説明

色素増感太陽電池用アルミニウム合金箔電極

【課題】色素増感太陽電池の対極に用いられるアルミニウム合金箔電極であってヨウ素イオンを含有した電解液に対する耐食性が改善され、フレキシブル化の要請にも応え得るアルミニウム合金箔電極を提供する。
【解決手段】Mn含有量が0.1〜1.8質量%であり、Fe含有量が0.01質量%以下であり、Si含有量が0.01質量%以下である、アルミニウム合金からなる色素増感太陽電池用アルミニウム合金箔電極。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色素増感太陽電池用アルミニウム合金箔電極に関する。
【背景技術】
【0002】
色素増感太陽電池の集電体としては、光が透過する必要性があり、ガラス又は光透過性に優れたプラスチックフィルム(PET,PEN)に透明導電性のITO(Indium Tin Oxide)や酸化錫のような酸化物が蒸着されたものが使用されている。他方、製造工程上での加工の容易性(耐熱性、成形性、安価)を考慮して、集電体の片方に金属材料が使用される事例が特にフレキシブル型のもので増えてきている。ここで使用される金属箔としてはアルミニウム箔やチタン箔が検討されているが、電解液に対する耐食性の問題よりチタン箔が使用されている。一方、アルミニウム箔は安価で導電性も優れることから、表面処理することにより耐食性を上げる検討が続けられている。
【特許文献1】特開2006−237283号公報
【特許文献2】特開2006−156214号公報
【特許文献3】特開2006−286231号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、色素増感太陽電池の対極に用いられるアルミニウム合金箔電極であってヨウ素イオンを含有した電解液に対する耐食性が改善され、フレキシブル化の要請にも応え得るアルミニウム合金箔電極を提供することを目的とする。また、当該アルミニウム合金箔電極を対極に用いた色素増感太陽電池を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、上記目的を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定のアルミニウム合金箔を採用する場合には上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
即ち、本発明は、下記のアルミニウム合金箔電極に関する。
1.Mn含有量が0.1〜1.8質量%であり、
Fe含有量が0.01質量%以下であり、
Si含有量が0.01質量%以下である、
アルミニウム合金からなる色素増感太陽電池用アルミニウム合金箔電極。
2.Cu含有量が0.01質量%以下であり、
Mg含有量が0.01質量%以下であり、
Ni含有量が0.01質量%以下である、
上記項1に記載の色素増感太陽電池用アルミニウム合金箔電極。
3.Cr含有量が0.01質量%以下であり、
Zr含有量が0.01質量%以下であり、
Ti含有量が0.01質量%以下である、
上記項1又は2に記載の色素増感太陽電池用アルミニウム合金箔電極。
4.Zn含有量が0.01質量%以下であり、
Ga含有量が0.01質量%以下である、
上記項1〜3のいずれかに記載の色素増感太陽電池用アルミニウム合金箔電極。
5.厚さが6〜200μmである、上記項1〜4のいずれかに記載の色素増感太陽電池用アルミニウム合金箔電極。
6.上記項1〜5のいずれかに記載のアルミニウム合金箔電極に導電性高分子層を積層してなる色素増感太陽電池用部材。
7.上記項1〜5のいずれかに記載のアルミニウム合金箔電極に色素増感材を担持した酸化物半導体多孔膜層を積層してなる色素増感太陽電池用部材。
8.1)透明性基板、2)透明導電層、3)色素増感材を担持した酸化物半導体多孔膜層、4)電解質層、5)導電性高分子層及び6)上記項1〜5のいずれかに記載のアルミニウム合金箔電極を積層してなる色素増感太陽電池。
9.A)上記項1〜5のいずれかに記載のアルミニウム合金箔電極、B)色素増感材を担持した酸化物半導体多孔膜層、C)電解質層、D)導電性高分子層、E)透明導電層及びF)透明性基板を積層してなる色素増感太陽電池。
【0006】

以下、本発明について詳細に説明する。
【0007】
アルミニウム合金箔電極
本発明のアルミニウム合金箔電極は、色素増感太陽電池の対極に用いられる。
【0008】
アルミニウム合金箔の組成は、
Mn含有量が0.1〜1.8質量%であり、
Fe含有量が0.01質量%以下であり、
