自己強化された熱可塑性プラスチック材料からプラスチック部品を製造する方法、装置、および、そのプラスチック部品
【課題】本発明は、自己強化された熱可塑性プラスチック材料をベースに、プラスチック部品、特に旅行かばんの外殻の新しい生産物および方法を提供する。本発明は、自己強化された熱可塑性プラスチック材料から、プラスチック部品1、特に旅行かばんの外殻を製造する方法、自己強化された材料で形成されるプラスチック部品1、およびそのプラスチック部品、特に旅行かばんの外殻7を製造する装置に関する。その方法は、その材料(薄板)に、全ての連続する部品の形作りおよび/または成形中に、少なくとも部分的に薄板を引っ張る工程から成り、部品の予備成形物を残部薄板から除去して部品を形成する。本発明は、自己強化された熱可塑性プラスチック材料の使用をベースにした超軽量の旅行かばんの外殻7の製造を可能にし、その製造は、生産物の最終仕上げまでの全ての製造工程中で、常にその材料を引っ張ることによりさらに強化される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己強化された熱可塑性プラスチック材料から、プラスチック部品、特に旅行かばんの外殻を製造する方法、製造されたプラスチック部品、および、その製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
過去に、破損および変形に対し高い物理的強度および抵抗力を備えたプラスチック部品の製造が行なわれてきた。合成樹脂で形成される部品を、軽量かつリサイクルを容易にしている。特に旅行かばんの産業では、外部からの衝撃に対する最大の信頼性と抵抗性を併せた硬い外殻のスーツケースの製造が要望されている。スーツケースは、変形せず、好ましい外観でかつ軽量化され、容易かつ便宜に取り扱える必要がある。
【0003】
熱可塑性プラスチック樹脂のような合成樹脂と織物の重ね合わせから成る複合材料もいくつか応用された。
【0004】
US 5,376,322で開示する予備成形物から布で覆った形状物を熱成形する方法は、熱可塑性プラスチック基板の1つの表面に、布地層を加圧重ね合わせで旅行かばんの外殻を製造し、次に、角部分の成形に特に注意して成形プレス内でプレス成形を行なう。しかし、滑らかな角部分を確保するのは、今なお困難である。特に、生産物の角の半径または主要面間の交差点の半径が小さいのが望まれる場合である。さらに、強度の増加と併せて軽量化が要求される場合も困難となる。
【0005】
US 5,755,311は、差圧成形プレスを使用し、薄い熱可塑性プラスチックの空洞殻に対して一体に形成した枠を適用し、頑丈な旅行かばんの外殻側部の形成を開示している。
【0006】
EP 0 531 473 B1は、熱可塑性プラスチック材料の合成樹脂で形成される高衝撃・軽量の板を、同一または類似したタイプの軟らかい材料の母材に、予め引き伸ばした高分子繊維の配向させた撚り糸を埋め込んで製造することを検討している。配向させた高分子繊維の集合体を、高温で緊密に接触させる方法および材料を開示している。配向した高分子繊維の外側領域が溶融、次に繊維が圧縮されて、互いに密着した高分子の板を製造する。その方法および材料は、配向した高分子繊維(好ましくは、ポリオレフィン、特にポリプロピレン、または、他の結晶または部分的に結晶した材料の熱可塑性プラスチックから成る)を、適用分野に応じて、一軸に揃えた又はねじった繊維の束、又は、織り合わせた束のマットに配置できる。
【0007】
WO 2004/028803 A1は、引抜き熱可塑性プラスチック材料のテープ、膜、糸を用いて品物を強化する同様の方法を開示している。使用するポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)は、同時押出し工程、およびそれに続く引き伸ばし、冷却で形成される。リサイクル、強度および剛性に関して、配向ポリプロピレン繊維(通称、PP複合材料)で強化したポリプロピレン−自己強化されたポリプロピレン−の明確な性質は、"Composite for Recyclability" by John Peijs, Materials Today April 2003, pages 30 to 35に詳細に解説されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
自己強化された熱可塑性プラスチック材料(特に自己強化ポリプロピレン)の既存の知識をベースにして、問題点を解決するのが本発明の目的である。本発明は、自己強化された熱可塑性プラスチック材料をベースに、高い成形度および高度の加工作業領域(例えば、深い旅行かばんの外殻)を備えた物品を製造するのが目的である。通常、自己強化された熱可塑性プラスチック材料は、高い引張り強度および成形抵抗を備えているためこの作業は困難である。これらの材料は、PP、他の結晶性又は部分的に結晶した熱可塑性プラスチック材料の引伸ばした配向性の撚り糸またはテープから成る。テープ、膜、糸から織るマット又は薄片材料は、成形する前に予め引伸ばすことができる。
【0009】
本発明の目的は、自己強化された熱可塑性プラスチック材料からプラスチック部品、特に旅行かばんの外殻を製造する方法を提供する。熱可塑性プラスチック材料は、高耐久性で極めて軽量部品の形成を可能にする。これにより、角部および側面部間の交差する領域の滑らかな形成に留意した深い旅行かばんの外殻を、低コストで製造することを可能にする。
【0010】
本発明は、部品の長さおよび/または幅に対する深さの比を大幅に増加させる。これにより部品、特に旅行かばんの外殻で、最小限の正味重量で、高い荷重または重量を支持できる。
【0011】
本発明の目的は、高い成形度の領域を備えたプラスチック部品(特に、旅行かばんの外殻)を製造する装置を提供する。この装置は、機械および道具をベースにして、生産物の幅または長さに対する高い深さの比を持つ3次元のプラスチック部品の製造を可能にする。この機械および道具は、従来装置で使用されており、装置の操作に関しても、容易かつ低コストで設計できる。
【0012】
本発明の方法の特徴は、請求項1または11に記載の方法で実施される。方法の最適な実施形態は、関連する従属項に記載している。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、ポリプロピレン薄板の熱成形の特徴と、金属の深絞り(特に軽量の金属板)の特徴を組合せた方法を実行する。自己強化された熱可塑性プラスチック材料(特に、ポリプロピレンまたは他の結晶または部分的に結晶した熱可塑性プラスチック樹脂の配向した撚り糸を備えた)の深絞りを可能とする方法を展開する。旅行かばんの外殻のような極めて軽量の部品の形成が可能となる。この部品は、特に角部および主要な面の交差領域に高い成形度の領域を備えている。自己強化された熱可塑性プラスチックのマットまたは他の熱可塑性プラスチック材料の板のプレス成形は、これまで実際面では困難を伴った。
【0014】
部品、特に従来技術の頑丈な側面のケースと比較して、大幅に重量を削減した旅行かばんの外殻を製造することが出来る。特に、織りで自己強化されたポリプロピレン材料を使用し、プレス成型技術(圧縮技術)で、この様な部品(特に、外殻)を製造する。
【0015】
本発明の本質的な特徴は、全ての成形中(特に、その材料の深絞りのようなプレス成形および形作り工程)で、熱可塑性プラスチック材料の自己強化複合材料に、少なくとも部分的な張力を加える点である。部品、特に表面に対して高い深さの比を備えた旅行かばんの外殻を作り出すことが出来る。角部などの高度な変形領域に張り巡る“重大な”撚り糸(テープ)および繊維は、全工程中で、引張状態に保持しておく。これは、プレス成形工程に起因する圧縮力に関係なく保持する必要がある。
【0016】
このプラスチック部品、特に旅行かばんの外殻に関しては、上記目的は、請求項25および34の特徴で実行される。
【0017】
形作りまたは成形工程の前に、好ましくは、自己強化された熱可塑性プラスチック材料(薄板)を、織物または編物で裏打ちする。この裏打ちは、好ましくは、継続的に静止した工程での熱接着で行ない、この後にプレス成形を行なう。
【0018】
自己強化された熱可塑性プラスチック材料の各層に含まれる分子的に配向した撚り糸の複数の層を、互いに所定の角度で設けても良い。特に、隣接する層を交差して設けると、最終生産物に、更に改善された一方の強度、擬似異方性の強度、および接着性質を与える。
【0019】
他の裏打ちと組合せたりサンドイッチ構造にした少なくとも自己強化された熱可塑性プラスチック材料から成る外殻のような複合体または部品も形成できる。この場合、緻密な発泡プラスチック(熱可塑性プラスチックの必要性はなく)から形成される発泡プラスチックまたは裏打ちを使用する。
【0020】
プラスチック部品(特に、旅行かばん)の外殻を自己強化された熱可塑性プラスチック材料から製造する装置に関しては、請求項37の特徴で実施され、その装置の好適な実施形態は、その従属項に記載している。
【0021】
本発明は、極めて薄くしかも軽量で変形に強い部品(特に、旅行かばんの外殻)の製造を可能とし、この製造は、部品(特に、旅行かばんの外殻)に高い成形度の領域を与え、比較的に鋭く曲がった曲線および比較的に小さい半径の角領域から成る屈曲部に、しわを発生させない。
【0022】
これは、合成樹脂による新世代の超軽量旅行かばんとなる。
【0023】
プレス成形、特に自己強化された熱可塑性プラスチック複合材料(SRTC)の深絞りで新しいタイプの材料を生み出す。ポリプロピレンを材料のベースにしても良いが、結晶質または部分的に結晶した材料‐ナイロン(登録商標)‐も使用できる。好ましくは、自己強化された熱可塑性プラスチック複合材料(SRTC)は、プレス成形前に再度軟らかくした領域(中間加熱により)で、または(同時押出しポリプロピレン)テープの使用で作られる。これらテープ、細ひもまたは糸は、引伸ばして、次に低温または冷延伸工程を加えると、非常に配向した同一または類似した材料の薄い層から成る低融点の芯を備える。
【0024】
好ましくは、テープを、緊密にする繊維に織り込むか、または多層部品をそこから組合せる。引っ張られた芯を囲む外側の膜が、所定の温度で融け、プレス成形で繊維を圧縮して板状または多層の薄板にする。
【0025】
ポリプロピレン(PP)テープは、有機繊維より剛性は小さく、粘弾性的挙動は、プラスチックまたは熱可塑性プラスチック複合材料よりも変形でき、この性質が、この材料の深絞りを促進する。
【0026】
かなりの成形度を伴うSRTC(自己強化された熱可塑性プラスチック複合材料)の深絞りの実施での欠点を避けるために、引っ張ったテープの100℃を超える高温での熱収縮の問題を解決した。SRTC薄板を約170℃以上で加熱すると深絞り工程は成功する。
【0027】
本発明は、生産物の高度な成形度に対して、テープを臨界的な位置に維持する。それは、全工程中の張力下(張力の発生)で、深絞りまたはプレス成形工程でテープを維持する。この引っ張りは、熱可塑性プラスチック板材を、その縁の領域で固定し、その板材に深絞りのようなプレス成形を施すと受動的に生ずる。従って、張力は、薄板自身がこれら張力を生成、または外部から(場合により、追加的に)薄板にそれぞれの張力を導入(操作)して積極的にコントロールしたものである。
【0028】
本発明では、板固定装置を使用する。この装置は、全てのテープの全周囲を固定し、テープの張力をコントロール、そして、受動的または積極的に操作する機会を提供する。最も決定的なテープの引っ張りのコントロールまたは操作は、力の駆動、位置の駆動、またはその組合せとなる。
【0029】
本発明は、生産物(特に、旅行かばんの外殻)の角に圧縮力が発生するのを避ける。この圧縮力は、テープ、細ひも又は糸の張力を相殺または除去し、高度に成形した角の領域にしわを引き起こす。
【0030】
本発明が提供する手段は、特別にコントロールした変形を角の領域に与え、全てのテープを引っ張った状態に維持し、および/または発生し得るしわを最終生産物に入り込むのを避ける。これは、プレス成形(特に、深絞り工程)中の予備伸張または操作した伸張、および引っ張りで行なう。
【0031】
それぞれの機械の装置の設計は、2つの独立して動く半分の金型(空隙および芯)のプレスを使用、または補助金型表面または同等のものを支持する独立した枠を使用し、上部または下部の把持あごの貫通孔を通して作動する。また吹込成形工程、すなわち深絞り前の事前の予備伸張を使用しても良い。
【0032】
好ましい実施形態は、従属項に記載している。
【0033】
以下に、本発明の実施形態を、添付の図と併せて詳細に説明を行なう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
