説明

舗装機械のフィーダ装置

【課題】フィーダの前端部における折り返し位置で、舗装材がフライトバーから落下しないで付着して残る量を低減させることができる舗装機械のフィーダ装置を提供する。
【解決手段】周回移動され無端状の搬送チェーン22上に、該搬送チェーン22の周回移動方向に適宜の間隔を置いて取り付けられる複数個のフライトバー25とを備えるフィーダ装置において、フライトバー25は、搬送チェーン22の周回移動方向に沿って該搬送チェーン22と平行に配設される水平板部35aと該水平板部35aの周回移動方向前端部から略直角に外側へ突出して配設される垂直板部35bを有して略逆L字状の断面に形成されているバー本体部35と、前記垂直板部35bの突出先端部側から水平板部35aの周回移動方向後端部へ向かって下るように傾斜して、前記バー本体部35の周回移動方向背面側に取り付けられる傾斜板36、を備えるフィーダ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は舗装機械のフィーダ装置に関するものであり、特に、舗装する施工面上に舗装材を敷き均す装置を装備したアスファルトペーバ等の舗装機械のフィーダ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、フィーダ装置としてチャージングフィーダ装置を搭載し、例えば、施工面上に1回の舗装作業で、2種類の舗装材を同時に上下2層に敷き均すことができる自走式舗装機械は知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記自走式舗装機械は、本来の舗装機械の構成に加えて、舗装材を受け入れる受入ホッパと、該受入ホッパ内の舗装材を後方に向かって搬送するチャージングフィーダ装置を装備している。
【0004】
従来のチャージングフィーダ装置は、例えば図6に示すように、図示しない駆動側のスプロケットホイールと従動側のスプロケットホイールの外側をそれぞれ回って一体回転可能に掛け渡された左右1対の無端状の搬送チェーン101,101(図6では片側の搬送チェーン101だけを示す)と、該搬送チェーン101,101上に、該搬送チェーン101,101の周回移動方向(図中に矢印102で示す方向)に適宜の間隔を置いて取り付けられた複数個のフライトバー103,103…を備えている。
【0005】
そして、前後のフライトバー103,103の間に舗装材104を投入して、該搬送チェーン101,101をフライトバー103,103…と共に周回移動させると、該舗装材104が下方から上方に向かって移送される。上方端の折り返し位置まで搬送されると、フライトバー103が搬送チェーン101,101の下側に向う姿勢へと反転する。このフライトバー103の反転では、該フライトバー103が徐々に下側を向く。また、該フライトバー103が下側を向いて行くに連れて、該フライトバー103,103の間に投入されている舗装材104が自重で徐々に落下するようになっている。
【0006】
なお、前記フライトバー103は、図6及び図7に示すように、搬送チェーン101,101の周回移動方向に沿って該搬送チェーン101,101と平行に配設される水平板部103aと、該水平板部103aの周回方向前端部から外側へ略直角に突出して配設される垂直板部103bを有して、断面が略逆L字状に形成されている。そして、各フライトバー103は、水平板部103aの左右両端部に設けられる取付部材103cを介して、両端が左右の搬送チェーン101,101にそれぞれ取り付けられる。
【0007】
このように、断面が略逆L字状に形成されているフライトバー103を使用しているチャージングフィーダ装置は、装置全体の搬送効率及びフライトバーの強度を確保することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第2994617号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、水平板部103aと垂直板部103bを有して、断面が略逆L字状に形成されているフライトバー103を使用する従来のチャージングフィーダ装置では、上方後端部の折り返し位置から下方側に向かう姿勢へと反転されるとき、前記垂直板部103bの前面側は真下を向くと同時に多量の舗装材が落下口へ向かって勢い良く落下して行くので、該舗装材104が該垂直板部103bの前面側から比較的良く剥がれて落下することができる。
