説明

船舶用排熱回収システムを利用した発電方法とその排熱回収システム

【課題】急激な船内負荷の変化に対してパワータービン及び蒸気タービンの出力制御の応答性を向上させる船舶用排熱回収システムを利用した発電方法の提供。
【解決手段】パワータービン23と、蒸気タービン26と、発電機28と、パワータービン制御弁機構と、蒸気タービン制御弁機構と、パワータービン制御手段101と、前記蒸気タービン制御弁機構の操作量を制御する蒸気タービン制御手段102と、を備えた排熱回収システムにおいて、前記パワータービン制御手段は、エンジン負荷から算出されるパワータービン出力目標値と実際のパワータービン出力との偏差に基づいてパワータービン制御弁機構の第1の操作量を算出するパワータービンフィードバック制御手段106と、開度換算器1と、パワータービン開度指令マップから、前記パワータービン制御弁機構の第3の操作量を算出するパワータービンフィードフォワード制御手段106とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電方法及び船舶用排熱回収システムを利用した排熱回収システムにかかわり、特にパワータービンの駆動と蒸気タービンの駆動により発電を行う発電方法及び船舶用排熱回収システムを利用した排熱回収システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、船舶用排熱回収システムとして、エンジンの排ガスを利用して排ガスエコノマイザーを設けて主機関で仕事が済んだ排ガスの熱量を熱交換させて蒸気タービンを駆動して発電するシステムや、エンジンに軸発電機を設けて該エンジンの出力で軸発電機を回して船内負荷電力を賄うシステムがある。このようなシステムは船舶の省エネ化技術として従来から提案されており、例えば特許文献1(特開2007−1339号公報)に開示される。特許文献1は、エンジンの排ガスを利用してパワータービンを駆動し、船内負荷電力の一部を賄うシステムである。
【0003】
前記パワータービンを備える排熱回収システムでは、エンジン負荷に応じて蒸気タービン、パワータービン、軸発電機などの電力配分を決めている。パワータービンによる発電は、従来ON/OFF弁のようなバルブで制御されるため、船内負荷が急減してタービントリップする可能性が生じた場合、バルブを閉じたりバイパスを設けたりして流入する蒸気を完全に止めており、細やかな流量制御は不可能である。
【0004】
図7は従来の排熱回収システムで行われる制御ロジックを示すブロック図、図8は図7に係る制御ロジックについてのフローチャートである。図7の制御ロジックでは、ステップS21で開始されると、ステップS22で発電出力指令計算器52によりエンジン負荷からパワータービン出力目標値を算出する。ステップS23でパワータービン実出力値を計測し、ステップS24でパワータービン出力目標値とパワータービン実出力値との差が減算器53によって計算され、ステップS25では制御偏差を基にPID制御器54でPID制御演算を行い、操作量Oを導出する。
【0005】
次いで、ステップS26でパワータービンの目標回転数数との回転数偏差を基に図示しないフィードバック制御の出力信号を開度換算51で操作量Oへ換算し、ステップS27で操作量Oと操作量Oとが加算55によって算出され、制御弁の開度が決定される。そして、ステップS22の前段に戻る。
このようにして、パワータービンの制御バルブの開度がフィードバック制御により設定されていた。
【0006】
また、バルブ開度を制御する発明として、特許文献2(特許第3804693号公報)が開示されている。詳しくは、負荷側循環配管の前記排熱回収負荷よりも下流側に設けられて、そこを流れる負荷側循環水の温度を測定する負荷側循環水温度センサと、前記負荷側循環水温度センサで測定される負荷側循環水の温度と第1の設定温度とを比較して負荷側循環水の温度が第1の設定温度以上のときに放熱信号を出力する排熱回収量検出手段と、前記負荷側循環配管に設けられて、負荷側循環水の流動状態が所定の流動状態かそれ以外の異常流動状態かを検出して異常流動状態の検出に伴って放熱信号を出力する流動状態検出手段と、前記放熱信号に基づいて、前記冷却水温度センサによる冷却水の測定温度が第2の設定温度よりも低くなるまで放熱信号を出力させるホールド手段と、前記放熱信号に応答して、前記放熱量変更手段の弁開度を、前記エンジンが定格運転し、かつ、前記排熱回収負荷の排熱需要が零のときに前記放熱用熱交換器に供給すべき冷却水量を流す弁開度よりも小さい開度に予め設定した設定弁開度になるように制御出力を出すフィードフォワード側制御手段と、前記冷却水温度センサによる冷却水の測定温度に基づいて、その測定温度が高くなるほど放熱量が増大するように前記放熱量変更手段を制御する制御出力を出すフィードバック側制御手段とを備え、前記フィードフォワード側制御手段からの制御出力と前記フィードバック側制御手段からの制御出力とを加算した制御出力によって前記放熱量変更手段を制御するように構成している。
【0007】
前記特許文献2に開示される排熱回収システムは、排熱回収量の急激な変動に起因するオーバーシュートの発生を防止するために水温に着目して制御している。
しかしながら、船内負荷が急減した場合は、余剰電力が発生するため、直ちにパワータービン出力を小さくする必要がある。このとき、パワータービン出力制御の応答性によっては電力周波数の変動が大きくなる可能性がある。
同様に、蒸気タービンによる発電においても船内負荷が急減すると余剰電力が発生するため、直ちにバルブの流量制御を行い、蒸気タービン出力を小さくする必要がある。このときも同様に蒸気タービン出力制御の応答性によっては電力周波数の変動が大きくなる可能性がある。
【0008】
このように、船内負荷が急減した場合は、電力周波数の変動について考慮する必要があるが、特許文献2には電力周波数の変動について何ら記載されていない。さらに、船内負荷電力が急減し、パワータービン、蒸気タービンの出力を制御する場合、それぞれの応答速度の違いにより、供給電力の整定に時間を要する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−1339号公報
【特許文献2】特許第3804693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明はかかる従来技術の課題に鑑み、急激な船内負荷の変化に対してパワータービン及び蒸気タービンの出力制御の応答性を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる課題を解決するため、本発明はエンジンを駆動して排ガスを排出する工程と、
前記排ガスを用いてパワータービンを駆動する工程と、
前記排ガスを排ガスエコノマイザーに導入して蒸気を発生する工程と、
前記蒸気で蒸気タービンを駆動する工程と、
前記パワータービンの駆動と前記蒸気タービンの駆動により発電を行う工程と、を備えた発電方法において、
第1の発明は、エンジン負荷からパワータービン出力目標値を算出し、次に前記パワータービン出力目標値と実際のパワータービン出力との偏差を算出し、その次に前記算出された偏差を基にPID制御演算を行うことで、パワータービン制御弁機構の第1の操作量を算出する工程と、
パワータービンの目標回転数との回転数偏差を基にパワータービン制御弁機構の第2の操作量を算出する工程と、
前記エンジン負荷と前記パワータービン出力目標値とパワータービン制御弁機構の操作量との関係が予め設定されたパワータービン開度指令マップから、パワータービン制御弁機構の第3の操作量を算出する工程と、
前記パワータービン制御弁機構の第1操作量、前記パワータービン制御弁機構の第2操作量、および前記パワータービン制御弁機構の前記第3操作量の和をパワータービン制御弁機構の操作量として設定し、パワータービンの駆動を制御する工程と、を備えたことを特徴とする発電方法にある。
【0012】
第2の発明は、エンジン負荷から蒸気タービン出力目標値を算出し、次に前記蒸気タービン出力目標値と実際の蒸気タービン出力との偏差を算出し、その次に前記算出された偏差を基にPID制御演算を行うことで、蒸気タービン制御弁機構の第1の操作量を算出する工程と、
