説明

自己殺菌された防腐コラーゲン製剤、それらの使用およびそれらの製造方法

本発明は、コラーゲン製剤を殺菌する方法、自己殺菌された防腐コラーゲン製剤の製造、例えば、特に医薬および/または化粧用の目的のための、スポンジ、フィルムまたはゲル、などのコラーゲン製品の製造のためのそれらの使用、並びに、自己殺菌されたコラーゲン製剤から製造された製品に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コラーゲン製剤の殺菌(sterilising)方法に関し、自己殺菌された防腐(antiseptic)コラーゲン製剤の製造に関し、特に医薬および/または化粧目的のための、例えば、スポンジ、フィルムまたはゲルなどのコラーゲン製品の製造のための使用に関し、自己殺菌されたコラーゲン製剤から製造された製品に関する。
【背景技術】
【0002】
コラーゲンは、皮膚、骨、腱、軟骨および血管の最も重要な繊維性の成分である。コラーゲンは構造タンパク質であり、特別なアミノ酸組成によって特徴付けられる。したがって、ポリペプチド鎖のグリシン残基の部分は、ほとんど3分の1からなり、プロリンの比率はほとんどのタンパク質よりも高く、そしてコラーゲンは他のタンパク質にはほとんどみられないアミノ酸、4−ヒドロキシプロリンおよび5−ヒドロキシリシンの存在によって特徴付けられる。その天然の形態において、コラーゲンは、三重により合わさったらせん(三重らせん)として生じ、コラーゲンを形成するトロポコラーゲン分子内および分子間における架橋の形成によって安定化されている。
【0003】
コラーゲンは、食品産業において、医薬および化粧産業において、ならびに医療において多様な適用のための出発材料として用いられる、生分解性ならびに生体適合性のタンパク質である。コラーゲン製品の多数は、既に知られた、例えば、医療にも用いられるスポンジ、創傷被覆材、フィルム、メンブレンまたはゲルである。
【0004】
例えば、EP 0 901 795には、固体のリン酸水素/リン酸二水素バッファーを有するコラーゲンスポンジおよび創傷被覆材としてのそれらの使用が記載されている。この創傷被覆材は、水溶性の弱酸バッファーシステムを付与され、創傷表面のpH値を酸性の範囲、すなわち3.5〜6.5の間のpH値に維持するように利用される。
【0005】
EP 0 562 862には、創傷インプラントとしての生体吸収性スポンジ材料が記載されている。これらのスポンジ材料は、配向された(oriented)基礎構造を含むコラーゲンマトリックスを含む。マトリックスおよび/または基礎構造は、酸化再生セルロースを含み得る。
【0006】
GB 2 280 850には、歯周病の処置のための活性物質が付与されたインプラントが記載され、該インプラントは、酸化再生コラーゲンであってもよい生分解性ポリマーの層で補強されたコラーゲンフィルムを含む。コラーゲンマトリックスはまた、該マトリックスに分散している酸化再生コラーゲンの繊維またはフラグメントを含んでいてもよい。
【0007】
GB 1 515 963には、手術用および他の医薬用の適用のための、血管移植および他のタイプの内部人工器官用のコラーゲンをベースとした材料が開示されており、該コラーゲンはムコ多糖と架橋している。この材料は、コラーゲンと不可逆的に結合した、少なくとも5重量%のムコ多糖を含む。ムコ多糖は、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸またはヘパリン硫酸などのヘキソサミン残基を含有する動物性多糖である。
【0008】
US 4,614,794には、コラーゲンと、例えば、アルギン酸ナトリウムなどの植物からのポリアニオン性多糖との間に形成された複合体を記載している。これらの複合体は、好ましくは、タンパク質の等電点よりも高くないpH値で得られる。複合体は、大多数の医薬および外科的適用に対して好適であるといわれている。
【0009】
商業的に利用可能なコラーゲン製品は、典型的には、例えば、ウシ、ウマまたはブタ由来の、哺乳動物の結合組織、皮膚、骨格または腱から作られる。代替的に、コラーゲンは、特に、属Chondrosia reniformis(Porifera、Demospongiae)の海綿動物由来の、海洋の海綿動物から単離することができる。海洋の海綿動物からのコラーゲンの単離方法は、例えば、WO 01/64046およびDE 10 2005 008 416に開示されている。
【0010】