【0010】
しかしながら、垂直板部103bの背面側では、既に多量の舗装材104が落下した後から、そこに残された少ない量の舗装材104が徐々に落下することになる。しかも、水平板部103aと垂直板部103bの間には交差した角部が設けられているので、例えば図6に示すように、水平板部103aの表面及び角部にそれぞれ舗装材104の一部104aが付着したまま残り、この付着した舗装材104の一部104aを舗装材投入部まで持ち帰るという問題点があった。
【0011】
すなわち、フライトバー103に舗装材104の一部104aが落下せずに付着して残ると、この残った舗装材104の一部104aが固まってフライトバー103に堆積し、舗装材の搬送効率を低下させる。また、残った舗装材104の一部104aの重量がフィーダ装置に対して大きな負荷となり、装置全体の運転効率を低下させる。このため、フライトバーに堆積した舗装材を定期的に剥がす作業を必要とするが、この定期作業は作業効率を低下させる問題点があった。
【0012】
そこで、フィーダの前端部における折り返し位置で、舗装材がフライトバーから落下しないで付着して残る量を低減させるために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、周回移動される無端状の搬送チェーンと、該搬送チェーン上に、該搬送チェーンの周回移動方向に適宜の間隔を置いて取り付けられる複数個のフライトバーとを備え、前後の該フライトバーの間に舗装材を投入して一方から他方に向かって移送する舗装機械のフィーダ装置において、前記フライトバーは、上記搬送チェーンの周回移動方向に沿って該搬送チェーンと平行に形成される水平部と該水平部の周回移動方向前端部から略直角に外側へ突出して形成される垂直部を有し、且つ、前記垂直部の突出先端部側から前記水平部の周回移動方向後端部へ向かって下るように傾斜して、フライトバーの周回移動方向背面側に形成される傾斜部とで略三角柱状を形成するフライトバーである舗装機械のフィーダ装置を提供する。
【0014】
この構成によれば、フライトバーが周回移動方向後端部の折り返し位置から下方側に向かう姿勢へと反転されるとき、フライトバーの周回移動方向背面側に形成されている傾斜部の面が舗装材をフライトバーから滑落させる滑落面となり、舗装材を滑らせ、フライトバーに付着して残る舗装材の量を低減させる。
【0015】
請求項2記載の発明は、周回移動される無端状の搬送チェーンと、該搬送チェーン上に、該搬送チェーンの周回移動方向に適宜の間隔を置いて取り付けられる複数個のフライトバーとを備え、前後の該フライトバーの間に舗装材を投入して下方から上方に向かって移送する舗装機械のフィーダ装置において、前記フライトバーは、上記搬送チェーンの周回移動方向に沿って該搬送チェーンと平行に配設される水平板部と該水平板部の周回移動方向前端部から略直角に外側へ突出して配設される垂直板部を有して略逆L字状の断面に形成されているバー本体部と、前記垂直板部の突出先端部側から前記水平板部の周回移動方向後端部へ向かって下るように傾斜して、前記バー本体の周回移動方向背面側に取り付けられる傾斜板と、を備える舗装機械のフィーダ装置を提供する。
【0016】
この構成によれば、フライトバーが周回移動方向後前端部の折り返し位置から下方側に向かう姿勢へと反転されるとき、バー本体部の背面に取り付けた傾斜板が舗装材をフライトバーから滑落させる滑落面となり、該傾斜板が舗装材を滑らせ、フライトバーに付着して残る舗装材の量を低減させる。
【0017】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の構成において、上記フライトバーの上記傾斜部または上記傾斜板は、ステンレス鋼材で形成してなる舗装機械のフィーダ装置を提供する。
【0018】
