説明

船舶推進機及び船舶

【課題】航走状態から急にリモコンシフトレバーを後進側に倒した時にも、互いに噛合している歯車への衝撃や船の急な挙動を抑制する船舶を提供する。
【解決手段】前進、中立、後進の遠隔操作を行うリモコンシフトレバーの操作量に基づきシフトアクチュエータ22の作動を制御する制御マイコン64とを備え、制御マイコン64は、リモコンシフトレバー18の位置を検出するレバー位置センサからの信号により、中立位置から前進位置又は後進位置へのシフト操作が行われたか否かを検出するシフト検出手段70と、シフト検出手段70により、中立位置から前進位置又は後進位置へのシフト操作が行われたことが検出され、且つ、エンジン回転数センサ67により、エンジン回転数が所定値より大きい時には、シフトモータ25の駆動を行わず、エンジン回転数が所定値以下になった時には、シフトモータ25の駆動を行わせ、シフト切替装置によるシフト切替駆動を始動させるように制御する切替制御手段71とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、前進、中立、後進のシフト切替が遠隔操作にて電気的に行われる船舶推進機及び船舶に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からこの種の船舶としては、特許文献1に記載されたようなものがある。
【0003】
すなわち、この特許文献1には、「前進、中立、後進の遠隔操作を行うリモコンシフトレバーを有するリモコン操作装置と、前進、中立、後進のシフト切替を行うシフト切替装置及びシフト切替装置を駆動するシフトアクチュエータを有する船舶推進機と、リモコンシフトレバーが中立位置から所定範囲内のシフト領域で操作され、リモコンシフトレバーの操作量に基づきシフトアクチュエータの作動を制御する制御手段とを備え、制御手段は、リモコンシフトレバーの単位操作量に対するアクチュエータの作動量を、シフト領域内の部分において異なるように制御する。」旨記載されている。
【特許文献1】特開2005−297785号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来のものにあっては、前進航走状態から急にリモコンシフトレバーを後進側に倒して逆方向にシフトインした場合、エンジン回転数や船速が落ちきっていない状態で、後進側にシフトインすることによって、その時の衝撃が、互いに噛合している歯車間に作用する虞と共に、船が急な挙動を示す虞がある。
【0005】
つまり、前進航走状態から急にリモコンシフトレバーを後進側に倒して逆方向にシフトインすると、プロペラは前進方向に回転して、この方向への慣性力が生じているのに対して、このプロペラを反対側に回転させようとする力が作用するため、プロペラ側の各歯車とエンジン側の各歯車との間に大きな力が生じ、その時の衝撃が作用する虞があると共に、船が急な挙動を示す虞がある。
【0006】
そこで、この発明は、航走状態から急にリモコンシフトレバーを後進側に倒した時にも、互いに噛合している歯車への衝撃や船の急な挙動を抑制する船舶を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を達成するために、請求項1に記載の発明は、遠隔操作手段からの操作信号に応じて前進、中立、後進のシフト切替を行うシフト切替装置と、該シフト切替装置を駆動するシフトアクチュエータと、プロペラを回転させるエンジンと、前記遠隔操作手段からの操作信号を受信し、前記シフトアクチュエータの作動を制御する制御手段とを備えた船舶推進機において、該制御手段は、前記遠隔操作手段から操作信号を受信し、当該操作信号が前記中立位置から前進位置又は後進位置へのシフト操作を指令する信号である場合には、前記エンジン回転数、船舶の速度、プロペラ軸回転数の少なくとも一つが所定値以下の場合に、前記シフトアクチュエータを駆動させて前記中立位置から前進位置又は後進位置へのシフト切替を行わせるようにした船舶推進機としたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記制御手段は、前記エンジン回転数と、前記船舶の速度又は前記プロペラ軸回転数との両者が所定値以下の場合に、前記シフトアクチュエータを駆動させて前記中立位置から前進位置又は後進位置へのシフト切替を行わせるようにしたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記制御手段は、前記遠隔操作手段から操作信号を受信し、当該操作信号が前記前進位置,前記中立位置、前記後進位置の順で、シフト操作を指令する信号である場合には、前記エンジン回転数、船舶の速度、プロペラ軸回転数の少なくとも一つが所定値以下の場合に、前記シフトアクチュエータを駆動させて前記中立位置から後進位置へのシフト切替を行わせるようにしたことを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記制御手段は、前記エンジン回転数、前記船舶の速度、前記プロペラ軸回転数の少なくとも一つが所定値以下の場合でも、スロットル開度が一定値以上の時には、前記シフトアクチュエータの駆動を行わず、前記スロットル開度が前記一定値より低くなった時には、前記シフトアクチュエータを駆動させて前記前記中立位置から前進位置又は後進位置へのシフト切替を行わせるようにしたことを