蒸気タービンの目標回転数との回転数偏差を基に蒸気タービン制御弁機構の第2の操作量を算出する工程と、
前記エンジン負荷と前記蒸気タービン出力目標値と蒸気タービン制御弁機構の操作量との関係が予め設定された蒸気タービン開度指令マップから、蒸気タービン制御弁機構の第3の操作量を算出する工程と、
前記蒸気タービン制御弁機構の第1操作量、前記蒸気タービン制御弁機構の第2操作量、および前記蒸気タービン制御弁機構の前記第3操作量の和を蒸気タービン制御弁機構の操作量として設定し、蒸気タービンの駆動を制御する工程と、を備えたことを特徴とする発電方法にある。
【0013】
第3の発明は、エンジン負荷からパワータービン出力目標値を算出し、次に前記パワータービン出力目標値と実際のパワータービン出力との偏差を算出し、その次に前記算出された偏差を基にPID制御演算を行うことで、パワータービン制御弁機構の第1の操作量を算出する工程と、
パワータービンの目標回転数との回転数偏差を基にパワータービン制御弁機構の第2の操作量を算出する工程と、
前記エンジン負荷と前記パワータービン出力目標値とパワータービン制御弁機構の操作量との関係が予め設定されたパワータービン開度指令マップから、パワータービン制御弁機構の第3の操作量を算出する工程と、
前記パワータービン制御弁機構の第1操作量、前記パワータービン制御弁機構の第2操作量、および前記パワータービン制御弁機構の前記第3操作量の和をパワータービン制御弁機構の操作量として設定し、パワータービンの駆動を制御する工程と、
エンジン負荷から蒸気タービン出力目標値を算出し、次に前記蒸気タービン出力目標値と実際の蒸気タービン出力との偏差を算出し、その次に前記算出された偏差を基にPID制御演算を行うことで、蒸気タービン制御弁機構の第1の操作量を算出する工程と、
蒸気タービンの目標回転数との回転数偏差を基に蒸気タービン制御弁機構の第2の操作量を算出する工程と、
前記エンジン負荷と前記蒸気タービン出力目標値と蒸気タービン制御弁機構の操作量の関係が予め設定された蒸気タービン開度指令マップから、蒸気タービン制御弁機構の第3の操作量を算出する工程と、
前記蒸気タービン制御弁機構の第1操作量、前記蒸気タービン制御弁機構の第2操作量、および前記蒸気タービン制御弁機構の前記第3操作量の和を蒸気タービン制御弁機構の操作量として設定し、蒸気タービンの駆動を制御する工程と、を備えたことを特徴とする発電方法にある。
【0014】
さらに前記第1及び第3の発明において、前記パワータービン出力目標値を、前記蒸気タービン負荷の変化に対応させて補正する工程と、
補正後の補正パワータービン出力目標値に基づいて、前記パワータービン制御弁機構の第1操作量および前記パワータービン制御弁機構の第3操作量を算出する工程と、を備えることを特徴とする。
そして好ましくは、さらに蒸気タービン負荷とエンジン負荷と補正パワータービン出力目標値との関係が予め設定された補正パワータービン開度指令マップを基に、エンジン負荷と蒸気タービン負荷から補正パワータービン出力目標値を算出する工程と、を備えることを特徴とする。
【0015】
そして本第1発明に対応する排熱回収システムは、エンジンの排ガスを用いて駆動するパワータービンと、
エンジンの排ガスエコノマイザーで生成された蒸気を用いて駆動する蒸気タービンと、
前記パワータービンの駆動と前記蒸気タービンの駆動とにより電力を生成する発電機と、
前記該パワータービンの前段に配設され、前記排ガスの流量を調整してパワータービンの出力を制御する1または複数の制御弁機構からなるパワータービン制御弁機構と、
前記蒸気タービンの前段に配設され蒸気タービンの出力を制御する1または複数の制御弁機構からなる蒸気タービン制御弁機構と、
前記パワータービン制御弁機構の操作量を制御するパワータービン制御手段と、
前記蒸気タービン制御弁機構の操作量を制御する蒸気タービン制御手段と、を備えた排熱回収システムにおいて、
前記パワータービン制御手段は、エンジン負荷から算出されるパワータービン出力目標値と実際のパワータービン出力との偏差に基づいてPID制御器でパワータービン制御弁機構の第1の操作量を算出するパワータービンフィードバック制御手段と、
パワータービンの目標回転数との回転数偏差を基に前記パワータービンフィードバック制御手段の出力信号を前記パワータービン制御弁機構の第2の操作量へ換算する開度換算器と、
前記エンジン負荷と前記パワータービン出力目標値と前記パワータービン制御弁機構の操作量との関係が予め設定されたパワータービン開度指令マップから、前記パワータービン制御弁機構の第3の操作量を算出するパワータービンフィードフォワード制御手段とを備え、
前記パワータービン制御弁機構の第1の操作量、前記パワータービン制御弁機構の第2の操作量、および前記パワータービン制御弁機構の第3の操作量を加算して前記パワータービン制御弁機構の操作量として設定することを特徴とする。
【0016】
この場合、前記パワータービン制御弁機構の操作量が、前記パワータービンへの流入量を制御する流入制御弁の開度であるか、若しくは、前記パワータービンのバイパス量を制御するバイパス制御弁の開度であるのがよい。
【0017】
そして第2発明に対応する排熱回収システムは、
前記蒸気タービン制御手段は、エンジン負荷から算出される蒸気タービン出力目標値と実際の蒸気タービン出力との偏差に基づいてPID制御器で蒸気タービン制御弁機構の第1の操作量を算出する蒸気タービンフィードバック制御手段と、
蒸気タービンの目標回転数との回転数偏差を基に前記蒸気タービンフィードバック制御手段の出力信号を前記蒸気タービン制御弁機構の第2の操作量へ換算する開度換算器と、
前記エンジン負荷と前記蒸気タービン出力目標値と前記蒸気タービン制御弁機構の操作量との関係が予め設定された蒸気タービン開度指令マップから、前記蒸気タービン制御弁機構の第3の操作量を算出する蒸気タービンフィードフォワード制御手段とを備え、
前記蒸気タービン制御弁機構の第1の操作量、前記蒸気タービン制御弁機構の第2の操作量、および前記蒸気タービン制御弁機構の第3の操作量を加算して前記蒸気タービン制御弁機構の操作量として設定することを特徴とする。
【0018】
この場合、前記蒸気タービン制御弁機構の操作量が、前記蒸気タービンへの流入量を制御する流入制御弁の開度であるか、若しくは、前記蒸気タービンのバイパス量を制御するバイパス制御弁の開度であるのがよい。
【0019】
第3発明に対応する排熱回収システムは、
前記パワータービン制御手段は、エンジン負荷から算出されるパワータービン出力目標値と実際のパワータービン出力との偏差に基づいてPID制御器でパワータービン制御弁機構の第1の操作量を算出するパワータービンフィードバック制御手段と、
パワータービンの目標回転数との回転数偏差を基に前記パワータービンフィードバック制御手段の出力信号を前記パワータービン制御弁機構の第2の操作量へ換算する開度換算器と、
前記エンジン負荷と前記パワータービン出力目標値と前記パワータービン制御弁機構の操作量との関係が予め設定されたパワータービン開度指令マップから、前記パワータービン制御弁機構の第3の操作量を算出するパワータービンフィードフォワード制御手段とを備え、
前記パワータービン制御弁機構の第1の操作量、前記パワータービン制御弁機構の第2の操作量、および前記パワータービン制御弁機構の第3の操作量を加算して前記パワータービン制御弁機構の操作量として設定するとともに、
前記蒸気タービン制御手段は、エンジン負荷から算出される蒸気タービン出力目標値と実際の蒸気タービン出力との偏差に基づいてPID制御器で蒸気タービン制御弁機構の第1の操作量を算出する蒸気タービンフィードバック制御手段と、
蒸気タービンの目標回転数との回転数偏差を基に前記蒸気タービンフィードバック制御手段の出力信号を前記蒸気タービン制御弁機構の第2の操作量へ換算する開度換算器と、
前記エンジン負荷と前記蒸気タービン出力目標値と前記蒸気タービン制御弁機構の操作量との関係が予め設定された蒸気タービン開度指令マップから、前記蒸気タービン制御弁機構の第3の操作量を算出する蒸気タービンフィードフォワード制御手段とを備え、