この構成によれば、ステンレス鋼材の表面は平滑で、また舗装材が付着しにくいので、舗装材に対する傾斜部または傾斜板による滑落効果を増大させ、フライトバーに付着して残る舗装材の量をさらに低減させる。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載の発明は、舗装材がフライトバーに付着して残り、舗装材投入部まで持ち帰る量を低減させることができる。これにより、フィーダ装置の負荷が低減すると同時に、装置全体の運転効率が向上し、省エネルギー化に寄与する。また、舗装材投入部まで持ち帰る舗装材の量が低減することによって舗装材の搬送効率も向上する。さらに、フライトバーに堆積した舗装材を定期的に剥がす作業の回数も少なくなり、作業性の向上が期待できる。
【0020】
請求項2記載の発明は、舗装材がフライトバーに付着して残り、舗装材投入部まで持ち帰る量を低減することができる。これにより、フィーダ装置の負荷が低減すると同時に、装置全体の運転効率を向上させて省エネルギー化に寄与する。また、舗装材投入部まで持ち帰る舗装材の量を低減できることにより、舗装材の搬送効率も向上する。さらに、フライトバーに堆積した舗装材を定期的に剥がす作業の回数も少なくなり、作業性の向上が期待できる。
【0021】
請求項3記載の発明は、フライトバーの上記傾斜部または上記傾斜板をステンレス鋼材で形成することにより、フライトバーに付着して残る舗装材の量をさらに低減させることができるので、請求項1または2記載の発明の効果に加えて、さらに、運転効率の向上と省エネルギー化、及び、搬送効率の向上並びに作業性の向上が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施例を示し、チャージングフィーダを備えたマルチアスファルトペーバの一部切欠側面図。
【図2】図1のマルチアスファルトペーバに搭載された各種ホッパ及びスクリューコンベア等を示す平面図。
【図3】同上チャージングフィーダにおける後部構成をフライトバーと共に示す拡大側面図。
【図4】同上チャージングフィーダによる舗装材搬送状態を概略的に示す拡大図。
【図5】同上チャージングフィーダで使用しているフライトバー単体の拡大斜視図。
【図6】従来のチャージングフィーダにおける舗装材搬送状態を示す概略拡大断面図。
【図7】図6のチャージングフィーダで使用しているフライトバー単体の示す拡大斜視図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明は、周回移動される無端状の搬送チェーンと、該搬送チェーン上に、該搬送チェーンの周回移動方向に適宜の間隔を置いて取り付けられる複数個のフライトバーとを備え、前後の該フライトバーの間に舗装材を投入して一方から他方に向かって移送する舗装機械のフィーダ装置において、前記フライトバーは、上記搬送チェーンの周回移動方向に沿って該搬送チェーンと平行に形成される水平部と該水平部の周回移動方向前端部から略直角に外側へ突出して形成される垂直部を有し、且つ、前記垂直部の突出先端部側から前記水平部の周回移動方向後端部へ向かって下るように傾斜して、フライトバーの周回移動方向背面側に形成される傾斜部とで略三角柱状を形成するフライトバーであることにより実現した。
【実施例】
【0024】
以下、本発明の舗装機械のフィーダ装置について、好適な実施例を図1〜図5に示す添付図面に従って説明する。図1及び図2は本発明のフィーダ装置を適用したマルチアスファルトペーバを示し、図1はその一部切欠側面図、図2はそのマルチアスファルトペーバに搭載された各種ホッパ及びスクリューコンベア等を示す平面図である。なお、以下の説明において、図1の左右方向左側をマルチアスファルトペーバの前後方向前方(または、搬送チェーンの周回移動方向前後方)、右側を後方(または、搬送チェーンの周回移動方向後前方)とし、また上下方向をマルチアスファルトペーバの上下、紙面に垂直な方向をマルチアスファルトペーバの左右として説明する。
【0025】
図1及び図2において、本実施例の舗装機械として示すマルチアスファルトペーバ10は、1回の舗装作業で2種類の下層舗装材H1及び上層舗装材H2(アスファルト合材)を同時に上下2層に敷き均すことができるように、下層舗装材H1及び上層舗装材H2をそれぞれ収容するための各ホッパ及び敷き均し装置が具備されている。
【0026】
