説明

芳香を放つ家庭用製品、並びに芳香剤の完全性を維持しかつ芳香の存続期間を延長するための方法

家庭用の洗浄製品、布地処理製品又は脱臭製品、並びに親水性香料成分の完全性を維持しかつ芳香の存続期間を延長する方法を開示している。前記製品及び方法には、界面活性剤と、約3未満のClogP及び約200℃超の沸点を有する親水性香料成分を十分な量で有する香料とを含有する、水性組成物が包含されている。前記水性組成物は、親水性香料と親和性の材料で構成されたプラスチック容器に収容することができる。本発明によれば、複数の親水性香料成分が表面に付着すると、それらの親水性香料成分が、プラスチック容器の内部へ移動すること及び/又は前記容器を透過することを軽減することによって芳香剤の完全性が維持され、かつ芳香の存続期間が延長される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親水性で高分子量の香料成分を有する水性組成物を包含し、プラスチック容器に充填されている家庭用の洗浄製品、布地処理製品及び脱臭製品に関する。この水性組成物は、溶解又は乳化した状態にあって、約3未満のClogP及び約200℃超の沸点を有する十分な配合量の香料成分を含有していることから、一旦プラスチック容器に分配されると、貯蔵中に香料成分がプラスチック容器の内部へ及び/又はプラスチック容器を通じて透過することが最小限度に抑えられ、そして芳香の存続期間が延長される。
【背景技術】
【0002】
処理することにより表面に快適な香りが付与される、家庭用の洗浄製品、布地処理製品及び脱臭製品が、消費者に高く評価されていることが確認されている。利用上の便宜性及び適用性のために、家庭用の洗浄組成物、布地処理組成物及び脱臭組成物は、例えばガラス容器のかわりに、プラスチック容器に充填されていることが非常に望ましい。費用の理由から、ポリエチレンは、かかる組成物用のプラスチック容器を製造するのに好ましい材料である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、疎水性である香料成分は、その組成物を貯蔵している間にポリエチレンの内部へ吸収されたり、及び/又はポリエチレンを通じて透過することによって水性組成物から失われ易いことが分かっている。これによって、この組成物で処理された表面に存在するはずである芳香剤の完全性又は芳香特性に変化が生じ、その他に芳香の存続期間が縮小することになる。貯蔵中に失われなかった低沸点の香料成分は、容器から分配された途端に高沸点の香料成分よりも迅速に失われることも分かっている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、約0.01%〜約50%の界面活性剤及び約0.003%〜約5%の香料を包含する水性組成物を含む家庭用の洗浄製品、布地処理製品又は脱臭製品であって、その香料が約3未満のClogP及び約200℃超の沸点を有する1つ以上の親水性香料成分を少なくとも約10%含有しており、その組成物が、少なくとも約80%は親水性香料と親和性の材料で構成されたプラスチック容器に収容されている、製品に関する。本発明の一実施形態では、水性組成物は、表面を清浄化又は脱臭するためにウェットタオル又は他の基材に含浸される。
【0005】
本発明はまた、家庭用の洗浄製品、布地処理製品又は脱臭製品において芳香剤の完全性を維持し、かつ芳香の存続期間を延長させる方法であり、その方法は、約0.01%〜約50%の界面活性剤及び約0.003%〜約5%の香料を包含する水性組成物を供給することであって、その香料が約3未満のClogP及び約200℃超の沸点を有する1つ以上の親水性香料成分を少なくとも約10%含有していることと、その組成物を、少なくとも約80%が親水性香料と親和性の材料で構成されたプラスチック容器中に充填することとによる、方法にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本明細書は、本発明を詳細に指摘して明確に請求する特許請求の範囲をもって結論とするが、本発明は、以下の説明を添付図面と併せ読むことによって更に十分に理解されると考えられる。
【図1】第一の実施形態として、3種の新たに調製された香料組成物の香りの強度を経時的に表す線グラフ(その組成物として、対照香料組成物と、本発明に従って作製された2種の香料組成物とが挙げられる)。
【図2】図1に示されたものと同じ3種の香料であるが、経時変化した(周囲温度又は49℃で約2週間以上さらされた)ものについて、香りの強度を経時的に表す線グラフ。
【図3】第二の実施形態として、3種の新たに調製された香料組成物の香りの強度を経時的に表す線グラフ(その組成物として、対照香料組成物と、本発明に従って作製された2種の香料組成物とが挙げられる)。
【図4】図3に示されたものと同じ3種の香料であるが、経時変化した(周囲温度又は49℃で約2週間以上さらされた)ものについて、香りの強度を経時的に表す線グラフ。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明によれば、水と界面活性剤と複数の香料とを含む家庭用の洗浄製品、布地処理製品又は脱臭製品を、通常のプラスチック容器、例えば高密度ポリエチレン(HDPE)で構成された容器の中に充填すると、特定の香料成分が香料から失われる傾向があることが分かった。特に理論に束縛されるものではないが、香料成分は、疎水性香料成分(すなわち、ClogPが約3以上のもの)がプラスチック容器の内部へ吸収されること及び/又はプラスチック容器を通じて透過することによって失われると考えられる。香料が十分な量でかかる疎水性香料成分を含有する場合、かかる損失によって、芳香剤の完全性又は意図された芳香が著しく変化する。ポリエチレンテレフタレート(PET)又はガラスで製造された容器は、疎水性香料成分に関して悪影響を示さない。しかしながら、消費者らは、ガラスは割れるという安全性の理由からガラスよりもプラスチック容器を好み、またプラスチック容器は一般に、ガラス及びPETよりも安価である。香料成分がプラスチック容器の内部へ及び/又はプラスチック容器を通じて吸収されること及び/又は透過することを減少させる材料バリアも検討されてきたが、この選択肢は、製造コスト及び製造時間の追加が必要であり魅力のないものとなっていた。
