説明

自然換気窓

【課題】 障子の開閉をスムーズに行うに適した自然換気窓を提供する。
【解決手段】 窓枠2に吊支持した障子3と,窓枠2の縦枠23側に設置したバランサー51とを連結アーム53によって連結して障子3の傾斜開放を常態とし且つオペレーター操作によってバランサー51を上昇して障子3を引寄せ,窓枠2の下枠22と障子3の下框32間で連動した施錠を可能とした自然換気窓1を形成する一方,バランサー51の裏面に上下2箇所のガイドローラー522を設置し,このガイドローラー522を縦枠23に設置した断面C字状のガイドレール521によって保持してバランサー51を縦枠23に沿って直進昇降自在とする。バランサー51の揺動が防止されて,障子3の風圧に応じた開閉や施錠との連動をスムーズに行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,窓枠に傾斜開放を常態とする障子を開閉自在に装着することによって窓において室内外の換気をなし得るようにした自然換気窓に関する。
【背景技術】
【0002】
この種自然換気窓として出願人のうちの一社は,窓枠の上枠に開閉自在に吊支持した障子と,窓枠の縦枠に上下方向昇降自在に配置したバランサーと,上記障子の縦框と該バランサーの見込面にそれぞれ長手方向端部を回動自在に軸支してこれらの間に配置した連結アームとを備えて上記障子の受ける風圧抵抗に応じて該障子を傾斜開放の常態から閉鎖方向に揺動的に開閉制御自在としたものを2件出願済みである。この場合バランサーは,例えばバランサーブラケットと重量調整用のバランサープレートとによって構成し,該バランサーブラケットを縦枠に沿って配置して,その上下中間位置に上記常態の傾斜開放時に障子とバランスする重量に応じて調整した枚数のバランサープレートを固定し,該バランサーブラケットのバランサープレート下位で,例えばアームブラケットを介して上記障子との連結用の連結アームを軸支固定するようにしてある。そして自然換気窓は一般に壁面高所に設置されるために,例えばオペレーター操作によって作動する連動手段を用いてバランサー乃至障子を引寄せた状態で施錠を行うようにする必要があるところ,該障子の引寄せは,上記2件のうち先行する出願の例では,障子の縦框に室内側に向けてラッチを突設し,例えば縦枠上端に設置した滑車装置によってオペレーターに一端を固定して引寄せ自在とした引張ワイヤーを巻上げて昇降ピンを強制上昇させることによって,該昇降ピンで上記ラッチを押上回動して障子を窓枠側に引いて連結アームによって連結したバランサーを縦枠に沿って上昇させながら,引張ワイヤーの中間に設置してラッチの押上回動と連動するように設置した施錠装置を連動して作動させその施錠を行うようにしたものとされる。また2件のうち後続する出願の例では,例えば上記ラッチが露出する外観不良を解消するように,ラッチを設けることなく,例えば滑車装置によって昇降する昇降部材にバランサー側に向けて係合支持部を突設する一方,バランサー,特にバランサーブラケットの上端に昇降部材側に向けて上記係合支持部に対接する被係合部を突設し,上記と同様にオペレーターに一端を固定して引寄せ自在とした引張ワイヤーを巻上げて昇降部材を縦枠に沿って上昇させ,その係合支持部と被係合部の対接係合によりバランサーを直接に強制上昇させ,連結アームを介して障子を窓枠側に引きながら施錠装置を同じく連動して作動させその施錠を行うようにしたものとされる。
【0003】
【特許文献1】特願2004−228187号
【特許文献2】特願2005−253263号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの場合,障子の縦框と縦枠に沿って昇降するバランサーの見込面の間に連結アームをそれぞれ回動自在に連結したことによって,バランサーによってバランスして障子は傾斜開放を常態としつつ,例えば数m/sec程度以上の強風時に障子が風圧抵抗を受けて障子が閉鎖方向に回動すると,傾斜開放時に最下端位置に位置するバランサーを連結アームが押し上げることによって風圧抵抗に応じた開閉制御をなし得るものとなるところ,風圧に応じてバランサーは常に昇降する状態に置かれるとともに,日常的に繰り返されるオペレーター操作による施錠時にもバランサーが昇降する状態に置かれることになる。