色覚異常者にも適する指示標識灯
【課題】3色の発色を3灯で行う交通などの管制標識灯を、外形を丸型のまま、色弱者においても認識可能とし、なお1灯として小型軽量にして建設経費を節減し、また風水雪の害、地震の害の影響を小さくし、全ての人に交通などの管制指示を正確に伝え、誤認を防ぎ、交通の安全性を向上させる。
【解決手段】単色LEDの2色を使用し、1枚の基板の上に、各色のLEDの球を連続に並べ、この列を交互に並べて外形を丸形とし、その中に別の配線系列として別の点滅ができる、定めた形状の集合面を作り、これを灯の各色の点灯中に消灯或いは減光の点滅をして、形と点滅で色弱者にも指示標識灯としての指示を伝えることを行う。それぞれの色と形が同じ意味を持って点滅することを基本とする。1灯の丸形の中で、3色を表し、色の外に形と点滅を使って信号機等の指示標識灯とする。
【解決手段】単色LEDの2色を使用し、1枚の基板の上に、各色のLEDの球を連続に並べ、この列を交互に並べて外形を丸形とし、その中に別の配線系列として別の点滅ができる、定めた形状の集合面を作り、これを灯の各色の点灯中に消灯或いは減光の点滅をして、形と点滅で色弱者にも指示標識灯としての指示を伝えることを行う。それぞれの色と形が同じ意味を持って点滅することを基本とする。1灯の丸形の中で、3色を表し、色の外に形と点滅を使って信号機等の指示標識灯とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
近来、発光ダイオード(以下LEDという)を使用した人の行動を管制する指示標識灯が、道路の交通を管制する信号灯(以下信号灯という)として実用化されている。従来の着色レンズを前面につけた指示標識灯は、夕日などを受けて反射すると、その指示が何色なのか解らなくなり、時には偽の表示を行うことがあり、また電球の寿命が短いという問題もあって、最近はLEDに切り替えられはじめている。
【0002】
従来の信号灯の場合、通常は左から、緑色の進めの灯、黄色の注意の灯、赤色の止まれの灯、の三種類の色の灯が並べられて構成されているが、新しいLEDの信号灯も、この従来から普及している信号灯の構成を変えずに、信号灯の3カ所の発光部のみをLEDに交換して使用されている。
【0003】
LEDの信号灯には多くの球で構成するという特徴があり、またLEDは多色の発光も可能である。従って指示標識の三種類の発光を1灯で行って3灯分の指示を行うことが可能であるが、色覚異常者(以下色弱者という)への配慮も必要である。
【0004】
色弱者に限らず、人の色に対する識別の感度にはさまざまなレベルがあるが、色弱者と言われるレベル以上の人、即ち色覚正常者(以下正常者という)においては、赤色と黄色と緑色の3色を異なる色と知覚してその識別は鮮明なものである。しかし色弱者においては、特に緑色と赤色、或いは赤色と黄色とに対して色の違いを小さく感じるので、交通管制の指示を誤って理解する危険がある。
従って色弱者にとっては色のみによる指示では不十分なのである。
【0005】
しかし現状において、色弱者への配慮は、信号灯においては殆どなされておらず、信号灯の3色の灯の配置を左から緑色、黄色、赤色、と定めて、位置による指示を行うのみであり、また交通管制の目的以外の指示標識灯においてはその配置まで配慮されているかどうか疑わしい状況である。
【0006】
これに対して、色弱者は位置の外に色の見え方を明暗で判断することも行っているのである。しかし信号灯には明暗を指示に使う正確な機能を持たず、これを利用する色弱者は、常に危険にさらされてることになる。
身体機能で差別されない社会を目指す場合、点灯による指示標識灯において、色による指示の外にさらに配慮が必要である。
【0007】
一方、信号灯を考えると、外形が丸型であるという交通管制の法規に従って丸型が普及していて、人々は他の場合も含めてこの形に慣れ親しんでいる。色弱者のために、外形を変えて指示することを行うと、それが正常者にも違和感を与え、特に高齢者の混乱の元になり、思わぬ誤認識による危険を招くことも考えられる。
【0008】
本発明は、これらの条件の中で、一灯であり、なお丸型でありながら、指示標識灯において重要な、進め、注意、止まれの3種類の指示を、単色の2色のLEDを使用することで、色弱者を含めた全ての人に安定した指示を行い得る、正常者には違和感を与えず、なお色弱者には指示の伝わる、交通管制にも適した指示標識灯を提供する技術に関するものである。
【背景技術】
【0009】
発光を使った信号灯は多く、その一つである交通管制の信号灯においては、通常は左から緑色と黄色と赤色の三色の丸形の灯が並び、これが順に点灯して交通管制を行っている。緑色は進め、黄色は注意、赤は止まれ、を意味している。
【0010】
近来LEDの照明が発達してきた。LEDは半導体の中で電流が流れ、電流の移動の途中に電子と正孔がぶつかって結合したときにエネルギーが放出され、これが光のエネルギーに変換されて発光するという原理にもとずくため、発光に伴う発熱は小さく、光へのエネルギー転換効率に優れ、ケースの樹脂の劣化による減光を除いて発光部の寿命は長い。
【0011】
また発光の色は、それぞれの半導体に使用される材料の元素により、それぞれ特定の狭い波長域での発光をする。そのため発光する色が正確であり、また消灯時は無色であり夕日などの反射で偽の表示をする危険がないため、交通管制の信号灯などの色による指示標識に適する性質を備えている。
【0012】
この性質を備えているために実用化が進み普及が始まっている。もしも球が一つ異常になっても全球が消えることはなく、多数の球が埋まっている中の1球が発光しないだけであるので、万が一の誤の表示の危険が全くないことも信号灯としての信頼性に寄与している。
【0013】
しかし交通管制の信号灯においては、色のみの表示であるということが、色弱者に対して不便を強いている問題がある。色弱者は自ら選んでなったのではないにも拘わらず、自動車運転免許の取得は原則的に出来ない。このことは色で交通管制の指示を行うと決めている社会の中で犠牲を強いられていることになる。身体的な弱者への配慮が十分とは言えない結果となっている。
【0014】
法規によって色弱者は免許の取得が出来ないため、自動車の運転を行う色弱者は居ないはずである。それにより現状システムの中では交通管制の安全が保たれているが、道路の利用者には、自転車に乗り、或いは歩行する者もいる。ここには色弱者が存在するのであり、現状の交通管制においても色弱者への配慮は重要である。人々全体の中の3パーセントの人が色弱者であると言う調査データーもあり、これより考えても、この問題は大きいのである。
【0015】
このため三種類の色の灯の位置は決められていて、色弱者は点灯する灯の位置で表示の意味を理解している。通常は左から緑色と黄色と赤色の3色の丸形の灯が並ぶが、雪国では上下方向に上から赤色と黄色と緑色の3色の丸形の灯が並ぶ。
【0016】
このように位置が定められていることにより、位置により、或いは色を明暗として理解して、色弱者も信号灯の指示を理解出来るが、夜間の場合、あるいは遠目においては、信号灯からの指示を受け取ることには困難があり、色弱者への配慮が十分とは言えない状況であった。
【0017】
さらに、出来得れば、色弱者が安全に自動車の運転の出来得る交通管制の出来る信号灯の生まれることが望ましいのである。
【0018】
さらにまた設備の軽量化と小型化のために有効である、1灯で三種類の指示の出来る指示標識灯が望ましく、これに対する提案も従来よりあった。しかしこれは色弱者への配慮と矛盾するものだと考えられ実現していなかった。
【0019】
この1灯化への願いと、色弱者への指示機能の2つの問題に着眼して対策を考えた発明は多い、それは以下の如くであり、それぞれ優れた特徴を備えている。
【0020】
【特許文献1】特開平8−87696
【特許文献2】特開平10−63994
【特許文献3】特開2001−118192
【特許文献4】特開2002−260175
【特許文献5】特開平6−60294
【特許文献6】特開平8−138192
【特許文献7】特開平10−3596
【特許文献8】特開2001−283382
【特許文献9】特開2006−79390
【特許文献10】特開2006−18625
【0021】
交差点の信号灯の3灯をLEDを使用して1灯にして小型化すれば、軽量、コンパクト、寿命、強度、設備費等で有利であるという着眼は、既に特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、に見ることが出来る。しかし信号灯を1灯にする利点に着眼しているこれらの発明の中には色弱者への配慮は加えられていない。
【0022】
特許文献5も、交通信号を1灯にし、なお灯の部分を軽量にするために光源を離して信号灯の支柱の根元に置き、光ファイバーで信号灯に光を伝送するというものである、これも優れた発明であり信号灯を1灯にすることで軽量化をはかるという目的を持つが、色弱者への配慮には至っていない。
【0023】
特許文献6は色弱者が誤って理解しやすい、特定のスペクトルの使用を避け、その色から離れたスペクトルの2つの色の発光をして、その混色で正常者に対しては法規で定められた色として見えるようにするという考えから成り立っている、正常者には従来と同じ色に見えて、色弱者にも他の指示の色と異なる色に見えるという優れた一つの方法であるが、これは各種のレベルにある色弱者の全てに対して、どのように効果が有るのか判定が難しいという問題を持っている。