Si含有量が0.01質量%以下であることを特徴とする。
【0009】
一般にアルミニウム高純度箔は、耐食性はあるが圧延性に劣り、強度が低い特性がある。また、一般にアルミニウム合金箔は腐食し易いが、強度は高い特性がある。これに対して、本発明で用いるアルミニウム合金箔は、上記特定組成であるが故に、ヨウ素イオンを含有する電解液に対する耐食性が優れていると共に、加工性及び強度が良好であるために太陽電池のフレキシブル化にも対応し易い。
【0010】
本発明で用いるアルミニウム合金箔のMn含有量は0.1〜1.8質量%であればよく、0.5〜1.0質量%がより好ましい。アルミニウム合金に含まれるMnは、アルミニウム合金箔の耐食性を低下させることなく機械強度を向上させることが可能な元素である。Mnの含有量が0.1質量%未満の場合には、十分な機械強度が得られないおそれがある。また、Mnの含有量が1.8質量%を超える場合には、機械強度が増大しすぎてアルミニウム合金箔の伸びと圧延加工性が低下するおそれがある。
【0011】
Fe含有量は0.01質量%以下であればよく、0.0001〜0.008質量%が好ましい。FeはMnと共にAl−Fe−Mn系の金属間化合物を形成する元素である。Al−Fe−Mn系の金属間化合物は、Al(Fe、Mn)等で表され、AlMn等のAl−Mn系の金属間化合物とは異なり、電解液等の酸性〜強酸性の環境ではアルミニウム合金の耐食性を極端に低下させ、孔食及び全面腐食の原因となる。Feの含有率が0.01質量%を超えると、Al−Fe−Mn系の金属化合物が多く形成され、耐食性が著しく低下する。Feの含有量の下限値は特に限定されないが、通常0.0001質量%程度である。Feの含有率を0.0001質量%未満としても、上述の耐食性向上の効果が飽和する一方、コスト高になるからである。好ましくは、Feの含有率は0.008質量%以下である。Feの含有率を0.01質量%以下とする方法としては、高品位の一次電解地金や偏析法、三層電解法による高純度アルミニウム地金を適宜使用すればよい。
【0012】
Si含有量は0.01質量%以下であればよく、0.0001〜0.008質量%が好ましい。Siは電解液等の酸性〜強酸性の環境ではアルミニウム合金の耐食性を大幅に低下させ、特に孔食の原因となる元素である。Siの含有率を0.0001質量%以上としたのは、Siの含有率を0.0001質量%未満としても、上述の耐孔食性向上の効果や、成形性及び強度の上昇の効果が飽和する一方、コスト高になるからであり、好ましくは、Siの含有率は0.008質量%以下である。
【0013】
Cu含有量は0.01質量%以下が好ましく、0.0001〜0.008質量%がより好ましい。Cuはアルミニウム合金の耐食性を低下させる元素である。Cuの含有率を0.0001質量%以上としたのは、Cuの含有率を0.0001質量%未満としても、耐孔食性向上の効果は飽和する一方、コスト高になるためである。より好ましくは、Cuの含有量は0.008質量%以下である。
【0014】
Mg含有量は0.01質量%以下が好ましく、0.00005〜0.008質量%がより好ましい。Mgはアルミニウム合金の耐食性を低下させる元素である。Mgの含有率を0.00005質量%以上としたのは、Mgの含有率を0.00005質量%未満としても、耐孔食性向上の効果は飽和する一方、コスト高になるためである。より好ましくは、Mgの含有量は0.008質量%以下である。
【0015】
Ni含有量は0.01質量%以下が好ましく、0.00005〜0.008質量%がより好ましい。Niはアルミニウム合金の耐食性を低下させる元素である。Niの含有率を0.00005質量%以上としたのは、Niの含有率を0.00005質量%未満としても、耐孔食性向上の効果は飽和する一方、コスト高になるためである。より好ましくは、Niの含有量は0.008質量%以下である。
【0016】
Crは、アルミニウム合金の機械強度を向上させる元素である。電解液等への耐腐食性に影響を及ぼさない含有量としては、0.01質量%以下が好ましく、0.0001〜0.008質量%がより好ましい。Crの含有率が0.0001質量%未満であると、アルミニウム合金の機械強度を向上させる効果が十分でない。
【0017】
Zrは、結晶粒の微細化に寄与し、アルミニウム合金の機械強度を向上させる元素である。電解液等への耐腐食性に影響を及ぼさない含有量としては、0.01質量%以下が好ましく、0.0001〜0.008質量%がより好ましい。Zrの含有率が0.0001質量%未満であると、アルミニウム合金の機械強度を向上させる効果が十分でない。
【0018】
