自動車用押出し成形品
【課題】優れた外観および性能を有すると共に、被覆層の押出し成形と中空のシール部の押出し成形とを1つのダイスを用いて同時に行うことができる押出し成形品を提供する。
【解決手段】本発明の押出し成形品は、被覆層(3)が、350%以上の引張破断伸び(JIS K6251)および40%以下の下記式で表される100%モジュラス変化量 100%モジュラス変化量=[(23℃での100%モジュラス−80℃での100%モジュラス)/23℃での100%モジュラス]x100 ここで、100%モジュラスは、JIS K6251に従って測定される、100%伸長時の応力である、を有する熱可塑性エラストマー組成物で形成されており、中空のシール部(11)が、250%以上の引張破断伸び(JIS K6251)および35%以下の圧縮永久歪み(25%圧縮、70℃、200時間)を有する熱可塑性エラストマー組成物で形成されている。
【解決手段】本発明の押出し成形品は、被覆層(3)が、350%以上の引張破断伸び(JIS K6251)および40%以下の下記式で表される100%モジュラス変化量 100%モジュラス変化量=[(23℃での100%モジュラス−80℃での100%モジュラス)/23℃での100%モジュラス]x100 ここで、100%モジュラスは、JIS K6251に従って測定される、100%伸長時の応力である、を有する熱可塑性エラストマー組成物で形成されており、中空のシール部(11)が、250%以上の引張破断伸び(JIS K6251)および35%以下の圧縮永久歪み(25%圧縮、70℃、200時間)を有する熱可塑性エラストマー組成物で形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のドアやトランク等の各種開口部に使用されるウェザーストリップやオープニングトリム等の押出し成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のウェザーストリップやオープニングトリムは、雨水や外気を防ぎ、騒音を遮断するためにドアやボディの外枠に装着される、シール性を有する長尺状の内装品である。上記内装品は、図1に示されるように、断面が略U字状の芯(2)およびその周囲の被覆層(3)を有する本体部分(1)ならびに本体部分(1)と一体に結合した中空のシール部(11)を有する。装着においては、本体部分(1)の隙間(A)に車体パネル(13)のフランジ部(12)が嵌められ、中空のシール部(11)はドア等に接してクッションの役目をする。
【0003】
このような内装品は、車体パネルの取り付け保持力を高めるために、従来、芯として金属製のものが使用されている。しかし、近年では、生産性、軽量化等の観点から、芯として、金属製に代えて樹脂製のものを使用するようになっている(例えば、特許文献1参照)。芯が金属製の場合には、板状の芯の周囲に被覆層を押出し成形した後、断面が略U字状になるように折り曲げ加工する必要があるが、芯が樹脂製の場合には、最初に、断面が略U字状の芯として押出し成形することができ、次いでその周囲に被覆層を押出し成形すればよく、折り曲げ加工の必要がない(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
一方、被覆層および中空のシール部は、ゴム製であるのが一般的である(例えば、特許文献1)。しかし、ゴム製品は成形後に加硫工程を必要とする。また、被覆層と中空のシール部とは機能が異なるので、必要とされる物性も異なる。特に、中空のシール部はクッションの役目をすることから、被覆層よりも柔らかいゴムが通常使用される。ゴムに柔軟性を付与するためにはオイル等の軟化剤を入れるのが一般的であるが、軟化剤を入れるとブリードして成形品の外観性を損ねる恐れがある。そこで、中空のシール部には通常、発泡された加硫ゴムが使用される。発泡していない本体部分と発泡している中空のシール部とを1工程で同時に成形接着することは困難であり、従来は、芯の周囲に被覆層を押出成形して本体部分を形成する工程と中空のシール部を押出し成形する工程を別々に行った後、本体部分と中空のシール部を接着している。
また、近年の環境問題の高まりから、ゴム製の被覆層および中空のシール部が、リサイクル可能な熱可塑性エラストマー製に変更されることが要望されている。
【特許文献1】特開2005−132343号公報
【特許文献2】特開2005−306344号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、芯(2)およびその周囲の被覆層(3)を有する本体部分(1)ならびに本体部分(1)と一体に結合した中空のシール部(11)を有する自動車用押出し成形品において、優れた外観および性能を有すると共に、被覆層の押出し成形と中空のシール部の押出し成形とを1つのダイスを用いて同時に行うことができる、すなわち共押出しにより一体成形することができる押出し成形品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、被覆層(3)および中空のシール部(11)としてそれぞれ特定の熱可塑性エラストマー組成物を使用することにより、上記目的が達成できることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、本体部分(1)および中空のシール部(11)を有する自動車用押出し成形品であって、本体部分(1)が、長手方向に延びる断面略U字状の、樹脂製の芯(2)および該芯の周囲に沿ってその一部または全部を覆う被覆層(3)を有し、中空のシール部(11)と本体部分の外側表面(4)が一体に結合している成形品において、被覆層(3)が、350%以上の引張破断伸び(JIS K6251)および40%以下の下記式で表される100%モジュラス変化量
100%モジュラス変化量=[(23℃での100%モジュラス−80℃での100%モジュラス)/23℃での100%モジュラス]x100
ここで、100%モジュラスは、JIS K6251に従って測定される、100%伸長時の応力である、
を有する熱可塑性エラストマー組成物で形成されており、中空のシール部(11)が、250%以上の引張破断伸び(JIS K6251)および35%以下の圧縮永久歪み(25%圧縮、70℃、200時間)を有する熱可塑性エラストマー組成物で形成されていることを特徴とする成形品である。
【0008】
本発明の好ましい実施態様によれば、上記成形品が、本体部分の内側表面(5)の一方に、被覆層の一部から延長して形成された押込部(6)を有し、押込部(6)は、本体部分の内側表面(5)によって形成される開口部(7)の中へ押し込むことができるように芯(2)の端部(8)を越えて開口部(7)より外方向に延びておりかつその一部から延長して形成された1以上の保持片(9)を有する。
【0009】
さらに好ましい実施態様によれば、上記成形品が、本体部分の内側表面(5)の、押込部(6)が形成されている側とは反対の側に、被覆層の一部から延長して形成された1以上の保持片(9)を有する。
【0010】
本発明の別の好ましい実施態様によれば、上記成形品が、本体部分(1)および中空のシール部(11)の外側表面の一部または全体にわたって、摺動性機能を有する熱可塑性樹脂組成物の層を有し、さらに好ましくは、該摺動性機能を有する熱可塑性樹脂組成物が300%以上の引張破断伸び(JIS K6251)を有する。
【0011】
本発明のさらに別の好ましい実施態様によれば、芯(2)が、80%以上の引張破断伸び(JIS K7161)および2500MPa以上の23℃での曲げ弾性率(ASTM D790)を有する樹脂組成物で形成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、本体部分(1)の被覆層(3)と中空のシール部(11)とが共に熱可塑性エラストマー組成物によって形成されるので、これらを共押出しにより一体成形することができ、したがって、自動車のウェザーストリップやオープニングトリム等の押出し成形品をより容易に製造することができる。また、得られる成形品は、車体への装着において、フランジのコーナー部に沿って折り曲げ可能であるのに十分な可撓性(R追従性)を有するとともに十分なシール性を有し、かつ外観も良好である。さらに、被覆層(3)および中空のシール部(11)が共に熱可塑性エラストマー組成物で構成されているので、リサイクルが可能である。また、芯を樹脂製とすることで、軽量化およびリサイクル工程の軽減が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の押出し成形品の一例の断面図を図2に示す。また、本発明の押出し成形品の別の例の斜視図を図10に示す。本発明の押出し成形品は、本体部分(1)および中空のシール部(11)を有し、本体部分(1)は、長手方向に形成されかつ略U字状の断面を有する芯(2)およびその周囲に沿ってその一部または全部を被覆する被覆層(3)を有し、中空のシール部(11)は本体部分(1)の外側表面(4)と一体に結合している。本発明の押出し成形品の一例の斜視図を図10に示す。
【0014】
本発明の押出し成形品は、被覆層(3)および中空のシール部(11)が、下記の特定の物性を有する熱可塑製エラストマー組成物で形成される。
すなわち、被覆層(3)は、350%以上、好ましくは500%以上の引張破断伸び(JIS K6251)および40%以下、好ましくは30%以下の下記式で表される100%モジュラス変化量を有する熱可塑性エラストマー組成物で形成される。
100%モジュラス変化量=[(23℃での100%モジュラス−80℃での100%モジュラス)/23℃での100%モジュラス]x100
ここで、100%モジュラスは、JIS K6251に従って測定される、100%伸長時の応力である。引張破断伸びが350%未満であると、R追従時に被覆材の引裂き破壊が起き易い。上記100%モジュラス変化量が40%を越えると、高温時(80℃以上)にフランジからの脱落が発生しやすくなる。
【0015】
また、中空のシール部(11)は、250%以上、好ましくは350%以上の引張破断伸び(JIS K6251)および35%以下、好ましくは25%以下の圧縮永久歪み(25%圧縮、70℃、200時間)を有する熱可塑性エラストマー組成物で形成される。上記引張破断伸びが250%未満であると、R追従時に中空のシール部の引裂き破壊が起き易い。上記圧縮永久歪みが35%を越えると、ドアとのシール性が不十分となり、走行時の異音、雨水の浸入等が起き易い。上記引張破断伸びの上限は、好ましくは1000%である。
【0016】
好ましくは、被覆層(3)を形成する熱可塑性エラストマー組成物は、
(a)ゴム 30〜85重量%、および
(b)芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体およびその水素添加物ならびに共役ジエン化合物重合体の水素添加物からなる群から選ばれる少なくとも一つの重合体 15〜70重量%
からなる組成物100重量部、ならびに
(c)結晶性オレフィン系樹脂(ただし、エチレンと不飽和カルボン酸エステル又は酢酸ビニルとの共重合体を除く) 20〜63重量部、
(d)非芳香族系ゴム用軟化剤 80〜210重量部、および
(e)フェノール樹脂および臭化フェノール樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物 2〜12重量部
を含む。
【0017】
また、中空のシール部(11)を形成する熱可塑性エラストマー組成物は、好ましくは、
(a)ゴム 30〜85重量%、および
(b)芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体およびその水素添加物ならびに共役ジエン化合物重合体の水素添加物からなる群から選ばれる少なくとも一つの重合体 15〜70重量%、
からなる組成物100重量部、ならびに
(c)結晶性オレフィン系樹脂(ただし、エチレンと不飽和カルボン酸エステル又は酢酸ビニルとの共重合体を除く) 4〜22重量部、
(d)非芳香族系ゴム用軟化剤 100〜220重量部、および
(e)フェノール樹脂および臭化フェノール樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物 2〜12重量部
を含む。
【0018】
被覆層(3)を形成する熱可塑性エラストマー組成物および/または中空のシール部(11)を形成する熱可塑性エラストマー組成物は、所望により、
(f)架橋促進剤(例えば、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、二塩化スズ)2.3〜9.0重量部をさらに含んでもよい。
【0019】
以下に、被覆層(3)を形成する熱可塑性エラストマー組成物における成分(a)〜(f)について説明する。
【0020】
成分(a):
成分(a)はゴムであり、特に制限されないが、例えば、エチレン系共重合体ゴム(EPDM等)、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)およびニトリルゴム(NBR)が挙げられ、中でもエチレン系共重合体ゴム(EPDM等)が好ましい。
【0021】
上記エチレン系共重合体ゴムとしては、例えば、エチレンとプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン等のα−オレフィンとの共重合体、およびこれらと非共役ポリエンとの共重合体が挙げられる。
【0022】
上記非共役ポリエンとしては、非共役ジエンが好ましく、例えば、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、1,4−ヘキサジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)、1,6−オクタジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、1,3−シクロペンタジエン、1,4−シクロヘキサジエン、テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−ノルボルネン、ジシクロオクタジエン、メチレンノルボルネン等を挙げることができる。
【0023】
エチレン系共重合体ゴムの具体例としては、例えば、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴム、エチレン−1−ブテン共重合体ゴム、エチレン−1−ブテン−非共役ジエン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体ゴム等が挙げられる。成分(e)による架橋性の点から、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴム(EPDM)が好ましい。
【0024】
成分(b):
成分(b)は、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体(b−1)およびその水素添加物(b−2)、ならびに共役ジエン化合物重合体の水素添加物(b−3)からなる群から選ばれる少なくとも一つの重合体である。
