自走車
【課題】指等の入力指示体の最低限の動きで操作情報を入力することができる自走車を提供すること。
【解決手段】電動車椅子1において、車椅子本体10に対する操作入力に赤外光を利用した光学式の操作入力装置100を用いているため、指Ob1の小さな動きで操作入力を行なうことができる。このため、操作レバーを手動操作できない者や、音声入力できない者であっても、車椅子本体10を操作することができる。また、電動車椅子1には、赤外光を利用した光学式の障害物検出装置200を設けたため、安全な走行を実現することができる。
【解決手段】電動車椅子1において、車椅子本体10に対する操作入力に赤外光を利用した光学式の操作入力装置100を用いているため、指Ob1の小さな動きで操作入力を行なうことができる。このため、操作レバーを手動操作できない者や、音声入力できない者であっても、車椅子本体10を操作することができる。また、電動車椅子1には、赤外光を利用した光学式の障害物検出装置200を設けたため、安全な走行を実現することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車椅子等の自走車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電動車椅子等の自走車では、利用者が操作レバー等を手動操作して走行方向を入力するのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、利用者の中には、操作レバーを握れず、操作できない者もいる。そこで、音声による入力が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−324218号公報
【特許文献2】特開2000−84004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献2で提案されている音声入力を行なうには、音声を明確に発することが必要となるため、利用者が制限されるという問題点がある。
【0005】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、指等の入力指示体の最低限の動きで操作情報を入力することができる自走車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、車輪および前記車輪の駆動制御を行なう駆動制御部を備えた自走車本体と、該自走車本体に設けられ、当該自走車本体に対する操作情報が入力される操作入力装置と、該操作入力装置での入力結果に対応する操作指令を前記駆動制御部に出力する操作指令部と、を有する自走車であって、前記操作入力装置は、入力検出光を出射する入力検出用光源と、該入力検出用光源を駆動して前記入力検出光が出射される入力検出光出射側空間に前記入力検出光の異なる光強度分布を順次形成する入力検出用光源駆動部と、前記入力検出光出射側空間に位置する操作指示体により反射した前記入力検出光を検出する入力検出用光検出器と、該入力検出用光検出器での検出結果に基づいて前記入力検出光出射側空間における前記操作指示体の位置を検出する入力位置検出部と、を備えていることを特徴とする。
【0007】
本発明では、自走車本体に対する操作入力に光学式検出装置を用いているため、指等といった操作指示体の小さな動きで操作入力を行なうことができる。このため、操作レバーを手動操作できない者や、音声入力できない者であっても、自走車本体を操作することができる。また、入力検出用光源駆動部は、入力検出用光源を駆動して入力検出光が出射される入力検出光出射側空間に入力検出光の異なる光強度分布を順次形成し、かかる光強度分布では、入力検出光出射側空間内における位置と強度との間に一定の関係を有している。このため、操作指示体の位置に対応する強度の入力検出光が入力検出用光検出器に入射することになるので、入力位置検出部は、入力検出用光検出器での検出結果に基づいて操作指示体の位置を検出することができる。従って、操作指示体の位置や位置変化(操作指示体の動き)等を操作入力に関する情報として検出することができる。
【0008】
本発明において、前記入力検出光は、赤外光であることが好ましい。かかる構成によれば、入力検出光が見えない等の利点がある。
【0009】
本発明において、前記入力検出用光源駆動部は、前記入力検出光出射側空間において前記入力検出光の出射方向と交差する方向の一方側から他方側に向けて強度が減少する光強度分布と、前記一方側から前記他方側に向けて強度が増大する光強度分布とを順次形成することが好ましい。このように構成すると、一方側から他方側に向けて強度が減少する光強度分布を形成した際の入力検出用光検出器での検出結果と、一方側から他方側に向けて強度が増大する光強度分布を形成した際の入力検出用光検出器での検出結果との比較結果を利用することができるので、操作指示体の位置や位置変化(操作指示体の動き)等からなる操作入力を正確に検出することができる。
【0010】
本発明において、前記自走車本体には、当該自走車本体周辺の障害物を検出する障害物検出装置が搭載され、前記操作指令部は、前記操作入力装置において走行する旨の入力結果があったとき、走行方向に障害物がないことを前記障害物検出装置が検出したときに前記走行する旨の指令を前記駆動制御部に出力し、走行方向に障害物があることを前記障害物検出装置が検出したときに前記走行する旨の指令を前記駆動制御部に出力しないことが好ましい。かかる構成によれば、安全な走行を実現することができる。
【0011】
本発明において、前記障害物検出装置は、障害物検出光を出射する障害物検出用光源と、該障害物検出用光源を駆動して前記障害物検出光が出射される障害物検出光出射側空間に前記障害物検出光の異なる光強度分布を順次形成する障害物検出用光源駆動部と、前記障害物出射側空間に位置する障害物により反射した前記障害物検出光を検出する障害物検出用光検出器と、該障害物検出用光検出器での検出結果に基づいて前記障害物検出光出射側空間における障害物の位置を検出する障害物位置検出部と、を備えていることが好ましい。このような構成によれば、障害物検出用光源駆動部は、障害物検出用光源を駆動して障害物検出光が出射される障害物検出光出射側空間に障害物検出光の異なる光強度分布を順次形成し、かかる光強度分布では、障害物検出光出射側空間内における位置と強度との間に一定の関係を有している。このため、障害物の位置に対応する強度の障害物検出光が障害物検出用光検出器に入射することになるので、障害物位置検出部は、障害物検出用光検出器での検出結果に基づいて障害物の位置を検出することができる。従って、障害物の有無や位置を自走車の走行に反映することができるので、安全な走行を実現することができる。
【0012】
本発明において、前記障害物検出用光源駆動部は、前記障害物検出光出射側空間において前記障害物検出光の出射方向と交差する方向の一方側から他方側に向けて強度が減少する光強度分布と、前記一方側から前記他方側に向けて強度が増大する光強度分布とを順次形成することが好ましい。このように構成すると、一方側から他方側に向けて強度が減少する光強度分布を形成した際の障害物検出用光検出器での検出結果と、一方側から他方側に向けて強度が増大する光強度分布を形成した際の障害物検出用光検出器での検出結果との比較結果を利用することができるので、障害物の位置を正確に検出することができる。
【0013】
本発明において、前記入力検出用光源駆動部、前記入力位置検出部、前記障害物検出用光源駆動部、前記障害物位置検出部、および前記操作指令部は、共通の半導体集積回路に構成されていることが好ましい。このような構成によれば、操作入力装置と障害物検出装置との間で部品を共通化することができるので、構成の簡素化を図ることができる。
【0014】
本発明において、前記入力操作部では、少なくとも前記走行車本体の走行方向と、前記走行車本体の走行速度が入力される構成を採用することができる。
【0015】
本発明は、前記走行車本体としては、フォークリフトや電動式車椅子等、利用者が操作情報を入力しにくい状況等で使用される自走車に適用すると、より効果的である。
【0016】
本発明において、前記走行車本体が電動式車椅子である場合、前記入力検出用光源は、前記走行車本体のアームレストに設けられていることが好ましい。かかる構成であれば、指を入力指示体として用いるのに便利である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明を適用した電動車椅子(自走車)の説明図である。
【図2】本発明を適用した電動車椅子の電気的構成等を示す説明図である。
【図3】本発明を適用した電動車椅子のアームレストに設けた操作入力装置および障害物検出装置の説明図である。
【図4】本発明を適用した電動車椅子に設けた操作入力装置の説明図である。
【図5】本発明を適用した電動車椅子に設けた操作入力装置において導光板を介して入力検出用光源から出射された入力検出光の光強度分布を示す説明図である。
【図6】本発明を適用した電動車椅子に設けた操作入力装置において指(入力指示体)の位置を検出するのに用いた光強度分布を示す説明図である。
【図7】本発明を適用した電動車椅子の操作入力装置で用いたX座標検出の原理を示す説明図である。
【図8】本発明を適用した電動車椅子に設けた障害物検出装置の説明図である。
【図9】本発明を適用した電動車椅子に設けた障害物検出装置において障害物検出用光源から出射された障害物検出光の光強度分布を示す説明図である。
【図10】本発明を適用した電動車椅子における操作指令部で行われる処理内容を示すフローチャートである。
【図11】本発明を適用した別の電動車椅子(自走車)の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明においては、互いに交差する軸をX軸、Y軸およびZ軸として説明する。また、以下に参照する図面では、X軸方向の一方側をX1側とし、他方側をX2側とし、Y軸方向の一方側をY1側とし、他方側をY2側とし、Z軸方向の一方側をZ1側とし、他方側をZ2側として示してある。
【0019】
(全体構成)
図1は、本発明を適用した電動車椅子(自走車)の説明図であり、図1(a)、(b)は電動車椅子の正面図、および電動車椅子の側面図である。図2は、本発明を適用した電動車椅子の電気的構成等を示す説明図である。図3は、本発明を適用した電動車椅子のアームレストに設けた操作入力装置および障害物検出装置の説明図である。
【0020】
図1に示すように、本形態の自走車は電動車椅子1として構成されており、自走車本体としての車椅子本体10は、座部2と、座部2の後方に位置する背凭れ部3と、座部2の両側に位置する左右のアームレスト4L、4Rと、座部2の前側に位置する左右のフットレスト6L、6Rとを備えている。また、車椅子本体10は、アームレスト4L、4Rの下方に左右の前輪5L、5Rを備えているとともに、背凭れ部3の下方位置に後輪5Bを備えている。また、車椅子本体10は、前輪5L、5Rを回転させて電動車椅子1を走行させる動力部9を備えているとともに、背凭れ部3の下方位置にバッテリー15を備えている。また、車椅子本体10は、前輪5L、5Rを駆動する動力部9を備えているとともに、背凭れ部3の下方位置にバッテリー15を備えている。
【0021】
