説明

自己加熱又は自己冷却容器

【課題】 本発明は、内容物を加熱ないし冷却することができる容器を提供する。
【解決手段】 少なくとも1つの製品を収容するのに適した容器(101)であって、該製品のための一体的であり活性化可能な加熱(又は冷却)システムと、ライニングとを有し、このライニングと容器とにより、少なくとも3つの相互に隔離可能な領域、すなわち、i)製品が収容される1又はそれ以上の領域;ii)化学反応体の第1の種類のものが収容される領域(116);iii)化学反応体の第2の種類のものが収容される領域(115)が画成され、該容器が更に、回転自在なアクチベータ(107)、例えば、容器外部に配置された活性化用ノブと、この容器内で回転自在に装着され前記アクチベータの回転により操作される前記ii)およびiii)の隔離を終了させるための手段とを備え、前記ii)およびiii)の上部が使用時において反応体から前記i)(又は、その逆)への熱伝導を邪魔しないように位置していることを特徴とする容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器に関する。特に本発明は、内容物を加熱ないし冷却することができる容器に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許No.4,809,673(文献1)には、使い捨てトレイを備えた加熱容器が開示されている。この使い捨てトレイには食料品を収容した上部区域と、1又はそれ以上の水密隔壁により互いに分離された2つの試薬を収容した下部区域とが設けられている。このトレイには更に前記水密隔壁を破断するための径方向の刃およびこのトレイの外側から見える制御ノブを備えた1つの軸と、更に、前記軸を横切るオリフィスを備えた少なくとも1つのスクリーンとを有する。
【0003】
しかしながら、本出願人はそこに開示されている好ましい実施の形態のものを効率的に機能させることが困難であることを見出した。具体的には、使用時において、破断された隔壁の残留物が熱伝導をかなり邪魔することが見出された。更に、表面張力およびエアロック作用などの種々の理由から、反応体燃料のかなりの量が当初の隔壁と共に残留し、反応の熱効率を減少させると共に熱伝導を妨害することが見出された。更に、混合の様式も、局所的過熱を生じさせ、他の領域では、収容されている製品の不完全加熱を生じさせるものと思われる。
【0004】
【特許文献1】米国特許No.4,809,673
【特許文献2】米国特許No.5,035,230
【特許文献3】米国特許No.5,984,953
【特許文献4】米国特許No.6,116,231
【特許文献5】米国特許PCT/US2005/015793
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、特に、上述のような欠点を解消ないし少なくとも軽減させることができる改良された容器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの形態によれば、加熱又は冷却されるべき少なくとも1つの製品(例えば、食料品)を収容するのに適した容器を提供するものであって、この容器は、食料品又は他の製品のための一体的であり活性化可能な加熱(又は冷却)システムと、ライニングとを有し、このライニングと容器とにより、少なくとも3つの相互に隔離可能な領域、すなわち、i)食料品又は他の製品が収容される1又はそれ以上の領域;ii)化学反応体の第1の種類のものが収容される領域;iii)化学反応体の第2の種類のものが収容される領域が画成されている。この容器は更に、回転自在なアクチベータ(例えば、容器外部に配置された活性化用ノブ)と、この容器内で回転自在に装着され前記アクチベータの回転により操作される前記ii)およびiii)の隔離を終了させるための手段とを備え、前記ii)およびiii)の上部が使用時において反応体から前記i)(又は、その逆)への熱伝導を邪魔しないように位置している。好ましくは、このii)およびiii)の上部を、前記i)と前記容器の外面との間に介在させる。
【0007】
本発明の1つの形態によれば、加熱又は冷却されるべき少なくとも1つの製品(例えば、食料品)を収容するのに適した容器を提供するものであって、この容器は、食料品又は他の製品のための一体的であり活性化可能な加熱(又は冷却)システムと、ライニングとを有し、このライニングと容器とにより、少なくとも3つの相互に隔離可能な領域、すなわち、i)食料品又は他の製品が収容される1又はそれ以上の領域;ii)化学反応体の第1の種類のものが収容される領域;iii)化学反応体の第2の種類のものが収容される領域が画成されている。この容器は更に、回転自在なアクチベータ(例えば、容器外部に配置された活性化用ノブ)と、この容器内で回転自在に装着され前記アクチベータの回転により操作される前記ii)およびiii)の隔離を終了させるための手段とを備え、前記ii)およびiii)の隔離部には、可動部材により閉塞された孔(好ましくは、予め成形されたもの)が設けられ、前記ii)およびiii)の隔離を終了させるための手段が例えば再整合により前記可動部材を移動させると共に、活性化により2種類の反応体を混合させ、それにより前記i)を加熱ないし冷却するようになっている。好ましくは、前記孔開口手段が前記ii)およびiii)と同時に流体的に連通するマニホールドを具備してなり、前記アクチベータの回転により前記孔と整合可能となっている。