しかし乍らバランサーを縦枠に沿って昇降するようにしても,連結アームの固定位置がバランサーの見込面であり,一般にはその下方位置であるために,連結アームによってバランサーを押し上げようとし,また施錠装置に連動して該バランサーを強制上昇しようとすると,必ずしも縦枠に沿ってスムーズに直進昇降するとは限らず,バランサーが前後に揺動する傾向を生じることがあり,バランサーが揺動すると連結アームの回動が妨害され,スムーズな上昇ができないことによって,風圧抵抗に応じた開閉制御や施錠の連動性が阻害される可能性を生じるし,場合によってはバランサーが縦枠と干渉して擦れ音を発生する可能性を生じて,製品不良の要因となり兼ねない。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので,その解決課題とするところは,バランサーのスムーズな直進昇降を確実に確保して,バランサーの揺動に伴う問題点を解消して開閉制御や施錠の連動性を簡易且つ確実に確保し得るようにした自然換気窓を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に沿って本発明は,上記自然換気窓の構成と機能を維持しながら,バランサーと縦枠との間に昇降ガイドとしてガイドレールと該ガイドレールに保持したスライダーを配置して,昇降ガイドによってバランサーの昇降を直進方向に案内することにより,その揺動,即ちバランサーの前後及び左右の揺動を防止し,そのスムーズな直進昇降を可能とし,開閉制御や施錠の連動性を簡易且つ確実に確保し得るようにしたものであって,即ち請求項1に記載の発明を,窓枠の上枠に開閉自在に吊支持した障子と,窓枠の縦枠に上下方向昇降自在に配置したバランサーと,上記障子の縦框と該バランサーの見込面にそれぞれ長手方向端部を回動自在に軸支してこれらの間に配置した連結アームとを備えて上記障子の受ける風圧抵抗に応じて該障子を傾斜開放の常態から閉鎖方向に揺動的に開閉制御自在とした自然換気窓であって,上記縦枠とバランサーの一方にガイドレールを,他方にスライダーを配置するとともに該スライダーをガイドレールに保持した昇降ガイドによってバランサーの直進昇降を自在としてなることを特徴とする自然換気窓としたものである。
【0007】
請求項2に記載の発明は,上記に加えて,ガイドレールとバランサーの昇降案内に伴う摩擦抵抗を可及的に減少し,バランサーの昇降による障子の開閉を可及的にスムーズになし得るものとするように,これを,上記スライダーガイドレールに転動自在のガイドローラーとし且つ該ガイドローラーを上記ガイドレールに対して上下方向複数配置してなることを特徴とする請求項1に記載の自然換気窓としたものである。
【0008】
本発明は,これらをそれぞれ発明の要旨として上記課題解決の手段としたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は以上のとおりに構成したから,請求項1に記載の発明は,自然換気窓の構成と機能を維持しながら,バランサーと縦枠との間に昇降ガイドとしてガイドレールと該ガイドレールに保持したスライダーを配置し,昇降ガイドによってバランサーの昇降を直進方向に案内することによりその揺動,即ちバランサーの前後及び左右の揺動を防止し,そのスムーズな直進昇降を可能とし,開閉制御や施錠の連動性を簡易且つ確実に確保し得るようにした自然換気窓を提供することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は,上記に加えて,ガイドレールとバランサーの昇降案内に伴う摩擦抵抗を可及的に減少し,バランサーの昇降による障子の開閉を可及的にスムーズになし得るものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下図面の例に従って本発明を更に具体的に説明すれば,図中1は,例えば壁面の上方高所に設置した自然換気窓であり,該自然換気窓1は,窓枠2の上枠21に開閉自在に吊支持した障子3を,例えば無風状態や風速2〜3m/sec程度の微風状態で障子3を傾斜開放の常態とし,風速4〜5m以上の強風状態で障子3が風圧抵抗を受けることによって該障子3を自動的に閉鎖し,強風が治まり風圧抵抗がなくなると再び傾斜開放の常態に復帰することによって自然換気を行うようにしてある。