図1および図2に示すように、動力部9は、左右の前輪5L、5Rを各々独立して駆動する2つのモーター12、13と、後述する操作入力装置100からの指令に基づいてモーター12、13の駆動制御を行なう駆動制御部11とを備えている。かかる構成の電動車椅子1では、駆動制御部11が2つのモーター12、13を等速で回転させれば、電動車椅子1を直進させることができる。また、駆動制御部11が2つのモーター12、13の回転数を相違させれば、左右の前輪5L、5Rを差動させることができ、電動車椅子1に右旋回および左旋回を行なわせることも可能である。
【0022】
(操作入力装置および障害物検出装置の概略構成)
図1および図3に示すように、本形態の電動車椅子1において、左右のアームレスト4L、4Rのうち、一方のアームレスト4Rには、車椅子本体10に対する操作情報が入力される操作入力装置100が構成されているとともに、車椅子本体10周辺の障害物を検出する障害物検出装置200が設けられている。
【0023】
図2に示すように、操作入力装置100は、光学式位置検出装置として構成されている。具体的には、操作入力装置100は、入力検出光L1を出射する入力検出用光源121と、入力検出用光源121を駆動して入力検出光L1が出射される入力検出光出射側空間10R1に入力検出光L1の異なる光強度分布を順次形成する入力検出用光源駆動部140と、入力検出光出射側空間10R1に位置する指Ob1により反射した入力検出光L1を検出する入力検出用光検出器130とを備えている。また、操作入力装置100は、入力検出用光検出器130での検出結果に基づいて入力検出光出射側空間10R1における指Ob1の位置を検出して入力情報を生成する入力位置検出部150を備えている。
【0024】
本形態において、操作入力装置100は、複数の入力検出用光源121(入力検出用光源121A〜121D)を備えており、かかる入力検出用光源121同士の差動を利用して指Ob1の位置を検出する。より具体的には、複数の入力検出用光源121(入力検出用光源121A〜121D)のうち、一部の入力検出用光源121が点灯した際の入力検出用光検出器130での検出結果と、他の入力検出用光源121が点灯した際の入力検出用光検出器130での検出結果とを比較し、これらの検出結果が等しくなるように入力検出用光源121を駆動した際の駆動電流の比によって指Ob1の位置を検出する。このため、入力位置検出部150は、入力検出用光検出器130での検出結果に増幅等を行なって光強度信号を生成する光強度信号生成部151と、光強度信号生成部151からの出力結果に基づいて、入力検出用光源121が順次点灯した際の入力検出用光検出器130での検出結果を比較する等の演算を行なう演算部152とを備えている。また、入力位置検出部150は、演算部152からの出力結果に基づいて、入力検出用光源121の制御量を入力検出用光源駆動部140に指令する帰還調整量指令部153と、帰還調整量指令部153による指令内容に基づいて指Ob1の位置を検出し、かかる検出結果に基づいて入力情報を取得する入力情報生成部154とを有している。
【0025】
また、障害物検出装置200も、操作入力装置100と同様、光学式位置検出装置として構成されている。具体的には、障害物検出装置200は、障害物検出光L2を出射する障害物検出用光源221と、障害物検出用光源221を駆動して障害物検出光L2が出射される障害物検出光出射側空間10R2に障害物検出光L2の異なる光強度分布を順次形成する障害物検出用光源駆動部240と、障害物検出光出射側空間10R2に位置する障害物Ob2により反射した障害物検出光L2を検出する障害物検出用光検出器230とを備えている。また、障害物検出装置200は、障害物検出用光検出器230での検出結果に基づいて障害物検出光出射側空間10R2における障害物Ob2の位置を検出する障害物位置検出部250を備えている。
【0026】
本形態において、障害物検出装置200は、複数の障害物検出用光源221(障害物検出用光源221A〜221C)を備えており、かかる障害物検出用光源221同士の差動を利用して障害物Ob2の位置を検出する。より具体的には、複数の障害物検出用光源221(障害物検出用光源221A〜221C)のうち、一部の障害物検出用光源221が点灯した際の障害物検出用光検出器230での検出結果と、他の障害物検出用光源221が点灯した際の障害物検出用光検出器230での検出結果とを比較し、これらの検出結果が等しくなるように障害物検出用光源221を駆動した際の駆動電流の比によって障害物Ob2の位置を検出する。このため、障害物位置検出部250は、障害物検出用光検出器230での検出結果に増幅等を行なって光強度信号を生成する光強度信号生成部251と、光強度信号生成部251からの出力結果に基づいて、障害物検出用光源221が順次点灯した際の障害物検出用光検出器230での検出結果を比較する等の演算を行なう演算部252とを備えている。また、障害物位置検出部250は、演算部252からの出力結果に基づいて、障害物検出用光源221の制御量を障害物検出用光源駆動部240に指令する帰還調整量指令部253と、帰還調整量指令部253による指令内容に基づいて障害物Ob2の位置を検出する障害物の位置情報を取得する障害物情報生成部254とを有している。
【0027】
ここで、入力検出用光源駆動部140、入力位置検出部150、障害物検出用光源駆動部240、障害物位置検出部250は、共通の半導体集積回路500に構成されており、操作入力装置100での入力検出と、障害物検出装置200での障害物検出とは、異なるタイミングで順次行なわれる。このため、半導体集積回路500には、操作入力装置100および障害物検出装置200の各々で用いる基準クロックを生成する基準クロック生成回路310が構成されているとともに、かかる基準クロックを入力検出用光源駆動部140および障害物検出用光源駆動部240に出力するタイミングを制御するタイミングコントローラー320や、スイッチ回路160、260が構成されている。
【0028】
また、本形態では、半導体集積回路500に操作指令部400が構成されており、操作指令部400にはスイッチ回路410を介して、入力情報生成部154で生成された入力情報と、障害物情報生成部254で生成された障害物の位置情報とが入力される。従って、操作指令部400は、入力情報および障害物の位置情報に基づいて駆動制御部11に指令する。例えば、操作入力装置100において走行する旨の入力結果があったとき、走行方向に障害物がないことを障害物検出装置200が検出したときに走行する旨の指令を駆動制御部11に出力し、走行方向に障害物があることを障害物検出装置200が検出したときには、走行する旨の指令を駆動制御部11に出力しない。
【0029】
(操作入力装置100の具体的構成)
図4は、本発明を適用した電動車椅子に設けた操作入力装置100の説明図である。図5は、本発明を適用した電動車椅子に設けた操作入力装置100において導光板を介して入力検出用光源から出射された入力検出光の光強度分布を示す説明図である。図6は、本発明を適用した電動車椅子に設けた操作入力装置100において指(入力指示体)の位置を検出するのに用いた光強度分布を示す説明図である。
【0030】
図3および図4に示すように、操作入力装置100は、アームレスト4R上に入力検出用光源121としての複数の入力検出用光源121A、121B、121C、121Dを備えている。入力検出用光源121A、121B、121C、121Dは、入力検出光L1(入力検出光L1a、L1b、L1c、L1d)をアームレスト4Rの上方(入力検出光出射側空間10R1)に発散光として出射する発光素子からなり、本形態では、ピーク波長が840〜1000nmに位置する赤外光を出射するLED(発光ダイオード)からなる。
【0031】
また、操作入力装置100は、一方の面111(光出射面)を入力検出光出射側空間10R1に向けた導光板110を備えており、入力検出用光源121A、121B、121C、121Dは各々、導光板110の側端部に発光部120を向けている。
【0032】
また、操作入力装置100は、入力検出光出射側空間10R1の周辺部に、入力検出光出射側空間10R1に受光部131を向けた入力検出用光検出器130を備えている。入力検出用光検出器130は、フォトダイオードやフォトトランジスター等の受光素子からなり、本形態において、入力検出用光検出器130はフォトダイオードである。
【0033】
入力検出用光源121A、121B、121C、121Dは各々、導光板110の4つの角部分に配置され、発光部120を導光板110の角部分に向けている。また、導光板110の他方の面112には、光偏向用あるいは光散乱用の微細な凹凸形状の屈折面や、散乱層等が設けられている。このため、入力検出用光源121Aから出射された入力検出光L1aは、導光板110の内部に進入した後、導光板110の内部を伝播し、一方の面111から出射される。その際、導光板110から入力検出光出射側空間10R1に出射される入力検出光L1aの光量は、図5(a)に示すように、入力検出用光源121Aからの距離に伴って直線的に減衰する強度分布を有することになる。また、入力検出用光源121Bから出射された入力検出光L1bは、図5(b)に示すように、入力検出用光源121Bからの距離に伴って直線的に減衰する強度分布を有することになる。同様に、入力検出用光源121C、121Dから出射された入力検出光L1c、L1dは、図5(c)、(d)に示すように、入力検出用光源121C、121Dからの距離に伴って直線的に減衰する強度分布を有することになる。
【0034】
ここで、入力検出用光源121A、121Dと入力検出用光源121B、121CとはX軸方向で離間し、入力検出用光源121A、121Bと入力検出用光源121C、121DとはY軸方向で離間している。そこで、本形態では、指Ob1のX座標を検出する際には、まず、X座標検出用第1期間において、入力検出用光源121A、121Dを点灯させる一方、入力検出用光源121B、121Cを消灯させ、図6(a)に示すX座標検出用第1光強度分布L1Xa(X座標検出用光強度分布)を形成する。かかるX座標検出用第1光強度分布L1Xaでは、X軸方向の一方側X1から他方側X2に向かって強度は減少し、かかる変化は、入力検出光出射側空間10R1という限られた空間内で光量分布を制御することにより直線的な変化にすることができる。また、X座標検出用第2期間においては、入力検出用光源121A、121Dを消灯させる一方、入力検出用光源121B、121Cを点灯させて、図6(b)に示すX座標検出用第2光強度分布L1Xb(X座標検出用光強度分布)を形成する。かかるX座標検出用第2光強度分布L1Xbでは、X軸方向の一方側X1から他方側X2に向かって強度が増大し、かかる変化は、入力検出光出射側空間10R1という限られた空間内で光量分布を制御することにより直線的な変化にすることができる。
【0035】
また、指のY座標を検出する際には、Y座標検出用第1期間において、入力検出用光源121A、121Bを点灯させる一方、入力検出用光源121C、121Dを消灯させ、図6(c)に示すY座標検出用第1光強度分布L1Ya(Y座標検出用光強度分布)を形成する。かかるY座標検出用第1光強度分布L1Yaでは、Y軸方向の一方側Y1から他方側Y2に向かって強度は減少し、かかる変化は、入力検出光出射側空間10R1という限られた空間内で光量分布を制御することにより直線的な変化にすることができる。また、Y座標検出用第2期間において、入力検出用光源121A、121Bを消灯させる一方、入力検出用光源121C、121Dを点灯させれば、図6(d)に示すY座標検出用第2光強度分布L1Yb(Y座標検出用光強度分布)を形成する。かかるY座標検出用第2光強度分布L1Ybでは、Y軸方向の一方側Y1から他方側Y2に向かって強度は増大し、かかる変化は、入力検出光出射側空間10R1という限られた空間内で光量分布を制御することにより直線的な変化にすることができる。