【0008】
前記容器の形状については特に制限はなく、例えば、四角形、円形又は長円形のものでもよい。この容器(又は、一般的な円形形状の場合、外側ボウル)はプラスチック材料を用い、好ましくは射出成形により製作されることが好ましい。このボウルは比較的口広のもの、例えば典型的なスープ茶碗のようなもの、あるいはスープ又はコーヒー用コップのような比較的狭い口のものであってもよい。望ましくは、この容器の肉厚は1.0mmを超えないもの、より好ましくは0.3ないし0.7mmの範囲とする。但し、局所的に肉厚にすることは有益なことである。前記ライニング(又は、一般的な円形形状の場合、内側ボウル)はプラスチック材料を用い、熱成形又は射出成形により製作することができるが、アルミニウムホイル又は錫ホイルなどの金属ホイルを用い、スエージ加工により所望の形状に成形してもよい。この金属にはプラスチック材料をコーティングし、容器のスロート部(狭まった通路)へのスポット溶接又は継ぎ合わせを容易にすることが好ましい。この金属には更に、食料品と接触する側の部分にラッカー又はプラスチック材料を塗布してもよい。
【0009】
この容器の好ましい実施の形態として、前記領域ii)およびiii)を一体構造として射出成形する。この実施の形態の場合、前記ライニングには前記i)が含まれる。
【0010】
この容器の好ましい実施の形態として、ライニングを例えばスポット溶接により容器内部に接合させる前に、前記領域ii)およびiii)の内の少なくとも1つ、好ましくはこれら双方に反応体を充填する。事実、本発明の更なる形態として、ライニングが存在せず、前記領域ii)およびiii)を有し、その内の少なくとも1つ、好ましくは双方に反応体が充填された部分的容器が提供される。
【0011】
回転自在なアクチベータは使用者により握持できるようになっている。これは、例えば、ノブ、レバー、ハンドル、キー又はスイッチの形態であってもよい。アクチベータおよびこれに連動する前記ii)およびiii)の隔離を終了させるための手段も、一体的構造として適切に射出成形することができる。この構造物は好ましくは、容器を高温に加熱しながら容器内の所定位置に、低温で押込み嵌挿させることにより装着させる。
【0012】
液状の化学的反応体が収容される領域は、使用時において、他の種類の化学的反応体が収容される領域並びに前記ii)およびiii)の隔離を終了させるための手段の双方よりも上にあることが好ましい。更に、前記iii)は前記i)より下に位置することが好ましい。化学的反応体の第1の種類が液体として存在し、これが使用時において重力により前記領域iii)内に供給されることが好ましい。
【0013】
化学的反応体の2つの種類は混合されたとき、熱又は冷却作用を生じさせることができる。前者の例は、化学的反応体の第1の種類が燃料を含み、化学的反応体の第2の種類が酸化体を含むシステムである。例えば、ここで、燃料はグリセロールなどのグリコールを含み、酸化体は過マンガン酸塩を含む。熱を発生させるシステムの他のクラスは、化学的反応体の1種が他の種類のものを溶媒和ないし加水分解させ、発熱を生じさせるものである。その1例は、反応体の一方の種類のものが酸化カルシウムであり、他方の種類のものが水である。冷却作用を生じさせる後者のシステムの例には、化学的反応体の1種が他の種類のものを溶媒和させるが、冷却作用を生じさせるものである。その1例は反応体の一方の種類のものが硝酸アンモニウムであり、他方の種類のものが水である。化学的反応体の少なくとも1種のものが希釈剤を含むものであってもよい。
【0014】
本発明の普遍性を制約することを意図するものではないが、更に、グリセロールを含む化学的反応体の第1の種類について、過マンガン酸カリウムを含む化学的反応体の第2の種類と共に更に説明する。このグリセロールは水溶液として存在させてもよい。過マンガン酸塩も、過マンガン酸ナトリウム水溶液などのような溶液として存在させても、あるいは過マンガン酸カリウムなどの固体として存在させてもよい。この後者の固体のものは、例えば米国特許No.5,035,230(上記特許文献2)および米国特許No.5,984,953(上記特許文献3)に開示されているように、可溶性バインダー内に埋め込まれていることが好ましい。好ましい酸化体はアルカリ金属過マンガン酸塩である。この第2の種類の化学的反応体が固体の場合、容器の下方部分にバラで存在させても、あるいは袋詰めで、又は塗布して存在させてもよい。
