説明

自転車用サスペンション制御装置

【課題】前後のサスペンションの動作状態の組合せの設定を変更でき、かつ組合せを容易に変更できるようにする。
【解決手段】サスペンション制御部95は、複数の動作状態を有するフロントサスペンションFSおよびリアサスペンションRSを、第1操作部OP1および第2操作部OP2の操作に応じて制御する。サスペンション制御部95は、受付手段96と、記憶手段97と、制御手段98と、を備える。受付手段96は、フロントサスペンションFSおよびリアサスペンションRSの動作状態の組合せのうち、動作状態の組合せ情報を受け付ける。記憶手段97は、受付手段96によって受け付けた設定情報を記憶する。制御手段98は、第1操作部OP1および第2操作部OP2が操作されると、記憶手段97に記憶される組合せ情報に基づいて、フロントサスペンションFSおよびリアサスペンションRSを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、特に、自転車用のフロントサスペンションとリアサスペンションとを制御する自転車用サスペンション制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自転車用のサスペンションには、サスペンションの硬さを設定可能なものが従来知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に開示されるサスペンション制御装置は、自転車のハンドルバーに設けられる操作部によりサスペンションの硬さを複数段階に設定可能である。操作部は、ワイヤーによりサスペンションと連結される。また、操作部は、ワイヤーにより前後のサスペンションに連結される。これにより、前後のサスペンションの動作状態を変更可能である。特許文献1の制御装置では、操作部に対して前後のサスペンションの動作状態の組合せが決まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0252330号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、操作部に対して前後のサスペンションの動作状態の組合せが決まっているため、使用者の要望に合わせて動作状態の組合せの設定を変更することができない。
【0005】
本発明の課題は、自転車用サスペンション制御装置において、前後のサスペンションの動作状態の組合せの設定を変更でき、また組合せを簡単に変更できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明1に係る自転車用サスペンション制御装置は、それぞれが複数の動作状態を有する自転車用のフロントサスペンションおよびリアサスペンションを、操作部の操作に応じて制御する装置である。自転車用サスペンション制御装置は、受付手段と、記憶手段と、制御手段と、を備える。受付手段は、フロントサスペンションの動作状態およびリアサスペンションの動作状態の組合せのうち、少なくとも1つの動作状態の組合せ情報を受け付ける。記憶手段は、受付手段によって受け付けた設定情報を記憶する。制御手段は、操作部が操作されると、記憶手段に記憶される組合せ情報に基づいて、フロントサスペンションおよびリアサスペンションを制御する。
【0007】
このサスペンション制御装置では、組合せ情報を受付部が受け付ける。組合せ情報は、フロントサスペンションの動作状態とリアサスペンションの動作状態の組合せのうち、少なくとも1つの動作状態の組合せ情報である。受け付けた組合せ情報は、記憶手段に記憶される。操作部が操作されると、記憶手段に記憶される組合せ情報に基づいてフロントサスペンションおよびリアサスペンションが制御される。ここでは、記憶手段に記憶される組合せ情報に基づいて、フロントサスペンションおよびリアサスペンションが連動して制御される。このため、記憶手段に記憶される組合せ情報を変更することにより、前後のサスペンションの組合せの設定を変更できる。たとえば、設定情報において、一つの操作部に対して複数の組合せ情報を対応付けすれば、複数の組合せを一つの操作部で変更でき、また、操作部を複数設け、一つの操作部に一つの組合せ情報を対応付ければ、複数の操作部で異なる組合せに変更できる。また、組合せ情報は、フロントサスペンションの動作状態およびリアサスペンションの動作状態の組合せである。このため、操作部の操作により前後のサスペンションの動作状態の組合せを簡単に変更できる。
【0008】
発明2に係る自転車用サスペンション制御装置は、発明1に記載の自転車用サスペンション装置において、組合せ情報は、第1組合せ情報と、第2組合せ情報と、第3組合せ情報と、第4組合せ情報の少なくとも1つを含む。第1組合せ情報は、フロントサスペンションおよびリアサスペンションを伸縮不能にする組合せである。第2組合せ情報は、フロントサスペンションおよびリアサスペンションを伸縮可能にする組合せである。第3組合せ情報は、フロントサスペンションを伸縮可能にし、リアサスペンションを伸縮不能にする組合せである。第4組合せは、フロントサスペンションを伸縮不能にし、リアサスペンションを伸縮可能にする組合せである。
【0009】
この場合には、フロントサスペンションおよびリアサスペンションの伸縮不能および伸縮可能の4つの組合せ情報のうち、少なくとも1つの組合せ情報でフロントサスペンションおよびリアサスペンションを制御できる。
【0010】
発明3に係る自転車用サスペンション制御装置は、発明1または2に記載の自転車用サスペンション制御装置において、受付手段は、組合せ情報を出力する外部の装置に接続可能である。この場合には、たとえば、パーソナルコンピュータ等の外部の装置から出力される組合せ情報により動作状態の組合せを変更できる。このため、自転車に設けられる制御手段の構成が簡素になる。
【0011】
発明4に係る自転車用サスペンション制御装置は、発明1から3のいずれかに記載の自転車用サスペンション制御装置において、操作部は、スイッチを含む。この場合には、操作部がスイッチを含むので、スイッチの操作によりサスペンションを制御できる。
【0012】
発明5に係る自転車用サスペンション制御装置は、発明4に記載の自転車用サスペンション制御装置において、1個のスイッチに対応付けされる複数の動作状態の組合せを含む。この場合には、1個の操作部で複数の動作状態の組合せを変更できるので、操作部の数を減らすことができる。
【0013】
発明6に係る自転車用サスペンション制御装置は、発明1から5のいずれかに記載の自転車用サスペンション制御装置において、報知部をさらに備える。報知部は、フロントサスペンションおよびリアサスペンションの少なくともいずれか一方の動作状態を報知する。この場合には、使用者がフロントサスペンションおよびリアサスペンションの動作状態の少なくともいずれかを確認することができるため、使用者の誤操作を防止できる。
【0014】
発明7に係る自転車用サスペンション制御装置は、発明1から6のいずれかに記載の自転車用サスペンション制御装置において、操作部は、有線により制御手段と通信可能である。この場合には、操作部と制御手段とが有線により通信するので、操作部と制御手段との通信を容易に行える。
【0015】
発明8に係る自転車用サスペンション制御装置は、発明1から6のいずれかに記載の自転車用サスペンション制御装置において、操作部は、有線により制御手段と通信可能である。この場合には、操作部と制御手段とが無線により通信するので、操作部と制御手段との配線作業が不要になる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、記憶手段に記憶される記憶される組合せ情報に基づいて、フロントサスペンションおよびリアサスペンションが連動して制御される。このため、記憶手段に記憶される組合せ情報を変更することにより、前後のサスペンションの組合せの設定を変更できる。組合せ情報は、フロントサスペンションの動作状態およびリアサスペンションの動作状態の組合せを表す。このため、操作部の操作により前後のサスペンションの動作状態の組合せを容易に変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態が採用される自転車の側面部。
【図2】図1に示す自転車のハンドル部の斜視図。
【図3】図2に示すハンドル部の側面模式図。
【図4】電装品の接続構造を示すブロック図。
【図5】電力線通信部のブロック図。
【図6】外部装置の接続形態を示すブロック図。
【図7】外部装置の制御装置の機能構成を示すブロック図。
【図8】制御装置のカスタム設定の処理動作を示すフローチャート。
【図9】スイッチのカスタム設定画面を示す模式図。
【図10】スイッチの標準設定の設定画面を示す模式図であって、独立モードを選択している状態を示す。