【0036】
(XY座標の検出方法)
本形態の操作入力装置100においては、図6(a)、(b)を参照して説明したX座標検出用強度分布を利用して指Ob1のX座標を検出し、図6(c)、(d)を参照して説明したY座標検出用強度分布を利用して指Ob1のY標を検出し、かかる検出結果を操作情報の入力として利用する。そこで、図7を参照してX座標検出の原理を説明する。
【0037】
図7は、本発明を適用した電動車椅子の操作入力装置100で用いたX座標検出の原理を示す説明図であり、図7(a)、(b)は、検出光のX軸方向の光強度分布等を示す説明図、および指Ob1で反射した検出光の強度が等しくなるように検出光の光強度分布を調整する様子を示す説明図である。
【0038】
本形態の操作入力装置100において、X座標を検出する際には、図7(a)に示すように、まず、X座標検出用第1期間において、入力検出用光源121A、121Dを点灯させる一方、入力検出用光源121B、121Cを消灯させ、X軸方向の一方側X1から他方側X2に向かって強度が単調減少していくX座標検出用第1光強度分布L1Xaを形成する。また、X座標検出用第2期間において、入力検出用光源121A、121Dを消灯させる一方、入力検出用光源121B、121Cを点灯させ、X軸方向の一方側X1から他方側X2に向かって強度が単調増加していくX座標検出用第2光強度分布L1Xbを形成する。従って、入力検出光出射側空間10R1に指Ob1が進入すると、指Ob1により検出光L1が反射され、その反射光の一部が入力検出用光検出器130により検出される。その際、指Ob1での反射強度は、指Ob1が位置する個所での検出光L1の強度に比例し、入力検出用光検出器130での受光強度は指Ob1での反射強度に比例する。従って、強入力検出用光検出器130での受光強度は、指Ob1の位置に対応する値となる。それ故、図7(b)に示すように、X座標検出用第1光強度分布L1Xaを形成した際の入力検出用光検出器130での検出値LXaと、X座標検出用第2光強度分布L1Xbを形成した際の入力検出用光検出器130での検出値LXbとが等しくなるように、入力検出用光源121A、121Dに対する制御量(駆動電流)を調整した後の駆動電流の比等を用いれば、指Ob1のX座標を検出できることになる。
【0039】
より具体的には、図7(a)に示すように、X座標検出用第1光強度分布L1XaとX座標検出用第2光強度分布L1Xbを絶対値が等しく、X軸方向で強度分布が逆向きになるように形成する。この状態で、入力検出用光検出器130での検出値LXa、LXbが等しければ、指Ob1がX軸方向の中央に位置することが分る。これに対して、入力検出用光検出器130での検出値LXa、LXbが相違している場合、検出値LXa、LXbが等しくなるように、入力検出用光源121A、121Dに対する制御量(駆動電流)と、入力検出用光源121B、121Cに対する制御量(駆動電流)とを調整して、図7(b)に示すように、再度、X座標検出用第1光強度分布L1XaおよびX座標検出用第2光強度分布L1Xbを順次形成する。その結果、入力検出用光検出器130での検出値LXa、LXbが等しくなれば、その時点での入力検出用光源121A、121Dに対する駆動電流と、入力検出用光源121B、121Cに対する駆動電流との比等を用いて指Ob1のX座標を検出できることになる。
【0040】
かかる方法によれば、検出光L1以外の環境光、例えば、外光に含まれる赤外成分が入力検出用光検出器130に入射した場合でも、検出値LXa、LXbの差を求める際、環境光に含まれる赤外成分の強度が相殺されるので、環境光に含まれる赤外成分が検出精度に影響を及ぼすことがない等の利点がある。
【0041】
なお、図6(c)、(d)を参照して説明したY座標検出用第1光強度分布L1YaとY座標検出用第2光強度分布L1Xbとを利用すれば、X座標を検出した方法と同様な方法で指Ob1のY座標を検出することができる。
【0042】
このようにして、入力検出用光検出器130での検出結果に基づいて指Ob1のX軸方向の位置情報を取得するにあたって、図2に示す入力位置検出部150しては、論理回路等のハードウェアを用いた構成を採用することもできる他、入力位置検出部150としてマイクロプロセッサーユニット(MPU)を用い、これにより所定のソフトウェア(動作プログラム)を実行することに従って処理を行う構成を採用することができる。
【0043】
このように構成した操作入力装置100においては、例えば、入力検出光出射側空間10R1のXY座標の中心からいずれの方向に指Ob1が位置するかによって、利用者の操作入力が電動車椅子1の直進、右旋回、左旋回のいずれを指示しているかを判定する。また、操作入力装置100においては、例えば、入力検出光出射側空間10R1のXY座標の中心のずれ量によって電動車椅子1の速度をいずれのレベルを指示しているかを判定する。
【0044】
(障害物検出装置200の具体的構成)
図8は、本発明を適用した電動車椅子に設けた障害物検出装置200の説明図である。図9は、本発明を適用した電動車椅子に設けた障害物検出装置200において障害物検出用光源から出射された障害物検出光の光強度分布を示す説明図である。
【0045】
図3および図8に示すように、障害物検出装置200は、アームレスト4Rの前面部に障害物検出用光源221としての複数の障害物検出用光源221A、221B、221Cを備えている。障害物検出用光源221A、221B、221Cは、障害物検出光L2(障害物検出光L2a、L2b、L2c)を電動車椅子1の前方の斜め下方(障害物検出光出射側空間10R2)に発散光として出射する発光素子からなり、本形態では、ピーク波長が840〜1000nmに位置する赤外光を出射するLED(発光ダイオード)からなる。かかる障害物検出用光源221(障害物検出用光源221A、221B、221C)はいずれも、車椅子本体10の前方の斜め下方に発光部220を向けている。
【0046】
また、障害物検出装置200は、障害物検出光出射側空間10R2に受光部231を向けた障害物検出用光検出器230を備えており、かかる障害物検出装置200は、障害物検出光出射側空間10R2に障害物Ob2が存在した際、障害物Ob2で反射した障害物検出光L2を受光する。障害物検出用光検出器230は、フォトダイオードやフォトトランジスター等の受光素子からなり、本形態において、障害物検出用光検出器230はフォトダイオードである。
【0047】
障害物検出用光源221A、221B、221Cは各々、障害物検出光出射側空間10R2の異なる位置に向けて発光部220を向けている。より具体的には、障害物検出用光源221B、221Cは、Y軸方向の略同一の位置に発光部220を向けているが、X軸方向において離間する位置に発光部220を向けている。また、障害物検出用光源221Aは、障害物検出用光源221B、221CとはX軸方向およびY軸方向において異なる位置に発光部220を向けている。このため、障害物検出用光源221A、221B、221Cの光軸中心は互いにずれている。また、障害物検出用光源221A、221B、221Cから出射された障害物検出光L2a、L2b、L2cにおいては、光軸中心から離間するほど、強度が低下している。このため、障害物検出用光源221Aから障害物検出光出射側空間10R2に出射される障害物検出光L2aは、図9(a)に示すように、障害物検出用光源221Aの光軸中心からの距離に伴って直線的に減衰する強度分布L2a0を有することになる。また、障害物検出用光源221Bから障害物検出光出射側空間10R2に出射される障害物検出光L2bは、図9(b)に示すように、障害物検出用光源221Bの光軸中心からの距離に伴って直線的に減衰する強度分布L2b0を有することになる。また、障害物検出用光源221Cから障害物検出光出射側空間10R2に出射される障害物検出光L2cは、図9(c)に示すように、障害物検出用光源221Cの光軸中心からの距離に伴って直線的に減衰する強度分布L2c0を有することになる。
【0048】
従って、光強度分布L2b0、L2c0とのX軸方向の強度分布を比較すると、図7を参照して説明したように、光強度分布L2c0では、X軸方向の一方側X1から他方側X2に向かって強度は直線的に減少し、光強度分布L2b0では、X軸方向の一方側X1から他方側X2に向かって強度は直線的に増大している。従って、光強度分布L2c0を形成した際の障害物検出用光検出器230での検出値と、光強度分布L2b0を形成した際の障害物検出用光検出器230での検出値とが等しくなるように、障害物検出用光源221B、221Cに対する制御量(駆動電流)を調整した後の障害物検出用光源221B、221Cに対する駆動電流との比等を用いれば、障害物Ob2のX座標を検出できることになる。
【0049】
また、光強度分布L2a0、L2b0とのY軸方向の強度分布を比較すると、図7を参照して説明したように、光強度分布L2a0では、Y軸方向の一方側X1から他方側X2に向かって強度は直線的に減少し、光強度分布L2b0では、X軸方向の一方側X1から他方側X2に向かって強度は直線的に増大している。従って、光強度分布L2a0を形成した際の障害物検出用光検出器230での検出値と、光強度分布L2b0を形成した際の障害物検出用光検出器230での検出値とが等しくなるように、障害物検出用光源221A、221Bに対する制御量(駆動電流)を調整した後の障害物検出用光源221A、221Bに対する駆動電流との比等を用いれば、光強度分布L2a0の最大強度部分と障害物Ob2との離間距離と、光強度分布L2b0の最大強度部分と障害物Ob2との離間距離との比を求めることができる。それ故、先に求めた障害物Ob2のX座標を考慮すれば、障害物Ob2のY座標を検出できることになる。
【0050】
かかる方法によれば、障害物検出光L2以外の環境光、例えば、外光に含まれる赤外成分が障害物検出用光検出器230に入射した場合でも、差動を利用している。このため、環境光に含まれる赤外成分の強度が相殺されるので、環境光に含まれる赤外成分が検出精度に影響を及ぼすことがない等の利点がある。
【0051】
このように構成した障害物検出装置200においては、例えば、2つの前輪5L、5Rの前方位置に障害物Ob2が存在するか否かを検出する。また、障害物検出装置200においては、2つの前輪5L、5Rのうち、前輪5Lの前方位置に障害物Ob2が存在するか否かを検出するとともに、前輪5Rの前方位置に障害物Ob2が存在するか否かを検出する。
【0052】
(動作例)
図10は、本発明を適用した電動車椅子1(自走車)において、操作入力装置100および障害物検出装置200での検出結果に基づいて電動車椅子1を走行させる場合に操作指令部400で行われる処理内容を示すフローチャートである。
【0053】
図10において、本形態の電動車椅子1は、待機状態では、操作入力装置100が待機状態にある一方、障害物検出装置200は休止状態にある。この状態で、アームレスト4Rの上方に指Ob1が置かれたことを操作入力装置100が検出すると(ステップST1)、操作入力装置100が起動して障害物Ob2を検出した後(ステップST2)、指Ob1による操作入力を検出する(ステップST3)。