【0025】
共重合体(b−1)は、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのランダム共重合体(b−1−1)、および芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体(b−1−2)を包含する。これらの共重合体を構成する芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルトルエン、p−第3ブチルスチレン等のうちから1種又は2種以上を選択でき、なかでもスチレンが好ましい。また共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等のうちから1種又は2種以上が選ばれ、なかでもブタジエン、イソプレン及びこれらの組合せが好ましい。
【0026】
上記ランダム共重合体(b−1−1)は、芳香族ビニル化合物を3〜60重量%、好ましくは5〜50重量%含む。数平均分子量は、好ましくは150,000〜500,000、より好ましくは、170,000〜400,000、更に好ましくは200,000〜350,000の範囲であり、分子量分布は10以下である。
【0027】
上記ランダム共重合体(b−1−1)の具体例としては、スチレンとブタジエンとの共重合体(SBR)等が挙げられる。
【0028】
上記ブロック共重合体(b−1−2)は、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAの少なくとも2個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBの少なくとも1個とからなるブロック共重合体である。例えば、A−B−A、B−A−B−A、A−B−A−B−A等の構造を有する芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体を挙げることができる。上記ブロック共重合体は、芳香族ビニル化合物を5〜60重量%、好ましくは20〜50重量%含む。
【0029】
芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAは、好ましくは、芳香族ビニル化合物のみからなるか、または芳香族ビニル化合物50重量%以上、好ましくは70重量%以上と共役ジエン化合物との共重合体ブロックである。
【0030】
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBは、好ましくは、共役ジエン化合物のみからなるか、または、共役ジエン化合物50重量%以上、好ましくは、70重量%以上と芳香族ビニル化合物との共重合体ブロックである。
【0031】
上記ブロック共重合体(b−1−2)の数平均分子量は、好ましくは5,000〜1,500,000、より好ましくは、10,000〜550,000、更に好ましくは100,000〜400,000の範囲であり、分子量分布は10以下である。ブロック共重合体の分子構造は、直鎖状、分岐状、放射状あるいはこれらの任意の組合せのいずれであってもよい。
【0032】
また、これらの芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックA、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBにおいて、分子鎖中の共役ジエン化合物又は芳香族ビニル化合物由来の単位の分布がランダム、テーパード(分子鎖に沿ってモノマー成分が増加又は減少するもの)、一部ブロック状又はこれらの任意の組合せでなっていてもよい。芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックA又は共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBがそれぞれ2個以上ある場合には、各重合体ブロックはそれぞれが同一構造であっても異なる構造であってもよい。
【0033】
上記ブロック共重合体(b−1−2)の具体例としては、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)等が挙げられる。
【0034】
上記ブロック共重合体(b−1−2)の製造方法としては数多くの方法が提案されているが、代表的な方法としては、例えば特公昭40−23798号公報に記載された方法により、リチウム触媒又はチーグラー型触媒を用い、不活性媒体中でブロック重合させて得ることができる。
【0035】
上記水素添加物(b−2)は、上記ランダム共重合体(b−1−1)の水素添加物(b−2−1)および上記ブロック共重合体(b−1−2)の水素添加物(b−2−2)を包含する。
【0036】
水素添加物(b−2−1)は、上記ランダム共重合体(b−1−1)を水素添加して得られる水添ランダム共重合体である。
【0037】
水素添加物(b−2−1)は、引張特性、耐加熱変形性の観点から、メルトマスフローレート(ASTM D 1238準拠、230℃、荷重21.18Nで測定)が12g/10分以下のものが好ましく、6g/10分以下のものが更に好ましい。
【0038】
水素添加物(b−2−1)における芳香族ビニル化合物含有量は、柔軟な熱可塑性エラストマー組成物を得るという目的から、25重量%以下が好ましい。20重量%以下ならより好ましい。また同じ目的から、共役ジエン化合物の炭素-炭素二重結合の少なくとも90%、好ましくは100%が水素添加されたものが好ましい。
【0039】
水素添加物(b−2−1)として、例えばダイナロン1320P(JSR社)等が挙げられる。
【0040】
水素添加物(b−2−2)は、上記ブロック共重合体(b−1−2)を水素添加して得られる水添ブロック共重合体である。
【0041】
水素添加物(b−2−2)における水素添加率は任意であるが、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBにおいて、好ましくは50%以上、より好ましくは55%以上、更に好ましくは60%以上である。また、そのミクロ構造は、任意であり、例えば、ブロックBがブタジエン単独で構成される場合、ポリブタジエンブロックにおいて、1,2−ミクロ構造が好ましくは20〜50重量%、特に好ましくは25〜45重量%である。また、1,2−結合を選択的に水素添加した物であっても良い。ブロックBがイソプレンとブタジエンの混合物から構成される場合、1,2−ミクロ構造が好ましくは50%未満、より好ましくは25%未満、より更に好ましくは15%未満である。
【0042】
ブロックBがイソプレン単独で構成される場合、ポリイソプレンブロックにおいて、イソプレンの好ましくは70〜100重量%が1,4−ミクロ構造を有し、かつイソプレンに由来する脂肪族二重結合の好ましくは少なくとも90%が水素添加されたものが好ましい。
【0043】
水素添加物(b−2−2)は、重合体ブロックAが成分全体の5〜70重量%の割合で存在するのが好ましい。さらに、水素添加物(b−2−2)全体の重量平均分子量は、150,000〜500,000が好ましく、さらに好ましくは200,000〜400,000である。重量平均分子量が200,000を下回ると、オイルブリードを生じる。
【0044】
水素添加物(b−2−2)の具体例としては、スチレン−エチレン・ブテン共重合体(SEB)、スチレン−エチレン・プロピレン共重合体(SEP)、スチレン−エチレン・ブテン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(SEEPS)、スチレン−ブタジエン・ブチレン−スチレン共重合体(部分水添スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、SBBS)等を挙げることができる。
この中でも、柔軟性付与効果に優れ、オイルブリードが極めて少ない点で、スチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(SEEPS)が最も好ましい。
【0045】
水素添加物(b−2−2)は、上記ブロック共重合体(b−1−2)を水素添加処理することにより製造される。水素添加処理は、公知の方法により、例えば、不活性溶媒中で水素添加触媒の存在下に行うことができる。
【0046】
水素添加物(b−3)は、共役ジエン化合物重合体の水素添加物であり、例えば、ブタジエンの重合体を水素添加して得られる、結晶性エチレンブロックと非晶性エチレン−ブテンブロックを有するブロック共重合体(CEBC)等が挙げられる。水素添加物(b−3)は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
水素添加物(b−3)の重量平均分子量は、500,000以下が好ましく、より好ましくは200,000〜450,000である。重量平均分子量が500,000を超えると、得られる熱可塑性エラストマー組成物の押出・射出成形性が悪化し、重量平均分子量が200,000を下回ると、オイルブリードを生じ、得られる熱可塑性エラストマー組成物の圧縮永久歪みが悪化する。
【0047】
上記重合体の中でも、柔軟性付与効果に優れ、オイルブリードが極めて少ない点で、水素添加物(b−2−2)が好ましく、中でもスチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(SEEPS)がさらに好ましく、その中でも分子量の点でセプトン4077、4055(クラレ株式会社製)が最も好ましい。
【0048】
成分(a)と成分(b)の配合割合は、成分(a)/成分(b)が30〜85重量%/15〜70重量%、好ましくは40〜80重量%/20〜60重量%である。成分(b)の割合が上記上限を超えると、高温時の反力が不足しフランジ保持力が不十分である。成分(b)の割合が上記下限未満の場合には、熱可塑性エラストマー組成物の引張破断伸びが低下し、R追従性が不十分である。
【0049】
成分(c):
成分(c)は結晶性オレフィン系樹脂であり、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1等のオレフィンの単独重合体、またはこれらのオレフィンを主体とする共重合体が挙げられる。ただし、エチレンと不飽和カルボン酸エステル又は酢酸ビニルとの共重合体は、その極性故に、溶融時のベタツキが大きく、また金属(混練機)への粘着が激しい・焼けやすい・臭気がある等の問題があり、好ましくない。従って、成分(c)の結晶性オレフィン系樹脂は、エチレンと不飽和カルボン酸エステル又は酢酸ビニルとの共重合体を除く。
【0050】
成分(c)としては特に、エチレンもしくはプロピレンの単独重合体、またはエチレンもしくはプロピレンを主体とする結晶性の共重合体が挙げられ、具体的には、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン・α−オレフィン共重合体等の結晶性エチレン系重合体、プロピレンホモ重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体等の結晶性プロピレン系共重合体が挙げられる。ここで、エチレンもしくはプロピレンの共重合体に用いられるα−オレフィンとしては、炭素数2〜10のα−オレフィン、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、3−メチルペンテン−1、オクテン−1等が挙げられる。エチレンもしくはプロピレンを主体とする結晶性の共重合体としては、エチレン・ブテン−1共重合体、エチレン・ヘキセン−1共重合体、エチレン・オクテン−1共重合体等の結晶性エチレン系重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・エチレンブロック共重合体、プロピレン・エチレンランダムブロック共重合体、プロピレン・ブテン−1共重合体、プロピレン・エチレン・ブテン−1三元共重合体等の結晶性プロピレン系重合体が挙げられる。
【0051】
成分(c)を合成する際に使用される触媒は、チーグラー・ナッタ系触媒やメタロセン系触媒等が挙げられる。
【0052】
成分(a)及び成分(b)との相容性の点から、メタロセン系触媒で合成されたエチレン系樹脂が成分(c)として好ましい。また、ポリプロピレンも成分(c)として好ましい。
【0053】
成分(c)は、DSCによる融点が、好ましくは30〜180℃、より好ましくは40〜170℃である。ここで、DSCによる融点は、示差走査熱量計(DSC)によって得られるピークトップ融点であり、具体的には、DSCを用い、サンプル量10mgを採り、190℃で5分間保持した後、−10℃まで10℃/分の降温速度で結晶化させ、−10℃で5分間保持した後、10℃/分の昇温速度で200℃まで測定して求める値である。
【0054】
成分(c)の配合量は、成分(a)と成分(b)との合計量100重量部に対して20〜63重量部、好ましくは30〜55重量部である。上記上限を超えると、R追従性が不十分である。上記下限未満では、流動性不足による外観不良および引張強度不足によるR追従時の引裂き破壊が発生する。
【0055】
成分(d):
成分(d)は非芳香族系ゴム用軟化剤であり、好ましくはパラフィンオイルが挙げられる。例えば、炭素数4〜155のパラフィン系化合物、好ましくは炭素数4〜50のパラフィン系化合物が挙げられ、具体的には、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、ヘンエイコサン、ドコサン、トリコサン、テトラコサン、ペンタコサン、ヘキサコサン、ヘプタコサン、オクタコサン、ノナコサン、トリアコンタン、ヘントリアコンタン、ドトリアコンタン、ペンタトリアコンタン、ヘキサコンタン、ヘプタコンタン等のn−パラフィン(直鎖状飽和炭化水素)、イソブタン、イソペンタン、ネオペンタン、イソヘキサン、イソペンタン、ネオヘキサン、2,3−ジメチルブタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、3−エチルペンタン、2,2−ジメチルペンタン、2,3−ジメチルペンタン、2,4−ジメチルペンタン、3,3−ジメチルペンタン、2,2,3−トリメチルブタン、3−メチルヘプタン、2,2−ジメチルヘキサン、2,3−ジメチルヘキサン、2,4−ジメチルヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン、3,4−ジメチルヘキサン、2,2,3−トリメチルペンタン、イソオクタン、2,3,4−トリメチルペンタン、2,3,3−トリメチルペンタン、2,3,4−トリメチルペンタン、イソノナン、2−メチルノナン、イソデカン、イソウンデカン、イソドデカン、イソトリデカン、イソテトラデカン、イソペンタデカン、イソオクタデカン、イソナノデカン、イソエイコサン、4−エチル−5−メチルオクタン等のイソパラフィン(分岐状飽和炭化水素)及び、これらの飽和炭化水素の誘導体等を挙げることができる。これらのパラフィンオイルは、室温で液状であるものが好ましく、また2以上の混合物の形態で用いてもよい。
【0056】
