説明

自消性ポリマー組成物

有機ポリマー又は重合性モノマー中に分散したアジドポリマー表面修飾粒子相を有する、ポリマーの可燃性を低減するのに十分な量の該有機ポリマー又は該重合性モノマーを含む組成物が記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自消性ポリマー組成物及びそれらから作られた物品を目的とする。
【背景技術】
【0002】
ポリマー類は、可燃性を低減(又は燃焼耐性を増大)させようとして、多様な添加剤類で修飾されてきた。このような添加剤類は、亜リン酸塩類、リン酸塩類、ハロゲン化アルキルラジカル類を含有するチオリン酸エステル類、及び他のハロゲン化有機化合物類を含んでいた。このような多くの添加剤類は、得られる物品の物理的及び/又は光学的特性に悪影響を与える可能性のあるような比較的高重量%で添加しなければならない。ポリテトラフルオロエチレンは、抗滴及び難燃剤として多くのポリマー類に添加されてきたが、それらから作られた成形品の明澄性及び透明性に悪影響を与える。ガラス繊維を添加してもよいが、その添加はポリマーマトリックス及び光学的特性に悪影響を与える。多くの用途では、ポリマー組成物は減少した光学的特性を隠すために顔料を添加することによって不透明になる。
【0003】
より最近になって、ポリマー用途用の新しい難燃剤の需要が増大している。既存製品は低価格で難燃性をもたらすという点では有効であるが、環境持続性、生物濃縮物質を考慮すると、健康及び環境リスクの点で懸念が生じている。一部のヨーロッパの国々においては、ハロゲン化及び重金属含有抑制剤の禁止が提案されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アジド含有化合物類及びポリマー類(「アジドポリマー類」)は、アジド(−N)基が高エネルギー、かつ高重量%荷重でポリマー又はオリゴマーに組み込むことが可能であるため、火薬及び噴射剤の分野において重要である。アジドポリマー類の有用な部類は、例えばグリシジルアジドポリマー(「GAP」)及びビス(アジドメチル)オキセタンポリマー(「BAMO」)のようなアジド置換ポリエーテル類として記載されている、オリゴマー類、ポリマー類又はコポリマー類である。一般に、重合製品は比較的低分子量なポリマー又はオリゴマー(例えば、数平均分子量500〜25,000)である。或いは、米国特許第3,694,383号、同第3,645,917号、同第4,483,978号、及び同第4,879,419号に記載されているような、高分子量ポリマー(例えば分子量25,000〜100,000)であってもよい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一様態においては、本発明は、熱可塑性ポリマー類、熱硬化性ポリマー類、エラストマー類及びそのこれらの混合物から成る群から選択され、ポリマーの可燃性を低減させるのに十分な量の、その中に分散したアジドポリマー表面修飾粒子相を有する有機ポリマーを含む、ポリマー組成物を目的とする。好ましくは、アジドポリマーはグリシジルアジドポリマーである。
【0006】
別の様態においては、本発明は、表面修飾ナノ粒子及び1以上の重合性モノマー類を含む重合性組成物を提供する。重合した際、得られるポリマー類は可燃性が低減している。
【0007】
本発明のポリマー及び重合性組成物は、例えば注入成形(casting)、成形(molding)又は押出成形(extrusion)によって製造された造形品の調製時に有用である。自動車部品、電動モータハウジング、装置、モニターハウジングのようなコンピュータ機器、航空機部品、ガラス代替品(glass replacement)、光学レンズ及びヘッドランプレンズが含まれている。添加剤(アジドポリマー表面修飾粒子相)は、光学的特性に有害な影響を与えることなく物品の可燃性を低減させるのに十分な水準で添加され得るため、組成物は、透明性又は明澄性が望まれているが、従来不透明なポリカーボネート類が使用されてきた用途において特に有用である。
【0008】
本発明は、燃焼を促進せず、容易にポリマー類と結合し、かつ多臭素化ビフェニル類のような従来の難燃剤添加剤に関連する曝露リスクを低減又は除去するポリマー組成物を提供する当該技術分野における問題を打開する。さらに、該添加材は一般に、得られるポリマー類の機械的又は光学的特性に悪影響を与えない。
【0009】
該ナノ粒子相は、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア、ヴァナディア(vanadia)、セリア、酸化鉄、酸化アンチモン、酸化スズ、アルミニウム/シリカ及びそれらの組み合わせを含んでもよく、かつ平均粒子サイズは100ナノメートル未満である。
【0010】
「表面修飾ナノ粒子」という用語は、粒子の表面上に付着又はコーティングされた表面基を含む粒子を指す。表面基は、粒子の特徴を修飾し、及びナノ粒子上にコーティングされるか又はナノ粒子に共有若しくはイオン結合する。
【0011】
「粒径」及び「粒度」という用語は、粒子の平均断面寸法を指す。粒子が凝集体の形態で存在する場合、「粒径」及び「粒度」という用語は凝集物の平均断面寸法を指す。
【0012】
「熱硬化性」及び「熱可塑性」という用語は、高分子化学分野における標準的な意味を有する。「熱硬化性」樹脂は、ポリマーを流動できなくするのに十分なエネルギー源(例えば、熱及び/又は放射線)に曝露されることにより、又は反応種の化学架橋反応の結果、硬化された樹脂である。「非熱硬化性(thermosetting)」という用語は、硬化されていない熱硬化性樹脂を指す。「熱可塑性」樹脂は、加熱されると軟化又は流動でき、冷却されると再度硬化できる樹脂である。
【0013】
「アジド」は炭素原子に結合している−Nを指し、
「アジドポリマー(azido polymer)」又は「アジ化ポリマー(azide polymer)」は結合したアジド基又はアジド含有基を有するポリマー、コポリマー、オリゴマーを指し、
「自消性」は外部熱源の添加なしでは物質が燃焼を維持できないことを指す。本発明では、炎は10秒以内、好ましくは5秒以内に消える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
アジドポリマーは、ペンダントアジド(−N)基又はペンダントアジド含有基を含有する任意のポリマー、コポリマー、オリゴマー等であり得る、本発明の反応体として用いられる。好ましいアジドポリマーとしては、ジオール類又はポリオール類として知られる、ヒドロキシ末端部を有するグリシジルアジドポリマー(GAP)のような直鎖又は分岐GAPポリマー類、並びにGAP可塑剤類として知られる、ヒドロキシ末端部を含まないGAPポリマーが挙げられる。これらのアジドポリマー類の例は、フランケル(Frankel)による米国特許第4,268,450号、アハド(Ahad)による同第4,891,438号、アンプルマン(Ampleman)による同第5,124,463号、アンプルマン(Ampleman)による同第5,223,056号、アンプルマン(Ampleman)による同第6,479,614号に記載されている。他の有用なアジドポリマー類としては、1以上のアジド基含有繰り返し単位を含むポリオキセタンポリマー類が挙げられる。特に、これらのアジドポリマー類は、例えば3,3−ビスアジドメチルオキセタン(BAMO)及び3−アジドメチル−3−メチルオキセタン(AMMO)由来のアジドポリマー類を含むことができる。このようなアジドポリマー類は、例えば、米国特許第4,393,199号、同第4,414,384号、及び同第4,483,978号に記載されている。
【0015】
ある好ましい実施形態では、アジドポリマーは次の一般式を有する。
【0016】
[X−(R)−L (I)
(式中、Xはヒドロキシル基、アジド基、メルカプト基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、又はアミノ基(モノ−及びジ−置換アルキル及びアリールアミノ基を含む)を表し、好ましくはXはアジド基又はヒドロキシル基であり、
Rは、例えば−CHCH(CH)O−、−CHC(CH)(CH)CHO−、CH(CH)CHO−、−CHC(CHCHO−、−CH)CH(CH)O−及び−CHCH(N)CHO−のような環状エーテル由来の−N基を含有する二価モノマー基を表し、
Lは一価、二価、三価、四価、五価、六価等のアルキルラジカルを表す。一価ラジカルの非限定的な実施例は、メチル及びエチルである。多価アルキルラジカルの非限定的な実施例は、エチレン、メチレン、プロピレン、1,2,3−プロパントリイル、2−エチル−2−メチレン−1,3−プロパンジイル、2,2−ジメチレン−1,3−プロパンジイル等であり、
L及びXは共に環状構造を形成してもよく、
Lの原子価に対応してmは1〜6であってよく、及び
nは少なくとも1に等しい任意の自然数を表し、nは好ましくは少なくとも2、及びnはさらに好ましくは少なくとも5である。)
式(I)のアジドポリマーは、有機合成化学の当業者に周知の方法で製造され得る。これらの方法の例は、米国特許第3,645,917号及び同第4,879,419号に記載されている。
