)は、第1及び第2の端部(60、62)を持つダクト(58)の中に設けられており、
第1のバッフル(64)は、ダクト(58)の第1の端部に配置され、第2のバッフル(68)は、第2の端部に配置され、
第1及び第2のバッフルは、シートエアチャンネル(8)或いはエアチャンネル(6、46)と連通するダクト(58)の、第1及び第2の端部に配置されていることを特徴とする、請求項1または2記載のモジュール。
【請求項5】
第2のエアチャンネル(46)は、エア入口ダクト(82)を介して、車両の換気或いは空調設備(84)と接続されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のモジュール。
【請求項6】
エア入口ダクト(82)は、車両の換気或いは空調設備(84)に内蔵されているエバポレータ(90)の出口で、車両の換気或いは空調設備(84)と接続されていることを特徴とする、請求項5に記載のモジュール。
【請求項7】
エア入口ダクト(82)は、車両の換気或いは空調設備(84)のミキシング室と接続されていることを特徴とする、請求項5に記載のモジュール。
【請求項8】
シートは、排出チャンネル(200)を有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のモジュール。
【請求項9】
シートは、排出チャンネル(200)を閉鎖するための排出バッフル(202)を備えていることを特徴とする、請求項8に記載のモジュール。
【請求項10】
シートは、エア入口チャンネル(204)を有することを特徴とする、請求項8または9に記載のモジュール。
【請求項11】
シートは、エア入口チャンネル(204)を閉鎖するために設けられたエア入口バッフル(206)を備えていることを特徴とする、請求項10に記載のモジュール。
【請求項12】
モジュールの作動開始の局面では、インペラ(14)は、入口チャンネル(204)に接続され、それによって、シート内に空気が循環され、排出チャンネル(200)を介して、シートから排出され、モジュールが通常運転されている場合、排出バッフル(202)によって、排出チャンネル(200)が閉鎖されることを特徴とする、請求項10または11に記載のモジュール。
【請求項13】
シート(12)に吹き込まれる空気は、再循環された空気、或いは加熱装置(28)の下流或いは上流から取り入れられた空気であることを特徴とする、請求項12に記載のモジュール。
【請求項14】
車両の床に据付けられた換気モジュールであって、変形可能なダクト(10)が、シートエアチャンネル(8)と少なくとも1つのシート(12)を接続されていることを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載のモジュール。
【請求項15】
車両シート(12)のクッションの下に直接搭載されていることを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載のモジュール。
【請求項16】
車両の中央コンソール内に設置されている換気モジュールであって、左側シートダクトを介して左側シートに、また、右側シートダクトを介して右側シートに接続されていることを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載のモジュール。
【請求項17】
右側シートと左側シートを分離して換気するために、右側部分と左側部分に分けられた換気モジュールであって、右側部分と左側部分が、それぞれ独立した調整手段(108、112)を構成していることを特徴とする、請求項1〜16のいずれかに記載のモジュール。
【請求項18】
加熱手段(28)は、正の温度係数を有する電気抵抗器であることを特徴とする、請求項1〜17のいずれかに記載のモジュール。
【請求項19】
モジュールを制御するために、エアチャンネル(6)内に配置された電子回路基板(220)を含むことを特徴とする、請求項1〜18のいずれかに記載のモジュール。
【請求項20】
モジュールを制御するために、第2のエアチャンネル(46)内に配置された電子回路基板(220)を含むことを特徴とする、請求項2〜18のいずれかに記載のモジュール。
【請求項21】
モジュールを制御するために、エア入口ダクト(82)内に配置された電子回路基板(220)を有することを特徴とする、請求項1〜18のいずれかに記載のモジュール。
【請求項22】
電子回路基板(220)は、漏れを検知する計算手段を含むことを特徴とする請求項19〜21のいずれかに記載のモジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2007−504035(P2007−504035A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524448(P2006−524448)
【出願日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【国際出願番号】PCT/IB2004/002699
【国際公開番号】WO2005/021320
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(505313597)ヴァレオ システム テルミク (5)
【Fターム(参考)】