前記蒸気タービン制御弁機構の第1の操作量、前記蒸気タービン制御弁機構の第2の操作量、および前記蒸気タービン制御弁機構の第3の操作量を加算して前記蒸気タービン制御弁機構の操作量として設定することを特徴とする。
【0020】
これらの発明は、前記パワータービン出力目標値を、前記蒸気タービン負荷の変化に対応させて補正するパワータービン出力目標値補正手段を有し、該補正手段による補正後の補正パワータービン出力目標値に基づいて、前記パワータービンフィードバック制御手段および前記パワータービンフィードフォワード制御手段の制御がなされるのがよい。
この場合前記パワータービン出力目標値補正手段は、蒸気タービン負荷とエンジン負荷と補正パワータービン出力目標値との関係があらかじめ設定された補正パワータービン開度指令マップを基に、エンジン負荷と蒸気タービン負荷から補正パワータービン出力目標値を算出するのがよい。
【0021】
又本発明の第4の発明は、エンジンの排ガスを用いて駆動するパワータービンと、エンジンの排ガスエコノマイザーで生成された蒸気を用いて駆動する蒸気タービンと、前記パワータービンの駆動と前記蒸気タービンの駆動とにより電力を生成する発電機と、前記該パワータービンの前段に配設され、前記排ガスの流量を調整してパワータービンの出力を制御する1または複数の制御弁機構からなるパワータービン制御弁機構と、前記パワータービン制御弁機構の操作量を制御するパワータービン制御手段と、を備えた排熱回収システムにおいて、
前記パワータービン制御手段は、エンジン負荷から算出されるパワータービン出力目標値と実際のパワータービン出力との偏差に基づいてPID制御器でパワータービン制御弁機構の第1の操作量を算出するパワータービンフィードバック制御手段と、
パワータービンの目標回転数との回転数偏差を基に前記パワータービンフィードバック制御手段の出力信号を前記パワータービン制御弁機構の第2の操作量へ換算する開度換算器と、
前記エンジン負荷と前記パワータービン出力目標値と前記パワータービン制御弁機構の操作量との関係が予め設定されたパワータービン開度指令マップから、前記パワータービン制御弁機構の第3の操作量を算出するパワータービンフィードフォワード制御手段とを備え、
前記パワータービン制御弁機構の第1の操作量、前記パワータービン制御弁機構の第2の操作量、および前記パワータービン制御弁機構の第3の操作量を加算して前記パワータービン制御弁機構の操作量として設定することを特徴とする。
【0022】
第5の発明は、エンジンの排ガスを用いて駆動するパワータービンと、
エンジンの排ガスエコノマイザーで生成された蒸気を用いて駆動する蒸気タービンと、
前記パワータービンの駆動と前記蒸気タービンの駆動とにより電力を生成する発電機と、
前記蒸気タービンの前段に配設され蒸気タービンの出力を制御する1または複数の制御弁機構からなる蒸気タービン制御弁機構と、
前記蒸気タービン制御弁機構の操作量を制御する蒸気タービン制御手段と、を備えた排熱回収システムにおいて、
前記蒸気タービン制御手段は、エンジン負荷から算出される蒸気タービン出力目標値と実際の蒸気タービン出力との偏差に基づいてPID制御器で蒸気タービン制御弁機構の第1の操作量を算出する蒸気タービンフィードバック制御手段と、
蒸気タービンの目標回転数との回転数偏差を基に前記蒸気タービンフィードバック制御手段の出力信号を前記蒸気タービン制御弁機構の第2の操作量へ換算する開度換算器と、
前記エンジン負荷と前記蒸気タービン出力目標値と前記蒸気タービン制御弁機構の操作量との関係が予め設定された蒸気タービン開度指令マップから、前記蒸気タービン制御弁機構の第3の操作量を算出する蒸気タービンフィードフォワード制御手段とを備え、
前記蒸気タービン制御弁機構の第1の操作量、前記蒸気タービン制御弁機構の第2の操作量、および前記蒸気タービン制御弁機構の第3の操作量を加算して前記蒸気タービン制御弁機構の操作量として設定することを特徴とする。
【0023】
又第6の発明は、エンジンの排ガスを用いて駆動するパワータービンと、
前記パワータービンの駆動により電力を生成する発電機と、
前記該パワータービンの前段に配設され、前記排ガスの流量を調整してパワータービンの出力を制御する1または複数の制御弁機構からなるパワータービン制御弁機構と、
前記パワータービン制御弁機構の操作量を制御するパワータービン制御手段と、を備えた排熱回収システムにおいて、
前記パワータービン制御手段は、エンジン負荷から算出されるパワータービン出力目標値と実際のパワータービン出力との偏差に基づいてPID制御器でパワータービン制御弁機構の第1の操作量を算出するパワータービンフィードバック制御手段と、
パワータービンの目標回転数との回転数偏差を基に前記パワータービンフィードバック制御手段の出力信号を前記パワータービン制御弁機構の第2の操作量へ換算する開度換算器と、
前記エンジン負荷と前記パワータービン出力目標値と前記パワータービン制御弁機構の操作量との関係が予め設定されたパワータービン開度指令マップから、前記パワータービン制御弁機構の第3の操作量を算出するパワータービンフィードフォワード制御手段とを備え、
前記パワータービン制御弁機構の第1の操作量、前記パワータービン制御弁機構の第2の操作量、および前記パワータービン制御弁機構の第3の操作量を加算して前記パワータービン制御弁機構の操作量として設定することを特徴とする。
【0024】
又第7の発明は、エンジンの排ガスエコノマイザーで生成された蒸気を用いて駆動する蒸気タービンと、
前記蒸気タービンの駆動により電力を生成する発電機と、
前記蒸気タービンの前段に配設され蒸気タービンの出力を制御する1または複数の制御弁機構からなる蒸気タービン制御弁機構と、
前記蒸気タービン制御弁機構の操作量を制御する蒸気タービン制御手段と、を備えた排熱回収システムにおいて、
前記蒸気タービン制御手段は、エンジン負荷から算出される蒸気タービン出力目標値と実際の蒸気タービン出力との偏差に基づいてPID制御器で蒸気タービン制御弁機構の第1の操作量を算出する蒸気タービンフィードバック制御手段と、
蒸気タービンの目標回転数との回転数偏差を基に前記蒸気タービンフィードバック制御手段の出力信号を前記蒸気タービン制御弁機構の第2の操作量へ換算する開度換算器と、
前記エンジン負荷と前記蒸気タービン出力目標値と前記蒸気タービン制御弁機構の操作量との関係が予め設定された蒸気タービン開度指令マップから、前記蒸気タービン制御弁機構の第3の操作量を算出する蒸気タービンフィードフォワード制御手段とを備え、
前記蒸気タービン制御弁機構の第1の操作量、前記蒸気タービン制御弁機構の第2の操作量、および前記蒸気タービン制御弁機構の第3の操作量を加算して前記蒸気タービン制御弁機構の操作量として設定することを特徴とする。
【0025】
そして特に本発明は、エンジンの排ガスを用いて駆動するパワータービンと、エンジンの排ガスエコノマイザーで発生した蒸気を用いて駆動する蒸気タービンとを備えるとともに、
前記パワータービンと前記蒸気タービンとによって発電機を駆動し、前記該パワータービンの前段に配設され前記排ガスの流量を調整してパワータービンの出力を制御する1または複数の制御弁からなる第1制御弁機構と、
前記蒸気タービンの前段に配設され蒸気タービンの出力を制御する1または複数の制御弁からなる第2制御弁機構とを備え、
前記第1制御弁機構の操作量を制御するパワータービン制御手段と前記第2制御弁機構の操作量を制御する蒸気タービン制御手段とを有する排熱回収システムの制御装置において、
前記パワータービン制御手段は、エンジン負荷から算出されるパワータービン出力目標値と実際のパワータービン出力との偏差を基にPID制御器で前記第1制御弁機構の操作量を算出するパワータービンフィードバック制御手段と、
パワータービンの目標回転数と実回転数との回転数偏差を基に他のフィードバック制御手段の出力信号から前記第1制御弁機構の操作量を算出する開度換算器と、
前記エンジン負荷と該エンジン負荷から算出されるパワータービン出力目標値と前記第1制御弁機構の操作量との関係が予め設定されたパワータービン開度指令マップから、前記第1制御弁機構の操作量を抽出するパワータービンフィードフォワード制御手段とを備え、