【0008】
芳香剤成分の完全性は、家庭用の洗浄製品、布地処理製品及び脱臭製品において、ClogPが約3未満の香料成分を十分な量で利用することと、これら製品を、少なくとも80%が親水性香料と親和性の材料で構成されたプラスチック容器であって、プラスチック容器にバリア材料が添加されていない容器の中に充填することとによって、更に良好に維持できることが今では分かっている。芳香剤成分の完全性は、約3未満のClogP及び高沸点(約200℃超のもの)を有する香料成分を利用することによって更に向上させることができる。
【0009】
本発明は、水の他に、約0.01%〜約50%の界面活性剤と約0.003%〜約5%の香料とを含む水性組成物を有する家庭用の洗浄製品、布地処理製品又は脱臭製品であって、その香料は、約3未満のClogP及び約200℃超の沸点を有する1つ以上の親水性香料成分を少なくとも約10%含有し、その製品が、少なくとも約80%は親水性香料と親和性の材料で構成されたプラスチック容器に収容されている、製品である。本発明の一態様では、水性組成物は、表面を清浄化又は脱臭するためにウェットタオル又は他の基材に含浸される。
【0010】
本発明はまた、その家庭用の洗浄製品、布地処理製品又は脱臭製品を供給することによって、芳香剤成分の完全性を維持しかつ芳香の存続期間を延長させる方法をも包含する。
【0011】
A.香料
本発明の水性組成物は、香料をその組成物の約0.003wt%〜約5wt%、あるいは約0.003wt%〜約1wt%、あるいは約0.01wt%〜約1wt%、あるいは約0.015wt%〜約0.5wt%、あるいは約0.2wt%〜約0.4wt%、あるいは約0.3wt%〜約0.4wt%、あるいは約0.05wt%〜約0.3wt%、あるいは約0.05wt%〜約0.2wt%の濃度で含有する。本発明の組成物中で使用するために選択される香料は、芳香特性を有する成分を含有することで、その組成物が対象とする表面に新鮮な印象を与える。
【0012】
あまり疎水性ではない香料は、表面に強い初期の芳香効果を与える。より疎水性ではない香料成分は、更に水に溶解し易く、フレッシュニング組成物中に更に上手く利用することができる。香料成分の疎水性度は、そのオクタノール/水分配係数Pと関連付けることができる。香料成分のオクタノール/水分配係数は、オクタノール中及び水中におけるその平衡濃度の間の比率である。より大きな分配係数Pを有する香料成分は、より疎水性が高い。逆に、より小さな分配係数Pを有する香料成分は、より親水性が高い。本発明の香料成分は、オクタノール/水分配係数Pが約1,000以下であることができる。香料成分のこの分配係数は通常は大きい値であるため、10を底とするそれらの対数の形(logP)で示すと更に便利である。
【0013】
多くの香料成分のlogPが報告されている;例えば、カリフォルニア州アーヴァイン(Irvine)のデイライト・ケミカル・インフォメーション・システムズ社(Daylight Chemical Information Systems, Inc.)(デイログCIS(Daylog CIS))から入手可能なポモナ92データベース(Pomona 2 database)には、元の文献の引用と共に多数のlogPが収納されている。ただし、logP値は、デイライトCIS(Daylight CIS)からも入手可能な「CLOG P」プログラムによって計算するのが最も好都合である。このプログラムでは、logP実験値をポモナ92(Pomona 92)データベースで利用できる場合には、実験的なlogPの値も一覧にしている。「logP計算値」(ClogP)は、ハンシュ(Hansch)とレオ(Leo)のフラグメント手法によって求められる(A.レオ(A. Leo)著、「包括的医化学(Comprehensive Medicinal Chemistry)」、第4巻、C.ハンシュ(C. Hansch)、P.G.サメンズ(P. G. Sammens)、J.B.テイラー(J.B. Taylor)及びC.A.ラムスデン(C.A.Ramsden)編、295頁、パーガモン・プレス(Pergamon Press)、1990年を参照し、この文献を参照として本明細書に組み込む)。このフラグメント手法は、各香料成分の化学構造に基づいており、原子の数と種類、原子の結合性、及び化学結合をも考慮している。このClogP値は、最も信頼性が高く、このような物理化学的特性を評価するために広く使用され、本発明に有効な香料成分を選択する際に、実験に基づくlogPの値の代わりに使用される。
【0014】
最初にスプレーしたときにフレッシュニング芳香剤を表面に付与することに加えて、本発明の水性組成物は、有効量の香料を含有することで、着用中にある程度長続きする芳香と、濡れると放出されるいくらかの追加の芳香とを供給する。芳香の存続期間は、約3未満のClogP及び約200℃超の沸点を有する香料成分を利用することで延長することができる。香料成分の蒸発速度はその沸点に反比例しており、香料成分の沸点が高いほど、蒸発速度は低くなる。
【0015】
本発明の水性組成物は、3未満のClogP及び約200℃超の沸点を有する香料成分を十分な量(少なくとも約10%、あるいは少なくとも40%、あるいは少なくとも70%)含有する。香料の少なくとも約10wt%、あるいは少なくとも約40wt%、あるいは少なくとも約70wt%は香料成分から構成されており、それら香料成分としては、分子量が約130〜約250の芳香族及び脂肪族のエステル類;分子量が約90〜約240の脂肪族及び芳香族アルコール類;分子量が約150〜約260の脂肪族ケトン類;分子量が約150〜約270の芳香族ケトン類;分子量が約130〜約290の芳香族及び脂肪族ラクトン類;分子量が約140〜約200の脂肪族アルデヒド類;分子量が約90〜約230の芳香族アルデヒド類;分子量が約150〜約270の脂肪族及び芳香族エーテル類;並びに分子量が約180〜約320のアルデヒドとアミンとの縮合生成物類が包含される。香料成分は、ニトロムスク類及びハロゲン化芳香剤類を本質的に含まななくてもよい。好適な香料成分の非限定例としては、表1に列挙するもの及びそれらの混合物が挙げられる。
【0016】
【表1−1】