【0015】
過マンガン酸カリウム酸化剤を利用する或る実施の形態において、加熱処方において、反応減速剤の添加が望ましいこともある。その1例は非燃料ゲル化剤であり、例えば米国特許No.6,116,231(上記特許文献4)(2000年9月12日発行)に開示されている。発熱反応に使用される試薬が被加熱製品の急速な温度上昇のための急激な発熱を生じさせるようにした実施の形態において、温度上昇を緩和ないしキャッピングするためホウ砂又はホウ酸ナトリウムなどの塩を添加することが望ましいことがある。その例が、例えば係属中の特許出願である米国特許PCT/US2005/015793(上記特許文献5)に開示されている。キャッピング試薬は可融性ワックス内に混入させ、これを製品容器と熱結合させ、この製品容器が選択された温度に到達したときに放出させるようにすることができる。
【0016】
本発明の特に好ましい実施の形態において、領域ii)はグリセロール水溶液を収容するものでもよく、更に、このグリセロール水溶液は発泡抑制剤を含むものであってもよい。この領域の下方領域の一部(好ましくは上面)は孔を有する中空筒体として形成されていて、開口時に領域ii)と領域iii)との間の連通を可能にしている。前記領域ii)およびiii)の隔離を終了させるための手段はバレルを有する。このバレルは孔又はスロットを有し、前記筒体内に液密的に押込み嵌めするようになっている。この手段は前記活性化用ノブに取着されている。未活性化状態において、この孔又はスロットは好ましくは、前記筒体の孔と径方向に対向して設けられる。それによりこれら領域が隔離された状態となる。
【0017】
本発明の他の好ましい実施の形態において、領域ii)は領域iii)上の周方向貯蔵部として形成される。前記の中空筒体は2つの孔を有し(好ましくは、その上面に)、その1つは開口時において領域ii)の下方部位と領域iii)との間の連通を可能にし、他の1つは開口時において領域iii)と、導管を介しての領域ii)上方の空間との間の連通を可能にしている。領域ii)およびiii)の隔離を終了させるための手段はバレルを有し、このバレルは前記筒体内に液密的に押込み嵌めする2つのマニホールドとして構築されている。この手段は前記活性化用ノブに取着されている。未活性化状態において、これらのマニホールドは双方の孔を閉塞しており、それによりこれら領域が隔離された状態となる。
【0018】

この活性化用ノブは、意図しない活性化を防止するため誤用防止手段(tamper−evident means:いじくったり又はいたずらした跡が判明するよう工夫された手段)を有することが好ましい。第1の誤用防止手段は、アクチベータの回転を防止するための脆い部材、例えば、前記ノブの直立ハンドル又はタブと、前記ノブのボスとの間の脆い接続部材を有する。容器を活性化するためには、タブを引き下げて、この脆い接続部材を破断しなければならない。この脆い部材の破断作用は操作したこと(tamper)の証拠を供与することになる。前記容器は更に、少なくとも部分回転されたノブの逆回転を防止するのに有効な第2の誤用防止手段を有することが好ましい。この第2の誤用防止手段は、領域ii)およびiii)の隔離を終了させるための手段と連動して操作される爪‐つめ車システムを有していてもよい。その他、前記スロットの前方端部の少なくとも一部は、活性化時に前記孔に導入され逆回転を防止する弾性歯として形成されていてもよい。前記第2の誤用防止手段の更なる実施の形態において、アクチベータの回転を最初に防止し、活性化時にノブのボス上に留まっている前記の脆い部材の部分が、逆回転を防止するボウル上の干渉部材と相互作用するようになっている。好ましくは、この第2の誤用防止手段は、使用に際し、前記孔が開口し始めたとき、直ちに操作可能になっているべきである。
【0019】
いったん、容器の3つの領域の全てが満たされ、封止された場合に、第3の誤用防止手段が提供されることが好ましい。ノブ又は他のアクチベータが回転されたときでも、領域ii)のための通気性カバーからシール(封止物)が除去され、液状化学反応体が重力供給により前記孔を通って領域iii)に排出されるまでは、このシステムは正しく機能せず、或る場合には、恐らく全く機能しない。通気口は好ましくは座ぐり状にする。シールの除去しないままの早期活性化は少なくとも熱の発生を緩和させ、それにより安全対策が図られる。領域ii)のためのカバーの通気口からシールの除去も誤用防止手段を提供することになる。場合によっては、領域ii)およびiii)の上方部位間に圧力平衡化手段を設けることが望ましい。例えば、領域ii)およびiii)の上方部位間にガス透過性、液体非透過性ポート、導管又はノッチを設けて領域i)の直下の空気の断熱層の淀みを防止する。特に、それを上述のように領域ii)の通気口と連通させて行うことができる。前記ポートを圧力栓で閉塞することができるが、放出圧力が、例えば2psigと非常に低く、容器を加圧しないようになっている。