【0012】
自然換気窓1は,上記障子3とともに,窓枠2の縦枠23に上下方向昇降自在に配置したバランサー51と,上記障子3の縦框33と該バランサー51の見込面にそれぞれ長手方向端部を回動自在に軸支してこれらの間に配置した連結アーム53とを備えて上記障子3の受ける風圧抵抗に応じて該障子3を傾斜開放の常態から閉鎖方向に揺動的に開閉制御自在としたものとしてあり,このとき上記縦枠23とバランサー51の一方にガイドレール521を,他方にスライダー522を配置するとともに該スライダー522をガイドレール521に保持した昇降ガイド52によってバランサー51の直進昇降を自在を自在としてある。
【0013】
即ち本例の自然換気窓1にあって,上記障子3は,窓枠2の上枠21と上框31間に,例えば上枠21に一致に形成した軸と障子3の上框31に同じく一体に形成した軸受とを回動自在に嵌合軸支したヒンジ4を介して上吊りすることによってその開閉自在の吊支持を行ってあり,このとき自然換気窓1は,上記バランサー51と連結アーム53によって障子3の開閉を制御する開閉制御手段5と,夜間等に障子3を施錠する障子施錠手段6と,手の届く位置に設置した図示省略のオペレーター操作によって障子3を閉鎖方向に引き寄せるとともに障子3の施錠を行うようにこれら開閉制御手段5と障子施錠手段6とを連動する連動手段7とを備えたものとしてある。
【0014】
本例の開閉制御手段5において,上記バランサー51は,これを窓枠2の縦枠22に上下方向昇降自在に配置し,また連結アーム53は,これを該バランサー51と障子3の縦框33にそれぞれ長手方向端部を回動自在に軸支したものとしてある。
【0015】
バランサー51は,縦枠に沿って配置したバランサーブラケット511と該バランサーブラケット511に適宜枚数を積層するように固定したバランサープレート512とによって形成し,バランサーブラケット511を縦枠23に沿って配置し,これに対するバランサープレート511の枚数を増減することによってその重量調整をなし得るようにしてある。
【0016】
該バランサー51は,上記昇降ガイド52によって縦枠23に沿って直進昇降するようにしてあり,このとき本例の昇降ガイド52にあってそのガイドレール521は,これを縦枠3に,またスライダー522は,これをバランサー51にそれぞれ配置するとともに本例の上記スライダーは,これを,ガイドレール521に転動自在のガイドローラーとし且つ該ガイドローラーを上記ガイドレール521に対して上下方向複数配置したものとしてある。
【0017】
本例にあって縦枠23に配置したガイドレール521は,例えば縦枠23と別に押出成形したアルミ押出形材製にして断面C字状のレール溝と,縦枠固定片を備えたものとしてあり,該ガイドレール521は,例えば縦枠23における障子3の縦框33に対向する見付面に,上記縦枠固定片とレール溝の底壁をそれぞれネジ止めすることによってレール溝を連結アーム53側に開口して上下方向に垂直に位置するように固定して,その配置を行ってあり,このとき該ガイドレール521はバランサー51の昇降長さに合せてこれより幾分長めにこれを形成してある。
【0018】
一方スライダー,本例にあってガイドローラー522は,バランサー51,特にその縦枠23側に位置するバランサーブラケット511の裏面,即ち縦枠23側にその長手方向をなす上下方向に複数,特に上下を一対とするように2個配置してあり,該配置はバランサーブラケット511の該当位置に2箇所の透孔を設け,該透孔にガイドローラーの回転軸を挿通し表面,即ち連結アーム53側からそれぞれ回転軸の先端に刻設した雄ネジにナットを螺装固定して,その配置を行ってある。このとき該バランサーブラケット511のバランサープレート512を設置した位置より下位にして該バランサープレート512と当らないようにその配置を行うとともにバランサーブラケット511と円弧面を平行とするように且つガイドレール521のレール溝と重なるようにバランサーブラケット511の見込面前後位置にその配置を行ってある。
【0019】