【0017】
【表1−2】

【0018】
【表1−3】

【0019】
別の実施形態では、本発明の水性組成物には、約3未満のClog及び約250℃超の沸点を有する香料成分が包含される。非限定的な例となるこの種の香料成分としては、表2中のもの及びこれらの混合物が挙げられる。
【0020】
【表2】

【0021】
別の実施形態では、約3未満のClogP及び約280℃超の沸点を有する香料成分を本発明において使用する。非限定的な例となるこの種の香料成分としては、表3中のもの及びそれらの混合物が挙げられる。
【0022】
【表3】

【0023】
本発明の水性組成物にシクロデキストリンを添加する場合、香料とシクロデキストリンとの重量比は、典型的には約3:100〜約100:100、あるいは約4:100〜約50:100、あるいは約5:100〜約40:100、あるいは約5:100〜約25:100、あるいは約1:8〜約1:4である。
【0024】
B.界面活性剤
本発明の水性組成物において使用するのに好適な界面活性剤は、家庭用の洗浄組成物、布地処理組成物又は脱臭組成物において使用するのに好適なもののうちのいずれかであり得る。これらには、アニオン性、非イオン性、カチオン性、両性、及び双イオン性の洗剤が包含される。
【0025】
アニオン性洗剤の例としては、C8〜C22アルキルスルファート類、アルキル基中の炭素原子数が9〜15のアルキルベンゼンスルホナート類、アルキル鎖中に8〜22個の炭素原子と1〜30個のエチレンオキシド基とを有するアルキルエチレンオキシドエーテルスルファート類、及びC8〜C22脂肪酸石鹸類が挙げられる。非イオン性界面活性剤の例としては、エチレンオキシド3〜30モルと炭素原子数8〜22の脂肪族アルコールとの縮合体類、エチレンオキシド5〜30モルとアルキルフェノールとの縮合体類であってアルキルの炭素源原子数が9〜15のもの、及びC8〜C22アルキルジメチルアミンオキシド類が挙げられる。一実施形態では、非イオン性界面活性剤は、ダウ・ケミカル社(The Dow Chemical Company)から入手可能なタージトール(Tergitol)(商標)15−Sとして既知の第二級アルコールエトキシレートである。両性及び双イオン性界面活性剤の例は、米国特許第3,929,678号(ラフリン(Laughlin)ら、1975年12月30日発行)の第19欄38行目〜第22欄48行目に見出される。カチオン性界面活性剤の例は、炭素原子数8〜22のアルキル基鎖を少なくとも1つ有するテトラアルキル四級アンモニウム塩類であり、それ以外のアルキル基は1〜22個の炭素原子を含有することができ、またアニオン性対イオンがハロゲン、エチルスルファート、又はメチルスルファートである。本明細書における用語「家庭用の洗浄組成物、及び布地処理組成物及び脱臭組成物」には、布地の洗濯組成物、柔軟仕上げ組成物及びフレッシュニング組成物、並びに床、ラグ、及びその他の家庭用品表面の処理組成物が包含され、その表面を清浄化すること及び/又はその表面に有益な処理若しくは特性を付与することが望ましい。界面活性剤は、製品の意図される用途に応じて、水性組成物の約0.01wt%〜約50wt%、あるいは約0.01wt%〜約30wt%、あるいは約0.01wt%〜約20wt%、あるいは約0.01wt%〜約10wt%、あるいは約0.05wt%〜約6wt%、あるいは約0.08wt%〜約2wt%の濃度で使用されてもよい。典型的な濃度は、約0.1%〜約30%、及び約5%〜約20%であってもよい。追加の界面活性剤は、米国特許第3,664,961号(ノリス(Norris)、1972年5月23日発行)に開示されている。
【0026】
C.任意成分
本発明の水性組成物は更に、かかる組成物中に見出される通常の補助剤を含有することも可能である。これらとしては、ビルダー(例えば、リン酸塩類、クエン酸塩類、ポリカルボキシレート類、ケイ酸塩類等)、汚れ懸濁剤(例えば、カルボキシメチルセルロース)、抗菌剤(例えば、シクロヘキシジン、ビグアニド類等)、ヒドロトロープ(例えば、クメンスルホン酸ナトリウム、プロピレングリコール)、キレート剤(例えば、ダウ・ケミカル社(The Dow Chemical Company)から入手可能なバーセン(Versenne)100)、酵素(例えば、プロテアーゼ類)、防腐剤、並びに溶媒(例えば、エタノール、エチレングリコールモノブチルエーテル)が挙げられる。
【0027】
ClogPが約3未満の香料成分に加えて、香料は、ClogPが約3超の香料成分を含有することも可能である。かかる成分の非限定的な例を表4に示す。
【0028】
【表4】