【0020】
容器は更に、周縁に互いに離間させた複数の補強リブを有していてもよい。これらのリブも手で保持することができ、消費者に対し或る程度の断熱作用を付与するものである。同様に、容器の底部に窪みを持たせ、支持表面への熱伝動を回避するようにしてもよい。場合によっては、容器の下方領域に断熱体を設けて、消費者への快適性および加熱システムの熱効率の両方を奏するようにすることも適切なことである。この断熱体は、例えば、段ボール、発泡体又はCPETのスリーブからなるものであってもよい。
【0021】
容器及び/又はライニングは充填材入り又は充填材なしのプラスチック材料であって、流動点が110℃より高い、好ましくは135℃より高いものから製作することができる。レトルト滅菌は125℃に至る温度で行われる。従って、ライニングは少なくとも、このレトルト滅菌に耐え得るものでなければならない。好ましくは、この容器及び/又はライニングは、例えば、ポリプロピレン、PETなどのポリオレフィン又はポリエステルを含むプラスチック材料から製作される。必要に応じて、ライニングには、例えばEVOHなどの継続的バリア層を含むものであってもよい。ライニングがポリプロピレンから熱成形されると共に、容器もポリプロピレンから射出成形されたものであることが特に好ましい。
【0022】
本発明の好ましい特徴によれば、消費者の信用を促進するため、活性化用ノブおよび誤用防止タブは伝統的なガス調理器具用ノブとして機能するように形成することができ、タブは使用時において引下げられ(それにより脆い誤用防止手段を破断させる)、ノブ中の溝内にロックされ、ついでノブを回転するのに使用される。
【0023】
本発明の他の好ましい特徴によれば、領域i)と熱的に接触する外部熱変色性領域を含み、これは加熱時に変色する効果を有する。この領域はノブ上に設けるか(例えば、ノブの中央部にスポットとして示す)、若しくはこの領域をホイルカバー上に表すか、あるいはこの領域が販売促進表示のための領域であってもよく、そこに熱変色性領域が表示として現れるようにしてもよい。
【0024】
本発明の更なる形態として、領域i)に食料品が含まれる充填された容器が提供される。領域i)に収容されるべき食料品が安定な食料品の場合、この食料品は容器内に組み込まれる前に領域i)に収容してもよい。しかし、一般に、容器は領域ii)およびiii)を有し、これらに化学反応体が収容され、この部分構造体にライニングが施され、このライニングに通気口が形成され、このライニングが満たされ、容器が封止される。
【0025】
充填された容器は封止が施され、この封止部を第3の誤用防止手段として作用させてもよい。この封止部は紙、カード、プラスチック箔又は金属箔からなるものでもよい。この充填された容器は更に、押込み嵌め式プラスチック蓋を含むもの及び/又はシールが気密シールであるカードスリーブ内に収容されていてもよく、食料品は必要に応じて滅菌される。
【0026】
本発明の更なる形態によれば、本発明による充填済み容器の製造のための方法が提供され、これは領域ii)およびiii)内に化学反応体の第1および第2の種類のものをそれぞれ収容する工程と;この容器に対しライニングを接着させる工程と;領域ii)上のライニングに通気口を形成する工程と;領域i)を充填する工程と;容器を封止する工程とを含む。好ましくは、容器に対しライニングを接着させる工程の前に、領域i)の充填を行う。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
図1ないし9を参照すると、これらには例えばボウルなどの容器(101)の第1の実施の形態が示されており、これはポリプロピレンを用いて好ましくは射出成形法によりほぼ円形に製作される。この容器の開口部は、リップ(102)として形成され、そこから複数の互いに離間した一体的補強リブ(103)が下向きに形成されている。この容器は略テーパー状深さを以って形成され、その下部がくびれていてベース(104)を形成している。2つの隣接するリブ(103A、103B)間には指示表示(105)が記されていて、これらリブの下方領域間には、活性化用ノブ(107)のためのハウジング(106)が形成されている。このノブの下方円弧状周面には一体的フランジ(108)が形成されていて、このフランジが、前記表示を覆い隠す誤用防止タブ(109)まで上方に延びている。