【図11】スイッチの標準設定の設定画面を示す模式図であって、連動モードを選択している状態を示す。
【図12】スイッチの長押し設定の設定画面を示す模式図であって、第1操作部に対応して独立モードを選択している状態を示す。
【図13】スイッチの長押し設定の設定画面を示す模式図であって、連動モードを選択している状態を示す。
【図14】スイッチの長押し判定設定画面を示す模式図。
【図15】スピーカ設定画面を示す模式図。
【図16】LED設定画面を示す模式図。
【図17】遅延時間設定画面を示す模式図。
【図18】電源制御部の機能構成を示すブロック図。
【図19】電源制御部の設定受付時の制御動作を示すフローチャート。
【図20】電源制御部の通常時の制御動作を示すフローチャート。
【図21】電源制御部の連動動作を示すフローチャート。
【図22】サイクルコンピュータの表示画面の一例を示す図。
【図23】他の実施形態の図4に相当する図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1において、本発明の一実施形態を採用する自転車は、複数のサスペンションを有する。前記自転車としては、たとえばマウンテンバイクがある。自転車は、フレーム1には、フロント電動変速装置8およびリア電動変速装置9を含む駆動部5と、前輪6と、後輪7とが設けられる。フレーム1は、フレーム体2、フロントフォーク3、及びハンドル部4を有する。フレーム体2は、フレーム本体2aと、フレーム本体2aの後部に揺動自在に連結されるスイングアーム2bを有する。フレーム本体2aとスイングアーム2bとの間に、リアサスペンションRSが設けられる。フロントフォーク3は、フロントサスペンションFSを有する。フロントサスペンションFSおよびリアサスペンションRSは、フリー状態とロック状態の2つの動作状態をとり得る。フリー状態は伸縮可能な状態であり、ロック状態は伸縮不能な状態である。フリー状態は、ロック解除状態ともいう。サスペンションの動作状態は、サスペンションの設定状態ともいう。
【0019】
フロントサスペンションFSおよびリアサスペンションRSは、電気を用いて動作状態の制御が可能である。フロントサスペンションFSおよびリアサスペンションRSは、それぞれモータおよびソレノイドなどのアクチュエータを含む。フロントサスペンションFSおよびリアサスペンションRSでは、前記アクチュエータを動作させることによって、フロントサスペンションFSおよびリアサスペンションRSの内部に設けられるバルブを制御して、動作状態を変更することができる。
【0020】
フロント電動変速装置8は、電動フロントディレーラ26fとクランク組立体27とを有する。リア電動変速装置9は、電動リアディレーラ26rと、カセットスプロケット28を有する。クランク組立体27とカセットスプロケット28との間には、チェーン29が架け渡される。前輪6は、フロントフォーク3の下部に装着される。後輪7は、スイングアーム2bの後部に装着される。
【0021】
フレーム体2には、フロント電動変速装置8、リア電動変速装置9、フロントサスペンションFS、およびリアサスペンションRSの電源となる電源装置10が装着される。 ハンドル部4は、図2に示すように、フロントフォーク3の上部に固定されるハンドルステム14と、ハンドルステム14に固定されるハンドルバー15とを有している。ハンドルバー15の両端にはブレーキレバー16とグリップ17とが装着されている。それぞれのブレーキレバー16とグリップ17との間には、第1操作部OP1または第2操作部OP2が設けられる。第1操作部OP1および第2操作部OP2は、フロントサスペンションFSおよびリアサスペンションRSの動作状態を切り換えるために設けられる。
【0022】
第1操作部OP1は、第1スイッチLSW1と第2スイッチLSW2と、を有する。第1スイッチLSW1および第2スイッチLSW2は、所定の方向に操作可能なスイッチであって、本実施の形態では、押しボタンスイッチによって実現される。第1スイッチLSW1および第2スイッチLSW2は、操作片をスライドさせて操作するスライド型スイッチであってもよく、または操作片を角変位させる角変位型スイッチであってもよい。第1スイッチLSW1および第2スイッチLSW2は、自転車の進行方向に向かってハンドルバー15の左側の部分に配置される。以後、第1スイッチLSW1を左第1スイッチLSWといい、第2スイッチLSW2を左第1スイッチという。
【0023】
第2操作部OP2は、第3スイッチRSW1および第4スイッチRSW2を有する。第3スイッチRSW1および第4スイッチRSW2は、所定の方向に操作可能なスイッチであって、本実施の形態では、押しボタンスイッチによって実現される。第3スイッチRSW1および第4スイッチRSW2は、操作片をスライドさせて操作するスライド型スイッチであってもよく、または操作片を角変位させる角変位型スイッチであってもよい。第3スイッチRSW1および第4スイッチRSW2は、自転車の進行方向に向かってハンドルバー15の右側の部分に配置される。以後、第3スイッチRSW1を、右第1スイッチRSW1といい、および第4スイッチRSW2を、右第2スイッチというRSW2という。
【0024】
それぞれのブレーキレバー16の近傍には、フロント電動変速装置8の変速操作を行うためのフロント変速操作部20aおよびリア電動変速装置9の変速操作を行うためのリア変速操作部20bが設けられる。この実施形態では、第1操作部OP1およびフロント変速操作部20aが左側のブレーキレバー16の取付部分を挟んで配置され、第2操作部OP2およびリア変速操作部20bが右側のブレーキレバー16の取付部分を挟んで配置される。
【0025】
左第1スイッチLSW1および右第1スイッチRSW1は、図3にハッチングで示す領域Cに配置するのが好ましい。領域Cは、ブレーキレバー16のレバー体16aとハンドルバー15の間の領域である。具体的には、ブレーキレバー16とハンドルバー15の中心を結ぶ線L1の近傍にスイッチを配するのは好ましい。領域Cは、ハンドルバー15の前下方に位置する。この領域Cは、ブレーキ操作によりレバー体16aがハンドルバー15に接近する方向に揺動しても空間が確保可能な領域だからである。これにより、レバー体16aを操作する手のレバー操作と異なる指で左第1スイッチLSW1または右第1スイッチRSW1によってサスペンションの切換操作を行える。更には、ブレーキレバー操作軌道面付近に位置する領域Cに左第1スイッチLSW1および右第1スイッチRSW1を配置することにより、ブレーキレバーに指を掛けた状態で迅速にサスペンションの切換操作を行うことが可能となる。
【0026】
左第1スイッチLSW1および右第1スイッチRSW1の操作方向を、ブレーキレバー16の操作方向とは異なる方向、たとえば、ブレーキレバー16の操作方向と直交する方向等、に設定すれば、左第1スイッチLSW1および右第1スイッチRSW1の誤動作を防止することができる。
【0027】
この実施形態では、図2に示すように、左第1スイッチLSW1および左第2スイッチLSW2は、ハンドルバー15に装着可能な第1スイッチブラケット31に取り付けられる。第1スイッチブラケット31には、第1報知部33が設けられる。第1報知部33は、たとえば1または複数のLED(Light Emitting Diode)によって実現される。
【0028】
右第1スイッチRSW1および右第2スイッチRSW2は、ハンドルバー15に装着可能な第2スイッチブラケット32に取り付けられる。第2スイッチブラケット32には、第2報知部34が設けられる。第2報知部34は、たとえば1または複数のLEDによって実現される。
【0029】
第1報知部33および第2報知部34は、フロントサスペンションFSおよびリアサスペンションRSの動作状態を表示する。たとえば第1報知部33が、フロントサスペンションFSおよびリアサスペンションRSのうち一方の動作状態を表示し、第2報知部34が他方の動作状態を表示してもよい。またたとえば第1報知部33および第2報知部34がそれぞれは、フロントサスペンションFSおよびリアサスペンションRSの動作状態を表示してもよい。
【0030】
この実施形態においては、左第1スイッチLSW1および左第2スイッチLSW2と、右第1スイッチRSW1および右第2スイッチRSW2とは、標準モードおよび長押しモードの少なくとも一方の操作モードで操作される。標準モードは、操作部の操作時間には関連しないモードである。長押しモードは、操作部の操作時間に関連し、所定時間未満の短押し操作と、所定時間以上の長押し操作と、の組合せで操作するモードである。
【0031】
フロント変速操作部20aは、フロントシフトアップスイッチ21aとフロントシフトダウンスイッチ21bとを有する。リア変速操作部20bは、リアシフトアップスイッチ21cとリアシフトダウンスイッチ21dとを有する。