コラーゲンをベースとした製品、特に医薬分野での適用のためのコラーゲン製品は、その製造の間に殺菌されなければならない。コラーゲン製品を殺菌するための慣用の方法は、ガンマ線および/またはベータ線の照射またはコラーゲン製品のエチレンオキシドによる燻蒸である。
【0011】
既知のコラーゲン製品の殺菌方法の欠点は、ガンマ線および/またはベータ線での照射によって、コラーゲン製品におけるコラーゲンの三重らせん配座が破壊され、コラーゲンの有効性、したがって製品の有効性が、それによって損なわれる。エチレンオキシドは毒性物質であり、その痕跡は、燻蒸されたコラーゲン製品に残り得る。
前記の殺菌方法は、さらに、高価で時間を消費する。
【発明の開示】
【0012】
したがって、本発明の目的は、前記の慣用の殺菌方法の欠点を避けることができるように、コラーゲン製品を殺菌方法を提供することである。
【0013】
この目的は、水性コラーゲン含有溶液または懸濁液、または水性コラーゲン製剤を、コラーゲン製品へ処理する前に、抗菌活性剤(すなわち、防腐剤)をそれに添加して殺菌する方法によって、達成される。
【0014】
水性コラーゲン溶液または水性コラーゲン懸濁液は、コラーゲンの水、特に精製水、または食塩水またはリンガー液への溶液または懸濁液を意味する。コラーゲン製剤は、さらに1または2以上の他の物質もしくは化合物、例えば、薬学的および/または化粧用活性物質、抗酸化剤、ビタミン類、発泡防止剤、着色剤、着色効果を備えた顔料、増粘剤、可塑剤、保湿剤、界面活性剤、多糖および当業者に知られた他の補助物質、本発明により規定された防腐剤をも含有する水性コラーゲン溶液または懸濁液を意味すると理解される。
【0015】
本発明の方法によれば、例えば、創傷の感染を防ぐのに役立ち得る抗菌作用を有する水溶性の剤、即ち、防腐剤が、コラーゲンを含有する溶液または懸濁液に添加される。かかる抗菌活性剤の例は、クロルヘキシジン、ヘキセジチン、ニトロキソリン、オクテニジン、ポリヘキサニドおよびタウロリン(=タウロリジン)である。
【0016】
好ましくは、カチオン性防腐剤は抗菌剤として利用される。カチオン性の抗菌活性剤の例は、ポリヘキサメチレンビグアニド(=ポリヘキサニド、PHMB)の塩、オクテニジンの塩およびクロルヘキシジンの塩である。具体例は、クロルヘキシジン二塩酸塩、クロルヘキシジン二酢酸塩、クロルヘキシジン-D-二グルコン酸塩、オクテニジン二塩酸塩およびオクテニジン ジサッカリンであり、ポリヘキサメチレンビグアニドの塩酸塩が特に好ましい。
【0017】
前記のポリヘキサメチレンビグアニドの塩、オクテニジンの塩およびクロルヘキシジンの塩の代替物として、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウムまたはタウロリジンを利用することも可能である。
【0018】
ポリヘキサメチレンビグアニド塩は、細菌および糸状菌に対する広い範囲の作用を有する水溶性オリゴマーを含む。好ましくは、平均分子量2300〜3100、特に好ましくは、2300〜2900未満のPHMBが用いられる。
【0019】
本発明による方法において、好ましくは、0.5〜3重量%のコラーゲン成分を有する、100部の水性コラーゲン溶液または製剤を、0.05〜1部の20%(w/w)抗菌活性剤水溶液と混ぜる。コラーゲン溶液/製剤のpH値は、好ましくは、5〜7、より好ましくは、5〜6.5である。コラーゲン溶液/製剤のpH値は、防腐溶液の添加の前にセットすることができる。防腐剤の添加に続いて、コラーゲン製剤は、貯蔵することまたはすぐに所望のコラーゲン製品に処理することができる。
【0020】
したがって、本発明による方法は、広範囲に亘り抗菌活性剤含有量の変化を許容し、該含有量を、コラーゲン含有製剤から製造されるであろう製品に置かれるべき要求に適合させる。このことは防腐活性剤が、得られたコラーゲン含有製剤における抗菌活性剤の含有量が、コラーゲン製剤の乾燥物に対して、0.1〜40重量%、特に好ましくは0.5〜4重量%になるような量で、コラーゲン溶液、懸濁液または製剤に添加できることを意味する。
【0021】
本発明の方法は以下の利点をもたらす:
― コラーゲンのタイプおよび/または起源は、制限を示さない、
― さらに処理される前にコラーゲン製剤の殺菌が保証される、
― コラーゲン製剤は、その使用前の長期間保存することができる、
― コラーゲンと、製造される製剤または製品に含まれる他の成分との親和性は害されない、
― 製造される製品の色および匂いは、悪影響を及ぼさない、
― コラーゲン溶液の粘性は、わずかに増加し、これはコラーゲン溶液のさらなる処理において利点になり得る、