このフランジがこのタブに延出する部分の直径部分に肉薄部(110)の帯が形成され、タブは、ノブの上方半円部の周りで、脆弱接合部(111)を除いてノブから分離されている。このノブ(107)には、肉薄部(110)を通る径方向に沿って一対の溝(112、112')が離間して設けられ、脆弱接合部(111)が使用時に破断されたとき、タブを押込み嵌め様式で受理するようになっている。ノブ上に残された脆弱接合部の部分(111A)は使用時に、容器に一体的に設けられ面取りされたピン(112B)を乗り越えるよう回転可能になっていて、ノブの逆転を防止するようになっている。容器の内部又は外側ボウル(113)は一体的隔壁(114)により2つの領域、つまり、化学反応体の第2の種類のものが収容される凸状領域(115)と、化学反応体の第1の種類のものが収容される三日月型領域(116)とに分離されている。この隔壁と、容器との間に介在し、かつ、領域(116)のベースの一体的部分を形成するようにして略円筒状のハウジング(117)が一体的に設けられている。このハウジング(117)は垂直ポート(118)と、水平孔(119)とを有し、それにより前記の2つの領域が連通するようになっている。
【0028】
容器の内部又は外側ボウルの内部には、鍔付きライニング又は内側ボウル(120)が設けられ、これはリップ(102)に対し複数の箇所でスポット溶接されており、更にこれには三日月型領域上の部分には通気口(121)が設けられている。食料品(図示しない)はライニング内に収容することができ、ついで、容器はホイル(図示しない)で封止され、滅菌される。
【0029】
ノブ(107)は心棒(121A)と一体的に形成され、この心棒(121A)はハウジング(117)内に液密に押込み嵌めされる。この心棒はポート(122)を有し、これは未操作状態(untampered state)では孔(119)と整合していない。
【0030】
使用時において、封止用ホイル(図示しない)は取り除かれ、タブ(109)が下方に向けて操作され、脆弱接合部(111)を破断させ;タブ(109)を更に溝(112、112')内に配置させ;ついで今や表示されている指示表示(105)に従って回動される。この回動により心棒(121A)が回転され、それによりポート(122)が孔(119)と整合することになる。これにより燃料としてのグリセロールが、酸化体としての過マンガン酸カリウムと接触することになる。その結果生じた発熱が、保護ライニング(120)内に収容されている食料品(図示しない)に伝達されることになる。ついで、食料品内容物は、指示表示に従って封止用ホイル(図示しない)を除去したのち、食料品内容物を傾けたり、容器から直接摂取することにより供与されることになる。
【0031】
図10ないし16を参照すると、そこに例えば、コップ状の容器(201)の第2の実施の形態が示されている。これはポリプロピレンを用いて好ましくは射出成形法によりほぼ円形に製作される。この容器は、自己接着性外周用紙製又はプラスチック製シュラウド(202)(これは小売商のためブランド(図示しない)を付していてもよい)を有している。この容器は適宜、略テーパー状深さを以って形成され、その外側下半部に、放射状に延出し互いに離間した複数の補強リブ(203)が設けられている。この容器の深さのほぼ中間点に、図15に詳細に示すように、活性化用ノブ(207)のための略円筒状ハウジング(206)が設けられている。このノブには、その下方周縁に一体的フランジ(208)が設けられ、このフランジ(208)はボス(204)上に付設され、このボスには一体的補強部材(205)が取着されている。このフランジ(208)は誤用防止タブ(209)に向けて上方に延出している。このタブ(209)は脆弱接続部(211)を除いてボスから分離している。このフランジがこのタブに延出する部分の直径部分に肉薄部の帯が形成され、そこに境界部として2つの舌部列(210)および溝列(210')が設けられ、これらは使用時に脆弱接続部(211)が破断されたとき、前記タブを押込み嵌め様式で受理するよう位置合わせされている。ハウジング(206)の胴部には周方向爪車(250)(部分的に示されている)が設けられていて、これがボス(204)に一体的に設けられている爪(251)を歯合してノブの偶発的逆転を防止するようになっている。ハウジング(206)には更に、非操作位置(untampered position)において前記の2つの列(210、210')のラインに沿う径方向の対向する側に2つのラグ(出張り)(264,264')が設けられていて、タブ(209)としてノブ(207)の偶発的逆転を防止するようになっている。
【0032】