前記パワータービンフィードフォワード制御手段からの操作量と、開度換算器からの操作量と、前記パワータービンフィードバック制御手段からの操作量とを加算して前記第1制御弁機構の操作量として設定することを特徴とする。
【0026】
かかる発明によれば、前記エンジン負荷と該エンジン負荷から算出されるパワータービン出力目標値と前記第1制御弁機構の操作量との関係が予め設定されたパワータービン開度指令マップを予め作成し、前記エンジン負荷からパワータービン出力目標値が得られる第1制御弁機構の開度操作量を前記開度指令マップから抽出して操作量を求めるフィードフォワード制御手段を備え、前記フィードフォワード制御手段からの操作量と、前記フィードバック制御手段からの操作量とを加算して前記第1制御弁機構の操作量を設定することにより、パワータービンの出力制御の応答性が改善され、電力周波数変動も低減可能となる。
よって、船内負荷が急減してもパワータービンの出力制御の応答性を向上させることができる。
【0027】
また、本発明において、前記第1制御弁機構の操作量は、前記パワータービンへの流入量を制御する流入制御弁の開度であってもよく、または、前記第1制御弁機構の操作量が、前記パワータービンのバイパス量を制御するバイパス制御弁の開度であってもよい。
前記流入制御弁の開度制御の場合には、パワータービンへの流入量を直接的に制御できるため、効率よくパワータービンの出力制御を行うことができるとともに、流入を完全に遮断することができるため、船内電力の激減時のパワータービンの発電出力低下を直ちに行うことができる。
また、バイパス制御弁の場合には、パワータービンへの流入量を、パワータービンをバイパスする量を制御することで間接的に制御できるため、パワータービンの出力を細やかに制御できる。
【0028】
従って前記発明によれば、パワータービンと同様に、フィードフォワード制御手段からの操作量と、フィードバック制御手段からの操作量とを加算して第2制御弁機構の操作量を設定することにより、蒸気タービンの出力制御の応答性が改善され、電力周波数変動も低減可能となる。よって、船内負荷が急減しても蒸気タービンの出力制御の応答性を向上させることができる。
【0029】
また、蒸気タービンの出力制御において、前記第2制御弁機構の操作量が、前記蒸気タービンへの流入量を制御する流入制御弁の開度であってもよく、または、前記第2制御弁機構の操作量が、前記蒸気タービンのバイパス量を制御するバイパス制御弁の開度であってもよい。
この流入制御弁の制御、バイパス制御弁の制御については、前記パワータービンの場合と同様に、流入制御弁の開度制御の場合には、蒸気タービンへの流入量を直接的に制御できるため、効率よく蒸気タービンの出力制御を行うことができるとともに、流入を完全に遮断することができるため、船内電力の激減時の蒸気タービンの発電出力低下を直ちに行うことができる。
また、バイパス制御弁の場合には、蒸気タービンへの流入量を、蒸気タービンをバイパスする量を制御することで間接的に制御できるため、蒸気タービンの出力を細やかに制御できる。
【0030】
さらに、本発明において、前記パワータービン出力目標値を、前記蒸気タービン負荷の変化に対応させて補正するパワータービン出力目標値補正手段を有し、該補正手段による補正後の補正パワータービン出力目標値に基づいて、前記パワータービンフィードバック制御手段および前記パワータービンフィードフォワード制御手段の制御がなされることを特徴とする。
【0031】
これによって、パワータービンおよび蒸気タービンをそれぞれ独立に制御するのではなく、連携された制御とすることができる。
すなわち、蒸気系の応答は遅いため、蒸気タービンをマスタ(主)、パワータービンをスレーブ(副)として動作させて、操作量を設定する。
具体的には、蒸気タービン負荷を監視して、蒸気タービン負荷の変化に対応させてパワータービン出力目標値を補正するパワータービン出力目標値補正手段を有する。
船内電力需要が激減した場合には、蒸気タービンおよびパワータービンのそれぞれの出力(負荷)を低下させるが、蒸気系の応答は遅いため、パワータービンの出力低下に遅れて蒸気タービンの出力低下が生じる。このときに、船内電力は最低必要電力を確保する必要があるため、パワータービンの出力目標値を、蒸気タービンの出力(負荷)状態、つまり蒸気タービンの出力低下状態に応じて上昇させるようにする。
このように、蒸気タービンの負荷状態を監視しながらパワータービンの出力目標値を補正するので、急激な船内電力負荷の低下に対してパワータービンの出力制御の方に偏よらずにパワータービンおよび蒸気タービンを連携した制御とすることができる。
【0032】
また、前記前記パワータービン出力目標値補正手段は、蒸気タービン負荷とエンジン負荷と補正パワータービン出力目標値との関係があらかじめ設定された補正パワータービン開度指令マップを基に、エンジン負荷と蒸気タービン負荷から補正パワータービン出力目標値を算出するとよく、このように補正パワータービン開度指令マップを用いることで補正パワータービン出力目標値を簡単に得ることができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、急激な船内負荷の変化に対してパワータービン及び蒸気タービンの出力制御の応答性を向上させることができる発電方法及び排熱回収システムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る排熱回収システムの構成および制御装置の概要を示す全体構成図である。
【図2】実施形態1に係る排熱回収システムで行われる制御ロジックを示すブロック図である。
【図3】実施形態1に係る制御ロジックについてのフローチャートである。
【図4】第1制御弁機構の制御弁Bの開度マップである。
【図5】実施形態2に係る排熱回収システムで行われる制御ロジックを示すブロック図である。
【図6】実施形態2に係る制御ロジックについてのフローチャートである。
【図7】従来の排熱回収システムで行われる制御ロジックを示すブロック図である。
【図8】図7に係る制御ロジックについてのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【実施形態1】
【0036】
まず、図1を用いて本発明に係る排熱回収システムの構成について説明する。図1で示す排熱回収システムは、船を推進させるエンジン22と、該エンジン22の出力によって回転するプロペラ30と、エンジン22に供給する空気を圧縮する過給機21と、過給機21からの空気を冷却する冷却器31と、パワータービン(ガスタービン)23と、蒸気タービン26と、発電機28とで構成される。
パワータービン23と、蒸気タービン26と、発電機28とは、大きさ及び歯数が異なる互いに噛合する歯車を備える減速機24、27によって接続される。また、パワータービン23、蒸気タービン26、発電機28間の回転軸がクラッチ25を介して接続され、回転動力が伝達されたり遮断されたりする。
【0037】
また、排ガスエコノマイザー150を備えており、エンジン22から排出される排ガスを過給機21、若しくは過給機21とパワータービン23を介して排ガスエコノマイザーへ供給し、該排ガスエコノマイザーで発生した蒸気を蒸気タービン26に導いて蒸気タービン26を駆動させ、パワータービン23の動力と一緒にあわせて発電機28を回す。
蒸気タービン26の後段に設けられる復水器29で蒸気は水に戻され、この水を冷却器31の熱やエンジン22の壁を冷却する熱で温めた後、排ガスエコノマイザーへ供給して蒸発させ蒸気を生成する。
【0038】
前記パワータービン23による発電は第1制御弁機構を構成する制御弁(バルブ)A、B、Cで制御され、蒸気タービン26による発電は第2制御弁機構を構成する制御弁(バルブ)D、E、Fで制御されるが、以下に述べる実施形態1では第1制御弁機構においては制御弁A、Cを全開または一定開度状態において制御弁Bの開度指令について説明し、さらに、第2制御弁機構においては制御弁D、Fを全開または一定開度状態において制御弁Eの開度指令について説明する。
【0039】
排熱回収システムの制御装置100は、制御弁(バルブ)A、B、Cからなる第1制御弁機構の操作量を制御するパワータービン制御手段101と、制御弁(バルブ)D、E、Fからなる第2制御弁機構の操作量を制御する蒸気タービン制御手段102とを有する。