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記エンジン回転数、前記船舶の速度、又は、前記プロペラ軸回転数を検出するセンサの故障状態を検知する故障検知手段を有し、故障が検知された場合には、前記中立位置から前進位置又は後進位置へのシフト操作が行われたことが検出された場合でも、リモコンシフトレバーの操作位置に応じて、前記シフトアクチュエータの駆動を行い、前記シフト切替装置による通常のシフト切替駆動を行うようにしたことを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、遠隔操作手段からの操作信号に応じて前進、中立、後進のシフト切替を行うシフト切替装置と、該シフト切替装置を駆動するシフトアクチュエータと、プロペラを回転させるエンジンと、前記遠隔操作手段からの操作信号を受信し、前記シフトアクチュエータの作動を制御する制御手段とを備えた船舶推進機において、該制御手段は、前記遠隔操作手段から操作信号を受信し、当該操作信号が前記中立位置から前進位置又は後進位置へのシフト操作を指令する信号である場合には、前記エンジン回転数が所定値以下の場合に、前記シフトアクチュエータを駆動させて前記前記中立位置から前進位置又は後進位置へのシフト切替を行わせるように制御する一方、前記エンジン回転数の所定値は、船速により切り替えられるように構成され、該船速が速い場合より遅い場合における前記所定値の値を大きくするように制御する船舶推進機としたことを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1又は6に記載の構成に加え、前記船速は、前記エンジンへの吸気圧及びエンジン回転数から予測して算出することを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7の何れか一つに記載の構成に加え、スロットル弁及び該スロットル弁を開閉駆動させるためのスロットルアクチュエータと、該スロットルアクチュエータの作動を制御するスロットル制御装置と、シフト切替が完了したことを検出するシフト検出手段とを備え、該スロットル制御装置は前記シフト切替が完了するまで前記スロットルアクチュエータの作動を行わないように制御することを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8の何れか一つに記載の船舶推進機を備えた船舶としたことを特徴とする。
【0016】
請求項10に記載の発明は、複数の船舶推進機を備え、該複数の船舶推進機の内の少なくとも一つが請求項1乃至8の何れか一つに記載の船舶推進機である船舶としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
上記請求項1に記載の発明によれば、制御手段は、遠隔操作手段から操作信号を受信し、当該操作信号が中立位置から前進位置又は後進位置へのシフト操作を指令する信号である場合には、エンジン回転数、船舶の速度、プロペラ軸回転数の少なくとも一つが所定値以下の場合に、シフトアクチュエータを駆動させて中立位置から前進位置又は後進位置へのシフト切替を行わせるようにしたため、エンジン回転数や船舶の速度、プロペラ軸回転数が所定値より大きい時のシフトインを回避でき、互いに噛合する歯車に対する衝撃や、船舶の急激な挙動を防止できる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、エンジン回転数と、船舶の速度又はプロペラ軸回転数との両者が所定値以下の場合に、前記シフトアクチュエータを駆動させて中立位置から前進位置又は後進位置へのシフト切替を行わせるようにしたため、エンジン回転数、船舶の速度又はプロペラ軸回転数の何れかが所定値より大きいか否かにより制御する場合と比較して、より適切な制御を行うことができる。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、制御手段は、遠隔操作手段から操作信号を受信し、当該操作信号が前進位置,中立位置、後進位置の順で、シフト操作を指令する信号である場合には、エンジン回転数、船舶の速度、プロペラ軸回転数の少なくとも一つが所定値以下の場合に、シフトアクチュエータを駆動させて中立位置から後進位置へのシフト切替を行わせるようにしたため、シフト操作が前進位置,中立位置、後進位置の順で行われる場合が、特に、歯車に作用する衝撃が大きいことから、かかる場合にシフト制御を行うことは効果的である。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、制御手段は、エンジン回転数、船舶の速度、プロペラ軸回転数の少なくとも一つが所定値以下の場合でも、スロットル開度が一定値以上の時には、シフトアクチュエータの駆動を行わず、スロットル開度が一定値より低くなった時には、シフトアクチュエータを駆動させて中立位置から前進位置又は後進位置へのシフト切替を行わせるようにしたため、エンジン回転数、船舶の速度、プロペラ軸回転数の少なくとも一つが所定値以下の場合でも、スロットルが開いていると、その後、直ぐにエンジンが吹け上がる可能性があることから、かかる場合に、シフトインを回避でき、歯車に対する衝撃や船舶の急激な挙動を防止できる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、エンジン回転数、船舶の速度、又は、プロペラ軸回転数を検出するセンサの故障状態を検知する故障検知手段を有し、故障が検知された場合には、中立位置から前進位置又は後進位置へのシフト操作が行われたことが検出された場合でも、リモコンシフトレバーの操作位置に応じて、シフトアクチュエータの駆動を行い、シフト切替装置による通常のシフト切替駆動を行うようにしたため、エンジン回転数等を検出するセンサが故障した場合には、エンジン回転数等が計測できないような状況になった場合でも、最低限のシフト駆動操作は可能になる。