― 抗菌活性剤の量は相対的に少なく、コラーゲン製品の製造のためのコストは、対して増加しない。
【0022】
1つの特定の態様において、界面活性剤または界面活性剤の混合物を防腐剤に加えてコラーゲン溶液、懸濁液または製剤に添加し、該界面活性剤はコラーゲン製剤において、防腐剤、特にPHMBの作用に悪影響を及ぼさないように、好ましくは、両性または非イオン性形態で存在する。
【0023】
PHMBの抗菌特性に悪影響を及ぼさない界面活性剤はWO 03/004013に開示されている。これらの界面活性剤は、グリシン誘導体、スルホサクシネート誘導体および脂肪酸のアミド誘導体であり、これらの夫々は、単独または互いに任意の所望の組み合わせで用いられ得る。
【0024】
グリシンの脂肪酸、スルホサクシネート誘導体およびアミド誘導体は、好ましくは、10〜18個の炭素原子の鎖長を有し、好ましくは非分枝状である。飽和および不飽和の脂肪酸の両方が好適である。特に好ましい脂肪酸は、ウンデシレン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、ステアリン酸およびリシノール酸またはココナッツ脂肪酸である。
【0025】
グリシン誘導体は、好ましくは、ベタイン誘導体、特に好ましくは、脂肪酸のアミドアルキルベタイン誘導体である。アルキル残基は、好ましくはエチル基またはプロピル基である。特に好適なグリシン誘導体の例は、ココアミドプロピルベタイン(cocoamidopropyl betaine)、ラウリジメチルアミノアルキルベタイン(laurdimethyl aminoalkyl betaine)、リシノールアミドプロピルベタイン(ricinoleamidopropyl betaine)およびウンデシレンアミドプロピルベタインである。
【0026】
防腐剤を含有するコラーゲン製剤は、グリシン誘導体に加えて、またはグリシン誘導体に代えて、脂肪酸アミド、および/または脂肪酸スルホサクシネートおよび/または脂肪酸アミドを含んでいてもよい。それらの構造の点では、スルホサクシネートはアニオン性の化合物であるが、溶液の適当なpH値において、非イオン性形態で存在する可能性があり、実際に、この形態でそれらを用いることが好都合である。
【0027】
前記の界面活性剤の代替物として、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリドがコラーゲン溶液または製剤に添加されてもよい。なぜなら、WO 2004/032945にしたがって、このカチオン性界面活性剤は、PHMB-HCLの抗菌活性害することがなく、相乗作用さえ導くからである。
【0028】
界面活性剤または界面活性剤の混合物は、好ましくは、0.01〜1.5重量%、より好ましくは0.03〜1重量%および特に好ましくは0.05〜0.4重量%でコラーゲン製剤に含有される。
【0029】
防腐剤および任意の界面活性剤の添加の前または後、少なくとも1つの多糖、好ましくはアニオン性多糖を、コラーゲン溶液/懸濁液または製剤に添加し得る。アニオン性多糖は、アルギン酸塩、ヒアルロン酸およびその塩(ヒアルロン酸塩)、ペクチン、カラギーナン、キサンタン、硫酸デキストラン、セルロース誘導体、酸化再生セルロースなどの酸化セルロース、およびこれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0030】
さらに、コンドロイチン、コンドロイチン−4−硫酸、コンドロイチン−6−硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸塩、ケラタン硫酸塩、デルマタン硫酸塩、デンプン誘導体および他のポリグルコシドもまた用いられ得る。
【0031】
好ましくは、実質的にpH7で水に不溶性であるアニオン性多糖が利用される。好ましくは、アニオン性多糖は、20,000を超える、特に好ましくは50,000を超える分子量を有する。
【0032】
多糖は、製剤の乾燥重量に対して、好ましくは、10〜90重量%、特に好ましくは25〜75重量%の量でコラーゲン溶液、懸濁液または製剤に添加される。
【0033】
本発明の方法を行うために、如何なる順番でさらなる物質または化合物がコラーゲン溶液/懸濁液に添加されるかは無関係である。
【0034】
したがって、防腐剤は、最初の物質としてだけでなく、既に例えば多糖および/または界面活性剤などを含む既製のコラーゲン製剤のさらなる処理の直前ぐらいの遅くに、コラーゲン溶液/懸濁液に添加することができる。