【0040】
さらに、パワータービン制御手段101は、エンジン負荷から算出されるパワータービン出力目標値と実際のパワータービン出力との偏差をPID制御器によって演算して第1制御弁機構の操作量を算出するパワータービンフィードバック制御手段104と、エンジン負荷と該エンジン負荷から算出されるパワータービン出力目標値と前記第1制御弁機構の操作量との関係が予め設定されたパワータービン開度指令マップ105から、第1制御弁機構の操作量を抽出するパワータービンフィードフォワード制御手段106とを備えている。
【0041】
また、蒸気タービン制御手段102は、エンジン負荷から算出される蒸気タービン出力目標値と実際の蒸気タービン出力との偏差をPID制御器によって演算して前記第2制御弁機構の操作量を算出する蒸気タービンフィードバック制御手段108と、
前記エンジン負荷と該エンジン負荷から算出される蒸気タービン出力目標値と前記第2制御弁機構の操作量との関係が予め設定された蒸気タービン開度指令マップ109から、第2制御弁機構の操作量を抽出する蒸気タービンフィードフォワード制御手段110とを備えている。
【0042】
実施形態1に係る排熱回収システムの制御装置100で行われる制御ロジックについて、図2、3を用いて説明する。図2は実施形態1に係る排熱回収システムで行われる制御ロジックを示すブロック図、図3は実施形態1に係る制御ロジックについてのフローチャートである。なお、図2、3は、パワータービン26による発電を制御する第1制御弁機構の制御弁Bについて述べる。
図2の制御ロジックでは、ステップS1で開始されると、ステップS2でエンジン負荷毎に所望のパワータービン出力が得られる制御弁Bの開度マップを数値計算若しくは実測して用意する。図4は制御弁Bの制御弁開度マップ(パワータービン開度指令マップ)105を示す。
【0043】
制御弁開度マップは、エンジン負荷と該エンジン負荷から算出されるパワータービン出力目標値で決定される。エンジン負荷に応じてパワータービンの目標出力が決まっており、その出力に対して制御弁Bの開度を調整することができるマップである。図4ではエンジン負荷50%、60%、100%の場合の制御弁開度マップを示している。なお、エンジン負荷50%以下になると、エンジンの排ガスエネルギー全体の量が下がってくる。
ステップS3では、発電出力指令計算器2(図2参照)によりエンジン負荷からパワータービン出力目標値を算出する。ステップS4でパワータービン実出力値を計測し、ステップS5でパワータービン出力目標値とパワータービン実出力値との偏差が減算器3(図2参照)によって計算され、ステップS6では制御偏差を基にPID制御器4(図2参照)でPID制御演算を行い、操作量Oを導出する。
【0044】
ステップS7で、パワータービンの目標回転数と実回転数との回転数偏差を基に図示しない他のフィードバック制御の出力信号を開度換算器1(図2参照)で操作量Oへ換算し、ステップS8では、ステップ1で用意した制御弁Bの制御弁開度マップ105を用いて、開度計算器5(図2参照)でパワータービン出力目標値が得られる制御弁Bの開度操作量をマップから抽出し、操作量Oを求める。ステップS9で操作量Oと操作量Oと操作量Oとの和が加算器6、7(図2参照)によって算出され制御弁Bの開度を設定し、再びステップS2の前段に戻り繰り返す。このように、エンジン負荷とパワータービン出力目標値と制御弁の開度との関係を表した制御弁開度マップを作成し、上述したフィードフォワード制御により開度指令を生成する。
【0045】
従って、パワータービン23の制御弁Bの開度がフィードバック制御により算出される操作量OとOとに対して、さらにフィードフォワード制御によって算出される操作量Oとを足し合わせた操作量として開度指令値が設定される。従って、フィードフォワード制御によって算出される操作量Oの加算によってパワータービンの出力制御の応答性が改善され、電力周波数変動も低減可能となる。
【0046】
なお、蒸気タービン制御の場合は、蒸気タービン制御手段102において、前記パワータービン制御手段101における制御と同様の制御が実行される。
すなわち、図3のフローチャートを次のように読み替える、ステップS1で開始されると、ステップS2でエンジン負荷毎に所望の蒸気タービン出力が得られる制御弁Eの開度マップを数値計算若しくは実測して用意する。図4に示す制御弁Bの制御弁開度マップ105に相当する制御弁Eの制御弁開度マップ(蒸気タービン開度指令マップ)109を用意する。
【0047】
ステップS3においては、パワータービン出力目標値を蒸気タービン出力目標値とし、ステップS4においては、蒸気タービン実出力値を計測し、ステップS5においては、蒸気タービン出力目標値から蒸気タービン実出力値を減算(出力偏差の計算)し、さらに、ステップS6においては、PID制御演算をして操作量O'を導出し、ステップS7においては、蒸気タービンの目標回転数と実回転数との回転数偏差を基に図示しないフィードバック制御の出力信号を開度換算器1で操作量O'へ換算し、ステップS8においては、ステップ1で用意した制御弁Eの制御弁開度マップ109を用いて、蒸気タービン出力目標値が得られる制御弁Eの開度操作量を抽出し、操作量O'を求める。ステップS9で操作量O'と操作量O'と操作量O'との和が算出され制御弁Eの開度として設定される。
【0048】
このように蒸気タービン26に対しても、蒸気タービンの26の制御弁Eの開度がフィードバック制御により算出される操作量O'とO'とに対して、さらにフィードフォワード制御によって算出される操作量O'とを足し合わせた操作量として開度指令値が設定される。従って、フィードフォワード制御によって算出される操作量O'の加算によって蒸気タービンの出力制御の応答性が改善され、電力周波数変動も低減可能となる。
【0049】
また、本実施形態において、制御弁Bはパワータービン23への流入量を直接制御する位置に設けられる流入制御弁として設けられ、制御弁Eは蒸気タービン26への流入量を直接制御する位置に設けられる流入制御弁として設けられるため、効率よくパワータービン23および蒸気タービン26の出力制御を行うことができるとともに、流入を完全に遮断することができるため、船内電力の激減時のパワータービン23および蒸気タービン26の発電出力の低下を直ちに行うことができる。
【0050】
なお、本実施形態では、制御弁B、Eについて説明したが、パワータービン23をバイパスするバイパス量を制御する制御弁C(バイパス制御弁)、および蒸気タービン26をバイパスするバイパス量を制御する制御弁F(バイパス制御弁)の開度を制御してもよい。この場合には、パワータービン23や蒸気タービン26の出力を細やかに制御できる。
【0051】
なお、本実施形態においては、制御弁Bの制御弁開度マップを用いた例を説明したが、マップではなく計算モデルを用いて逐次計算してもよい。
【実施形態2】
【0052】
実施形態2に係る排熱回収システムの制御装置で行われる制御ロジックについて、図5、6を用いて説明する。図5は実施形態2に係る排熱回収システムの制御装置で行われる制御ロジックを示すブロック図、図6は実施形態2に係る制御ロジックについてのフローチャートである。なお、図5、6は、パワータービンによる発電を制御する制御弁Bについて述べる。
【0053】
本実施形態では、パワータービンと蒸気タービンとを独立に制御させるのではなく、連携させた制御アルゴリズムを構築する。一般的に蒸気系の応答は遅いため、蒸気タービン制御をマスタ、パワータービンをスレーブとして動作させ、パワータービンの指令を作成する。
【0054】
具体的には図5の制御ロジックでは、ステップS11で開始されると、ステップS12でエンジン負荷毎に所望のパワータービン出力が得られる制御弁Bの開度マップを数値計算若しくは実測して用意する。なお、制御弁Bの制御弁開度マップは、実施形態1で述べた図4と同じであるが、本実施形態は実施形態1に比べてパワータービン出力目標値の算出が異なる。
【0055】