【0017】
別の好ましい実施形態においては、アジドポリマー(式IのRに対応)は次の一般式の繰り返し単位を有する。
【0018】
【化1】

【0019】
(式中、Rは、Zが好ましくは低級アルキレン基のような二価結合基である、−ZN基のようなアジド含有基を表し;及びRは、水素、メチル基のような低級アルキル基、メトキシメチルのようなアルコキシ含有基、又はRと同一であっても又は異なってもよいアジド含有基を表す。)式(II)の繰り返し単位を含むアジドポリマーは、例えば米国特許第3,694,383号に開示されているような、有機合成化学の当業者に周知の製法で製造され得る。
【0020】
別の好ましい実施形態においては、アジドポリマーは、異なるコモノマー類由来の繰り返し単位を有し、その1以上の該コモノマーがアジド基又はアジド含有基を含有する、コポリマーである。該コモノマー類は、好ましくは、3〜6の環系原子を有する環状酸化物類であってもよい。モノマー類の共重合は、好ましくは、カチオン性重合によって行われてもよい。前述のコポリマー類及びその製造方法は、例えば米国特許第4,483,978号に開示されている。
【0021】
アジドポリマーの分子量は、好ましくは、約100〜約100,000の範囲、さらに好ましくは約500〜約25,000の範囲、及び最も好ましくは、約700〜約10,000の範囲であってもよい。アジドポリマーの化学性同一性、アジドポリマーが他のペンダント基を含有するかどうか、アジド基が直接、又は結合基を介して骨格に結合しているかどうか、用いられる加工技術、架橋ポリマー材料等の所望の特性等に基づいて、これらの値のうちいずれも適応し得る。
【0022】
好ましくは、アジドポリマーは、アジドポリマーの総重量に基づいて、少なくとも約5重量%、より好ましくは少なくとも約20重量%、及びさらに好ましくは少なくとも約30又は40重量%のアジド(−N)基を含有し得る。現在製造されているアジドポリマー類中のアジド基の実用上限重量%は約60%である。アジド基類は、ポリマーのペンダントであることに加えて末端であってもよい。
【0023】
式I及びIIの前述のアジドポリマーは、好ましくは、ポリマーが確実に所望の安定特性を有するようにハロゲン含有量が少ない。ポリマー前駆体中のハロゲン官能基からアジド基への定量的転化を確実にするような反応条件及び触媒を選択すれば、通常ハロゲン含有量は低くできる。「低ハロゲン含有量」という用語は、ポリマーの総重量に基づいて、ポリマーが約2重量%未満のハロゲンを有する、より好ましくはポリマーが約1重量%未満のハロゲンを有する、及び最も好ましくは約0.5重量%未満のハロゲンを有することを意味する。ハロゲンという用語は、ポリマーの炭素原子に共有結合している塩素、臭素、又はヨウ素を指す。
【0024】
1以上の架橋剤類を式I及びIIのアジドポリマーと組み合わせて用いてもよい。適切な架橋剤の選択は、アジド含有ポリマーの官能基に依る。従って、ヒドロキシル基がアジド含有ポリマーに存在する場合、ポリオール用架橋剤(例えば、イソシアネート)を用いることができる。
【0025】
好ましくは、ポリオール用架橋剤は、複数のヒドロキシル末端基を有するアジドポリマーと組み合わせて用いられる。この場合好ましい架橋剤はポリシアネート類であり、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、2,4−トルエンジイソシアネート、及び当該技術分野において公知なその他のものが含まれるが、これらには限定されない。
【0026】
ポリマー組成物は、アジドポリマーによって表面修飾された無機ナノ粒子を含む。「表面修飾された」とはアジドポリマーがナノ粒子でコーティングされている、又はナノ粒子と共有若しくはイオン結合していることを意味する。粒径100ナノメートル未満である無機ナノ粒子は、ポリマーマトリックスに配置されている。表面修飾されたナノ粒子は、好ましくは、ポリマー全体にわたって分散した個別のばらばらの(例えば、凝集していない)ナノ粒子であり、及び好ましくは互いに不可逆的に結合しない。「結合する(associate with)」又は「結合している(associating with)」という用語は、例えば、共有結合、水素結合、静電気引力、ロンドン力、及び疎水性相互作用を含む。
【0027】
好適な無機ナノ粒子の例としては、ジルコニア、チタニア、セリア、アルミナ、酸化鉄、ヴァナディア(vanadia)、酸化アンチモン、酸化スズ、アルミナ/シリカ、炭酸カルシウムのような炭酸塩、及びそれらの組み合わせを含む、シリカ及び金属酸化物ナノ粒子が挙げられる。ナノ粒子は、約100ナノメートル未満、好ましくは約50ナノメートル以下、より好ましくは約3〜約50ナノメートル、さらに好ましくは約3〜約20ナノメートル、最も好ましくは約3〜約10ナノメートルの平均粒径を有する。ナノ粒子が凝集している場合、凝集粒子の最大断面寸法は、任意のこれらの好ましい範囲内である。
【0028】
ナノ粒子の表面を修飾するために利用可能な各種方法としては、例えば、アジドポリマー表面修飾剤をナノ粒子に添加すること(例えば、粉末又はコロイド分散、又は、懸濁液の形状で)、及び表面修飾剤をナノ粒子と反応させることが挙げられる。他の有用な表面修飾方法は、例えば、イラー(Iler)による米国特許第2,801,185号及びダス(Das)らによる同第4,522,958号に記載されている。或いは、アジドポリマーは無機ナノ粒子の表面にコーティングされてもよい(つまり、共有又はイオン結合していない)。
【0029】
好ましい実施形態においては、本発明の組成物はまた、アジドポリマーをナノ粒子に結合させ得る両親媒性(ambiphilic)カップリング剤を含んでもよい。該カップリング剤は、少なくとも2つの反応性官能基を有する。1つの反応性官能基は、ナノ粒子の表面に共有結合することができ、2つ目はアジドポリマーに結合することができる。例えば、一方の成分(アジドポリマー、カップリング剤、又は粒子)上に存在するアミノ基、ヒドロキシル基、メルカプタン基、アクリレート基及びメタクリレート基のような反応性官能基は、他方の成分(カップリング剤又はアジドポリマー)上に存在するオキシラン基、クロロ基、ブロモ基、イオド基、アルキル基、アジリジン基、無水物基、アクリレート基、メタクリレート基又はイソシアナト基のような相補的反応性官能基と反応することができる。1超過のカップリング剤を用いてもよい。例えば、互いに共有結合し得る2種類のカップリング剤を、一方の結合剤は粒子と共有結合できる、及び他方はグリシジルアジドポリマーと共有結合できる箇所で用いてもよい。
【0030】
有用なシランカップリング剤は、次式の結合剤を含む。
【0031】
−R−Si−(Y)(R3−b (III)
(式中、
は、炭素数約1〜20の置換又は非置換の二価炭化水素架橋基であり、−O−、−C(O)−、−S−、−SO−1及びRが水素、アセチル、又は炭素数1〜6のアルキル基である、−NR−基から成る群から選択される1〜5の骨格部分を含むか、または含まず、
Yは、Rが炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基であり、好ましくはメチル基又はエチル基である、−ORであり、
は、所望により酸素、窒素、及び/又は硫黄原子で利用可能な部位が置換されているか、または置換されていない、互いに独立した炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルコキシ基であり、
aは1又は2であり、
bは1〜3であり、
Qは、アジドポリマーのX基の相補的官能基と反応し得る、反応性官能基である。)Qの例としては、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプタン基、オキシラン基、クロロ基、イオド基、及びブロモ−アルキル基、アジリジン基、環状カルボン酸無水物基、アクリレート基、メタクリレート基、アクリルアミド基及びイソシアナト基が挙げられる。本発明の組成物中に存在する時、「Y」又は「OR」基がシラノール又はシラノレートに転化される1以上の場合において、カップリング剤は加水分解し得ることを理解すべきである。
【0032】
好ましいシランは、Q−R−Si(ORという構造を有する。式中、Qは好ましくはイソシアネート基であり、R及びRは上述の通りである。
【0033】
両官能性(ambifunctional)シランカップリング剤に関する追加情報は、ヴァン オオイジ(Van Ooij)らによる米国特許第5,204,219号、ストフコ(Stofko)らによる米国特許5,464,900号、及びビルカディ(Bilkadi)による米国特許第5,639,546号及びヨーロッパ特許出願第0,372,756A2号中に見出すことができる。或いは、結合剤は、デュポン(DuPont)社から市販されている「タイゾール(Tyzor)(商標)チタン酸塩11」のようなチタン酸塩又はジルコン酸塩化合物であってもよい。
【0034】
好ましくは、アジドポリマー及びカップリング剤は、無機ナノ粒子の表面修飾前に共に反応する。この場合、該反応は次式のアジドポリマーをもたらす場合がある。
【0035】