スライダーのガイドローラー522は,例えば外周をガイドレール521のレール溝の溝壁と略同一形状にしてこれより幾分小さな円弧面とするように正面円形をなすものとしてあり,これにより該ガイドローラー522を,例えばガイドレール521の長手方向端部からそのガイド溝に挿入することによって,該ガイドローラー522が揺動したり,ガイドレール521から脱出したりすることなくガイドレール521の案内により上下方向に転動自在として,その上記揺動防止の保持を行ってあり,これにより該ガイドローラー522を介してバランサー51,特にそのバランサーブラケット511を確実且つスムーズに上下方向に直進昇降するように案内するものとしてある。このとき本例にあって該バランサー51は,ガイドレール521の下端に,例えば断面L字状等のストッパー513を配置し,該ストッパー513によってバランサー51,特にそのバランサーブラケット511の降下位置を定めてガイドレール521からバランサー51が抜け落ち状に落下するのを防止してある。
【0020】
連結アーム53は,障子3の縦框33と該ガイドレール521によってスライダー,本例にあってガイドローラー522を保持したバランサー51との間に両端を回動自在に軸支してあり,本例にあって該連結アーム53の軸支は,上記バランサー51が最上端まで上昇した際に,該バランサー51に引上げられてこれと平行な状態となった際に縦枠23に垂直に納まる長さを有するものとしてある。本例にあって該連結アーム53は,その長手方向両端に軸支孔を透設し,障子3の傾斜開放の常態で該障子3とバランサー51,特にバランサーブラケット511を連結する長さを有するバー材によるものとしてあり,このとき該連結アーム53は,障子3においてはその室内側に突出し窓枠2に納まるように配置した縦框33に対してその見込面の下端にアームブラケット531を介して,またバランサー51においては,特にそのバランサーブラケット511の見込面の下端に同じくアームブラケット531を介してそれぞれこれらアームブラケット531から水平方向に突出するように固定した軸を上記軸支孔に挿通し,同じく該軸の先端に刻設した雄ネジにナットを螺装することによってその回動自在の軸支を行ってある。
【0021】
従って本例にあって障子3が風圧抵抗を受けたとき,連結アーム53がバランサー51,特にそのバランサーブラケット51の下端でこれを押上げるように作用し,該押上げられたバランサーブラケット511,即ちバランサー51は,縦枠23に配置したガイドレール521にそのスライダー522,特にガイドローラーが保持された状態で前後及び左右に揺動することなく昇降ガイド52によるスムーズな直進上昇を可能として,障子3に対する風圧抵抗に応じた障子3の滑らかな閉鎖を行うとともに風圧抵抗がなくなり又は減少したときバランサー51は同じくガイドレール521にそのスライダー522,即ちガイドローラーが保持された状態でその自重によって上記ストッパー513位置までスムーズに直進降下することによって連結アーム53を介して障子3を傾斜開放の常態に復帰させるものとしてある。
【0022】
このように昇降ガイド52によって案内したバランサー51と,障子3と該バランサー51間に配置した連結アーム53による本例の開閉制御手段5は,更に連動手段7によって障子施錠手段6と連動して,該開閉制御手段5による障子3の引寄せと障子施錠手段6による障子3の施錠を同時的に行うものとしてある。
【0023】
即ち障子施錠手段6は,窓枠2の下枠22に長手方向スライド自在に配置したスライドバー61と障子3の下框32にそれぞれ配置し相互に係脱自在のフック62及び係止ピン63とを具備したものとしてあり,また上記連動手段7は,オペレーター又はスイッチ操作,本例にあってはオペレーター操作によって上記開閉制御手段5のバランサー51を強制上昇して障子3を引寄せるとともに障子施錠手段6のスライドバー61を強制スライドして障子3を施錠するものとしてある。
【0024】
本例の障子施錠手段6は,上記スライドバー61に,例えば摩擦抵抗を減少するようにローラーボルトによる係止ピン63を,また障子3の下框32に該係止ピン63を受入自在に横方向に傾斜開口したフック62を配置し,スライドバー61のスライドに伴って係止ピン63が横方向に移動して下框32のフック62に係止することによって施錠を行う一方,係止ピン63がフック62から脱出することによってその開錠を行うようにしてある。
【0025】