【0029】
表面(例えば、布地、カーペット、カウンタートップ等)上で良好な脱臭効果を発揮する本明細書中の組成物は、シクロデキストリンを含有することができる。処理された表面に所望の芳香を供給する香料に加えて、シクロデキストリンは、臭気、例えば、発汗及び尿の中に存在するものを吸収する能力も有している。
【0030】
本発明で使用されるシクロデキストリン、例えば、α−シクロデキストリン及び/若しくはその誘導体、γ−シクロデキストリン及び/若しくはその誘導体、誘導体化β−シクロデキストリン、並びに/又はそれらの混合物は、水に非常に容易に溶解することができる。シクロデキストリンの誘導体は、主に、一部のOH基がOR基に変換されている分子からなる。シクロデキストリン誘導体としては、例えば、メチル化シクロデキストリン及びエチル化シクロデキストリン(式中、Rはメチル基又はエチル基である)のように、短鎖アルキル基を有するもの;ヒドロキシプロピルシクロデキストリン及び/又はヒドロキシエチルシクロデキストリン(式中、Rは−CH2−CH(OH)−CH3又は−CH2CH2−OH基である。)のような、ヒドロキシアルキル置換基を有するもの;マルトース結合シクロデキストリンのような分枝鎖シクロデキストリン;2−ヒドロキシ−3−(ジメチルアミノ)プロピルエーテル(式中、Rは、低pHでカチオン性である、CH2−CH(OH)−CH2−N(CH32である。)を含有するもののようなカチオン性シクロデキストリン;四級アンモニウム、例えば、2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピルエーテルクロリド基(式中、RはCH2−CH(OH)−CH2−N+(CH33Cl-である。);カルボキシメチルシクロデキストリン、シクロデキストリンスルファート及びシクロデキストリンスクシニレートのようなアニオン性シクロデキストリン;カルボキシメチル/四級アンモニウムシクロデキストリンのような両性シクロデキストリン;少なくとも1個のグルコピラノース単位が3−6−アンヒドロ−シクロマルト構造を有するシクロデキストリン、例えば、F.ダイダイニ−ピラード(Diedaini-Pilard)及びB.パーリー(Perly)、「シクロデキストリンに最小限の化学修飾を施した場合の最適性能(Optimal Performances with Minimal Chemical Modification of Cyclodextrins)」、第7回国際シクロデキストリンシンポジウム要旨集(The 7th International Cyclodextrin Symposium Abstracts)、1994年4月、49頁に開示されているようなモノ−3−6−アンヒドロシクロデキストリンであって、該参考文献は参照として本明細書に組み込まれ;並びにこれらの混合物が挙げられる。他のシクロデキストリン誘導体は、米国特許第3,426,011号、同第3,453,257号、同第3,453,258号、同第3,453,259号、及び同第3,453,260号(氏名は全てパーメーター(Parmerter)らであって、全て1969年7月1日発行);同第3,459,731号(グラメラ(Gramera)ら、1969年8月5日発行);同第3,553,191号(パーメーターら、1971年1月5日発行);同第3,565,887号(パーメーターら、1971年2月23日発行);同第4,535,152号(セユトリ(Szejtli)ら、1985年8月13日発行);同第4,616,008号(ヒライ(Hirai)ら、1986年10月7日発行);同第4,678,598号(オギノ(Ogino)ら、1987年7月7日発行);同第4,638,058号(ブラント(Brandt)ら、1987年1月20日発行);並びに同第4,746,734号(ツチヤマ(Tsuchiyama)ら、1988年5月24日発行)に開示されており、これら全ての該特許公報を参照として本明細書に組み込む。
【0031】
非常に水に溶解し易いシクロデキストリンとは、室温で100mLの水に少なくとも約10g、あるいは100mLの水に少なくとも約20g、あるいは室温で100mLの水に少なくとも約25gの水溶性を示すものである。可溶化された、複合体化してないシクロデキストリンの有用性は、有効かつ効率的な臭気抑制性能には必須である。可溶化された水溶性シクロデキストリンは、表面、特に布地の上に付着すると、非水溶性シクロデキストリンよりも効率良く臭気抑制性能を示すことができる。
【0032】
本明細書で用いるのに好適な水溶性シクロデキストリン誘導体の例は、ヒドロキシプロピルα−シクロデキストリン、メチル化α−シクロデキストリン、メチル化β−シクロデキストリン、ヒドロキシエチルβ−シクロデキストリン、及びヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンである。シクロデキストリン1個当たりのOR基の総数を置換度として定義する場合、ヒドロキシアルキルシクロデキストリン誘導体は、約1〜約14、あるいは約1.5〜約7の置換度を有することができる。メチル化シクロデキストリン誘導体は、典型的には、約1〜約18、あるいは約3〜約16の置換度を有する。既知のメチル化β−シクロデキストリンは、へプタキス−2,6−ジ−O−メチル−β−シクロデキストリンであって、これは一般にDIMEBとして知られており、各グルコース単位が約14の置換度のメチル基を約2個有している。更に多数市販されているメチル化β−シクロデキストリンは、ランダムにメチル化されたβ−デキストリンであって、これは一般にはRAMEBとして知られており、様々な置換度、通常は約12.6を有している。DIMEBは界面活性剤の界面活性に、RAMEBよりも更に大きな影響を及ぼす。シクロデキストリンは、セレスターUSA社(Cerestar USA, Inc.)及びワッカー・ケミカル(USA)社(Wacker Chemicals (USA), Inc.)から入手可能である。
【0033】
シクロデキストリンの混合物も本発明では使用することができる。組成物中で使用されるシクロデキストリンの量は、水性組成物の約0.01wt%〜約20wt%までの範囲であることができる。組成物を希釈して使用する場合、組成物には約3%〜約20%、あるいは約5%〜約10%含有される。非希釈の形態で使用する組成物には、一般に約0.01%〜約5%、あるいは約0.1%〜約3%、あるいは約0.5%〜約2%含有される。
【0034】
シクロデキストリンを有する組成物を配合する場合、シクロデキストリンとの親和性に特に優れた界面活性剤を使用することができる。好適なシクロデキストリン親和性の界面活性剤は、界面活性剤によって提供される表面張力にシクロデキストリンが影響を及ぼさないことで容易に識別できる。これは、溶液中に約1%の特定のシクロデキストリンを含む又は含まない界面活性剤水溶液の表面張力(ダイン/cm2)を測定することによって達成される。水溶液は、約0.5%、0.1%、0.01%、及び0.005%の濃度で界面活性剤を含有する。シクロデキストリンは、界面活性剤溶液の表面張力を上昇させることにより、界面活性剤の界面活性に影響を及ぼすことができる。水中の所与の濃度における表面張力が、シクロデキストリンの1%溶液中の同じ界面活性剤の表面張力と約10%超異なる場合、それは、界面活性剤とシクロデキストリンとの間の強い相互作用を示唆する。本明細書における界面活性剤では、水溶液中の表面張力が、1%のシクロデキストリンを含有する同じ濃度の水溶液の表面張力に比べて約10%未満、あるいは約5%未満、あるいは約1%未満だけ異なる(更に低い)ことができる。
【0035】
(a)ブロックコポリマー
シクロデキストリン親和性非イオン性の界面活性剤の非限定的な例としては、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロックコポリマーが挙げられる。大抵のシクロデキストリンと親和性を示す、好適なブロックポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンポリマー界面活性剤としては、初期の反応性水素化合物としてエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、及びエチレンジアミンをベースとするものが挙げられる。例えばC12〜18脂肪族アルコールのような、単一の反応性水素原子を有する初期化合物を逐次的なエトキシル化及びプロポキシル化によって作製した高分子化合物は、一般に、シクロデキストリンと親和性を示さない。BASF−ワイアンドット社(BASF-Wyandotte Corp.)(ミシガン州ワイアンドット(Wyandotte))により、プルロニック(Pluronic)(登録商標)及びテトロニック(Tetronic)(登録商標)と命名された特定のブロックポリマー界面活性剤化合物が容易に入手可能である。
【0036】
この種のシクロデキストリン親和性の界面活性剤の非限定的な例としては、
一般式H(EO)n(PO)m(EO)nHを有するプルロニック界面活性剤が挙げられ、式中、EOはエチレンオキシド基であり、POはプロピレンオキシド基であり、n及びmは界面活性剤中のその基の平均数を示す数字である。シクロデキストリン親和性プルロニック界面活性剤の典型的な例は、次のもの:
【0037】
【表5】