してみれば、センサが故障し、エンジン回転数が、実際は所定値より低下しているのに、故障により、エンジン回転数が所定値より低下していないと検出される場合でも、通常のシフト駆動動作を行うことができる。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、エンジン回転数の所定値は、船速により切り替えられるように構成され、船速が速い場合より遅い場合における前記所定値の値を大きくしたため、船速が遅いときには、エンジン回転数の所定値を大きく設定することで、着岸時の船舶位置の調整の際に行う、頻繁なシフトイン又はシフトアウトを確実に行うことができる。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、船速は、エンジンへの吸気圧及びエンジン回転数から予測して算出するようにすれば、船速センサが接続されていない場合、船速センサが故障している場合等でも、船速を予測して、請求項1又は6に記載の操作を行うことができる。
【0024】
請求項8に記載の発明によれば、スロットル弁を開閉駆動させるためのスロットルアクチュエータと、このスロットルアクチュエータの作動を制御するスロットル制御装置と、シフト切替が完了したことを検出するシフト検出手段とを備え、このスロットル制御装置はシフト切替が完了するまでスロットルアクチュエータの作動を行わないように制御したため、シフト切替途中でエンジンが吹け上がるのを防止でき、エンジン回転数が高い状態での、シフトインを回避でき、後進用歯車等に対する損傷や、船舶の急激な挙動を防止できる。
【0025】
請求項9に記載の発明によれば、上記効果を有する船舶推進機を備えた船舶を提供できる。
【0026】
請求項10に記載の発明によれば、複数の船舶推進機を備えた船舶においても、上記効果を有する複数の船舶推進機を装備した船舶を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、この発明の実施の形態について説明する。
[発明の実施の形態1]
【0028】
図1乃至図9には、この発明の実施の形態1を示す。
【0029】
まず構成を説明すると、この実施の形態の船舶は、図1及び図2に示すように、船体10の船尾に「船舶推進機」としての船外機11が取り付けられ、この船外機11が船体10の操船席に配置されたリモコン操作装置12,キースイッチ装置13及びハンドル装置14等により制御されて操船されるようになっている。
【0030】
そのリモコン操作装置12は、リモコン本体16内に、リモコン側ECU17が内蔵されると共に、スロットル、シフト操作を行うリモコンシフトレバー18が設けられ、そのリモコンシフトレバー18の操作により、前進、中立、後進の遠隔操作が行われるようになっており、図5に示すように、リモコンシフトレバー18が直立した中央位置が、中立位置(N)であり、前側に所定角度倒した位置が前進位置(F)であり、後側に所定角度倒した位置が後進位置(R)である。このリモコンシフトレバー18の操作速度、角度の操作情報は、「レバー位置センサ」としてのポテンショメータ19で検出されてリモコン側ECU17に送信されるようになっている。換言すれば、そのポテンショメータ19で、リモコンシフトレバー18の位置が検出されるようになっている。
【0031】
このリモコン側ECU17からの信号が、図6に示すように、船外機11のエンジン側ECU21に送信され、このエンジン側ECU21では、リモコンシフトレバー18の操作量に基づき、シフトアクチュエータ22のシフトモータ25の駆動を制御し、このシフトアクチュエータ22により、シフト切替装置23が作動されて、前進、中立、後進のシフト切替が行われるようになっている。
【0032】
また、そのリモコン操作装置12のリモコン側ECU17には、図2に示すように、前記キースイッチ装置13が接続されている。このキースイッチ装置13には、図示していないが、始動スイッチ及びメイン/停止スイッチが設けられている。
【0033】
さらに、ハンドル装置14には、図示省略のハンドル側ECUが内蔵されると共に、操舵を行うハンドル27が設けられ、このハンドル位置が位置センサにより検出されるようになっており、この位置センサが信号回路を介してハンドル側ECUに接続されている。
【0034】
そして、このハンドル装置14のハンドル側ECUが、前記リモコン操作装置12のエンジン側ECU21に信号線としてのDBWCANケーブルを介して接続されている。ここで、DBWとは、Drive-By-Wire、機械的な接続で行っていたものを電気的接続で行う操縦装置を言い、又、CANとは、Controller Area Networkの略である。
【0035】
なお、図2中符号28はゲージである。
【0036】