【0054】
次に、ステップST3での入力が前進せよとの内容であるか否かが判断され(ステップST4)、今回の指示が前進である場合、ステップST2での検出結果が、2つの前輪5L、5Rの前方位置に障害物Ob2が存在する、あるいは存在しない、のいずれであったかを判断する(ステップST5)。かかる判断で、2つの前輪5L、5Rの前方位置に障害物Ob2が存在しないという結果であれば、電動車椅子1を前進させる(ステップST6)。すなわち、操作指令部400は、駆動制御部11に対して前進せよとの指令を出力する。これに対して、2つの前輪5L、5Rの前方位置に障害物Ob2が存在するという結果であれば、電動車椅子1を前進させることなく、ステップST2に戻り、次の入力を待つ。すなわち、操作指令部400は、操作入力装置100において前進せよとの入力があったときでも、駆動制御部11に対して前進せよとの指令を出力しない。
【0055】
次に、ステップST4での判断において、入力が前進ではないとの判断が行なわれた場合、ステップST7において、今回の指示が右旋回であるか否かが判断され、今回の指示が右旋回である場合、ステップST2での検出結果が、2つの前輪5L、5Rのうち、左側の前輪5Lの前方位置に障害物Ob2が存在する、あるいは存在しない、のいずれであったかを判断する(ステップST8)。かかる判断で、前輪5Lの前方位置に障害物Ob2が存在しないという結果であれば、電動車椅子1を右旋回させる(ステップST9)。すなわち、操作指令部400は、駆動制御部11に対して右旋回せよとの指令を出力する。これに対して、前輪5Lの前方位置に障害物Ob2が存在するという結果であれば、電動車椅子1を右旋回させることなく、ステップST2に戻り、次の入力を待つ。すなわち、操作指令部400は、操作入力装置100において右旋回せよとの入力があったときでも、駆動制御部11に対して右旋回せよとの指令を出力しない。
【0056】
次に、ステップST7での判断において、入力が右旋回ではないとの判断が行なわれた場合、ステップST10において、今回の指示が左旋回であるか否かが判断され、今回の指示が左旋回である場合、ステップST2での検出結果が、2つの前輪5L、5Rのうち、右側の前輪5Rの前方位置に障害物Ob2が存在する、あるいは存在しない、のいずれであったかを判断する(ステップST11)。かかる判断で、前輪5Rの前方位置に障害物Ob2が存在しないという結果であれば、電動車椅子1を左旋回させる(ステップST12)。すなわち、操作指令部400は、駆動制御部11に対して左回せよとの指令を出力する。これに対して、前輪5Rの前方位置に障害物Ob2が存在するという結果であれば、電動車椅子1を左旋回させることなく、ステップST2に戻り、次の入力を待つ。すなわち、操作指令部400は、操作入力装置100において左旋回せよとの入力があったときでも、駆動制御部11に対して右旋回せよとの指令を出力しない。
【0057】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の電動車椅子1では、車椅子本体10に対する操作入力に光学式の操作入力装置100を用いているため、指Ob1の操作指示体の小さな動きで操作入力を行なうことができる。このため、操作レバーを手動操作できない者や、音声入力できない者であっても、車椅子本体10を操作することができる。
【0058】
また、操作入力装置100において、入力検出用光源駆動部140は、入力検出用光源121を駆動して入力検出光L1が出射される入力検出光出射側空間10R1に入力検出光L1の異なる光強度分布を順次形成し、かかる光強度分布では、入力検出光出射側空間10R1内における位置と強度との間に一定の関係を有している。このため、指Ob1の位置に対応する強度の入力検出光L1が入力検出用光検出器130に入射することになるので、入力位置検出部150は、入力検出用光検出器130での検出結果に基づいて指Ob1の位置を検出することができる。従って、指Ob1の位置や位置変化(指Ob1の動き)等を操作入力に関する情報として検出することができる。
【0059】
また、本形態において、入力検出光L1は、赤外光であるため、入力検出光L1が見えない等の利点がある。
【0060】
また、車椅子本体10には障害物検出装置200が設けられており、走行方向に障害物Ob2があることを障害物検出装置200が検出したとき、操作指令部400は、走行する旨の指令を駆動制御部11に出力しない。このため、安全な走行を実現することができる。また、障害物検出装置200において、障害物検出用光源駆動部240は、障害物検出用光源221を駆動して障害物検出光L2が出射される障害物検出光出射側空間10R2に障害物検出光L2の異なる光強度分布を順次形成し、かかる光強度分布では、障害物検出光出射側空間10R2内における位置と強度との間に一定の関係を有している。このため、障害物Ob2の位置に対応する強度の障害物検出光L2が障害物検出用光検出器230に入射することになるので、障害物位置検出部250は、障害物検出用光検出器230での検出結果に基づいて障害物Ob2の位置を検出することができる。従って、障害物Ob2の検出結果について障害物Ob2の存在を検出でき、かかる検出結果を電動車椅子1での動作に反映することができる。
【0061】
また、本形態において、入力検出用光源駆動部140、入力位置検出部150、障害物検出用光源駆動部240、障害物位置検出部250、および操作指令部400は、共通の半導体集積回路500に構成されている。このため、操作入力装置100と障害物検出装置200との間で部品を共通化することができるので、構成の簡素化を図ることができる。
【0062】
[他の実施の形態]
上記実施の形態では、左右のアームレスト4L、4Rのうち、左側のアームレスト4Lに操作入力装置100と障害物検出装置200とを設けたが、利用者によっては、右側のアームレスト4Rに操作入力装置100と障害物検出装置200とを設けてもよい。
【0063】
また、図11に示すように、左右のアームレスト4L、4Rの各々に操作入力装置100と障害物検出装置200を設けてもよい。この場合、左右の操作入力装置100のうちの一方のみをアクティブ状態とし、一方の操作入力装置100のみから入力されるようにしてもよいが、左右の操作入力装置100をいずれもアクティブ状態とし、左右の操作入力装置100のうちの双方から操作情報を入力できるようにしてもよい。また、左右のアームレスト4L、4Rの各々に操作入力装置100と障害物検出装置200を設けた場合、右側の障害物検出装置200によって右側の前輪5Rの前方位置に障害物Ob2が存在するか否かを検出し、左側の障害物検出装置200によって左側の前輪5Lの前方位置に障害物Ob2が存在するか否かを検出してもよい。
【0064】
上記実施の形態では、操作入力装置100には導光板110を用いた方式を採用し、障害物検出装置200には導光板110を用いない方式を採用したが、操作入力装置100に導光板110を用いない方式を採用してもよく、障害物検出装置200には導光板110を用いた方式を採用してもよい。
【0065】
上記実施の形態では、自走車として電動車椅子を例示したが、フォークリフト等といった自走車に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0066】
1・・電動車椅子(自走車)、4L、4R・・アームレスト、5L、5R・・前輪、9・・動力部、10・・車椅子本体、10R1・・入力検出光出射側空間、10R2・・障害物検出光出射側空間、11・・駆動制御部、100・・操作入力装置、121、121A〜121D・・入力検出用光源、130・・入力検出用光検出器、150・・入力位置検出部、200・・障害物検出装置、221、221A〜221C・・障害物検出用光源、230・・障害物検出用光検出器、250・・障害物位置検出部、500・・半導体集積回路、Ob1・・指(入力指示体)、Ob2・・障害物、L1、L1a〜L1d・・入力検出光、L2、L2a〜L2c・・障害物検出光
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車椅子等の自走車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電動車椅子等の自走車では、利用者が操作レバー等を手動操作して走行方向を入力するのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、利用者の中には、操作レバーを握れず、操作できない者もいる。そこで、音声による入力が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−324218号公報
【特許文献2】特開2000−84004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献2で提案されている音声入力を行なうには、音声を明確に発することが必要となるため、利用者が制限されるという問題点がある。
【0005】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、指等の入力指示体の最低限の動きで操作情報を入力することができる自走車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、車輪および前記車輪の駆動制御を行なう駆動制御部を備えた自走車本体と、該自走車本体に設けられ、当該自走車本体に対する操作情報が入力される操作入力装置と、該操作入力装置での入力結果に対応する操作指令を前記駆動制御部に出力する操作指令部と、を有する自走車であって、前記操作入力装置は、入力検出光を出射する入力検出用光源と、該入力検出用光源を駆動して前記入力検出光が出射される入力検出光出射側空間に前記入力検出光の異なる光強度分布を順次形成する入力検出用光源駆動部と、前記入力検出光出射側空間に位置する操作指示体により反射した前記入力検出光を検出する入力検出用光検出器と、該入力検出用光検出器での検出結果に基づいて前記入力検出光出射側空間における前記操作指示体の位置を検出する入力位置検出部と、を備えていることを特徴とする。
【0007】
本発明では、自走車本体に対する操作入力に光学式検出装置を用いているため、指等といった操作指示体の小さな動きで操作入力を行なうことができる。このため、操作レバーを手動操作できない者や、音声入力できない者であっても、自走車本体を操作することができる。また、入力検出用光源駆動部は、入力検出用光源を駆動して入力検出光が出射される入力検出光出射側空間に入力検出光の異なる光強度分布を順次形成し、かかる光強度分布では、入力検出光出射側空間内における位置と強度との間に一定の関係を有している。このため、操作指示体の位置に対応する強度の入力検出光が入力検出用光検出器に入射することになるので、入力位置検出部は、入力検出用光検出器での検出結果に基づいて操作指示体の位置を検出することができる。従って、操作指示体の位置や位置変化(操作指示体の動き)等を操作入力に関する情報として検出することができる。
【0008】
本発明において、前記入力検出光は、赤外光であることが好ましい。かかる構成によれば、入力検出光が見えない等の利点がある。
【0009】