図1は、本発明の外殻1(この場合、旅行かばんの外殻)を示す。ここでは、立設する側壁6の周囲の縁部は、処理工程で、余分な材料またはくずとして切り取って捨てている。外殻1は、深絞りしている。底壁5に対して側壁6は、好ましい自己強化された熱可塑性プラスチック板から製造する外殻と比較して、深い寸法を備えている。この深さの寸法は、全体的な外殻1の長さまたは幅寸法に対して極めて大きい。この関係は、長さまたは幅寸法の何れかの小さい方の比で、最適に記載できる。外殻の深さを、幅寸法に対して最大0.5、好ましくは、約0.2〜0.3の範囲の比とする。外殻の均一な厚みは、少なくとも1mm(または0.8mm)で、最大3mmで、好ましくは約2.5mmで、通常は1〜2mmの範囲とする。好適な旅行かばんの外殻は、商業上知られているBP Amoco社の"Curv(登録商標)"の自己強化された熱可塑性プラスチックから形成する。同様の物理的、化学的、熱工程特性を備えた他の熱可塑性プラスチック材料(Lankhorst社から入手できるPure(登録商標))、も同様にうまくいく。自己強化された熱可塑性プラスチック材料は、一方向に揃えた、ねじり(束に)または織ったテープ、細ひもまたは糸で、好ましくは、最大(大体)10層とする。これらの層は、分子的に配向していない熱可塑性プラスチック材料または同類の母材と併せて、分子的に配向した撚り糸から成る。所定のパターンで、次の又は異なる層に設けることにより、一方向の強度特性を確実なものとし、予備に引っ張った撚り糸が、外殻の同一又は異なる層の中で互いに傾斜して広がっている。
【0035】
図に示す様に、外殻の立設する壁部の寸法は、典型的な50cmケースに対して、底壁5に垂直に約110mmである。長さ/幅の比は、好ましくは1〜2で、特に1〜1.4とする。外殻は、一体に形成した角部7を備えている。外殻で、旅行かばんのケースの場合、幅は、約36cmである。この外殻の寸法が、同じように釣合いの取れた外殻と、相手方の縁部で簡単な枠またはジッパ締めで一対になると、旅行者の必要品を詰める十分な容積を備えた著しく軽い旅行かばんを提供する。外殻1の側壁6は、出来る限り深くするが、本発明で意図する自己強化された材料の形成に困難さを与える。旅行かばんのケースのこの垂直の寸法は、少なくとも約80mmで(深絞りと考えられる)、角部の半径は、60mm以下とする。
【0036】
ここに記載する方法および装置は、一連の外殻のサイズを製造することができる。しかし本発明の最大の利点は、深絞りの外殻である。幅または長さの小さい方に対する側壁の高さの比が、約0.3より小さく、角部の半径が約60mmより小さい。
【0037】
図2は、底壁5の外側の主要な外殻面1aに加えた3次元の強化パターンを拡大した斜視図である。
【0038】
自己強化されたプラスチックは、著しい強度、衝撃、強靭な特性を備え、非常に軽量な構造物、特に記載した深絞りの外殻の製造に魅力的である。厚さが12〜15mmの範囲の非常に薄い板の材料が、優れた物理的特性および軽量を提供する。しかし、旅行かばんの外殻は、耐変形性を備え底壁で押しつぶされるのを防ぐ必要がある。厚い板で開始するのが好ましいが、コストおよび重量が増加する。
【0039】
外殻の底壁5は、凹部5aおよび凸部5b(図3参照)が交互するパターンを備え、顕著な構造的強化を備えている。これは、梁強度および曲げモーメントを増加させ、底壁に対する垂直な全ての面の屈曲に抵抗を持たせている。図は、凹面および凸面の長方形の領域が交互する複雑なパターンを、底壁5の2次元の面に設けているのを示す。もちろん凹凸部パターンは3次元である。これらの領域は、深絞り中に、一連の起伏する細片を外殻の底壁に押し付けたことによる視覚的な結果である。これらの連続する起伏の細片パターンは、互いに平行であるが、実際は少し曲線になっている。これは、何れも互いに平行な縁部を形成していない。同様に、隣接する起伏は、約1つの長方形または領域の長手方向の寸法だけ互いにオフセットしている。他の規則的に交互する凹凸パターンを選択できるのは言うまでもない。
【0040】
図3は、図1の断面AAでの底壁の断面の中心線と、同図の断面BBでの底壁の断面の中心線とを比較する詳細である。
【0041】
この起伏した形状のオフセットパターンは、見た目が良いだけでなく、曲げ力に対して顕著な剛性または抵抗となる。曲げ力は、長手寸法に平行に(起伏の細片パターンの長手方向に対して平行)に、および長手方向に垂直に、外殻の底壁を変形する。縦の剛性に関しては、図3の線AAおよび線BBの各々は、図1および2の断面AAおよびBBの自己強化された材料の中心を下げている線を表している。起伏細片の縁部は、直線、または、徐々に滑らかに曲がる線に見えるが、実際は、これら縁部は、各起伏で斜めに湾曲(横方向に変位)している。これは抜き勾配d(抜き勾配は、成形での金型の移動方向に対する成形面の角度)およびパターンの各長方形状の横の壁部を形成する成形縁部で生ずる。この抜き勾配が、7度の程度の比較的に急な角度でも、図3に拡大して示す僅かな距離の多数のまたは繰り返しのオフセットになる。このパターンで形成される長方形の窪みおよび突起は、多くの自己強化された材料を中立軸から動かす。丁度、底壁の幅を横切って延在する一連のリブのようである。しかしこのリブは、リブに平行な曲げに対して、リブの付いたパネルを強化するには何もなさない。しかし、抜き勾配で形成される凸凹または繰り返されるオフセットは、自己強化された材料を、その起伏に平行な中立軸から離し、この線に沿う曲げに抵抗を与える。上記で詳述したパターンは、強化した立設する壁を備える、一連の小さな壁のある箱を形成する。自己強化された板の厚みは、その通常の開始寸法(前述したが、12〜15mmの範囲)よりも厚い部分はない。
【0042】
図3.1は、好適な旅行かばんの外殻の底壁に形成する強化パターンの別の形式を示す。連続して曲がる縁部を成形し、隣接する凹部と凸部の細長い溝とリブから成る。図3.2は、その断面の拡大した斜視図である。この縁部は、底壁全体の面で、特性波長“w”の連続した曲線を描いている。隣接する縁部は、特性波長の部分だけ、長手方向に互いにオフセットしている。ここで示す実施例では、このオフセットは、波長の約20%で、長手方向(溝とリブに平行)の曲げの抵抗に強化効果を与え、一方、よりソフトで見て楽しめるパターンを与える。図3.3は、変形例である。ここでは、長手の縁部を白で示し、縁部で分離され交互する溝およびリブは、黒で示され、断面形状は図3.2と類似している。長手の縁部の各々は、非常に長い特性波長“w”で連続して曲がっている。この実施形態では、外殻の長さの寸法よりも大きい。隣接する縁部は、この特性波長のほぼ半分だけ互いにオフセットしている。このパターンも、顕著ではないが、長手寸法に沿う曲げの抵抗に幾らかの強化を与える。
【0043】
図4は、図1の外殻の長さの寸法に沿う図である。
【0044】
上述した様に、オフセットの起伏した細片パターンを定める垂直の線は、底壁の長手中心を除いて、全て実際に少し曲線を描いている。この曲線は小さく、この曲率半径は極めて大きく、数メートルの桁となる。この曲線部は、美的であるのに加えて、一連の小さな立設する湾曲した壁部が、「折り目」または線を形成するのを防ぐ。底壁は、その線に沿って容易に曲がりやすい。
【0045】
図5は、本発明の外殻を使用した旅行かばんのケースで、下の角から部分斜視図である。
【0046】
ここで分かるように、旅行かばんのケースは、2つの類似した形状の発明の外殻を一対にして作成する。隣接する縁部は、後述するジッパ27またはスライド開きトラックで取りつける。脚車取付部25が外殻の角部にあり、丁度、オフィスの椅子の脚の端部の脚車と同様で、安定性を与える。外殻の半分は、角部/脚車の位置に対して、一対になる領域のオフセットで極めて異なる深さを有する。
【0047】
図6および図6.1は、ジッパ締めの詳細な断面図である。
【0048】
一方の外殻周囲の縁部は、段差部27aを備え、その段差部は、周囲全体に到り、他方の外殻1の対応する周囲の縁部に係合または収容する大きさにしている。この段差部27aは、好ましくはゼロに近い抜き勾配αで形成される。他の立設する壁部は、約7度の抜き勾配βで形成される。この抜き勾配βが、使用する雄および雌の対向する金型表面による外殻1の深絞りを可能とし、外殻表面に対して十分な垂直の成形圧力を加え、自己強化された材料を適切に加圧し、程よく強固にし、好ましい表面仕上げを提供する。この段差部に対して、特定の雌金型は、金型縁部に隣接する周囲部18を備えている。その縁部は、抜き勾配が殆ど無く、ほぼゼロである。同様に、対応する雄金型の金型表面19も殆どゼロの抜き勾配である。圧縮および成形の力は、雄金型の弾性素子20で与えられる。この素子は、好ましくは、丈夫な耐熱性のシリコンゴムまたは同等のもので形成されている。この素子は、雄金型支持部と雄金型の台の間に強く押しつけられると、径方向外側に伸びて、この外殻の段差部の縁部に圧縮力を与える(図26、27参照)。
【0049】
図6左側のジッパテープ28は、28aでこの段差縁部に縫い合わせている。右のジッパテープ28は、28aで、他方の外殻縁部に縫い合わせている。ジッパスライダ29を操作してジッパ27を閉じると、外殻1の縁部が、しっかりと重なり、入れ子式の位置で確実に互いに保持される。各々のジッパテープ28が、その外側縁部に沿って接着された突き出しフラップ29aを備えているのが好ましい。これは、ジッパテープ28を取り付ける時に、邪魔にならないように、裁縫機の脚で押すことが出来る。この突き出しが、パチンと音を立て戻り、裁縫線を隠し、ミシン目を降水に対し封止する役目をする。関連するジッパコイルは、符号番号29cで示す。
【0050】
図7は、図5に似ているが、旅行かばんのケースの内側表面を示している。
【0051】
下部の角部は、脚車取付部を収容するかなり大きい窪みを備え、その窪みにケースを立てる車輪がある。自己強化された材料のこの窪みにドリルで穴を形成し、ねじ締め部(図示せず)を通し、脚車取付部を外殻に固定する。旅行かばんのケースは、4個の脚車、適当なキャリーと回転ハンドルを含めて、約50cmサイズの従来型のケースで、わずかに2.2kgとなる。
【0052】
図8は、旅行かばんの外殻を製造する従来の製造機械を示す。
【0053】
この機械は、バスケット織り布地が覆ったポリプロピレン旅行かばんの外殻の製造に使用される。この機械の左側には、予め積層した布地およびポリマー板を暖めて適切な処理温度にする加熱部(予備過熱)30がある。次は、プレス成形する次の板に、編物のような裏地材料を置く装置31である。右側の加圧部32は、ポリプロピレンの積層体を受け入れて、似合いの金型の間で外殻の形状に成形する。部品分離部は、参照数字33で示す。
【0054】
図9は、図1の外殻1を製造する本発明の装置を概略的に示す。
【0055】
図10〜15は、いくつかの作動工程にある図9の装置を示す。装置の左側は、裏張布地受取部22で、編物布地の堆積を収容し、自己強化されたポリマーの温度調整した板に置く。右側へ順に、プレス部、そして放射加熱器24から成る。自己強化されたポリマー板の供給は、プレス部の後ろに在る。布地の裏張り(図示せず)は、受け皿22aに設けている。深絞りプレスは、上部テーブル23aおよび下部テーブル23bから成り、互いに相対的に移動可能である。深絞り工具14の上部または雄金型15を支持する上部テーブル23aは、下部または雌金型に向かって支柱枠23cに沿い導かれで下降する。把持部26は、裏張織物または布地材料の角部を保持する。その織物または材料は、後方からプレス部23に供給される自己強化された熱可塑性プラスチック材料の板(薄板)に接着される。板把持ラック12(図22〜24に詳細を示す)は、制御可能に、各々の板供給からの温めた板を保持または引っ張る。上部雄金型15(その支持テーブルは図示していない)と下部雌金型16の間の位置で保持または引っ張る。放射加熱器支持部は、上部と下部の配列した放射加熱器24を備えている。この放射加熱器の配列24は、同時に板把持ラック12からスライドして出て、自己強化されたポリマー板の両側を加熱する。この間、ポリマー板は、外殻の金型工具14(上部および下部の深絞り金型15、16)の間で、板把持ラック12で、把持および保持または引っ張られる。
【0056】
図10は、機械が開始位置にあり、接着および深絞りする板状のポリマー材料および関連した裏張布地を受取る状態である。
【0057】
図11〜15は、本発明の旅行かばんの外殻の製造工程を実施する装置の更なる操作を示す。
【0058】
図11は、板把持ラック12が下降し、プレス部23後方の供給部から温めたポリマー板を受取るところである。ポリマー板は、把持あご31、32(図22/23参照)上部に移動し、4つの支持棒12b、および、把持バーまたはあご31、32の上に落下する。即座に、放射加熱器24が、把持されたポリマー板の上下に素早く移動し、ポリマー板を処理温度(図12)にもたらす。把持バーまたはあご31、32は、油圧または空気圧で駆動され、加熱および/または深絞り中に、ポリマー板4の把持した縁部を引っ張るおよび/または動かす。板が加熱されると、放射加熱器24は、素早く支持ラックに戻り、邪魔にならないようにする。金型表面が動き、ポリマー板に接触し形作る。加熱中で成形前に、同時に、裏張布地(通常は編んだトリコット)を、加熱器24と上部金型15の間に配置する。
【0059】
図13で、裏地貯蔵受け皿22aが、高い位置に運ばれ、織物裏地がプレス部23の中に送られる(図14参照)。
【0060】
下部金型(この場合、雌の深絞り金型16および補助の金型表面)が、上方に移動し、加熱しながら引っ張った板に接触する。上部の雄金型15が下降し板を押し付け、全ての金型表面に接触させる。裏地材料を、熱成形したポリマー板に形作りおよび付着を同時に行なう(図14.1、図15参照)。
【0061】