すなわち、次のステップS13で発電出力指令計算器12(図5参照)によりエンジン負荷と蒸気タービン負荷からパワータービン出力目標値を算出する。実施形態1では、エンジン負荷だけからパワータービン出力目標値を算出していたが、本実施形態においては、蒸気タービンの負荷の変化に対応させてパワータービン出力目標値に補正を加えている。具体的には、蒸気タービン負荷が減少して蒸気タービン出力が低下するに従って、パワータービン出力目標値を上昇させるようにする。
【0056】
パワータービン出力目標値に補正を加える補正手段(パワータービン出力目標値補正手段)120が設けられている。なお、この補正手段による補正は計算式を用いても、また、予め、蒸気タービン負荷とエンジン負荷と補正パワータービン出力目標値との関係を設定した補正マップ(補正パワータービン開度指令マップ)122を基に算出するようにしてもよい。補正マップを用いと、補正パワータービン出力目標値を簡単に得ることができるようになる。
【0057】
次に、ステップS14でパワータービン実出力値を計測し、ステップS15でパワータービン出力目標値とパワータービン実出力値との偏差が減算器13(図5参照)によって計算され、ステップS16では制御偏差を基にPID制御器14(図5参照)でPID制御演算を行い、操作量Oを導出する。
【0058】
ステップS17でパワータービンの目標回転数と実回転数との回転数偏差を基に図示しないフィードバック制御の出力信号を開度換算器11(図5参照)で操作量Oへ換算し、ステップS18では、ステップ11で用意した制御弁Bの制御弁開度マップを用いて、開度計算器15(図5参照)で補正パワータービン出力目標値が得られる制御弁Bの開度操作量をマップから抽出し、操作量Oを求める。ステップS9で操作量Oと操作量Oと操作量Oとの和が加算器16、17(図5参照)によって算出され制御弁Bの開度を設定し、ステップS12に戻り繰り返す。
【0059】
本実施形態では、蒸気タービンの負荷の変化に対応させてパワータービン出力目標値に補正を加えているので、すなわち、パワータービン側で蒸気タービン側の負荷を監視しながら制御弁開度をコントロールしているので、余剰電力の変動がパワータービンのほうにつられないように制御弁の開度指令を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明によれば、急激な船内負荷の変化に対してパワータービン及び蒸気タービンの出力制御の応答性を向上させることができるので、船舶用の排熱回収システム及びその発電方法への適用に際して有益である。
【符号の説明】
【0061】
22 船を推進させるエンジン
23 パワータービン(ガスタービン)
26 蒸気タービン
28 発電機
29 復水器
31 冷却器
A、B、C 第1制御弁機構を構成する制御弁(バルブ)
D、E、F 第2制御弁機構を構成する制御弁(バルブ)
100 排熱回収システムの制御装置
101 パワータービン制御手段
102 蒸気タービン制御手段
104 パワータービンフィードバック制御手段
105 パワータービン開度指令マップ
106 パワータービンフィードフォワード制御手段
108 蒸気タービンフィードバック制御手段
109 蒸気タービン開度指令マップ
110 蒸気タービンフィードフォワード制御手段
150 排ガスエコノマイザー



【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンを駆動して排ガスを排出する工程と、
前記排ガスを用いてパワータービンを駆動する工程と、
前記排ガスを排ガスエコノマイザーに導入して蒸気を発生する工程と、
前記蒸気で蒸気タービンを駆動する工程と、
前記パワータービンの駆動と前記蒸気タービンの駆動により発電を行う工程と、を備えた発電方法において、
エンジン負荷からパワータービン出力目標値を算出し、次に前記パワータービン出力目標値と実際のパワータービン出力との偏差を算出し、その次に前記算出された偏差を基にPID制御演算を行うことで、パワータービン制御弁機構の第1の操作量を算出する工程と、
パワータービンの目標回転数との回転数偏差を基にパワータービン制御弁機構の第2の操作量を算出する工程と、
前記エンジン負荷と前記パワータービン出力目標値とパワータービン制御弁機構の操作量との関係が予め設定されたパワータービン開度指令マップから、パワータービン制御弁機構の第3の操作量を算出する工程と、
前記パワータービン制御弁機構の第1操作量、前記パワータービン制御弁機構の第2操作量、および前記パワータービン制御弁機構の前記第3操作量の和をパワータービン制御弁機構の操作量として設定し、パワータービンの駆動を制御する工程と、を備えたことを特徴とする発電方法。
【請求項2】
エンジンを駆動して排ガスを排出する工程と、
前記排ガスを用いてパワータービンを駆動する工程と、
前記排ガスを排ガスエコノマイザーに導入して蒸気を発生する工程と、
前記蒸気で蒸気タービンを駆動する工程と、
前記パワータービンの駆動と前記蒸気タービンの駆動により発電を行う工程と、を備えた発電方法において、
エンジン負荷から蒸気タービン出力目標値を算出し、次に前記蒸気タービン出力目標値と実際の蒸気タービン出力との偏差を算出し、その次に前記算出された偏差を基にPID制御演算を行うことで、蒸気タービン制御弁機構の第1の操作量を算出する工程と、
蒸気タービンの目標回転数との回転数偏差を基に蒸気タービン制御弁機構の第2の操作量を算出する工程と、
前記エンジン負荷と前記蒸気タービン出力目標値と蒸気タービン制御弁機構の操作量との関係が予め設定された蒸気タービン開度指令マップから、蒸気タービン制御弁機構の第3の操作量を算出する工程と、
前記蒸気タービン制御弁機構の第1操作量、前記蒸気タービン制御弁機構の第2操作量、および前記蒸気タービン制御弁機構の前記第3操作量の和を蒸気タービン制御弁機構の操作量として設定し、蒸気タービンの駆動を制御する工程と、を備えたことを特徴とする発電方法。
【請求項3】
エンジンを駆動して排ガスを排出する工程と、
前記排ガスを用いてパワータービンを駆動する工程と、
前記排ガスを排ガスエコノマイザーに導入して蒸気を発生する工程と、
前記蒸気で蒸気タービンを駆動する工程と、
前記パワータービンの駆動と前記蒸気タービンの駆動とにより発電を行う工程と、を備えた発電方法において、
エンジン負荷からパワータービン出力目標値を算出し、次に前記パワータービン出力目標値と実際のパワータービン出力との偏差を算出し、その次に前記算出された偏差を基にPID制御演算を行うことで、パワータービン制御弁機構の第1の操作量を算出する工程と、
パワータービンの目標回転数との回転数偏差を基にパワータービン制御弁機構の第2の操作量を算出する工程と、
前記エンジン負荷と前記パワータービン出力目標値とパワータービン制御弁機構の操作量との関係が予め設定されたパワータービン開度指令マップから、パワータービン制御弁機構の第3の操作量を算出する工程と、
前記パワータービン制御弁機構の第1操作量、前記パワータービン制御弁機構の第2操作量、および前記パワータービン制御弁機構の前記第3操作量の和をパワータービン制御弁機構の操作量として設定し、パワータービンの駆動を制御する工程と、
エンジン負荷から蒸気タービン出力目標値を算出し、次に前記蒸気タービン出力目標値と実際の蒸気タービン出力との偏差を算出し、その次に前記算出された偏差を基にPID制御演算を行うことで、蒸気タービン制御弁機構の第1の操作量を算出する工程と、
蒸気タービンの目標回転数との回転数偏差を基に蒸気タービン制御弁機構の第2の操作量を算出する工程と、
前記エンジン負荷と前記蒸気タービン出力目標値と蒸気タービン制御弁機構の操作量との関係が予め設定された蒸気タービン開度指令マップから、蒸気タービン制御弁機構の第3の操作量を算出する工程と、
前記蒸気タービン制御弁機構の第1操作量、前記蒸気タービン制御弁機構の第2操作量、および前記蒸気タービン制御弁機構の前記第3操作量の和を蒸気タービン制御弁機構の操作量として設定し、蒸気タービンの駆動を制御する工程と、を備えたことを特徴とする発電方法。
【請求項4】
さらに前記パワータービン出力目標値を、前記蒸気タービン負荷の変化に対応させて補正する工程と、
補正後の補正パワータービン出力目標値に基づいて、前記パワータービン制御弁機構の第1操作量および前記パワータービン制御弁機構の第3操作量を算出する工程と、を備えることを特徴とする請求項1または請求項3記載の発電方法。