L−(R)−Q’−R−Si−(Y)(R3−b (IV)
(式中、Q’は、式Iのアジドポリマーの「X」基と式IIIのシランカップリング剤の「Q」基の間の反応によって生じる二価結合基であり、R、L、R、R、Y、n、m、a、bは式I、II、及びIIIで定義されている通りである。例えば、Qがヒドロキシル基でXがイソシアネートの場合、Q’はウレタン結合である。)
ナノ粒子が最初にカップリング剤と反応し、次いでアジドポリマーとさらに反応するのは、無機ナノ粒子の官能基の効率が減少するためあまり好ましくない。
【0036】
カップリング剤は、カップリング剤IIIそれ自体が用いられてもアジドポリマーカップリング剤(IV)が用いられても、無機ナノ粒子上の利用可能な官能基(例えば、シリカナノ粒子上の利用可能なヒドロキシル官能基の数)の10〜100%と反応するのに十分な量用いられる。全ての利用可能な反応部位がカップリング剤で官能化されるように、ナノ粒子の多くが過剰量のカップリング剤と反応する場合の官能基の数は、実験的に決定される。次いでその結果から、より低い割合の官能化が計算される。
【0037】
一般に、アジドポリマー(I)、カップリング剤(III)又はアジドカップリング剤(IV)の量は、ナノ粒子の重量に比べて2倍量以下のアジドポリマーを提供するのに十分な量用いられる。好ましくは、アジドポリマーの無機ナノ粒子に対する重量比は2:1〜1:10である。
【0038】
アジドポリマー表面修飾ナノ粒子は、ポリマーに可燃性を低減させた(ニートポリマーと比較して測定した場合)組成物を提供するのに十分な量、好ましくは自消性を持つ組成物を提供するのに十分な量添加することができる。表面修飾されたナノ粒子は、組成物中に、例えば組成物の総重量に対して約5〜50重量%、好ましくは約10〜50重量%を含む、様々な量で存在し得る。表面修飾ナノ粒子は、好ましくはポリマー全体にわたって分散し、より好ましくはポリマー全体にわたって均質に分散する。
【0039】
アジドポリマー、カップリング剤及びそれらの分子量、ナノ粒子及びそれらの量を考慮した場合、アジドポリマー表面修飾ナノ粒子は、ポリマー組成物又は重合性組成物中のアジド(−N)含有量が約0.25〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%になるのに十分な量が、ポリマーに添加される。
【0040】
必要に応じて、粒子は両官能性(ambifunctional)カップリング剤に加えて、表面修飾剤をさらに含んでもよい。このような表面修飾剤はナノ粒子の溶解度特性を修飾する表面基を有する。表面基は、ナノ粒子をポリマー又は重合性混合物(例えば重合性モノマー)に適合させるように選択される。使用される場合、このような追加の表面修飾剤は、アジドポリマーの官能化後も残存する、ナノ粒子の表面の利用可能な官能基の1〜100%と反応するのに十分な量用いられる。一般に、無機ナノ粒子の表面上の利用可能な官能基の0〜80%は、アジドポリマーの官能化前に表面修飾剤によって官能化される場合がある。
【0041】
好適な表面基はまた、表面基及びポリマー(又は重合性混合物)の溶解パラメータに基づいて選択することができる。好ましくは、表面基又は剤由来の表面基は、ポリマーの溶解パラメータに似た溶解パラメータを有する。ポリマーが疎水性である時、例えば、当業者は、疎水性ポリマーと適合する表面修飾ナノ粒子を達成するために、種々の疎水性表面基の中から選択することができる。同様に、ポリマーが親水性である時、当業者は親水性表面基の中から選択することができる。粒子はまた、ポリマーの溶解パラメータに似た溶解パラメータを有する粒子を提供するために組み合わせる少なくとも2個の異なる表面基を含むこともできる。
【0042】
好適な表面修飾剤の部類としては、例えば、シラン類、有機酸類、有機塩基類及びアルコール類が挙げられる。
【0043】
特に有用な表面修飾剤はシランを含む。有用なシランの例には、例えば、アルキルクロロシラン、アルコキシシラン、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ポリトリエトシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリ(t−ブトキシ)シラン、ビニルトリス(イソブトキシ)シラン、ビニルトリス(イソプロペンオキシ)シラン及びビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シランを含むオルガノシラン、トリアルコキシアリールシラン、イソオクチルトリメトキシ−シラン、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)メトキシエトキシエトキシエチルカルバメート、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)メトキシエトキシエトキシエチルカルバメート、例えば、3−(メタアクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルトリエトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、3−(アクリロイルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルジメチルエトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)メチルトリエトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)メチルトリメトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルジメチルエトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロペニルトリメトキシシラン及び3−(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシランを含むシラン官能性(メタ)アクリレート、例えば、ポリジメチルシロキサン含むポリジアルキルシロキサン、例えば、置換及び非置換アリールシランを含むアリールシラン、例えば、メトキシ及びヒドロキシ置換アルキルシランを含む例えば置換及び非置換アルキルシランを含むアルキルシラン並びにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0044】
有用な有機酸表面修飾剤としては、例えば、炭素のオキシ酸類(例えば、カルボン酸)、硫黄及びリン、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0045】
カルボン酸官能基を有する極性表面修飾剤の代表的な例としては、CH3O(CH2CH2O)2CH2COOH及び化学構造CH3OCH2CH2OCH2COOHを有する2−(2−メトキシエトキシ)酢酸(以後MEAA)及びモノ(ポリエチレングリコール)コハク酸塩が挙げられる。
【0046】
カルボン酸官能基を有する非極性表面修飾剤の代表的な例としては、オクタン酸、ドデカン酸及びオレイン酸が挙げられる。
【0047】
好適なリン含有酸の例としては、例えば、オクチルホスホン酸、ラウリルホスホン酸、デシルホスホン酸、ドデシルホスホン酸及びオクタデシルホスホン酸を含むホスホン酸が挙げられる。
【0048】
有用な有機系表面修飾剤としては、例えばオクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、及びオクタデシルアミンを含むアルカリアミン類が挙げられる。
【0049】
他の有用な非シラン表面修飾剤の例としては、メタクリル酸、β−カルボキシエチルアクリレート、モノ−2−(メタクリロイルオキシエチル)コハク酸塩、及びそれらの組み合わせが挙げられる。ナノ粒子に極性及び反応性の両方を付与する有用な表面修飾剤は、モノ(メタクリロイルオキシポリエチレングリコール)コハク酸塩が挙げられる。
【0050】
好適な表面修飾用アルコール類の例としては、例えば、オクタデシルアルコール、ドデシルアルコール、ラウリルアルコール及びフルフリルアルコールを含む脂肪族アルコール類、例えば、シクロヘキサノールを含む脂環式アルコール類、例えば、フェノール及びベンジルアルコールを含む芳香族アルコール類及びそれらの組み合わせが挙げられる。エポキシ樹脂組成物に特に好適な表面修飾基の例は、ゴエツ(Goetz)らによる米国特許第5,648,407号で開示されている。
【0051】