図16〜18は、下部金型16(雌の金型)のみを示し、角の領域に補助金型部13を備えている。補助金型部は、それぞれの薄板または熱可塑性プラスチック板(織物で裏打ちされた)に付加的な張力を与え、角の領域で生じる圧縮力に打ち勝つのに有効である。補助金型部13は、可倒で突出可能なそれぞれのキャリアに、ねじで取りつけられている。従って、補助金型部13自身が、図18に示すように下部金型16に引っ込めることが可能で、またそこから突出しても良い(図16、17)。さらに、図16および図17に示すが、下部テーブル23bを持ち上げ、板材料のそれぞれの引っ張りを調整する。この調整は、補助金型部13による微調整と連動させる。
【0062】
従って、補助金型表面および補助金型部13は、余剰材料を集めて、角の領域での積み重なりおよび成形した外殻角部のしわを防ぐ。図19に示すように、補助金型部13の各々を個別の駆動素子13aで駆動しても良い。この駆動素子で、薄板および複合熱可塑性プラスチック板材料に、それぞれの張力の導入に微調整が可能となる。これにより、材料の適切な流動性および自己強化された熱可塑性プラスチック材料内の分子的に配向した撚り糸または繊維の恒久的な張力が、維持され、圧縮力の発生が確実に防げる。
【0063】
従って、図19に概略的に示す実施形態が、最も好ましい。補助金型部13および表面を、ポリマー板と接触しないこれら角の領域にするのは、ここに脚車収容凹部を配置する設計にしているので、これら凹面に十分なポリマー材料を出すのに役に立つ。
【0064】
図20は、補助金型部または表面を全て格納した状態を示す。
【0065】
図21は、上部および下部金型半分の他の実施形態を示す。補助金型表面13は、板材料の上から接触し、下部の雌金型に対向する。補助金型表面13は、上部金型板15aで支持されたボス13bを介して設けている。上部金型板15aは、雄金型15も支持する。それぞれの凹部13cを下部(雌)金型の縁内に設け、補助金型部13が係合する。前の実施形態同様に、補助金型表面および補助金型部13の精密な位置は、入れ子式またはその他の調整可能な支持ボス13bの設計で微調整を可能とする。ボス13bを、上部金型の支持板15aで長さに対して調整可能に支持しても良い。
【0066】
図22から24は、把持ラック機構の詳細を示す。図22は、把持ラック12の上部斜視図を示す。斜視図は、板材料を支持する支持棒12bを示し、上部および下部の把持バーまたは把持あご31、32を示している。あご操作駆動部33は、図24に示すように電気的、空気圧または油圧ベースで作動させる。あご操作駆動部は、それぞれの工程のコントロールに対応して、リンク機構(例えばトグルレバー)を介して、上部および下部の把持バーまたはあごを駆動する。
【0067】
好ましくは、下部把持バーまたはあごは固定し、支持棒12bはそこに固定し、上部把持バーまたはあごが、下部に対して移動可能で、材料を把持する。
【0068】
プレス成形(つまり深絞り)で板に作用する張力のコントロールは、下記の何れかで実施する。ひとつは、成形工程自身での受動的なもので、それぞれの熱可塑性プラスチック材料板(特に裏打ちした)縁部を固定する。もうひとつは、積極的に実行するもので、板のそれぞれおよび可能であれば個別の固定領域を積極的に動かして、成形中に、所定の張力を板材料の強化された撚り糸に与える。
【0069】
図24は、例えば、シリンダ棒をベースにした操作装置および把持バーまたはあご操作部の部分拡大図を示す。シリンダ棒は、操作シリンダ33から突出し、角運動を上部把持バーまたは把持あご支持部33aに伝えて、カムコントロール溝36の補助で、結合部37を介して下部の把持バーまたはあご支持部に向かって動く。
【0070】
図25は、薄板を例示し、中心部2、広域部3およびそれぞれの縁部8から成る。
【0071】
図26および27は、一対の上部(雄)金型15’および下部(雌)金型16’を備える他の深絞りモジュール14’の実施形態を示す。この場合、雌金型部16’は、トリムライン近くに周囲金型表面18を備え、抜き勾配が殆ど無い。周囲金型表面19から成る雄金型15’は、弾性素子20を備え、特に成形シリコンプラグで、周囲全体に伸び得る金型表面を形成する。これにより、コントロールした信頼性のある成形力を与え、特に外殻の角領域でのしわ及び変形を避けることができる。
【0072】
前述の方法および装置で、少なくとも所定の領域または範囲で、極めて高い成形度、例えば深絞りの外殻(特に旅行かばんの外殻)の超軽量成形部品を製造する。この成形部品は、高い“深さ/幅または長さ”比、無類の機械的性質(強度、耐曲げ性、耐変形、耐破損)を備え、高い寸法および成形精度そして魅力的な概観を併せて持っている。
【0073】
本発明は、自己強化された熱可塑性プラスチック材料をベースにした超軽量成形部品の新しい生産物およびその製造方法を提供する。全ての連続する部品成形工程で、材料(薄板)を引っ張る工程、少なくとも部分的に引っ張る工程から成る方法である。この引張りを、残部薄板から部品予備成形物を取り外して部品を形成するまで行なう。
【0074】
本発明は、自己強化された熱可塑性プラスチック材料の使用をベースにした超軽量の旅行かばんの外殻の製造を可能にする。この製造は、生産物の最終仕上げまでの全ての製造工程で、その材料を常に引っ張ることでさらに一層良くすることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の第1の実施形態による旅行かばんの外殻の外側斜視図である。
【図2】図1の旅行かばんの外殻表面のパターンまたは設計を説明する詳細図(C)である。
【図3】図2の線A−Aおよび線B-Bの旅行かばんの外殻表面の断面図で、表面パターンを説明するために図を重ね合わせている。図3.1は、旅行かばんの外殻底壁の別の強化パターンの平面図である。図3.2は、図3.1の強化パターンを説明する拡大した斜視断面図である。図3.3は、図3.1と同類のさらなる別の強化パターンの平面図である。
【図4】図1の旅行かばんの外殻の長さ寸法に沿った図である。
【図5】本発明の旅行かばんの外殻を使用した旅行かばんのケースを下部の角から見た部分斜視図である。
【図6】旅行かばんのケースのジッパ締めの詳細(断面) で模式図である。図6.1は、図6の断面図の詳細である。
【図7】図5に似ているが、旅行かばんのケースの内部表面を示す。
【図8】従来の旅行かばんの外殻に使用されている従来の製造機械を模式的に示す。
【図9】本発明の旅行かばんの外殻を製造する装置の実施形態。
【図10】図1による旅行かばんの外殻を製造するための異なる製造工程および操作段階の図9による装置の実施形態を示す。
【図11】図1による旅行かばんの外殻を製造するための異なる製造工程および操作段階の図9による装置の実施形態を示す。
【図12】図1による旅行かばんの外殻を製造するための異なる製造工程および操作段階の図9による装置の実施形態を示す。
【図13】図1による旅行かばんの外殻を製造するための異なる製造工程および操作段階の図9による装置の実施形態を示す。
【図14】図1による旅行かばんの外殻を製造するための異なる製造工程および操作段階の図9による装置の実施形態を示す。図14aも同様である。
【図15】図1による旅行かばんの外殻を製造するための異なる製造工程および操作段階の図9による装置の実施形態を示す。
【図16】本発明の実施形態による旅行かばんの外殻を作る下部金型(雌金型)を模式的に示す。
【図17】移動可能なテーブル上に位置する図16に示す下部金型(雌金型)を示す。
【図18】図16および図17に示す下部金型(雌金型)で、図17の移動可能なテーブルが上昇した位置に、下部金型の補助金型表面は引っ込んでいる状態を示す。
【図19】図16に似た下部金型(雌金型)で、個別に駆動される補助金型表面を備える他の実施形態を示す。
【図20】図19の下部金型で、補助金型表面が引っ込んでいる状態を示す。
【図21】上部および下部金型の半分(雄/雌金型)の他の実施形態で、補助金型表面を、下部雌金型の反対側で板材料に上から接触させる配置を示す。
【図22】図9の装置のプレス成形(深絞り)の把持手段で、他の機械から切り離した上からの斜視図を示す。
【図23】図22の把持ラックの把持バーの1つで、模式的な斜視図を示す。
【図24】把持あごを取り除いた把持機構の部分図を示す。
【図25】見本の薄板(裏張りをしない)を示す。
【図26】他の見本の金型(改造した深絞り金型)を示す。
【図27】図26の金型の概略の断面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己強化された熱可塑性プラスチック材料から、プラスチック部品、特に旅行かばんの外殻を製造する方法、製造されたプラスチック部品、および、その製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
過去に、破損および変形に対し高い物理的強度および抵抗力を備えたプラスチック部品の製造が行なわれてきた。合成樹脂で形成される部品を、軽量かつリサイクルを容易にしている。特に旅行かばんの産業では、外部からの衝撃に対する最大の信頼性と抵抗性を併せた硬い外殻のスーツケースの製造が要望されている。スーツケースは、変形せず、好ましい外観でかつ軽量化され、容易かつ便宜に取り扱える必要がある。
【0003】
熱可塑性プラスチック樹脂のような合成樹脂と織物の重ね合わせから成る複合材料もいくつか応用された。
【0004】
US 5,376,322で開示する予備成形物から布で覆った形状物を熱成形する方法は、熱可塑性プラスチック基板の1つの表面に、布地層を加圧重ね合わせで旅行かばんの外殻を製造し、次に、角部分の成形に特に注意して成形プレス内でプレス成形を行なう。しかし、滑らかな角部分を確保するのは、今なお困難である。特に、生産物の角の半径または主要面間の交差点の半径が小さいのが望まれる場合である。さらに、強度の増加と併せて軽量化が要求される場合も困難となる。
【0005】
US 5,755,311は、差圧成形プレスを使用し、薄い熱可塑性プラスチックの空洞殻に対して一体に形成した枠を適用し、頑丈な旅行かばんの外殻側部の形成を開示している。
【0006】
EP 0 531 473 B1は、熱可塑性プラスチック材料の合成樹脂で形成される高衝撃・軽量の板を、同一または類似したタイプの軟らかい材料の母材に、予め引き伸ばした高分子繊維の配向させた撚り糸を埋め込んで製造することを検討している。配向させた高分子繊維の集合体を、高温で緊密に接触させる方法および材料を開示している。配向した高分子繊維の外側領域が溶融、次に繊維が圧縮されて、互いに密着した高分子の板を製造する。その方法および材料は、配向した高分子繊維(好ましくは、ポリオレフィン、特にポリプロピレン、または、他の結晶または部分的に結晶した材料の熱可塑性プラスチックから成る)を、適用分野に応じて、一軸に揃えた又はねじった繊維の束、又は、織り合わせた束のマットに配置できる。
【0007】
WO 2004/028803 A1は、引抜き熱可塑性プラスチック材料のテープ、膜、糸を用いて品物を強化する同様の方法を開示している。使用するポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)は、同時押出し工程、およびそれに続く引き伸ばし、冷却で形成される。リサイクル、強度および剛性に関して、配向ポリプロピレン繊維(通称、PP複合材料)で強化したポリプロピレン−自己強化されたポリプロピレン−の明確な性質は、"Composite for Recyclability" by John Peijs, Materials Today April 2003, pages 30 to 35に詳細に解説されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
自己強化された熱可塑性プラスチック材料(特に自己強化ポリプロピレン)の既存の知識をベースにして、問題点を解決するのが本発明の目的である。本発明は、自己強化された熱可塑性プラスチック材料をベースに、高い成形度および高度の加工作業領域(例えば、深い旅行かばんの外殻)を備えた物品を製造するのが目的である。通常、自己強化された熱可塑性プラスチック材料は、高い引張り強度および成形抵抗を備えているためこの作業は困難である。これらの材料は、PP、他の結晶性又は部分的に結晶した熱可塑性プラスチック材料の引伸ばした配向性の撚り糸またはテープから成る。テープ、膜、糸から織るマット又は薄片材料は、成形する前に予め引伸ばすことができる。
【0009】
本発明の目的は、自己強化された熱可塑性プラスチック材料からプラスチック部品、特に旅行かばんの外殻を製造する方法を提供する。熱可塑性プラスチック材料は、高耐久性で極めて軽量部品の形成を可能にする。これにより、角部および側面部間の交差する領域の滑らかな形成に留意した深い旅行かばんの外殻を、低コストで製造することを可能にする。
【0010】
本発明は、部品の長さおよび/または幅に対する深さの比を大幅に増加させる。これにより部品、特に旅行かばんの外殻で、最小限の正味重量で、高い荷重または重量を支持できる。
【0011】
本発明の目的は、高い成形度の領域を備えたプラスチック部品(特に、旅行かばんの外殻)を製造する装置を提供する。この装置は、機械および道具をベースにして、生産物の幅または長さに対する高い深さの比を持つ3次元のプラスチック部品の製造を可能にする。この機械および道具は、従来装置で使用されており、装置の操作に関しても、容易かつ低コストで設計できる。