一方、船外機11には、図1等に示すように、上部にエンジン30が配置され、このエンジン30の出力は、ドライブシャフト31、シフト装置32を介してプロペラ33が固定されたプロペラ軸34に伝達されるように構成されている。
【0037】
このシフト装置32の前進、中立、後進のシフト切替が前記シフト切替装置23により行われ、このシフト切替装置23は、前記シフトアクチュエータ22により駆動されるようになっている。
【0038】
より詳しくは、この船外機11は、図1乃至図3に示すように、ケーシング37内に略水平に配設されたプロペラ軸34にプロペラ33が取り付けられている。このプロペラ軸34は、前後推進切替用、即ち、シフト用の歯車機構38を介してドライブシャフト31に連結されている。
【0039】
この歯車機構38は、プロペラ軸34に回転可能に装着された前進用歯車39及び後進用歯車40を備えている。これら歯車39,40は、上方から見て右回転駆動されるドライブシャフト31に固定されたピニオン41に共に噛合して互いに逆方向に回転されるようになっている。
【0040】
ここで、前進用歯車39は、船の前進方向(図3で左方向)の後側に配置され、後進用歯車40は前進方向の前側に配置されている。
【0041】
プロペラ軸34の外面には、両歯車39,40の間においてスリーブ状のドッグクラッチ42がスプライン結合され、このドッグクラッチ42はプロペラ軸34の軸方向に摺動可能となっている。このドッグクラッチ42には、軸方向の両側に突出する爪42aがそれぞれ形成されている。また、両歯車39,40には、この爪42aに対向する爪39a,40aがそれぞれ形成され、これらで噛合いクラッチが形成されている。
【0042】
また、プロペラ軸34の前端部側には、軸方向に沿い、前端が開口された挿入孔34aが形成され、この挿入孔34aには、シフトスリーブ44が軸方向にスライド自在に挿入されており、プロペラ軸34の挿入孔34aの周壁には、軸方向に長い長孔34bが形成されている。
【0043】
そして、そのシフトスリーブ44及びドッグクラッチ42には、直径方向に沿う貫通孔44b,42bが形成されており、ピン46がドッグクラッチ42の貫通孔42b、プロペラ軸34の長孔34b及びシフトスリーブ44の貫通孔44bに挿入されている。
【0044】
これにより、シフトスリーブ44が移動することにより、ピン46が長孔34bの範囲内で軸方向へ移動され、このピン46を介してプロペラ軸34軸方向に沿ってドッグクラッチ42が移動されるようになっている。
【0045】
また、このシフトスリーブ44には、プロペラ軸34の凹部34cに係脱するディテントボール48がシフトスリーブ44外周面から出没自在に設けられ、このディテントボール48がスプリング49及び押圧部材50により突出方向に付勢されている。
【0046】
さらに、このシフトスリーブ44の前端部44aには、図3中左右方向にスライド自在に設けられたシフター51が連結されており、このシフター51には、上下方向に沿う係合溝51aが形成されている。
【0047】
そして、シフト切替装置23のシフトシャフト54の下端において、その回動中心軸に対してクランク状に偏心した箇所に設けられた駆動ピン54aが、その係合溝51aに挿入されている。このシフトシャフト54の回動操作により、駆動ピン54aが偏心して回転することにより、シフター51がスライドして、ドッグクラッチ42がスライドされるようになっている。
【0048】
そのシフトシャフト54が一方向に回動させられることにより、ドッグクラッチ42が一方向にスライドされ、又、シフトシャフト54が他方向に回動させられることにより、ドッグクラッチ42が他方向にスライドされるようになっている。
【0049】
このシフトシャフト54は、上下方向に延長され、平面図である図4に示すように、上端部54bにレバー55が固定され、このレバー55の先端部にレバーシフトロッド56の一端部が回動自在に連結され、このレバーシフトロッド56の他端部が、シフトレール57にスライド自在に設けられたスライダー58に回動自在に連結されている。このスライダー58がシフトアクチュエータ22にて所定の方向にスライドされることにより、レバーシフトロッド56及びレバー55を介してシフトシャフト54が所定の方向に回動されるようになっている。
【0050】
このシフトアクチュエータ22は、駆動源としてのDCモータであるシフトモータ25や減速機構(図示省略)等を有し、スライダー58を所定の方向に駆動させるように構成されている。
【0051】
このシフトアクチュエータ22には、図6に示すように、シフトポジションセンサー(SPS)61が設けられ、このセンサー61により、シフト位置(前進位置、中立位置、後進位置)及びシフト速度が検出されるようになっており、このシフトポジションセンサー61からの信号がエンジン側ECU21の「制御手段」である制御マイコン64に入力されるようになっている。
【0052】
また、エンジン30のエンジン回転数を検知するエンジン回転数センサ(例えばクランク軸センサ、カム軸センサ)67、船速を検知する船速センサ(例えば、水圧センサ、パドルホイール式センサ)68、プロペラ軸34の回転数を検知するプロペラ軸回転数センサ77が設けられている。これらセンサ67,68,77からのエンジン回転数、船速、プロペラ軸回転数の信号が制御マイコン64に入力されるようになっている。
【0053】