有用な有機ポリマー類の例としては、熱硬化性ゴム並びに熱可塑性ゴムを含む天然及び合成ゴム樹脂類及び、例えばニトリルゴム(例えば、アクリロニトリルブタジエン)、ポリイソプレンゴム、ポリクロロプレンゴム、ポリブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレン−ジエンモノマーゴム(EPDM)、サントプレンポリプロピレン−EPDMエラストマー類、エチレン−プロピレンゴム、スチレン−ブタジエンコポリマー類、スチレン−イソプレンコポリマー類、スチレン−ブタジエン−スチレンゴム、スチレン−イソプレン−スチレンゴム、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンゴム、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンゴム、ポリイソブチレンゴム、エチレンビニルアセテートゴム類、例えばポリシロキサンを含むシリコンゴム類、メタクリレートゴム類、例えばイソオクチルアクリレート及びアクリル酸のコポリマーを含むポリアクリレートゴム、ポリエステル類、ポリエーテルエステル類、ポリビニルエーテル類、ポリウレタン類、及び、例えばそれらの直鎖、ラジカル、スター及びテーパブロックコポリマー類を含むこれらの混合物及び組み合わせ、を含むエラストマー類が挙げられる。
【0052】
他の有用なエラストマー類としては、例えばポリトリフリオロエチレンを含むフルオロエラストマー類、ポリフッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン及びフッ素化エチレン−プロピレンコポリマー類、フルオロシリコーン類及び、例えば塩化ポリエチレンを含むクロロエラストマー類、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0053】
有用な熱可塑性樹脂類の例としては、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、スチレン−アクリロニトリル、セルロース及びそれらの誘導体類、塩化ポリエーテル、エチレンビニルアセテート、例えばポリクロロトリフルオロエチレン、フッ素化エチレン−プロピレン、及びポリフッ化ビニリデンを含むフルオロカーボン類、例えばポリカプロラクタム、ポリゲキサメチレンアジプアミド、ポリヘキサメチレンセバクアミド、ポリウンデカノアミド、ポリラウロアミド及びポリアクリルアミドを含むポリアミド類、例えばポリエーテルイミドを含むポリイミド類、ポリカーボネート、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン及びポリ−4−メチルペンタンを含むポリオレフィン類、例えばポリエチレンテレフタレートを含むポリアルキレンテレフタレート類、例えばポリフェニレンオキシドを含むポリアルキレンオキシド類、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリイソシアヌレート類、例えばポリビニルクロライド、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルクロライド及びそれらの組み合わせを含むビニルポリマー類が挙げられる。
【0054】
有用な熱硬化性樹脂類としては、例えばアクリレートウレタン類及びアクリレートポリエステル類を含む、ポリエステル類及びポリウレタン類及びそれらの混成物及びコポリマー類、例えばアルキル化尿素ホルムアルデヒド樹脂を含むアミノ樹脂類(例えばアミノプラスト樹脂類)、メラミンホルムアルデヒド樹脂、例えばアクリル酸類及びメタクリレート類、ビニルアクリレート類、アクリル化エポキシ類、アクリル化ウレタン類、アクリル化ポリエステル類、アクリル化アクリル類、アクリル化ポリエーテル類、ビニルエーテル類、アクリル化オイル類及びアクリル化シリコン類を含むアクリル酸樹脂類、ウレタンアルキド樹脂類のようなアルキド樹脂類、ポリエステル樹脂類、反応性ウレタン樹脂類、例えばレゾール樹脂類、ノボラック樹脂類、及びフェノール−ホルムアルデヒド樹脂類を含むフェノール樹脂類、フェノール/ラテックス樹脂類、例えばビスフェノールエポキシ樹脂類、脂肪族及び脂環式エポキシ樹脂類、エポキシ/ウレタン樹脂、エポキシ/アクリレート樹脂及びエポキシ/シリコン樹脂のようなエポキシ樹脂類、イソシアネート樹脂類、イソシアヌレート樹脂類、アルキルアルコキシシラン樹脂類を含むポリシロキサン樹脂類、反応性ビニル樹脂類及びそれらの混合物が挙げられる。
【0055】
本発明はまた、アジドポリマー表面修飾ナノ粒子及び重合性モノマーを含む重合性混合物も提供する。重合は、多様な従来のフリーラジカル重合方法によって達成することができ、該方法は、例えば可視光及び紫外線を含む化学線、電子ビーム照射、及びそれらの組み合わせを用いる過程を含む、例えば溶媒重合、エマルジョン重合、懸濁重合、バルク重合、及び放射線重合を含む、化学又は放射線によって重合が開始され得る。有用なモノマー類としては、前述の熱可塑性及び熱硬化性樹脂類の調製に用いられるような、フリーラジカル性重合性モノマー類、付加重合性モノマー類及び縮合重合性モノマー類が挙げられる。
【0056】
重合開始剤は、組成物中に存在するモノマー類の重合を促進するのに有効な量用いることができ、該量は例えば、重合開始剤の種類、重合開始剤の分子量、結果として生じる接着剤組成物の対象とする用途、及び例えば製造温度を含む重合過程に基づいて変化する。
【0057】
有用なフリーラジカル重合開始剤類は熱及び光活性重合開始剤を含む。用いられる重合開始剤の種類は重合方法過程に依る。光重合開始剤の例としては、ベンゾインメチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテルのようなベンゾインエーテル、アニソインメチルエーテルのような置換ベンゾインエーテル、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンのような置換アセトフェノン、及び2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノンのような置換アルファ−ケトオールが挙げられる。
【0058】
重合性組成物はまた、例えば2−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロペノイル)フェノキシ]エチル−2−メチル−2−N−プロペノイルアミノプロパノエートを含む、コポリマーの光重合開始剤、及びチバガイギー社(Ciba-Geigy)から商品名ダロクールZLJ3331(DAROCUR ZLJ 3331)で入手可能な重合性光重合開始剤、及び例えばペンシルバニア州エクストン(Exton)のサートマー(Sartomer)社から商品名サーキャットCD−1012(SarCat CD-1012)として入手可能なジアリールイオドニウムヘキサフルオロアンチモネート若しくは及びサートマー(Sartomer)社から商品名サーキャットCD−101 1(SarCat CD-101 1)として入手可能なトリアリールスルフォニウムヘキサフルオロホスフェートを含む光酸発生重合開始剤類、を含むことができる。
【0059】
好適な熱重合開始剤の例としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ジベンゾイル、過酸化ジラウリル、過酸化シクロヘキサン、過酸化メチルエチルケトン、例えばブチルヒドロペルオキシド及びクメンヒドロペルオキシドを含むヒドロペルオキシド類、ジシクロヘキシルペルオキシジカーボネート、t−ブチルペルベンゾエートのようなペルオキシド類及び例えば2,2,−アゾ−ビス(イソブチロニトリル)(AIBN)のようなアゾ化合物、及びそれらの組み合わせが挙げられる。市販されている熱重合開始剤の例としては、ヴァゾ(VAZO)64(2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル))、ヴァゾ(VAZO)52、ヴァゾ(VAZO)65及びヴァゾ(VAZO)68を含む、デラウェア州ウィルミントン(Wilmington)のデュポン特殊化学(DuPont Specialty Chemical)社から「ヴァゾ(VAZO)」の商品名で入手可能な重合開始剤、並びにペンシルバニア州フィラデルフィア(Philadelphia)のエルフアトケムノースアメリカ(Elf Atochem North America)社から商品名「ルシドール(Lucidol)」として入手可能な熱重合開始剤類、及びコネチカット州ミドルベリ(Middlebury)のユニロイヤルケミカル社(Uniroyal Chemical Co.)から商品名セロゲン(Celogen)として入手可能な重合開始剤が挙げられる。
【0060】
少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を含有する好適なフリーラジカル性重合性組成物は、(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、及び他のフリーラジカル重合をし得るビニル組成物のような、モノマー及び/又はオリゴマーであってもよい。エチレン性不飽和フリーラジカル性重合物質は、モノマー、オリゴマー又はそれらの混合物であってもよい。有用な部類としては、例えば、一官能性、二官能性、又は多官能性であるビニル官能性モノマー類、フリーラジカル性重合性マクロマー類、及びエチレン性不飽和フリーラジカル性重合性ポリシロキサンが挙げられる。一般に、本発明で用いられる最も有用なエチレン性不飽和フリーラジカル性重合性モノマーは、ビニル官能性出発物質である。このようなビニル出発物質としては、これらに限定されないが、アクリル酸及びそれらのエステル類、メタクリル酸及びそれらのエステル類、ビニル置換芳香族類、ビニル置換複素環式、ビニルエステル類、塩化ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド及びそれらの誘導体類、メタクリルアミド及びそれらの誘導体類、並びにフリーラジカルを用いた手段によって重合可能な他のビニルモノマー類が挙げられる。このようなモノマー及び特異的な例は、米国特許第4,985,340号により詳しく記載されている。