及びこれらの混合物である。
【0038】
テトロニック界面活性剤は次の一般式を有し:
【0039】
【化1】

式中、EO、PO、n及びmは、上記と同じ意味を有する。シクロデキストリン親和性テトロニック界面活性剤の典型的な例は、次のもの:
【0040】
【表6】

及びこれらの混合物である。
【0041】
「リバース(Reverse)」プルロニック及びテトロニック界面活性剤は、次の一般式を有する:
リバースプルロニック界面活性剤 H(PO)m(EO)n(PO)m
リバーステトロニック界面活性剤
【0042】
【化2】

式中、EO、PO、n及びmは上記と同じ意味を有する。シクロデキストリン親和性のリバースプルロニック及びリバーステトロニック界面活性剤の典型的な例は、次のもの:
リバースプルロニック界面活性剤:
【0043】
【表7】

【0044】
リバーステトラニック界面活性剤
【0045】
【表8】

及びこれらの混合物である。
【0046】
(b)シロキサン界面活性剤
別の分類のシクロデキストリン親和性の非イオン性界面活性剤は、ジメチルポリシロキサン疎水性部分と、1個以上の親水性ポリアルキレン側鎖とを有し、次の一般式を有する、ポリアルキレンオキシドポリシロキサンであり:
1−(CH32SiO−[(CH32SiO]a−[(CH3)(R1)SiO]b−Si(CH32−R1
式中、a+bは約1〜約50、あるいは約3〜約30、あるいは約10〜約25であり、R1はそれぞれ同一又は異なっており、メチル基及び次の一般式を有するポリ(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)コポリマー基からなる群より選択され:
−(CH2nO(C24O)c(C36O)d2
ただし、少なくとも1つのR1がポリ(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)コポリマー基であり、式中、nは3又は4、あるいは3であり、(全てのポリアルキレンオキシ側鎖基に対して)cの合計の値は約1〜約100まで、あるいは約6〜約100までの値であり、dの合計は0〜約14、又は0〜約3であり、及びあるいはdは0であり、c+dの合計は約5〜約150、あるいは約9〜約100であり、並びに各R2は同一であるか又は異なり、かつ水素、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、及びアセチル基、あるいは水素及びメチル基からなる群より選択される。
【0047】
この種の界面活性剤の例は、モーメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ(Momentive Performance Materials)から入手可能なシルウェット(Silwet)(登録商標)ハイドロステイブル(Hydrostable)68、611及び212である。他の代表的なシルウェット(Silwet)界面活性剤は、次のものである。
【0048】
【表9】