【0012】
本発明の方法の特徴は、請求項1または11に記載の方法で実施される。方法の最適な実施形態は、関連する従属項に記載している。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、ポリプロピレン薄板の熱成形の特徴と、金属の深絞り(特に軽量の金属板)の特徴を組合せた方法を実行する。自己強化された熱可塑性プラスチック材料(特に、ポリプロピレンまたは他の結晶または部分的に結晶した熱可塑性プラスチック樹脂の配向した撚り糸を備えた)の深絞りを可能とする方法を展開する。旅行かばんの外殻のような極めて軽量の部品の形成が可能となる。この部品は、特に角部および主要な面の交差領域に高い成形度の領域を備えている。自己強化された熱可塑性プラスチックのマットまたは他の熱可塑性プラスチック材料の板のプレス成形は、これまで実際面では困難を伴った。
【0014】
部品、特に従来技術の頑丈な側面のケースと比較して、大幅に重量を削減した旅行かばんの外殻を製造することが出来る。特に、織りで自己強化されたポリプロピレン材料を使用し、プレス成型技術(圧縮技術)で、この様な部品(特に、外殻)を製造する。
【0015】
本発明の本質的な特徴は、全ての成形中(特に、その材料の深絞りのようなプレス成形および形作り工程)で、熱可塑性プラスチック材料の自己強化複合材料に、少なくとも部分的な張力を加える点である。部品、特に表面に対して高い深さの比を備えた旅行かばんの外殻を作り出すことが出来る。角部などの高度な変形領域に張り巡る“重大な”撚り糸(テープ)および繊維は、全工程中で、引張状態に保持しておく。これは、プレス成形工程に起因する圧縮力に関係なく保持する必要がある。
【0016】
このプラスチック部品、特に旅行かばんの外殻に関しては、上記目的は、請求項25および34の特徴で実行される。
【0017】
形作りまたは成形工程の前に、好ましくは、自己強化された熱可塑性プラスチック材料(薄板)を、織物または編物で裏打ちする。この裏打ちは、好ましくは、継続的に静止した工程での熱接着で行ない、この後にプレス成形を行なう。
【0018】
自己強化された熱可塑性プラスチック材料の各層に含まれる分子的に配向した撚り糸の複数の層を、互いに所定の角度で設けても良い。特に、隣接する層を交差して設けると、最終生産物に、更に改善された一方の強度、擬似異方性の強度、および接着性質を与える。
【0019】
他の裏打ちと組合せたりサンドイッチ構造にした少なくとも自己強化された熱可塑性プラスチック材料から成る外殻のような複合体または部品も形成できる。この場合、緻密な発泡プラスチック(熱可塑性プラスチックの必要性はなく)から形成される発泡プラスチックまたは裏打ちを使用する。
【0020】
プラスチック部品(特に、旅行かばん)の外殻を自己強化された熱可塑性プラスチック材料から製造する装置に関しては、請求項37の特徴で実施され、その装置の好適な実施形態は、その従属項に記載している。
【0021】
本発明は、極めて薄くしかも軽量で変形に強い部品(特に、旅行かばんの外殻)の製造を可能とし、この製造は、部品(特に、旅行かばんの外殻)に高い成形度の領域を与え、比較的に鋭く曲がった曲線および比較的に小さい半径の角領域から成る屈曲部に、しわを発生させない。
【0022】
これは、合成樹脂による新世代の超軽量旅行かばんとなる。
【0023】
プレス成形、特に自己強化された熱可塑性プラスチック複合材料(SRTC)の深絞りで新しいタイプの材料を生み出す。ポリプロピレンを材料のベースにしても良いが、結晶質または部分的に結晶した材料‐ナイロン(登録商標)‐も使用できる。好ましくは、自己強化された熱可塑性プラスチック複合材料(SRTC)は、プレス成形前に再度軟らかくした領域(中間加熱により)で、または(同時押出しポリプロピレン)テープの使用で作られる。これらテープ、細ひもまたは糸は、引伸ばして、次に低温または冷延伸工程を加えると、非常に配向した同一または類似した材料の薄い層から成る低融点の芯を備える。
【0024】
好ましくは、テープを、緊密にする繊維に織り込むか、または多層部品をそこから組合せる。引っ張られた芯を囲む外側の膜が、所定の温度で融け、プレス成形で繊維を圧縮して板状または多層の薄板にする。
【0025】
ポリプロピレン(PP)テープは、有機繊維より剛性は小さく、粘弾性的挙動は、プラスチックまたは熱可塑性プラスチック複合材料よりも変形でき、この性質が、この材料の深絞りを促進する。
【0026】
かなりの成形度を伴うSRTC(自己強化された熱可塑性プラスチック複合材料)の深絞りの実施での欠点を避けるために、引っ張ったテープの100℃を超える高温での熱収縮の問題を解決した。SRTC薄板を約170℃以上で加熱すると深絞り工程は成功する。
【0027】
本発明は、生産物の高度な成形度に対して、テープを臨界的な位置に維持する。それは、全工程中の張力下(張力の発生)で、深絞りまたはプレス成形工程でテープを維持する。この引っ張りは、熱可塑性プラスチック板材を、その縁の領域で固定し、その板材に深絞りのようなプレス成形を施すと受動的に生ずる。従って、張力は、薄板自身がこれら張力を生成、または外部から(場合により、追加的に)薄板にそれぞれの張力を導入(操作)して積極的にコントロールしたものである。
【0028】
本発明では、板固定装置を使用する。この装置は、全てのテープの全周囲を固定し、テープの張力をコントロール、そして、受動的または積極的に操作する機会を提供する。最も決定的なテープの引っ張りのコントロールまたは操作は、力の駆動、位置の駆動、またはその組合せとなる。
【0029】
本発明は、生産物(特に、旅行かばんの外殻)の角に圧縮力が発生するのを避ける。この圧縮力は、テープ、細ひも又は糸の張力を相殺または除去し、高度に成形した角の領域にしわを引き起こす。
【0030】
本発明が提供する手段は、特別にコントロールした変形を角の領域に与え、全てのテープを引っ張った状態に維持し、および/または発生し得るしわを最終生産物に入り込むのを避ける。これは、プレス成形(特に、深絞り工程)中の予備伸張または操作した伸張、および引っ張りで行なう。
【0031】
それぞれの機械の装置の設計は、2つの独立して動く半分の金型(空隙および芯)のプレスを使用、または補助金型表面または同等のものを支持する独立した枠を使用し、上部または下部の把持あごの貫通孔を通して作動する。また吹込成形工程、すなわち深絞り前の事前の予備伸張を使用しても良い。
【0032】
好ましい実施形態は、従属項に記載している。
【0033】
以下に、本発明の実施形態を、添付の図と併せて詳細に説明を行なう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
図1は、本発明の外殻1(この場合、旅行かばんの外殻)を示す。ここでは、立設する側壁6の周囲の縁部は、処理工程で、余分な材料またはくずとして切り取って捨てている。外殻1は、深絞りしている。底壁5に対して側壁6は、好ましい自己強化された熱可塑性プラスチック板から製造する外殻と比較して、深い寸法を備えている。この深さの寸法は、全体的な外殻1の長さまたは幅寸法に対して極めて大きい。この関係は、長さまたは幅寸法の何れかの小さい方の比で、最適に記載できる。外殻の深さを、幅寸法に対して最大0.5、好ましくは、約0.2〜0.3の範囲の比とする。外殻の均一な厚みは、少なくとも1mm(または0.8mm)で、最大3mmで、好ましくは約2.5mmで、通常は1〜2mmの範囲とする。好適な旅行かばんの外殻は、商業上知られているBP Amoco社の"Curv(登録商標)"の自己強化された熱可塑性プラスチックから形成する。同様の物理的、化学的、熱工程特性を備えた他の熱可塑性プラスチック材料(Lankhorst社から入手できるPure(登録商標))、も同様にうまくいく。自己強化された熱可塑性プラスチック材料は、一方向に揃えた、ねじり(束に)または織ったテープ、細ひもまたは糸で、好ましくは、最大(大体)10層とする。これらの層は、分子的に配向していない熱可塑性プラスチック材料または同類の母材と併せて、分子的に配向した撚り糸から成る。所定のパターンで、次の又は異なる層に設けることにより、一方向の強度特性を確実なものとし、予備に引っ張った撚り糸が、外殻の同一又は異なる層の中で互いに傾斜して広がっている。
【0035】
図に示す様に、外殻の立設する壁部の寸法は、典型的な50cmケースに対して、底壁5に垂直に約110mmである。長さ/幅の比は、好ましくは1〜2で、特に1〜1.4とする。外殻は、一体に形成した角部7を備えている。外殻で、旅行かばんのケースの場合、幅は、約36cmである。この外殻の寸法が、同じように釣合いの取れた外殻と、相手方の縁部で簡単な枠またはジッパ締めで一対になると、旅行者の必要品を詰める十分な容積を備えた著しく軽い旅行かばんを提供する。外殻1の側壁6は、出来る限り深くするが、本発明で意図する自己強化された材料の形成に困難さを与える。旅行かばんのケースのこの垂直の寸法は、少なくとも約80mmで(深絞りと考えられる)、角部の半径は、60mm以下とする。
【0036】
ここに記載する方法および装置は、一連の外殻のサイズを製造することができる。しかし本発明の最大の利点は、深絞りの外殻である。幅または長さの小さい方に対する側壁の高さの比が、約0.3より小さく、角部の半径が約60mmより小さい。
【0037】
図2は、底壁5の外側の主要な外殻面1aに加えた3次元の強化パターンを拡大した斜視図である。
【0038】
自己強化されたプラスチックは、著しい強度、衝撃、強靭な特性を備え、非常に軽量な構造物、特に記載した深絞りの外殻の製造に魅力的である。厚さが12〜15mmの範囲の非常に薄い板の材料が、優れた物理的特性および軽量を提供する。しかし、旅行かばんの外殻は、耐変形性を備え底壁で押しつぶされるのを防ぐ必要がある。厚い板で開始するのが好ましいが、コストおよび重量が増加する。
【0039】
外殻の底壁5は、凹部5aおよび凸部5b(図3参照)が交互するパターンを備え、顕著な構造的強化を備えている。これは、梁強度および曲げモーメントを増加させ、底壁に対する垂直な全ての面の屈曲に抵抗を持たせている。図は、凹面および凸面の長方形の領域が交互する複雑なパターンを、底壁5の2次元の面に設けているのを示す。もちろん凹凸部パターンは3次元である。これらの領域は、深絞り中に、一連の起伏する細片を外殻の底壁に押し付けたことによる視覚的な結果である。これらの連続する起伏の細片パターンは、互いに平行であるが、実際は少し曲線になっている。これは、何れも互いに平行な縁部を形成していない。同様に、隣接する起伏は、約1つの長方形または領域の長手方向の寸法だけ互いにオフセットしている。他の規則的に交互する凹凸パターンを選択できるのは言うまでもない。
【0040】
図3は、図1の断面AAでの底壁の断面の中心線と、同図の断面BBでの底壁の断面の中心線とを比較する詳細である。
【0041】
この起伏した形状のオフセットパターンは、見た目が良いだけでなく、曲げ力に対して顕著な剛性または抵抗となる。曲げ力は、長手寸法に平行に(起伏の細片パターンの長手方向に対して平行)に、および長手方向に垂直に、外殻の底壁を変形する。縦の剛性に関しては、図3の線AAおよび線BBの各々は、図1および2の断面AAおよびBBの自己強化された材料の中心を下げている線を表している。起伏細片の縁部は、直線、または、徐々に滑らかに曲がる線に見えるが、実際は、これら縁部は、各起伏で斜めに湾曲(横方向に変位)している。これは抜き勾配d(抜き勾配は、成形での金型の移動方向に対する成形面の角度)およびパターンの各長方形状の横の壁部を形成する成形縁部で生ずる。この抜き勾配が、7度の程度の比較的に急な角度でも、図3に拡大して示す僅かな距離の多数のまたは繰り返しのオフセットになる。このパターンで形成される長方形の窪みおよび突起は、多くの自己強化された材料を中立軸から動かす。丁度、底壁の幅を横切って延在する一連のリブのようである。しかしこのリブは、リブに平行な曲げに対して、リブの付いたパネルを強化するには何もなさない。しかし、抜き勾配で形成される凸凹または繰り返されるオフセットは、自己強化された材料を、その起伏に平行な中立軸から離し、この線に沿う曲げに抵抗を与える。上記で詳述したパターンは、強化した立設する壁を備える、一連の小さな壁のある箱を形成する。自己強化された板の厚みは、その通常の開始寸法(前述したが、12〜15mmの範囲)よりも厚い部分はない。
【0042】
図3.1は、好適な旅行かばんの外殻の底壁に形成する強化パターンの別の形式を示す。連続して曲がる縁部を成形し、隣接する凹部と凸部の細長い溝とリブから成る。図3.2は、その断面の拡大した斜視図である。この縁部は、底壁全体の面で、特性波長“w”の連続した曲線を描いている。隣接する縁部は、特性波長の部分だけ、長手方向に互いにオフセットしている。ここで示す実施例では、このオフセットは、波長の約20%で、長手方向(溝とリブに平行)の曲げの抵抗に強化効果を与え、一方、よりソフトで見て楽しめるパターンを与える。図3.3は、変形例である。ここでは、長手の縁部を白で示し、縁部で分離され交互する溝およびリブは、黒で示され、断面形状は図3.2と類似している。長手の縁部の各々は、非常に長い特性波長“w”で連続して曲がっている。この実施形態では、外殻の長さの寸法よりも大きい。隣接する縁部は、この特性波長のほぼ半分だけ互いにオフセットしている。このパターンも、顕著ではないが、長手寸法に沿う曲げの抵抗に幾らかの強化を与える。