【0061】
このようなモノマー類としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、アクリル酸エチル、イソプロピルメタクリレート、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸、n−アクリル酸ヘキシル、2−エチルヘキシルアクリレート、ステアリルアクリレート、アリルアクリレート、グリセロールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,4−シクトヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、−テトラアクリレート及び−テトラメタクリレート、分子量200〜500のポリエチレングリコール類のビスアクリレート類及びビス−メタクリレート類のようなモノ−、ジ−、又はポリアクリレート類及びメタクリレート類;エポキシ(メタ)アクリレート類、イソシアナトエチル(メタ)アクリレートのようなイソシアナトアルキル(メタ)アクリレート類、ヒドロキシエチル−及びヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート類のようなヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートのようなアクリル化エポキシ類、グリシジル(メタ)アクリレートのような多反応性モノマー類;アクリルアミド、メチレンビスーアクリルアミド及びβ−メタクリルアミノエチルメタクリレートのような不飽和アミド類;及びスチレン、ジビニルベンゼン、ジビニルアジペート、及び米国特許第4,304,705号に記載されている種々のビニルアズラクトンのようなビニル化合物が挙げられる。1超過のモノマーの混合物は必要に応じて用いることができる。
【0062】
好適なカチオン性重合性モノマー類及び/又はオリゴマー類は通常、少なくとも1つの、エポキシド類、環状エーテル類、ビニルエーテル類、ビニルアミン類、側鎖不飽和芳香族炭化水素類、ラクトン類及び他の環状エステル類、ラクタム類、オキサゾリン類、環状カーボネート、環状アセタール類、アルデヒド類、環状アミン類、環状スルフィド類、環状シロキサン類、環状トリホスファゼン類、特定のオレフィン類及び環状オレフィン類、及びそれらの混合物のようなカチオン性重合性基を含有し、好ましくはエポキシド類及びビニルエーテル類を含有する。他のカチオン性重合性基類又はモノマー類は、G・オディアン(G. Odian)著、「重合の原理(Principles of Polymerization)」第三版、ジョンウィリー&サンズ社(John Wiley & Sons Inc.)、1991年、ニューヨークに記載されており、及び「高分子科学及び工学百科事典(Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,)」第二版、H.F.マーク(Mark)、N.M.ビケールズ(Bikales)、C.G.オーバーベルガー(Overberger)、G.メンゲス(Menges)、J.I.クロスクウィッツ(Kroschwitz)編、第2巻、ジョンウィリー&サンズ(John Wiley & Sons)、1985年、ニューヨーク、729〜814頁もまた本発明の実施において有用である。
【0063】
特に有用な例としては、米国特許第4,985,340号に記載されているエポキシドモノマー類を含む環状エーテルモノマー類が挙げられる。種々多様な市販エポキシ樹脂類が入手可能であり、それらはリー(Lee)及びネビル(Neville)による「エポキシ樹脂類ハンドブック(Handbook of Epoxy Resins)」、マグローヒル(McGraw Hill)社、ニューヨーク、1967年、及びP.F.ブルーインズ(Bruins)による「エポキシ樹脂技術(Epoxy Resin Technology)」、ジョンウィリー&サンズ(John Wiley & Sons)、ニューヨーク、1968年に掲載されている。好ましくは、導電性接着剤で用いられる場合、エポキシ樹脂類は「電子グレード」である、つまり、イオン性汚染物質が少ない。
【0064】
カチオン性重合性ビニル及びビニルエーテルモノマー類はまた、本発明の実施に特に有用であり、米国特許第4,264,703号に記載されている。
【0065】
有用なエポキシ樹脂類は、プロピレンオキシド、エピクロロヒドリン、スチレンオキシド及び、シェルケミカル(Shell Chemicals)社から入手可能なEPON−828−LS(商標)電子グレードエポキシ樹脂類のようなビスフェノールAに基づくエポキシ類、又はこれもシェルケミカル(Shell Chemicals)社から入手可能なEPON−164(商標)若しくは他の製造者からの同等品のようなノボラックエポキシ類を含むことができる。さらなる有用なエポキシ樹脂類としては、ジシクロペンタジエン二酸化物、エルフアトケム(Elf Atochem)から入手可能なPoly BD(商標)のようなエポキシ化ポリブタジエン、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル及びレゾルシノールジグリシジルエーテルが挙げられる。同様に有用なのは、シクロヘキセンオキシド及び、ビニルシクロヘキセンジオキシド(ERL−4206(商標))、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシ(ERL−4221(商標))、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジパート(ERL−4299(商標))のようなユニオンカーバイド(Union Carbide)から入手可能なERL(商標)シリーズ樹脂、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(例えば、シェルケミカル(Shell Chemical)から入手可能なヘロキシ(Heloxy)67(商標))、フェノールホルムアルデヒドノボラックのポリグリシジルエーテル(例えば、ダウケミカル社((Dow Chemical Co.)から入手可能なDER−431(商標)及びDER−438(商標))、ポリグリコールジエポキシド(例えば、ダウケミカル社((Dow Chemical Co.)から入手可能なDER736(商標))及びそれらの混合物並びに、それらと、また既知の共硬化剤(co-curatives)、硬化剤(curing agents)又は硬化物(hardeners)の混合物である。用いられ得る周知の共硬化剤(co-curatives)又は硬化物(hardeners)の代表例は、無水マレイン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸無水物、ピロメリト酸無水物、シス−1,2−シクロヘキサンカルボン酸無水物のような酸無水物、アミノ硬化剤類(2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペントアミド、フェナルカミン類及び、ジェファミン(Jeffamine)(商標)及びバーサミド(Versamide)(商標)のような商品名で売られている物質、及びそれらの混合物である。
【0066】
エポキシモノマー類を含有する組成物を調製する際、ヒドロキシ官能性物質を添加することができる。ヒドロキシル官能性成分は、物質の混合物(mixture)又は混合体(blend)として存在することができ、またモノ−及びポリ−ヒドロキシル含有物質を含有することができる。好ましくは、ヒドロキシル官能性物質は少なくともジオールである。用いる際、ヒドロキシル官能性物質は、鎖延長を助長し、及び硬化(例えば硬化された組成物の高度を増大させる)中にエポキシが過剰に架橋することを防ぐことができる。
【0067】
存在する際、有用なヒドロキシル官能性物質としては、約2〜18個の炭素原子及び2〜5、好ましくは2〜4のヒドロキシ基を有する脂肪族、脂環式、又はアルカノール置換アレーンモノ−又はポリ−アルコール類、又はそれらの組み合わせが挙げられる。有用なモノアルコール類としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、ネオペニルアルコール(neopenyl alcohol)、3−ペンタノール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−フェノキシエタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロヘキシルメタノール、3−シクロヘキシル−1−プロパノール、2−ノルボルナンメタノール及びテトラヒドロフルフリルアルコールが挙げられる。