本発明において、前記入力検出用光源駆動部は、前記入力検出光出射側空間において前記入力検出光の出射方向と交差する方向の一方側から他方側に向けて強度が減少する光強度分布と、前記一方側から前記他方側に向けて強度が増大する光強度分布とを順次形成することが好ましい。このように構成すると、一方側から他方側に向けて強度が減少する光強度分布を形成した際の入力検出用光検出器での検出結果と、一方側から他方側に向けて強度が増大する光強度分布を形成した際の入力検出用光検出器での検出結果との比較結果を利用することができるので、操作指示体の位置や位置変化(操作指示体の動き)等からなる操作入力を正確に検出することができる。
【0010】
本発明において、前記自走車本体には、当該自走車本体周辺の障害物を検出する障害物検出装置が搭載され、前記操作指令部は、前記操作入力装置において走行する旨の入力結果があったとき、走行方向に障害物がないことを前記障害物検出装置が検出したときに前記走行する旨の指令を前記駆動制御部に出力し、走行方向に障害物があることを前記障害物検出装置が検出したときに前記走行する旨の指令を前記駆動制御部に出力しないことが好ましい。かかる構成によれば、安全な走行を実現することができる。
【0011】
本発明において、前記障害物検出装置は、障害物検出光を出射する障害物検出用光源と、該障害物検出用光源を駆動して前記障害物検出光が出射される障害物検出光出射側空間に前記障害物検出光の異なる光強度分布を順次形成する障害物検出用光源駆動部と、前記障害物出射側空間に位置する障害物により反射した前記障害物検出光を検出する障害物検出用光検出器と、該障害物検出用光検出器での検出結果に基づいて前記障害物検出光出射側空間における障害物の位置を検出する障害物位置検出部と、を備えていることが好ましい。このような構成によれば、障害物検出用光源駆動部は、障害物検出用光源を駆動して障害物検出光が出射される障害物検出光出射側空間に障害物検出光の異なる光強度分布を順次形成し、かかる光強度分布では、障害物検出光出射側空間内における位置と強度との間に一定の関係を有している。このため、障害物の位置に対応する強度の障害物検出光が障害物検出用光検出器に入射することになるので、障害物位置検出部は、障害物検出用光検出器での検出結果に基づいて障害物の位置を検出することができる。従って、障害物の有無や位置を自走車の走行に反映することができるので、安全な走行を実現することができる。
【0012】
本発明において、前記障害物検出用光源駆動部は、前記障害物検出光出射側空間において前記障害物検出光の出射方向と交差する方向の一方側から他方側に向けて強度が減少する光強度分布と、前記一方側から前記他方側に向けて強度が増大する光強度分布とを順次形成することが好ましい。このように構成すると、一方側から他方側に向けて強度が減少する光強度分布を形成した際の障害物検出用光検出器での検出結果と、一方側から他方側に向けて強度が増大する光強度分布を形成した際の障害物検出用光検出器での検出結果との比較結果を利用することができるので、障害物の位置を正確に検出することができる。
【0013】
本発明において、前記入力検出用光源駆動部、前記入力位置検出部、前記障害物検出用光源駆動部、前記障害物位置検出部、および前記操作指令部は、共通の半導体集積回路に構成されていることが好ましい。このような構成によれば、操作入力装置と障害物検出装置との間で部品を共通化することができるので、構成の簡素化を図ることができる。
【0014】
本発明において、前記入力操作部では、少なくとも前記走行車本体の走行方向と、前記走行車本体の走行速度が入力される構成を採用することができる。
【0015】
本発明は、前記走行車本体としては、フォークリフトや電動式車椅子等、利用者が操作情報を入力しにくい状況等で使用される自走車に適用すると、より効果的である。
【0016】
本発明において、前記走行車本体が電動式車椅子である場合、前記入力検出用光源は、前記走行車本体のアームレストに設けられていることが好ましい。かかる構成であれば、指を入力指示体として用いるのに便利である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明を適用した電動車椅子(自走車)の説明図である。
【図2】本発明を適用した電動車椅子の電気的構成等を示す説明図である。
【図3】本発明を適用した電動車椅子のアームレストに設けた操作入力装置および障害物検出装置の説明図である。
【図4】本発明を適用した電動車椅子に設けた操作入力装置の説明図である。
【図5】本発明を適用した電動車椅子に設けた操作入力装置において導光板を介して入力検出用光源から出射された入力検出光の光強度分布を示す説明図である。
【図6】本発明を適用した電動車椅子に設けた操作入力装置において指(入力指示体)の位置を検出するのに用いた光強度分布を示す説明図である。
【図7】本発明を適用した電動車椅子の操作入力装置で用いたX座標検出の原理を示す説明図である。
【図8】本発明を適用した電動車椅子に設けた障害物検出装置の説明図である。
【図9】本発明を適用した電動車椅子に設けた障害物検出装置において障害物検出用光源から出射された障害物検出光の光強度分布を示す説明図である。
【図10】本発明を適用した電動車椅子における操作指令部で行われる処理内容を示すフローチャートである。
【図11】本発明を適用した別の電動車椅子(自走車)の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明においては、互いに交差する軸をX軸、Y軸およびZ軸として説明する。また、以下に参照する図面では、X軸方向の一方側をX1側とし、他方側をX2側とし、Y軸方向の一方側をY1側とし、他方側をY2側とし、Z軸方向の一方側をZ1側とし、他方側をZ2側として示してある。
【0019】
(全体構成)
図1は、本発明を適用した電動車椅子(自走車)の説明図であり、図1(a)、(b)は電動車椅子の正面図、および電動車椅子の側面図である。図2は、本発明を適用した電動車椅子の電気的構成等を示す説明図である。図3は、本発明を適用した電動車椅子のアームレストに設けた操作入力装置および障害物検出装置の説明図である。
【0020】
図1に示すように、本形態の自走車は電動車椅子1として構成されており、自走車本体としての車椅子本体10は、座部2と、座部2の後方に位置する背凭れ部3と、座部2の両側に位置する左右のアームレスト4L、4Rと、座部2の前側に位置する左右のフットレスト6L、6Rとを備えている。また、車椅子本体10は、アームレスト4L、4Rの下方に左右の前輪5L、5Rを備えているとともに、背凭れ部3の下方位置に後輪5Bを備えている。また、車椅子本体10は、前輪5L、5Rを回転させて電動車椅子1を走行させる動力部9を備えているとともに、背凭れ部3の下方位置にバッテリー15を備えている。また、車椅子本体10は、前輪5L、5Rを駆動する動力部9を備えているとともに、背凭れ部3の下方位置にバッテリー15を備えている。
【0021】
図1および図2に示すように、動力部9は、左右の前輪5L、5Rを各々独立して駆動する2つのモーター12、13と、後述する操作入力装置100からの指令に基づいてモーター12、13の駆動制御を行なう駆動制御部11とを備えている。かかる構成の電動車椅子1では、駆動制御部11が2つのモーター12、13を等速で回転させれば、電動車椅子1を直進させることができる。また、駆動制御部11が2つのモーター12、13の回転数を相違させれば、左右の前輪5L、5Rを差動させることができ、電動車椅子1に右旋回および左旋回を行なわせることも可能である。
【0022】
(操作入力装置および障害物検出装置の概略構成)
図1および図3に示すように、本形態の電動車椅子1において、左右のアームレスト4L、4Rのうち、一方のアームレスト4Rには、車椅子本体10に対する操作情報が入力される操作入力装置100が構成されているとともに、車椅子本体10周辺の障害物を検出する障害物検出装置200が設けられている。
【0023】
図2に示すように、操作入力装置100は、光学式位置検出装置として構成されている。具体的には、操作入力装置100は、入力検出光L1を出射する入力検出用光源121と、入力検出用光源121を駆動して入力検出光L1が出射される入力検出光出射側空間10R1に入力検出光L1の異なる光強度分布を順次形成する入力検出用光源駆動部140と、入力検出光出射側空間10R1に位置する指Ob1により反射した入力検出光L1を検出する入力検出用光検出器130とを備えている。また、操作入力装置100は、入力検出用光検出器130での検出結果に基づいて入力検出光出射側空間10R1における指Ob1の位置を検出して入力情報を生成する入力位置検出部150を備えている。
【0024】
本形態において、操作入力装置100は、複数の入力検出用光源121(入力検出用光源121A〜121D)を備えており、かかる入力検出用光源121同士の差動を利用して指Ob1の位置を検出する。より具体的には、複数の入力検出用光源121(入力検出用光源121A〜121D)のうち、一部の入力検出用光源121が点灯した際の入力検出用光検出器130での検出結果と、他の入力検出用光源121が点灯した際の入力検出用光検出器130での検出結果とを比較し、これらの検出結果が等しくなるように入力検出用光源121を駆動した際の駆動電流の比によって指Ob1の位置を検出する。このため、入力位置検出部150は、入力検出用光検出器130での検出結果に増幅等を行なって光強度信号を生成する光強度信号生成部151と、光強度信号生成部151からの出力結果に基づいて、入力検出用光源121が順次点灯した際の入力検出用光検出器130での検出結果を比較する等の演算を行なう演算部152とを備えている。また、入力位置検出部150は、演算部152からの出力結果に基づいて、入力検出用光源121の制御量を入力検出用光源駆動部140に指令する帰還調整量指令部153と、帰還調整量指令部153による指令内容に基づいて指Ob1の位置を検出し、かかる検出結果に基づいて入力情報を取得する入力情報生成部154とを有している。
【0025】
また、障害物検出装置200も、操作入力装置100と同様、光学式位置検出装置として構成されている。具体的には、障害物検出装置200は、障害物検出光L2を出射する障害物検出用光源221と、障害物検出用光源221を駆動して障害物検出光L2が出射される障害物検出光出射側空間10R2に障害物検出光L2の異なる光強度分布を順次形成する障害物検出用光源駆動部240と、障害物検出光出射側空間10R2に位置する障害物Ob2により反射した障害物検出光L2を検出する障害物検出用光検出器230とを備えている。また、障害物検出装置200は、障害物検出用光検出器230での検出結果に基づいて障害物検出光出射側空間10R2における障害物Ob2の位置を検出する障害物位置検出部250を備えている。
【0026】
本形態において、障害物検出装置200は、複数の障害物検出用光源221(障害物検出用光源221A〜221C)を備えており、かかる障害物検出用光源221同士の差動を利用して障害物Ob2の位置を検出する。より具体的には、複数の障害物検出用光源221(障害物検出用光源221A〜221C)のうち、一部の障害物検出用光源221が点灯した際の障害物検出用光検出器230での検出結果と、他の障害物検出用光源221が点灯した際の障害物検出用光検出器230での検出結果とを比較し、これらの検出結果が等しくなるように障害物検出用光源221を駆動した際の駆動電流の比によって障害物Ob2の位置を検出する。このため、障害物位置検出部250は、障害物検出用光検出器230での検出結果に増幅等を行なって光強度信号を生成する光強度信号生成部251と、光強度信号生成部251からの出力結果に基づいて、障害物検出用光源221が順次点灯した際の障害物検出用光検出器230での検出結果を比較する等の演算を行なう演算部252とを備えている。また、障害物位置検出部250は、演算部252からの出力結果に基づいて、障害物検出用光源221の制御量を障害物検出用光源駆動部240に指令する帰還調整量指令部253と、帰還調整量指令部253による指令内容に基づいて障害物Ob2の位置を検出する障害物の位置情報を取得する障害物情報生成部254とを有している。