【0049】
ポリアルキレンオキシ基(R1)の分子量は、約10,000以下である。あるいは、ポリアルキレンオキシ基の分子量は約8,000以下、あるいは約300〜約5,000までの範囲である。したがって、cとdの値は、これら範囲内の分子量を提供する数値であることができる。一方、ポリエーテル鎖(R1)中のエチレンオキシ単位((C24O)の数は、ポリアルキレンオキシドポリシロキサンを水分散性又は水溶性にするのに十分でなければならない。プロピレンオキシ基がポリアルキレンオキシ鎖内に存在する場合、それらは鎖内にランダムに分布するか又はブロックとして存在することができる。界面活性以外に、ポリアルキレンオキシドポリシロキサン界面活性剤は更に、他の効果、例えば、帯電防止効果、潤滑性、及び柔軟性を布地に提供することもできる。
【0050】
ポリアルキレンオキシドポリシロキサンの調製は、当該技術分野において周知である。本発明のポリアルキレンオキシドポリシロキサンは、米国特許第3,299,112号に記載されている手順に従って調製することができ、これを参照として本明細書に組み込む。通常は、本発明の界面活性剤のブレンドであるポリアルキレンオキシドポリシロキサンは、ヒドロシロキサン(すなわち、ケイ素−水素が結合した水素を含有するシロキサン)とアルコキシ又はヒドロキシで末端がブロック化されたポリアルキレンオキシドのアルケニルエーテル(例えば、ビニルエーテル、アリルエーテル、又はメタリルエーテル)との付加反応により容易に調製される。この種の付加反応で用いられる反応条件は、当該技術分野において周知であり、一般には、反応物質を白金触媒(例えば、クロロ白金酸)及び溶媒(例えば、トルエン)の存在下での加熱(例えば、約85℃〜110℃の温度で)を伴う。
【0051】
(c)アニオン性界面活性剤
シクロデキストリン親和性のアニオン性界面活性剤の非限定的な例は、一般式:
【0052】
【化3】

(式中、Rはアルキル基である。)を有する、アルキルジフェニルオキシドジスルホナートである。この種の界面活性剤の例は、ダウ・ケミカル社(Dow Chemical Company)から、商品名ダウファックス(Dowfax)(登録商標)(式中、Rは直鎖又は分枝鎖のC6〜C16アルキル基である。)として入手可能である。これらのシクロデキストリン親和性のアニオン性界面活性剤の例は、Rがほぼ直鎖C10基であるダウファックス(Dowfax)3B2である。これらのアニオン性界面活性剤はまた、抗微生物活性物質又は防腐剤などがカチオン性であり、アニオン性界面活性剤がカチオン性活性成分に備わるその相互作用を最小限に抑えるような場合には、界面活性剤と活性物質の双方の効果が低下するので使用しない。
【0053】
上記界面活性剤は、シクロデキストリンと弱く相互作用する(表面張力の上昇が5%未満)か又は全く相互作用しない(表面張力の上昇が1%未満)かのいずれかである。ドデシル硫酸ナトリウム及びドデカノールポリ(6)エトキシレートのような標準的な界面活性剤は、強く相互作用し、ヒドロキシプロピル−βシクロデキストリン及びメチル化β−シクロデキストリンのような一般的なシクロデキストリンの存在下で、表面張力を10%超上昇させる。
【0054】
本発明の水性組成物中のシクロデキストリン親和性界面活性剤の典型的な濃度は、組成物の約0.01wt%〜約2wt%、あるいは約0.03wt%〜約0.6wt%、あるいは約0.05wt%〜約0.3wt%である。高濃度組成物中のシクロデキストリン親和性界面活性剤の典型的な濃度は、高濃度組成物の約0.1wt%〜約8wt%、あるいは約0.2wt%〜約4wt%、あるいは約0.3wt%〜約3wt%である。
【0055】
シクロデキストリンを含有する脱臭組成物は、米国特許第6,767,507号に更に詳しく記載されている。
【0056】
D.拭き取り用品
本発明の水性組成物は、市販の基材、例えば、米国再発行特許第38505号、米国再発行特許第38105号、及び米国特許第6,936,330号で説明されている基材に含浸することができ、これら特許を参照として本明細書に組み込む。一実施形態では、基材は、無生物の家庭用品表面を包含する多様な表面を脱臭、消毒、又は清浄化するための不織布ウェットタオルであってもよい。
【0057】
E.充填容器
本発明の水性組成物は、親水性香料と親和性の材料で構成されたプラスチック容器に充填することができる。これら材料は、親水性香料成分との複合体形成を防止し、その結果、プラスチック容器による吸収及び/又は容器を通じての透過が最小限に抑えられる。好適な親水性香料と親和性の材料は、ガスクロマトグラフィー分析によって平均的な親水性香料の損失を測定することにより、容易に識別することができる。親水性香料と親和性の材料による親水性香料成分の平均的な損失は、結果として、元々含まれていた個々の親水性香料成分の約50%未満、あるいは約20%未満、あるいは約15%未満、あるいは約10%未満となる。
【0058】
十分な量の親水性香料成分を含有する水性組成物は、少なくとも80%が親水性香料と親和性の材料で構成されたプラスチック容器の中で、周囲温度において8週間貯蔵することができる。貯蔵後、ガスクロマトグラフィー分析を用いて、水性組成物中に残存する様々な香料成分の量を測定して、元々含まれていた各成分の量に対するおよその損失を算出する。
【0059】
本発明に好適な親水性香料と親和性の材料の効果的な用量は、容器の少なくとも約80wt%、あるいは約80wt%〜約100wt%、あるいは約90wt%〜約100wt%、あるいは100wt%である。親水性香料と親和性の材料の非限定的な例は、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン−コ−ビニルアルコール(EVOH)、アクラー(Aclar)(登録商標)などのフッ素化ポリマー、バレックス(Barex)(登録商標)などのアクリロニトリル−メチルアクリレートコポリマー、又はこれらの混合物のいずれかの樹脂である。本発明では、選択例としてHDPEを利用する。
【0060】
一実施形態では、プラスティパック・パッケージング社(Plastipak Packaging Inc)(イリノイ州シャンペーン(Champaign))製のHDPE瓶を、本発明の水性組成物を入れるために使用する。HDPE瓶は、吹込み成形、射出成形、及び当該技術分野において既知の熱形成法のうちいずれかによって製造することができる。例えば、吹込み成形された瓶の場合、熱軟化したHDPEを金型の空洞に中空管として押出して、冷たい金型の空洞の壁に強制空気で押圧することで瓶が形成される。瓶は冷却することにより、固化する。
【0061】
ClogPが約3未満の香料組成物は、PP及びHDPE等の親水性香料と親和性の材料の中に多量に吸収されない及び/又は材料を通じて透過されないことが分かった。したがって、このことは、プラスチック容器を通じての香料成分の透過を防止するのに役立ち、結果として、注目に値する、更に長続きする芳香の存続期間を消費者に提供する。
【0062】
親水性香料と親和性の材料の中のどれもが、非晶質炭素、シリコン酸化物(silicone oxide)、又はこれらの混合物を包含する1つ以上のバリア材料との併用、及び金属化コーティングとの併用が可能である。以下の実施例は例証目的で提示されるものであり、いかなる形でも本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0063】
(実施例I)
本実施例では、無生物表面(例えば、ラグ、衣類、カウンタートップ類等)用の2種の脱臭組成物を、芳香剤の完全性を維持するため又は芳香の損失を最小限に抑えるために、HDPE 52g(瓶の100wt%)で構成された800mLプラスチック瓶内で評価する。第1組成物である組成物Aは、約0.05%が香料であって、香料の少なくとも約47.9%が、約3未満のClogP及び約280℃超の沸点を有する香料成分から作製されている。第2組成物である組成物Bは、約0.05%が香料であって、香料の40.8%が、ClogPが約3超であり及び約280超の沸点を有する香料成分から作製されている。対照香料は、約0.05%が香料であり、香料の18.7%が、約3未満のClogP及び約280超の沸点を有する香料成分である。
【0064】
官能試験員らは、新たに作製された組成物と経時変化した組成物(A、B、及び対照)を、次の間隔を置いてそれぞれの香りの強度について評価する:組成物を布地にスプレーした直後、2時間、24時間、及び48時間。新たに作製された組成物とは、香料が作製直後に評価されるもの、又は4℃の恒温恒湿(CTCH)の部屋で適切に貯蔵したものが約2週間以内に評価されるものである。経時変化した組成物とは、周囲温度又は49℃の部屋に約2週間以上さらしたものである。
【0065】
図1及び表5に、新たに調製された組成物の香りの強度を経時的に示す。48時間では、組成物Aは40のグレードを示し、組成物Bは35のグレードを示し、そして対照組成物は48時間で20のグレードを示している。
【0066】
【表10】