【0024】
特許文献7と特許文献8には外形を変えて色と形で色弱者にも識別出来る信号灯にすると言うものであるが、1灯にする方策の展開はない。
【0025】
特許文献9は外形を丸形、三角形、バツ形にし、色と形で交通管制の指示を出す優れたものであるが、1灯での交通管制指示を目標とはするものの、外形の形が変わるため、従来の丸形の信号灯による指示と他のルールとの間で混乱する可能性を避け得てはいない。
【0026】
特許文献10は赤色の灯において、LEDが丸く配列された中に、バツ形の形状を、輝度を下げ或いは色調を変えて入れようと言うものであるが、3灯方式を前提としており、また赤色のみを対象としていて他の色への方策がないため、赤色以外の判断が出来ず、色弱者にとって完全な指示とはならない。
【0027】
信号灯を改善する場合、当然のことながら全国の信号灯を同時に一斉に変えることはできない。順次従来品と交換して行くのであり、そのため新設の信号灯或いは他の指示標識灯が順次新しい方式になるその過程において、2種類の信号灯が混在する期間があることになる。色弱者への配慮と同時に、この混乱を避けることも重要なことである。外形の丸形を変えずに、色弱者への指示を行いたいという必要はここからも生まれるのである。
【0028】
またさらに、信号灯は丸形であることが国際的な法規であるという問題もある。人の社会にとって必要であるならば、国際的な法規も変えれば良いという考えもあるが、法規以上に、長年に作られた人の慣習は変えにくいという問題があり、出来れば誤った認識をする危険の全く無い変革を考えたいのである。この要求に対して研究して完成したのが本発明である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
LEDは半導体そのものが発光するという性質から、まれに1個の点灯が行われなくなることはあるが、フィラメントが切れて断線し通電しなくなるということは有りえない。しかしLEDチップを封入している樹脂等の全体の材料劣化は有り得る。この劣化により光の透過率が低下し、明るさの減衰が起こる。
【0030】
発光原理から考えても長寿命であるというLEDではあるが、樹脂の劣化、特に熱劣化による光の透過率の低下は避けられず、電流を増やして出力を上げた場合と、特に連続の点灯をした場合に劣化は早く発生する。
【0031】
LEDには単色のシングルチップ方式と、多色のマルチチップ方式があり、マルチチップ方式には、3色のLEDを内蔵したものと、2色のLEDを内蔵したものがある。マルチチップを使用すれば、LEDを必要な形に並べるだけで1灯で多色の指示標識を作ることができるのである。
【0032】
しかし2色のマルチチップの場合は、2色を同時点灯して第3の色を作る方式となり、この場合片方のチップの回路が切れた場合に誤発色が起きるという問題がある。
【0033】
さらに多色のマルチチップを使用した場合は、信号灯においては、緑色、黄色、赤色のいずれかが常に点灯しているものであるから、それが3色のLEDを内蔵したものであろうと、2色のLEDを内蔵したものであろうと、マルチチップのLEDの球の中では常時点灯が行われていることになる。即ち発光を休んでいる冷却時間がなく、LEDチップやチップを封入している樹脂等の熱劣化による光の透過率の低下が早いという問題があり、またこのために明るさを得るために電流を増やせないという問題がある。
【0034】
これらの問題から、本発明は単色のLEDを使用することを条件として、鋭意研究を進めたものであり、2種類の単色のLEDを使用して形を丸形として外形を変えずに、1灯であり、なおかつ色弱者への3つの認識手段を付加することが出来ないかという課題に対して、これの解決を行うことが出来たものである。
【課題を解決するための手段】
【0035】
本発明は2種類の色の単色のLEDを使用する。
即ち1つのLEDの点灯時間を連続ささずに、消灯による冷却時間を運用の間に持つことで、LEDチップやチップを封入している樹脂等の、熱劣化による光の透過率の低下を少なくすること、即ち寿命を長くすることを重視して、単色のLEDを使用することを条件にして研究を進めたものである。
【0036】
単色のLEDを均一の発光面とするために、単色の発光ダイオード2色を使用する。これを直線に並べ、この2色の列を交互に平行にして多列とし、各列の長さを変えて外周が丸形になる如くする。2色の列を列内の球と球の間隔の1/2ずらせて、間隔を密にすることも良い。
【0037】
外周が丸形の外側の面の内側に、灯の色の持つ意味と共通する意味を示す形の集合部を一群として作り、この外側と内側の各群を別配線系列とする。各色について、1色ごとに内側の配線系列と外側の配線系列を、個別に或いは同時に、点灯或いは減光させ、さらに光量を下げて2灯を同時に点灯させることを行い、色覚異常者にも適する指示標識灯の機能を生み出す。
【0038】
この全体のLEDの球の配置を図1及び図2に示す。図1は直線に並べた2色のLEDを交互に上下に並べた左右対称の場合であり。図2は球と球の間隔の1/2ずらせて列を並べたものである、球と球の間隔が広いときは図1の方法、間隔が狭い時は図2の方法を選ぶ。球と球の間隔が広く、列と列の間隔を狭くした場合の選択は自由である。
【0039】
ここにおいて符号1の黒い丸形と符号2の白い丸形は緑色のLEDの球を示し、符号3の黒い四角形と符号4の白い四角形は赤色のLEDの球を示す。黄色の発色は光量を下げた緑色と赤色の同時発光により行うもので、黄色の色調は混色する緑色と赤色の2色のLEDの明るさの選択で行う。
【0040】
ここで丸形と四角形は共に黒で示すLEDの球が、丸い外周の形となり、それに連なる外側の面をつくり、白で示すものが内側の意味を持った形を示す面を作るLEDの球であり、それぞれ異なる配線系列であることを示している。
【0041】
図2を使用し符号5の線で囲んだ部分を拡大して図3に、符号6で囲んだ部分を拡大して図4に示すが、ここにおいて2種の色のLEDの配置をさらに分かりやすく示した。LEDの球の色を示す符号は図2と共通である。
【0042】
LEDの球は直線に並ぶため、配線の一部は直線状の直列であるが、この符号5及び符号6の如き部分の配線は、配線が立体に交差する、しかしこの種の配線に関しては通常に行われることであるので、ここでは説明を省略する。
【0043】
各々2系列に配線された2種の色のLEDの球は、図1及び図2の如くに配置されており、この条件により各々の色のLEDの球は1列おきではあるが均一な分布と密度に配置される。この配置は丸い外周形状で人には近寄ると図17の如く見えるが、離れて見ると丸形に見えるのである。
LEDの小さい球を選ぶ場合は列と列の間隔を縮めて、同じ色のLEDの球の間隔を横と縦を同じにするか、近づけることも可能である。
【0044】
また大きく明るいLEDを使用し、列内の球の間隔を広げて、列の間隔を広げ、その球の間隔と同じ間隔に同じ色の列と列の間隔をすることも可能である。このようにすると、図18の如く1色の球が作る面の形状は上下方向と左右方向が同じとなる。この場合2色の列を上下に並べる場合と、列内の球と球の間隔の1/2列を横にずらす場合とがある。
【0045】
また列の間隔が広い場合、フレネルレンズ、あるいは乱反射する透明板又は半透明板を前に置いて、光の滲みを作り、この縞目状況を小さくすることもできる。
【0046】
一方この外側の配線系列に囲まれた内側の配線系列の、符号2の緑色のLEDの球、符号4の赤色のLEDの球はそれぞれを異なる形状に配置する。
【0047】
この均一に並んだ、外形が丸形に配置された一つの色のLEDの球の集合において、例えば符号1と符号2の緑色のLEDの球の如くは、入力の配線を2つの別系列にしてあり、その符号1の緑色のLEDの球と符号3の赤色のLEDの球は、共に丸形の外周を持ち、それに連なる面となっている。
【0048】
緑色のLEDの球の符号1と符号2、及び赤色のLEDの球の符号3と符号4においても各々2つの配線系列を持つが、全ての球は均一な密度のまま外部形状に境を持たずに隣り合っている。
【0049】
その状況を2色それぞれについて表したものは、緑色が図5、赤色が図6であり、2色共、外側のLEDの球の集合面の外周の形状は同じだが、内側のLEDの球の集合面の形状はそれぞれの色に意味のある形を組み込む。
【0050】
この内側の配線系列は、2種の色のそれぞれにおいて、色と同じ意味を伝える特徴のある形状とする。例えば図9の如き形状の中から自由に選びこれに近づける、その中から最も指示標識灯の管制の意味に適するものを選ぶ。
【0051】
図5は緑色の全点灯の場合を例示しているが、この内部の配線系列を消灯したときの形状を示したのが図7であり、赤色の場合をそれぞれ図6と図8に示した。
【0052】
このように、2つの配線系列に構成されてはいるものの、全体はLEDの球が均一に並んだ集合面であり、2種の色のいずれにおいても、この2つの配線系列を同時に点灯したときは、境のない丸形としての指示面が点灯する。さらに2色の2つの配線系列を光量を下げて同時に、即ち光量を下げたすべての点灯を行った時に黄色に見える点灯が行われる。
【0053】