【0027】
ここで、入力検出用光源駆動部140、入力位置検出部150、障害物検出用光源駆動部240、障害物位置検出部250は、共通の半導体集積回路500に構成されており、操作入力装置100での入力検出と、障害物検出装置200での障害物検出とは、異なるタイミングで順次行なわれる。このため、半導体集積回路500には、操作入力装置100および障害物検出装置200の各々で用いる基準クロックを生成する基準クロック生成回路310が構成されているとともに、かかる基準クロックを入力検出用光源駆動部140および障害物検出用光源駆動部240に出力するタイミングを制御するタイミングコントローラー320や、スイッチ回路160、260が構成されている。
【0028】
また、本形態では、半導体集積回路500に操作指令部400が構成されており、操作指令部400にはスイッチ回路410を介して、入力情報生成部154で生成された入力情報と、障害物情報生成部254で生成された障害物の位置情報とが入力される。従って、操作指令部400は、入力情報および障害物の位置情報に基づいて駆動制御部11に指令する。例えば、操作入力装置100において走行する旨の入力結果があったとき、走行方向に障害物がないことを障害物検出装置200が検出したときに走行する旨の指令を駆動制御部11に出力し、走行方向に障害物があることを障害物検出装置200が検出したときには、走行する旨の指令を駆動制御部11に出力しない。
【0029】
(操作入力装置100の具体的構成)
図4は、本発明を適用した電動車椅子に設けた操作入力装置100の説明図である。図5は、本発明を適用した電動車椅子に設けた操作入力装置100において導光板を介して入力検出用光源から出射された入力検出光の光強度分布を示す説明図である。図6は、本発明を適用した電動車椅子に設けた操作入力装置100において指(入力指示体)の位置を検出するのに用いた光強度分布を示す説明図である。
【0030】
図3および図4に示すように、操作入力装置100は、アームレスト4R上に入力検出用光源121としての複数の入力検出用光源121A、121B、121C、121Dを備えている。入力検出用光源121A、121B、121C、121Dは、入力検出光L1(入力検出光L1a、L1b、L1c、L1d)をアームレスト4Rの上方(入力検出光出射側空間10R1)に発散光として出射する発光素子からなり、本形態では、ピーク波長が840〜1000nmに位置する赤外光を出射するLED(発光ダイオード)からなる。
【0031】
また、操作入力装置100は、一方の面111(光出射面)を入力検出光出射側空間10R1に向けた導光板110を備えており、入力検出用光源121A、121B、121C、121Dは各々、導光板110の側端部に発光部120を向けている。
【0032】
また、操作入力装置100は、入力検出光出射側空間10R1の周辺部に、入力検出光出射側空間10R1に受光部131を向けた入力検出用光検出器130を備えている。入力検出用光検出器130は、フォトダイオードやフォトトランジスター等の受光素子からなり、本形態において、入力検出用光検出器130はフォトダイオードである。
【0033】
入力検出用光源121A、121B、121C、121Dは各々、導光板110の4つの角部分に配置され、発光部120を導光板110の角部分に向けている。また、導光板110の他方の面112には、光偏向用あるいは光散乱用の微細な凹凸形状の屈折面や、散乱層等が設けられている。このため、入力検出用光源121Aから出射された入力検出光L1aは、導光板110の内部に進入した後、導光板110の内部を伝播し、一方の面111から出射される。その際、導光板110から入力検出光出射側空間10R1に出射される入力検出光L1aの光量は、図5(a)に示すように、入力検出用光源121Aからの距離に伴って直線的に減衰する強度分布を有することになる。また、入力検出用光源121Bから出射された入力検出光L1bは、図5(b)に示すように、入力検出用光源121Bからの距離に伴って直線的に減衰する強度分布を有することになる。同様に、入力検出用光源121C、121Dから出射された入力検出光L1c、L1dは、図5(c)、(d)に示すように、入力検出用光源121C、121Dからの距離に伴って直線的に減衰する強度分布を有することになる。
【0034】
ここで、入力検出用光源121A、121Dと入力検出用光源121B、121CとはX軸方向で離間し、入力検出用光源121A、121Bと入力検出用光源121C、121DとはY軸方向で離間している。そこで、本形態では、指Ob1のX座標を検出する際には、まず、X座標検出用第1期間において、入力検出用光源121A、121Dを点灯させる一方、入力検出用光源121B、121Cを消灯させ、図6(a)に示すX座標検出用第1光強度分布L1Xa(X座標検出用光強度分布)を形成する。かかるX座標検出用第1光強度分布L1Xaでは、X軸方向の一方側X1から他方側X2に向かって強度は減少し、かかる変化は、入力検出光出射側空間10R1という限られた空間内で光量分布を制御することにより直線的な変化にすることができる。また、X座標検出用第2期間においては、入力検出用光源121A、121Dを消灯させる一方、入力検出用光源121B、121Cを点灯させて、図6(b)に示すX座標検出用第2光強度分布L1Xb(X座標検出用光強度分布)を形成する。かかるX座標検出用第2光強度分布L1Xbでは、X軸方向の一方側X1から他方側X2に向かって強度が増大し、かかる変化は、入力検出光出射側空間10R1という限られた空間内で光量分布を制御することにより直線的な変化にすることができる。
【0035】
また、指のY座標を検出する際には、Y座標検出用第1期間において、入力検出用光源121A、121Bを点灯させる一方、入力検出用光源121C、121Dを消灯させ、図6(c)に示すY座標検出用第1光強度分布L1Ya(Y座標検出用光強度分布)を形成する。かかるY座標検出用第1光強度分布L1Yaでは、Y軸方向の一方側Y1から他方側Y2に向かって強度は減少し、かかる変化は、入力検出光出射側空間10R1という限られた空間内で光量分布を制御することにより直線的な変化にすることができる。また、Y座標検出用第2期間において、入力検出用光源121A、121Bを消灯させる一方、入力検出用光源121C、121Dを点灯させれば、図6(d)に示すY座標検出用第2光強度分布L1Yb(Y座標検出用光強度分布)を形成する。かかるY座標検出用第2光強度分布L1Ybでは、Y軸方向の一方側Y1から他方側Y2に向かって強度は増大し、かかる変化は、入力検出光出射側空間10R1という限られた空間内で光量分布を制御することにより直線的な変化にすることができる。
【0036】
(XY座標の検出方法)
本形態の操作入力装置100においては、図6(a)、(b)を参照して説明したX座標検出用強度分布を利用して指Ob1のX座標を検出し、図6(c)、(d)を参照して説明したY座標検出用強度分布を利用して指Ob1のY標を検出し、かかる検出結果を操作情報の入力として利用する。そこで、図7を参照してX座標検出の原理を説明する。
【0037】
図7は、本発明を適用した電動車椅子の操作入力装置100で用いたX座標検出の原理を示す説明図であり、図7(a)、(b)は、検出光のX軸方向の光強度分布等を示す説明図、および指Ob1で反射した検出光の強度が等しくなるように検出光の光強度分布を調整する様子を示す説明図である。
【0038】
本形態の操作入力装置100において、X座標を検出する際には、図7(a)に示すように、まず、X座標検出用第1期間において、入力検出用光源121A、121Dを点灯させる一方、入力検出用光源121B、121Cを消灯させ、X軸方向の一方側X1から他方側X2に向かって強度が単調減少していくX座標検出用第1光強度分布L1Xaを形成する。また、X座標検出用第2期間において、入力検出用光源121A、121Dを消灯させる一方、入力検出用光源121B、121Cを点灯させ、X軸方向の一方側X1から他方側X2に向かって強度が単調増加していくX座標検出用第2光強度分布L1Xbを形成する。従って、入力検出光出射側空間10R1に指Ob1が進入すると、指Ob1により検出光L1が反射され、その反射光の一部が入力検出用光検出器130により検出される。その際、指Ob1での反射強度は、指Ob1が位置する個所での検出光L1の強度に比例し、入力検出用光検出器130での受光強度は指Ob1での反射強度に比例する。従って、強入力検出用光検出器130での受光強度は、指Ob1の位置に対応する値となる。それ故、図7(b)に示すように、X座標検出用第1光強度分布L1Xaを形成した際の入力検出用光検出器130での検出値LXaと、X座標検出用第2光強度分布L1Xbを形成した際の入力検出用光検出器130での検出値LXbとが等しくなるように、入力検出用光源121A、121Dに対する制御量(駆動電流)を調整した後の駆動電流の比等を用いれば、指Ob1のX座標を検出できることになる。
【0039】
より具体的には、図7(a)に示すように、X座標検出用第1光強度分布L1XaとX座標検出用第2光強度分布L1Xbを絶対値が等しく、X軸方向で強度分布が逆向きになるように形成する。この状態で、入力検出用光検出器130での検出値LXa、LXbが等しければ、指Ob1がX軸方向の中央に位置することが分る。これに対して、入力検出用光検出器130での検出値LXa、LXbが相違している場合、検出値LXa、LXbが等しくなるように、入力検出用光源121A、121Dに対する制御量(駆動電流)と、入力検出用光源121B、121Cに対する制御量(駆動電流)とを調整して、図7(b)に示すように、再度、X座標検出用第1光強度分布L1XaおよびX座標検出用第2光強度分布L1Xbを順次形成する。その結果、入力検出用光検出器130での検出値LXa、LXbが等しくなれば、その時点での入力検出用光源121A、121Dに対する駆動電流と、入力検出用光源121B、121Cに対する駆動電流との比等を用いて指Ob1のX座標を検出できることになる。
【0040】
かかる方法によれば、検出光L1以外の環境光、例えば、外光に含まれる赤外成分が入力検出用光検出器130に入射した場合でも、検出値LXa、LXbの差を求める際、環境光に含まれる赤外成分の強度が相殺されるので、環境光に含まれる赤外成分が検出精度に影響を及ぼすことがない等の利点がある。
【0041】
なお、図6(c)、(d)を参照して説明したY座標検出用第1光強度分布L1YaとY座標検出用第2光強度分布L1Xbとを利用すれば、X座標を検出した方法と同様な方法で指Ob1のY座標を検出することができる。
【0042】