同図に示すように、クローラ11にて自走する車体12の前部にはエンジン13が搭載され、該エンジン13の前側(図中左方側)に前側ホッパ15が設けられている。また、前記車体12における前側ホッパ15よりも後方には後側ホッパ16が設けられ、後側ホッパ16は前側ホッパ15よりも所定寸法だけ高い位置に配設されている。
【0027】
前記車体12の前側ホッパ15よりも前方には受入ホッパ17が設けられ、該受入ホッパ17には、ダンプカー等により下層舗装材H1または上層舗装材H2が投入される。さらに、受入ホッパ17の後方にはチャージングフィーダ18が配設され、該チャージングフィーダ18の前部は受入ホッパ17の下部に連結されている。該チャージングフィーダ18は、その前端部から後端部に向かって所定角度にて上方に傾斜するように設置されている。
【0028】
また、前記チャージングフィーダ18の中間下部は、枢着ピン19にて車体12に支持され、該枢着ピン19を回動中心として上下に起倒自在に設けられている。なお、枢着ピン19の結合部分は、エンジン13の上方に配設したハウスカバー20の外側に露出して設けられている。これにより、該ハウスカバー20の外側にて枢着ピン19を引抜・挿入操作することにより、チャージングフィーダ18を車体12から容易に脱着できるように構成されている。
【0029】
前記チャージングフィーダ18のカバー21内には、左右両側にフライトコンベヤとして機能する無端状の搬送チェーン(チャージングチェーン)22,22が設けられている。該各搬送チェーン22,22は、それぞれ従動側の下部スプロケットホィール23と駆動側の上部スプロケットホィール24の外側を回って掛け渡されている。
【0030】
前記左右の搬送チェーン22,22には、該左右の搬送チェーン22,22に跨り、かつ、該搬送チェーン22,22から上下方向外側へ突出した状態にして、多数本のフライトバー25,25…が適宜な間隔をおいて取り付けられている。これにより、駆動モータ14で上部スプロケットホィール24を回転駆動させると、前記搬送チェーン22,22がフライトバー25,25…と共に下方から上方に向かって周回移動する。そして、この周回移動時、受入ホッパ17内の下層舗装材H1または上層舗装材H2は前後のフライトバー25,25の間にそれぞれ乗せられ、チャージングフィーダ18に沿って上方へと移送される。
【0031】
なお、チャージングフィーダ18の前後方向中央部近傍の下面部(下側板部)には第1落下口26が形成され、該第1落下口26は前側ホッパ15と対応する上方箇所に配設されている。また、チャージングフィーダ18の後方側上端部近傍の下面部には第2落下口27が形成され、該第2落下口27は後側ホッパ16と対応する上方箇所に配設されている。
【0032】
而して、第1落下口26を閉じ、かつ、第2落下口27を開いた状態で、受入ホッパ17内に上層舗装材H2を投入して搬送チェーン22を周回移動させると、受入ホッパ17内で前後のフライトバー25,25の間に乗せられた上層舗装材H2はチャージングフィーダ18上端側の第2落下口27まで移送され、該第2落下口27から下方に排出されて後側ホッパ16内に収容される。
【0033】
これに対して、第2落下口27を閉じ、かつ、第1落下口26を開いた状態で、受入ホッパ17内に下層舗装材H1を投入して搬送チェーン22を周回移動させると、受入ホッパ17内で前後のフライトバー25,25の間に乗せられた下層舗装材H1は、チャージングフィーダ18中間の第1落下口26まで移送され、該第1落下口26から下方に排出されて前側ホッパ15内に収容される。
【0034】
なお、上記車体12の下部には第1スクリューコンベヤ29a及び第2スクリューコンベヤ29bが設けられている。該第1スクリューコンベヤ29a及び第2スクリューコンベヤ29bは、前側ホッパ15及び後側ホッパ16とそれぞれ対応する箇所に配設されている。
【0035】
また、前記第1スクリューコンベヤ29aの後端側には下層舗装材用の敷き均し手段が配設されている。該敷き均し手段は、下層舗装材H1を施工面に拡散させる前側スクリュースプレッダ30と、該拡散された下層舗装材H1を施工面に敷き均す前側スクリード31とから成る。
【0036】