容器(201)はリップ(252)を有し、その上に、窪み付きスロート(253)を備えポリプロピレン被覆金属からなる同軸フランジ付きライニング(220)が載置され、かつ、スポット溶接され継ぎ合わされている。このライニングは容器(201)の上方壁面内に組み込まれ、周方向に配置された第1の貯蔵部(216)の内壁面に押込み嵌めされる。この第1の貯蔵部(216)にはグリセロール水溶液などの反応体の第1の種類のものを収容することができる。この容器と一体化するようにして第2の貯蔵部(215)がライニングの下方に設けられている。この第2の貯蔵部(215)には、過マンガン酸塩などの反応体の第2の種類のものを収容することができる。
【0033】
第1の貯蔵部(216)の外壁面上方部位には、この貯蔵部と連通する2つの通気口(254、255)が設けられている。上方通気口(254)は蒸気(反応体により発生したとき)を放出するものであり、フィルター材(図示しない)で覆われている。下方通気口(255)はフェイルセイフ圧力放出のためのものであり、接着テープ(図示しない)で覆われている。双方の通気口とも、容器の外壁面に設けられた略三角形のトラフ(256)を介して、容器壁面の略台形の窪み(258)に収納された吸収材詰綿(257)に通じている。
【0034】
第1の貯蔵部(216)の基部の一部は一体的な略円筒状ハウジング(217)として形成されていて、これがハウジング(206)と同軸的に連通している。更に、このハウジングは容器の軸に対し直交し、更に、このハウジング(217)の上部には水平孔(218)が設けられている。前記の第1の貯蔵部には更に、凸状壁面を有する導管(259)が設けられていて、これがハウジング(217)の上方領域および上方通気口(254)近傍の第1の貯蔵部(216)上の領域と連通している。活性化用ノブ(207)は心棒(221)と一体的に形成され、この心棒(221)は、フランジ(261)により保持されたハウジング(217)内に液密に押込み嵌めされている。この心棒の内部は2つのマニホールド(262、263)として形成され、下方のマニホールド(262)は使用時において、孔(218)を介して第1の貯蔵部(216)を第2の貯蔵部(215)と連通させるようになっており、上方のマニホールド(263)は同時に導管(259)を第2の貯蔵部(215)と連通させるようになっている。しかし、未操作状態において、双方のマニホールド(262、263)とも、第1の貯蔵部(216)および導管(259)とそれぞれ整合しないようになっている。
【0035】
反応体(図示しない)は、ライニングが所定位置に押込み嵌めされ、スポット溶接により継ぎ合わされる前に前記貯蔵部に収容させることができる。
【0036】
食料品(図示しない)がついで、ライニング内に収容されたのち、容器がホイル(箔)(図示しない)により窪み付きスロート(253)を横切るようにして封止され、ついで滅菌される。
【0037】
使用時において、消費者は封止ホイル(図示しない)を取り除き、タブ(209)を下方に操作し、脆弱接合部(211)を破断させ;溝列(210')内に位置させ;ついで、時計回りに回転させる。それにより心棒(221)が回転し、孔(218)が、マニホールド(262)を介して第2の貯蔵部(215)と連通することになる。その結果、第1の貯蔵部(216)内の反応体の液状の第1の種類のものが重力により流れ出し、反応体の第2の種類のものと混合し、発熱(又は吸熱)を生じさせ、ライニング(220)およびその内容物を加熱(又は冷却)することになる。同時に、マニホールド(263)が導管(259)と連通することになり、それにより第2の貯蔵部(215)上の空気が第1の貯蔵部(216)および通気口(254)へと流れ込むことになり、反応体の円滑、かつ、制御された混合を確実なものとすることができる。反応体が発熱を生じさせる場合、第2の貯蔵部(215)内で発生した蒸気はトラフ(256)を介して吸収材詰綿(257)に通過させることができる。容器はシュラウド(202)によりマスクされ、これはリブ内空隙と一緒になって、消費者の手に対する絶縁作用を奏するものとなる。この反応が終了した時点で、消費者は加熱された(冷却された)飲料を飲むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1a】未操作状態の容器の第1の実施の形態を示すもので、その中央部の垂直縦断面図。
【図1b】操作状態の容器の第1の実施の形態を示すもので、その中央部の垂直縦断面図。
【図2】図1に示した容器を上から見た斜視図。
【図3】図1に示した容器を下から見た斜視図。
【図4】図1に示した容器でノブなしのものを下から見た斜視図。
【図5】図4に示す容器を上から見た斜視図。
【図6】図1の細部を示す断面図。
【図7】ノブ構造の詳細を示す背後上方から見た斜視図。
【図8】ノブ構造の詳細を示す前面下方から見た斜視図。