【請求項5】
さらに蒸気タービン負荷とエンジン負荷と補正パワータービン出力目標値との関係が予め設定された補正パワータービン開度指令マップを基に、エンジン負荷と蒸気タービン負荷から補正パワータービン出力目標値を算出する工程と、を備えることを特徴とする請求項4記載の発電方法。
【請求項6】
エンジンの排ガスを用いて駆動するパワータービンと、
エンジンの排ガスエコノマイザーで生成された蒸気を用いて駆動する蒸気タービンと、
前記パワータービンの駆動と前記蒸気タービンの駆動とにより電力を生成する発電機と、
前記該パワータービンの前段に配設され、前記排ガスの流量を調整してパワータービンの出力を制御する1または複数の制御弁機構からなるパワータービン制御弁機構と、
前記蒸気タービンの前段に配設され蒸気タービンの出力を制御する1または複数の制御弁機構からなる蒸気タービン制御弁機構と、
前記パワータービン制御弁機構の操作量を制御するパワータービン制御手段と、
前記蒸気タービン制御弁機構の操作量を制御する蒸気タービン制御手段と、を備えた排熱回収システムにおいて、
前記パワータービン制御手段は、エンジン負荷から算出されるパワータービン出力目標値と実際のパワータービン出力との偏差に基づいてPID制御器でパワータービン制御弁機構の第1の操作量を算出するパワータービンフィードバック制御手段と、
パワータービンの目標回転数との回転数偏差を基に前記パワータービンフィードバック制御手段の出力信号を前記パワータービン制御弁機構の第2の操作量へ換算する開度換算器と、
前記エンジン負荷と前記パワータービン出力目標値と前記パワータービン制御弁機構の操作量との関係が予め設定されたパワータービン開度指令マップから、前記パワータービン制御弁機構の第3の操作量を算出するパワータービンフィードフォワード制御手段とを備え、
前記パワータービン制御弁機構の第1の操作量、前記パワータービン制御弁機構の第2の操作量、および前記パワータービン制御弁機構の第3の操作量を加算して前記パワータービン制御弁機構の操作量として設定することを特徴とする排熱回収システム。
【請求項7】
前記パワータービン制御弁機構の操作量が、前記パワータービンへの流入量を制御する流入制御弁の開度であることを特徴とする請求項6記載の排熱回収システム。
【請求項8】
前記パワータービン制御弁機構の操作量が、前記パワータービンのバイパス量を制御するバイパス制御弁の開度であることを特徴とする請求項6記載の排熱回収システム。
【請求項9】
エンジンの排ガスを用いて駆動するパワータービンと、
エンジンの排ガスエコノマイザーで生成された蒸気を用いて駆動する蒸気タービンと、
前記パワータービンの駆動と前記蒸気タービンの駆動とにより電力を生成する発電機と、
前記該パワータービンの前段に配設され、前記排ガスの流量を調整してパワータービンの出力を制御する1または複数の制御弁機構からなるパワータービン制御弁機構と、
前記蒸気タービンの前段に配設され蒸気タービンの出力を制御する1または複数の制御弁機構からなる蒸気タービン制御弁機構と、
前記パワータービン制御弁機構の操作量を制御するパワータービン制御手段と、
前記蒸気タービン制御弁機構の操作量を制御する蒸気タービン制御手段と、を備えた排熱回収システムにおいて、
前記蒸気タービン制御手段は、エンジン負荷から算出される蒸気タービン出力目標値と実際の蒸気タービン出力との偏差に基づいてPID制御器で蒸気タービン制御弁機構の第1の操作量を算出する蒸気タービンフィードバック制御手段と、
蒸気タービンの目標回転数との回転数偏差を基に前記蒸気タービンフィードバック制御手段の出力信号を前記蒸気タービン制御弁機構の第2の操作量へ換算する開度換算器と、
前記エンジン負荷と前記蒸気タービン出力目標値と前記蒸気タービン制御弁機構の操作量との関係が予め設定された蒸気タービン開度指令マップから、前記蒸気タービン制御弁機構の第3の操作量を算出する蒸気タービンフィードフォワード制御手段とを備え、
前記蒸気タービン制御弁機構の第1の操作量、前記蒸気タービン制御弁機構の第2の操作量、および前記蒸気タービン制御弁機構の第3の操作量を加算して前記蒸気タービン制御弁機構の操作量として設定することを特徴とする排熱回収システム。
【請求項10】
前記蒸気タービン制御弁機構の操作量が、前記蒸気タービンへの流入量を制御する流入制御弁の開度であることを特徴とする請求項9記載の排熱回収システム。
【請求項11】
前記蒸気タービン制御弁機構の操作量が、前記蒸気タービンのバイパス量を制御するバイパス制御弁の開度であることを特徴とする請求項9記載の排熱回収システム。
【請求項12】
エンジンの排ガスを用いて駆動するパワータービンと、
エンジンの排ガスエコノマイザーで生成された蒸気を用いて駆動する蒸気タービンと、
前記パワータービンの駆動と前記蒸気タービンの駆動とにより電力を生成する発電機と、
前記該パワータービンの前段に配設され、前記排ガスの流量を調整してパワータービンの出力を制御する1または複数の制御弁機構からなるパワータービン制御弁機構と、
前記蒸気タービンの前段に配設され蒸気タービンの出力を制御する1または複数の制御弁機構からなる蒸気タービン制御弁機構と、
前記パワータービン制御弁機構の操作量を制御するパワータービン制御手段と、
前記蒸気タービン制御弁機構の操作量を制御する蒸気タービン制御手段と、を備えた排熱回収システムにおいて、
前記パワータービン制御手段は、エンジン負荷から算出されるパワータービン出力目標値と実際のパワータービン出力との偏差に基づいてPID制御器でパワータービン制御弁機構の第1の操作量を算出するパワータービンフィードバック制御手段と、
パワータービンの目標回転数との回転数偏差を基に前記パワータービンフィードバック制御手段の出力信号を前記パワータービン制御弁機構の第2の操作量へ換算する開度換算器と、
前記エンジン負荷と前記パワータービン出力目標値と前記パワータービン制御弁機構の操作量との関係が予め設定されたパワータービン開度指令マップから、前記パワータービン制御弁機構の第3の操作量を算出するパワータービンフィードフォワード制御手段とを備え、
前記パワータービン制御弁機構の第1の操作量、前記パワータービン制御弁機構の第2の操作量、および前記パワータービン制御弁機構の第3の操作量を加算して前記パワータービン制御弁機構の操作量として設定するとともに、
前記蒸気タービン制御手段は、エンジン負荷から算出される蒸気タービン出力目標値と実際の蒸気タービン出力との偏差に基づいてPID制御器で蒸気タービン制御弁機構の第1の操作量を算出する蒸気タービンフィードバック制御手段と、
蒸気タービンの目標回転数との回転数偏差を基に前記蒸気タービンフィードバック制御手段の出力信号を前記蒸気タービン制御弁機構の第2の操作量へ換算する開度換算器と、
前記エンジン負荷と前記蒸気タービン出力目標値と前記蒸気タービン制御弁機構の操作量との関係が予め設定された蒸気タービン開度指令マップから、前記蒸気タービン制御弁機構の第3の操作量を算出する蒸気タービンフィードフォワード制御手段とを備え、
前記蒸気タービン制御弁機構の第1の操作量、前記蒸気タービン制御弁機構の第2の操作量、および前記蒸気タービン制御弁機構の第3の操作量を加算して前記蒸気タービン制御弁機構の操作量として設定することを特徴とする排熱回収システム。
【請求項13】
エンジンの排ガスを用いて駆動するパワータービンと、
エンジンの排ガスエコノマイザーで生成された蒸気を用いて駆動する蒸気タービンと、
前記パワータービンの駆動と前記蒸気タービンの駆動とにより電力を生成する発電機と、
前記該パワータービンの前段に配設され、前記排ガスの流量を調整してパワータービンの出力を制御する1または複数の制御弁機構からなるパワータービン制御弁機構と、
前記パワータービン制御弁機構の操作量を制御するパワータービン制御手段と、を備えた排熱回収システムにおいて、
前記パワータービン制御手段は、エンジン負荷から算出されるパワータービン出力目標値と実際のパワータービン出力との偏差に基づいてPID制御器でパワータービン制御弁機構の第1の操作量を算出するパワータービンフィードバック制御手段と、