室温で液状であるパラフィンオイルの市販品としては、日本油脂株式会社製のNAソルベント(イソパラフィン系炭化水素油)、出光興産株式会社製のPW−90、PW−380(n−パラフィン系プロセスオイル)、出光石油化学株式会社製のIP−ソルベント2835(合成イソパラフィン系炭化水素、99.8wt%以上のイソパラフィン)、三光化学工業株式会社製のネオチオゾール(n−パラフィン系プロセスオイル)等が挙げられる。
【0057】
また、パラフィンオイルには、少量の不飽和炭化水素及びこれらの誘導体が共存していても良い。不飽和炭化水素としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、2−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、1−ヘキセン、2,3−ジメチル−2−ブテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等のエチレン系炭化水素、アセチレン、メチルアセチレン、1−ブチン、2−ブチン、1−ペンチン、1−ヘキシン、1−オクチン、1−ノニン、1−デシン等のアセチレン系炭化水素を挙げることができる。
【0058】
成分(d)は、好ましくは、37.8℃における動的粘度が20〜500cSt、流動点が−10〜−15℃、引火点(COC)が170〜300℃である。
【0059】
成分(d)の配合量は、成分(a)と成分(b)との合計量100重量部に対して80〜210重量部、好ましくは100〜190重量部であり、より好ましくは120〜180重量部である。上記上限を超えると、オイルブリードが顕著になる。上記下限未満では、成形外観およびR追従性が不十分である。
【0060】
成分(e):
成分(e)はフェノール樹脂および臭化フェノール樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物である。成分(e)は、ゴムを架橋することができるものであれば、いずれのフェノール樹脂および臭化フェノール樹脂も使用することができる。
【0061】
成分(e)は、好ましくは、一般式(I):
【0062】
【化1】
(式中、Qは、−CH2−及び−CH2−O−CH2−から成る群から選ばれる二価基であり、mは0又は1乃至20の正の整数であり、R'は有機基である)
を有するフェノール樹脂およびその末端水酸基が臭素化されたフェノール樹脂である。好ましくは、Qは、二価基−CH2−O−CH2−であり、mは0又は1乃至10の正の整数であり、R'は20未満の炭素原子を有する有機基である。なおより好ましくは、mは0又は1乃至5の正の整数であり、R'は4乃至12の炭素原子を有する有機基である。
【0063】
上記フェノール樹脂の中でも、アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、メチロール化アルキルフェノール樹脂、臭素化アルキルフェノール樹脂がより好ましく、特に、アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂が好ましい。
【0064】
上記フェノール樹脂は、通常の方法で製造することができ、例えば、アルキル置換フェノール又は非置換フェノールをアルカリ媒体中でアルデヒド、好ましくはホルムアルデヒドと縮合させることにより、又は二官能性フェノールジアルコール類を縮合させることにより製造することができる。あるいは、市販のフェノール樹脂を使用することもできる。
【0065】
上記フェノール樹脂の製品例としては、タッキロール201(アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、田岡化学工業社製)、タッキロール250−I(臭素化率4%の臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、田岡化学工業社製)、タッキロール250−III(臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、田岡化学工業社製)、PR−4507(群栄化学工業社製)、Vulkaresat510E(Hoechst社製)、Vulkaresat532E(Hoechst社製)、Vulkaresen E(Hoechst社製)、Vulkaresen 105E(Hoechst社製)、Vulkaresen 130E(Hoechst社製)、Vulkaresol 315E(Hoechst社製)、Amberol ST 137X(Rohm&Haas社製)、スミライトレジンPR−22193(住友デュレズ社製)、Symphorm−C−100(Anchor Chem.社製)、Symphorm−C−1001(Anchor Chem.社製)、タマノル531(荒川化学社製)、Schenectady SP1059(Schenectady Chem.社製)、Schenectady SP1045(Schenectady Chem.社製)、CRR−0803(U.C.C社製)、Schenectady SP1055(Schenectady Chem.社製)、Schenectady SP1056(Schenectady Chem.社製)、CRM−0803(昭和ユニオン合成社製)、Vulkadur A(Bayer社製)が挙げられ、その中でもタッキロール201(アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂)が好ましく使用される。
【0066】
成分(e)の配合量は、成分(a)と成分(b)との合計量100重量部に対して2〜12重量部、好ましくは3〜11重量部である。上記上限を超えると、熱可塑性エラストマー組成物の引張破断伸びが低下し、R追従性が不十分である。上記下限未満では、反力が不足しフランジ保持力が不十分である。
【0067】
成分(f)(任意成分):
成分(f)は架橋促進剤であり、成分(e)の架橋剤としての機能をより効果的に向上させるためおよび圧縮永久歪み、耐熱性を向上させるために任意成分として用いられる。成分(f)の例として、酸化亜鉛、酸化マグネシウムおよび二塩化スズが挙げられる。なお、酸化亜鉛を成分(f)として用いる際には、分散剤として、ステアリン酸金属塩等を併用することができる。上記架橋促進剤の中でも酸化亜鉛が特に好ましい。
【0068】
成分(f)の配合量は、配合する場合、成分(a)と成分(b)との合計量100重量部に対して、0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜1重量部である。成分(f)の配合量が前記上限値を超えると、流動性が不十分なため外観不良が生じ、また、R追従性が不十分となる場合がある。
【0069】
次に、中空のシール部(11)を形成する熱可塑性エラストマー組成物における成分(a)〜(f)について説明する。
【0070】
上記成分(a)〜(f)としてはそれぞれ、被覆層(3)を形成する熱可塑性エラストマー組成物における成分(a)〜(f)と同じものを使用することができる。
【0071】
成分(a)と成分(b)の配合割合は、成分(a)/成分(b)が30〜85重量%/15〜70重量%、好ましくは40〜80重量%/20〜60重量%である。成分(b)の割合が上記上限を超えると、圧縮永久歪みの悪化によりシール性能が不十分である。成分(b)の割合が上記下限未満では、熱可塑性エラストマー組成物の引張破断伸びが低下し、R追従性が不十分である。
【0072】
成分(c)の配合量は、成分(a)と成分(b)との合計量100重量部に対して4〜22重量部、好ましくは5〜21重量部である。上記上限を超えると、圧縮永久歪みの悪化によりシール性能が不十分である。上記下限未満では、流動性の不足による外観不良および引張伸びの不足によるR追従時の引裂き破壊が生じる。
【0073】
成分(d)の配合量は、成分(a)と成分(b)との合計量100重量部に対して100〜220重量部、好ましくは140〜200重量部である。上記上限を超えると、オイルブリードが顕著になる。上記下限未満では、成形外観およびR追従性が不十分である。
【0074】
成分(e)の配合量は、成分(a)と成分(b)との合計量100重量部に対して2〜12重量部、好ましくは3〜11重量部である。上記上限を超えると、熱可塑性エラストマー組成物の引張破断伸びが低下し、R追従性が不十分である。上記下限未満では、圧縮永久歪みの悪化によりシール性能が不十分である。
【0075】
成分(f)の配合量は、配合する場合、成分(a)と成分(b)との合計量100重量部に対して、0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜1重量部である。成分(f)の配合量が前記上限値を超えると、流動性が不十分なため外観不良が生じ、また、R追従性が不十分となる場合がある。
【0076】
その他の成分:
被覆層(3)および中空のシール部(11)を形成する熱可塑性エラストマー組成物は各々、本発明の目的を損なわない範囲で、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、結晶核剤、ブロッキング防止剤、シール性改良剤、ステアリン酸、シリコーンオイル等の離型剤、ポリエチレンワックス等の滑剤、着色剤、顔料、無機充填剤(アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、ウァラステナイト、クレー)、発泡剤(有機系、無機系)、難燃剤(金属水和物、赤燐、ポリリン酸アンモニウム、アンチモン、シリコーン)などをさらに配合することができる。
【0077】
酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−p−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、4,4−ジヒドロキシジフェニル、トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン等のフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等が挙げられる。このうちフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤が特に好ましい。
【0078】
発泡剤としては、エクスパンセル(エクスパンセル社)、マツモトマイクロスフィアー(松本油脂製薬社)が好ましい。
【0079】
被覆層(3)を形成する熱可塑性エラストマー組成物は、上記成分(a)〜(e)ならびに必要に応じて成分(f)およびその他の成分を含むと共に、A硬度が40〜70であるのが好ましい。より好ましくはA硬度が45〜55である。本明細書において、A硬度は、JIS6253従って測定された15秒後値である。A硬度が上記上限を超えると、R追従性が不十分である。上記下限未満であると、反力が不足しフランジ保持力が不十分である。
【0080】
中空のシール部(11)を形成する熱可塑性エラストマー組成物は、上記成分(a)〜(e)ならびに必要に応じて成分(f)およびその他の成分を含むと共に、A硬度が10〜35であるのが好ましい。より好ましくはA硬度が15〜30である。A硬度が上記上限を超えると、反力が高過ぎてシール性能が不十分である。上記下限未満であると、反力が低すぎてシール性能が不十分である。
【0081】
芯(2)は樹脂製であり、断面が略U字状である。図3は、芯(2)の一例を示す斜視図である。樹脂の具体例としては、好ましくは、被覆材及び中空シール材との熱融着性の点から、ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系樹脂およびスチレン系樹脂等の合成樹脂または、それらの合成樹脂にタルク、マイカ、ガラス繊維等の粉体を混合した混合合成樹脂が挙げられる。上記合成樹脂は、好ましくは、80%以上、より好ましくは80%〜200%の引張破断伸び(JIS K7161)および2500MPa以上、より好ましくは3500MPa〜6000MPaの23℃での曲げ弾性率(ASTM D790)を有する。引張破断伸びが80%未満であるとR追従性が不十分であり、曲げ弾性率が2500MPa未満であると、フランジ部の保持力が不十分である。
【0082】
芯(2)は、必要に応じて、各種形状の切除部を有することができる。例えば、図4に示すように、長手方向に延び、断面が略U字状である芯の側面の一部を打ち抜き機によって打ち抜いて櫛歯状にすることができる。
【0083】
本発明の押出し成形品は、好ましい実施態様によれば、図2に示すように、本体部分の外側表面(4)に、被覆層の一部から延長して形成された化粧リップ(10)を有し、本体部分の内側表面(5)の一方に、被覆層の一部から延長して形成された押込部(6)を有し、該押込部(6)は、本体部分の内側表面(5)によって形成される開口部(7)の中へ押し込むことができるように芯(2)の端部(8)を越えて開口部(7)より外方向に延びておりかつその一部から延長して形成された1以上の保持片(9)を有する。
【0084】
図5は、図2の押出し成形品を車体パネルのフランジ部に装着するときの状態を示す図であり、押込部(6)が開口部(7)の中へ押し込まれている。
【0085】
別の好ましい実施態様によれば、図6に示すように、本体部分(1)の内側表面(5)の、押込部(6)が形成されている側とは反対の側に、被覆層(3)の一部から延長して形成された1以上の保持片(9)をさらに有する。
【0086】
図7は、図6の押出し成形品を車体パネルのフランジ部に装着するときの状態を示す図である。押込部(6)が開口部(7)の中へ押し込まれ、フランジは隙間Aに嵌められる。押込部を有することにより、図1に示されるような、押込部を有しない成形品と比較して、隙間Aをより小さくすることができ、その結果、車体フランジをより強固に圧接装着することができる。
【0087】
次に、本発明の押出し成形品の製造法を、図8を用いて説明する。
図8は、本発明の押出し成形品の製造法を示す模式図である。最初に芯(2)を構成する樹脂を第1押出機(EX1)に供給し、第1金型ダイス(K1)の内部を通過させて芯を成形する。成形された断面略U字状の芯を、冷却槽(C1)に通した後、必要に応じて打ち抜き機(P1)により切除部を形成する。芯(2)の押出成形は、ダイス温度210〜260℃、押出機での溶融温度180℃〜260℃の範囲で温度勾配を設けて行われる。
次に、得られた芯(2)を第2金型ダイス(K2)に挿入し、一方、被覆層(3)を形成する樹脂組成物を第2押出機(EX2)を通って第2金型ダイス(K2)に送ると同時に中空のシール部(11)を形成する樹脂組成物を第3の押出機(EX3)を通って第2金型ダイス(K2)に送ることにより、本体部分(1)および中空のシール部(11)を一体成形する。被覆層(3)の押出成形は、ダイス温度180〜230℃、押出機での溶融温度150℃〜230℃の範囲で温度勾配を設けて行われる。中空のシール部(11)の押出成形は、ダイス温度180〜230℃、押出機での溶融温度150℃〜230℃の範囲で温度勾配を設けて行われる。
【0088】