本例にあって該スライドバー61と下枠22間にダンパー又は引張バネ,本例にあってはガスダンパー64を配置し,該ダンパー64を開錠方向に付勢してスライドバー61を施錠方向にスライド自在としてあり,該ダンパー64は,スライドバー61の長手方向一端に設置したスライドバー61側のダンパーブラケット641及びこれと上記フック62の位置を挟んだ反対側位置において下枠22に設置した下枠22側のダンパーブラケット641間に介設してスライドバー61の施錠方向のスライドによって開錠方向の付勢力を蓄積し,開錠時に該付勢力によってスライドバー61が開錠方向にスライドして該スライドバー61に設置した係止ピン63がフック62から脱出して障子施錠装置6の自動的な開錠を行うようにしてある。
【0026】
本例の連動手段7は,壁面の高所に設置した自然換気窓の操作を手の届く壁面位置に設置した図示省略のオペレーター又はスイッチ,本例にあってはオペレーターの操作によって上記開閉制御手段5と障子施錠手段6とを連動して作動し,開閉制御手段5のバランサー51を強制上昇することによる障子3の閉方向への引寄せと,スライドバー61を強制スライドして上記フック62に係止ピン63を係止することによる障子3の施錠とを順次段階的になし得るものとしてあり,本例にあって連動手段7は,これを,縦枠23のバランサー51上方位置に配置した動滑車713を具備した滑車装置71と,該滑車装置71の動滑車713を軸支し該動滑車713によって縦枠23に昇降自在とし且つバランサー51を強制上昇する係合支持部721を具備した昇降部材72と,該昇降部材72の係合支持部721に常時非係合とするように該係合支持部721の上方に位置して昇降部材72の上昇によって係合支持部721に対接係合自在にバランサー51に配置した被係合部722と,オペレーター又はスイッチ操作,本例にあってはオペレーター操作の巻上げによって引寄せ自在とし先端を上記動滑車713を介して滑車装置71に固定するとともに中間をスライドバー61に固定して滑車装置71とスライドバー61を連結した引張ワイヤー76とを備えたものとしてあり,このとき本例にあって上記昇降部材72は,該昇降部材72と縦枠23との間に介設した引張バネ又はダンパー,本例にあっては引張バネ73によって縦枠23に対する下向き付勢状態で昇降自在としてある。また本例にあって該引張ワイヤー76は,これを,下枠22に配置したワイヤーガイド761,バランサー51設置の縦枠22下端に配置した方向転換滑車762,上記スライドバー61に固定したスライド滑車763,上記方向転換滑車762の上方近傍に配置した同じく方向転換滑車764,縦枠23上端の方向転換滑車765,滑車装置71の定滑車712,滑車装置71の動滑車713を経由してオペレーター又はスイッチ側,本例にあってはオペレーター側の巻上げドラムと滑車装置71間に配置したものとしてあり,また上記昇降部材72は,これを上記バランサー51と同様に,縦枠23に設置した昇降ガイド75によって昇降案内自在としたものとしてある。
【0027】
滑車装置71は,縦枠23のバランサー51上方位置,本例にあっては縦枠23上端位置に設置した端部金具711に引張ワイヤー76の先端を固定し,昇降部材72の動滑車713及び上記端部金具711と同じ高さの縦枠23上端位置に軸支固定した定滑車712を経由するように配置し引張ワイヤー76の引寄せによって昇降部材72を上昇自在としてあり,本例にあって上記昇降部材72の係合支持部721は,これを昇降部材72の下端にバランサー51側に向けて突設したローラー,折曲片等による係合支持用の突出部とし,またバランサー51の被係合部722は,これを,上記バランサーブラケット511の上端に昇降部材72側に向けて同じく突設した折曲片,ローラー等による被係合用の突出部としてある。
【0028】