図3と図4にこの2つの系列が隣接する状況を判り易くして示すが、この丸形と四角形の黒と白で示すLEDの球は、それぞれ4つの異なる配線系列でありながら隣接する場所のLEDの球の配列は外観からは認められない、他の部分と変わらないLEDの球の集合面である。
【0054】
ここにおいて、外周のみを点灯した場合に表したい形状を例示すると。図9の如くであり、これは指示標識灯が示したい意味に沿って色の持つ意味に合わせて選ぶものである。また外周の点灯の無い状況で、内部に表れる形状のみを短時間先に点灯することが有効な場合も有り得る。
【0055】
2系列の点灯の内容は、内側と外側の継続、内側と外側→外側のみ→内側と外側、内側と外側→内側のみ→内側と外側、内側のみ→内側と外側、外側のみ→内側と外側、内側のみ→外側のみ、などのいろいろの使用法があり、いずれも自由に行え、いずれも有効であるが、その指示標識灯として最も目的に適すると考える方法を選ぶのが望ましい。
【0056】
この消灯状況を回数少なく作っても、点滅で作っても良く、また消灯で作っても減光で作ってもよい。その一例を図10から図13に示す。ここに示すのは1つの交通標識の点灯状況であって、縦に並ぶGは緑色、Rは赤色を示し、ここより横に時間系列に乗ったLEDの点灯状況を示す。
【0057】
左から右への横軸は時間経過であり、黒い帯が点灯であり巾が明るさを示している。
横に並ぶ記号のGは緑色、Yは黄色、Rは赤色の発色の時間位置を示し、その下の黒い帯がその色の発光状況を示している。黒い帯が切れていることは消灯を意味し、巾の狭いことは減光を意味している。しかし巾が1/2であることは光量が1/2であることを意味してはいない。
【0058】
図14は点滅を行わず、内側の減光のみで、指示標識灯が示したい形状を常時出している例である。ここでは黄色の発光に適する減光を緑色と赤色に行う形に示しているが、黄色の発色と、減光は目的が異なり、この2つの光量は変えることを前提としているが、同一である場合も有り得る。
【0059】
ここで黄色の点灯の中に、内側の形状は現れないが、黄色の点灯時間が短いことと、装置の簡略化を考慮して、例示していないもので、緑色、赤色と同じ原理で形状を示すことも出来るし。黄色の中に赤の形状を示すことも、点滅操作で可能である。
【発明の効果】
【0060】
本発明は、2種類の単色のLEDの球を一つの指示面の中に各々均一に集合させ、この2色を、平行に並べ、なお各色において外形が丸形になる指示標識灯を構成するものである。さらにこの中に、それぞれの色において、内側に異なる形状になる如くLEDで構成された面を独立した配線系列として、点滅或いは減光できる如く構成するものである。
【0061】
このことにより、全く境のない単色の丸形の発光面を作ることがでると共に、その中に色と意味を同じくする形、或いは点滅の指示を発することが出来る、従来の習慣と変わらない丸い形状の交通信号であり、なお色弱者にも色以外の方法で指示を送ることができる。
【0062】
図15と図16から予想される如く、1灯にしてなおLEDにした場合の体積減、表面積減、重量減は目覚ましいものがある。図15の左の機構の符号12は反射板、符号13は白熱電球であり従来の信号灯はこの灯を3色分3台並べて使用していた。これに対して本発明による右の機構の場合は符号14のLED基板をつけた1台の指示標識灯のみで目的を達成出来る。
【0063】
道路における信号灯の如く、道路の上に張り出して設置しなければならない機器の場合、特にこの減量と減表面積の効果は大きい。設備の軽量化と体積減、表面積減がはかれて、図16の如く電柱などの建設の簡易化が出来るばかりでなく、強風豪雨による風水害、雪害、地震の害などにも強くて有効であり、地球温暖化に伴って頻発することが予想される異常気象に対しても、実効が発揮される。
【0064】
ネオンサインなど各種の色が道路に氾濫している中で、それが為に誤認識をすることを防ぐ上にも、大きさ、特定の形状、特定の点滅などを使うことで効果がある。
【0065】
また1灯であるということと、LEDの使用により重量減が出来る性能を活用して、図16にある如く指示標識灯の面積を大きくして、指示機能を高めることもできる。信号灯に活用した場合は指示機能を格段に向上することが出来るので、道路交通管制の機能を高め、交通事故の防止に役立つ。
【0066】
かくの如く、色弱者への配慮ばかりでなく、軽量化、災害への強化、正常者に対する認知機能の強化など多くの効果があるものであり、全ての人々の便利と安全に貢献することができるものである。
【0067】
また本発明は色弱者にも適することを対象に発明したものであるが、実施した結果によると、この内側配線部分の形状の点滅の効果は、色弱者に限らず、正常者に対しても有効であることが解った。即ち色弱者には有効で正常者には意識されないことを目的とする必要が必ずしも無いことも考えられる。
【0068】
指示標識灯の発光の中に、色と形と点滅が指示する意味として含まれることも好ましいことであり、消灯時間を短くするならば、全体の明るさにはほとんど影響の無い内容となる。この内容で指示標識灯を作ることも出来るのである。
【0069】
交通管制の指示内容に、さらに意味を持たせるために、信号標識灯の内側の配線系列の消灯サイクルを変える方法も考えられる、即ち交通信号の中で最も重要な指示が発生した場合、一つの信号灯の1サイクルの中で、内側の配線系列の点滅サイクルを変えたり、或いは外側の配線系列も異なるサイクルでの点滅を行ったり、或いは内側の点滅を行わず外側の配線系列の点滅を行い、交通管制指示を強める方法もある。
【0070】
以上のように本発明は、通常は丸形に見えていて、その外に色以外の形と点滅の指示が現れるものである。その内容は上記の各実施例として一例を示したごとくであり、2色の各色に2つの配線系列を持っており、主にその内側の点滅の方法に対して、各種の応用があるものである。その内容の選択は、管制の指示を利用する者の反応と好みと、管制を行う者の目的により共通のルールを定めて実施することが望ましいものである。
【0071】
以上のことにより、丸形でありながら、進め、注意、止まれ、の指示を、緑色、黄色、赤色の発色のみに頼らない指示標識灯を作ることが出来る。また交通管制においては、法規が定めた従来よりある丸形でありながら、指示のための点灯の短かい時間内に、横棒形、矢印形、丸形、三角形、四角形、バツ形などの形状を消灯、点灯或いは減光で示し、またさらには点滅にも意味を持たせて色弱者に対して交通管制の実を上げることが出来るものである。
【0072】
またさらに、正常者に対しては指示標識の色ばかりでなく、色と形、或いは色と形と点滅により、管制指示を強く伝えることも可能になる。
【0073】
即ち、色弱者には形或いは形と点滅で、指示標識の指示することを伝達することができるため、道路交通管制においては、自動車の運転者の如くに、遠目から高速で近づく場合には、丸形の色として早く指示を認知することが出来、信号に近く居る自転車に乗る人や歩行者にとっては、色以外の形と点滅による指示も受けることができるのである。
【0074】
試みに、眼科医の意見を聞いたところ、いずれの試みも評価してくれて、早期に実施する希望があった。正常者約50人に実際の体験を与えて意見を聞いたところ昼夜共に、交通管制が指示する意味の理解が良いと評価し、多くの人がこれの使用に賛同した。色弱者の解答は、100%の人が本発明の方を良しとした。
全ての信号灯がこれに換わった時には、色弱者にも自動車運転の可能性が開けるとの希望を持った人も居た。
【0075】
さらに細かく言えば、点滅、明暗、時間差、回数の手段を、さらに別の指示に活用する可能性も秘めているのである。
【0076】
本発明は、まず通常の交通管制の信号灯の問題を契機に生まれた、しかしこの技術は、交通管制における信号灯に限らず、工場の構内、遊園地の園内、家庭の門、さらには訓練したイルカや犬による交通教育デモにも使える可能性も秘めている、また機械の運転状況を示す指示標識灯にも使える等あらゆる分野に活用が可能であり、その側面より見ても利用価値の大きいものである。
【0077】
単色のLEDを指示標識の同一面に均質に配置して使用することにより、1灯で3種類の指示を出し、丸形の信号灯の中で色の外に形状、或いは形状と点滅を同時に示す指示標識は道路管制の信号灯に活用出来る。ここでは軽量化と表面積減少の特徴が生かされて設備の強化と経費節減がはかれる。また色弱者も含めた人に対する交通管制の指示の向上が得られる。
【0078】
またLEDの寿命は長く、さらに夕日による誤表示が無く、色弱者の活動への進出、道路管理の経費節減、事故の減少につながる。さらにまた現在使用の信号灯と時間をかけて順次切り変えていくことが可能で、無理なく交換して普及させていけるものであり、交通管制の指示標識灯はもちろん、広く産業上の利用に有効な特徴を有するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0079】
以下、本発明のいくつかの実施内容を図面を参照しながら説明し。本発明のさらなる理解に供する。
【実施例1】
【0080】
図15の右は本発明を適用した道路交通管制用の指示標識の一例を示す断面図である。ここで2色のLEDの球は交互に2列に並ぶ形に配置されていてプリント基板で製作することを前提としている。そのプリント基板は符号14である。
【0081】