このようにして、入力検出用光検出器130での検出結果に基づいて指Ob1のX軸方向の位置情報を取得するにあたって、図2に示す入力位置検出部150しては、論理回路等のハードウェアを用いた構成を採用することもできる他、入力位置検出部150としてマイクロプロセッサーユニット(MPU)を用い、これにより所定のソフトウェア(動作プログラム)を実行することに従って処理を行う構成を採用することができる。
【0043】
このように構成した操作入力装置100においては、例えば、入力検出光出射側空間10R1のXY座標の中心からいずれの方向に指Ob1が位置するかによって、利用者の操作入力が電動車椅子1の直進、右旋回、左旋回のいずれを指示しているかを判定する。また、操作入力装置100においては、例えば、入力検出光出射側空間10R1のXY座標の中心のずれ量によって電動車椅子1の速度をいずれのレベルを指示しているかを判定する。
【0044】
(障害物検出装置200の具体的構成)
図8は、本発明を適用した電動車椅子に設けた障害物検出装置200の説明図である。図9は、本発明を適用した電動車椅子に設けた障害物検出装置200において障害物検出用光源から出射された障害物検出光の光強度分布を示す説明図である。
【0045】
図3および図8に示すように、障害物検出装置200は、アームレスト4Rの前面部に障害物検出用光源221としての複数の障害物検出用光源221A、221B、221Cを備えている。障害物検出用光源221A、221B、221Cは、障害物検出光L2(障害物検出光L2a、L2b、L2c)を電動車椅子1の前方の斜め下方(障害物検出光出射側空間10R2)に発散光として出射する発光素子からなり、本形態では、ピーク波長が840〜1000nmに位置する赤外光を出射するLED(発光ダイオード)からなる。かかる障害物検出用光源221(障害物検出用光源221A、221B、221C)はいずれも、車椅子本体10の前方の斜め下方に発光部220を向けている。
【0046】
また、障害物検出装置200は、障害物検出光出射側空間10R2に受光部231を向けた障害物検出用光検出器230を備えており、かかる障害物検出装置200は、障害物検出光出射側空間10R2に障害物Ob2が存在した際、障害物Ob2で反射した障害物検出光L2を受光する。障害物検出用光検出器230は、フォトダイオードやフォトトランジスター等の受光素子からなり、本形態において、障害物検出用光検出器230はフォトダイオードである。
【0047】
障害物検出用光源221A、221B、221Cは各々、障害物検出光出射側空間10R2の異なる位置に向けて発光部220を向けている。より具体的には、障害物検出用光源221B、221Cは、Y軸方向の略同一の位置に発光部220を向けているが、X軸方向において離間する位置に発光部220を向けている。また、障害物検出用光源221Aは、障害物検出用光源221B、221CとはX軸方向およびY軸方向において異なる位置に発光部220を向けている。このため、障害物検出用光源221A、221B、221Cの光軸中心は互いにずれている。また、障害物検出用光源221A、221B、221Cから出射された障害物検出光L2a、L2b、L2cにおいては、光軸中心から離間するほど、強度が低下している。このため、障害物検出用光源221Aから障害物検出光出射側空間10R2に出射される障害物検出光L2aは、図9(a)に示すように、障害物検出用光源221Aの光軸中心からの距離に伴って直線的に減衰する強度分布L2a0を有することになる。また、障害物検出用光源221Bから障害物検出光出射側空間10R2に出射される障害物検出光L2bは、図9(b)に示すように、障害物検出用光源221Bの光軸中心からの距離に伴って直線的に減衰する強度分布L2b0を有することになる。また、障害物検出用光源221Cから障害物検出光出射側空間10R2に出射される障害物検出光L2cは、図9(c)に示すように、障害物検出用光源221Cの光軸中心からの距離に伴って直線的に減衰する強度分布L2c0を有することになる。
【0048】
従って、光強度分布L2b0、L2c0とのX軸方向の強度分布を比較すると、図7を参照して説明したように、光強度分布L2c0では、X軸方向の一方側X1から他方側X2に向かって強度は直線的に減少し、光強度分布L2b0では、X軸方向の一方側X1から他方側X2に向かって強度は直線的に増大している。従って、光強度分布L2c0を形成した際の障害物検出用光検出器230での検出値と、光強度分布L2b0を形成した際の障害物検出用光検出器230での検出値とが等しくなるように、障害物検出用光源221B、221Cに対する制御量(駆動電流)を調整した後の障害物検出用光源221B、221Cに対する駆動電流との比等を用いれば、障害物Ob2のX座標を検出できることになる。
【0049】
また、光強度分布L2a0、L2b0とのY軸方向の強度分布を比較すると、図7を参照して説明したように、光強度分布L2a0では、Y軸方向の一方側X1から他方側X2に向かって強度は直線的に減少し、光強度分布L2b0では、X軸方向の一方側X1から他方側X2に向かって強度は直線的に増大している。従って、光強度分布L2a0を形成した際の障害物検出用光検出器230での検出値と、光強度分布L2b0を形成した際の障害物検出用光検出器230での検出値とが等しくなるように、障害物検出用光源221A、221Bに対する制御量(駆動電流)を調整した後の障害物検出用光源221A、221Bに対する駆動電流との比等を用いれば、光強度分布L2a0の最大強度部分と障害物Ob2との離間距離と、光強度分布L2b0の最大強度部分と障害物Ob2との離間距離との比を求めることができる。それ故、先に求めた障害物Ob2のX座標を考慮すれば、障害物Ob2のY座標を検出できることになる。
【0050】
かかる方法によれば、障害物検出光L2以外の環境光、例えば、外光に含まれる赤外成分が障害物検出用光検出器230に入射した場合でも、差動を利用している。このため、環境光に含まれる赤外成分の強度が相殺されるので、環境光に含まれる赤外成分が検出精度に影響を及ぼすことがない等の利点がある。
【0051】
このように構成した障害物検出装置200においては、例えば、2つの前輪5L、5Rの前方位置に障害物Ob2が存在するか否かを検出する。また、障害物検出装置200においては、2つの前輪5L、5Rのうち、前輪5Lの前方位置に障害物Ob2が存在するか否かを検出するとともに、前輪5Rの前方位置に障害物Ob2が存在するか否かを検出する。
【0052】
(動作例)
図10は、本発明を適用した電動車椅子1(自走車)において、操作入力装置100および障害物検出装置200での検出結果に基づいて電動車椅子1を走行させる場合に操作指令部400で行われる処理内容を示すフローチャートである。
【0053】
図10において、本形態の電動車椅子1は、待機状態では、操作入力装置100が待機状態にある一方、障害物検出装置200は休止状態にある。この状態で、アームレスト4Rの上方に指Ob1が置かれたことを操作入力装置100が検出すると(ステップST1)、操作入力装置100が起動して障害物Ob2を検出した後(ステップST2)、指Ob1による操作入力を検出する(ステップST3)。
【0054】
次に、ステップST3での入力が前進せよとの内容であるか否かが判断され(ステップST4)、今回の指示が前進である場合、ステップST2での検出結果が、2つの前輪5L、5Rの前方位置に障害物Ob2が存在する、あるいは存在しない、のいずれであったかを判断する(ステップST5)。かかる判断で、2つの前輪5L、5Rの前方位置に障害物Ob2が存在しないという結果であれば、電動車椅子1を前進させる(ステップST6)。すなわち、操作指令部400は、駆動制御部11に対して前進せよとの指令を出力する。これに対して、2つの前輪5L、5Rの前方位置に障害物Ob2が存在するという結果であれば、電動車椅子1を前進させることなく、ステップST2に戻り、次の入力を待つ。すなわち、操作指令部400は、操作入力装置100において前進せよとの入力があったときでも、駆動制御部11に対して前進せよとの指令を出力しない。
【0055】
次に、ステップST4での判断において、入力が前進ではないとの判断が行なわれた場合、ステップST7において、今回の指示が右旋回であるか否かが判断され、今回の指示が右旋回である場合、ステップST2での検出結果が、2つの前輪5L、5Rのうち、左側の前輪5Lの前方位置に障害物Ob2が存在する、あるいは存在しない、のいずれであったかを判断する(ステップST8)。かかる判断で、前輪5Lの前方位置に障害物Ob2が存在しないという結果であれば、電動車椅子1を右旋回させる(ステップST9)。すなわち、操作指令部400は、駆動制御部11に対して右旋回せよとの指令を出力する。これに対して、前輪5Lの前方位置に障害物Ob2が存在するという結果であれば、電動車椅子1を右旋回させることなく、ステップST2に戻り、次の入力を待つ。すなわち、操作指令部400は、操作入力装置100において右旋回せよとの入力があったときでも、駆動制御部11に対して右旋回せよとの指令を出力しない。
【0056】
次に、ステップST7での判断において、入力が右旋回ではないとの判断が行なわれた場合、ステップST10において、今回の指示が左旋回であるか否かが判断され、今回の指示が左旋回である場合、ステップST2での検出結果が、2つの前輪5L、5Rのうち、右側の前輪5Rの前方位置に障害物Ob2が存在する、あるいは存在しない、のいずれであったかを判断する(ステップST11)。かかる判断で、前輪5Rの前方位置に障害物Ob2が存在しないという結果であれば、電動車椅子1を左旋回させる(ステップST12)。すなわち、操作指令部400は、駆動制御部11に対して左回せよとの指令を出力する。これに対して、前輪5Rの前方位置に障害物Ob2が存在するという結果であれば、電動車椅子1を左旋回させることなく、ステップST2に戻り、次の入力を待つ。すなわち、操作指令部400は、操作入力装置100において左旋回せよとの入力があったときでも、駆動制御部11に対して右旋回せよとの指令を出力しない。
【0057】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の電動車椅子1では、車椅子本体10に対する操作入力に光学式の操作入力装置100を用いているため、指Ob1の操作指示体の小さな動きで操作入力を行なうことができる。このため、操作レバーを手動操作できない者や、音声入力できない者であっても、車椅子本体10を操作することができる。
【0058】
また、操作入力装置100において、入力検出用光源駆動部140は、入力検出用光源121を駆動して入力検出光L1が出射される入力検出光出射側空間10R1に入力検出光L1の異なる光強度分布を順次形成し、かかる光強度分布では、入力検出光出射側空間10R1内における位置と強度との間に一定の関係を有している。このため、指Ob1の位置に対応する強度の入力検出光L1が入力検出用光検出器130に入射することになるので、入力位置検出部150は、入力検出用光検出器130での検出結果に基づいて指Ob1の位置を検出することができる。従って、指Ob1の位置や位置変化(指Ob1の動き)等を操作入力に関する情報として検出することができる。
【0059】
また、本形態において、入力検出光L1は、赤外光であるため、入力検出光L1が見えない等の利点がある。
【0060】