【0032】
ハンドルバー15には、サイクルコンピュータ40が着脱自在に設けられる。サイクルコンピュータ40は、自転車の走行速度等の通常のサイクルコンピュータの表示を行う。さらに、サイクルコンピュータ40は、変速装置の状態、ならびにフロントサスペンションFSおよびリアサスペンションRSの動作状態、さらに詳細には、動作状態の組合せを表示する。また、操作モードが長押しモードか否かを表示する。サイクルコンピュータ40には後述するスピーカ88と複数の操作ボタン89とが設けられている。
【0033】
電源装置10は、図4に示すように、電源制御部11と、電源としての蓄電部12と、を有する。電源制御部11は、サスペンションを制御する制御装置の一例である。蓄電部12は、電源制御部11に対して着脱可能である。電源制御部11は、蓄電部12を制御する。また電源制御部11は、フロント電動変速装置8、リア電動変速装置9、フロントサスペンションFS、リアサスペンションRS、第1スイッチユニット42、および第2スイッチユニット43、を統括的に制御している。
【0034】
電源制御部11、フロントディレーラ26f、リアディレーラ26r、フロントサスペンションFS、リアサスペンションRS、サイクルコンピュータ40、第1スイッチユニット42、および第2スイッチユニット43は、それぞれ電装品を構成する。これらの電装品は、シリアルバス構造SBで接続される。第1スイッチユニット42は、左第1スイッチLSW1、左第2スイッチLSW2、フロントシフトアップスイッチ21a、フロントシフトダウンスイッチ21b、および第1報知部33を含む。第2スイッチユニット43は、右第1スイッチRSW1、右第2スイッチRSW2、リアシフトアップスイッチ21c、リアシフトダウンスイッチ21d、および第2報知部34を含む。
【0035】
電源装置10を含む電装品は、電力線通信により接続される。これにより、電源装置10を除いていずれの電装品を接続または離脱しても、複数の電装品を含む電装システムは動作可能である。
【0036】
各電装品は、図5に示す電力線通信部90と、電装品制御部92と、を有している。電力線通信部90は、PLC(Power Line Communications)によって通信を行う。すなわち電力線70を介して双方向の通信を行う。電力線通信部90は、1又は複数の電力線接続部90aを有している。電力線接続部90aは、電力線70の両端に設けられるプラグ部65が着脱可能な形状を有し、プラグ部65を係止する。
【0037】
電力線通信部90は、電力に重畳される制御信号を復号及び変調する信号処理部90bを有している。信号処理部90bは、たとえば、OFDM方式(直交周波数分割多重方式)により制御信号を復号及び変調する。フロント電動変速装置8、リア電動変速装置9、フロントサスペンションFSおよびリアサスペンションRSにそれぞれ設けられる電装品制御部92は、電力線制御部90を制御して、他の電装品との通信を行い、また電源制御部11からの指令に基づいて、各電装品に設けられるアクチュエータを制御する。第1スイッチユニット42、および第2スイッチユニット43にそれぞれ設けられる電装品制御部92は、各スイッチの操作を検出し、第1報知部33および第2報知部34を制御し、また電力線通信部90を制御して、他の電装品との通信を行う。
【0038】
図6に示すように、これらの電装品は、アダプタ94を介して外部装置60に接続可能である。外部装置60は、設定装置の一例である。アダプタ94は、電力線通信部90を有し、外部装置60との接続ポート(たとえば、USB(Universal Serial Bus)ポート)94aを外側面に有する。また、本実施の形態では、アダプタ94は、2本の電力線72(図面に参照符号を追加してください。)を有する。図6では、アダプタ94は、2つの電装品をつなぐ電力線70を外すことにより、電装品に電気的に接続可能である。たとえば、図6では、フロントサスペンションFSと電源装置10との間の電力線70を外した後に、フロントサスペンションFSおよび電源装置10の電力線接続部90aにアダプタ94から延びる2本の電力線72を接続する。
【0039】
外部装置60は、たとえばノート型のパーソナルコンピュータである。外部装置60は、少なくとも、左第1スイッチLSW1および左第2スイッチLSW2、ならびに右第1スイッチRSW1および第2スイッチRSW2の操作モードの設定に用いられる。
【0040】
外部装置60は、図6に示すように、選択部61と、表示部62と、接続ポート63aを備える通信部63と、を有する。選択部61は、キーボード、マウスおよびタッチパッド等のポインティングデバイスを含む。選択部61は、表示部62に表示される設定情報の選択を行う。表示部62は、第1操作部OP1および第2操作部OP2に対応して設定可能な設定情報を表示する。接続ポート63は、たとえば、USBポートである。接続ポート63は、有線接続部の一例である。接続ポート63aは、たとえばUSBケーブルからなる接続ケーブル99をおよびアダプタ94を介して自転車に搭載される電源制御部11と電気的に接続可能である。これにより、選択部61により選択された設定情報を、たとえば電源制御部11に送信可能である。
【0041】
図7に示すように、外部装置60は、マイクロコンピュータを含む制御装置80を備える。制御装置80は、ソフトウェアで実現される機能構成として、サスペンションのカスタム設定部81を有する。カスタム設定部81は、スイッチ設定部82と、長押し判定設定部83と、スピーカ設定部84と、表示設定部85と、遅延時間設定部86と、を有する。カスタム設定部81は、フロントサスペンションFSとリアサスペンションRSとを使用者の好みに合わせて設定するために設けられる。
【0042】
スイッチ設定部82は、フロントサスペンションFSおよびリアサスペンションRSの動作状態または動作状態の組合せを第1操作部OP1および第2操作部OP2に対応付けて設定するために設けられる。
【0043】
フロントサスペンションFSおよびリアサスペンションFSは、独立モードと連動モードとのそれぞれで動作状態の設定を変更可能である。ここで、独立モードは、フロントサスペンションFSおよびリアサスペンションRSの動作状態を個別に第1操作部OP1および/または第2操作部OP2で設定するモードである。また、連動モードは、フロントサスペンションFSとリアサスペンションペンRSの動作状態の組合せを第1操作部OP1および/または第2操作部OP2で設定するモードである。
【0044】
独立モードにおいて、フロントサスペンションFSの動作状態は、伸縮不能な第1状態と、伸縮可能な第2状態とを含む。リアサスペンションRSの動作状態は、伸縮不能な第3状態と、伸縮可能な第4状態とを含む。第1状態および第3状態はロック状態である。第2状態および第4状態は、フリー状態である。独立モードでは、第1操作部OP1および/または第2操作部OP2により、フロントサスペンションFSの2種の動作状態を選択することができ、フロントサスペンションFSの動作状態とは独立してリアサスペンションRSの2種の動作状態を選択することができる。
【0045】
連動モードでは、動作状態の組合せは以下のIからIVの4種類ある。
I.フロントサスペンションFSを伸縮不能な第1状態とし、リアサスペンションRSを伸縮不能な第3状態にする。以後、この組み合わせをフルリジットという。
II.フロントサスペンションFSを伸縮可能な第2状態とし、リアサスペンションRSを伸縮可能に第4状態する。以後、この組み合わせをフルサスペンション(以後、フルサスと記す)という。
III.フロントサスペンションFSを伸縮可能な第2状態とし、リアサスペンションRSを伸縮不能な第3状態にする。以後、この組み合わせをハードテールという。
IV.フロントサスペンションFSを伸縮不能な第1状態とし、リアサスペンションRSを伸縮可能な第4状態にする。以後、この組み合わせをハードフロントという。フルリジットでは、フロントサスペンションFSおよびリアサスペンションRSがともにロック状態である。フルリジットは、第1組合せ情報の一例である。フルサスでは、フロントサスペンションFSおよびリアサスペンションRSがともにフリー状態である。フルサスは、第2組合せ情報の一例である。ハードテールでは、フロントサスペンションFSがフリー状態であり、リアサスペンションRSがロック状態である。ハードテールは、第3組合せ情報の一例である。ハードフロントでは、フロントサスペンションFSがロック状態であり、リアサスペンションRSがフリー状態である。ハードフロントは、第4組合せ情報の一例である。連動モードでは、第1操作部OP1および/または第2操作部OP2により、4種類の動作状態のいずれかが選択される。
【0046】