その全てのLEDを製作した状況の配置を正面図の図2に示してある。ここでは赤色を四角形、緑色を丸形で表していて、他の図においてもこれの表現は共通である。2つの配線系列の外側は黒とし、内側の配線系列は白で表してある。
【0082】
このような配置にLEDを均一に固定して配線した。この試作品においては被覆コードをプリント基板に代えて使用して配線したが設計はプリント基板によることを前提としている。これにより外形は離れた位置からこれを点灯して見た場合は丸形に見える指示標識灯が出来た。
【0083】
この指示標識灯において、一つの色についてLEDの入力配線を2系列にしてある。即ち外側に連なる側の配線系列は丸形の外周とそれに連なる面となり、他の内側の配線系列は図9の如き形状の中にある符号108の矢印形、符号104にある横棒形を選び、これに近い形として、図5、図6の形状とし、各々が色と同じ意味を示す形状だと考えてLEDの球の集合でこれを作った。この場合、緑色は矢印形、赤色は横棒形となっている。
【0084】
このように形状は、球の配置と適当な球の数により図9に有るものを原型としながら球の配置条件の中で製作出来る形状としてこれを選んだのであるが、この形状にこだわるものでは無い。
【0085】
この2色の各々について、分離して表したものを図5、図6に示してあり、内側の配線系列の消灯している状況を図7、図8に示した。
【0086】
この場合2つの系列の配線は全て被覆コードで行ったため配線は必ずしも隣の球と最短で結ばれてはいない。しかしプリント基板で製作する場合は、図2でも見られる如く、各色が直線に並ぶため、これを利用すると配線は易しく、図3、図4の如き部分で基板のプリント配線をまたぐ必要のある部分では、絶縁して立体に交差して配線を結べば良い。この内容については通常行われている方法であるので、説明を省略する。
【0087】
ここで使用したLEDの数は各色について600球であり。これを外側の配線系列に500球と内側の特定形状の配線系列に100球を使用して配した。
使用したLEDは7mm径、基板上のLEDの球と球の間隔は8.4mmあり、これにより作られた指示標識の直径は約30cmである。
【0088】
この場合使用したLEDは、赤色において輝度12000マイクロカンデラ(以下mcdで表す)、緑色のものは11000mcdと言われる市販の製品を使用した。
この2色の輝度が異なるのは、LEDの現在の性能からくるもので、将来輝度が高くなりお互いに近い輝度のものを選べる場合は、各色の輝度をそろえることができる。またこの測定値の差は、色に対する人の眼の感受性の差から考えると、実用上は問題が無く、むしろ重要なのは感覚的な明るさであり、ここでは適当であった。
【0089】
この指示標識の試作品の明るさを測定したところ、2つの配線系列全てが点灯の時に、赤色が700カンデラ(以下cdで表す)、緑色が650cd、緑色と赤色が同時に光量を下げて点灯し黄色に見える状況を作った所、600cdであった。内側の配線系列を図10の如く短時間消灯した場合、明るさが50cdほど下がるものの、遠くからの視認においては殆ど短い消灯を意識しなかった。
【0090】
LEDを使用すると小さい球の集合となり、約10m以内の距離で見るとその小さい球が認知されるが、30m以上離れると通常の人には球が意識されず丸形と感じられる。これには個人差があるが。指示標識灯の目的には何ら問題が無い。
【0091】
これを現在使用中の信号灯の近くに置いて比較した。簡易輝度計で測ったところ、従来の信号灯の明るさがおおむね1000cdであり、昼の明るい背景の500〜1000cdの中で良く認知出来るのに対し、本試作品は、おおむね650〜700cdの測定値でありながら、視覚的な認知度では劣らないものであった。数値による測定値は小さくても、通常の信号機の如く光源の明るさに差がある場合に比べて、広く面で均一な光を発する場合は、指示の認知にむしろ有利であるのだと推察する。
【0092】
直交する道路の信号灯のお互いの点灯と消灯と、この1つの灯の中でのサイクルをもった点灯と消灯との関係は、その一例を図10に示した。ここでは直交する関係を東西方向と南北方向として示してあるが、信号灯としての機能は一つの灯で試みた。
【実施例2】
【0093】
実施例1で製作した指示標識灯を使い各種の点灯試験を行い実用に適った条件をもとめたが、いずれの場合も目的に適う結果であった。その一部を述べる。
【0094】
交通管制の信号灯に使用する場合を想定して実験した。
交通管制が必要な交差点の場合、交通状況により信号灯の点灯の時間は変わるが、その一例では、東西方向の緑色が38秒、黄色が2秒、赤色が48秒の1サイクルの場合、南北方向の交通を管制する信号灯は、東西方向の信号灯の緑色の38秒と黄色の2秒が終わって赤色の48秒の点灯が始まって4秒経過した後、即ち通過車が全て通り過ぎてから、緑色の点灯が開始し、あと同じ順序の点灯を交互に行っている。
【0095】
この多方向の交通管制を行う信号灯の色の交互の点灯の時間設定の内容は、交差点における交通の内容により異なるが、図10の横方向に示すG、Y、Rの点灯の中の消灯の状況は、これを1つのサイクルとして、信号灯の点灯時間の中で行われる。
【0096】
この図10の場合は、緑色の灯が点灯して直後は内側が短い時間消灯して次に全点灯し、間に1度内側の消灯が有って、次に緑色が減光し、同時に減光した赤色が点灯する。この2色の点灯は離れて見ると混色して、黄色に見えるが、色弱者の認識を考慮して2色の減光の度合いを調整するのが好ましい。次の赤色の点灯も始めは内側の短い消灯に始まり、点灯中も短い消灯が回数を多く有る。
【0097】
試みて見ると、黄色の点灯時間内に赤色の横棒形を点灯するのも赤色の信号灯の予告として有効であった。
【実施例3】
【0098】
図11は、緑色と赤色共に消灯回数を近付けて、形での指示を重視して見た場合の状況である。ここでは消灯時間を色々変えて見たが、0.1秒の消灯でも充分その形を認知することが出来た。消灯の繰り返しは、認知に有効であった。
【実施例4】
【0099】
一方、正常者の意識を色のみに集中させるための方策として、点滅を消灯で行わず、減光で行う方法も考えられる。それの試みのため内側の配線系列を消灯ささず、この場合は電圧を下げる方法で輝度を下げることを行った。
【0100】
図12は、内側の形状を消灯では無く、減光で示そうとしたものであり、その試みを黒い帯の形で示したものである、外側のLEDの球の集合面に対し、内側のLEDの球の集合面の輝度を落として行くとき、注意しているときは、ほぼ1/2でその形を認識出来る状態となり、1/4で明らかに形状を現す。
【0101】
この実施例は、この現象を利用しようとしたものである。色弱者はこの明るさのわずかな差への認知力が高いので、この方法は適しているが、すべての色弱者に適用出来るのか不明であり、この輝度差をどの値にするのが最適であるかについては多数の色弱者による評価が必要である。その必要性の大きさとは無関係に考えれば、色弱者にのみ判り、正常者は気がつかない信号灯の可能性がある。
【0102】
図13は、同じく輝度に差を作った例であるが、黄色を混色で作るのに最適な減光と、形状の認知に必要な減光とは必ずしも一致しないことを考慮して示したものである。また緑色における減光と赤色における減光も、それぞれ異なるはずで、そのことを示してある。ここでは同時に緑色は減光により形状を示すのを2回とし、赤色は回数を多くして減光の度合いを大きくして認知度を高めてある。
【実施例5】
【0103】
減光のみで形状を常時現すことも有効な方法として考えられる。図14がその状況を示したもので、この図では黄色を混色で作るための減光と、形状を示すための減光とを同じレベルにしてあるが、これにはこだわらない。一方2つの減光度を同じにして実施して見ると、これもよい結果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】2色全部のLEDの球が左右対称に配置された図
【図2】2色のLEDの球の平行列を球と球の列内間隔の1/2ずらせて配置した図
【図3】2色のLEDの球の2つの配線系列の重なる部分の拡大図
【図4】2色のLEDの球の2つの配線系列の重なる部分の拡大図
【図5】緑色のLEDの球の配置図
【図6】赤色のLEDの球の配置図
【図7】緑色のLEDの外側のみが点灯した図
【図8】赤色のLEDの外側のみが点灯した図
【図9】形状例の図
【図10】2色2配線系列の交差点での点灯のタイミング例の図
【図11】2色2配線系列の点灯のサイクル図
【図12】2色2配線系列の点灯のサイクル図
【図13】2色2配線系列の点灯のサイクル図
【図14】2色2配線系列の点灯のサイクル図
【図15】3灯の従来信号灯と1灯のLEDの信号灯の断面図
【図16】3灯の信号灯と1灯LEDの信号灯の設置例の図
【図17】1色が全点灯している図
【図18】1色の球の間隔を広げ1色の列の間隔をこれに等しくした1色の全点灯図
【符号の説明】
【0105】
1 緑色の外側のLEDの球
2 緑色の内側のLEDの球
3 赤色の外側のLEDの球
4 赤色の内側のLEDの球
5 LEDの球の配置拡大部分
6 LEDの球の配置拡大部分
12 反射板
13 電球
14 LEDの発光基板
【技術分野】
【0001】
近来、発光ダイオード(以下LEDという)を使用した人の行動を管制する指示標識灯が、道路の交通を管制する信号灯(以下信号灯という)として実用化されている。従来の着色レンズを前面につけた指示標識灯は、夕日などを受けて反射すると、その指示が何色なのか解らなくなり、時には偽の表示を行うことがあり、また電球の寿命が短いという問題もあって、最近はLEDに切り替えられはじめている。