【0043】
図4は、図1の外殻の長さの寸法に沿う図である。
【0044】
上述した様に、オフセットの起伏した細片パターンを定める垂直の線は、底壁の長手中心を除いて、全て実際に少し曲線を描いている。この曲線は小さく、この曲率半径は極めて大きく、数メートルの桁となる。この曲線部は、美的であるのに加えて、一連の小さな立設する湾曲した壁部が、「折り目」または線を形成するのを防ぐ。底壁は、その線に沿って容易に曲がりやすい。
【0045】
図5は、本発明の外殻を使用した旅行かばんのケースで、下の角から部分斜視図である。
【0046】
ここで分かるように、旅行かばんのケースは、2つの類似した形状の発明の外殻を一対にして作成する。隣接する縁部は、後述するジッパ27またはスライド開きトラックで取りつける。脚車取付部25が外殻の角部にあり、丁度、オフィスの椅子の脚の端部の脚車と同様で、安定性を与える。外殻の半分は、角部/脚車の位置に対して、一対になる領域のオフセットで極めて異なる深さを有する。
【0047】
図6および図6.1は、ジッパ締めの詳細な断面図である。
【0048】
一方の外殻周囲の縁部は、段差部27aを備え、その段差部は、周囲全体に到り、他方の外殻1の対応する周囲の縁部に係合または収容する大きさにしている。この段差部27aは、好ましくはゼロに近い抜き勾配αで形成される。他の立設する壁部は、約7度の抜き勾配βで形成される。この抜き勾配βが、使用する雄および雌の対向する金型表面による外殻1の深絞りを可能とし、外殻表面に対して十分な垂直の成形圧力を加え、自己強化された材料を適切に加圧し、程よく強固にし、好ましい表面仕上げを提供する。この段差部に対して、特定の雌金型は、金型縁部に隣接する周囲部18を備えている。その縁部は、抜き勾配が殆ど無く、ほぼゼロである。同様に、対応する雄金型の金型表面19も殆どゼロの抜き勾配である。圧縮および成形の力は、雄金型の弾性素子20で与えられる。この素子は、好ましくは、丈夫な耐熱性のシリコンゴムまたは同等のもので形成されている。この素子は、雄金型支持部と雄金型の台の間に強く押しつけられると、径方向外側に伸びて、この外殻の段差部の縁部に圧縮力を与える(図26、27参照)。
【0049】
図6左側のジッパテープ28は、28aでこの段差縁部に縫い合わせている。右のジッパテープ28は、28aで、他方の外殻縁部に縫い合わせている。ジッパスライダ29を操作してジッパ27を閉じると、外殻1の縁部が、しっかりと重なり、入れ子式の位置で確実に互いに保持される。各々のジッパテープ28が、その外側縁部に沿って接着された突き出しフラップ29aを備えているのが好ましい。これは、ジッパテープ28を取り付ける時に、邪魔にならないように、裁縫機の脚で押すことが出来る。この突き出しが、パチンと音を立て戻り、裁縫線を隠し、ミシン目を降水に対し封止する役目をする。関連するジッパコイルは、符号番号29cで示す。
【0050】
図7は、図5に似ているが、旅行かばんのケースの内側表面を示している。
【0051】
下部の角部は、脚車取付部を収容するかなり大きい窪みを備え、その窪みにケースを立てる車輪がある。自己強化された材料のこの窪みにドリルで穴を形成し、ねじ締め部(図示せず)を通し、脚車取付部を外殻に固定する。旅行かばんのケースは、4個の脚車、適当なキャリーと回転ハンドルを含めて、約50cmサイズの従来型のケースで、わずかに2.2kgとなる。
【0052】
図8は、旅行かばんの外殻を製造する従来の製造機械を示す。
【0053】
この機械は、バスケット織り布地が覆ったポリプロピレン旅行かばんの外殻の製造に使用される。この機械の左側には、予め積層した布地およびポリマー板を暖めて適切な処理温度にする加熱部(予備過熱)30がある。次は、プレス成形する次の板に、編物のような裏地材料を置く装置31である。右側の加圧部32は、ポリプロピレンの積層体を受け入れて、似合いの金型の間で外殻の形状に成形する。部品分離部は、参照数字33で示す。
【0054】
図9は、図1の外殻1を製造する本発明の装置を概略的に示す。
【0055】
図10〜15は、いくつかの作動工程にある図9の装置を示す。装置の左側は、裏張布地受取部22で、編物布地の堆積を収容し、自己強化されたポリマーの温度調整した板に置く。右側へ順に、プレス部、そして放射加熱器24から成る。自己強化されたポリマー板の供給は、プレス部の後ろに在る。布地の裏張り(図示せず)は、受け皿22aに設けている。深絞りプレスは、上部テーブル23aおよび下部テーブル23bから成り、互いに相対的に移動可能である。深絞り工具14の上部または雄金型15を支持する上部テーブル23aは、下部または雌金型に向かって支柱枠23cに沿い導かれで下降する。把持部26は、裏張織物または布地材料の角部を保持する。その織物または材料は、後方からプレス部23に供給される自己強化された熱可塑性プラスチック材料の板(薄板)に接着される。板把持ラック12(図22〜24に詳細を示す)は、制御可能に、各々の板供給からの温めた板を保持または引っ張る。上部雄金型15(その支持テーブルは図示していない)と下部雌金型16の間の位置で保持または引っ張る。放射加熱器支持部は、上部と下部の配列した放射加熱器24を備えている。この放射加熱器の配列24は、同時に板把持ラック12からスライドして出て、自己強化されたポリマー板の両側を加熱する。この間、ポリマー板は、外殻の金型工具14(上部および下部の深絞り金型15、16)の間で、板把持ラック12で、把持および保持または引っ張られる。
【0056】
図10は、機械が開始位置にあり、接着および深絞りする板状のポリマー材料および関連した裏張布地を受取る状態である。
【0057】
図11〜15は、本発明の旅行かばんの外殻の製造工程を実施する装置の更なる操作を示す。
【0058】
図11は、板把持ラック12が下降し、プレス部23後方の供給部から温めたポリマー板を受取るところである。ポリマー板は、把持あご31、32(図22/23参照)上部に移動し、4つの支持棒12b、および、把持バーまたはあご31、32の上に落下する。即座に、放射加熱器24が、把持されたポリマー板の上下に素早く移動し、ポリマー板を処理温度(図12)にもたらす。把持バーまたはあご31、32は、油圧または空気圧で駆動され、加熱および/または深絞り中に、ポリマー板4の把持した縁部を引っ張るおよび/または動かす。板が加熱されると、放射加熱器24は、素早く支持ラックに戻り、邪魔にならないようにする。金型表面が動き、ポリマー板に接触し形作る。加熱中で成形前に、同時に、裏張布地(通常は編んだトリコット)を、加熱器24と上部金型15の間に配置する。
【0059】
図13で、裏地貯蔵受け皿22aが、高い位置に運ばれ、織物裏地がプレス部23の中に送られる(図14参照)。
【0060】
下部金型(この場合、雌の深絞り金型16および補助の金型表面)が、上方に移動し、加熱しながら引っ張った板に接触する。上部の雄金型15が下降し板を押し付け、全ての金型表面に接触させる。裏地材料を、熱成形したポリマー板に形作りおよび付着を同時に行なう(図14.1、図15参照)。
【0061】
図16〜18は、下部金型16(雌の金型)のみを示し、角の領域に補助金型部13を備えている。補助金型部は、それぞれの薄板または熱可塑性プラスチック板(織物で裏打ちされた)に付加的な張力を与え、角の領域で生じる圧縮力に打ち勝つのに有効である。補助金型部13は、可倒で突出可能なそれぞれのキャリアに、ねじで取りつけられている。従って、補助金型部13自身が、図18に示すように下部金型16に引っ込めることが可能で、またそこから突出しても良い(図16、17)。さらに、図16および図17に示すが、下部テーブル23bを持ち上げ、板材料のそれぞれの引っ張りを調整する。この調整は、補助金型部13による微調整と連動させる。
【0062】
従って、補助金型表面および補助金型部13は、余剰材料を集めて、角の領域での積み重なりおよび成形した外殻角部のしわを防ぐ。図19に示すように、補助金型部13の各々を個別の駆動素子13aで駆動しても良い。この駆動素子で、薄板および複合熱可塑性プラスチック板材料に、それぞれの張力の導入に微調整が可能となる。これにより、材料の適切な流動性および自己強化された熱可塑性プラスチック材料内の分子的に配向した撚り糸または繊維の恒久的な張力が、維持され、圧縮力の発生が確実に防げる。
【0063】
従って、図19に概略的に示す実施形態が、最も好ましい。補助金型部13および表面を、ポリマー板と接触しないこれら角の領域にするのは、ここに脚車収容凹部を配置する設計にしているので、これら凹面に十分なポリマー材料を出すのに役に立つ。
【0064】
図20は、補助金型部または表面を全て格納した状態を示す。
【0065】
図21は、上部および下部金型半分の他の実施形態を示す。補助金型表面13は、板材料の上から接触し、下部の雌金型に対向する。補助金型表面13は、上部金型板15aで支持されたボス13bを介して設けている。上部金型板15aは、雄金型15も支持する。それぞれの凹部13cを下部(雌)金型の縁内に設け、補助金型部13が係合する。前の実施形態同様に、補助金型表面および補助金型部13の精密な位置は、入れ子式またはその他の調整可能な支持ボス13bの設計で微調整を可能とする。ボス13bを、上部金型の支持板15aで長さに対して調整可能に支持しても良い。
【0066】
図22から24は、把持ラック機構の詳細を示す。図22は、把持ラック12の上部斜視図を示す。斜視図は、板材料を支持する支持棒12bを示し、上部および下部の把持バーまたは把持あご31、32を示している。あご操作駆動部33は、図24に示すように電気的、空気圧または油圧ベースで作動させる。あご操作駆動部は、それぞれの工程のコントロールに対応して、リンク機構(例えばトグルレバー)を介して、上部および下部の把持バーまたはあごを駆動する。
【0067】
好ましくは、下部把持バーまたはあごは固定し、支持棒12bはそこに固定し、上部把持バーまたはあごが、下部に対して移動可能で、材料を把持する。
【0068】
プレス成形(つまり深絞り)で板に作用する張力のコントロールは、下記の何れかで実施する。ひとつは、成形工程自身での受動的なもので、それぞれの熱可塑性プラスチック材料板(特に裏打ちした)縁部を固定する。もうひとつは、積極的に実行するもので、板のそれぞれおよび可能であれば個別の固定領域を積極的に動かして、成形中に、所定の張力を板材料の強化された撚り糸に与える。
【0069】
図24は、例えば、シリンダ棒をベースにした操作装置および把持バーまたはあご操作部の部分拡大図を示す。シリンダ棒は、操作シリンダ33から突出し、角運動を上部把持バーまたは把持あご支持部33aに伝えて、カムコントロール溝36の補助で、結合部37を介して下部の把持バーまたはあご支持部に向かって動く。
【0070】
図25は、薄板を例示し、中心部2、広域部3およびそれぞれの縁部8から成る。
【0071】
図26および27は、一対の上部(雄)金型15’および下部(雌)金型16’を備える他の深絞りモジュール14’の実施形態を示す。この場合、雌金型部16’は、トリムライン近くに周囲金型表面18を備え、抜き勾配が殆ど無い。周囲金型表面19から成る雄金型15’は、弾性素子20を備え、特に成形シリコンプラグで、周囲全体に伸び得る金型表面を形成する。これにより、コントロールした信頼性のある成形力を与え、特に外殻の角領域でのしわ及び変形を避けることができる。
【0072】
前述の方法および装置で、少なくとも所定の領域または範囲で、極めて高い成形度、例えば深絞りの外殻(特に旅行かばんの外殻)の超軽量成形部品を製造する。この成形部品は、高い“深さ/幅または長さ”比、無類の機械的性質(強度、耐曲げ性、耐変形、耐破損)を備え、高い寸法および成形精度そして魅力的な概観を併せて持っている。
【0073】
本発明は、自己強化された熱可塑性プラスチック材料をベースにした超軽量成形部品の新しい生産物およびその製造方法を提供する。全ての連続する部品成形工程で、材料(薄板)を引っ張る工程、少なくとも部分的に引っ張る工程から成る方法である。この引張りを、残部薄板から部品予備成形物を取り外して部品を形成するまで行なう。
【0074】
本発明は、自己強化された熱可塑性プラスチック材料の使用をベースにした超軽量の旅行かばんの外殻の製造を可能にする。この製造は、生産物の最終仕上げまでの全ての製造工程で、その材料を常に引っ張ることでさらに一層良くすることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の第1の実施形態による旅行かばんの外殻の外側斜視図である。
【図2】図1の旅行かばんの外殻表面のパターンまたは設計を説明する詳細図(C)である。
【図3】図2の線A−Aおよび線B-Bの旅行かばんの外殻表面の断面図で、表面パターンを説明するために図を重ね合わせている。図3.1は、旅行かばんの外殻底壁の別の強化パターンの平面図である。図3.2は、図3.1の強化パターンを説明する拡大した斜視断面図である。図3.3は、図3.1と同類のさらなる別の強化パターンの平面図である。
【図4】図1の旅行かばんの外殻の長さ寸法に沿った図である。