【0035】
本発明のさらなる主題は、前記の方法によって得ることができるコラーゲン含有製剤である。
【0036】
したがって本発明は、自己殺菌されたものおよび防腐剤の分野で既知のコラーゲン製剤および製品と区別される水性コラーゲン含有製剤に関する
【0037】
本明細書において自己殺菌されたとは、殺菌後にアクセスする微生物(細菌、酵母、カビなど)が繁殖できず、効果的に殺されることを意味する。
【0038】
本発明のコラーゲン含有製剤は、少なくとも1つの水溶性防腐活性剤、好ましくはカチオン性防腐剤を含む。好適な防腐剤は、例えば、クロルヘキシジンの塩、オクテニジンの塩またはポリヘキサメチレンビグアニドの塩であってよい。好適な塩の例としては、ポリヘキサメチレンビグアニド塩酸塩、クロルヘキシジン二塩酸塩、クロルヘキシジン二酢酸塩、クロルヘキシジン−D−二グルコン酸塩、オクテニジン二塩酸塩およびオクテニジンジサッカリンが挙げられる。代替物として、本製剤のコラーゲン製剤は、タウロリジンを含み得る。
【0039】
好ましくは、コラーゲン製剤は、コラーゲン製剤の乾燥重量に対し、0.1〜40重量%、より好ましくは、0.5〜4重量%の量で防腐活性剤の抗菌活性剤を含有する。
【0040】
有利には、コラーゲン含有製剤は、界面活性剤または界面活性剤の混合物を含み、好ましくは、コラーゲン含有製剤において両性または非イオン性の形態で存在する界面活性剤または界面活性剤の混合物を含む。これらの界面活性物質は、グリシン誘導体、スルホサクシネート誘導体および、好ましくは、10〜18個の炭素原子の鎖長を有し、特に非分枝状である脂肪酸のアミド誘導体である。
代替物として、コラーゲン含有製剤は、ジステアリルジメチルアミノクロリドを含み得る。
【0041】
本発明によるコラーゲン含有製剤は、0.01〜1.5重量%の量で、好ましくは、0.03〜1重量%の量で、そしてより好ましくは、0.05〜0.4重量%の量で界面活性剤または界面活性剤の混合物を含んでいてもよい。
1つの特定の態様において、コラーゲン含有製剤は少なくとも1つの多糖、好ましくはアニオン性の多糖を含む。
【0042】
好適な多糖は、アルギン酸塩、ヒアルロン酸およびその塩(ヒアルロン酸塩)、ペクチン、カラギーナン、キサンタン、硫酸デキストラン、セルロース誘導体、酸化再生セルロースなどの酸化セルロース、コンドロイチン、コンドロイチン4硫酸、コンドロイチン6硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、ケラタン硫酸、デルマタン硫酸、デンプン誘導体およびこれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0043】
コラーゲン含有製剤に含まれる多糖部分は、好ましくは10〜90重量%、好ましくは25〜75重量%である。
【0044】
本発明のコラーゲン製剤は、それ自体知られた方法を用いて製造された後、本発明のコラーゲン製剤は、殺菌されているだけでなく、さらに自己殺菌されているので、直ぐにさらに処理されるか、または、最初に一時的に貯蔵され得る。
【0045】
本発明のコラーゲン含有製剤は、自己殺菌された防腐コラーゲン製品を製造するのに有利に用いられ得る。好ましいコラーゲン製品は、例えば、パウダー、ミクロスフェア、フレーク、ファイバー、織布、マット、フィルム、メンブレン、スポンジ、軟膏およびゲルであり、特に化粧および/または医療分野の適用のためのものである。特に好ましいコラーゲン製品は、創傷被覆材である。
【0046】
例えば、コラーゲンスポンジは、本発明のコラーゲン含有製剤を発泡させ、または真空下で含まれる空気を除去し、発砲されたまたは脱気されたコラーゲン製剤を型枠に満たし、それを急速冷凍し(deep-frozen)、続いて急速冷凍コラーゲン製剤を凍結乾燥することによって、製造することができる。
【0047】
例1
1リットルの1%(w/w)水性コラーゲン溶液(pH6.5)を、20mlの20%水性ポリ(ヘキサメチレンビグアニド)塩酸塩溶液(Cosmocil(登録商標)QC)と室温で激しく混合した。混合の後、製剤の粘性はコラーゲンとPHMBとの間の物理的な相互作用のため、わずかに上昇する。得られた混合物を、ポリスチレン、ポリエチレンまたはポリプロピレンの型枠に流し込み、−40℃で急速冷凍し、真空下で乾燥(凍結乾燥)した。
【0048】
抗菌活性を試験するため、得られたコラーゲンスポンジに標準のテスト(寒天拡散法)を行った。これら寒天拡散法は、Staphylococcus aureus、Pseudomonas aeruginosaおよびCandida albicansを用いて行い、120時間以上の間続けたコラーゲンスポンジの抗菌作用示した。