【0002】
従来の信号灯の場合、通常は左から、緑色の進めの灯、黄色の注意の灯、赤色の止まれの灯、の三種類の色の灯が並べられて構成されているが、新しいLEDの信号灯も、この従来から普及している信号灯の構成を変えずに、信号灯の3カ所の発光部のみをLEDに交換して使用されている。
【0003】
LEDの信号灯には多くの球で構成するという特徴があり、またLEDは多色の発光も可能である。従って指示標識の三種類の発光を1灯で行って3灯分の指示を行うことが可能であるが、色覚異常者(以下色弱者という)への配慮も必要である。
【0004】
色弱者に限らず、人の色に対する識別の感度にはさまざまなレベルがあるが、色弱者と言われるレベル以上の人、即ち色覚正常者(以下正常者という)においては、赤色と黄色と緑色の3色を異なる色と知覚してその識別は鮮明なものである。しかし色弱者においては、特に緑色と赤色、或いは赤色と黄色とに対して色の違いを小さく感じるので、交通管制の指示を誤って理解する危険がある。
従って色弱者にとっては色のみによる指示では不十分なのである。
【0005】
しかし現状において、色弱者への配慮は、信号灯においては殆どなされておらず、信号灯の3色の灯の配置を左から緑色、黄色、赤色、と定めて、位置による指示を行うのみであり、また交通管制の目的以外の指示標識灯においてはその配置まで配慮されているかどうか疑わしい状況である。
【0006】
これに対して、色弱者は位置の外に色の見え方を明暗で判断することも行っているのである。しかし信号灯には明暗を指示に使う正確な機能を持たず、これを利用する色弱者は、常に危険にさらされてることになる。
身体機能で差別されない社会を目指す場合、点灯による指示標識灯において、色による指示の外にさらに配慮が必要である。
【0007】
一方、信号灯を考えると、外形が丸型であるという交通管制の法規に従って丸型が普及していて、人々は他の場合も含めてこの形に慣れ親しんでいる。色弱者のために、外形を変えて指示することを行うと、それが正常者にも違和感を与え、特に高齢者の混乱の元になり、思わぬ誤認識による危険を招くことも考えられる。
【0008】
本発明は、これらの条件の中で、一灯であり、なお丸型でありながら、指示標識灯において重要な、進め、注意、止まれの3種類の指示を、単色の2色のLEDを使用することで、色弱者を含めた全ての人に安定した指示を行い得る、正常者には違和感を与えず、なお色弱者には指示の伝わる、交通管制にも適した指示標識灯を提供する技術に関するものである。
【背景技術】
【0009】
発光を使った信号灯は多く、その一つである交通管制の信号灯においては、通常は左から緑色と黄色と赤色の三色の丸形の灯が並び、これが順に点灯して交通管制を行っている。緑色は進め、黄色は注意、赤は止まれ、を意味している。
【0010】
近来LEDの照明が発達してきた。LEDは半導体の中で電流が流れ、電流の移動の途中に電子と正孔がぶつかって結合したときにエネルギーが放出され、これが光のエネルギーに変換されて発光するという原理にもとずくため、発光に伴う発熱は小さく、光へのエネルギー転換効率に優れ、ケースの樹脂の劣化による減光を除いて発光部の寿命は長い。
【0011】
また発光の色は、それぞれの半導体に使用される材料の元素により、それぞれ特定の狭い波長域での発光をする。そのため発光する色が正確であり、また消灯時は無色であり夕日などの反射で偽の表示をする危険がないため、交通管制の信号灯などの色による指示標識に適する性質を備えている。
【0012】
この性質を備えているために実用化が進み普及が始まっている。もしも球が一つ異常になっても全球が消えることはなく、多数の球が埋まっている中の1球が発光しないだけであるので、万が一の誤の表示の危険が全くないことも信号灯としての信頼性に寄与している。
【0013】
しかし交通管制の信号灯においては、色のみの表示であるということが、色弱者に対して不便を強いている問題がある。色弱者は自ら選んでなったのではないにも拘わらず、自動車運転免許の取得は原則的に出来ない。このことは色で交通管制の指示を行うと決めている社会の中で犠牲を強いられていることになる。身体的な弱者への配慮が十分とは言えない結果となっている。
【0014】
法規によって色弱者は免許の取得が出来ないため、自動車の運転を行う色弱者は居ないはずである。それにより現状システムの中では交通管制の安全が保たれているが、道路の利用者には、自転車に乗り、或いは歩行する者もいる。ここには色弱者が存在するのであり、現状の交通管制においても色弱者への配慮は重要である。人々全体の中の3パーセントの人が色弱者であると言う調査データーもあり、これより考えても、この問題は大きいのである。
【0015】
このため三種類の色の灯の位置は決められていて、色弱者は点灯する灯の位置で表示の意味を理解している。通常は左から緑色と黄色と赤色の3色の丸形の灯が並ぶが、雪国では上下方向に上から赤色と黄色と緑色の3色の丸形の灯が並ぶ。
【0016】
このように位置が定められていることにより、位置により、或いは色を明暗として理解して、色弱者も信号灯の指示を理解出来るが、夜間の場合、あるいは遠目においては、信号灯からの指示を受け取ることには困難があり、色弱者への配慮が十分とは言えない状況であった。
【0017】
さらに、出来得れば、色弱者が安全に自動車の運転の出来得る交通管制の出来る信号灯の生まれることが望ましいのである。
【0018】
さらにまた設備の軽量化と小型化のために有効である、1灯で三種類の指示の出来る指示標識灯が望ましく、これに対する提案も従来よりあった。しかしこれは色弱者への配慮と矛盾するものだと考えられ実現していなかった。
【0019】
この1灯化への願いと、色弱者への指示機能の2つの問題に着眼して対策を考えた発明は多い、それは以下の如くであり、それぞれ優れた特徴を備えている。
【0020】
【特許文献1】特開平8−87696
【特許文献2】特開平10−63994
【特許文献3】特開2001−118192
【特許文献4】特開2002−260175
【特許文献5】特開平6−60294
【特許文献6】特開平8−138192
【特許文献7】特開平10−3596
【特許文献8】特開2001−283382
【特許文献9】特開2006−79390
【特許文献10】特開2006−18625
【0021】
交差点の信号灯の3灯をLEDを使用して1灯にして小型化すれば、軽量、コンパクト、寿命、強度、設備費等で有利であるという着眼は、既に特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、に見ることが出来る。しかし信号灯を1灯にする利点に着眼しているこれらの発明の中には色弱者への配慮は加えられていない。
【0022】
特許文献5も、交通信号を1灯にし、なお灯の部分を軽量にするために光源を離して信号灯の支柱の根元に置き、光ファイバーで信号灯に光を伝送するというものである、これも優れた発明であり信号灯を1灯にすることで軽量化をはかるという目的を持つが、色弱者への配慮には至っていない。
【0023】
特許文献6は色弱者が誤って理解しやすい、特定のスペクトルの使用を避け、その色から離れたスペクトルの2つの色の発光をして、その混色で正常者に対しては法規で定められた色として見えるようにするという考えから成り立っている、正常者には従来と同じ色に見えて、色弱者にも他の指示の色と異なる色に見えるという優れた一つの方法であるが、これは各種のレベルにある色弱者の全てに対して、どのように効果が有るのか判定が難しいという問題を持っている。
【0024】
特許文献7と特許文献8には外形を変えて色と形で色弱者にも識別出来る信号灯にすると言うものであるが、1灯にする方策の展開はない。
【0025】
特許文献9は外形を丸形、三角形、バツ形にし、色と形で交通管制の指示を出す優れたものであるが、1灯での交通管制指示を目標とはするものの、外形の形が変わるため、従来の丸形の信号灯による指示と他のルールとの間で混乱する可能性を避け得てはいない。
【0026】
特許文献10は赤色の灯において、LEDが丸く配列された中に、バツ形の形状を、輝度を下げ或いは色調を変えて入れようと言うものであるが、3灯方式を前提としており、また赤色のみを対象としていて他の色への方策がないため、赤色以外の判断が出来ず、色弱者にとって完全な指示とはならない。
【0027】
信号灯を改善する場合、当然のことながら全国の信号灯を同時に一斉に変えることはできない。順次従来品と交換して行くのであり、そのため新設の信号灯或いは他の指示標識灯が順次新しい方式になるその過程において、2種類の信号灯が混在する期間があることになる。色弱者への配慮と同時に、この混乱を避けることも重要なことである。外形の丸形を変えずに、色弱者への指示を行いたいという必要はここからも生まれるのである。
【0028】
またさらに、信号灯は丸形であることが国際的な法規であるという問題もある。人の社会にとって必要であるならば、国際的な法規も変えれば良いという考えもあるが、法規以上に、長年に作られた人の慣習は変えにくいという問題があり、出来れば誤った認識をする危険の全く無い変革を考えたいのである。この要求に対して研究して完成したのが本発明である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