Tiは、結晶粒の微細化に寄与し、アルミニウム合金の機械強度を向上させる元素である。電解液等への耐腐食性に影響を及ぼさない含有量としては、0.01質量%以下が好ましく、0.00005〜0.008質量%がより好ましい。Tiの含有率が0.00005質量%未満であると、アルミニウム合金の機械強度を向上させる効果が十分でない。
【0019】
その他の合金成分については限定的ではないが、Zn、Ga等が挙げられ、前述の特性や効果に影響を及ぼさない程度の含有量として0.01質量%以下が好ましく、0.00005〜0.008質量%がより好ましい。
【0020】
上記アルミニウム合金箔電極の厚さは限定されないが、太陽電池のフレキシブル化の要請に応える点では、6〜200μm程度が好ましく、30〜120μm程度がより好ましい。なお、厚さが6μm未満の場合には、アルミニウム合金の加工が困難となる上、強度が不十分になるおそれがある。他方、厚さが200μmを超える場合には、フレキシブル化の要請に十分に応えられないおそれがある。
【0021】
色素増感太陽電池
本願発明の色素増感太陽電池は、対極としてのアルミニウム合金箔電極として上記本発明のアルミニウム合金箔電極を用いる以外は、公知の構成を利用できる。色素増感太陽電池の構成としては、例えば、光入射側より1)透明性基板、2)透明導電層、3)色素増感材を担持した酸化物半導体多孔膜層(作用極)、4)電解質層、5)導電性高分子層及び6)アルミニウム合金箔層(対極)を積層した構成(図1参照)が挙げられる。
【0022】
以下、この層構成を例に挙げて各層を説明する。
≪透明性基板≫
透明性基板としては、光透過性の高いガラス板やプラスチックシートが挙げられる。プラスチックシートとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)等が挙げられる。このようなプラスチックフィルムを用いる場合には、太陽電池のフレキシブル化を図ることができる。
【0023】
透明性基板の厚さは限定されないが、12〜200μm程度が好ましく、75〜188μm程度がより好ましい。
≪透明導電層≫
透明導電層としては、例えば、スズ添加酸化インジウム(ITO)、酸化スズ(SnO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)等の透明な酸化物半導体を単独又は複数種類を複合化して用いることができる。しかしながら、特にこれらに限定されるものではなく、光透過率及び導電性の観点から使用目的に適合する材料を適宜使用できる。
【0024】
本発明では、酸化物半導体多孔質膜や電解質層からの集電効率を向上するために、透明導電層の光透過率を損なわない範囲の面積率で、金、銀、白金、アルミニウム、ニッケル、チタン等からなる金属配線層を併用してもよい。金属配線層を用いる場合、格子状、縞状、櫛状などのパターンとして、透明導電層に均一に光が透過するように配設するとよい。金属配線層は、透明導電層と酸化物半導体多孔質膜との間に設ける。
【0025】
透明導電層は、ITOなどの酸化物半導体から形成する場合、スパッタ法、CVD法、SPD法(スプレー熱分解堆積法)、蒸着法などの薄膜形成法で形成され、光透過性と導電性を考慮して、通常、0.05μm〜2.0μm程度の膜厚が好ましい。
≪色素増感材を担持した酸化物半導体多孔膜層:作用極≫
酸化物半導体多孔質膜は、二酸化チタン(TiO)、酸化スズ(SnO)、酸化タングステン(WO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニオブ(Nb)等の1種以上を複合させた平均粒径1〜1000nmの酸化物半導体微粒子を主成分とし、厚さが0.5〜50μm程度の多孔質の薄膜である。
【0026】
酸化物半導体多孔質膜の形成方法は、市販の酸化物半導体微粒子を所望の分散媒に分散させた分散液又はゾル−ゲル法により調製できるコロイド溶液を、必要に応じて所望の添加剤を添加した後、スクリーンプリント法、インクジェットプリント法、ロールコート法、ドクターブレード法、スピンコート法、スプレー塗布法により塗布するほか、コロイド溶液中に浸漬して電気泳動により酸化物半導体微粒子を付着させる泳動電着法、コロイド溶液や分散液に発泡剤を混合して塗布した後、焼結して多孔質化する方法、ポリマーマイクロビーズを混合して塗布後、このポリマーマイクロビーズを加熱処理や化学処理により除去して空隙を形成させ多孔質化される。
【0027】