【0049】
例2
800mlの例1のコラーゲン/PHMB混合物を、200mlの1%(w/w)アルギン酸ナトリウム水溶液と室温で激しく攪拌した。このように得られたコラーゲン製剤をポリスチレン、ポリエチレンまたはポリプロピレンの型枠に流し込み、−40℃で急速冷凍し、真空下で乾燥(凍結乾燥)した。
【0050】
抗菌効果を試験するため、得られたコラーゲンスポンジに標準のテスト(寒天拡散法)を行った。これら寒天拡散法は、Staphylococcus aureus、Pseudomonas aeruginosaおよびCandida albicansを用いて行い、120時間以上の間続けたコラーゲンスポンジの抗菌作用示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己殺菌された防腐コラーゲン製剤の製造方法であって、水溶性防腐活性剤を水性コラーゲン溶液または水性コラーゲン懸濁液に添加することを特徴とする、前記製造方法。
【請求項2】
防腐活性剤がカチオン性防腐剤であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
防腐活性剤が、クロルヘキシジンの塩、オクテニジンの塩、ポリヘキサメチレンビグアニドの塩、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウムおよびタウロリジンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
防腐活性剤が、ポリヘキサメチレンビグアニド塩酸塩、クロルヘキシジン二塩酸塩、クロルヘキシジン二酢酸塩、クロルヘキシジン-D-二グルコン酸塩、オクテニジン二塩酸塩およびオクテニジンジサッカリンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
防腐活性剤が、得られたコラーゲン含有製剤における抗菌活性剤の含有量が、得られたコラーゲン製剤の乾燥重量に対して、0.1〜40重量%、好ましくは、0.5〜4重量%になる量で添加されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
界面活性剤が、コラーゲン溶液、分散液または製剤に添加され、好ましくは界面活性剤が両性または非イオン性の形態で得られたコラーゲン製剤に存在することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
界面活性剤が、脂肪酸のグリシン誘導体、脂肪酸のスルホサクシネート誘導体、脂肪酸のアミド誘導体およびジステアリルジメチルアンモニウムクロリドを含む群から選択され、前記脂肪酸が好ましくは10〜18炭素原子の鎖長を有し、好ましくは非分枝状であることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
界面活性剤または界面活性剤の混合物が、得られたコラーゲン製剤に対して、0.01〜1.5重量%、好ましくは0.03〜1重量%、特に好ましくは0.05〜0.4重量%の量で添加されることを特徴とする、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
多糖、好ましくは、アニオン性多糖をコラーゲンをコラーゲン溶液、分散液または製剤に添加することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
多糖が、アルギン酸塩、ヒアルロン酸およびその塩(ヒアルロン酸塩)、ペクチン、カラギーナン、キサンタン、硫酸デキストラン、セルロース誘導体、酸化再生セルロースなどの酸化セルロース、コンドロイチン、コンドロイチン4硫酸、コンドロイチン6硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、ケラタン硫酸、デルマタン硫酸、デンプン誘導体およびこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
多糖が、得られたコラーゲン製剤に対して、10〜90重量%、好ましくは25〜75重量%の量で添加されることを特徴とする、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
自己殺菌され、防腐性であることを特徴とする、水性コラーゲン含有製剤