第1操作部OP1および第2操作部OP2は、前述した標準モードと長押しモードとのいずれかで操作可能である。本実施の形態では、設定されている動作状態の組合せは、サイクルコンピュータ40に表示される。また、独立モードおよび連動モードにかかわらずフロントサスペンションFSおよびリアサスペンションRSの動作状態は、第1報知部33および第2報知部34に表示される。たとえば、フロントサスペンションFSがロック状態のときは、第1報知部33が赤色に点灯してもよい。またたとえばフロントサスペンションFSがフリー状態のときは、第1報知部33が消灯するか、または別の色で点灯してもよい。またたとえばリアサスペンションRSがロック状態のときは、第2報知部34が赤色に点灯してもよい。またたとえばリアサスペンションRSがフリー状態のときは、第2報知部34が消灯するか、または別の色で点灯してもよい。動作状態は、たとえばLEDの発光の状態、点灯するLEDの数、発光するLEDの位置によって表されてもよい。LEDの発行状態は、たとえば色、点滅、点滅時間および点滅回数の少なくとも1つによって表される。
【0047】
長押し判定設定部83は、長押しモードの際の長押しの判断に用いる所定時間を設定するために設けられる。ここでは、所定時間は、複数の予め定める時間のうちのいずれかに設定される。
【0048】
スピーカ設定部84は、図18に示すサイクルコンピュータ40に設けられるスピーカ88により、連動モードの際のフロントサスペンションFSおよびリアサスペンションRSの動作状態の組合せを報知する設定を行うために設けられる。スピーカ88は、サイクルコンピュータ40ではなく、その他の電装品に設けられても良く、またスピーカ88は単独で設けられても良い。また、スピーカ設定部84は、スピーカ88の音色および音量も設定可能である。スピーカ88は、音を出力可能な発音器であればよく、たとえばブザーによって実現されてもよい。
【0049】
報知設定部85は、第1報知部33および第2報知部34の報知状態を設定するために設けられる。本実施の形態では、報知設定部85は、LEDを動作させるか非動作とするかを設定するために設けられる。LEDがオンの場合、すなわちLEDを動作させる場合は、前述したようにサスペンションの動作状態を表示する。
【0050】
遅延時間設定部86は、フロントサスペンションFSおよびリアサスペンションRSの連動モードにおける、フルロック状態からフルサス状態への切換時およびフルサス状態からフルロック状態への切換時に、いずれかのサスペンションの切換動作の開始を遅延させる時間を設定するために設けられる。
【0051】
次に、外部装置60の制御装置80のサスペンションのカスタム設定の処理について図8に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、カスタム設定の処理を行う場合は、使用者は、アダプタ94を外部装置60と、自転車の複数の電装品のいずれかと、に接続する。
【0052】
図8のステップP1では、図9に示すカスタム設定画面を表示する。カスタム設定画面には、サスペンションのカスタム設定で設定可能な項目が表示される。本実施の形態では、たとえば、「スイッチ設定」、「長押し判定設定」、「スピーカ設定」、「報知設定」、および「遅延時間設定」の5項目である。使用者は、選択部61を用いて、これらの項目のいずれかを選択する。たとえば項目の選択にマウスを用いる場合には、ポインタを合わせ、たとえばクリックによって項目を選択する。またたとえば項目の選択にキーボードを用いる場合には、キーボードによってカーソルを移動させ、選択キーの操作によって項目を選択する。またたとえば項目の選択にタッチパネルを用いる場合には、表示されている項目の部分に接触することによって項目を選択する。本実施の形態では、マウスによって項目を選択する場合について説明する。選択されている項目は、たとえば背景の色が変更されたり、文字の色が変更されたりして表示される。これによって、どの項目が選択されているのかを認識できる。
【0053】
ステップP2では、スイッチ設定が選択されたか否かを判断する。ステップP3では、長押し判定設定が選択されたか否かを判断する。ステップP4では、スピーカ設定が選択されたか否かを判断する。ステップP5では、表示設定が選択されたか否かを判断する。ステップP6では、遅延時間設定が選択されたか否かを判断する。ステップP8では、設定が確定したか否かを判断する。使用者は、設定作業が終わると、たとえばカスタム設定画面の下部に配置された確定ボタンを選択する。設定が確定されたと判断すると、ステップP7からステップP8に移行する。ステップP8では、カスタム設定された設定情報を、アダプタ94を介して電源制御部11に送信して処理を終了する。
【0054】
ステップP2においてスイッチ設定が選択されると、ステップP2からステップP10に移行する。ステップP10では、標準設定が選択されたか否かを判断する。標準設定が選択されたと判断すると、ステップP11に移行する。ステップP11では、標準設定を行い、それが終わるとステップP3に移行する。
【0055】
表示部62に表示される標準設定画面を図10及び図11に示す。図10は、独立モードを選択している状態を示す標準設定画面である。具体的には、図10では、第1操作部OP1の左第1スイッチLSW1および左第2スイッチLSW2と、第1操作部OP2の右第1スイッチRSW1および右第2スイッチRSW2と、に対応付けて、フロントサスペンションFSおよびリアサスペンションRSの個別の動作状態を設定する。
【0056】
独立モードを設定するときは、最初に、「FS」または「RS」のところに、たとえばポインタを合わせてクリックする。これによってフロントサスペンションFSまたはリアサスペンションRSの独立モードを選択することができる。「FS」を選択すると、フロントサスペンションを独立して動作させることができ、「RS」を選択すると、リアサスペンションを独立して動作させることができる。続いて、スイッチに対応付ける動作状態を選択する。図10では、たとえば、リアサスペンションRSのロック状態を左第1スイッチLSW1に対応付ける場合について示している。また図10では、たとえばリアサスペンションRSのフリー状態を左第2スイッチLSW2に対応付ける場合について示している。また図10では、たとえばフロントサスペンションFSのロック状態を右第1スイッチRSW1に対応付ける場合について示している。また図10では、フロントサスペンションFSのフリー状態を右第2スイッチRSW2に対応付ける場合について示している。対応付けの作業が終わると、選択ボタンにカーソルを合せてクリックすると、設定が外部装置60内に記憶され、カスタム画面に戻る。
【0057】
この動作状態のスイッチへの対応付けは、表示された動作状態の複数の項目の少なくとも一つを選択することによって行われる。一つのスイッチに対応付けて複数の項目を選択して設定すると、そのスイッチを操作する都度、複数の項目に対応する動作状態を択一的に切換えることができる。また、不要であれば、スイッチに動作状態を対応付けなくても良い。たとえばフロントサスペンションFSのロック状態をスイッチに対応付けなくても良い。以降の処理でも、選択ボタンを選択と、設定が完了してカスタム画面に戻る。
【0058】
図11は、連動モードを選択している状態を示す標準設定画面である。具体的には、図11では、第1操作部OP1の左第1スイッチLSW1および左第2スイッチLSW2と、第2操作部OP2の右第1スイッチRSW1および右第2スイッチRSW2と、に対応付けて、フロントサスペンションFSおよびリアサスペンションRSの動作状態の組合せを設定する。
【0059】
連動モードを設定するときには、最初に、「FS+RS」のところに、たとえばポインタを合わせてクリックする。これによってフロントサスペンションFSおよびリアサスペンションRSを連動して動作させる連動モードを選択することができる。続いて、スイッチに対応付ける動作状態の組合せを選択する。図11では、たとえば、リアサスペンションRSがロック状態でフロントサスペンションFSがフリー状態の組合せ、を左第1スイッチLSW1に対応付ける場合について示している。この動作状態は、ハードフロントである。また図11では、たとえばリアサスペンションRSおよびフロントサスペンションFSがともにロック状態の組合せを左第2スイッチLSW2に対応付ける場合について示している。この動作状態はフルロックである。また図11では、フロントサスペンションFSがフリー状態でリアサスペンションRSがロック状態の組合せを右第1スイッチRSW1に対応付ける場合を示している。この動作状態はハードテールである。また図11では、フロントサスペンションFSおよびリアサスペンションRSが共にフリー状態の組合せを右第2スイッチRSW2に対応付ける場合について示している。この動作状態がフルサスである。