従って,例えばオペレーターのロックを解除して引張ワイヤー76をフリーとして障子3が傾斜開放の常態にあるとき,昇降部材72はその動滑車713の自重で下方に降下し,上記係合支持部721がバランサー51の被係合部722より下位に位置する結果,係合支持部721と被係合部722とは常時非係合の状態となるとともにバランサー51も連結アーム53が障子3側に突出するように同じく自重によって最降下した状態となり,障子3の風圧抵抗によって該バランサー51は上昇しても降下することはないから,昇降部材72がバランサー51の昇降を妨害する可能性を解消するとともに引張ワイヤー76が引寄せられることによって昇降部材72が上昇すれば,最降下又は中間の位置を問わずにバランサー51の被係合部722に昇降部材72の係合支持部721が対接係合して該バランサー51を上記昇降ガイド52のガイドローラーとスライダー522,本例にあってはガイドローラーの案内によって縦枠23上方に向けた直進上昇を行うようにしてある。
【0029】
上記昇降部材72と縦枠23との間に介設した引張バネ73は,例えばコイルスプリングを用い,昇降部材72の下端,本例にあっては上記ローラー,折曲片等の係合支持用の突出部による係合支持部721と並列するようにバネ係合部731を突設する一方,その下方位置で縦枠23に同じくバネ係合部731を配置し,これらバネ係合部731間に両端のフックを引掛支持することによって,これらの間に介設してあり,これによって併せて滑車装置71の動滑車713を下向きに付勢し,引張ワイヤー76に生じることある弛みを吸収して昇降部材72を常に定位置に降下させ,昇降部材72の降下不良に起因する係合支持部721と被係合部722の干渉とこれによるバランサー51昇降阻害の可能性を解消するものとしてある。このとき本例にあって昇降部材72は,縦枠23に設置し,該昇降部材72を定位置で下支え支持するストッパー74を設置し,引張バネ76の付勢力で昇降部材72が定位置を超えて降下するのを防止し,該定位置を超えて降下することによって,例えばその係合支持部721がバランサー51,特にそのバランサーブラケット511の被係合部722と衝接して衝接音を発生したりするのを防止し得るようにしてある。
【0030】
また本例にあって昇降部材72の昇降ガイド75は,上記バランサーブラケット511における昇降ガイド52の縦枠23の上方位置でその見込面に同じく断面C字状のガイドレール751を配置するとともに昇降部材72裏面の同じく上下複数箇所にガイドローラー752を配置して上記バランサー51におけると同様に該ガイドローラー752をガイドレール751に保持して同じくその直進昇降を自在としてあり,これによって同様に,該昇降部材72が揺動するのを確実に防止するとともに該昇降部材72の昇降案内に伴って生じる摩擦抵抗を可及的に減少し,該昇降部材72の上昇とこれによる障子3の引寄せをスムーズになし得るようにしてある。
【0031】
上記オペレーター側から滑車装置に至る間に引張ワイヤー76は,先ず上記ワイヤーガイド761を経由するところ,該ワイヤーガイド761は,起立片に透孔を透設して下枠22に設置したL字状金具によるものとしてあり,該ワイヤーガイド761の上記透孔に引張ワイヤー76を挿通することによって下枠22一端における引張ワイヤー76のスタート位置を定めるものとしてあり,ワイヤーガイド761に次いで引張ワイヤー76が経由する方向転換滑車762は,下枠22他端の縦枠23内に設置した同じくL字状金具の起立片に軸支することによってバランサー51設置の縦枠23下端において上記引張ワイヤー76の方向を180度転換して再度下枠22の長手方向に沿って復帰するものとしてあり,また該方向転換滑車762に次いで引張ワイヤー76が経由するスライド滑車763は,スライドバー61の該方向転換滑車762側端部に設置した同じくL字状金具の起立片に軸支することによって該スライドバー61を,本例にあって上記ダンパー64を付勢しながら上記方向転換滑車762側に向けて引寄せてその強制スライドを行うものとするとともに引張ワイヤー76の方向を同じく180度転換して再度上記方向転換滑車762側に向けるものとしてある。該スライド滑車763に次いで引張ワイヤー76が経由する方向転換滑車764は,上記方向転換滑車762の上方近傍に設置した同じくL字状金具の起立片に軸支することによってバランサー51設置の縦枠22下方においてスライド滑車763を経由した引張ワイヤー76の方向を90度転換して縦枠23上端の上記滑車装置71における定滑車712に向けるものとしてあり,このとき該方向転換滑車764は,例えば上下に一対のものを用いてタスキ掛け状に引張ワイヤー76を配置し,その下方の一方で方向を130度程度転換した後に上方の他方で再度方向を40度程度転換しその方向を上方に向けるものとしてあり,また該方向転換滑車764に次いで引張ワイヤー76が経由する方向転換滑車765は,縦枠23上端に設置した,上記滑車装置71の定滑車712と同高さ位置のL字状金具の起立片に軸支することによって上記方向転換滑車754からの引張ワイヤー76の方向を90度転換して滑車装置71に向けるものとしてある。