LEDは半導体そのものが発光するという性質から、まれに1個の点灯が行われなくなることはあるが、フィラメントが切れて断線し通電しなくなるということは有りえない。しかしLEDチップを封入している樹脂等の全体の材料劣化は有り得る。この劣化により光の透過率が低下し、明るさの減衰が起こる。
【0030】
発光原理から考えても長寿命であるというLEDではあるが、樹脂の劣化、特に熱劣化による光の透過率の低下は避けられず、電流を増やして出力を上げた場合と、特に連続の点灯をした場合に劣化は早く発生する。
【0031】
LEDには単色のシングルチップ方式と、多色のマルチチップ方式があり、マルチチップ方式には、3色のLEDを内蔵したものと、2色のLEDを内蔵したものがある。マルチチップを使用すれば、LEDを必要な形に並べるだけで1灯で多色の指示標識を作ることができるのである。
【0032】
しかし2色のマルチチップの場合は、2色を同時点灯して第3の色を作る方式となり、この場合片方のチップの回路が切れた場合に誤発色が起きるという問題がある。
【0033】
さらに多色のマルチチップを使用した場合は、信号灯においては、緑色、黄色、赤色のいずれかが常に点灯しているものであるから、それが3色のLEDを内蔵したものであろうと、2色のLEDを内蔵したものであろうと、マルチチップのLEDの球の中では常時点灯が行われていることになる。即ち発光を休んでいる冷却時間がなく、LEDチップやチップを封入している樹脂等の熱劣化による光の透過率の低下が早いという問題があり、またこのために明るさを得るために電流を増やせないという問題がある。
【0034】
これらの問題から、本発明は単色のLEDを使用することを条件として、鋭意研究を進めたものであり、2種類の単色のLEDを使用して形を丸形として外形を変えずに、1灯であり、なおかつ色弱者への3つの認識手段を付加することが出来ないかという課題に対して、これの解決を行うことが出来たものである。
【課題を解決するための手段】
【0035】
本発明は2種類の色の単色のLEDを使用する。
即ち1つのLEDの点灯時間を連続ささずに、消灯による冷却時間を運用の間に持つことで、LEDチップやチップを封入している樹脂等の、熱劣化による光の透過率の低下を少なくすること、即ち寿命を長くすることを重視して、単色のLEDを使用することを条件にして研究を進めたものである。
【0036】
単色のLEDを均一の発光面とするために、単色の発光ダイオード2色を使用する。これを直線に並べ、この2色の列を交互に平行にして多列とし、各列の長さを変えて外周が丸形になる如くする。2色の列を列内の球と球の間隔の1/2ずらせて、間隔を密にすることも良い。
【0037】
外周が丸形の外側の面の内側に、灯の色の持つ意味と共通する意味を示す形の集合部を一群として作り、この外側と内側の各群を別配線系列とする。各色について、1色ごとに内側の配線系列と外側の配線系列を、個別に或いは同時に、点灯或いは減光させ、さらに光量を下げて2灯を同時に点灯させることを行い、色覚異常者にも適する指示標識灯の機能を生み出す。
【0038】
この全体のLEDの球の配置を図1及び図2に示す。図1は直線に並べた2色のLEDを交互に上下に並べた左右対称の場合であり。図2は球と球の間隔の1/2ずらせて列を並べたものである、球と球の間隔が広いときは図1の方法、間隔が狭い時は図2の方法を選ぶ。球と球の間隔が広く、列と列の間隔を狭くした場合の選択は自由である。
【0039】
ここにおいて符号1の黒い丸形と符号2の白い丸形は緑色のLEDの球を示し、符号3の黒い四角形と符号4の白い四角形は赤色のLEDの球を示す。黄色の発色は光量を下げた緑色と赤色の同時発光により行うもので、黄色の色調は混色する緑色と赤色の2色のLEDの明るさの選択で行う。
【0040】
ここで丸形と四角形は共に黒で示すLEDの球が、丸い外周の形となり、それに連なる外側の面をつくり、白で示すものが内側の意味を持った形を示す面を作るLEDの球であり、それぞれ異なる配線系列であることを示している。
【0041】
図2を使用し符号5の線で囲んだ部分を拡大して図3に、符号6で囲んだ部分を拡大して図4に示すが、ここにおいて2種の色のLEDの配置をさらに分かりやすく示した。LEDの球の色を示す符号は図2と共通である。
【0042】
LEDの球は直線に並ぶため、配線の一部は直線状の直列であるが、この符号5及び符号6の如き部分の配線は、配線が立体に交差する、しかしこの種の配線に関しては通常に行われることであるので、ここでは説明を省略する。
【0043】
各々2系列に配線された2種の色のLEDの球は、図1及び図2の如くに配置されており、この条件により各々の色のLEDの球は1列おきではあるが均一な分布と密度に配置される。この配置は丸い外周形状で人には近寄ると図17の如く見えるが、離れて見ると丸形に見えるのである。
LEDの小さい球を選ぶ場合は列と列の間隔を縮めて、同じ色のLEDの球の間隔を横と縦を同じにするか、近づけることも可能である。
【0044】
また大きく明るいLEDを使用し、列内の球の間隔を広げて、列の間隔を広げ、その球の間隔と同じ間隔に同じ色の列と列の間隔をすることも可能である。このようにすると、図18の如く1色の球が作る面の形状は上下方向と左右方向が同じとなる。この場合2色の列を上下に並べる場合と、列内の球と球の間隔の1/2列を横にずらす場合とがある。
【0045】
また列の間隔が広い場合、フレネルレンズ、あるいは乱反射する透明板又は半透明板を前に置いて、光の滲みを作り、この縞目状況を小さくすることもできる。
【0046】
一方この外側の配線系列に囲まれた内側の配線系列の、符号2の緑色のLEDの球、符号4の赤色のLEDの球はそれぞれを異なる形状に配置する。
【0047】
この均一に並んだ、外形が丸形に配置された一つの色のLEDの球の集合において、例えば符号1と符号2の緑色のLEDの球の如くは、入力の配線を2つの別系列にしてあり、その符号1の緑色のLEDの球と符号3の赤色のLEDの球は、共に丸形の外周を持ち、それに連なる面となっている。
【0048】
緑色のLEDの球の符号1と符号2、及び赤色のLEDの球の符号3と符号4においても各々2つの配線系列を持つが、全ての球は均一な密度のまま外部形状に境を持たずに隣り合っている。
【0049】
その状況を2色それぞれについて表したものは、緑色が図5、赤色が図6であり、2色共、外側のLEDの球の集合面の外周の形状は同じだが、内側のLEDの球の集合面の形状はそれぞれの色に意味のある形を組み込む。
【0050】
この内側の配線系列は、2種の色のそれぞれにおいて、色と同じ意味を伝える特徴のある形状とする。例えば図9の如き形状の中から自由に選びこれに近づける、その中から最も指示標識灯の管制の意味に適するものを選ぶ。
【0051】
図5は緑色の全点灯の場合を例示しているが、この内部の配線系列を消灯したときの形状を示したのが図7であり、赤色の場合をそれぞれ図6と図8に示した。
【0052】
このように、2つの配線系列に構成されてはいるものの、全体はLEDの球が均一に並んだ集合面であり、2種の色のいずれにおいても、この2つの配線系列を同時に点灯したときは、境のない丸形としての指示面が点灯する。さらに2色の2つの配線系列を光量を下げて同時に、即ち光量を下げたすべての点灯を行った時に黄色に見える点灯が行われる。
【0053】
図3と図4にこの2つの系列が隣接する状況を判り易くして示すが、この丸形と四角形の黒と白で示すLEDの球は、それぞれ4つの異なる配線系列でありながら隣接する場所のLEDの球の配列は外観からは認められない、他の部分と変わらないLEDの球の集合面である。
【0054】
ここにおいて、外周のみを点灯した場合に表したい形状を例示すると。図9の如くであり、これは指示標識灯が示したい意味に沿って色の持つ意味に合わせて選ぶものである。また外周の点灯の無い状況で、内部に表れる形状のみを短時間先に点灯することが有効な場合も有り得る。
【0055】
2系列の点灯の内容は、内側と外側の継続、内側と外側→外側のみ→内側と外側、内側と外側→内側のみ→内側と外側、内側のみ→内側と外側、外側のみ→内側と外側、内側のみ→外側のみ、などのいろいろの使用法があり、いずれも自由に行え、いずれも有効であるが、その指示標識灯として最も目的に適すると考える方法を選ぶのが望ましい。
【0056】
この消灯状況を回数少なく作っても、点滅で作っても良く、また消灯で作っても減光で作ってもよい。その一例を図10から図13に示す。ここに示すのは1つの交通標識の点灯状況であって、縦に並ぶGは緑色、Rは赤色を示し、ここより横に時間系列に乗ったLEDの点灯状況を示す。
【0057】
左から右への横軸は時間経過であり、黒い帯が点灯であり巾が明るさを示している。
横に並ぶ記号のGは緑色、Yは黄色、Rは赤色の発色の時間位置を示し、その下の黒い帯がその色の発光状況を示している。黒い帯が切れていることは消灯を意味し、巾の狭いことは減光を意味している。しかし巾が1/2であることは光量が1/2であることを意味してはいない。
【0058】