その制御マイコン64は、リモコンシフトレバー18が所定範囲内のシフト領域で操作され、このリモコンシフトレバー18の操作量に基づき前記シフトアクチュエータ22の作動を制御するようになっている。
【0054】
より詳しくは、制御マイコン64は、リモコンシフトレバー18の位置を検出するポテンショメータ19からの信号により、前進位置、中立位置、後進位置の順でシフト操作が行われたか否かを検出するシフト検出手段70と、シフト切替駆動を停止又は始動させる切替制御手段71とを有している。
【0055】
この切替制御手段71は、シフト検出手段70により、前進位置、中立位置、後進位置の順でシフト操作が行われたことが検出され、且つ、エンジン回転数センサ67による検出値のエンジン回転数が所定値より大きい時には、シフトアクチュエータ22を駆動させず、エンジン回転数が前記所定値以下になった時には、シフトアクチュエータ22の駆動を行わせ、シフト切替装置23による後進位置へのシフト切替駆動を始動させるように制御するように構成されている。
【0056】
また、その切替制御手段71は、エンジン回転数が前記所定値より低い場合でも、スロットル開度が一定値以上の時には、シフトアクチュエータ22の駆動を行わず、スロットル開度が一定値より低くなった時には、シフトアクチュエータ22の駆動を行わせ、シフト切替装置23によるシフト切替駆動を始動させるように制御するように構成されている。
【0057】
さらに、エンジン回転数センサ67の故障状態を検知する故障検知手段73が設けられ、この故障検知手段73からの故障検知信号が切替制御手段71に入力されるようになっている。この故障検知手段73は、エンジン回転数センサ67からの異常信号を検知することにより、故障か否かを判断するようにしている。
【0058】
この切替制御手段71では、その故障検知信号が入力された場合には、シフト検出手段70により、リモコンシフトレバー18の前進位置、中立位置、後進位置の順でシフト操作が行われたことが検出され、且つ、エンジン回転数が所定値より大きい場合(故障しているため正確な値ではない)でも、リモコンシフトレバー18の操作位置に応じて、シフトアクチュエータ22の駆動を行い、シフト切替装置23による通常のシフト切替駆動が行われるように構成されている。
【0059】
これにより、エンジン回転数等を検出するエンジン回転数センサ67が故障し、エンジン回転数等が計測できないような状況になった場合でも、最低限のシフト駆動操作は可能になる。例えば、エンジン回転数センサ67等が故障し、エンジン回転数が、実際は所定値より低下しているのに、故障により、エンジン回転数が所定値より低下していないと検出される場合でも、通常のシフト駆動動作を行うことができる。
【0060】
なお、船速は、エンジン30への吸気圧及びエンジン回転数から予測して算出することもできる。
【0061】
これによれば、船速センサ68が接続されていない場合、又は、船速センサ68が故障している場合等でも、船速を予測することができる。
【0062】
次に、作用について説明する。
【0063】
エンジン30の駆動状態で、リモコンシフトレバー18が前進位置にあり、船舶が前進航行している場合には、リモコンシフトレバー18の操作速度、角度の操作情報は、ポテンショメータ19で検出されてリモコン側ECU17を介してエンジン側ECU21に送信され、リモコンシフトレバー18の位置が検出される。
【0064】
この状態から、リモコンシフトレバー18を後方に回動させて、前進位置、中立位置、後進位置の順に回動させる。すると、このリモコンシフトレバー18の位置がポテンショメータ19で検出され、リモコン操作装置12のリモコン側ECU17に入力され、図7に示すように、レバーポジション電圧(LPS電圧)に変換される。
【0065】
このレバーポジション電圧が、インターフェース(I/F)に入力されてレバーポジションデータに変換され、このレバーポジションデータ(LPSデータ)に基づき目標値が演算されて、目標シフト位置信号に変換されて、エンジン側ECU21の制御マイコン64に入力されてシフト制御され、このシフト制御の要求が切替制御手段71によりシフト駆動判定され、所定電流がシフトアクチュエータ22に入力されて、このシフトアクチュエータ22のシフトモータ25が所定の方向に所定の速度で駆動される。
【0066】
このシフトアクチュエータ22の現在シフト位置がシフトポジションセンサ61で検知されて、シフト制御にフィードバックされて所望の位置となるようにフィードバック制御される。
【0067】
このシフトアクチュエータ22のシフトモータ25の駆動により、スライダー58、レバーシフトロッド56、シフトシャフト54、シフター51、シフトスリーブ44、ピン46等を介して、ドッグクラッチ42が所定の方向にスライドさせられ、このドッグクラッチ42の爪42aが、前進用歯車39の爪39a又は後進用歯車40の爪40aに噛み合い、シフトイン切替が行われる。
【0068】
このようなシフト切替時、図8に示すような制御が行われる。まず、ステップS10で、エンジン回転数センサ67が故障か否か判断され、故障している場合には、本発明のシフト制御がなされることなく、終了し、故障していない場合には、ステップS11に進む。
【0069】
このステップS11では、ポテンショメータ19からの信号がシフト検出手段70に入力され、シフト検出手段70にて、リモコンシフトレバー18が前進位置、中立位置、後進位置の順で、シフト操作が行われたか否かが判断される。行われていない場合には、ステップS10に戻り、行われたと判断された場合には、ステップS12に進む。