【0032】
以上のとおりに構成した本例の自然換気窓1にあっては,オペレーターを操作して連動手段7の引張ワイヤー76を巻き取って引寄せると,該引張ワイヤー76がその中間でスライド滑車763を引寄せてスライドバー61を施錠方向に強制スライドし,ダンパー64に開錠方向の付勢力を蓄積するとともに滑車装置71の動滑車713を引上げて昇降部材72を上昇し,該昇降部材72の係合支持部721がバランサー51,特にバランサーブラケット511の被係合部722に対接係合してバランサー51を上記昇降ガイド52のガイドローラーとスライダー522,本例にあってはガイドローラーの案内によって前後左右に揺動することなく強制的に直進上昇し,これによって連結アーム53を回動し障子3を閉鎖方向に引寄せる一方,障子施錠装置6におけるスライドバー61の係止ピン63が下框32のフック62に係止し,障子3の引寄せと施錠をスムーズに連動して完了することができ,また逆にオペレーターのロックを解除して連動手段7の引張ワイヤー76をフリーとすると上記ダンパー64がスライドバー61を逆方向にスライドして,障子施錠手段6のフック62から係止ピン63が脱出するとともに連動手段7の昇降部材72が動滑車713の自重で降下することによってその係合支持部721がバランサー51の被係合部722から外れて,開閉制御手段5のバランサー51が同じく上記昇降ガイド52のガイドレールとスライダー522,本例にあってはガイドローラーの案内によって同じく前後左右に揺動することなく直進降下し該バランサー51が障子3とバランスすることによって障子3が傾斜開放の常態となるとともに障子3の風圧抵抗に応じた開閉制御手段5のスムーズな開閉制御が可能となり,自然換気窓1としてその機能を発揮できる。
【0033】
また本例にあって昇降部材72の昇降を引張バネ73によって下向き付勢状態で行うことによって,引張ワイヤー76に生じることある弛みを吸収して昇降部材72を常に定位置に降下させ,昇降部材72の降下不良に起因する係合支持部721と被係合部722の干渉とこれによるバランサー51昇降阻害の可能性を解消することができ,更にバランサー51と同様に昇降部材72の昇降を,その裏面のガイドローラー752を縦枠23に設置したガイドレール751に保持して案内することによって該昇降部材72の揺動を防止してその昇降に伴う摩擦抵抗を可及的に減少し施錠時の障子3の引寄せをスムーズに行うことができる。
【0034】
図示した例は以上のとおりとしたが,バランサーと連結アームを用いた上,上記特許文献1の特願2004−228187号のように障子の引寄せを,例えば障子の縦框に室内側に向けてラッチを突設し,例えば縦枠上端に設置した滑車装置によってオペレーターに一端を固定して引寄せ自在とした引張ワイヤーを巻上げて昇降ピンを強制上昇させることによって,該昇降ピンで上記ラッチを押上回動して障子を窓枠側に引いて連結アームによって連結したバランサーを縦枠に沿って上昇させながら,引張ワイヤーの中間に設置してラッチの押上回動と連動するように設置した施錠装置を連動して作動させてその施錠を行うようにすること,上記スライダーを,ガイドレールに摺動自在のスラシ等の滑動ブロックによるものとすること,このとき該滑動ブロックを断面倒T字状に形成するとともに上記と同様にガイドレールを断面C字状とし,滑動ブロックをガイドレールに対して保持するように構成すること,自然換気窓を電動のものとして,上記オペレーターに代えてスイッチ操作によって上記連動手段を作動するようにすること,障子施錠装置においてフックをスライドバーに,係止ピンを下框に配置するようにすること,上記昇降部材の下向き付勢を,上記引張バネに代えてダンパー又は圧縮バネによって行うようにすること,上記スライドバーの開錠方向の付勢を,上記ダンパーに代えて引張バネ又は圧縮バネによって行うようにすること等を含めて,自然換気