【0060】
スイッチへの動作状態の対応付けは、表示された動作状態の複数の項目の少なくとも一つを選択することによって行われる。一つのスイッチについて複数の動作状態の組合せの項目を選択して設定すると、そのスイッチを操作する都度、複数の動作状態の組合せを択一的に切り換えできる。また、不要であれば、スイッチに動作状態の組合せを対応付けなくても良い。たとえば、ハードフロントのみをスイッチに対応付けなくても良い。この場合は、3種の動作状態の組合せを操作部で切換えることができる。また、ハードテールとハードフロントとをスイッチに対応付けなくても良い。この場合は、2種の動作状態の組合せを操作部で切換えることができる。
【0061】
本実施の形態では、図10から図13に示すように、スイッチに対応して設定可能な動作が表示画面に一覧で表示されているが、たとえば動作状態をプルダウンで選択可能にしておき、選択されている動作状態のみを表示してもよい。
【0062】
図8のステップP10で標準設定ではない、すなわち長押し設定が選択されたと判断すると、ステップP12に移行する。ステップP12では、長押し設定を行い、それが終わるとステップP3に移行する。
【0063】
表示部62に表示される長押し設定画面を図12及び図13に示す。図12は、第1操作部に対応して独立モードを選択している状態を示す長押し設定画面である。具体的には、図12では、第1操作部OP1の左第1スイッチLSW1および左第2スイッチLSW2、の長押しと短押しと、に対応付けて、フロントサスペンションFSおよびリアサスペンションRSの個別の動作状態を設定している。第2操作部OP2の右第1スイッチRSW1および右第2スイッチRSW2の長押しと短押しと、に対応付けて、フロントサスペンションFSおよびリアサスペンションRSの個別の動作状態を設定することも可能であるが、この実施形態では、第2操作部OP2に対しては、対応付けの設定を行っていない。したがって、独立モードでは、第1操作部OP1だけでサスペンションの動作状態の変更を行う。もちろん、第2操作部OP2にも動作状態を対応付けても良い。
【0064】
独立モードを設定するときは、最初に、「FS」または「RS」のところに、たとえばカーソルを合わせてクリックする。これによってフロントサスペンションFSまたはリアサスペンションRSの独立モードを選択することができる。続いて、スイッチに対応付ける動作状態を選択する。図12では、たとえば、フロントサスペンションFSのフリー状態を左第1スイッチLSW1の短押しに対応付ける場合について示している。また図12では、たとえばフロントサスペンションFSのロック状態を左第1スイッチLSW1の長押しに対応付ける場合について示している。また図12では、リアサスペンションFSのロック状態を右第1スイッチRSW1の短押しに対応付ける場合について示している。また図12では、リアサスペンションRSのフリー状態を右第2スイッチRSW2の長押しに対応付ける場合について示している。
【0065】
動作状態のスイッチへの対応付けは、表示された動作状態の複数の項目の少なくとも一つを選択することによって行われる。一つのスイッチに複数の項目を設定すると、そのスイッチを操作する都度、複数の項目に対応する動作状態を択一的に切換えることができる。また、標準モードと同様に、不要であれば、スイッチに動作状態を対応付けなくても良い。たとえばフロントサスペンションFSのロック状態をスイッチに対応付けなくても良い。
【0066】
図13は、連動モードを選択している状態を示す長押し設定画面である。具体的には、図13では、第1操作部OP1の左第1スイッチLSW1の長押しおよび短押しと、左第2スイッチLSW2の長押しおよび短押しと、第2操作部OP2の右第1スイッチRSW1の短押しおよび長押しと、右第2スイッチRSW2の短押しおよび長押しと、に対応付けて、フロントサスペンションFSおよびリアサスペンションRSの動作状態の組合せを設定している。また、複数の動作状態の組合せを一つのスイッチの短押しまたは長押しに対応付けたときに、その動作状態の組合せの変更順を決めるためにモード1およびモード2を選択可能にしている。ここでモード1では、フルリジット、ハードテール、ハンドフロント、フルサスの順に動作状態の組合せが変化する。また、モード2では、モード1と逆の順で動作状態の組合せが変化する。すなわち、フルサス、ハードフロント、ハードテール、フルリジットの順に動作状態の組合せが変化する。
【0067】
連動モードを設定するときには、最初に、標準設定の場合と同様に「FS+RS」のところに、たとえばポインタを合わせてクッリクして、フロントサスペンションFSおよびリアサスペンションRSを連動して動作させる連動モードを選択する。続いて、スイッチに対応付ける動作状態の組合せを選択する。
【0068】
図13では、第1操作部OP1の左第1スイッチLSW1の短押しおよび長押しに、たとえば、フルリジットと、フルサスと、ハードフロントの3種の動作状態の組合せを対応付ける場合について示している。ここで、短押しは、モード1に設定され、長押しは、モード2に設定される。これにより、短押しの場合は、短押しの都度、フルリジット、ハンドルフロント、フルサスの順に動作状態の組合せが変化する。フルサスの動作状態のときに、短押ししても、動作状態は変化しない。また、長押しの場合は、フルサス、ハンドフロント、フルリジットの順に動作状態の組合せが変化する。フルリジットの動作状態のときに、長押ししても、動作状態は変化しない。
【0069】
図13では、第1操作部OP1の左第2スイッチLSW2の短押しおよび長押しには、たとえば4種の動作状態の組合せの全てを対応付ける場合について示している。すなわち、フルリジット、ハードテール、ハードフロント、フルサスの4種の動作状態の組合せを1つのスイッチに対応付けている。ここで、短押しはモード1に設定され、長押しはモード2に設定されている。これにより、短押しの場合は、短押しの都度、フルリジット、ハードテール、ハードフロント、フルサスの順に動作状態の組合せが変化する。また、長押しの場合は、長押しの都度、フルサス、ハンドフロント、ハードテール、フルリジットの順に動作状態の組合せが変化する。
【0070】
図13では、第2操作部OP2の右第1スイッチRSW1の短押しおよび長押しには、たとえば、フルリジットと、フルサスと、ハードテールの3種の動作状態の組合せを対応付ける場合について示している。ここで、短押しは、モード2に設定され、長押しは、モード1に設定される。これにより、短押しの場合は、短押しの都度、フルサス、ハンドテール、フルリジットの順に動作状態の組合せが変化する。また、長押しの場合は、フルリジット、ハードテール、フルサスの順に動作状態の組合せが変化する。
【0071】
図13では、第2操作部OP2の右第2スイッチRSW2の短押しおよび長押しには、たとえば、フルリジットとフルサスを対応付ける場合について示している。この場合、右第2スイッチRSW2を短押しすると、フルリジットになり、長押しするとフルサスに変化する。
【0072】
このスイッチへの動作状態の対応付けは、表示された動作状態の複数の項目の少なくとも一つを選択することによって行われる。一つのスイッチについて複数の動作状態の組合せの項目を選択して設定すると、そのスイッチを操作する都度、複数の動作状態の組合せを択一的に切り換えできる。また、不要であれば、スイッチに動作状態の組合せを対応付けなくても良い。たとえば、ハードフロントのみをスイッチに対応付けなくても良い。他の場合は、3種の動作状態の組合せを操作部で切換えることができる。また、ハードテールとハードフロントとをスイッチに対応付けなくても良い。この場合は、2種の動作状態の組合せを操作部で切換えることができる。
【0073】
またたとえば、第1操作部OP1を独立モードに対応させ、第2操作部OP2を連動モードに対応させたり、第1操作部OP1を連動モードに対応させ、第2操作部OP2を独立モードに対応させたりしてもよい。さらに、第1操作部OP1の左第1スイッチLSW1を独立モードに対応させ、左第2スイッチLSW2を連動モードに対応させたり、左第1スイッチLSW1を連動モードに対応させ、左第2スイッチLSW2を独立モードに対応させたりしてもよい。また第2操作部OP2の右第1スイッチRSW1を独立モードに対応させ、右第2スイッチRSW2を連動モードに対応させたり、右第1スイッチRSW1を連動モードに対応させ、右第2スイッチRSW2を独立モードに対応させたりしてもよい。
【0074】
図8のステップP3で長押し判定設定が選択されると、ステップP3からステップP13に移行する。ステップP13では、図14に示す長押し判定設定の画面を表示部62に表示する。長押し判定設定が終わると、ステップP4に移行する。ここでは、スイッチの長押しの判定時間の最小値を設定できる。本実施の形態では、図14に示すように、300m秒から700m秒の間において、100m秒間隔で5段階に判定時間を設定できる。図14では、600m秒が選択されている場合を示し、この場合600m秒以上連続してスイッチが操作されると、長押しされたと判定する。