本発明の成形品は、さらに、本体部分(1)および中空のシール部(11)の外側表面の一部または全体にわたって、摺動性機能を有する熱可塑性樹脂組成物の層(以下、「摺動層」という)を有することができる。図9は、摺動層(14)を有する本発明の成形品の一例の断面を示す図である。摺動層を設けることにより、耐摩耗耐性、耐薬品・耐油性が向上する。上記摺動性機能を有する熱可塑性樹脂組成物としては、摩擦抵抗が0.4以下、硬さHDD (JIS K6253、5秒後値)が40〜60のスチレン系樹脂またはオレフィン系樹脂、またはこれらの混合物を使用する事が望ましい。好ましくは、摺動性とR追従性を共に満足させるために、高結晶オレフィン樹脂(PP、超高分子量PE等)とスチレン系樹脂又はオレフィン系樹脂との混合物が使用される。
【0089】
上記摺動性機能を有する熱可塑性樹脂組成物は、R追従性の点から、好ましくは、300%以上、より好ましくは300%〜1000%の引張破断伸び(JIS K6251)を有する。
【0090】
摺動層を設ける場合には、本体部分および中空のシール部を一体成形する時に同時に共押出によって設ける方法や、本体部分および中空のシール部を一体成形した後に摺動性機能を有する樹脂組成物の溶融物を吹き付ける方法を使用することができる。
上記摺動層の厚みは、10〜300μmが好ましい。300μmを超えると、押出し成形品をフランジのコーナー部に沿って折り曲げたとき、成形品に白化を生じる傾向にある。
【0091】
さらに、必要に応じて、本体部分および中空のシール部の外側と摺動層との間に、硬さHDA (JIS K6253、15秒後値)10〜30のスチレン系樹脂(スチレン系エラストマー)の層を設けることで、成形品の外観を高めることができる。上記スチレン系樹脂としては、例えば、リケンアクティマーLQA9120S(リケンテクノス(株)製、硬さHDA20)などが挙げられる。上記層は、本体部分および中空のシール部を一体成形する時に同時に共押出することにより設けることができる。
【実施例】
【0092】
以下に、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。実施例および比較例で使用した材料および試験方法は以下の通りである。
【0093】
材料
成分(a):
EPDM:NODEL IP4770R(商品名、デュポンダウエラストマー社製)、メタロセン触媒で合成されたエチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)共重合体ゴム、比重0.88、ムーニー粘度ML1+4(125℃)70、重量平均分子量200,000、エチレン70%、ENB4.9%
成分(b):
SEEPS:SEPS4077(商品名、クラレ(株)製)、スチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレン共重合体、分子量27万、スチレン含有量30%
SEBS:クレイトンMD6933ES(商品名、クレイトンポリマー(株)製)、スチレン−エチレン・ブテン−スチレン共重合体、分子量27万
成分(c):
PP:BC8(商品名、日本ポリケム株式会社製)、ポリプロピレン、MFR(230℃,2.16kg)2
成分(d):
パラフィンオイル:PW−90(商品名、出光興産社製)、n−パラフィン系オイル、重量平均分子量540、40℃における動的粘度95.54cSt、100℃における動的粘度11.25cSt、流動点−15℃、引火点(COC)270℃
成分(e):
フェノール樹脂:Tackirol 201(商品名、田岡化学工業製)、アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂
成分(f):
酸化亜鉛:酸化亜鉛(堺化学社製)
その他の成分:
酸化防止剤:IR1010(商品名、チバスペシャリティケミカルズ製)、フェノール系酸化防止剤
光安定剤[HALS]:TINUVIN P(商品名、チバスペシャリティケミカルズ製)、ヒンダードアミン系光安定剤
炭酸カルシウム:NS−400(商品名、日東粉化工業(株)製)
【0094】
試験方法
(1)比重:JIS K 7112に準拠し、1mm厚プレスシートを試験片として用いて測定を行った。
(2)A硬度:JIS K6253(HDA15秒後値)に準拠し、6mm厚プレスシートを試験片として用いて測定を行った。
(3)引張強度(MPa):JIS K6251に準拠し、1mm厚のプレスシートを3号ダンベル型試験片に打ち抜いて使用した。引張速度は、23℃にて500mm/分とした。
(4)100%モジュラス(MPa):JIS K6251に準拠し、1mm厚のプレスシートを3号ダンベル型試験片に打ち抜いて使用した。引張速度は、500mm/分とし、23℃および80℃で測定した。
(5)引張破断伸び(%):JIS K6251に準拠し、1mm厚のプレスシートを3号ダンベル型試験片に打ち抜いて使用した。引張速度は、23℃にて500mm/分とした。なお、芯材に関してのみ、JIS K7161に準拠し、1mm厚のプレスシートを1号ダンベル型試験片に打ち抜いて使用した(引張速度:23℃にて5mm/分)。
(6)曲げ弾性率(MPa):ASTM D790に準拠し、樹脂組成物を射出成形法(樹脂温度:250℃、金型温度40℃)にて成形して得られた長さ:127mm、幅:13mm、厚さ:6.4mmの試験片を使用した。曲げ速度は2.8mm/分とし、23℃および80℃で測定した。
(7)フランジ保持力(N/100mm):得られた成形品の長手方向100mmにわたって3mm厚さの塗装板(長さ100mm)を差込み、引張速度500mm/分にて塗装板を引き抜く時の荷重を測定する。
(8)圧縮永久歪み(%):JIS K6262に準拠し、プレス成形によって得られた直径:13mm、厚さ:6.3mmの円柱状の試験片を使用した。試験条件は、圧縮率25%、70℃×200時間とした。
(9)MFR:JIS K7210に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定した。
(11)成形品外観:得られた成形品の外観を下記評価基準に従って目視判定した。
○:表面が平滑である。
△:表面が若干荒れている。
×:肌荒れが激しい。
(12)フランジ保持性:上記(7)で測定したフランジ保持力の、23℃および80℃における値が共に33N/100mm以上の場合を「○」、少なくとも1つの値が25N/100mm以上33N/100mm未満の場合を「△」、少なくとも1つの値が25N/100mm未満の場合を「×」とした。
(13)R追従性:得られた成形品をR30の3mm厚さのフランジに嵌め込み、本体部分がフランジからの浮き上がっていないかどうか、中空のシール部に凹み等の不自然な形状変形がないがどうか、および本体部分および中空のシール部の両方に破損(引裂き)がないかどうかを目視で確認し、下記評価基準に従って判定した。
○:本体部分:浮き上がりも破損も無い。
中空のシール部:形状変形も破損も無い。
△:本体部分:徐々に浮き上がる、又は、わずかに破損が見られる。
中空のシール部:わずかに形状変形がある、又は、わずかに破損が見られる。
×:本体部分:直ぐに浮き上がる、又は、明らかな破損が見られる。
中空部:明らかに形状変形がある、又は、明らかな破損が見られる。
(14)ブリード:得られた成形品を80℃×500時間放置した後、表面を目視観察する。ブリードが全く、べたつかない場合を「○」、若干べたつく場合を「△」、べたつきが激しい場合を「×」とした。
(15)シール性:上記(8)で測定した圧縮永久歪みの値が35%以下の場合を「○」、35%より大きく45%以下の場合を「△」、45%より大きい場合を「×」とした。
【0095】
実施例1〜10および比較例1〜8
図6に示される断面を有する押出し成形品を、被覆層(3)については表1に示す組成(重量部)を有する組成物を用いて、中空のシール部(11)については表2に示す組成(重量部)を有する組成物を用いて、製造した。芯(2)については、EBP9840N(リケンテクノス製 、タルク粉体40重量%を混合したポリプロピレン、JIS K7161に従う引張破断伸び110%、ASTM D790に従う23℃での曲げ弾性率3500MPa)を使用した。
製造は、図8に示す方法に従って行った。すなわち、最初に、芯(2)を構成する樹脂を第1押出機(EX1)に供給し、第1金型ダイス(K1)の内部を通過させて芯を成形した。成形された断面略U字状の芯を、冷却槽(C1)に通した後、打ち抜き機(P1)によって切除部を形成した。芯(2)の押出成形は、ダイス温度210〜260℃、押出機での溶融温度180℃〜260℃の範囲で温度勾配を設けて行った。次に、得られた芯(2)を第2金型ダイス(K2)に挿入し、一方、被覆層(3)を形成する樹脂組成物を第2押出機(EX2)を通って第2金型ダイス(K2)に送ると同時に中空のシール部(11)を形成する樹脂組成物を第3押出機(EX3)を通って第2金型ダイス(K2)に送ることにより、本体部分(1)および中空のシール部(11)を一体成形した。被覆層(3)の押出成形は、ダイス温度180〜230℃、押出機での溶融温度150℃〜230℃の範囲で温度勾配を設けて行った。中空のシール部(11)の押出成形は、ダイス温度180〜230℃、押出機での溶融温度150℃〜230℃の範囲で温度勾配を設けて行った。
各熱可塑性エラストマー組成物の物性および得られた成形品の評価結果を表1および2に示す。
【0096】
【表1−1】
【0097】
【表1−2】
【0098】
【表2−1】
【0099】
【表2−2】
【0100】
表1および2に示すように、本発明に従う押出し成形品は、ブリードを生じることなく良好な外観を有すると共にR追従性に優れ、また、本体部分のフランジ保持性および中空のシール部のシール性にも優れていた。一方、本発明に従う物性を有しない熱可塑性エラストマー組成物を用いた比較例1〜8は、共押出による一体成形を行うことはできるものの、外観や性能が不十分であった。
【0101】
実施例11〜13および比較例9〜11
実施例1において、芯(2)を構成する樹脂として、表3に示す組成物を使用した以外は実施例1と同様にして成形品を製造し、フランジ保持性およびR追従性の評価試験を行った。結果を表3に示す。
【0102】
【表3】
【0103】
表3から明らかなように、芯(2)を構成する樹脂組成物が2500MPa以上の23℃での曲げ弾性率および80%以上の引張破断伸びを有する実施例11〜13の成形品はフランジ保持性およびR追従性に優れる。
【0104】
実施例14
図9に示すように、実施例1で得られた押出し成形品の外側表面に、摺動性を有する熱可塑性樹脂組成物の層(摺動層)(14)を12μmの厚さで施与した。上記摺動性を有する樹脂組成物として、LVR9805N(商品名レオストマー、リケンテクノス製、高結晶HDPE+ゴム、引張破断伸び(JIS K6251)410%)を使用した。摺動層は、上記の第2のダイスに、第4の押出機から上記樹脂組成物を供給して、被覆層および中空のシール部の成形と同時に押出成形することにより形成された。摺動層の押出成形は、押出機での溶融温度を160℃〜240℃の範囲で温度勾配を設けて行われた。得られた成形品は、十分な耐摩耗性を有し、かつフランジのコーナー部に沿って折り曲げたとき、白化を生じなかった。
【0105】
実施例15〜17
実施例14において摺動層の厚さを50μm(実施例15)、100μm(実施例16)または190μm(実施例17)とした以外は実施例14と同様にして成形品を製造した。得られた成形品はいずれも十分な耐摩耗性を有し、かつフランジのコーナー部に沿って折り曲げたとき、白化を生じなかった。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明の押出し成形品は、自動車のウェザーストリップやオープニングトリムとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の押出し成形品に車体パネルのフランジ部を装着したときの断面図である。
【図2】本発明の別の押出し成形品の断面図である。
【図3】本発明の成形品における芯の斜視図である。
【図4】本発明の成形品における別の芯の斜視図である。
【図5】図2の押出し成形品の押込部を押し込んだときの断面図である。
【図6】本発明のさらに別の押出し成形品の断面図である。
【図7】図6の押出し成形品の押込部を押し込んだときの断面図である。
【図8】本発明の押出し成形品の製造法を示す模式図である。
【図9】本発明のさらに別の押出し成形品の断面図である。
【図10】本発明のさらに別の押出し成形品の斜視図である。
【符号の説明】
【0108】
1 本体部分
2 芯
3 被覆層
4 外側表面
5 内側表面
6 押込部
7 開口部
8 端部
9 保持片
10 化粧リップ
11 中空のシール部
12 フランジ
13 車体パネル
14 摺動層
A 隙間
EX1 第1押出機
EX2 第2押出機
EX3 第3押出機
K1 第1金型ダイス
K2 第2金型ダイス
P1 打ち抜き機
C1 冷却槽
C2 冷却槽
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のドアやトランク等の各種開口部に使用されるウェザーストリップやオープニングトリム等の押出し成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のウェザーストリップやオープニングトリムは、雨水や外気を防ぎ、騒音を遮断するためにドアやボディの外枠に装着される、シール性を有する長尺状の内装品である。上記内装品は、図1に示されるように、断面が略U字状の芯(2)およびその周囲の被覆層(3)を有する本体部分(1)ならびに本体部分(1)と一体に結合した中空のシール部(11)を有する。装着においては、本体部分(1)の隙間(A)に車体パネル(13)のフランジ部(12)が嵌められ、中空のシール部(11)はドア等に接してクッションの役目をする。
【0003】
このような内装品は、車体パネルの取り付け保持力を高めるために、従来、芯として金属製のものが使用されている。しかし、近年では、生産性、軽量化等の観点から、芯として、金属製に代えて樹脂製のものを使用するようになっている(例えば、特許文献1参照)。芯が金属製の場合には、板状の芯の周囲に被覆層を押出し成形した後、断面が略U字状になるように折り曲げ加工する必要があるが、芯が樹脂製の場合には、最初に、断面が略U字状の芯として押出し成形することができ、次いでその周囲に被覆層を押出し成形すればよく、折り曲げ加工の必要がない(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
一方、被覆層および中空のシール部は、ゴム製であるのが一般的である(例えば、特許文献1)。しかし、ゴム製品は成形後に加硫工程を必要とする。また、被覆層と中空のシール部とは機能が異なるので、必要とされる物性も異なる。特に、中空のシール部はクッションの役目をすることから、被覆層よりも柔らかいゴムが通常使用される。ゴムに柔軟性を付与するためにはオイル等の軟化剤を入れるのが一般的であるが、軟化剤を入れるとブリードして成形品の外観性を損ねる恐れがある。そこで、中空のシール部には通常、発泡された加硫ゴムが使用される。発泡していない本体部分と発泡している中空のシール部とを1工程で同時に成形接着することは困難であり、従来は、芯の周囲に被覆層を押出成形して本体部分を形成する工程と中空のシール部を押出し成形する工程を別々に行った後、本体部分と中空のシール部を接着している。