【図9】可動アクチベータの詳細を示す斜視図であって、第2の誤用防止手段の1例が示されている。
【図10】容器の第2の実施の形態の前面図であって、紙又はプラスチック製シュラウド(囲い)を付着させたものを示す図。
【図11A】図10に示す第2の実施の形態の容器の未操作状態における側面図。
【図11B】図11Aの容器を上から見た斜視図。
【図12A】図10に示す容器の操作状態における側面図。
【図12B】図12Aの容器を上から見た斜視図。
【図13A】シュラウド、ライニング、詰綿、ノブ、フィルターおよびテープの全てを除いた場合の図11Aの容器を上から見た斜視図。
【図13B】図13Aに示す容器の背面図。
【図13C】ライニングを上から見た斜視図(但し、縮尺は忠実ではない)。
【図13D】シュラウドを上から見た斜視図(但し、縮尺は忠実ではない)。
【図14】シュラウドを除いた図11Aの容器のアクチベータのノブのハウジングを貫通する径方向断面図。
【図15】アクチベータのノブのハウジングの分解斜視図であって、下方から見たときの斜視図。
【図16】ライニングを除いた容器を上から見た斜視図。
【符号の説明】
【0039】
101 容器
102 リップ
103 リブ
104 ベース
105 指示表示
106 ハウジング
107 活性化用ノブ
108 フランジ
109 誤用防止タブ
110 肉薄部
111 脆弱接合部
112、112' 溝
113 ボウル
114 隔壁
115 凸状領域
116 三日月型領域
117 ハウジング
118 垂直ポート
119 水平孔
120 ボウル
121A 心棒
122 ポート
201 容器
202 シュラウド
203 補強リブ
204 ボス
205 補強部材
206 ハウジング
207 活性化用ノブ
208 フランジ
209 タブ
210 舌部列
210' 溝列
211 脆弱接続部
216 第1の貯蔵部
217 ハウジング
220 ライニング
250 周方向爪車
251 爪
252 リップ
253 スロート
254 上方通気口
255 下方通気口
256 トラフ
257 吸収材詰綿
258 窪み
259 導管
261 フランジ
262、263 マニホールド
264,264' ラグ(出張り)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの製品を収容するのに適した容器であって、該製品のための一体的であり活性化可能な加熱(又は冷却)システムと、ライニングとを有し、このライニングと容器とにより、少なくとも3つの相互に隔離可能な領域、すなわち、i)製品が収容される1又はそれ以上の領域;ii)化学反応体の第1の種類のものが収容される領域;iii)化学反応体の第2の種類のものが収容される領域、が画成され、該容器が更に、回転自在なアクチベータ、例えば容器外部に配置された活性化用ノブと、この容器内で回転自在に装着され前記アクチベータの回転により操作される前記ii)およびiii)の隔離を終了させるための手段とを備え、前記ii)およびiii)の上部が使用時において反応体から前記i)(又は、その逆)への熱伝導を邪魔しないように位置していることを特徴とする容器。
【請求項2】
前記領域ii)およびiii)の上部を、前記i)と前記容器の外面との間に介在させてなる請求項1記載の容器。
【請求項3】
少なくとも1つの製品を収容するのに適した容器であって、該製品のための一体的であり活性化可能な加熱(又は冷却)システムと、ライニングとを有し、このライニングと容器とにより、少なくとも3つの相互に隔離可能な領域、すなわち、i)製品が収容される1又はそれ以上の領域;ii)化学反応体の第1の種類のものが収容される領域;iii)化学反応体の第2の種類のものが収容される領域、が画成され、該容器が更に、回転自在なアクチベータ、例えば容器外部に配置された活性化用ノブと、この容器内で回転自在に装着され前記アクチベータの回転により操作される前記ii)およびiii)の隔離を終了させるための手段とを備え、前記ii)およびiii)の隔離部に、可動部材により閉塞された孔が設けられ、前記ii)およびiii)の隔離を終了させるための手段が例えば再整合により前記可動部材を移動させると共に、活性化により2種類の反応体を混合させ、それにより前記i)を加熱ないし冷却するようにしたことを特徴とする容器。
【請求項4】
前記孔開口手段が前記ii)およびiii)とを同時に流体的に連通可能とするマニホールドを具備してなり、前記アクチベータの回転により前記孔を整合可能となっている請求項3記載の容器。
【請求項5】
前記活性化用ノブが誤用防止手段を有する請求項1ないし4のいずれかに記載の容器。
【請求項6】
第1の誤用防止手段を有し、該第1の誤用防止手段は活性化用ノブのタブと該ノブのボスとの間に脆い接続部材を備えている請求項5記載の容器。
【請求項7】