パワータービンの目標回転数との回転数偏差を基に前記パワータービンフィードバック制御手段の出力信号を前記パワータービン制御弁機構の第2の操作量へ換算する開度換算器と、
前記エンジン負荷と前記パワータービン出力目標値と前記パワータービン制御弁機構の操作量との関係が予め設定されたパワータービン開度指令マップから、前記パワータービン制御弁機構の第3の操作量を算出するパワータービンフィードフォワード制御手段とを備え、
前記パワータービン制御弁機構の第1の操作量、前記パワータービン制御弁機構の第2の操作量、および前記パワータービン制御弁機構の第3の操作量を加算して前記パワータービン制御弁機構の操作量として設定することを特徴とする排熱回収システム。
【請求項14】
前記パワータービン制御弁機構の操作量が、前記パワータービンへの流入量を制御する流入制御弁の開度であることを特徴とする請求項13記載の排熱回収システム。
【請求項15】
前記パワータービン制御弁機構の操作量が、前記パワータービンのバイパス量を制御するバイパス制御弁の開度であることを特徴とする請求項13記載の排熱回収システム。
【請求項16】
エンジンの排ガスを用いて駆動するパワータービンと、
エンジンの排ガスエコノマイザーで生成された蒸気を用いて駆動する蒸気タービンと、
前記パワータービンの駆動と前記蒸気タービンの駆動とにより電力を生成する発電機と、
前記蒸気タービンの前段に配設され蒸気タービンの出力を制御する1または複数の制御弁機構からなる蒸気タービン制御弁機構と、
前記蒸気タービン制御弁機構の操作量を制御する蒸気タービン制御手段と、を備えた排熱回収システムにおいて、
前記蒸気タービン制御手段は、エンジン負荷から算出される蒸気タービン出力目標値と実際の蒸気タービン出力との偏差に基づいてPID制御器で蒸気タービン制御弁機構の第1の操作量を算出する蒸気タービンフィードバック制御手段と、
蒸気タービンの目標回転数との回転数偏差を基に前記蒸気タービンフィードバック制御手段の出力信号を前記蒸気タービン制御弁機構の第2の操作量へ換算する開度換算器と、
前記エンジン負荷と前記蒸気タービン出力目標値と前記蒸気タービン制御弁機構の操作量との関係が予め設定された蒸気タービン開度指令マップから、前記蒸気タービン制御弁機構の第3の操作量を算出する蒸気タービンフィードフォワード制御手段とを備え、
前記蒸気タービン制御弁機構の第1の操作量、前記蒸気タービン制御弁機構の第2の操作量、および前記蒸気タービン制御弁機構の第3の操作量を加算して前記蒸気タービン制御弁機構の操作量として設定することを特徴とする排熱回収システム。
【請求項17】
前記蒸気タービン制御弁機構の操作量が、前記蒸気タービンへの流入量を制御する流入制御弁の開度であることを特徴とする請求項16記載の排熱回収システム。
【請求項18】
前記蒸気タービン制御弁機構の操作量が、前記蒸気タービンのバイパス量を制御するバイパス制御弁の開度であることを特徴とする請求項16記載の排熱回収システム。
【請求項19】
前記パワータービン出力目標値を、前記蒸気タービン負荷の変化に対応させて補正するパワータービン出力目標値補正手段を有し、該補正手段による補正後の補正パワータービン出力目標値に基づいて、前記パワータービンフィードバック制御手段および前記パワータービンフィードフォワード制御手段の制御がなされることを特徴とする請求項6、請求項12または請求項13に記載の排熱回収システム。
【請求項20】
前記パワータービン出力目標値補正手段は、蒸気タービン負荷とエンジン負荷と補正パワータービン出力目標値との関係があらかじめ設定された補正パワータービン開度指令マップを基に、エンジン負荷と蒸気タービン負荷から補正パワータービン出力目標値を算出することを特徴とする請求項19記載の排熱回収システム。
【請求項21】
エンジンの排ガスを用いて駆動するパワータービンと、
前記パワータービンの駆動により電力を生成する発電機と、
前記該パワータービンの前段に配設され、前記排ガスの流量を調整してパワータービンの出力を制御する1または複数の制御弁機構からなるパワータービン制御弁機構と、
前記パワータービン制御弁機構の操作量を制御するパワータービン制御手段と、を備えた排熱回収システムにおいて、
前記パワータービン制御手段は、エンジン負荷から算出されるパワータービン出力目標値と実際のパワータービン出力との偏差に基づいてPID制御器でパワータービン制御弁機構の第1の操作量を算出するパワータービンフィードバック制御手段と、
パワータービンの目標回転数との回転数偏差を基に前記パワータービンフィードバック制御手段の出力信号を前記パワータービン制御弁機構の第2の操作量へ換算する開度換算器と、
前記エンジン負荷と前記パワータービン出力目標値と前記パワータービン制御弁機構の操作量との関係が予め設定されたパワータービン開度指令マップから、前記パワータービン制御弁機構の第3の操作量を算出するパワータービンフィードフォワード制御手段とを備え、
前記パワータービン制御弁機構の第1の操作量、前記パワータービン制御弁機構の第2の操作量、および前記パワータービン制御弁機構の第3の操作量を加算して前記パワータービン制御弁機構の操作量として設定することを特徴とする排熱回収システム。
【請求項22】
前記パワータービン制御弁機構の操作量が、前記パワータービンへの流入量を制御する流入制御弁の開度であることを特徴とする請求項21記載の排熱回収システム。
【請求項23】
前記パワータービン制御弁機構の操作量が、前記パワータービンのバイパス量を制御するバイパス制御弁の開度であることを特徴とする請求項21記載の排熱回収システム。
【請求項24】
エンジンの排ガスエコノマイザーで生成された蒸気を用いて駆動する蒸気タービンと、
前記蒸気タービンの駆動により電力を生成する発電機と、
前記蒸気タービンの前段に配設され蒸気タービンの出力を制御する1または複数の制御弁機構からなる蒸気タービン制御弁機構と、
前記蒸気タービン制御弁機構の操作量を制御する蒸気タービン制御手段と、を備えた排熱回収システムにおいて、
前記蒸気タービン制御手段は、エンジン負荷から算出される蒸気タービン出力目標値と実際の蒸気タービン出力との偏差に基づいてPID制御器で蒸気タービン制御弁機構の第1の操作量を算出する蒸気タービンフィードバック制御手段と、
蒸気タービンの目標回転数との回転数偏差を基に前記蒸気タービンフィードバック制御手段の出力信号を前記蒸気タービン制御弁機構の第2の操作量へ換算する開度換算器と、
前記エンジン負荷と前記蒸気タービン出力目標値と前記蒸気タービン制御弁機構の操作量との関係が予め設定された蒸気タービン開度指令マップから、前記蒸気タービン制御弁機構の第3の操作量を算出する蒸気タービンフィードフォワード制御手段とを備え、
前記蒸気タービン制御弁機構の第1の操作量、前記蒸気タービン制御弁機構の第2の操作量、および前記蒸気タービン制御弁機構の第3の操作量を加算して前記蒸気タービン制御弁機構の操作量として設定することを特徴とする排熱回収システム。
【請求項25】
前記蒸気タービン制御弁機構の操作量が、前記蒸気タービンへの流入量を制御する流入制御弁の開度であることを特徴とする請求項24記載の排熱回収システム。
【請求項26】
前記蒸気タービン制御弁機構の操作量が、前記蒸気タービンのバイパス量を制御するバイパス制御弁の開度であることを特徴とする請求項24記載の排熱回収システム。
【請求項27】
請求項6から請求項26に記載の排熱回収システムを有する船舶。
【請求項28】
請求項9から請求項11、または請求項13から請求項26に記載の排熱回収システムの制御装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−211589(P2012−211589A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−142358(P2012−142358)
【出願日】平成24年6月25日(2012.6.25)
【分割の表示】特願2010−544133(P2010−544133)の分割
【原出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】