【図5】本発明の旅行かばんの外殻を使用した旅行かばんのケースを下部の角から見た部分斜視図である。
【図6】旅行かばんのケースのジッパ締めの詳細(断面) で模式図である。図6.1は、図6の断面図の詳細である。
【図7】図5に似ているが、旅行かばんのケースの内部表面を示す。
【図8】従来の旅行かばんの外殻に使用されている従来の製造機械を模式的に示す。
【図9】本発明の旅行かばんの外殻を製造する装置の実施形態。
【図10】図1による旅行かばんの外殻を製造するための異なる製造工程および操作段階の図9による装置の実施形態を示す。
【図11】図1による旅行かばんの外殻を製造するための異なる製造工程および操作段階の図9による装置の実施形態を示す。
【図12】図1による旅行かばんの外殻を製造するための異なる製造工程および操作段階の図9による装置の実施形態を示す。
【図13】図1による旅行かばんの外殻を製造するための異なる製造工程および操作段階の図9による装置の実施形態を示す。
【図14】図1による旅行かばんの外殻を製造するための異なる製造工程および操作段階の図9による装置の実施形態を示す。図14aも同様である。
【図15】図1による旅行かばんの外殻を製造するための異なる製造工程および操作段階の図9による装置の実施形態を示す。
【図16】本発明の実施形態による旅行かばんの外殻を作る下部金型(雌金型)を模式的に示す。
【図17】移動可能なテーブル上に位置する図16に示す下部金型(雌金型)を示す。
【図18】図16および図17に示す下部金型(雌金型)で、図17の移動可能なテーブルが上昇した位置に、下部金型の補助金型表面は引っ込んでいる状態を示す。
【図19】図16に似た下部金型(雌金型)で、個別に駆動される補助金型表面を備える他の実施形態を示す。
【図20】図19の下部金型で、補助金型表面が引っ込んでいる状態を示す。
【図21】上部および下部金型の半分(雄/雌金型)の他の実施形態で、補助金型表面を、下部雌金型の反対側で板材料に上から接触させる配置を示す。
【図22】図9の装置のプレス成形(深絞り)の把持手段で、他の機械から切り離した上からの斜視図を示す。
【図23】図22の把持ラックの把持バーの1つで、模式的な斜視図を示す。
【図24】把持あごを取り除いた把持機構の部分図を示す。
【図25】見本の薄板(裏張りをしない)を示す。
【図26】他の見本の金型(改造した深絞り金型)を示す。
【図27】図26の金型の概略の断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高い成形度の領域(一体化して成形する角部および部品の主要な表面間の交差部の曲線または湾曲のような)を備えるプラスチック部品、特に外殻、好ましくは旅行かばんの外殻の製造方法が、
自己強化された熱可塑性プラスチック材料の薄板を供給し、
部品の予備成形物を残部薄板から取り除いて部品を成形するまで、全ての連続する部品の形作りおよび/または成形工程で、少なくとも一部分で該薄板を引っ張る、
ことを特徴とする製造方法。
【請求項2】
前記プラスチック部品を、主としてプレス成形、特に深絞り工程で形作りおよび/または成形する、ことを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
前記薄板の少なくとも重要なテープ、フィルム、細ひも、糸の引っ張りを、異なる方向に、好ましくは全体の方向に行ない、好ましくは、その引っ張りを全ての前記形作りおよび/または前記成形工程で常に行なう、ことを特徴とする請求項1または2記載の製造方法。
【請求項4】
前記薄板を引っ張って成形を開始する前に、該薄板の温度調整を含む、ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載の製造方法。
【請求項5】
前記形作りおよび/または前記成形(特に、前記深絞り)前に、前記自己強化された熱可塑性プラスチック材料の前記薄板に、布材料(特に、織物または編物)を重ね合わせる(特に、熱接着)、ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項記載の製造方法。
【請求項6】
前記布地を張り付けた薄板を、縁部の間に広域部を備える縁部近傍で把持する、ことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項記載の製造方法。
【請求項7】
前記広域部の第1部分、特に該広域部の中心部と前記縁部の間を、前記深絞り工程前に、予備加工、特に吹込成形またはプラグ成形にかける、ことを特徴とする請求項6記載の製造方法。
【請求項8】
少なくとも前記広域部の前記中心部を深絞りで成形して部品の予備成形物にする、ことを特徴とする請求項6または7記載の製造方法。
【請求項9】
深絞り中に、少なくとも1つの工程条件に応えて、前記薄板の前記縁部を互いに制御可能に位置させる、ことを特徴とする請求項2〜8の何れか1項記載の製造方法。
【請求項10】
成型後、前記部品の前記予備成形物、特に前記外殻の前記予備成形物を、余剰の薄板から除去し(特に、切り取り)、成形(特に、前記深絞り)した部品を形成する、ことを特徴とする請求項1〜9の何れか1項記載の製造方法。
【請求項11】
更に大きな変形作業が要求される高い成形度の領域(一体化して成形する前記角部および前記部品の主要な表面間の前記交差部の曲線または湾曲のような)を備える前記プラスチック部品、特に前記外殻、好ましくは前記旅行かばんの外殻の製造方法で、特に請求項1〜9の何れか1項記載の製造方法が、
前記自己強化された熱可塑性プラスチック材料の前記薄板を供給し、ここで該薄板は前記縁部および該縁部間の前記広域部を備えている、
該薄板に、所定の応力を加えて引っ張り、および/または、その自己強化された構造を考慮して温度調整をする、
該薄板を深絞りして少なくとも部分的に外殻の前記予備成形物にする、ここで同時に、少なくとも1つの工程条件に応えて、該薄板の該縁部を互いに制御可能に位置させ、
前記部品の該予備成形物を、前記残部の薄板から取り除き最終的に部品を形成する、ことを特徴とする製造方法。
【請求項12】
少なくとも前記薄板の前記広域部の中心部から、前記外殻(特に、深絞り旅行かばんの外殻)を製造する方法で、結果として生ずる部品が、底壁、立設する側壁、底壁と2つの側壁間の交差部の少なくとも1つの一体形成した角部を備え、特に、請求項1〜10の少なくとも1項記載の方法が、
前記熱可塑性プラスチック材料の前記薄板を供給し、ここで該薄板は、前記縁部および該縁部間の前記広域部を備えている、
把持手段で該薄板を該縁部近傍で把持し、
該薄板を温度調整し、
該広域部の中心部と該縁部間の広域部の前記第1の部分を形作りし、
少なくとも該広域部の中心部を深絞りし、該外殻の前記予備成形物にし、ここで深絞り中は、工程条件に応えて該薄板の該縁部を互いに制御可能に位置させ、
該薄板から該外殻の該予備成形物を切り、深絞りの該外殻を形成する、
ことを特徴とする方法。
【請求項13】
形作りおよび/または成形(特に、深絞り)前に、前記自己強化された熱可塑性プラスチック材料の前記薄板に、前記布材料(特に、織物または編物)を重ね合わせる(特に、熱接着)、ことを特徴とする請求項1〜12の何れか1項記載の製造方法。
【請求項14】
前記形作りの工程が、前記中心部と前記角の領域近くの前記縁部との間にある前記広域部の前記第1の部分に、補助金型表面を接触させることから成る、ことを特徴とする請求項7〜13の何れか1項記載の製造方法。
【請求項15】
前記深絞りの工程が、前記薄板の前記中央部を、外殻金型、特に雄金型および雌金型の少なくとも1つに接触させることからなる、ことを特徴とする請求項2〜14の何れか1項記載の製造方法。
【請求項16】
前記深絞りの工程で使用する前記外殻金型が、雄金型表面および対応して形作った雌金型表面から成る整合した金型である、ことを特徴とする請求項15記載の製造方法。
【請求項17】
前記薄板の前記縁部の制御可能な位置合わせの工程を、少なくとも1つの工程条件に対応して、該薄板の該縁部を制御可能に動かして行なう、ことを特徴とする請求項9〜16の何れか1項記載の製造方法。
【請求項18】
前記薄板の前記縁部の制御可能な前記位置合わせの工程を、該薄板で前記把持手段に加わる引っ張り力に対応して、該薄板の該縁部を制御可能に動かして行なう、ことを特徴とする請求項9〜17の何れか1項記載の製造方法。
【請求項19】
前記縁部の制御可能な前記位置合わせの工程を、第1の時間、特に最初の時間に対応して、該縁部を制御可能に動かして行なう、ことを特徴とする請求項9〜18の何れか1項記載の製造方法。
【請求項20】
前記薄板の該縁部の制御可能な前記位置合わせの工程の前記第1の時間が、前記深絞りの工程に掛かる時間に対応する、ことを特徴とする請求項19記載の製造方法。
【請求項21】
前記縁部の制御可能な前記位置合わせの工程を、該縁部を互いに向けて制御可能に動かして行なう、ことを特徴とする請求項9〜20の何れか1項記載の製造方法。
【請求項22】
前記薄板の前記縁部の制御可能な前記位置合わせの工程を、該縁部を互いに遠ざけて制御可能に動かして行う、ことを特徴とする請求項9〜21の何れか1項記載の製造方法。
【請求項23】
前記形作りの工程および前記深絞りの工程を、ほぼ同時に行なう、ことを特徴とする請求項7〜22の何れか1項記載の製造方法。
【請求項24】
前記形作りの工程を、第2の時間に対応して行なう、ことを特徴とする請求項7〜23の何れか1項記載の製造方法。
【請求項25】
底壁、立設する側壁および少なくとも1つの角部を備えた旅行かばんのケース又は同等のためのプラスチック部品、特に外殻、好ましくは深絞り旅行かばんの外殻で、該部品は、熱可塑性プラスチック材料から成り、
該熱可塑性プラスチック材料は、配向した撚り糸の自己強化された熱可塑性プラスチック樹脂から選択され、
該撚り糸は、一般には配向しないほぼ同じ熱可塑性プラスチック材料の母材で囲まれ、
該部品が、基準厚みが約1〜約2.5mmで、好ましくは約1.0〜約2.0mmである、ことを特徴とするプラスチック部品。
【請求項26】
前記側壁が、深さの寸法を備え、前記底壁が長さおよび幅寸法を備えるほぼ長方形の形状で、幅は、長さ寸法より広くなく、深さ/幅寸法の比が、約0.1〜約0.5で、好ましくは0.22〜0.30である、ことを特徴とする請求項25記載のプラスチック部品。
【請求項27】
長さ/幅寸法の比が約1〜約2で、好ましくは約1〜約1.40である、ことを特徴とする請求項25または26記載のプラスチック部品。
【請求項28】
前記部品、特に前記旅行かばんの前記外殻の前記角部の曲率半径が、約80mm以下で、特に隣接する前記側壁につながる該角部で、好ましくは約60mm以下である、ことを特徴とする請求項25〜27の何れか1項記載のプラスチック部品。
【請求項29】
前記熱可塑性プラスチック材料が、ポリプロピレン、ポリエチレン、部分的に結晶したポリマー、およびこれらの組合せから成る群から選択される、ことを特徴とする請求項25〜28の何れか1項記載のプラスチック部品。
【請求項30】
前記熱可塑性プラスチック材料が、少なくとも1つの、好ましくは1つ以上の分子的に配向した細糸のポリプロピレンの層、および、少なくとも1つの、好ましくは1つ以上のほぼ無配向のポリプロピレンの層を備えている、ことを特徴とする請求項25〜29の何れか1項記載のプラスチック部品。
【請求項31】
前記熱可塑性プラスチック材料が、少なくとも1つの、好ましくは1つ以上の分子的に配向した細糸のポリエチレンの層、および、少なくとも1つの、好ましくは1つ以上のほぼ無配向のポリエチレンの層を備えている、ことを特徴とする請求項25〜30の何れか1項記載のプラスチック部品。
【請求項32】
前記熱可塑性プラスチック材料が、少なくとも1つの、好ましくは1つ以上の分子的に配向した細糸の高密度ポリエチレンの層、および、少なくとも1つの、好ましくは1つ以上の低密度のポリエチレンの層を備えている、ことを特徴とする請求項25〜31の何れか1項記載のプラスチック部品。
【請求項33】
前記自己強化された熱可塑性プラスチック材料が、ほぼ一枚板構造から成る、ことを特徴とする請求項25〜32の何れか1項記載のプラスチック部品。
【請求項34】
前記自己強化された熱可塑性プラスチック材料が、少なくとも一部に異なる方向に配向した撚り糸を備え、特に、異なる細糸で分子的に配向した細糸の多数の層、特に、隣接する層が、傾きを持ちまたは交差している、ことを特徴とする請求項25〜33の何れか1項記載のプラスチック部品。
【請求項35】
前記熱可塑性プラスチック材料を、裏張りを形成する布地、特に織ったまたは溶解した布地で重ね合せ、および/または、該熱可塑性プラスチック材料が、同一の、類似のまたは異なるプラスチック材料、好ましくはセル母材を備える、ことを特徴とする請求項25〜34の何れか1項記載のプラスチック部品。
【請求項36】
前記底壁、前記立設する側壁および少なくとも1つの前記角部を備えた前記旅行かばんのケース又は同等のための前記プラスチック部品、特に前記外殻、好ましくは前記深絞り旅行かばんの外殻で、該部品が、該熱可塑性プラスチック材料のほぼ前記一枚板構造で、特に請求項25〜35の何れか1項に記載のプラスチック部品において、
該底壁は、そこに成形された凸部および凹部の繰返しパターンを備え、
該底壁の全体の厚みが、該凸部、該凹部および該底壁残部の間でほぼ整合している、ことを特徴とする請求項25〜35の何れか1項記載のプラスチック部品。