また、車椅子本体10には障害物検出装置200が設けられており、走行方向に障害物Ob2があることを障害物検出装置200が検出したとき、操作指令部400は、走行する旨の指令を駆動制御部11に出力しない。このため、安全な走行を実現することができる。また、障害物検出装置200において、障害物検出用光源駆動部240は、障害物検出用光源221を駆動して障害物検出光L2が出射される障害物検出光出射側空間10R2に障害物検出光L2の異なる光強度分布を順次形成し、かかる光強度分布では、障害物検出光出射側空間10R2内における位置と強度との間に一定の関係を有している。このため、障害物Ob2の位置に対応する強度の障害物検出光L2が障害物検出用光検出器230に入射することになるので、障害物位置検出部250は、障害物検出用光検出器230での検出結果に基づいて障害物Ob2の位置を検出することができる。従って、障害物Ob2の検出結果について障害物Ob2の存在を検出でき、かかる検出結果を電動車椅子1での動作に反映することができる。
【0061】
また、本形態において、入力検出用光源駆動部140、入力位置検出部150、障害物検出用光源駆動部240、障害物位置検出部250、および操作指令部400は、共通の半導体集積回路500に構成されている。このため、操作入力装置100と障害物検出装置200との間で部品を共通化することができるので、構成の簡素化を図ることができる。
【0062】
[他の実施の形態]
上記実施の形態では、左右のアームレスト4L、4Rのうち、左側のアームレスト4Lに操作入力装置100と障害物検出装置200とを設けたが、利用者によっては、右側のアームレスト4Rに操作入力装置100と障害物検出装置200とを設けてもよい。
【0063】
また、図11に示すように、左右のアームレスト4L、4Rの各々に操作入力装置100と障害物検出装置200を設けてもよい。この場合、左右の操作入力装置100のうちの一方のみをアクティブ状態とし、一方の操作入力装置100のみから入力されるようにしてもよいが、左右の操作入力装置100をいずれもアクティブ状態とし、左右の操作入力装置100のうちの双方から操作情報を入力できるようにしてもよい。また、左右のアームレスト4L、4Rの各々に操作入力装置100と障害物検出装置200を設けた場合、右側の障害物検出装置200によって右側の前輪5Rの前方位置に障害物Ob2が存在するか否かを検出し、左側の障害物検出装置200によって左側の前輪5Lの前方位置に障害物Ob2が存在するか否かを検出してもよい。
【0064】
上記実施の形態では、操作入力装置100には導光板110を用いた方式を採用し、障害物検出装置200には導光板110を用いない方式を採用したが、操作入力装置100に導光板110を用いない方式を採用してもよく、障害物検出装置200には導光板110を用いた方式を採用してもよい。
【0065】
上記実施の形態では、自走車として電動車椅子を例示したが、フォークリフト等といった自走車に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0066】
1・・電動車椅子(自走車)、4L、4R・・アームレスト、5L、5R・・前輪、9・・動力部、10・・車椅子本体、10R1・・入力検出光出射側空間、10R2・・障害物検出光出射側空間、11・・駆動制御部、100・・操作入力装置、121、121A〜121D・・入力検出用光源、130・・入力検出用光検出器、150・・入力位置検出部、200・・障害物検出装置、221、221A〜221C・・障害物検出用光源、230・・障害物検出用光検出器、250・・障害物位置検出部、500・・半導体集積回路、Ob1・・指(入力指示体)、Ob2・・障害物、L1、L1a〜L1d・・入力検出光、L2、L2a〜L2c・・障害物検出光
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪および前記車輪の駆動制御を行なう駆動制御部を備えた自走車本体と、
該自走車本体に設けられ、当該自走車本体に対する操作情報が入力される操作入力装置と、
該操作入力装置での入力結果に対応する操作指令を前記駆動制御部に出力する操作指令部と、
を有する自走車であって、
前記操作入力装置は、入力検出光を出射する入力検出用光源と、該入力検出用光源を駆動して前記入力検出光が出射される入力検出光出射側空間に前記入力検出光の異なる光強度分布を順次形成する入力検出用光源駆動部と、前記入力検出光出射側空間に位置する操作指示体により反射した前記入力検出光を検出する入力検出用光検出器と、該入力検出用光検出器での検出結果に基づいて前記入力検出光出射側空間における前記操作指示体の位置を検出する入力位置検出部と、を備えていることを特徴とする自走車。
【請求項2】
前記入力検出光は、赤外光であることを特徴とする請求項1に記載の自走車。
【請求項3】
前記入力検出用光源駆動部は、前記入力検出光出射側空間において前記入力検出光の出射方向と交差する方向の一方側から他方側に向けて強度が減少する光強度分布と、前記一方側から前記他方側に向けて強度が増大する光強度分布とを順次形成することを特徴とする請求項1または2に記載の自走車。
【請求項4】
前記自走車本体には、当該自走車本体周辺の障害物を検出する障害物検出装置が設けられ、
前記操作指令部は、前記操作入力装置において走行する旨の入力結果があったとき、走行方向に障害物がないことを前記障害物検出装置が検出したときに前記走行する旨の指令を前記駆動制御部に出力し、走行方向に障害物があることを前記障害物検出装置が検出したときに前記走行する旨の指令を前記駆動制御部に出力しないことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の自走車。
【請求項5】
前記障害物検出装置は、障害物検出光を出射する障害物検出用光源と、該障害物検出用光源を駆動して前記障害物検出光が出射される障害物検出光出射側空間に前記障害物検出光の異なる光強度分布を順次形成する障害物検出用光源駆動部と、前記障害物出射側空間に位置する障害物により反射した前記障害物検出光を検出する障害物検出用光検出器と、該障害物検出用光検出器での検出結果に基づいて前記障害物検出光出射側空間における障害物の位置を検出する障害物位置検出部と、を備えていることを特徴とする請求項4に記載の自走車。
【請求項6】
前記障害物検出用光源駆動部は、前記障害物検出光出射側空間において前記障害物検出光の出射方向と交差する方向の一方側から他方側に向けて強度が減少する光強度分布と、前記一方側から前記他方側に向けて強度が増大する光強度分布とを順次形成することを特徴とする請求項5に記載の自走車。
【請求項7】
前記入力検出用光源駆動部、前記入力位置検出部、前記障害物検出用光源駆動部、前記障害物位置検出部、および前記操作指令部は、共通の半導体集積回路に構成されていることを特徴とする請求項5または6に記載の自走車。
【請求項8】
前記入力操作部では、少なくとも前記走行車本体の走行方向と、前記走行車本体の走行速度が入力されることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の自走車。
【請求項9】
前記走行車本体は、電動式車椅子であることを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の自走車。
【請求項10】
前記入力検出用光源は、前記走行車本体のアームレストに設けられていることを特徴とする請求項9に記載の自走車。
【請求項1】
車輪および前記車輪の駆動制御を行なう駆動制御部を備えた自走車本体と、
該自走車本体に設けられ、当該自走車本体に対する操作情報が入力される操作入力装置と、
該操作入力装置での入力結果に対応する操作指令を前記駆動制御部に出力する操作指令部と、
を有する自走車であって、
前記操作入力装置は、入力検出光を出射する入力検出用光源と、該入力検出用光源を駆動して前記入力検出光が出射される入力検出光出射側空間に前記入力検出光の異なる光強度分布を順次形成する入力検出用光源駆動部と、前記入力検出光出射側空間に位置する操作指示体により反射した前記入力検出光を検出する入力検出用光検出器と、該入力検出用光検出器での検出結果に基づいて前記入力検出光出射側空間における前記操作指示体の位置を検出する入力位置検出部と、を備えていることを特徴とする自走車。
【請求項2】
前記入力検出光は、赤外光であることを特徴とする請求項1に記載の自走車。
【請求項3】
前記入力検出用光源駆動部は、前記入力検出光出射側空間において前記入力検出光の出射方向と交差する方向の一方側から他方側に向けて強度が減少する光強度分布と、前記一方側から前記他方側に向けて強度が増大する光強度分布とを順次形成することを特徴とする請求項1または2に記載の自走車。
【請求項4】
前記自走車本体には、当該自走車本体周辺の障害物を検出する障害物検出装置が設けられ、
前記操作指令部は、前記操作入力装置において走行する旨の入力結果があったとき、走行方向に障害物がないことを前記障害物検出装置が検出したときに前記走行する旨の指令を前記駆動制御部に出力し、走行方向に障害物があることを前記障害物検出装置が検出したときに前記走行する旨の指令を前記駆動制御部に出力しないことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の自走車。
【請求項5】
前記障害物検出装置は、障害物検出光を出射する障害物検出用光源と、該障害物検出用光源を駆動して前記障害物検出光が出射される障害物検出光出射側空間に前記障害物検出光の異なる光強度分布を順次形成する障害物検出用光源駆動部と、前記障害物出射側空間に位置する障害物により反射した前記障害物検出光を検出する障害物検出用光検出器と、該障害物検出用光検出器での検出結果に基づいて前記障害物検出光出射側空間における障害物の位置を検出する障害物位置検出部と、を備えていることを特徴とする請求項4に記載の自走車。
【請求項6】
前記障害物検出用光源駆動部は、前記障害物検出光出射側空間において前記障害物検出光の出射方向と交差する方向の一方側から他方側に向けて強度が減少する光強度分布と、前記一方側から前記他方側に向けて強度が増大する光強度分布とを順次形成することを特徴とする請求項5に記載の自走車。
【請求項7】
前記入力検出用光源駆動部、前記入力位置検出部、前記障害物検出用光源駆動部、前記障害物位置検出部、および前記操作指令部は、共通の半導体集積回路に構成されていることを特徴とする請求項5または6に記載の自走車。
【請求項8】
前記入力操作部では、少なくとも前記走行車本体の走行方向と、前記走行車本体の走行速度が入力されることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の自走車。
【請求項9】
前記走行車本体は、電動式車椅子であることを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の自走車。
【請求項10】
前記入力検出用光源は、前記走行車本体のアームレストに設けられていることを特徴とする請求項9に記載の自走車。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−183026(P2011−183026A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−52817(P2010−52817)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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