【0070】
ステップS12では、エンジン回転数センサ67による検出値のエンジン回転数の信号が切替制御手段71に入力され、エンジン回転数が所定値(例えば1500rpm)より小さいか否か判断され、エンジン回転数が所定値より大きい(「NO」)と判断したときには、ステップS10に戻り、リモコンシフトレバー18が前進位置、中立位置、後進位置の順で、シフト操作が行われた場合でも、この切替制御手段71は、シフトアクチュエータ22の駆動を行わない。
【0071】
これにより、エンジン回転数が高い状態から、リモコンシフトレバー18を前進位置、中立位置、後進位置の順に回動させたとしても、シフト切替装置23による実際のシフト切替駆動が行われないため、後進用歯車40と、ピニオン41及びドッグクラッチ42との間に、衝撃が作用することがなく、後進用歯車40等の損傷や、船舶の急な挙動を抑制できる。
【0072】
すなわち、従来では、前進航走状態から急にリモコンシフトレバー18を後進側に倒して逆方向にシフトインすると、プロペラ33は前進方向に回転して、この方向への慣性力が生じているのに対して、このプロペラ33を反対側に回転させようとする大きな力が衝撃力として作用していた。これに対して、この発明では、上述のように制御するため、衝撃が作用することがなく、後進用歯車40等の損傷や、船舶の急な挙動を抑制できる。
【0073】
そして、中立位置から後進位置への実際のシフト切替駆動が行われないため、シフト位置は中立位置の状態が維持されることから、エンジン回転数は低下して行く。その後、エンジン回転数が所定値以下になった時には、ステップS12で、エンジン回転数が所定値より小さいと判断され、ステップS13に進む。
【0074】
勿論、エンジン回転数が所定値より低い場合には、ステップS12からステップS10に戻ることなく、ステップS13に進む場合もある。
【0075】
ステップS13では、図示省略のスロットル開度センサからのスロットル開度の信号が切替制御手段71に入力され、スロットル開度が一定値以上か否か判断され、「YES」の場合には、ステップS10に戻り、直ぐには、シフト駆動は行われない。また、「NO」の場合には、ステップS14に進み、切替制御手段71により、シフトアクチュエータ22の駆動を行わせ、シフト切替装置23による後進位置(R)へのシフト切替駆動が始動させられる。
【0076】
してみれば、シフトアクチュエータ22が中立位置から後進位置へシフト操作が行われたことが検出され、且つ、エンジン回転数が前記所定値以下の場合でも、スロットル開度が一定値以上の時には、シフトアクチュエータ22の駆動を行わず、スロットル開度が一定値より低くなった時には、シフトアクチュエータ22の駆動を行わせ、シフト切替装置23によるシフト切替駆動を始動させるようにしている。
【0077】
これによれば、エンジン回転数が所定値以下の場合でも、スロットルが開いていると、その後、直ぐにエンジン30が吹け上がる可能性があるが、このような時に、シフトインを回避でき、後進用歯車40等に対する損傷や、船舶の急激な挙動を防止できる。
【0078】
なお、この実施の形態1では、リモコンシフトレバー18による中立位置から後進位置へのシフト切替時に、エンジン回転数が所定値以下の時に、シフトアクチュエータ22の駆動を行うようにしているが、これに限らず、船速が所定値以下の時に、或いは、プロペラ軸回転数が所定値以下の時に、シフトアクチュエータ22の駆動を行うようにすることもできる。
【0079】
この際には、船速センサ68又はプロペラ軸回転数センサ77からの信号が制御マイコン64に入力されて、切替制御手段71により制御されるようになっている。
【0080】
船速が所定値より大きい時には、プロペラ33の回転も速く、急激なシフト切替を行うと、衝撃が大きいため、この場合にも、シフトアクチュエータ22の駆動を行わないようにすることで、実施の形態1と同様に、後進用歯車40と、ピニオン41及びドッグクラッチ42との間に、衝撃が作用することがなく、後進用歯車40等の損傷や、船舶の急な挙動を抑制できる。
【0081】
また、この場合には、故障検知手段73により、船速センサ68又はプロペラ軸回転数センサ77の故障状態を検出し、切替制御手段71では、その故障検知信号が入力された場合には、シフト検出手段70により、リモコンシフトレバー18の前進位置、中立位置、後進位置の順でシフト操作が行われたことが検出され、且つ、船速又はプロペラ軸回転数が所定値より大きい場合(故障しているため正確な値ではない)でも、リモコンシフトレバー18の操作位置に応じて、シフトアクチュエータ22の駆動を行い、シフト切替装置23による通常のシフト切替駆動が行われるように構成することもできる。
【0082】
これにより、各センサ68,77が故障し、船速等が計測できないような状況になった場合でも、最低限のシフト駆動操作は可能になる。
【0083】
さらに、エンジン回転数と、船速又はプロペラ軸回転数との両方が、所定値以下の時に、シフトアクチュエータ22の駆動を行うようにすることもできる。
【0084】
さらにまた、図6に示すように、図示省略のスロットル弁及びこのスロットル弁を開閉駆動させるためのスロットルアクチュエータ75が設けられると共に、このスロットルアクチュエータ75の作動を制御するスロットル制御装置76が設けられている。