また、近年の環境問題の高まりから、ゴム製の被覆層および中空のシール部が、リサイクル可能な熱可塑性エラストマー製に変更されることが要望されている。
【特許文献1】特開2005−132343号公報
【特許文献2】特開2005−306344号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、芯(2)およびその周囲の被覆層(3)を有する本体部分(1)ならびに本体部分(1)と一体に結合した中空のシール部(11)を有する自動車用押出し成形品において、優れた外観および性能を有すると共に、被覆層の押出し成形と中空のシール部の押出し成形とを1つのダイスを用いて同時に行うことができる、すなわち共押出しにより一体成形することができる押出し成形品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、被覆層(3)および中空のシール部(11)としてそれぞれ特定の熱可塑性エラストマー組成物を使用することにより、上記目的が達成できることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、本体部分(1)および中空のシール部(11)を有する自動車用押出し成形品であって、本体部分(1)が、長手方向に延びる断面略U字状の、樹脂製の芯(2)および該芯の周囲に沿ってその一部または全部を覆う被覆層(3)を有し、中空のシール部(11)と本体部分の外側表面(4)が一体に結合している成形品において、被覆層(3)が、350%以上の引張破断伸び(JIS K6251)および40%以下の下記式で表される100%モジュラス変化量
100%モジュラス変化量=[(23℃での100%モジュラス−80℃での100%モジュラス)/23℃での100%モジュラス]x100
ここで、100%モジュラスは、JIS K6251に従って測定される、100%伸長時の応力である、
を有する熱可塑性エラストマー組成物で形成されており、中空のシール部(11)が、250%以上の引張破断伸び(JIS K6251)および35%以下の圧縮永久歪み(25%圧縮、70℃、200時間)を有する熱可塑性エラストマー組成物で形成されていることを特徴とする成形品である。
【0008】
本発明の好ましい実施態様によれば、上記成形品が、本体部分の内側表面(5)の一方に、被覆層の一部から延長して形成された押込部(6)を有し、押込部(6)は、本体部分の内側表面(5)によって形成される開口部(7)の中へ押し込むことができるように芯(2)の端部(8)を越えて開口部(7)より外方向に延びておりかつその一部から延長して形成された1以上の保持片(9)を有する。
【0009】
さらに好ましい実施態様によれば、上記成形品が、本体部分の内側表面(5)の、押込部(6)が形成されている側とは反対の側に、被覆層の一部から延長して形成された1以上の保持片(9)を有する。
【0010】
本発明の別の好ましい実施態様によれば、上記成形品が、本体部分(1)および中空のシール部(11)の外側表面の一部または全体にわたって、摺動性機能を有する熱可塑性樹脂組成物の層を有し、さらに好ましくは、該摺動性機能を有する熱可塑性樹脂組成物が300%以上の引張破断伸び(JIS K6251)を有する。
【0011】
本発明のさらに別の好ましい実施態様によれば、芯(2)が、80%以上の引張破断伸び(JIS K7161)および2500MPa以上の23℃での曲げ弾性率(ASTM D790)を有する樹脂組成物で形成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、本体部分(1)の被覆層(3)と中空のシール部(11)とが共に熱可塑性エラストマー組成物によって形成されるので、これらを共押出しにより一体成形することができ、したがって、自動車のウェザーストリップやオープニングトリム等の押出し成形品をより容易に製造することができる。また、得られる成形品は、車体への装着において、フランジのコーナー部に沿って折り曲げ可能であるのに十分な可撓性(R追従性)を有するとともに十分なシール性を有し、かつ外観も良好である。さらに、被覆層(3)および中空のシール部(11)が共に熱可塑性エラストマー組成物で構成されているので、リサイクルが可能である。また、芯を樹脂製とすることで、軽量化およびリサイクル工程の軽減が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の押出し成形品の一例の断面図を図2に示す。また、本発明の押出し成形品の別の例の斜視図を図10に示す。本発明の押出し成形品は、本体部分(1)および中空のシール部(11)を有し、本体部分(1)は、長手方向に形成されかつ略U字状の断面を有する芯(2)およびその周囲に沿ってその一部または全部を被覆する被覆層(3)を有し、中空のシール部(11)は本体部分(1)の外側表面(4)と一体に結合している。本発明の押出し成形品の一例の斜視図を図10に示す。
【0014】
本発明の押出し成形品は、被覆層(3)および中空のシール部(11)が、下記の特定の物性を有する熱可塑製エラストマー組成物で形成される。
すなわち、被覆層(3)は、350%以上、好ましくは500%以上の引張破断伸び(JIS K6251)および40%以下、好ましくは30%以下の下記式で表される100%モジュラス変化量を有する熱可塑性エラストマー組成物で形成される。
100%モジュラス変化量=[(23℃での100%モジュラス−80℃での100%モジュラス)/23℃での100%モジュラス]x100
ここで、100%モジュラスは、JIS K6251に従って測定される、100%伸長時の応力である。引張破断伸びが350%未満であると、R追従時に被覆材の引裂き破壊が起き易い。上記100%モジュラス変化量が40%を越えると、高温時(80℃以上)にフランジからの脱落が発生しやすくなる。
【0015】
また、中空のシール部(11)は、250%以上、好ましくは350%以上の引張破断伸び(JIS K6251)および35%以下、好ましくは25%以下の圧縮永久歪み(25%圧縮、70℃、200時間)を有する熱可塑性エラストマー組成物で形成される。上記引張破断伸びが250%未満であると、R追従時に中空のシール部の引裂き破壊が起き易い。上記圧縮永久歪みが35%を越えると、ドアとのシール性が不十分となり、走行時の異音、雨水の浸入等が起き易い。上記引張破断伸びの上限は、好ましくは1000%である。
【0016】
好ましくは、被覆層(3)を形成する熱可塑性エラストマー組成物は、
(a)ゴム 30〜85重量%、および
(b)芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体およびその水素添加物ならびに共役ジエン化合物重合体の水素添加物からなる群から選ばれる少なくとも一つの重合体 15〜70重量%
からなる組成物100重量部、ならびに
(c)結晶性オレフィン系樹脂(ただし、エチレンと不飽和カルボン酸エステル又は酢酸ビニルとの共重合体を除く) 20〜63重量部、
(d)非芳香族系ゴム用軟化剤 80〜210重量部、および
(e)フェノール樹脂および臭化フェノール樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物 2〜12重量部
を含む。
【0017】
また、中空のシール部(11)を形成する熱可塑性エラストマー組成物は、好ましくは、
(a)ゴム 30〜85重量%、および
(b)芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体およびその水素添加物ならびに共役ジエン化合物重合体の水素添加物からなる群から選ばれる少なくとも一つの重合体 15〜70重量%、
からなる組成物100重量部、ならびに
(c)結晶性オレフィン系樹脂(ただし、エチレンと不飽和カルボン酸エステル又は酢酸ビニルとの共重合体を除く) 4〜22重量部、
(d)非芳香族系ゴム用軟化剤 100〜220重量部、および
(e)フェノール樹脂および臭化フェノール樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物 2〜12重量部
を含む。
【0018】
被覆層(3)を形成する熱可塑性エラストマー組成物および/または中空のシール部(11)を形成する熱可塑性エラストマー組成物は、所望により、
(f)架橋促進剤(例えば、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、二塩化スズ)2.3〜9.0重量部をさらに含んでもよい。
【0019】
以下に、被覆層(3)を形成する熱可塑性エラストマー組成物における成分(a)〜(f)について説明する。
【0020】
成分(a):
成分(a)はゴムであり、特に制限されないが、例えば、エチレン系共重合体ゴム(EPDM等)、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)およびニトリルゴム(NBR)が挙げられ、中でもエチレン系共重合体ゴム(EPDM等)が好ましい。
【0021】
上記エチレン系共重合体ゴムとしては、例えば、エチレンとプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン等のα−オレフィンとの共重合体、およびこれらと非共役ポリエンとの共重合体が挙げられる。
【0022】
上記非共役ポリエンとしては、非共役ジエンが好ましく、例えば、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、1,4−ヘキサジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)、1,6−オクタジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、1,3−シクロペンタジエン、1,4−シクロヘキサジエン、テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−ノルボルネン、ジシクロオクタジエン、メチレンノルボルネン等を挙げることができる。
【0023】
エチレン系共重合体ゴムの具体例としては、例えば、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴム、エチレン−1−ブテン共重合体ゴム、エチレン−1−ブテン−非共役ジエン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体ゴム等が挙げられる。成分(e)による架橋性の点から、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体ゴム(EPDM)が好ましい。
【0024】
成分(b):
成分(b)は、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物との共重合体(b−1)およびその水素添加物(b−2)、ならびに共役ジエン化合物重合体の水素添加物(b−3)からなる群から選ばれる少なくとも一つの重合体である。
【0025】
共重合体(b−1)は、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのランダム共重合体(b−1−1)、および芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体(b−1−2)を包含する。これらの共重合体を構成する芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルトルエン、p−第3ブチルスチレン等のうちから1種又は2種以上を選択でき、なかでもスチレンが好ましい。また共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等のうちから1種又は2種以上が選ばれ、なかでもブタジエン、イソプレン及びこれらの組合せが好ましい。
【0026】
上記ランダム共重合体(b−1−1)は、芳香族ビニル化合物を3〜60重量%、好ましくは5〜50重量%含む。数平均分子量は、好ましくは150,000〜500,000、より好ましくは、170,000〜400,000、更に好ましくは200,000〜350,000の範囲であり、分子量分布は10以下である。
【0027】
上記ランダム共重合体(b−1−1)の具体例としては、スチレンとブタジエンとの共重合体(SBR)等が挙げられる。
【0028】
上記ブロック共重合体(b−1−2)は、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAの少なくとも2個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBの少なくとも1個とからなるブロック共重合体である。例えば、A−B−A、B−A−B−A、A−B−A−B−A等の構造を有する芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体を挙げることができる。上記ブロック共重合体は、芳香族ビニル化合物を5〜60重量%、好ましくは20〜50重量%含む。
【0029】
芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックAは、好ましくは、芳香族ビニル化合物のみからなるか、または芳香族ビニル化合物50重量%以上、好ましくは70重量%以上と共役ジエン化合物との共重合体ブロックである。
【0030】
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBは、好ましくは、共役ジエン化合物のみからなるか、または、共役ジエン化合物50重量%以上、好ましくは、70重量%以上と芳香族ビニル化合物との共重合体ブロックである。
【0031】
上記ブロック共重合体(b−1−2)の数平均分子量は、好ましくは5,000〜1,500,000、より好ましくは、10,000〜550,000、更に好ましくは100,000〜400,000の範囲であり、分子量分布は10以下である。ブロック共重合体の分子構造は、直鎖状、分岐状、放射状あるいはこれらの任意の組合せのいずれであってもよい。
【0032】
また、これらの芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックA、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBにおいて、分子鎖中の共役ジエン化合物又は芳香族ビニル化合物由来の単位の分布がランダム、テーパード(分子鎖に沿ってモノマー成分が増加又は減少するもの)、一部ブロック状又はこれらの任意の組合せでなっていてもよい。芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックA又は共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBがそれぞれ2個以上ある場合には、各重合体ブロックはそれぞれが同一構造であっても異なる構造であってもよい。