【請求項37】
前記底壁、前記立設する側壁および少なくとも1つの前記角部を備えた前記旅行かばんのケース又は同等のための前記プラスチック部品、特に前記外殻、好ましくは前記深絞り旅行かばんの外殻で、
該部品が、前記熱可塑性プラスチック材料のほぼ前記一枚板構造で、特に請求項25〜36の何れか1項に記載のプラスチック部品において、
少なくとも該底壁の主要部が、そこに成形された前記凸部と前記凹部の前記繰返しパターンを備え、
該部品、特に該外殻の厚みが、該凸部および該凹部の領域でほぼ同一で、
この該凸部および該凹部は、交互に連続して形成され、ほぼ長手方向に延在し、特性波長を備える連続した曲線で、
隣接する曲線形状は、縦方向でほぼ波長部分に等しい距離だけ互いにオフセットしている、
ことを特徴とするプラスチック部品。
【請求項38】
前記底壁、前記立設する側壁および少なくとも1つの前記角部を備えた前記旅行かばんのケース又は同等のための前記プラスチック部品、特に前記外殻、好ましくは前記深絞り旅行かばんの外殻で、
該部品が、熱可塑性プラスチック材料から成り、特に請求項25〜37の何れか1項に記載のプラスチック部品において、
少なくとも該底壁の前記主要部が、そこに成形された前記凸部および前記凹部の連続したパターンを備え、
該部品、特に該外殻の厚みが、該凸部および該凹部の領域でほぼ同一で、
ここで該凹部は、該底壁の面内に全体の長方形の形状を備え、
ここで該凸部は、該底壁の面内に全体の長方形の形状を備え、
これら該凸部および該凹部は、交互に連続してほぼ平行に連続した起伏で形成され、
隣接する起伏は、縦寸法で、該凸部および該凹部のほぼ縦寸法だけ互いにオフセットしている、
ことを特徴とするプラスチック部品。
【請求項39】
前記凸部および前記凹部の長手寸法に垂直な断面に沿う壁部の厚みの中央線が、該凸部に対応する溝部および該凹部に対応する背部を示し、立設する壁で互いに接続される該溝部および該背部は、主要壁に対して抜き勾配に等しい角度を形成する、ことを特徴とする請求項25〜38の何れか1項記載のプラスチック部品。
【請求項40】
前記熱可塑性プラスチック材料の全体の厚みが、約2mm以下、好ましくは1.50mm以下で、分子的に配向した細糸の約20層以下で、好ましくは約10層以下である、ことを特徴とする請求項25〜39の何れか1項記載のプラスチック部品。
【請求項41】
少なくとも薄板の広域部の中心部を備えるプラスチック部品、特に外殻、好ましくは深絞り旅行かばんの外殻を製造する装置で、
ここで製造する該部品、特に該外殻は、底壁、立設する側壁、および、底壁と2つの側壁の交差部の少なくとも1つの一体に形成される角部を備え、
ここで好ましくは請求項1〜24の何れか1項記載の方法で請求項25〜40の何れか1項記載のプラスチック部品の製造による、
この該製造装置が、
該薄板をその縁部で把持する把持手段と、
該薄板を温度調整する手段と、
該中心部と該縁部の間の該広域部の第1の部分を形作る手段と、
少なくとも該薄板の該広域部の該中心部を該部品の予備成形物に、特に外殻予備成形物に深絞りする手段と、を備え、
該深絞り中に、少なくとも1つの工程条件に対応して、該把持手段および該薄板の該縁部を制御可能に位置合わせする手段から成る、
ことを特徴とする製造装置。
【請求項42】
前記形作る手段が、前記中心部と前記角部領域近傍の前記薄板の前記縁部の間の前記広域部の前記第1の部分に接触して位置合わせをする補助金型表面を備えている、ことを特徴とする請求項41記載の製造装置。
【請求項43】
前記深絞りする手段が外殻金型である、ことを特徴とする請求項41または42記載の製造装置。
【請求項44】
前記外殻金型が、整合した金型で、雄金型および対応した形状の雌金型表面から成る、ことを特徴とする請求項43記載の製造装置。
【請求項45】
前記薄板の前記縁部の制御可能な前記位置合わせ手段が、少なくとも前記1つの工程条件に対応して、該薄板の該縁部を制御可能に動かす手段を備える、ことを特徴とする請求項41〜44の何れか1項記載の製造装置。
【請求項46】
前記薄板の前記縁部を制御可能に動かす手段が、該薄板から前記把持手段に加わる張力に応答している、ことを特徴とする請求項41〜45の何れか1項記載の製造装置。
【請求項47】
前記薄板の前記縁部を制御可能に動かす手段が、第1の時間に応答している、ことを特徴とする請求項41〜46の何れか1項記載の製造装置。
【請求項48】
前記中心部と前記薄板の前記縁部の間の前記広域部の前記第1の部分を前記形作る手段が、吹込成形装置またはプラグ成形装置から成る、ことを特徴とする請求項41〜47の何れか1項記載の製造装置。
【請求項49】
好ましくは前記薄板の前記形作りおよび/または前記深絞り工程中に、次に前記温度調整を与える薄板内に生成する張力を積極的に制御する手段を、特に前記把持手段およびそれに関連する素子を用いて、該薄板の引っ張り領域に積極的に設ける、ことを特徴とする請求項41〜48の何れか1項記載の製造装置。
【請求項50】
前記薄板を前記把持(挟持)する手段が、全周囲を挟持された該薄板を形成する全てのテープを取り、該テープに張力を制御および操作する手段を備え、その張力が、好ましくは、力の駆動、位置の駆動、または、張力を加える装置の組合せである、ことを特徴とする請求項41〜49の何れか1項記載の製造装置。
【請求項51】
請求項41〜50の何れか1項記載の前記製造装置が、前記薄板の前記角部に特別な制御の変形を与える前記補助金型部を備え、全ての前記テープに張力を維持しおよび/または可能なしわが最終生産物に入り込むのを避ける、ことを特徴とする製造装置。
【請求項52】
請求項51記載の前記製造装置が、2つの独立に動く金型半分と連動して作動する引っ張り手段、または、独立した枠からテーブルの貫通孔を経て伸びる係合素子を備えた独立した上部または下部テーブルを使用する該引っ張り手段を備えている、ことを特徴とする製造装置。
【請求項53】
前記外殻金型が整合した金型で、整合した金型が、ほぼゼロに等しい抜き勾配の周囲の領域を備えた前記雌金型と、該雌金型の周囲領域に対応する金型表面を備えた前記雄金型とを備え、
該雄金型は、外側に拡張可能な弾性素子を備え、前記外殻の成形中に該雌金型の周囲領域に対して前記薄板を押し付け、
深絞りの該外殻が、抜き勾配がほぼゼロの部分を有した前記立設する側壁を備える、ことを特徴とする請求項41〜52の何れか1項記載の製造装置。
【請求項54】
布地、特に織物または編物を前記薄板に重ね合わせる手段を設けている、ことを特徴とする請求項41〜53の何れか1項記載の装置。
【請求項55】
前記把持手段が、対の細長いあごから成り、平面形状の対の上部および下部のあごに隣接して設けられたあごの作動駆動装置で、好ましくは重ね合わせた薄板の前記縁部を把持する、ことを特徴とする請求項41〜54の何れか1項記載の装置。
【請求項1】
高い成形度の領域(一体化して成形する角部および部品の主要な表面間の交差部の曲線または湾曲のような)を備えるプラスチック部品、特に外殻、好ましくは旅行かばんの外殻の製造方法が、
自己強化された熱可塑性プラスチック材料の薄板を供給し、
部品の予備成形物を残部薄板から取り除いて部品を成形するまで、全ての連続する部品の形作りおよび/または成形工程で、少なくとも一部分で該薄板を引っ張る、
ことを特徴とする製造方法。
【請求項2】
前記プラスチック部品を、主としてプレス成形、特に深絞り工程で形作りおよび/または成形する、ことを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
前記薄板の少なくとも重要なテープ、フィルム、細ひも、糸の引っ張りを、異なる方向に、好ましくは全体の方向に行ない、好ましくは、その引っ張りを全ての前記形作りおよび/または前記成形工程で常に行なう、ことを特徴とする請求項1または2記載の製造方法。
【請求項4】
前記薄板を引っ張って成形を開始する前に、該薄板の温度調整を含む、ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載の製造方法。
【請求項5】
前記形作りおよび/または前記成形(特に、前記深絞り)前に、前記自己強化された熱可塑性プラスチック材料の前記薄板に、布材料(特に、織物または編物)を重ね合わせる(特に、熱接着)、ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項記載の製造方法。
【請求項6】
前記布地を張り付けた薄板を、縁部の間に広域部を備える縁部近傍で把持する、ことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項記載の製造方法。
【請求項7】
前記広域部の第1部分、特に該広域部の中心部と前記縁部の間を、前記深絞り工程前に、予備加工、特に吹込成形またはプラグ成形にかける、ことを特徴とする請求項6記載の製造方法。
【請求項8】
少なくとも前記広域部の前記中心部を深絞りで成形して部品の予備成形物にする、ことを特徴とする請求項6または7記載の製造方法。
【請求項9】
深絞り中に、少なくとも1つの工程条件に応えて、前記薄板の前記縁部を互いに制御可能に位置させる、ことを特徴とする請求項2〜8の何れか1項記載の製造方法。
【請求項10】
成型後、前記部品の前記予備成形物、特に前記外殻の前記予備成形物を、余剰の薄板から除去し(特に、切り取り)、成形(特に、前記深絞り)した部品を形成する、ことを特徴とする請求項1〜9の何れか1項記載の製造方法。
【請求項11】
更に大きな変形作業が要求される高い成形度の領域(一体化して成形する前記角部および前記部品の主要な表面間の前記交差部の曲線または湾曲のような)を備える前記プラスチック部品、特に前記外殻、好ましくは前記旅行かばんの外殻の製造方法で、特に請求項1〜9の何れか1項記載の製造方法が、
前記自己強化された熱可塑性プラスチック材料の前記薄板を供給し、ここで該薄板は前記縁部および該縁部間の前記広域部を備えている、
該薄板に、所定の応力を加えて引っ張り、および/または、その自己強化された構造を考慮して温度調整をする、
該薄板を深絞りして少なくとも部分的に外殻の前記予備成形物にする、ここで同時に、少なくとも1つの工程条件に応えて、該薄板の該縁部を互いに制御可能に位置させ、
前記部品の該予備成形物を、前記残部の薄板から取り除き最終的に部品を形成する、ことを特徴とする製造方法。
【請求項12】
少なくとも前記薄板の前記広域部の中心部から、前記外殻(特に、深絞り旅行かばんの外殻)を製造する方法で、結果として生ずる部品が、底壁、立設する側壁、底壁と2つの側壁間の交差部の少なくとも1つの一体形成した角部を備え、特に、請求項1〜10の少なくとも1項記載の方法が、
前記熱可塑性プラスチック材料の前記薄板を供給し、ここで該薄板は、前記縁部および該縁部間の前記広域部を備えている、
把持手段で該薄板を該縁部近傍で把持し、
該薄板を温度調整し、
該広域部の中心部と該縁部間の広域部の前記第1の部分を形作りし、
少なくとも該広域部の中心部を深絞りし、該外殻の前記予備成形物にし、ここで深絞り中は、工程条件に応えて該薄板の該縁部を互いに制御可能に位置させ、
該薄板から該外殻の該予備成形物を切り、深絞りの該外殻を形成する、
ことを特徴とする方法。
【請求項13】
形作りおよび/または成形(特に、深絞り)前に、前記自己強化された熱可塑性プラスチック材料の前記薄板に、前記布材料(特に、織物または編物)を重ね合わせる(特に、熱接着)、ことを特徴とする請求項1〜12の何れか1項記載の製造方法。
【請求項14】
前記形作りの工程が、前記中心部と前記角の領域近くの前記縁部との間にある前記広域部の前記第1の部分に、補助金型表面を接触させることから成る、ことを特徴とする請求項7〜13の何れか1項記載の製造方法。
【請求項15】
前記深絞りの工程が、前記薄板の前記中央部を、外殻金型、特に雄金型および雌金型の少なくとも1つに接触させることからなる、ことを特徴とする請求項2〜14の何れか1項記載の製造方法。
【請求項16】
前記深絞りの工程で使用する前記外殻金型が、雄金型表面および対応して形作った雌金型表面から成る整合した金型である、ことを特徴とする請求項15記載の製造方法。
【請求項17】
前記薄板の前記縁部の制御可能な位置合わせの工程を、少なくとも1つの工程条件に対応して、該薄板の該縁部を制御可能に動かして行なう、ことを特徴とする請求項9〜16の何れか1項記載の製造方法。
【請求項18】
前記薄板の前記縁部の制御可能な前記位置合わせの工程を、該薄板で前記把持手段に加わる引っ張り力に対応して、該薄板の該縁部を制御可能に動かして行なう、ことを特徴とする請求項9〜17の何れか1項記載の製造方法。
【請求項19】
前記縁部の制御可能な前記位置合わせの工程を、第1の時間、特に最初の時間に対応して、該縁部を制御可能に動かして行なう、ことを特徴とする請求項9〜18の何れか1項記載の製造方法。
【請求項20】
前記薄板の該縁部の制御可能な前記位置合わせの工程の前記第1の時間が、前記深絞りの工程に掛かる時間に対応する、ことを特徴とする請求項19記載の製造方法。
【請求項21】
前記縁部の制御可能な前記位置合わせの工程を、該縁部を互いに向けて制御可能に動かして行なう、ことを特徴とする請求項9〜20の何れか1項記載の製造方法。
【請求項22】