【0067】
図2及び表6には、経時変化した組成物の布地上での香りの強度が経時的に示されている。48時間では、組成物Aは25のグレードを示し、組成物Bは20のグレードを示し、そして対照組成物は10のグレードを示している。消費者が明確に気付いた香りと、消費者が明確に気付かない香りとのグレードの差は、少なくとも15である。経時変化した製品では、消費者は対照組成物に対して明確に気付かないが、組成物A及びBに対して明確に気付いている。
【0068】
【表11】

【0069】
総体的に、組成物Aと組成物Bの香りの強度は、香料を布地上にスプレーしてから48時間後でも維持されている。48時間では、組成物Aについては「明瞭な柑橘系」及び組成物Bについては「明瞭な柑橘系の新鮮さ」を有する香りの特徴がコメントされている。
【0070】
(実施例II)
本実施例では、無生物表面(例えば、ラグ、衣類、カウンタートップ類等)用の2種以上の脱臭組成物を、芳香剤の完全性を維持するため又は芳香の損失を最小限に抑えるために、52gのHDPE(瓶の100wt%)で構成された800mLプラスチック瓶内で評価する。第1組成物である組成物Cは、約0.065%が香料であって、香料の少なくとも約47.9%が、約3未満のClogP及び約280℃超の沸点を有する香料成分から作製されている。第2組成物である組成物Dは、約0.065%が香料であって、香料の約34.4%が、約3未満のClogP及び約280超の沸点を有する香料成分から作製されている。対照香料は、約0.05%が香料であり、香料の18.7%が、約3未満のClogP及び約280超の沸点を有する香料成分である。官能試験員らは、新たに作製された香料と経時変化した香料について、実施例Iで認定した工程に従って評価する。図3及び表7には、新たに調製された組成物の布地上での強度を経時的に示している。
【0071】
【表12】

【0072】
図4及び表8には、経時変化した組成物の香りの強度を経時的に示している。
【0073】
【表13】

【0074】
72時間では、組成物Dについての「顕著な特徴があり、目標物にふさわしい」、及び組成物Cについての「更に強いフローラルな柑橘系」を有する香りの特徴がコメントされている。
【0075】
(実施例III)
本発明で使用するのに好適な水性組成物を以下の通り配合する。
【0076】
【表14】

【0077】
水性組成物を、HDPE容器内で周囲温度下約8週間貯蔵する。貯蔵後に、ガスクロマトグラフィー分析を用いて、組成物中に残存している表9中の香料成分の量を測定する。元々含まれていた各成分の量に対するおよその損失を算出する。
【0078】
【表15】

【0079】
平均損失率は、ClogPが3未満の香料成分では50%未満、及びClogPが3超の香料成分では70%超である。本実施例では、ClogPが3超の香料成分をHDPE容器内で貯蔵すると顕著な損失が生じることを示している。
【0080】
(実施例IV)
本発明による液体柔軟仕上げ剤を以下の配合に従って作製して、HDPE容器に充填する。
【0081】
【表16】