【0033】
上記ブロック共重合体(b−1−2)の具体例としては、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)等が挙げられる。
【0034】
上記ブロック共重合体(b−1−2)の製造方法としては数多くの方法が提案されているが、代表的な方法としては、例えば特公昭40−23798号公報に記載された方法により、リチウム触媒又はチーグラー型触媒を用い、不活性媒体中でブロック重合させて得ることができる。
【0035】
上記水素添加物(b−2)は、上記ランダム共重合体(b−1−1)の水素添加物(b−2−1)および上記ブロック共重合体(b−1−2)の水素添加物(b−2−2)を包含する。
【0036】
水素添加物(b−2−1)は、上記ランダム共重合体(b−1−1)を水素添加して得られる水添ランダム共重合体である。
【0037】
水素添加物(b−2−1)は、引張特性、耐加熱変形性の観点から、メルトマスフローレート(ASTM D 1238準拠、230℃、荷重21.18Nで測定)が12g/10分以下のものが好ましく、6g/10分以下のものが更に好ましい。
【0038】
水素添加物(b−2−1)における芳香族ビニル化合物含有量は、柔軟な熱可塑性エラストマー組成物を得るという目的から、25重量%以下が好ましい。20重量%以下ならより好ましい。また同じ目的から、共役ジエン化合物の炭素-炭素二重結合の少なくとも90%、好ましくは100%が水素添加されたものが好ましい。
【0039】
水素添加物(b−2−1)として、例えばダイナロン1320P(JSR社)等が挙げられる。
【0040】
水素添加物(b−2−2)は、上記ブロック共重合体(b−1−2)を水素添加して得られる水添ブロック共重合体である。
【0041】
水素添加物(b−2−2)における水素添加率は任意であるが、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBにおいて、好ましくは50%以上、より好ましくは55%以上、更に好ましくは60%以上である。また、そのミクロ構造は、任意であり、例えば、ブロックBがブタジエン単独で構成される場合、ポリブタジエンブロックにおいて、1,2−ミクロ構造が好ましくは20〜50重量%、特に好ましくは25〜45重量%である。また、1,2−結合を選択的に水素添加した物であっても良い。ブロックBがイソプレンとブタジエンの混合物から構成される場合、1,2−ミクロ構造が好ましくは50%未満、より好ましくは25%未満、より更に好ましくは15%未満である。
【0042】
ブロックBがイソプレン単独で構成される場合、ポリイソプレンブロックにおいて、イソプレンの好ましくは70〜100重量%が1,4−ミクロ構造を有し、かつイソプレンに由来する脂肪族二重結合の好ましくは少なくとも90%が水素添加されたものが好ましい。
【0043】
水素添加物(b−2−2)は、重合体ブロックAが成分全体の5〜70重量%の割合で存在するのが好ましい。さらに、水素添加物(b−2−2)全体の重量平均分子量は、150,000〜500,000が好ましく、さらに好ましくは200,000〜400,000である。重量平均分子量が200,000を下回ると、オイルブリードを生じる。
【0044】
水素添加物(b−2−2)の具体例としては、スチレン−エチレン・ブテン共重合体(SEB)、スチレン−エチレン・プロピレン共重合体(SEP)、スチレン−エチレン・ブテン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(SEEPS)、スチレン−ブタジエン・ブチレン−スチレン共重合体(部分水添スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、SBBS)等を挙げることができる。
この中でも、柔軟性付与効果に優れ、オイルブリードが極めて少ない点で、スチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(SEEPS)が最も好ましい。
【0045】
水素添加物(b−2−2)は、上記ブロック共重合体(b−1−2)を水素添加処理することにより製造される。水素添加処理は、公知の方法により、例えば、不活性溶媒中で水素添加触媒の存在下に行うことができる。
【0046】
水素添加物(b−3)は、共役ジエン化合物重合体の水素添加物であり、例えば、ブタジエンの重合体を水素添加して得られる、結晶性エチレンブロックと非晶性エチレン−ブテンブロックを有するブロック共重合体(CEBC)等が挙げられる。水素添加物(b−3)は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
水素添加物(b−3)の重量平均分子量は、500,000以下が好ましく、より好ましくは200,000〜450,000である。重量平均分子量が500,000を超えると、得られる熱可塑性エラストマー組成物の押出・射出成形性が悪化し、重量平均分子量が200,000を下回ると、オイルブリードを生じ、得られる熱可塑性エラストマー組成物の圧縮永久歪みが悪化する。
【0047】
上記重合体の中でも、柔軟性付与効果に優れ、オイルブリードが極めて少ない点で、水素添加物(b−2−2)が好ましく、中でもスチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレン共重合体(SEEPS)がさらに好ましく、その中でも分子量の点でセプトン4077、4055(クラレ株式会社製)が最も好ましい。
【0048】
成分(a)と成分(b)の配合割合は、成分(a)/成分(b)が30〜85重量%/15〜70重量%、好ましくは40〜80重量%/20〜60重量%である。成分(b)の割合が上記上限を超えると、高温時の反力が不足しフランジ保持力が不十分である。成分(b)の割合が上記下限未満の場合には、熱可塑性エラストマー組成物の引張破断伸びが低下し、R追従性が不十分である。
【0049】
成分(c):
成分(c)は結晶性オレフィン系樹脂であり、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1等のオレフィンの単独重合体、またはこれらのオレフィンを主体とする共重合体が挙げられる。ただし、エチレンと不飽和カルボン酸エステル又は酢酸ビニルとの共重合体は、その極性故に、溶融時のベタツキが大きく、また金属(混練機)への粘着が激しい・焼けやすい・臭気がある等の問題があり、好ましくない。従って、成分(c)の結晶性オレフィン系樹脂は、エチレンと不飽和カルボン酸エステル又は酢酸ビニルとの共重合体を除く。
【0050】
成分(c)としては特に、エチレンもしくはプロピレンの単独重合体、またはエチレンもしくはプロピレンを主体とする結晶性の共重合体が挙げられ、具体的には、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン・α−オレフィン共重合体等の結晶性エチレン系重合体、プロピレンホモ重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体等の結晶性プロピレン系共重合体が挙げられる。ここで、エチレンもしくはプロピレンの共重合体に用いられるα−オレフィンとしては、炭素数2〜10のα−オレフィン、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、3−メチルペンテン−1、オクテン−1等が挙げられる。エチレンもしくはプロピレンを主体とする結晶性の共重合体としては、エチレン・ブテン−1共重合体、エチレン・ヘキセン−1共重合体、エチレン・オクテン−1共重合体等の結晶性エチレン系重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・エチレンブロック共重合体、プロピレン・エチレンランダムブロック共重合体、プロピレン・ブテン−1共重合体、プロピレン・エチレン・ブテン−1三元共重合体等の結晶性プロピレン系重合体が挙げられる。
【0051】
成分(c)を合成する際に使用される触媒は、チーグラー・ナッタ系触媒やメタロセン系触媒等が挙げられる。
【0052】
成分(a)及び成分(b)との相容性の点から、メタロセン系触媒で合成されたエチレン系樹脂が成分(c)として好ましい。また、ポリプロピレンも成分(c)として好ましい。
【0053】
成分(c)は、DSCによる融点が、好ましくは30〜180℃、より好ましくは40〜170℃である。ここで、DSCによる融点は、示差走査熱量計(DSC)によって得られるピークトップ融点であり、具体的には、DSCを用い、サンプル量10mgを採り、190℃で5分間保持した後、−10℃まで10℃/分の降温速度で結晶化させ、−10℃で5分間保持した後、10℃/分の昇温速度で200℃まで測定して求める値である。
【0054】
成分(c)の配合量は、成分(a)と成分(b)との合計量100重量部に対して20〜63重量部、好ましくは30〜55重量部である。上記上限を超えると、R追従性が不十分である。上記下限未満では、流動性不足による外観不良および引張強度不足によるR追従時の引裂き破壊が発生する。
【0055】
成分(d):
成分(d)は非芳香族系ゴム用軟化剤であり、好ましくはパラフィンオイルが挙げられる。例えば、炭素数4〜155のパラフィン系化合物、好ましくは炭素数4〜50のパラフィン系化合物が挙げられ、具体的には、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、ヘンエイコサン、ドコサン、トリコサン、テトラコサン、ペンタコサン、ヘキサコサン、ヘプタコサン、オクタコサン、ノナコサン、トリアコンタン、ヘントリアコンタン、ドトリアコンタン、ペンタトリアコンタン、ヘキサコンタン、ヘプタコンタン等のn−パラフィン(直鎖状飽和炭化水素)、イソブタン、イソペンタン、ネオペンタン、イソヘキサン、イソペンタン、ネオヘキサン、2,3−ジメチルブタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、3−エチルペンタン、2,2−ジメチルペンタン、2,3−ジメチルペンタン、2,4−ジメチルペンタン、3,3−ジメチルペンタン、2,2,3−トリメチルブタン、3−メチルヘプタン、2,2−ジメチルヘキサン、2,3−ジメチルヘキサン、2,4−ジメチルヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン、3,4−ジメチルヘキサン、2,2,3−トリメチルペンタン、イソオクタン、2,3,4−トリメチルペンタン、2,3,3−トリメチルペンタン、2,3,4−トリメチルペンタン、イソノナン、2−メチルノナン、イソデカン、イソウンデカン、イソドデカン、イソトリデカン、イソテトラデカン、イソペンタデカン、イソオクタデカン、イソナノデカン、イソエイコサン、4−エチル−5−メチルオクタン等のイソパラフィン(分岐状飽和炭化水素)及び、これらの飽和炭化水素の誘導体等を挙げることができる。これらのパラフィンオイルは、室温で液状であるものが好ましく、また2以上の混合物の形態で用いてもよい。
【0056】
室温で液状であるパラフィンオイルの市販品としては、日本油脂株式会社製のNAソルベント(イソパラフィン系炭化水素油)、出光興産株式会社製のPW−90、PW−380(n−パラフィン系プロセスオイル)、出光石油化学株式会社製のIP−ソルベント2835(合成イソパラフィン系炭化水素、99.8wt%以上のイソパラフィン)、三光化学工業株式会社製のネオチオゾール(n−パラフィン系プロセスオイル)等が挙げられる。
【0057】
また、パラフィンオイルには、少量の不飽和炭化水素及びこれらの誘導体が共存していても良い。不飽和炭化水素としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、2−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、1−ヘキセン、2,3−ジメチル−2−ブテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等のエチレン系炭化水素、アセチレン、メチルアセチレン、1−ブチン、2−ブチン、1−ペンチン、1−ヘキシン、1−オクチン、1−ノニン、1−デシン等のアセチレン系炭化水素を挙げることができる。
【0058】
成分(d)は、好ましくは、37.8℃における動的粘度が20〜500cSt、流動点が−10〜−15℃、引火点(COC)が170〜300℃である。
【0059】
成分(d)の配合量は、成分(a)と成分(b)との合計量100重量部に対して80〜210重量部、好ましくは100〜190重量部であり、より好ましくは120〜180重量部である。上記上限を超えると、オイルブリードが顕著になる。上記下限未満では、成形外観およびR追従性が不十分である。
【0060】
成分(e):
成分(e)はフェノール樹脂および臭化フェノール樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物である。成分(e)は、ゴムを架橋することができるものであれば、いずれのフェノール樹脂および臭化フェノール樹脂も使用することができる。
【0061】
成分(e)は、好ましくは、一般式(I):
【0062】
【化1】
(式中、Qは、−CH2−及び−CH2−O−CH2−から成る群から選ばれる二価基であり、mは0又は1乃至20の正の整数であり、R'は有機基である)
を有するフェノール樹脂およびその末端水酸基が臭素化されたフェノール樹脂である。好ましくは、Qは、二価基−CH2−O−CH2−であり、mは0又は1乃至10の正の整数であり、R'は20未満の炭素原子を有する有機基である。なおより好ましくは、mは0又は1乃至5の正の整数であり、R'は4乃至12の炭素原子を有する有機基である。
【0063】
上記フェノール樹脂の中でも、アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、メチロール化アルキルフェノール樹脂、臭素化アルキルフェノール樹脂がより好ましく、特に、アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂が好ましい。
【0064】
上記フェノール樹脂は、通常の方法で製造することができ、例えば、アルキル置換フェノール又は非置換フェノールをアルカリ媒体中でアルデヒド、好ましくはホルムアルデヒドと縮合させることにより、又は二官能性フェノールジアルコール類を縮合させることにより製造することができる。あるいは、市販のフェノール樹脂を使用することもできる。
【0065】