図14は点滅を行わず、内側の減光のみで、指示標識灯が示したい形状を常時出している例である。ここでは黄色の発光に適する減光を緑色と赤色に行う形に示しているが、黄色の発色と、減光は目的が異なり、この2つの光量は変えることを前提としているが、同一である場合も有り得る。
【0059】
ここで黄色の点灯の中に、内側の形状は現れないが、黄色の点灯時間が短いことと、装置の簡略化を考慮して、例示していないもので、緑色、赤色と同じ原理で形状を示すことも出来るし。黄色の中に赤の形状を示すことも、点滅操作で可能である。
【発明の効果】
【0060】
本発明は、2種類の単色のLEDの球を一つの指示面の中に各々均一に集合させ、この2色を、平行に並べ、なお各色において外形が丸形になる指示標識灯を構成するものである。さらにこの中に、それぞれの色において、内側に異なる形状になる如くLEDで構成された面を独立した配線系列として、点滅或いは減光できる如く構成するものである。
【0061】
このことにより、全く境のない単色の丸形の発光面を作ることがでると共に、その中に色と意味を同じくする形、或いは点滅の指示を発することが出来る、従来の習慣と変わらない丸い形状の交通信号であり、なお色弱者にも色以外の方法で指示を送ることができる。
【0062】
図15と図16から予想される如く、1灯にしてなおLEDにした場合の体積減、表面積減、重量減は目覚ましいものがある。図15の左の機構の符号12は反射板、符号13は白熱電球であり従来の信号灯はこの灯を3色分3台並べて使用していた。これに対して本発明による右の機構の場合は符号14のLED基板をつけた1台の指示標識灯のみで目的を達成出来る。
【0063】
道路における信号灯の如く、道路の上に張り出して設置しなければならない機器の場合、特にこの減量と減表面積の効果は大きい。設備の軽量化と体積減、表面積減がはかれて、図16の如く電柱などの建設の簡易化が出来るばかりでなく、強風豪雨による風水害、雪害、地震の害などにも強くて有効であり、地球温暖化に伴って頻発することが予想される異常気象に対しても、実効が発揮される。
【0064】
ネオンサインなど各種の色が道路に氾濫している中で、それが為に誤認識をすることを防ぐ上にも、大きさ、特定の形状、特定の点滅などを使うことで効果がある。
【0065】
また1灯であるということと、LEDの使用により重量減が出来る性能を活用して、図16にある如く指示標識灯の面積を大きくして、指示機能を高めることもできる。信号灯に活用した場合は指示機能を格段に向上することが出来るので、道路交通管制の機能を高め、交通事故の防止に役立つ。
【0066】
かくの如く、色弱者への配慮ばかりでなく、軽量化、災害への強化、正常者に対する認知機能の強化など多くの効果があるものであり、全ての人々の便利と安全に貢献することができるものである。
【0067】
また本発明は色弱者にも適することを対象に発明したものであるが、実施した結果によると、この内側配線部分の形状の点滅の効果は、色弱者に限らず、正常者に対しても有効であることが解った。即ち色弱者には有効で正常者には意識されないことを目的とする必要が必ずしも無いことも考えられる。
【0068】
指示標識灯の発光の中に、色と形と点滅が指示する意味として含まれることも好ましいことであり、消灯時間を短くするならば、全体の明るさにはほとんど影響の無い内容となる。この内容で指示標識灯を作ることも出来るのである。
【0069】
交通管制の指示内容に、さらに意味を持たせるために、信号標識灯の内側の配線系列の消灯サイクルを変える方法も考えられる、即ち交通信号の中で最も重要な指示が発生した場合、一つの信号灯の1サイクルの中で、内側の配線系列の点滅サイクルを変えたり、或いは外側の配線系列も異なるサイクルでの点滅を行ったり、或いは内側の点滅を行わず外側の配線系列の点滅を行い、交通管制指示を強める方法もある。
【0070】
以上のように本発明は、通常は丸形に見えていて、その外に色以外の形と点滅の指示が現れるものである。その内容は上記の各実施例として一例を示したごとくであり、2色の各色に2つの配線系列を持っており、主にその内側の点滅の方法に対して、各種の応用があるものである。その内容の選択は、管制の指示を利用する者の反応と好みと、管制を行う者の目的により共通のルールを定めて実施することが望ましいものである。
【0071】
以上のことにより、丸形でありながら、進め、注意、止まれ、の指示を、緑色、黄色、赤色の発色のみに頼らない指示標識灯を作ることが出来る。また交通管制においては、法規が定めた従来よりある丸形でありながら、指示のための点灯の短かい時間内に、横棒形、矢印形、丸形、三角形、四角形、バツ形などの形状を消灯、点灯或いは減光で示し、またさらには点滅にも意味を持たせて色弱者に対して交通管制の実を上げることが出来るものである。
【0072】
またさらに、正常者に対しては指示標識の色ばかりでなく、色と形、或いは色と形と点滅により、管制指示を強く伝えることも可能になる。
【0073】
即ち、色弱者には形或いは形と点滅で、指示標識の指示することを伝達することができるため、道路交通管制においては、自動車の運転者の如くに、遠目から高速で近づく場合には、丸形の色として早く指示を認知することが出来、信号に近く居る自転車に乗る人や歩行者にとっては、色以外の形と点滅による指示も受けることができるのである。
【0074】
試みに、眼科医の意見を聞いたところ、いずれの試みも評価してくれて、早期に実施する希望があった。正常者約50人に実際の体験を与えて意見を聞いたところ昼夜共に、交通管制が指示する意味の理解が良いと評価し、多くの人がこれの使用に賛同した。色弱者の解答は、100%の人が本発明の方を良しとした。
全ての信号灯がこれに換わった時には、色弱者にも自動車運転の可能性が開けるとの希望を持った人も居た。
【0075】
さらに細かく言えば、点滅、明暗、時間差、回数の手段を、さらに別の指示に活用する可能性も秘めているのである。
【0076】
本発明は、まず通常の交通管制の信号灯の問題を契機に生まれた、しかしこの技術は、交通管制における信号灯に限らず、工場の構内、遊園地の園内、家庭の門、さらには訓練したイルカや犬による交通教育デモにも使える可能性も秘めている、また機械の運転状況を示す指示標識灯にも使える等あらゆる分野に活用が可能であり、その側面より見ても利用価値の大きいものである。
【0077】
単色のLEDを指示標識の同一面に均質に配置して使用することにより、1灯で3種類の指示を出し、丸形の信号灯の中で色の外に形状、或いは形状と点滅を同時に示す指示標識は道路管制の信号灯に活用出来る。ここでは軽量化と表面積減少の特徴が生かされて設備の強化と経費節減がはかれる。また色弱者も含めた人に対する交通管制の指示の向上が得られる。
【0078】
またLEDの寿命は長く、さらに夕日による誤表示が無く、色弱者の活動への進出、道路管理の経費節減、事故の減少につながる。さらにまた現在使用の信号灯と時間をかけて順次切り変えていくことが可能で、無理なく交換して普及させていけるものであり、交通管制の指示標識灯はもちろん、広く産業上の利用に有効な特徴を有するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0079】
以下、本発明のいくつかの実施内容を図面を参照しながら説明し。本発明のさらなる理解に供する。
【実施例1】
【0080】
図15の右は本発明を適用した道路交通管制用の指示標識の一例を示す断面図である。ここで2色のLEDの球は交互に2列に並ぶ形に配置されていてプリント基板で製作することを前提としている。そのプリント基板は符号14である。
【0081】
その全てのLEDを製作した状況の配置を正面図の図2に示してある。ここでは赤色を四角形、緑色を丸形で表していて、他の図においてもこれの表現は共通である。2つの配線系列の外側は黒とし、内側の配線系列は白で表してある。
【0082】
このような配置にLEDを均一に固定して配線した。この試作品においては被覆コードをプリント基板に代えて使用して配線したが設計はプリント基板によることを前提としている。これにより外形は離れた位置からこれを点灯して見た場合は丸形に見える指示標識灯が出来た。
【0083】
この指示標識灯において、一つの色についてLEDの入力配線を2系列にしてある。即ち外側に連なる側の配線系列は丸形の外周とそれに連なる面となり、他の内側の配線系列は図9の如き形状の中にある符号108の矢印形、符号104にある横棒形を選び、これに近い形として、図5、図6の形状とし、各々が色と同じ意味を示す形状だと考えてLEDの球の集合でこれを作った。この場合、緑色は矢印形、赤色は横棒形となっている。
【0084】
このように形状は、球の配置と適当な球の数により図9に有るものを原型としながら球の配置条件の中で製作出来る形状としてこれを選んだのであるが、この形状にこだわるものでは無い。
【0085】
この2色の各々について、分離して表したものを図5、図6に示してあり、内側の配線系列の消灯している状況を図7、図8に示した。
【0086】
この場合2つの系列の配線は全て被覆コードで行ったため配線は必ずしも隣の球と最短で結ばれてはいない。しかしプリント基板で製作する場合は、図2でも見られる如く、各色が直線に並ぶため、これを利用すると配線は易しく、図3、図4の如き部分で基板のプリント配線をまたぐ必要のある部分では、絶縁して立体に交差して配線を結べば良い。この内容については通常行われている方法であるので、説明を省略する。