【0082】
(実施例V)
本発明の液体洗濯洗剤を、以下の配合に合わせて作製して、フッ素化ポリエチレンの内表面を有する容器に充填する。
【0083】
【表17】

【0084】
本明細書に開示された寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳しく限定されるものとして理解されるべきではない。それよりむしろ、別段の指定がない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することを意図する。例えば、「10%」として開示された値は、「約10%」を意味することを意図する。更に、別段の指定がない限り、パーセントはいずれもwt%を表すことを意図する。
【0085】
相互参照した若しくは関連する特許又は特許出願を包含する本明細書に引用した文献は全て、明らかに除外あるいは限定されていない限りは、これによって、その全体を参照として本明細書に組み込む。いかなる文献の引用も、それが本明細書において開示されているか若しくは特許請求の範囲に記載されているいずれかの発明に関する先行技術であることを認めるものではなく、あるいはそれが単独で又は他のいかなる参考文献(単数若しくは複数)とのいかなる組み合わせにおいても、かかる発明を教示する、提案する、又は開示することを認めるものではない。更に、本明細書中の用語のいずれかの意味又は定義が、参照として組み込まれた文献における同一の用語のいずれかの意味又は定義と相反する限りにおいては、本明細書中の用語に与えられた定義又は意味が適用されるものとする。
【0086】
以上、本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、当業者には、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を行うことが可能であることが自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
家庭用の洗浄製品、布地処理製品又は脱臭製品であって、前記製品が、
a.水性組成物であって、前記水性組成物が、
i.0.01重量パーセント(wt%)〜50wt%の界面活性剤;
ii.0.003wt%〜5wt%の香料であって、前記香料のうち少なくとも10wt%は、3未満のClogP及び200℃超の沸点を有する1つ以上の親水性香料成分である香料;及び
iii.水;を含む水性組成物と、
b.少なくとも80wt%が親水性香料と親和性の材料から構成されたプラスチック容器であって、前記水性組成物が収容されるプラスチック容器と、を含む、製品。
【請求項2】
前記親水性香料と親和性の材料が、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン−コ−ビニルアルコール、フッ素化ポリマー、アクリロニトリル−メチルアクリレートコポリマー、及びこれらの混合物からなる群より選択される、請求項1に記載の製品。
【請求項3】
前記1つ以上の親水性香料成分が、エチルバニリン;酢酸イソオイゲニル;ヘリオトロピンジエチルアセタール;2H−1,5−ベンゾジオキセピン−3(4H)−オン、7−メチル−;4−(4−ヒドロキシフェニル)ブタノン−2;バニリンイソブチレート;ヘリオナール;カシュメラン(Cashmeran);ピペロニルアセトン;メチルβ−ナフチルケトン;メチルジヒドロジャスモネート;リラール;及びこれらの混合物;からなる群より選択される、請求項1又は2のいずれか一項に記載の製品。
【請求項4】
水性の家庭用洗浄製品、布地処理製品又は脱臭製品であって、前記製品が、
a.水性組成物であって、前記水性組成物が、
i.0.01wt%〜50wt%の界面活性剤、及び
ii.0.003wt%〜5wt%の香料であって、前記香料のうち少なくとも10wt%が、エチルバニリン;酢酸イソオイゲニル;ヘリオトロピンジエチルアセタール;2H−1,5−ベンゾジオキセピン−3(4H)−オン、7−メチル−;4−(4−ヒドロキシフェニル)ブタノン−2;バニリンイソブチレート;ヘリオナール;カシュメラン(Cashmeran);ピペロニルアセトン;メチルβ−ナフチルケトン;メチルジヒドロジャスモネート;リラール;及びこれらの混合物;からなる群より選択される1つ以上の親水性香料成分である香料、を含む水性組成物と、
b.少なくとも80wt%がHPDEで構成されたプラスチック容器であって、前記製品が収容されるプラスチック容器と、を含む、製品。
【請求項5】
前記水性組成物が、前記香料を0.05wt%〜0.2wt%含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製品。
【請求項6】
前記水性組成物が、0.1wt%〜20wt%のシクロデキストリンと0.15wt%〜20wt%のシクロデキストリン親和性香料とを更に含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の製品。
【請求項7】
前記香料が、1つ以上の親水性香料成分を少なくとも40wt%、好ましくは少なくとも70wt%含有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の製品。
【請求項8】
前記沸点が、250℃超、好ましくは280℃超である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の製品。
【請求項9】
前記製品が基材を更に含み、前記基材は前記水性組成物で含浸されている、請求項1〜8のいずれか一項に記載の製品。
【請求項10】
前記基材が不織布ウェットタオルである、請求項9に記載の製品。
【請求項11】
家庭用の洗浄製品、布地処理製品又は脱臭製品において芳香剤の完全性を維持し、芳香の存続期間を延長する方法であって、前記方法が、
a.0.01wt%〜50wt%の界面活性剤と0.003wt%〜5wt%の香料とを含む水性組成物を提供する工程であって、前記香料が、3未満のClogP及び200℃超の沸点を有する1つ以上の親水性香料成分を少なくとも10wt%含有するものである、工程と、
b.前記製品を、少なくとも80wt%が親水性香料と親和性の材料で構成されたプラスチック容器中に充填する工程と、を含む、方法。
【請求項12】
前記製品が基材を更に含み、前記基材は前記水性組成物で含浸されている、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記香料が、約3未満のClogP及び250℃超、好ましくは280℃超の沸点を有する1つ以上の親水性香料成分を、少なくとも40wt%、好ましくは少なくとも70wt%含有する、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記親水性香料成分が、エチルバニリン;酢酸イソオイゲニル;ヘリオトロピンジエチルアセタール;2H−1,5−ベンゾジオキセピン−3(4H)−オン、7−メチル−;4−(4−ヒドロキシフェニル)ブタノン−2;バニリンイソブチレート;ヘリオナール;カシュメラン(Cashmeran);ピペロニルアセトン;メチルβ−ナフチルケトン;メチルジヒドロジャスモネート;リラール;及びこれらの混合物;からなる群より選択される、請求項11、12、又は13に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−530918(P2010−530918A)
【公表日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−512834(P2010−512834)
【出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際出願番号】PCT/IB2008/052582
【国際公開番号】WO2009/001320
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】