上記フェノール樹脂の製品例としては、タッキロール201(アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、田岡化学工業社製)、タッキロール250−I(臭素化率4%の臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、田岡化学工業社製)、タッキロール250−III(臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、田岡化学工業社製)、PR−4507(群栄化学工業社製)、Vulkaresat510E(Hoechst社製)、Vulkaresat532E(Hoechst社製)、Vulkaresen E(Hoechst社製)、Vulkaresen 105E(Hoechst社製)、Vulkaresen 130E(Hoechst社製)、Vulkaresol 315E(Hoechst社製)、Amberol ST 137X(Rohm&Haas社製)、スミライトレジンPR−22193(住友デュレズ社製)、Symphorm−C−100(Anchor Chem.社製)、Symphorm−C−1001(Anchor Chem.社製)、タマノル531(荒川化学社製)、Schenectady SP1059(Schenectady Chem.社製)、Schenectady SP1045(Schenectady Chem.社製)、CRR−0803(U.C.C社製)、Schenectady SP1055(Schenectady Chem.社製)、Schenectady SP1056(Schenectady Chem.社製)、CRM−0803(昭和ユニオン合成社製)、Vulkadur A(Bayer社製)が挙げられ、その中でもタッキロール201(アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂)が好ましく使用される。
【0066】
成分(e)の配合量は、成分(a)と成分(b)との合計量100重量部に対して2〜12重量部、好ましくは3〜11重量部である。上記上限を超えると、熱可塑性エラストマー組成物の引張破断伸びが低下し、R追従性が不十分である。上記下限未満では、反力が不足しフランジ保持力が不十分である。
【0067】
成分(f)(任意成分):
成分(f)は架橋促進剤であり、成分(e)の架橋剤としての機能をより効果的に向上させるためおよび圧縮永久歪み、耐熱性を向上させるために任意成分として用いられる。成分(f)の例として、酸化亜鉛、酸化マグネシウムおよび二塩化スズが挙げられる。なお、酸化亜鉛を成分(f)として用いる際には、分散剤として、ステアリン酸金属塩等を併用することができる。上記架橋促進剤の中でも酸化亜鉛が特に好ましい。
【0068】
成分(f)の配合量は、配合する場合、成分(a)と成分(b)との合計量100重量部に対して、0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜1重量部である。成分(f)の配合量が前記上限値を超えると、流動性が不十分なため外観不良が生じ、また、R追従性が不十分となる場合がある。
【0069】
次に、中空のシール部(11)を形成する熱可塑性エラストマー組成物における成分(a)〜(f)について説明する。
【0070】
上記成分(a)〜(f)としてはそれぞれ、被覆層(3)を形成する熱可塑性エラストマー組成物における成分(a)〜(f)と同じものを使用することができる。
【0071】
成分(a)と成分(b)の配合割合は、成分(a)/成分(b)が30〜85重量%/15〜70重量%、好ましくは40〜80重量%/20〜60重量%である。成分(b)の割合が上記上限を超えると、圧縮永久歪みの悪化によりシール性能が不十分である。成分(b)の割合が上記下限未満では、熱可塑性エラストマー組成物の引張破断伸びが低下し、R追従性が不十分である。
【0072】
成分(c)の配合量は、成分(a)と成分(b)との合計量100重量部に対して4〜22重量部、好ましくは5〜21重量部である。上記上限を超えると、圧縮永久歪みの悪化によりシール性能が不十分である。上記下限未満では、流動性の不足による外観不良および引張伸びの不足によるR追従時の引裂き破壊が生じる。
【0073】
成分(d)の配合量は、成分(a)と成分(b)との合計量100重量部に対して100〜220重量部、好ましくは140〜200重量部である。上記上限を超えると、オイルブリードが顕著になる。上記下限未満では、成形外観およびR追従性が不十分である。
【0074】
成分(e)の配合量は、成分(a)と成分(b)との合計量100重量部に対して2〜12重量部、好ましくは3〜11重量部である。上記上限を超えると、熱可塑性エラストマー組成物の引張破断伸びが低下し、R追従性が不十分である。上記下限未満では、圧縮永久歪みの悪化によりシール性能が不十分である。
【0075】
成分(f)の配合量は、配合する場合、成分(a)と成分(b)との合計量100重量部に対して、0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜1重量部である。成分(f)の配合量が前記上限値を超えると、流動性が不十分なため外観不良が生じ、また、R追従性が不十分となる場合がある。
【0076】
その他の成分:
被覆層(3)および中空のシール部(11)を形成する熱可塑性エラストマー組成物は各々、本発明の目的を損なわない範囲で、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、結晶核剤、ブロッキング防止剤、シール性改良剤、ステアリン酸、シリコーンオイル等の離型剤、ポリエチレンワックス等の滑剤、着色剤、顔料、無機充填剤(アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、ウァラステナイト、クレー)、発泡剤(有機系、無機系)、難燃剤(金属水和物、赤燐、ポリリン酸アンモニウム、アンチモン、シリコーン)などをさらに配合することができる。
【0077】
酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−p−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、4,4−ジヒドロキシジフェニル、トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン等のフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤等が挙げられる。このうちフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤が特に好ましい。
【0078】
発泡剤としては、エクスパンセル(エクスパンセル社)、マツモトマイクロスフィアー(松本油脂製薬社)が好ましい。
【0079】
被覆層(3)を形成する熱可塑性エラストマー組成物は、上記成分(a)〜(e)ならびに必要に応じて成分(f)およびその他の成分を含むと共に、A硬度が40〜70であるのが好ましい。より好ましくはA硬度が45〜55である。本明細書において、A硬度は、JIS6253従って測定された15秒後値である。A硬度が上記上限を超えると、R追従性が不十分である。上記下限未満であると、反力が不足しフランジ保持力が不十分である。
【0080】
中空のシール部(11)を形成する熱可塑性エラストマー組成物は、上記成分(a)〜(e)ならびに必要に応じて成分(f)およびその他の成分を含むと共に、A硬度が10〜35であるのが好ましい。より好ましくはA硬度が15〜30である。A硬度が上記上限を超えると、反力が高過ぎてシール性能が不十分である。上記下限未満であると、反力が低すぎてシール性能が不十分である。
【0081】
芯(2)は樹脂製であり、断面が略U字状である。図3は、芯(2)の一例を示す斜視図である。樹脂の具体例としては、好ましくは、被覆材及び中空シール材との熱融着性の点から、ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系樹脂およびスチレン系樹脂等の合成樹脂または、それらの合成樹脂にタルク、マイカ、ガラス繊維等の粉体を混合した混合合成樹脂が挙げられる。上記合成樹脂は、好ましくは、80%以上、より好ましくは80%〜200%の引張破断伸び(JIS K7161)および2500MPa以上、より好ましくは3500MPa〜6000MPaの23℃での曲げ弾性率(ASTM D790)を有する。引張破断伸びが80%未満であるとR追従性が不十分であり、曲げ弾性率が2500MPa未満であると、フランジ部の保持力が不十分である。
【0082】
芯(2)は、必要に応じて、各種形状の切除部を有することができる。例えば、図4に示すように、長手方向に延び、断面が略U字状である芯の側面の一部を打ち抜き機によって打ち抜いて櫛歯状にすることができる。
【0083】
本発明の押出し成形品は、好ましい実施態様によれば、図2に示すように、本体部分の外側表面(4)に、被覆層の一部から延長して形成された化粧リップ(10)を有し、本体部分の内側表面(5)の一方に、被覆層の一部から延長して形成された押込部(6)を有し、該押込部(6)は、本体部分の内側表面(5)によって形成される開口部(7)の中へ押し込むことができるように芯(2)の端部(8)を越えて開口部(7)より外方向に延びておりかつその一部から延長して形成された1以上の保持片(9)を有する。
【0084】
図5は、図2の押出し成形品を車体パネルのフランジ部に装着するときの状態を示す図であり、押込部(6)が開口部(7)の中へ押し込まれている。
【0085】
別の好ましい実施態様によれば、図6に示すように、本体部分(1)の内側表面(5)の、押込部(6)が形成されている側とは反対の側に、被覆層(3)の一部から延長して形成された1以上の保持片(9)をさらに有する。
【0086】
図7は、図6の押出し成形品を車体パネルのフランジ部に装着するときの状態を示す図である。押込部(6)が開口部(7)の中へ押し込まれ、フランジは隙間Aに嵌められる。押込部を有することにより、図1に示されるような、押込部を有しない成形品と比較して、隙間Aをより小さくすることができ、その結果、車体フランジをより強固に圧接装着することができる。
【0087】
次に、本発明の押出し成形品の製造法を、図8を用いて説明する。
図8は、本発明の押出し成形品の製造法を示す模式図である。最初に芯(2)を構成する樹脂を第1押出機(EX1)に供給し、第1金型ダイス(K1)の内部を通過させて芯を成形する。成形された断面略U字状の芯を、冷却槽(C1)に通した後、必要に応じて打ち抜き機(P1)により切除部を形成する。芯(2)の押出成形は、ダイス温度210〜260℃、押出機での溶融温度180℃〜260℃の範囲で温度勾配を設けて行われる。
次に、得られた芯(2)を第2金型ダイス(K2)に挿入し、一方、被覆層(3)を形成する樹脂組成物を第2押出機(EX2)を通って第2金型ダイス(K2)に送ると同時に中空のシール部(11)を形成する樹脂組成物を第3の押出機(EX3)を通って第2金型ダイス(K2)に送ることにより、本体部分(1)および中空のシール部(11)を一体成形する。被覆層(3)の押出成形は、ダイス温度180〜230℃、押出機での溶融温度150℃〜230℃の範囲で温度勾配を設けて行われる。中空のシール部(11)の押出成形は、ダイス温度180〜230℃、押出機での溶融温度150℃〜230℃の範囲で温度勾配を設けて行われる。
【0088】
本発明の成形品は、さらに、本体部分(1)および中空のシール部(11)の外側表面の一部または全体にわたって、摺動性機能を有する熱可塑性樹脂組成物の層(以下、「摺動層」という)を有することができる。図9は、摺動層(14)を有する本発明の成形品の一例の断面を示す図である。摺動層を設けることにより、耐摩耗耐性、耐薬品・耐油性が向上する。上記摺動性機能を有する熱可塑性樹脂組成物としては、摩擦抵抗が0.4以下、硬さHDD (JIS K6253、5秒後値)が40〜60のスチレン系樹脂またはオレフィン系樹脂、またはこれらの混合物を使用する事が望ましい。好ましくは、摺動性とR追従性を共に満足させるために、高結晶オレフィン樹脂(PP、超高分子量PE等)とスチレン系樹脂又はオレフィン系樹脂との混合物が使用される。
【0089】
上記摺動性機能を有する熱可塑性樹脂組成物は、R追従性の点から、好ましくは、300%以上、より好ましくは300%〜1000%の引張破断伸び(JIS K6251)を有する。
【0090】
摺動層を設ける場合には、本体部分および中空のシール部を一体成形する時に同時に共押出によって設ける方法や、本体部分および中空のシール部を一体成形した後に摺動性機能を有する樹脂組成物の溶融物を吹き付ける方法を使用することができる。
上記摺動層の厚みは、10〜300μmが好ましい。300μmを超えると、押出し成形品をフランジのコーナー部に沿って折り曲げたとき、成形品に白化を生じる傾向にある。
【0091】
さらに、必要に応じて、本体部分および中空のシール部の外側と摺動層との間に、硬さHDA (JIS K6253、15秒後値)10〜30のスチレン系樹脂(スチレン系エラストマー)の層を設けることで、成形品の外観を高めることができる。上記スチレン系樹脂としては、例えば、リケンアクティマーLQA9120S(リケンテクノス(株)製、硬さHDA20)などが挙げられる。上記層は、本体部分および中空のシール部を一体成形する時に同時に共押出することにより設けることができる。
【実施例】
【0092】
以下に、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。実施例および比較例で使用した材料および試験方法は以下の通りである。
【0093】
材料
成分(a):
EPDM:NODEL IP4770R(商品名、デュポンダウエラストマー社製)、メタロセン触媒で合成されたエチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)共重合体ゴム、比重0.88、ムーニー粘度ML1+4(125℃)70、重量平均分子量200,000、エチレン70%、ENB4.9%
成分(b):
SEEPS:SEPS4077(商品名、クラレ(株)製)、スチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレン共重合体、分子量27万、スチレン含有量30%
SEBS:クレイトンMD6933ES(商品名、クレイトンポリマー(株)製)、スチレン−エチレン・ブテン−スチレン共重合体、分子量27万
成分(c):
PP:BC8(商品名、日本ポリケム株式会社製)、ポリプロピレン、MFR(230℃,2.16kg)2
成分(d):
パラフィンオイル:PW−90(商品名、出光興産社製)、n−パラフィン系オイル、重量平均分子量540、40℃における動的粘度95.54cSt、100℃における動的粘度11.25cSt、流動点−15℃、引火点(COC)270℃
成分(e):
フェノール樹脂:Tackirol 201(商品名、田岡化学工業製)、アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂
成分(f):
酸化亜鉛:酸化亜鉛(堺化学社製)
その他の成分:
酸化防止剤:IR1010(商品名、チバスペシャリティケミカルズ製)、フェノール系酸化防止剤