【0075】
図8のステップP4でスピーカ設定が選択されると、ステップP4からステップP14に移行する。ステップP14では、図15に示すスピーカ設定の画面を表示部62に表示する。スピーカ設定が終わるとステップP5に移行する。スピーカ設定では、スピーカ88により、設定されたサスペンションの動作状態の組合せを報知させるための設定を行う。たとえば、スピーカ設定において、フルリジットと、ハードテールと、ハードフロントと、フルサスとを識別可能な音を発生させるための設定を行うことができる。またスピーカ設定では、スピーカを動作および非動作の選択を行うことができる。スピーカオンが設定される場合は、動作内容に対応するスイッチを操作したとき、または動作内容の設定状態に切り替わった後に、スピーカ88から設定されている音が発生され、スピーカオフが設定される場合は、音を発生しない。また、スピーカ設定では、スピーカ88の音量および音色も設定できる。
【0076】
図8のステップP5で報知設定が選択されると、ステップP5からステップP15に移行する。ステップP15では、表示部62に、図16に示すLED設定の画面を表示する。報知設定が終わるとステップP6に移行する。LED設定の画面では、第1報知部33および第2報知部34のLEDのオンオフを設定する。LEDがオン設定されると、第1報知部33および第2報知部34のLEDがフロントサスペンションFSおよびリアサスペンションRSの動作状態によりオンオフする。具体的には、たとえば第1報知部33は、リアサスペンションRSがロック状態であると点灯し、フリー状態であると消灯する。またたとえば第2報知部34は、フロントサスペンションFSがロック状態であると点灯し、フリー状態であると消灯する。なお、消灯するのに代えて、フリー状態になると、ロック状態と異なる色で点灯するようにしても良い。表示設定では、LEDの点灯時間を設定してもよく、サスペンションの動作状態に対応する点灯または点滅の状態を設定しても良い。またバッテリの残量を第1報知部33および第2報知部34に報知させる設定を行っても良い。
【0077】
図8のステップP6で遅延時間設定が選択されると、ステップP6からステップP16に移行する。ステップP16では、表示部62に、図17に示す遅延時間設定画面を表示する。遅延時間設定では、連動モードの際にフロントサスペンションFSとリアサスペンションRSとで動作状態の切り換えのタイミングを異ならせるための遅延時間の設定を行う。なお、遅延時間は、電源制御部11のマイクロコンピュータの制御周期より長い時間である。本実施の形態では、図17に示すように、100m秒から500m秒の間において、100m秒間隔で5段階に遅延時間を設定できる。図17では、400m秒の遅延時間が選択されている場合を示し、この場合、フロントサスペンションFSとリアサスペンションRSとの動作状態を変更するためのスイッチが操作されると、フロントサスペンションFSとリアサスペンションRSとの動作状態を400m秒の遅延時間分ずらして切り換える。本実施の形態では遅延時間を数百m秒としているが、遅延時間は500m秒以上で、たとえば数秒(500m秒〜10秒)程度に選ばれても良い。
【0078】
電源制御部11は、電装品制御部92の一例である。電源制御部11は、たとえばマイクロコンピュータを有し、図18に示すような主にソフトウェアで実現される機能構成を有している。電源制御部11は、変速制御部93と、サスペンション制御部95と、を有するサスペンション制御部95は、サスペンション制御装置の一例である。電源制御部11には、電力線通信により第1スイッチユニット42と、第2スイッチユニット43と、が接続されている。また、リアディレーラ26rと、フロントディレーラ26fと、フロントサスペンションFSと、リアサスペンションRSと、サイクルコンピュータ40とが電力線通信によって電源制御部11に接続されている。さらに電源制御部11には蓄電部10が接続されている。
【0079】
サスペンション制御部95は、機能構成として受付手段96と、記憶手段97と、制御手段98と、を有する。受付手段96は、外部装置60で設定されるフロントサスペンションFSの動作状態およびリアサスペンションRSの動作状態の組合せのうち、少なくとも1つの動作状態の組合せを表す組合せ情報を受け付ける。受付手段96は、たとえば電力線通信部90の電力線接続部90aを含んで実現され、アダプタ94を介して外部装置60と接続可能である。記憶手段97は、受付手段96によって受け付けた動作状態の組合せ情報を記憶する。記憶手段97は、サスペンション制御部95内の不揮発メモリを含んで構成される。制御手段98は、第1操作部OP1および/または第2操作OP2が操作されると、記憶手段97に記憶される動作状態の組合せ情報に基づいて、フロントサスペンションFSおよびリアサスペンションRSを制御する。
【0080】
次にサスペンション制御部95の制御動作について図19から図21に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0081】
図19は、サスペンション制御部95のカスタム設定時の制御動作を示すフローチャートである。サスペンション制御部95は、設定装置60と接続されると、カスタム設定処理を開始し、ステップS1に移る。ステップS1では、外部装置60から設定情報を受け付けたか否かを判断する。ステップS1は、設定情報を受け付けた場合、ステップS2に移行する。ステップS2では、受け付けた設定情報を記憶手段97に記憶し、処理を終了する。
【0082】
図20は、サスペンション制御部95の通常時の制御動作を示すフローチャートである。サスペンション制御部95の電源が投入された後、操作部が操作されると処理を開始し、ステップA1に移る。ステップA1では、操作されたスイッチが、連動動作に対応付けられたスイッチか否かを判断する。ステップA1で、連動操作に対応付けられていると判断すると、ステップA2に移って連動動作処理を行い、対応付けられていないと判断すると、ステップA3に移る。ステップA3では、操作されたスイッチが、独立動作に対応付けられたスイッチか否かを判断する。ステップA3で、独立動作に対応付けられていると判断すると、ステップA4に移って独立動作処理を行い、対応付けられていないと判断すると、ステップA5に移る。
【0083】
ステップA5では、スイッチ対応付けられた動作状態に基づいて、第1報知部33および第2報知部34およびサイクルコンピュータ40の少なくともいずれかに報知させて、ステップA6に移り処理を終了する。
【0084】
サスペンション制御部95は、電源が投入されると、フロントサスペンションFSおよびリアサスペンションRSを予め定める初期設定状態とする。初期設定状態は、たとえばフロントサスペンションFSおよびリアサスペンションRSがともにフリー状態とする。この初期設定状態は、設定装置60によって予め定めておいてもよい。
【0085】
図21は、連動動作処理を表すフローチャートである。図20のステップA2に移行すると、図21の処理を開始し、ステップS12に移る。ステップS12では、第1操作部OP1または第2操作部OP2の操作により、フルサスからフルリジットへの切り換え操作が選択されたか否かを判断する。ステップS13では、フルリジットからフルサスへの切り換え操作がなされたい否かを判断する。ステップS14では、フルリジットからハードテール、フルサスからハードテール等のその他の連動動作への切り換え操作が行われたか否かを判断する。
【0086】
ステップS12において、フルサスからフルリジットへの切り換え操作が行われたと判断すると、ステップS12からステップS21に移行する。ステップ21では、リアサスペンションRSのフリー状態からロック状態への切り換えを開始する。ステップS22では、リアサスペンションRSが切り換えを開始してから遅延時間の経過を待つ。遅延時間は、図8のステップP16で設定された判定時間である。遅延時間は、前述したように制御周期より長い時間であり、この実施形態では400m秒に設定されている。リアサスペンションRSが切り換えを開始してから遅延時間が経過すると、ステップS23に移行する。ステップ23では、フロントサスペンションFSのフリー状態からロック状態への切り換えを開始する。ステップ24では、リアサスペンションRSおよびフロントサスペンションFSの切換動作の終了を待つ。リアサスペンションRSおよびフロントサスペンションFSの切換動作が終了すると、ステップS13に移行する。
【0087】