【0068】
本発明で有用なポリオール類としては、約2〜18個の炭素原子及び2〜5、好ましくは2〜4個のヒドロキシル基を有する、脂肪族、脂環式、又はアルカノール置換アレーンポリオール類又はそれらの混合物が挙げられる。
【0069】
有用なポリオール類の例としては、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、キニトール、マンニトール、ソルビトール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、グリセリン、2−エチ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ベンゼンジメタノール及びポリアルコキシ化ビスフェノールA誘導体類が挙げられる。有用なポリオール類の他の例は、米国特許第4,503,211号に記載されている。
【0070】
分子量の大きいポリオール類としては、ユニオンカーバイド(Union Carbide)社から入手可能なカーボワックス(Carbowax)(商標)ポリエチレンオキシド物質類のような、分子量(M)の範囲が200〜20,000ポリエチレン及びポリプロピレンオキシドポリマー類、ユニオンカーバイド(Union Carbide)社から入手可能なトーン(Tone)(商標)ポリオール物質のような、分子量の範囲が200〜5,000であるカプロラクトンポリオール類、デュポン(DuPont)社から入手可能なテラタン(Terathane)(商標)物質類のような、分子量の範囲が200〜4,000であるポリテトラメチレンエーテルグリコール、ユニオンカーバイド(Union Carbide)社から入手可能なPEG200のようなポリエチレングリコール、エルフアトケム(Elf Atochem)社から入手可能なポリBD(商標)物質類のようなヒドロキシル終端ポリブタジエン樹脂類、サウスカロライナ州ロックヒル(Rock Hill)のフェノキシアソシエーツ(Phenoxy Associates)社から市販されているもののようなフェノキシ樹脂類、又は他の製造者によって供給されている等価物質が挙げられる。
【0071】
酸触媒逐次重合としては、これらに限定されないが、多官能性イソシアネート類(ポリイソシアネート類)が多官能性アルコール類(ポリオール類)と反応してポリウレタン類を形成する反応、多官能性エポキシ類と多官能性アルコール類との反応、及び多官能性シアネートエステル類の架橋ポリトリアジン樹脂類への環状三量化が挙げられる。
【0072】
本発明の触媒類を用いた酸触媒逐次重合により硬化され得る、特に有用な多官能性アルコール、イソシアネート、及びエポキシド成分は、米国特許第4,985,340号、同第4,503,211号、同第4,340,716号に記載されている。
【0073】
触媒環状三量化によって硬化され得る、好適な多官能性シアネートエステル類は、米国特許第5,143,785号及び同第5,215,860号に記載されている。硬化され得る、好適な多反応性モノマー類としては、グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルアクリレートのようなヒドロキシ(アルキル)(メタ)アクリレート類、イソシアネートエチルメタクリレート等が挙げられる。
【0074】
上述の部類のモノマー類と、粘着付与剤類、硬化剤類、共硬化剤類、硬化剤類、安定剤類、増感剤類等のような添加剤類との混合物もまた、本発明の重合性組成物において用いることができる。さらに、顔料類、粒状研磨剤、安定剤類、光安定剤類、酸化防止剤類、フロー剤類、増粘剤類、つや消し剤類、帯電防止剤類、着色剤類、不活性充填剤類、結合剤類、発泡剤類、殺真菌剤類、殺菌剤類、界面活性剤類、可塑剤類、及び当業者に公知の他の添加剤類のような補助剤類を、本発明の組成物に添加することができる。これらは、本発明の組成物の重合を妨げない限り、その使用目的に有効な量添加され得る。さらに、放射線感受性触媒類又は重合開始剤類を含有する組成物においては、補助剤類が、触媒類又は重合開始剤類が反応する放射線を吸収しないことが好ましい。
【0075】
溶媒、好ましくは有機溶媒は、上記重合性モノマー類中におけるナノ粒子の分散を促進するために、加工助剤として使用され得る。代表的な溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、メチルセロソルブアセテート、塩化メチレン、ニトロメチレン、ギ酸メチル、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン(グリム)、3−メチルスルホラン及びプロピレンカーボネートが挙げられる。
【0076】
重合後、得られるポリマーは架橋されてもよい。架橋は、ガンマ線又は電子線照射のような高エネルギー放射線の使用によって、架橋剤を用いて又は用いずに達成され得る。架橋剤又は架橋剤類の組み合わせは、架橋を促進するために重合性モノマー類の混合物に添加され得る。
【0077】
架橋剤類を硬化する有用な放射物としては、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,2−エチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、1,12−ドデカノールジアクリレート、及びそれらの組み合わせを含む、ハイルマン(Heilmann)らによる米国特許第4,379,201号に記載されているような多官能性アクリレート類、及びケレン(Kellen)らによる米国特許第4,737,559号に記載されているような共重合性芳香族ケトンコモノマー類が挙げられる。好適な紫外線源としては、例えば中圧水銀ランプ及び紫外線ブラックライトが挙げられる。
【0078】
有用な縮合重合性モノマー類としては、ポリエステル類、ポリエーテル類、ポリカーボネート類、ポリ尿素類及びポリウレタン類の調製に用いられるものが挙げられる。
【0079】
表面修飾ナノ粒子とポリマーを組み合わせるために種々の方法を用いてもよい。ある方法においては、表面修飾ナノ粒子のコロイド分散液とポリマーが組み合わせられる。次いで、組成物中に存在する溶媒は除去され、ポリマー中に分散している表面修飾ナノ粒子から離れる。例えば蒸留、回転蒸発、又はオーブン乾燥を含む蒸発で溶媒を除去してもよい。任意に、一部のコロイド分散液、例えば、水性コロイド分散液において、ポリマーの添加の前に、水の除去を助けるために、共溶媒(例えば、メトキシ−2−プロパノール又はN−メチルピロリドン)をコロイド分散液に添加してもよい。水は、トルエンのような不混和性溶媒による共沸蒸留によって除去されてもよい。ポリマーを添加した後、水及び共溶媒は除去される。
【0080】
表面修飾ナノ粒子のコロイド分散液をポリマーに導入するためのもう1つの方法としては、表面修飾ナノ粒子のコロイド分散液を乾燥して粉末にし、その後、ナノ粒子を分散させようとするポリマー又はポリマー中の少なくとも一成分を添加することが挙げられる。乾燥工程は、オーブン乾燥又は噴霧乾燥などの従来の手段によって実行してもよい。表面修飾ナノ粒子は、好ましくは、乾燥すると不可逆的に凝塊するか、又は不可逆的に凝集するのを防ぐのに十分な量の表面基を有する。乾燥時間及び乾燥温度は、好ましくは、100%未満の表面被覆を有するナノ粒子については最少化される。
【0081】
或いは、ナノ粒子は溶融加工によって合成されてもよい。この実施形態においては、表面修飾ナノ粒子及び熱可塑性ポリマーは組み合わせられ、混合物を十分攪拌することによって溶解し、均一な混合物を提供する。或いは、ナノ粒子と熱可塑性ポリマーのペレット又は粉末が組み合わせられ、溶解前によく混合されてもよい。溶融加工が望ましい場合、時間条件及び温度条件は、アジドポリマーの分解が2重量%未満であるように選択される。一般に、マトリックスポリマーは200℃未満、好ましくは150℃未満の融点を有するべきである。グリシジルアジドポリマー類は、200℃においては数分以内に分解され、窒素発生による重量低下によって測定された、150℃における分解率は〜0.1%/時間であることが知られている。
【0082】
別の実施形態においては、ナノ粒子は重合性モノマー又はモノマー類の混合物中に分散してもよく、それらは次いで重合される。モノマー類は、熱的に、フリーラジカル的に、又は光化学的に重合されてよく、当該技術分野において既知の適切な触媒が存在する。必要に応じて、重合性混合物は当該技術分野において既知の技術及び発泡剤を用いて泡だてられてもよい。バラン(Baran)らによる米国特許第6,586,483号を参照してもよい。熱的に重合された場合、重合性モノマー類及びナノ粒子を含む組成物は、アジドポリマーの分解を避けるため、200℃未満、好ましくは150℃未満の温度で維持されるべきである。
【実施例】
【0083】
別段の注記のない限り、試薬及び溶媒は全て、ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee)のアルドリッチケミカル社(Aldrich Chemical Co.)から得たもの、又は得ることができるものである。