光安定剤[HALS]:TINUVIN P(商品名、チバスペシャリティケミカルズ製)、ヒンダードアミン系光安定剤
炭酸カルシウム:NS−400(商品名、日東粉化工業(株)製)
【0094】
試験方法
(1)比重:JIS K 7112に準拠し、1mm厚プレスシートを試験片として用いて測定を行った。
(2)A硬度:JIS K6253(HDA15秒後値)に準拠し、6mm厚プレスシートを試験片として用いて測定を行った。
(3)引張強度(MPa):JIS K6251に準拠し、1mm厚のプレスシートを3号ダンベル型試験片に打ち抜いて使用した。引張速度は、23℃にて500mm/分とした。
(4)100%モジュラス(MPa):JIS K6251に準拠し、1mm厚のプレスシートを3号ダンベル型試験片に打ち抜いて使用した。引張速度は、500mm/分とし、23℃および80℃で測定した。
(5)引張破断伸び(%):JIS K6251に準拠し、1mm厚のプレスシートを3号ダンベル型試験片に打ち抜いて使用した。引張速度は、23℃にて500mm/分とした。なお、芯材に関してのみ、JIS K7161に準拠し、1mm厚のプレスシートを1号ダンベル型試験片に打ち抜いて使用した(引張速度:23℃にて5mm/分)。
(6)曲げ弾性率(MPa):ASTM D790に準拠し、樹脂組成物を射出成形法(樹脂温度:250℃、金型温度40℃)にて成形して得られた長さ:127mm、幅:13mm、厚さ:6.4mmの試験片を使用した。曲げ速度は2.8mm/分とし、23℃および80℃で測定した。
(7)フランジ保持力(N/100mm):得られた成形品の長手方向100mmにわたって3mm厚さの塗装板(長さ100mm)を差込み、引張速度500mm/分にて塗装板を引き抜く時の荷重を測定する。
(8)圧縮永久歪み(%):JIS K6262に準拠し、プレス成形によって得られた直径:13mm、厚さ:6.3mmの円柱状の試験片を使用した。試験条件は、圧縮率25%、70℃×200時間とした。
(9)MFR:JIS K7210に準拠し、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定した。
(11)成形品外観:得られた成形品の外観を下記評価基準に従って目視判定した。
○:表面が平滑である。
△:表面が若干荒れている。
×:肌荒れが激しい。
(12)フランジ保持性:上記(7)で測定したフランジ保持力の、23℃および80℃における値が共に33N/100mm以上の場合を「○」、少なくとも1つの値が25N/100mm以上33N/100mm未満の場合を「△」、少なくとも1つの値が25N/100mm未満の場合を「×」とした。
(13)R追従性:得られた成形品をR30の3mm厚さのフランジに嵌め込み、本体部分がフランジからの浮き上がっていないかどうか、中空のシール部に凹み等の不自然な形状変形がないがどうか、および本体部分および中空のシール部の両方に破損(引裂き)がないかどうかを目視で確認し、下記評価基準に従って判定した。
○:本体部分:浮き上がりも破損も無い。
中空のシール部:形状変形も破損も無い。
△:本体部分:徐々に浮き上がる、又は、わずかに破損が見られる。
中空のシール部:わずかに形状変形がある、又は、わずかに破損が見られる。
×:本体部分:直ぐに浮き上がる、又は、明らかな破損が見られる。
中空部:明らかに形状変形がある、又は、明らかな破損が見られる。
(14)ブリード:得られた成形品を80℃×500時間放置した後、表面を目視観察する。ブリードが全く、べたつかない場合を「○」、若干べたつく場合を「△」、べたつきが激しい場合を「×」とした。
(15)シール性:上記(8)で測定した圧縮永久歪みの値が35%以下の場合を「○」、35%より大きく45%以下の場合を「△」、45%より大きい場合を「×」とした。
【0095】
実施例1〜10および比較例1〜8
図6に示される断面を有する押出し成形品を、被覆層(3)については表1に示す組成(重量部)を有する組成物を用いて、中空のシール部(11)については表2に示す組成(重量部)を有する組成物を用いて、製造した。芯(2)については、EBP9840N(リケンテクノス製 、タルク粉体40重量%を混合したポリプロピレン、JIS K7161に従う引張破断伸び110%、ASTM D790に従う23℃での曲げ弾性率3500MPa)を使用した。
製造は、図8に示す方法に従って行った。すなわち、最初に、芯(2)を構成する樹脂を第1押出機(EX1)に供給し、第1金型ダイス(K1)の内部を通過させて芯を成形した。成形された断面略U字状の芯を、冷却槽(C1)に通した後、打ち抜き機(P1)によって切除部を形成した。芯(2)の押出成形は、ダイス温度210〜260℃、押出機での溶融温度180℃〜260℃の範囲で温度勾配を設けて行った。次に、得られた芯(2)を第2金型ダイス(K2)に挿入し、一方、被覆層(3)を形成する樹脂組成物を第2押出機(EX2)を通って第2金型ダイス(K2)に送ると同時に中空のシール部(11)を形成する樹脂組成物を第3押出機(EX3)を通って第2金型ダイス(K2)に送ることにより、本体部分(1)および中空のシール部(11)を一体成形した。被覆層(3)の押出成形は、ダイス温度180〜230℃、押出機での溶融温度150℃〜230℃の範囲で温度勾配を設けて行った。中空のシール部(11)の押出成形は、ダイス温度180〜230℃、押出機での溶融温度150℃〜230℃の範囲で温度勾配を設けて行った。
各熱可塑性エラストマー組成物の物性および得られた成形品の評価結果を表1および2に示す。
【0096】
【表1−1】
【0097】
【表1−2】
【0098】
【表2−1】
【0099】
【表2−2】
【0100】
表1および2に示すように、本発明に従う押出し成形品は、ブリードを生じることなく良好な外観を有すると共にR追従性に優れ、また、本体部分のフランジ保持性および中空のシール部のシール性にも優れていた。一方、本発明に従う物性を有しない熱可塑性エラストマー組成物を用いた比較例1〜8は、共押出による一体成形を行うことはできるものの、外観や性能が不十分であった。
【0101】
実施例11〜13および比較例9〜11
実施例1において、芯(2)を構成する樹脂として、表3に示す組成物を使用した以外は実施例1と同様にして成形品を製造し、フランジ保持性およびR追従性の評価試験を行った。結果を表3に示す。
【0102】
【表3】
【0103】
表3から明らかなように、芯(2)を構成する樹脂組成物が2500MPa以上の23℃での曲げ弾性率および80%以上の引張破断伸びを有する実施例11〜13の成形品はフランジ保持性およびR追従性に優れる。
【0104】
実施例14
図9に示すように、実施例1で得られた押出し成形品の外側表面に、摺動性を有する熱可塑性樹脂組成物の層(摺動層)(14)を12μmの厚さで施与した。上記摺動性を有する樹脂組成物として、LVR9805N(商品名レオストマー、リケンテクノス製、高結晶HDPE+ゴム、引張破断伸び(JIS K6251)410%)を使用した。摺動層は、上記の第2のダイスに、第4の押出機から上記樹脂組成物を供給して、被覆層および中空のシール部の成形と同時に押出成形することにより形成された。摺動層の押出成形は、押出機での溶融温度を160℃〜240℃の範囲で温度勾配を設けて行われた。得られた成形品は、十分な耐摩耗性を有し、かつフランジのコーナー部に沿って折り曲げたとき、白化を生じなかった。
【0105】
実施例15〜17
実施例14において摺動層の厚さを50μm(実施例15)、100μm(実施例16)または190μm(実施例17)とした以外は実施例14と同様にして成形品を製造した。得られた成形品はいずれも十分な耐摩耗性を有し、かつフランジのコーナー部に沿って折り曲げたとき、白化を生じなかった。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明の押出し成形品は、自動車のウェザーストリップやオープニングトリムとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の押出し成形品に車体パネルのフランジ部を装着したときの断面図である。
【図2】本発明の別の押出し成形品の断面図である。
【図3】本発明の成形品における芯の斜視図である。
【図4】本発明の成形品における別の芯の斜視図である。
【図5】図2の押出し成形品の押込部を押し込んだときの断面図である。
【図6】本発明のさらに別の押出し成形品の断面図である。
【図7】図6の押出し成形品の押込部を押し込んだときの断面図である。
【図8】本発明の押出し成形品の製造法を示す模式図である。
【図9】本発明のさらに別の押出し成形品の断面図である。
【図10】本発明のさらに別の押出し成形品の斜視図である。
【符号の説明】
【0108】
1 本体部分
2 芯
3 被覆層
4 外側表面
5 内側表面
6 押込部
7 開口部
8 端部
9 保持片
10 化粧リップ
11 中空のシール部
12 フランジ
13 車体パネル
14 摺動層
A 隙間
EX1 第1押出機
EX2 第2押出機
EX3 第3押出機
K1 第1金型ダイス
K2 第2金型ダイス
P1 打ち抜き機
C1 冷却槽
C2 冷却槽
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部分(1)および中空のシール部(11)を有する自動車用押出し成形品であって、本体部分(1)が、長手方向に延びる断面略U字状の、樹脂製の芯(2)および該芯の周囲に沿ってその一部または全部を覆う被覆層(3)を有し、中空のシール部(11)と本体部分の外側表面(4)が一体に結合している成形品において、被覆層(3)が、350%以上の引張破断伸び(JIS K6251)および40%以下の下記式で表される100%モジュラス変化量
100%モジュラス変化量=[(23℃での100%モジュラス−80℃での100%モジュラス)/23℃での100%モジュラス]x100
ここで、100%モジュラスは、JIS K6251に従って測定される、100%伸長時の応力である、
を有する熱可塑性エラストマー組成物で形成されており、中空のシール部(11)が、250%以上の引張破断伸び(JIS K6251)および35%以下の圧縮永久歪み(25%圧縮、70℃、200時間)を有する熱可塑性エラストマー組成物で形成されていることを特徴とする成形品。
【請求項2】
本体部分の内側表面(5)の一方に、被覆層の一部から延長して形成された押込部(6)を有し、押込部(6)は、本体部分の内側表面(5)によって形成される開口部(7)の中へ押し込むことができるように芯(2)の端部(8)を越えて開口部(7)より外方向に延びておりかつその一部から延長して形成された1以上の保持片(9)を有する、請求項1記載の成形品。
【請求項3】
本体部分の内側表面(5)の、押込部(6)が形成されている側とは反対の側に、被覆層の一部から延長して形成された1以上の保持片(9)を有する、請求項2記載の成形品。
【請求項4】
本体部分(1)および中空のシール部(11)の外側表面の一部または全体にわたって、摺動性機能を有する熱可塑性樹脂組成物の層を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の成形品。
【請求項5】
該摺動性機能を有する熱可塑性樹脂組成物が300%以上の引張破断伸び(JIS K6251)を有することを特徴とする請求項4記載の成形品。
【請求項6】
芯(2)が、80%以上の引張破断伸び(JIS K7161)および2500MPa以上の23℃での曲げ弾性率(ASTM D790)を有する樹脂組成物で形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の成形品。
【請求項1】
本体部分(1)および中空のシール部(11)を有する自動車用押出し成形品であって、本体部分(1)が、長手方向に延びる断面略U字状の、樹脂製の芯(2)および該芯の周囲に沿ってその一部または全部を覆う被覆層(3)を有し、中空のシール部(11)と本体部分の外側表面(4)が一体に結合している成形品において、被覆層(3)が、350%以上の引張破断伸び(JIS K6251)および40%以下の下記式で表される100%モジュラス変化量
100%モジュラス変化量=[(23℃での100%モジュラス−80℃での100%モジュラス)/23℃での100%モジュラス]x100
ここで、100%モジュラスは、JIS K6251に従って測定される、100%伸長時の応力である、
を有する熱可塑性エラストマー組成物で形成されており、中空のシール部(11)が、250%以上の引張破断伸び(JIS K6251)および35%以下の圧縮永久歪み(25%圧縮、70℃、200時間)を有する熱可塑性エラストマー組成物で形成されていることを特徴とする成形品。
【請求項2】
本体部分の内側表面(5)の一方に、被覆層の一部から延長して形成された押込部(6)を有し、押込部(6)は、本体部分の内側表面(5)によって形成される開口部(7)の中へ押し込むことができるように芯(2)の端部(8)を越えて開口部(7)より外方向に延びておりかつその一部から延長して形成された1以上の保持片(9)を有する、請求項1記載の成形品。
【請求項3】
本体部分の内側表面(5)の、押込部(6)が形成されている側とは反対の側に、被覆層の一部から延長して形成された1以上の保持片(9)を有する、請求項2記載の成形品。
【請求項4】
本体部分(1)および中空のシール部(11)の外側表面の一部または全体にわたって、摺動性機能を有する熱可塑性樹脂組成物の層を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の成形品。
【請求項5】
該摺動性機能を有する熱可塑性樹脂組成物が300%以上の引張破断伸び(JIS K6251)を有することを特徴とする請求項4記載の成形品。
【請求項6】
芯(2)が、80%以上の引張破断伸び(JIS K7161)および2500MPa以上の23℃での曲げ弾性率(ASTM D790)を有する樹脂組成物で形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の成形品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2007−276597(P2007−276597A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−104687(P2006−104687)
【出願日】平成18年4月5日(2006.4.5)
【出願人】(000110103)トキワケミカル工業株式会社 (27)
【出願人】(000250384)リケンテクノス株式会社 (236)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月5日(2006.4.5)
【出願人】(000110103)トキワケミカル工業株式会社 (27)
【出願人】(000250384)リケンテクノス株式会社 (236)
【Fターム(参考)】
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