ステップS13において、フルリジットからフルサスへの切り換え操作が選択されたと判断すると、ステップS13からステップS26に移行する。ステップ26では、フロントサスペンションFSのロック状態からフリー状態への切り換えを開始する。ステップS27では、フロントサスペンションFSがロック状態からフリー状態への切り換えを開始してから遅延時間の経過を待つ。遅延時間は、この実施形態では500m秒に設定されている。フロントサスペンションFSが切り換えを開始してから遅延時間が経過すると、ステップS28に移行する。ステップ28では、リアサスペンションRSのロック状態からフリー状態への切り換えを開始する。ステップ29では、フロントサスペンションFSおよびリアサスペンションRSの切換動作の終了を待つ。フロントサスペンションFSおよびリアサスペンションRSの切換動作が終了すると、ステップS14に移行する。
図20のステップA4の独立動作処理では、第1操作部OP1および第2操作部OP2の操作に応じて、フロントサスペンションFSおよびリアサスペンションRSの動作状態を個別に切り換える。
【0088】
図20のステップA5の報知処理では、記憶手段97から読み出した設定状態に基づいて、現在の動作状態を、サイクルコンピュータ40に表示させてもよい。また、長押しモードおよび標準モードのいずれかをサイクルコンピュータ40に表示させてもよい。さらに、連動モードの場合では、4種の動作状態の組合せのいずれが選択されているかを、図22に示すように表示させてもよい。
【0089】
本実施の形態では記憶手段97に記憶される組合せ情報に基づいて、フロントサスペンションFSおよびリアサスペンションRSが連動して制御することができる。このため、記憶手段97に記憶される組合せ情報を変更することにより、フロントサスペンションFSおよびリアサスペンションRSの組合せの設定を変更できる。また、組合せ情報は、フロントサスペンションFSの動作状態およびリアサスペンションFSの動作状態の組合せを表す。このため、第1操作部OP1および第2操作部OP2の操作により、フロントサスペンションFSの動作状態およびリアサスペンションFSの動作状態の組合せを簡単に変更できる。
【0090】
また、サスペンション制御部95は、フロントサスペンションFSおよびリアサスペンションRSのロック状態およびフリー状態の4つの組合せ情報のうち、少なくとも1つの組合せ情報に基づいてフロントサスペンションFSおよびリアサスペンションRSを制御できる。
【0091】
さらに、たとえば、パーソナルコンピュータ等の外部装置60から出力される組合せ情報により動作状態の組合せを変更できる。このため、自転車側に設けられる制御手段98の構成が簡素になる。
【0092】
<他の実施形態>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0093】
(a)前記実施形態では、フロントディレーラおよびリアディレーラが電動制御されるものであったが、変速ケーブルにより駆動されるものでもよい。この場合、前述した図3に示すように、左第2スイッチLSW2および右第2スイッチRSW2は、手動の変速操作部50の巻取レバー50aおよび解除レバー50bの間のハッチングで示した領域Dに配置するのが好ましい。具体的には、巻取りレバー50aの操作完了した位置近傍に左第2スイッチLSW2および右第2スイッチRSW2を配置することで、変速操作直後に迅速にサスペンションの切換操作が可能となる。
【0094】
また、解除レバー50bの手前近傍に左第2スイッチLSW2および右第2スイッチRSW2を配置すれば、変速操作直前にサスペンションの切換操作を行い、その後直ぐに変速操作を行うことができる。
【0095】
好ましくは、巻取りレバー50aの操作完了した位置近傍、且つ、解除レバー50bの手前近傍の位置に左第2スイッチLSW2および右第2スイッチRSW2を配置すれば、上述の両方の効果を奏することが可能になる。
【0096】
更に、左第2スイッチLSW2および右第2スイッチRSW2の操作方向を、巻取りレバー50aや解除レバー50bの操作方向とは異なる方向、たとえば、巻取りレバー50aや解除レバー50bの操作方向と直交する方向等、に設定することで、左第2スイッチLSW2および右第2スイッチRSW2の誤動作を防止することができる。
【0097】
(b)左第1スイッチLSW1と左第2スイッチLSW2の一方を、リアサスペンションRSをロック状態にする専用のスイッチとし、他方を、リアサスペンションRSをフリー状態にする専用のスイッチとすれば、リアサスペンションRSを誤って切換操作することを防ぐことができる。
【0098】
同様に、右第1スイッチRSW1と右第2スイッチRSW2の一方を、フロントサスペンションFSをロック状態にする専用のスイッチとし、他方を、フロントサスペンションFSをフリー状態にする専用のスイッチとすれば、フロントサスペンションFSを誤って切換操作することを防ぐことができる。
【0099】
(c)前記実施形態では、リアサスペンションRSの切替操作を行う複数のスイッチLSW1及びLSW2を設け、フロントサスペンションFSの切替操作を行う複数のスイッチRSW1及びRSW2を設けたが、リアサスペンションRSの切替操作を行う一つのスイッチを配し、フロントサスペンションFSの切替操作を行う一つのスイッチを配して、各スイッチを押す度に、リアサスペンションRSとフロントサスペンションFSとがロック状態からフリー状態に、若しくは、フリー状態からロック状態に切り替わるようにしてもよい。
【0100】
(d)前記実施形態では、操作部である、左第1スイッチLSW1、左第2スイッチLSW2、右第1スイッチRSW1、および右第2スイッチRSW1と制御手段である電源制御部11とを有線の電力線通信により通信したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、PLC通信を用いず、通常の電力線と通信線とを分けて通信しても良い。この場合、各電装品を制御する制御装置を1つ設け、各電装品に電力線通信部および電装品制御部を設ける必要がないので、各電装品の構成を簡素化できる。また、各電装品は、有線ではなく無線により相互に通信しても良い。各電装品が無線で通信する場合、各電装品に蓄電部を設ける。この場合には、配線の取り回しがないため各電装品の自転車への取り付けが容易となる。
【0101】
(e)前記実施形態では、外部装置で前述する各種の設定を行ったが、自転車に搭載される電装品に制御装置を設けて、各種の設定を行えるようにしても良い。たとえば、電装品のいずれかの電装品制御部で各種の設定を行えるようにしても良い。また、たとえばサスペンションシステムに着脱自在に設けられるサイクルコンピュータに外部装置60の機能を持たせても良い。すなわち外部装置60は、サイクルコンピュータによって実現されてもよい。
【0102】
(f)前記実施形態では、電源制御部11でサスペンションの制御を行ったが、本発明はこれに限定されない。サスペンションの制御は、電装品のいずれかの電装品制御部で行うことができる。また本実施の形態のサスペンションには、電装品制御部が含まれており、この電装品制御部と電源制御部11とを含んで、サスペンション制御装置としてもよい。
【0103】
(g)前記実施形態では、各操作部について、独立モードと連動モードのいずれかを選択的に対応付けしているが、本発明はこれに限定されない。たとえば、外部装置から各操作部について、独立モードで動作させるときの設定情報と、連動モードで動作させるときの設定情報の両者を送信し、電装品制御部側で独立モードと連動モードとを選択できるようにしても良い。たとえば設定装置60において、図10に示される設定画面で、独立モードで動作させるときの設定情報を設定し、次に図11に示される設定画面で、連動モードで動作させるときの設定情報を設定する。長押し設定についても同様に、独立モードで動作させるときの設定情報と、連動モードで動作させるときの設定情報とを設定しておく。この場合、たとえば、サイクルコンピュータ40に独立モードと連動モードとの項目を表示し、操作ボタン89を用い、サイクルコンピュータ40に表示される独立モードと連動モードとの項目のいずれかを選択することによって、設定を変更しても良い。この場合、サスペンション制御部は、各操作部が操作されたときに、独立モードおよび連動モードのうち選択されたモードに対応する設定情報に基づいてサスペンションを制御する。
【0104】