したがって、前記前側ホッパ15内に収容された下層舗装材H1は、前記第1スクリューコンベヤ29aの回転駆動により前記前側スクリュースプレッダ30まで搬送され、道路の施工面に拡散して前記前側スクリード31によって敷き均される。
【0037】
一方、前記第2スクリューコンベヤ29bの後端側には上層舗装材用の敷き均し手段が配設され、該敷き均し手段は、上層舗装材H2を施工面に拡散させる後側スクリュースプレッダ32と、該拡散された上層舗装材H2を施工面に敷き均す後側スクリード33とから成る。
【0038】
したがって、前記後側ホッパ16内に収容された上層舗装材H2は、前記第2スクリューコンベヤ29bの回転駆動により前記後側スクリュースプレッダ32まで搬送され、道路の施工面に拡散して前記後側スクリード33によって施工面に敷き均される。
【0039】
図3は上記チャージングフィーダ18における後部構成を前記フライトバー25,25…と共に示す拡大図で、図4は該チャージングフィーダ18における舗装材搬送状態を概略的に示す拡大図、図5は該チャージングフィーダ18で使用しているフライトバー25を単体で示す拡大斜視図である。
【0040】
図3〜図5において、前記フライトバー25,25…は、バー本体部35と傾斜板36等により構成されている。該バー本体部35は、前記搬送チェーン22の周回移動方向に沿って該搬送チェーン22と平行に配設される水平板部35aと該水平板部35aの周回移動方向前端部から外側へ略直角に突出して配設される垂直板部35bを一体に有して、断面が略逆L字状の部材として形成されている。
【0041】
一方、前記傾斜板36は、ステンレス鋼材で成り、図5及び図6に示すように、前記バー本体部35の背面側において、前記垂直板部35bの突出先端部側から前記水平板部35aの周回移動方向後端部へ向かって下るように傾斜して、前記バー本体部35に取り付けられている。
【0042】
なお、本実施例での傾斜板36の傾斜角は、該フライトバー25,25…が下方から上方に向かって舗装材を搬送するチャージングフィーダ18の搬送面に対して約135°周回移動方向前方に傾斜した状態でバー本体35に取り付けられている。該傾斜板36の傾斜角は必ずしも130°に限定されるものではなく、上記搬送面に対して鈍角を成す範囲内で適宜の角度に設定される。
【0043】
そして、このように形成されている各フライトバー25,25…は、水平板部35aの左右両端部に設けられている取付部材35cを介して、両端が左右の搬送チェーン22,22に各々取り付けられる。
【0044】
次に、前記フライトバー25,25…を使用するチャージングフィーダ18の作用を、図4を使用して説明する。同図中の矢印37の方向に、搬送チェーン22が周回移動されると、フライトバー25が上層舗装材H2を搬送しながら上方後端部の折り返し位置に向かって移送される。上方後端部の折り返し位置に到達すると、該フライトバー25が下方側に向かう姿勢へと反転され、該フライトバー25が徐々に倒伏する。そして、フライトバー25が倒伏されて行くとき、垂直板部35b前面側及び傾斜板36がそれぞれ下側を向く。これにより、上流側のフライトバー25の傾斜板36と下流側のフライトバー25の垂直板部35b前面の間に乗せられている上層舗装材H2は、傾斜板36上を自重で滑りながら落下する。また、傾斜板36には舗装材が滑りやすいステンレス鋼材を使用しているので、この落下ではフライトバー25に付着したまま残る上層舗装材H2はほとんど無く、ほぼ全てが落下され、舗装材投入部(受入ホッパ17)まで持ち帰る上層舗装材H2を無くすことができる。
【0045】
したがって、本実施の形態におけるチャージングフィーダ18では、受入ホッパ17まで持ち帰る上層舗装材H2を無くすことができるので、チャージングフィーダ18の負荷を軽減することができる。これにより、装置全体の運転効率を向上させて省エネルギー化を図ることができる。また、受入ホッパ17まで持ち帰る舗装材を無くすことにより、該受入ホッパ17で新たに投入される舗装材の量が増え、舗装材の搬送効率も向上する。さらに、フライトバーに堆積した舗装材を定期的に剥がす作業の回数も少なくなり、作業性の向上も期待できることになる。
【0046】
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【0047】