【0087】
ここで使用したLEDの数は各色について600球であり。これを外側の配線系列に500球と内側の特定形状の配線系列に100球を使用して配した。
使用したLEDは7mm径、基板上のLEDの球と球の間隔は8.4mmあり、これにより作られた指示標識の直径は約30cmである。
【0088】
この場合使用したLEDは、赤色において輝度12000マイクロカンデラ(以下mcdで表す)、緑色のものは11000mcdと言われる市販の製品を使用した。
この2色の輝度が異なるのは、LEDの現在の性能からくるもので、将来輝度が高くなりお互いに近い輝度のものを選べる場合は、各色の輝度をそろえることができる。またこの測定値の差は、色に対する人の眼の感受性の差から考えると、実用上は問題が無く、むしろ重要なのは感覚的な明るさであり、ここでは適当であった。
【0089】
この指示標識の試作品の明るさを測定したところ、2つの配線系列全てが点灯の時に、赤色が700カンデラ(以下cdで表す)、緑色が650cd、緑色と赤色が同時に光量を下げて点灯し黄色に見える状況を作った所、600cdであった。内側の配線系列を図10の如く短時間消灯した場合、明るさが50cdほど下がるものの、遠くからの視認においては殆ど短い消灯を意識しなかった。
【0090】
LEDを使用すると小さい球の集合となり、約10m以内の距離で見るとその小さい球が認知されるが、30m以上離れると通常の人には球が意識されず丸形と感じられる。これには個人差があるが。指示標識灯の目的には何ら問題が無い。
【0091】
これを現在使用中の信号灯の近くに置いて比較した。簡易輝度計で測ったところ、従来の信号灯の明るさがおおむね1000cdであり、昼の明るい背景の500〜1000cdの中で良く認知出来るのに対し、本試作品は、おおむね650〜700cdの測定値でありながら、視覚的な認知度では劣らないものであった。数値による測定値は小さくても、通常の信号機の如く光源の明るさに差がある場合に比べて、広く面で均一な光を発する場合は、指示の認知にむしろ有利であるのだと推察する。
【0092】
直交する道路の信号灯のお互いの点灯と消灯と、この1つの灯の中でのサイクルをもった点灯と消灯との関係は、その一例を図10に示した。ここでは直交する関係を東西方向と南北方向として示してあるが、信号灯としての機能は一つの灯で試みた。
【実施例2】
【0093】
実施例1で製作した指示標識灯を使い各種の点灯試験を行い実用に適った条件をもとめたが、いずれの場合も目的に適う結果であった。その一部を述べる。
【0094】
交通管制の信号灯に使用する場合を想定して実験した。
交通管制が必要な交差点の場合、交通状況により信号灯の点灯の時間は変わるが、その一例では、東西方向の緑色が38秒、黄色が2秒、赤色が48秒の1サイクルの場合、南北方向の交通を管制する信号灯は、東西方向の信号灯の緑色の38秒と黄色の2秒が終わって赤色の48秒の点灯が始まって4秒経過した後、即ち通過車が全て通り過ぎてから、緑色の点灯が開始し、あと同じ順序の点灯を交互に行っている。
【0095】
この多方向の交通管制を行う信号灯の色の交互の点灯の時間設定の内容は、交差点における交通の内容により異なるが、図10の横方向に示すG、Y、Rの点灯の中の消灯の状況は、これを1つのサイクルとして、信号灯の点灯時間の中で行われる。
【0096】
この図10の場合は、緑色の灯が点灯して直後は内側が短い時間消灯して次に全点灯し、間に1度内側の消灯が有って、次に緑色が減光し、同時に減光した赤色が点灯する。この2色の点灯は離れて見ると混色して、黄色に見えるが、色弱者の認識を考慮して2色の減光の度合いを調整するのが好ましい。次の赤色の点灯も始めは内側の短い消灯に始まり、点灯中も短い消灯が回数を多く有る。
【0097】
試みて見ると、黄色の点灯時間内に赤色の横棒形を点灯するのも赤色の信号灯の予告として有効であった。
【実施例3】
【0098】
図11は、緑色と赤色共に消灯回数を近付けて、形での指示を重視して見た場合の状況である。ここでは消灯時間を色々変えて見たが、0.1秒の消灯でも充分その形を認知することが出来た。消灯の繰り返しは、認知に有効であった。
【実施例4】
【0099】
一方、正常者の意識を色のみに集中させるための方策として、点滅を消灯で行わず、減光で行う方法も考えられる。それの試みのため内側の配線系列を消灯ささず、この場合は電圧を下げる方法で輝度を下げることを行った。
【0100】
図12は、内側の形状を消灯では無く、減光で示そうとしたものであり、その試みを黒い帯の形で示したものである、外側のLEDの球の集合面に対し、内側のLEDの球の集合面の輝度を落として行くとき、注意しているときは、ほぼ1/2でその形を認識出来る状態となり、1/4で明らかに形状を現す。
【0101】
この実施例は、この現象を利用しようとしたものである。色弱者はこの明るさのわずかな差への認知力が高いので、この方法は適しているが、すべての色弱者に適用出来るのか不明であり、この輝度差をどの値にするのが最適であるかについては多数の色弱者による評価が必要である。その必要性の大きさとは無関係に考えれば、色弱者にのみ判り、正常者は気がつかない信号灯の可能性がある。
【0102】
図13は、同じく輝度に差を作った例であるが、黄色を混色で作るのに最適な減光と、形状の認知に必要な減光とは必ずしも一致しないことを考慮して示したものである。また緑色における減光と赤色における減光も、それぞれ異なるはずで、そのことを示してある。ここでは同時に緑色は減光により形状を示すのを2回とし、赤色は回数を多くして減光の度合いを大きくして認知度を高めてある。
【実施例5】
【0103】
減光のみで形状を常時現すことも有効な方法として考えられる。図14がその状況を示したもので、この図では黄色を混色で作るための減光と、形状を示すための減光とを同じレベルにしてあるが、これにはこだわらない。一方2つの減光度を同じにして実施して見ると、これもよい結果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】2色全部のLEDの球が左右対称に配置された図
【図2】2色のLEDの球の平行列を球と球の列内間隔の1/2ずらせて配置した図
【図3】2色のLEDの球の2つの配線系列の重なる部分の拡大図
【図4】2色のLEDの球の2つの配線系列の重なる部分の拡大図
【図5】緑色のLEDの球の配置図
【図6】赤色のLEDの球の配置図
【図7】緑色のLEDの外側のみが点灯した図
【図8】赤色のLEDの外側のみが点灯した図
【図9】形状例の図
【図10】2色2配線系列の交差点での点灯のタイミング例の図
【図11】2色2配線系列の点灯のサイクル図
【図12】2色2配線系列の点灯のサイクル図
【図13】2色2配線系列の点灯のサイクル図
【図14】2色2配線系列の点灯のサイクル図
【図15】3灯の従来信号灯と1灯のLEDの信号灯の断面図
【図16】3灯の信号灯と1灯LEDの信号灯の設置例の図
【図17】1色が全点灯している図
【図18】1色の球の間隔を広げ1色の列の間隔をこれに等しくした1色の全点灯図
【符号の説明】
【0105】
1 緑色の外側のLEDの球
2 緑色の内側のLEDの球
3 赤色の外側のLEDの球
4 赤色の内側のLEDの球
5 LEDの球の配置拡大部分
6 LEDの球の配置拡大部分
12 反射板
13 電球
14 LEDの発光基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単色の発光ダイオード2色を使用し、各色の発光ダイオードを各々並べて列とし、これを平行に交互に多列にして面として、外周が丸形になる如く配置し、各色において、面の内側に色の示す意味と共通する意味を示す形の集合部を一群として作り、この内側の一群を別配線系列として、各色ごとに、内側の配線系列と外側の配線系列を単独に、或いは同時に点灯し、或いは減光させ、さらに光量を下げて2色の灯を同時に点灯させることも行うことを特徴とする、色覚異常者にも適する指示標識灯。
【請求項1】
単色の発光ダイオード2色を使用し、各色の発光ダイオードを各々並べて列とし、これを平行に交互に多列にして面として、外周が丸形になる如く配置し、各色において、面の内側に色の示す意味と共通する意味を示す形の集合部を一群として作り、この内側の一群を別配線系列として、各色ごとに、内側の配線系列と外側の配線系列を単独に、或いは同時に点灯し、或いは減光させ、さらに光量を下げて2色の灯を同時に点灯させることも行うことを特徴とする、色覚異常者にも適する指示標識灯。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2008−152346(P2008−152346A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−337042(P2006−337042)
【出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(598008341)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(598008341)
【Fターム(参考)】
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