【0084】
ヒドロキシ終端グリシジルアジドポリマーは、米国特許第5,164,521号に記載されている方法に従って調製された。
【0085】
イソオクチルトリメトキシシランは、ペンシルバニア州モーリスビル(Morrisville)のゲレスト社(Gelest Inc.)から入手した。
【0086】
本明細書で使用する時、
「IOA」はアクリル酸イソオクチルを指し、
「AA」はアクリル酸を指し、
「IOA/AA」は87.5重量%のIOAと12.5重量%のAAの混合物を指し、
「IBA」はアクリル酸イソボルニルを指し、
「IOA/AAシロップ剤」は、「IOA/AAシロップ剤」が1,6−ヘキサンジオールジアクリレートを含まない点を除いて、米国特許第6,586,483号中の「組成物A」の調製に記載されている方法に従って調製された、87.5重量%のIOAと12.5重量%のAAの部分的に光重合した混合物を指し、
「IBAシロップ剤」は、「IBAシロップ剤」が1,6−ヘキサンジオールジアクリレートを含まない点を除いて、米国特許第6,586,483号中の「組成物A」の調製に記載されている方法に類似の方法によって調製された、部分的に光重合したアクリル酸イソボルニルを指し、
「PEG−シラン」は、米国特許第6,586,483号中の「シランカップリング剤B」の調製に記載されている方法に従って調製された、メトシキエトキシエトシキエトキシウレイドプロピルトリエトキシシランを指し、
「EPON828」はテキサス州ヒューストン(Houston)のレゾリューションパフォーマンスプロダクツ社(Resolution Performance Products, Inc.)から入手したエポキシ樹脂を指す。
【0087】
(実施例1)
トリエトキシシラン基を有するグリシジルアジドポリマー(GAP−シラン)の調製
酢酸エチル(20.0g)中のヒドロキシ終端グリシジルアジドポリマー約40重量%溶液を酢酸エチル(20.0g)中の3−イソシアネートトリエトキシシラン(2.90g)と混合した。混合物にジラウリン酸ジブチルスズ(1滴)を加え、室温で一晩磁気的に攪拌した。ロータリーエバポレーターを用いて酢酸エチルを減圧下で除去し、GAP−シラン生成物(23.28g)を得た。イソシアネート基に起因する吸光度は、製品の赤外線スペクトル中に観察されなかった。
【0088】
(実施例2)
GAP−及びイソオクチル−修飾シリカナノ粒子の調製
アンモニウム安定化シリカゾル(50.0g;NALCO2326、イリノイ州ネーパービル(Naperville)のナルコケミカル社(Nalco Chemical Co.)より入手)、1−メトキシ−2−プロパノール(60.0g)、実施例1のGAP−シラン生成物(1.35g)及びイソオクチルトリメトキシシラン(3.05g)をスクリューキャップガラスジャー中で組み合わせた。ジャーにふたをして、オーブン内に80℃で一晩定置した。次いで、ジャーを室温まで冷却し、混合物をガラス皿に注いだ。混合物を140℃の強制空気オーブン内で乾燥し、白い粉末として10.16gの生成物を得た。
【0089】
(実施例3)
エポシキ樹脂中のGAP−及びPEG−シラン修飾シリカナノ粒子の調製
アンモニウム安定化シリカゾル(250g;NALCO2327、イリノイ州ネーパービル(Naperville)のナルコケミカル社(Nalco Chemical Co.)より入手)、1−メトキシ−2−プロパノール(282.25g)、実施例1のGAP−シラン生成物(28.88g)、及びPEG−シラン(12.8g)を、油浴で80℃に加熱された丸底フラスコ中で共に機械的に攪拌した。約18時間後、十分なEPON828を混合物に加え、EPON828を38.5重量%含有する新しい混合物を得た。ロータリーエバポレーターを用いて混合物から揮発性成分を除去し、最初に60℃で水浴、次いで80℃で油浴させた。
【0090】
(実施例4)
エポキシ樹脂中のGAP−及びフェニル修飾シリカナノ粒子の調製
アンモニウム安定化シリカゾル(500g;NALCO2327、イリノイ州ネーパービル(Naperville)のナルコケミカル社(Nalco Chemical Co.)より入手)、1−メトキシ−2−プロパノール(600g)、実施例1のGAP−シラン生成物(11.55g)、及びフェニルトリメトキシシラン(22.19g)を、油浴で80℃に加熱された丸底フラスコ中で共に機械的に攪拌した。約18時間後、十分なEPON828を混合物に加え、EPON828を40重量%含有する新しい混合物を得た。ロータリーエバポレーターを用いて混合物から揮発性成分を除去し、最初に60℃で水浴、次いで80℃で油浴させた。
【0091】
(実施例5)
アクリル酸イソオクチルGAP−及びイソオクチル修飾シリカナノ粒子の調製
アンモニウム安定化シリカゾル(500g;NALCO2326、イリノイ州ネーパービル(Naperville)のナルコケミカル社(Nalco Chemical Co.)より入手)、1−メトキシ−2−プロパノール(600g)、実施例1のGAP−シラン生成物(35.51g)、及びイソオクチルメトキシシラン(35.79g)を、丸底フラスコ中で組み合わせ、混合物を80℃で18時間、機械的に攪拌した。フラスコに、十分量のアクリル酸イソオクチルを添加し、アクリル酸イソオクチルを34.6重量%含有する混合物を提供した。フェノチアジンを添加し、フェノチアジンを約100ppm含有する組成物を提供した。次いで、ロータリーエバポレーターを用いて1−メトキシ−2−プロパノールを除去した。
【0092】
(実施例6)
GAP−及びイソオクチル修飾シリカナノ粒子で気泡安定化されたIOA/AA
IOA/AAシロップ剤(2.0g)を、2−エチルヘキシルアクリレート50重量%と実施例2のGAP−及びイソオクチル修飾シリカナノ粒子50重量%の混合物2.0gと組み合わせた。「C」フリット化ガス分散チューブを用いて混合物中に導入された窒素ガスで混合物を発砲させた。次いで、泡の一部を5.1センチメートル(2インチ)×7.6センチメートル(3インチ)のスライドグラス上に注ぎ、スライドグラスをフュージョン「D」バルブを備えた硬化室中を通過させて光硬化した。光硬化された泡の寸法を測定した。スライドグラスをドラフト内のラックに垂直にぶら下げ、プロパントーチを用いて光硬化された泡の下縁部に点火した。泡への点火後、トーチを除去し、泡を観察したところ、炭化してサイズが大きくなるのが観察された。炭化して流動しなかった焼成泡は、約10秒以内の自消性が観察された。炭化した泡の寸法を測定し、89%厚さが増大していることを見出した。
【0093】
(実施例7)
GAP−及びイソオクチル修飾シリカナノ粒子で気泡安定化されたIBA
IBAシラップの混合物(2.0g)を、2−エチルヘキシルアクリレート50重量%とGAP−及びイソオクチル修飾シリカナノ粒子50重量%の混合物2.0gと組み合わせた。「C」フリット化ガス分散チューブを用いて混合物中に導入された窒素ガスで混合物を発砲させた。次いで、泡の一部を5.1センチメートル(2インチ)×7.6センチメートル(3インチ)のスライドグラス上に注ぎ、スライドグラスをフュージョン「D」バルブを備えた硬化室中を通過させて光硬化した。
【0094】
比較例1
イソオクチル修飾シリカナノ粒子の調製
アンモニウム安定化シリカゾル(1000g;NALCO2326、イリノイ州ネーパービル(Naperville)のナルコケミカル社(Nalco Chemical Co.)より入手)、1−メトキシ−2−プロパノール(1940g)、及びイソオクチルメトキシシラン(61.42g)を、スクリューキャップガラスジャー内で組み合わせた。ジャーにふたをして、オーブン内に80℃で一晩定置した。次いで、ジャーを室温まで冷却し、混合物をガラス皿に注いだ。混合物を150℃の強制空気オーブン内で乾燥し、白い粉末の生成物を得た。
【0095】
比較例2
イソオクチル修飾シリカナノ粒子で気泡安定化されたIOA/AA
IOA/AAシロップ剤(2.0g)を、2−エチルヘキシルアクリレート50重量%とイソオクチル修飾シリカナノ粒子50重量%の混合物2.0gと組み合わせた。「C」フリット化ガス分散チューブを用いて混合物中に導入された窒素ガスで混合物を発砲させた。次いで、泡の一部を5.1センチメートル(2インチ)×7.6センチメートル(3インチ)のスライドグラス上に注ぎ、スライドグラスをフュージョン「D」バルブを備えた硬化室中を通過させて光硬化した。光硬化された泡の寸法を測定した。スライドグラスをドラフト内のラックに垂直にぶら下げ、プロパントーチを用いて光硬化された泡の下縁部に点火した。泡への点火後、トーチを除去し、泡が、本質的に炭化せずに燃焼し、収縮及び流動していたことが観察された。燃焼泡は自消性でないことが観察された。燃焼泡の寸法を測定し、厚さが53%減少していることを見出した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機ポリマー中に分散したアジドポリマー表面修飾ナノ粒子相を有する有機ポリマーを含むポリマー組成物。
【請求項2】