例えば、上記実施例では、マルチアスファルトペーバに適用したフィーダ装置を示したが、これに限ることなく、例えばアスファルトフィニッシャのバーコンベヤにも適用できるものである。このバーコンベアの場合では、フィーダ装置は水平設置となる。また、上記実施例では、フライトバー25を、バー本体部35aと傾斜板36を別体にしてなる構造を開示したが、バー本体部35aと傾斜板36を一体とし、略三角柱状に形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上説明したように、本発明はマルチアスファルトペーバに適用した構造について説明したが、マルチアスファルトペーバ以外、例えばアスファルトフィニッシャのフィーダ装置についても応用することができる。
【符号の説明】
【0049】
10 マルチアスファルトペーバ(舗装機械)
15 前側ホッパ
16 後側ホッパ
17 受入ホッパ(舗装材投入部)
18 チャージングフィーダ
22 搬送チェーン
23 下部スプロケットホィール
24 上部スプロケットホィール
25 フライトバー
26 第1落下口
27 第2落下口
29a 第1スクリューコンベア
29b 第2スクリューコンベア
30 前側スクリュースプレッダ
31 前側スクリード
32 後側スクリュースプレッダ
33 後側スクリード35 バー本体部
35a 水平板部
35b 垂直板部
36 傾斜板
H1 下層舗装材
H2 上層舗装材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周回移動される無端状の搬送チェーンと、該搬送チェーン上に、該搬送チェーンの周回移動方向に適宜の間隔を置いて取り付けられる複数個のフライトバーとを備え、前後の該フライトバーの間に舗装材を投入して一方から他方に向かって移送する舗装機械のフィーダ装置において、前記フライトバーは、上記搬送チェーンの周回移動方向に沿って該搬送チェーンと平行に形成される水平部と該水平部の周回移動方向前端部から略直角に外側へ突出して形成される垂直部を有し、且つ、前記垂直部の突出先端部側から前記水平部の周回移動方向後端部へ向かって下るように傾斜して、フライトバーの周回移動方向背面側に形成される傾斜部とで略三角柱状を形成するフライトバーであることを特徴とする舗装機械のフィーダ装置。
【請求項2】
周回移動される無端状の搬送チェーンと、該搬送チェーン上に、該搬送チェーンの周回移動方向に適宜の間隔を置いて取り付けられる複数個のフライトバーとを備え、前後の該フライトバーの間に舗装材を投入して下方から上方に向かって移送する舗装機械のフィーダ装置において、
前記フライトバーは、上記搬送チェーンの周回移動方向に沿って該搬送チェーンと平行に配設される水平板部と該水平板部の周回移動方向前端部から略直角に外側へ突出して配設される垂直板部を有して略逆L字状の断面に形成されているバー本体部と、前記垂直板部の突出先端部側から前記水平板部の周回移動方向後端部へ向かって下るように傾斜して、前記バー本体の周回移動方向背面側に取り付けられる傾斜板と、を備えることを特徴とする舗装機械のフィーダ装置。
【請求項3】
上記フライトバーの上記傾斜部または上記傾斜板は、ステンレス鋼材で形成してなることを特徴とする請求項1または2記載の舗装機械のフィーダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−137291(P2011−137291A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−296084(P2009−296084)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(502246528)住友建機株式会社 (346)
【出願人】(000208204)大林道路株式会社 (31)
【出願人】(000194516)世紀東急工業株式会社 (17)
【出願人】(390002185)大成ロテック株式会社 (90)
【出願人】(390019998)東亜道路工業株式会社 (42)
【出願人】(000239437)福田道路株式会社 (24)
【出願人】(000201515)前田道路株式会社 (61)
【Fターム(参考)】