窓,開閉制御手段,バランサー,昇降ガイド,そのガイドレール,スライダー,連結アーム,障子施錠装置,スライドバー,フック,係止ピン,連動手段,これを作動するオペレーター,スイッチ,必要に応じて用いる連動手段の滑車装置,昇降部材,引張ワイヤー,スライド滑車,引張ワイヤーの経由配置,ダンパー乃至引張バネ,昇降ガイド等の各具体的形状,構造,材質,これらの関係,これらに対する付加等は,上記発明の要旨に反しない限り様々な形態のものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】自然換気窓の設置状態を示す縦断面図である。
【図2】自然換気窓の障子を傾斜開放した状態を示す縦断面図である。
【図3】図2A−A線の縦枠部分の拡大横断面図である。
【図4】図2B−B線の縦枠部分の拡大横断面図である。
【図5】図2C−C線の縦枠部分の拡大横断面図である。
【図6】図2D−D線の縦枠部分の拡大横断面図である。
【図7】図2E−E線の縦枠部分の拡大横断面図である。
【図8】図2F−F線の縦枠部分の拡大横断面図である。
【図9】図2G−G線の縦枠部分の拡大横断面図である。
【図10】自然換気窓の障子施錠状態を示す横断面図である。
【図11】図11H−H線の横枠部分の拡大縦断面図である。
【図12】図11I−I線の横枠部分の拡大縦断面図である。
【図13】図11J−J線の横枠部分の拡大縦断面図である。
【図14】図11K−K線の横枠部分の拡大縦断面図である。
【図15】引張ワイヤーの配置状態を示す室内側における正面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 自然換気窓
2 窓枠
21 上枠
22 下枠
23 縦枠
3 障子
31 上框
32 下框
33 縦框
4 ヒンジ
5 開閉制御手段
51 バランサー
511 バランサーブラケット
512 バランサープレート
513 ストッパー
52 昇降ガイド
521 ガイドレール
522 ガイドローラー
53 連結アーム
531 アームブラケット
6 障子施錠手段
61 スライドバー
62 フック
63 係止ピン
64 ダンパー
641 ダンパーブラケット
7 連動手段
71 滑車装置
711 端部金具
712 定滑車
713 動滑車
72 昇降部材
721 係合支持部
722 被係合部
73 引張バネ
731 バネ係合部
74 ストッパー
75 昇降ガイド
751 ガイドレール
752 ガイドローラー
76 引張ワイヤー
761 ワイヤーガイド
762 方向転換滑車
763 スライド滑車
764 方向転換滑車
765 方向転換滑車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓枠の上枠に開閉自在に吊支持した障子と,窓枠の縦枠に上下方向昇降自在に配置したバランサーと,上記障子の縦框と該バランサーの見込面にそれぞれ長手方向端部を回動自在に軸支してこれらの間に配置した連結アームとを備えて上記障子の受ける風圧抵抗に応じて該障子を傾斜開放の常態から閉鎖方向に揺動的に開閉制御自在とした自然換気窓であって,上記縦枠とバランサーの一方にガイドレールを,他方にスライダーを配置するとともに該スライダーをガイドレールに保持した昇降ガイドによってバランサーの直進昇降を自在としてなることを特徴とする自然換気窓。
【請求項2】
上記スライダーを,ガイドレールに転動自在のガイドローラーとし且つ該ガイドローラーを上記ガイドレールに対して上下方向複数配置してなることを特徴とする請求項1に記載の自然換気窓。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2007−63901(P2007−63901A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−253296(P2005−253296)
【出願日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(000152424)株式会社日建設計 (55)
【出願人】(397000160)株式会社豊和 (47)
【出願人】(302045705)トステム株式会社 (949)
【Fターム(参考)】