前記薄板の前記縁部の制御可能な前記位置合わせの工程を、該縁部を互いに遠ざけて制御可能に動かして行う、ことを特徴とする請求項9〜21の何れか1項記載の製造方法。
【請求項23】
前記形作りの工程および前記深絞りの工程を、ほぼ同時に行なう、ことを特徴とする請求項7〜22の何れか1項記載の製造方法。
【請求項24】
前記形作りの工程を、第2の時間に対応して行なう、ことを特徴とする請求項7〜23の何れか1項記載の製造方法。
【請求項25】
底壁、立設する側壁および少なくとも1つの角部を備えた旅行かばんのケース又は同等のためのプラスチック部品、特に外殻、好ましくは深絞り旅行かばんの外殻で、該部品は、熱可塑性プラスチック材料から成り、
該熱可塑性プラスチック材料は、配向した撚り糸の自己強化された熱可塑性プラスチック樹脂から選択され、
該撚り糸は、一般には配向しないほぼ同じ熱可塑性プラスチック材料の母材で囲まれ、
該部品が、基準厚みが約1〜約2.5mmで、好ましくは約1.0〜約2.0mmである、ことを特徴とするプラスチック部品。
【請求項26】
前記側壁が、深さの寸法を備え、前記底壁が長さおよび幅寸法を備えるほぼ長方形の形状で、幅は、長さ寸法より広くなく、深さ/幅寸法の比が、約0.1〜約0.5で、好ましくは0.22〜0.30である、ことを特徴とする請求項25記載のプラスチック部品。
【請求項27】
長さ/幅寸法の比が約1〜約2で、好ましくは約1〜約1.40である、ことを特徴とする請求項25または26記載のプラスチック部品。
【請求項28】
前記部品、特に前記旅行かばんの前記外殻の前記角部の曲率半径が、約80mm以下で、特に隣接する前記側壁につながる該角部で、好ましくは約60mm以下である、ことを特徴とする請求項25〜27の何れか1項記載のプラスチック部品。
【請求項29】
前記熱可塑性プラスチック材料が、ポリプロピレン、ポリエチレン、部分的に結晶したポリマー、およびこれらの組合せから成る群から選択される、ことを特徴とする請求項25〜28の何れか1項記載のプラスチック部品。
【請求項30】
前記熱可塑性プラスチック材料が、少なくとも1つの、好ましくは1つ以上の分子的に配向した細糸のポリプロピレンの層、および、少なくとも1つの、好ましくは1つ以上のほぼ無配向のポリプロピレンの層を備えている、ことを特徴とする請求項25〜29の何れか1項記載のプラスチック部品。
【請求項31】
前記熱可塑性プラスチック材料が、少なくとも1つの、好ましくは1つ以上の分子的に配向した細糸のポリエチレンの層、および、少なくとも1つの、好ましくは1つ以上のほぼ無配向のポリエチレンの層を備えている、ことを特徴とする請求項25〜30の何れか1項記載のプラスチック部品。
【請求項32】
前記熱可塑性プラスチック材料が、少なくとも1つの、好ましくは1つ以上の分子的に配向した細糸の高密度ポリエチレンの層、および、少なくとも1つの、好ましくは1つ以上の低密度のポリエチレンの層を備えている、ことを特徴とする請求項25〜31の何れか1項記載のプラスチック部品。
【請求項33】
前記自己強化された熱可塑性プラスチック材料が、ほぼ一枚板構造から成る、ことを特徴とする請求項25〜32の何れか1項記載のプラスチック部品。
【請求項34】
前記自己強化された熱可塑性プラスチック材料が、少なくとも一部に異なる方向に配向した撚り糸を備え、特に、異なる細糸で分子的に配向した細糸の多数の層、特に、隣接する層が、傾きを持ちまたは交差している、ことを特徴とする請求項25〜33の何れか1項記載のプラスチック部品。
【請求項35】
前記熱可塑性プラスチック材料を、裏張りを形成する布地、特に織ったまたは溶解した布地で重ね合せ、および/または、該熱可塑性プラスチック材料が、同一の、類似のまたは異なるプラスチック材料、好ましくはセル母材を備える、ことを特徴とする請求項25〜34の何れか1項記載のプラスチック部品。
【請求項36】
前記底壁、前記立設する側壁および少なくとも1つの前記角部を備えた前記旅行かばんのケース又は同等のための前記プラスチック部品、特に前記外殻、好ましくは前記深絞り旅行かばんの外殻で、該部品が、該熱可塑性プラスチック材料のほぼ前記一枚板構造で、特に請求項25〜35の何れか1項に記載のプラスチック部品において、
該底壁は、そこに成形された凸部および凹部の繰返しパターンを備え、
該底壁の全体の厚みが、該凸部、該凹部および該底壁残部の間でほぼ整合している、ことを特徴とする請求項25〜35の何れか1項記載のプラスチック部品。
【請求項37】
前記底壁、前記立設する側壁および少なくとも1つの前記角部を備えた前記旅行かばんのケース又は同等のための前記プラスチック部品、特に前記外殻、好ましくは前記深絞り旅行かばんの外殻で、
該部品が、前記熱可塑性プラスチック材料のほぼ前記一枚板構造で、特に請求項25〜36の何れか1項に記載のプラスチック部品において、
少なくとも該底壁の主要部が、そこに成形された前記凸部と前記凹部の前記繰返しパターンを備え、
該部品、特に該外殻の厚みが、該凸部および該凹部の領域でほぼ同一で、
この該凸部および該凹部は、交互に連続して形成され、ほぼ長手方向に延在し、特性波長を備える連続した曲線で、
隣接する曲線形状は、縦方向でほぼ波長部分に等しい距離だけ互いにオフセットしている、
ことを特徴とするプラスチック部品。
【請求項38】
前記底壁、前記立設する側壁および少なくとも1つの前記角部を備えた前記旅行かばんのケース又は同等のための前記プラスチック部品、特に前記外殻、好ましくは前記深絞り旅行かばんの外殻で、
該部品が、熱可塑性プラスチック材料から成り、特に請求項25〜37の何れか1項に記載のプラスチック部品において、
少なくとも該底壁の前記主要部が、そこに成形された前記凸部および前記凹部の連続したパターンを備え、
該部品、特に該外殻の厚みが、該凸部および該凹部の領域でほぼ同一で、
ここで該凹部は、該底壁の面内に全体の長方形の形状を備え、
ここで該凸部は、該底壁の面内に全体の長方形の形状を備え、
これら該凸部および該凹部は、交互に連続してほぼ平行に連続した起伏で形成され、
隣接する起伏は、縦寸法で、該凸部および該凹部のほぼ縦寸法だけ互いにオフセットしている、
ことを特徴とするプラスチック部品。
【請求項39】
前記凸部および前記凹部の長手寸法に垂直な断面に沿う壁部の厚みの中央線が、該凸部に対応する溝部および該凹部に対応する背部を示し、立設する壁で互いに接続される該溝部および該背部は、主要壁に対して抜き勾配に等しい角度を形成する、ことを特徴とする請求項25〜38の何れか1項記載のプラスチック部品。
【請求項40】
前記熱可塑性プラスチック材料の全体の厚みが、約2mm以下、好ましくは1.50mm以下で、分子的に配向した細糸の約20層以下で、好ましくは約10層以下である、ことを特徴とする請求項25〜39の何れか1項記載のプラスチック部品。
【請求項41】
少なくとも薄板の広域部の中心部を備えるプラスチック部品、特に外殻、好ましくは深絞り旅行かばんの外殻を製造する装置で、
ここで製造する該部品、特に該外殻は、底壁、立設する側壁、および、底壁と2つの側壁の交差部の少なくとも1つの一体に形成される角部を備え、
ここで好ましくは請求項1〜24の何れか1項記載の方法で請求項25〜40の何れか1項記載のプラスチック部品の製造による、
この該製造装置が、
該薄板をその縁部で把持する把持手段と、
該薄板を温度調整する手段と、
該中心部と該縁部の間の該広域部の第1の部分を形作る手段と、
少なくとも該薄板の該広域部の該中心部を該部品の予備成形物に、特に外殻予備成形物に深絞りする手段と、を備え、
該深絞り中に、少なくとも1つの工程条件に対応して、該把持手段および該薄板の該縁部を制御可能に位置合わせする手段から成る、
ことを特徴とする製造装置。
【請求項42】
前記形作る手段が、前記中心部と前記角部領域近傍の前記薄板の前記縁部の間の前記広域部の前記第1の部分に接触して位置合わせをする補助金型表面を備えている、ことを特徴とする請求項41記載の製造装置。
【請求項43】
前記深絞りする手段が外殻金型である、ことを特徴とする請求項41または42記載の製造装置。
【請求項44】
前記外殻金型が、整合した金型で、雄金型および対応した形状の雌金型表面から成る、ことを特徴とする請求項43記載の製造装置。
【請求項45】
前記薄板の前記縁部の制御可能な前記位置合わせ手段が、少なくとも前記1つの工程条件に対応して、該薄板の該縁部を制御可能に動かす手段を備える、ことを特徴とする請求項41〜44の何れか1項記載の製造装置。
【請求項46】
前記薄板の前記縁部を制御可能に動かす手段が、該薄板から前記把持手段に加わる張力に応答している、ことを特徴とする請求項41〜45の何れか1項記載の製造装置。
【請求項47】
前記薄板の前記縁部を制御可能に動かす手段が、第1の時間に応答している、ことを特徴とする請求項41〜46の何れか1項記載の製造装置。
【請求項48】
前記中心部と前記薄板の前記縁部の間の前記広域部の前記第1の部分を前記形作る手段が、吹込成形装置またはプラグ成形装置から成る、ことを特徴とする請求項41〜47の何れか1項記載の製造装置。
【請求項49】
好ましくは前記薄板の前記形作りおよび/または前記深絞り工程中に、次に前記温度調整を与える薄板内に生成する張力を積極的に制御する手段を、特に前記把持手段およびそれに関連する素子を用いて、該薄板の引っ張り領域に積極的に設ける、ことを特徴とする請求項41〜48の何れか1項記載の製造装置。
【請求項50】
前記薄板を前記把持(挟持)する手段が、全周囲を挟持された該薄板を形成する全てのテープを取り、該テープに張力を制御および操作する手段を備え、その張力が、好ましくは、力の駆動、位置の駆動、または、張力を加える装置の組合せである、ことを特徴とする請求項41〜49の何れか1項記載の製造装置。
【請求項51】
請求項41〜50の何れか1項記載の前記製造装置が、前記薄板の前記角部に特別な制御の変形を与える前記補助金型部を備え、全ての前記テープに張力を維持しおよび/または可能なしわが最終生産物に入り込むのを避ける、ことを特徴とする製造装置。
【請求項52】
請求項51記載の前記製造装置が、2つの独立に動く金型半分と連動して作動する引っ張り手段、または、独立した枠からテーブルの貫通孔を経て伸びる係合素子を備えた独立した上部または下部テーブルを使用する該引っ張り手段を備えている、ことを特徴とする製造装置。
【請求項53】
前記外殻金型が整合した金型で、整合した金型が、ほぼゼロに等しい抜き勾配の周囲の領域を備えた前記雌金型と、該雌金型の周囲領域に対応する金型表面を備えた前記雄金型とを備え、
該雄金型は、外側に拡張可能な弾性素子を備え、前記外殻の成形中に該雌金型の周囲領域に対して前記薄板を押し付け、
深絞りの該外殻が、抜き勾配がほぼゼロの部分を有した前記立設する側壁を備える、ことを特徴とする請求項41〜52の何れか1項記載の製造装置。
【請求項54】
布地、特に織物または編物を前記薄板に重ね合わせる手段を設けている、ことを特徴とする請求項41〜53の何れか1項記載の装置。
【請求項55】
前記把持手段が、対の細長いあごから成り、平面形状の対の上部および下部のあごに隣接して設けられたあごの作動駆動装置で、好ましくは重ね合わせた薄板の前記縁部を把持する、ことを特徴とする請求項41〜54の何れか1項記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図3.1】
【図3.2】
【図3.3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図6.1】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図14a】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図3.1】
【図3.2】
【図3.3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図6.1】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図14a】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公表番号】特表2008−502503(P2008−502503A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515794(P2007−515794)
【出願日】平成17年4月13日(2005.4.13)
【国際出願番号】PCT/EP2005/003899
【国際公開番号】WO2005/123369
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(500097496)サムソナイト コーポレーション (5)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月13日(2005.4.13)
【国際出願番号】PCT/EP2005/003899
【国際公開番号】WO2005/123369
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(500097496)サムソナイト コーポレーション (5)
【Fターム(参考)】
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