酸化物半導体多孔質膜に担持される増感色素は、特に制限されるものではなく、例えば、ビピリジン構造、ターピリジン構造などを含む配位子を有するルテニウム錯体や鉄錯体、ポルフィリン系やフタロシアニン系の金属錯体をはじめ、エオシン、ローダミン、メロシアニン、クマリンなどの有機色素などから、用途や酸化物半導体多孔質膜の材料に応じて適宜選択して用いることができる。
≪電解質層≫
電解質組成物としては、一例としてイオン性液体である、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(これを「EMIm−TFSI」と略記する)に適量の1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−ヨウ化物(これを「EMIm−I」と略記する)、ヨウ素及びヨウ化リチウムと4−tert−ブチルピリジン適量を溶解させたものが挙げられる。
【0028】
電解質層を形成する方法は特に限定されないが、作用極又は対極に電解質を塗布すること等により電解質層を形成することができる。これにより、電解質組成物を作用極上にキャストしたときに、電解質組成物を酸化物半導体多孔質膜の空隙中に良好に浸透させて充填することができる。
≪導電性高分子層≫
導電性高分子層としては、導電性高分子として、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、ポリパラフェニレンビニレン(PPV)、ポリ3ヘキシルチオフェン(P3HT)などのポリアルキルチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンなどが用いられる。本発明では、これらの導電性高分子に平均粒径5nm〜500nmのアセチレンブラックやケッチェンブラック等のカーボンブラック、銀、白金粒子等が担持されていることがより好ましい。導電性高分子層の厚さは限定されないが、0.001〜1.0μm程度が好ましく、0.005〜0.5μm程度がより好ましい。
【0029】
導電性高分子層の厚さは限定されないが、0.001〜1.0μm程度が好ましく、0.005〜0.5μm程度がより好ましい。
【0030】
本発明では、対極であるアルミニウム合金箔としては前記アルミニウム合金箔を用いる。なお、図1に示される構成を変えて、図2に示されるようなアルミニウム合金箔上に、色素増感材を担持した酸化物半導体多孔膜層、電解質層、導電性高分子層、透明導電層及び透明性基板を積層した構成としても良い。
【0031】
このようにして作製された色素増感太陽電池の変換効率は2%前後と必ずしも高いとはいえないが、対極に上記アルミニウム合金箔を用いることにより連続的に加工でき大量生産が可能で材料コストが低い材料ができる。本発明で用いるアルミニウム合金箔は、電解液に対する高い耐食性を発揮し、所定厚みへの機械加工適性に優れており、フレキシブル型色素増感太陽電池の作製に有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下に実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
【0033】
実施例1〜4及び比較例1〜5
<耐食性試験>
対極用アルミニウム合金箔上に電解液グレード名IL1(EMIm−TFSI)を適量滴下し、アルミ製ラミネートパウチで密封したものを、85℃雰囲気中に100時間保持しアルミニウム合金箔の腐蝕程度を調べた。表1に結果を示す。
【0034】
アルミニウム純度が高いほど電解液に対する腐蝕性は向上するが、Mg、Fe、Siを含んでいる合金系は腐蝕進行が激しい。Mnも添加量によっては腐蝕が発生した。
【0035】
○=腐蝕痕無し、×=腐蝕痕有り
<機械加工性>
フレキシブル化を図るには対極用アルミニウム合金箔の薄箔化も必要である。薄すぎれば耐久性やハンドリング性に劣り、厚すぎればフレキシブルにはならない。アルミ純度が高いと電解液に対する耐食性は良好だが、機械強度が極めて弱くなり、所定の厚みまで圧延加工することが困難となる。電解液に対する耐食性を維持しながら所定の厚さに圧延加工するには合金化が必要である。機械加工性の結果も表1に示す。
【0036】
○=所定厚みへの圧延加工が可能、×=所定厚みへの圧延加工が不可
<エネルギー変換効率>
太陽電池の特性値として、非特許文献Electrochemistry,310,vol.74,No.4(2008)に従ってエネルギー変換効率を求めた。結果を表1に示す。
【0037】
具体的には、次の手順でエネルギー変換効率(η)を求めた。
【0038】