前記ナノ粒子相の前記粒子の平均粒子サイズが、5〜100ナノメートルである、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項3】
前記有機ポリマーが、熱可塑性及び熱硬化性ポリマー類から選択される、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項4】
前記アジドポリマーが、前記ナノ粒子にコーティングされている、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項5】
前記ナノ粒子が、前記アジドポリマーに共有又はイオン結合している、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項6】
アジドポリマーの無機ナノ粒子に対する重量比が、2:1〜1:10である、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項7】
前記アジドポリマーが、5〜50重量%の前記アジドポリマー官能化ナノ粒子相を含む、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項8】
前記アジド含有量が、前記組成物の0.25〜10重量%である、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項9】
前記ナノ粒子が、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア、ヴァナディア(vanadia)、セリア、酸化鉄、酸化アンチモン、酸化スズ、アルミニウム/シリカ及びそれらの組み合わせである、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項10】
前記アジドポリマーが、次式である、請求項1に記載のポリマー組成物。
(X−(R)−L(I)
(式中、Xはヒドロキシル基、アジド基、メルカプト基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、又はアミノ基を表し、
Rは環状エーテル由来の−N基を含有する二価モノマー基を表し、
Lはアルキルラジカルを表し、
mは1〜6であってよく、及び
nは少なくとも1に等しい自然数を表す。)
【請求項11】
前記アジドポリマーのRが、−CHCH(CH)O−、−CHC(CH)(CH)CHO−、CH(CH)CHO−、−CHC(CHCHO−、−CH(CH)CH(CH)O−、及び−CHCH(N)CHO−から選択される、請求項10に記載のポリマー組成物。
【請求項12】
前記アジドポリマーが、700〜10,000の数平均分子量を有する、請求項10に記載のポリマー組成物。
【請求項13】
前記ナノ粒子が、シリカナノ粒子であり、及び前記アジドポリマーが両親媒性(ambiphilic)シランカップリング剤によって前記ナノ粒子の表面に結合されている、請求項5に記載のポリマー組成物。
【請求項14】
前記両親媒性(ambiphilic)シランカップリング剤が、次式である請求項13に記載のポリマー組成物。Q−R−Si−(Y)(R3−b(III)
(式中、
は、炭素数約1〜20の置換又は非置換の二価炭化水素架橋基であり、−O−、−C(O)−、−S−、−SO−1及びRが水素、アセチル、又は炭素数1〜6のアルキル基である、NR−基から成る群から選択される1〜5の骨格部分を含むか、または含まず、
Yは、Rが炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、又はアラルキル基である、−ORであり、
は、酸素、窒素、及び/又は硫黄原子で利用可能な部位が置換されているか、または置換されていない、互いに独立した炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルコキシ基であり、
aは1〜2であり、
bは1〜3であり、
Qは、アジドポリマーのX基の相補的官能基と反応し得る、反応性官能基である。)
【請求項15】
前記アジドポリマー官能化ナノ粒子が、表面修飾剤をさらに含む、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項16】
前記アジド官能化ナノ粒子が、次式のアジドポリマーで表面修飾されている、請求項1に記載のポリマー組成物。
L−(R)−Q’−R−Si−(Y)(R3−b (IV)
(Lはアルキルラジカルを表し、
Rは環状エーテル由来の−N基を含有する二価モノマー基を表し、
nは少なくとも1と等しい自然数を表し、
Q’は二価結合基であり、
は、炭素数約1〜20の置換又は非置換の二価炭化水素架橋基であり、−O−、−C(O)−、−S−、−SO−及びRが水素、アセチル、又は炭素数1〜6のアルキル基である、−NR−基から成る群から選択される1〜5の骨格部分を含むか、または含まず、
Yは、Rが炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、又はアラルキル基である、−ORであり、
は、酸素、窒素、及び/又は硫黄原子で利用可能な部位が置換されているか、または置換されてない、互いに独立した炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルコキシ基であり、及び
bは1〜3である。)
【請求項17】
アジドポリマー表面修飾ナノ粒子相及び1以上の重合性モノマー類を含む組成物を含んで成る重合性組成物。
【請求項18】
前記重合性モノマー類が、フリーラジカル性重合性モノマー類、カチオン性重合性モノマー類、付加重合性モノマー類、及び縮合重合性モノマー類から成る群から選択される、請求項17に記載の重合性組成物。
【請求項19】
前記アジド含有量が、前記組成物の0.25〜10重量%である、請求項17に記載の重合性組成物。
【請求項20】
前記アジドポリマーが、次式である、請求項17に記載の重合性組成物。
(X−(R)−L(I)
(式中、Xはヒドロキシル基、アジド基、メルカプト基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、又はアミノ基を表し、
Rは環状エーテル由来の−N基を含有する二価モノマー基を表し、
Lはアルキルラジカルを表し、
mは1〜6であってよく、及び
nは少なくとも1と等しい自然数を表す)。
【請求項21】
前記アジド官能化ナノ粒子が、次式のアジドポリマーで表面修飾されている、請求項17に記載の重合性組成物。
L−(R)−Q’−R−Si−(Y)(R3−b (IV)
(Lはアルキルラジカルを表し、
Rは環状エーテル由来の−N基を含有する二価モノマー基を表し、
nは少なくとも1に等しい自然数を表し、
Q’は二価結合基であり、
は、炭素数約1〜20の置換又は非置換の二価炭化水素架橋基であり、−O−、−C(O)−、−S−、−SO−及びRが水素、アセチル、又は炭素数1〜6のアルキル基である、−NR−基から成る群から選択される1〜5の骨格部分を含むか、または含まず、
Yは、Rが炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基である、−ORであり、
は、酸素、窒素、及び/又は硫黄原子で利用可能な部位が置換されているか、または置換されていない、互いに独立した炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルコキシ基であり、及び
bは1〜3である)。
【請求項22】
次式のアジドポリマー。
L−(R)−Q’−R−Si−(Y)(R3−b (IV)
Lはアルキルラジカルを表し、
Rは環状エーテル由来の−N基を含有する二価モノマー基を表し、
nは少なくとも2に等しい自然数を表し、
Qは二価結合基であり、
は、炭素数約1〜20の置換又は非置換の二価炭化水素架橋基であり、−O−、−C(O)−、−S−、−SO−及びRが水素、アセチル、又は炭素数1〜6のアルキル基である、−NR−基から成る群から選択される1〜5の骨格部分を含むか、または含まず、
Yは、Rが炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、又はアラルキル基である、−ORであり、
は、酸素、窒素、及び/又は硫黄原子で利用可能な部位が置換されているか、または置換されていない、互いに独立した炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルコキシ基であり、及び
bは1〜3である。)
【請求項23】
アジドポリマー表面修飾無機ナノ粒子。

【公表番号】特表2008−545851(P2008−545851A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−514779(P2008−514779)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【国際出願番号】PCT/US2006/020963
【国際公開番号】WO2006/130604
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】