【請求項13】
水溶性防腐活性剤を含むことを特徴とする、請求項12に記載のコラーゲン含有製剤。
【請求項14】
防腐活性剤がカチオン性防腐剤であることを特徴とする、請求項12または13に記載のコラーゲン含有製剤。
【請求項15】
防腐剤が、クロルヘキシジンの塩、オクテニジンの塩、ポリヘキサメチレンビグアニドの塩およびタウロリジンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項13または14に記載のコラーゲン含有製剤。
【請求項16】
防腐剤が、ポリヘキサメチレンビグアニド塩酸塩、クロルヘキシジン二塩酸塩、クロルヘキシジン二酢酸塩、クロルヘキシジン-D-二グルコン酸塩、オクテニジン二塩酸塩およびオクテニジンジサッカリンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項15に記載のコラーゲン含有製剤。
【請求項17】
防腐活性剤の抗菌活性剤を、コラーゲン製剤の乾燥重量に対し、0.1〜40重量%、好ましくは0.5〜4重量%の量で含むことを特徴とする、請求項15または16に記載のコラーゲン含有製剤。
【請求項18】
製剤が、少なくとも1つの界面活性剤を含み、好ましくは界面活性剤が両性または非イオン性の形態で製剤中に存在することを特徴とする、請求項12〜17のいずれかに記載のコラーゲン含有製剤。
【請求項19】
界面活性剤が、脂肪酸のグリシン誘導体、脂肪酸のスルホサクシネートおよび脂肪酸のアミドおよびジステアリルジメチルアンモニウムクロリドを含む群から選択され、前記脂肪酸が好ましくは10〜18炭素原子の鎖長を有し、好ましくは非分枝状であることを特徴とする、請求項18に記載のコラーゲン含有製剤。
【請求項20】
界面活性剤または界面活性剤の混合物が、0.01〜1.5重量%、好ましくは0.03〜1重量%、特に好ましくは0.05〜0.4重量%の量でコラーゲン製剤に含まれることを特徴とする、請求項18または19に記載のコラーゲン含有製剤。
【請求項21】
少なくとも1つの多糖、好ましくは少なくとも1つのアニオン性の多糖を含むことを特徴とする、請求項12〜20のいずれかに記載のコラーゲン含有製剤。
【請求項22】
多糖が、アルギン酸塩、ヒアルロン酸およびその塩(ヒアルロン酸塩)、ペクチン、カラギーナン、キサンタン、硫酸デキストラン、セルロース誘導体、酸化再生セルロースなどの酸化セルロース、コンドロイチン、コンドロイチン4硫酸、コンドロイチン6硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、ケラタン硫酸、デルマタン硫酸、デンプン誘導体およびこれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項21に記載のコラーゲン含有製剤。
【請求項23】
コラーゲン含有製剤中の多糖の量が、製剤の乾燥重量に対して、10〜90重量%、好ましくは、25〜75重量%であることを特徴とする、請求項21または22に記載のコラーゲン含有製剤。
【請求項24】
自己殺菌された防腐コラーゲン製品の製造のための、請求項12〜23のいずれかに記載のコラーゲン含有製剤の使用。
【請求項25】
コラーゲン製品が、パウダー、ミクロスフェア、フレーク、ファイバー、織布、マット、フィルム、メンブレン、スポンジ、創傷被覆、軟膏またはゲルであり、特に化粧または医療の適用のためのものであることを特徴とする、請求項24に記載の使用。
【請求項26】
コラーゲンスポンジの製造方法であって、請求項12〜23のいずれかに記載のコラーゲン含有製剤を、(i)発泡させるかまたは真空下でコラーゲン含有製剤に含まれる空気を除去し、(ii)発泡したまたは脱気されたコラーゲン製剤を急速冷凍し、(iii)急速冷凍したコラーゲン製剤を凍結乾燥することを特徴とする、前記製造方法。

【公表番号】特表2008−536886(P2008−536886A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−506990(P2008−506990)
【出願日】平成18年4月18日(2006.4.18)
【国際出願番号】PCT/EP2006/003520
【国際公開番号】WO2006/111347
【国際公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(507283986)ローマン ウント ラウシャー ゲーエムベーハー ウント ツェーオー.カーゲー (4)
【Fターム(参考)】