少なくとも部分回転されたノブの逆回転を防止するのに有効な第2の誤用防止手段を有する請求項1ないし6のいずれかに記載の容器。
【請求項8】
化学的反応体の第1の種類が燃料を含み、化学的反応体の第2の種類が酸化体を含む請求項1ないし7のいずれかに記載の容器。
【請求項9】
前記燃料がグリセロールなどのグリコールを含み、前記酸化体が過マンガン酸塩を含む請求項8記載の容器。
【請求項10】
化学的反応体の少なくとも1種が希釈剤を含む請求項8又は9記載の容器。
【請求項11】
使用時において、前記iii)が前記i)より下に位置している請求項1ないし10のいずれかに記載の容器。
【請求項12】
化学的反応体の第1の種類が液体として存在し、これが使用時において重力により前記領域iii)内に供給されるようになっている請求項8ないし11のいずれかに記載の容器。
【請求項13】
前記領域ii)およびiii)の上方部位間に圧力平衡化手段を有する請求項1ないし12のいずれかに記載の容器。
【請求項14】
前記容器及び/又はライニングが一体構造として射出成形されたものである請求項1ないし13のいずれかに記載の容器。
【請求項15】
略円筒形に構築されている請求項1ないし14のいずれかに記載の容器。
【請求項16】
容器周縁に互いに離間させた複数の補強リブを有する請求項1ないし15のいずれかに記載の容器。
【請求項17】
前記容器及び/又はライニングが、流動点が110℃より高い、好ましくは135℃より高い充填材入り又は充填材なしのプラスチック材料から製作されている請求項1ないし16のいずれかに記載の容器。
【請求項18】
前記容器及び/又はライニングが、例えば、ポリプロピレン、CPETなどのポリオレフィン又はポリエステルを含むプラスチック材料から製作されている請求項1ないし17のいずれかに記載の容器。
【請求項19】
前記ライニングが、例えばEVOHなどの継続的バリア層を含む請求項1ないし18のいずれかに記載の容器。
【請求項20】
前記容器がポリプロピレン又はそれを含むものから射出成形され、前記ライニングがポリプロピレン又はそれを含むものから熱成形されたものである請求項18又は19記載の容器。
【請求項21】
領域i)と熱的に接触する外部熱変色性領域を含み、これが加熱時に変色効果を奏する請求項1ないし20のいずれかに記載の容器。
【請求項22】
前記ライニングを例えばスポット溶接により容器内部に接合させる前に、前記領域ii)およびiii)の内の少なくとも1つに反応体が充填されている請求項1ないし21のいずれかに記載の容器。
【請求項23】
領域i)に食料品が収容されている請求項1ないし22のいずれかに記載の充填済み容器。
【請求項24】
シールされていて、そのシール部も第3の誤用防止手段として作用している請求項23記載の充填済み容器。
【請求項25】
前記シール部が紙、カード、プラスチックホイル又は金属ホイルを含む請求項23又は24記載の充填済み容器。
【請求項26】
押込み嵌め様式のプラスチック蓋を更に有する請求項25記載の充填済み容器。
【請求項27】
前記シール部が気密シールであり、食料品が必要に応じて滅菌されている請求項24ないし26のいずれかに記載の充填済み容器。
【請求項28】
本明細書中に実質的に記載され、添付図面を参照して実質的に記載された充填済み又は未充填の充填済み容器。
【請求項29】
請求項23の充填済み容器の製造のための方法であって:領域ii)およびiii)内に化学反応体の第1および第2の種類のものをそれぞれ収容する工程と;この容器に対しライニングを接着させる工程と;領域ii)上のライニングに通気口を形成する工程と;領域i)を充填する工程と;容器を封止する工程とを具備してなる方法。
【請求項30】
容器に対しライニングを接着させる工程の前に、領域i)の充填を行う請求項29記載の方法。
【請求項31】
本明細書中に実質的に記載され、添付図面を参照して実質的に記載された充填済み容器の製造方法。
【請求項32】
前記ライニングが存在しない請求項22に規定された容器部材。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2008−500243(P2008−500243A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−514107(P2007−514107)
【出願日】平成17年5月27日(2005.5.27)
【国際出願番号】PCT/GB2005/002112
【国際公開番号】WO2005/115872
【国際公開日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(500375394)テンプラ テクノロジー,インコーポレーテッド (5)
【Fターム(参考)】