先ず、太陽電池の電流−電圧(I-V)特性を調べる。例えば、可変抵抗器とマルチメータを用いて、可変抵抗の抵抗値を連続的に変化させ、測定された電圧値に対して電流値をプロットすることによりI-V特性を調べる。I-V特性(I-Vカーブ)の一例を図3に示す。図3において、x軸は電圧、y軸は電流密度である。I-Vカーブにおいて、短絡電流値(Short circuit current; Isc)、開放電圧値(Open circuit voltage; Voc)、曲線因子(Fill factor; FF)を計算する。
【0039】
IscとVocは、それぞれy軸とx軸で交わる部分の値である。具体的には、y軸とx軸をまたぐ2点を直線近似して切片を求める。y軸をまたぐ点の組を(I1、V1)、(I2、V2)、x軸をまたぐ点の組を(I3、V3)、(I4、V4)とすると、次の式で計算される。
【0040】
Isc=(I1・V2−I2・V1)/(V2−V1) 但し、V1<0、V2≧0 (1)
Voc=(I3・V4−I4・V3)/(I3−I4) 但し、I4<0、I3≧0 (2)
曲線因子(FF)は、図3のI-VカーブのI×Vの関係から求められる最大電力(図3の点線の四角の面積;Pmax=Imax×Vmax)と、Isc×Vocの値の比となる。
【0041】
FF=Pmax/Isc・Voc (3)
また、エネルギー変換効率は、照射光のエネルギーと、太陽電池の最大出力との比となる。入射光エネルギーをPinとすると、次の式で表される。
【0042】
η(%)=(Pmax/Pin)×100 (4)
【0043】
【表1】

【0044】
表1中、比較例4(従来例)はJIS 1N99、比較例5(従来例)はJIS 3004相当品である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の色素増感太陽電池の層構成の一例を示す図である。
【図2】本発明の色素増感太陽電池の層構成の一例を示す図である。
【図3】色素増感太陽電池のI-Vカーブの一例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Mn含有量が0.1〜1.8質量%であり、
Fe含有量が0.01質量%以下であり、
Si含有量が0.01質量%以下である、
アルミニウム合金からなる色素増感太陽電池用アルミニウム合金箔電極。
【請求項2】
Cu含有量が0.01質量%以下であり、
Mg含有量が0.01質量%以下であり、
Ni含有量が0.01質量%以下である、
請求項1に記載の色素増感太陽電池用アルミニウム合金箔電極。
【請求項3】
Cr含有量が0.01質量%以下であり、
Zr含有量が0.01質量%以下であり、
Ti含有量が0.01質量%以下である、
請求項1又は2に記載の色素増感太陽電池用アルミニウム合金箔電極。
【請求項4】
Zn含有量が0.01質量%以下であり、
Ga含有量が0.01質量%以下である、
請求項1〜3のいずれかに記載の色素増感太陽電池用アルミニウム合金箔電極。
【請求項5】
厚さが6〜200μmである、請求項1〜4のいずれかに記載の色素増感太陽電池用アルミニウム合金箔電極。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のアルミニウム合金箔電極に導電性高分子層を積層してなる色素増感太陽電池用部材。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載のアルミニウム合金箔電極に色素増感材を担持した酸化物半導体多孔膜層を積層してなる色素増感太陽電池用部材。
【請求項8】
1)透明性基板、2)透明導電層、3)色素増感材を担持した酸化物半導体多孔膜層、4)電解質層、5)導電性高分子層及び6)請求項1〜5のいずれかに記載のアルミニウム合金箔電極を積層してなる色素増感太陽電池。
【請求項9】
A)請求項1〜5のいずれかに記載のアルミニウム合金箔電極、B)色素増感材を担持した酸化物半導体多孔膜層、C)電解質層、D)導電性高分子層、E)透明導電層及びF)透明性基板を積層してなる色素増感太陽電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−302018(P2009−302018A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−158371(P2008−158371)
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【出願人】(399054321)東洋アルミニウム株式会社 (179)
【Fターム(参考)】