(g)前記実施形態では、各操作部について、標準モードと長押しモードのいずれかを選択的に対応付けしているが、本発明はこれに限定されない。たとえば、外部装置から各操作部について、標準モードで動作させるときの設定情報と、長押しモードで動作させるときの設定情報の両者を送信し、電装品制御部側で標準モードと長押しモードとを選択できるようにしても良い。たとえば設定装置60において、図10および図11に示される設定画面の少なくともいずれか一方で、標準モードで動作させるときの設定情報を設定し、次に図12および図13に示される設定画面の少なくともいずれか一方で、長押しモードで動作させるときの設定情報を設定する。この場合、たとえば、サイクルコンピュータ40に標準モードと長押しモードとの項目を表示し、操作ボタン89を用い、サイクルコンピュータ40に表示される標準モードと長押しモードとの項目のいずれかを選択することによって、設定を変更しても良い。この場合、サスペンション制御部は、各操作部が操作されたときに、標準モードおよび長押しモードのうち選択されたモードに対応する設定情報に基づいてサスペンションを制御する。
【0105】
(h)前記実施形態では、第1操作部OP1および第2操作部OP2と制御手段を有する電源制御部11とを電力線通信を用いて有線で接続したが本発明はこれに限定されない。図23に示すように、第1操作部OP1および第2操作部OP2と電源制御部11内の制御手段とを無線で通信可能にしても良い。この場合の無線通信には、たとえば、IEEE 802.15規格、またはIEEE 802.15.4規格等の無線通信規格が用いられる。
【0106】
(i)前記実施形態では、電源制御部11と外部装置60とをアダプタ94を介して有線で接続したが本発明はこれに限定されない。電源制御部11と外部装置60とを無線通信により接続しても良い。この場合の無線通信には、たとえば、IEEE 802.15規格、またはIEEE 802.15.4規格等の無線通信規格を用いても良い。
【0107】
(j)前記実施の形態において、変速操作部および操作部を一定時間操作しないと、各電装品制御部が、省電力モード、すなわちスリープモードに移行する構成としてもよい。省電力モードに移行する基準となる時間は、利用者が選択部61を用いて設定してもよい。
【0108】
(k)前記実施形態では、使用者が1つのスイッチに複数の連動動作を対応付けるときに、複数の連動動作を1つ1つ選択しているが、たとえば1つのスイッチに対応付ける動作状態の組み合わせを、連動動作パターンとして予め用意していてもよい。連動動作パターンとしては、たとえば、フルリジットおよびフルサスの2モードからなる第1連動動作パターンと、フルリジット、ハードテールおよびフルサスの3モードからなる第2連動動作パターンと、フルリジット、ハードフロントおよびフルサスの3モードからなる第3連動動作パターンと、およぎフルリジット、ハードテール、ハードフロントおよびフルサスの4モードから成る第4連動動作パターンとがある。たとえば、連動動作モードを設定する表示画面で、予め定める第1から第4連動動作パターンを項目として表示させ、これらの項目を選択部によって選択することによって、1つのスイッチに対応する連動動作の対応付けをより簡単に行うことができる。
【0109】
(l)前記実施形態では、サスペンションの動作状態は、ロック状態と、フリー状態との2つであるが、サスペンションの動作状態としては、サスペンションの高さ、サスペンションの硬さ、サスペンションの圧縮減衰力、サスペンションのリバウンド減衰力、およびペダルを踏んだときに生じる減衰力のいずれであってもよい。
【0110】
(m)前記実施形態では、長押しモードの際の長押しの判断に用いる所定時間は、複数の予め定める時間から選択されるが、利用者が選択部61を用いて、前記所定時間の数値を設定する構成としてもよい。
【0111】
(n)前記実施形態では、遅延時間制御部86は、ソフトウェアによって実現されているが、たとえばハードウェアによって実現され、信号を遅延する信号遅延手段を用いて、サスペンションの切換え動作を異ならせてもよい。信号遅延手段としては、たとえばコンデンサなどを用いることができる。
【0112】
(o)第1操作部OP1または第2操作部PO2の2つのスイッチについて、一方をロック状態に対応付けると、他方をフリー状態に自動的に対応付けてもよく、また他方をロック状態に対応付けできないようにしてもよい。またスイッチが3つ以上ある場合、全てのスイッチを同じ動作状態に対付けすることができないようにしてもよい。
【0113】
(p)前記実施形態では、第1操作部OP1または第2操作部PO2が設けられる場合について説明しているが、第1操作部OP1または第2操作部PO2のいずれか一方のみが設けられる構成としてもよい。この場合、表示装置62には対応する操作部の情報のみが表示されてもよい。
【0114】
(q)前記実施形態では、第1操作部OP1または第2操作部PO2が設けられる場合について説明しているが、1つのスイッチのみが設けられる構成としてもよい。この場合、表示装置62には対応するスイッチの情報のみが表示されてもよい。
【0115】
(r)前記実施形態では、モード1およびモード2におけるサスペンションの動作状態の変化の順番は、予め定められているが、設定装置60によって、変化の順番の設定を変更可能としてもよい。
【0116】
(s)前記実施形態では、予め定める複数の設定値から遅延時間を選択しているが、利用者が選択部61を用いて、遅延時間の数値を設定する構成としてもよい。
【0117】
(t)前記実施形態において、ステップP7で確定ボタンが選択されたと判断されると設定状態がサスペンション制御部に送信されるが、各設定画面において選択ボタンが選択されたときに設定情報をサスペンション制御部に送信してもよい。
【符号の説明】
【0118】
11 電源制御部
33 第1報知部
34 第2報知部
60 外部装置
95 サスペンション制御部
96 受付手段
97 記憶手段
98 制御手段
OP1 第1操作部
OP2 第2操作部
LSW1 左第1スイッチ
LSW2 左第2スイッチ
RSW1 右第1スイッチ
RSW2 左第2スイッチ
FS フロントサスペンション
RS リアサスペンション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが複数の動作状態を有する自転車用のフロントサスペンションおよびリアサスペンションを、操作部の操作に応じて制御する自転車用サスペンション制御装置であって、
前記フロントサスペンションの動作状態および前記リアサスペンションの動作状態の組合せのうち、少なくとも1つの動作状態の組合せを表す組合せ情報を受け付ける受付手段と、
前記受付手段によって受け付けた前記組合せ情報を記憶する記憶手段と、
前記操作部が操作されると、前記記憶手段に記憶される前記組合せ情報に基づいて、前記フロントサスペンションおよび前記リアサスペンションを制御する制御手段と、
を備える自転車用サスペンション制御装置。
【請求項2】
前記組合せ情報は、
前記フロントサスペンションおよび前記リアサスペンションを伸縮不能にする第1組合せ情報と、
前記フロントサスペンションおよびリアサスペンションを伸縮可能にする第2組合せ情報と、
前記フロントサスペンションを伸縮可能にし、前記リアサスペンションを伸縮不能にする第3組合せ情報と、
前記フロントサスペンションを伸縮不能にし、前記リアサスペンションを伸縮可能にする第4組合せ情報の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の自転車用サスペンション制御装置。
【請求項3】
前記受付手段は、前記組合せ情報を出力する外部の装置に接続可能である、請求項1または2に記載の自転車用サスペンション制御装置。
【請求項4】
前記操作部は、スイッチを含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の自転車用サスペンション制御装置。
【請求項5】
前記組合せ情報は、1個のスイッチに対応付けされる複数の動作状態の組合せを含む、請求項4に記載の自転車用サスペンション制御装置
【請求項6】
前記フロントサスペンションおよびリアサスペンションの少なくともいずれか一方の動作状態を報知する報知部をさらに備える、請求項1から5のいずれか1項に記載の自転車用サスペンション制御装置。
【請求項7】
前記操作部は、有線により前記制御手段と通信可能である、請求項1から6のいずれか1項に記載の自転車用サスペンション制御装置。
【請求項8】
前記操作部は、無線により前記制御手段と通信可能である、請求項1から6のいずれか1項に記載の自転車用サスペンション制御装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−179974(P2012−179974A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−43068(P2011−43068)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000002439)株式会社シマノ (1,038)
【Fターム(参考)】