【0085】
そして、シフト切替が完了したことを検出するシフト検出手段70からの信号がスロットル制御装置76に入力され、このスロットル制御装置76により、シフト切替が完了するまでスロットルアクチュエータ75の作動を行わないように制御することもできる。
【0086】
この場合には、直ぐにエンジン30が吹け上がるのを防止でき、エンジン回転数が高い状態での、シフトインを回避でき、後進用歯車40等に対する損傷や、船舶の急激な挙動を防止できる。
【0087】
ここで、図9を参照して、急に後進位置へシフト操作した場合におけるリモコンシフトレバー18の動き、シフトの動き、エンジン回転数、船速、スロットル開度の関係を説明する。
【0088】
リモコンシフトレバー18を前進位置(F)から中立位置(N)方向に回動させ、このレバー18が前進位置(F)と中立位置(N)との閾値aに達すると、ポテンショメータ19からの信号が制御マイコン64に送られ、シフトアクチュエータ22が駆動させられて、前進位置(F)から中立位置(N)へのシフト切替(シフトアウト)が行われる。
【0089】
さらに、リモコンシフトレバー18を中立位置(N)から後進位置(F)方向に向けて回動させ、このレバー18が中立位置(N)と後進位置(F)との閾値bに達すると、ポテンショメータ19からの信号が制御マイコン64に送られ、この時点での船速A1,エンジン回転数B1,スロットル開度C1が所定値より大きいと、切替制御手段71により、シフトアクチュエータ22の駆動が時間t、停止して、中立位置(N)の状態が維持される。
【0090】
そして、船速A2,エンジン回転数B2,スロットル開度C2が所定値以下になると、切替制御手段71により、シフトアクチュエータ22が駆動させられて、中立位置(N)から後進位置(F)へのシフト切替(シフトイン)が行われることとなる。
[発明の実施の形態2]
【0091】
この実施の形態2は、切替制御手段71の制御方法が実施の形態1と異なっている。
【0092】
すなわち、この切替制御手段71は、実施の形態1と同様に、シフト検出手段70により、中立位置から前進位置又は後進位置へのシフト切替が検出され、且つ、エンジン回転数センサ67により、エンジン回転数が所定値以上の時には、シフトアクチュエータ22の駆動を行わず、エンジン回転数が所定値より低くなった時には、シフトアクチュエータ22の駆動を行わせ、シフト切替装置23によるシフト切替駆動を始動させるように制御している。
【0093】
そして、この実施の形態2では、更に、エンジン回転数の所定値は、船速センサ68により検出された船速により、切り替えられるように構成され、船速が速い場合より遅い場合における前記所定値の値を大きくするように構成されている。
【0094】
これによれば、船速が遅いときには、エンジン回転数の所定値を大きくすることで、着岸時の船舶位置の調整の際に行う、頻繁なシフトイン又はシフトアウトを確実に行うことができる。
【0095】
他の構成及び作用は、実施の形態1と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0096】
なお、上記各実施の形態では、「船舶推進機」として船外機11が用いられているが、これに限らず、船内外機等でも良いことは勿論である。また、ここでは、前進位置、中立位置、後進位置への順で、シフト操作が行われた場合において、シフト制御を行うようにしているが、これに限らず、中立位置から前進位置へのシフト操作の場合にも適用できる。中立位置でエンジン回転数が高く、この状態で、急なシフトインを行う場合には、衝撃が生じるため、かかる場合にも、この発明を適用することは効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】この発明の実施の形態1に係る船舶の側面図である。
【図2】同実施の形態1に係る船舶のリモコン操作装置、キースイッチ装置及び船外機等の接続状態を示すブロック図である。
【図3】同実施の形態1に係る船舶のシフト装置の断面図である。
【図4】同実施の形態1に係る船舶のシフトアクチュエータ等を示す平面図である。
【図5】同実施の形態1に係るリモコンシフトレバーを示す側面図である。
【図6】同実施の形態1に係る船舶のリモコン側ECUやエンジン側ECU等を示すブロック図である。
【図7】同実施の形態1に係る船舶の制御フローを示す図である。
【図8】同実施の形態1に係る船舶の作用を示すグラフ図である。
【図9】同実施の形態1に係る船舶のフローチャートを示す図である。
【符号の説明】
【0098】
10 船体
11 船外機(船舶推進機)
12 リモコン操作装置
13 キースイッチ装置
14 ハンドル装置
17 リモコン側ECU
18 リモコンシフトレバー
19 ポテンショメータ(レバー位置センサ)
21 エンジン側ECU
22 シフトアクチュエータ
23 シフト切替装置
25 シフトモータ
30 エンジン
31 ドライブシャフト
32 シフト装置
34 プロペラ軸
39 前進用歯車
40 後進用歯車
42 ドッグクラッチ
44 シフトスリーブ
54 シフトシャフト
61 シフトポジションセンサ
64 制御マイコン(制御手段)
67 エンジン回転数センサ(船舶状態検知手段)
68 船速センサ(船舶状態検知手段)
70 シフト検出手段
71 切替制御手段
73 故障検知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔操作手段からの操作信号に応じて前進、中立、後進のシフト切替を行うシフト切替装置と、
該シフト切替装置を駆動するシフトアクチュエータと、
プロペラを回転させるエンジンと、
前記遠隔操作手段からの操作信号を受信し、前記シフトアクチュエータの作動を制御する制御手段とを備えた船舶推進機において、
該制御手段は、
前記遠隔操作手段から操作信号を受信し、当該操作信号が前記中立位置から前進位置又は後進位置へのシフト操作を指令する信号である場合には、前記エンジン回転数、船舶の速度、プロペラ軸回転数の少なくとも一つが所定値以下の場合に、前記シフトアクチュエータを駆動させて前記中立位置から前進位置又は後進位置へのシフト切替を行わせるようにしたことを特徴とする船舶推進機。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記エンジン回転数と、前記船舶の速度又は前記プロペラ軸回転数との両者が所定値以下の場合に、前記シフトアクチュエータを駆動させて前記中立位置から前進位置又は後進位置へのシフト切替を行わせるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の船舶推進機。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記遠隔操作手段から操作信号を受信し、当該操作信号が前記前進位置,前記中立位置、前記後進位置の順で、シフト操作を指令する信号である場合には、前記エンジン回転数、船舶の速度、プロペラ軸回転数の少なくとも一つが所定値以下の場合に、前記シフトアクチュエータを駆動させて前記中立位置から後進位置へのシフト切替を行わせるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の船舶推進機。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記エンジン回転数、前記船舶の速度、前記プロペラ軸回転数の少なくとも一つが所定値以下の場合でも、スロットル開度が一定値以上の時には、前記シフトアクチュエータの駆動を行わず、前記スロットル開度が前記一定値より低くなった時には、前記シフトアクチュエータを駆動させて前記前記中立位置から前進位置又は後進位置へのシフト切替を行わせるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の船舶推進機。
【請求項5】
前記エンジン回転数、前記船舶の速度、又は、前記プロペラ軸回転数を検出するセンサの故障状態を検知する故障検知手段を有し、故障が検知された場合には、前記中立位置から前進位置又は後進位置へのシフト操作が行われたことが検出された場合でも、リモコンシフトレバーの操作位置に応じて、前記シフトアクチュエータの駆動を行い、前記シフト切替装置による通常のシフト切替駆動を行うようにしたことを特徴とする請求項1に記載の船舶推進機。
【請求項6】
遠隔操作手段からの操作信号に応じて前進、中立、後進のシフト切替を行うシフト切替装置と、
該シフト切替装置を駆動するシフトアクチュエータと、
プロペラを回転させるエンジンと、
前記遠隔操作手段からの操作信号を受信し、前記シフトアクチュエータの作動を制御する制御手段とを備えた船舶推進機において、
該制御手段は、
前記遠隔操作手段から操作信号を受信し、当該操作信号が前記中立位置から前進位置又は後進位置へのシフト操作を指令する信号である場合には、前記エンジン回転数が所定値以下の場合に、前記シフトアクチュエータを駆動させて前記前記中立位置から前進位置又は後進位置へのシフト切替を行わせるように制御する一方、前記エンジン回転数の所定値は、船速により切り替えられるように構成され、該船速が速い場合より遅い場合における前記所定値の値を大きくするように制御することを特徴とする船舶推進機。
【請求項7】
前記船速は、前記エンジンへの吸気圧及びエンジン回転数から予測して算出することを特徴とする請求項1又は6に記載の船舶推進機。
【請求項8】
スロットル弁及び該スロットル弁を開閉駆動させるためのスロットルアクチュエータと、該スロットルアクチュエータの作動を制御するスロットル制御装置と、シフト切替が完了したことを検出するシフト検出手段とを備え、該スロットル制御装置は前記シフト切替が完了するまで前記スロットルアクチュエータの作動を行わないように制御することを特徴とする請求項1乃至7の何れか一つに記載の船舶推進機。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一つに記載の船舶推進機を備えたことを特徴とする船舶。
【請求項10】
複数の船舶推進機を備え、該複数の船舶推進機の内の少なくとも一つが請求項1乃至8の何れか一つに記載の船舶推進機であることを特徴とする船舶。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−201213(P2008−201213A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−37989(P2007−37989)
【出願日】平成19年2月19日(2007.2.19)
【出願人】(000176213)ヤマハマリン株式会社 (256)
【Fターム(参考)】